上条「食蜂って可愛いよな」御坂「え?」(1000)

vipでちょっとだけ書いたけど落ちてたのでこっちで書く

食蜂×上条←御坂

とりあえずあっちで投下した分から

御坂「ちょ、ちょっと待ってよ。何であいつの名前がそこで出てくるわけ!?」

上条「え? 言って無かったっけ。実は……」

食蜂「上条さぁ~ん☆」 ギュッ

上条「あ? おう、ちょうどよかった。はいこれ。この前借りてたジュース代」

御坂「え? え? な、何?」

食蜂「もう上条さんたらぁ、そんなのいいのにぃ」

上条「そうはいかねぇだろ。年下なんだしさ、食蜂」

食蜂「食蜂だなんてぇ、操祈って呼んでぇ」 

上条「え……あ、ああ……じゃあ、えっと……操祈」

食蜂「なぁに? 上条さぁん☆」

御坂「ど……どういうこと……?」

上条「ああ、実は俺、食蜂と付き合うことになったから」

食蜂「ごめんねぇ、御坂さぁん」 ニヤニヤ

御坂「」

御坂「つ、付き合うって……え? ちょっ、えぇ!?」

上条「何驚いてんだよ。上条さんだって健全な男子高校生。彼女の一人や二人いたっておかしくないですのことよ」 ドヤッ

食蜂「上条さぁん、今からどこか行きたぁい」 ムギュッ

上条「そ、そうだな。じゃあどっか行くか。そんな訳だから御坂」

御坂「ちょ、ちょっと待った!」

上条「なんだよ」

御坂「騙されて……ないわよね?」

上条「はぁ?」

御坂「この女の能力で操られてるとかじゃないわよね!?」

上条「何言ってんだよ。そんな訳ないだろ。なあ操祈」

食蜂「くすんっ……御坂さん酷ぉい……。私ぃ、大好きな上条さんにそんなことするわけ無いのにぃ……くすんくすん」 ムギュッ

上条「ほ、ほら! してないって!」

御坂「えー……」

食蜂「上条さぁん、御坂さんがひどいのぉ。私の方が可愛くておっぱいも大きくてお友達も多いからって妬んでるのねぇ……」

上条「御坂、お前等同じ学校に通ってる仲間なんだから仲良くしろよな」

御坂「あんたは黙ってなさい! ちょっと食蜂、何のつもりよ……」

食蜂「何のことぉ?」

御坂「とぼけないで! あんたがそこの男と……つ、付き合ってるなんて、おかしいじゃない!」

食蜂「何がおかしいのぉ?」

御坂「何がって……そう! いつの間に知り合いになってたの!?」

食蜂「冗談みたいな話だから信じてもらえないかもしれないけどぉ、路地裏で怖い人達にナンパされてたら上条さんが助けてくれたのよぉ」

御坂「くっ! ありがちだけに否定できない……!」

上条「そうそう。それで連絡先交換するようになって」

食蜂「御坂さんの知り合いだって言うからぁ、上条さんとお話が盛り上がって私から告白しちゃった☆」

上条「されちゃった☆」

御坂「くぅっ……!」

上条「御坂、お前常盤台だと浮いてるんだって? 操祈が心配してたぞ」

御坂「それは心配じゃなくて馬鹿にしてるだけよ……」

食蜂「ねぇ上条さぁん」 ムギュッ

上条「は、はいっ!」

食蜂「どこか二人きりになれるところ行きたいわぁ」 キラキラ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

御坂「なっ!」

上条「そ、そうだなー、ど……どこ行こうか」 ゴクリ…

食蜂「上条さんが今考えてるところ、行ってもいいわよぉ」 ウルッ…

上条「お、おお……」 ドキドキ

御坂「こらぁっ!! あんた中学生でしょ! 淫行! 淫行反対!!」

食蜂「うん? ああ……そういう設定だったわねぇ。あれ嘘、私実は上条さんと同い年の高校生だったのぉ。
    ってことで私の改竄力でどうにでもなるから大丈夫よぉ」 ムギュッ

上条「って言ってるぞ」

食蜂「って言うかぁ、御坂さんどこのことだと思ったワケぇ? クスクス、御坂さんのエッチぃ」

御坂「なっ……!」

上条「そ、そんなわけだからまたな御坂」

御坂「こ、高校生でも駄目なもんは駄目でしょ!」

食蜂「必死ねぇ、御坂さん。嫉妬は見苦しいわよぉ」

上条「御坂くらい可愛けりゃいい男がすぐ見つかるだろ」

御坂「ふぇ!!? か、可愛い……!??」

食蜂「ピクッ……ねぇ上条さぁん、私はぁ? 可愛くない?」 キラキラ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条「可愛いに決まってんだろ。上条さんには勿体ないくらいの美少女っぷりだよ」

食蜂「やだぁ。御坂さんが見てるわよぉ」 

御坂「……」 ギリギリギリ…

上条「じゃな御坂。上条さん達、これからデートなので」

食蜂「御坂さぁん、どこかいいデートスポット知らなぁい? あっ、ごっめぇん。
    御坂さんってぇ、デートしたことないんだっけぇ。私ったら失敗失敗☆」 コツンッ

御坂「……」 プルプルプル…

上条「まあ御坂も自販機蹴って遊んでないで、彼氏でも作って健全な学生生活を送れよな」

食蜂「じゃぁねえ、御坂さぁん。また学校で詳しくお話してあげるわねぇ」 ニヤニヤ

御坂「……」 プルプルプル…

上条「さーて、どこ行こうかなー」

食蜂「上条さんのお家はぁ?」

上条「えー、それさすがにまずいんじゃ……」

食蜂「上条さんのエッチぃ」


キャッキャッウフフ! イチャイチャ! スタスタスタ


御坂「…………何で?」 グスッ

ふぁみれす!


御坂「何なのよあいつはぁっ!!」 ガブガブッ!!


ガツガツッ! ハムハフハフッ! ズルルルルッ!


初春「ど、どうしちゃったんですか御坂さん……」

佐天「今まで見た事も無いくらいやけ食いしてるね……」

白井「わたくしにも何が何やら……」

御坂「悪かったわねぇ常盤台で浮いてて! 私だって好きで浮いてんじゃないっつの!」 ガツガツッ!

初春「あのー……御坂さーん?」

御坂「あぁんっ!?」 ギロッ

初春「ひぃっ!」

佐天「よしよーし、怖くない怖くないよー初春ー」 ナデナデ

白井「お姉様、やけ食いは感心致しませんわよ」

御坂「何が私より可愛くて胸も大きくて友達が多いよ! 
    あいつの友達なんて全部能力で操ってるだけの取り巻きじゃないの!」 ハムハフハフッ!

佐天「御坂さんっ!」 ダンッ!

御坂「へっ!? な、何!?」

白井「やっと気付きましたの。お姉様ったら夢中になってお召し上がりになっているから。
    どうかしましたの? よかったら話してくださいな」

御坂「え、でも……」

初春「そ、そうですよ! こんなに荒れてる御坂さん見た事ないですし、私達で力になれることなら相談に乗りますから!」

佐天「と言うか、話してもらわないと気になって仕方がないです。こんなこと今までなかったのに」

御坂「う、うん……ありがとう。実はね――」

御坂「――という訳なのよ」

佐天「へぇ……」

初春「はぁ……」

白井「……」

御坂「あ、あれ……?」

佐天「ちょ、ちょっとタンマで!」

初春「(ど、どうします佐天さん……?)」 ヒソヒソ

佐天「(どうするも何も……これって御坂さんの失恋というか、ただの僻み?)」 ヒソヒソ

白井「(むしろわたくしとしては願ったり叶ったりですの……)」 ヒソヒソ

御坂「?」

初春「(力にはなりたいですけど……別に彼氏さんが寝取られたとかそういう話でも無いですし……)」

佐天「(うへー、初春言うねぇ。寝とるだって)」

初春「(ち、ちち違いますっ! それは言葉のアヤで……)」

佐天「(分かってるよ。御坂さんと付き合ってた人って訳でも無いもんね。
     でもどうしましょう白井さん。話聞いてると御坂さんてその男の人のこと好きだったみたいですけど)」

白井「(まあ確証はありませんけど恐らく……。
     と、とにかく……わたくし達に出来ることはお姉様をお慰めすることくらいですの)」

佐天「(うん。御坂さん可愛いなぁ)」

初春「(もうっ、佐天さん! 御坂さんは本気で悩んでるんですよ!)」

佐天「そうだけどさぁ……こればっかりはどうしようも……」

御坂「ね、ねえ」

三人「「「!!」」」 ビクッ

御坂「ど、どうしたらいいと思う?」

佐天「えっ!? えーとそれは……ね、ねえ初春?」

初春「わ、私ですか!? そ、それはですね……えっとえっと……あうあう、し、白井さんパス!」

白井「ちょっ初春! あ、あの……お、お姉様」

御坂「……」 ウルウル

白井「う……」

佐天「(ちょ、ちょっと白井さん早く何か言ってあげてくださいよ。御坂さん泣きそうじゃないですか)」

初春「(そ、そうですよ!)」

白井「(諦めろなんて言えるわけないですのっ……)」

御坂「やっぱり……駄目なのかしら……」 グスッ

三人「「「!?」」」

御坂「諦めるしか……ないのかなぁ……」 ポロポロ…

佐天「そんなことないです!」

初春「そうです!!」

白井「!?」

佐天「御坂さん! 諦めたら終わりですよ! 取られたら取り返せばいいんです!」

初春「佐天さんの言う通りです! 御坂さん! 後を追いましょう! 奪い返すんですよ!」

白井「ちょっ、二人ともそんな無責任な……」

御坂「奪い返す……そ、そうよね! その手があったわ!」

白井「……」

御坂「こうしちゃいられないわ! 3人ともありがとう! あいつら追いかけてくるわ!」 ガタッ!

佐天「がんばってください!

初春「ファイトです御坂さんっ!」

御坂「うん!」


ダダダダダダダ…!


佐天「……」

初春「……」

白井「お二人とも……やってくれましたの」

佐天「だ、だってああ言うしかないじゃないですかー!」

初春「どうにかなりますよきっと! 御坂さんなら!」

白井「はぁ……まあ仕方ありませんわね。何も言えなかったわたくしに二人を責める資格なんてありませんもの
    頑張ってくださいましね、お姉様……」

まちなか!


御坂「さて……デートっつったらこの辺だとは思うけど……」


食蜂「上条さぁん、あーん」

上条「あーん、モグモグ」

食蜂「アハっ、クリームがついてるゾ☆」 ペロッ

上条「! は、はは、照れるなー」


御坂「」

御坂(何やってんのよあいつらはー!! あの馬鹿デレデレしちゃってムカつくー!
    私にはそんな顔見せたこと無いくせに!!) ギリギリギリ…

食蜂「私ぃ、男の子とこんなことするの初めてなのぉ」

上条「そ、そうなのか? 操祈は可愛いからモテまくってるもんだと……」

食蜂「声をかけてくる人はいるけどぉ、上条さんみたいに素敵な人は初めてよぉ」

上条「そ、そうかな……」 テレッ

食蜂「上条さんはぁ、私みたいな子が彼女で嫌じゃない?」

上条「嫌な訳ないだろ! こんなに可愛いのに……」

上条(胸も大きいし……) ジー

食蜂「私ぃ、精神系能力者だから上条さんの考えてること読めちゃうのよねぇ」

上条「えっ、マ、マジで!?」

食蜂「おっぱいが好きなのねぇ」 クスッ

上条「やっぱり俺の考えてることが……」



御坂(あんたの視線で丸わかりなのよこのドスケベがぁっ!)

食蜂「でもおっぱいもいいけどぉ、私の事ももっと見て欲しいな☆」

上条「み、操祈……!」 ドキーンッ! ダキッ!

食蜂「もうっ、上条さんたら、人が見てるわよぉ……」

上条「付き合ってるんだからいいだろ……」

食蜂「そうねぇ。あ、上条さんが今考えてること当ててあげましょうかぁ」

上条「な、何だ?」

食蜂「操祈たん可愛いよぉ、ペロペロちゅっちゅっしたいよぉ、ですって?
    ふふ、上条さんの甘えんぼさん☆」 ツンッ☆

上条「ふ、ふぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!」



御坂(何あいつ……能力とか抜きですごい。手玉に取ってる……)


上条(可愛い……可愛すぎる……! 怖いくらいですのことよー!) ハァハァ…

食蜂「息が荒いわよぉ、上条さん。運動した後みたい」

上条「あ、ご、ごめん。ちょっと緊張して」

食蜂「本当に? 嬉しいわぁっ」 ムギュッ

上条「はぁぅっ!」 ドキッ

食蜂「私もぉ、すっごく緊張してるのぉ……ほらぁ、心臓がこんなになってる」 ムニュッ

上条「あはぁぁああああんっ!」 ドキーンッ!!

食蜂「ねえ分かるぅ? 私のちっちゃい心臓さんがぁ、上条さんに好き好きって言ってるのぉ」 ムニッムニッ

上条(こっ、これはっ! 辛抱たまらんっ!) ハァハァ


御坂(実は能力使われてんじゃないでしょうね……)

食蜂「上条さぁん、次はどこ行くぅ? 私あんまり学舎の園から出たこと無いから、色々案内して欲しいわぁ☆」

上条「ん、そ、そうだな……女子中学生って普通どこ行くんだろ」

食蜂「私ぃ、上条さんとならどこへでも行くわよぉ?」

上条「ど、どこへでも……」 ゴクリ…

食蜂「上条さんは、どこ行きたい?」 ジッ

上条(おほぉぅっ! 目がキラキラしてますのことよ! ああ……こんなカワイイ彼女が上条さん好き好き光線を……!
    もう死んでもいい……!)

上条「じゃ、じゃあ……とりあえずセブンスミストだっけ……? あそこ行ってみるか?」

食蜂「……」

上条「え、だ、駄目?」

食蜂「上条さんてぇ、紳士なのねぇ」

上条「へ?」

食蜂「だってぇ、あんな風に言ったらホテルとか連れて行かれちゃうんじゃないかってちょっと心配してたの。
    でも上条さん、私の事大切に扱ってくれるのねぇ。嬉しくて……死んじゃいそう……」 ギュッ

上条「おぉう……」 トローン…

御坂「ぐぬぬ……」

土御門「ふーむ……」

御坂「へ?」

土御門「ん? 何だ、お前も上やんの尾行かにゃー?」

御坂「い、いや……」

御坂(この人確かあいつの友達の……)

土御門「オレのことはおかまいなく。ちょいと面白いことになってるから後つけてるだけですたい」

御坂「そ、そうですか……」

土御門「いやー、しかしカミやん骨抜きにされちまってるみたいだぜい。いいのか?」

御坂「!? な、ななななんで!?」

土御門「さっきからハラハラ見守ってるみたいだったからにゃー」

御坂「べ、別にハラハラなんか……」

土御門「お、移動するみたいだぜい」

御坂「は、はあ……?」

セブンスミスト!

ワイワイガヤガヤ…

上条「結構人いるなー」

食蜂「そうねぇ。はぐれちゃったらどうしよぉ。寂しくて泣いちゃうかもぉ……」 チラッチラッ

上条「じゃ、じゃあ……」 スッ

食蜂「クスッ……」

上条「手、繋いでもいいか……?」

食蜂「上条さんの手、あったかくて大きいわねぇ」

上条「そ、そうかな」

食蜂「私達ぃ……どこからどう見ても恋人同士よねぇ?」

上条「はは、そう見えるんじゃないでせうか……」


土御門「あーあ……デレッデレだぜい……」

御坂「もう我慢できない! 突撃して」

土御門「待て待て」

御坂「何よ!」

土御門「あの食蜂っていう超能力者、ちょっとおかしいと思わないか?」

御坂「あいつはいつもあんなもんでしょ……」

土御門「何の目的でカミやんに近づいてるのかちょっと気になってな」

御坂「目的って……あいつら付き合ってんじゃないの?」

土御門「なんか匂うんだよにゃー……カミやん騙されてるような……」

御坂「ええ? でも……」


食蜂「上条さぁん。下着、見てもいいかしらぁ」 ウルッ…

上条「いいですとも!」

食蜂「上条さんはぁ、私にどの下着着けて欲しい?
    こっちの可愛いやつぅ? それともぉ、この……エッチなの?」」

上条「そっちでお願いしますっ!」

食蜂「アハハハぁっ、上条さん男の子ねぇ。貴方だけ……特別だゾ☆」

上条「は、はははは……」 デレー

御坂「確かに露骨な誘惑が……」

土御門「性格かもしんないけどにゃー。……まあ念のためな。
     カミやんに何かあるとこっちも困るし」

御坂「困るって、何が困るの? ま、まさかあんたあいつのこと……!?」 ヒキッ

土御門「それはない」

御坂「あ……そ、そう」 ホッ

土御門「まあ色々とな。おっと、カミやんがランジェリーショップで一人待たされてるぜい……くくく、そわそわしてやんの」


上条(さ、さすがに下着屋で一人はきつい……試着まだかな) ソワソワ…

食蜂「上条さぁん……この下着、スケスケよぉ」

上条「そ、そうですかっ!」

食蜂「見たい?」

上条「い、いや……」

食蜂「上条さんがぁ、イイ子にしてたら見せてあげるわねぇ☆」

上条「ほ、ほああぁぁぁああぁぁあ!!!」

食蜂「お待たせぇ。買っちゃった☆」

上条「そ、そっか……」 ゴクリ…

食蜂「もしかしたらぁ、次のデートで着けてきちゃうかもぉ」

上条「おお……」 ドキドキ

食蜂「そしたらぁ、見てくれるぅ?」

上条「見ます! 喜んで見ますのことよ!!」

食蜂「アハハハぁ、エッチぃ。でもぉ、上条さんならいいかなぁ」

上条「ハァハァ……」


土御門「カミやん見てられないぜい……」

御坂「まったくだわ。ムカつく……」

土御門「おっと、次は上の階か……」

とりあえずvipで書いた分はここまで。


2階!


食蜂「ふぅん、結構可愛いものが揃ってるのねぇ」

上条「操祈は買い物も学舎の園の中なのか?」

食蜂「まあねぇ。あそこなら何でも揃うし」

上条「やっぱ物価高いもんばっかりだったりするの?」

食蜂「そうねぇ。安物は少ないわぁ」

上条「俺には縁がなさそうだな……」

食蜂「男子禁制よぉ。私の改竄力でどうとでもなるけどぉ」

上条「はは、機会があったらな。ところで、次は何見る?」



土御門「何かフツーにデートしてるぜい」

御坂「……」

食蜂「新しいパジャマが欲しいわぁ。見てもいい?」

上条「もちろん。にしてもパジャマか、確か御坂も前にここで……」

食蜂「上条さぁん」 ギュッ

上条「わっ! は、はい!」

食蜂「デート中に他の女の子のことなんか考えちゃだーめ☆」 ツンッ

上条「あっ、ご、ごめんな……」

食蜂「次考えてたらぁ、怒っちゃうゾ☆」

上条「わ、悪かった」 デレー



土御門「カミやんって押したら結構楽勝なんじゃね?」

御坂「そんな気がしてきたわ……」

土御門「さすが童貞だぜい……」

御坂「あんな分かりやすいぶりっ子に騙されてんじゃないわよ……」

土御門「やっぱそうだよにゃー……」

上条「どんなパジャマにする?」

食蜂「上条さんはどんなのがいい?」

上条「え? でも俺見る機会あるかなー」

食蜂「お泊り……させてくれないのぉ……?」 シュン…

上条「ぁはぁんっ!!」 ドッキンコッ!

食蜂「……クスクス」

上条「じゃ、じゃあ選んじゃおうかなー、なんて……こんなのどうだ?」

食蜂「えー、キャラものぉ? 上条さん私にそんな子供っぽいもの着て欲しいの?」

上条「中学生だったらこんなもんかなって……」

食蜂「最近の中学生はぁ、結構大人なのよぉ? こことか……ここも」 ムギュッ

上条「ゴクリッ」

食蜂「それにいくらなんでも中学生にもなってそれは無いわよぉ。そんな子いないいない」

上条「そうか? じゃあ……」

御坂「悪かったわねぇ……キャラもののパジャマ着てて……!」 ギリギリギリ…!

土御門「抑えて抑えて……。ありゃ間違いなくお前のこと言ってるよな」

御坂「ほんと嫌な奴」

土御門「……」

御坂「どうしたの?」

土御門「いや……」


上条「お、こっちは大人っぽいのもあるぞ」

食蜂「どれどれぇ?」

上条「操祈にはやっぱり可愛いのが……」

食蜂「どうしたの? ……あらぁ」 ニヤニヤ

上条「ち、違うぞ! 決してコレを着て欲しいわけじゃ……!」

食蜂「やだぁ……こんなの、恥ずかしい……」 カァァッ…!

上条「だ、だよな……こっちに普通のが」

食蜂「でも……上条さんのためだったらぁ、着るわぁ……」 クスッ

上条「っっ!!」

土御門「うーん……やっぱどうも怪しい」

御坂「何が」

土御門「カミやんを誘ってるとしか思えないぜい」

御坂「誘ってるじゃないどう見ても」

土御門「いやいやそうじゃなくて……」

御坂「?」


食蜂「買ってきたわぁ。上条さん、お泊り楽しみにしててね」

上条「はは……い、いいのかな」

食蜂「いいのよぉ。だって私ぃ、上条さんの彼女だモン☆」

上条「そ、そっか。嬉しいよ」

食蜂「この後どうするぅ?」

上条「服とか見なくていいのか?」

食蜂「常盤台って普段から制服着用ですもの」

上条あー、そういやそうだったな。うーん、それじゃ軽く飯で」

食蜂「……」 ギュッ

上条「も……?」

上条「あのー……食蜂さん……?」

食蜂「操祈……」

上条「!」

食蜂「操祈って呼んでくれなきゃ嫌ぁ……」 フルフルッ

上条「み、操祈……みんな見てますよー」

食蜂「見られたっていいわぁ……ねぇ上条さぁん」

上条「な、なんでせうか……」

食蜂「上条さんのお部屋でぇ……いちゃいちゃしたぁい……」 スリスリ

上条「……っっっ!!!」



御坂「っ!」 ガタッ!!

土御門「落ちつけ、まだ出るな」

御坂「だ、で、でも……!」

土御門「いいから。カミやん家オレの部屋の隣だから踏み込むのはいつでもできる。
     それより……何企んでる食蜂操祈」

上条「あー……で、でも俺の部屋は……その」

食蜂「駄目なのぉ?」 ウルウル…

上条「えっと、同居人が……」

上条(まぁいいか、別に……金渡して飯でも食いに行ってもらうとしよう。
    悪く思うなインデックス! ここが上条さんの勝負時なんですのことよ!) グッ

上条「ああ、分かったよ」

食蜂「嬉しいっ! 上条さん大好きぃっ!」 ムギュッ

上条「うほっ……!」

上条(ああ……柔らかい温かい気持ちいい……女の子って良い匂いがするんだなぁ……) ホワァ…

食蜂「じゃあ行きましょ行きましょぉ☆」

上条「お、おう……」


スタスタ…


御坂「さっきと変わったとこ無いけど……」

土御門「いや、待て……」


食蜂「……クスクスッ」 チラッ



御坂「!?」 ゾクッ


土御門「こっちに気付いてるみたいだぜい

御坂「今、笑ったわよね……」

土御門「ああ」

御坂「もしかして……私への嫌がらせのために……あいつと……?」

土御門「かもな。……しっかりしろよカミやん」



上条(いいのか、いいんですかー!? 二人きりってことはつまり……うんうんそういうことだよなっ!
    いやいや、相手は中学生だ、健全に健全に。でもちゅーくらいはしても……いいよな?) ソワソワ…
    

食蜂「クスクスクスクス……」





とりあえず今日はこんなもんで。
食蜂さん超電磁砲で出たばっかなので致命的な設定ミスがあったらhtml行きになるかも…。
また近いうちに来ます

こんばんは。

カップリングに関してですが、あくまで食蜂×上条です。
上琴好きの方は申し訳ない。上琴にはなりません。
みさきち大勝利になるかは言わずにおきますが、食蜂×上条のスタンスは崩しません。

というわけでよろしくお願いしますね。

今日も投下します。

―――


スタスタスタ…


食蜂「~♪」

食蜂(たまには学舎の園の外に出るのもいいわねぇ。
    ちょっと街並みに景観力が足りないけどぉ、ま、こんなもんよね)

食蜂(取巻きの子達がぞろぞろ着いて来ないっていうのもそれはそれで解放感があるわぁ。
    一人でショッピングもたまには悪くないじゃない) クスクスッ

食蜂(後は何かこう面白い出来事でもあればいいんだけどぉ、それは無理かしらねぇ)

食蜂(あら、もうこんな時間。ちょっと遅くなっちゃったかしら。
    タクシー使いたいけど最近太っちゃったしぃ、代謝力アップのために頑張って歩きましょぉ)


スッ


食蜂「?」

チンピラA「へっへっへ」

チンピラB「ねえ君、どこ行くの? 俺たちが送ってってやろうか」

食蜂「結構でぇす。私ぃ、急いでるんでぇ☆」



チンピラA「そんなこと言わないでさぁ。こっち近道だから」

チンピラB「楽しいサービスも着いてるよ、おいでよ」 ガシッ

食蜂「うーんとぉ、そういうの困るんでぇ」 スッ

チンピラA「は? なんだそりゃ?」

チンピラB「テレビのリモコンか? げひゃひゃひゃっ! そりゃ大層な護身用具だなぁ!」

食蜂「男の子同士の禁断の愛ってぇ、見てみたかったの☆」

チンピラA「あ?」

チンピラB「何言って……」

「よう! お待たせー!」

食蜂「?」

チンピラA「なんだぁ?」

チンピラB「んだテメェは。何か用ですかあ?」

「あー悪い悪い。この子俺のツレなんだ。じゃあそういうことで」 ギュッ ダッ!

食蜂「ええっ!?」 グイッ

チンピラA「あっ! 待てこら!」

チンピラB「ちくしょう! 逃がすか!」

タッタッタッ…!!


「よし、ここまで来ればいいか。ふぅ……常盤台の子ってのは狙われやすいのかな」

食蜂「あのぉ……」 タッタッ

「もう大丈夫だから」

食蜂「……え」

「怖かっただろ。もう心配いらないからな」

食蜂「……――――っ」

「じゃ、気をつけて帰れよ。この道は大通りだから多分ああいう連中いないからさ。それじゃな」

食蜂「待って」

「うん?」

食蜂「えっとぉ……一応助けられちゃったので……お礼を――――」


――――




コツコツコツ… スタスタスタ…


食蜂「ふぅん、上条さんってこういう寮に住んでるのねぇ」

上条「ああ、まぁな。大して綺麗なとこじゃないけど」

食蜂「そんなことないわぁ。普通の寮って憧れるもの。
    これからは来てもいいのよねぇ?」

上条「あ、ああ。俺がいるときなら。……よし着いたぞ。この部屋だ」

食蜂「くすっ、楽しみぃ。エッチな本は隠してきたぁ?」

上条「そ、そんなもんありませんっ!」

食蜂「本よりもっと刺激的なものを見たいでしょ?」

上条「……」

食蜂「正直者ね。後でねぇ」

上条「は、入ってくれ」 ガチャッ!

