男「おっ、可愛い子みっけ」 (353)


少女「・・・」スタスタ

男(今日のオカズは決定した・・・)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390834154



少女「・・・」スタスタ

男「」コソコソ

少女「・・・?」キョロキョロ

男「」モノカゲ

少女「・・・」スタスタ

男(やべえよ。なんで後をつけてるんだよ、俺)

男(見れば見るほど可愛い。あの麗しい黒髪クンカクンカしたい)ハアハア

少女「・・・?」スタスタ


***


男(人通りが少ない道にまで来てしまった・・・)

少女「・・・」スタスタ

男(こんな可愛い子がこんなところになんの用だか)

男(実は怪しい店の店員です、とか?)

男(通おう・・・)


―裏路地


少女「いいかげん、コソコソついてくるのやめたらどう?」

バレました。



男(おおおおおおおやべえええええええどうすんだこれ!!)

男(捕まるか!?いやまだ手は出してないし、謝ればなんとか!)

男「すんませんっしt「おやおや、気付かれていたのか」」

男「・・・?」

少女「真夜中ならまだしも、日の落ちきってない夕方だし後を付けられてて気付かないわけないでしょ?」

スーツを着た男(以下スーツ)「これは失礼。上手く尾行していたつもりだったのだが」

少女「アンタの尾行スキルはどうだっていいのよ。で、目的はなんなの?もしかしてこれ?」チャリ

スーツ「話が早くて助かる。我々が求めているのはまさにそのネックレスだ。おとなしく渡してくれればなおのこと助かるのだが」

少女「素直に従うと思ってるの?嘗められたものね」

スーツ「馬鹿ではないと知っているつもりだから交渉したのだが・・・ダメなら仕方ない」スチャ



男(可愛い女の子の後をつけてたと思ったら、その女の子が銃を向けられている。なにいってるかわからないかもしれないがry)

男(とはいえさすがにここは日本、本物の銃であるはずが)モノカゲ

ドン



弾丸の軌道上に少女はいない

少女「っ!」シュッ

それが到達するより速く横に跳ねる
次のステップで勢いを前進のエネルギーに変換しスーツの男に接近する

少女「」ヒュ

キィン!

金属同士がぶつかるような音と赤い閃光
少女の手にはどこから取り出したのか、日本刀のようなものが握られている

男(どどど、どうなってんだ!?)

スーツ「女性に手加減してもらうのは男としてプライドが傷付くね」スチャ

少女「くっ!」バッ

ドン ドン ドン!

容赦ない銃撃
目にも留まらぬステップでこれを躱し、接近

少女「っ!」ビュッ

ガギィン!

少女「」ヒュ

キィン!

接近戦なら、少女の素早さもあって刀が上回る

スーツ「攻める暇がなくて困るよ」

少女「っ!」ビュン

キィィィィン!

動きが止まる
鍔迫り合いのように、ぶつかる力が均衡する
違うのは、スーツの男が刀を持っていないということ


男(魔方陣・・・?)

スーツ「フフ・・・」

赤く光る魔方陣が刃からスーツの男を守っている

少女「!」

鍔迫り合いではなかった
離せないのである。魔方陣が刀を受け止め離さない

少女「くっ・・・」


黒服「・・・」ジャキッ

男(!)

少女の数メートル後ろ、電柱の影
銃を構えた黒服の男がいる
捉えるは、少女

男(ズ、ズルい!)

スーツ「さあ、終わりだ」


男「こんにゃろおおおおおおお!!!」ガバッ

黒服「!?」

ドカッ

男「女の子に不意討ちとは卑怯じゃねーか!」

バキッ

黒服「ぐはっ!」

男「男なら堂々と正面からアタックしやがれ!」

黒服「くそっ!」スチャ

ドンッ

男「!」

少女「ど、どうなって・・・?」

スーツ「失敗だ!」ダッ

少女「あっこら待て!」

スーツ「」スタコラ

黒服「・・・」コソコソ

少女「逃げられた・・・」

男「・・・っ」


***


少女「で、アンタ誰?助けを頼んだ覚えはないけど」

男「そんな言い方ないだろ・・・ぐっ」

少女「勝手に出てきて勝手に撃たれて」

男「だってあぶな「うるさいっ!」」

少女「せっかくやっつけてとっちめてやろうかと思ってたのに」

男「がはっ・・す、すまん」

少女「・・・」

少女「その傷、自業自得だからね。わたしは知らないから」クルッ

男「そっか・・・」

少女「・・・っ」スタスタ


男(俺死ぬのかなぁ・・・)

擬音がダサい

とりあえずここまで

>>7
すいません

研究します

とりあえず期待

スーツは気づかれてたのに男は気づかれてなかったみたいだし
なんか能力系バトルとかになってくるのか・・・?

楽しみにしてます


面白そう
頑張って

男尾行スキル高いなwwwwwwwwww

>>9
擬音をよくしろって話じゃなく、これだけ地の文書いてるのに擬音を使うってこと自体がダサい

>>10
ありがとうございます!

>>11
>>13
スーツに気付いてた理由は後で書くと思います
男は尾行(もとい、ストーカー)スキルが高かったということで

異能力バトルになるつもりです

>>12
励みになります!

>>14
なるほど
ご指摘ありがとうございます

期待

これは期待
男が強いのか弱いのかそこが問題だ!

>>17
ありがとうございます

>>18

男「任せろ最強なこの俺が「うるさいパンピー」」


ほんのちょびっと投下
ここから数日間家を離れるので書き込めなくなります。すいません




男(ストーカーまがいのことやって)

男(漫画みたいなバトルに巻き込まれて)

男(挙げ句勝手に撃たれて)

男(チクショウこんなとこで死にたくねぇよおおおおおおおおお)

男(せめてあの子と一発・・・)

男(ダメだ、元はといえばそれが原因か・・・)



少女「・・・なにしてるの?」

男「・・・?」



少女「まさかあのままぶっ倒れたままだとは思わなかった」

少女「自業自得とは言ったけど、あんな傷で死ぬわけないし」

男「」

少女「警察とか行かれたら私だって関係者になっちゃうかもしれないし」

少女「だから証拠隠滅しようと思って来てみたんだけど」

男「・・・」

少女「もっかい聞くけど、なにしてるの?」

男(死ぬと思ってたなんて言えない・・・)

男「・・・っ、いてて」

少女「ったく・・・見せてなさい」


少女「なーんだぜんぜん大したことないじゃない。弾掠っただけで穴空いたわけでもないし、そのうち治るわよ」

男「無責任だなおい」

少女「ちょっと、静かにしてて」


少女が傷口に手をかざす
鮮やかな青に光る小さな魔法陣


男「あれっ・・・治った?」

少女「はい、これでお仕舞い。暗いしとっとと帰りなさい」

男「それ女の子のセリフじゃないだろ」

少女「うるさい。か弱い一般人なんだからおとなしく従いなさい」

男(そりゃ確かに刀振り回したり魔法みたいなの使うような奴からしたら俺なんて一般人もいいとこだけどさ)

男「そもそもお前はなんなんだ?ファンタジーの世界から来たのか?ひょっとして電話とか見て驚いたタイプか?」

少女「質問は1個にしなさい。私だって電話くらい知ってます」

男(答えるのそれかよ)

少女「どうでもいいけど、アンタ歩けるの?家どこなのよ?」

男「見知らぬ人に住所教えちゃダメなんだぞ」

少女「うるさいパンピー。さっさと帰って今日のことは忘れな

ギュゥゥゥ

少女「」

男「どうでもいいけど、お前メシ最後に食べたのいつだ」

少女「お、一昨日・・・」

続く

こんばんは

見ていただいてる人がいて嬉しいです

酉忘れ



~~~~~~~

家は?

固定の家は・・・ない

学校とか行ってるの?

めんどいからやめた

じゃ普段なにしてんの?

今はバイト探してる

お金はどうすんの?

仕送り・・・みたいなのがたまに


~~~~~~~

ー男宅アパート

男「なんで最後のメシが一昨日なの?」

少女「それは・・・昨日から大事な案件があってご飯どころじゃなかったというか・・・」

少女「そもそも、アンタが邪魔しなければ問題なかったんだからね?どうしてくんの」

男(あのスーツの男か・・・)

男「それは悪かった。いやほんとにスマン」

少女「ほんとに反省してるなら追及はしない。安心して」

男「じゃあなぜ俺がお前に飯を作らされてるんだ」

少女「今言ったじゃない。ほんとに反省してるならって」

男「してるつもりなんだけどなぁ」

少女「そういうとこが反省してないって言ってんの」


男(状況はご覧の通りである。因みに俺自身よく理解できていない)

少女「私がご飯抜いてまでして誘き出した努力の分償ってもらわないとね」

男(俺、人生で初めて脅迫の餌食になってます)

少女「にしてもさ。アンタ意外と素直に状況を受け止めるのね」

少女「あんな光景見たら普通、驚いたり取り乱したりするんじゃない?ひょっとしてこっちのこと知ってたりする?」

男「ん?ああ・・・言われてみれば確かに。正直未だに信じられないけど何故か納得してる。知らないこともあるんだなーって」

少女「ふぅん・・・変なの」

男「お前には言われたくない」

少女「ふんっ」ドスッ

男「」



男「固定の家はないって言ってたけどさ、今晩はどうすんの?野宿でもすんの?」

少女「私だって女なんだけどバカにしてんの?」

男「冗談だよ。来客用の布団とかならあるんだが」

少女「貸してもらえたら・・・助かる。床でいいから」

男「お、意外に謙虚なんだな。てっきり勝手にベッド使われるかと」

少女「前言撤回。アンタ外で寝なさい」

男「やめてくださいしんでしまいます」


男「あのさ・・・お前明日はどうすんの?住むとこないんだろ」

少女「・・・余計なお世話。それくらいなんとかするわよ」

男「本当に余計なお世話なんだが、行く宛がないならうちにいたっていいんだぞ」

少女「新手のナンパ?」

男「ちげぇよ!たださ・・・これも何かの縁というか」

少女「なにそれ気持ち悪い」

男「一人暮らしって意外と寂しいもんなんだぜ?」

少女「なら実家にでも帰ればいいじゃない」

男「ないんだよ、それが」

男「両親は物心つく前に死んで、引き取ってくれた叔父さんもほとんど家に帰らない人だったし。中学出たら面倒だからって追い出された」

少女「それは・・・なんか、ごめん」

男「気にすんな。勝手に話しただけだ」

男「でさ・・・いや確かに会ったばっかりで変な感じだけど、そういうのに憧れてたのもあるんだよ」

少女「ふーん・・・ま、考えとく」



***


友「グッモーニン男っ!元気かい!俺?俺はいつでも元気だぜ!」

男「朝からテンションたけぇマジでめんどくせぇ」

友「そんなこと言うなって~。今日もバリバリ勉強しようぜ!」

男「講義抜け出し率ナンバーワンが何を言うか」

男(説明しよう。ここは俺の通う大学。そしてこいつは友。残念だがオスだ。説明終わり)

友「ねぇねぇそこの可愛子ちゃん今日この後ヒマ?俺とカラオケいかない?」

少女「・・・」

男(それとこいつ。なぜついてきた)

友「ねぇ答えてよ~にしてもほんとかわいいねきm
少女「うるさい」

友「」

男(いきなり手出しやがった。ひでぇ)


女「あ、男くんおはよー!」

男「ん、ああおはよう・・・って、女さんってこの時間講義なかったよね?」

女「えへへ、男くんに会いたいから早く来ちゃったんだ」

男「お、おうそうか」

女「あれ?その子誰?知り合い?」

男「ああこいつは・・・えっと、高校の同級生なんだ。たまたまこっちに遊びきたからついでにつれてきたんだ」

少女「・・・ども」

女「ふーん・・・まあどうでもいいや。それより男くん!教室いこーよ!」

男「ちょ待て引っ張るなって」

少女「・・・」

友「クソッ朝から見せつけやがって・・・ねぇねぇきみ男のことどう思ってるの?嫉妬とかしちゃうの?ねぇねぇ」

少女「うるさい」
友「あはぁんもっと蹴ってぇ!」





?「・・・ああ・・・見つけた。このまま様子を見る。・・・大丈夫だ」

続く

ありがとうございます
書き溜めのデータを家に置いてきてしまったので投下は明日以降になってしまいます
すいません

投下


友「ああああ終わったぁぁぁぁ・・・さっさと帰ろうぜ・・・」

男「今日は珍しくエスケープしなかったな」

友「へっ!俺だって真面目にやればこうなるんだぜ!」

男「まあ原因はわかるけどさ」

少女「大学って面倒。行かなくて正解」

友「面倒なことばっかじゃないんだぜ~?せっかくだし大学生っぽく遊びに行こうぜ~?」

少女「訂正。面倒なのはコイツ」

男「うん正解」



女「おーとこくんっ!」

男「のわああああああ!急に出てくんな!」

女「ひどーいそんなに驚くことないじゃーん」

男(いやなんかお前って怖いんだよ・・・言ったらどうなるかわからんけど)

女「ね、もう終わったんでしょ?帰ろ?」

男「お、おう・・・」


***


女「じゃ、私こっちだから」

男「おう。また明日な」

少女「・・・」

女「・・・ねえ、その子もそっちなの?」

男「あ、ああ。まあな」

女「ふーん・・・じゃ、またね」



男「やっと帰ったか・・・」

少女「・・・あいつの方が面倒だね」

男「そうだな。なんでか知らないけど今日は特に面倒だ」


少女「ねぇ。大学。楽しい?」

男「ん?なんだ藪から棒に。今更学校通いたくなったか?」

少女「うるさい。いいから答えて」

男「うるさいって・・・。まあ、楽しくないこともない・・・かな。一応友達はいるし授業だって追い付けてる」

少女「ふーん・・・そっか」

男「?」



ー翌日



少女「ぅ・・・ん」

男「お、起きたかー。朝飯今作ってるから待っとけー」

少女「ん」

テレビ「今朝、身元不明の遺体が・・・」

男「最近そんなニュースばっかだよなー。おっかねない世の中だ」

少女「・・・」

テレビ「胸には鉄パイプが刺さって・・・警察は殺人事件と・・・」

少女「・・・」

男「ホラ目玉焼き」

少女「ん・・・、醤油」

男「あ?目玉焼きにはソースだろ!」

少女「うっさい早く醤油だせ」

男「ごめんなさいすみません殴らないであっ痛い」


***


女「おっとこくん!やっほ!」

男「おうおはよう。今日も無駄に元気なのな」

女「ちょっと無駄にとかひどい!男くんさえいれば私はいつも元気なんだよ~」

男「へいへいそーっスね」

友「少女ちゃん今日カワイイねー!俺と遊びにいこー!」

少女「」
友「そげぶっ」

男「1日かかっても学習しないのかこいつは・・・」

女「友くんケータイ落ちたよ?はいっ」

友「おおさんきゅー」

少女「そのまま壊れればよかったのに」

友「毒舌な少女ちゃんもカワイイッ」

女「じゃ、私こっちの教室だから。またねーっ」

男「おーがんばれよー」

友「ふぅ・・・新しい悦びに目覚めそうだ・・・」

男「もう既に目覚めてるだろ」

友「お前もまだまだだな。・・・あれ、電源つかねぇ・・・ケータイ壊れた!」

友「俺の秘蔵画像ガァ!」

少女「・・・ふっ」

男「それくらいにしといてやれよ」

少女「知らない。壊したのは私じゃないし」

友「ノォォォォォォォォォゥ・・・」

続く

見てくれている人がいて無駄に安心しまくってます。感謝

投下


ー女子トイレ

少女「ん・・・」

少女(こんなとこでなにやってんだろ、私)

少女(誰かと一緒に行動するなんて久しぶり)

少女(毒気抜かれちゃったというか・・・)


