初春「垣根さん!新しい服ですよ!」垣根「しま○らはやめろよ!」(482)

初スレ初SSです
地の文有り

禁書原作と超電磁砲漫画は既読ですが、超電磁砲アニメは未視聴です

ここ間違ってるよー、とかこれはねェよってところがあれば教えていただけると嬉しいです
いろいろ至らないところもあると思いますが、よろしくお願いします

その薄暗い部屋の中には巨大な培養器とそれに繋がるいくつかの機械があった。
ゴポゴポと音を立て気泡を発生させるそれの中には、10歳前後の少年がぷかぷかと浮かんでいる。

色素の薄い髪、幼いながらも端正な顔立ち。町を歩けば殆どの人間が彼のことを美少年だと評するだろう。

その少年の瞳は固く閉ざされており、目を覚ます気配はない。

少年の浮かぶ培養器の他に、部屋の中には白衣を着た男がいた。
男の腹部からはどくどくと血が流れており、今にもその命は終わりを迎えようとしている。

男は朦朧とする意識の中、培養器に繋がれた機械へと手を伸ばした。

いつか学園都市へと復讐をしようと、密かに進めていたこの計画。
三つに分かれた脳味噌を使い、それを元に体を作り上げ、培養器の中で育てながら、自分好みに調整していくーーー
はじめのうちはうまくいっていると思っていた。出し抜けていると思っていた。しかし結果はこの様だ。
せめて一矢報いてやねば死んでも死にきれない。

血の流れる腹部を押さえながら男はモニターを操作する。
まだ製造途中であるが、そんなことは言っていられない。
常識の通じないことを豪語するこの男のことだ。そのくらいどうとでもなるだろう。

男は半ば投げやりになりながら実行のキーを押す。
培養器の中から液体は消失し、残った少しの培養液と共に中から少年が放り出された。
 
「やあ、調子はどうかね?」

口の端から血を流しながら男は少年に問う。
これで学園都市の軍事産業にほんの少しではあるが打撃を与えることができるだろう。ザマーミロだ。

ゲラゲラと嗤いながら絶命していく男の傍らで培養器から放り出された少年は、ゆっくりと目を開き、辺りを見回した。
死に行く男と、水浸しの自分。そもそもここはどこなのだろう。
何一つ理解できないまま少年は自分の体に視線を落とした。その目が大きく見開かれる。

「なんだ……、こりゃ……」

声変わり前のアルトが薄暗い部屋に響いた。

***

首を回すとゴキり、とおっさんのような音がした。
女子中学生としてこれはいかんだろう、と初春飾利は寮へと続く道をひとり歩きながら考える。
風紀委員としての業務は大変だがやりがいがあるし、自分も誇りをもって行っている。
だからといってそれを理由としておっさんのような振る舞いをしていいのであろうか。答えは否だ。

(そういえば佐天さんにもらったバスソルトがまだ家にあったなー。あれでもいれてゆっくりお湯に漬かることにしよう)

うんうん、とうなずきながらまた首をコキコキと鳴らす。
さっさと家に帰って疲れをとらないと本格的にヤバそうだ。女子としての自分の尊厳とか。

完全下校時刻を過ぎた街は静かで女の子一人で歩くのにはあまり適していない。
自然と初春の歩くスピードも早くなる。
いくら風紀委員だといっても初春のレベルは1で、その能力も単なる保温能力だ。運動神経だってそんなにいいほうではない。
スキルアウトに絡まれたら一貫の終わりだ。
暴力の嵐にさらされることなど、できることなら二度と経験したくはない。


ズキリ、と右の肩が痛んだ気がした。
思い出すのは軽薄な笑顔と自分を見下したような声。
自分の肩にめり込む靴底の感触。
そして薄れていく意識の中で見た白い白い大きな羽ーーー

初春は過去、抗いきれない圧倒的な力に蹂躙されつくされたことがある。
辛うじて命は助かったものの、その恐怖は未だ体に染み付いて離れることはない。

それまでだって、風紀委員として何度となく危険な場面に立ち会ってきたし、銀行に入ってきた強盗に人質にとられたこともあった。
だが、あそこまで一方的に自分ひとりに向けられる暴威にさらされたことなど一度もなかった。
絶対的な力への恐怖。
そのとき真の意味でのレベルの違いというものを見せ付けられた気がした。

しかし、自分をあんな目に合わせたあの青年はもういない。
あの時、別の目的があったとはいえ、自分のことを助けてくれた第一位の能力者、一方通行に殺され、死体は学園都市側に回収されたらしい、ということを風の噂で聞いた。
その噂では脳味噌を三分割にされ、冷蔵庫ぐらい大きな機械を体に取り付けられ無理やり生きながらえさせられているらしいがという話だが、そんなもの死んでいるのと大差ないだろう。
もう、自分にはもう関係のないことだ。


暗くなるだけだからこれについて考えるのはもうやめにしよう、と、初春は二三度頭を振り、陰鬱思考を振り切るかのように寮への道を走り出した。

学生寮まで辿り着くころには、なけなしの初春のHPは殆ど0に近かった。

(夜のよくわからないテンションに任せて走るんじゃなかった……)

ぜーぜーと荒い息を吐きながら、自分の部屋を目指す。

(ごはん……、いや、お風呂……、ていうかねむりたいもうねむりたい……)

全部凍らせたままとかなんとか。
 
ふらふらした足取りで部屋に入って明かりをつける。


見慣れた自分の部屋のはずなのに違和感があった。
異物があった。

ベランダに面する窓が開き、カーテンがはためいている。

あるはずのない、いるはずのないものがそこに存在している。

三対六枚の白い翼。
レベル5の第二位、未元物質を操る暗部の帝王ーーー垣根帝督。

「よお、お嬢さん。俺の事、覚えてるか?」

その男を8つほど若返らせたような少年が、初春の部屋に、目の前に存在していた。

投下以上です

          /. . . . . . . . . . . . . . . . \/
       / / . . . . . . . . . . . . . . . . ∨    テクマクあわきん☆
      . ..′. . . . . i. . . . .}. i |. . . . {       テクマクあわきん☆
       i. i.i. . i. i.|. .|. / . 7爪「. . . . 〉
       |/|.i. . iイ厂|イ . 〃⌒|/. . 从      この光でみんな
      {⊆⊇}. j/iィ=ミ|/   ""i: :从 {       ちっちゃくな~れ☆
      |////|:小″  '__, -ヘ  |/ ノ:人                     ,ノ
     ∨//从{人  ∨  } ∠{_{{ . 乂_                _,ノ