食蜂「クスクス、お邪魔しまぁす」

禁書目録「とうまぁっ! 遅いんだよ!! 私がこんなにお腹を空かせているというのにとうまは一体
何を……して」


食蜂「……」

禁書「えっと……」

上条「あ、操祈。こいつはインデックスって言って、うちの居候で家族みたいなもんだ。
    飯はよく食うけど特に害は無い」

食蜂「女の子と同居してるのねぇ」

上条「ま、まあそうなんだけど……そういうんじゃないから」

食蜂「女の子と同居してるのねぇ」

上条「ああ……でも」

食蜂「ふぅん、まぁいいわぁ」

禁書「とうま、この人は?」

上条「お、おう! この人は食蜂操祈、聞いて驚け、なんと俺の」

食蜂「彼女でぇす☆」 キャピッ☆

禁書「え……あ、そ、そうなんだ……」

上条「おう。操祈、そっちの部屋で待っててくれ。今何か飲み物でも持ってくから」

食蜂「はぁい」


スタスタスタ…

禁書目録「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」とてしか言わなくなったインデックスが真っ先に浮かんだ・・・・・


食蜂「……」

禁書「……」

禁書(な、なんだか気まずいんだよ……)

食蜂「……ねえインデックスちゃん。私達ぃ、恋人同士なの、分かるわよねぇ?」 ニコッ☆

禁書「う、うん……分かるんだよ」

食蜂「私が何が言いたいかぁ、分かるわよねぇ?」 ニコッ☆

禁書「え……あ……」

食蜂「分かるわよねぇ?」 ジッ…

禁書「……」

上条「お待ちどうさま。麦茶しかないけど」

食蜂「ありがとぉ☆」 キラッ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

禁書「と、とうま……私ちょっと出かけてくるんだよ……」 コソコソ…

上条「お、そうか?」

食蜂「はいインデックスちゃん。これで何か『ゆっくり』美味しいものでも食べて来てねぇ」 ⊃[\10000]

禁書「う、うん……ありがとうなんだよ……」


上条「おいおい、操祈。いいよそんな。俺が出すから」

食蜂「だって、インデックスちゃんは私達に気を遣って二人きりにしようとしてくれてるのよ。
    このくらいさせてもらわなくちゃ悪いわぁ……。
    そんな気を遣わなくたっていいのにぃ……」

禁書「え、いいの?」

食蜂「……ありがとぉインデックスちゃん。その気持ち無駄にしないように私、頑張るからね☆」

禁書「……あ、うん……」 トボトボ…

上条「あ……な、なぁインデックス。別にいいんだぞ、いても……」

禁書「え? と、とうまそれ本t」

食蜂「うぐっ!」

上条「!? どうした操祈!」

食蜂「ハァ……胸が……」

上条「どうした!? 痛むのか!?」

食蜂「上条さんと二人きりになれると思ったら……ドキドキして……破裂しちゃいそぉ……」 キラキラキラ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条「操祈……」 キュンッ

禁書「……」


食蜂「ねぇ上条さぁん……さすってぇ……」

上条「え」

食蜂「胸がぁ、苦しいのぉ……」 ムニッ

上条「」

禁書「とうま……行ってくるね」

上条「よ、よし。さすればいいんだな!」

禁書「……」


スタスタスタ…バタンッ


食蜂「……」 ドンッ

上条「いてっ。み、操祈……?」

食蜂「ああ、でも上条さんに触られたら私キュンキュンして死んじゃうわぁ……。
    さするのはまた今度ねぇ」

上条「え、あ……分かった」 ショボン

食蜂「クスクス、そんなお預けされたワンちゃんみたいな顔しないでぇ。
    上条さんがいい子にしてたらぁ、きっとご褒美をあげるわぁ」

上条「ご褒美ですか……」 ゴクリ

食蜂「上条さんのこと大好きだからぁ……私のこと甘やかしてねぇ?」

上条「は、はい……」 ドキドキ

>>76
俺も好きだが、精神系の使い手ということでこういう発想しか出来ない・・・・

―――


ガチャッ


禁書「ハァ……」 トボトボ…

御坂「あ」

土御門「あ」

禁書「え? た、短髪!? どうしてこんなところに!?」

御坂「あんたこそ……追い出されたみたいね」

土御門「オレでもビックリの手際の良さだぜい……」

禁書「短髪あの人の知り合いなの!? そう言えば同じ制服着てたんだよ! 何なのかなあれは!?
    私のこと邪魔者扱いして追い出したんだよ! 目が全然笑ってなかったんだから!」

土御門「こりゃ臭いな」

御坂「ええ」

禁書「失礼なんだよ! ちゃんとお風呂には毎日入ってるんだから!」

御坂「違うわよ。食蜂のこと。もしかしたらあいつのこと騙してるのかも」


禁書「とうま騙されてるの!?」

土御門「色仕掛けとかされてなかったか?」

禁書「う、うん……胸を触らされてたんだよ」

御坂「ちっ……」 

土御門「羨ましいにゃー。騙されてでもあのスライム乳は揉んでみたいが……とりあえずオレの部屋から様子を伺うか。
     壁薄いから声聞こえるし」

御坂「ねえ、あいつ……やっぱり操られてるのかしら」

土御門「カミやんには幻想殺しがあるからそれは無いと思うけどにゃー、そんなの抜きで心奪われてるぜい」

禁書「だらしがないんだよとうまの馬鹿! あんなののどこがいいのかな!」

御坂「あんたと気が合うとはね……あの女だけは駄目だって……」

土御門「そう言ってやるな。美少女に迫られたら男なんてあんなもんさ」

御坂「そうかもしんないけど……」

土御門「ま、とにかくもうしばらく監視だ、いいな」

御坂「うん」


―――


上条「悪いな騒がしくて、悪いやつじゃないからさ」

食蜂「いいのよぉ。こっちこそ追い出すみたいな形になっちゃって、申し訳ないわぁ……。
    今度お詫びのお菓子でも買ってくるわねぇ」

上条「はは、そりゃ喜ぶよ。さ、座ってくれ。飯食ってくだろ?」

食蜂「はぁい。失礼しまーす」

上条「あ……そこは上条さんの」

食蜂「これが貴方のベッドなのねぇ。くすくす……えいっ!」 ボフッ

上条「お」

食蜂「ふかふかねぇ。何だか落ち着くわぁ」 モフモフッ

上条「おいおい。ずっと寝そべってる気か?」

食蜂「上条さんもこっち来るぅ?」

上条「え……い、いや……」

食蜂「ねぇおいでよぉ。隣座って」 ポンポン

上条「あ、ああ……」



御坂「……っ! ……っ!!」 パクパクッ!

土御門「安心しろ、オレも今ちょっぴり殺意が湧いたぜい」

禁書「とうまのバカぁぁああぁぁぁあああぁあああ……」 ギリギリギリギリ

舞夏「三人とも何してるんだー? お茶淹れたぞー、お菓子もあるぞ、どうだ―?」

御坂「いらないっ!」

土御門「いるぜい!」

禁書「もらうんだよ!!」


食蜂「えへへぇ……上条さん☆」 スリスリ

上条「ははは……」 ナデナデ…

上条(ヤベェ……色んな意味でやべぇ……!
    二人きりになった途端いつも以上の甘え様だ……。
    もしかしてインデックスにやきもち焼いてんのかな……可愛い奴だ) ホワワー…

食蜂「上条さん、どうしたのぉ?」

上条「い、いや……ごめんな、インデックスのこと黙ってて」

食蜂「うーん、それはいいんだけどぉ……」

上条「うん?」

食蜂「まさかここで二人で寝てる、なんて言わないわよねぇ?」

上条「えっ、そ、そんなわけないだろ! 上条さんはいつもお風呂場にお布団敷いてますよ!」

食蜂「何で二人で生活してるの? 付き合ってるなんて言ったらぁ……」

上条「い、言ったら……?」 ドキッ…





食蜂「私の無駄にした時間を返して」





上条「」 ビクッ



食蜂「なんてねぇ☆ そんなこと言わないけど、たぶんすっごく泣いちゃうわぁ、しくしく」

上条「は、はは……安心しろよ。誓ってそんなんじゃないからさ」

食蜂「だったらいいの。上条さんのことぉ、信じてるからねぇ」

上条「ええ子や……」 ジーン…



御坂「ないないそれはない」

土御門「恋は盲目だにゃー……」

御坂「免疫って大事なのね……」

土御門「他人事じゃないぜい」 モグモグ

御坂「分かってるわよ!」

禁書「ガツガツガツッ! とうまのばかっ!」 ハムッハフハフッ!

舞夏「お茶のお代わりどうだー」

禁書「もらうんだよっ!」 ズズズッ!


食蜂「でもねぇ、上条さん……」

上条「ん?」

食蜂「あの子と出来れば離れて暮らして欲しいわぁ……」

上条「え、そ、それは……」

食蜂「女の子と一つ屋根の下なんて、私不安なの……上条さんが取られちゃうんじゃないかって」

上条「大丈夫だよ、そんなの」

食蜂「別の家なら私が借りてあげるからぁ……ね? お・ね・が・い☆」 スッ

上条「あ……食蜂……」

食蜂「また操祈を忘れてるゾ☆ ……ねぇ上条さん……私のお願い聞いてくれたらぁ、ご褒美あげるわぁ……」 ジィッ…

上条「ご褒美……」 ゴクッ

上条(近いっ! 可愛いっ! 良い匂い! ああぁぁあああ耐えろ理性! クールになれ!
    それともいいのか!? いいんですかぁぁぁぁぁあああああっっっ!?)

どう考えても最後が五和あたりに刺される展開しかイメージできない


禁書「……」 

御坂「……ね、ねえもういいでしょ! さっさと踏み込んで!」

土御門「いやまだだ。まだ何も肝心なことを吐いてねぇ」

御坂「で、でも……」 チラッ

禁書「とうま……」 グスッ…

舞夏「どうしたー? お腹痛いのかー?」

禁書「何でもないんだよ……まいか」 グシグシッ



食蜂「上条さんはぁ、何が欲しい? お金? 物? 
    それともぉ……」 ムニッ

上条「~~~ッッッ!」


食蜂「わ・た・し?」 フゥッ


上条「ふ、ふぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」 ブチッ

食蜂「ぁっ……!」 


ドサッ




上条「……」

上条(ど、どうしよう……勢い余って押し倒しちまった……ああああ、も、もういいか。
    このまま行くところまで……) ハァハァ…

食蜂「……二人きりね、上条さん」

上条「あ?」

食蜂「……私に何してもぉ、誰も来ないよ?」

上条「操祈っ!」 ガバッ

食蜂「アハっ☆ じゃぁ上条さん、私のお願い聞いてくれるってことでいいのねぇ……?
    あの子とはお別れってことで」

上条「っ……」

食蜂「よくできました、じゃぁ上条さん、素敵なご褒美を……」

上条「ごめん」

食蜂「……」 ピクッ



上条「インデックスを追い出すのだけは出来ない」


さすが上条さん腐っても上条さん
だけど食蜂さんに記憶喪失のことをインデックスにばらされたらやばいよね


食蜂「……私のお願いでもぉ?」

上条「ごめんな」

食蜂「……」

上条「あ、で、でも本当に不安になる必要は無いぞ!
    お前が遊びに来るときは前もって言ってもらえればちょっと席を外してもらうくらいは」

食蜂「帰る」 ムクッ

上条「え……」

食蜂「なんかそういう気分じゃ無くなっちゃったぁ。
    いいわよねぇ?」

上条「ああ……ごめん」

食蜂「クスクス、凹まなくたっていいのよぉ? 私のお願いが無茶だったんだものぉ」

上条「操祈……」

食蜂「そんな顔しないで、門限が近いから帰るだけだし」

上条「おう……」

食蜂「……クスッ、可愛いわぁ。あの子が帰って来る前に、ソッチも何とかしておきなさいねぇ」

上条「え? うわっ! こ、これはですね! 男として仕方がないというかなんというか!」 バッ


食蜂「じゃあ……」 ガシッ

上条「ん?」


ムニュッ


上条「ッッッ!!!!!!!!!????????」

上条(む、胸がっ! 上条さんっ! 今操祈の胸鷲掴みにさせられてるぅぅぅううっ!?
    すっげぇぇえええええ!!!!!!!)

食蜂「この感触で頑張ってねぇ」 

上条「は……はい……」 ドキドキドキドキドキ…

上条(何という柔らかさ……もはやゲル状ッッッ!)

食蜂「それじゃ、また遊びましょぉね、上条さん☆」 チュッ

上条「はぅぅうんっ……!」 ヘロヘロ… 

食蜂「クスクスクスクス……」 スタスタ…


――――


スタスタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆


食蜂「~♪」

御坂「待ちなさいよ」

食蜂「あら独りぼっちの御坂さぁん。大好きな上条さんを取られた気分はどう?」

御坂「くっ! 隠す気も無いってわけね」 ギリッ

食蜂「ごめんねぇ、あの人ぉ、私に夢中みたいだからぁ。
    御坂さんのことなんて一回も話題に出なかったわよぉ?
    それってぇ、アハっ、御坂さんなんて眼中に無いってことかしらぁ☆」 クスッ

御坂「……」 プルプルプル…

食蜂「上条さんって可愛いのねぇ。でもちょっと私のおっぱい見すぎかなぁ。
    大きいのは分かるんだけどぉ、そんなに目を引くもの?
    なんて、街中で聞こえてくる男の人達の私への気持ち、8割は顔、胸、お尻、脚に向けられたものだから知ってるんだけどぉ。
    ま、全部私に負けてる御坂さんには関係の無い話よねぇ。
    って言うか御坂さんの長所って何ぃ? さばさばしてる(笑)ところぉ?」

御坂「うるさい! そういうあんたは何なのよ! 男の気引く事しか能が無いわけ!?」

食蜂「可愛いところでしょぉ、愛くるしいところにぃ、美人なところ☆
    あと気立てがよくてぇ、スタイルもよくてぇ、男の子にもモテちゃうところかしら」 クスクスッ

クソッ、このままじゃ上条さんの精神が崩壊してしまう・・・・・
同じタイプのオリアナや心理定規で練習して免疫をつけるしかないね。


御坂「ぐぐぅっ……!」

土御門「よう心理掌握(メンタルアウト)」

食蜂「あらぁ?」

土御門「初めましてか? オレは土御門、カミやんの」

食蜂「あぁいいわいいわぁ。話さなくても心を読めば分かるから。ふーん、成程ねぇ」

土御門「はっ、何か分かったか?」

食蜂「生意気ねぇ、心にロックをかけてる。
    でもそんな小手先の技術はせいぜい低レベルの読心能力者にしか通じないわよぉ。
    私はそのロックを開錠するどころか、別の鍵に付け替えることだって出来るんだからぁ。
    永遠に心を閉ざした廃人になりたいのぉ?」

土御門「そうか、そんなことが出来ると分かっただけでもこっちとしちゃ儲けもんだ」

食蜂「で? 何か用? 
    さっきから御坂さんをあわよくば物陰に連れ込んで乱暴しちゃおうって考えてる土御門元春さん?」

御坂「なっ!」 ビクッ

土御門「ブラフだ、いちいち反応するな」

御坂「わ、分かってるわよ……」

食蜂「騙されないで! 御坂さん! その男は貴女を利用しているだけ! 私を信じて!!
    今だって御坂さんの裸のこと考えてるわぁっ!」


悪いがそいつはロリしか興味がない。
舞夏が証明してくれる。


御坂「えっ……」 ヒキッ

土御門「下らねぇ真似は止せ心理掌握。寮の前で騒いでるとカミやんに気付かれるぞ」

食蜂「冷静ねぇ。やっぱり暗部組織の人は違うわぁ、つまんなぁい」

御坂「暗部……」

土御門「聞き流せよ」

御坂「うん……」

食蜂「あれぇ? これって私ぃ、狼少年? クスクス、嘘はつくものじゃないわねぇ」

土御門「何の目的でカミやんに近づいた」

食蜂「ハッ! 貴方……上条さんにそんな気持ちを……ごめんなさぁい、男同士の友情の向こうにある愛情に気づけないなんてぇ……心を司る能力者として」

土御門「それ以上無駄口を叩けば始末する」 チャキッ

食蜂「貴方にはできないわぁ。私のこの余裕が分からないのぉ? 
    貴方なんてぇ、能力でそこの電信柱のお友達にだって出来るのよぉ?」

土御門「口先で煙に巻こうとするとは、余裕の無さが透けて見えるぜ。
     オレには出来なくてもこいつには出来るぞ、なあ『第三位』」



御坂「……まあ、脚くらいは確実に吹き飛ばせるわね」 ジリッ

食蜂「……」

土御門「お得意の人質もいないが、どうする? 話をするだけのために、そんなリスクを負うか?」

食蜂「……」

土御門「……」

食蜂「グスッ……えぐっ!」 シクシク

御坂「!?」

食蜂「くすんくすんっ……どうしてぇ、そんな酷いことするのぉ……ほんのちょっとからかっただけなのにぃ……えーん!」 メソメソ


バンッ! ビシッ!


御坂「ちょっ!」

食蜂「あーあ、冗談も通じないのねぇ……つまんない人ぉ。上条さんを見習ってほしいわぁ。
    私のわがままにも応えてくれt」

土御門「次は壁じゃ済まさねぇぞ」

食蜂「はいはい……何の用? 統括理事会からのお達しかしら。ちょっと遊び過ぎちゃったぁ?
    最近大人しくしてるつもりなんだけどぉ」

麦野「大丈夫よね?私四位だから心理掌握のビッチ女に勝てるよね?みんなそうでしょ」ゴゴゴゴゴゴゴコ


土御門「オレのことは気にするな。訊かれたことにだけ答えろ。気になるなら勝手に心を読め」

食蜂「いいわぁ、何?」

土御門「カミやんに近づいて何を企んでる?」




食蜂「御坂さんの最高の悔し泣きが見たいの☆」




御坂「!?」

土御門「あっさり白状したな……。カミやんのことが好きだってのは?」

食蜂「クスクス……そんな残酷なこと訊くの?」

土御門「そうか、分かった」

食蜂「仕方ないじゃない。最近御坂さんが構ってくれないんだモン☆」

御坂「ちょ、ちょっと待った」


食蜂「何?」

土御門「どうかしたか?」

御坂「おかしいでしょ! 私の悔し泣きって何よ! そこスルーしないでくれる!」

土御門「そこはオレには関係ないしにゃー」

御坂「おい」

食蜂「もういいかしら。そろそろ上条さんへ今日のありがとうメールを打ちたいから帰っても。
    恋愛力の低い彼のことだから、今頃私が怒ってるんじゃないかってハラハラしてるわぁ。
    可哀想。怒るどころか何とも思ってないのにぃ」

御坂「ふざけないで!! あんた、そんなことしてももう無駄よ。今からあいつに報告しに行くから」

食蜂「告げ口ぃ? アハハハハぁ、御坂さん必死ぃ。いいわぁ、そういうの見たかったの。
    あの人が私にメロメロなのがそんなに悔しいのねぇ。
    大丈夫よぉ、貴女に出来なかったことを一通り済ませたら、ちゃんと返してあげるぅ☆
    私のお古でよければねぇ☆」

御坂「ぐ……」

食蜂「まあお好きにどうぞぉ。話題にも上らないただの『お知り合い』の貴女と、絶頂に可愛くて女子力の高い『恋人』の私ぃ、
    どちらの言うことを信じるかしらねぇ、クスクス…」

土御門「一応訊くが、『それだけ』か?」

食蜂「……」 ピクッ


食蜂「……何のことぉ?」

土御門「カミやんに近づいたのはこいつへの嫌がらせのため、それだけってことでいいのか?」

食蜂「うーん……ふふふ、どうかしらねぇ」

土御門「……」

食蜂「例えそうじゃなかったとして、貴方にそれを確かめる術は無いわぁ。
    だってぇ……貴方に私の心は読めないんだモン☆」

土御門「そりゃそうだな。だがそれも今日限りで……」

食蜂「もういい? じゃね」 ニコッ☆

御坂「ちょっ!」

土御門「待て、まだ話は終わってねぇ」

食蜂「あ、そうそう」

土御門「あ?」

食蜂「隣の部屋からうるさい『声』を垂れ流すのってぇ、上条さんとの雰囲気が台無しになるから止めて欲しいわぁ」 クスクスクス…

土御門「……おい、テメェ……まさか」


大丈夫だ。根性さんならなんとかしてくれる。
根性さんなら精神系の能力でも根性で無効化し、戦闘中に心を読まれても(すごいパンチを打つすごいパンチを打つすごいパンチを打つすごいパンチを打つ)としか考えてなくてぼこぼこにする


御坂「え? え……?」

食蜂「次私の邪魔したらぁ……――――」 クスッ

土御門「クソッ!!」 ダッ!




食蜂「――――貴方の大事なもの、学園都市のお空を飛んじゃうかもねぇ☆」




御坂「あ……舞夏!!!」 バッ

食蜂「アハハハハハハハハぁっ!! 冗談よ、怖い顔しないでぇ。
    怖くって涙が出ちゃいそぉだわぁ。
    それじゃあね、お二人とも――


                    ―――ごきげんよう☆」 






今日はここまでで
こんなみさきちでごめんなさい。
少しずつ変わっていきます多分もしかしたらきっと。
ではまた近いうちに来ます。

>>125
なんで過去形wwwwwwwwwwwwソギーは死んでねえよwwwwwwwwwwwwww
たぶん本編でレベル5全員が集まるシーンがあるからその時に再登場すると思う

>>132
M属性ですね。わかりました

上条との濃厚なエロスはあるのですかい?
それによって全裸か半裸か変わる

取り合えず全部脱いだけど

こんばんは。
遅い時間ですが今から投下します。

>>159
エロは未定です。
みさきちが上条さんの前にエサぶら下げてる状態なのでエロやると終わってしまいますw
期待せずに半裸でお待ちを。

――――

上条の部屋


舞夏「なあ兄貴ー。どうして上条当麻に頭を撫でまわされなくちゃいけないんだー?」 ワッシワッシ

土御門「ん? ああ、ちょっとな。どうだカミやん……」

御坂「……何か変わったことある?」

上条「二人とも何だよ血相変えて。何もないぞ」

土御門「本当だな!? 本当に舞夏は何とも無いんだな!?」

上条「あ? ああ……それらしい反応は無かったから」

御坂「よかった……」

禁書「……」

土御門「ってことはまんまとハメられたって訳か」

御坂「まったくタチの悪い冗談なんだから……」

土御門「だが実行に移そうと思えば可能だ。その事実は変わらない」

御坂「そうね。あの女、何考えてんのか全然分かんない……」


上条「二人とも何の話してんだ?」

土御門「カミやん」 ガシッ

上条「な、なんだよ……」

土御門「オレはこれからカミやんに大事な話をする。ショックを受けるかも知れないが、冷静に聞いてくれ」

上条「はあ? ま、まさか魔術師が……」 ヒソヒソ…

土御門「そうじゃねぇ。あの食蜂操祈のことだ」

禁書「……」

舞夏「?」

上条「なんだ。操祈がどうかしたか?」

御坂「いい? あんたはね、騙されてるの」

上条「……は?」

土御門「カミやん、よく聴け。あの女は駄目だ」

上条「い、いや何言ってるか……」


御坂「あんたはあの女のお遊びに付き合わされてるのよ。
    私への嫌がらせって名目で」

土御門「タチの悪い悪戯なんだ。あいつはカミやんを弄んでる。
     頼む、別れた方がいい……!」

禁書「わ、私もそう思うんだよ! みさきが私を見る目……すっごく冷たかったかも。
    でもとうまとは仲が良さそうだったから私……捨てられちゃうのかと思ったんだよ……」

上条「……」

御坂「お願い……! あいつとは別れて! ううん、関わらない方がいい! あいつは他人の心を傷つけて笑ってる最低の人間なの!
    あんたが傷ついて悲しむところなんて見たくない! だから……!」

上条「分かった」

御坂「え……そ、そう?」

土御門「分かってくれたかカミやん」


上条「ああ、お前等がよってたかって他人の陰口叩くような奴らだってことがな」


御坂「!」

禁書「とうま!」

土御門「やっぱそう聞こえるよにゃー……」


上条「お前等に操祈の何が分かるんだよ。優しくて、やきもち焼きで、ちょっとワガママだけどいい子じゃねぇか。
    何でそんなこと言うんだ」

御坂「あんたこそ常盤台での食蜂を知らないからそんなことが言えるのよ!
    昼休みにはプールに派閥の子浮かべて橋作って遊んでるような奴なんだからね!」

土御門「それサラッと言ったけどすっげぇ事だぜい……」

上条「だから何だよ! じゃあそれは注意して止めさせればいいんだろ!
    俺の言うことだったらちゃんと聞くはずだ!」

御坂「どっから来るのよその自信は……」

土御門「カミやん。別にあいつが憎くて言ってるわけじゃないんだ。
     まあ正直思ったよりあいつの行動原理は小さいもんだったからホッとしてるけど、
     でもカミやんが後々傷つくのがだな……」

上条「余計なお世話だ土御門」

御坂「なっ! あ、あんたねぇ! こっちは心配して言ってんのよ!」

上条「お前らがあいつの何を見て、何を知ってそう言ってるのかは分からねぇ。
    でもだからって、はいそうですかって大事に想ってる相手との関係を絶てるわけがねぇだろうが!」


禁書「あ……」

御坂「そ、それは……」

土御門「まぁ正論だにゃー……」

上条「例えあいつが彼女じゃなくて友達だったとしても同じことだ!
    俺は俺自身で判断する!
    仮にお前らの話が本当だったとしてもその時はその時だ」

禁書「とうま……」

上条「お前らの勘違いなんだよきっと。ほらこれ見ろ」

御坂「ん? 携帯?」

上条「操祈からのメールだ。今さっき届いた」

土御門「どれどれ……」


――――――――――――――――――――
from:食蜂操祈
件名:大好きな上条さん☆
本文:
☆*゚ ゜゚*★*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚**゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*★*゚ ゜゚*☆
今日はありがとぉ★
上条さんに押し倒されたのが今でもドキドキして
ます(*>艸<)
もうっ!順序は大事なんだゾo(≧ε≦o)
でもぉ、キュンッてしちゃったから許してアゲル★
ぢゃぁ明日も早いから寝るねぇ(*´∀`)ノ
おやすみぃ(*ゝω・*)
上条さんに夢でも逢えたらいいなミ★ミ☆ミ★
夢の中でも甘えさせてね(´ε`*)

          ★食蜂操祈★
☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆★☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
――――――――――――――――――――


土御門「うっ……目がチカチカする……」

御坂「イタくない……? さすがにこれは……」

上条「こんな可愛いメールを打てる子が、人を騙すなんて真似出来る訳ねぇじゃねぇか!」

土御門「カミやん一応自分の頭右手で触ってみてくれないか?」

上条「ん? こうか?」

土御門「……何ともないにゃー……」

御坂「マジなのね……」

禁書「うー……」

上条「どうしたインデックス? お前も操祈を疑ってんのか?
    そりゃちょっと嫌な思いしたかもしれないけど、あいつもきっと緊張してたんだよ。
    次からは大丈夫だきっと」

禁書「とうまの馬鹿っ! もう知らないんだよ!!!」



上条「お、おい」

禁書「もうとうま達の邪魔なんかしないから勝手にすればいいんだよ! 」
    
土御門「なあカミやん。すぐに信じてくれとは言わねぇけど、一応心に留めておいてくれないか?
     頼む」

御坂「私からもお願い。とりあえず今はそれでもいいから……

上条「……ああ、分かった。ところでさ、何で俺と付き合うことが御坂への嫌がらせになるんだ?」

御坂「そ、そこは深く突っ込まないの!」

上条「?」

土御門「まあそういう意味じゃカミやんと食蜂はお似合いだぜい……あの攻めは見習うべきとこだにゃー」

御坂「うるさい!!」

禁書「ふん!」

上条「何なんだ一体……」

舞夏「女心は複雑なんだぞー。上条当麻ももうちょっと勉強しろー」



――――


学舎の園内 某所


――――――――――――――――――――
from:上条当麻
件名:こっちこそ
本文:
ありがとな!
今思ったけど、学舎の園まで送ったほうがよかっ
たな。次からそうするよ。
おやすみ!
――――――――――――――――――――


食蜂「クスクス……」 パタンッ



縦ロールの女生徒「女王、おかえりなさいませ!」

女生徒A~Z「「「「「「「「「「「「おかえりなさいませっっっ!!!!」」」」」」」」」」」」」」




食蜂「ただいまぁ……はぁ疲れた」 



縦ロール「お荷物を預かりします」

      (今日はお荷物が多い、さぞお持ちになるのが大変だったことでしょうね……)

食蜂「ええ」 スタスタ…

縦ロール「お着換えを。どちらの服にいたしますか?」

      (女王にはどんなお色もお似合いになります。わたくしとしては今日はこちらの水色のワンピースが)

食蜂「ピンク」 スタスタ…

縦ロール「はい。お食事の準備が整っておりますが……」

      (少しお腹が空きました……女王、ぜひお食事を先に)

食蜂「先にお風呂に入るわぁ」 スタスタ…

縦ロール「かしこまりました。女王、御気分でも悪いのですか?」

      (女王のお決めになられたことなら仕方ありません)

食蜂「……」 ピタッ

縦ロール「……女王? 顔色が優れませんわ。どこか具合でも……」

     (心配です……お薬か何か……)


パシィィイインッッッ!!


縦ロール「――――っ!?」


     (叩かれた……? 今、わたくしは女王に頬を叩かれたのですか?)

食蜂「ふふっ……アハハハハぁっ!」 ガシガシッ!! ブチブチッ!

縦ロール「じ、女王? お許しを……! 痛いっ……!」

      (髪は……髪は引っ張らないで下さいまし、女王……)

食蜂「ふふ……ごめんなさぁい。ムシャクシャしてたの。
    気持ちよかったでしょぉ?」 スッ…



ピッ☆




縦ロール「はい。とても爽快でしたわ、女王」 ウットリ…
 
      (女王に乱暴に扱っていただけるなんて……何たる僥倖ですの……)

食蜂「クスクス、そうよねぇ。そうでなくっちゃ。
    まったく腹立たしいわぁ、こんな屈辱は初めて。
    御坂さんなんて可愛いものねぇ。これだから暗部の人は嫌ぁい」

縦ロール「女王、一体何が……」

      (暗部とはなんでしょう。さすが女王、無知なわたくし達は考えておられることがあまりに違います)



食蜂「貴女達はぁ、余計なこと考えなくていいのよぉ。
    ねえ、今日は結構歩いたから靴が汚れちゃったぁ。舐めなさぁい」 ピッ☆

縦ロール「はい、ありがとうございます」 ペロペロ

      (靴……女王の靴……女王の靴の泥を落とさなくてはいけませんわね……)

縦ロール「ピチャピチャ… ピチャピチャッ」

食蜂「ねぇ、疲れちゃったわ。誰か、椅子」

眼鏡の女生徒「どうぞ」 ゴトッゴトッ

         (椅子……重。何もこんな玄関ホールでお座りにならなくても……)

食蜂「あぁ、違う違う。そうじゃなくてぇ……」 ピッ☆

眼鏡「失礼致しました。どうぞ、私にお座りください女王」

   (そうですわ、私が椅子になればいいんですわ!)

食蜂「そうねぇ。ありがとぉ」 ポフッ

眼鏡「そんな……もったいないお言葉です」 プルプル…

   (嬉しい……女王の椅子として生きてきてよかった……)


縦ロール「ピチャピチャ……ペロペロ……」

      (泥……綺麗……泥……靴……おみ脚)

食蜂「ふぅ……落ち着くわぁ。やっぱり自宅が一番ねぇ」

食蜂「面倒な一日だったわぁ。特に最後……」



―――『それだけ』か?



