騎士王「『魔王、ずっとずっと、だいすきだよ!』」(181)

当SSは
魔王「姫・・・おまえを愛している。どんな絶望があろうと、俺と共にあれ」【長編】
魔王「姫を愛している。俺と共にあれ」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1393348360/)
の続編になります。

※前回、乙や応援など頂いたのが嬉しかったので調子に乗りました。すみません。
やってよし!と応援くれた方ありがとうございます。
今回は、復旧したばかりなので・・・様子みながら張るつもりです。
途中コメやご指摘・批判もガンガンくれたら喜びます。

魔王が書きたかっただけなのに、あまりかけないまま長編になりました。
読んでくれる人いたらありがとうございます。
妄想・爆走・命掛けです。投下スピード遅いのは勘弁してください。

↓からはじめます。

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【オリジナル】騎士王「『魔王、ずっとずっと、だいすきだよ!』」【長編・続編】

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<王国王城中庭>


姫「そういえば、騎士王様は、前世・・・騎士だった頃の記憶もあるんですよね?」


騎士王「うん。最初は朦朧としてたけど、最近よく思い出すかなぁ」

騎士王「やっぱり、魔王の魔力で蘇った影響だろうと思うんだけど」

姫「騎士王様は元々、魔王様の側近だったのに・・・前世の時のように騎士としてコチラにいられるようになって・・・本当に嬉しいです。私も無事、王国にもどってこられましたし。」

騎士王「騎士じゃなくてもよかったけど、姫ちゃんといられるのは、本当に魔王に感謝だな」

姫「ふふふ。その魔王様も無事に復活されたし・・・・・本当に、最近は平和ですねぇ」

騎士王「そだねー・・・って!いやいやいや!ラスボスのこってんし!」


姫「え?ラスボス?」

騎士王「姫ちゃんの親父さん。この国の先代王。あれのせいでマジでまだ姫ちゃんと結婚できない!!」

姫「いえ、結婚できないのは側近様の自爆のせいかと・・・」ハァ

騎士王「う・・・だ、だからって、現王に向かって『魔王に勝つまで娘は嫁に出さない』なんて言って、ふんぞり返る元王がどこにいんだよ!」

姫「・・・ふふふ。さすがの魔王様も、あの誓いをさせるときはちょっと躊躇してましたねぇ」

騎士王「見てたなら止めようよ!?」ガーン


姫「でも、楽しみは後に取っておくものですよ、騎士王様♪」

騎士王「取っておきすぎてもなぁ・・・だって俺、実は姫ちゃんが生まれた時から知ってるんだよ?」

姫「え?そんな年上だったんですか?ええと、享年おいくつですか?」

騎士王「やだなー姫ちゃん。おじいちゃんの幽霊みたいに言わないでよ。騎士の頃でまだ…んー…まだ、確か…あれ?」

姫「やだ、騎士王様ったら、自分の年もわすれちゃったんですか?」クスクス


騎士王「あはは。でも、騎士になった翌年に姫ちゃんうまれたはずだからなー。だから年の差は結構あるかも・・・いや、まぁ転生してるから年の差もなにも無いか」アハハ

姫「へえ、翌年に私が…って、え?騎士様は、元々の騎士…貴族じゃなかったんですか?」

騎士王「俺が貴族とかありえないよ!普通に旅人だったし」

姫「旅人ですかぁ!素敵ですね!ちなみにどこのあたりに行ってたんですか?」

騎士王「世界中!仲間とあちこち回ったもんだよー」ウンウン

姫「すごい~!ぜひ、冒険譚とか聞きたいですー!」


騎士王「んー、冒険譚かぁ…」ムー

騎士王「あ、やっぱあれかなぁ?ドラゴン退治!灼熱ブレス熱いんだよなー!!」

姫「え?やだ、冗談ですよね」クス


騎士王「いやいや!まじだよー、こんがり焼けたよー!!7回くらい戦って、あんまりにも勝てなくてさー・・・」ハァ

騎士王「ボロッボロの状態で、『なんでそんな強いの!?』ってドラゴンにキレちゃったんだよねー」アハハ

騎士王「そしたらそいつ、卵護っててさ!もーそっからは土下座で謝って、産まれるまでドラゴンを警護したんだよ!辛かったー!」

姫「いやいや、ありえないですよぉ、ふふふ」

騎士王「ほんとだよねー。知ってる?ドラゴンの卵って妙薬らしくて、貴重で高価らしいんだよ。ドラゴン退治依頼も、そっちが本命だったんだぜー参るよなー!」

姫「えっと…騎士王さま?」キョトン

騎士王「でもよー、うっかり仲間の一人が、卵産まれるの見たいからって覗きこんで、産まれたドラゴンが親と間違ってそいつになついちゃって」

騎士王「結局、今度はそいつを育てるはめになってさー。まぁ、すぐおっきくなってくれたから、移動は楽だったけどねー」

姫「・・・」


騎士王「そうそう!それで移動範囲増えて、天空宮殿に行こうってことになって!」

騎士王「探しながら雲の中飛んでたら、いきなり宮殿に激突して落ちて、牢屋にいれられてさ・・・。この世の終わりだと思ったねー」ウンウン

騎士王「牢屋って行っても、石造りで鉄格子じゃないんだぜ?超ちっこい雲が足場にあるだけの場所なの。高いし寒いし風強いし怖かったなー!」

姫「…あの、騎士王さま…」

騎士王「ん?なに、姫ちゃん?」

姫「それ・・・、何千年前のお話ですか?」


騎士王「え?…あれ?・・・ドラゴン?」

姫「絶滅…してますよね…?化石すら残ってない、ある意味で伝説上の生き物ですよ?」

騎士王「………あれ?これ何の記憶?」

姫「私がしりたいですよぉ…」


騎士王「・・・んー?あれ?うんー?」クビカシゲー

姫「ち、ちなみに旅の目的はなんだったのですか?」

騎士王「…あれ、なんだったかな。そういや…なんで旅やめたんだっけ…?」


姫「じゃ、じゃあお仲間ってどなたですか?」

騎士王「あ、それは、俺と、魔法使いと、僧侶と、…あれ、あと一人だれだっけ?確か馬鹿みたいに強い奴がいたんだけどなぁ」

姫「魔法使いと、僧侶…どちらも今はない役職ですよ?魔術師と、看護師ですよね」

騎士王「…そういやそうだな…」


姫「騎士王さまは騎士になるくらいだから、剣士か戦士だったのではないかと…」

騎士王「あ、そういやでっかい剣ふりまわしてたわ」

姫「そしてそのすごい強いもう一人って…まさか、勇者さま、だったりして・・・?」

騎士王「いやいやいやいや!!だとしたらそれ、何千年前の記憶なんだよ!勇者とかいないだろ!」アハハハ

姫「…ドラゴンもいないですよ…」

騎士王「…あー…」


騎士王「あ、てかさ。魔王に見てもらえばよくね?そういうの、あいつできるんじゃないかな」

姫「そっか、記憶があるってことは、もしかしたらさらに昔の魂の経験かもしれないですしね…」

騎士王「ん、よし!じゃあさっそく、魔王城いこうぜー!!」


姫「それにしても・・・魔王城、王国の城からだと遠いんですよね・・・転送術って、もっと便利にならないですかね?」

騎士王「あれって結構、高位の魔法なんだぞ?小さい陣なら使用者はほとんど魔力つかわないしさ」

姫「でもほら、魔方陣から魔方陣の間ならどこでも移動できるわけですよね?」

騎士王「まぁ、魔王城のほうは、城内全体に魔方陣広げてるから、すげー便利だけどなー」

姫「こっちは、城下町を出て平原まで行った小屋が最寄ですよー?遠すぎです!」

姫「まぁ、魔王城みたいなおっきい魔方陣、貼れるような人も魔力通せる人もいないですけど・・・」

騎士王「アレだけの大きさだと、魔力も結構通さないと起動しないしなー」


姫「あ、せめて魔方陣増やしてみますか!」

騎士王「おいおい・・・魔王城内から一気に王国城内までこれるようになったら、さすがに民衆から暴動起きるって・・・」

姫「あ、そっか//」

姫「はぁ、はやく魔王様との平和条約に調印できないですかね?もっと楽に行きたいですよー」

騎士王「俺との結婚<魔王城への交通の利便なの!?泣くよ!?」

姫「ふふふ。ジョーダンですよっ、騎士王さまっ!」ニコッ



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<魔王城執務室>


魔王「・・・は?妙な記憶だと?」クルリ


騎士王「そうなんだよー。妄想説も考えたんだけど、はっきりいろいろ思い出す部分もあってさ」

魔王「はっきり思い出すなら、最後まで思い出せ」イラ

騎士王「それがさ、どうしても途中からわかんなくって。子供の頃の記憶もあるのに、場所もよくわかんねーし」

魔王「…ふむ」


メイド姫「魔王様、見て差し上げてはいかがでしょう?」

魔王「面倒だ」

メイド姫「ですが騎士王様は、側近として創られた時から、やはり妙な事が多すぎると思いませんか?」

魔王「妙なこと?」


メイド姫「魂の状態で、魔王さまになつくとか…再創生で、生前の記憶を引き継ぐとか、過去の記憶を思い出すとか。ましてや死んでいる間の記憶すらあるんですよね?」

騎士王「あ、うん。でもそれって魔王がそうしたかったから、そうしてくれたんじゃないの?」

魔王「そんなこと出来るか。出来るなら最初からやってる」フン

魔王「・・・いや、まぁ、死に直面していたからな。勿体ぶらずに魔力いれたのは確かだ。だからそんなこともあるのかと思っていたんだが・・・」

メイド姫「火事場の馬鹿力みたいなものでそんな事までできるんでしょうか」

魔王「…確かに、異様だな。…ふむ。よし、見てやろう」



・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・


シュワシュワ・・・
魔王「・・・」


騎士王「これ、なんかゾクゾクしてちょっと気持ちいいよな」ニヘラ

魔王「…気持ちわるいこと言うな。お前を喜ばせたくてやってるわけじゃないんだぞ」

騎士王「へへ。つかこれ、どうやって何をやってんだ?」

魔王「……。やめた」シュワッ

騎士王「ちょ、なんで?!」ワタワタ

魔王「…気持ち悪いこと想像した」

騎士王「は?」

メイド姫「・・・魔王様の瘴気を、騎士王様にいれることで、魂の神経といわれる部分に意識を接続させてるんですよ」

騎士王「ん?どーゆうこと?」

魔王「ハァ…俺の瘴気を、極極微量にお前にいれて…ああ、まぁ、おまえの中に、俺の一部をつっこんで体感してるようなもんだ。考えると最悪だ」


姫「わ、わたしも何度かしてもらったんですけど…//」

魔王「…なんだ?してほしいのか?なんならもっと高濃度の瘴気をいれるとだな…」

メイド姫「魔王様」ニッコリ

魔王「…(あ、怒ってる)」


魔王「冗談だ。まぁとにかく、もうやめた」クルッ

騎士王「そ、それで何かわかったのかよ!?」

魔王「まぁ、その記憶は確かにお前の中に存在してたな。でもそこまでで止めたからな…結局なにもわからないのと代わらない」

騎士王「なんか…微妙だぁー。変なこともう言わないからさー、もっかいだけ、ちゃんと見てくんね?」

魔王「俺にその気はない。気色悪い」


メイド姫「・・・困りましたね。私も少しばかり興味があったのですが…」

魔王「おまえが?」

メイド姫「はい。出来るなら知りたいですね。このままだと騎士王さま(の前世)の事が気になって眠れないかもしれません」

魔王「む」


姫(あ、魔王様がめずらしく妬いてる//)

騎士王(め、メイドちゃんが俺のことを考えて夜も眠れず…だと!?//)


メイド姫「一部をつっこむ、というのがお厭ならば、何か他の方法はないのですか?」

魔王「むぅ……。あぁ、そうか」


魔王「創生術、発動。…こい、蟲」パチン

シュワワワワ・・・
蟲「ぴぃっ」パシュッ


メイド姫「これが…蟲、ですか?」

騎士王「なんか外観へんだな。蟲っつーか…爬虫類?鳥?」

魔王「む。言語能力をつけたかったんだが、蟲が話すのがうまく想像できなかったか」

騎士王「それで、これ、なんにつかうの?」


魔王「…おまえ、これを丸呑みしろ」

騎士王「最悪だ!」



・・・・・
・・・
・・


騎士王「ま、まじでやるの?」

魔王「これはかなり特殊な蟲だ。俺の瘴気だけで生成した、魂をもたない生き物」

騎士王「魂無くても、生き物が創れるのか!?」

魔王「はっきりいって魔力と瘴気の無駄使いだな。ほんのわずかな瘴気をいれるためだけに、数百倍の瘴気で肉体を作ってる。小さいからまぁいいが・・・」


蟲「ぴ?」

姫「ふふ、見慣れてくるとかわいいですねー。抱っこしてもいいですか?」

魔王「…ああ」

姫「♪」ギュッ

蟲「ぴ!」ビョン

姫「ひゃっ!むぐっ!?」モガモガ


魔王「魂に反応して、相手の体内に侵入、中身を覗くと出てきて、見たものについて報告するという蟲だ」

メイド姫「なるほど。魔王さまの能力を、魔王さまから分離したわけですね」

魔王「分離というか、劣化コピーに近いが。視覚情報までうけとれないからな」


騎士王「ちょ!いってる場合じゃない!姫ちゃん吐け!はやく!吐け!」ガッ

姫「むぐむぐむぐぅーーー!!」グイグイグイ


ペッ

姫「げほっ、ごほっ…く、苦しかった…」ハァハァ

魔王「魔王の蟲を抱くというのだから、少しのリスクは当然予想すべきだったな。なにかと危機感が足りなすぎる、懲りたら改めるべきだ」

メイド姫(騎士王様が、魔王様を倒さないと結婚できなくなった件、魔王様なりに責任感じてるんですねぇ)クス


蟲「ぴっぴぴー♪」

魔王「ん?口内からでも何か見えたのか?・・・よし、報告しろ」

蟲「ぴぴぴっぴー♪…ぴぴぴっ…ぴっ!ぴぴぴ、ぴぃっぴ!」パタパタ


騎士王「うわ…」

姫「これは…」

魔王「…なんて無駄なことを…ハァ」

メイド姫「あらあら。そんなこと…大丈夫ですよ、姫様」クス


姫「え?」

メイド姫「騎士王さまは、大きさなど気にしないと思いますから」


姫「え!?メイドさん!?//」

騎士王「詳しく!」

魔王「仔細に述べよ」


メイド姫「え?…いえ、ですから…この蟲が、

『うふふ、騎士王さまー♪…あ・な・た…なんちゃってー!キャー!あぁ、はやくお嫁さんになりたいなぁ…、あっ!?
でもこの胸じゃ…がっかりするかな…ああぁ、どうしようー!結婚までに成長するk』」ムク゛ッ