    _{ニニ}___}≧: ._`ー イ.:.:.:.:.//) . . } ゙'ー'^'ー'^'ー'^'ー'^'ー'^'ー'′
 〃´≠´(く//{\._.__〔_:.:.:.:>ヘ:.:.:.{/. . . ノヽ
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人. ..\__/.:.:.:.ト-/. . . / \/. ./.:.:.〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.厶_
 ̄`≧=-.:.:.:./| {. . . .{ /{. . {:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\

>>1です
レスありがとうございます、がんばります

一日に何回もすみませんがまた22時ごろになったら投下させてもらいます

それでは

ごくせんの教室ってなんでいつも同じなんだろう
学校違うんじゃねぇのかよ…

投下します

自分の部屋に不法侵入者がいる。
それだけで恐怖に慄くのは十分な理由だと思う。

さらにその闖入者には純白の羽根が生えているのだ。
少しの珍事くらいなら日常茶飯事なこの都市でも、そんな非日常(メルヘン)なやつはそうそう居ない。

加えてそれの顔は初春のトラウマを抉るような造形をしている。

あの日、初春を肉体的にも、精神的にも踏みにじった男のミニチュア。
それが何故だか自分の部屋にいる。


ガクガクと震える足をどうにか動かし初春は逃げようと努力する。
しかし焦っているためかドアノブの上の手は滑り、扉を開けることも出来ない。
逃げ場はない。

せめて目の前のの少年はいったいなんなのか。
自分に何の用があるのか。
それを知ろうと口を開くも、喉の奥が粘ついていてうまく言葉を発することが出来ない。
それでもなんとか声を発しようと唾液が分泌されずカラカラになった口を開く。

「…っ、はぁ…、なん、なんですか、いったい…!」

震える声で漸く絞り出したそれは、初春が思うよりずっと弱々しかった。


「そう怖い顔すんなよ。別にとって喰やぁしねぇって」

幼い顔に不釣り合いな軽薄そうな笑みをうかべ、そう答える。
答えになっていないのだが、返事が帰ってきたということは会話をする意思があるらしい。

「ここお前の部屋なんだろ? 家主が玄関に突っ立ってねぇでさっさとこっちこいよ」

そういいながら少年は初春に向かって手招きをする。
近づいた瞬間襲いかかってくるのではないかと一瞬身構えたが、

「つうか窓開けっぱだとやっぱ寒ぃな」

などと言いながら自分が入ってきたであろう窓をカラカラと閉めるその行動に何だか拍子抜けてしまう。

少しだけ落ち着きを取り戻した初春は、とりあえず少年の言う通りに靴を脱いで部屋へと入る。

ここで少年に逆らったらどうなるかわからない、という恐怖も確かにあった。
しかしそんなことよりこの少年への興味のほうが大きくなっていくのを初春は感じていた。

何故この部屋にいるのか。

何故あの男にこんなにも似ているのか。

「自分のことを覚えているか」と訪ねたが、どういうことなのか。

初春は抑えられない好奇心によって動かされる自分自身に、死んでも知らないぞ、と人ごとのように心の中で呟いた。

少年の顔と背中の羽根にばかり気を取られていたせいで気づかなかったのだが、よくよくみなくとも、少年の格好はおかしかった。

手にはサラリーマンが使うような無骨な黒いカバン、足は裸足、何故か白衣を身に纏っている。

その白衣も少年には大きすぎるのか袖がグルグルと捲られており、裾は地面についていた。

しっかりとすべて止められたボタンのその上からは何故か素肌が覗いており、思わず凝視してしまう。

(え、え? もしかしてこの子、この下何にも……!?)

「お察しの通り、この下は全裸だ」

初春の思考を読み取ったかのように少年はニヤニヤとしながらそう答える。

何これセクハラじゃないのか。
むしろ少年の肢体を凝視した自分のほうがセクハラなのか。

初春は顔を真っ赤に染めながらあうとわけのわからない言語を吐き出す。

そんな初春を他所に、少年は床に腰を下ろす。
裸白衣で床に直座りとなると、なんだかよからぬものが見えてしまいそうな気もするが、白衣の裾が長すぎたため、その心配は回避される。
まったくもって優秀なやつである。

「まあこのふざけた格好についてはおいおい説明するとして、だ」

少年は初春を見上げてにやりと笑う。

「まずは自己紹介といこうじゃねえか」

なあ、お嬢さん。その喋り方はやっぱり自分を蹂躙した男と同じもので、

「レベル5、序列は第二位」

まさか、と初春は思う。
そんなはずがないと、否定する。

「垣根帝督だ。あん時ぶりだな、肩は平気か? お嬢さん」

死んだはずの人間が目の前にいた。

「それで?お前の名前は?」そのあとに続いた質問に初春は答えることができない。

有り得ないはずの現実が目の前にひろがる。

「ありえない……」

気付けばそう呟いていた。

少年ーー垣根はニッとわらってそのつぶやきに答える。

「おいおい、ここは天下の学園都市だぜ? そりゃまぁ普通に生きてたら拝めるわけもねぇが、人一人作り上げるのなんて造作もねえ。十八万ありゃあできちまう」

「例えば超電磁砲の模造品とかな」クスクス笑いながらそう紡ぐ。
垣根が何を言っているか初春には理解できない。

死んだ、と聞いていた。
そりゃあ生きているという噂だってあったが、噂は噂だ。
その噂ですら人間の尊厳もへったくれもない状態で生かされているといっていたくらいなのに。
目の前の垣根はサイズは違えど五体満足で笑っている。