食蜂「クスッ……それだけよぉ」

縦ロール「女王、綺麗になりました」

      (女王の靴の泥は高貴なお味が致します)

食蜂「え? ああ……ありがとぉ」

眼鏡「……」 ブルブルブルブル…

   (苦しい……でも私は誇り高い女王の椅子。バランスを崩したら二度と使っていただけない……)

食蜂「上条当麻……」


――――――――――――――――――――
to:上条当麻
件名:
本文:
☆*゚ ゜゚*★*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚**゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*★*゚ ゜゚*☆
お家につきました(*´∀`)ノ一応報告しておくわね

寮の子達と一緒にお喋りしてるの(*ゝω・*)ノ
寝る前にお風呂入るねぇ★
上条さんは私とお風呂入りたい?(*>艸<)

          ★食蜂操祈★
☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆★☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
――――――――――――――――――――
>送信 ピッ




食蜂「……どうして貴方の心は見えないのかしらねぇ」




翌日

――――

第七学区 大通り


上条「お待たせー」

食蜂「んもう! 遅いわぁ上条さぁん!」 プンプンッ

上条「ごめんごめん。補習が長引いちゃってさ。ほらアイス買ってやるから機嫌治せよ」

食蜂「いらないわぁ。そんな子供じゃないもの」 プィッ

上条「待ってろよ、ストロベリーでいいか」

食蜂「ピーチじゃなくちゃ食べなぁい」

上条「はいはい」

食蜂「あ。ねぇ、上条さぁん」

上条「ん?」

食蜂「……」 スッ

上条「……? 俺の頭がどうかしたか?」


食蜂「……うーん」

上条「操祈?」

食蜂「上条さんてぇ、私のこと信じてない?」

上条「は?」

上条(あ、もしかして昨日土御門達に何か言われたのかな。
    ったくあいつら、こんなに可愛いのに。しょうがねぇな……)

上条「土御門達に言われたことなら気にすんなよ」

食蜂「……」 ピクッ

上条「俺はお前のこと信じてるからさ」

食蜂「あ……うーん……」

上条「不安なのか?」

食蜂「そうじゃなくてぇ。えっとねぇ、こういうことあんまり言いたく無いんだけどぉ。
    私ってぇ、学園都市最高の精神系能力者なのね」

上条「ああ、何かチラッと聞いたことあるな」

食蜂「でぇ、人の脳内の電気信号を操作したりして、精神操作を……まあ平たく言うと相手の心を弄り放題やりたい放題に出来ちゃうのぉ」

上条「えげつないな。で、何だ?」


食蜂「それでねぇ、相手の心で考えてることも読めちゃったりとかするんだけどぉ……」

上条「おま、マジか! ち、違うぞ操祈! 俺は別に操祈にそんなことをしようなんて思ってないからな!
   いや、思ってるのは思ってるんだけど、実行に移す気は無いというか……ゴニョゴニョ」 アセアセッ

食蜂「私ぃ、上条さんが何考えてるのか分からないのぉ」

上条「ああ」

食蜂「上条さんてもしかして精神系能力者?
    私の干渉を阻害してるから心が読めないんじゃないかなってちょっと思ってるんだけどぉ、違う?
    もしそうだとしたら私……ぐすんっ、上条さんに信頼されてないなんて悲しくて……死んじゃう」 メソメソ

上条「あ、それ多分俺の幻想殺しの所為だ」

食蜂「いまじんぶれ……何?」

上条「幻想殺し。俺の右手はどんな異能の力も打ち消しちまうんだ。
    食蜂の力も俺の全身に干渉するものだから無効化されてるんだろうな」

食蜂「何それ……そんなのずるいわぁ」

上条「え? ご、ごめん」


食蜂「じゃあ私ぃ、上条さんの心はこれからもずっと分からないままなのぉ?」

上条「そういうことになるんじゃないかな。
    あ、でもほら、上条さんは操祈のこと好きですよ!
    そんなの心読むまでも無いっていうか、不安になるようなことじゃないって、な?」

食蜂「そんなの分からないわぁ。貴方が私を騙しているだけかもしれないじゃない」

上条「み、操祈?」

食蜂「貴方は今何を考えているの? 私にだらしなく鼻の下を伸ばしていた貴方は本当の貴方なの?
    貴方が私を欺いていないという確証は何を以て得られるのかしらぁ。
    ねぇ上条さん、貴方ってぇ、実はとっても悪人さんなの?」

上条「お、落ちつけって。他人の心なんて見えないのが普通なんだよ。操祈の考え過ぎだって」

食蜂「普通……」

上条「そうそう。な? アイスでも食って落ち着こう。そうしよう」

食蜂「……」

上条「操祈」

食蜂「……それもそうねぇ☆」

上条「だろ?」


食蜂「バカバカ! 私のバカぁっ! 上条さんを困らせちゃうなんてぇ、私、悪い子だわぁ」 ポカポカ

上条「かわええ……」 ホワワーン
   
食蜂「変なこと言ってごめんねぇ? 私のことぉ、嫌いになったぁ?」 ウルルッ…

上条「そんな訳無いだろ。好きに決まってんじゃねぇか」

食蜂「えへへぇ、嬉しいわぁ☆」 ムギュッ

上条「おぅふ……」 キュンッ

食蜂「じゃぁ、上条さぁん」

上条「な、なんだ?」




食蜂「いっそ右手切断しちゃいましょぉ☆」




上条「」



食蜂「右手が無ければぁ、上条さんの心も読めるようになるんじゃないかしらぁ」

上条「」

食蜂「そしたらぁ、もっと上条さんのことが分かるようになってぇ、喜ばせてあげられるのにぃ」

上条「」

食蜂「ね、上条さん? もっと私に尽くして欲しいでしょぉ?」

上条「」

食蜂「……ねぇ」

上条「えっ」 ビクッ

食蜂「やだぁ、冗談よぉ☆」

上条「は、はは……そ、そうだよな、あはははは……」

上条(一瞬目がマジじゃなかったか……?)

食蜂「私の渾身のボケ、上条さんには通じなかったみたいねぇ。
    うーん、ショックぅ……」 ショボーン

上条(ハッ、いかん! 操祈が落ち込んでる!)


上条「あ……あはははは! なるほどそういうことだったのかー!
    レベルが高すぎて上条さんにはついていけませんでしたー!
    でも説明されたらめちゃくちゃ面白いぞ操祈! あはははははっ!!」

食蜂「基本的には普通の男の人と変わらない精神構造みたいねぇ」 ボソッ

上条「は?」

食蜂「ううん、こっちの話ぃ☆」

上条「そ、そっかそっか。よし、アイス買ってくるわ!」

食蜂「はぁい、あ、そうだ」

上条「ん?」

食蜂「買ったら場所移動してもいい?」

―――

公園


食蜂「はむ……ん……ピチャピチャ……」

上条「……」 ドキドキ…

食蜂「んー……っ、おいし……ペロペロ」

上条(何か食べ方がいやらしい……お嬢様なのに) モゾモゾ

食蜂「私の顔に何かついてるぅ? 上条さん?」

上条「い、いや何も……!」 サッ

食蜂「あ、分かったぁ☆ 上条さんもぉ私にペロペロしてほしいんでしょぉ」

上条「ええっ!? そ、そりゃしてほしいけど……じゃなくて! さ、さすがにそれはまずいんじゃないでせうか……」

食蜂「いいのよぉ。ここでシてあげるぅ☆」

上条「ここでぇ!?」

食蜂「うん。でもぉ、私ぃ、初めてだから上手く出来ないかもしれないけどぉ……」


上条「そ、そんなの……いいけど」

食蜂「うん……見られてたら恥ずかしいからぁ、上条さん。目、瞑ってて?」

上条「こ、こうか?」 ギュッ

上条(み、操祈が口で……いいのか……中学生だぞ。
    でも上条さん、今日だけは欲望に忠実なんですのことよ……!)


チュッ、ペロ…


上条「……へ?」

食蜂「えへへぇ☆ ほっぺたにアイスがついてたゾ☆ ペロペロしちゃったぁ」

上条「ペ、ペロペロって……そういうこと……」

食蜂「うん? 他に何があるのぉ?」

上条「あっ、い、いや……」

食蜂「……上条さんのエッチぃ、妄想力高いんだからぁ。
    そういうのはぁ、二人きりの時だ・け」 ツー…

上条「はぁうっ!」 ゾクゾクッ!


ドサッ


上条「……え?」


御坂「」

食蜂「……クスッ」

上条「み、御坂……!」

御坂「あ……あんたはぁ……! 外で何を……」 ギリギリギリ…

食蜂「上条さぁん、ぎゅってしてぇ」

上条「え?」

食蜂「今まで黙ってたけどぉ……私ぃ、上条さんにぎゅってしてもらわないと寂しくて死んじゃう病気なのぉ」 ウルッ

上条「な、なんだってっ!」 ドキーンッ!

御坂「……アホくさ」

食蜂「御坂さぁん」

御坂「勝手にやってれば。私帰るから」 プィッ

食蜂「みぃさぁかぁさ~ん」

御坂「何よ!」

食蜂「んっ……」

上条「んむっ……!」



御坂「――――――ッ!?」



チュッ… チュルッ… ピチャッ…


食蜂「……チュプッ……アハ、上条さん、バニラアイスの味がしたわぁ……」 クスッ

上条「あ……あ……」 ドキドキドキ…

食蜂「御坂さんに見られてると思うとぉ、ドキドキしちゃったぁ☆」

上条「そ、そうだ御s」

御坂「……」 ポロポロ…

上条「!」

御坂「う……ぅ……!」 グスッ グスッ…!

食蜂「……」 ブルルッ…!

上条「お、おい! どうしたんだ? 御坂?」

御坂「知らないっ……!」 ダッ

食蜂「……」 ゾクゾクゾクゾク…!

上条「御坂!!」 ダッ


ガシッ


食蜂「クスッ……クスクスクス……ぷっ、アハハハハハハぁっ!」

上条「操祈……?」


食蜂「駄目よぉ、上条さん。まだデートの途中だゾ☆」

上条「え……で、でも……」

食蜂「大丈夫、御坂さん。強い子だから」

上条「泣いてたぞ」

食蜂「涙が出る時もあるわぁ、女の子だモン☆」

上条「え?」

食蜂「上条さん、あんまり他の女の子と仲良くしないで欲しいわぁ。
    じゃないと私……私……グスッ……グスッ……」

上条「え、え、え!? 操祈も!? ど、どうしたんだよ!」

食蜂「うぅん、ごめん……ごめんねぇ……ヒグッ! 上条さんが御坂さんと仲良さそうにしてる見てぇ……エグッ、
    嫉妬しちゃったのぉ……ごめんねぇ、こんな悪い子で……ごめんね上条さぁん……」 シクシクシク…

上条「操祈、いいから! そんなの気にすんなよ! ほ、ほら泣き止めって……な?」


食蜂「私のこと、好きぃ?」

上条「好きだよ、知ってるだろ」

食蜂「じゃあ私のことぉ、たくさんぎゅってしてくれるぅ?」

上条「す、するする……ほら」 ギュッ

食蜂「アハっ……じゃぁ、許してあげるぅ」

上条「よ、よかった……」 ホッ

食蜂「安心したぁ?」

上条「したよ、当たり前だろ」

食蜂「えへへぇ☆」 ムギュッ

上条「は、はは……」

上条(御坂大丈夫かな……) 

食蜂「……」


――――


学舎の園内 某所


食蜂「ちょろいわぁ」

縦ロール「何がですか? 女王」

食蜂「私の足置きがどうして言葉を放てるのかしらねぇ。トイレブラシに転職したいのぉ?」

縦ロール「も、申し訳ありません……」

食蜂(そう……ちょろいのよ。考えが読めなくたって、反応はみんな同じなんだから。
    心なんて、多少の誤差や個体差はあっても、一般的な感性の持ち主なら一定の刺激に一定の反応を返してくる。
    そんなのは分かりきったことじゃない。
    だから何も心配することなんて無いのにぃ……)

ゆるふわな女生徒「う……ううっ!」 ブルブル…


ガシャーン!


食蜂「あらぁ? 花瓶さん花瓶さん。どうしてあなたは手を滑らせてしまったのぉ?」

ゆるふわ「す、すみません……! 長時間持っていたもので……今片付けを……!」

食蜂「そこに正座なさぁい」

ゆるふわ「え? そ、そこって……」

食蜂「その、破片の上で、反省なさぁい☆」 クスッ


ゆるふわ「……あ……あ……」 ガタガタ…

縦ロール「お……お言葉ですが女王。それは……」

食蜂「どうしたのぉ? 私のお願いが聴けないのぉ?」

ゆるふわ「は……はい……ただいま……」 ガタガタガタ…

食蜂「……」

縦ロール「あ……」

ゆるふわ「……」 ブルブルブル…

食蜂「嘘よぉ☆」

ゆるふわ「……?」 ビクッ

食蜂「そんな危ないこと、させられるわけ無いでしょぉ。
    驚かせてごめんね、花瓶を割った罰のようなものだから、心配しないで。
    大丈夫? 怪我はない?」 スッ

ゆるふわ「あ……じ、女王……」 トローン…

食蜂「貴女の綺麗な脚に傷がついたら大変だわぁ。貴女、掃除用具をお持ちなさぁい」

縦ロール「は、はいただいまっ!」 バッ! ビターン!

食蜂「あら、脚が痺れていたのねぇ。ずっと足置きに使っていたから」

縦ロール「し、失礼いたしました。わたくしが戻るまでその破片に触れては駄目よ」

ゆるふわ「はい……お姉様! 女王、申し訳ありませんでした!」

食蜂「クスクス、二人ともあわてんぼさん☆」


縦ロール「お恥ずかしいですわ……」

ゆるふわ「女王の寛大なご処置……感謝します」 ペコッ!

食蜂「クスクス……いいのよぉ」

食蜂(そう……能力を使わなくたって他人の精神を掌握することなんて容易いわぁ……。
    今も花瓶にしたところまでは能力だけど、それ以降は私の言葉一つだもの。
    私のお願いなら能力無しでもこの子達はある程度従うまでになった。
    あの人をそうすることだってそう難しいことでは無いはずなのに……)

食蜂(無垢で純粋培養なこの子達とは勝手が違うのかしら……?
    私に向けられる愛情は嘘ではないでしょうけど、決定的では無い気もするのよねぇ……。
    御坂さんを追いかけようとしたり、銀髪の子を切り捨てなかったり)


食蜂(もっと、もっとあの人を夢中にさせてやらないと……)


食蜂「!」 ハッ

食蜂(ちょっと待って、おかしぃわぁ。今の考えに至るるのは断じておかしい。
    だってぇ、私は御坂さんをズタボロに虐めて惨めに泣かせるのが目的のはずでしょぉ?
    なのにあの人を夢中にさせることを中心に考えるなんて……目的をはき違えてる)


―――『それだけ』か?


食蜂「……うるさいわねぇ」


ゆるふわ「じ、女王……?」

食蜂(他に何があるって言うのかしらぁ。あの時、ちょっと興味を持っただけだって言うのにぃ……
    体の良い暇つぶしの相手でしょぉ……? 心が読めない分厄介なのは認めるけどぉ……)

ゆるふわ「あ、あの女王どうかしたのですか……?」

食蜂「……ねぇ貴女、今夜私の部屋に来るぅ?」

ゆるふわ「え……」

食蜂「意味分かるわよねぇ? 貴女を、愛してあげましょぉかぁ?」 スッ

ゆるふわ「あ……あ……女王……」 ウットリ…

食蜂「私の足をお口で綺麗に出来たらぁ」

ゆるふわ「は……はい……」

食蜂「貴女で遊んであげるわぁ☆」 ツンッ

ゆるふわ「……はいっ!」 



ピチャピチャ… ピチャピチャ…


縦ロール「女王、お待たせ……を……」

ゆるふわ「はぁ……女王……いかがですか……?」

食蜂「下手ねぇ。そんなんじゃご褒美には遠いわよぉ……」

ゆるふわ「はい……努力します……ですから……!」 ペロペロ

縦ロール「じ、女王……これは一体……」

食蜂「やっぱりぃ、これくらいにはしてやらないとつまらないわよねぇ。貴女もそう思わなぁい?」

縦ロール「え……あ……」

食蜂「クスクス……あなたもどう?」 ピッ☆

縦ロール「はい、失礼します……ピチャピチャ」

食蜂「クスクス。まぁいいわぁ、あくまで貴方はついで。そこを私が理解していれば問題ないしぃ」

縦ロール「……ピチャピチャ……」

ゆるふわ「ペロペロ……」





食蜂「夢中な貴方が見たいなぁ、上条さん☆」




今日はここまでにしときます。
みさきちの性根が腐ってます。誰か矯正してあげてください。
ではまた近々

上条「これ切っても生えてくるんだ」


食蜂「」

こんばんは。
今日も投下していきたいと思います

―――


「え? お礼? いいよそんなの。よくあることだし」

食蜂「でもぉ、助けてもらったのは事実なのでぇ……一応後腐れの無いように」

「後腐れって……うーん、じゃあまあ何か飲み物でも買ってもらおうかな……」

食蜂「本当ですかぁ!? わぁ☆ 何がいいですかぁ?」

「んじゃそこの自販機で」

食蜂「はぁい」


スタスタスタ…


食蜂「この自動販売機でいいですよね」

「あ、ちょっと待った。こいつお札飲むから、小銭の方がいいぞ」

食蜂「へぇ、経験者は語る☆って感じですねぇ」

「はは、まあ俺も被害者だよ。んじゃこれを」

食蜂「あ、私が押しま……」 


ピトッ


「あ……」

食蜂「あ……」



「ご、ごめん」

食蜂(冴えない人ねぇ。まぁ、私にクラクラしちゃってるのは可愛いけどぉ)

食蜂「いえいえ、肩が密着したくらいでそんなそんなぁ。
    これがいいんですねぇ」 ポチッ…ガチャンッ!

「ありがたくもらっとくよ」

食蜂「こちらこそ助かりましたぁ☆」

「そういやそれって常盤台の制服だよな?」

食蜂「ええ、そうですけどぉ……何か?」

「実はさ、一人常盤台に知り合いがいて」

食蜂「あらぁ、そうなんですかぁ☆ 何て言う方ですかぁ?」

「御坂って言うんだけど、知ってるかな」

食蜂「……あらぁ」 

食蜂(やだぁ、面白そうな事みつけちゃった☆
    よぉし、もうちょっと情報を……あ、あれ? この人心の声が無い……? 
    特に何も考えてないのねぇ、お馬鹿さんかしら?)



「そいつがこの自販機よく蹴ってるんだよ。そんでたまに街中で喧嘩売って来たりして」

食蜂「うんうん、そうなんですかぁ☆」

食蜂(……あらあらぁ? これってひょっとして大当たりぃ?
    明日から楽しくなりそうな予感がするわぁ☆) キラキラ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

「あ、何かすみません俺ばっか喋っちゃって」

食蜂「いえいえぇ、男の人とお話する機会はほとんどないのでぇ、とっても新鮮です☆」

「はは、さすが女子高。それじゃ俺はそろそろ……」

食蜂「あのぉ……」

「はい?」

食蜂「これも……何かのご縁だと思うのでぇ、よかったらメールでもぉ……」 ウルウル…

「えっ……で、でもいいのかな……?」 ドキッ

食蜂「私ぃ……貴方に助けられてドキッとしてしまって……。ここでお別れは、寂しいかなぁ……」 シュンッ…

「は、はぁ……それじゃあ……」 ドキドキッ

食蜂「ありがとうございますっ☆ あ、私食蜂操祈って言うんですけどぉ、貴方はぁ?」

「ああ、俺は――――」

―――


常盤台中学 女子寮208号室


御坂「はぁ……」 

白井「お姉様……どうかなさったんですの? 帰ってくるなり物憂げな御様子で……何かありまして?」

御坂「黒子……うん、まぁ色々とね」

白井「例の食蜂さんの件ですわね?」

御坂「うん……」

白井「黒子でよろしければ、いくらでも相談に乗りますわよ?」

御坂「ありがとね。まあこの前も相談に乗ってもらったし、結果報告だけしとこうかしら。
    実はね―――」




御坂「―――ってことになってんのよ」

白井「やはりそうでしたの……もう、この際お姉様の能力を用いてでもビシッと言って聞かせて差し上げればよろしいのに」

御坂「それが出来れば話も早いんだけどねー」

白井「どういうことですの?」

御坂「例えばあんたや初春さん達を操ってさ、私に喧嘩吹っかけてくるとかなら楽なのよ。
    私の友達に手を出してんだから、こっちも全力で相手出来るしあいつを正面から殴ったっていいわけ」

白井「そうですわね」

御坂「でも今回はそうじゃないのよね。
    能力無しであいつと付き合って、『たまたま』通りかかった私にそれを見られたり、『惚気話』をしているだけ。
    私が嫌がることを知ってるとは言え、それじゃ私は反撃できないでしょ」

白井「周りくどい事を。あの方もお暇なことですの」

御坂「私と真正面から事を構えるのは得策じゃないってあいつも分かってんのよ。
    だから今回みたいな手段に出てる。
    これでもし私が食蜂に喧嘩売ったら、悪いのはどう考えても私。
    そうなったらなったで、あの女の思う壺だわ」


白井「あの方は一応正攻法で上条さんとお付き合いしてらっしゃいますものね」

御坂「そう。さてどうしたもんかしらねー……」 ハァ…

白井「上条さんに気付いていただく他ありませんわね今のところは」

御坂「あの馬鹿が食蜂のぶりっこ見破れるとは思えないわね。
    ムカつくけど、食蜂は他人の転がし方だけはほんと上手いわよ」

白井「あら。あの殿方もお姉様と知り合って久しいですし、もっと信じて差し上げてはいかがですの?
    もしわたくしが同じ立場なら、きっとお姉様を信じ抜いてみせますわよ」

御坂「まぁね……信じるかぁ……もうそれしかないのよねー」

白井「お姉様、わたくしはお姉様を信じておりますから、きっと大丈夫ですの」

御坂「うん、ありがと……」

御坂(こうやって私が立ち直ったり凹んだりしてるのもあいつの思惑通りなんでしょうね……。
    ほんとあの馬鹿、さっさとあの女の本性に気付きなさいよね、取り返しがつかなくなっても知らないわよ……)

―――


とある高校前


ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ…


食蜂「……」

学生A「おい見ろよあの子……」

学生B「常盤台の制服だな……超可愛い……」

食蜂「……クスッ☆」

学生A「あっ……」 サッ!

     (俺に笑いかけた!? うわ可愛い……! 声かけてみようかな……)

学生B「すげぇ……きっと性格も良いんだろうなぁ……」 スタスタ…

     (俺に笑いかけたっ!? すげー巨乳……まつ毛ふわふわ髪さらさら……あんな子と付き合いたいなぁ)

食蜂(うん、今日も私の悩殺力は完・璧☆
    上条さんも私が笑いかけただけであの人達みたいになっているはずよねぇ……。
    答え合わせが出来ないのって不安だわぁ……あ、駄目駄目。
    私の掌握力に問題なんて無いんだもの、いつも通りやるだけよぉ)


食蜂「にしても遅いわねぇ……また補習? まったく、私を待たせるなんて……これが派閥の子達なら裸マラソンの刑よぉ」 フゥ…

食蜂(我ながらマメよねぇ。いくら御坂さんに対する最大の武器だからって……健気だわぁ。
    改竄力が効くならリモコン一つなのにぃ……贅沢な人)


ワイワイワイ… キャッキャッ!


食蜂「あらぁ?」

上条「そもそも吹寄があんなこと言うから小萌先生が怒ったんだろ」

吹寄「人の所為にするな上条当麻! 元はと言えば貴様が訳のわかんないことを言うからでしょ!」

上条「訳の分かんないとは何だ! どう考えたってきのこの山だろうが!」

吹寄「馬鹿! たけのこの里こそ正義よ!」

姫神「まあまあ。そんな私はきこりの切株派」

食蜂「……」 ヒクッ

食蜂(何あれぇ……私のこと待たせておいて女の子と楽しそうに歩いて来るなんて馬鹿にしてるのぉ?
    温和な私でもちょっとイラッとくるわぁ……あの人の脳内が分かればこんな手間かけなくても済むのにぃ) プンプン…


吹寄「あら? 上条当麻、貴様の知り合いじゃない? 常盤台の子がいるわよ」

   (可愛い子ね、まさか上条当麻、中学生に手ぇ出してるとかじゃないでしょうね。
    もしそうなら粛清よ粛清)

上条「ん? おう、操祈か。来てくれてたのか」

姫神「操祈……?」

   (なんというヒロイン的容姿。私地味すぎて霞んでないかな?)

食蜂「上条さぁ~ん☆ 寂しかったぁっ」 ギュッ☆

食蜂(ヒロイン……?)

上条「おっと」

吹寄「っ!」

姫神「っ!?」

吹寄「ちょっと上条当麻、この子は?」

   (こんな往来で何してるんだか……。上条当麻の知り合いならやっぱりこういう相手なのね)

姫神「上条君。詳しく教えて。事細かに。いつの間に出会っていたのかとか。抜けがk……どういう経緯でそうなるのかとか」

    (ありえない。ありえない。私の陰ながらの地味な調査では上条君に彼女はいなかったはず。
     いつの間にこんなことに。ポッと出のくせにヒロインなんてうらやましい)


上条「どうした姫神……無表情なのにすごい剣幕だぞ」

食蜂「あっ、申し遅れましたぁ。私ぃ、常盤台中学に在籍している食蜂操祈です☆
   レベルは5です☆ そして上条さんのカノジョでぇす☆」 キラッ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

吹寄「レ……レベル5……」

   (常盤台のレベル5。ますます接点が分からない。と言うか、レベル5なのにこのアホっぽい喋り方は何なの?)

姫神「何て輝かしいオーラ。少し光を分けて欲しい」

   (キラッ■ ……うん。私には星は出せない)

上条「そうそう。んでこっちがうちのクラスメイトの……」

食蜂「あっ、興味無いし紹介は結構よぉ」 ニコッ☆

吹寄「っ!」

   (何なのこの子……今確かに興味無いって言った?)

食蜂「えぇ、言いましたよぉ」

吹寄「えっ……」

   (い、今私口に出してた?)

食蜂「クスクスッ……」



姫神「よくも言ってくれた。地味なのは自覚してるけど人から言われるのは少し腹立つ。
    でも私も巫女服を着れば少しは輝くはず」

食蜂「貴女誰ですかぁ? 最初からいましたっけぇ?」

姫神「あまりに酷すぎる」 orz

上条「ま、まぁそう言わずにさ……紹介するよ操祈」 ハラハラ…

吹寄「紹介より先に上条当麻、この子一応年下なんだから、もう少し礼儀ってものを」

食蜂「うーん、でもぉ。お二人用事があるみたいだしぃ」 ピッ☆ ピッ☆

吹寄「は? 何勝手なことええ。貴様に付き合ってる時間は無いのよ。
    これから第七学区周遊マラソンをしなくちゃいけないんだから」

    (マラソン……マラソンがしたい。マラソンマラソンマラソンマラソン……!)

姫神「私は窓の無いビルに窓を作る作業があるから……」

    (まずは足場を組むところから。地道な作業。私には相応しいはずなのに。泣きそう)

上条「は?」


食蜂「クスクス……残念ねぇ」

上条「いやいや。お前ら言ってることおかしいぞ。どうしたんだよ」 ガシッ

吹寄「離して上条当麻。次の大覇星祭に向けて今から特訓しておかないといけないんだから」

上条「……」

姫神「私も。今からホームセンター行かなくちゃ」

上条「……まさか」 チラッ

食蜂「あら、なぁに上条さん☆」

上条「おい吹寄、姫神」

吹寄「何よ」

姫神「?」

上条「頭出せ」

食蜂「……」

――――

公園


上条「おい操祈、何であんなことしたんだ?」

食蜂「あんなことぉ?」 ペロッ☆

上条「とぼけるな。吹寄と姫神の頭ん中いじくっただろ」

食蜂「ひどぉい、上条さんたら何の証拠も無く私を疑うのねぇ……うぇーん」 シクシク…

上条「な、泣く事ないだろ。二人とも頭触ったら治ったんだ、
    状況から言えばお前には考えられねぇよ。うちの学校にあんなこと出来る高レベルの精神系能力者いないし」

食蜂「むぅ……」 プィッ

上条「何拗ねてんだ?」

食蜂「だってぇ……上条さんが……私以外の女の子と楽しそうに出てくるからぁ……グスッ。
    私ぃ、一人で校門前で上条さんのこと待ってたのにぃ……ヒグッ……上条さんは私のことなんて考えもせず……ふぇぇ……」 メソメソメソ…

上条「わ、分かった分かった。泣くなって、な? 別に怒ってはいないからさ」


食蜂「……ほんと?」 ウルッ

上条「あ……ああもちろん! でも友達にあんなことはもうしないでくれよ……?」

食蜂「上条さんが私のこと第一に考えてくれるんだったら……しないわぁ……」 クスンッ

上条「考える考える。でも彼女と友達は全然別だ。そこは分かってくれ」

食蜂「……」

食蜂(意外とめんどくさい人なのねぇ。そこは嘘でも私が一番大事って言っておけばいいのにぃ、嘘のつけない人。
    でも厄介だわぁ。能力が効かない上にこの性格。私だけしか愛せないようにするには少し時間がかかりそう……)

上条「聞いてんのか?」

食蜂「聞いてるわぁ。うん、ごめんねぇ上条さん。私ぃ、やきもち妬いちゃってただけなの……もうしないから許してね?」

上条「お、おう。それならいいんだよ。偉いぞ、分かってくれたんだな」

食蜂「えへへぇ、褒められちゃった☆」

食蜂(って喜ぶわけないでしょぉ。
    ま、このテのタイプ引いとけばあっさり転ぶものよねぇ。
    一先ず御坂さんをお手軽に泣かせるためのダシに出来ればいいわけだから、
    焦る必要は無いわぁ……現状でも使い勝手に問題は無いし)


上条「さてと、折角操祈が待っててくれたんだし、どっか移動して飯でも……」

食蜂「待ってぇ上条さん」 ムギュゥ

上条「おっと……な、何だよ?」 ドキドキ…

食蜂(日課の時間なのよねぇ……クスッ、そろそろあの辺に姿が……」

御坂「……あ」 

上条「あっ! 御坂昨日は……!」

御坂「……!」 ダッ!

上条「あ……やっぱ気まずいよな……」

食蜂(まさか二日連続で会ったりしないだろうという貴女の陳腐な期待なんてお見通しよぉ。
    通学路なら嫌でも目につくものねぇ。
    まあ明日からは道を変えるのでしょうけど、私達に会いたくないから帰り道を変更するなんて、
    どんな惨めな気分かしらぁ……ふふっ、想像しただけでわくわくしちゃうわぁ) ゾクゾクッ!

食蜂「クスクス……さ、上条さん。どこかで甘いものでもぉ……」

上条「悪い! 俺御坂追いかけるわ! 操祈は先にどっかの店入っててくれ! 飯は奢るから!」

食蜂「はぁっ!?」 ガタッ



食蜂(あ……私としたことがうっかりさん☆ 大きな声を出してしまったわぁ。
    ……で、どういうことぉ? どうして御坂さんなんかを追いかけるわけぇ?
    私が横にいるのよ? )

上条「さすがに知り合いのあんな現場目撃しちまったらショックだもんな。せめて謝ってくるよ!」 ダッ!