姫「な、ななななな!何を!!////」ムギュゥゥゥ


メイド姫「…ほうははっはんえふ?(どうなさったんです?)」ップハ

魔王「本当に、この蟲がそう報告したと言うのか」

メイド姫「…はい、そう…ですよね?何か聞き違えましたでしょうか」


騎士王「俺には『ぴぴぴ』としか聞こえない」

魔王「致命的な欠陥の蟲だったと思ったのだが…、いまの報告内容は事実か?」


姫「知りません!//」プルプルプル・・・

姫「そんな、そんな…うぅ、ひどいですぅぅぅ!ワァァァっ!みんなきらいですぅぅぅ!!!」
ダダダダダ バターン! ダダダダダダッ・・・


騎士王「あれ、なんか見覚えがある、あの感じ」トオイメ

魔王「あれはもはや再現としか言えない。・・・しかしあの反応、どうやら事実のようだ…」

騎士王「姫ちゃん…俺、大きさより形派だよ!//」


メイド姫「姫様に悪いことをしました。てっきり皆様も聞いたと思ったので」ショボン

魔王「なぜか知らんが、姫だけにしか翻訳できないらしい」

メイド姫「どうしてでしょう?」

魔王「…さぁ、よほど、俺の瘴気と相性がいいんじゃないか?」ククク

メイド姫「…//」


騎士王「はいはい、禁欲生活が長いんだからまじで当て付けないでねー」

魔王「チ。まぁ、とにかくこいつについては性能的には問題ないのも証明されたことだ」

魔王「さっそく、呑め」

騎士王「くそ!やっぱりそうなるのか!」


メイド姫「・・・先程、姫様の口にはいったんですよね、この子・・・」

騎士王「いただきます!」ガプ

魔王「おまえ…正直、ひくわ…」ドンビキ


騎士王「むぐっ、ごっくん…」

騎士王「う…なんか…腹の中がへんなかんじ…急に酔って胃があつくなるような…」

騎士王「うぅ…きもちわるくなってきた…」ガクリ


魔王「…なかなか出てこないな」

メイド姫「魔王様の瘴気なのに、気持ちわるくなるものですか?」

魔王「いや、側近にいれるってわかってたからな、外観を必要以上に丈夫にしてなるべく瘴気に直で触れさせないようにした」

メイド姫「…もはやただの人間ポンプですね、少し、もったいない気が…あ、いえ…//」

魔王「お前にならいくらでもしてやるが…。俺の瘴気で、もしあいつが喘ぐようなことでもあれば、気色悪さで魔王として死ねる」

メイド姫「それでは仕方ありませんね、耐えてもらいましょう」


騎士王「ぅ…うげぇぇぇ」オエオエオエ


魔王「チッ、汚ならしい」

メイド姫「あ、蟲でましたね」

魔王「よし、さっそく報告しろ」


蟲「ぴぴぴっぴー♪」

魔王「…。そうだった。姫、翻訳してくれ」

メイド姫「はい。では蟲さん、お願いしますね」


蟲「ぴっぴっぴーぴぴ。ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴっぴぴぴぴ」

メイド姫「え?本当に?」

蟲「ぴぴぴ」

メイド姫「…それは」

蟲「ぴぃ!」

メイド姫「まぁ…そうですか…」


魔王「…なんと言ってるのだ?」

メイド姫「魔法使い、僧侶、勇者のパーティで冒険していた過去があるようです。騎士王様が…勇者で」

魔王「…なんだと?」

メイド姫「事実みたいです。…勇者だったときはもっとかっこよかったと言ってます」


蟲「ぴぴぴ、ぴーぴ」

メイド姫「魔王がいる…と。特徴からして、七代前魔王の時代みたいですね」

魔王「七代前!?2000年は昔だぞ!」


蟲「ぴぴぴっぴー」

メイド姫「勇者の魂なんですが、その時代から先は勇者として目覚めていないらしいです」


蟲「ぴっぴ」

メイド姫「魔王様の魔力で側近として転生してから、能力の一部が露見していると」

魔王「側近、たしかに剣技は目を見はるものがあったが、そういう訳か」

魔王「…なるほど、魔王と同じく特殊な魂の持ち主ならば、不可解な記憶の継続維持も頷ける」


蟲「ぴぴぴ」

メイド姫「騎士として再転生する際、大量の魔王様の魔力が身体に流れて、そのショックで勇者の記憶が覚醒しつつある、との事です」

蟲「ぴぴぴ、ぴーぴ♪」

メイド姫「え。私もですか?」

魔王「?」

メイド姫「…どうやら、騎士王さまの仲間の魔法使いというのが、私の魂でもあるようです」

魔王「どんだけ大集合なんだ。まったく聞き捨てならんな…おい、側近」


騎士王「」グッタリ

メイド姫「…よほど苦痛だったんですねぇ…」

魔王「チッ、役にたたん。見苦しいから王国に投げ棄ててしまえ」

メイド姫「かしこまりました」

・・・・・
・・・・
・・
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<王城騎士王の私室>


騎士王「はぁ…。酷い目にあったなぁ・・・」

騎士王「それにしても…、俺が元勇者、ねぇ?」

騎士王(…記憶あっても実感ないし…結局、勇者としての能力は剣技だけか…)

騎士王「魔王に、勝てる…かなぁ」


騎士王(でも…姫ちゃんと結婚かかってるし……。くふ、姫ちゃん…)グフフ

騎士王「うひょひょ、なぐさめてもーらおっ♪俺、全然気にしないってか、むしろ今のサイズ大歓迎だよ!姫ちゃんー♪」



・・・・・
・・・
・・


<王城、姫の私室>


姫「むぅ//」プクー

騎士王「恥ずかしがらないで!俺、嬉しかった!俺のためにそんなの悩んでるなんて思わなかったし!」

姫「ち、ちがうもんー!//」

騎士王「違わない!姫ちゃんのサイズなら俺、大歓迎だよ!」

姫「ち、違うもんっ、そうじゃなくて、そんなこと、なやんでなんか・・・」

騎士王「姫ちゃん、可愛いよ!!」


姫「もう~~~っ//もう、やめてください!//そ、そんなに言うと…嫌いになっちゃいますよ!!//」

騎士王「えっ、ちょ、まって!それはだめ!」

姫「次にこの話を言ったら、本当に絶縁宣言です!!それこそ決闘して負かせますよ!!//」

騎士王「姫ちゃん!!俺、またそんなことされたら次こそひきこもっちゃうよ!」


姫「・・・え? 『また』・・・?」

騎士王「え?・・・『また』? 絶縁宣言が? 決闘が? いつ?」キョトン

姫「騎士王さまがいったんですよっ」プクー


ズキン


騎士王「っ、あ、れ?違う…姫ちゃんじゃ、ない?」ズキッ

姫「…どういうことですか?一体、何を?」

騎士王「っ、う…な、これ…は…」ズキズキ


騎士王「『…魔王さま』」


姫「え?」


騎士王「…ぐ…」ガクッ


姫「ちょ、大丈夫ですか?!顔色、悪いですよ!?それになんか…」

姫「なん、か…身体が…光って…?…え?」


騎士王「『魔王さま、いま行くね…』」


…キンッ!


姫「な…消え、た…?」ペタン



・・・・・・
・・・・
・・・


-----------


<2000年前 野営テントの中>


騎士王「……っ」ゴロン


騎士王「う…。痛っ…。て…なんだ?」ズキズキ

騎士王「あ、あれ?ここ、どこだ?」キョロキョロ

騎士王「姫ちゃん?おーい?」


?「あ、起きてましたか」


騎士王「…え、メイドちゃん?何事?」

?「メイドって。酷いですね、そんな扱いですか!」

騎士王「あ、いや、え?別人?」

?「…まったくもう。寝ぼけるならせめて早起きした時だけにしてください!」


??「あ。勇者さま起きたのですかー?お。ちゃんと着替えてるじゃないですかー」ピョコッ

騎士王「えっ姫ちゃん?」

??「…//や、やですねぇ//姫だなんてっ//」テレテレ

?「私がメイドで、僧侶が姫…そんなあからさまな差別するおつもりですか?」


魔王「おまえ、しまいには私にまで何か妙な役職つけるんじゃないだろうな…」ハァ

騎士王「…魔王…って、女!?」

魔王「」イラ


魔王「斬る」スチャッ



・・・・・・・
・・・・・
・・・


騎士王「…痛い」ズキズキ

?「…自業自得ですよ。あれはひどすぎます。魔王ちゃんあんなに美人なのに、よりにもよって…」

騎士王「メイドちゃん…じゃないんだっけ、ええと……『魔法使い。』・・・え?」


魔法使い「ようやく目が醒めてきましたか」ハァ

騎士王「?」

騎士王(なんだ、いまの。魔法使い?あれ、俺が言った?)


魔法使い「…はぁ。やはり全然だめそうですね。顔洗って出直してきてください、勇者様」

騎士王「…勇者さま…?」


<湖畔>

バシャバシャ…

騎士王「やばい、全然わかんない…どうなってる?てかなに?」


騎士王「『ごめんね』」

騎士王「!?」


騎士王「『ごめん、僕が君を無理矢理つれてきた。…君じゃなきゃだめなんだ。2000年待ったんだ、充分な魔力をもつ勇者の後世を』」

騎士王「だれだ!…って俺がしゃべってる!?どういうこと!?」アワアワ

騎士王「『…僕は、この時代の勇者だよ。僕は君の、魂だ』」


騎士王「…はぁぁぁぁ!?」

・・・・・・
・・・・
・・


騎士王「やっぱり…まったくわからん…」

騎士王「『ご、ごめんね』」

騎士王「つか、ずっと独り言状態で…喉乾いた…口が痛い…」ハァ

騎士王「『水、のむ?』」

騎士王「おう、さんきゅ」
テクテクテク…ごくごく


騎士王「ふう、生き返る」プハー

騎士王「『よかった』」


騎士王「って、自分で水飲みにいってんじゃねぇか!!」バシッ


騎士王「なに!?おまえ、俺の口だけじゃなくて身体まで操れるの!?」

騎士王「『え、まぁ、君の魂でもあるわけだし、意識すれば普通にどうとでも動くよね』」

騎士王「ほんと、なんか違和感やばいし気持ち悪いから、やめてほしい」


騎士王「『…んー、じゃあ』」

勇者『これでどう?』

騎士王「!頭の中で、お前の考えがわかる!」

勇者『思考回路の一部だけお邪魔して…操ることに代わりないけど…少しはまし?』

騎士王「おう!これくらいならいいかな。なんかテレパシーっぽいし、ちゃんと勇者が別人だって感じするわ」

勇者『別人ではないけど…』

騎士王「いいんだよ、感覚の問題だから」


騎士王(しかし、勇者が、後世に助けを求める…ね)

勇者『情けないよね…ごめんね、僕はほんとに弱いんだ』

騎士王「え。何、考え筒抜け?」

勇者『そりゃ…同じ思考回路だし…僕がしゃべれば君がしゃべるし、僕が考えれば君が考える。僕が動けば君が動くよね』

騎士王「…リモコンがふたつあるラジコンになった気分だ」ガックリ


勇者『あ、でもあれだね。感情は伝播してないみたいだね』

騎士王「?」

勇者『いや、君が落ち込んでも、僕は落ち込まないんだなって思って』

騎士王「全然フォローになってねぇよ、むしろ憎い!」


スタタタタ
僧侶「勇者さまー!」


騎士王「あ、やべ」

勇者『あのさ。さっきもいったけど、今の君はこの時代の僕なんだ。僕のふりをしてくれない?』

騎士王「そう言われても…お前のことよく知らないし…」

勇者『じゃあ、ちょっと見てて。覚えてほしい』


スタタタタ…
僧侶「?誰かとお話してましたか?」

騎士王「『ううん。歌を歌ってたよー』」


騎士王(おい、また勝手に…)

勇者『こうでもしないと、みんなが変に思って歴史がまがっちゃうんだもん。今だけだから』

騎士王(…しょうがねぇな…ちっ、身体かしてやるから変なこと言うなよ)


僧侶「?」

騎士王「『ううん、なんでもない。綺麗な湖畔だから気持ちよくなっちゃって』」


騎士王(我ながら気持ち悪い)

勇者『我慢!』


僧侶「えへへ、目はすっかり醒めたみたいですね!ちょっと残念…//」

騎士王「『え?』」


僧侶「あっ//なんでもないです!」

僧侶「そうだ!勇者さん、魔王ちゃん呼んでますよ~。あんま遅いとまた斬るって騒いでますよっ」

騎士王「『あはは。それはやだなぁ…うん、今いくよ。それに魔王に謝らなくちゃ』」

僧侶「ふふ、そうですねっ」ピョコン


騎士王「『あ、ねぇ僧侶。ぼく、今なんか変なとこあるかな』」

僧侶「?まだ寝ぼけてるんですか?」

騎士王「『あはは、ひどいなぁ。でもほら、なんかずいぶん寝てた気がしてさ…どう?』」ジッ

僧侶「んー…」


僧侶「あ、でも・・・」

騎士王「『…どこか、変わった?」』

僧侶「あ、いえ。もちろん見た目はかわらないですけど…」


僧侶「なんだろ?少し、大人っぽい雰囲気になったような//…なんか、ちょっとあの、か、かっこいい気が…//」

騎士王「『…そっか。寝る子は育つっていうからね、あはは』」


騎士王(やめて!爽やかキャラやめて!悶えそう!)

勇者『君、普段どんな感じなの…』



・・・・・・・・
・・・・
・・


<野営テント>

魔王「来たか。顔洗うのにずいぶん長くかかるな?」


騎士王「『魔王・・・。さっきはごめんね。なんか悪い夢をみてたみたいで…』」

魔王「…ふん。勇者のくせに悪夢に苛まれるとか、本当に弱いな」

魔法使い「ふふ、ショックうけてイライラする魔王ってのも、人のこと言えないですよ」

僧侶「…でも本当にさっきの勇者さまはおかしかったぁー♪」

魔王「自分だけ姫だからっていい気になるな、僧侶」

僧侶「そ、そんなんじゃないもんっ//」

騎士王「『みんな、ほんとにごめんね』」ニコッ


魔王「…おい、誰だ」シ゛ッ

魔法使い「?どうしたんです、魔王ちゃん」

騎士王「『…僕が、どうかしたかな、魔王?』」

魔王「…」


僧侶「あ、やっぱり魔王ちゃんも感じましたか?」

魔王「どういうことだ?」

僧侶「ふふ。さっき、勇者さまと話してたんですー。いっぱい寝たら、なんか大人っぽい雰囲気になったって!」


魔法使い「…あぁ、そういえばそんな気もしますね。というか、顔つきかわるほど寝るなんて、やはり先の逃走のせいでだいぶ疲れてたんじゃないですか?」

魔王「…どうなんだ」

騎士王「『先の逃走って、天空宮殿だよね?大丈夫、いまはすっかり元気だよ』」

魔王「…ふん、ただでさえ魔力値が壊滅的に少ないんだから、あんな無茶してたら身がもたないぞ」

騎士王「『心配してくれるの?ありがとう魔王、やさしいね!』」

魔王「…おまえはほんとに、駄目な勇者だ」

騎士王「『あ、あはは…』」


魔王「・・・さぁ、行こうか」


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<移動の道中>

テクテクテク・・・
騎士王(なぁ、あんな無茶って言ってたけど、何したんだ?)