人工的に人間を作る、なんてことは禁忌ではないのか。
許容してもいいことなのだろうか。

頭の中で情報が行き交う。

初春の中の学園都市がぐにゃぐにゃと歪む。

裏側が表側を侵食する。

「まあ詳しいことは俺にもよくわかんねぇ。俺の体を作り上げた研究者ももう死んでたしな」

混乱する初春をよそに垣根はペラペラと話し続ける。

「で、だ。研究者が俺を復活させたせいかなんかしらんが殺されたみたいでな。こんな中途半端な姿で培養器からでてきちまったっつうわけだ」

「全裸で出てきて着るもんなんにもなかったから、その辺にあった白衣かっぱらってきた」、と笑う垣根の声が初春にはどこか遠くから聞こえてくるような気がする。

正直いっぱいいっぱいだ。
どこから手を付けていいのかもうわからない。

わからない、からもう全部ぶん投げることにした。

初春は何かを諦めたように一つため息をつく。

もう固定観念は捨てよう。
倫理とか道徳にまで気を配っていたら、この非現実とは向き合えない。
きっと、目の前の少年の言うとおり、彼は垣根帝督その人なのだ。

初春は垣根を正面に腰をおろし、その目を見る。

「なんで生きてるかとか、正直よくわからない部分は多いけど、とにかく貴方があの、第二位の、垣根さんだってことはわかりました。でも、あの、なんでわたしの家に居るんですか……?」

なんでか生き返ったことはわかった。
もうそれはどうだっていい。
でもなんでこの人はここにいるんだろう?
初春にはそれがわからない。

「ああ、それな」

垣根は友人に向けるような気安さで初春に向かってこう告げた。

「行くとこねぇんだ。暫く泊めてくれ」

「ふぇぁ!?」

大きな爆弾を投下して垣根帝督(小)と初春飾利の物語は再び交差した。

以上です

また三日いないにこれたらいいなと思います
それでは

しまむらくん、それに>>1乙である

おひさしぶりです>>1です

引越しと新生活とか上司しねとかでなかなか時間がとれませんでしたすんません

ものすごく少ないですが投下します

初春飾利は白いもやの中にいた。
となりには白い鳩。
初春の体右半分に体をぴったりとよせてきており、なんだかあたたかい。

もふもふもふもふ、もふもふもふもふ。

大きくて白い羽に体を預けてその体温を堪能する。


(あったかい、しあわせ……)

(ふかふか、もふもふ…...、きもちー……)

(あれ、そういえば鳩ってこんなに大きい鳥だったけ……)


鳩の体躯の大きさに疑問を持った瞬間、唐突に初春の世界は暗転した。
気付けば、自分の部屋の天井が真上にあり、首をかしげる。
どうやら夢を見ていたらしい。

(あれ、でも右側はまだあったかい……?)

何故だか自分の右側が何妙にあたたかいことに初春は気付いた。
もしかしたら本当に白いもふもふ、もとい鳩がいるのかもしれない。

(それはさすがにないですよねー)

苦笑しながら右側に首を傾ける。


「……ッ!?」


白いももふもふは存在しなかったがその代わりに真っ白な白衣を着込んだ少年が寝ていた。

見知らぬ少年と同衾している事実に呼吸が止まるかというほど驚いたあと、昨晩あったことを初春は思い出す。

この少年は自分を殺そうとした第二位で、何故だか縮んで、自分の部屋に転がり込んできた、ということを。


昨夜は無理やり色々なことに納得して、受け入れてはみた。
だがやはりそう簡単に許容できるようなことではない。

人事であれば「それどこのコナンくんだよ、爆笑」ですんだ事柄だろう。
しかし自分の身近で起こるとなると洒落にならない。

しかも相手は自分を殺しかけた人間である。
爆笑、の一言ではすまされない。


(えーっと、これからどうしよう……)


勢いで垣根と一緒の布団で眠ってしまったものの、問題は何一つ解決していない。

眠気のせいか、はたまた許容量異常のことが起こったせいか鈍く回転する頭で初春は考える。

どうやったら、この男は出て行ってくれるのか。
そもそもなんで初春の家なのか。

(…お風呂に入ってこよう……)

とりあえず、難しいことはあとで考えることにした。

***

(とりあえずもう一度垣根さんと話をしよう)

熱いシャワーを頭から浴びながら初春は考える。

昨日は一方的に話しをされて、初春が物事を尋ねるタイミングなんて殆どなかった。
ついでに言えば度胸と、冷静な思考力もあんまりなかった。

だから今日は毅然とした態度で接しよう。初春は思う。
そうしたうえできちんと「出て行ってください」と頼もう。
初春は決意を胸にする。

“出て行ってもらう”ことを“頼もう”と考えている時点で、自分の立場が物凄く下になっていることに小市民初春は気付かない。

(やるぞ、やろう、やってやるんです、三段活用!)

ふけば飛びそうな小市民的決意を胸に風呂場から勢いよく飛び出し部屋に戻ると、二段ベッドの上の茶色と目が合った。

瞬間硬直。

初春の中のやってやんよ、してやんよ!がしおしおとしぼんでいく。

ベッドの上の主はそんな初春の様子など気にも留めずぼりぼり頭を掻いたり、まだ眠たいのか目をこすってみたりしていた。
少しくらい初春のことも考えてもらいたい。

とりあえずここで硬直していてもしかたない、ひとことビシッと言ってやらねば。
初春はあくびを隠しもしない垣根に向かって口を開く。

「あさごはん、たべますか……?」

「おー」

悲しいくらいに初春は小市民だった。

***

パンとインスタントスープと適当にあった野菜をぶちこんだサラダの簡単な朝食を作り、並べ、垣根と向き合うこと早10分。
朝が弱いのか、初春の目の前に座る少年はもそもそとパンを咀嚼するだけで言葉を発しない。

昨晩はあんなにぺらぺらとひとりで喋っていたのにこの違いは何なのだ、と初春は思う。

しかし、突破口は自分で切り開かなければならない。
待っているだけではだめなのだ。
初春は目の前でスープの熱さに咽る垣根に向かっておそるおそるといったように口を開く。