食蜂「ちょっ……ああもぉ……」

食蜂(こういう突飛な行動に対応できないのが心を読めないことの弊害よねぇ……。
    ま、いいけどぉ。貴方が御坂さんからの好意に気づいていない時点で、謝罪なんて傷口に塩を塗るようなものだものねぇ。
    私としては望むところよ……)


タッタッタッ…! ミサカー!


食蜂「……」

食蜂「ふん……何よ」 ゲシッ!

――――

学舎の園内 某所


トンッ!

ストッ!

サクッ!


食蜂「……」 シュッ!

縦ロール「じ、女王……お止めくださ……ひっ!」 


トスッ!


食蜂「……」 シュッ!

縦ロール「じ、女王……ひぅっ!」


サクッ!


ポニーテールの女生徒「あ、あの……女王は何をしていらっしゃるんですの……?」

眼鏡「あら、貴女は最近派閥に入られたから御存じ無いのね。ダーツですわ」

ポニー「ダーツ……」



食蜂「……」 シュッ!


トンッ!


縦ロール「じ、女王……あた、当たってしまいます……お許しを、お許しを……」


ポニー「で、でもあの磔にされているのは……」

ゆるふわ「ええ、お姉様ですわ。女王の『的』の御役目を仰せつかるだなんて、さすがはお姉様、私達も見習わなくてはいけませんわね」

眼鏡「的に『当てない』ダーツ。女王の娯楽用具になれるだなんて、この上ない誉よ。
    お姉様も目に涙を浮かべて喜んでいらっしゃるもの」

ポニー「そ、そんな……何かの間違いで当たってしまったら怪我をしてしまいますわ……。
     もし目なんかに当たったら……」


シュッ! サクッ!


縦ロール「ひっ! つぅっ……」 

食蜂「あーあ……ちょっと掠っちゃったわねぇ」 チラッ

ポニー「!」 ビクッ



食蜂「ねぇ貴方ぁ、新入りの子ねぇ。こちらにいらっしゃいよ」

ポニー「い、いえ私は……け、結構です」

食蜂「あらぁ? 私のお願い、聞いてくれないのぉ?」 シュン…

ポニー「! は、はい……! な、なんでしょうか、女王……?」 オソルオソル…

食蜂「はいこれぇ」 スッ…

ポニー「矢……ですか」
  
食蜂「ええ。貴女がさっきから不満げに見てたからぁ、代わってあげるわぁ☆」

ポニー「そ、そんな……お姉様にそんなこと……出来ません……!」

食蜂「……出来ない?」 ジッ…

ポニー「……!」 ゾクッ…!

食蜂「ふぅん、そっかぁ。でもぉ、貴女の身体はぁ、やりたくてやりたくて仕方がないって言ってるわぁ」 ピッ☆

ポニー「謹んで。わたくし、お姉様の身体に数千本の矢を突き刺すのが夢だったんですの!」

縦ロール「ひ……ひっ……!」 ブルブルッ…!

食蜂「アハぁっ、そうよねぇ、夢を存分に叶えなさぁい☆
    でもやり過ぎちゃダメよぉ。その子は一応私のお気に入りだから」




シュッ! サクッ!

シュッ! トスッ!

シュッ! トンッ!

キャッキャッ! ヒギィッ!


食蜂「はぁ……何かつまんなぁい」 ブラブラ

眼鏡「女王、チェスはいかがですか? 先日1年の子達でナイトの駒役を争ったばかりですし」

食蜂「私ぃ、最近パズルゲームにハマってるのよねぇ。テ〇リスとかやりたいわぁ」

ゆるふわ「まぁ、素敵ですわ。骨を上手く外さないといけませんわね」

食蜂「でもあんまり暴力的なのはちょっとねぇ。第四位のオバサンじゃあるまいし」 フゥ…

眼鏡「さすがは女王。お優しいですわ」

食蜂「まぁねぇ、よく言われるわぁ」 



眼鏡(大変、女王のお元気が無くていらっしゃるわ)

ゆるふわ(女王、何かお悩みでしょうか……いつも朗らかな笑顔を見せて下さる女王が、とても物憂げ……。
      お美しいけれど、心配です……)

食蜂「あ、そうだったわぁ。貴女達ぃ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどぉ」

ゆるふわ「はっ、はい!」

眼鏡「なんなりと!」

ゆるふわ(女王のお悩みにお応え出来ればお部屋で可愛がっていただけるっ)

眼鏡(悩みを解決出来れば女王に座っていただけるっ)

食蜂「貴女達ってぇ、恋人いるのぉ?」

ゆるふわ「こ、恋人ですか……」

眼鏡「私はおりませんわ」

ゆるふわ「私も……」

食蜂「……まあ学舎の園から滅多に出ない貴女達ならそうよねぇ」

眼鏡「何かお困りですか?」


食蜂「うーんとぉ、どうすればあの人が私のことだけ見てくれるようになるのかなって……」 ハァ

ゆるふわ「女王……」
   
      (じ、女王が恋のお悩み……? どうにかお力になって……ああっ、でも私達は誰も殿方とお付き合いしたことなどありませんし……)

眼鏡「私達の中では女王がやはり一番経験がおありなのではないかと」

   (女王が溜息をつくほどに思い悩み、所有物として迎え入れようとしている殿方……どのような素敵な方なのでしょう。
    きっと背中に腰かけてもビクともしない屈強な方なのでしょうね……)

食蜂「私ぃ? やだなぁ、無いから困ってるんでしょぉ」

ゆるふわ「えっ」

眼鏡「えっ」

食蜂「まぁ観察のために何十人か誑かしてみたけどぉ、みんな同じ反応でつまんなかったのよねぇ。
   最後の方は私の可愛さでどこまで許してくれるかを試す実験みたいになってたわぁ」

ゆるふわ「さ、さすが女王です」

眼鏡「それで、どこまで許されたのですか?」

食蜂「うーん? 第一位の人に鼻フック出来たらキスしてあげるって言ってそれっきり見てない人いたわねぇ。
    あと第二位の人の羽で羽毛布団作りたいから、毟って来てくれたらおっぱい触らせてあげるって言ってそれっきり見てない人とか、
    第四位のオバサンにアンチエイジング勧めて来てくれたら好きなところ踏んであげるって言ってそれっきり見てない人とか」



ゆるふわ「……な、なるほど」

眼鏡「女王の魅力は殿方の心を狂わせるのですね」

食蜂「かなぁ。私って可愛い?」

ゆるふわ「それはもうっ! ミス学園都市永久1位の殿堂入りですっ!」

食蜂「そうよねぇ。困っちゃうわぁ」

眼鏡「女王がお美しいのは世界の理ですわ。その女王がお悩みになる程のお相手とは一体……」

縦ロール「女王っ、今の話は本当ですの!? 女王に想い人がいらっしゃるなんて……」 ボロ…

食蜂「あら、無事だったのね。
    まあちょっと違うんだけどぉ、それでいいわぁ、貴女お見合いとかしたことあるでしょぉ?
    何か男の人が私の虜になっちゃうような良い方法とか無い?」

縦ロール「いえ……申し訳ありませんが、わたくしも殿方とお付き合いしたことは無く……」

食蜂「なんだがっかりぃ」

縦ロール「し、しかし女王っ、絆というものは同じ時間を共有することによって深まるはずですわ。
      女王の深い愛を以てすれば虜にならない殿方などいらっしゃらないはずっ……!」

食蜂「愛情ねぇ……」

食蜂(愛情って何よぉ。やっぱり時間をかけて調教していくしかないってことぉ?
    やっぱり時間しかないのねぇ。あぁ面倒くさい……。
    でも久しぶりの難題、ちょっと高ぶるわぁ。
    貴方も御坂さんも、いずれまとめて私の足ふきマットにしてあげたくなっちゃった……) クスクスクスクス…

縦ロール「女王が燃えてらっしゃる……。
       女王をこんな風にさせてしまうなんて……一体どんな方が相手だと言うのでしょう……」

翌日

――――


公園


食蜂(とは言うもののぉ……することと言えば毎日代わり映えの無いデートくらいのもの。
    特別面白い人って訳でもないしぃ、何だかやってて馬鹿らしくなってきたわぁ……)

食蜂(恋愛なんてものは、所詮一種の精神病よ。
    『相手が自分のことを好きだったらどうか』っていう仮定があるから成り立つ関係だもの。
    心が見えてる私には土台無理な話よねぇ。
    最も効率的に、最も効果的に相手の心への最短距離を詰められるんだものぉ。
    回りくどいことなんてそもそも必要が無いわぁ)

食蜂(そういう相手との駆け引き、ある意味では心理戦こそが恋愛であり、人付き合いだものね。
    相手の手札が見えたカードゲームなんて勝ちが決まっているようなものだしぃ。
    あれ? でも……待って。じゃあ今のこの状況ってやっぱり恋愛……?
    私があの人の気を引こうとしているのはそういうことになるわよねぇ……)

食蜂「……」

食蜂(アハっ☆ 無い無い。あの人に心を動かされたことなんて無いものぉ。
    そもそも私の心が動くことなんて有り得ないわぁ。
    学園都市最高峰の心の能力者、心理掌握が自分の心一つ御せないなんて、笑えない。
    まあ私の目的の中に上条さんを調教するって言うのを入れてもいいけどぉ、それはそれ。
    独占欲と恋愛を一緒くたに考えるのは良くない傾向よ、自分の心を見失ってしまうもの)

食蜂(仕方ない。色仕掛けは下品で好きじゃないけどぉ、適当に既成事実でも作って御坂さんをズタズタにする詰めにかかりましょうか。
    これ以上あの人に関わると、私も疲れるし)

食蜂(あ☆ 上条さんと私がお部屋でいちゃいちゃしてるところをムービーに撮って御坂さんに送りつけるってどうかしら。
    わぁ素敵☆ 御坂さんきっとまた泣いちゃうわねぇ。よぉし、やるぞー!) クスクスッ


テクテクテク…


禁書「~♪」

スフィンクス「ナー」

食蜂「あらぁ?」

禁書「ん? あ……」 サッ

食蜂「ちょっとぉ、無視するなんて酷いじゃなぁい。こんにちわぁ☆」

禁書「う、うん……」

食蜂「へぇ、猫ちゃん飼ってたのねぇ、この前はいなかったけど」 ヨシヨシ

スフィンクス「ナー」

禁書「この前は……病院に預けてただけなんだよ」

食蜂「クスクス、私が怖いのぉ?」

禁書「こ、怖くなんて無いんだよ! でも、あなたは私の事が嫌いなんでしょ……?」

食蜂(正直特に何とも思ってないけどぉ……うーん、この子を懐かせておいた方が上条さんの心証は良いかなぁ)


食蜂「いいえぇ、別にぃ」

禁書「そ、そうなの……?」

食蜂「ええ。この前は怖がらせてごめんねぇ。上条さんから聞いたわぁ☆
    そんなつもりじゃなかったんだけどぉ、私も緊張してたのかな……」

禁書「う、うん……なら……いいけど」

食蜂「ええ、これからは仲良くしましょうね☆」 スッ

禁書「分かったんだよ……」 ガシッ

食蜂「ところでぇ、どうして貴女は上条さんのお家に住んでるのぉ?
    何かお家の事情?」

禁書「え、あ……うん、色々あって……」

食蜂「ふぅん……」

食蜂(まだ警戒されてるみたい……そう言えばこの子、上条さんの家に住んでるんだものぉ、何かあの人を夢中にさせる良い情報持ってるんじゃ無いかしらぁ)

禁書「?」

食蜂「クスッ☆」


食蜂(この子は後で適当に支配下に置くとして、上条さんが来る前に情報収集だけやっておこうっと) スッ クシャッ

禁書「わっ、な、何かな!?」

食蜂「綺麗な銀色の髪だなぁと思って、羨ましいわぁ☆」

禁書「そ、そうかな……」 テレッ

食蜂(ちょっとその頭の中、覗かせてもらうわねぇ……クスクス……)








――――警告――――







食蜂「……え?」





―――Index-Librorum-Prohibitorum―――




食蜂「禁書……目録……? あら? 血? どこから……え? 私の? えっ、えっ?」

禁書「……ザ……ザザ……『魔道図書館』への侵入者を確認。
    一〇万三千冊の『書庫』の保護を最優先……」

食蜂「な、何……何よぉ……」

上条「お、いたいた。おーい操祈、待たせ……」




禁書「警告、第十章七節。侵入者を敵性と判断し、これを―――」




食蜂「あぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!








―――迎撃します







ビシャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!



ビチャチャッ…!





食蜂「は……ァハ……☆」

上条「操……祈……?」

食蜂「……ぁっ……あぁぁあ……」  ガクガク…



ドサッ…



食蜂「…………」

上条「操祈ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!!!!」


今日はこの辺で。
相変わらずみさきちがアレな感じですが、まだしばらくアレでソレだと思います。
ではまた近いうちに

一体いつから、上条属性に取り込まれていないと錯覚していた?
こんばんは、今日も投下します。


―――


静寂と薬品の匂いに包まれた空間の中で、病人着を着せられた食蜂操祈は目を覚ました。
窓の外から差し込む色は既に暗色。
日はとうに落ち、頭上を照らす薄暗い電灯の明かりさえ眩しく思える。


食蜂「ん……うん……」


うめき声をあげながら体を起こす。
その動きに素早く反応したのは、傍らにいた二人の人物。


上条「操祈っ! 大丈夫か!」

禁書「大丈夫なのかな!?」


上条とインデックスが、食蜂が寝かされていた真っ白いベッドに縋るように飛びついてくる。


食蜂「上条……さん……つっ!」


彼の名を確認するように呼んだ瞬間、頭部がズキリと痛みを訴える。
そっと触れたその場所、金色の髪の向こう側には、額から後頭部をグルリと一蹴するように包帯が巻かれていた。


食蜂「ここは……?」


意識ははっきりとしてきたが、再確認するように上条に問いかける。
心配げに顔を覗き込んでいた上条が、一瞬躊躇う様子を見せて応答した。


上条「病院だよ。お前が公園でインデックスと一緒にいたら、突然全身から血を吹きだして倒れたんだ」

食蜂「病院……あ、そうか…」

食蜂(確か私は、彼女の頭の中を覗こうとして……)


簡単な作業のはずだった。
いつも通り、脳内を解析し覗き見る。
そこにある情報を根こそぎ暴けばあとはお好みでいかようにも操作、改竄が出来る。
おまけにそれを相手に気づかれることも無い。

だが

食蜂が覗き見た彼女の脳内。
そこに貯えられていた知識の量はあまりにも膨大で、その海の底深さにまずは溺れそうになった。
続いてやってきたのは、自分でも制御しがたい程の知識欲。
彼女の中へ、もっと奥へ。その知識を手中に収めなければならない。
そう掻き立てられる魔性が、彼女の最奥から感じられた。
そして、彼女が手招きする常人ならざる知識の海の奥深く、そこにあった一つの扉の向こう側。
厳重と言えば厳重、しかし覗き見ようと思えば容易なその場所に触れた瞬間。
聞こえたのは無機質な声だった。


―――迎撃します



そこから先は記憶に無い。
気付けば身体から吹き出る血液の河の中に倒れていた。
その先に何があったのかも食蜂には分からない。
本のようなものだった気もするし、幾何学模様と数式の羅列だったような覚えもある。


食蜂(なるほどぉ、文字通り『迎撃』されたという訳ねぇ)


だが食蜂には分かっていた。
それは、きっと触れてはいけないもの。
精神系能力者が自らの心を守る術を身に着けるように、彼女もまた心になんらかの防壁を持っていた。
そこにまんまと引っかかったのだ。


禁書「みさきはどうして私の頭の中を覗こうとしたのかな……?
    もし魔道書を見ていたら、みさきは多分二度と目を覚まさなかったんだよ」


そして責めるような、だがどこか申し訳なさそうな視線でインデックスが問いかけてきた。
その言葉に上条も驚きを見せる。


食蜂(魔道書……?)

上条「えっ……操祈お前……それ本当なのか?」

禁書「うん。みさきが私の頭の中を覗こうとしたから、『書庫』の防御術式が勝手に働いたんだと思う」

上条「何でそんなこと……」


眉間に皺を寄せる上条。
妙な疑いを持たれるのは避けたかった。
だが、食蜂は彼らが思うよりも自分は冷静である確信があった。
既に状況の理解は終了し、痛む体の傷は学園都市の治療法を以てすれば命を危険に晒す程のものでないのは自分の事なので分かる。
だから食蜂は、ただいつものように、彼らを欺く。


食蜂「……ほんの……出来心だったの……」 


十八番とも言える涙声。
自分は出るところに出れば女優にだってなれると冗談抜きでそう自負している。
案の定、ぐじゅぐじゅと鼻を鳴らして唇を噛みしめた自分の姿を見た二人は狼狽え始めていた。


禁書「みさき……」

食蜂「私ぃ……インデックスちゃんに嫌われてると思ってたから、早く仲良くなりたくて……
    インデックスちゃんのこと、もっと知りたくてぇ……それでぇ……グスッ……」


もう後一押し。
彼らの心の動きなど手に取るように分かる。
これ以上は責められない。そう思わせれば良いだけのことなのだから。
いかにインデックスが心の中に化け物を飼い、上条が心の中を隠そうとも、彼らが心を持つ生き物である限り、『心理掌握』の前にその心は惑うのみ。


上条「そうだったのか……」

禁書「そ、それなら直接言ってくれればいいんだよ! どうしてそんな……」

食蜂「私ぃ……口下手だから……ごめんねぇ……グスンッ」 

禁書「わ、分かったんだよ。もういいから……泣かないでみさき」



上条が落ちればインデックスも容易かった。
例え腹の底からの信頼を得られずとも、この場で怪我人を責められる程彼女は冷酷な人間ではないのは既に分かっている。
まして、自分が何を目的として禁書目録の脳内へ侵入したのかなど、心を読めない彼らに知る由も無いのだから。


食蜂「でもぉ……」

上条「だ、だな。二人が仲良くなれるならそれでいいよ」


駄目押しの一言。上条がそう返してくるのは分かっていた。
彼が自らの言葉で場を収めることにより、この話はそこで終わる他無くなる。


食蜂「ありがとぉ……上条さん」


思い通りに動いてくれた彼の心に褒美とばかりに、食蜂は上条の手を取り実り豊かな胸に押し付けてやる。
ふわりと沈みこむその感触に、上条は照れくさそうに髪をかいて笑った。
自分でも今気づいたことだが、食蜂は下着を身に着けていなかった、恐らく血で汚れてしまったのだろう。
少しサービスし過ぎたかとすぐさま彼の手を引き離した。


上条「あ、ああ……はは」

禁書「とうまのエッチ……」


かくして病室には急ごしらえの平穏が訪れる。
全ては食蜂の望むままに場が動いた結果だった。


食蜂(……とりあえずこれでいいわねぇ。
    まだインデックスちゃんは私のこと完全に信用はしてないみたいだけどあまり関わらない方が良さそう。
    大体魔道書だか何だか知らないけどぉ……私の改竄力が通じないならもはや用は無いわぁ。
    何が『書庫』よ馬鹿馬鹿しいわねぇ……)


そして本来ならば、ここで自らが血の海に沈んだ原因を模索し、何故と考えを巡らせるのが常人の精神構造だ。
だが、食蜂はあえてそれをしない。
彼女の超能力者としての勘が告げている。
『あの場所』に踏み込むのは危険だと。
人の心はとても不可解で、学園都市の科学技術を以てしても全てを解明できていない。
それは精神系能力者の頂点である食蜂が他の誰よりも分かっている。
だからそれ以上踏み込まない。
その必要性すらない。
ましてや上条の時とは違い今回は実害を受けているのだ。迂闊に手を出していい相手では無いのは明白だった。


上条「どうした? 操祈?」


訝しむ上条が話かけてきたので、そちらに視線をやった瞬間食蜂の身体に激痛が走った。
皮膚を突き破るようにして吹き出た血の傷痕が、まだ塞がっていないのだ。


食蜂「うぐっ……!」

上条「大丈夫か!? どっか痛むのか!?」

食蜂(全身痛いわぁ……でも、この状況を利用しない手は無いわよねぇ……転んでもただでは起き上がらないわよ……クスクス)


慌てて声をかける上条。
彼は本気で自分を心配してくれているらしい。
実に扱いやすい相手だと食蜂は思った。


食蜂「う、うん……身体が痛くてぇ……」


正真正銘の傷である。そこに関しては全く演技ではない。


上条「そりゃそうだよな……出血の割には傷は深くないみたいだけど、どうしよう。何か薬もらってこようか?」


自分よりも辛そうな表情をする上条が何故か少しだけ印象に残った。


食蜂「上条さんにぃ……看て欲しいな、私の傷……」 


だからこれはサービスのつもりでもあった。
心底自分を信頼し、心配してくれる彼への褒美。
チラリと病人着胸元を引っ張り、隔たる下着すらないふっくら膨らんだ胸元を見せてやる。


上条「ッッッ!!!」


とても分かりやすい反応で、上条は恥ずかしそうに視線を逸らした。


禁書「ちょ、ちょっととうま。みさきは女の子なんだよ。それなら私が……」

食蜂「インデックスちゃんには見せられないわぁ。傷だらけでグロテスクになってると思うから……
    上条さぁん、悪くなってないか、看てもらってもいい?」



媚びるような甘ったるい声に狼狽える上条のその仕草を少しだけ可愛く思う食蜂。
すかさず入ったインデックスの横槍を難なくあしらい、今度は彼の瞳に訴えかけるようにねだるような目つきでおねだりをする。
かつて心の観察のために弄んだ数十人の男達の六割程度が、この辺りで食蜂の頼みを断れなかった。
上条は少し持っている方だが、陥落も時間の問題だと食蜂は踏んでいる。


上条「え、で、でも……あっ! じ、じゃあ先生か看護士さん今呼んでくるから!」

食蜂「上条さんに……見て欲しいのぉ……私の身体……」 


インデックスが見ているためか、上条は少しだけ慌てて病室を出て行こうとする。
食蜂は彼の手を引き寄せるように抱き締め、ムニュリと押し付けるようにもう一度胸を寄せた。
ここでいつもなら、馬鹿みたいな表情をして彼は顔を赤くする。
それで自分の言うことにはもう逆らわない。
そのはずだった。


上条「……なあ操祈、大丈夫か?」


しかし、返ってきた彼の声色は、いつもとどこか違う。
照れも恥じらいもどこにもない。
ただただ真剣そのものだった。


食蜂「だからぁ……それを上条さんに……」





上条「震えてるぞ、手」





食蜂の声を遮り告げた彼の言葉は、とても信じがたいもので





食蜂「え……?」 





言われ見やった彼の腕を抱く自らの両手は、カタカタと不気味な程に震えていた。




食蜂(や、やだ……何? 何でぇ……?)


じわりと。
心の奥底から何かが湧き上がってくる。
暗く深い色の感情の奔流。
蓋をしていた容器の底から絶えず溢れた水によってとうとう決壊してしまうように。
食蜂自身にも理解出来ない感情がその大きな輝く瞳から溢れだした。


上条「怖かったな、もう大丈夫だからな……」

食蜂「こ、怖い……?」 


驚くほどに、呟いた自分の声は震えていた。
上条に頭を撫でられ、サラリと零れる金色の髪の流動が心を揺らす。
そして脳内に投影されていくのは、赤い、とてつもなく赤い色。
皮膚を突き破る痛み。
その感触。
鼓膜を突き破りそうなほどの己の絶叫。
目が覚めて、綺麗さっぱり心の中にある箱へと押し込めた、そんな感情。


食蜂「や、やぁねぇ上条さんたらぁ……怖いだなんて……」


認めるものか。
食蜂は思う。


上条「操祈……お前、また泣いてるぞ……」

食蜂「……へ?」 



しかし、上条の告げた事実は残酷だった。
瞳から零れ落ちる涙。抑えきれぬ腕の震え。
それは紛れも無く、インデックスによって与えられた恐怖に他ならない。


禁書「みさき……ごめんね……ごめんね」


すがりつくように、インデックスが謝罪を述べる。
食蜂はそれを受け取らない。
受け取れば、認めてしまうことになるから。


食蜂「や、やだ。何でかしら。アハっ、違うわよぉ。これは怖いとかそんなんじゃなくてぇ」

食蜂(何……何これ……? 泣く? 震える? 私がぁ?
    ありえない……ありえないわぁ) 


自分の心が、人間の心を総べる能力者の心が、恐怖という感情で塗りつぶされることを、
認めてしまうことになるからだ。


上条「いいから。分かってるから……あんな目にあうのは誰だって怖いよ」


諭すように、慰めてくれる上条。
その言葉に、食蜂は安堵している自分がいることにさらに苛立った。


食蜂(分かってる? 分かってるって何ぃ? 貴方に私の何が分かるのぉ?
    私の心なんて読めないくせに……私がどれだけの打算と計算で貴方に近づいているのかなんて知りもしないくせに……)



食蜂にしては珍しい憤りだった。
自分のことを何一つ理解していないはずの他人が、分かったようなことを口にする。
それは本来鼻で笑い飛ばすような些末で陳腐な出来事。
なのに食蜂がそこに怒りを感じたのは、自分もまた、彼の心に何があるのか見えていないから。
互いが互いに分かり合えていないのに、何もかも見透かしたように理解を示す愚かさと厚かましさが腹立たしい。
なのに抱き締める彼の腕を振りほどく気になれない自分が、この腕を離した時に晒される抜き身の恐怖が、苛立たしい。


上条「……インデックス、悪いけど先生呼んできてくれないか? 操祈が目を覚ましたからさ」

禁書「う、うん……」


インデックスと自分、果たしてどちらに気を遣ったのか、上条がそう促すと、彼女はチラリと食蜂を一瞥して病室を出て行った。


上条「操祈……」


すぐさま名前を呼んで強く抱きしめてくる。
盛大な感情の吐露や号泣でも求めているのだろうか。
そんな三流芝居を自分に演じろとでも言うのか。
やはり彼は何も理解していない。
食蜂操祈が演じる魔性に誘惑されただけの哀れな一人の男。
なのに、その一切の迷いの無い信頼が、食蜂には今まで操作し支配してきた人間には無いものであるように思えた。


食蜂「……か、上条さん。勘違いしてるわぁ。私が、恐怖なんてものに心を支配されるなんてありえないの。
    わ、私は……学園都市最高の精神系能力者よぉ。この私が、自分の心に敗北するなんてそんなの……」


だから、食蜂は彼の期待に応えて、少しだけその胸のうちを吐き出してみることにした。
別に彼に特別な意識を向けたわけじゃない。これも一つの実験だ。
自分が繰り出した本音に、彼がどう対応し、状況をいかに変化させるのかを知りたくなった。
他人の心の動きの観察は、『心理掌握』の力をより確実なものへと昇華させるから。
そう、自分に言い聞かせた。
時折見失うこの心の在り処を確かめるように。


上条「操祈、たまには素直になったっていいだろ。誰も責めやしない。
    それに、言ったろ? 俺の右手はあらゆる異能を打ち消す力を持ってるって」


上条が力強い言葉を食蜂に向けてくる。
その言葉の先、彼の心から出でるものに興味が湧いた。


食蜂「だ、だから……?」


そして告げられた言葉は




上条「お前は今、ただの女の子なんだよ。学園都市最高の精神系能力者なんかじゃない。
    俺の彼女だ」



食蜂「――――――ッ」





そこに彼の心の中身を覗き見た気がした。


上条「だからそんな無理せず……」

食蜂「…………グスッ」


その続きなんていらない。
彼の心がどのようなものかを知るにはそれで十分だった。
『心理掌握


上条「操祈、たまには素直になったっていいだろ。誰も責めやしない。
    それに、言ったろ? 俺の右手はあらゆる異能を打ち消す力を持ってるって」


上条が力強い言葉を食蜂に向けてくる。
その言葉の先、彼の心から出でるものに興味が湧いた。


食蜂「だ、だから……?」


そして告げられた言葉。




上条「お前は今、ただの女の子なんだよ。学園都市最高の精神系能力者なんかじゃない。
    俺の彼女だ」


食蜂「――――――ッ」




そこに彼の心の中身を覗き見た気がした。


上条「だからそんな無理せず……」

食蜂「…………グスッ」



その続きなんていらない。
彼の心がどのようなものかを知るにはそれで十分だった。
『心理掌握』には、それで充分だった。


上条「あれ? 操祈?」


鼻をすすった食蜂は、彼に顔を見られないよう首元に埋めて囁くように言う。


食蜂「グスッ……上条さぁん、もうちょっと強く、ぎゅってしてぇ……」

上条「ああ……」


甘えねだるような言葉に応え、強く抱きしめてくる。
傷が痛むが、今はさほど気にならなかった。


食蜂「あのねぇ、上条さん」


そして、内緒の話をするように、食蜂はポツリと呟く。


上条「ああ……」

食蜂「『心理掌握』は……何度でも言うわぁ、学園都市最高の精神系能力者なの。
    何があったって、自分の心にだけは負けられないのよ……」 


食蜂操祈、『心理掌握』。
誰よりも人の心の動きを理解し、操る者。
食蜂にも譲れないものがある。
学園都市最高峰の学校、常盤台中学の女王。
その最大派閥の頂点。
あらゆる人心を掌握し、改竄し、操作する、レベル5の第五位。
それら全ては、後から着いてきたものだ。
彼女は、学園都市で最も心を制御できる超能力者としての矜持があった。
それは、自らの心もまた例外ではない。
そしてそれこそが、彼女を彼女たらしめている『自分だけの現実』だった。
だから自分自身が、この心に敗北するわけにはいかない。
恐怖すらも、苦痛すらも制御して、意図せぬ動きをする自らの心まで『掌握』する。
その本質は己を律するという、彼女の言動からは一見程遠いものであり、だがそれだけが彼女の守るべき唯一のプライドだった。



上条「ああ……」


分かっているのかいないのか、頷く上条に食蜂は独り言のように言葉を続ける。


食蜂「だからこれはぁ……恐怖なんかじゃなくて、他人の心の障壁の向こう側へ行けなかった自分への怒り。
    分かったわねぇ……?」 


もう一度鼻を啜って、確認を取る。
調教の基本は飴と鞭。
今日は少々飴を与えすぎかと食蜂は思ったが、彼の右手が触れているうちは、自分は『心理掌握』では無いらしい。
だから


上条「……分かってるよ」


食蜂は初めて、他人の前で感情の任せるがままに行動した。


食蜂「ふぇぇぇぇええ……」 

上条「よしよし……」


声を上げて泣く。
頭を撫でてくれる彼の腕の力強さが、少しだけ心地よく思えた。


食蜂(不覚だわぁ……私が、この人なんかに涙を見せるなんてぇ……。
    けどぉ、せっかくだからこれも利用するわぁ……じゃないと、私が心を曝け出してしまった価値がなくなるものぉ……)


忌々しい。
『心理掌握』たる自分が、よもや他人に心を曝け出すとは。
食蜂は自分の心を覗き見た彼を絶対に服従させてやるのだと心に誓った。



冥土帰し「んっんんっ! 」 ゴホッゴホッ!


