春香「生っか!?サンデーDVD特別企画〜麻雀ですよ、麻雀!」 (121)

———BBS赤坂スタジオ/B1スタジオ———

春香「はい、と言うわけで始まりました。『生っすか!?』のDVD化記念といたしまして」

春香「私達が麻雀に挑戦し、ガチンコ勝負をしようという、アイドル番組らしからぬこの企画なんですが・・・」

千早「いつものスタジオに自動卓があるのって異様な光景ね・・・」

美希「お客さんもいないから、余計に変な感じなの」

千早「えー、今回は当番組のコーナーである、『響チャレンジ』の一環としまして、」

千早「『765チャレンジ』と名前を変え、765プロの全員が挑戦するものとなっております」

美希「DVDの特典映像なのに、気合入れ過ぎなの」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367853970

SS初挑戦なので、お手柔らかにお願いします

美希「でも、麻雀でやってみると意外と楽しいの」ルンルン♪

春香「美希は、こういうのも呑み込みが早いよねー」

春香「ドンジャラだったら、昔は友達とやったりとかもあるんだけど・・・」

春香「麻雀特有の役を覚えたり、ルールがややこしかったりで大変・・・」アハハ…

千早「今回の企画のために、3ヶ月前からやってきたものね」

千早「でも、覚えてしまうと、むしろドンジャラの方が難しいって意見も分かる気がするわ」

美希「ドンジャラだと対子か暗刻でしか上がれないから、順子がある麻雀のが上がりやすいって思うな」

千早「そういえば、何で麻雀なのかしら?」

春香「なんでも、番組の構成作家さんとうちのプロデューサーさんが、一緒に呑んでる最中に思いついたんだって」

春香「最近は麻雀する女の子のアニメだってあるし、アイドルでもイケるんじゃない?ってノリで」

春香「お酒の席で言ったことが、本当に実現するもんなんだねー」

美希「ここの構成作家は、ジョーダンで言ったこともホントにやるからね」

美希「いつかの春香の包装事故も、ちゃんとHPで配信されてたし♪」ニヤニヤ

春香「もうアレのことは忘れてー!!」アセアセ

千早「ふふっ、覚えてる人の方が多いと思うわよ」

千早「今回のDVDにも入ってるから、この特典映像を見てる人は、特にね」

春香「えぇっ!?そんな〜・・・・・・なんとかツマめないかなぁ・・・」

美希「さすがに遅いと思うの☆」

春香「で、えぇーと、ナニナニ、ではOPトークもこれぐらいにして、早速ルール説明に入りたいと思います」ヨミヨミ

美希「台本ガン見なの・・・」

千早「春香らしいと思うけれど」

春香「もうツッコまないでよ、ではルール説明です」

春香「今回は冒頭で説明した通り、『765チャレンジ』ということで、765プロ全員で挑戦します」

春香「律子さんは、プロデューサーさんと実況&解説にまわるから、総勢12名での闘いとなります」

春香「この12名を3グループに分け、それぞれの勝者3名が決勝進出です」

美希「だから麻雀卓が3台もあるんだ」

千早「3人だと決勝は三麻でやることになるのかしら?」

春香「いえいえ、流石に牌が偏る三麻はやりません」

春香「ハネ満の撃ち合いってのも、見てて楽しいのか分かんないしね〜」

春香「最後の1人は、グループ戦での最終点棒が多かった人が、決勝進出になります」

美希「つまり、決勝に上がる3人の次に強い人が勝ちあがりってこと?」

春香「平たく言えばそういうことかな」  <…クッ

春香「そして、重要なのが、決勝で見事勝利した優勝者には・・・」

春香「なんと、10万円のお食事券と特別な御褒美が贈呈されます!!」ババン

千早「・・・・・・お食事券は分かるとして・・・」

美希「特別なご褒美って、具体的にはなんなの?」ナンナノナノ??

春香「・・・さぁ?私も詳しくは聞かされてないんだよね〜」

千早「アイドルなのだから、やっぱり歌に関連するのかしら?」

春香「『生っすか!?』の冠コーナーとかかな?」

美希「でもミキたちがもらっても、MCだからできなくない?」

春香「進行中にできる企画って限られるしね〜」

春香「まぁ、そのあたりは決勝戦の前にアナウンスするってことで」

春香「では、早速グループ分けを行いたいと思います」

千早「グループ分けのやり方はどうするの?」

春香「えーとね、こちらのボックスに、A〜Cと書かれたボールが入ってるので当人に引いてもらって決めていきます」

春香「各4つずつの合計12個入っているので、かぶることもないし」

春香「ボックスの中身はいじれないから、イカサマの心配もありません」

美希「イカサマするのは春香ぐらいしか思いつかないの・・・」ボソッ…

春香「たかだか抽選なんかで、イカサマなんてしないよ〜」アセアセ

千早(勝負中はイカサマするってことかしら・・・?)