少女「・・・っ」

不穏な空気。人の気配。


少女「・・・誰」

振り向かずに問う。
目の前にあるのは少女しか映っていない鏡。

少女「・・・」

予備動作なし。横っ飛びに振り向く。
間合いギリギリの空間を何かが通り抜ける。

ピシッ

少女「っ」

一刻前まで少女を映していた鏡は、放射状に走る亀裂によってその役目を失っていた。

少女「釘・・・」

人の気配は既にない。


ー教室


友「なあなあ男、ここ教えてくれよ~」

男「お前そろそろ俺に何か奢れ・・・えっと、ここはこうやって解くんだよ」

友「サンキュー心の友よ!お前がいなかったら俺はとっくに留年してるぜ!」

男「大歓迎なんだがそれ」


女子1「あの・・・」

男「大体なぁ、お前はいつも・・・」

女子2「あのー、ちょっといい?」

友「男、モテ期が来てるぞ」

男「ん?ああスマン気付かなかった。俺に何か用かな」

女子2「いやぁ悪いんだけどさ、うちらにもそこ教えてくれない?聞き逃しちゃってさ」

男「おう、お安いご用だ」

友「俺とえらい違いじゃねぇかチクショウ」


***


女子2「ホント助かった!ありがと!」

女子1「私までごめんね。講義終わってるのに付き合わせちゃって」

男「全然大丈夫だぞ。あのくらいでいいならいつでも任せてくれ」

女子2「にしても男って意外と勉強してるんだね。見直したよ」

友「こういうときのためにしてるだけだもんな」

男「んなわけあるか。帰ってもすることがないだけだ」

友「またまたーカッコつけちゃってー」

男「うるさい」

女子1「あの、学校終わってから空いてるならこんど遊びにいかない?も、もちろん友君も」

女子2「攻めるねぇ。でもおもしろそう!私も入れてよ!」

友「もっちろんじゃないか!!ようやく俺にも春が来た!!」

女子2「あ、でも男君今カノジョいるんだっけ?」

女子1「えっそうなの?」

友「なっ・・・いつの間にお前・・・」

女子2「ほら、あの可愛い子だよ。今いないけど」

男「あー、もしかして・・・。いやあいつは彼女でもなんでもねーって」

女子1(よかった・・・」

女子2「本音が漏れてますよー」

女子1「」

男(女の子のトイレは長いっすねー)

続く

いつも少量で申し訳ない



男「今日はいつになく無口だったな」

少女「別に関係ないでしょ」

男「そんなことばっか言ってるとメシ取り上げるぞ」

少女「身分を弁えなさい」

男「イタイ・・・」




少女「あんたって勉強できるのね」

男「まあな。普段からちょくちょくやってるんだぞ」

少女「女子に教えるため?」

男「お前いつから見てた・・・」



***



ー翌朝


テレビ「昨晩○○市内で殺人とみられる遺体が・・・」

男「○○市って、ここじゃねーか。こえーなまったく・・・っ、これって」

テレビ「遺体には無数の釘が刺さって・・・」

少女「・・・」

テレビ「所持品から被害者は○○市在住の大学生、女子2さんと断定されています」

区切りがいいので、ここまで

レスありがとうございます。
遅くなりましたが、投下

酉わすれたァ!



***


男「昨日、そんなことがあったのか・・・」

少女「釘。無関係とはいかないかもね」

男「うーん・・・お前と、女子2って接点あったか?」

少女「昨日チラッと顔合わせたくらい。あんたもいたタイミングだけ」

男「教室で勉強教えた後か。なら会話もしてないしなぁ・・・」

少女「・・・ちょっと。私のせいみたいに考えてない?」

男「そりゃだって、お前の方が心当たりありそうじゃん?あのスーツの男とか」

少女「これはあいつらじゃない。あんたを消しには来るだろうけど、無駄に人殺したりこんな目立つことはしない」

男「そうなのか・・・って、マジですか」

少女「マジ。関わった一般人を黙らせるのが向こうのやり方」

男「・・・初めて聞いたんですが」

少女「だって初めて言ったし」

男「oh...」

男「あ、メールだ」

少女「いつも私がついていってたのもそれが理由。今日もいくんでしょ?大学」

男「んー、その必要はないかな。このメール。『危険性を考慮し、臨時休講にします』だってさ」

少女「なんだーつまんない」

男「つまんないとはなんだ、つまんないとは。まあ休講になったところで、明日は元々講義取ってないから休み同然だけど・・・」

Prrrrrrrr...

男「電話か。はい、もしもーし」

女『もしもし?男くんおはよう!女だよ~』

男「おう。どうした」

女『男くん今日講義なかったよね?よかったら出掛けようよ!』

男「ん、ないといえばないが・・・」

女『じゃ決定!大学で待ってるね。そうだ、折角だし少女ちゃんも連れてきちゃってよ。じゃね~』

男「あっちょっとまっ・・・切るの早ぇ・・」


***


少女「なんで私まで・・・めんどくさい」

男「そんなこというなって。嫌ならついてこなくてもいいんだぜ」

少女「あんたが死ぬのはいいけど奴らが出てきたら私は好都合だし」

男「俺が死ぬのはいいのか。ひでぇ・・・しかし、うーん」

少女「どうしたの」

男「なんか引っ掛かるんだよな。普通あんな言い方するか?」

少女「どういうこと?」

男「女だよ。『今日講義なかったよね?』っておかしくないか?一斉休講のはずなんだが」

少女「大学からのメール見てないだけじゃないの?」

男「まあそれくらいしかないか・・・」



女「あ、男くんこっちこっちー!おはよう!」

男「相変わらず元気だなぁ」

女「まあね~。それよりさ、今日大学休みなのかな?誰もいないんだけど・・・」

男「やっぱり見てなかったのか。大学からメールで連絡が来てたぞ」
おうち
女「あ、そうなんだ。実は少し前に携帯
壊れちゃってさ」

男「なるほど、なら知らなくて当然か。それで、今日はどうするつもりなんだ?」

女「うーん、大学休講なんだよねぇ。ロッカーに私物入れっぱなしでさ。取りにいきたいんだけど、いいかな?」

男「そのくらいなら構わないって。行こうぜ」







?「・・・」




女「ちょっと、取ってくるからここで待ってて

男「あいよー」




少女「休講だと改修工事も休みになるの?仕事しなさいよまったく」

男「いいじゃねぇかそれくらい・・・そういやあの校舎も長らく足場組みっぱなしだな。放置されてんじゃないかってくらい」

少女「ふーん」

男「しっかし、誰もいない教室ってのも不気味だな。ここなんかあんまり入ったことないし・・・」





女子1「おっ、男君!?」



男「なっ、なんで女子1さんがここに・・・って、どうしたんだよその血はっ」

女子1「こ、これ、は・・・さっき・・・」

少女「喋らないで。傷口が開くか」


鮮血。







女「あーあ、残念。まだ動けたんだ」


女子1「」

男「おまっ・・・残念ってどういうことだよ」

女「動きは止めたつもりだったんだけどねー。これは想定外」


女子1が血を吐いて倒れる
その胸に刺さっている物


少女「釘・・・」

男「・・・っ、女子2さんをやったのも、お前だったのか?」

女「うんそうだよ。邪魔になりそうだったからね」


女が、何かを軽く投げる動作をする


男「!」


動作と対応しない速度で、釘が体を掠める



女「さあ、逃げる?どうする?」



男「はっ、はっ・・・くそっ、どうなってんだよあれ!」

少女「・・・彼女のことは、少し前から気にかけてた」

男「?」

少女「数日前、テレビで報じられてた。覚えてる?」

男「えっと・・・鉄パイプのやつか?」

少女「そう。あれの犯人は、’力’を持った人だと推測されてた」

男「な、なんだよ力って・・・おわっ!」

女「逃げるって、ただ走るだけなの?」

寸前の床を穿つ釘。

女「もうちょっと抵抗してくれたら楽しいんだけどなー」

少女「とりあえず、ここから出る」

男「了解・・・出口はあっちだ!」


女「逃げても無駄だよ。ほらね」

突如、建物を囲っていたフェンスが崩る。
横に停まっていた自転車を巻き込み破壊する。

女「殺すつもりはないんだけどね。男くんは」

砕けた自転車の部品が、操られるように浮かび上がる。

男「なっ、釘だけじゃないのかよ!」

少女「多分、それが彼女の力」

女「ねぇ男くん、私超能力使えるんだよ。ほら」

手を動かす。自転車のホイールが糸で繋がるように舞う。

女「ほら!ほら!!」

男「うおっ!あぶねっ!わかったから振り回すな!」

女「ね?素直に従おうよ。選ばれた私とは違うんだから。勝てないって」

周囲に衛星のように自転車の部品を従え、その腕に大量の釘を張り付けた女が接近してくる。

少女「逃げるだけじゃマズい。きりがない」

男「反撃しないとやられるぞ!」

少女「わかってる」

落ちていた釘を拾い上げる。

男「どうすんだよ、それ」

少女「・・・っ」

男「投げるだけかよ!」


女「無駄だよ。それも私の味方」

少女が投擲した釘は空中で減速し、女を囲う衛星の一部になる。

男「バカー!余計なもん増やしただけじゃねーか!」

女「おとなしくしてればいいのに・・・」

自転車のスポークが少女に向けて飛んでくる。
最初に会った時に見せた高速ステップで、回避。

女「ちっ・・・」

少女「・・・」

無言で周りに落ちているものを次々に投げつける。

女「抵抗が中途半端すぎるよ?」

少女「・・・」

周囲を舞う金属達が飛んでくる物体から女を守る。
弾かれた物の一部は彼女の支配下に入る。

女「痛っ・・・ああもう!いい加減にして!」

呼応するかのように、彼女の腕に張り付いていた無数の釘が
浮かび上がる。捕らえるは、少女。

女「死んで」

高速の釘が地面を、壁を、瞬く間に破壊していく。



その全てを寸でのところで回避。

女「チョロチョロすんな・・・」

少女「・・・っ!」

地面に蒼い魔方陣。
次の瞬間、発生した爆発により砂煙が舞う。

女「!見えなっ・・・」



女「どこよ・・・早く出てきたらどうなの!?」

怒りに任せ周囲の物を破壊する女。


少女「・・・こんな物陰に隠れたところで、時間稼ぎ程度にしかならない」

男「どうなってんだあいつ!あいつの周囲だけポルターガイストみたいになってんぞ!」

少女「あれが、彼女の力」

男「さっき行ってたやつか。力って超能力みたいなものってことか?」

少女「まあそれでいいや。恐らく、彼女の力は鉄を操ること」

男「まあ見ればわかる。対処法は?」

少女「・・・ない」

女「出てきなさいよ!」

ヒステリックな叫び声と、破壊音。

男「ないって・・・じゃあ一体・・・っ」

彼女が手を構える。蒼い光が集まり、刀を形取る。

少女「私が時間を稼ぐ。あんたはあっちから逃げて」

男「っ・・・勝てるのかよ」

少女「知らない。でもやるしかない」

男「くそっ・・・ちなみに、それはなにでできてるんだ?」




少女「刀。鉄の塊に決まってるじゃない」

続く

スマホ壊れたっぽい>>1です。

とりあえずPCから更新します。
今までもクソ速度なくせしてさらに遅くなるかも。


少女「・・・こっちよ」

女「・・・やっと降参する気になった?もっと素直なら楽に死ねたのに」

無数の鉄が少女を襲う。

少女「くっ!」

その全てを、刀で弾き返す。

女「まだ抵抗するんだ・・・。でも、いつまで持つかな?」

太いボルトの弾丸を叩き落す。

少女「・・・っ」

飛び回る鉄パイプを躱す。

女「ちっ・・・はやく死ねばいいのに!」

女が手を上げる。統率された動きで鉄塊が狙いを定める。

少女「やば・・・」

衝突に備える。が、なにも起こらない。

女「ああもう、重い!」

振り上げた女の手に、衛星の一部だった自転車のチェーンが絡みついている。

女「こんな 時に・・・」

少女(いけるっ!)