勇者『あ、うん。天空宮殿っていう、上空3000mくらいの宮殿で捕まっちゃってね』

騎士王(あ、それは記憶にあるわ)

勇者『そうなんだ?で、あそこから飛び降りたんだよ、みんなで。それは覚えてないの?』


騎士王「…えっ!!」


僧侶「きゃっ!?」ビクッ

魔王「なんだ!?急にすっとんきょうな声をあげるな!」


騎士王「『ごめんっ!あ、なんかほら、急に顔に虫が落ちてきてっ』」

魔王「おまえ…虫って…仮にも勇者だろ…」ハァ

騎士王「『あ、あははは…ごめんなさい』」


騎士王(…す、すまん)

勇者『もう、あんま急に声出さないでよ・・・』


騎士王(いや、記憶の中の牢屋って…やばい高さだったから…)

勇者『あ、ぼく移動呪文がつかえるんだ…短距離だけど』

騎士王(短距離じゃ地面まで届かないだろ)

勇者『そうだねー。落ちながら、みんな抱えて移動呪文を連発するしかなかった』

騎士王(確かにそりゃ無茶だわ)


勇者『実際、魔力使いきっちゃって…着地は魔法使いまかせ。で、2日くらい意識なかったみたい』

騎士王(よく死ななかったわ。勇者が飛び降り自殺とかシャレになんねぇ)

勇者『う。面目ない…でも、ほんとに僕、魔力はゼンゼンなんだよね』


騎士王(勇者って、魔法と剣のエキスパートだと思ってた)

勇者『それは誤解だよ。剣とか体術なら自信あるけど…」

勇者『だから2000年も、君みたいに強い魔力もった後世に出会えなかったわけだし。君って突然変異だよ』

騎士王(突然変異っつーか、俺、魔物だしな。しかも魔法はつかえない)


騎士王「『…えっ!?』」


魔王「~~~っ今度はなんだ!!アリでも踏んだか!?」イラッ

騎士王「…や!そーじゃないって、ちょっと考え事!!」


魔法使い「…やはり今日の勇者さまは調子わるいんじゃないですか?」

僧侶「まだ日は高いですが、次の村で泊まっていくことにしましょうか」

騎士王「お、おう。俺もその方が助かるわ、そうしてくれる?」

僧侶「お、俺?」

魔王「…深刻だな。急いで宿を探しに向かおう」

騎士王「は、ははは…」


騎士王(おい!フォローしろよ!)

勇者『ま、魔物って…勇者が?魔物になる?2000年で何が起きるんだ?』


騎士王(…もういいや、宿についてから落ち着いて話することにしようぜ…)ハァ



--------


<小さな村の宿泊場>


魔法使い「じゃあ、私たちは食料の調達と聞き込みに行ってきますから…勇者様は寝ていてくださいね?」

僧侶「わたし、介抱しましょうか…?」


騎士王「『いや、心配かけてごめん。寝てるだけだから大丈夫だよ』」

魔王「なるべく早く戻るが、本当に大丈夫なんだな?」


騎士王「『あはは。一人で寝れなかったら、その時は添い寝してもらってもいい?』」

魔王「馬鹿か。…まぁ、そんだけ余裕あるなら大丈夫だな…じゃあ、行ってくる」

騎士王「『よろしくね、みんな』」フリフリ


僧侶「滋養にいいもの探してきますからねー」フリフリ

魔法使い「行ってきます」ペコリ

バタン

勇者『…さて』フゥ


騎士王(ようやく落ち着いて話できるわー)

勇者『それはこっちのセリフだよ!なんだよ、魔物って!僕、どうなっちゃうの!?』


騎士王(そう言われても。えっと…何から何まで話すとながいから、なんとなくまとめるぞ?)

勇者『うん…』

騎士王(俺は、二回前の人生で騎士だった。あの僧侶ちゃんにそっくりな姫のために、魔王討伐にいって、そr)

勇者『魔王討伐だって!?なんで君までそんなことを!!』


騎士王(…おい)イラ


勇者『あ、ごめん…でも魔王討伐なんて言うから…』

騎士王(いや、普通は勇者パーティに魔王いるほうがおかしいからね!?とにかく最後まで聞いて!?)

勇者『う、うん、ごめん。聞かせてください』


騎士王(えぇと、それで…魔王討伐に向かったんだけど、まぁ果たせずに死んだんだ)

騎士王(でも姫のことが気掛かりで、城のまわりをずっと魂のまま徘徊してて…)

騎士王(で、ある時、なんか好ましい気配を感じるようになって)

騎士王(その気配をずっと追っかけまくったら、魔王だったらしく、魔王の術で魔物の身体に魂がいれられたんだ)


勇者『…君、ストーカーみたいじゃない?』

騎士王(うるせぇ!)


勇者『でも…そっか。魔王は2000年後もいるんだね…きっと強くて素敵な王様になったんだろうなぁ…』

騎士王(…いや、あれは…それこそストーカーっつか…、監禁・束縛・洗脳・調教、なんでもありの真性サディストだけど…)

勇者『何故そうなった!?』

騎士王(それはまじで語るの長いから遠慮させて)


勇者『う…と、ところで、その魔王の相手っていうのが…』


勇者『その、もしかして、僕、だったりするのかな…?//』テレテレ

騎士王(ふざけんな吐くわ!!)テーブル ガンッ

勇者『え』


騎士王(俺んとこの魔王は男だ!!)ゲシッゲシッ

勇者『えっ、男の魔王?想像できないよ!ていうか、宿のテーブル設備を蹴り壊すのやめてよ!』

騎士王(くそっ、こんなことで魔王の気持ちがちょっとわかったのが悔しい!確かに気色悪い!死ねる!)バキッベキッ

勇者『ちょ、やめてやめて!』



・・・・・・・・
・・・・
・・・


騎士王(ふう)

勇者『はぁ…もういい?』

騎士王(おう。もうこれ以上壊せないし)

勇者『木製テーブルが木屑になる過程は衝撃的だったよ。君、強いねー』

騎士王(あ?まぁ、一応、その騎士のあとの人生で魔王の側近だったしな)

勇者『側近かぁ、いいなぁ…//』

騎士王(破っ!!)ガンッ

勇者『まって!ベッドがなくなるのは困る!』


騎士王(つか、なに。勇者は、あの女魔王が好きなの?)

勇者『う…うん//』

騎士王(・・・俺んとこの魔王は、魔法使いにそっくりな姫様に夢中なんだけど)

勇者『えっ、魔王が、魔法使いに!?』

騎士王(ちなみに俺は僧侶そっくりの姫と婚姻予約中だし)


勇者『…なんか、泣きそう』

騎士王(なんで!?どちらかといえばこっちのが自然だよ!?なんだよ魔王に懸想する勇者って!)


勇者『でも…。そっか、まぁ確かに魂には性別がないんだから、来世から先まで永遠に愛せるとは限らないよね』

騎士王(あ、そうなの?じゃあ女勇者とかもいたかもしれないんだ)

勇者『いたよ。勇者にはなれなかったけど、元気いっぱいの女の子祖先。君の4代くらい前だったかな。魔力はないし剣技もだめだったけど、口が達者でねー』

騎士王(あぁ…そういや2000年も見てきたって言ってたか…)


勇者『君が唯一まとまった魔力を持ってて……って。あれ、君、魔王に創られたって言った?創るってどうやるの?』

騎士王(得意技みたいなやつ。魔物はみんな魔王が自分の瘴気で創るんだってよ)

勇者『瘴気で!?じゃあ、君も瘴気で出来てるの!?』


騎士王(…なんか、めんどくせぇな。もういいや、オチからいこうぜ?俺に何してほしいんだ?)

勇者『…それは…っ』


勇者『……………魔王の心を、助けてほしい・・・お願いだ』



・・・・・・・
・・・・
・・


~~~
回復直後の夜で板自体の投稿者も多いだろう、という意見を聞き
今回は50コメを目安にキリのいいところで
少し休憩いれながら投下していくことにします。
30分くらいしたら再開予定です。
宜しくお願いします。 つ生キャラメル
~~~~


<夜宿の部屋>


騎士王「…お、おかえりなさい、みんな…ありがとうね」ニ、ニッコリ・・・


魔王「…なんか、ひきつってないか?」

騎士王「そんなことはないぞ!?」

魔王「・・・『ぞ』? 私みたいなしゃべり方をするな・・・からかってるのか?」フン


僧侶「…勇者さま、何かやっぱりあったんじゃないですか?それにこの、部屋中に散らばるウッドチップは一体?」

魔法使い「あら?この匂い、ひのきですね。神経を落ち着ける作用があるんですよね」

騎士王「そうなんだヨ。俺『僕!』…ッ、そう、僕、なんかちょっとアレなかんじで…はは、癒しサイコー」


魔法使い「…やっぱり天空宮殿から戻ったとき、頭うったせいですかね」ヒソヒソ

僧侶「…勇者さま…おいたわしいです…」ヒソヒソ

魔王「頭、やっぱりちゃんと見てもらったほうがいいんじゃないか?」


騎士王「頭…打ったの?俺?」

魔法使い「覚えてないんですか?」

騎士王「いや、魔法使いが着地に成功したと聞いた気が」

魔法使い「落着スピードおとしただけですよ。飛行魔法なんかつかえないですし」ハァ

騎士王「じゃあどうやって?」

僧侶「勇者さまが、下敷きになってくれましたよね?」


騎士王「うわぁ…同情するわ…」

魔王「は?」

騎士王「『で!でも、みんながぶじでよかったなぁって!!』」


騎士王(あ、またやっちゃった)

魔王「…いや、どうやら本当に、勇者が無事じゃなさそうだな…」

騎士王「…あー。そっかぁ、そのせいだったのかー(棒」

魔法使い「?」


勇者『騎士王、なにいうつもりなの?』

騎士王(まぁ、まかせとけって)


騎士王「いや、実はアレ以来、どうも前世の記憶みたいなのが蘇ったんだよね!」

僧侶「え?前世?」


勇者『ちょっ!』

騎士王(仕方ないって、木は森にかくせっつーだろ。僧侶はいいけど、魔王と魔法使いはぜったい違和感に気付いてるし)

勇者『そりゃそうだけど…なんで前世。嘘じゃないか!?』

騎士王(このあとの運命しってるから、やりなおすために未来からきた、なんて言えるか。つか言ってもいいけどだめなんだろ!)

勇者『過去がかわったら、余計どうなるかわからなくなって、ひどいことになるから絶対だめだ!』

騎士王(じゃあ前世ならいいじゃん!嘘も方便、ちょっとくらい妙でも、勇者なんだからってことで無理に納得させられるような言い訳が必要だって)

騎士王(このままじゃ他人のなりすましと思われて、疑われてバレるのがオチだって)


勇者『う…君、すごい度胸あるね…』

騎士王(お前のキャラに付き合わされる身になれ)

勇者『し、仕方ない。みんなにその方向で話をしよう』ハァ


魔王「前世の記憶だと…?とても信じられないが、なにしろ勇者だしな…」ウウム

魔法使い「まぁ、確かに、勇者さまはおかしいですし、ありえてしまったとしか考えられないですね…」


騎士王「は、ははは…」

騎士王「そ、それでさ。たまになんか、僕も影響うけて、その前世みたいになっちゃうっていうか…」

僧侶「勇者さま、大丈夫なんですか?」


騎士王「大丈夫!!なんかほら、勇者パワー2倍みたいな!?」

僧侶「ゆ、勇者パワー?」

騎士王「と、とにかく平気っ」ハハハ


僧侶「はぁ…それならいいですが…」

魔王「…何か、よくない異変があれば、言え」

騎士王「ありがとな、魔王」


騎士王「あ、そうだ。そういやこの旅の目的って?」


勇者『ちょっ、それはあとで僕が、説明するから!』

騎士王(あっ)


魔法使い「…」
魔王「…」
僧侶「…ゆうしゃさま…」


騎士王「あ、じゃ、なくて、えっと、そ、そう!目的地までの距離!距離をみたいんだけど!地図みていいかな!」


魔法使い「…」
魔王「…」
僧侶「…う、うう。勇者さま・・・」グスン


勇者『あぁ…もう…』ガックリ

騎士王(なにこの空気。今のフォローの何がおかしかったんだ…?)

勇者『僕たちは女神を探してて…どこに向かうかは当てがないんだよ…』

騎士王(え、まじか)

勇者『この空気で冗談いえるの君くらいだって…天空宮殿にも、女神探しに行ったんだけど居なかったんだ…』ハァ

騎士王(そんなのわかるかよ…。あー、もう。どうにでもなれ!)


騎士王「あー、ほら。なんか記憶がいろいろ追加されたから、昔と今で地図かわってるかなっておもってさ!もしかしたらわかるかもって気がしてつい、って意味だよ!」

僧侶「あ、そうだったんですか」ホッ

魔王「なんだ。しかし、そんな仔細な記憶まで蘇ってるなんてすごいな」

魔法使い「…」ジー


騎士王「まぁほら、ほら!とりあえず見せて見せて!」ガサガサ


ジー

勇者『どう?君の時代…2000年後と比べて』

騎士王(全体的には似てるけど、まったくちがうな。つかこの、魔王領はわかるけど…聖王領と、中立領ってのは?)

勇者『僕たちは聖王領の出身で、魔王のいた魔王領をめざして冒険にでたんだ。夜にでも詳しく話すよ』

勇者『で、中立領ってのは、魔王領と聖王領の間にある、まさに中立的な領地。ほら、真ん中におおきな泉があるでしょ』

勇者『人間と魔族でなにかあると、ここに集まって話し合いをする。ここでは何故かそれぞれの力が失われるから、中立領としてお互いが放棄した土地なんだ』


騎士王(俺の時代にはここは普通に草原になってるし、力にも異変は起きないぞ)

勇者『え?じゃあどうやって魔族と人間は交流を計るの?』

騎士王(いや、普通に訪問したり…まぁ、伝書とばしたり…)


勇者『すごいな。魔族と人間は仲良くなってるんだね』

騎士王(いや、ついこないだも、魔王が人間の姫を誘拐したとかの事件になって大変だった。つか、そういうときしか連絡しないし)

勇者『…魔王が誘拐?』

騎士王(いや、ちょっとした事故だったんだけどね)

勇者『ま、まぁそれもまた夜にでも聞くよ。とにかく中立領が無くなっちゃうのか…』

騎士王(まぁ、怪しいとしたらここじゃね?)

勇者『うん、少なくとも他には大きな変化がないのなら、行ってみる価値はあるかな』


騎士王「よし!」グッ

魔王「どうした、なにかわかったか?」

騎士王「うん、中立領にいこう」

僧侶「中立領ですか?どうしてです?」

騎士王「あ…ええと…」

騎士王(2000年後には無くなってるとか言えない)


魔法使い「…いいんじゃないですか?」

騎士王「え?」

魔法使い「いえ、明確な目的地も特にない以上、勘も大事かと」

魔王「ふむ。まぁ確かにな」


騎士王「じゃあ取りあえず向かおう。現在地はどこだ?」


魔法使い「…」
魔王「…」
僧侶「…ゆうしゃさま、ゆうしゃさま、ゆうしゃさまぁ・・・」グスグス


勇者『…やっぱり…もうしゃべるのやめて』

騎士王(ほんとごめん)



・・・・・・
・・・・
・・・


<中立領まで700km町ちかくの街道>


騎士王「ハァ…意外と遠いなー。今夜はこの先の町に泊まる?」

魔法使い「はい、そうしましょう」


魔王「勇者の記憶も安定しないみたいだし、いつも以上に疲労感が…」ハァ

騎士王「ははは…」


騎士王「あ、そういやドラゴンは?あいつに乗れば、はやいんじゃないの?」

魔法使い「いえ…、やはりまだまだ回復には時間がかかりそうですね」

騎士王「回復?」

魔法使い「…。もう別人として扱ってほしいんですか?」

騎士王「は、はは…その方が意外に助かるかも…なんて」


ゴソゴソ
?「ぴっ!!」

騎士王「うわっ、蟲!?」

魔法使い「蟲って!ひどすぎませんか!?いまやドラゴンちゃんは立派な仲間ですよ!!」

騎士王「えっ、ドラゴン!?こいつが?!」

僧侶「…天空宮殿に突入する際に負傷した翼がおもったよりひどくて…自分で回復してるみたいですが、とにかく魔力が足りなくて」

僧侶「少ない魔力を回復に当てるために、自ら幼体化したんですよ?」

騎士王「へぇ…、じゃなくて、そうだったな!」

魔王「…」ハァ


騎士王「てか、怪我してんなら僧侶が回復魔法かければいいんじゃないか?」

魔法使い「散々やったじゃないですか」

僧侶「私の回復魔法は、ドラゴンには効かなかったんです。ドラゴンは魔族にちかいから、僕たちの魔力とは性質がちがうのかもねって、勇者さまが言ったんですよ?」

騎士王「そ、そうだったね」


騎士王「ん?じゃあ魔王が回復してやれば?」

魔王「嫌味ならもっと嫌味らしく言えっ!」

騎士王「へ?」

僧侶「ま、魔王ちゃんは魔力制御が全然できないんですよ!?回復魔法なんて無理にきまってるじゃないですか!」

魔王「お前もなかなか酷いぞ・・・」

騎士王「そ、そうなのか?じゃなくて、そうだったね!」

魔法使い「頭が…痛くなってきました…」ハァ


騎士王「んー。…でもドラゴンの翼ないと…流石に遠すぎるぞ。ちょっと俺がやってみていい?」


僧侶「え?勇者さまが?回復魔法を?」

騎士王「いや、さすがに魔法なんて使えないけど…、基本は魔力不足なんだから、魔力さえ送れば自分で回復できるんだよな?」

僧侶「それはそうですが…」


騎士王「おら。こっちこい、蟲…じゃない、ドラゴン」ヒョイ

幼ドラゴン「ぴぃ?」


騎士王「口、開けてみ」チョッチョ

幼ドラゴン「ぴぁー」アーン


指ズボッ
幼ドラゴン「ぴっ!?」ビックリ


騎士王「我慢我慢っと」

騎士王(えっと…つまり転送陣に魔力入れるときみたいに…流せばいいんじゃねーかな…っと)


キーン・・・
騎士王「お、やった。入るはいる。よし、量増やしてくぞー」

幼ドラゴン「ぴっぴー♪」

キーンシュゥゥゥゥ
幼ドラゴン「ぴぴっぴいっー。ぴぴっ・・・、ぴぃ、ピピィ?」モゴゴゴ

キーーーーーーーーン・・・
騎士王「暴れんなー?」

幼ドラゴン「ピ!?ピイッ!ピピィッ!!ピピピピピp!!!」バタバタ

魔法使い「…えっ?ちょ、勇者さま。やめ…」


ヒュ… ドバンッ!!!!!!