美希(少しは牽制しておかないと、ホントにやりかねないの)

(ナレーション:古谷透)

——『生っすか!?』のDVD特典として、始まったこの企画

 初めは、アイドル達も娯楽遊戯として、どこか楽しげに参加していた

 しかし、律子からの一言で、その様相は急変を迎える!


———「今回の優勝者に贈呈される副賞はこれよ」

 律子の手には、何かが書き込まれた紙が一枚

 アイドル達も、書かれた内容を見るまでは、興味を示さなかった

 だが、その内容は、彼女達を戦慄させるッ!


 <Pへの絶対命令権> ※一回限り有効



——内容を読んだ彼女達に電流が走る!

そして、吼えた!

自分こそが優勝すると、高々に吼えた!

そして、戦慄を携えた彼女達は、グループ戦へと突入するッ—— 


  ζ*'ヮ')ζ<グループ戦はオールカットですぅ〜

脳内補完でお願いします><

 ・ BBS赤坂スタジオ/B1スタジオ/休憩中 ・


P「いよいよ決勝戦だな・・・」

律子「えぇ、なんだか尋常じゃない雰囲気になってますね・・・」


春香「・・・・・・・・・」 C卓2位グループ戦第4位

千早「・・・・・・・・・」 B卓勝者

やよい「・・・勝てば10万・・・勝てば10万・・・」ブツブツ… C卓勝者


美希「ハニー!!」ダダダバッ A卓勝者

P「おい、美希!?いきなりくっつくな!?」

美希「ハニー、見ててね!ミキ絶対1番になってみせるの!」キラキラ

律子「コラ美希、収録外だからまだいいけど、本番中に『ハニー』発言は禁止だかね!」

美希「分かってるの律子・・・さん・・・、だけど、勝負中に余計な事を言ってる余裕なんてないかもしれないの・・・」

律子「え? どういうことよ?」

美希「正直に言って、3人ともスゴク強いの、ミキも油断できない面子ってこと」

P「確かにな・・・3人とも三様の強さで決勝戦に進んできてるんだ・・・」

P「特に春香は、目立ちはしないけど、意外と堅実なプレーだった感じだ」

律子「そうですね、一度4人の傾向を降り返ってみましょうか」

P「あぁ、お願いするよ。じゃ、まずは美希から」

律子「美希は、浮き沈みは激しいですが、その分大きく和了る感じですね」

律子「グループ戦でも、放銃はありましたが、満貫以下の和了りがない」

律子「合計4回の和了り点は『48000』、最終点棒は『45700』で総合トップです」

律子「A卓だけは、南二局までで、最後に響がトビで終了してます」

律子「傾向としては、染手が多かった印象で、混一と清一で和了ってますね」

美希「ごちゃごちゃしてるより、一色に染まってる方がキレイで高いから好きなの☆」

P「確かに、点の高さは期待できるが、かなり運に任せた打ち方って印象も拭えないな」

律子「そうですね、配牌の形よりも、自摸牌で引き寄せているって感じが強いですね」

P「まぁ、それを持ってる辺りも、美希らしさなのかもしれないな」

美希「千早さんとかはどうなの?」

律子「千早の打ち方は、まさに鉄壁ってイメージね」

律子「グループ戦での和了りは3回だけで、それ以外は徹底した守備型」

律子「手が対子になりやすいから、リスク1回で、安全を2回買えてるってのも大きいわね」

律子「放銃は相手の自摸のみで、和了り点は『13200』だけど、最終点棒は『33800』の総合3位」

律子「大きく勝ちはしないけれど、負けない手作りが上手い印象でした」

P「そうだな、千早の守備は確かに堅い」

P「おそらく、スジや裏スジをしっかり読んでるんだろう」

P「美希みたいに、ガンガン攻めていく相手とは対照的だな」

美希「ミキ的には、捨て牌は嗅覚で選ぶものだと思っているの☆」

P「やよいも、攻めていくほうの打ち方だったよな?」

律子「やよいの場合は、打点は高くないですが、小さな和了りを積み上げるスタイルですね」

律子「和了りの数は、計7回!特に親番での和了りが、内5回もです」

律子「和了り点の合計は『22000』、最終点棒は『35900』で総合2位ですね」

P「波に乗ると手が付けられないってタイプか・・・」

美希「親番の方がお得ですぅ☆(モノマネ)」