「あのー、垣根さん……?」

「食事中に話しかけんな、行儀悪ぃ」


一蹴された。瞬殺だった。


というか、お行儀のはなしとか、人の家に勝手に不法侵入した挙句、人のベッドを勝手に使い、あまつさえ食事まで取っている野郎に言われたくない。

しかも全裸白衣という、うれしくないオプションつきだ。


正直、初春は少しイラっときた。
なんかもうイラっときた。

苺ジャムをべったべったと塗りたくった食パンを右手に構える。


おおきく振りかぶって、


そのまま垣根の顔面に投げつけた。



初春が小市民から戦士にジョブチェンジした瞬間だった。

以上です

また休みのうちにがんばりたいです

では

あー、あと春上さんについては名前しか知らないのでサクッと脳内削除してありました
すみません、アニレー見よう見ようと思ってはいるんですが時間が……

皆さんの中で適当に脳内保管お願いします

スレタイで

垣根「服が濡れてメルヘンできない……」

初春「垣根さん!新しい服ですよ!」

シャキーン

垣根「元気100倍!未元物質!」

一方通行「カーキクーケコー」

みたいな内容かと思ったら違った

                     /V\(_oく¨´(`Y⌒Y´L__
                  r'Y⌒)L__人| (__,゚ヽ__)V´Y7
               ∠ (_,ィ_jー<_ノ匕レⅣV※(´ oくミ、
                厶ィ ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`¨マ__,く
              ,′ ..::::::::i::::|:::::|:::::!:::::::::i:::::';::::::::..廴j
               | ..::::::::|::::|::::|:;:::|::: |:::}:::::| ::::|:::::::i:|::::|
               | .:::i:::::|:ーヒ刋::L:::ト廴::L::::|:::::::i:|::::|
             V:::|::::jィrz=r、`   ァr=zrミ`|::::::从:::{
              ム从::{` Vソ      Vソ〃j:::::::;':个 、
                 厶ィヾ,,,¨´   '     ¨´,,,厶ィく::从
                  从{     , 、      __ツ::「 `
     r、 ,、            ‘ ,   {__)     小::!'⌒` いやいや、なめてもらっちゃあ困りますね
__r //r'‐っ        ___个. 、     ,. イ::ハ:::| 
 ̄⊂ニ{丶 {└‐、    , {,////ト从i }¨ ´ ト 乂__ヾ_    私だってレベル1の超能力者!結構自信あるんですよ
     \   ‘,  / V//////i′   「///////ヽ
      `ヽ  | /   V/////|ー、__//////// }  え?能力?すごいですよ~強いですよ~!
        │  |/   丶 Ⅳ////l三////////  |

                /V\(_oく¨´(`Y⌒Y´L__
               r'Y⌒)L_人| (__,゚ヽ__)V´Y7
                  ∠ (_,ィ_j <_ノ匕レⅣV※(´ oくミ、
             厶ィ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...`¨マ__,く

              / ..:::::::::i::::|:::::|:::::!:::::::::i:::::';::::::::::廴j
                 ∧ :::::::|:::|::::|:;:::|::: |:::}:::::| ::::|:::::::i:|::::|
               《 ノ:::i::::|ーヒ刋::L:::ト廴::L::::|:::::::i:|::::|
            〃|::i:|::::| -‐    ‐- `ヾ:|::::::从:::{

               /' ム从:::{,r==ミ     r==ミ、 j:::::::;':个 、
           rイ′ 厶ィヾ,,,    ,      ,,,厶ィく::从
            / }     从{    _      __ツ::「 `
          /‐く}      ‘ ,   {   )    小::!'⌒` ま、保温なんですけどね
        / 二_‘     ___个..、 ー '  . イ::ハ:::| 
.        ′  ィ_}   , {////ト从i }¨ ´ ト 乂__ヾ_
       |    }   / V///// i′   「///////ヽ
       |  _/  /   V//// |ー、__//////// }
       │  i  /   丶 Ⅳ///,l三////////  |

心配してくれた方ありがとうございます>>1です
胃痛は普通に寝たらなおりました
やれやれだぜ

今回ぬるいですがリョナっぽい描写があるので苦手な人注意
大好物な人もぬるすぎるので注意
投下します


少女を取り囲む男の数は三人。
喧嘩自慢の男でも勝てるか微妙な数だ。

恐怖から震える足に力をこめて初春はもう一度男たちに向かって叫ぶ。

「その人をはなしてください!」

男たちはそんな初春をちらっとみて、
「風紀委員だってよ」「ワンショーしてねえじゃん」「つーかかわいくねえ?」
「いやでもちょっとロリはいってね?」「おまえロリコンかよ、キモー」
「おじょーちゃんはさっさとおうちに帰ってくださーい」
などと勝手なことを言っている。

少女の周りからどく気配も、手を放すそぶりすらみせない。
ただにやにやと品定めでもするように初春をみる。


勢いにまかせて飛び出した初春に何か策があったわけではない。
はっきり言ってノープランだ。
もしかしたら支部にの残した留守電をきいて、
白井なり他の風紀委員なりが駆けつけてくれるかもしれないが、望みは薄い。

とにかく、少女だけでも逃がさなければ。
非戦闘員の自分に何ができるのか、初春は必死に考える。

初春の能力は保温だ。
触っている対象の温度を一定に保つことのできる能力。
ただそれだけの能力。
日常生活で重宝することはあっても、この場を打破するにはなんの役にも立たない。

ともなるとやはりここは特攻しか手段ない。

初春は震える足で地面を蹴り、少女の手をつかむ男の体に肩から突っ込んだ。


勢いよく初春に体当たりをくらった男は、手をつかむ少女もろとも地面に倒れた。
瞬間、少女から手が離れる。

初春は倒れた男の足にしがみつき、その近くにいた別の男の足を掬うように蹴り上げる。
地面に這い蹲った状態での蹴りの威力などたかが知れている。
それでもないよりはましだったようで、男のバランスがわずかに崩れた。
少女が逃げるための道が開く。

