照「クセ教えてあげるから言うこと聞いて?」(71)

準決勝終了後 夜



コンコン


菫「……ん? はい……どちらさまですか?」

照「私」

菫「照か?」

照「うん」

ガチャ


菫「一体どうした?」

照「こんばんは、菫」

菫「ああ、こんばんは」

照「ちょっと用事があったんだけど……もしかしてもう寝るところだった?」

菫「いやもう少し起きてるところだったが」

照「そっか、浴衣着てるからもう寝るのかと思った」

菫「ああ。風呂に入ったからな」

照「似合ってるよ。かわいい」

菫「……ありがとう。それで、どうした? 大会期間中は二人だけで会ったりしないって約束しなかったか?」

照「うん。だけど菫に話さなきゃいけないことがあったから来たの」

菫「話さなきゃいけないこと?」

照「そう」

菫「なんだ一体」

照「少し長くなるから中に入れてもらっていい?」

菫「別にかまわないが……あ、先に言っておくが、そういうことはしないぞ」

照「そういうことって?」

菫「いや、だから……わかるだろ」

照「なに?」

菫「あれだよ……キ、キスしたりとかだよ」

照「ふふっ、わかってる」

菫「本当だろうな。照はそう言っていっつも私に……」

照「大丈夫、今回はしないから。とりあえず、中入れて?」

菫「あ、ああ……」バタン

照「おじゃまします」

照「……あ、菫も見てたんだ?」

菫「ん? ああ」

菫「今日はいいようにやられたからな」

照「クセ見つかった?」

菫「いやまったく。ああ、丁度いいや。照も用事が終わったら一緒に探してくれないか?」

照「泊まっていいの?」

菫「え、いやそれは、だ、ダメだろ。私だって照とは一緒にいたいけど、大会期間中は」

照「ふふっ、大丈夫。冗談だから」

菫「な……もう、つまらないこと言うな」

照「それに、クセはもう見つけてるから」

菫「え?」

照「菫のクセ、もう見つけたの」

菫「クセって、射抜くときのだよな?」

照「そう。それを教えるために来たの」

菫「クセって、え、本当に!?」

照「うん」

菫「お、おお、すごいな照! 私なんてあれから何回映像見てもわからなかったのに」

照「気づいたのはたまたまだけど」

菫「そうか、気づいてくれたのか」

照「うん」

菫「それで、クセって一体なんだったんだ?」

照「知りたい?」

菫「何言ってるんだ、当たり前だろ」

照「じゃあさ、菫。クセ教えてあげる代わりに私の言うこと一つ聞いてくれない?」

菫「え?」

照「いいでしょ?」

菫「いいでしょって、お前は……」

照「変なことは頼まないから」

菫「毎回そう言ってるじゃないか」

照「そんなことないよ」

菫「あるだろ。この前だって、あの……」

照「一人でしてるとこ見せてってやつ?」

菫「そ、そうだよ! あのときも変なことは頼まないとか言ってたじゃないか!」

照「違う。あのときはできないことはやらないぞって菫が言ってただけ」

菫「あんなのできるわけないだろ!」

照「でも菫はやってくれたでしょ?」

菫「それは……と、とにかく今回はそういう、エッチなことはしないからな」

照「わかってる。私もそれくらいわきまえてるから」

菫「本当だろうな……」

照「信じてくれないの?」

菫「……うるさいな。いちいちそういうこと聞くな」

照「ありがとう。じゃあ菫のクセ言うね」

菫「ああ、頼む」

照「菫のクセはね、射抜く前の射掛けるときに手が少し動くことなの」

菫「……手が?」

照「そう。そしてその手が動いた後に射抜く相手を見る。この一連の動作を阿知賀は見抜いていた」

菫「手って……いや、そんなことはない。動いてないだろ」

照「動いてるの。これ見て」

菫「ああ……」

照「………」

菫「………」

照「わかった?」

菫「……まったく」

照「拡大すればわかる。これの……ここ」

菫「え……もしかして今かすかに動いたのが?」

照「そう」

菫「な……馬鹿な。こんな細かい動きが」

照「これが菫のクセ」

菫「クセって、こんなのクセとも呼べないものじゃないか」

照「でも現にこれのせいで菫はかわされた。そうでしょ?」