律子「確かにお得だけれども・・・、あぁ、あと殆どの手にドラ絡めで和了ってますね」

律子「タンヤオや平和なんかの基本手で作って、早く安く多く和了る」

P「こういうタイプの相手がいると、自分のリズムが掴めなくて負けちゃうんだよなぁ」

律子「引っ張られて、聴牌即リーとかになりがちになりますよね」

美希「春香も聴牌即リーとかやってたよね?」

律子「春香は、即リーも黙聴も半々でやってたわよ」

律子「相手の捨牌を見てから手作りしていくから、即リーも有用だしね」

P「あとは、春香は典型的な先読み型だな」

P「将来的に、当り牌になりそうなのは、先に切っていくから、放銃も少ないしな」

律子「そうですね、春香も放銃は相手の自摸のみで、堅実な打ち方でした」

律子「和了り数は計3回で『12000』、最終点棒が『31000』で総合4位でした」

P「もっとトリッキーな打ち方を期待してたんだがな・・・」

美希「春香のことだから、既にガン牌とか見つけちゃってるかもなの」

P「確かにそこまで新しい牌じゃないけども・・・、でも、決勝ではガン牌なんて関係ないぞ?」

美希「へ?どういうことなの?」

律子「みんなには後で説明するわよ、そろそろセッティングも終わるだろうから準備してきなさい」

美希「はーい。ハニー!絶対優勝するから、ちゃんと約束守ってなの!」ダダダッ

P「ハイハイ・・・」ヤレヤレ


P「しかし、優勝賞品が『Pへの絶対命令券』で、そこまでモチベーションが上がるかなぁ・・・」

律子「・・・はぁ、本当に鈍感なのねぇ・・・」ボソッ

  ・ BBS赤坂スタジオ/B1スタジオメインステージ/本番中 ・


律子『さぁ、それではいよいよ、決勝戦に参りたいと思います!』天の声

律子『ただし!決勝戦は"普通"の麻雀はやっていただきません!!』

春香「えぇ!?どういうことですか!?」

千早「・・・つまり"普通"じゃない麻雀をやると?」

律子『その通り!今回決勝用に用意したのは、コチラっ!!』

  メインスクリーン 『鷲巣麻雀』 ババン


美希「わしずまーじゃん?」ナンナノナノ

律子『もちろん麻雀そのもののルールは変わりません』

律子『変わるのは牌、そして卓です!』


やよい「そういえば、じゃんたくが変わってますぅ」

千早「何かしら、あの真ん中の黒い部分は・・・?」

律子『これから使うのは、透明な雀牌、相手から透けて見える牌で勝負していただきます!』

やよい「相手から見えちゃうんですか!?」

律子『もちろん全部ではありません、4枚一組の牌の内、1枚だけは通常の牌です』

千早「相手から見えてしまうから、自分は和了りにくいし・・・」

千早「逆に、相手の牌も見えているから、振り込みにくい・・・」

律子『そういうこと、今までよりもスリリングな麻雀になるってことよ』

律子『そのために、専用の自動卓まで作ったんだから、しっかりやって頂戴ね!』

美希「予算の使い過ぎなの・・・」アフゥ…

律子『この専用卓の真ん中に牌を落として、スイッチを押せば自動で牌を混ぜてくれるわ』

律子『その後は、真ん中から順に牌を引いてもらいます、これが山の代わりってこと』

千早「山があっては、次に引く牌が分かってしまうものね」

律子『そういうこと。カンしたときの嶺上牌もここから自摸ってもらうわ』

やよい「ドラ表示牌はどうするんですか?」

律子『配牌が終わった後に、親にドラ表示牌を引いてもらいます』

律子『裏ドラは和了った人に引いてもらうわ』

律子『それから、盲牌防止のために、皮手袋を付けてもらいます』

春香「さすがに盲牌はできないですよ〜」

律子『ルールだから我慢して頂戴』

律子『質問等がなければ、次に席順と親番を決めるわね』

律子『まずは席順だけれども、美希の対面にやよい、千早の対面に春香ね』

春香「それは、グループ戦での結果からですかね?」

律子『そういうこと、あと親番を決めるサイコロを振ってちょうだい』


——そして、席順と親番はこのようになり——

          千早(東家)
 やよい(北家)        美希(南家)
          春香(西家)