「逃げてください!!」

初春は少女に向かって叫ぶ。

また別の男の手が伸ばされてくるのを少女はすんでのところでかわす。
初春を残して逃げることを戸惑う少女に初春は更に叫ぶ。

「早く!」

自分は風紀委員だから大丈夫だ、と。

少しの間考えるようなそぶりを見せた後、少女は再度自分に伸びてくる手を振り払って走り出した。

「助けを!よんでくるから!」

そう叫んで路地から抜け出した少女を見送り初春は息を吐き出す。
少女を逃がすことはできた。
今度は自分の番だ。


体勢を立て直した男が三人、不機嫌そうな顔で初春を見下ろしている。
ああ、この顔は見覚えがある。
この顔は、対象を痛めつけようとしているときの顔だ。

地面に膝をついたままで初春は三人の男を睨みつけた。

***

初春の腹に男のつま先がめり込んだ。
初春の口から声とも呼べないような音が漏れる。
昼間に何も食べていなかったことが幸いしてか吐瀉物を撒き散らすようなことは無かったが、
それでも口から胃液やら唾液やらが流れ出す。

どこか遠くのほうから「おいおいその辺にしとけよ」などという下品な笑い声が聞こえる。
正直、今の初春は意識を保っているのがやっとだった。
いたぶられた体の痛みで、ようやく意識を繋いでいるような状態である。


少女が逃げたあと、初春は男たちに髪の毛を掴まれ、引きずられ、裏路地に面した廃ビルに連れ込まれていた。
どうやらこの場所がこの男たちの縄張りであるらしい。


床に倒れ、鼻血まみれの唾液まみれで、それでも初春は負けじと男たちを睨みつける。
その瞳が、男たちの嗜虐心を煽る事を初春は知らない。


男のうちの一人がしゃがんで初春と視線を合わせる。
にやにやと笑うその顔が腹立たしくて初春の眉間にさらに皺がよる。


「なあおじょーちゃん。そんな顔してっけど自分の立場とかわかってる?」

男の幽かな笑いを含んだ声がビル内に響く。

「そんな怖い顔して俺らのこと睨みつけるより、少しでも尻尾振って媚売ったほうがいんじゃねーの?」

なあ、と後ろ二人に同意を求めるように振り向く。
後ろでその姿を同じような顔で傍観する男二人もそーだ、そーだとその声に続く。


「俺たちだって、オンナノコこんな風に痛めつけるなんてすきじゃねーしなあ」

「ああ、どうせだったら、優しくかわいがってやりてぇよなあ」

「でも女ボコリながらセックスとかまだしたことねーし、ちょと俺興奮してきたかも。
そっちのが締まりいんだろ?」

「お前やっすいAVのみすぎじゃねーの?」


下品な会話に、下品な笑い声。
不快で不快で仕方ないのに、立ち上がることさえもできない。
悔しくて涙が出そうにあるが、こんな男たちの前で泣くのなんて嫌だった。
歯を食いしばって耐える。


もう少し自分の能力が高ければ世界は変わったのだろうか。
もう少し自分の身体能力が高ければ立ち上がれたのだろうか。

非力な自分を恨むことはあっても、少女を助けたことを初春は後悔しない。
ただ、自分の非力さを嘆く。

誰のせいにもしない、すべて自分で背負う。
そういう強さが初春にはあった。

そんな初春だからこそ、垣根帝督を受け入れることができたのかもしれない。

そんな初春だからこそ、垣根帝督は身を寄せる場所として頼ったのかもしれない。


そんな初春だから、こそ、



「おい、そこで何してんだクソ野郎ども」



慣れない道を走り、汗だくになりながらも、垣根提督は助けに来たのだ。

以上です

また休み中に来たい

いつもいつも間が空く上に短い投下で申し訳ありません>>1です

とりあえず投下します


翌朝同じ時刻、垣根帝督は昨日と同じように公園にいた。
理由は簡単、初春に追い出されたからである。
学校もない、やることもない。そんな人間が日中うろついていても何も楽しいことがないことをあの女はわかっていないと垣根は思う。
それでも、寮監に見つかったらだとか、家の中ばっかりだと体に悪いだとかそんな風に少し困った顔で言われてしまうと従うしかなくなってしまう。
自分をこんな風に操れる人間なんて今までいなかったのに。
何もかも始めてづくしのこの生活をなんだかくすぐったく感じながら、昨日蜂蜜を塗りたくった木のひとつに目を向けた。


「なん……、だと……!?」


予定ではクワガタやらカブトやらがわらわら群がっているはずだった。
酒池肉林の入れ食い状態でうっはうはのはずだった。
しかし現実はどうだろう。
垣根が蜂蜜を塗った部分には鈍く光る体を持つカナブンと斑模様の蛾の大群が群がり、女こどもが見たら泣くんじゃないかという戦場を作り上げていた。
思わず垣根も目をそらす。
グロい。これはちょっとグロい。


「……まあ今日日カブトムシとかデパートで買えるしな。わざわざ野生でハントする必要性とかまったくねえし、ねえし……」


ちょっと涙目になりながら木から一歩二歩と後ずさる。
それから一目散にブランコのある場所へと駆け出した。

***

「あ!てい君!!」

半泣きでブランコを漕いでいるとなじみの薄い名前で呼ばれた。
涙を拭って顔をあげる。
そこには昨日と同様絹旗がいて、垣根の顔を見るなりおろおろと慌てだした。


「ど、どどど超どうしたんですかてい君!涙目っていうか泣いてるじゃないですか!」

「都会の自然に放浪されただけだ、気にするな」

「超意味がわからないんですが……。ああ、こすっちゃだめですよ!真っ赤になっちゃいますよ、ほら」


そう言って自分の袖口でごしごしと垣根の顔を拭う。
結局それならば手で擦っても同じなんじゃあないかと垣根は思ったが、
絹旗があまりにも心配そうな顔をするのでそのままにさせておいた。
我ながら丸くなったなあと思う。


