まどか「いってらっしゃい」(58)

タツヤ「まろかっまろかっ」

ほむら「・・・」

タツヤ「まろかー!!」

ほむら「・・・うん、そうだね」

ほむら「そっくりだよ」

タツヤ「・・・あう?」

―――――――
―――――
―――

知久「今日は有難う。うちの子の相手をしてくれて」

ほむら「いえ、いいんです」

ほむら「私も、楽しかったですから」

ほむら「久しぶりに、・・・に会えたような気がして」

知久「え?」

ほむら「いえ、何でもないです」

知久「・・・はあ」

詢子「ほら、タツヤ。お姉さんにお礼言いな」

タツヤ「ええーとぉ・・・」

ほむら「ほむらよ」

タツヤ「ほむりゃ?」

ほむら「・・・それでいいわ」

タツヤ「ほむりゃ!!まらねっ」

ほむら「・・・」

ほむら「ええ、またね」

――――――――――――――

キュゥべえ「随分と楽しそうだったね」

ほむら「・・・見てたの?」

キュゥべえ「うん」

ほむら「・・・そう」

キュゥべえ「あの子供も、『まどか』のことを知っているようだったね」

ほむら「ええ、そうね」

キュゥべえ「君の言う『今とは違う世界』や『まどか』のことも、存外夢物語という訳でもないということかな?」

ほむら「信じてないくせに」

キュゥべえ「はは・・・まあ、確証がないからね」

キュゥべえ「でも、やっぱり興味深い話ではあるよ」

キュゥべえ「もしも、君の言う魔女の概念というものが本当の話で」

キュゥべえ「その『まどか』という人物が実在していれば」

キュゥべえ「僕達は、きっと・・・」

ほむら「それ以上言ったら、あなたの身体を蜂の巣にするわよ」スチャ

キュゥべえ「誰もいないからって、弓を構えるのは止めてくれるかな・・・」

ほむら「・・・ふん」

キュゥべえ「それで、あの子供とはまた会ったりするのかい?」

ほむら「・・・いいえ、もう会うことはないわ」

キュゥべえ「え、どうしてだい?君はあの子にまた会うって約束してたじゃないか」

ほむら「・・・」

ほむら「振り返ったら、私はもう・・・前に進めなくなるから」

ほむら「彼女の事を思い出したら、私は・・・きっと・・・」

キュゥべえ「ほむら・・・?」

ほむら「・・・何でもないわ」

ほむら「さあ、今日も魔獣退治よ」

キュゥべえ「え、いや・・・まだ僕、質問に答えてもらって・・・」


ほむら「行 く わ よ」


キュゥべえ「・・・キュップイ」

――――――――――――――

魔獣「ア゛ア゛ア゛・・・」


キュゥべえ「・・・やれやれ、今日も相変わらず瘴気が濃いね」

キュゥべえ「魔獣をいくら倒してもキリがない」

ほむら「ぼやいてる位なら、あなたも戦いなさい」バシュ

魔獣「ガア゛ア゛ア゛ー!!」


キュゥべえ「いや、それは流石に無理だよ・・・」

ほむら「ほんと、役に立たない愚図ね」バシュ

キュゥべえ「・・・待ってて、今マミと杏子に援軍頼むから」キュプ

ほむら「(まどか、私は戦い続ける)」

ほむら「(だってこの世界は、あなたが守ろうとした世界だから・・・)」

ほむら「(それに・・・)」


タツヤ『まろかー!!』


ほむら「(あの子のためにも、ね)」


杏子「おーい援軍きたぜー」

マミ「お待たせ、暁美さん」


ほむら「あ」

ほむら「二人とも・・・」

杏子「いやー、ほむらが魔獣相手にヒーヒー言ってるってキュゥべえが言うからよー」

マミ「ふふ、こっちも大変だったんだけど・・・急いで片付けてきたのよ?」


ほむら「・・・」ジロ

キュゥべえ「な、なんだい・・・?」

ほむら「いいえ、何でも」


ほむら「今日あなたはもう用済みよ、早くどっか行って」

キュゥべえ「ほむら、今日僕に冷たくないかい・・・?」

ほむら「あなたに優しくしたことなんて、1回も無いわ」

キュゥべえ「キュゥ・・・」

杏子「おい、さっさと片付けちまおうぜ、腹減ったし」

マミ「じゃあ、これ終わったら深夜のティータイムといきましょうか」

杏子「マジかよ!?おっしゃー!!!やる気出てきたー!!!」