のヮの「!!」

千早「?春香、どうしたの?」

春香「え"!?うんうん、なんでもない!千早ちゃん、頑張ろうね!」

美希「春香、今度はみんな敵同士なの」

千早「そうね、切磋琢磨して一緒に頑張るってのは違うわね」

やよい「えーと・・・えーと・・・」オロオロ

春香「あー、やよい!大丈夫!?」

やよい「春香さん、10万円ってどれぐらいのご飯が食べられるんでしょう?」

春香「んー、そこまで高くなければ、みんなで焼肉行ってもお釣りがくるんじゃないかな?」

やよい「ホントですか!!うっうー!がんばりますー!」

美希「心配ないの、やよい」

美希「優勝はミキがもらっていくから、みんなで焼肉に行くの☆」ドドドド

千早「あら、優勝なら私がするから、焼肉くらい約束するわよ」ゴゴゴゴ

やよい「二人とも怖いです・・・」ビクビク

春香「誰が勝っても焼肉には行けるんだから、大丈夫だよー」

春香「それに、二人とも副賞狙いなんでしょー?」ニタァ…

やよい「・・・みなさん、怖いですぅ・・・」

千早「高槻さん・・・」

やよい「・・・うー?」ウルウル

千早「・・・大丈夫、任せて」キリッ

  ここで改めてルール説明

�行うのは透明牌を使った『鷲巣麻雀』

�勝負は半壮一回、持ち点は25000

�食断、ピン自摸、赤牌あり

�大明槓の責任払いはなし、通常の自摸扱いとする

�SS上、萬子:一二三(漢数字)、筒子:���(丸数字)、索子:���(ローマ数字)で表記

�牌表記で、( )内は色付きの牌(通称:黒牌)、それ以外は透明牌、" "内はドラ及び赤牌

�視点は、親番のキャラ目線で進めて行きます(一部例外有り)

�書き主の麻雀力はそこまで高くないですので、手作りに疑問は持たないで下さると幸いです

美希(優勝すれば、ハニーに命令できる権利がもらえるの・・・)

美希(これは、負けられない闘いなの!)ドドドド

千早(透明牌を使った、"見られる"麻雀・・・)

千早(一体、どんな方法が正攻法なのかしら・・・?)

千早(どちらにせよ・・・優勝は渡さないわよ・・・)ゴゴゴゴゴ

やよい(・・・・・・・・・・・・勝てば10万円・・・)ニゴニゴニゴ

春香(・・・勝てば、金一封とプロデューサーさんへの命令権!)

春香(・・・婚姻届・・・判子・・・・・・命令・・・・・・フッフッフッ)ニタァ…


 ・ B1スタジオ/決勝戦/対局開始前 ・


律子『それでは、決勝戦を始めたいと思います』

律子『各々準備はよろしいですか?』

美希「ドンと来いなのー!!」

千早「問題ありません」

やよい「がんばりますー!」

春香「分かりませんっ!」

律子『さすがバラドルの鑑ね・・・、それでは行きたいと思います!決勝戦です!』

——いよいよ決勝戦の火蓋が切って落とされた—

 欲望と策謀が入り乱れる泥沼の闘いの、その火蓋が—

——この鷲巣麻雀では、山は積まないで行う

 盲牌防止用の手袋を付けた手で、各々牌を2枚ずつ引き

 親も子も同じように、合計13枚になるまで引いていき、これが配牌になる

 最後親がドラ表示牌を引き、所定の場所に置く

 親はドラ表示を引いた後に、牌を自摸り、勝負が開始される

 起家は千早、その上家に美希、下家にやよい、対面は春香が座っている

 千早がドラ表示牌を引き、引いた牌は『�』、つまりドラは『�』である

 そこから、起家である千早は、さらに一枚牌を自摸る

 波乱が波乱を呼ぶ、鷲巣麻雀の始まりである!

  ・ 鷲巣麻雀/東一局/親:千早/ドラ表示:� ・


千早(さて、配牌の感じだけれども・・・)

  千早 : �一三六(七)�����東白發  自摸:白

千早(そこまで早い配牌ではないわね、じっくり行かないと・・・)

千早(黒牌が『七』だけ・・・、ほとんど見えてしまっているから自摸和了り狙いかしら・・・)

千早(高槻さんは・・・?)

  やよい : 二六七七�( )��( )( )�( )( )

千早(索子がほとんど見えないわね・・・、あの黒牌は全部索子?)

千早(もし上手く並んでいれば、二向聴ってところかしら?)

千早(美希は・・・)

 美希 : ��( )�一四七八九南中中中

千早(配牌時で『中』が暗刻!?萬子も多いし、混一濃厚ね・・・)

千早(黒牌は一枚だけだけれど、それでも、早ければ六巡ぐらいで・・・)

千早(春香はどうかしら・・・)

  春香 : ���( )西��( )��( )��

千早(・・・・・・ん?)