騎士王「」ビックリ


僧侶「ど、ドラゴンちゃんが、急に原形サイズに…?!」

魔法使い「あぁ…ありえないです。魔力がキャパオーバーだそうです…」クラッ

幼ドラゴン「ピィ…」グッタリ


僧侶「ドラゴンが目を回すほどの魔力って…」

魔王「勇者、おまえ…ほんとにどうなってんだ…?」


騎士王「あ、あはははは…」

勇者『・・・』

・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・


<夜営テント>


騎士王「で、こうなると」


僧侶「ドラゴンちゃんがこのサイズで倒れてるのに、町にいけるわけないじゃないですか」

魔法使い「はぁ、ようやくちゃんと風呂に入れる生活になった矢先に…」

騎士王「お、俺のせいかよ!?」


魔法使い「いえ。ドラゴンちゃんの回復は本当にありがたいんですけどね。でも理由はちゃんと説明してください」

僧侶「勇者さま、魔力なんて私の半分ももってなかったですよね…?」

騎士王「あ、それは…その、ほら。前世の勇者の記憶と共に・・・」


僧侶「あれ・・・、では、魔法ももっと使えるようになったんですか?」

騎士王「あ、そういえばそれはどうなんだろう。気になるな、試しにやってみるか」


勇者『僕は元々、移動魔法くらいしかつかえないよ』

騎士王(じゃあ、移動魔法ためしてみよう。どうやるんだ?)

勇者『一緒に送る対象に触れて、行きたい場所を決めるんだ。で、移動魔法と唱えれば…でもそれは』

騎士王「よし」パシッ


騎士王「移動魔法!」


キンッ・・・



--------------


<魔王城玉座>


・・・キンッ


スタッスタタッ!
魔王「なっ!?」

魔法使い「ここは…」

僧侶「魔王…城…?」キョロキョロ

騎士王「おぉ!すげぇ、できた!これは超便利だな!」オオー!


スパコーン!!
騎士王「いてぇ!」


魔王「せっかく中立領まで700kmだったのに、遠くに来てどうする!」

騎士王「うっ」


魔法使い「…まぁ、結果オーライじゃないですか?」

魔法使い「魔王城ならドラゴンちゃんも収容できますし、私たちも安心して就寝できますし。お風呂もはいれますよ」

僧侶「す、すごいですね、勇者さま…。3000kmくらいの距離ですよ…!」

騎士王「え」


勇者『…よかった』ホッ

騎士王(な、なにが?)

勇者『うん、行きたい場所を決めろっていったでしょ?』

勇者『下手したら、みんなつれて2000年後に行っちゃうんじゃないかって思って止めたつもりだったから…』

騎士王(げっ)


勇者『多分、魔王城がこっちにもあったから、近い方が優先されたんだろうね。この時代にない場所を想像してたら…』

騎士王(あ、あぶなかった。移動魔法は危険だ。使うのやめとこう)


魔法使い「はぁ…」

僧侶「一体、勇者さまはどうしちゃったんでしょうね?」


騎士王「あ、あはは…まぁ、ちょっとした力加減の間違い…みたいな?」

魔法使い「充分怖いですよ。攻撃魔法とか使えない勇者さまでよかったです、ほんとに…」

騎士王「ちょ、でもなんか、さすがにこんな一日で魔力つかうなんて経験ないから…あ、あれ?」
フラッ・・・バタン


僧侶「ちょっ!勇者さま!?勇者さま!」ガックガック

魔王「ドラゴンだけじゃなく、勇者まで目を回すとは…」ヤレヤレ

魔法使い「ほんとに、着いたのが魔王城でよかったですね…」ハァ



・・・・・・・・
・・・・・
・・・

-------------


…これは…夢?


勇者「僧侶、魔法使い。僕と一緒に、魔王討伐にいってくれる?」


あ。勇者の、記憶か…。


勇者「魔王!!覚悟しろ!お前を倒しに来た!!」

へへ。
なんだ、ちゃんと勇者らしく魔王討伐すんじゃないか。やっぱあの勇者は変だもんな…


魔王「待っていた…さぁ、殺せ」

勇者「!?」


なんだ…これ?
なんだ、殺せって。普通、やれるもんならやってみろとかいうとこだろ…やっぱ、夢かな…変な夢だな…


魔王「私は不完全な…欠陥のある魔王だ」


魔王「戦いが嫌い」

魔王「戦争がきらい」

魔王「魔力ばかりあるのに、制御ができない。魔力がたまりすぎて暴発する」

魔王「全力で壊すしか、能がない」


魔王「だからこそ、魔王なのかもしれないが…」

魔王「ずっと、ここから見ていた。勇者が来るのを待っていた」


魔王「勇者に殺される時を待っていたのだ…ッ」



魔王…なんか、あぁ。やっぱり同じ魂なんだな。
そっくりだ。なんかあいつと同じだ…偉そうにしてるのに…
淋しそうで、悲しそうで…なんとかしてやりたくなるんだよな…


勇者「僕が…勇者が、君を、魔王をたすけてあげる…。僕が、君を救う!」


ははは。
最終決戦でソレかよ…何しに来たんだよ、ほんと。


魔王「私は…魔力の過剰蓄積と暴走がある。ここから離れていられないんだ」

魔王「定期的に魔力の発散をしないといけないが…ここを出て魔力を放つと、攻撃と判断されて戦争になりそうになる…」

魔王「かといって、魔王業は、もうしたくないんだ。例え相手が人とはいえ…最期には破壊するだけの自分が、嫌いなんだ…」



勇者「…僕たちと、旅に出よう」

魔王「…聞いていなかったのか?私はここからは…」

勇者「廃業にむけて、残る魔物の説得と討伐をしよう…旅にでよう」


勇者「魔力がたまりそうになったらここに戻ってくればいい。発散してまた出掛けよう」

勇者「女神なら…そうだ。そうだよ!信託を授けた女神さまなら、魔王を開放してあげられるかもしれない!」

魔王「勇者」


勇者「僕に助けさせて。僕は真の平和を願う勇者だ。例え魔王でも、こんな泣き出しそうな女の子を犠牲にたてるなんていやだ!」


勇者「女神をさがしに、一緒に行こう、魔王!」


・・・・・・・
・・・・
・・


--------------


<魔王城勇者の寝室>


騎士王「…。あ。…あれ?」


騎士王「夢じゃ、ないのか。あいつの・・・勇者の、記憶?」

勇者『…そうだよ』


勇者『君の中にある、魔力がよわまって…一時的に、僕の魂が強く出てきたんだね』

騎士王「え。魔力なかったら困るんじゃ。魔力ほしいから2000年も待ってたんだろ?」

勇者『大丈夫。魔力ってのは使いきってそのままなんてことない。素体のキャパ自体が重要なんだ。君は魔物でここは魔王城だから、ゆっくり休めばきっとすぐ回復するよ』

騎士王「そっか」

勇者『…僕のこと、わかってくれた?』

騎士王「ああ。ありゃ、助けたくもなるわ」


勇者『……うん』

騎士王「よし、女神だな。回復したら中立領まで一気に行こう」

勇者『え、でもそれは』

騎士王「お前が移動魔法つかえばいいだろ」

勇者『いいの?』


騎士王「いまさら遠慮とかありえないだろ。俺じゃ出来ないんだし、何のために俺を無理矢理連れてきたんだよ」ハァ

勇者『ご、ごめん』


騎士王「ばかか。…自分の身体みたいなもんなんだろ。使えるもんはちゃんと使え」

勇者『うん。ありがとう騎士王』

騎士王「けっ」



・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


<翌朝>

魔王「体調はどうだ?」


騎士王「『んー、魔力はまだ完全に戻ってないかも。でも明日には充分だとおもうよ』」

魔王「じゃあ今夜も泊まって、明日また出よう」


騎士王「『魔王、魔力もちゃんと発散しときなね』」

魔王「あぁ…そう、だな」


魔王「おまえ、・・・すごいな」

騎士王「『え?』」


魔王「どういうわけか知らないが、いきなりそんな魔力手に入れて…ちゃんと、使えるんだもんな」

騎士王「『魔王』」


魔王「私は駄目だ。生まれつきの魔力なのに。馬鹿みたいに発散するだけ。何の役にも立たない」

騎士王「『そんなことないよ。魔王の剣技はすごいじゃないか』」

魔王「魔王として、強くあるために鍛えただけだ。魔力さえ使えれば必要なかった」

騎士王「『そんな…』」


バタバタバタッ

僧侶「魔王ちゃん!」

魔王「!?」


僧侶「大変なの!魔物たちが…!」



「「ガァオァァァァァ!!役立たずの魔王を殺せ!殺せ!」」
「「俺たちの新たなる王を!!王を!!」」



騎士王「『なっ!?』」


魔王「はは。裏切りか。当然だな、勇者に連れられ亡命したあげく、勇者を引き連れておめおめ戻ってきたんだ…いや、違うな」


魔王「最初から、私は歓迎されてなかった。…次代の魔王を望むのは当たり前だ…」

騎士王「『そんな!く、そうか・・・魔王城に戻ったことで、歴史が・・・』」


魔王「やっぱり私は死ぬべきだな。勇者がしなくても、あれだけの魔物がいれば死ぬのは簡単だろう。…手間が省けたな、勇者」ククク


騎士王「『させない・・・』」

魔王「?」


騎士王「『魔王は、勇者が殺させない。何千、何万と魔物がきても僕は君を守るよ』」

魔王「無茶を、いうな。実際、この感じだと集まってるかもしれんぞ」ククク


騎士王「『大丈夫。僕を信じて?』」


騎士王「『君は必ず、僕が救ってみせるって…、そう、決めたからここに戻ってきたんだ』」

魔王「…勇者?」


騎士王「『魔王は、ここにいて。…大丈夫だから。みんなも、魔王を守っててあげて?』」


勇者『騎士王、いいかい?』

騎士王(あぁ…、俺の力、見せてやるよ)


勇者『ふふ。2000年経ってれば、僕もまだまだ強くなってるのかな』

騎士王(け。元魔王の側近だぜ?勇者なんかに負けねぇよ)

騎士王「『クスクス』」


僧侶(勇者さま…笑ってる…?こんな、大軍の敵を前にして…?)


騎士王「行くぞ…」スッ・・・

勇者『ああ』

騎士王「…」シュッ


魔法使い「…!消えた!?」


魔王「違う!飛び出したんだ!!なんだあの速さは!!追えるか!?」

魔法使い「無理です!目に見えないものを追える訳ない!水晶で映します!」

魔王「…!!なんなんだ、勇者…どうなってる…!?」


僧侶(…勇者…さま…?)


~~~~

<水晶>

ゴーレム「ッガァァァァッ!!」

騎士王「…はぁっ!」ジャキンッ!!

ゴーレム「」

ゴーレム2「!?ゥガァァ!!」

騎士王「…!」ザンッ!!

ゴーレム2「」

騎士王「・・・」シュタタタタ

~~~~~~~


魔王「な…!防御力に長けたゴーレムを2体連続で一閃だと!?」

魔法使い「…っ、私の魔法じゃ、水晶でも勇者の動きを追いきれない…!」

魔王「…バカな…通路中に魔物がいるんだぞ!?通り抜ける事すら不可能だ!」

魔法使い「…だって…!そんなこといったって…!」

魔王「…全て、斬り倒しているというのか…あの速さで…疾走しながら…?」

魔法使い「…駄目、です…見失いました…」


僧侶「…!!こっち!」ガタッ

魔王「窓だと!?もう外まで出たというのか!?」


僧侶「あ…これ、は…?」

魔王「!!」



----------


黒。
蠢く、大地。

違う、これじゃあ…まるで、そう、海だ。魔物の海。魔物の津波。

大地に隙なく押し寄せる、魔物の大軍が…大軍?違う。

軍ですらない。これはただの魔物の絨毯。
わからない。こんなの、知らない。

言葉がでない。
語彙が消えてしまったよう。

悪夢。
そう、見た者にしか表現できない、あのなんとも恐ろしい悪夢が目の前にあるとしか言えない。

でも、違う…。
恐ろしいのは、怖いのは…この大量の魔物じゃ、ない。


海が割れる。
彼の一振りで。

波が崩れる。
彼の跳躍で。

荒々しく波打つ海面に、
波紋が広がるなんて、知らなかった。

波紋じゃない。
わかってる。そんなのはわかってる。

彼が踊る。弧を描く。
そこに円が残る。
次の瞬間にはまた埋まる。
それを、つまらなげに、悲しげに、塗り潰す。


ああ、もう。
なんなのだろう、これは。

戦闘ではない。
こんなものが戦闘なわけがない。
これが戦闘であってはならない。

ああ、うるさい。
心臓が、こんなにうるさい。

咆哮があんなに聞こえているのに。
地響きはこんなに私を震わせるのに。

時が止まる。
彼が轟音を切り裂いていく。
彼が全てを呑み込んでいく。

彼が。
あの小さな一点が。

線になり、輪になる。
延びる。膨らむ。
溶けて、消えて、また光る。


止まれ。
止まって。

うるさいから。この心臓が、いまはすごく邪魔だから。
いまはただ、彼の声を、聞かせて欲しいのに。


ああ。
見えない。
彼が見えない。

沈んでしまったのかな。
私は、あの波に飲まれてしまったのかな。

ああ、やっぱり、これは海なんだ。

だって、目の前に溢れて、口に流れ込むこの水は、

こんなにも、しょっぱいんだから。


・・・・・・
・・・・
・・

-----------


<魔王城 城門前大庭園>


騎士王「ちっ!キリがねぇ!!」スチャッ ザンッ!!