ほむら「・・・」

マミ「暁美さん?」

ほむら「!?
    な、何・・・?」

マミ「どうしたの?ボーッとして」

ほむら「い、いえ・・・なんでもないわ」

マミ「・・・?そ、そう・・・」

杏子「おい、はやく片付けちまおうぜ!!」ティータイム!!ティータイム!!

マミ「・・・んもう、はいはい今行くわよ」

マミ「さ、行きましょう?暁美さん」ス・・

ほむら「・・・ええ」


ほむら「・・・」


ほむら「・・・みんな」


杏子「ん?」

マミ「え?」


ほむら「・・・ありがとう」

杏子「な、なんだよ急に・・・」

マミ「・・・暁美さん、何か悪いものでも食べたの?」

ほむら「なっ・・・!!別に何でもないわよっ」

ほむら「さあ、行くわよ!!!」ダッ


杏子「あ、おい!!ったく、何なんだよアイツ」

マミ「ふふ・・・でも、あんな暁美さんも偶にはいいかもね」

杏子「・・・まあな」


マミ「さあ、私達も行きましょ?」

杏子「よっしゃー!!そらーお前達はあたしのティータイムの礎になるのだー!!!」

マミ「こら、美樹さんの真似しないの」

ほむら「(まどか、今日もあなたは何処かで私達を見てるのかしら?)」


ほむら「(それとも・・・)」


ほむら「(・・・私は、もう過去は振り返らない)」


ほむら「(でも、あなたの事は・・・ずっと覚えてるから・・・)」


ほむら「(そして、できれば・・・あの子もあなたの事を・・・)」


ほむら「(そういえばあの子は・・・今、何してるのかしら)」


ほむら「(って、もう夜も遅いし・・・寝てるわよね、きっと・・・)」


魔獣「ア゛・・・ア゛・・・」

ほむら「・・・来なさい!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

―――鹿目家――――

知久「・・・ふぅ」

カラン・・

詢子「よお、タツヤはもう寝たか?」

知久「あ、うん。今日は沢山遊んだからね」

知久「布団に入るなり、直ぐにぐっすりだったよ」

詢子「はは、そっか」


知久「お酒の肴、サラダでいいかな?」

詢子「おう、サンキュー」

ガチャ、バタン


詢子「しかし、あのほむらって子・・・良い子だったな」

知久「はは、そうだね」

詢子「タツヤが嫁にもらうなら・・・あんな子がいいなぁ」ウェヒヒッ

知久「それは、流石に考えるのが早すぎじゃ・・・」

詢子「例えばの話だ、た・と・え・ば!!」

知久「はは・・・」

詢子「・・・にしても」

詢子「『まどか』か・・・」

知久「・・・」

詢子「確かに・・・何かこう・・・何処かで聞き覚えがあるような・・・」


詢子「凄く・・・懐かしい響きというか・・・」


詢子「うーん、そんな名前の子に会った事ないんだけどなー」

詢子「何なんだろうなぁ、この感覚・・・?」

知久「・・・もしかしたら」

詢子「ん?」

知久「僕達は、違う世界でその『まどか』って子に会ってるのかもしれないね」

詢子「・・・は?違う世界?」

知久「そう、ほらよく言うじゃないか。パラレルワールドって」

知久「子供はそういうのに敏感だからね、それでタツヤは覚えてるのかも」

詢子「んな非現実的な・・・」

知久「でも、そう考えた方がロマンチックだろ?」

詢子「いい歳して、ロマンチストだねぇ」

知久「いいじゃないか、別に」

詢子「和子といい勝負だぞ」

知久「それは・・・ちょっと嫌かな・・・」

詢子「おい」

知久「ははは」

知久「さて、僕も久しぶりに飲もうかな」

詢子「お、珍しいな。どうした?」

知久「別に、何となく・・・ね」


詢子「ふーん、まあいいや」

詢子「ほれ、座れよ」コトコト

知久「ありがとう」


詢子「じゃあ、何に乾杯する?」

知久「そうだね・・・それじゃあ」




「『まどか』に・・・乾杯」チン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タツヤ「スゥ・・スゥ・・」ムニャムニャ