と、そこで咳払いの声。
病室の入り口に立っているのはインデックスが連れてきた医者だった。どこかカエルに似ている。


上条「あ」

食蜂「きゃぁっ!」


思わず声をあげて上条を突き放す食蜂。


上条「きゃぁ?」

食蜂「あ……」

食蜂(きゃぁって何よぉ……きっとまだ動転してるのねぇ。
    私の心もリモコンで操れたらいいのに……)


自分でも驚くような声だった。
一体何がそうさせたのか、食蜂自身にもよく分からない。


食蜂「……ドキドキって……馬鹿じゃなぁい」 


そう自分に悪態をつき、乱れた胸元を直し髪を手櫛で整える。



上条「何ぶつくさ言ってるんだ?」

食蜂「何でも無いわぁ、上条さんに少し感心しただけよぉ」

上条「?」

冥土帰し「病室では自重してもらいたいが、その調子なら大丈夫そうだね? 一晩休んだら退院しても構わないが、どうするね?」


医者の問いかけに、食蜂はいつも通りの人を惑わす笑顔を浮かべて、少しだけ困ったように眉尻を下げる。


食蜂「うーんでもぉ……」

上条「?」

冥土帰し「はぁ……やれやれ」

そうして告げた言葉に、医者は呆れ返ったようにため息をういて首を横に振った。

―――

 
第七学区 住宅街     


スタスタスタ… スタスタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆


食蜂「~♪」

上条「いいのか? もう退院して」

食蜂「いいのよぉ。私がいないとあの子達心配しすぎて発狂しちゃうかもしれないから」

上条「発狂?」

上条(まあインデックスの話じゃ、全身の傷より魔術による昏睡とかの方が問題だって言ってたし、
    その点は俺がいれば心配は無いからいいか……)

食蜂「ううん、こっちの話ぃ」

食蜂(軽いパニックになって喧嘩でも起こされると面倒だしね……)

上条「ちゃんと病院通えよ」

食蜂「もちろん☆ 今も泣きそうなくらい痛いわぁ」

上条「それでも退院したいなんて、よっぽど寮に帰りたいんだな」

食蜂「んー……? あー……」

上条「あれ、違うのか?」



食蜂「それよりもぉ、上条さんと二人きりになりたかったの☆」

上条「あっ……そ、そうか……」 ドキッ

食蜂「インデックスちゃんは一緒じゃなくてよかったのぉ?」

食蜂(まあ一緒に来させないんだけどねぇ)

上条「もう遅いし、タクシーで先に帰したよ」

食蜂「ふぅん……」

食蜂(ちょっとは気が利くようになったのねぇ……私にメロメロな証だけど、何か思ってたのと違うわぁ。
    もっとこう……盲目的と言うか、私以外何も見えないのを想像してたのにぃ……これじゃただのカップルじゃなぁい……) チェッ

上条「学舎の園からは一人で大丈夫だよな? 上条さんじゃ中入れないし」

食蜂「うーん……」

上条「今度は何だ?」

食蜂「来る?」

上条「は?」

食蜂「私のぉ……お・部・屋☆」 ツンッ

上条「……え? で、でも……」 ドキドキドキ…

上条(夜の薄明りの所為か普段の2割増しくらい可愛い……) ドキーンッ!


食蜂「私くらいになるとぉ、ゲートは顔パスだからぁ……入ろうと思えば入れるわよぉ……?」

食蜂(なんて☆ ほんとはゲートの警備員さんも私の支配下なんだけど。じゃないとこんな時間に帰れないわぁ。
    でも能力使ってるって知られてあの右手で元に戻されても面倒だしぃ)

上条「お、おお……」 

上条(い、いよいよなのか……? いよいよその時が来たって言うんのか!?
    時刻は……夜12時。インデックスには近くのコンビニで買った飯を持たせてある。
    あいつは大体この時間には寝ちまうから、帰ったらどっちにしろ寝てるだろうし俺がいなくても問題ない……!
    しかも明日は土曜日、夜更かししても大丈夫! ってことは……) ホワワワワーン…


~~~~~


食蜂『上条さん……二人きりねぇ……』 ピトッ

上条『はっ、はいっ! そうっすね……!』

食蜂『寮監さんが見回りに来る前にぃ……済ませちゃいましょぉ……』 ウルウル…

上条『な、何をでしょうか……?』

食蜂『私ぃ……初めてなのぉ……優しくしてくれなきゃ、嫌だゾ☆』 ムギュッ

上条『み、操祈ぃ……! 本当にいいのか!?』 ガシッッ

食蜂『いいのぉ……! 上条さんじゃなきゃ嫌ぁっ……! 私のこと、「掌握」してぇ……』 

上条『ふぉぉおおお! 操祈ぃぃぃいいいいい!!!!!!』 ガバッ!


~~~~~


上条(って言う展開を期待してもいいんですかー!?)



上条(いかんいかん! 操祈は怪我してるんだぞ……そんなこと……) ドキドキ…

食蜂「……上条さん次第かなぁ」 クスッ

上条「えっ、い、今……」

食蜂「顔がいやらしいんだモン。分かるよ。でもぉ……私も、期待しちゃおうかなぁ……」 ジッ

上条「み、操祈……」 ゴクリ…

食蜂「行こっ☆」 キュッ

上条「あ、ああ……」

食蜂(やっぱりちょろいわねぇ。私のお部屋なら邪魔も入らないしぃ、上条さんを夢中にしてあげられるわぁ。クスクス……) ドキドキ…

食蜂(……だからドキドキって……勝手に動かないでよねぇ、私の心臓)

上条(すまん土御門、青髪! 上条さんは一足先に抜け駆けさせてもらいますよ!) ドキドキ…

食蜂「……クスッ」

――――

学舎の園 ゲート


スタスタスタ…


警備員「ん?」

食蜂「どうもぉ☆ ご苦労様でぇす」 ヒラヒラ

警備員「ああ……食蜂さん、おかえりなさい。
     随分と遅くまで……」

食蜂「ええ。まあいいじゃないですかぁ☆」

警備員「そうね。貴女なら問題ないでしょう。ちょっとお待ちなさい、そちらの男子学生は?」

上条「あ……い、いや俺は……」

食蜂「ここまで送ってくれたのぉ。私の顔に免じて、ねぇ?」

警備員「そうですか、お気をつけて」

食蜂「はぁい☆ 行きましょぉ、上条さん」 ギュッ

上条「ああ……す、すみません」

警備員「もう遅いから、静かにね」


食蜂「クスクス……」

上条「いやー、まさか本当に入れるとはな……」

食蜂「私と一緒ならねぇ。常盤台の警備は機密区域並の厳重さよぉ、間違っても一人で来ないようにね。
    少年院送りにされたくないなら」

上条「お前らそんなすごいところに住んでるのか……」

食蜂「世界に名だたる名家の娘とか、某国のお姫様なんかが留学してきたりもするわねぇ」

上条「上条さんみたいな一介の小市民が歩いててもいいのかな……」

食蜂「大丈夫よぉ、私からすればみんな同じだしぃ」

上条「は?」

食蜂「誰だって心の中は同じよ。喜怒哀楽に満ちているの。
    どんなに素晴らしい人格者だって怒りを覚えるし、どんなにプライドの高い子も哀しみを感じる。
    外見や肩書なんて、感情を吐き出す袋のデザインに過ぎないわぁ」

上条「デザインねぇ……」

食蜂「貴方だって、感情は人並にあるでしょぉ?」


上条「そりゃそうだろ」

食蜂「ならいいんだけどぉ」

上条「お前もそうだろ?」

食蜂「……どうかしら」

上条「って言うか、じゃあ操祈には他人がみんな同じに見えてるのか?」

食蜂「同じには見えないわぁ。でも、心の中は同じ。
    あるのは個性という名の誤差だけなの」

上条「じゃあやっぱり違うじゃねぇか」

食蜂「それを自由に操作出来るんだから、やっぱり同じでしょぉ」

上条「んー……そういう言い方しちまうとそうなのかもしれないけど」

食蜂「人は見た目じゃないってよく言うけどぉ、私にとっては外側の方が大事ねぇ。
    中身がほとんど同じなんだもの」

上条「……」

食蜂「ちなみにぃ、御坂さんは圧倒的に好みじゃないわぁ」

上条「そういやお前ら仲悪いんだっけ?」


食蜂「見た目もそうだけどぉ、ウマが合わない人っているでしょぉ?
    『私は学園都市第三位の超能力者だけどみんなと普通に接してあげてます』。
    『お嬢様学校に通ってるけど他の皆と違って私は結構普通です』。
    『派閥? うーん、悪いことじゃないと思うけどぉ、私はそういうのいいかなぁ』。
    そんなキャラ作りが透けて見えるのが腹立たしいのよねぇ……。私好みに作り変えられないのがなおさら」

上条「ぷっ、何だそりゃあいつの真似か?
    はは、でもあいつはそれが素だと思うけどな。悪い奴じゃないよ」

食蜂「あてつけられてるみたいで嫌なの。1年生の頃は一緒に頑張りましょぉって派閥に誘ったりもしたんだけどぉ、
    断られ続けて段々腹立っちゃった☆」

上条「レベル5でも色々あるんだな」

食蜂「そうよぉ。だからぁ、御坂さんと仲良くしないでねぇ」

上条「いやそれとこれとは……」

食蜂「上条さん……」 ギュッ

上条「み、操祈……」

食蜂「私ぃ……やきもち妬きだから……こういうこと言うの許して欲しいのぉ……」 ウルウル…

上条「あ、ああ……」 ドキッ

上条(かわいい……。けど操祈ってやっぱ超能力者だからかちょっと変わってるな。
    あ、でもこれって操祈が本音を話してくれてるってことなのか?
    今まであんまり自分のこと教えてくれなかったし……喜ぶべきなんだろうか) 



食蜂「あ、着いたわぁ」

上条「……え?」

食蜂「私のお家☆」

上条「待て、常盤台って全寮制じゃなかったのか?」

食蜂「うん、私の派閥の寮よぉ?」

上条「そ、そんなのあるの?」

食蜂「もともと職員用の寮だったらしいんだけどぉ、『理事長』に『おねだり』したらくれたのぉ☆
    ほらぁ、私ってぇ、こう見えて集団生活苦手だしぃ……女子寮でいじめにあったら怖いしぃ……」 シュン…
    
上条「いやいや、何だよ……この馬鹿でかい屋敷は……上条さんの家はうさぎ小屋か何かか。
    やっぱり操祈もお嬢様だったんだなー……」 シミジミ

食蜂「うぅん、私の両親は神奈川で海老の養殖やってるわぁ」

上条「海老?」

食蜂「海老」

上条「へぇ、そうなn」

食蜂「う・そ☆」

上条「リアルな嘘つくなよ……」

食蜂「ふふ、さ、行きましょぉ」 キュッ

上条「ああ……」 キュッ


―――


食蜂の寮 玄関ホール

ガチャッ…


食蜂「さ、どうぞぉ」

上条「お、お邪魔しまー……わっ!」 ビクッ


縦ロール「……」

女生徒A~Z「「「「「「「「……」」」」」」」


上条「あっ……え、えーと……」


食蜂「……クスッ」





縦ロール「女王、おかえりなさいませ!!」 ビシッ!

女生徒A~Z「「「「「「「「おかえりなさいませ!!!」」」」」」」 ビシィッ!




上条「っっ!?」 ビクビク…

上条(な、なんだここ……女の子がひいふうみい……数十人ずらっとお出迎え……何か上条さんが思ってた女子寮と違う)

食蜂「ただいまぁ」


縦ロール「女王、その怪我はどうなさいましたの? そ、それにそちらの殿方は一体……?」 ジッ

上条(めちゃめちゃ警戒されてる! そりゃそうだよな……ここは御坂の話じゃ生まれてから家族以外の男と喋ったこと無いって子もいるくらいのお嬢様王国だし)

上条「き、急におしかけてすみません、俺は上条t」


パンッ!!


縦ロール「うっ……!」

上条「!?」

上条(問答無用のビンタ!? さすがお嬢様、やっぱりそこはグーじゃないんだな!
    ってそうじゃねぇ! 操祈いきなり何してんだ!?) アセッ

上条「お、おい操祈……」

食蜂「あらあらぁ? いけない子ねぇ。貴女、今日まで常盤台で何を学んできたのかしらぁ?
    私が連れて帰ってきたのだから、お客さんに決まってるじゃなぁい。
    お客様にはどういう対応をすればいいのか、貴女中学生にもなって分からないのぉ?」

上条(正直上条さんもどう対応されればいいのか分かりません……)

縦ロール「ご指導ありがとうございます、女王。
      申し訳ありませんでしたわ……どうか、お許しを……」 スクッ ペコッ

上条「え? あ、ああ……そんな」

食蜂「ごめんねぇ、上条さん。男の子は見慣れていないからこの子達緊張してるのよぉ」 クスクス…


上条「そ、そうなんだ……」

上条(すごい世界だ……これがお嬢様学校か……)

食蜂「お腹空いたでしょぉ? すぐご飯にしましょ☆ 上条さんを食堂まで案内してくれるぅ?」

縦ロール「かしこまりました。どうぞ、上条様、こちらですわ」

上条「は、はい……」

食蜂「私着替えてから行くから先行っててねぇ」

上条「わかった……早く来てくれよ」

上条(怖いから)

食蜂「アハっ、寂しんぼさん☆」

上条「はは……」 スタスタ…

縦ロール「……」

上条(何か少女マンガみたいなとこだな……この人も縦ロールすごいし)

縦ロール「こちらの部屋になります。どうぞ」

上条「あ、ども」


スタスタ… バタンッ


食蜂「……」

眼鏡「さ、女王。お荷物をお預かりします」

食蜂「うーん……今夜は冷えちゃうなぁ……冷たい床からの底冷えが心配だなぁ」 ピッ☆


バッ バッ バッ!

シュルシュル… ゴソゴソ…


食蜂「クスクス……うーん? みんなどうしちゃったのぉ?
    急に下着姿になんかなったりしてぇ。はしたないゾッ☆」

眼鏡「女王、どうぞ、私達の上をお歩き下さい」

ゆるふわ「女王! お足の裏が冷えるといけませんわ、どうか私のお腹を踏んでください!」

ポニー「女王! 私は顔を!」


ジョオウ! キャー! ワタクシモー! キャッキャッ!


食蜂「クスクス……あらぁ、悪いわねぇ」

食蜂「みんなの優しさが身に染みるわぁ」 スタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

眼鏡「あっ……!」 グッ

ゆるふわ「うぐっ……!」 グッ

ポニー「あはぁんっ!」 グッ


アッ! アアッ! ジョオウッ! イイッ! モットクダサイッ!! ワタクシノウエモアルイテェ!


食蜂「ぷっ……アハぁっ、アハハハハ!」 ゾクゾクッ

食蜂「じゃぁまた後でねぇ、上条さん」 クスッ




食蜂「今夜は楽しい夜にしましょうねぇ☆」 




みさきちは入院してるより派閥の子を踏む事の方が大事なようです。
もう矯正無理かも分からんね。
今日はここまでで。また近々お会いしましょう。

魔性の女ってこういうのを言うんだろうな

>>427
いや「魔性の女」じゃない
根性がネジ曲がった「性悪の小娘」だ

こんばんは。
こんな時間ですが投下します。多分あと何回かで終わります

―――

食蜂の寮 食堂


ワイワイッ キャッキャッ! ウフフ…


上条「うンまぁぁぁあああああいっっっ!!!」 モグモグ

食蜂「アハハ、大げさねぇ」

上条「いやいやほんとほんと。こんな美味いもん食ったことないよ。えーと……なんて言ったっけこの料理」

調理部の女生徒「こちらがフォアグラのロワイヤルとオゼイユのエキューム、
           こちらは鯖のポッシェプティバトー仕立てヴァードゥヴァンとピキーヨ風味ケッパーで和えた大根を添えて、でございますわ」

上条「それそれ。何かよく分かんないけど」

縦ロール「殿方ですから、わたくし達と同じ量では足りないのではありませんか?
      上条様にもう一品何かお出しして差し上げて」

調理部「ええ、そう思い、既にご用意しております」

上条「い、至れり尽くせりだ……」 ジーン

食蜂「学舎の園にはもっとすごいお嬢様学校もあるんだけどねぇ。
    なかなか出来ない体験でしょぉ?」

上条「ほんと住む世界が違うな……ところで、いつもこんな時間に飯食ってるのか?
    全員揃ってってとこは寮っぽいけど」

縦ロール「女王がお帰りになるのをお待ち申し上げていたのですわ。
       学舎の園の外へお探しに行こうとも思いましたが、警備の方に止められてしまいましたので……と、そう言えば女王、その包帯はどうなされたんですの?
       大きなお怪我をされたのでは……」

食蜂「そうなんだけどぉ。上条さんが助けてくれたのよぉ☆」

上条「いや病院運んだだけで……」

縦ロール「か……上条様……!」

上条「はい……?」 ビクッ

縦ロール「女王のお命を救っていただいた方とこうして同じテーブルに着くことが出来るだなんて……
       ありがとうございます! このご恩は一生忘れません!」

上条「そ、そこまでのことじゃないんじゃないでせうか……」

食蜂「しっかりおもてなししてあげてねぇ」

縦ロール「お任せください! 明日は休日ですし、常盤台の名に恥じぬもてなしをして御覧に入れましょう」 フンスッ!

食蜂「えー? ほんとにぃ? ですってよぉ上条さん。どう思う?」 チラッ

ショートカットの女生徒「!」

      (女王がこちらを見てらっしゃる!? な、何か至らぬことが……)

ツインテールの女生徒「!」

      (上条さんという方を少し素敵だと思ってしまったことが女王に知られてしまったのでしょうか……。
       ど、どうしましょう……)


上条「いやいや、ほんと俺操祈を送ってきただけだから、そんなのいいよ」

縦ロール「せっかく来て頂いたんですもの。そうは参りませんわ」

食蜂「クスクス……」 ソー… ピッ☆

上条「えー、でもなー……」

ショート(じ、女王を愉しませて差し上げなければ……ハッ) チラッ

ツイン(そ、そうだわ。女王は余興を望んでいらっしゃる。  
     上条様に見られないように……) チラッ


チュッ… チュプッ… 


ショート「んっ……んぅ……ちゅっ」

ツイン「ちょっと……もっと上手にやって下さらない?……んぅ……」 チュプッ

食蜂「クスクスクスクス……」

食蜂(上条さんに気づかれるかもしれないこのスリル……たまらないわぁ。
    やっぱりお家で遊ぶのが一番楽しいわねぇ……)

上条「操祈だって今日も疲れてるだろ?」



食蜂「いいえぇ、今疲れを癒してる最中だもの」 クスクス…

上条「? ああ、みんなと一緒だからか。友達想いなんだな」

縦ロール「光栄です女王。わたくし達も、女王と食事を共に出来ることが一番の癒しですわ」

ショート「ちゅっ……貴女こそ……下手くそ過ぎて……ちゅぅっ……お話になりませんわ……」

ツイン「……んふぅ……ピチャッ……チュプッ……ぁんっ!」

上条「ん?」 クルッ

ショート「……」 カチャカチャ… モグモグ…

ツイン「……」 パクパク… カチャカチャ…

縦ロール「後ろの二人がどうかなさいまして?」

上条「ああいや、気の所為だな。ところでこの寮って何人くらい住んでるんだ?」

ツイン「なかなかやるわね……こっちもして下さらない? 女王に見て頂きましょう」

ショート「ええ……うふふ……んっ!」 ピクッ

食蜂「クスクスクス……」 モグモグ


ツイン「ぁ……はぁ……すごい……っ、んぅっ、貴女、普段から練習してらっしゃるの……?」 クチュクチュ…

ショート「貴女こそ……こんなにして……淑女として恥ずかしくありませんの……?」 クチュクチュ…

縦ロール「その時の派閥に所属する子の数で代わりますが、本日は50名程でしょうか。
      上条様はご自宅は学校の寮なのですか?」

ツイン「ぁっ……ぁっ! ……女王が見て下さってるわ……私達のこんな姿を見て……汚らわしいものを見るような視線を浴びせて下さってる……!」 ビクビクッ!

ショート「素敵っ……! 私……もうっ……あんっ!」 ビクンッ!

上条「ん?」 クルッ

ツイン「……」 カチャカチャ… モグモグ…

ショート「……」 パクパク… カチャカチャ…

縦ロール「何か?」

上条「ああごめんごめん。家は一応学生寮だけど一人暮らしだよ。
    普通のアパートみたいなもんだな」

縦ロール「まあそうでしたの。自炊されているとはご立派ですわ。台所に立てる殿方だなんて素敵ですわね女王」

食蜂「えぇ……そうねぇ……ぷぷっ」 プルプルプルプル…

上条「?」


ツイン「女王が笑って下さってる……私達の汚らわしい痴態で女王の笑顔が見られるなんて……
     ぁあっ! ぁあっ……!」 ゾクゾクゾクッ!

ショート「私ももうダメぇ……! 女王に見られて……ぁはぁっ……!」 ビクビクビクビクッ!


ブルブルッ! ビクンビクンッ! ガクッ…


食蜂「クスクスクス……」

食蜂(食堂でご飯食べながら気持ちよくなっちゃうなんて、淑女にあるまじき痴態だわぁ。
    貴女達、朝までお部屋で好きなだけまぐわってなさぁい。
    で、お日様が登ったら急に相手の存在が許せない程憎くなってキャットファイトねぇ) ピッ☆


ガタンッ!


上条「ん?」

ツイン「……」
 
    (朝までこの子の〇〇〇を●●●で×××の■■■しなくちゃしなくちゃしなくちゃしなくちゃ)

ショート「……」

     (ベッドの中でこの子の☆☆☆を◆◆◆してめちゃめちゃに▲▲▲のうえ□□□したいしたいしたいしたしたい)

上条「どうしたんだあの二人、突然立ち上がって」

縦ロール「さあ……」


スタスタスタ… バタンッ


上条「なんだ、飯が終わっただけか。にしても手なんか繋いじゃって、仲良いんだな」

食蜂「クスクス、そうみたいねぇ。お部屋で朝までお喋りじゃないかしらぁ」

縦ロール「明日はお休みですものね」

上条「そう言や二人も仲良さそうだよな」

縦ロール「ええ、それはもう。わたくし学年は一つ上なのですが、女王が入学された時見初めて頂いて……それっきりお傍に置いて頂いておりますの」

食蜂「この子可愛いでしょぉ? ほらぁ、おっぱいも大きいしぃ、抱き心地が一番良かったのぉ」 ギュッ!

縦ロール「じ、女王……上条様の前でそのようなお戯れは……」 

上条「満更でも無さそうだな」

縦ロール「か、上条様まで……」 カァァ…

食蜂「上条さんもどう? いいわよねぇ?」

縦ロール「じ、女王……殿方に……は、はい。女王がおっしゃるなら、構いません……」 グッ

上条「い、いやいいよそんなの!」 アセッ

食蜂「そうよねぇ。そんなことしたらぁ、私拗ねちゃうゾ☆」



上条「はは……」

食蜂「今夜は一緒に寝ようね、上条さん☆」

縦ロール「じ、女王……殿方と同衾だなどと……」 

食蜂「上条さんはぁ、私と寝たい?」

上条「え……ね、寝たい……です」

食蜂「ふぅん……」 ニヤニヤ…

縦ロール「じ、女王……風紀を乱すようなことは……」

食蜂「あらぁ? 風紀が乱れるようなことってどんなことぉ?
    操祈分かんなぁい☆ 詳しく教えてぇ、出来るだけ官能的にぃ」 ペロッ☆

縦ロール「で、ですからそれは……その……」 チラッ

上条「!」 ドキッ ソワソワ…

縦ロール「知りませんっ!」 プィッ

食蜂「上条さんはぁ、私とぉ、風紀の乱れるようなことしたいのぉ?」

上条「……えっ、お、俺に振るのか……?」 チラチラッ

縦ロール「……」 ジトッ

上条「えーと……」

食蜂「クスクス……可愛くおねだり出来たらぁ、私のお気に入りの下着着けてベッドで待っててあげようかなぁ☆」


上条「お気に入りの……」 ゴクリ…

上条(どんなのだろう……って言うか操祈って何カップくらいなんだろう……意識しちまうとヤバいな) ドキドキ…

食蜂「そういうのもぉ……お布団の中で全部教えてあ・げ・る☆」 パチッ☆

上条「あふぅうんっ……」 ドッキンコッ!

上条(ああ……やっぱり可愛い……そ、そうだよな。か、彼女なんだから、いいんだよな……?)

食蜂「お風呂で身体、綺麗にしてきてねぇ。私もぉ……上条さんに見られて恥ずかしくないようにしておくからぁ……」 クスッ…

上条「!」

縦ロール「もうっ……お好きになさって」

食蜂「やーい、恥ずかしがり屋さぁん☆」 プニッ

縦ロール「し、知りませんわっ!」 プィッ

食蜂「クスクスクス……」 

上条(アレ、財布の中にあったかな……上条さんの胸はもはや期待でいっぱいですのことよっ!
    今までの妄想での特訓の成果を見せる時が来たようだな!)

食蜂(さてとぉ、どう調理してあげようかしらぁ。上手く調教しないとねぇ。あ、撮影の準備しとかなくっちゃ。
    御坂さんどんな顔して泣いてくれるのかしらぁ……アハっ、出来るだけ強がって欲しいなぁ☆) ドキドキ…

食蜂(ドキドキ……?)

―――

食蜂の寮 浴場


カポーン…


上条「ふぅ……風呂もすげぇ広いな……。なんか金かかってる感じでめちゃくちゃ綺麗で豪華だし。
    あるところにはあるんだよなぁ、お金。
    ま、上条さんには縁の無い話だ。

上条「にしても……」 ソワソワ…

上条(ここ、普段からあの子達が使ってるのか……。みんな可愛かったし、ってことは操祈も……。
    そう思うと心なしかいい匂いがするしお湯も1.5倍くらい透き通ってる気がしてきたぞ……) バシャバシャ

上条「あ、ヤバイ……」 ムクムク…

上条(落ちつけ落ちつけー。寝るだけ、寝るだけだ……。
    操祈は怪我人。上条さんとの激しい運動は禁物だ……なんて)

上条(むむむ……でも据え膳食わぬは何とやらだよな……操祈も期待しているなんつってたし……)ドキドキ…


ガララ…


上条「え……?」 

縦ロール「失礼いたします……」


上条「きゃぁああ! エッチぃぃい!」

縦ロール「は?」

上条「あ、つい何となく……。って! ご、ごめんすぐ出るから!
    あれ? 水着姿……?」

上条(おおう……白井や御坂と同じ中学生とは思えないスタイル……。
    操祈もすごいけど、この人もなかなか……) ゴクリ

縦ロール「どうぞ、そのままで……わたくし達は上条様にご奉仕するよう女王から仰せつかっておりますので……」 

上条「……なんだって?」

縦ロール「貴女達、お入りなさい」

眼鏡「失礼いたします」 ペタペタ

ゆるふわ「し、失礼します……」 ペタペタ

女生徒A~Z「「「「「失礼いたします」」」」」


ゾロゾロゾロ… キャピッキャピッ! キャッキャッ!


上条「」



縦ロール「で、では上条様……お背中流させて頂きますので……どうぞこちらへいらしてくださいまし」

上条「ハッ! えっ? ええっ!? な、何これ!?」

縦ロール「女王から、是非に女風呂というものを味わっていただけとのご命令です……。
       その……性的なことは致しませんから、勘違いされませぬようお願い致しますわ……さあ、こちらへ」

上条「ぉお……」 ドキドキ… フラフラー

上条(大浴場一杯に水着の美少女達が……ゴクリ、しかもみんな清楚な御嬢様達なんだろ……。
    あれ……上条さん夢を見てるのかな……?)

ゆるふわ「上条様、失礼いたします……」 ムニッ

上条「!」

眼鏡「失礼いたします」 ムニッ

上条「!?」

縦ロール「わたくしは……背中を……」 ムギュッ

上条「!!!!!??????」

上条(り、両腕と背中を胸でスリスリって……ど、どこのソ〇プですかここは!?
    いいのか!? いいのか!? ああっ、駄目と分かっているのに、正直ずっとこのままがいいっ!)

