海未「私もですよ」 (11)

以前スレッドを建てたのですが、書き込んでいるうちにPCが壊れてしまって修理に出していたので
再度スレッドを建てさせていただきました。

今回は完結させますのでなにとぞご容赦ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390910272

「だーいすき!!」

「私もですよ」

女の子二人を、私が遠くから眺めてる

あれは誰?

知らない人

知らない人なのに

女の子同士なのに

どうしてこんなに胸が苦しいの?

どうしてこんなに悲しい気持ちになるの?

音楽室

「真姫、起きてください
そろそろ下校時刻ですよ」

そう言いながら誰かが私の肩を揺らす

「…いつの間にか寝てたのね、私」

大きなあくびが出そうになるのを堪えて、時計に目を移す
短い針が7を指している
私、随分寝ていたのね…

「その、悪かったわね…」

私の記憶が正しかったら、確か海未と新しい曲について話し合っていたはずだけど…

「いえ、気にしないでください
真姫は普段から頑張りすぎですからね
たまには力を抜くのも悪くないですよ
明日はお休みですし、ゆっくり休んでください」

海未は私に微笑みかける
怒ってくれた方が気が楽なのに
これが年上の余裕ってやつなのかしら

「…どうして起こしてくれなかったの?」

余裕を見せられたことが気に入らなくて、ついつい悪態をついてしまう
私はまだまだ子供ね…

「ふふっ、ごめんなさい
真姫の寝顔が可愛くてつい」

「なによそれ!!
意味わかんない!!」

もう、なんなのよ!!
どうしてそんなことがサラッと言えるの!?
信じらんない!!

「冗談です
それより真姫ー」

冗談でも海未にそう言われたことが恥ずかしくて
海未にそう言われたことが冗談なのが悲しくて

「…なに?」

ついぶっきらぼうに返事をしてしまう

けれど、海未は真剣な眼差しで私を見つめる
そんな海未の凛とした顔が、少し格好良く見えて

「なにか、つらいことでもあったのなら私が力になりますから」

「いきなりなによ…?」

「頬、涙の跡があります」

たいした洞察力だわ、本当
けど、別に何か理由があって涙を流したわけじゃ…、さっき見た夢が原因かしら…?
あまりはっきりとは思い出せないけど、私にとってはつらくて悲しい夢

「…あまり覚えてないわね
きっと寝起きだからだわ」

覚えていないんだから大したことじゃない
そう自分に言い聞かせるようにして言葉を濁す

「しかし、こんな短時間で乾くとは…」

「もう!!そんなのいいから早く帰るわよ!!」

「え?あ、待ってください、真姫!!」

話を無理やり終わらせて、音楽室を出る
夢のせいで泣いたなんてそんな恥ずかしいこと、真姫ちゃんが言えるわけないじゃない

通学路

二人きりの帰り道
冬の澄んだ空気が心地良い

「ねぇ、海未」

「どうしたんですか?」

ふと、疑問に思うことがある

「海未はどうやって歌詞を考えてるの?」

今まで何度も聞こうとは思っていたが、なかなか口に出す機会がなかった
どうせ話題もないし、今なら聞けるかなと思って
正直海未には作詞の才能があると思う
私自身、海未の作った歌詞に感動を覚えたことも少なくはない

「ほら、海未って歌詞を考えるペースがすごく早いじゃない
どうしてあのレベルの歌詞があんなに出てくるのか気になったのよ」

素直に良い歌詞だと言えないあたりがすごく私らしいと思う

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