足元に蒼い魔法陣。通常あり得ない脚力で地面を蹴り出す。



ガギンッ


少女「なっ・・・」

女「あぶなかったじゃない・・・コイツがいてよかった」

少女「はっ、離して!」

女の手に巻きついたチェーンが、触手のように刀を絡め取っている。

女「それは無理なんじゃないかなー。だってこれ、鉄でしょ?」

無数の鉄塊が少女を吹き飛ばす。

少女「がはっ・・・」

女「いいもの貰っちゃった・・・自分の武器で殺される気分ってどう?」

少女「・・・っ」

女「気付いてなかったのかな?女子2さんも私と同じ匂いがしたんだ」



ガギンッ


少女「なっ・・・」

女「あぶなかったじゃない・・・コイツがいてよかった」

少女「はっ、離して!」

女の手に巻きついたチェーンが、触手のように刀を絡め取っている。

女「それは無理なんじゃないかなー。だってこれ、鉄でしょ?」

無数の鉄塊が少女を吹き飛ばす。

少女「がはっ・・・」

女「いいもの貰っちゃった・・・自分の武器で殺される気分ってどう?」

少女「・・・っ」

女「気付いてなかったのかな?女子2さんも私と同じ匂いがしたんだ」

少女「ぐっ・・・」

何かの金具が少女の腕に当たる。

女「本人がそのことに気付いてたかは知らないけどね」

女「私にとって、邪魔になりそうだから消した」

少女「っ」

無数の釘を寸でのところで躱す。

女「私、男くんが近くにいると強くなれるんだよ?」

女「だから、アナタも邪魔」

細い鎖が足首に絡む。

少女「動けな・・・」

宙に浮く刀が少女に向けられる。


女「死んで・・・」




男「とりゃああああああああ!!」




女「!?」

少女「なっ・・・!」

男が投げた鉄パイプが刀を叩き落とす。

少女「な、なんで来たの!?逃げろって言ったでしょ!」

男「お前、最初から刺し違えるつもりだったんだろ」

少女「・・・っ」

男「もしも外して刀を奪われたら危険だからって俺を逃がしたんだな」

少女「そんなこと・・・」

男「俺だって少しは頭使えるんだぞ。ちょっと考えれば予想がつく」



女「男くん・・・殺さないつもりでいたけど・・・そっち側につくならしょうがないか」

一刻前より大きく、不気味な圧力。

男「っ、とりあえず逃げるぞ!」




少女「はあっ、はあっ・・・改修中の校舎に逃げ込んでどうするつもり?」

建物を囲む足場。無造作に積み上げられた鉄パイプ。

男「まあ、ちょっとした狙いがな」



女「見つけた・・・もう逃がさないよ男くん・・・」

男「げっ、もう来やがった」

両腕に様々な鉄製の物体を貼り付けた女が歩いてくる。

男「やっぱりそうか・・・これでもくらえっ!」

入り口に積まれた短い鉄パイプを投げつける。

少女「ちょっと!」

女「あ゛あ゛あ゛っ!」

見えない力に受け止められた鉄パイプはすぐに女の手に張り付く。

男「おらっ、おらっ」

少女「これ以上アイツの武器を増やしてどうすんの!」

校舎の入り口、徐々に男と少女の元へと近づいてくる。

女「もう逃がさな





金属同士が衝突する、鈍い音。


男「お前の、負けだ」

つづく

iPadから外部板見れる専ブラがあれば・・・
支援感謝です。

BB2Cじゃダメなの?
俺はBB2Cに外部板追加して見てるけど

>>80
あれってiPadで見れました?以前iPadサイズでつくることはないと見た記憶が。
ともあれ、先ほどちんくる購入しました。スマホは死にました。

携帯がなくなると、やることが少なくなって逆に書くのが進むのかもしれません。少しですが、投下します



女「なっ、離れな・・・くっ!」

女の腕が、校舎の周囲ににある足場の鉄骨に張り付いている。

少女「どういうこと・・・?」

男「予想通りだったな。お前の腕は、”磁石”なんだよ」

女「あああっ!!」

暴れる。が、離れない。

男「しかも、鉄を操るたびに強くなっていくときた。かなり厄介だ」

少女「・・・」

男「お前がそうして足場にくっついてるのも、お前の’力’とやらのせいなんだろ」

女「なに、’力’って・・・」

男「それを知ってるのはお前の方じゃないのか?」

女「・・・」

男「女子2は、お前と同じだったのか?」

女「・・・そうよ。私と同じ、不思議な力が使える匂いがした」

男「・・・女子1は?」

女「知らない・・・目障りだっただけ。ふふふ、私の男くんに手を出そうとした罰だよ?」

男「こいつ・・・!」

少女「待って!こいつが磁力のONとOFFを切り替えられるかもしれないってことは?近付くのは危険。罠かもしれない」

男「それはないはずだ・・・今思えば、友の携帯が壊れたのもお前が触れたからなんだろう」


女「・・・」

男「こいつの磁力を持った手が触れて、精密機器である携帯が異常をきたした」

男「今朝俺が持った違和感もそれだ。おそらく自分の携帯も壊したんだろ。だから、大学からのメールを見れなかった」

女「・・・」

男「そしてコイツの腕に自転車のチェーンが巻き付いたとき、制御が不可能なんだろうって確信した」

少女「・・・確かに、制御ができるならそんなことにはならない」

女「・・・」

男「つまりだ。お前はそこから離れられない」

女「・・・」

男「観念して言葉も出ないか?」

女「・・・ふふっ」

女「よくわかったね・・・さすが男くん。私がずっと欲しかった人」

女「でも一つ見落としてるんだよ・・・さっき私言ったよね?男くんが近くにいれば私は強くなるって・・・」

振動。何かが軋む音。

男「な、なんだ・・・」

少女「こいつ・・・足場ごと!」

女「アハハハハッ!逃げられないなら一緒に死んじゃおうよ!」

男「やばい!足場が崩れっ・・・」




?「そこまでにしてもらおう」


女の足下に、淡い緑の魔方陣が現れる。
同時に女の手が足場から離れ、力が抜けたようにその場にへたり込む。
軋む音が消える。


眼鏡の男(以下眼鏡)「危ないところだったね。協力、感謝する」

男「えっ・・・協力・・・?」

眼鏡「おや、なんだ彼女から聞いてないのか?」

言葉は男に向いているが、視線は少女に移る。

少女「彼は・・・一般人だから。伝えるかは私の勝手でしょ」

男「えっと・・・状況がわからないんだ・・・ですが」

眼鏡「それは失礼した。では私から説明させてもらおう」

眼鏡「私は、とある組織からの差し向けでこの女の観察を任されていた」

力の抜けた女を指して、言う。

眼鏡「簡単に言うと、要注意人物だからだ。案の定こうして力を使い、そして暴走した。予想より行動を起こしたのが早くて焦ったがね」

男「・・・つまり、最初から見てたってことか・・・ことですか?」

眼鏡「無理に敬語を使わなくてもいいよ。まあそういうことになるね」

男「なら・・・なら!もっと早く助けてくれたってよかったじゃないか!殺されるかもしれなかったんだぞ!」

少女「・・・言っても無駄。コイツ戦闘はからっきしだから」

眼鏡「というわけだ。私が得意なのは対象の無力化。君がこうして彼女を止めてくれて助かった。そして謝る。危険な目にあわせてしまってすまなかった。」

男「お・・・おう。まあそこまで言うなら・・・」

女の方を一瞥する。目が合う。

女「男くん・・・ごめんね・・・」

女「もう何もしないから・・・お願いだから、助けて・・・」

少女「こいつ・・・」

眼鏡「すまないね。そういうわけにはいかないんだ」

女「っ!・・・男くん!私ね、男くんを守りたくって!変な力を持った奴が近付かないようにって・・・だから・・・」

男「・・・」

女の方へ、歩み寄る。

少女「ちょっと!」

男「女・・・」

女「男くん!」

男「そんな風に考えてくれてたんだな・・・」

女「!・・・だから!」

男「でもな」



男「お前は罪のない人を殺した。それは許されない」

女「あ・・・あ・・・」

眼鏡「・・・いいかな。彼女は私が預かる。しばらくしたら応援が来て、このことは世間から隠蔽される。一般人である君のついては・・・」

少女「いい。私がやる」

眼鏡「うーん・・・君がそういうなら。任せる。今日は本当にすまなかった。帰ってゆくり休んでくれ」



***



男「・・・あの眼鏡はお前の仲間なのか」

少女「ただの顔見知りってとこ」

男「とある組織ってのは?」

少女「私とは・・・関係ない」

男「ん。そうか」

少女「・・・もっと聞きたいこととかあるんじゃないの?」

男「ちょっと、いろいろあり過ぎて頭の整理がついてない」

少女「ふーん・・・」


少女「アンタのこと・・・一般人だからってちょっと甘く見てた」

男「何のことだ」
少女「全部。あんたの機転がなかったら、助かったかわからない」

男「・・・」

少女「どうして私を助けたの。逃げればよかったのに」

男「あのまま逃げたって・・・後味悪いだけだろ」

男「そもそも、なんで刺し違えようなんて思った。俺だって・・・無力な一般人だろうけど、数日間過ごした仲だし、ちょっとは頑張りたかった」


少女「・・・前に、今の生活が楽しいかって聞いたの、覚えてる?」

男「えっと・・・あったな。それなりに楽しいとかなんとか答えたっけか」

少女「そう。一番初めに首突っ込んできたのはアンタだけど、今日危ないこと巻き込んだのは私」

男「・・・責任とったつもりってか?」

少女「そんなところ。私が死んでも眼鏡の呼んだ応援がなんとかしてくれただろうし」

少女「あのまま逃げて、それなりに楽しい生活に帰ってくれれば万々歳だった」

男「お前が、死んでるだろ」

少女「それが責任」

男「・・・」

少女「危ないことに付き合わせてごめんね。アンタはこれまでの生活に戻る。もう変な目には遭わない。だから・・・

男「あのさ、前にこれも何かの縁って言ったじゃん」

男「余計なお世話だが・・・」


男「行く当てがないならうちにいたっていいんだぞ」


少女「・・・」

男「なんだよ」

少女「・・・ありがと」

男「っ・・・」


笑顔を見たのは初めてな気がする。
可愛らしい笑顔だった。

つづく


>>85
眼鏡「帰ってゆくり休んでくれ」

眼鏡「帰ってゆっくり休んでくれ」

失礼しました。

空いてしまいました。すいません
少量ですが、投下



***



男「力を持った人ってのはそこらへんにもいるもんなのか?」

少女「素質持ってる人は、探せばわりといる。ただ本人が気付いていないことの方が多い。そのほうが幸せかもしれないけど」

少女「気付いている人に関しては、組織が出来るだけ探す。本人の希望に従って、制御の方法を教える。か、もしくは・・・無かったことにする」

男「・・・どういうことだ?」

少女「そのままの意味。普通に暮らしたいだけの人だっているってこと」

少女「制御の方法を知らないと、いずれこの前みたいな暴走を起こす可能性がある。具体的には・・・見たでしょ?魔法陣。あれがエネルギーの流れとか動きのコントロールを補助する。暴走を防ぐために必要な技術」

男「なるほど・・・ちなみに俺は素質あるのかな?」

少女「・・・さあ」

男「さあって・・・」

少女「基本的に、他人が力を持ってるかどうか判別する方法はない。そういう力を持ってるなら別だけど」

少女「後天的に力を手に入れること方法も・・・今のところ、ない。それが出来るとなれば大問題になる。一般社会が成り立たなくなるから」

男「言われてみれば、確かにそうだな。みんながあんな風になったら収集がつかない」

少女「ま、そんなとこ・・・ん、ついた。ここ」

男「ついたって・・・どう見ても普通の民家だが・・・」

男(説明しよう。ここは、よくある普通の住宅街。俺達は眼鏡から呼ばれてここまで来た。この前の出来事について、所謂取り調べをされるらしい。眼鏡曰く、話を聞くだけだから安心してくれとのことだが・・・)


少女がインターホンを押す。数秒の沈黙。




男性「やあ、待ってたよ。君が・・・男君だね?」

男「あ、はあ・・・」

男性「まあ二人とも、とりあえず入ってくれ」



男(どうみても普通の民家。なにか怪しいところがあるとも思えないが・・・)

少女「・・・」


***


男(ごく普通の和室に通された。客間っぽいところは通り過ぎたけど)


男性「改めて、よく来てくれた。ここが、組織の東京支部だ」

男「ここが・・・?」

男性「説明は後に任せよう。私の役目はここまでだが、どうぞゆっくりしていってくれ」

言いながら、押入れを開ける。
中には、重そうな扉。男性がそれに手を掛ける。

男「か、階段?」



男「なるほど、地下施設か・・・」

男「どう見ても家一軒分の広さじゃないが・・・アン○レラ社か、ここは」

少女「詳しいことは私もよくわからないけど、組織はアンタが思ってる以上に大きい。政府機関にだって、関係者はいる」

男(天井から床まで無機質に真っ白な廊下。すぐ先に、簡単には開かなそうな・・・)

男「また、扉か・・・」

少女「ま、セキュリティ的にしょうがないってことでしょ」

カードキーのようなものを取り出し、読み取り機に通す。

男「そういえば、お前も組織の一員なのか」

少女「・・・手伝う気は最初からないけどね」

扉が開く。そこには


眼鏡「やあ、よく来てくれたね」



眼鏡「呼びつけるだけで出迎えもしなくてごめんよ。なかなか手が離せなくてね」

少女「その通り。まったく」

男「ここは・・・」

眼鏡「改めて紹介しよう。ここが、我々組織の東京支部だ」

眼鏡に案内されるまま施設の中を歩く。

男(なんつーか、大きい病院みたいな施設だ)

眼鏡「ここでは、他の支部からの連絡をまとめたり人員の管理も行ってる。一通りの医療設備もある。関係の研究を行う環境もだ。我々の存在は世間から隠されているからね。一般人に見られたらまずいことは大抵ここの中で解決するようにしている」

男「俺は一般人だが、大丈夫なのか?」

眼鏡「力の有無ってことかな?それなら気にすることはない。君と同じただの人間もこの中で働いてる。私が言う一般人とは、我々のことを知らない人々のことだ」

男「はあ・・・」

少女「・・・もうちょっと、シャキッとしなさいよ」

男「お、おうすまん・・・なんか、こんなの本当にあるんだなーって。秘密組織なんて実在すんのか・・・」

眼鏡「そりゃ、実在するのを知られてたら秘密にならないからね」


***


「ホントに、大したことなかったな・・・。なんつーか拍子抜けだ」

男(取り調べは眼鏡の言う通り簡単に終わった。状況や女との会話を覚えてる限り話し、記録されただけだ)

少女「まあね。と言ってもこっちは被害者もいいところだし当然の扱い」

眼鏡「それについては何度も謝ったじゃないか・・・」

男「俺は別に、根に持ってるなんてわけじゃないぞ」

眼鏡「有り難い。そういえば、支部長が君らに会いたいと言っていたからついでに挨拶してくれないかい」

少女「めんどくさい・・・」

眼鏡「そんなこと言わないでくれよ。さ、ここが支部長室だ。・・・失礼します」


入ると、恰幅の良い中年の男性が出迎えてくれた。

中年の男性「いやはや、よく来てくれた。君が男君だね?話は聞いているよ。その節はすまなかったな」

男「ああ、いえ。もう何度も謝って頂けましたし・・・どうも初めまして、男です」

中年の男性(以下支部長)「おっと失礼。私がここの支部長だ。支部長と言っても、ここが日本で一番大きいから私が一番偉いんだぞ!はっはっは!」

男「あー、はあ・・・」

眼鏡「支部長・・・初対面はもっと当たり障りなくって言ってるのに・・・」

少女(やっぱりめんどくさい)

支部長「少女君は、久しぶりだね」

少女「・・・そうですね」

男「あれ、知り合いなんだ」

少女「残念なことにね。まったく」

支部長「そんなこと言わないでほしいねぇ・・・。それはそうと、わざわざ来てもらったのには訳がある」

男「訳・・・ですか?」

支部長「ああ。率直に言うと、『なぜ女が突然行動を起こしたのか』ということについて不明な点が多いというわけなんだ」



男「不明な点・・・とは」

支部長「一番不明なのは、あの女が自分以外の'力'を持った人間を知覚していたことだ。君の証言によると、少なくとも彼女は被害者の女の子一名と少女君の存在を認識していた」

眼鏡「本来、自分以外の他人が力を持っているかどうか知る術はないんだよ」

男「ああ、それは少女にも聞きました。そういう力を持っているなら別として、ということですよね」

支部長「その通りだ。しかし、あの女の力はそういった類のものではなかった」

支部長「まだあるぞ。今までも力の制御ができず暴走する例はあった。しかし、こんなに短時間で急激に、能力が強くなっていくことはなかった」

男「・・・」

支部長「しかも暴走とはいえある程度は意思のもとに扱うことができていたようだ」

眼鏡「どう見ても個体差とかいうレベルではないんだよ。私も初めて見た」

支部長「考えられるのは、'宝玉'の存在くらいだ。調査で見つかったわけではないから、可能性の話だが」

男「ほ、宝玉?」

支部長「少女君が持っているものも、それだ」


視線が集まる。
渋々といった表情で、懐からネックレスを取り出す。

男「それ、スーツの男も・・・」

少女「・・・そう。これは『武』の宝玉。私の家に伝わる大切なもの」

支部長「この世には、4つの宝玉があると言われている。それぞれ武、護、光、闇だ。これらには、適合する者の能力を上昇させる力があるらしい」

眼鏡「らしい、というのはこっちもまだ研究段階ではっきりしていないからなんだ」

男「スーツの男はそれを狙ってたのか?」

少女「理由は知らない」

支部長「つまり、少女君が持つそれがあの女に適合し力が増したという解釈だ」

少女「・・・そんなはず、ない」

眼鏡「あくまで、可能性だ。そうと言っているわけじゃないよ」

少女「・・・」

支部長「まあ、今までこっちの世界を全く知らなかった男君にはさっぱりな話だと思うがね」

男「はい・・・ちょっと理解がまだ・・・一般人である俺にはどうしたらいいかも」

支部長「ふむ・・・時に男君。君には素質があるようなのだが」


少女「!」

男「えっ?素質って何の・・・」

支部長「'力'の、だよ。何を隠そう私の力は『他者のエネルギーの流れを見ること』に長けているんだ。今急に答えを出せというわけではないが、制御の仕方を学んではみないかね?」

男「えっと・・・」

少女を一瞥する。

男(相変わらず、表情は薄い。が・・・)

男「ちょっと、まあ前向きに考えておきます」

支部長「はっはっは!頼んだよ!さて副長、彼らを早く解放してあげてくれ。二人とも、時間を頂いてすまなかったね」

男「いやいや、全然そんなk「そうですね、じゃあ帰らせて頂きます」」

男「・・・」


***


男「・・・どうしたんだ。いつもとテンションが違う気がするぞ、お前」

少女「・・・それこそ、気のせいじゃない?そんなつもりないけど」

男「ふーん・・・それより俺、素質あるみたいだってな」

少女「っ・・・別に、だからどうしたの」

男「なに慌ててんだお前」

少女「う、うるさい慌ててなんかない」

男「こっち向けこっち」

少女「たっただ、あんたが戦えるようになればこの前みたいなことがあっても私が楽できるって思っただけで・・・」

男「ふーん・・・」

少女「・・・」







少女「・・・ふふっ」

男「今笑った?」

少女「狐にでも蹴られたんじゃない?」

男「せめてつまむだけにしてくれよ・・・」

続く

動きは少ない回ですが勘弁。

ところでこのお話、設定や着地地点などは考えてあるのですがそこに至る過程はその都度作るようなこともあります。お付き合い頂ければな、と。

SS速報、復活しましたね
生存報告も兼ねて、少し投下します

落ちてた間に人が居なくなってないか心配




-男宅

男「お、メールだ」

男「・・・まあそうだよなぁ」

少女「どうしたの?」

男「大学敷地内で発生した事件により、警察の許可が降りるまで無期限休講だってよ」

少女「無理もない」

男「なあ、眼鏡が言ってたよな。事件に関しては処理しておくって」

少女「・・・流石に、亡くなった人についてまで隠蔽はできない。力による部分だけをなかったことにする」

男「女は、どうなるんだ?」

少女「さあ。そのまま警察に渡されるわけじゃない、とだけは言える」

男「それもそうか・・・」

男「なあ、力を制御する訓練って大変なのか?」

少女「人による・・・かな。あんたの場合、能力そのものもよくわかってないし」

少女「やってみることにしたの?」

男「まあ・・・もしこの前みたいになったときに困るしな・・・」

少女「ふーん・・・」


男「おっと、いけね冷蔵庫の中身が少ない」

少女「買ってきてよ」

***


少女「でさ・・・」

男「おう。どうした」

少女「なんで・・・私が買い物に付き合わされてるわけ?」

男「冷たいこというなってー。せっかくのいい天気だし楽しく買い出ししよーぜ!」

少女「めんどくさい・・・」

男「それに、律儀にも少女さんが俺の家計に救いの手を差し出してくれた訳だし生活用品の補充もしようかと。・・・どこからこんなに手に入れてきたのか気になるけど」

少女「・・・女を捕まえるのに貢献した報酬もらってきた」

男「ほう。組織も結構太っ腹なんだな」

少女「眼鏡が泣くだけの話だからね」

男「誠、痛み入ります・・・」

~~~

男「これ!これいいじゃん買っちゃおうぜ!」

少女「普通に考えていらない」

~~~

男「ちょっと待って新しいパソコンほし」

少女「誰のお金だと思ってんの?」

~~~

少女「これ・・・ほしい」

男「いや、いらないだろ」

少女「ほしい」

男「すいませんでした俺が買ってくるので足踏まないでください痛い」