千早「あの・・・、春香?」

春香「なに?千早ちゃん」キョトン

千早「待っててあげるから、理牌していいわよ?」ヤレヤレ

春香「あ〜、心配しないで千早ちゃん」

春香「私は、"このまま"行くから・・・」ニヤリ…

三人「えっ・・・!?」

律子『春香、理牌しないで行くつもりなの!?』天の声

春香「別に大丈夫ですよ〜、沖和なんてしませんから」

春香「それに相手に見えちゃう麻雀なんですから・・・・・・」

 
 
春香「わざわざ教えてあげる必要なんてないでしょう・・・?」

P『・・・面白い、許可しよう』天の声

律子『ちょっ、プロデューサー!?』

P『いいじゃないか、別に理牌しないといけないなんてルールはなかろう?』

P『もちろん、沖和の可能性が増えるけど、春香だってリスクは承知しているんだし』

P『それだけ、"本気"ってことなんだろう、春香?』

春香「もちろんです!プロですかっ!」


美希(やっぱり仕掛けてきたの・・・)

千早(確かに、理牌をしなかったからといって、ルールに抵触するわけじゃない)

千早(私も、美希も、自分の好みで並べてしまっているし)

千早(もともとを考えれば、全ての牌が見えていない通常のと変わらないはず)

千早(改めて見てみれば・・・)

 春香 : ���( )西��( )��( )��

千早(黒牌にもよるけれど、そこまで手の印象は良くないわね・・・)

千早(警戒は緩めず、怠らず・・・、やっていくしかなさそうね・・・)

 千早 : �一三六(七)�����東白白  打牌:發

千早(引いて来た『白』を入れてはみたけれど・・・)

千早(誰か『白』を切るかしら・・・)

——相手の牌が見える鷲巣麻雀において

 対子で持っている飜牌は切られにくいのが必然である

——次いで、やよいの手番、黒牌を取りいれ、打『�』

春香は『五』を取り込み、打『西』

この時、またしても春香は理牌をせず、自摸った牌を右端へと重ねた

手番は美希に、黒牌を引き、打『�』

自摸った牌は、『一』と『四』の間に収まった

それぞれが、少しの探りを織り交ぜながら、自摸番は一巡し千早

  千早 : �一三六(七)�����東白白  自摸:四

千早(美希は黒牌の萬子を重ねてきたわね・・・)

千早(春香の奇抜さには驚いたけれど、美希の早さの方が上かしら・・・)

千早(私も、うかうかしていられないわね!)

——千早、自摸った『四』を入れ、打『東』


律子『千早は、早々にダブ東を見切ってきましたね』

P『4人とも敵なんだ、仮に重なっても鳴かせてくれない』

P『だったら、早々に切って、手広く行かないと間に合わないと踏んだんだろう』

——そう、この鷲巣麻雀において、透明牌で飜牌の対子を持っていることは

 決して有利には働かず、むしろ握りつぶされるというデメリットを生んでしまう

 通常のやり方では、和了りにすらいけないのが、この鷲巣麻雀なのだ!

>>44
許可するも何も「禁止する」理由のほうがないじゃん

>>53
一応DVDの特典映像ってことなんだから視聴者にやさしくなきゃだめだろ

莫大な金や命なんていう不条理な代物が掛かってない鷲巣麻雀って正直いまいち盛り上がりに欠けそうな気がするな

レスありがとうございます
これから続きを投下していきます

>>53 >>55
言われて気づきました…、後半部分を加筆修正しておきます

>>56
一応、自分なりに頑張らせてもらいますので、よろしければお付き合い下さい

——その後、巡数は進み、千早六巡目


 千早 : 三四六(六)(七)�����(�)白白  自摸:�

千早(やはり、『白』の対子がネックになってきたわね・・・)

千早(もしかしたら、引いてこれるかもと持ってはいたけれど、誰かが握っているかもしれないわね)

千早(美希の手にも、だいぶ萬子が重なってきているし)

千早(なにより、赤牌の『"�"』と『�』の面子で、ドラドラの可能性もある・・・)

千早(私も、なりふり構ってはいられない)

千早(それに、このままだと二向聴から先には進めない!)キッ


——ここで千早、ドラ傍の『�』を手牌に残し、打『白』

 この決断が、凶と出るか、吉と出るのか・・・

  ・ 六巡目終了時 ・

 千早 : �三四六(六)(七)�����(�)白  打牌:白

 やよい : ( )二三六七七( )�( )( )�( )( )  打牌:(�)

 春香 : ( )�( )�( )��( )五���( )  打牌:(白)

 美希 : "�"�( )一( )四( )七八九中中中  打牌:北

千早(春香・・・、やっぱり『白』を止めてたわね・・・)

千早(早めに手放して正解だったかもしれないわ・・・)

千早(でも、警戒すべきは・・・、やはり美希!)

——東一局も七巡目に入る

 ここまで来ると、それぞれの手役や面子が、ある程度まで絞られてくる

千早(六巡目で、美希は『�』の横に黒牌を入れていた・・・)

千早(その隣は『一』だったから、入ったのは『(一)』か『(�)』、あるいは『(�)』・・・)

千早(『四』と『七』の間の黒牌は、私が『(六)』と『(七)』を使っているからおそらく『(五)』)

千早(つまり、今の美希の手牌は・・・)

  美希 : "�"�(�)一( )四(五)七八九中中中

千早(『一』と『四』の間は『(二)』か『(三)』で、今は一向聴ってとこかしら?)