ゆるふわ「んっ……ぁふっ……」 スリスリ

眼鏡「はぁ……ん……いかがですか……上条様……」 スリスリ

縦ロール「女王からよく体を洗って差し上げるようにと言われておりますので……辛抱してくださいましね……」 ムニムニ

上条(もう死んでもいい……) 


――――

食蜂の寮 寮監室


ピチャピチャ… ピチャピチャ…


ポニー「ハァ……ハァ……ペロペロ」

食蜂「クスクスクス……あらあら上条さんってば、だらしない顔ねぇ。
    まあ手始めにうちの子達を使って骨抜きにしてあげるわぁ。
    私がやってもいいけどぉ、さすがにそこまで奉仕するのは疲れるしぃ」

縦ロール『上条様……んっ、あまり動かないでくださいまし……』

上条『ぉ、ぉお……』 ピクピク…

食蜂「可愛い顔しちゃってぇ。いじめたくなっちゃうなぁ☆」 クスクス…

ポニー「……ペロペロ……ピチャピチャ……」

上条『な、なんか上手いっすね……』 アセッ

ゆるふわ『女王にいつもご奉仕させて頂いていますから……んっ!』

上条『はぁんっ……!』 デレー

食蜂「……」 ヒクッ


眼鏡『あら上条様……こちらもお世話させて頂きましょうか?』

上条『あっ! そこはっ……!』 ピクンッ

食蜂「……」 ヒクヒクッ

縦ロール『上条様……わたくしも……何だか変な気分になってきてしまいましたわ……』

上条『あふぅ……上条さんとっくに変な気分ですぅ……はぁん』 ダラー

食蜂「……」 イラッ!


ガシッ グィッ!


ポニー「ピチャ……あっ! う……ぐ……」

食蜂「下手くそぉ」 ペッ

ポニー「も……申し訳ありません……あの……い、痛いです女王」

食蜂「クスッ……私の靴貸してあげるから舐める練習でもしてなさぁい」 スクッ

ポニー「あ……ど、どちらへ……?」

食蜂「別にぃ」

食蜂(何よぉ、デレデレしちゃってぇ。あの子達より私がやった方が絶対デレデレするわぁ。
    ……何か面白くなぁい)

食蜂(何なの……。上条さん見てたら、たまに心を見失うわぁ……)

――――

食蜂の寮 サロン


キャッキャッウフフ… ワイワイワイ…


食蜂(次はサロンで宴会ねぇ。たくさんの女の子に囲まれてデレデレしてるムービーを御坂さんの目につく所で流すっていう悪戯だけどぉ……)



縦ロール「上条様、もう一杯いかがですか?」

上条「え? いやーはは……悪いなーなんか」

眼鏡「とんでもない。女王のご命令ですもの。ささ、グッとやってくださいな」

上条「よーし、上条さん今夜は飲んじゃうぞー! コーラだけど」 ゴキュッゴキュッゴキュッ

眼鏡「まぁ、素敵な飲みっぷり」

ゆるふわ「さすが、殿方は違いますわ」

上条「ははは、ほら、みんなも飲もうぜ。このおつまみの生ハムめちゃくちゃ美味いし」 モグモグ


食蜂「……」 イラッ



縦ロール「いえ、わたくし達は……」

上条「まあそう言わず、そらそら」 トクトク…

縦ロール「ありがとうごz」

食蜂「……」 スッ ゴクゴクゴク…!

縦ロール「じ、女王……」 ゾクッ

上条「おう。今までどこ行ってたんだよ。ほら、操祈も座れよ」

食蜂「っぷはぁ。楽しそうね、上条さん☆」

上条「ああ……正直最高です。竜宮城にでも来た気分だよ……」

縦ロール「楽しんで頂けているようで何よりですわ。女王、喜ばしいことですわね」 ニコッ

食蜂「……」 ジロッ

縦ロール「う……差し出がましい真似を……申し訳ありませんでした」

食蜂「ねぇ上条さぁん……」 スッ ギュッ

上条「は、はい?」 ドキッ

上条(おお……操祈も風呂上りかな。シャンプーの香りがする……) ドキドキ…


食蜂「もう遅いしぃ……お部屋で二人きりになりたいなぁ……」 ウルウル…

上条「え、でもまだ始まったばっかりだし、せっかく準備してくれたんだから……」 チラッ

縦ロール「お気になさらずともよろしいですわ」

食蜂「ほらぁ、こう言ってることだしぃ、ね?」

上条「ああ……じゃあ……」

縦ロール「あ、けれどどう致しましょう。この後デザートに女王のお好きなスターフルーツのジュレをご用意させて頂いたのですが……」

食蜂「……」 ピクッ

上条「操祈?」

食蜂「明日食べる」 プィッ

縦ロール「クスッ、かしこまりました」

食蜂「うん……」

上条「ぷっ、操祈にも好物とかあるんだな」


食蜂「あ、あるわよぉ……いいでしょぉ」

上条「はは、ごめんごめん」

縦ロール「では女王、お部屋でお休みになられますか?」

食蜂「えぇ。誰も部屋には近づかないようにねぇ。ね? 上条さん☆」 ギュッ

上条「お、おう……」

縦ロール「じ、女王……」 カァァ…

食蜂「上条さん、今夜はぁ、寝かさないわよぉ☆」

上条「ま、マジですか……」 ゴクリ…

食蜂「楽しみにしててねぇ……」 スタスタスタ…

上条「まあ操祈と一緒ならいつでも楽しいけどな」

食蜂「!」 ドキッ

上条「ん?」

食蜂(突然そういうこと言うの止めて欲しいわぁ……。
    でも、楽しいかぁ……。そう言えば私と会ってる時はいつも楽しそうよねぇ……。
     私は……どんなデートをしたのかさえロクに覚えてないって言うのにぃ……)

上条「どうした? 行こう」

食蜂「うん……」

食蜂(どうしてそんなに私を信じられるのかしらねぇ……上条さん)

――――

食蜂の寮 廊下


スタスタ… スタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆


食蜂「……」 スタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条(いよいよだ……操祈の部屋で、同じベッドで……上条さんは大人の階段を昇るんですね)

食蜂「……」 スタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条(部屋に入るなり抱き締めたりとかしていいかな……いやいや落ちつけ。
    操祈は怪我人怪我人。優しく扱わないとな……寝るだけ寝るだけ……。
    で、でも操祈も期待してるって言ってたし……いいよな?) ドッキンドッキン…

食蜂「……」 スタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条(よぅし、毎晩枕を相手に練習したキスの成果を出す時が来たな……。
    前は操祈から突然だったし、今回は俺から男らしく行くんだ。
    そしてそのまま……)

食蜂「ねぇ、上条さぁん」

上条「ハッ! な、なんでしょうか!」

食蜂「随分とデレデレしてたのねぇ」

上条「えっ」 ギクッ


食蜂「何かぁ、私と一緒の時よりも楽しく見えちゃったなぁ……」

上条「そ、そんなことないぞ! 操祈と一緒が一番に決まってるだろ!」

食蜂「……! そぉ? どうしてぇ……?」 ドキドキ…

上条「どうしてって……恋人だからな」

食蜂「……そうよねぇ。恋人だものねぇ。
    ……上条さんはぁ、私の事、愛してくれるぅ?」

上条「お、おう。もちろんだ!」 ドキドキ…

食蜂「……。えへへぇ☆ 嬉しいわぁ」

上条「はは、当たり前だろ。操祈は可愛い、宇宙一可愛い!」

食蜂「もぉ、褒め過ぎよぉ。でもぉ、私も好きだゾ☆」 ツンッ☆

上条「あ、ああ!」

上条(うっひょおぉ!! 焼き餅かわいい……! 食べちゃいたい! ……って落ちつけ。
    操祈は確かに凄まじく可愛いけど中学生だ。ここは上条さんが大人として紳士的に……) チラッ

食蜂「うん?」 コテッ

上条(あはぁぁんっ! もう深夜のテンションの所為か上条さん今すぐ抱きしめたい!
    ひぃひぃふぅっ! 駄目だ駄目だ……紳士、紳士……深呼吸しよう) バックンバックン…!


食蜂「上条さぁん☆ 着いたよ、ここが私のお・部・屋☆」

上条「……へぇ、そうなんだ。女王って言うから他と違うのかと思ったけど、扉は一緒だな」

食蜂「一応寮だしねぇ。でも角部屋を使わせてもらってるわぁ。
    さ、入ってぇ」

上条「……」 ゴクリ…

上条(さらば、童貞。上条さんは、大人になりますっ) フンスッ


ガチャッ


上条「お邪魔しまーす……」

食蜂「はぁい、どうぞぉ☆」

上条「おお、結構普通の部屋だな」

食蜂「もぉ、どんなの想像してたのよぉ」

上条「え? そりゃもうぬいぐるみとか一杯みたいな」

食蜂「アハハぁ、小学生じゃないのよぉ。ね、上条さん、座って座って」

上条「おう」 スタスタ…

食蜂「もう、そっちじゃないわぁ」


上条「え? でも……ソファはこっちに……」

食蜂「お馬鹿さん……」 ウルッ…

上条「み、操祈……」

食蜂「上条さんとぉ……お布団の中でお話したいなぁ……」

上条「そ、それって……ゴクリ…」

食蜂「女の子にぃ……恥かかせちゃダメなんだゾ☆」

上条「操祈っ!」 ガバッ!

食蜂「あはっ!」 ボフッ

食蜂(クスクス……楽勝ねぇ。後は恥ずかしい写真いっぱいとって調教の始まり始まりぃ……)

上条「……い、いいのか……?」

食蜂「上条さんがぁ……したいなr」 ドキッ

食蜂(……あれ……?) ドキドキドキ…

上条「操祈……」 スッ

食蜂「あっ……」 ピクンッ

食蜂(な……何……? 何よこれぇ……この前まで何ともなかったじゃない……。
    何で……? 何でこんなにドキドキしてるのぉ……さっきから、変よぉ……。
    それに……) ドキドキドキ…

上条「好きだ、操祈……」 チュッ

食蜂「んっ……! ぁ……ぁあ……」 プルプル…


食蜂(やだぁ……頭……ふわふわする……。違うでしょ……もっとこの人を翻弄しなくちゃいけないのよぉ……でも。
    ああ……すごい……こんなの初めてぇ……。
    何でなの……だ、駄目……御坂さんを虐めるためなんだから……本気になっちゃ……駄目なのにぃ……) ドキドキドキ… ピクピクッ…

上条「操祈……」 ムニュッ

食蜂「ぁっ! ち、ちょっと待ってぇ……!」 ピクンッ!

上条「あ……ごめん、痛かったか?」

食蜂「ち、違うの。違うのよぉ……あ、あのね……その……うーんと……」

食蜂(い、今のはヤバかったわぁ……本気で声出ちゃったぁ……そういうのも制御できるはずなのに……。
    そっか……上条さんの右手、私の能力打ち消しちゃうんだっけ……。ってことは……今のは私の……)

上条(緊張してるのかな。やっぱ可愛いな……でも操祈から誘ってきたんだし、いいんだよな……)

食蜂「お、お風呂! シャワー浴びるわぁ!」

食蜂(と、とにかく一旦距離を置かないと、何か変よぉ……私)

上条「え? でもさっき風呂入ったし、操祈も入ったんじゃ……」

食蜂「あ……じ、じゃあ……」

上条「操祈っ」 ギュッ

食蜂「!」 ビクッ

上条「大丈夫だ。緊張しなくていいから、俺に任せとけ……」

食蜂「上条……さぁん……」 ホワァ…


食蜂(そ、そうじゃないわよぉ……! 危ない、蕩けちゃいそうだったわぁ……。
    駄目駄目、何かおかしいわぁ。自分の心を制御しきれてない……。
    能力の問題じゃないわぁ、私が変……。こういう日は大体失敗するのよ……。
    改竄しなくちゃ……ああでも……いいなぁ……これぇ) 

上条「優しくするから……」

食蜂「んっ……ス、ストップ!」 グィッ!

上条「おっと……!」

食蜂「ハァ……ハァ……ち、ちょっと派閥の子達に伝え忘れたことを思い出したから……」

上条「え……や、やっぱ駄目だったか……?」 シュン…

食蜂「そ、そうじゃないのぉ……本当に本当だから……そんな顔しないでぇ……」

食蜂(何で私が気を遣うのよぉ……。頭が言う事を聞かないわぁ……。抑えても抑えても溢れてくるこの気持ちは何なの……。
    何よぉ……精神系能力者でも無いくせにぃ……!)

上条「そ、そっか。嫌だったらいいからな?
    ちゃんと言ってくれよ?」

食蜂「う、うん。ありがとぉ。大人しく待っててねぇ……!」


タッタッタッ! ガチャッバタンッ!



食蜂「はぁ……」 ヘタッ…

食蜂(変な嘘まで吐いて部屋を飛び出るなんて……ああもぉ、意味が分からないわぁ)

食蜂(でも飛び出してどうするの? ……恥ずかしがってるフリして次回に伸ばした方がいいかしらぁ。
    焦らすのはいつものことだけどぉ……)

食蜂(でもこの辺で御坂さんにまた爆弾投下したいし……キスも、良かったしぃ……) ドキ…

食蜂(だ、だから違うのぉ! 馬鹿じゃなぁい!
    とにかく、このドキドキはそろそろ何とかしないと駄目だわぁ。
    能力で抑え込んでるはずなのにすぐまた出てきちゃうんだから……元を断つ必要があるわねぇ……)

食蜂(じゃぁ元って何? ……上条さん? そんなはず無いわぁ……彼は、ただの対御坂さん用人型決戦兵器なんだからぁ)

食蜂「はぁ……まだ食堂で片付けでもしてるかしらぁ……水でも飲んで落ち着こう。
    上条さんを上手い事言いくるめなくちゃ……。
    ちょっと調子に乗って挑発しすぎちゃったぁ。失敗失敗」

食蜂「まあでも大丈夫よね、何てったって上条さんは私のこと大好」 ドキッ…

食蜂(……私の何がそんなに良いのかしらねぇ。真っ直ぐ過ぎて、見えないわぁ。
    疑わない心って……厄介なのねぇ)

―――

食蜂の寮 食堂



食蜂「はぁ……」 スタスタ…


クスクス… キャッキャッ…


食蜂「あらぁ……? 何か楽しそうな声が聞こえてくるわねぇ……」 コソッ


女生徒A「ねぇねぇ、御覧になって? 先ほどの女王」 ウフフ

女生徒B「ええ、『二人きりになりたい』だなんて、とてもいじらしかったですわ」 キャー


食蜂(私の……噂話ねぇ……)


女生徒A「そうですわね。まさか女王に恋人がいらっしゃるなんて、少しショックですけれど、殿方も優しそうな方ですし、
      女王もそう言ったお人柄に惹かれたのかも知れませんわ」

女生徒B「きっとそうですわ。ああ、女王のあの視線。あれは恋をする乙女の視線です。」





食蜂(――――――――――ッ)





女生徒A「私も女王に焼き餅を妬いていただけたらどんなに喜ばしいか。うふふ、女王もやはり女の子ですのね」


クスクス… キャッキャッ





食蜂「こ……い……?」


女生徒A「うふふ……あら? あっ」

女生徒B「どうなさったの? ……あっ」

食蜂「……恋……なのぉ? 私がぁ……? 
    この『心理掌握』が、恋愛感情なんていう最凶に訳の分からない感情に振り回されているというのぉ……?」 ブツブツ… ユラー…

女生徒A「じ、女王……もうお休みになられたのでは……」 ビクビク…

女生徒B「い、今のはその……女王を貶めていたのではありませんので、そこをご理解いただけたら……」 ビクビク…

食蜂「恋……そんなはずない。
    もしそうだとして、『掌握』出来ない感情は全て不要よぉ。取り払う術があるのなら今すぐ教えてちょうだぁい……」 

女生徒A「じ、女王。恋のお悩みですか? でしたらわたくし達が是非お力に!」

女生徒B「そうですわ! 女王のお気持ちはよく分かりますから……!」

食蜂「分かる……? 貴女にぃ……私のぉ……何が分かってるって言うの!!???」 スッ

女生徒A「ひっ! じ、女王……お許」

女生徒B「で出過ぎたことを……申し訳ありま」




ピッ☆





食蜂「お喋りな子は嫌いよぉ。音でも心でも五月蠅い声を垂れ流しにして、締りの悪いそのお口を開く許可は与えないわぁ」

女生徒A「……! ……!!」 ブンブンブンッ!

      (女王が……女王がお怒りに……! どうか、どうかお許しを……!)

女生徒B「…………!!」 ビクビクビク…

      (怖い……怖い怖い……女王、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!)

食蜂「五月蠅い五月蠅い五月蠅いっ……! 私は全ての心を総べる能力者よぉ……。
    その私が心を奪われる……? ありえない……許されない……そんなの……認めないわぁ!」

食蜂(恋……。それはとっくのとうに否定したでしょぉ。
    なのに、かつてないほど心が揺らされている……捉えなくちゃ……私の心を私以外の誰かに支配されるなんて……駄目よぉ)

女生徒A「……! …………!!」

女生徒B「…………!!!」


上条「あ、いたいた」


食蜂「……!」 ピクッ

上条「あー……操祈が遅いから、もしかしたら俺が悪かったのかなって思って……。
    もしアレだったら、部屋を別にしてくれてもいいんだぞって言おうと思ってさ」

食蜂(そうして貴方はまた私の心をかき乱すのねぇ……これ以上は、怖い……)

上条「ついでに俺も水でももらお……うかな? あれ?」






食蜂「貴方なんて遊びよ」






上条「……へ?」


食蜂「いつまで勘違いしてるのかしらぁ、上条さん☆
    いよいよ抱けると思って、調子に乗っちゃったぁ?」

食蜂(遠ざけなくちゃ……。私が崩れる……。心の距離が見えない……貴方の心が見えない……。
     怖い怖い怖い怖い怖い……!)

上条「えーと……操祈?」

食蜂「貴方はぁ、御坂さんをズタボロに虐めて泣かせるための道具でしかなかったの。
    御坂さん達から聞いてない?」

上条「……あー、でもそれはあいつらが勝手に」

食蜂「全部本当でぇす☆ あ、違うか。この場合はぁ、全部うっそでぇす☆
    って言った方がいいのかなぁ」

食蜂(これ以上は危険……私の『心理掌握』としての根幹が揺らぐわぁ……)

上条「み、操祈……お前何言って……」

食蜂(なのに……)

食蜂「貴方って……間が悪いわねぇ。もう少し落ち着かせてくれれば、私も別の答えを出せたかも知れないけどぉ……」

上条「は……?」

食蜂(どうして貴方はそんなに……)

食蜂「ごめんねぇ、上条さぁん―――――」


上条「……」






食蜂「――――貴方騙されちゃったのぉ☆」






食蜂(悲しそうな顔をするの……?)


デレ=みさきちの意図しないもの=制御できてないから駄目。
というお話。
今回はここまでで。いつも感想ありがとうございます。また近々。
あと2、3回で終れるかなぁ

こんにちは。変な時間ですが、休日なので投下します

―――
 

食蜂「へぇ、じゃぁ、御坂さんには街中で会うたびにビリビリされてるんだぁ」

「そうなんだよ。まぁ最近はあんまりないけどな。でもその代りなんやかんやゴチャゴチャ言われるようになってさ。
 やれ携帯のストラップが欲しいからペア契約しろだの何だの。
 あいつも暇なのかねぇ」

食蜂「そうなのぉ。クスクス……」

「そうそう。学校でもそんな感じなのか?」

食蜂「いいえぇ、どちらかと言えば浮いてるわねぇ」

「へぇ、あいつが。ああ、まあお嬢様って感じじゃないしな」

食蜂「うんうん。後輩には結構慕われてるみたいなんだけど」

「そういやそうだな。白井がいつも周りにいるし」

食蜂「ああ白井さんねぇ。御坂さんの取り巻きの」

「取巻きか。友達だろ?」

食蜂「常盤台には派閥ってものがあるから。友達と言っても少し違って見えてしまうのよ。
    悪意は無いわぁ」

「ふぅん」



食蜂「御坂さんのこともっと詳しく聴きたいけどぉ。ねぇねぇ……」 スリスリ

「な……なんでせうか……」

食蜂「私ぃ……貴方に助けてもらって……ドキドキしちゃった」

「は、はぁ……」

食蜂「もっと、これからもぉ……貴方の隣でドキドキしたいなぁ……」 キュッ

「お、おお……」

食蜂「ねぇ……ここがドキドキしてるの、貴方に分かるぅ……?」 ムニッ

「っ!!」



食蜂「もしね……もし迷惑じゃなかったら……私とぉ……――――」





――――

食蜂の寮 食堂


上条「な、何の冗談だよ、操祈……」

食蜂「今回ばっかりは冗談じゃないわぁ。
    いえ、今までが全て冗談だったと言うべきねぇ」

上条「え、だ、だってお前は……俺の」

食蜂「恋人って言う設定ねぇ。だからそれはそういう遊び。
   貴方を上手くコントロールするための方便よぉ、分かるでしょぉ? 
   私の可愛さにまんまとハマっちゃったってワケ☆」

上条「そん……な……」

食蜂「ごめんねぇ。ついでに言うとぉ……」 ピッ☆ ピッ☆

女生徒A「! じ、女王……ハァ……ハァ……ピチャピチャ」

女生徒B「女王の……女王の靴を綺麗にしなくては……ピチャピチャ……」

食蜂「この寮の子達みぃんな私の玩具(おともだち)だから」

上条「……俺を、騙してたって……本当なのか」



食蜂「だからそう言ってるでしょぉ。貴方が悪いのよぉ。何も考えないただのワンちゃんになれたら、どんなに楽だったか。
    貴方、私の改竄力が通じないんだモン」 ピッ☆

女生徒A「あ……あひゃっ……あぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!」 ビクビクビクッ

女生徒B「ら、らめぇぇええええ!!!!! 女王の靴ペロペロして気持ちよくなっちゃうぅぅううううううう!!!!!!!!!」 ビクンビクンッ!

上条「」

食蜂「こういうのも悪く無かったかも知れないのにねぇ、クスクス……。
    一応言っておくけど、この子達に苦痛は無いわ。まあリクエストがあるなら発狂するくらいの痛みも与えられるけど?」

上条「やめろっ!」 グッ! ガシッ

女生徒A「きゃぁっ! 離してっ! 女王の……女王の御履き物をお浄めしなくては……ハァハァ……」

女生徒B「あは……アハハ……女王……女王……ご褒美ぃ……」

上条「待ってろ、今元に戻してやるから!」 ガシッ パキィィイインッ!

女生徒A「あ……あら……? わたくしは何を……」

女生徒B「食蜂さん? どうかなさいまして?」

食蜂「いいえ、何も」


上条「そのリモコンが問題なんだろ……!」 バッ!

食蜂「あ!」 

上条「こんなものがあるからお前はっ!」 ガシャンッ!!

食蜂「……幻想殺しねぇ。しかもリモコンまで壊されちゃって、もう打つ手無しだわぁ……くすん」

上条「俺が騙されるのは良い。でもこいつらは関係n」

食蜂「なんてね☆」 ペロッ

上条「!?」

女生徒A「女王……お願いです……踏み殺して下さいませんか?」

女生徒B「女王……わたくしの前歯を全てへし折って頂けませんか?」

上条「どういうことだ……」

食蜂「あのねぇ上条さん。私ぃ、これでも超能力者なの。
    リモコンはあくまで補強と効率化のために利用しているだけよぉ。
    いちいち演算するのもめんどくさいじゃなぁい?
    だから、レベル5の演算力を舐めないでもらいたいわぁ。
    少なくとも、この部屋を埋め尽くす程の人間を同時に改竄することはぁ、
    私には容易い事」

上条「っ……」


食蜂「で、どうするのぉ? その右腕一本で、寮の子全員を元に戻してみたらぁ?
    その後5分でまた全員改竄してあげるけどねぇ。
    それとも……私も殴り飛ばすぅ? あの第一位の人のように」

上条「!?」

食蜂「そろそろ学習してよぉ。私ぃ、心が読めるのよぉ。
    例え貴方の心が読めなくたってぇ、例えば土御門さんとかぁ、色々と情報を垂れ流してくれる便利な心はたくさんあるわぁ」

上条「お前……御坂をどうする気だ……」

食蜂「……御坂さん? ああ……御坂さんね」

上条「は?」

食蜂「まぁ、最近は貴方と遊ぶのもちょっぴり楽しかったしぃ。今思えば正直どうでもよかったのかもねぇ。
    けど、大失敗だわぁ。肝心なところで貴方が怖くなって突き放すことになるなんて、予想外」

上条「怖いって……。操祈……お前」

食蜂「……」

上条「おい!」

食蜂「帰ってくれるぅ?」

上条「ま、待て! お前本当は……!」


縦ロール「上条様、そこまでにしていただけませんこと? 殿方が声を荒げて、みっともなくてよ」

ゾロゾロゾロ…


眼鏡「……」

ゆるふわ「……」

ポニー「……」

女生徒C~Z「「「「「「…………」」」」」

上条「お前ら……」

縦ロール「女王に危害を加えると言うのなら、わたくし達全員でお相手いたしますが?」

食蜂「クスクス……そういうことよぉ。いくら貴方に能力が通じないと言っても、無関係なこの子達を何人殴り飛ばせるかしらぁ?
    もう一度言うわぁ。帰ってくれないと……」 スッ

上条「!」 ビクッ

縦ロール「あ……あぁぁぁああぁあ……」 ガクガクガク…!

上条「っ!? な、何してんだ!?」

食蜂「まあ簡単に言うとぉ、脳内麻薬ドバドバ出しちゃってる状態かなぁ。
    リモコンが無いと細かい調節がめんどくさいからぁ、いっぱい出しちゃったぁ☆」

縦ロール「あ……あはぁ……ひ……ひ……」 ドサ… ジワァァア…

食蜂「ほらほらぁ。ほっとくと全身の穴という穴から色んなものが垂れ流しになっちゃうわよぉ。
    早く止めないと中毒になっちゃうかもねぇ」 クスクス…


上条「わ、分かった! 帰るから! やめてくれ!」

食蜂「別にいいのよぉ? 貴方の右手を使って戻してあげればいいじゃなぁい」

上条「っ! そ、そうか!」 ガシッ! パキィイイイイイイイイイイイン!

縦ロール「あ……あひゃ……あら? ここは……」

眼鏡「ああはああああぁあぁああ!!!!!」 ビクンビクンビクンッ!

ゆるふわ「あぁぁぁあああぁああああ!!!!!!」 ガクガクガクッ!

上条「!?」

縦ロール「な、何が……」

女生徒A~Z「「「「「んぁあぁぁぁあぁあああああ!!!!!!!!!」」」」」」 ビクビクッ!


ガクガクッ! ドサッ! バタンバタンッ!


食蜂「……っとまあこうなるだけなんだけどねぇ」

上条「やめろ!」

食蜂「帰りなさぁい。楽しかったわぁ、上条さん……でも、もう私を惑わせないでねぇ」 クスッ

上条「操祈……」

食蜂「帰って。貴方といると、私が壊れる……」

上条「……分かった」


クルッ… スタスタスタ… 


バタンッ


食蜂「……」


食蜂「ぷっ……アハハハ……アハハハハハハハハハぁっ!」

縦ロール「女王……」

食蜂「あー……つまんなぁい」

縦ロール「……」

食蜂「つまんない。つまんないつまんないつまんない……何これぇ。
    あーあ、何か冷めちゃったなぁ。……ねぇ、みんなぁ?」

女生徒達「「「「「そうですわね女王」」」」」

食蜂「貴女達ってぇ、自分が無いって言うかぁ、生きてて恥ずかしくないのぉ?」

眼鏡「……申し訳ありません。とても恥ずかしいですわ」

食蜂「本当に申し訳ないと思ってるところが哀れだこと。
    クスクス……呼吸を止めなさぁい」

眼鏡「……ッ」

食蜂「苦しい?」

眼鏡「……」 プルプル…

食蜂「アハぁっ、顔真っ赤よぉ」


縦ロール「女王、死んでしまいます……それはお止めになったほうが」

食蜂「うるさいわねぇ。貴女最近ちょっと反抗的よねぇ。
    学舎の園の外周1000万周して反省しなさぁい」

縦ロール「分かりました……」 タッタッタッ

眼鏡「……」

食蜂「っと、顔青くなってるわぁ。見苦しいから呼吸する許可をあげる」

眼鏡「ぶはっ! はぁっ! はぁっ! げほっげほっ!!」 

食蜂「どぉ? 私のことが憎い?」

眼鏡「いえ……滅相もありませんわ女王。女王をお慕い申し上げております」

   (女王は尊敬の対象ですもの。愛しく思いこそすれ、憎むだなんて)

食蜂「……」 スッ

眼鏡「……あら食蜂さん、申し訳ありませんが私貴女の顔なんて見たくもありませんので、失礼いたしますわね」

   (この人、さっさと死んで頂けないかしら)

食蜂「待って」

眼鏡「はい? 私貴方となんて口も」




食蜂「足を舐めなさぁい」






眼鏡「は? 何故私がそんな……ハァ……ハァ……ことを……」

   (そ、そんな……食蜂が憎くてたまらないのに……靴を、舐めたい……!)

食蜂「さぁ跪いて、犬のように涎を垂らして」


ピチャピチャ… ピチャピチャ…


眼鏡「く……ぅっ……ピチャピチャ……グスッ……」

   (悔しい……食蜂なんかの靴を舐めさせられるなんて……。
    なのに……なのにっ……!) ペロペロ

食蜂「クスクス……ねぇ貴女」

ゆるふわ「はい、何でしょう女王」

食蜂「うーん……やっぱいいわぁ」

ゆるふわ「はい」

食蜂「……ほんと、つまらない子達。
    貴女達から響くものなんて何も無いわぁ。どこまでが私が作り出した心で、どこからが貴女達の本質なのぉ?」

食蜂(それならいっそ……見えないままの方がよかったのかしら……なんてね。
    私は『心理掌握』。全ての心を操る私は……もう他人との距離の測り方なんて分からない。
    人の心の本質なんて、どうにだって変わってしまうんだから、理解する必要すらない。
    ……でも)


食蜂「上条さぁん……貴方は、私が貴方を騙していると知った時、何を思っていたのかしらねぇ……。
    クスッ……クスクスクス……笑えなぁい」




食蜂(ああ……自分の言葉で人を傷つけるのって……実は結構辛いのねぇ)




ガチャッ…


禁書「……うーん……むにゃむにゃ……。お腹減った……」 zzz…

スフィンクス「……zzz」

上条「……」 フラフラ…

禁書「んー……あれ……? とう……ま……?」 ムニャムニャ…

上条「……」 ドサッ

禁書「どう……したの……?」

上条「グスッ……」

禁書「……とうま?」

上条「うぐっ……ぐっ……」 ガシガシッ!