~~~

男「これ似合うんじゃね?」

少女「ないない」

男「そんなことないと思うけどなー。試着してみろって」

少女「いいって言ってんの」

男「似合うと思うんだけどなー・・・」

少女「・・・そこまで言うなら・・・」


男「結局気に入って買ってんじゃねぇか・・・」

少女「今日付き合ってあげたんだからそれくらい当然でしょ?」

男「まあな。おかげで色々と補充できたし。サンキュ」

少女「ん、それより喉乾いたんだけど」

男「そーいや俺も。あそこのカフェ寄ってこうか」

少女「ん」


カランカラン



女店員「いらっしゃいませー。2名様で・・・あら?」

少女「」

男「なにか?」

女店員「いえいえ~。さ、こっちの席にどうぞー」



***


男「さっきの人は知り合いか?」

少女「あんな人知らない・・・」

女店員「あんな人とはまた、随分と失礼な紹介してるね?」

少女「」

女店員「はいこれ注文のアメリカンだよー」

男「あ・・・ども」

少女「入る店を間違えたか・・・」

女店員「失敬な!こっちからしてみればお目が高いと言いたいね!選んだのはどっち?彼氏さんかな?」

男「ぶっ」

少女「はぁ!?誰がこいつなんか・・・」

女店員「いやでも端から見たら完全にデート中だけど」

男「なんというか・・・買い物に付き合ってもらっただけですし・・・」

女店員「それをデートと言わずしてどうするの」

少女「本人達の意思を尊重しなさい!」

女店員「それこそ他人の目線なんだから関係ないって」

少女「本人がそうじゃないといえばそれでいいの!」

女店員「ムキにならないでよー。それじゃ図星みたいだよ?」

少女「はぁ、まったくああ言えばこう言う・・・」


男「あー、それで2人はどんな関係で?」

女店員「んー、私も一字一句そのまま返したいんだけどね、それ。まあ私と少女ちゃんは・・・あれ言っちゃっていいの?」

少女「どうぞご遠慮なく。彼もこっちの人だから」

女店員「そうなんだ、じゃあ自己紹介ね。私は少女ちゃんの同業者みたいなもので、力を持った人の対処に当たってる。ただ少女ちゃんと違って、傭兵みたいに雇われてるんだ。組織にね」

少女「よくもまああそこに雇われてなんかいられるよね」

女店員「そうはいってもねぇ。拾ってもらった恩というか」

「すいませーん注文いいっすかー」

女店員「おっとごめんよ!仕事中なの忘れてた。はーいただいま伺いまーす!」

男「・・・行ってしまわれた」

少女「二度と戻ってこなくていい」

男「冷たいなぁ。かわいそうに」

少女「せっかく息抜きに入った店にまで知り合いが居たらこうもなるでしょ」

男「まあわからなくもないけどさ」


***


女店員「ありがとーございました!また来てねーっ!」


少女「誰が行くか」

男「へいへいそこまでにしとけって」

つづく

日常回みたいなのって難しい

こんちくわ
投下しときます

ちなみに言っときますが、芸人さん達に対して特に恨みがある訳ではないので



-翌日 支部地下施設


支部長「おお!訓練を受けてくれるのか!」

男「自分にどこまでできるかわかりませんが・・・よろしくお願いします」

支部長「心配は無用!少女君が認めたんだからな!」

少女「別に認めた覚えはありませんが」

男「」

支部長「男君の大学はしばらく休みということでいいのかい?」

男「あ、そうです。この前の出来事で・・・」

支部長「よしわかった。短期間で基礎を叩き込むとしよう。応用は、少女君もいるし後から教えてもらうと良い」

少女「・・・」

男(露骨にめんどくさそうな顔されましたが)



男「訓練って、どんなことするんだ?」

少女「基本は頭で理解してもらうから座学みたいなことから始まるはず」

男「なるほど。いきなりってわけじゃないんだな」

少女「当たり前でしょ。それで、扱い方を理解した時点で実際にやってみたり」

男「車の教習みたいだな・・・。そういえば、俺は素質があると言われただけで実際にはまだなにも出来てないぞ」

少女「そういえばね・・・まあなんとかなるでしょ」

男「扱いが、扱いが軽い・・・」


支部長「そう。力の流れを意識するんだ。目を閉じて・・・」

男「・・・」

支部長「集中しつつ、全身の力を抜く。エネルギーの流れを身体で感じ取りなさい」

男「・・・」



眼鏡「そんな簡単にいくかなぁ・・・」

少女「・・・」

眼鏡「僕の場合も突然だったからねぇ。今までの例だとなんらかのキッカケで発現することがほとんどだったし」

少女「・・・」

***

支部長「むぅ、だめか・・・」

男「なんか・・・すいません」

支部長「いいんだいいんだ。やはりやろうと思っていきなり出来る訳じゃないね。急かすようで済まなかった」

男「いえ・・・」

眼鏡「お疲れ。支部長も無理しますねまったく」

支部長「私も久しぶりの息抜きだからな。つい気合いが入ってしまったようだ!」

少女「それが目的なんじゃないの・・・」

支部長「一旦休憩しようじゃないか。ほら向こうに水を用意したから」

男「じゃあお言葉に甘えて・・・」

支部長「ふっ、隙ありだ・・・!」

少女「っ!」

男「なっ・・・」

男が振り向いたときには黄色い光の塊が視界一杯に広がっていた。
瞬時に手で顔を庇う。閉じた目蓋からでもわかるほどに光が炸裂する。

身構えたほどの衝撃は、ない。

男「な、なにを・・・」

少女「・・・」

眼鏡「まったく・・・」

男が目を開けると、淡い水色の光が視界を覆う。
発生源は、男の腕。

男「これは・・・」

眼鏡「キッカケが、とは言いましたがいきなり過ぎるでしょうに」

支部長「もちろん、男君ならと思ってな!出来ないと判断すれば無理はしないさ!」

少女「・・・良かったじゃん」


***


男「」

眼鏡「だからって発現して初日にやる訓練ではないでしょう」

支部長「しまったやりすぎたようだ」

少女「」ヤレヤレ



***


男「ぐお、いてぇ・・・」

少女「みっちりしごいてもらってよかったじゃない」

男「加減を知らないのかあのオッサンは・・・痛っ!?しみるっ!」

少女「ほら動くな余計に痛いから」

男「3割くらいわざとでしょう」

少女「・・・もうちょっと多い」

?「おー、お二人さん!また会ったね!」

少女「ちっ・・・」

男「ああ、えっと・・・この前の店員さん」

女店員「そう!覚えててくれてありがとね!この前は仕事中でロクに名乗ってなくてごめんね」

男「ああ、そんなことないですよ。何日かぶりですね」

女店員「そーね。また二人で仲良くしてたところに邪魔しちゃったか」

少女「余計なお世話なので遠慮なくどっか行ってください」

女店員「なんか矛盾してるよ少女ちゃん。まあいいや、今日は何の用事でここに?」

男「俺、ここで力の訓練を受けることにしたんですよ。今日の分が終わったところで」

女店員「ずいぶんと厳しくやられたみたいだね?」

男「まあ・・・恥ずかしながら」

少女「・・・支部長がやったんだから、無理もない」

女店員「えっ支部長が直々に?」

男「珍しいんですか?」

女店員「珍しいというか・・・支部長、あれでも若い頃はブイブイ言わせてたらしいし?」

少女「あー見えて結構強いんだよ、支部長」

男「あれ?初めて会ったとき『他人のエネルギーの流れを見る』のが能力だとか言ってなかったっけ?」

少女「それってつまり、相手のスキとかをつかみ放題って事だからね」

男「な、なるほど・・・」

女店員「訓練始めたってことはもう教わっただろうけど、魔方陣さえ扱えるようになれば能力に関わらずある程度の攻撃もできるしね」

男「魔方陣は制御の方法、でしたっけ?」

女店員「そ。エネルギーの扱いを式にまとめたものだからね」

少女「隙になるツボを見つけて簡単な攻撃で仕留めるのがあの人のやり方」

男「ものは使いようってことか・・・」

少女「バカと眼鏡は、って言うし」

男「それはお前だけだと思う」







眼鏡「ぶえっくしょい!」

眼鏡「・・・?」

***



支部長「そうだ。自分の目の前に壁があると想像するんだ」

男「・・・」

支部長「よし、それでいい・・・自分の身を、『守る』イメージだ」

男「・・・」

支部長「では、いくぞ!」

手のひらに黄色い魔方陣が浮かぶ。
中心から発生する光が塊となり、男に襲いかかる。

男「・・・ぐっ」

光弾は男に直撃しない。
寸前で見えない壁に当たったかのように弾け、霧散する。
消えた箇所から、水面のような水色の波紋が広がる。

男「まだまだ・・・!」

一直線に飛んでくる無数の光弾が、同じようにして阻まれる。
が、透明な壁もその全て受け止めるには至らなかった。

男「・・・いてっ」


眼鏡「今度も6発。なかなか増えませんね」

支部長「数日でここまで使いこなしているんだ、私は十分だと思うぞ」

眼鏡「まあそれもそうですが・・・」

男「ちっくしょう・・・」

少女「もっと集中すんの。途中で乱れてるんでしょ」

男「してるつもりなんだがなぁ・・・」


***


男「」

支部長「またやりすぎたようだ」

眼鏡「結局あれから1発しか増えませんでしたね」

少女「眠い・・・」


***


女店員「また今日もボロボロにされちゃったの?」

男「ああああどうして伸びないんだー!!!」

少女「一瞬でも非凡な才能を持ってるかと期待した私が悪かった」

男「やめろ・・・素質があるって言われてちょっと調子乗ったのはわかってるんだ・・・」

少女「しかも、防御的な能力とは」

男「まだ眼鏡なんかよりマシなはず・・・」

少女「しかし攻撃力で言うと、ゼロに近い」

男「ぐはっ」

少女「まあ、平均上ってだけいいんじゃない?」

男「」

女店員「まあ少女ちゃんは防御力ゼロみたいなものだしある意味良いカップルじゃない?」

少女「あ゛?」

女店員「」





男「・・・あれ、女店員さんは?」

少女「ん、急用思い出して帰ったよ」

つづく

最高の褒め言葉。ありがとうございます

こんばんは。毎度ちょっとしか投下出来なくて申し訳ない



眼鏡「しかし、だいぶ使いこなせるようになりましたね」

支部長「ここまでできれば合格だろう。よくがんばったよ」

男「はぁ・・・はぁ・・・」

男(訓練を初めてから2週間。毎日練習したわけだが・・・)

眼鏡「防御に関しては実用レベルでしょう」

男「」

支部長「なにかを守ることもりっぱな能力じゃないか!そんな顔するな!」



男「もっと派手なのを期待してた・・・」

少女「・・・ぷっ」




***



女店員「訓練終了おめでとう!今度またうちのカフェ来てよ!なにか奢るからさ~」

男「あ、ありがとうございます」

少女「そんなことしてないで働きなさいよ」

男「まあまあ・・・それより女店員さん最近よく支部にいますよね。カフェのほうますいんですか?」

女店員「そんなこといっても、こっちが本業だし?」

男「あ、なるほど」

女店員「それに、最近なんか変な噂聞くし自分でも情報収集というかねー」

男「変な噂?」

女店員「あれ?支部長とかから聞いてない?」

少女「・・・まったく」

女店員「あれ・・・最近よく支部長と一緒にいるし聞いてるかと」

少女「気になるから教えなさいよ」

女店員「そんな急かさないでよ、ただの噂なんだから。あ・・・そっか、男君には最初から話さないといけないのかな」



***


女店員「知ってると思うけど、私達は存在が表立たないように配慮して活動してるつもり」

男「この施設が地下にあるのもそんな感じの理由でしたね」

女店員「そ。当然だけど、私達はそこらの一般人から見て、脅威になり得る」

女店員「戦うことに限らず、普通じゃ出来ないことができるからね。わかってる範囲ではだけど、’力’に関する歴史っていうのは人類規模で見るとごく最近の話。具体的に言うと、宝玉について記録も100年位前からしかない」

男「思ってたより短いな・・・」

女店員「でしょ?つまりは、『突然現れた異常』である私達が人類の歴史に影響を与えるべきではないっていうこと。せめて正体がわかるまで」

男「なんとなく・・・わかった気がする」

少女「で、その噂っていうのは?」

女店員「なんでも、そう思わない連中がいるらしいってことね。みんなは『過激派』とか呼んでるけど」

男「過激なのか?」

女店員「だーからまだ噂とかのレベルだって。この前に近くの大学で事件があったでしょ?今まであんな目立つ事件なかったから、噂が余計広まっちゃったんじゃないかな」

少女「・・・」

男(女が・・・?まさかね)

***


-男宅


少女「・・・」

男「なぁ、黙々とテレビ見てておもしろいか」

少女「だって、他にすることないし」

男「いや、バラエティ見てるなら笑うトコとかないのかよって話」

少女「ない」

男「」

少女「だってこいつら大声で騒いでるだけだし」

少女「頭空っぽなんじゃないかって思うくらい」

男「まあそれが仕事だし」

少女「これで芸人って呼ばれるてるのも不思議。芸をやってるんじゃなくて芸の道具になってるだけだし」

男「そう言われりゃそうだが」

少女「ひな壇に座ってるだけでお金もらえるなんてね」

男「ひどい言われようだ」

少女「ん・・・ポテチ開けるよ」

男「ほどほどにしとけよ」

少女「・・・これ袋固い・・・空かない・・・」

男「どれ、かしてみ「きゃっ!」」



少女「」←ポテチまみれ

男「・・・お前の方がよっぽど面白いもんな」

少女「うるさい・・・」

男「シャワーでも浴びてこいよ」

少女「・・・ん」





男「袋の中も空っぽだぞ」

少女「うるさい」


つづく

おつ!
男のバリアって自分の目の前しか展開できないの
それとも、遠くにも展開できるの?
遠くに展開できたら敵の体内に展開して最強じゃね?