千早(ドラドラはないけれど、萬子の一通が濃厚になってきたわね・・・)

千早(高槻さんの手は、黒牌が多くて読みにくいけれど・・・)

千早(おそらく、索子と筒子は面子になっている、けれど萬子が整ってない)


 千早 : �三四六(六)(七)�����(�)白  自摸:�

千早(良し、離れの『�』にくっついた)

——千早、『�』を引き入れ、打『白』

 だが、千早は『白』の対子を落としてしまったため、未だ三向聴

 そんな千早を他所に、意外な伏兵が飛び込んで来るッ!


やよい「リーチですー!」 チャリーン



三人「!?」

——やよいは、赤牌の『"�"』を引き入れて、打『六』でリーチ宣言

この時のやよいの手牌は・・・


  やよい : ( )二三七七( )�( )( )"�"�( )( )  打牌:六


 やよいは、順当に不要牌を整理していき、一直線にやってきた

 一切の牽制も、変化球もない

千早(一見すると、筒子か索子・・・、捨て牌は字牌と一九牌のみ・・・)

千早(多面張の公算が高いわね・・・)

千早(しかし、『六』って、美希の本命じゃない・・・通ったからいいけれど・・・)

千早(・・・ッ!、ってことは、『六』通る確証があったってこと?)

千早(・・・あの黒牌の中に『(一)』がないと分かっている、ということは・・・)

千早(つまり、高槻さんが『(一)』を使っているのね!)

P『ほうぅ、一局目はやよいが仕掛けていったか』

律子『七巡目でのリーチ・・・、やよいとしては少し早いですかね』

P『みなが慎重になってる中で、不要牌をキレイに整理できてる』

P『これなら、俺も即リーしちゃうかな〜』

律子『牌の半分以上が見えてしまう鷲巣麻雀ですから』

律子『本来、リーチはそこまで怖くはないはずなんですけど』

律子『多面張で黒牌の配置もいいですから、意外と直撃もありえるかもですね』

律子『これをどうやって避けていくかが、見物ですね』

——解説であるPや律子も、これには頷いた

 律子の言った通り、鷲巣麻雀において、リーチは脅威とはならない

 相手の手牌が見えている以上、避けていくのは決して難しくはないからだ

——しかし、この時のやよいの手は、黒牌六枚を使った多面張

 捨て牌は『�』『�』『(�)』『(發)』『西』『(�)』『六』と、ヒントになりにくい形

 警戒だけでは避け切れない、この場の全員がそう理解した

——そして、やよいのリーチ後の春香の自摸

 『一発』が絡むため、この一打の牌に、全員の目が向けられていた


春香「・・・・・・・・・ッ・・・」  パシッ

——『發』の自摸切り、春香は現物切りで凌ぐ

 続く美希も、『南』自摸切りで字牌を打ちこんでいく

 そして親である千早に返ってくる

 自摸って来た牌は『�』、それを引き入れ、打『六』

 千早も現物を打ち、やよいの『一発』が絡む最後の自摸へ

——やよいの自摸は『�』、川に打たれる『�』、一発は実らず!

 その一打で、全員の緊張は少しだけ和らいだ

 それもそのはず、打『�』ということは、『�-�-�』待ちはなく

 『�』の隣である黒牌が『(�)』で、『七』とのシャボ待ちの線もなくなったのだ


 もちろん、やよいが順当に理牌していればの話ではあるのだが

——その後、春香が『�』を引き、スジ切りで『�』を打ち、これが通る

 美希は『白』の自摸切り、七巡目を終え、千早に戻ってくる

 しかし、ここで千早の手が止まる

  千早 : ���三四(六)(七)�����(�)  自摸:(八)

千早(これで、『�』を切れば、とりあえずは一向聴・・・)

千早(『五』か『�』で、三色も見えてくる・・・)


千早(でも、それはあまりに危険)

千早(美希が四巡目に『(�)』を切って、私が『(�)』を抱えてるから)

千早(たぶん、高槻さんの今の形は・・・)


  やよい : (一)二三七七(�)�(�)(�)"�"�(�)(�) 待ち:�-�

  やよい : (一)二三七七(�)�(�)(�)"�"�(�)(�) 待ち:�

  やよい : (一)二三七七(�)�(�)(�)"�"�(�)(�) 待ち:�-�-�

千早(おそらくこの三つの内のどれかってことになるわね・・・)

千早(もし、私が『�』を切れば、次に切るのは三色を見据えた『�』切り・・・)

千早(読みが当たっていれば、『リーチ』『平和』『ドラ1』の『3900』)

千早(裏ドラ1つで満貫『8000』までありえる・・・)

千早(それに、"私が高槻さん対して払う"ことになってしまう・・・)

千早(それだけは、避けなければ!)