禁書「とうま、泣いてるの……? ねえ、何かあったの?」

上条「あ……な、何でも無い……。何でもないんだ……」 

禁書「ちょ、ちょっととうま……?」

上条「グスッ……起こしちまったな……。
    ごめん、ごめんな……インデックス。お前達の言う通りだったみたいだ……」 

禁書「! みさきと何かあった……? 詳しく教えて欲しいかも」

上条「ああ……―――」



上条「ってことがあってな……俺、騙されてたんだって」

禁書「……そっか」 ギュッ

上条「好きだって言われて、嬉しかったんだ……」

禁書「うん……」

上条「彼女なんて出来たの、生まれて初めてでさ……俺、グスッ……すげぇ嬉しかったんだよっ……」 

禁書「うん……」 

上条「俺のことを特別な気持ちで見てくれるんだって思ったら、どう言っていいのか分からないけど……
    何か大切なものが出来た気がして、毎日が楽しかったんだ……!」

禁書「とうま……」

上条「お前達が初め、操祈が俺を騙してるだけだって言ったのを聞いた時もさ……本当はちょっとそうかもなとも思ってたんだ。
    あんな可愛くて優しい子が、俺なんかに良くしてくれるなんて夢か何かだって思ってたから……。
    でも……俺はそれでもいいって思えるくらい操祈が好きだったし、あいつもそうだって言ってくれてるから……だから……!」

禁書「とうまは、みさきを信じたかったんだよね。
    みさきのことが大好きだから」

上条「……っ」


禁書「とうま、大丈夫だよ。私は、何があってもとうまの味方だから。
    とうまが私を信じてくれなくたって、私はとうまを信じるから。
    だから、とうまがあの時みさきを疑うようなことを言った私達を怒ったのは、何も間違いなんかじゃなかったんだよ」

上条「……本当は……どうだったのか分からねぇよ……」

禁書「……?」

上条「俺は操祈を好きだったのか、俺を好きだって言ってくれるから、安心してあいつの言葉に甘えて好きになったのか……。
    どっちだったんだろうな……」

禁書「とうま、相手が自分を好きだって言ってくれるから、自分も好きになることは、いけないことじゃないんだよ。
    相手に優しくしてほしいから、自分も優しくするんだよ。
    だからね、とうま。こんな風な言い方は、とうまを傷つけてしまうのかも知れないけど、聞いてとうま」

上条「……インデックス……」

禁書「とうまは、そうやって泣いているとうまは、やっぱりみさきのことが大好きだったんだよ。
    それはね、すごいことなんだよ。
    だって、とうまは私達があれだけみさきを悪く言ったって、みさきを疑わなかったんだもん。
    そんな風に泣けるくらい、本気でみさきのことを大切に思ってたんだよ。
    どうしてとうまがみさきを好きだったのかなんて、関係無い。
    とうまがみさきを好きだったって事実は、確かにとうまの心の中にあったんだから。
    だからとうまはね、すごいんだよ。それだけは分かっていて欲しいかも……」

上条「お前……慰めてくれてるのか……?」

禁書「迷える子羊を導くのはシスターの役目なんだよ。
    それに、とうまがそんなんなっちゃうことなんて滅多に無いから、何かしなくちゃって思ったんだよ。
    とうまはいつも、人のために勝手に突っ走っていっちゃうのに、自分の事になるとやっぱり普通の男の子なんだね」

上条「……い、いや……そうかな」

禁書「そうだよ! ちょっと安心したかも。
    ……ねぇ、とうまはこれからどうするの? みさきとはきっぱりお別れをするのかな?」


上条「それが……まだ分からないことがあるんだ」

禁書「……?」

上条「あいつは、俺に騙していたと言った時……今までと違う顔をしてた」

禁書「今までと、違う顔って……?」

上条「何て言うか……いつもみたいに笑ってなかったって言うか……必死っつーか……」

禁書「必死……」

上条「それに、俺に惑わせるなって……」

禁書「……どういうことか分からないかも」

上条「……うーん。俺にもよく分かんないよ。
    って言うか、インデックスに恋愛相談なんてな。3年は早かったか」

禁書「むっ! それはご挨拶かも! シスターである私には恋愛相談だって朝飯前なんだよ!
    朝ごはんの話したらお腹空いたんだよ!」

上条「朝飯の話なんてしてねぇよ。……ぷっ、ははは! あははははは!!
    お前と喋ってると泣いてる暇もないな」 ワシワシ

禁書「むぅ……もう、とうまの馬鹿」 プゥッ

上条「はは、悪い悪い。ありがとなインデックス。吐き出したら、ちょっと楽になったし、心の中を整理出来たよ」

禁書「……そっか、ならいいんだよ!」


上条「とにかく、もう一回操祈に話を聞かないと。
    今になって考えてみれば、やっぱり変だ……バラすにしたって、あのタイミングはおかしいんだよ。
    あいつが御坂への嫌がらせのためって言うのが本当なら、御坂にもっとダメージを与えるような手段を取ったはずだ。
    あれ……そういや何で俺と付き合うことが御坂への嫌がらせになるんだろうなー……未だに分からん」

禁書「そこは深く追求しない方がいいかも……。
    ……でもとうまって、一途なんだね。みさきが羨ましいんだよ……」 ボソッ

上条「ん? 何か言ったか?」

禁書「何でもない。それよりとうま! 泣いたらお腹空いたんじゃない? ご飯が食べたいんだよ!」

上条「おいおい、こんな時間からかよ。 太るぞ」

禁書「太らないんだよ!」

上条「カップラーメンがあってたと思うけど……」

禁書「どんと来いなんだよ!」

上条「分かった分かった。今作ってやるよ。腹が減っては戦は出来ないって言うしな」

禁書「うん!」


翌日

――――

学舎の園 ゲート前



上条「さて、どうやって中に入ったもんかな……昼間はやっぱ無理かなー」

御坂「……あ」

上条「ん? おう、御坂か。どうしたんだ、今日休みだろ」

御坂「うん、ちょっと……。何? まさかあいつのところに行く気?」

上条「そうだ」

御坂「ああそう、楽しそうでいいわねぇ……」

上条「あいつの話をちゃんと聞かないと駄目だからな」

御坂「……は?」

上条「御坂、ごめんな。俺、騙されてたんだってさ」

御坂「! あ、あんた……気付いたの!?」

上条「いや気付いたって言うか、突然あいつにそう言われた……」

御坂「ひどい……。ねぇ、大丈夫? あんた食蜂に結構夢中な感じだったし、ショックなんじゃ……」


上条「ああ、久しぶりに泣いた」

御坂「泣いた……。そう……なんだ。あ、じ、じゃあさ……気分転換に私と」

上条「でもたぶんそれはあいつの本音じゃないんだ」

御坂「は、はぁ!? あんた今度はストーカーにでもなるつもり? どんな発想よそれ!」

上条「違うって。けどそう思われるよなー実際……どうやってあいつに会いに行けばいいか困ってたとこでさ」

御坂「話が見えてこないんですけど……」

上条「操祈の様子が変だったんだよ」

御坂「あいつはいつも変よ。イカレてると言ってもいいわ」

上条「そうか? ちょっと変わってるけど可愛いだろ」

御坂「あーはいはい……。結局そこは変わってないわけねー。
    で、どこが変だったわけ?」
    
上条「なんとなくな。昨日は俺も気が動転して飛び出してきちまったから、気の所為だったかもしれないし。
    だからそれを確かめに行くんだよ」

御坂「あんたの都合の良い解釈って線は? 正直、あの女に関わるのはほんとにお勧めしないわよ。もう痛い程分かったと思うけど」

上条「どうだろうな。だけど操祈はああ見えて寂しがり屋だと思うんだ」



御坂「寂しがり屋……」

上条「あんなに大勢の友達侍らせてさ、そりゃやり方は間違ってんのかも知れないけど、
    あんな能力を持っちまったら誰だって少しくらいそいつを自分の都合の良いように利用しようって思うんじゃないか?」

御坂「人の心の中を覗いてそれを弄りまわして遊ぶことが少しくらい?
    悪戯のレベルを超えてるわね」

上条「まあな。でもお前にだって相手が何を考えてるか、知りたいって思う時はあるだろ」

御坂「あんたがそれ言うとは思わなかったわ……常に知りたいわよ」

上条「え、何が?」

御坂「なんでもない! それで?」

上条「そんな手段を持ってるのに使わずにいるなんてこと、誰にでも出来ることじゃねぇ。
    そしてもし、相手の心の中を知っちまったとしたらどうだ?
    普段何気なく接してる相手が、腹の中では自分に対して悪意を向けてるって知ってしまったら。
    能力を使って改竄してしまおうって考えに至ってもおかしくはないだろ。
    そりゃ体の良いストレス解消用の相手が欲しかっただけなのかもしれないけど、それならあんなにたくさんの友達を傍に置いておく必要なんて無いはずだ」

御坂「それと私に嫌がらせをすることにどんな関係があんのよ」

上条「それは……そんな積み重ねの結果ひねくれたあいつの趣味なのかも」

御坂「ふざけんな!」 ビリビリッ!

上条「うわっ! じ、冗談だって。
    確かに褒められたことじゃないしな。だけど、理解出来ないわけでもないだろ」

御坂「……まあ、仮に私が黒子達の心の中で嫌われてること知っちゃったら、凹むし、人付き合いってもんが怖くなるかも知れないけど……」


上条「……だから俺は、あいつが本当に心の底で抱えているものが何なのか、確かめに行かなくちゃいけないんだ」

御坂「……」

上条「あいつが本当に俺の事を何とも思ってないならそれでいいさ。
    その時はきっぱり諦める。俺は結局、あいつの心の中なんて読めないからさ。
    最後はあいつの言葉を信じるしかないんだよな」

御坂「……馬鹿ね、あんたは」

上条「悪かったな。どうせ万年補習の無能力者ですよ」

御坂「あいつが、寂しがりやで、友達を傍に置いておきたかったって?あんたそりゃいくら何でも考え過ぎ。
    好きな子を美化したくなるのは分かるけど、あいつは派閥の女王様として担ぎ上げられるのが気持ち良くて、
    ついでに色々と学園都市へ顔が利くパイプラインが欲しかっただけよ」

上条「うーん、それも否定は出来ないんだよな……」

御坂「でも……あんたの話を聞いてたら、あいつの中で何か変わったのかもって思えた」

上条「御坂……」

御坂「心の読めない相手から、そんな風に素直にグイグイこられたら狼狽えるでしょ。
    好きでもない相手だったらすっげー引くけどね」

上条「そ、そうなのか……もしかして引かれてたのか」

御坂「けど……少しでもいいなって思える相手だったら……まぁ、うん」

上条「何だよ」

御坂「分かりなさいよ馬鹿! 大体私があいつの立場だったら正直嬉ゴニョゴニョ……」

上条「?」


御坂「ったくもう……あれ?」

上条「ん? どうした?」

御坂「あそこにいるのって……」

縦ロール「ハッ……ハァッ……ハッハッ……!」 フラフラ…

上条「あ、操祈の友達の……」

御坂「何か様子が変じゃない?」

縦ロール「ゼェ……ゼェ……」 フラフラ…

上条「おーい、何してるんだ?」

縦ロール「ハァ……ハァ……」

御坂「顔色悪いですよ! ちょ、ちょっと。ストップストップ!」 ガシッ

縦ロール「は……離して下さいまし……! 女王のご命令で……ハァ……後999万9948周こなさなくては……
       ハァ……ハァ……わたくしは寮に戻れないのですから……! うぐっ……」 ドサッ

上条「お、おい大丈夫か!?」

縦ロール「女王……まだしばらくお時間はかかりそうですが……必ずや1000万周のノルマを終えて見せます……」 モゾモゾ…


御坂「あんた、右手!」

上条「え? あ、ああ……そうか!」 スッ 


パキィィィィイイイイイイイインッッ!


縦ロール「……え? ……うっ……うぉぇええええええ……」 ゲロゲロゲロゲロ…

御坂「……大丈夫ですか?
    この様子だと飲まず食わずで走り続けてたみたいね。
    足がパンパンだし」 サスリサスリ

上条「操祈がやらせたのか……」

縦ロール「うぅ……お、お手数をおかけし……げほっげほっ!」

御坂「いいですから……。ちょっと、水買ってきて」 チャリンッ

上条「あ……ああ」



上条「はい水」

御坂「ゆっくり飲んで下さい。胃がビックリしちゃうから」 キュッキュッ

縦ロール「ングッ……コクコク……ッハァッ! ハァ……ハァ……あ、ありがとう……御坂さん」

上条「大丈夫か?」

縦ロール「ふぅ……わ、わたくしは、何をしていたんですの……?
      確か、女王に……」

御坂「操られてたんです。能力で。大体外周1000万周なんて、本当にしたら死んじゃいますよ」

縦ロール「女王に……?」

御坂「はい。他の子達も一緒に。ただもう派閥は無いけど」

上条「!?」

縦ロール「派閥が……無い?」

上条「どういうことだ御坂……?」

御坂「実は、今朝食蜂の派閥が解散になったらしいのよ」

縦ロール「!!」

上条「な、なんで?」

御坂「し、知らないわよ。寮で聞いて、今様子見に来たとこだったんだから……」

縦ロール「そ……んな。では、女王は今お一人で……?」

御坂「さぁ……」

上条「操祈は何のつもりなんだ……」


御坂「あいつの頭ん中なんて誰にも分かんないわよ」

縦ロール「……わたくし、女王に確認して参りますわ!」

御坂「えっ、でも……操作されてたのに、そんなわざわざ……」

縦ロール「……確かに、時折女王のお傍にいたときの記憶が無いことには気づいておりましたし、
      身に覚えのない傷や痣が身体にあるのをおかしいと思っておりました。
      しかし、それでも女王はわたくしのお友達ですから」

御坂「と、友達って……」

縦ロール「少なくとも、わたくしはそう思っておりますわよ?
      仮に記憶を改竄し、心を操作されていようとも、女王がわたくし達をお傍に置いて下さっていたことには変わりありませんから。
      その女王がわたくし達を必要無いと斬り捨てるのなら、わたくしは何故と問いましょう。
      その答えに納得がいかないなら、異議不服の申し立ても致しましょう。
      それが、友人と言うものではありませんの?」

上条「……」

御坂「……」

縦ロール「では、失礼いたしますわね。ごきげんよう御坂さん」

御坂「え……あ、はい……」

上条「待ってくれ、一緒に行こう」

縦ロール「え……どうしてですの?」

上条「まあ色々とあって」

縦ロール「御坂さん……?」

御坂「ごめんなさい。こいつもあの女に言いたいことがあるみたいで」

縦ロール「まあ、ゲートを通れるのならば構いませんが……」

上条「それなんだよなー……あとはどうやって入るか」

御坂「……仕方ないわね……じゃあせめて夜まで待ちなさい。そしたら、どうにかしてあんたも中に連れていってあげるから」

上条「御坂……ありがとな」

御坂「別に。私も、嫌がらせされっぱなしって訳にもいかないしね。
    あの馬鹿を公正させないと駄目なんでしょ!」

――――


食蜂の寮 食蜂の私室



全てが馬鹿らしくなった。
全てがつまらなくなった。
深夜、昼間女子学生で溢れていた街並みは嘘のように静まり返っている。
学舎の園内、常盤台中学に程近い一角にあるその洋館の中で、食蜂は今独りぼっちだった。
地中海沿岸風の街並みの中でも、とりわけ食蜂好みの瀟洒な館は元々常盤台の職員用の寮として建設されたものであった。
それを食蜂が常盤台の理事長に『お願い』して譲ってもらったのだ。


食蜂「……」 


学生の個室にしてはいささか広い部屋のベッドに腰掛け、窓の外に見える月を見上げる。
こんなに静かな夜は久しぶりだった。
いつもならみんなで遅くまで遊んだり、ひと肌恋しい夜は取巻きの縦ロールを枕代わりにして眠ったりしているのに。


食蜂「……学舎の園の夜は、こんなに静かだったのねぇ……」


夜空を見つめる食蜂の瞳には虚無感。
他人の向ける感情の全てが自分の掌の中。その虚しさを、昨夜思い知らされた。
こんなはずではなかった。
たった一人の、心を読めない相手のために、ここまで精神をかき乱されるとは思いもよらなかったのだ。


彼を追い出した後、彼の心と向き合うことから逃げた自分が許せなくて、派閥の女生徒にひたすらに当り散らした。
いつもよりさらに傍若無人に振る舞った食蜂であったが、それも夜が明ける頃に飽きて、後に残ったのは虚しさだけ。
だから彼女らを解き放った。
もはや自分には必要ないと思ったから。彼女らを思うがままに操る自分が、とても滑稽に思えたから。



今にしてみれば、心の中が見えない彼とのコミュニケーションはあの退屈な日々の一服の清涼剤となっていたように思える。
心が見えないから、彼をいかにして夢中にさせるかを考えた。
自分の思惑が正しく相手に伝わったことを知った時、素直に嬉しかった。


食蜂(手の中で踊ってしまったのは、案外私の方だったのかもねぇ)


彼からの想いが真っ直ぐに伝えられることから目を逸らした。
全ては望みどおりに事が運んだと、どこか他人事のように自分を見下ろしていた。
だが、食蜂は理解した。
自分は、彼の真っ直ぐな気持ちに怖気づき、ただ敗北宣言をしただけなのだと。
それに気づいたとき、食蜂の心は折れた。


食蜂(何が『心理掌握』よぉ。私は、私の心に負けたのねぇ……。
   あの人に捉われていく自分が許せなくて……ただ、逃げた……)


御坂美琴へのささやかな嫌がらせから、彼をただ夢中にさせたいという欲望へと変化していく己の心に気付いたのはいつだったのだろうか。
彼に抱き締められた時から?
それとも口づけた時から?


食蜂(結局何より度し難いのは、自分自身の心だったわぁ)


食蜂操祈を支えていた『自分だけの現実』。
彼に心を預ければ崩れ、彼から目を逸らしてもまた崩壊の道を辿る。
その心は、とうの前から『掌握』されていたのだ。
もはや恐れから名前すら呼べぬ彼によって。


食蜂(何も聞こえない……静かな夜……。今日はよく眠れそうねぇ)


世話を焼く彼女達はもういない。
広い屋敷に自分は独りぼっち。
しかし、もはや誰の胸中も気にする必要のないこの状況は彼女に安らぎを与えた。
二度と表へ出たいと思わぬ程に。


食蜂「ああ……静かだわぁ」


ポツリと呟く。
そのまま後ろへ倒れ込み、キングサイズのベッドへ体を預けた食蜂。
金糸の髪がふわりとシーツの上に広がって、大の字に沈み込む身体。
だが、彼女が微睡の中に落ちることは許されないようだった。
何故ならば


食蜂「で、何しにに来たの?」


淡々と告げられた言葉。
銀河のように煌めくはずの瞳の光は鈍い。
想いの宿らぬ無感情な言の葉は、ただ届けられる。


言葉も無く、静かにそこに佇む彼の元へ。




上条「お前が、寂しがってんじゃないかと思って」





ざわめく心、揺れる心、荒ぶる心。
天井を見つめた食蜂は、深く息を吸い瞼を閉じる。





食蜂「……お馬鹿さぁん」





彼が何を考えているのか分からない。
昨日は恐ろしかったそれも、今は少し心地よい。
心を動かされることを期待し、そして何より恐怖する自分がそこにいる。
心を持ち、生きた人間との対話が在る。
誰より心を揺らした相手とのコミュニケーションが生まれる。
ただその事実が、再度開かれた食蜂の瞳に銀河を宿した。

今日はここまでです。
多分次で終わります。それではまた近いうちに

こんばんは。>>1です。
今回で本編は最終回ということで、一応の区切りとなります。
では投下します。いつもよりちょっとだけ長めです

――――


「あら? 貴女……新入生の方?」

食蜂「はい……? そうですけどぉ」

「タイが曲がっていてよ……お気をつけなさい」

食蜂「ぷっ……!」

「何かおかしなことでもありまして?」

食蜂「アハハぁっ、いえいえぇ。本で見た通りのお嬢様学校なんだなって思ってぇ」

「そう。でも貴女も今日からその一員ですのよ。常盤台生としての自覚と誇りを持って行動なさいまし」

食蜂「私ぃ、超能力者なんです」

「あら……そう。そう言えば今年は二人のレベル5が入学するとお姉様から伺っておりましたわ。
 でもだからと言って身なりを整えなくていいことには」

食蜂「うーん、私と仲良くしてもいいことないですよぉ?」

「……え?」

食蜂「あらぁ、動揺してますねぇ。うん、でも他の子に比べたらぁ、貴女優しい人なんですねぇ。
    私に悪意が無いです。嫉妬はしてるみたいだけどぉ」

「な、何を言ってますの……? 貴女は……」

食蜂「あら、無自覚? 可愛いですね。けど知らない方がいいですよ。
    それじゃ、ごきげんよぉ。なんて、クスクス……!」


「……お待ちなさい」

食蜂「……?」

「貴女、そのような態度ではお友達にも疎まれてしまいますわよ」

食蜂「友達なんてぇ、必要無いので。私の改竄力でどうとでもなっちゃうんですものぉ」

「……可哀想な子」

食蜂「ちょっとムカっときてますねぇ」

「……ギリッ」

食蜂「アハぁっ、笑顔は淑女の嗜みですよぉ? 美人が台無し」

「……わたくしが、貴女を導いてさしあげますわ」

食蜂「は? ……ロ、ロザリオでも交換するんですか!?」

「お友達になりましょう」

食蜂「……」

「……」

食蜂「ぷっ……アハハハハぁっ……。純粋なんですねぇ。……クスクス、どうなっても知らないですけどぉ。
    それじゃぁ、ご指導お願いいたしますわぁ。

   


                        お姉様 




――――


学舎の園 ゲート前



御坂「ごめん! 遅くなった……!」

上条「寮抜け出して大丈夫なのか? 厳しいんだろ?」

御坂「まあバレる前に帰れば大丈夫よ」

上条「あとは操祈の友達が来れば行けるな」

御坂「えっ、あの人まだ来てないの?」

上条「ああ。そういや昼間一旦別れる時やっておくことがあるって言ってたな」

御坂「ふぅん。なんだろ、どうする?」

上条「結構遅くなっちまってるしな……常盤台生なら自分で入れるだろ」

御坂「まぁあの人は学舎の園の寮だし大丈夫だと思うけど……」

上条「じゃあ悪いけど先に行こう。操祈が寝ちまってるかも知れないし」

御坂「んなもん襟首掴んで引きずり起こしなさいよ」

上条「おいおい、操祈はかよわい女の子だぞ? そんなこと出来るわけないだろ」


御坂「あんた何しに行くか分かってんでしょうね……」

上条「冗談だって。で、どうやって入るの?」

御坂「ん? そうね、ゲートに警備員は常駐してるし……」

上条「考えてなかったのかよ」

御坂「し、仕方ないでしょ! 黒子に夜外に出してもらうのを説得するので精一杯だったんだから!」

上条「お前なー……はぁ、まぁいいか。それなら適当にどっかの壁昇ろうぜ」

御坂「無理無理、センサーが反応して一瞬で警備ロボに取り囲まれるわよ。
    街中のお掃除ロボの数より多いんだからね。ゲート以外から外に出ることも出来ないし、
    警備員(アンチスキル)のお世話になりたいの?」

上条「そっかぁ……どうするかなー」

御坂「簡単よ」 スタスタ

上条「お、おい御坂……?」

警備員「……? あなた、こんな時間に何の用ですか? 常盤台の子ね、寮の先生はご存じなの?」

御坂「こうするのよ」 ガシッ 


ビリリッ!


警備員「」 ドサッ

御坂「よっと。後は警備員室で寝かせておけば大丈夫でしょ」

上条「お前無茶苦茶するな……。操祈のこと言えないだろ」

御坂「ちょっと乱暴なやり方だったけど、これが一番てっとり早いじゃない」

上条「まあそうだけど……っつかこの方法なら昼間から入れたんじゃないのか?」

御坂「周りに人がいたら出来ないじゃない」

上条「そっか……ってお前すごいな」

御坂「さて、じゃあ行ってらっしゃい」

上条「え?」

御坂「ここ無人にしとく訳にはいかないでしょ。あんたみたいに中入ろうとする馬鹿が現れないとも限らないし。
    警備の代わりやっとくから、一人で行ってきなさいよ」

上条「それでもそうだな。それじゃ悪いけど頼む」

御坂「はいはい。しっかりね」

上条「おう!」 ダッ!


タッタッタッ


御坂「……」

御坂「……失敗しちゃえばいいって思ってる自分がムカつくわ」


――――

食蜂の寮



深夜、誰もいない寮の中、寝室にて食蜂を発見した上条。
大きなベッドの上に髪を乱して大の字に倒れ込み、天井を見上げていた彼女は、こちらの姿に気づいてもその視線を向けてくることはない。
だが無論上条はその程度のことで諦めるはずもなかった。


上条「このでかい家も一人だと何か寂しいな」

食蜂「……上条さん。私ぃ、帰ってって言ったはずだけど」


上条の言葉を遮り食蜂が平坦な声でそう返した。
いつもの媚びるような甘い声でなく、上辺に塗りつけられた虚飾を排した、彼女の本来の声だった。


上条「帰って、戻ってきただけだ」


応じる上条。今こうして話しているときも、彼女は心が読めないことをどう思っているのか。
精神系能力者ではない上条には知る由も無いが、それを理解しなくてはならないのだ。


食蜂「屁理屈ねぇ。……で? 上条さんはどぉするの?
    今は寮内に誰もいないわぁ。私への復讐? まぁやろうと思えば私をどうにでも出来ちゃう訳だしねぇ」


くすくすと笑う食蜂。
胸元を開けたシャツと制服のプリーツスカート、レースによって蜘蛛の巣のような意匠がこらされたオーバーニソックス。
夏服のベストとオペラグローブはベッドの脇に放り出されているのが視界の端に映って生々しく思えた。


上条「操祈、お前、怖いのか?」


上条の問いかけに、食蜂がピクリと反応した。


食蜂「……怖い?」


彼女らしからぬ平坦な声。
普段の天真爛漫で無邪気な仮面はとうに剥がれ落ちていた。


上条「俺の心が見えなくて、怖いんだろ。だから俺を遠ざけたんだ」

食蜂「……自意識過剰もその辺にしといたらぁ? 心が読めないのが厄介であることは認めてあげるけどぉ、
    特に貴方に思い入れがある訳じゃないもの」


ベッドから起き上がる様子も見せない。
心底興味の無さそうな顔つきで天井を見上げて小馬鹿にするような笑みが浮かんだ。


上条「……好きだ、操祈」

食蜂「……!」


食蜂のパッチリとした瞳が大きく見開かれる。
彼女はようやく起き上がり、信じられないものを見るような視線で上条を真っ直ぐに見つめた。


食蜂「……はぁ? 何言ってるのぉ、貴方は私の話を聞いてたのかしらぁ。
    私はねぇ、上条さんんことなんて何とも思ってないのよぉ。
    勘違いもいい加減にしてね」

上条「やっとこっち向いてくれたな」

食蜂「!」


一瞬だが引きつる口元。
食蜂は慌てた様子で上条から視線を逸らす。
その様子で上条は確信した。
心なんて見えなくても分かる。食蜂は少なくとも、自分のことを何とも思っていないなどと言うことは無い。
微かに震えた手と、揺らめく瞳がそれを如実に示していた。


上条「お前が俺を騙してたっていいんだ。お前がどんな酷い奴だっていいんだ。
    お前が俺が何を考えているか分からなくて、不安に思ってるって言うんだったら、
    何度だって言ってやる。
    


    お前が好きなんだよ、操祈!!」




食蜂「やめてよっ!」


声を荒げる食蜂。
両手で頭をかきむしるようにして髪を掴み、奥歯をギチギチと噛み鳴らす。
彼女の胸中が痛い程伝わってくる。
しかし上条は構わず続ける。
彼女の傷痕を穿り返すかのように


上条「これが最後でいい。だから聞いてくれ。
    俺はお前にちゃんと伝えなくちゃいけないんだ。
    お前が俺の心が見えなくて、それをもし不安に思ってるって言うんだったら、そいつは間違いなんだって」



食蜂「……」

上条「俺は心なんて見える便利な力は持ってないから、操祈の言葉を全部信用するしかないけど、
    やっぱりどこかに不安はあったからさ、気持ちは分かるんだ。
    操祈。俺のことが怖いっていうなら、怖くなくなるまでいくらでも本音を言ってやる。
    だから……」

食蜂「……もういいわぁ」


話の途中で食蜂が割って入る。
俯き、ヴェールのような金色の髪で表情が隠されてよく見えない。
だがその声は昨日病院で泣いていた時の如く、確実に震えていた。


食蜂「そうねぇ、上条さん……確かに何度か口を滑らせてしまったように、私が貴方に特別な感情を抱いていたのは事実。
    貴方と一緒にいるとドキドキしたし、貴方からの好意は嫌な気分にはならなかった。それは認めてあげてもいいわぁ」


ベッドの上でへたり込み、俯いたまま言葉を紡ぐ食蜂。
上条は、彼女が心の奥底に隠した本音を話そうとしてくれていると気付いて耳を傾ける。


食蜂「でもねぇ、それだけよぉ。貴方の気持ちがどうであるかなんて私には確かめようがない。 
    確かめられなければ、それは真実ではないし、私は私じゃいられないの。
    それにね、上条さん。私は貴方が思っているような子じゃないわよぉ?」


ようやく顔をあげた食蜂。
その瞳には涙が浮かんでいた。
動揺する上条だったが、同時に少し安堵する。
感情を溢れさせるほどの心の動きが、彼女にはあったのだから。


食蜂「私はね、たくさんの派閥の子達を傷つけてきたわぁ。
    貴方も見たでしょぉ? あんなことを今日までずっとやってきたのよ。
    そんな私に、貴方はそれでも本当に好きだって言えるの……?」