>>130
気付いてしまいましたか・・・





いや、自分が気付いていなかったわけですが
そうなると強すぎるので考えものですね

>>131
ほかの人はどうかわからないけど
俺は強いの好きだよ

>>132
ネタバレにならない程度のお話で

バリアを張る能力、というよりはなにかを'護る'能力と思っていただければ

捉え方や解釈はいろいろあるので、男の発想次第というところです

投下


男「・・・噂のこと、どう思う?」

少女「まだ信じるに値するかもわからないから、何とも言えない」

男「この前の大学の事件・・・つまり、女も過激派と関係があったんじゃないかって」

少女「それこそ、ただの憶測じゃない」

男「俺は・・・アイツはそんな奴だとは到底思えない。あんな結果になったとはいえ、一応は友達だったアイツに何があったのかを知りたいと思う」

少女「・・・」

男「まあ組織がとっくに調べ上げてるとは思うが・・・」

少女「眼鏡が言ってた。何もわかってないって」

男「・・・どういうことだ?」

少女「そのままの意味。素性に関するデータが全くないんだって」

男「・・・どういうことだ?」

少女「そのままの意味。素性に関するデータが全くないんだって」

男「・・・」

少女「あらかじめこうなることを予想してたのか、それとも誰かが後から隠蔽したのかはわからない」

少女「本来なら調査対象になって細かいデータのやり取りも行われるはずだけど、それがない」

男「不自然だな・・・けど、そんなことが最近になってやっとわかったのか?」

少女「・・・」

男「そんなこと、知ってたならもっと早く教えてくれてもよかったじゃねーか」

少女「それは・・・出かけるの?」

男「ああ。散歩だ」

少女「あ、まっ・・・」


***



男(そんな大事なこと、早く教えてくれてたっていいんじゃないか?普通)

男(俺なんかに教える必要がないから?教えたくないから?)

男「・・・」

男(ダメだ、納得いかねぇ)







男「っ・・・」

男「どういうことだよ、これ・・・」


『取り壊し工事中』



男(女の住んでたアパートが・・・なくなってる)


***



男(そんな大事なこと、早く教えてくれてたっていいんじゃないか?普通)

男(俺なんかに教える必要がないから?教えたくないから?)

男「・・・」

男(ダメだ、納得いかねぇ)







男「っ・・・」

男「どういうことだよ、これ・・・」


『取り壊し工事中』



男(女の住んでたアパートが・・・なくなってる)



男(ちょっと待て、理解が追いつかない)

男(ここは、俺が知ってる限りでは女が住むアパートがあった土地だ)

男(既に取り壊し工事が始まって・・・というか、ほぼ更地になっている)

男(他にも住民が居たのに取り壊しになるなんてあるか?あったとしても、相当早い段階で住民に伝えてるはず。そして、女がそんなこと言っていた記憶はない)

男「わけがわからん・・・」



?「そうだな、無理もねぇよ」




男「っ、誰だ」

パーカーを着た男(以下パーカー)「俺だって同じ立場ならわけわからなくもなるだろうからな」

男「し、質問に答えろ・・・誰だお前は。女のこと知ってるのか」

パーカー「答えろというなら一つずつにしろよ。・・・まあいい、簡単に言うと俺はお前が知りたいことを知ってる者ってとこだ」

男「・・・」

パーカー「知りたいだろ?なあ」

男「・・・あたりまえだろ」

パーカー「そうだろうなぁ・・・ところで、今日あの女の子はいないのか?俺はあっちによ用があるんだが」

男「・・・赤の他人の居場所なって知るかよ」

パーカー「まーあそれもそうだ。よし、お前にいいことを教えてやる。とっておきのハナシだ」


男「・・・大学のグラウンドに、何があるって言うんだよ」

パーカー「まあ焦るなって。その大事な話ってのはな・・・」





パーカー「見知らぬ人に付いてきちゃダメだぜって話だ」


男「っ!!」

パーカー「おっと、よく避けれたじゃねーか」

男(反応が後1秒遅かったらやばかった・・・)

先刻まで男が立っていた地面。
身長ほど高さ、尖った土色の塊が突き出している。

パーカー「ママに教わらなかったか?知らない人には気をつけなさいってな」

つづく


2重投稿失礼しました

もうちょっと投下


男「・・・」

パーカーの男が地面に手をつける。

男「くそっ!」

目の前に迫る土の槍を間一髪で避ける。

パーカー「よぉ、いつまで踊っててくれるんだ?」

前を開けずに右の地面が隆起する。

男「っ!」

前。

男「危ね・・!」

左。

パーカー「まだまだ元気そうじゃねぇかほら!」

右から巨大な土塊。
つんのめるように回避。

パーカー「ステップを乱したな!」

男(しまった、後ろかっ!)



パーカー「ほお・・・?」


衝撃はない。

男「あ、危なかった・・・」

背後にそびえる土の槍は、水色の魔方陣によってその進路を塞がれている。

パーカー「一般人かと思って甘く見てたが・・・おもしれえ。お手並み拝見といこうじゃねぇか」

再び、地面に手をつける。

男「くっ」

迫りくる土槍が障壁に当たって止まる。
隆起した土が崩れると同時に、左から。

男(向こうの方が速い!防ぎきれねぇ!)

パーカー「守るか避けるしか脳がねぇのか?あ?」

足で地面を強く打つ。
同時に、衝撃。振動にバランスを崩す。

男「やべっ」

パーカー「もらったぁ!!」

男「!?」

横からの衝撃に吹き飛ばされ、地面を転がる。
男が立っていた場所には巨大な土の槍。

男「な、何が・・・」

目の前に誰かの手。無意識に持ち主を見上げる。



少女「・・・起きて。早く」

つづく

おやすみなさい

投下



女店員「遅くなってごめんね!まったく少女ちゃん連れ出すの大変だったんだから!」

男「お、女店員さん・・・」

パーカー「ちっ・・・」



男「少女、お前・・・」

少女「私も言いたいことはあるけど、それよりアイツが先」

女店員「うちらが来たからもう大丈夫だよ!」

パーカー「ふん・・・やっとお出ましかよ」

少女「・・・」

神速の斬り込み。
パーカーの男が寸でのところでそれを躱し、地面を触る。


女店員「甘いよっ!」

空中への掌底。橙色の衝撃波が打ち出され、
少女に襲いかかる土の槍が砕け散る。

パーカー「くそっ!チョロチョロすんじゃねぇ!」

少女「っ」

少女の刺突が土の壁によって防がれる。

女店員「まだまだぁ!」

橙色の魔方陣。その中心を女店員の拳が捉える。

パーカー「!?」

強烈な破裂音と共に、閃光。
指向性を与えられた衝撃波が土壁を容易く打ち砕く。

パーカー「ぐはっ!」

衝撃は貫通し、パーカーの男を吹き飛す。

男「す、すげぇ・・・」



少女「で、コイツはなんなの?」

女店員「さあ・・・。男君が誰かと歩いてるのを見たから追いかけようかと思ったんだけど」

女店員「少女ちゃん連れてきて正解だったかな」

パーカー「・・・クソッ」

女店員「まだ立つの?少なくともアンタじゃ勝てな・・・」




男「っ・・・」

少女「!」

振り向いた瞬間には男の身体が宙を舞っていた。

パーカー「・・・”弱い”のが居てくれて助かったぜ」

少女「コイツ・・・!」

女店員「・・・ちょっと油断してたね」



男「・・・くそっ」

男(状況はさっきより悪い)

男(二人とも、俺を庇いながら戦ってるのがわかる。俺が足を引っ張っている)

男(俺が”弱い”から・・・)

男「・・・!」

土の槍が眼前に迫る。
半ば反射的に障壁を張り、防御。

パーカー「ハッ!よそ見してんじゃねぇよ!」

男(俺が足を引っ張るわけにはいかない。少女の足を引っ張らないように訓練を受けたんだ。少女を・・・)

少女がバランスを崩す。パーカーの男がすかさず狙いにかかる。
土の槍が少女を捉える。

男「やばいっ!」

少女「・・・?」

土の槍が、水色の障壁によって進路を断たれていた。
少女が男を一瞥する。

男「・・・へっ」

男(なるほどな、こうすればいいのか・・・)



少女が突進を仕掛ける。
土の壁が妨害に出現する。

女店員「無駄だよっ!」

拳から放たれる橙色の衝撃波が壁を砕く。

パーカー「チッ!」

少女を狙うように土の槍が生える。
水色の魔方陣がそれを受け止める。

女店員「・・・やるじゃん!」

パーカー「クソがっ!」

地面に両手をつける。
少女が身構える。

パーカー「・・・!?」

足下に広がる水色の魔方陣。


男「地面を”護”ればいいんだ!」



少女「っ!」

切先がパーカーの男を捉える。



瞬間、黄色い閃光が辺りを包む。



男「・・・?」

女店員「何があったの?」

少女「あ・・・あ・・・」





パーカー「残念だったなぁ!!俺に勝てるはずが無いんだよ!!」



少女「な・・・なに、これ・・・」

女店員「どうなって・・・くっ!」

地面が割れ、土の槍が出現する。
全て先刻までのものを遥かに上回る速度、数、大きさで女店員に襲いかかる。

パーカー「ヒャァッハッハァー!!」

女店員「もうっ、なんなのっ!」

衝撃波を打ち出し迫り来る土槍を叩き壊す。が、間に合わない。

女店員「っ!」

土の塊をもろに受け、吹き飛ばされる。

少女「ああ・・・いや・・・」

男「・・・」

パーカー「次はどっちだぁ?ああ?」

男(なんだ・・・これ・・・)

パーカー「ハッ!なにボーッと突っ立ってんだ!」

男(中から・・・何かが・・・)

パーカー「死ねェ!!!」

無数の突起が男に向かう。
巨大な土の槍が男に迫る。

少女「・・・っ、男!」



男「       」



女店員「・・・なに・・・あれ」

少女「魔方陣?・・・違う」

禍々しい赤黒に光る輪が男の前で土の槍を受け止めている。

パーカー「ああ?」

女店員「あんなの、見たことない」



輪が低く唸るような音を発する。
気温が一気に下がったような錯覚。

パーカー「な、なんだってんだよ・・・」


男「       」



パーカー「や


少女「・・・」

女店員「・・・何が起こったの・・・」

男の目の前から数十メートル。パーカーの男が立っていた地点の遥か先まで。
その全ての地面が、まるで隕石が落ちたかの様に抉れている。

男「・・・」

男が少女の方へ振り向く。

少女「あ・・・ああ・・・」

突如、無数の光弾が男に襲いかかる。

男「・・・」


支部員A「目標を発見した!」

支部員B「早く!足止めだ!」

再び現れる赤黒い光輪。
光弾は輪に届きもせずに消滅する。

支部員B「くっ、効いてないぞ!」


男「

女店員「男君、ゴメンっ!」



橙色の衝撃波が男の背中に当たる。
男がそのまま倒れ込む。



眼鏡「これは・・・どういうことだ!」

支部員A「わかりませんっ!」

立ち上がろうとする男の足下に、緑色の魔方陣が浮かぶ。

眼鏡「くそっ・・・」





眼鏡「・・・目標を捕らえた。支部まで連行する」

つづく



ふと見れば160。いつまでかかるやら・・・

こんばんは。いい子は寝る時間です。投下


男「・・・」

男「う・・・」

男(・・・何だここ・・・部屋?)

男(簡単なベッドがある。他には・・・窓すら無い)

男(扉・・・顔の高さに小さい窓。鉄格子が嵌ってる)

男「牢屋・・・みたいだな」


***


少女「どういうこと!?早く説明して!」

女店員「まあまあ、落ち着いてよ・・・」

少女「アンタは黙ってなさい!」

女店員「」

眼鏡「説明って言われても・・・」

少女「言わないなら無理矢理にでも吐かせる」

女店員「少女ちゃん!」

眼鏡「わ、わかった!わかったから落ち着いてくれ!・・・話すが、私だって詳しく知っているわけじゃない」

少女「・・・」

眼鏡「私は、危険な人物がいるから処理に向かえと指示を受けた。本来だったら実力のある君らを連れていく所だが、とにかく急げとのことだったからその場にいた部下を連れて現場に向かった」

眼鏡「君らの話だと、そもそも手を出してきた奴がいたとのことだっただろう。・・・まあ、跡形も無い訳だが」

少女「なに、私達を疑うつもり?」

眼鏡「違う!そういうわけじゃないが・・・少なくとも、私が到着した時に暴れていたのは他ならぬ男君だった。私は指示通りに動いただけに過ぎない」

少女「責任はないと言いたいわけ。もういい。アンタじゃ話にならない。支部長の所に行く」

女店員「ちょっと!待って!」

眼鏡「行動するのは自由だ。しかし、君が何かをしたところで

“男君が危険な能力を持っている事実”に変わりはないんだ」

少女「っ・・・」



女店員「・・・私だって納得できないよ。この状況も、そもそも男君のことも」

少女「・・・」

女店員「でも、今感情に任せて動いたって仕方が無いでしょ?」

少女「・・・」

女店員「私達で、なんとかする方法を考えなきゃ」

少女「・・・そんなの、あるの」

女店員「わかんない。だからそれを見つけるんだって!」

少女「・・・」


***


男「あー・・・」

男(暇だ。何もすることが無い)

男(そもそも、パーカーの奴と戦ってた途中からの記憶がない)

男(あの時は確か・・・少女が決着つけたと思ったんだよな・・・)

男(それから、なぜか奴が生きてて。変な感じになって・・・)

男(そこまでだ。それ以上なにも思い出せない)

男「くっそぉ・・・」


***


少女「パーカーの男に攻撃したとき。確かに手応えはあった」

女店員「そこからだよね、おかしいのは。それから少女ちゃんは・・・何か、様子がおかしかった」

少女「・・・私もよくわからない。なんかこう、目の前になにか気持ち悪いものが現れたような」

女店員「確かに、あの時のパーカー野郎は変だったね」

少女「ううん、それじゃない。・・・まあそれもあるんだけど、もっと近くに何かが・・・何かが、私に入り込むような感覚」

女店員「うーん・・・私にはわかんないや」


女店員「少なくとも、あれからパーカー野郎は、全く別物になってた。それまでと比べ物にならないくらいに」

少女「・・・男も、ね」

女店員「本人から、何か聞けないかな」

少女「っ・・・。私は、無理」

女店員「どうして?」

少女「どんな風に会えばいいのかわかんない・・・男にも、嫌われたかもしれない・・・」

女店員「・・・ならしかたないね。私が行ってくるよ」

少女「・・・ありがとう」


***


眼鏡「・・・良いんですか、あのままで」

支部長「何のことだ?」

眼鏡「男君ですよ。部屋に放り込んだままで」

支部長「・・・また暴れられては困る。しばらく様子を見てから・・・だ」

眼鏡「様子を見て、どうするんです」

支部長「・・・」



***


女店員「・・・男君、いる?」

男「!その声は、女店員さん?」

女店員「そ。扉越しでゴメンね。調子はどうかなーって」

男「調子・・・まあ、最悪ですね。ははは・・・少女は、どうしてます」

女店員「合わせる顔がないからってさ」

男「そっか・・・そうですよね」

女店員「・・・心配?」

男「当たり前ですよ。・・・意識が残ってるギリギリの所ですが、少女の様子がおかしかったのは覚えてます」

男「それにあの前に俺、あいつに強く当たっちゃったんですよ・・・感情に任せて」

女店員「・・・」

男「あいつ、俺に隠し事してたんですよ。たかがそれだけのことに・・・それだけの・・・」

女店員「・・・あの子が、そんな風に見える?」

女店員「あの子のことは、妹みたいに感じてたわけ。私は、そんな子じゃないと思ってる」

男「・・・俺だってそう思いますよ!でも、だから・・・」

女店員「あの子ね、両親がいないんだって」

男「っ・・・」


女店員「まだ小さいときに、突然親から宝玉を託された。それから、二度と帰ってこなかった」

男「・・・」

女店員「ずっと、自分を捨てたんだって言ってる。それでも、今も消息を追い続けてるんだって。誰にも言わないけどね」

女店員「あの子ね、最近ずっと女って人のこと調べてたんだよ」

男「・・・?」

女店員「詳しいデータが手に入らないってわかる前から、影でこっそり」

女店員「身近な人を疑うことになるっていう辛さを知ってる。だから、男君に黙ってたんだよ」


女店員「その人が無実だって証明するために。そして、貴方がその人を疑わなくて済むように」


男「・・・っ」

女店員「不器用なだけなんだ。できれば、許してあげてほしいな」

男「俺は・・・俺はっ・・・」

女店員「私に言えるのはここまで。そこから先は、少女ちゃん本人に言うんだよ?」

男「・・・はい。ありがとう・・・ございます」

女店員「いいってことよ~。・・・きっと、どうにかしてみせるから。待っててね」

男「はいっ!」

***


少女「・・・」

支部長「そんな顔をされてもねぇ・・・」

少女「・・・気にしないでください。こういう顔なもので」

支部長「む・・・彼のことが、心配かね」

少女「さあ。どうでしょう」

支部長「気持ちはわかるぞ。しかし、わかってほしい。突然ああなった原因すらわかっていないまま放置するのは、私達にとっても男君自身にとっても良いことではないんだ」

少女「そうですね。仰る通りです。それより、出かける所みたいですね。行かなくて良いんですか」

支部長「上への報告ほど、面倒なものはないのだよ・・・。不幸なことに、近頃はこの付近での出来事が多いときた」

支部長「私の留守中は部下に任せてある。心配はいらんよ。では、行ってくるとしよう」

少女「・・・」

***


男(とは言ったものの・・・)