——千早は、自摸った『(八)』を入れ、打『三』

 あえて、両面を外して、嵌張を残していくことに

P『さすがだな・・・千早』

律子『しっかり読んで来ますね、この辺りは千早の十八番でしょうから』

P『だが、果たして、そのままで行けるのかな・・・』

——不敵な笑みを浮かべるP・・・

 だが、それに構うことなく、場は淀みなく進んでいく

 やよいは、『�』を自摸切り、春香は黒牌を引き入れ、打『(�)』

 しかし、ここで『三』を引き込み、美希も動くッ


美希「リーチなの!」 チャリーン

——美希は打『中』、あえて暗刻を落としての打『中』!

 もちろん、この見え見えのリーチが通用するような相手ではないのは美希も承知のこと

 だが、これは勝負なのだ

 負けず嫌いの美希のこと、やよいに先を越されはしたけれど、やはりここはリーチなのだ

千早(高槻さんのリーチに対抗してのリーチ・・・)

千早(気持ちいいくらいに潔いのね、美希・・・)

千早(たしかに、『中』を暗刻から落としたんだもの、聴牌しかない)

千早(どうせ聴牌と知られているのなら、と思い切ってのリーチ)

千早(でも、その聴牌の当り牌は読めてるわよ!)


 ・ 九巡目終了時 ・

 千早 : ���四(六)(七)(八)�����(�)  打牌:三

 やよい(リーチ) : ( )二三七七( )�( )( )"�"�( )( )  打牌:�

 春香 : ��( )�( )��( )五( )�( )�  打牌:(�)

 美希(リーチ) : "�"�( )一( )三四( )七八九中中  打牌:中

千早(この形なら、美希の手牌を読むのは簡単だわ)

千早(美希は『一通』狙いの、萬子待ち、じゃなかったら『中』を落とす意味がない)

千早(それに萬子の黒牌は私が掴んでいるから・・・)

 美希 : "�"�(�)一(二)三四(五)七八九中中  待ち:三-六


千早(『二』の嵌張待ちもあるけれど、それだと、『リーチ』『ドラ1』の『2600』)

千早(仮に自摸っても『3900』、裏が乗ってようやく満貫・・・これはさすがに運に頼り過ぎている)

千早(つまり『三-六』の両面待ち!これしか残ってないはず!)

千早(私が、萬子を落としていたり、高槻さんの現物だから出やすいだろうって考えたのでしょうけど)

千早(甘いわよッ!) ダンッ

——千早は自摸切りで、打『(九)』、その時2人からの宣言はなし

 千早はここを通し、一向聴を守り切るッ!

——東一局開始から、まだ数分しか経過していない

 だが、早くもリーチが2人も出る、まさに波乱の幕開けとなった

 やよいのリーチから早三巡、ここでも宣言はなく『�』自摸切り

 春香は黒牌を引くも、やよいと美希の現物であるため、『(中)』を自摸切る

 次の美希の自摸は『�』、もちろん、和了り牌ではなく、ここも自摸切り

 しかし・・・








春香「ロン・・・」 パタン…


春香「『タンピン』『三色』『一盃口』『ドラ2』、ハネ満だね」



律子『な・・・、和了り・・・!?』

美希「リっ、リーパイなの!早くするの!」アセアセ

千早「そうね!確認させてちょうだい!」ガタッ

春香「ちょっとまってよ〜、今やってるから」 カチャカチャ


  春香 : (三)(四)五���(�)("�")"�"�(�)��  和了り牌:�


春香「惜しいなぁ〜、あと一飜付けば、倍満だったのに・・・」

春香「でもまぁ、これで『39000』、一歩リードだね」ニヤァ・・・

律子『いきなり、凍らせてきましたね・・・春香・・・』

律子『さすがに、ここまで大きい手だったなんて・・・』

律子『この場の全員が思いもよらない結果に・・・』

千早「・・・・・・いっ、いつから、聴牌だったの・・・?」

春香「私が聴牌したのは十巡目、八巡目で作り変えたからね」

千早「・・・八巡目?・・・高槻さんのリーチの後・・・」

春香「そう、あの時自摸った牌は『�』、やよいの危険牌だもの、打てないよ」

千早「じゃぁ、あの時の『�』の対子落としは、組み変えのために!?」

春香「そうだよ、引いた牌は『�』と『�』、そのまま組み入れて、聴牌の出来上がりってね♪」



美希「ノっ、ノーカンなの!!こんなの認めないのッ!!!」ババッ




千早「・・・・・・美希・・・」


律子『あっ、美希なにを!?