勇者『跳ぶよ!!』

騎士王「ちっ、空まで埋まり出したか!!」


勇者『でかいのはワイバーン、キマイラ、ガーゴイル!!…な、サキュバスにハーピー!?…くっ、羽持ちならばなんでもいいとでもいうのかっ。戦闘向きでもないだろうに!』

騎士王「埋まりすぎて、歩いてちゃ近づけないってかぁ!?」シュバンッ!!

勇者『これじゃ文字どおり総力戦だ!魔物を全て集めたとでもいうのか!』


ワーウルフ「ウガァ!!」

騎士王「ちっ!飛んでるわけじゃねーんだ!着地点にいたら踏んづけるぞこの馬鹿犬!!」ジャキンッ ザクッ


勇者『騎士王が、馬鹿とかいうからっ馬が来たじゃないか!!』

ケンタウルス「ハァッ!!」シュパッ シュパッ!!

騎士王「どうせ来るなら鹿も呼んでこい三下ぁッ!!」シュピンッ


勇者『騎士王!上だ!』

騎士王「ちっ!随分高いとこに…高みの見物決め込む気かっ!」

キマイラ「…ギャァギャァァァ!!」ゴワァッッ!!

騎士王「炎じゃ狙われる!!もっかい跳ぶk…!?」グリュッ

勇者『脚が!』

クラーケン「…」ニョロニョロ


騎士王「!?イカなんかどうやって連れてきた!自殺なら海でやってろこのタコ!」

勇者『イカだよ!』


キマイラ「ギャァァ!!」シュゴワァァァ!!

騎士王「チッ…こんの…」グッ

クラーケン「!?」ニョロ

騎士王「イカでも焼いて食らえ!!」ドシャァッ


キマイラ「ギャウッ!!」
クラーケン「…!」ボワッ

勇者『…意外にいい匂い』

騎士王「馬鹿かっ!次!」


勇者『下より空が厄介だよ!!』

サイクロプス群「ぅが、が、はぁぁぁ!!」

騎士王「あぁ!?群れなきゃ視野角足りねぇのか?!っハァッ!」シュババン!!


勇者『騎士王、よく毎回突っ込めるね…』

騎士王「こんな大掃除、そうでもしなきゃやってらんねーんだよ!今度こそ跳ぶぞ!」シュ、タン!!


勇者『…まさかの魔物全頭退治か…くっ、出来るだけ残してやりたいんだけど…!』

騎士王「…チッ!俺だって魔物なんだぞ!やれるならとっくにそうしてる!」ザンッ!


騎士王「はぁぁぁっ!!」バン!
ダッ!ザンッ、シュッ!ザクン!


騎士王「ちっ、こんな高いとこまで来させやがって!落として潰すつもりだったのかぁ!? っ移動魔法!」

キンッ


シュタン!!

エルフ「!? ヤァァァッ!!」チャキッ

勇者『…!非戦闘主義のエルフまで…っ!?』

騎士王「あの馬鹿女…こんなになるまで魔王業放置しやがって…!」ザクッ!!


騎士王「ふざけんな!ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」シュッ
ヒュンヒュンヒュン!! ザザザザザクッ!!


・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


-------------


<魔王城 城内>


魔法使い「…これが、勇者…?こんな…こんな…目に見える程の悲しさを放つのが…本当に勇者の力なの…?」

僧侶「勇者さま…っ!」ポロポロ

魔王「っ…勇者…、勇者…もういい、もう、いいから…っ」


-もう、泣きながら、剣を振るわなくていいから…-


・・・・・
・・・
・・

・・・・・
・・・
・・


騎士王「『…ただいま』」


魔王「勇者!!」

騎士王「『…ごめん、魔王。…魔物、みんなやっつけちゃった…。君の味方なのに。君の、仲間なのに…』」

魔王「勇者、勇者!!」


騎士王「『僕は、どこが勇者なんだろう?君から全て奪ってばかりだ。ごめん、本当に…ごめんね…』」


魔王「勇者…そんなの、そんなの、おまえが謝るようなことじゃ…」

僧侶「勇者さまぁ…っ」

魔法使い「…っ」


騎士王「『魔王、行こう?女神のとこに。これ以上、歴史を変えては…間に合わなくなるかもしれないから』」

魔王「勇者…?なに、言って・・・」


騎士王「『…ただいま』」


魔王「勇者!!」

騎士王「『…ごめん、魔王。…魔物、みんなやっつけちゃった…。君の味方なのに。君の、仲間なのに…』」

魔王「勇者、勇者!!」


騎士王「『僕は、どこが勇者なんだろう?君から全て奪ってばかりだ。ごめん、本当に…ごめんね…』」


魔王「勇者…そんなの、そんなの、おまえが謝るようなことじゃ…」

僧侶「勇者さまぁ…っ」

魔法使い「…っ」


騎士王「『魔王、行こう?女神のとこに。これ以上、歴史を変えては…間に合わなくなるかもしれないから』」

魔王「勇者…?なに、言って・・・」


騎士王「『ドラゴンは…置いていこう。他にだれもいない、留守番しててくれる?』」

ドラゴン「ピィ…」

騎士王「『うん。いってくる。みんなも、いいね?』」


僧侶「勇者さま、大丈夫なんですか?」

騎士王「『さっきの戦闘で興奮したせいかな。血が滾って、魔力も溜まってる。溢れそうだ』」

僧侶「そうじゃなくて…」


騎士王「『…大丈夫。それに…今いかなくちゃ、僕の全てが、無駄になるかもしれないんだ』」


騎士王「『行こう、みんな。…移動魔法、…女神の、元へ』」



・・・キンッ

----------


<水中>

キンッ・・・


パシャッ…
魔法使い「…ここは…」

僧侶「水の、中?どうやって…」

騎士王「『…中立領の、泉の中央、だよ』」

魔王「なっ」


騎士王「『…女神のいる、場所だ』」


パアッ…


魔王「!?」

女神「…」

騎士王「『女神』」


女神「…。勇者、魔王、そして人の子。どうやってここへ?」

騎士王「『今は関係ない』」


女神「…」

魔法使い「…っ。なに、力が…」

騎士王「『女神。やめてくれ』」


女神「…私が、何を?」

騎士王「『お前から何かの気を感じる。ここが中立と呼ばれるのは女神の仕業だろう』」

女神「…何か、証拠でも?」

騎士王「『女神がいない時、ここは中立じゃないから。証拠なら、それで充分だ』」


女神「…何者」

騎士王「『…勇者だよ。本当に』」

女神「…いいでしょう」

僧侶「あ…?楽に、なった…」


女神「…あなたたち、何をしにきたのです」

騎士王「『魔王を解放してほしい』」


女神「…何を、馬鹿なことを」

騎士王「『本気だよ。その為だけに、ここまで来たんだ』」

女神「…そうだとしても、それは無理です」


魔王「なっ」

僧侶「どうしてですか!?」

魔法使い「…っ」


女神「…あなたたち、魔王と勇者が何のために創られたか知っていますか?」

僧侶「魔王と、勇者が、創られた…?」


女神「そう」

騎士王「『…』」


女神「…愚かな子。帰りなさい」

騎士王「『帰らない』」


女神「…説明してあげる義理はありませんよ」

騎士王「『…そうか。歴史が変わったのかな。前は、教えてくれたのに』」


女神「?あなた…」

騎士王「『いいよ。魔王と勇者は、この世界を美しく創るための神様の道具だと、言うんだよね?』」


女神「…知っているのなら、なおさら必要ありませんね。解っているなら帰りなさい」

女神「…魔王廃業?…ありえないんですよ、馬鹿馬鹿しい…」


魔王「な、なんで…」

魔法使い「どういうことですか?」

僧侶「勇者さま、何か知ってるならおしえてください!」

騎士王「『…』」


女神「…騒がしいですね。いいでしょう。わからず屋の駄々をこねる子でもわかるように…教えてあげましょう」


女神「勇者と魔王は、太陽と月」

女神「どちらもなくなっては世界が回らない。維持ができない」

女神「太陽がなければ生物は存在できず、月がなければ生物は依り代をうしなう」

女神「世界を綺麗に創るため…うまくまわすための道具。それがあなたたち勇者と魔王」


僧侶「…どういう、こと…?」

女神「…粘土くらい、触ったことがあるでしょうか。あれに似ていますね」

魔法使い「…?」


女神「いびつな長方形の粘土を綺麗に丸めるのには、右手と左手で包んで転がすでしょう?」

女神「片手の上だけで振り回して転がしていると円錐形になってしまったりします。それと、同じです」

女神「勇者か魔王…どちらか片方がなくなったりしたら…まさに世界は回らず、破滅しますよ」

女神「クス…まぁ魔王的にはいいのかもしれませんが、さすがに神としては見過ごせない事態・・・」

女神「それを私が助ける?ありえないことです」


魔法使い「そんな…そんな」

魔王「女神なら…っておもってたのに…私は…」


騎士王「『でも。両方なくなったら、いいんだよね?』」

魔王「勇者!?」

女神「は?…何を」


騎士王「『僕たちは、世界を1から創るのに、美しい丸にするための道具だったはずだ』」

騎士王「『世界は、もう丸い。僕たちはもう居なくても、世界は廻れるんだろう?』」


女神「…そこまで知っているとは。驚きましたよ。確かに、そうですね。廻るのは回るし、これだけ育てばまぁ大丈夫でしょう」

女神「あなたたちが『同時』に死ぬならば、問題はおきない…でしょうね」


騎士王「『魔王、じゃあ一緒に死のうか?』」

騎士王「『僕も死ねば、解決だ。お互いに殺しあおう。ぼくたちは勇者と魔王だ』」


魔王「いや、それは・・・」グ

魔王「…巻き込めない。私が我慢すればいいんだ。私だけ死ねば、次代の魔王まで私みたいな出来損ないなんとことないだろう」

騎士王「『うん、でも魔王はもう我慢につかれたんだよね?ごめんね。ぼくのせいだ』」


騎士王「『僕は勝手に魔王を殺しにいった。魔王は死の瞬間をずっとプレッシャーに感じて…』」

騎士王「『でも、抗わず、殺されようとした。覚悟をきちんとしてた』」


騎士王「『でもそれをさせなかったのは僕。それで、たくさんの期待をもたせたよね』」

騎士王「『期待させて、期待させて。それを、また崩したのは僕だ。出来もしないことを高望みした』」

騎士王「『…それに、これは僕も予定外で軽率だったのだけど…もう、後戻りできなくなってしまった。やはり歴史は変えるべきじゃなかったんだ…』」


女神「…勇者、あなたはもしや…」

騎士王「『女神。止めないで』」

女神「…」


騎士王「『…魔王、僕は君の仲間を全て倒してしまった…。君を孤独にしてしまった』」

騎士王「『魔力を制御できない君が、どうやって次代の魔王を探すつもりなんだい?』」


魔王「そ、それは!でもあれは…!」


騎士王「『…僕を殺して。魔王はその権利がある。僕は君から奪った死を返すから。だから、一緒に死のう。役目を果たして、終えよう』」

騎士王「『開放してあげようよ、魂を』」

魔王「勇者…」


騎士王「『いくよ、魔王。最終決戦だ』」

騎士王「『ここなら女神が、僕たちの魂を拾ってくれる。僕たちはもう、勇者と魔王として生まれ変わらなくていいんだ』」


女神「…いいでしょう」

魔王「女神!?」

騎士王「『さぁ、構えて』」


魔王「だめ、だ。そんなの…そんなの…だめだぁぁぁっ」
ヒュゴッ バシュウゥッ シュババババババ!!!