男「俺はどうしてればいいんだよ!」

男「出る方法も見つからんし、ベッドが固い!家が恋しい!少女がこ・・・うぅ」


?「退屈そうだな?」

男「ホントだよもう!・・・、!だっ、誰だ!」

?「おっと、キミと話すのはこれが初めてか」

外側から施錠された扉の上。小さな窓から見える姿。

男「お前は・・・」


スーツの男「どうも。覚えててくれて嬉しい限りだ」

つづく

最初のほうと書き方を変えてきているので読みにくくないか心配。
スーツ=スーツの男 です。最初なんで省略したんだろ

ちょっと忙しくて更新速度落ちるかもしれません。申し訳ない

投下



男「お、俺に何の用だ!」

スーツの男「そんなに警戒しないでほしいんだがね・・・私だってここからキミに手は出せないんだ」

男「・・・」

スーツの男「私はキミにとても興味がある。キミと一緒にいる、あの女の子にもだ」

男「手出しはさせねぇぞ」

スーツの男「初対面から印象が悪かったようだからね。そう言われるのも仕方ないか・・・」

男「お前は何者だ。宝玉を狙ってどうするつもりだ」

スーツの男「既にそこまで知っていたのか。なら話が早い」


スーツの男「私としては、キミがここにいると都合が悪いのだよ」

言い終わると同時に、けたたましいベルの音が辺りを包む。

男「!?」

スーツの男「ではまた、どこかで会うとしよう。キミに、贄滓の護りがあらんことを」

男「あ、ちょっ、ま・・・」



男「いない・・・」


***


少女「!?」

支部内に響き渡る警報音。
少しの間を空けて人々が慌てる声がと飛び交う。

「火事だ!」

「消火出来る奴はあっちに向かえ!」

「逃げるのはどっち!?」


少女「火事?・・・男!」

少女(急がないと!・・・?)

数歩の距離に、何かが落ちている。
銀色の光沢を持つ小さな物体。

少女「鍵・・・?」

***


男「おおおおおい火事かよどうすんだああぁぁぁぁ!?俺出してくれるのか!?誰もこねぇぞ!?」

男「おーい!!誰かー!まだここにいるぞー!」

男「聞こえてないならそう言えー!」

男「ってそれじゃ意味ないじゃないかーい!」

男「・・・」


男「終わった・・・」



男「・・・足音?誰か来た!ここだ助けてくれー!」

少女「男!」

男「少女?なんでここに!?」

少女「説明は後。早くここから出ないと」

男「あ、ああ・・・でも鍵が」

少女「鍵・・・っ!もしかして・・・」

ブザーの鳴り止んだ通路。
カチャリという乾いた音が響く。

男「え・・・どうやって」

少女「男・・・よかった・・・」

男「っ、あ、ありがとう・・・」

少女「とりあえず!今はここから出る事が最優先!行こう!」

男「お、おう」


男「あのさ・・・」

少女「・・・なに?」

男「女店員さんから聞いたんだ。ずっと調べててくれたって」

少女「アイツ・・・余計なことを・・・」

男「俺、なにも考えてなかったんだな。お前がどうして俺に言わなかったんだろうとかさ」

少女「・・・」

男「挙げ句また変なことに巻き込まれてこの有様だ。・・・お前にも迷惑かけちまった」

少女「・・・別に、いい」

男「悪かった。許してくれとは言わないが・・・」

少女「いいって言ってるでしょ」

男「っ・・・おま、人が謝ろうとしてる時に・・・」



少女「私は、アンタが無事ならそれでいい。・・・言わせないで」

男「・・・ありがとな」

少女「・・・うん」

つづく

変な時間に投下


女店員「あー!いた!おーい少女ちゃんこっちー!」

眼鏡「男君も無事みたいだね。よし、こっちだ!」

女店員「二人とも急い・・・?なんで笑ってるの?」

少女「笑ってなんかない。次余計なこと言ったら火の中にぶち込むから」

女店員「」


***


男「はぁ・・・はぁ・・・どこだ、ここ。普段と違う出口みたいだけど・・・」

眼鏡「ここは非常用の出口さ。今はほとんど使われてないけどね」

女店員「さすが副長!よく知ってるぅ~」

男「あ、副長なんだ」

眼鏡「あれ、前に言わなかったかな・・・」

少女「忘れられても仕方ないんじゃない?人物的に」

眼鏡「段々扱いが悪くなってる気がするのだが・・・そうだ、向こうに私の車がある。一旦向かうとしよう」そこに

少女「そんなことより、先に男に謝んなさい」


男「え、俺?」

眼鏡「おっと・・・そうだな。不本意な命令とはいえ、勝手に捕縛してしまった。すまなかった」

男「ああ・・・ええ、いいですよ。気にしないでください。俺も気にしてないんで」

少女「もっと詰っていいよ」

男「まあ、ここまで謝ってくれてるわけだし・・・」

男(覚えてないなんて言えねぇ)

女店員(あ、これ記憶ないやつだ)



-車内


眼鏡「それで、だ」

女店員「そういえばなんで他の人と違う出口を使ったんです?」

眼鏡「それに付いても話そう。支部内にも男君の事情を知ってる人がいる。再度暴れる事が無いように監禁しておいた男君が逃げ出したとなれば奴らは黙っちゃいない」

男「あ、なるほど」

眼鏡「地下施設だから皆避難を急いだが、そこまで大きな火事ではなかったらしい」

女店員「誰かが言ってたけど、出火原因は不明らしいよ」

男「それは・・・」

男(スーツの男・・・アイツか)

眼鏡「まあ設備的な被害もほとんどないだろう。施設はすぐに復旧するはずだ。ここだけの話、男君には検体として研究材料にするという方針だった」

男「ざ、材料・・・」


眼鏡「ああ。言葉の通りだ。あのままあそこにいたら、どうなっていたかわからない」

少女「・・・」

眼鏡「男君があそこに戻るのは大きな問題だ。そこで、知り合いの東京第三支部の支部長に連絡した。事情を話し、匿ってほしいと伝えた」

男「でも、いいんですか?俺みたいなのが・・・行っても」

眼鏡「それは悩んだ。悩んだ結果・・・話さなかった」

男「え」

女店員「えっと・・・それはどういうこと?」

眼鏡「そのままの意味だよ。男君の力のことは黙っておいた」

少女「そんなでいいの?第三支部は・・・」

眼鏡「まあ・・・そこは友人の誼みでどうにかしたと言っておくよ。それに、あそこは補助的な役割の、小さい支部だ。本人らには悪いけど、あってないようなものだとか」

男「ふーん・・・」


女店員「そういえばさ、男君よくあそこから出られたね。あの鍵、簡単には壊せそうになかったけど・・・」

男「ああ、それは俺も気になってまして・・・少女が鍵を持ってきてくれて・・・」

女店員「鍵?少女ちゃんどこから奪ってきたの・・・」

少女「私はそんな乱暴なことしない」

男「どの口が「何か言いたいことあるの?」すいませんでした」

女店員「じゃあ、どこから?」

少女「・・・落ちてた」

男「・・・は?」

少女「通路に落っこちてた」

女店員「」

男「ここの管理体制は大丈夫なのか・・・」

眼鏡「担当してたのは私だ。バッチリと言っていいだろう!」

男・少女・女店員(ああ・・・)


***


イラッシャイマセー



女店員「それで・・・なんで私のバイト先なの?」

眼鏡「あれ、そういえばまだ言ってなかったかな」

女店員「あ、こんにちはー店長」

店長「いらっしゃーい・・・あれ?今日はシフト入ってたっけ?」

女店員「えっと・・・今日はお客さんで・・・あはは」

店長「あはは。いらっしゃい、お連れさんも・・・なんだ、君か。待ってたよ」

女店員「?」


眼鏡「・・・久しぶりだな」

男「えっ」

眼鏡「紹介しよう。彼がここの店長。こと、第三支部長だ」

店長「眼鏡が言ってたのは君らのことだね。どうも、初めまして。僕がここのカフェの店長でもあり、東京第三支部長だ」

女店員「え・・・えっと・・・」

店長「あー、そういえば女店員さんには何も伝えてなかったんだ。ごめんごめん」

女店員「」


少女「ここが第三支部だったんだ」

男「知らない間に立ち寄ってたとはな」

店長「ご贔屓にどうも。ここはいざという時くらいしか出番がないから、副業でカフェなんて始めてみたんだ」

少女「そんなんでいいの・・・」

女店員「つーん」

眼鏡「今がその時ともいえるね。助かったよ」

店長「雇える人員も少なくてね。力になりそうな人が欲しかったから彼に言ったんだけど」

眼鏡「結局伝えるのを忘れててただの店員として働いてたと」







店長「・・・それは僕が悪かったから、機嫌を直してほしいんだけど」

女店員「つーん」

続きます。つーん。

毎回毎回説明部分が多い・・・

レス感謝。好きなんて言っていただけて感謝感激
ついでにちょっとアルコール入ってます。コアントローはストレートが一番だよね

投下します


***


店長「最近の出来事に関してだが・・・端的に言って、ここを含む各支部には詳しい報告がなされていない」

男「それは・・・どういう」

店長「そのままの意味だ。女に関してもパーカーの男に関しても、嘘があるわけではないがかなり簡素に『力を操る人間の発見、確保』としか説明されていないんだ。眼鏡から聞いたが、それだけではないんだよね?」

眼鏡「ああ。少なくとも、どちらも普通ではなかった。異常な暴走や他人の力を知覚できるのは本来ありえないことだ」

店長「それについても今調べているところなんだ。支部長をやってるとはいえ、なかなか表に出てこない情報も多くてね。重要なものは暗号化されていたりして解読が大変なんだ」

女店員「異常な能力については、どこまでわかってるんです?」

店長「恥ずかしながらまだまだ・・・だね。ただ、最近手に入った資料がもしかしたらそれに関係するものなんじゃないかって踏んでる」

眼鏡「なら、それについてわかり次第ということになりそうだ」






少女「・・・ねぇ」

男「どうした。何か思いついたか?」

少女「このパフェ、おいしそう」

男「」


店長「大体話は済んだね。僕はそろそろ働かないと副店長にどやされるから、適当にくつろいでいてくれよ」

眼鏡「そうさせてもらうよ。資料の件は任せた」

店長「ああ、早急に調べるとするよ」

男「あの・・・何か、俺にも手伝えることがあったら言ってもらえますか?何でもいいので」

少女「・・・」

眼鏡「お、男君もやる気を出してきたね?」

女店員「茶化すなダ眼鏡」

男「俺も、こうしている以上無関係ではないというか・・・なにか出来ることがあったらしたいんです」

店長「・・・ふふ、わかった。期待しておくよ」





店長「ではまず接客の基本から」

男「ご遠慮させていただきます」

***


-男宅


『空気が乾燥するに従って、火災などの危険性が・・・』

男「そういえば、まだ言ってなかったんだけどさ」

少女「・・・なに?」

男「この前、あのスーツの男に会ったんだ」

少女「っ!どこで!?」

男「お、おい落ち着けよ。・・・支部で火事が起きた日だよ」

『ここ数日、都内でも4件の火災が報告されて・・・』


男「あの日、火事が起こって少女が助けにきてくれる少し前だ」

少女「・・・支部の中ってこと?」

男「そうだ。どうやって入ったのかもわからないが・・・」

男「俺とお前が初めて会ったとき。あの時からスーツの男はお前を・・・お前の宝玉を狙ってた」

少女「・・・」

男「理由は知らないけど、きっとなにかあるんだとは思う。それはいい」

男「でもこの前会ったとき、俺にも興味があるって言ってたんだ」

少女「・・・!それは、なんで・・・」

男「俺にもわからん。その直後だ。アイツがいなくなうと同時に火災が起きた」

少女「スーツの男が・・・意図的に火をつけたと」

少女「考えてみれば、私が鍵を見つける事自体がおかしい。混乱の中で誰かが落としたとも考えられるけど・・・」

男「そこまでアイツの思惑通りだった、って考えられないか」

少女「・・・」

男「今回は直接俺に会いにきた。アイツは俺のことを何か知ってる」

少女「・・・だから何。アイツは危険。男にはもう近づけさせない」

男「少女・・・」


***



男「うおおおー!娑婆の空気じゃー!」

少女「あんまシャレになってないからやめてほしいんだけど」

男「いやだってさー?数日とはいえあそこに閉じ込められてたわけだしさー?」

男「日差しを浴びるのも久しぶりなんだぜー!」

少女「はぁ・・・」



イラッシャイマセー


少女「ここも2度と来ないつもりだったのに・・・」


女店員「あれ?少女ちゃんに男君?いらっしゃーい


女店員「どうしたのさ昨日の今日で。なんか言い忘れたことでもあった~?」

男「いや、そういうわけじゃないんです。今日はお客さんで」

女店員「まあ、ゆっくりしていきなよー」

男「そうさせてもらいますね」

少女「・・・」

男「さて・・・」

男(今日ここに来たのには理由がある)

少女「・・・準備は、いい?」

男「女店員さん・・・じゃないほうがいいんだろ?」

少女「うん・・・」

男(そう、これはあまり表立ってすることじゃないんだ)

男「すいませーん、注文いいっすかー」

ハイタダイマ-

少女「・・・」ゴクリ

男「えーっとですね・・・」




男「このパフェひとつ」






少女「・・・♪」

男(今までにこんな上機嫌な少女を見たことがあるだろうか!)

少女「・・・おいしい」

男(いや、上機嫌とはいえ、普段から表情の変化に乏しい奴だ)

男(機微に気付けるようになった俺の進歩と言っても過言ではないッ!」

少女「うるさいダダ漏れ」

少ないですがこんなもんで

鳥ついてないピヨォ!
本日休業申し訳ない!

