アルミン「…人類と巨人の戦いが終わり、もう５年たった…」

アルミン「今日は暇が出来たから久しぶりに会いに来たよ、エレン。ミカサも来ている。」

ミカサ「…エレン…」


エレン「…」



―――エレンは今、水晶体になって眠っている。恐らく、何百年、もしかしたら何千年は眠り続けるだろう。


―――…５年前、エレンは人類と巨人の戦いを引き起こし人類を支配していた全ての黒幕を打ち倒した。

でも、その後、僕たちは衝撃の事実を知る事になった。

巨人が人工的に作られた生体兵器のようなものだというのはそれより前から解明されていたが、その巨人が作られた目的は増えすぎた人間を減らす事。そして、あの壁は人類を守るためで無く、閉じ込め人類が繁殖するのを抑え込む為のものだったのだ。

―――巨人が発生するよりも前の話…
人類は世界中に繁殖しその数は60億を越えていた。
そして人類は自分の都合で環境を破壊し様々な動物を絶滅させ…この世界を汚染していったのだ。
そして人類により汚染された世界を再生させるべく作られたのが巨人だった。



アルミン「…ミカサ…」

アルミン「僕たちのやった事は、正しかったのだろうか。」

ミカサ「…」

―――この世界から巨人がいなくなった事により、人類は自由を手に入れた。そして、壁から出て人類はどんどん繁栄しつつある。

でも…もし、また人類が増えすぎて…また環境を破壊したり他の動物を絶滅させるような事になったら…

そして最終的には…人類同士で殺し合い、世界もろとも全てを滅ぼしてしまったら…



アルミン「…本当に人類は…壁から出て、良かったのだろうか。」

ミカサ「…」

ミカサ「アルミン、エレンがどうして水晶体になって眠りについているのか忘れたの？」

アルミン「！」

ミカサ「エレンは…自分のした行いを最後まで責任を持つべく眠っている。」

ミカサ「いつか遠い未来で…人類が過ちを犯しそうになった時、それを止めるために。」

ミカサ「エレンは…全ての責任を背負う覚悟の上で、人類と巨人の戦いに終止符を打った。」

ミカサ「それは何よりも…私とアルミンの自由の為に。」

アルミン「…」

ミカサ「アルミンは賢いし優しいから…悩むのも分かる。でも、そんないつまでも思い悩んで後悔なんかしていたら、エレンがここまでやって私達に自由を与えてくれた意味が無くなってしまう。」

ミカサ「エレンも…本当は私たちと一緒に外の世界を見て回りたかっただろう。アルミン…私たちは前向きに生きなければいけない。エレンの為にも。」

アルミン「…うん…そうだね。ごめん。」ｸﾞｽｯ

ダダダダダダッ


コニー「そうだぜ、アルミン！いつまでも後ろ向きじゃ駄目だぞ！」

サシャ「私たちは私たちなりに、立派な人間として生き抜いてやればいいんです！！」


アルミン「わ！コニー、サシャ！？ビックリした…」

ミカサ「ふふ、サシャとコニーは相変わらず元気だ。」

コニー「ビックリしたって…呼んだのはお前だろ。」

サシャ「もう、しっかりしてくださいよアルミン！」

アルミン「はは、ごめんごめん。」

ジャン「よう…お前ら。久しぶりだな。」ｻﾞｯｻﾞｯ

アルミン「あ、ジャン！来てくれたんだね。」

ミカサ「久しぶり、ジャン。」

アルミン「確か、ジャンはまだ兵士なんだよね。」

ジャン「あぁ、今は犯罪者を取り締まったりばかりだがな。」

ジャン「…エレン。心配すんなよ、せめて俺が生きている間は…人類が過ちを犯さないようにしてみせる。」

ミカサ「ジャンになら、安心して任せられる。」

ジャン「ん、おぉ…そうか？」

コニー「ジャンの奴ちょっとニヤニヤしてねぇか？」

サシャ「してますね。」

ジャン「な！？してねぇよ！！」

アルミン「…あとは…」

ヒストリア「みんな、ごめん、少し遅れた！」

アルミン「来た、ヒストリア！」

コニー「よう！」

サシャ「おはようございます！」

ヒストリア「色々と忙しくて…なかなか出れなかった。」ﾊｧﾊｧ

アルミン「来てくれただけで嬉しいよ。」

ジャン「息切らすほど走って来たのか…」

ミカサ「これで…声を掛けたメンバーは揃った。」

アルミン「うん…」


アルミン「エレン…こうして皆で集まるのは、久しぶりだね。」

エレン「…」

ミカサ「きっとエレンも喜んでいる。」

アルミン「うん。」

サシャ「皆さん、今日はエレンに何か贈り物を送りませんか！？」

アルミン「贈り物？」

サシャ「エレンはいつ目を覚ますかわからないんですよね？なら、目が覚めた時にエレンが喜びそうなものを置いておきましょう！」

ミカサ「なるほど…それはいい考えだ。」

アルミン「皆で手紙を書いたりなんてどうかな？それを箱に入れて、エレンの隣に置いておいたり。」

コニー「そりゃいいな！」

ジャン「あぁ…悪くない。」


ヒストリア「…そういえば皆、こんなものを持って来たんだけど…。」

アルミン「あ、それは…」

ミカサ「訓練生の頃に書いてもらったの１０４期生の肖像画…」

サシャ「あぁ、そういえばそんなのありましたね！」

コニー「大人になったら皆で掘り起こそうって訓練所近くに埋めてたな。」

ジャン「で、三年前にこのメンバーで掘り起こして、ヒストリアの家に置いておく事になったんだったか。」

ヒストリア「うん。」