騎士王「な!暴走!? ック・・・う、ああああああ!!!!」


・・・・・・・
・・・・
・・


~~~~~~~~~~~~~
・・・・・・
・・・・

勇者「」


僧侶「ゆ、うしゃ・・・様?」

勇者「」


女神「あらあら…これでは、魔王は死ねませんね。ふふ。失敗ですか。まぁ、元々がありえないことですから…」クスクス

魔王「いや、いやだ、いやだ勇者!」ガクガク


僧侶「魔王ちゃん!!なんで、なんで勇者様を!?こんなときまで暴走?!戦ってもないのに…勇者さまを…!? 許さないよ!」

魔法使い「僧侶、やめて。魔王ちゃんのせいじゃない。魔王ちゃんにもどうしようもないのはわかってるはず!」

僧侶「だからって!勇者さまが!魔王のために一緒に死のうとまでしてたのに!」

魔法使い「…僧侶」

僧侶「許さない!魔王、許さないんだからっ!返して!勇者さまを返して!!」


女神「…さぁ、帰りなさい。勇者が復活したならば、再挑戦を見届けてあげますよ。…まぁ、次代の勇者にもその気があれば、ですが。ふふ」

魔王「そんな、そんな、そんな…」


魔法使い「…魔王ちゃん、私といよう?私なら少しは魔力抵抗あるから、暴走しても死なない。止めて見せるから」

魔法使い「…だから、勇者の復活、まとう。待って、謝ろう。ありがとって伝えよう?」


僧侶「許さない!そんなの認めない!勇者さまは渡さない!」

魔法使い「…僧侶、ごめんね。ごめんね」


・・・・・・・・
・・・・
・・


<魔王城>

・・・・・
・・・


魔王「もう、もう、やっぱり私なんか…っ」

魔法使い「魔王ちゃん!大丈夫!大丈夫だから、自分を傷つけるのはもうやめて!!」

魔王「死なない。死ねないよ、魔法使い…あんなに簡単に勇者は殺せたのに…」

魔法使い「魔王ちゃん、もういいよ!もういいの!」

魔王「よくない。魔法使いも、もう帰れ。…私は、きっといつかお前のことも…」

魔法使い「魔王ちゃん…そんなこと、させないから…魔王ちゃんを残して、死なないから…」

魔王「わからない。わからないよ。私は…自分のことだって…信じられないのに…」

魔法使い「…魔王ちゃんっ、魔王ちゃんっ…!」



・・・・・
・・・
・・


<聖王領故郷の村>

僧侶「…魔王、か」


勇者の墓:…

僧侶「勇者さま…どうして、魔王を助けようとしたの…?」

僧侶「そのせいで、勇者さまは…」


勇者の墓:…

僧侶「うん、分かってる。魔王ちゃんは本当は悪くないんだって…」

僧侶「でも、でも…ね。ごめんね、勇者さま…」

僧侶「勇者さまを殺した…殺す原因を放置していた魔王を…やっぱり、許せないんだよ…」ウゥ


勇者の墓:…

僧侶「勇者さまは、望まないかもしれないけど…やっぱり、勇者さまを奪った魔王を許せないから…」

僧侶「私は、誓うよ。魔王を、倒すこと。倒すまでは憎み続ける。怨み続ける…」


勇者の墓:…

僧侶「でも…でも、勇者さま…ほんとは、したくない。そんなこと、したくないよ…っ」

僧侶「もう、わからない。私は…私は、どうしたらいいのか…どちらが本当の私なのか…わからないよ…っ」
ウワァァァァァン・・・


・・・・・・
・・・
・・


勇者魂『みん…な。ごめんね…あんだけ、大見得切ったのに…こんな簡単に、死んでしまうなんて…』

勇者魂『ああ。時間を戻せたら…。もっともっと、強くなれてたら…』


勇者魂『…はは。魔力にぶっとばされるんじゃ、いくら鍛えててもダメだったかな…』

勇者魂『魔力が、欲しいな…。魔王に負けないだけの…暴発に耐えられるだけの魔力が…』


勇者魂『…賭けて、見ようか』

勇者魂『いつか…いつか、魔力に秀でた素体に、魂が出会えるまで…このまま、僕自身を封印して…』

勇者魂『いつか、魔王を救いに…戻れるように…』

シュゥゥゥゥ・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


騎士王「っ!!??」グッ



ドゴォォォン!! バシュゥゥッゥゥゥゥ・・・ シュ・・・

騎士王「~~っ!?」ハァ、ハァ…


僧侶「勇者さま!!ご無事ですか!!」

魔法使い「魔力の暴発!よく直撃を受けて無事で居られました!偉いですよ!」


騎士王(なんだよ…なんだよ、いまの…)


勇者『・・・僕の、記憶。僕はこうして死んだんだ』

騎士王(なんでこんなもんみせた!?胸糞わるい!!)


勇者『見せる気はなかった。魔王の魔力をふせぐために、君自身が魔力を大量に使ったから…、また僕の魂が表にでてしまったみたいだ』

騎士王(ちっ…)


タタタタタタタ
僧侶「勇者さま!どこかお怪我は!!」

魔王「勇者!」


騎士王「魔王…」

魔王「また、また私は暴走して…と、取り返しつかないことをするとこだった…!やはり私は、こんな私なんかのために勇者を犠牲になんて…!」


騎士王「馬鹿野郎…!」ッチ


魔法使い「え?」

僧侶「勇者さま?」

魔王「勇者…」


騎士王「魔王!てめぇ、おまえがそんなだから、2000年後にあんな不幸がつづくんだってわかってるか!」

魔王「え、な?だ、だから…」


騎士王「勝手にきめんな!他人の意思を、巻き込むとか巻き込まれるとか、勝手に自分の手柄みたいにしてんじゃねぇよ!」

魔王「は!?」


騎士王「勇者てめぇ、あんな幸せそうにメイドちゃん見てる魔王を、あの存在を、消す気だったのか馬鹿野郎!」

魔王「ゆ、ゆう、しゃ?」


騎士王「あぁ、勇者だ!魔王のこともだ!まわりみろ!暴走すると戦争になる?!役立たず?!いない方がいい?!」

騎士王「ふざけんな!もうお前には仲間いんだろ!頼れよ!」


騎士王「なに一人でなんでもできて当たり前みたいな顔してんだよ!まぁそれはいいよ!魔王だから!でもそのくせ他人の顔色ばっかみてんのが気に入らねぇ!」

魔王「ちょ、勇者?」


騎士王「死ぬとか言う前に、魔王らしい解決策を自分で見つけろよ!おまえ魔王だろ!」

騎士王「自分勝手に巻き込むつもりでやれよ!お前も本物の馬鹿野郎か!くそっ感覚狂うんだよ!!」

騎士王「つか、おまえがそんな馬鹿だから、あいつがあんな馬鹿なんだ!あぁもう、魔王なら魔王らしくしてろよ!」


魔王「…」

魔法使い「…」

僧侶「…」


魔法使い「あ、ええと…」オロ・・・


魔法使い「そ、そうですよ!そうだったんです、魔王ちゃん!私がいます!私なら魔法と魔力の制御を少しは手伝えるかもしれません!」バッ

魔王「え、魔法使い…?」


魔法使い「私なら魔力抵抗もあるから、万が一魔王ちゃんの魔力が暴走しても死にません!」

魔法使い「今はまだ無理でも、魔法修業して絶対いつか止められるようになって見せます!生き残りの魔族や、次代の魔王も見つけられます!」

魔王「な、そんな。魔法使いの人生が…」


魔法使い「構いません。むしろそうさせてください!魔王ちゃんを一人になんかさせたくないのは私だって一緒なんです!」

魔王「でも、そんな。巻き込む訳には…」


魔法使い「もう、勇者様の話、きいてないんですか!?」

魔王「…あ…」

魔法使い「巻き込まれたりしてません、私の意思です!!」

魔王「でも…」

魔法使い「顔色みない!魔王でしょう!」


魔王「うっ…ほ、ほんとに…いてくれるのか…?私は、独りにならなくていいのか…?」

魔法使い「魔王ちゃんっ!?」

魔王「うっ」

魔法使い「…」ジー

魔王「だ、だって。いきなり、そんな、魔王らしくなんて…」


魔法使い「旅してる間は魔王らしくしてくれてたじゃないですか!それとも目的地についたらもう仲間でもなんでもないからしないと言うつもりですか!」

魔王「違う!逆だ!!ほんとに仲間なんだって思えた!嬉しいんだ!!だからこそ、そんなこと…」


魔法使い「魔王でしょう!魔族の頂点に立つ魔王の仲間って、つまり配下でしょう!?諦めて魔王らしくしなさい!」

魔王「なっ」

魔法使い「…どうなんですか!?」

魔王「っ…」


魔法使い「…」

魔王「あ…」ポロッ

魔法使い「え」

魔王「うっ」ボロボロ


魔法使い「ちょっ魔王ちゃん!?」

魔王「まって。まって。ちゃんと魔王らしくするから…だから、もういっかいだけ、聞かせてくれ…」ボロボロ

魔王「ほんとに…ほんとに、いいのか?魔法使いは、私のこと、仲間と思ってくれるの…?私、こんな駄目魔王だぞ…っ?」


魔法使い「…ハァ」

魔法使い「あぁ。そうですね。私の言い方が誤解の元ですね」

魔王「」ビクッ


魔法使い「魔王らしくしろと。仲間と思うなら配下だと。確かに、私が間違ってますね」

魔王「」ゴクッ


魔法使い「仲間だから、配下らしく言い直します」

魔法使い「魔王様、どうか私を供にお付けください。必ずや、お役にたって見せます」

魔王「…~~~っ!!」

魔王「っ…」コクコクコクッ


魔法使い「…」

魔王「ついてこい…っ、いつまでも私に、この魔王に、ついてこい、魔法使いっ!!」ワァァン

魔法使い「魔王ちゃん…」ギュッ


騎士王「へっ。やればできんじゃねぇか。やっぱ魔王は魔王らしくねえと気色わりぃんだよ!」


女神「勇者…」

女神「あなたは何者ですか」


女神「…勇者じゃ、ありませんね?」

------------


<女神の神殿>

女神「そう…未来から…」

女神「まぁ、勇者の魂があっちにあったなら、時空をもどるだけの魔力さえあれば、移動魔法がつかえるかもしれません…」

女神「ですが…この時代において、勇者は復活できないですよ」


僧侶「そんな!なんでですか?!」

女神「死んだから騎士王がこれて今があるのですし、騎士王がこなければもともと死んでたんですから。この因果は覆せません」


僧侶「納得できないです!」

魔王「そんな…私が、ほんとは殺してたなんて」

魔法使い「勇者…っ」


騎士王「『あはは。僕はべつにいいよ。2000年後、また魔王に会えるのが、わかってるから』」ニコッ

騎士王「『僕ね、後世で魔王の側近になるんだって。すごく楽しみができたよ!』」


騎士王「『さて。役目を果たしたことだし…騎士王、ありがとね』」

騎士王「おう…」


騎士王「『僕は死んで、君は勇者を引き継ぐ。そしたら、魔王に勝って平和条約を結ばせるんだってね。真の平和は2000年後と思うと少し、情けないけど。…ちゃんと勝ってね』」

騎士王「まぁ、魔王には勝つよ、勇者パワーあるならいけるだろ」フンッ

騎士王「『殺しちゃだめだよ?』」

騎士王「ったりまえだよ。大丈夫、メイドちゃんが泣くようなことできねーからな」

騎士王「『そっか。・・・安心して、君に僕の魂を任せられるなんてラッキーだな』」

騎士王「…」


騎士王「『ふふ。僕は勇者だ!この魂は世界に平和をもたらすものだ!』」


騎士王「『だから、みんな…、それまで、仲良く、がんばってね』」ニコ


魔王「あ、勇者…まって…。まて!まだ行くな!!」


騎士王「『ばいばい、魔王。またね』」

魔王「ゆう…っ」


騎士王「『…移動魔法、発動。2000年後の、魔王城へ…!』」


…キンッ


魔王「…勇者ぁぁぁっ!」
僧侶「勇者さまぁぁっ!!」

女神「…」


・・・・・・・
・・・・
・・


------------

区切りが良いので、一時、休憩をします。23時より再開します(たぶん)

竹井聖寿は在日鮮人です。皆さん、気づいて下さい。在日鮮人による無差別殺人テロ事件だらけです!!

<<真実が報道されていない凶悪犯罪 >>
氏名 おもな罪状
神作譲(帰化人 犯行時は小倉)足立コンクリート惨殺事件犯人 親は三郷在日部落の名主
都〇洋(在日 犯行時は別姓)同上犯人。現在、在日暴力団極東会構成員
和田真一郎(帰化人)早稲田大サークル「スーパーフリー」による集団婦女暴行事件主犯
林真須美(帰化人)和歌山毒入りカレー犯人 4人毒殺 63人が負傷。
麻原彰晃 オウム真理教教祖 父親が朝鮮籍。サリンを撒き無差別殺人。坂本弁護士一家惨殺
織原誠二(在日 金聖鐘)英国人ルーシー・ブラックマンさん殺害犯
李昇一(在日)「ガキの使い」騙り140人以上の女性をレイプした強姦魔
金保(在日 通名は永田保)多くの少女を強姦した鬼畜牧師。朝日新聞は通名のみで報道
酒鬼薔薇聖斗(在日 通名は東慎一郎)神戸の土師淳君の首を切断。生首を校門に飾る。2人殺害
金弁植(韓国籍)韓国の強姦犯で指名手配中に逃亡目的で来日。日本で主婦100名以上をレイプ
李東逸(韓国籍)檀国大学教授。芝居観覧のため来日中、東京で日本人女優Nを強姦
金大根(在日)強姦魔 連続児童虐待暴行殺人。6名の女児が死亡
沈週一(在日)各地でベランダから女性の部屋へ侵入し9人を強姦
張今朝(在日)長野で「一緒に猫を探して」と小学校4年の女児をレイプ
ぺ・ソンテ(在日)刃物で脅す手口で女子小学生14人を強姦
キム・ミンス(韓国人留学生)強盗殺人犯。大分 日本人老夫婦を刃物で殺傷
宋治悦(在日)主婦19人を強姦。乱暴後も朝まで居座る、口封じ行為を行うといった悪質な手口。
(マスコミで大きく取り上げられていたが、韓国人による犯行と分かった途端に報道されなくなる)
崔智栄(在日)朝鮮大学校生。新潟、木刀で傷を負わせ、少女2人を車の中で強姦
金乗實(在日)朝鮮大学校生。同上の共犯者。他にもう一人19歳の共犯者(朝鮮籍)あり
鄭明析(韓国籍)韓国人 カルト「摂理」教祖。日本人1,000人、台湾人100人、米英仏人などを強姦
閔洪九(北朝鮮元兵士)宇都宮で買い物をしていた女子学生にわいせつ行為
宅間守(両親が朝鮮人部落出身)池田小学校大量殺人犯 8人殺害 15人が重軽傷。

昨夜は休憩から戻ったら変なコメついてたんで あげんの悩んでそのまま落ちました。
すみません。
酒場でスルー助言もらったんで、夜にでも再投下を開始します。


どう決着すんのか楽しみ

コピペは気にすんなー
どうせマルチだ、ここを選んでるわけじゃない

>129 ありがとうございます。
件のことで恥さらしまくったので飲んで寝ました。

深夜に起きて投下する予定が、気がついたら朝になっていました。
また途中でおちるかもですが、投下開始します。


<現代 魔王城執務室>


姫「…うっうっうっ…騎士王さまがっ消えましたぁっ・・・・」ボロボロ


魔王「…は?」

姫「突然消えたと思ったら…そのまま。帰ってこないんです…もうっ、3日目になりますっううぅっ」


メイド姫「消えたって…失踪ですか? 一体、なにがあったんですか?」

姫「違うんです!急に消えたんです、目の前でっ」

メイド「それはつまり・・・消えたように見えるほど速く逃げたと・・・? 余程のことがあったのですか?」

姫「ほんっとにつまらない喧嘩だったんですぅぅ! 絶縁宣言なんて嘘なんですよぉぉぉ!!」

魔王「いや…それで全力で逃げるとか、側近終わってるだろ…何か別の原因が…」


パァァァァァァァッ!!キラキラキラ・・・


魔王「!」チャキ


メイド姫「っ、これは、一体・・・?」

魔王「・・・下がっていろ。妙な気配がある」


姫「…あったかい、光…?この光、騎士王様が消えたときの…もしかして、騎士王、様・・・?」


シュ・・・フワッ

女神「…女神、です」キラキラ



魔王「なっ!?」

メイド姫「…本、物・・・?」

姫「うそ・・・」

魔王「真偽はともかく、魔王城で、女神だと!?ふざけてるのか!」ザッ


女神「…いやー、ごめんごめん!魔王ちゃん、あん時は適当なこといってごめんねー?」テヘ


魔王「…はっ?」ピタ


女神「まぁでも、あれからかなり神様にも叱られつつ救済策とかかんがえたんだけど、やっぱり騎士王くんまでの歴史はかえられなくてさー。いやー。まいったまいった」テヘペロ


メイド姫「…これは、本当にふざけてるとしか思えないクオリティですね…」ドンビキ

魔王「…こいつ、一体何を言ってる?なんのことだ…?」


女神「まぁでも、魂の経験が変化する分、これからは感情とかの、歴史がかわらない範囲に変化はでるかもしんないからさっ。なんとか赦してよ!」

女神「いやいや、ほんと。2000年も勇者いないせいで悲劇つづいてたよね、ごめんねー!」


メイド姫「女神…これが、女神ですか。なにか、納得できてるのに理解できない感じが・・・もどかしいです」