「てい君大丈夫ですか?超落ち着きました?」

「おぶっ!顔、擦りながらっ!話しかけんの、ぶっ、やめろっ!いい加減いてえ!!」

「それは超失礼しました。で、大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない」


多少ひりひりと痛む顔をしかめながら垣根が答える。絹旗はほっとしたようにへにゃりと笑い「それはよかったです」と口にした。


「しかし今日も今日とて独りブランコですか。超寂しいですね」

「お前だって独り公園じゃねえか。哀しさで言ったらどっこいどっこいだ」

「まあそれもそうですけど。結局、人は超一日ではそう簡単に変われないって訳ですよ」

「何だその口調。しかしなるほど違いない」


垣根の横のブランコに座り、雑談に興じる。
内容のない他愛のない会話。
不思議と悪い気はしない。


垣根の漕ぐブランコと速さをあわせるように足を動かしながら絹旗は楽しそうに言葉を紡ぐ。


「といわけでてい君」

「ん?」

「今日も超楽しくお話をしましょう!」


とりあえず垣根の本日の予定が決定した。

***

昨日と同様、缶ジュースを片手にどうでもいいような話をつらつらとする。

しかし昨日と違った点がふたつ。

ひとつは、垣根も相槌を打つばかりでなく、例えば先ほどのカブトムシの話だとか、“姉”の話だとか、当たり障りのないことを話して聞かせたこと。

もうひとつは、不自然なほどに。
本当に不自然なほどに絹旗の口から“浜面”と言う単語が紡がれなくなったことだ。


きっとそこを敢えてつつくような真似をすれば、昨日の惨劇が再び襲い掛かってくるのだろう。
だから垣根は絹旗に合わせる。
不用意にそのことについて触れない。

時折絹旗が「はま……」とだけ言って口篭るところも見ない振りをしてやる。
哀しい顔も気付かない振りをしてやる。

泣いたら面倒くさい、また黒豆サイダーを顔面に浴びるのはごめんだ。ただそれだけだ。
別に自分が優しいからとか、そういうことは一切ない、と思う。


それなのに、帰る間際、絹旗は笑った。

「てい君は超優しいですね」そう言って、笑った。

***

「なあ、かざり。俺ってやさしいか?」


垣根の正面でセロリをもしゃもしゃとする初春に、今日絹旗に言われたことの真偽を尋ねてみた。
初春は黒目がちな目をきょとんとさせて垣根をみつめる。
いきなり何を言っているんだろうこの子は、という視線がなんだか痛い。


「質問の意図がわからないんですが、なんなんですか?いったい」

「いや、だから、俺ってやさしいと思うか?」

「ていとく君がやさしいか、ですか?いや、まあ普通にやさしくないんじゃないですか」


今日だってお夕飯の準備、全然手伝ってくれませんでしたしね。そう言って初春は少しおかしそうに笑う。
そんな初春の反応になんだかむっとくるものがあったが、まあそうだよなあ、とセロリを初春の皿に移しながら垣根は思う。

たとえば初春のような人間をやさしい人間だと言うならば、垣根はきっとその正反対の位置にいるだろう。
人を踏みにじって、踏み潰して。堆く積み上げられた屍の上で生を啜り生きてきたような自分が優しい人間であれば、世界の半分以上の人間が聖者だ。

味噌汁を啜りながらそんなことを考えていると、垣根の頭に温かいものが乗せられた。初春の、手だ。


「でも、まあていとく君素質あるとおもいますよ。やさしくなれる」


わしゃわしゃと垣根の頭を撫で回しながらそんなことを言う。
なんだそりゃ、と垣根が心底訳がわからないという風に呟くと、「だから、やさしい人間になれる素質ですよ、素質。」と笑った。
意味がよくわからない。


「お前、何見てたらそんな風に思えんの?ばかなの?死ぬの?」

「ばかじゃないですし、死にませんけど。でもありますよ、絶対。」


それがまるで、当たり前のことだというように初春は力強く言葉を紡ぐ。


「だって、ていとく君はわたしの弟なんですから」


そんな根拠にもならないようなこと言って初春は微笑んだ。

本当にいきなりなにをいいだすんだこいつは、と垣根は思う。
弟だからなんだって言うのだろう。
そんな腹の足しにもならないようなことが、何の関係があるのか。
だいたい垣根はほんとうのところ初春の弟なんかではなし、むしろ年齢だけなら年上だ。


それでも、初春が自信たっぷりに、そんなことをいうものだから。

垣根も少し笑って、「それもそうかもな」と答えた。

以上です

もっとはやくかけるように頑張ります

あけましておめでとうございます>>1です

ほっぺにちゅーはありませんが投下します


あんなに会いたいと思っていたくせに、いざ目の前に会いたいと思う人物がいると、体も頭もうまい具合にはたらかないらしい。
公園の出入り口に立つ制服姿の少女、絹旗はゆっくりとブランコから半分腰を浮かせた状態で固まる垣根の前に立った。
垣根の頭はまだうまく回らない。


「超お久しぶりです」

「……お、おお……」

「元気でした?」

「……おお」

「浜面に会ったらしいですね」

「……おお」

「さっきから『おお』ばっかりじゃないですか」


くすくすと笑いながら絹旗は垣根の隣のブランコに腰を下ろす。
垣根もそれに倣って再度そこに腰掛けた。


先ほどまで無人だったそこに、絹旗の姿がある。
その光景になんだか現実味がなくて、都合のいい夢なんじゃないかとすら思える。
ためしに自分の頬を引っ張ってみた。
普通に痛い。

そんな垣根の行動を見て、「幻じゃあないですよ」と絹旗は笑った。


「今日超はじめて学校、行ってみました」


絹旗の腰かけたブランコがゆらゆらとゆれる。
垣根はゆれる絹旗をぼんやりとみながら次の言葉を待った。
絹旗の視線は地面に向けられていて、その表情はよくみえない。


「校門のとこで超しり込みしてUターンしてきちゃいましたけど、またがんばってみようと思います」


そう言い切るか言い切らないかのところで絹旗は勢いよくブランコから立ち上がり、垣根の前に立つ。
表情はちょっと泣きそうだ。

立ち上がり、自分より少し高い位置にある絹旗の顔を見上げると、絹旗はくしゃりと顔を歪めて泣き笑いのような表情を作った。
もう一押し何かあれば泣き出してしまいそうな雰囲気にどうしていいかわからなくなり、垣根は反射的に絹旗の頭に手を伸ばす。
以前そうしたようにゆっくりと撫でてやると、目じりに溜まるものがゆるゆると溶け出し、零れた。
泣かせまいとのばした手はどうやら逆効果だったらしい。
絹旗の流す涙がはらはらと落ち、地面に染みを作る。