タツヤ「ん・・・んぅ・・・」


―――――――
―――――
―――


タツヤ「・・・」ポツーン

タツヤ「・・・あえ?」

タツヤ「ここ・・・どこ~?」

タツヤ「・・・」

タツヤ「パァパァー?」

タツヤ「マァマァー?」

タツヤ「・・・だえも、いない・・・」

タツヤ「・・・グス」

タツヤ「ふぇぇ・・・みんなー、どこいうのー・・・?」

タツヤ「ふぇぇ・・・ふぇぇぇぇぇええええん・・・」


「こら、男の子が泣いちゃ駄目でしょ」


タツヤ「ふぇ?」キョロキョロ


「久しぶり・・・だね」


「タツヤ・・・」


タツヤ「・・・まろか?」

まどか「てぃひひ、うん『まどか』だよ」

タツヤ「うわーまろかだー!!!」バフッ

まどか「きゃっ・・・もう甘えん坊だね・・・タツヤは」


タツヤ「まろかーおようふくがてんしさんみたいー」キャッキャッ

まどか「てぃひひ・・・ありがと」


まどか「ね、タツヤ」


まどか「少しだけ・・・私と遊ぼっか?」


タツヤ「え、まろかとー?」

まどか「うんっ」

タツヤ「うわーあそぶー!!まろかとー!!!」

まどか「うん、じゃあ何して遊ぼっか?」

タツヤ「んとねー!!んーとねぇ!!」


タツヤ「おにごっこするっ!!」


まどか「あはっ二人だけなのに?」

タツヤ「うんっまろかおにー」タッタッタッ

まどか「あっ!!・・・もう」


まどか「ティヒヒ、直ぐに捕まえちゃうぞー」タッタッタッ

タツヤ「つかまないよー!!!」タッタッタッ

まどか「まてー!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

・・

まどか「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・もう、駄目」コテン

タツヤ「てへへー、こんどもぼくのかちー」


まどか「もー、タツヤ元気良すぎるよー・・・」

タツヤ「まろかーもとあそぼー」


まどか「ちょ、ちょっと・・・まって・・・」ハァハァ



・・・!! !? ・・・・!!!!!