魔王「…いや、この気配・・・力もありそうだな。本物なんだろうが…、なんだ、この軽さは・・・」ゲンナリ

女神「『軽い』って…。女神に向かって『軽い』って、結構ヒドイなー魔王ちゃんは。あははは」


魔王「…頭が痛い。俺は休むとする・・・後処理を任せる・・・」グッタリ

メイド姫「お部屋までお送りしますね?」
テクテクテクテク・・・ギィ、バタン


女神「ちょ、ちょっとー?ほっとくなんて魔王ちゃん、ほんっとにひどいよー!!」

姫「そ、それで、騎士王さまはっ?騎士王さまはいまどちらに!!」


女神「帰ってくるよー。もうすぐねー」

女神「多分いまごろ、騎士王くんの中の勇者の魂もすっかり覚醒してるから…って、それにしても遅いか?魔力足りなくて途中に落ちてたりして」アハハー


女神「お…。いってるそばから、きたかなー?」


・・・キンッ

…シュタンッ
騎士王「ただいま!姫ちゃんっ」

姫「騎士王さまっ!」


姫「一体、何があったんですか!どうして急に、消えたり出たりするんですか!」


騎士王「あ、ごめんごめん。いろいろあって・・・急に消えたのは、勇者と・・・移動魔法のせいだわ」キラ


姫「え…って、なに、これ…光の、加護?」

女神「ふふーん。勇者の魂が覚醒したからね!光属性の移動魔法が使えるのさ!幸運も味方なんだよー」フフン


騎士王「姫ちゃん!お待たせ!なんかいろいろあったけど、これで魔王に勝てるだけの力も手に入ったよ!」

姫「…騎士王、さま?」

騎士王「ふふーん」チッチッチ



騎士王「俺は、勇者・騎士王だ!!」


・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

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エピローグ
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<王城、大謁見室>


元王様「は…」


女神「はいっ、ですからこちらが、女神お墨付きの本物の勇者さんになりますー♪」

騎士王「王様!すごいだろ、勇者だったんだって俺!」


元王様「いやほらだって、え?おま、魔物じゃ…。勇者って…。っていうよりも女神が、謁見…じゃと!?」


女神「あ、多分、勇者として覚醒していくにつれて、魔物の肉体は溶けてなくなりますよー。勇者は瘴気に対抗できるわけだし」

騎士王「えっ、じゃあ俺、どうなんの。魂に逆戻り?」

女神「いやいや、そんなかわいそーなこと、させないよー」アハハー

騎士王「じゃあ?」


女神「ショウキっていっても、元は神様の同じ技なんだよ?だから、素材としては人も魔物もおなじようなもんなんだよね。闇からつくるのが瘴気、光から創るのが聖気(しょうき)。魔物の身体は瘴気でつくり、人の身体は聖気でつくるんだよっ」

騎士王「…いや、読み同じだし…意味もわかんない。魔物と人間は同じってこと?ちなみに女神はどうやって?」


女神「わたしの身体?神気でつくってあるよー。魔物も人間も神も基本はおなじ。神に構造を似せて魔物と人間はつくってるわけだし。それぞれの気をわけてつくるんだよ」

女神「まぁ気を直接いじる能力を人間だけ持ってないけどね。あ、たまに気功法とかつかう人間いるから持ってないわけじゃないか。まぁ基本はおなじだよー」

女神「で、その3つの気の頂点にそれぞれ魔王、勇者、天神がいるの。今は世界のパワーバランスもとってるってわけ」

女神「いやー、まさか勇者も魔王も両方も消しちゃダメなんて知らなくて、随分シボられたわー」

女神「まぁあたしも神様のお手伝いしてるだけだし? ミスるのも仕方ないよね、あははー」


騎士王「2000年間の後始末の扱いが軽すぎるだろ!?っつか女神自体も軽すぎるだろ!?おまえどうしてそんなキャラになった!もっと『愚かな子…』とか言ってたじゃねーか!!」

女神「いやぁ!!やめて!!人の黒歴史をほじくりかえさないで!!」キャー

騎士王「黒歴史とかじゃねーよ!今のおまえのが女神として恥ずかしいよ!!」


女神「コホン…まぁとにかく、勇者の魂がある以上は、聖気が集まってくるだろうってこと。それで徐々に人間に代わってくだろうねー」

騎士王「なんか話ごまかされたけど…そっか・・・また人間になるのか・・・」

女神「騎士王くんは、魔物の身体より人間の身体のが好きなん?」

騎士王「いや、魔物の身体のが便利だとは思う。丈夫だし」

女神「けけけ。そりゃ残念だったねー」

騎士王「いや・・・でも、今の俺に限って言えば、人間であることはすごい利点だぞ・・・!」フッフッフ

女神「利点? 何、聖気あつめてなんかすんの? なに出来るの?」ワクワク


騎士王「・・・ふふふ。ちゃんと人間で、騎士で、王で、勇者!! これでもう姫ちゃんとの結婚を阻害する理由はないな王様!」

女神(うわ、ちゃっちい利点)ドンビキ


元王様「い、いや。いやいやいや!」

元王様「いかん、いかんぞ!?わしは魔王に約束してるからだめじゃ!勝つまではやらんと誓っとる!」フン!!

騎士王「そんな!?勇者になっても状況が良くならない!?どういうことだ女神!」

女神「いや、さすがにわたしもそんなん知らないし・・・つかもうほんと、しらねーよ・・・」ハァ


騎士王「姫ちゃんっ!」

姫「がんばってください!魔王様に勝って、調印してもらって、世界平和!勇者としての初仕事ですねっ!」ドキドキ

騎士王「そんな!?」


騎士王「~~~ッくそっ!破れかぶれだ! さっきの戦闘の感覚で神経冴えてる内に、このまま魔王ぶったおしてくる!」クルッ
ダダダダダダダ

姫「あっ、まって騎士王さまぁっ!私も『勇者と魔王の世紀の戦い』見てみたいですー!!」ドキドキ
スタタタ!



ポツーン

女神「…いや、あいつ・・・もう勇者なんだから、移動魔法つかえよ…はぁ、勇者としては、まだまだだな…」チッ

元国王「これが…女神…こんな腐れギャルみたいなのが・・・信仰対象・・・」ガックリ

女神「あ、いたんだっけ。んー・・・とりあえず、お茶でももらっていーいー?」



・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・


--------------


<魔王城玉座>


バターン!!
騎士王「魔王いるか!!勝負だ!」


魔王「は? …側近?」

騎士王「今日はもう何があっても逃げねーぞ!魔王に勝っt 『魔王!会いたかったよ!ぼく、やっぱり帰ってきた!』  …て…は?」


魔王「…おい・・・」イラ

騎士王「…えっ、いまの無し!」ワタワタ


騎士王「『魔王!言い忘れてたことがあって、僕、君にそれだけ伝えてから消える!』」

騎士王「…ちょっ!まて!なんだ、勇者!?」


魔王「…なんのつもりだ・・・」イライラッ

騎士王「知るか! 俺だっt


騎士王「『魔王、ずっと、ずっと、だいすきだよ!愛してる!』」



魔王「なっ!?」

騎士王「げっ!?」



女神「おやおやー? …様子を見に来たら、すごーーくおもしろいことになってるーっ」アハハハハハ

メイド姫「あ、女神さん…また戻ってきたんですか? …というか、なんです、これは。魔王様が…。・・・って、本当に、なんてことですか!」
スタタタタ ダキッ

魔王「」チーン


姫「いえ、魔王様だけじゃなく、こっちも倒れてますよぉ…」オロオロ

騎士王「」チーン


騎士王「『え、えぇ?なんで?なんで白目?ぜ、ぜんぜん起きれないっ』」

女神「うっわ、白目むいて泡吹いて倒れてんのに、まだ喋ってんの、超きもちわるいっ!」


姫「魔王様と調印をかけた勝負をしにきたんですが…これは…騎士王さまの、勝ちですかね・・・?」

メイド姫「そう、ですね・・・魔王様はこうして倒れられていますし・・・。まぁ、騎士王様も、男として瀕死のダメージですが。手法としてはもはや自爆テロですね・・・」

姫「そうですよね。騎士王様は、正々堂々と勝つとおっしゃられてましたし・・・」ホッ

メイド姫「・・・まぁ、ある意味では、ものすごく正々堂々としたものでしたが・・・」

姫「やめてください・・・こんなので、騎士王様の元へ嫁に行くのはいやです・・・」ウゥゥ

メイド姫「無効試合としましょう…。それにしても、これは気持ち悪い絵面でした。『気色悪さで魔王として死ねる』というのは本気でしたか…」ハァ

姫「勝負に負かすためとはいえ、騎士王さまが・・・魔王様に告白するなんて・・・//」カー


フワフワフワ・・・
勇者魂『あ、なんか身体から抜けた…?』

姫「ちょっ、き、騎士王さまぁぁぁ!?大丈夫ですかッ!」ガックガック


フワフワ・・・
魔王魂『…勇者』

メイド姫「あ、こちらからも、なにか出てきましたね…?」


勇者魂『…魔王?』


魔王魂『私も、まってみた。私も言えなかったから。私のために、ありがとう。…すまなかった』

勇者魂『魔王…っ』


魔王魂『勇者、私も好きだ。・・・みんな好きだ。魔法使いも僧侶も。おまえはほんとに駄目な勇者だったけど…』

魔王魂『今も昔も、一番の、お気に入りだ』

勇者魂『魔王…』


魔王魂『すまない。もう私の意識なんかほとんどないんだ。…これだけ伝えるまではって、なんとか意識の奥深くに残してきたけど…』

魔王魂『うん。でも。やっと会えたんだ。…これからもみんなで、がんばろうな』


勇者魂『…うん。うん、僕もだ。もう保てないや』

勇者魂『あはは、でも、結局は一緒に…意識だけだけど、死ぬことになっちゃうね。…魔王、ほんとに、ごめんね…?』


魔王魂『いい。おまえ言ったろ?一人でなかなか寝れなかったら、添い寝してくれるかって』

魔王魂『2000年も寝れないんじゃ、仕方ないからな』

勇者魂『魔王、ありがとう…』


魔王魂『ほら。お前はいつもトロいな…。さぁ、行こうか』

勇者魂『…うんっ!』シュル・・・


シュワッ・・・キラキラキラ・・・。


メイド姫「魂が…霧散した? ・・・まさか本当に、死んだとかいいませんよね?」チラ

女神「あー、あれは魂の中にある、個としての意識体だよ。魂とは違う。・・・今の魔王ちゃんには関係ない、2000年も前の勇者と魔王さ。よく耐えたよ。」

女神「まぁ、あれがあるから…ってか、あれがあるせいで、魂は転生しても別人として生まれるんだ。女神としては意外と厄介なんだけどねー」

メイド姫「…そうですか。とにかくこちらの魔王様は無事なのですね?…安心しました」ホ


メイド姫「それにしても…」ハァ


魔王「」チーン

騎士王「」チーン

姫「ウ・・・…だ、だめです、思い出したらだめだ私っ・・・こんなときに不謹慎な・・・//」ブツブツ


メイド姫「…この方たち、ほんとに復活できるんですかね…?」

女神「…知ーらねぇっ!」


--------------

--------------

本編はコレで終了です。
以下は後日談になります。

ここまでのご試読を本当に感謝いたします。
ありがとうございました。

後日談1、2は ↓から初めていきます。

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--------------

後日談1 女神「メイド姫ちゃんが・・・チートすぎるっ!!」

--------------

<魔王城玉座>

魔王「」グッタリ
騎士王「」グッタリ
姫「ブツブツブツ・・・」

女神「・・・それにしても今回のV.I.P.は魔法使いちゃんですわー、ありがとねー」ウンウン


メイド姫「まぁ、事情は聞いてあらかた理解しましたけどね。ですが、魔法使いの魂だとしても、私には身に覚えがないので…魔法使いと呼ぶのはやめてください」

女神「えー?でもさ、魔王ちゃんの魔力暴走って原因を止め続けたのは確かだしさ~。それがなければ解決にはいたらなかったんだよ、今回の件は」

メイド姫「それでしたら魔法使いさんの墓石にでも参ってください」

女神「そんなん意味ないって、魂ここにあんだもん、あっはっは」


メイド姫「…でも、本当に私には関係ありませんよ」


女神「そっかなぁ?歴史がかわっても、世代がかわっても、ずーっと魔王を支えてる。今も継続中。それは充分な功績さね。2000年おつかれさん!」

メイド姫「…魔王様の事、大好きですから。・・・まぁ、確かに、2000年もお仕えしてるというのは、意外でしたが。事実だとしたら誇らしいですね。前世を認めたくなります」

女神「やーん、魔法使いちゃん…じゃないや、メイド姫ちゃんは謙虚だねー!私にもその謙虚さが当時あれば…」ハア-

メイド姫「今は腐れ女神で、過去は横柄女神だったと?」

女神「け、結構ひどいな、メイド姫ちゃん…」

女神「まぁ、いきがっちゃう時期ってあるよねー。あたしなんか2000年も引きずっちゃったよー」アハハー

メイド姫「はぁ…。 あ・・・魔王様が・・・」モゾ


魔王「…う」ゴロ

メイド姫「魔王様、気が付かれましたか?」

魔王「…姫…」ボー

メイド姫「大丈夫でしょうか・・・。あのあとしばらく倒れられていて…」

魔王「…あぁ、姫だ…」スリスリ


メイド姫「ひゃっ!//ま、魔王様、膝枕中に膝に触られては危険です、頭が落ちてしまいます!」

魔王「…なんかもう、いろいろ忘れたいから、いい…」スリスリ

メイド姫「で、ですが…そ、その、お顔を一度・・・//」

魔王「このままでいたいんだ…姫…」スリスリスリスリ


メイド姫(ま、魔王様が、魔王として死んでいます…//)


女神「おっはー、魔王ちゃんー!勇者くんの告白どうだったー?」ケラケラケラ

魔王「…!!」ゾクリ

メイド姫「あ、こら、女神さ…」


魔王「!!」バッ

メイド姫「…魔王、さま?」


魔王「…? う、あ? なんだ…?」ボ-ッ

メイド姫「あ、い、いえ。膝枕はもうよろしいですか…?」

魔王「…膝枕?」

メイド姫「…ま、魔王さま…?」


女神「うぉ、すごいな!魔王としてのプライドだけで、自分の不都合な記憶を一気に消去したよこの子!!それどうやんの!?超知りたい!!」

魔王「なんだこのうるさいのは?」

女神「あたしのことも忘れた!?あたしの存在は不都合なの!?」ガーン


魔王「…?おい、あっちの二人は何してる」


姫「…駄目よ、考えたら駄目よ、腐るわ駄目よ…ブツブツ…」

魔王「…なにか、瘴気のようなものが出てるぞ…?側近は…うっ、死んでる…?」


姫「はっ!そうだった!騎士王様ッ!!」ガバッ

バタバタバタ・・・ゲシッドテン!

騎士王「ぐぇ」

姫「あああ!焦りすぎて踏んじゃった!!ごめんなさい騎士王様ッ!」
バタバタ ギュー


魔王「・・・」

メイド姫「・・・な、なんだかもう大混乱のようですね」

女神「あたしは平気よー?」


女神「それで、最初の話だけどさ。魔法使いちゃん・・・の、魂であるメイド姫ちゃんにもごほうびあげようとおもって。何がいい?何が欲しいの?」ワクワク

メイド姫「…いえ、特に必要在りませんので、結構です」


魔王「ふむ。もらっておいてもよいのではないか?」

メイド姫「・・・魔王様?」

魔王「姫は今は人間の身。俺に比べると脆いのは否めないしな。何かしら身を守れるものがあると良い」


メイド姫「・・・そう、ですね。・・・では、魔力を少し強めていただけませんか。丁度、火力も欲しかったところですし」

女神「いいよいいよー!ついでだから女神の加護もつけちゃうっ!光魔法便利だよっ、どう!?」

メイド姫「・・・まぁ、では、いただけるなら」ハァ

女神「んではっ!はい、口あけてー!騎士王君方式で魔力いれちゃうっ♪ なんかやってみたかった!」

メイド姫「あーん」

女神「何この可愛い生き物っ、いれちぇうよいれちゃうよ~♪」ニヤニヤ

魔王「」イラ


女神「えいっ 女神パワーを注入ー♪」
シュパァァァッァァァァァッ!!!!!!!

魔王「!」

女神「っ、う、うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
シュバッ ビュォォォォォォオォォ!!


魔王「な、女神の力が・・・!おい!姫、大丈夫なのか!?」