菫「そうだが……いやでもこんな動きわかるものなのか……」

照「わかった、菫?」

菫「わかったが……うん、まあ、ありがとう」

照「どういたしまして」

菫「まあ直せるかわからないが、明日色々試してみるよ」

照「うん。それと、教えてあげたんだから次はかわされたりしたらダメだよ?」

菫「ああ、逆にこのクセを利用して射抜いてみせるさ」

照「じゃあ、もしかわされたらお仕置きだからね?」

菫「別にいいよ。絶対に射抜いてみせるさ」

照「わかった。期待してる」

菫「ああ。本当に教えてくれてありがとうな、助かったよ。じゃあまた明日な」

照「………」

菫「………」

照「菫、そういう冗談はよくない」

菫「……はい」

照「大丈夫、変なことじゃないから」

菫「わかったよ。早く言ってくれ」

照「じゃあ菫、脱いで」

菫「……は?」

照「あれ、聞こえなかった?」

菫「は、いや、え? い、今なんて言った?」

照「脱いでって言った」

菫「ちょ、ちょっと待て! おかしいだろそれ!」

照「何が?」

菫「何が、じゃないよ。どう考えてもおかしいだろ!」

照「私は脱いでってお願いしただけだよ?」

菫「それがおかしいだろ! 変なことは言わない約束だったじゃないか」

照「何も変じゃないでしょ」

菫「変だろ!」

照「恋人の前で脱ぐことは変なことなの?」

菫「恋人の前だからってむやみやたらに脱ぐわけじゃないだろ」

照「菫は恥ずかしいだけでしょ?」

菫「あ、当たり前だろ!」

照「菫は脱ぐのが恥ずかしいだけで、それの言い訳として変だって言ってるんでしょ?」

菫「違う! だって、恋人同士でも普通は服着て接するだろ」

照「今は違うでしょ。私が菫に脱いでって言ったってことは、ここでは菫は服を脱ぐのが普通ってことになる」

菫「え、え?」

照「さっき菫が言ったのは日常生活での話。でも今はちょっと違う」

菫「違わないだろ」

照「違うよ。だから菫は今の場合だと服を脱ぐのが普通。逆に言うと、浴衣を着てるのが変」

菫「え、え、そうなるのか?」

照「そうなる」

菫「いや、なんかおかしくないか」

照「何もおかしくない。菫は私の言うこと聞いてくれないの?」

菫「聞かないとは言ってない! ただ、服を脱ぐのが嫌なだけで……」

照「ほら、脱ぐのが嫌なだけなんでしょ?」

菫「そ、そりゃそうだろ」

照「別に変だとは思ってないんだよね?」

菫「お、思ってるよ」

照「でも菫のさっきの言い方だと変だと思ってることにはならないよ。むしろ菫もわかってるんでしょ?」

菫「それは……い、いや、でもやっぱり変だ」

照「変じゃない。私はただ菫に脱いでってお願いしてるんだよ? 恋人にお願いすることは変なこと?」

菫「変なことじゃ、ないけど……」

照「そうでしょ?」

菫「ああ……よくわからなくなってきた」

照「大丈夫、深く考えなくていいよ菫」

菫「だ、大体照は私を脱がせてエッチなことしたいだけなんじゃないのか?」

照「私は菫の裸が見たいだけ」

菫「ほ、ほら!」

照「どうして?」

菫「エッチしたいんじゃないか。だ、ダメだぞ。大会期間中はしないって約束したんだから……」

照「私は菫の裸が見たいだけ。別にエッチがしたいわけじゃない」

菫「同じじゃないか」

照「違う。見るのとするのは違うでしょ?」

菫「でも、だって見た後に絶対手だすだろ」

照「わかった。じゃあ私は絶対に手はださない。これでいい?」

菫「本当だな?」

照「うん」

菫「……わかった」

照「じゃあ菫、ベッドの上に行って」

菫「ああ」

照「ありがとう。座ったままでいいよ」

菫「……ああ」

照「それじゃあ菫、壁の方向いて」

菫「壁?」

照「うん。壁の方向いて」

菫「……わかった」

照「まずは帯をほどいて」

菫「………」シュル

照「浴衣もはだけて」

菫「………」パサ

照「相変わらず菫の背中は綺麗だね」

菫「い、言わなくていい」

照「じゃあ菫、こっち向いて」

菫「え……」

照「向くときは当然隠したりしたらダメだからね」

菫「うう……」

照「隠したりしたら、また一人でしてもらうから」