泣かせるつもりなどなかったのにどうしてこうなった。
というかもしかしなくても俺が悪いのか。
どうするのが正解なのかわからずただ絹旗の頭をわしゃわしゃと力任せに撫でていると、絹旗の腕が伸びてきて、垣根はそのまま抱きしめられた。


涙交じりで時々むせ返りながら、絹旗は抱きしめたままの垣根に向かってごめんなさい、ごめんなさいと繰返す。
悪いことをしたこどもが、ただひたすらに親に許しを請うように、その言葉だけを懸命に。

ごめんなさい、ごめんなさい、ていくん、ごめんなさい。ともだちなのに、だいすきなのに、ごめんなさい。

嗚咽に混じって聞こえる馬鹿みたいに素直な言葉が垣根に届く。
垣根は絹旗の背に手を回し、親がこどもにそうするように、とんとんと優しく叩いてやる。


「別に気にしてねえし、怒ってもねえよ。それよりお前がんばったんだなあ」


えらいえらい。
呟きながら背中を優しく撫でてやると、まわされた腕の力が更に強くなり、嗚咽がすこしだけ、大きくなった。

絹旗の嗚咽がおさまるまで、ただただそうしてブランコの前で抱き合う。
いままで少し肌寒く感じていた公園が、今日はなぜか暖かかった。

***

泣き止んだ絹旗と少し話し、お決まりの「また今度」の挨拶を交わしたあと、垣根は自分の住む寮への道をてくてくと歩く。
すぐに全てがうまくいくとは思わないが、あの様子ならば絹旗はもう大丈夫だろう。
なんだかすがすがしい気分になり、自然と足取りも軽くなる。
今なら空も飛べそうだ。いやまあ実際飛べるけど。

少々浮かれすぎた頭でもって歩いていたせいだろうか。
なんというか前方不注意。
平たく言えば角から出てくる人影とモロにぶち当たり、よろけて地面に転がった。
以前であればこんな失態犯すこともなかっただろうに。

とりあえずぶつかった人物にたいして謝罪をしようと顔を上に向ける。
「悪い」と口に出そうとして、『わ』の形を口が作ったところで時間が止まった。
脂汗がだらだらと流れて、落ちる。

ここから、ここから早く逃げなければ。
頭はそう思っても体が動かない。
演算もうまく組む事ができない。

そんな垣根の様子に気付いているのかいないのか。
垣根がぶつかった“女”は、地面に未だ座り込む垣根に対して優雅に手を差し伸べ、微笑を浮かべる。
















「こんにちは、ぼく。また会ったわね」


ピンクさらしにブレザー姿の痴女、結標 淡希はそう言ってきれいに笑った。

以上です

今年もよろしくお願いします

ステイルの中の人のライブに行ってきました、>>1です
すげー興奮した


ちょっと今回からしばらく文体がいつもとちょっと違うかんじです
わかりにくかったらごめん

○月×日(水) はれ

かざりにやさしい人間になるためには自分の行動を省みる必要がある。
よって日記をつけて1日の行いを反省してみてはどうか、と提案された。
めんどくさいから嫌だといったのだが、その瞬間あの小動物のような眼で見られてどうしようもなくなった。
あれはずるい。なんだかさからえない。ひきょうだと思う。

よって飽きるまでの期限付きと、絶対に中身を見ない、という約束でこれを書くことになった。

とりあえず今日は変態と遊んで疲れたのでもうねる。絹旗のこととか色々あったはずなのに変態のせいでなんかもう余韻とかぶち壊しだ畜生。

○月△日(木)くもりのちあめ

雨が降りそうなので出かけた振りだけして家にいた。
ちょうどかざりの借りてきた『やさしい男性』なるものが出てくる少女マンガが大量にあったのでそれを読んで過ごすことにした。

読んでいた漫画に出てきた風早という男が顔面的にも精神的にもイケメンすぎてなんだか死にたくなった。
イケメンでクラスの人気者でさわやかでいいやつとかねーよ……。ねーよ……。
風早はこんなにさわやかでリア充な日常を送っているというのに、
方や俺は奴隷調教とかして遊んでたのかと思うと本当に死にたくなる。
自分の人生にもう一回絶望したくなった。
読んでて何度かベランダから飛び降りそうになった。
恐ろしい漫画である。

かざりの借りてきた少女マンガはこんなイケメンばかり出てくるのかと思うと恐ろしくなってこれ以上読めなかった。
なんだか精神が不安定になって歯がぐらぐらしてきた気がしたので、
かざりの本棚からジョジョ五部を取り出してきてそれを読んで心を落ち着ける作業に没頭した。
メローネもチョコラータもゲス野郎過ぎて安心した。


とりあえず今度あのメス豚に会ったらやさしくしてやろうと思う。
そういや名前しらねえや。
まあいいか。

○月▼日(金)はれ

公園でハトにパンの耳をあたえていたらお高い珈琲カップみたいな色合いのシスター?がやってきて、横で羨ましそうに見ていた。
こいつもハトにえさをやりたいのかと分けてやったら、満面の笑顔でお礼を言ってパンの耳を食いだした。
お前が食うのかよ。
なんだかやたら美味そうに食うので、残りのパンの耳全部くれてやった。

パンの耳を全部食い終わった後、シスターは大きく手を振って去っていった。
なんだかいいことをしたような気がして気持ちがよくなった。
これで一歩、俺は風早に近づけたのかもしれない。


帰り際に絹旗を見かけた。
なんだか同じ制服を着たツインテールの女と歩いていたので話しかけるのはやめておいた。
どうやらなんとかなっているらしい。よかった。


帰ってからもう一度少女マンガにチャレンジしてみた。
やっぱり駄目だった。死にたい。
基がイケメンすぎて死にたくなった。
俺も親に見捨てられた女子高生の保護者になってやりたい。