女神「う、ひゃ・・・うう、め、めがまわるぅぅぅ」クラクラ


シュパァァ・・・
メイド姫「・・・・・・・」キラキラキラキラ



女神「・・・あれ?」キョトン

魔王「…加護・・・というか・・・これは・・・」


女神「…しまった。2000年も仕事してなくて、神気たまりすぎてた…暴発して・・・入れすぎたわ…」テヘ

魔王「な・・・」


騎士王「う、な、なんかすごい眩しくなったような・・・ん?」フラフラ


メイド姫「」キラキラキラキラ


騎士王「・・・え?め、メイド・・・ちゃん・・・だよ、ね?」

メイド姫「・・・はい、間違いないはず、です」ハァ
キラキラキラキラ


騎士王「・・・メイドちゃんが…女神になってる!?」

姫「メイドさん・・・綺麗・・・すごい神々しいですー・・・何か不浄なものが払われていく気分・・・」ドキドキ

メイド姫「私は、なにか頭が痛くなってきました・・・」ハァ・・・
キラキラキラ


魔王「姫が・・・メイドで、姫で、魔法使いで、人間で、国王姫の姉で、魔王の后で、さらに女神・・・だと・・・」ガックリ

女神「め・・・メイド姫ちゃんが・・・チートすぎる!」

後日談1 おわり
--------------

--------------

後日談2 魔王「こいつに触れられないのなら、この世界は破滅する」

--------------

<魔王城玉座>


騎士王「ほんとに…女神になったのか…」ジー

姫「なんだか少し光ってますよね…それにお洋服が…見たこともない純白…白金…?…なにか、光の色ってこうなんだって感じで…」ジー


メイド姫「…なにやら落ち着きません」


女神「そぉ?似合ってるよ?なんか2000年前のあたしを見てるみたいー♪可愛いよー♪」

メイド姫「…神気、でしたか。なんだか身体がむずがゆいような気がして」

女神「まぁ、いままではほとんど聖気がはいってたんだし、違和感は仕方ないよねー、あはは。あ、でも肉体は聖気製…人間のままだし、余計に違和感あるのかもねー?」


メイド姫「人間には違いないのですか?そういえば、魔力はどうなるのです?」

女神「基本的に同じようにつかえるはずだよ。瘴気も聖気も神気も、おなじようなものだからねー」

メイド姫「…試してみても?」

女神「もち」

メイド姫「…焼却術」ボソ

ゴオオオオ!!


女神「あちぃ!あっつ!あついあついあつい!てか痛い!やめて!はやく消して!」

メイド姫「…消すといわれましても…」

女神「…うっそっ!焼却するまで止まらないの、これっ!?」

メイド姫「どうでしょう…あ」


女神「ああああっ焼ける!これはまじでやばい!はやく!なんとかしてっ!」

メイド姫「消火呪文で消えますかね?」

女神「なんでもいいからはやくぅぅぅぅ!!!」

メイド姫「しかし…あ…いけませんね、絨毯が熱で溶けはじめています。急がねば…消火術」


プシュウ・・・ブスブス
女神「女神の焼死体<魔王城の絨毯とか…ありえない…」コンガリ


メイド姫「事故ですよ。申し訳ありません」シレッ

女神「死んでたよ!モノホンの女神じゃなきゃ死んでたから!」

メイド姫「こんがり焼けた、健康的な日焼け美人ですよ?」


騎士王「ドラゴンの灼熱ブレスより蒼い炎だった…」ガクガク

姫「メイドさんが魔王様より怖いなんて初めて知りました…」ブルブル


魔王「おまえら…」ハァ


メイド姫「しかし、火力や加護を望んだのは私でしたね・・・。強欲は身を滅ぼすとはよく言ったものです」

女神「あたしの身を滅ぼすのやめてよ!」


メイド姫「…しかし、いきなり女神の力を手にいれても…どうしたらよいのか」

女神「便利だよー。気に入った奴に幸運とか授けれるし!」

メイド姫「幸運ですか。それは是非とも魔王様にお渡ししたいですね。どうしたらよいのでしょう」

魔王「女神の幸運を持つ魔王とか、嫌すぎるだろう…俺は辞退する」フン


メイド姫「…残念です…では、姫様はいかがですか?」

姫「え?いいのですか?」

メイド姫「可愛い妹には、幸福な人生を送ってほしいと思いますよ」ニコ

姫「…メイドさん…♪」


女神「いいねいいねー。試しにやってみなよー。簡単だよー」

メイド姫「やり方を教えてくださいますか?」

女神「オッケー。まず、相手の胸のあたりに触れて…」

メイド姫「失礼しますね、姫様」ムニ

姫「ひゃ//」


騎士王「…まだ俺も触ってないのに!」

魔王「側近うるさい」イラ
パチン

モワモワ…シュワシュワ
騎士王(埴輪)「予告すらなし・・・これはあまりにもひどい。魔王…なんかイラついてる?」ハニハニ

姫「あ、騎士王様かわいい…♪」

魔王「ふん」フイ

メイド姫(…?)


女神「あはは、魔王ちゃんだいじょーぶよぉ、この子なら力が手に入ったからって、魔王ちゃん裏切ったり逆らったりしないって」ケラケラケラ

魔王「な」

メイド姫「…あ」

魔王「……チ」


メイド姫「…魔王様。私が魔王様に逆らうとお思いなのですか・・・?」

魔王「…まぁ、それだけの力があれば、俺の元におらずとも人の世で最も上に立てるのは事実だな」

メイド姫「それが何のためになりましょう・・・。私は魔王様の為に生きたいと思っておりますのに・・・」ショボン

魔王「…」


女神「…ふふ。メイド姫ちゃん、メイド姫ちゃん」チョイチョイ

メイド姫「…なんですか?」


女神「魔王ちゃんをよく見てー」

メイド姫「…?」
ジー

女神「もっともっと。頭のほう、髪の毛一本までみるつもりで…」


メイド姫「…」ジー

魔王「…む」


女神「ぷっ、くっ」クスクスクス

メイド姫「……『ああもう、あんま見るな。くそ、なんか屈辱的だ』…って、え?」


魔王「なっ!!」

女神「あはははははははは」ゲラゲラゲラ


メイド姫「は?え?な、なんですか、今の…」

女神「ぷっ、女神の力…あはははは、惜しかったなぁー!!もーちょっと早く聞いてれば…ぷっ、くっは!やだぁもーーー!!魔王ちゃんかーわーいーいー!!」ケラケラケラ


魔王「斬る!!」スチャッ

ザクッ


・・・・・・・

女神「あぁ…痛い…躊躇いとかゼロかよ…もう魔王城のやつら乱暴すぎるよ…」イジイジ


魔王「ふざけるな!なんで生きてる!!」

メイド姫「ま、魔王様、申し訳ありませんっ、まさかお考えまで読めるとは思わず…」オロオロ

魔王「ちっ。…おまえのせいではない、謝るな」

メイド姫「魔王様…」


女神「差別はよくないと思いますー、メイド姫ちゃんもいまは女神みたいなもんなんだしー」

魔王「お前はもう喋るな!」バン!


姫「……あ、あのっ///」

メイド姫「あ」ムニムニ

姫「こ、このまま放置されると、頭が沸騰しそうですー…」クラクラ

女神「忘れてた。あー…ずっと触ってたから結構神気入っちゃったかなー、まぁいっかぁ」

メイド姫「どうしたら…」

女神「姫ちゃんは、何か望みとかある?あったら頭の中でよーく考えてー」

姫「…望み…」


姫(赤ちゃん…騎士王さまと結婚して、可愛い赤ちゃんが欲しい…なんて。きゃぁぁ、私ってば!私ってば!//)


女神「ほい、メイド姫ちゃんは幸運を授ける宣言をして」

メイド姫「…姫様に、幸運を授けます…」


パァァァ
姫「あ…あったかい…♪」


キラキラキラ…
メイド姫「…これでよろしいのですか?」

女神「パーぺきっ」グッ


メイド姫「ようやく、まともに力が・・・使えました…」ハァ…ペタン

魔王「大丈夫か」


メイド姫「あ、はい。なんだか急に、力が…」

女神「あ、やっぱ結構な量の神気を姫ちゃんにいれちゃったんだねー」

姫「え、ええっ!?」

女神「あ、大丈夫大丈夫。力を授けたわけじゃないし、多分超ラッキーになるくらいだよー」

姫「そ、それはそれでスゴイですけど…メイドさんは大丈夫なんですか?」

女神「ちょっとした使いすぎの反動よー。でもあたしの2000年分のパワーはいってるんだから、枯渇っていうよりは筋肉痛的な…一時的なもんだよー」


魔王「まったく…おい、立てるk」 
バチン

メイド姫「…え…?」


魔王「…」ソッ…
バチンッ


魔王「…?」グッ
バチバチッ!



魔王「…!」ギュッ
バチバチバチッ!!



メイド姫「…」

女神「…あら?」

姫「魔王様・・・メイドさんに、さわれ…ないんです、か?」

騎士王(埴輪)「あ、俺は今、割れるから逃げるわ!」ゴットゴットゴット


・・・・・・・・。


魔王「…」チャキッ
ジャキンッ

魔王「…」パチン
ゴウゴウゴウ…ッ!!

魔王「覚悟はいいか。行くぞ」ギロリ
ザッ シュッ!


女神「来るなぁぁぁぁあああああああっっっ!!!??!?」ダッシュ!


・・・・・・・・
・・・・・
・・・


女神「ザックザクの、コッゲコゲですわー。いやだわーもう」ボロッ

魔王「だから何故生きている!!!くそ、もう一度だ!!」スチャッ、ジャキンッ!!



騎士王(埴輪)「う、うあ、ああ、ま、魔王の本気って…魔王の本気って…ひ、ひぃぃうぁあ」ガクガクブルブル

姫「あああ、ああああああいやぁ!魂の中に絶望と恐怖が植え付けられる!!!」ブルブルブルブル

メイド姫「さ、さすがにあそこまでお怒りの魔王様は見たことがありません…」ビクビク


・・・・・・・・

女神「ああああ…もう痛覚が麻痺してきた…切り刻まれる感覚がエンドレス…」

魔王「…っ!!大炎獄魔術っ!!」

女神「あぁー…また燃えるのかー…」ボワー!


・・・・・・・
・・・・
・・


魔王「くそっ、何故殺せないっ!?」ハァハァ

女神「いやー…、まぁ女神だし…瘴気をうちはらう力があるから…。神気とは特に相性が悪いんだよ、魔王ちゃんはさー・・・まだ聖気の騎士王クンのが痛いかなー・・・ま、神気でやられなきゃダイジョーブだよねー」


魔王「姫!神気でこいつを殺せ!!」

女神「ちょっ!無理だから!無理だけど神気でやられるとまじで痛いから!!やめてっ!?」


メイド姫「申し訳ありません、魔王様の命令には逆らえませんので…」ゴウッ

女神「まったまったぁぁぁ!!大丈夫!!いっそ殺された方が楽な拷問やめて!大丈夫だから!!」

魔王「何が大丈夫なんだっ!」

女神「メイド姫ちゃん肉体人間だし!神気抜ければ元通り!」

魔王「じゃあ早く抜け!」

女神「男じゃないんだから自分じゃ抜けねーよ!」

メイド姫「女神なのに下品ですよ…」ハァ


女神「メイド姫ちゃんが神気使えば、使うだけ抜けるし!第一ここ魔王城なんだからほっといてもし瘴気バリアで力使うし!」

魔王「瘴気を当てれば神気は消えるんだな?!」

メイド姫「え」

魔王「姫!こちらにこい!いま濃厚なやつを…」

メイド姫「ちょ、ちょっとまっ」

ムギュッ
バリバリバリっ!!

魔王「痛い。…抱けない」

メイド姫「で、ですから待つようにと…//」


魔王「抱かなくても瘴気は出せるっ!!」パチン
モワモワモワモワ

メイド姫「っ!」ビクッ

魔王「…あ」

メイド姫「う…いえ、す、すみません、それを見ると・・・その、条件反射的に…//」

魔王「…はぁ…怖がらせたな、すまない」

メイド姫「こ、怖いというわけでもないのですが//」


女神「うーん…まぁ瘴気は殆んど性質的に打ち払うから、あんま神気つかわないしねー」

魔王「」イラッ

女神「あ!いや!でもさっきの透視みたいな能力は結構な神気つかうよっ!」アセアセ

魔王「なっ」


メイド姫「それなら…どなたか魔王様以外の方の頭を見せてもらいますか…」ハァ

女神「なにゆってんのー。魔王は瘴気の塊だもん、その魔王を見るから神気つかうんだって」チッチッチ

女神「とりあえず、暇さえあれば魔王を見てれば、すぐに神気なんか尽きるって」アハハー

魔王「くそ…それしかないのか!?」

メイド姫「…ちなみに、何度ほど見ればよいのでしょう?」

女神「見っぱなしで3年くらい?」アハ


魔王「…おい、女神」

女神「おうっ!がんばれ魔王ちゃん!!最愛の姫様に以心伝心♪」


魔王「おまえじゃ話にならない。神とやらを連れてこい」

女神「…は?」

魔王「神を呼べ。部下の不始末の責任を取らせろ。すぐに」

女神「いやいやいや、無理ゆーなってー…あはは…」

魔王「本気だ」


魔王「このまま姫に…こいつに触れられないのなら、世界は破滅する。そう伝えろ」

女神「ひ」

魔王「世界を破滅させるくらいなら出来る」

女神「ま…」ゴクリ


魔王「…」ギロッ

女神「い、今すぐにいってきますー!!!!!」

パァァァァァァ


メイド姫「…消えた…」

魔王「…」

騎士王「・・・ひでーな、ありゃ。なんなんだ・・・」

姫「ま、魔王様・・・大丈夫ですか?」オズオズ

魔王「大丈夫じゃない。血が滾る思いだ」


メイド姫(実際、ものすごい勢いで周囲の瘴気を取り込んでいらっしゃいましたね・・・)コソ

騎士王(あー、おれも過去の魔王城でドンパチしたとき、同じ経験したわ)コソ

姫(なんでしょう・・・なにやら、最初にお会いしたときよりも、黒々とした気配を感じます・・・)コソ


魔王「・・・くそ、あの駄女神、さっさと戻れ・・・」イライラ


姫(メイドさんに触れないのって、そんなに不便なもので・・すよね、うん)

騎士王(・・・おお、魔王も禁欲生活仲間・・・生殺し同盟・・・うん、嫌だろうな)ウム

メイド姫(・・・//)


パァァァァァァ

メイド姫「え?もう、戻ってきた?」

魔王「おい!神とやらはどうs

女神「テヘッ、あたし天神がどこにいるか知らないや♪いちおー探してみるけど、しばらくがんばってねーん♪」フリフリ

魔王「・・・・・・・・・」

魔王「・・・貴様・・・・」チャキッ

パァァァァァァ…


魔王「! …あいつっ…!」プルプルプル・・・

メイド姫「言いにげ…」

騎士王(埴輪)「…あれが…」

姫「…本当に・・・女神…?」


魔王「…ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ヒュゴッ!!ブワァァァァァ!!


ヒュゥゥ・・・・ヒュゥゥゥ・・・・・

騎士王・メイド姫・姫「「「…魔王城が・・・破滅した・・・」」」

--------------
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--------------
後日談2、おわりです。
ご試読ありがとうございました!
最後、少し駆け足になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

実は書いているうちにどんどん長くなったので・・・
一応、この騎士王メインの話はここでおわりますが、
魔王たちの話はこのまま終わるのではなく
もう一本だけ続編を書かせてもらえたらなと思っています。

騎士王の禁欲生活がいい加減長すぎて同情します。
ちゃんと、オチつくとこまでやりたいなと。
というか姫さんの超エロと、魔王のデレがやりたいと思っています。

今回 メインが騎士王だったせいでエロ描写できなくて
自分でも物足りない感じが・・・なので、書かせてください。お願いします。

一応 姫「とりあえず、新世界でも創りましょうか?」 を題に予定。
やってもいいでしょうかね・・・?やっちゃうよー?ドキドキ
---------------

やれやれもっとやれ

オラッ!早くせんかっ!

やっちゃってください。楽しみですw

やれ

騎士王が禁欲のまま終わられたら可哀想すぎるわw

>>177 - >>180
ありがとうございます。
現段階ではさすがに全然かけてないのですが
順次更新でもいいべって事で新スレたてました。

姫「とりあえず、新世界でも創ってみますか?」
姫「とりあえず、新世界でも創りますか?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1394458490/)

エロってどこまで需要あんのかな。嫌いなヒトもいるしな。
姫ちゃんにどこまでやらせるかすごく悩んで筆がすすみません。
遅筆、勘弁してください。

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