律子『すみませーん!カメラ止めてくださいっ!!』

P『美希!』天の声

美希「ハニー!こんな卑怯なことってないの!!」

P『なにを言ってる?これも立派な麻雀だろうが?』

美希「えっ!?そんな、ハニーも春香の味方するって言うの!?」

P『どんなに策を巡らせても、負ける時は負けるのが麻雀だっ!』

美希「そっ・・・そんな・・・」オロオロ

P『春香は、別にルールに触れたわけじゃない』

P『この鷲巣麻雀でこそできる迷彩をかけただけじゃないか』

P『それも、黒牌を引けなければ意味のない迷彩だ』

P『それに、今回はむしろ、やよいの方が和了る可能性が高かった』


  やよい : (一)二三七七(�)�(�)(�)"�"�(�)(�) パタン


美希「・・・・・・『�-�-�』の三面張・・・、だから・・・春香は『�』を打たないで・・・」

P『それでも、春香はそれを避けて、張り直し、聴牌に辿り着いたんだ』

P『これのどこが卑怯なものかっ!!』

美希「・・・・・・ハニー・・・」

千早「・・・・・・確かに、プロデューサーの言う通りだわ・・・」


美希「そんな、千早さんまで・・・」

千早「そもそも、配牌の段階でプロデューサーも私達も、それを認めてしまった」

千早「認めたからには、受け入れるしかない」

千早「それに、そこまで策謀を巡らせるってことは、それだけ春香も必死だったってことでしょう?」

春香「・・・・・・・・・」

春香「やっぱり敵わないなぁ・・・、千早ちゃんには・・・」ハァ…

春香「私から何か言うのは、あんまししたくないんだけど、これだけは言わせて・・・」




春香「私は・・・、全力で勝ちに行くよ!」キリッ

春香「もちろん、多少は卑怯なことをするかもだけど」

春香「ルールを破ることはしないし、負けたからって文句も言わない」

春香「ただ、私が持てる全力を尽くすまでだよ!」





やよい「・・・・・・・・・あたしもそうすると思います・・・」

美希「やよい!?」 千早「高槻さん!?」


やよい「あたしは、春香さんみたいなことは出来ないですけど・・・」

やよい「・・・もし出来たら、たぶん同じように勝ちにいくかもです・・・」

やよい「でもでも、学校のテストでカンニングなんてしません!」

やよい「スーパーでの買い物だって、万引きしたり、値引きシールを張り替えたりしません!」

やよい「その代わり、少しだけ早く並んだりします・・・・・・友達のノートを写したりもします・・・」

やよい「でも、それをイケナイことだなんて思いません!」

やよい「それも"頑張る"ってことだと思います!!」


美希「・・・・・・・・・やよい・・・」

千早「・・・・・・高槻さん・・・」


春香「・・・やよい・・・・・・ありがとう」

やよい「えへへ、ちょっとだけエラそうになこと言っちゃいました」///


P『美希・・・やよいの言う通りだ』

P『お前の良いところは、その『負けず嫌い』だと思ってる』

P『不利な状況にも関わらず、やよいのリーチに突っぱねて、リーチし返したじゃないか』

P『その気持ちで、今度は春香にも突っかかっていけよ』

P『そんなお前だからこそ、俺はお前をプロデュースしてるんだからさ』

美希「ハニー・・・」///

美希「・・・・・・うんっ!やってみるの!!」


千早「・・・美希」



美希「春香!次は負けないの!!まだ東一局だし、勝負はこれからなの!!」ビシッ

春香「もちろん!私だって負けないからね!」

律子「・・・これで、なんとかなりましたね、プロデューサー殿」

P「あぁ、美希も強くなったな」

律子「ただ、水を射すようで恐縮ですが・・・」




律子「結局、視聴者は置いてきぼりですよね?」



P「さー、誰が優勝するのかなー??」シランプリッ

——波乱と怒涛で始まった、鷲巣麻雀

 今は東一局が終わっただけに過ぎず、勝負の行方は誰にも分からない

 果たして、一体誰が優勝し、『Pへの絶対命令権』を手に入れるのか!?



 春香の策か?

 美希の運か?

 千早の理か?

 やよいの才か?


 この日の収録は、まだ始まったばかりである・・・




??(フフフ・・・ここまでは予定通りね・・・)

??(春香・・・、あなたは最後まで道化を演じていなさい・・・)

??(そして、最後に勝つのは、私と・・・・・・・・・・・・フフフフフフ・・・)







   ————to be continued・・・?————

これで東一局が終了しました
一応、東二局以降も、なんとなくは考えてあるので
もしよろしければ、また見ていただけたら幸いです

でわノシ

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