菫「え、な、なんで!」

照「嫌なら隠さなかったらいいんだよ? 私はどっちでもいいけど」

菫「くそぉ……」

照「そうそう。手は横にしてね。あ、あと一気に向き直ってもダメだよ」

菫「ちゅ、注文が多い!」

照「嫌なら後で……」

菫「わかった! 向く、ゆっくり向くから!」

照「ふふっ、わかった」

菫「……こ、このくらいのスピードでいいか?」

照「うん、いいよ。段々菫の胸が見えてきた。いつ見ても菫の乳首はかわいいピンク色だね」

菫「うるさい!」

照「隠したらダメだよ。……あれ。もしかして菫、下履いてない?」

菫「う……。あ、ああ……」

照「へー……菫、わかってると思うけど、足閉じたままこっち向いたら……」

菫「わ、わかってる! ん……こ、これでいいか……?」

照「もうちょっと足広げて」

菫「うう……はい」

照「いい色だね」

菫「………」

照「もしかして菫、少し濡れてる? 見られて興奮しちゃった?」

菫「……うるさい」

照「ふふっ。……じゃあ菫だけ脱がせて悪いから、私も脱ごうかな」

菫「え……。だ、ダメだ!」

照「どうして?」

菫「どうしてって……ダメなのものはダメだ!」

照「別にいいでしょ? それにちょっと暑いし」シュル パサッ

菫「あうう……」

照「ちゃんと見ていいよ菫」

菫「お前、わかってやってるだろ……」

照「何が?」スルッ

菫「………」

照「ふぅ……」ポスッ

菫「と、隣に座るな」

照「なんで? 私は菫の隣にいたいけど」

菫「だから……それは……」

照「菫、こっち向いて」

菫「照……」

照「ふふっ、かわいい菫」

菫「て、照だってかわいいよ……」

照「……ちょっと、横になろうかな」

菫「え……」

照「ふぅ……やっぱりこのベッドふかふかで気持ちいいね」

菫「………」

照「ふふっ、どうしたの菫、こっちじっと見て」

菫「はっ……な、なんでもない」

照「………」

照「菫、別に菫から私の体は触ってもいいんだよ?」

菫「な……」

照「……きて」

菫「………」

菫「照っ……!」ガバッ

照「きゃっ」

菫「照……本当、ずるいよお前は」

照「そんなことないよ」

菫「知ってるくせに。私が、照の裸を見て抑えられないって」

照「わかってるなら、抑えたらいいんじゃないの?」

菫「……無理に決まってるだろ」

照「そうだよね。私も、菫の裸見て抑えられないもん」

菫「照……ちゅ……ん……」

照「んっ……ちゅっ……」

菫「んちゅ……照……ん、ふっ……」サワサワ

照「んむっ……ふぁっ」

照「ちょっと待って菫」

菫「え……」

照「ダメ。今日は私からするから。菫、寝て?」

菫「……ああ」ゴロン

照「いつ触っても菫の胸は柔らかい……」

菫「んっ……んんっ……。照……」

照「あっ……ちょっと菫、待ってって言ったでしょ」

菫「私も、照の胸触りたい」

照「だからっ、それは後で」

菫「今がいい」

照「待って、んっ……はぁっ、菫」

菫「胸、気持ちいい?」

照「んっ、菫っ……!」

菫「照……」

照「んっ……ふっ、あっ……」

菫「……なめるね」

照「はぁっ、んっ、んんっ」

菫「れろっ、ちゅっ……んむっ」

照「あっ、す、菫っ……んっ!」

菫「ちゅ、ちゅぱっ、ちゅ、んちゅ」

照「菫っ! だ、ダメだって、んっ、んんっ!」

菫「照……ちゅるっ、ちゅっ……ちゅぷ」

照「はぁっ、はぁっ……ダメっ……私っ……!」

菫「れちゅ、んっ、ふっ……ちゅ」

照「あっ、ああっ……もうっ……!!」

菫「んちゅっ、ちゅっ、ちゅむっ、ちゅぶっ、ちゅっ」

照「んんっ、んんんんんんっ!!!」

菫「ちゅっ……。照、胸だけでいっちゃった?」

照「はぁっ、はぁっ……んっ……はぁ」

菫「かわいい、照……」

照「はぁ、菫……キス……。ちゅ……んちゅ、ちゅぷっ」

菫「ん、れちゅ……ちゅっ……んむっ……」

照「ちゅぶ、んちゅ……ちゅっ……」

菫「んんっ……ちゅむっ―――ん、んんんんっ!?」

照「んっ、んふっ、ちゅ、ちゅむっ、じゅるっ」

菫「んちゅ……ぷはぁっ、はぁっ、んっ! て、照っ! ちょ、ちょっと、待って!」