膝の上で硬く拳を握り震わせる食蜂。
自嘲気味に語られた言葉に、だが上条は一切の迷いなく答えを返す。


上条「……いいよ」


だが上条は食蜂を否定しない。


食蜂「え……」


言葉に詰まる食蜂。


上条「今日からやめればいい。そしてあいつらに頭を下げて、もう一度やり直せばいいんだよ。
    お前の行動を肯定してやることは出来ないけど、それで俺がお前を嫌いになるなんてことは無いんだ。
    俺が、お前の恋人でいちゃいけない理由にはならねぇ!」


それが、上条の心からの本音。
初めは、食蜂が好きだと言ってくれたから、自分も彼女の事が好きになっていったのかもしれない。
思い返しても、確かに特別に何かをしてもらったという記憶は無く、他愛の無い会話をしていただけだったような気がする。




食蜂「―――――――ッ」



けれど
いつだって彼女は自分の隣で屈託なく微笑み、時折思い出したように誘惑を繰り返す。
それが例え自分の気を惹くための嘘偽りだったとしても、彼女の挙措の一つ一つに魅かれていったのは事実で。
自らの心の変化に揺れ惑い悩まされる彼女を愛しく思った。
掴みどころ無く振る舞っているだけで、食蜂操祈はただの一人の少女でしかない。
抱き締めた肩はか細く、泣き濡れる瞳は寂しげで、しかし超能力者の矜持のために己を欺こうとするその心の在り方は真っ直ぐだった。


「自分の心にだけは負けられない」


行動の全てが間違っていようとも、彼女の今日まで過ごしてきた日々が何一つ褒められたものではなかったとしても、
その在り方だけは尊敬できる。
彼女もまた、超能力者という強靭な自我を持つ人間なのだ。
だから上条は、耐えず晒される他人との心の軋轢に苦しめられてきた彼女を守ってやりたいと思った。
そして


食蜂「……」


黙りこくる食蜂。
本当はもっと早く気付くべきだった。
いくら心が読めないからとは言え、彼女自身が上条のところまで出張ってくる必要なんてなかったはずなのだ。
御坂に対する悪戯の一環なら、適当な女生徒を操って任せておけばよかったのだ。
にも関わらず、彼女は上条の傍にいた。


上条「俺も一緒に謝ってやる。代わりにだって殴られてやる。
    お前が誰にも許してもらえなくたって、俺がお前をずっと守ってやる。
    聞きたくもねぇ他人の声を聞かずにいられねぇって言うんなら、この右手でずっとお前の頭を撫でていてやるよ!」


彼女は本当は望んでいたのではないか。
心の見えない相手、己が道理の通らぬ相手との対話を。


食蜂「……何よ……私のこと、何も知らないくせに……分かったようなこと」


たじろぐ食蜂。
上条は応じる。言葉を続ける。
彼女に伝えるべきことは全て伝える。
彼女が吐き出したいことは全て受け止める。


上条「だから、もう自分の心に嘘を吐くのは止めろ!
    怖いんだったら! 怖いって言っていいんだ!
    不安なら、不安って言えよ操祈! 心なんて読めなくたって、改竄なんて出来なくたって、
    お前一人の心くらい俺が守ってやる!!」

食蜂「何なの……心なんて見えないくせに……私のことなんて、何一つ知らないくせに……」


それこそが、上条がこの場所に戻って来たことの意味。
高尚な議論をするつもりは毛頭無い。
好きだから、傍にいたい。
彼女に齎された心の動きは、恐れるべきものでは無いということを教えてやらなくてはならない。





食蜂「何なのよぉ貴方はぁっ……!!」




上条「……操祈!」


食蜂「知った風な口を聞かないでっ!!!」


声を荒げる。立ち上がり、上条のシャツの胸ぐらを掴んで、星屑が煌めく瞳で真っ直ぐに睨みつける。
涙によって揺らめくそれはまるで水面に映る夜空のようで。
その美しさと曇りの無さに、彼女のねじ曲がってしまった心根の純粋さを知った。


食蜂「駄目……駄目駄目駄目……! 私を見ないで……見透かさないで……!
    見えない……見えないの……貴方は何を考えてるの。
    あれだけ酷いことされて、どうして私にそんな優しい言葉がかけられるのぉ!?
    そんなの信用できないわぁ……そんなの見たことないもの……!
    心の中は、私への憎しみでいっぱいなんでしょぉ!
    嫉妬と羨望を胸の中に隠して私に近づいてきたあの子達のようにっ!!
    お友達のような顔をして一度だって私を信用しなかったあの子達のようにぃっ!!」


片手で上条を掴んだまま、食蜂は髪を掻き毟る。
白い肌に浮かぶ玉の汗と焦りの表情は、彼女の胸中がざわめいていることの何よりの証。


上条「……」


余裕の笑みなど無く、煙に巻くような軽口も無く、そこに在るのは一人の少女の動揺。
全てを吐き出せばいい。
誰もが彼女に他人を信ずることを許さなかった。
許されなかった彼女は歪に歪むより他無かった。
その性根を叩き治してやろうなどとは思わない。
彼女自身が己の変革を望むまで、ただ傍で助けになってやりたい。
だから


食蜂「貴方の何を信用しろと言うの……! 何が貴方の心を証明してくれるのよぉ!?
    私は自分が怖いのよぉ! 貴方なんかに惹かれていくのが手に取るように分かるの!
    貴方はいつだって優しくて、私のことを好きだって言ってくれて……!
    私だって貴方と同じだもの! 心が見えないから、貴方の言葉に惑わされる!
    貴方なんてただの玩具のはずなのに、愉快に踊る馬鹿な男の子だったはずなのに、
    制御しきれない自分の心が、私は許せないのよぉ……!
    上条さん、教えてよぉ! じゃあどうすれば私は貴方を信用できるのぉ!?
    どうすれば私は貴方の心を―――」


堰を切ったようにまくしたて、荒ぶる心を吐き散らし、混乱と動揺と、そして耐えがたい恐怖の中に在る彼女の腕を取って




上条「分かった……教えてやるよ」



強く引き寄せた。



食蜂「……なっ!」

上条「可哀想な奴だな、お前は。心なんてもんが見えるから、見なくていいもんまで知ってさ、 
    そんな風に思っちまうんだ」

食蜂「は……離してよぉ……」


きつく握りしめる手を決して離さない。
吐息のかかるほどの距離で、星屑が揺れる瞳を、真っ直ぐに見つめる。


上条「お前が何人の心の中を覗いて他人を信用できなくなったのか分からねぇ。
    でもなぁ、人間の心ん中なんて、そんな一括りに出来る程単純なもんじゃねぇってことは、
    お前が一番よく分かってんだろうが!」

食蜂「っ!」


そう。
それは他ならぬ彼女自身が体感してきたこと。
一つの想いでしか構成されない心なんて、在りはしない。
揺れ動き、絶えず変化を遂げていく。
その全てを『掌握』するなんてことは出来なくて。
それを彼女は痛い程理解してきた。
やがて目を大きく見開いて、動きを止めた食蜂を抱きしめる。



上条「お前が今本音を話してくれたことの中に、答えはあったじゃねぇか。
    心なんて、変わっていくもんだろ。
    お前は変えようとしたのかよ! 誰も信用できないって思ってる奴が、人から信頼されるはずねぇんだよ!
    操祈……お前がまだ俺のことが信用できないって言うなら、
    いいぜ……―――」


考えれば考える程深みにハマる、『掌握された心の檻』から今、『食蜂操祈』を解放する。


食蜂「上条さ……」


名前を呼ぶ彼女の声は、世界に放たれない。
何故ならば




上条「まずは……――――――



            ――――――そのふざけた幻想をブチ殺すッッッ!!!」




月明かりの差し込む仄暗い部屋。
二つの影は重なる。
言葉で語るより、余程心の動きを確かめられる方法がそこにはあったから。


――――


食蜂「―――――……っ……」


泊まっていた思考は今動き出す。
上条によって突如抱き締められ、口づけられた。
まるで昨夜の続きの始まりに、食蜂は呆けたように口を開け放ちパチパチと瞬きを繰り返す。
同じ目線の高さに少し恥ずかしげな彼の顔があった。


食蜂「……ぁ、あっ……!」


素早く鼓動を刻む心臓は胸を突き破って出て来そうだ。
身体はひどく熱を帯びていて、溶けてしまいそうだ。。
いつも自分が彼にしていたことはもっと恥ずかしいことのはずなのに、
はにかむ彼から捧げられた下手くそな口付けは、今までのどれよりも食蜂の拍動に加速をつけた。


上条「……好きだ、操祈」


何度も告げられる愛の言葉。
理解不能の感情。
何も考えられない。
脳が痺れるような感覚と、ふわふわとした浮遊感。
そして、当然のように震える胸の内。


食蜂「ぁ…………」


食蜂はもはや受け入れるより他なかった。
抱き締められた腕によって、心の動きを制御することなど不可能で。
だから今自分は


食蜂「…………お馬鹿さぁん」


『ただの女の子』に成り果てた自分は、赤くなった顔を月明かりに晒さぬよう、俯き悪態をついた。


上条「操祈……」


上条の瞳が真っ直ぐこちらに向けられている。
チラリと彼を一瞥すると、優しく微笑む表情があった。
再び跳ね上がる心臓。
抵抗しなくてはならない。
だが、食蜂はそれをするのを止めた。
そんなものはもはや、無駄な抵抗なのだと知ってしまったから。
自分の心に逆らうことなんて出来ないと理解させられてしまったから。


食蜂「こんなはずじゃなかったのに……」


彼のシャツの裾をキュッと掴み、ポツリと呟く。
零れ落ちる涙など、もう気にならない。
心の檻は食い破られた。
自分を守ってきた幻想は破壊され。
全てが、決壊した


上条「え……」



食蜂「えぇ……! 好きよぉ! 好きになっちゃってるわよぉ!!
    こんなの……こんなの駄目なのにぃ……!
    どうしようもなく……真っ直ぐな上条さんが……――――


                    ―――――大好きなのぉ!!!」


上条「……!」


上条「操祈……」


上条の瞳が真っ直ぐこちらに向けられている。
チラリと彼を一瞥すると、優しく微笑む表情があった。
再び跳ね上がる心臓。
抵抗しなくてはならない。
だが、食蜂はそれをするのを止めた。
そんなものはもはや、無駄な抵抗なのだと知ってしまったから。
自分の心に逆らうことなんて出来ないと理解させられてしまったから。


食蜂「こんなはずじゃなかったのに……」


彼のシャツの裾をキュッと掴み、ポツリと呟く。
零れ落ちる涙など、もう気にならない。
心の檻は食い破られた。
自分を守ってきた幻想は破壊され。
全てが、決壊した


上条「え……」



食蜂「えぇ……! 好きよぉ! 好きになっちゃってるわよぉ!!
    こんなの……こんなの駄目なのにぃ……!
    どうしようもなく……真っ直ぐな上条さんが……――――


                    ―――――大好きなのぉ!!!」


上条「……!」


口からとうとう零れ落ちたのは、せき止めきれない感情の濁流だった。
嬉しかった。
どうしようもなく嬉しかった。
歓喜に打ち震えることしか出来なかった。
好きだと言ってくれる彼に対する想いの変化は恐ろしく、まるで自分の心が自分のものでなくなっていくかのような錯覚に陥った。
でも、もうそれでもいいかと思えるようになっている。
彼が何を考えているかなんて、彼を見ていれば分かるじゃないか。
それが本当のことかどうかなんて、確かめる必要はない。
そう思えるようになった。


食蜂「……私の心を……あげるわぁ……。
    信じても……いいの……?」


自分でも驚く震えた声で、食蜂は上条に問いかける。


上条「信じろよ、恋人だろ」

食蜂「ん……そうね」


精悍に笑った上条の言葉に応じるように、食蜂は強く抱きしめる。
トクトクという心臓の音が伝わってくる。
心とは、思考だ。
全ては脳が司る。
だが食蜂は、それはきっとここにあるのだと思った。
こんなにも早鐘を刻む鼓動は、寸分違わず自分のものと同じだったから。
だからきっと、彼と自分の心の中もまた同じ。


食蜂「アハっ…………ドキドキするわぁ……」


微笑んで呟いた食蜂の言葉に、上条が照れたように頬をかいた。


食蜂「……恋人……なのぉ?」

上条「そうだよ」

食蜂「そうなのねぇ……そっか」


自分でも何を言っているのか分からない。
しかし確実なのは、事実となったその言葉に動揺する自分はもういないということだった。
受け入れてみれば、変化はあっさりと自分の中で受け止められた。
同時に芽生えたのは、今までになかった羞恥心。
抱き締められているだけで、恥ずかしい。
彼の吐息が耳にかかる度、くすぐったくて肩がピクリと跳ねる。
そして

彼の顔を見ているだけで、最も理解しがたい感情が押し寄せる。


食蜂「本当に、いいのよねぇ?」


許されるのだろうか。
こんな自分で。
他人を傷つけてきた自分なんかで。


上条「いいよ。もうしないって、約束してくれれば」


だが彼は言ってくれた。
受け入れてくれた。
それは思っていたよりもずっと嬉しい言葉で、本当に、恐ろしい程に、心は安らぎを取り戻していった。


食蜂「……なら、約束するねぇ。みんなにも謝るわぁ……」

上条「ああ、最後まで応援するよ」


笑顔を浮かべる彼を見てこみあげてくるその感情の理由を確かめたくなったのは。
精神系能力者の性か、それとも別の何かか。


食蜂「上条さぁん……」


食蜂は、甘えるような声で瞳を閉じる。
その先にあるものを期待して。


上条「操祈……」

食蜂「私のこと……大切にしてねぇ……。
    じゃないと……死んじゃうわぁ……」


言葉の代わりに返ってきたのは、柔らかく熱い感情の波。
思考の全てを吹き飛ばし、心の全てを繋げ合う、唯一の理。
震える程の衝動が身体を駆け抜けていき、食蜂の心の中を支配していく。
上条当麻によって食蜂操祈の心が『掌握』されていく。
それも悪く無いかと、食蜂はようやく思えたのだった。


食蜂(……私の敗けねぇ……ずるい。
    好きって言って、抱き締められて、キスなんかされたら……転んじゃうわよぉ……)


心を揺らされ、引き寄せられた。
抗う気力も削ぎ落とされた。



食蜂(ああ、なんだ……―――)



そして食蜂は気付く。




食蜂(―――上条さんの方が、余程私の心を上手く扱えるじゃない……)




食蜂は赤らんだ表情に微笑みを滲ませる。
銀河の中の星屑が、歓喜の衝動に煌めいた。

―――――

食蜂の寮 食蜂の私室


上条「……」

食蜂「……」

上条「……」

食蜂「な……何か喋ってよぉ」

上条「あ、そ、そうだな。いつも何喋ってたっけ?」

食蜂「うん? うーん……あんまり聞いてなかったから覚えてないわぁ」

上条「ひでぇ……」

食蜂「クスクス、冗談よぉ。でも、もう一回1から教えて欲しいな。
    今度はちゃんと、貴方のことを心に刻んでおきたいから」

上条「あ、ああ……分かったよ」

食蜂「……これからどうしようかしら」

上条「これからって?」

食蜂「この寮も私のものじゃないモン。元の寮に戻らないとねぇ……」

上条「あ、そっか……」

食蜂「鬱だわぁ……きっと虐められるわぁ……。
    あーあ、もう常盤台辞めようかなぁ……」

上条「おいおい」

食蜂「う・そ☆ ……それくらいは覚悟しとかないとねぇ。
    私がしてきたことを思えば、当然だモン」

―――――

食蜂の寮 食蜂の私室


上条「……」

食蜂「……」

上条「……」

食蜂「な……何か喋ってよぉ」

上条「あ、そ、そうだな。いつも何喋ってたっけ?」

食蜂「うん? うーん……あんまり聞いてなかったから覚えてないわぁ」

上条「ひでぇ……」

食蜂「クスクス、冗談よぉ。でも、もう一回1から教えて欲しいな。
    今度はちゃんと、貴方のことを心に刻んでおきたいから」

上条「あ、ああ……分かったよ」

食蜂「……これからどうしようかしら」

上条「これからって?」

食蜂「この寮も私のものじゃないモン。元の寮に戻らないとねぇ……」

上条「あ、そっか……」

食蜂「鬱だわぁ……きっと虐められるわぁ……。
    あーあ、もう常盤台辞めようかなぁ……」

上条「おいおい」

食蜂「う・そ☆ ……それくらいは覚悟しとかないとねぇ。
    私がしてきたことを思えば、当然だモン」

―――――

食蜂の寮 食蜂の私室


上条「……」

食蜂「……」

上条「……」

食蜂「な……何か喋ってよぉ」

上条「あ、そ、そうだな。いつも何喋ってたっけ?」

食蜂「うん? うーん……あんまり聞いてなかったから覚えてないわぁ」

上条「ひでぇ……」

食蜂「クスクス、冗談よぉ。でも、もう一回1から教えて欲しいな。
    今度はちゃんと、貴方のことを心に刻んでおきたいから」

上条「あ、ああ……分かったよ」

食蜂「……これからどうしようかしら」

上条「これからって?」

食蜂「この寮も私のものじゃないモン。元の寮に戻らないとねぇ……」

上条「あ、そっか……」

食蜂「鬱だわぁ……きっと虐められるわぁ……。
    あーあ、もう常盤台辞めようかなぁ……」

上条「おいおい」

食蜂「う・そ☆ ……それくらいは覚悟しとかないとねぇ。
    私がしてきたことを思えば、当然だモン」

―――――

食蜂の寮 食蜂の私室


上条「……」

食蜂「……」

上条「……」

食蜂「な……何か喋ってよぉ」

上条「あ、そ、そうだな。いつも何喋ってたっけ?」

食蜂「うん? うーん……あんまり聞いてなかったから覚えてないわぁ」

上条「ひでぇ……」

食蜂「クスクス、冗談よぉ。でも、もう一回1から教えて欲しいな。
    今度はちゃんと、貴方のことを心に刻んでおきたいから」

上条「あ、ああ……分かったよ」

食蜂「……これからどうしようかしら」

上条「これからって?」

食蜂「この寮も私のものじゃないモン。元の寮に戻らないとねぇ……」

上条「あ、そっか……」

食蜂「鬱だわぁ……きっと虐められるわぁ……。
    あーあ、もう常盤台辞めようかなぁ……」

上条「おいおい」

食蜂「う・そ☆ ……それくらいは覚悟しとかないとねぇ。
    私がしてきたことを思えば、当然だモン」


上条「それとこれとは別の気もするけど、まあ今までのようにはいかないよな。
    ま、素直に元に戻す気になってくれてよかったよ」

食蜂「だってぇ……戻さないと上条さんに嫌われちゃうからぁ……」 シュン…

上条「っ!」 ドキッ!

上条(や、やっぱりかわいい……よく考えたらこの寮に二人きりなんだよな。
    ベッドに座ってると思うと何か変なな気分に……) ムラムラ…

食蜂「上条さぁん……」 コテンッ

上条「はうっ! な、なななんでしょうか!」

上条(き、昨日の続きか!? いいのか!?)

食蜂「今もねぇ……ドキドキしてるの……」

上条「う、うん……」

食蜂「手さぐりで相手の心を確かめるのって……ドキドキすることなのねぇ……」

上条「そ、そうなの……かな……」

食蜂「ねぇ上条さん……もっとドキドキすること、してほしいなぁ」

上条「!」

上条(キタ―――――(゚∀゚)――――――!!! いや待て待て。
    晴れて本当の恋人になれたんだから、ここはじっくりと……。
    操祈は中学生だ、優しく優しく……。
    で、でも……キスは全然いいよな……) スッ




「女王……」

食蜂「え」

上条「!」

食蜂「あ、貴女……どうして」

縦ロール「……上条様、遅くなってしまって、申し訳ありません……」

上条「い、いやこっちこそ、先に来ちまったし」

食蜂「どういうことぉ?」

上条「お前のところに一緒に行くって約束してたんだけど」

縦ロール「わたくしが約束を反故にしてしまったのです……上条様に偉そうなことを言った手前、会わせるお顔がありませんでしたの……」

食蜂「え?」

縦ロール「わたくし女王に、謝罪しなくてはならないことが……」

食蜂「ど、どうして……? 謝らなくちゃいけないのは私の方なのよぉ。
    今までごめんなさい……って言っても許してもらえないかもしれないけど……」

縦ロール「その……皆を集めて女王の元へお伺いしようと思っていたのですが……」

上条(あ……一人なのか。ってことは操祈の友達は)

縦ロール「皆、派閥でのことを覚えていないようで……」

食蜂「……」

上条「え? お、覚えてないってどういう……」

食蜂「……みんな手っ取り早く私の改竄力で操作してたからねぇ。
    派閥に入った後のことは記憶から綺麗さっぱり抜け落ちちゃってるのよぉ」

縦ロール「わたくしは女王と当初より懇意にしておりましたから……そのようなことは無いのですが……。
       今の皆にとって女王はとても遠くにおられるただの『食蜂様』でしかありません。
       女王へお近づきになりたいと思う子は多くいますが、それでもこの時間にここまで来ようと言う者は……」


食蜂「貴女が謝ることじゃないわぁ。その、来てくれてありがと……」
       
縦ロール「あ……い、いえ……」

上条(あれか。御坂に対する白井みたいなもんか……。
    うーん、女子校って色々あるんだな……)

縦ロール「女王、あの……」

食蜂「うん……?」

縦ロール「わたくしは……変わらず女王のお友達でよろしいんですの?」

食蜂「え?」

縦ロール「……これからも、わたくしとお友達でいて下さいますか?」

食蜂「……」

縦ロール「……」

上条「お、おい操祈……」

食蜂「……グスッ」 ポロポロ…

縦ロール「!?」

上条「!?」

縦ロール「あ、あああっ! どうなさいまして? わたくし何かいけないことを……!」

食蜂「違うの……違うのぉっ……!」

縦ロール「こ、こちらのハンカチをお使いください」

食蜂「ありがとぉ……グスッグスッ!」

縦ロール「女王……」

食蜂「……私とこれからも、お友達でいてねぇ……」

縦ロール「!」

上条「操祈……」

食蜂「今までのこと、全部謝って済むことじゃないから……貴女の気の済むようにしていいわぁ……。
    だから……」

縦ロール「女王、確かに貴女のお傍にいて辛い時はあったのかも知れませんが……
      それでもわたくしは貴女とお友達でいたいです。貴女の謝罪を受け取ります。
      ですから女王、これからも、よろしくお願いいたしますわね」

食蜂「はい……お姉様ぁ」

上条「よかったな、操祈」

食蜂「……うん」

縦ロール「あら、そう言えばお二人は恋人でいらっしゃるんですの?」

上条「ん? ああ、そうだよ」

食蜂「クスクス、実感無いわねぇ」

縦ロール「……ハッ! わ、わたくしったら気が利かず申し訳ありませんでした!
      お二人で月を見上げていらっしゃるなんて何てロマンチックなのかしら。
      素敵ですわ。まるで物語の中の様」

食蜂「え、えぇそうねぇ……」

縦ロール「けど女王、殿方を濫りに寝室に入れるのは危険ですわ。
      上条様も、女王とは節度のある交際をなさってくださいましね」

食蜂「え、うん……」

上条「お? おう。も、もちろんですのことよ……!」

縦ロール「本当ですの? 特に先程ベッドの上に腰かけていらっしゃいましたけど。
      わたくし女王を導く先輩としてとても心配ですわ。
      いいですこと? わたくし達は常盤台生としての自覚と誇りを持って、日々を送らねばならないのです。
      上条様にもその辺りはご理解とご協力を頂いてですね……」 クドクド

上条「お、おい操祈これは……」


食蜂「この人のこういうとこがねぇ……めんどくさかったのよねぇ……」

縦ロール「聞いてますの? 大体、女王、何ですのその服装は。
      シャツの胸元を開け放つだなんてはしたない。
      開けて良いのは第一ボタンだけです。それ以外は破廉恥ですわ。
      襟首も曲がっておりますし、こうして……それから……」 クドクド…

上条「ま、まあまあ……」

食蜂「……」

縦ロール「上条様は黙っておいてくださいまし。わたくしが女王を正しく導いて差し上げるためには、このようなことで」

食蜂「……」 


ピッ☆


縦ロール「では失礼いたします」 スタスタ… バタンッ!

上条「こらぁっ! 約束した傍から能力使っちゃいけません!」

食蜂「だってぇ……」

上条「だってじゃないだろ。何でも改竄してたら……」

食蜂「……上条さんと二人きりになりたかったんだモン☆」 キラキラ。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

上条「うぐっ……」 ドキーンッ!

食蜂「ね、上条さん」

上条「な、なんでせうか……」

食蜂「今夜は月が綺麗ねぇ☆」

上条「…………」





食蜂「……クスッ」



上条「そうだな!」





エピローグ


――――

公園


御坂「ちぇいさー!」 ゲシッ!


ガコン…!


御坂「ふぅ……」 プシュッ ゴクゴクゴク…

上条「よう、御坂」

土御門「にゃー」

御坂「ん? ああ、あんたらか。あいつは一緒じゃないわけ?」

上条「いや、ここで待ち合わせ。今日は家で飯食うことになってるから」

御坂「あっそ。正真正銘の彼女になれてよかったわねぇ」

土御門「まったくカミやんは。オレ達が知らねぇ間に丸く収めやがって。
     しかも後に残ったのは巨乳の可愛い彼女とは、やるな早く死なないかにゃー」

上条「本音が混ざってんぞ」

御坂「……あんた、覚えてなさいよ」

上条「はぁ?」

土御門「くくくっ、カミやんの不幸はまだまだ終わりそうにないぜい」

上条「ど、どういう意味だよ! 幸せ絶頂の上条さんにはそんなもの必要ありません!」

土御門「何言ってるんだにゃー。せめて酷い目にあってくれないと気がすまねぇ」

上条「やっと付き合えたのに……。
    あ、そういや御坂、あいつ学校ではどんな感じだ?」

御坂「ん? そうねぇ……派閥は無くなっちゃったけど、まずは友達作りから頑張ってんじゃない?
    クラスも違うしよく知らないけど……」


上条「そっか……」

土御門「不安か?」

上条「まあそりゃぁ……」

御坂「大丈夫よ、心配しなくても。先輩もいるしね」

上条「いや心配って言うか……ストレスの限界で能力使っちまわないかなって」

土御門「ありそうだにゃー……」

御坂「ま、あの様子なら大丈夫よ」

上条「あの様子って?」

御坂「そりゃもう楽しげな……いや、やっぱいいわ。何か腹立ってきた」

上条「おい何でだよ、教えてくれよ」

御坂「やだ」

上条「?」

食蜂「かーみじょーうさぁん☆」 ギュッ!

土御門「お、噂をすりゃ本人降臨だ」

上条「おっと! 操祈、お疲れさん」

御坂「やれやれ」

白井「おーねぇーさま☆」 ギュッ!

御坂「あんたは真似すんなっつの!」 ゴツッ!

白井「痛っ! もう、ほんの冗談ですのにぃ」 サスリサスリ

食蜂「上条さぁん☆」

上条「な、なんだ?」 ドキドキ…

食蜂「えへへぇ……☆ 呼んだだけよぉ☆」

上条「そ、そっかそっか、ははは」 ニヘラッ

土御門「うわすっげぇムカつくぜい……」

御坂「もうどうでもいいわ」 ゴクゴクッ

白井「お姉様ぁん、黒子がぁ、寝室でぇ、優しくぅ、癒してぇ、差し上ゴフッ!」 

御坂「結構よ!」

食蜂「御坂さん、白井さん」

御坂「ん?」

白井「何か?」

食蜂「いたのねぇ、存在感薄くて気付かなかったわぁ☆」

御坂「なっ!」

白井「んまっ!」

上条「こらこら、喧嘩すんなよ。こら、駄目だぞ操祈。めっ」

食蜂「てへっ☆ そんなことよりぃ、上条さぁん……早く二人きりになりたぁい……」 モジモジ

上条「あはぁんっ! よ、よーし! じゃなみんな俺行くわ!」 

土御門「ああもう好きにしてくれにゃー……」

御坂「見てらんないわあのバカップル」

白井「どうなってますの……」


食蜂「上条さん……私の足ぃ、舐めてくれるぅ?」

上条「舐めますとも舐めますとも!」

土御門「いいのかカミやんそんな愛で」

上条「上条さんもう人生初めての彼女に自分でも引くくらい舞い上がってますから」

土御門「そうかい……」

食蜂「嬉しいわぁっ。行きましょう、じゃぁねぇ。御坂さん☆
    私達これからデートの計画を立てなくちゃいけないからぁ。
    悪いけどぉ、貴女には『彼を』あげられそうもないわぁ。
    約束破ってごめんねぇ」 ペロッ☆

御坂「くぅぅうう……! 絶対目にもの見せてやるんだから!」

食蜂「アハっ、楽しみにしてるわぁ☆」 スタスタスタ…。*゚+.*.。☆ ゚+..。*゚+☆

御坂「ふん、あんたも覚悟しときなさいよ!」

上条「え? 何が?」

御坂「何でもないっ!!」

白井「やれやれ……まあ以前に比べれば毒気は減ったかもしれませんけど。
    先が思いやられますわね」

土御門「基本的には変わってねぇんだにゃー。どうなんだ? カミやん的にはアリなのか?」

食蜂「おーい! 上条さぁん☆ 早くぅ。置いてっちゃうわよぉ☆」

上条「いやまぁなんつーかさ……」

土御門「あ?」

御坂「うん?」

白井「はあ」






上条「操祈って可愛いよな」






★*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*おしまい*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*★


というわけでこれにて本編は終わりです。
今月号の超電磁砲でみさきちのキャラが固まる前に書ききろうと思ってましたが、何と今月号みさきち出てないそうですね。
みさきちこんな感じだったらいいなという妄想でした

さて今月みさきち出てないことですし、次スレ立てて番外編でももうちょっと書こうかと思ってます。
また書き溜めが出来たら似たようなスレタイで新スレ立てますのでその時にお会いしましょう。
このスレは感想とかみさきちペロペロチュッチュして適当に完走させちゃってください。
ではではひとまず一スレに渡るお付き合い、ありがとうございました。

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