>>1です
エディタの調子が悪いので少し進行が遅れます。申し訳ない

ちょっと投下

***


男「今日は満足していただけたでしょうか」

少女「・・・まあまあ」

男「よしとするか・・・」

男(今日店長いなかったな。調べてる最中か)

男(携帯にも眼鏡からは連絡も入ってないみた・・・)

男「おっと・・・」

少女「なにしてんの?」

男「携帯落としちまった・・・人が多くて見つかんねぇ」

少女「まったく・・・」

男「あれ、この辺で落としたはずだけど・・・」


?「探し物はこちらですか?」


男「えっ」

見た目四十程度、整った身なり。
紳士然とした男性。
手に持っているのは

男「あっ、それです!ありがとうございます!」

紳士「いやいや。大したことじゃないさ」

男「そんなことないですよ。助かりました」

紳士「往来の中で落としたら見つけにくいからね。君は運がいい。今後は気をつけて」

男「はい、ありがとうございます」

少女「・・・」

男「優しい人でよかったな」

少女「落とさなければ良かった話でしょ?」

男「ごもっともです」

***


店長「宝玉が4つあるってことは既に聞いたことがあるかな?」

男「はい。向こうの支部でそんな話を少し聞きました。光と闇、武と護でしたっけ」

店長「そう。でも、それは推定の話らしい」

男「推定?どういうことですか?」

店長「少し前の記録からわかったんだけどね。実はそのうち、護の宝玉は見つかってないんだ」

少女「・・・初めて聞いた」

店長「そうだろうね、実は僕も知らなかったんだ」

男「詳しく教えてもらえなませんか?」

店長「もちろんそのつもりさ。これもまだあまり知られてないんだけど、光の宝玉は組織が管理してるそうなんだ。宝玉が人間にもたらす影響についての貴重な研究資料になってる」


少女「人間への影響・・・」

店長「僕らが持ってる’力’は宝玉によって発生したと考えられてるんだ。宝玉が放つ強いエネルギーによってね。存在してるだけで人間にこんな力を与えたんだ、放ってはおけないのも当然だね」

男「そういえば、女店員さんも”突然の異常”とか言ってたな」

少女「・・・そうだっけ」



店長「で、組織が発見した光の宝玉を研究した結果、光の力は少なくとも独立したものではなかった」

男「というと?」

店長「光のエネルギー以外も持っていたんだ。特にその後見つかった武の宝玉、これと強く引き合う反応があった」

店長「記録によると、武の宝玉はどこかの一族の所持品となってるみたいだね」

少女「・・・」

男(少女がその末梢、か・・・)

店長「その後、闇の宝玉が見つかったそうだ。それも光と同じく、他の力を持っていた。特に、”護”という力を」

男「・・・」


店長「闇の宝玉に関しても、また別の一族の所持品らしい。しかしこっちは資料が少なくてね、詳しくわからないんだ」

男「・・・それ以外は、見つかっていないと」

店長「光と同じように考えるなら、闇と護が引き合うはずだ。だから、護りの宝玉が存在すると推定された」

店長「今のところ、資料からわかったのはこれくらいだ。なにか他に聞きたいことはあるかな?」

男「情報がそこまでなら、特には・・・ないですね」

少女「私も、ない」

店長「よし、じゃあ今日は解散としようか。僕もまだやることが・・・」








副店長「そうですよね、仕事中ですもんね」

店長「・・・休憩終わりまーす」

副店長「休憩を許可した覚えはありません」

***


男「しかし・・・謎は深まるばかりか・・・」

少女「情報が少ないから。まだ仕方ない」

男「店長の話聞いて、どう思った?」

少女「・・・男は」

少女「男が持ってるのが、”護る”力だもんね」

男「多分、俺達が考えてるのは同じことだろうな」

少女「うん・・・」

男「少女自身は、何も影響を受けてないのか?」

少女「多分、受けてるよ。これを渡されてから、少し力が強くなった気がする」

男「それだけか?」

少女「今の所はね。長く持ってるからわかるけど、悪い影響を受けてる気はしない」

男「そっか・・・何かあったらすぐ言えよ。力になれるかわかんないが・・・」

男「俺がなんとかするから」

少女「・・・ありがと」








少女「どこ見てるの?」

男「ん・・・なんでもないが」

少女「じゃあこっち向いてよ」

男「・・・」

少女「みーてーよー」

つーづーくー

「・・・」じゃなくて「…」×2にするといいぞ、その方が見栄えがいい

>>227
ありがとうございます
そうします

てす

昔の男…(今日のオカズは決定した・・・)
      (見れば見るほど可愛い。あの麗しい黒髪クンカクンカしたい)ハアハア
今の男…「そっか・・・何かあったらすぐ言えよ。力になれるかわかんないが・・・」
      「俺がなんとかするから」

だんだん男がかっこよくなっていく……
乙!

連休だと忙しくなります。投下できなくて申し訳ない。少し更新

>>231
男「あ?俺がかっこいい?知ってたし」

少女「あった当初からバカなのは変わってなくて残念」

男「ああ?」
少女「文句あるなら言いなさいよ」


女店員「いつもいつも目の前で痴話喧嘩される身にもなってほしいよねぇ」

眼鏡「なら私と」
女店員「あ ゚?」

化けた……



男「ん?あれは……」

紳士「……」


少女「あれこの前の人かな」

男「そうみたいだな・・・なにしてるんだろ」

少女「スーツ着て、あんな裏路地から出てくるって」

男「近道かも」

少女「いくら近くてもあんなとこ通りたくないけど……」

男「あの人は違うかもしれないだろ」

少女「怪しい……と思うんだけど」

男「……まあ同感なんだけどな」


***


紳士「……」


男「俺達も怪しくないか」

少女「偶然同じ方向に歩いてるだけだから問題ない」

男「そういうもんなのか……」


***


紳士「……」


男「そろそろやめねぇか」

少女「もうちょっと……」

男「なんか人通り少ないところまできちゃったしさ……」




紳士「ふむ、運がいいのは君ではなく私なのかな」

男「」
少女「」



紳士「つけてきていたのは気付いていたよ」

男「……ナンノコトデショウカ」

少女「いつから?」

紳士「あの裏路地から出てきてからだね。君達があの辺りにいることも知っていたよ」

男「どういうことですかね」

紳士「わざと君らの前に現れたというこだ。気にしなくていい、不自然な人の後をつけてみるのも別段おかしいことではない」

少女「……なんのつもりなの」

紳士「そんなに気を張らないでくれないか。危害を加えるつもりは無いんだ……今のところはね」

男「アンタ、何者だ」

紳士「これは失礼、自己紹介がまだだったね。君達は過激派の噂を聞いたことがあるかな?」

男「……最近起きた、'力'関係の事件は大体そう言われてるな」

紳士「正解だ。そして、その噂も正解だ」






紳士「私は、その過激派とやらの一部だよ」

少女「……」

男「ホントにいたのか……目的はなんだ」

紳士「さすがにここでそれは言えないな。まあ、直にわかるだろう」

男「どういうこと……」

視界の端に赤い光を捉える。
耳を刺すような、誰もが知る独特の音。

少女「消防車……?」

男「どうやら結構近くみたいだな」


紳士「さて、楽しませてもらうとしようか」

男「どういう……っ」


気が付けば、そこに残るのは声。
姿は既に無い。


***



男「なっ……」

少女「……火事、みたいだけど」

男「見りゃわかる。でもよ」





男「どうやったら警察署に火が着くっつうんだよ」

つづく




全部sageになってた……

面白いというレスを見て小躍りしてる>>1です。本日も投下。

***


-男宅


『今日の夕方、△△区警の署内で火事が……』

男「これも、アイツがやったと考えていいのか」

少女「そう考えるのが自然」

男「だよなぁ……しかしそうだとしても、狙いがわからん」

少女「そもそも、過激派がホントにいたとはね」

『警察署内での火災の例は少なく……』

男「噂自体が本当だったとしてもだ。それをわざわざ言う意味もわかんねぇ」

少女「アイツが言ったことをどこまで信じていいのかもわかんないしね」

男「確かになぁ……」

『最近の連続放火との関連性を……』

男「……」

少女「本当に、関連があるとしたら」

男「奴らが表立って行動を起こしてることになるな」

少女「それは……マズい」


***


眼鏡「我々が存在を目立たないようにしているのは、一般の人に危害を加える事が簡単に出来てしまうからだ」

男「前も……聞いたな」

店長「二人の考えが本当なら、彼らの標的は一般人ということも考えられる」

眼鏡「他に被害が出てないか確認したいんだけど、ラジオかなんかあるかな」

店長「あった気がするな、ちょっと待っててくれ」

女店員「眼鏡、最近の東京支部はどうなの?」

眼鏡「それがね……特に大きな仕事が無くてね。だからこっちの支部にも顔を出せるわけだけどね」


男「何も無いっていいことじゃないのか?」

眼鏡「普段ならね。でも今はちょっと特殊な事態だろう?もうちょっと調査やなにやら忙しくなったっていいと思うのだが……」

店長「待たせたね、ラジオがあったよ。営業中だから音量は落とし気味でよろしくね」

男「そういえば、まだお客さんもいますね」

女店員「まあ、こっちのほうが重要な話だし」

店長「優先になっても仕方ないよ」

副店長「そうですね。それよりも自分は堂々と仕事ほっぽって喋ってる店長を尊敬してますよ」

店長「そうかい。もっと敬うと……」






副店長「弁解は?」

店長「ごめんなさい許してください働きます」

***


『素直に渡せばいいと思いますが?』

『ここは通さん! 絶対にだ!』

『邪魔を……するな!』

『ぐあっ……』




お客さんはいいの?お父さんは?

『あの人は強いから大丈夫よ……』

なんで泣いてるの?

『ごめんね……こうするしかないの……許して……』

ねぇ、泣かないでよ

『ごめんね……』

ちょっと、やめてよ

痛い!やめて!

『ごめんね……』

嫌だ!離して!

痛い…!

嫌だ…

やめ…




男「っ!」

男「はぁ……はぁ……夢か」

男「くそっ……」

少女「うなされてたみたいだけど。大丈夫?」

男「あ、ああ……心配ない」

少女「……」


***


「最近物騒ねぇ」

「連続放火だろ?手口も全く分からないとか……」


『一部の大学病院や主要施設にも被害が広がっており……』




男「そろそろ、無視出来るレベルじゃないよな」

少女「……」

『お昼のニュースです。またしても連蔵放火と見られる不審火が……』

少女「ニュースもこればっか。あいつらの狙いが分からないから何とも言えない」

男「そうなんだよな……大事な施設だけをピンポイントってわけでもないし」


『続いての……ザ-ザ-』

男「あれ……急に映らなくなったぞ」

少女「壊れたんじゃない?」

男「やめてくれよ安いもんじゃないんだから……お、点いた」

少女「画面真っ白だけど」

『……て………あ』

男「音も戻って……」





『視聴者に告ぐ。このテレビ局は我々の支配下に入った』

つづく

バッテリーがッ!切れるゥゥゥゥゥゥ!!

投下


男「なっ……」

少女「……なにこれ」

『我々の目的は統治。反抗は認めない』

男「……」

『最近の連続放火は既に知っているであろう。警備された主要施設もターゲットになった』

『いくら守りを固めようと、我々の行動を阻害することは出来ない。大人しく従え』


***


男「なぁ、どこに向かってるんだ」

少女「……」

男「教えてくれたっていいじゃだろ」

少女「……アイツを探してんの」

男「アイツって?」

少女「あの放火が奴らの仕業だとして、話を聞けるのは一人しかいないでしょ」

男「……直談判すんのかよ」

少女「こんなことがあって黙ってはいられないでしょ。早く捕まえないと……」

男「どこにいるかの検討はつくのか?」

少女「アイツは私達がいれば分かるって言ってた」

男「ここは……前にアイツを追いかけて着いた裏道か」




紳士「おや、探し物かな」


男「……お出ましか」

少女「あれは、どういうことなの」

紳士「あれ、とは?」

男「とぼけんじゃねぇ。例の連続放火とあのテレビだ。お前らの仕業なんだろ」

紳士「これはこれは、見てくれたかね。どうだ感想は」

男「ふざけ……なんだよ、邪魔すんなよ」

少女「早まらないで、落ち着きなさい。……目的はなんなの」

紳士「放送を見てくれたならわかるだろう?この世界の統治だ」




紳士「我々のような、'力'を持った者による、統治だ」


男「俺達は水面下で動くのがルールなんじゃないのか」

紳士「それは君達サイドが勝手に決めたことだろう。我々とは違う考えだ」

少女「どんな考えか教えてもらえる?」

紳士「単純な話だ。我々は地球に蔓延る人類の中から、選ばれた存在というわけだ」

男「選ばれた……?」

紳士「増えすぎた人間の上に立ち管理する新たな存在として、この力は与えられた」

少女「……くだらない」

紳士「そう思うかね? 周りを凌ぐ力を手にした者が生き残るのは、太古の昔から続く全生物の定めだ」

男「生き残る……? 他の人間をどうするつもりだ」

紳士「失敬、少し喋りすぎてしまったようだ」

男「バカにして……」

紳士「私としても、君ら二人のことに興味がある」


少女「……」

紳士「特に、君の持つ力と……お嬢さんが持っている宝玉についてね」

少女「!」

男「……何か知ってるのか」

紳士「宝玉については知っている通りだろう。しかし……君の力は少し他と違うように思える」

男「違う?」

紳士「他の、力を持った人とは違ったものを感じるね」

少女「こんな奴の言うこと、真に受ける必要は無い」

紳士「さて……我々の側に立つ気にはならないかな?」

男「……なに?」

紳士「我々なら君の力について詳しく研究することができる。現状じゃ到底不可能だろう?」

少女「……それこそくだらない。ねぇ男……」

男「……」

少女「……どうしたの」

男「確かに、自分の力について気にならないわけじゃない」

少女「!」

男「この前俺が暴走したことについても、何かわかるなら」

少女「……」

紳士「君は話が分かると思っていたよ」

男「でもよ……」



男「罪の無い人を殺すのは、やっぱりおかしいと思うんだ」


少女「……男」

紳士「ふむ……交渉決裂というわけか」

男「ああ。残念だがそっちの考えにはついてけねー」

紳士「君の力には興味があると言ったね。正直に言わせてもらえば、君自身はどうでもいい」

男「何だと?」




紳士「ここで、奪ってしまうまでだ」


大きな破裂音。
見上げると同時に降り注ぐ火の粉。

男「危ねっ!」

紳士「ほら、きちんと前を見なさい」

反射的にバックステップ。
間髪入れずに視界が白く染まる。

少女「っ!」

神速の切り込み。
それを容易く躱す。

紳士「おっと、そういえば君もいたね」

少女「……くっ」

少女に向かって手を伸ばす。
が、水色の障壁に阻まれる。

男「余所見してんじゃねぇ!」

紳士の眼前に現れる水色に光る壁。

男「いっけぇぇ!!」

高速で前進した壁が紳士を弾き飛ばす。

少女「……やるじゃない」

男「まあな」


紳士「む……油断しすぎたようだ」

男「デカい口叩いてんじゃねぇ。いくぞ」

少女「言われなくても」

振り抜いた刀を紳士が躱す。

紳士「ほう、やるじゃないか」

右上からの袈裟切り。

少女「……」

振り下ろした刀の向きを反転させる。
返す刀で切り上げる構え。

紳士「っ」

後ろに下がろうとした紳士を水色の壁が受け止める。

少女「……甘い」

身の捻りを腕先に伝える、無駄の無い切り上げ。
刃が紳士の前腕を捉える。が、深くは刺さらない。

男「……どういうことだ」

紳士「いやはや、防刃チョッキすら切ってしまうとは。本当に、甘く見ていたようだ」

刃先を受け止めた部分から、紳士のスーツが赤く染まる。

紳士「手加減はここまでにしよう」


少女「かはっ……」

少女が膝からくずおれる。
乾いた音を立て、刀が地面に落ちる。

男「! 何をした!」

紳士「ふむ、柄に絶縁性があったようだね」

少女「あ……くっ……動け……」

痙攣する指先。

少女「……っ」

男「テメェ……」


紳士「そうだ、それだよ……君もやっと本気を出してくれるか……!」

男が禍々しい圧力を纏う。

男「……少女は、俺が護るんだ……」

眼前に現れる赤黒く光る輪。
圧縮された無数の衝撃が紳士の周囲の地面を穿つ。

紳士「これはっ……予想以上に……」

間一髪でこれを回避しながら移動する。

紳士「はははっ、これはすばらしい」

男「……」

少女「お……とこ……やめ……」

爆撃を受けたかのように抉れる地面。
無数の電柱が倒れ、切れた電線が火花を放つ。

紳士「いいね……これで私も本気を出せるよ」

紫電を身体に纏う。発生源は、電線。



紳士「さあ、楽しませてくれ!」

爆ぜる様な音。
紫を帯びたスパークが男を捉える。

男「……」

赤黒い障壁に阻まれた電流が地面へと流れる。

紳士「ほら!ほら!防戦一方じゃないか!」

腕が踊る度に、激しい光。
スパークが、火花を散らしながら空間を駆け抜ける。

男「……」

赤黒い輪が地面に発生する。
刹那、出現するコンクリートの壁。

紳士「ほお……? 隠れたつもりかな?」

紫電が壁を撃つ。

紳士「さあ、姿を……っ!?」


男「……余所見するな」

背後からの衝撃。

紳士「なっ……ぐはっ!」

なす術無く壁に叩き付けられる。

男が赤黒い輪から現れる。

男「抵抗しなければ、殺しは……」


紳士「私を甘く見るな!」

コンクリートの壁を手の平で叩く。
壁から発生した稲妻が男を貫く。

少女「男っ!」

男「がっ……」

紳士「嘗められたものだね。君の力を持ってしても私には勝てないんだよ」

男が地面に倒れ込む。

紳士「よし……上下関係ははっきりさせないとな」

少女「やめて……」





紳士「さあ!死n「おおーっと失礼手が滑った」」

つづく



携帯壊れたっぽいから大人しく寝る(´・ω・` )