ていうか親やら世間やらに見捨てられた俺が女子中学生に保護者になってもらってるじゃん。
俺がヒロインポジションじゃん。


かざりのほうがヒーローに向いてる事実にまた死にたくなってきた。
ねよう。

○月●日(土)はれ

今日は風紀委員の仕事がないらしいかざりと家でDVDをみた。
これも例の『やさしい男性』が出てくる系少女マンガ的それだった。
死にたい。

一本目は妙に昭和臭い格好をした女とバイオリン作りになりたいの男が出会って、
歌って、坂道登って、結婚しようみたいな、そんなはなしだった。
「お前を乗せてこの坂上るって決めたんだ」じゃねーよ。
勝手に決めてんじゃねーよ。
リア充死んで欲しかった。

なんか男の方がちょっとストーカーぽくて気持ちわるかった。
自分の読みたい本先回りして全部読んでるとかこえーよ。
どんな精神系能力者だよ。

でもかざりはなんでかきゅんきゅんきてるみたいだった。
わけがわからん。
風早のがどうみてもイケメンだろう。


次に見たのが時をかける系少女の話だった。
登場人物がドリカム編成だったが、ちょっとゲイに人気ありそうな方の男はストーリー上そんなに重要でもなかった。
ていうか千昭がイケメンすぎて死にたくなった。
俺この日記の中で何回死にたくなってるんだろう。
あー、青春してえ。
女子とチャリ二人乗りしてえ。

終わった後、かざりが「これで最後かもしれないんだから千昭はちゅーぐらいするべきですよ!」とか言ってラストに不満を漏らしていた。
意味がわからん。
そんなもんなのか、と尋ねたらなんかドヤ顔で「お別れのちゅーは鉄板ですよ」とか言ってた。
ドヤ顔が腹たったのでほっぺた潰してたこちゅう顔つくってやった
殴られた。

ここは帝春………なのか?

>>418
帝春の気持ちで書き始めたらなんだかよくわからなくなりました

こんばんわ>>1です
春コミの原稿が終わらなくてむしゃくしゃするので投下します
例によって短いです

○月■日(月)くもり

まだ節々が痛い。が、まあそのうち直るだろう。

いつものように公園に行ったら浜面ことしーちゃんがリストラしたサラリーマンよろしくブランコを漕いでいた。
正直係わり合いになりたくなかったので回れ右して帰ろうかと思ったら見つかってつかまった。
なんか同棲してる彼女と喧嘩して家を追い出されたらしい。
「浮気か?」と尋ねたら「ちげえよ!」と怒鳴られた。
なんでも彼女の楽しみにしていたプリンをそうとは知らず遊びにきていた絹旗に出してしまったらしい。
予想以上にくだらなくてなんかもう勝手にしてくれと思った。

それから一緒に色鬼とか氷鬼とかして遊んだ。
どうでもいけど2人で氷鬼とか無理ゲー過ぎる。
タッチされた瞬間おわりじゃねえか。

でもまあなんか、割と、楽しかった。
また機会があったら遊んでやってもいいとおもう。

○月◎日(火)はれ

本当に俺が呼んだら来るのか試してみようと思って、空に向かってメス豚を呼んでみた。
マジで来た。びびる。
なんなの、盗聴とかされてんの?
自分で命じておいてなんだがマジで3秒以内に来られると怖い。
なんで速攻呼び出し?に答えられるのかは聞いてみたら愛だと答えられた。
愛ってすげえ。

風早を見習ってメス豚にやさしくしてやろうと思っていたので、とりあえず今日はやさしくしてやることにした。
何かしたいことがあるかと聞くとペットショップに行ってリードと首輪を選んで欲しいと請われた。
ド変態じゃねえか。
そのあと買った首輪をはめてほしいだとかリードを引いて欲しいだとか頼まれたら周囲の目線的にたまらないので、
どうにか手を繋いで服屋で服を選んでやることで妥協してもらった。
手を繋いだ瞬間メス豚からもれた、「ショタの高めの体温デュヒヒ……」と言う呟きが大変気持ち悪かった。
なので蔑んだ眼で見てやったらなんかひどく興奮していて、さあに気持ちが悪かった。
なんでもこいつのご褒美なるな。
ドMっていうのは最強の戦闘種族なんじゃないかと思う。

服屋からの帰り道、学校帰りらしい絹旗と遭遇した。
なんかしらんがわなわなと震えてメス豚を指差しながら、「何ですかその女……!」とまるで夫の浮気現場を目撃した妻みたいなことを言い出した。

説明がめんどくさかったので知り合いのメス豚だと言っておいた。
久しぶりなので色々話したかったのだが、なんだかぶつぶつ言ってて自分の世界に入ってる感じだったので放置して帰った。
なぜかメス豚は絹旗のほうを向いて勝ち誇った顔をしていた。
なんなんだこいつら。

○月□日(水)はれ

なんだかだるい気がする。風邪か?

いつものように公園に行ったら絹旗がブランコを漕いでいた。
なんだか俺を待ってたらしい。
学校はいいのか聞くと、「そんなことより大切なことがあります」と真剣な顔で言われた。

まさか学校でいじめとかにあったのかと聞くとどうやらそう言うわけではないらしく、なんでかしつこくメス豚について聞かれた。
どうやら俺が変な露出狂にたぶらかされていると思ったらしい。

ある意味あっているのでなんともいえないが、あいつはもう俺の所有物なわけだから、とくに俺にとって不利益なことはしてこないだろう。
しても廃棄するだけだし。

そんなようなことをもう少しマイルドな言葉で説明してやったら、目に涙をいっぱいためて「不潔です!」と叫んで帰ってしまった。
もしかしたらまた嫌われてしまったのかもしれない。
軽く落ち込む。

家に帰ったらよほど俺がしょんぼりとした顔をしていたのか、かざりがやたら心配してきてちょっとうっとおしかった。
でも頭をなでてもらうのはそんなに嫌いじゃあない気がする。
子供扱いっぽくて腹たつけど。

以上です
また脱稿した頃にきます

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