まどか「・・・あ」


まどか「・・・ごめんね、もう行かなきゃ」


タツヤ「えー!!まろか行っちゃうのー?」

まどか「うん、ごめんね」

まどか「待ってるの・・・」

まどか「私を、必要としてる人達が・・・」


タツヤ「んー・・・そかー・・・」

タツヤ「じゃあ!!!じゃあ!!!こんろはいつきてくれうの!!!」


まどか「・・・」

タツヤ「ねぇねぇ!!!」


まどか「・・・・っ!!!」ダキ

タツヤ「ふえ?」

まどか「ごめん・・・ごめんね」グス

タツヤ「・・・まろかー?」

まどか「今日はね・・・本当はお別れを言いにきたの」

まどか「でも・・・どうしても言えなかった」

まどか「私は・・・もう居ないんだよって・・・」


タツヤ「ふぇ?」


まどか「ごめん・・・本当にごめん・・・タツヤを一人ぼっちにさせちゃって・・・」

まどか「ママも・・・きっと怒ってるよね・・・」

まどか「私、帰って来れなかったもん・・・」

まどか「パパだって・・・」


まどか「辛いよね・・・苦しいよね・・・」


まどか「ごめんね・・・ぐす・・・本当に、ごめんね・・・」

タツヤ「まろかー・・・ないてうの?」

まどか「・・・ぐす」


タツヤ「ないた、めー!!!」

まどか「・・・え?」

タツヤ「まろか、なくのめー!!」


タツヤ「えがお、まろかはっえがおがいいー!!」

まどか「タツヤ・・・」


タツヤ「にぱー」

まどか「・・・」

タツヤ「ほら、まろかもにぱーって」

まどか「・・・うん!!」

まどか「にぱー」


タツヤ「うん、まろかかわいい」

まどか「ティヒヒ・・・そうかな」

タツヤ「うん!!!」


まどか「・・・ありがとう、タツヤ」

まどか「優しいね、タツヤは」

タツヤ「ふぇ?」


まどか「ウェヒヒ、タツヤが大きくなったらモテるんだろうなーきっと」

まどか「どんな風になるのかな?パパみたいになるのかな?」

まどか「それとも、ママみたいな格好良い感じになるのかな?」

タツヤ「んー?」

まどか「あ、ごめんね。分からないよね、そんな事・・・」


まどか「・・・私には、分かっちゃうんだけどね・・・」

タツヤ「まろかー?」

まどか「・・・」

タツヤ「?」


まどか「タツヤ」

タツヤ「んぅ?」

まどか「この先、貴方の・・・貴方達の身に、どんな事が起ころうと・・・」

まどか「私が・・・必ず守るからね」


まどか「絶対・・・例え・・・になっても」

タツヤ「まろかなにいってうのー?」

まどか「・・・ごめんごめん、気にしないで」

タツヤ「?」


まどか「それじゃあ、私もう行くね」

タツヤ「あ、うん!!まろかがんばってれ!!」

まどか「うん!!」



まどか「私は・・・ずっと、貴方のことを見守ってるからね」

まどか「・・・ばいばい、タツヤ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

チュン チュン

知久「タツヤ、起きて、ほら」

タツヤ「んー・・・・」ガサゴソ

知久「ほら、起きなさい」


タツヤ「・・・はえ?」

知久「やっと起きたね、タツヤ」

タツヤ「あれぇパパー?」

知久「そうだよ、早く起きないと」


タツヤ「・・・まろか」

知久「え?」


タツヤ「パパー、まろかはー?」

知久「え?まどかに会ったのかい?」

タツヤ「うん」

知久「・・・そっか」

タツヤ「まろか、どっかいっちゃった・・・」

タツヤ「もう、あえないって・・・」

タツヤ「・・・ぐす」


知久「・・・大丈夫さ」

タツヤ「え?」

知久「また、きっと会えるさ」

知久「タツヤが、良い子にしてれば必ず・・・ね」


タツヤ「ほんとー?」

知久「ああ」


タツヤ「じゃあ、いいこするー」

知久「うん、そうだね」ニコ

知久「さあ、ママを起こしに行こうか!!」

タツヤ「うん!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

・・



チュン チュン 

ガバッ


ダッダッ

ジャー

ガチャガチャ

タツヤ「やっば!!!遅刻だー!!!!!」

ドタバタ!!ドタバタ!!

詢子「んだよ、騒がしいなー」


詢子「支度が遅いからそうなるんだよー」

タツヤ「母さんが中々起きないからだろ!!!」


詢子「ん?そうだっけ?」

タツヤ「だー!!もう!!」


タツヤ「卒業式に遅刻とかシャレになんないよ!!!!」

知久「こら、待ちなさいタツヤ」

タツヤ「えっ?」

知久「ちゃんと服を整えなさい、全く」


タツヤ「ううー・・・だって、堅苦しいの苦手なんだよ・・・」

知久「でも、タツヤも4月から中学生なんだから・・・これくらいはね」キュ

タツヤ「・・・まあ、そのうちに」


詢子「ったく、誰に似たんだか」

知久「・・・」ジー


詢子「な・・・なんだよ?」

知久「いや、別に・・・」

タツヤ「うわっ時間ヤバッ!!!」


タツヤ「行ってきますっ!!!」

知久「気をつけていくんだよ」

タツヤ「うん!!!!」


ガチャ


タツヤ「よしっ学校までダッシュだ!!!!」ダッダッダッ




―――・・・・・・しゃい――――

タツヤ「え?」



―――・・・いってらっしゃい―――


タツヤ「・・・」


タツヤ「・・・」スゥ・・


タツヤ「いってきますっ」


タツヤ「まどか」




おわり

終わりです。

即興&VIPでの初SSで至らない点もありましたが、見てくれた方々は有難う御座いました。

お休みなさい。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月10日 (金) 02:34:24   ID: 5CiVREW6

もう少しおほむ絡めてもよかた

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