照「ふふっ、ダーメ。今度は私が菫をいかせる番だから」

菫「あああああっ! んっ、ふっ、照っ!」

照「かわいい菫。どう、気持ちいい?」

菫「はぁっ……うんっ。き、気持ちいいっ!」

照「かわいい……」

菫「んっ、あっ、はぁっ……んっ、んんっ!」

照「ふふっ」

菫「ああっ、あっ……んっ、んんっ! ああっ、もうっ!!」

照「………」

菫「はぁっ、はぁっ……え?」

菫「照……?」

照「どうしたの?」

菫「え……」

照「菫、これからどうしてほしい?」

菫「へ……?」

照「どうしてほしい?」

菫「ん、はぁ……い、いじわるするなっ」

照「菫?」

菫「……ん、はぁ……」

菫「……しい」

照「え?」

菫「いかせて……ほしい」

照「どこに」

菫「くっ、うう~~……だからっ、私を……い、いかせてほしい……」

照「どんな風に? ちゃんと言って」

菫「はぁっ、はぁっ……んっ、照の指で、ぐちゃぐちゃにして……いかせてほしい……!」

照「どこをぐちゃぐちゃしてほしいの?」

菫「照っ!」

照「言って」

菫「うう……」

菫「……こ」

照「え?」

菫「……こに」

照「どこ?」

菫「……まん……こ」

照「誰の?」

菫「……うう……す、菫の……まん、こ……」

照「ふふっ、うん。よく言えたね菫」ズチュッ

菫「え――あああああっ!!」

照「ちゃんと、いかせてあげるね」

菫「照っ! 待って、はげっ、はげしすぎっ!!」

照「でも菫はこれぐらいが好きなんでしょ?」

菫「はぁっ、んんんっ!! あっ、はっ、んんっ!!」

照「菫……ちゅっ、ちゅむっ、れちゅっ」

菫「んっ、んんんっ! ちゅぶっ、んっ、んちゅっ、んぅっ!!」

照「ちゅぷっ、ちゅっ、れちゅっ、ちゅっ」

菫「ちゅっ、ぷはっ……あああっ!! はぁっ、照っ、照っ!!!」

照「はぁっ、いいよ菫」

菫「ああっ、あああああああっ!!!」

照「ふぅっ、はぁ……菫……」

菫「あっ、ああっ、んっ!……はぁっ、はぁっ……」

照「はぁ、はぁ……」

菫「んっ、ふぅっ……はぁっ……照……」

照「菫……んっ、ちゅっ……好きだよ……」

菫「んっ、照……好き、私も好き……」

照「うん……愛してる……」

菫「照……」

照「菫……ちゅっ、んっ……ちゅ」

菫「んちゅ……ちゅ、ん……」

照「ちゅぷ……ちゅ……ん、はぁ」

菫「照……好き」

照「うん」

菫「………」

菫「ねえ、照……」

照「なに、菫?」

菫「……しよ」

照「え?」

菫「もう一回、しよ?」

照「……いいよ。もう一回」


―――――
―――――――――
――――――――――――――

決勝 次鋒戦


菫「ふぅ……」

菫(いよいよ決勝。もうすぐ次鋒戦も始まるところか……)

菫(まったく……まあ昨日の練習は少し気だるいながらもそれなりにこなせたし、大丈夫だろう)

菫(それにしても……準決勝と同じく大量リードだな。照の強さには恐れ入るよ)

菫(しかし私も準決勝とは違って最初から全力だ。誰にも引けをとる気はない)

宥「あ……今日は、よろしくお願いします……」

菫「ああ、よろしく頼む」

菫(阿知賀の松実宥……準決勝ではいいようにやられたが今度は私がやる番だ)

菫(なぜなら今回は全力でいくからな。クセは読まれているようだが……)

菫(……あ?)

菫(あ、ああああああああああ!!!!!)

菫(ま、まずい!! 完全に昨日クセを直すの忘れていた!!!)

菫(あれ、まず私のクセってなんだっけ!? やばい、思い出せ、思い出せ!!)

菫(ああもう、だから照とやりたくなかったんだ。前もこんなことあったじゃないか)

菫(なんだっけ、目が泳ぐんだっけ? いや、指か? 指……いや顔が動くだっけか)

菫(ああ全然思い出せない! やばいもう次鋒戦が始まってしまう……!!)

恒子「まもなく決勝次鋒戦、スタートです!!」


ビー


菫(照のばかやろーーー!!!!)




カン!

以上で終わりにします
支援等、ありがとうございました

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