少女「こんな? 感じで」

↑スペースを空けてみたんだけど読みやすさとか変わるかな

普通の方がいい

>>266
ありがとうございます。そうしますね
ただ表現上そうせざるをえない箇所もあるので、おつきあいいただければと思います

本日もちょちょいと

紳士の胸を貫くのは、少女の刀。

?「すまないねぇ。ついバランスを崩した拍子に落ちてた刀を拾ったらそのまま手が滑って投げてしまった。誰も悪くない、不幸な事故だ」

少女「な、なんで……」

紳士「が……な……」



スーツの男「どうした? もしかして私の登場に感動しているのか? なら仕方ない」


スーツの男「いやしかし、君もやり過ぎだ。彼を見てみろ。こんなことしたら死んでしまうだろ」

紳士「貴様……」

スーツの男「さて、君の出番は終わった。あっちいけ」

倒れる紳士の周りに広がる魔法陣。
瞬きするより早くに、横たわる姿ごと消失していた。

男「なんで……おま……」

スーツの男「もうちょっと早くくれば良かったね。君には興味があると言ったろう? こんな奴に取られてしまっては困るんだ」

男「くそっ……身体が痺れ……」

スーツの男「うーん、お嬢さんは、なにか言いたいことがあるのかい?」

少女「……」

男「少女……」


少女「男には……手出しさせない」


スーツの男「ふむ……足が震えてるようだが」

少女「……っ」

先ほどよりずっと遅い、切り込み。

金属同士がぶつかる様な、鋭い音。
紅い魔法陣が刀を受け止める。

スーツの男「仕方ないな……」

少女「きゃあっ!」

身体が浮く程の、強風。

男「てめっ……」

スーツの男「君は大人しくしてなさい」

男「なっ……」

足下に広がる魔法陣。

男「動けな…!」

少女「ぁぁぁあああ!!」

突き。が、再びの紅い魔法陣。

スーツの男「頼むから落ち着いてくれよ。そんなだと……」

瞬き。魔法陣が紫色に変わる。

スーツの男「さっきと同じ目に遭うぞ?」


少女「っ!」

強力な閃光。紫を帯びたスパークが少女を吹き飛ばす。

男「なっ!? なんで……」

スーツの男「驚いたかい? 無理もないね」

少女「あぁ……くっ」

男「お前……何者なんだよ」

スーツの男「それより君が知りたいのは自分の正体だろう?」

男「正体? 何のことだ」

スーツの男「君が持ってる力のことだ」

男「俺が持ってるのは護る力だけだ。それがなんの……」

スーツの男「さっきのもそれだと言うのかい? ちょっと無理があるな」

男「うっ……」


スーツの男「守る力だけではない。君が持つのは闇の力だ」

男「俺が……闇を?」

少女「……」

スーツの男「これだと語弊があるね。正確には」




スーツの男「君自身が、'闇'の力だ」


スーツの男「君は昔、両親を無くしたね」

男「……」

少女「男……?」

スーツの男「君はまだ幼かったそうだから、覚えていないのも無理はない」

男「……少しは覚えてる。家に入った強盗から、俺を守った」

スーツの男「その強盗は金目当てなどではない。君の家がずっと受け継いできた、闇の宝玉を狙っていた」

男「俺の……親が?」

スーツの男「正確には、君の一族だ。闇の宝玉については、所在も一部の人しか知らなかったようだ。しかし、その一部が裏切ったんだ」

男「……」

スーツの男「君の親は、宝玉がそいつらの手に渡らないよう、最終手段を取った」

スーツの男「君の体内に託したんだ」

男「……母さんが」

スーツの男「どうだ、思い出したかな」

少女「男……」


スーツの男「どうやら、ちょっと騒ぎすぎたみたいだ」

人の声。遅れて聞こえてくる足音。

男「あれは……眼鏡と、女店員さん?」

スーツの男「では私は失礼するとしよう。アディオス!」

女店員「男くーん!少女ちゃーん!」

男「ちょ、ま……くそっ、また逃げやがった」

眼鏡「おいおい、何だこの惨状は……何があったんだ?」

少女「……」

男「それが……」


***



眼鏡「昨日は災難だったようだね」

男「ホントだよ、まったく……」

少女「……アンタ達の来るのが遅い」

女店員「ごめんねぇー。テレビのせいで町中大混乱でさ。二人の家行ってもいないし……」

眼鏡「二人の家? 同棲してるのかい? なんだもうそこまでいって」

女店員「茶化すなクソ眼鏡」

眼鏡「熱い!コーヒーはダメ!染みができちゃう!」

少女「あ、店員さんパフェ一つ。伝票はその眼鏡で」

男「ああ……まったく……」





店長「店の中で騒がないで欲しいんだけどなぁ……」

副店長「ちゃっかりサボる人が言えたことではないと思いますが」


***


店長「で、だ」

男「はい」

眼鏡「これ、洗って落ちるかな……」

店長「以前伝えた、組織の資料が解読できた」

男「なにが書いてあったんですか?」

店長「とある研究についての成果だ」

眼鏡「研究、とは?」


店長「……宝玉を使った人体実験だ」


店長「具体的には、宝玉を人間に埋め込むことだ」

女店員「っ! そんなことしたら影響が……!」

店長「その影響をコントロールさせるための研究だ」

眼鏡「被験者は?」

店長「大多数が、強すぎる影響によって即死。即死でなくても、数日後に死亡してる例が多い」

男「っ……」

眼鏡「組織は、そんなことの為に宝玉を?」

店長「実験に使われたのは'光'の複製品だ。本物だったらまた少し結果が違うのかもしれない。光の宝玉は東京のどこかの支部が持っていたはず」

女店員「許せないっ……」

店長「また、数は少ないが適応したケースもあったらしい」

男「……具体的には」

店長「身体が適合するにつれ、能力が飛躍的に強化されていったそうだ。それと、他の宝玉に対する何らかの共鳴のようなことも確認されている」

少女「……」

店長「そして何より大事なこと。……そいつらは、"他の力を知覚できる"」

眼鏡「話からするに、男君達の前に現れた敵は見事に当てはまるね」

女店員「成功例が、もうそれだけいるってことじゃん!」

男「その研究の、最終的な目的はわかりませんか?」

店長「というと?」

男「えっと……なんていうか、人体を強化してどうするつもりなのかなー、と」

店長「うーん、それについては書いてなかったね。確かに気になることだ。なにより、僕らの’組織’がこれをやっていたんだ」

眼鏡「どこでやっていたかの記載は?」

店長「うん。主な研究は東京第二支部で行われていたそうだ」

少女「案外身近なんだ」

店長「差し当たって、こんなものも用意したんだが……」

女店員「なにそれ?」



店長「聞いて驚かないでくれよ?第二支部の立ち入りパスだ」




YO

最初酉わすれてましたね
失礼しましま


閲覧感謝
みんな、早急に漫画描ける人を探してくるんだ

本日も投下しまっせ

***


-車内


眼鏡「なんで私が……」

少女「仕方ないでしょ。二人は仕事中だし」

男「あれで仕事中だったのか……」

眼鏡「副店長さんも大変だね」

男「そういえば、副店長さんもこっち側の人なのか?」

眼鏡「あそこは店である以前に支部だからね……多分そうだと思うけど」

男「多分か……」

少女「第二支部はどこにあるの?」

眼鏡「そこまで遠くはないはずだ。都心からちょっと離れたところだが」

男「行ったことは?」

眼鏡「一度ね。力に関する研究がメインで、比較的大きい施設だったよ。もちろん地下だけどね」


***


男「これが……第二支部か?」

少女「正確には、"だったもの"って所」

眼鏡「な……」

男「クソッ、遅かったか……!」

少女「燃えたのは上の入り口部分だけでしょ?だったら中はまだ…」

?「いや、無駄だろうね」

男「なんで言い切れる……!?」


スーツの男「君らより一足先に来ていたからね。残念ながら中にすら入れなかった」


少女「っ! なんでアンタがここに!」

男「お前がやったんじゃ……ないのか?」

スーツの男「違う。どうやら、とても貧弱だが防御の力が働いていたらしい。私も見つけるのが遅れてしまったし、一般人に至っては未だに知覚できていない」

眼鏡「ど、どなた様かな……?」

スーツの男「これは失礼。自己紹介が遅れた……といっても、私のことはもう彼らから聞いたかな?」

眼鏡「! もしかして、二人が言ってたのはこの人のことか?」

少女「残念ながら。至る所で現れては私達に関わってくるめんどくさい奴」

スーツの男「それは言いがかりじゃないか。この前は助けたろう?」

男「まあ……それについては感謝してる。でも、最初に会った時は少女の宝玉を狙ってただろ」

スーツの男「あれは、まあなんというか理由があってだな……」

少女「どんな理由か説明してよ」

スーツの男「それは……」

Prrrrrrrr...

眼鏡「おっと悪い。もしもし…なんだって!?」

男「どうした?」

眼鏡「店長からだ。奴らの襲撃に遭ったらしい!今すぐ向かおう!」

***


店長『今は立てこもってるが、いつまで持つかわからない。外にいる敵をどうにかしてほしい!』

眼鏡「もうすぐ着く!耐えてくれ!」

男「見えた!あれか!」

カフェの店先。
店を囲む敵と思われる人影は4つほど。

過激派構成員(以下構成員)1「オラァ!さっさと出てこいやァ!」

赤い魔法陣。
放たれた火炎の弾が店の窓ガラスを叩く。

眼鏡「あれじゃいつまで持つかわからない!」

男「……俺が守る!」

店と敵を隔てるように、巨大な水色の魔法陣が発生する。


眼鏡「いいぞ!男君はそのまま防御だ!」

構成員2「ふん、援軍か」

構成員3「よぉし、俺様が相手して……」

少女「……ッ!」

一閃。目にも留らぬ速さで斬りつける。

構成員4「チッ、無能が……邪魔をするな!」

少女「!」

無数の氷の槍が空中に出現する。
少女に向けて機関銃のような攻撃。

スーツの男「おっと、忘れてもらっちゃ困るよ」

少女の眼前に現れた紅い魔法陣が氷を受け止める。
続け様に魔法陣が発光。

構成員4「チッ……」

地面に蒼い魔法陣。周囲の気温が一気に下がると共に氷の壁が出現する。
刹那、スーツの男が放った炎が壁を溶かす。

男「っつうかなんでお前がついてきてんだよ……」

スーツの男「いやまあ、面白そうだしね」

構成員1「あんだテメェ!炎を操れるのは俺だけで十分なんだよ!」

赤い魔法陣。空気が燃え上がる様な錯覚。

スーツの男「ならこうしようか」

構成員1の足下に発生する青い魔法陣。
間欠泉のように吹き上がる水流が構成員1を吹き飛ばす。

構成員4「どうなってやがる……」

少女「……余所見すんな」

構成員4「ぐあッ!」

スーツの男「いいね。ナイスコンビネーションだ」

少女「……」


構成員2「……防御壁を張ってるなら動けないな。可哀想に」

男「ッ! やば……」

眼鏡「あのさ、お言葉なんだけど」

構成員2「……?」

眼鏡「君も動けないよ?」

構成員2が男に向かって踏み出す。
瞬間、その足元に展開する淡い緑の魔法陣。

構成員2「! しまっ」

少女「……男には手出しさせない」

構成員2「!」



店長「……すごいね。僕らが手こずってたのがバカみたいだ」

副店長「本当にありがとうございます。何とお礼すれば……」

スーツの男「いやいや、それほどのことでもないさ!」


少女「……なんでアイツが当たり前みたいに加わってるの」

男「俺だって知らねぇよ……急いでたし」

眼鏡「まあいいんじゃないか? 彼も健闘したわけだし」

少女「……」

***


店長「で、だ」

男「はい」

少女「前もこの流れだった気がするけど」

眼鏡「すごいね、建物はまったく傷付いてないよ」

副店長「まあ、店長ができるのはそれくらいですから」

店長「そんなこと言わないでくれよ……まあいいや。それはそうと、君らが行った第二支部だが」

男「……既に襲われた後でしたね」

店長「すると、'光'は奪われたと見るべきか……」

少女「……」

男「そもそも、なんで奴らは宝玉を集めてるんだ?実験に使うためか?」

店長「まあそう考えるのが妥当だろうね」


男「……なあ。お前宝玉について知ってることあるんだろ?」

スーツの男「私かい?そりゃああるさ」

男「話してくれないか」

スーツの男「なぜだい?」

男「なぜって……」

スーツの男「君は、宝玉について知ってどうするつもりだい?」

男「俺は……」

眼鏡「冷たいなぁ。どうせなら教えてくれても……」

スーツの男「君は、少し黙っててくれ」

眼鏡「」

男「俺は、アイツらが何を企んでるかは知らない。でも、それを止めたいと思ってる」

スーツの男「それには、私の持ってる情報が必要と?」

男「わかんねぇ。けど、アイツらが俺や少女を狙ってたのは事実だ。"統治"とかいう目的の為に必要ってことなんだろ」

男「自分自身のことも全くわからない、相手の出方もわからない。俺を利用させないためにも、知る必要がある」

スーツの男「そこまでして彼らを止める理由は?」

男「……アイツらは、罪の無い人も巻き込んだんだ。許されることじゃない。それに、俺の身近な人だって……」

少女「男……」


スーツの男「……しょうがない。私の負けだ。教えてあげよう」

つづく


書き溜めがそろそろ終点に向かっています
投下は大体同じペースでできればなー、と

今晩は
懐古厨ではなく、ああいう作画だからこそあの展開で作れるんだろうなぁと思いながらルパン見てました
投下


スーツの男「今の宝玉は2つで一組。だが元々のそれは、2つで一つの存在だった」

男「……? どういうことだ?」

スーツの男「'光'と'武'、'闇'と'護'。これらはそれぞれ一体のものだったんだ。それが、人為的に分割された」

眼鏡「なんの為に?」

スーツの男「とても強力な力だったから、とでも言っておこうかな」

少女「他には?」

スーツの男「そんなにがっつくな。仕方ない、もう一つ教えてあげるよ」


スーツの男「宝玉は本来、この世界のものじゃない」

スーツの男「外界から来て、君ら人間にここまでの影響を与えたんだ。今後どれだけの作用があるか、私にもわからない」

男「……」

店長「……元々が一つのものだったなら、それ同士が影響し合うことはあるのかい?」

スーツの男「断言はできないが、あるだろうね」

男「っ、もしかして……」

眼鏡「どうかしたかい?」

男「今まで現れた敵に使われてたのは、光の宝玉の複製品と言いましたね」

店長「ああ。資料によればね」

男「……少女。前に、パーカーの男が暴走したときのこと覚えてるか?」

少女「あの時は……これが」

首元から取り出したネックレス。

少女「これがすごく反応していた。これから溢れ出すなにかが、私の中に入り込むみたいに……」

スーツの男「……確実に、共鳴してるね。複製とはいえ、自分の半身を求めたんだろう」

男「2つとも、奴らの手に渡ったらどうなると思う?」

スーツの男「……分割してた力が、再生するかもしれない。そしてそれは……」




男「……奴らの物になる」


店長「!」

少女「っ……」

眼鏡「それはマズい。奴らの言う統治とやらがどんなものか知らないが……」

男「アイツらのやり方は武力行使だ。そう考えれば、その統治というのが力で捩じ伏せることだとしてもおかしくない」

男「俺もそんなこと出来るはず無いと思ってたから可能性には入れてなかったけど……」

スーツの男「2つが揃ったら、それも現実味を帯びてくるね」

男「……それは、絶対にさせない」


少女「ねぇ……まだ、あの女のこと……」

男「ん? ああ……違うよ」

少女「じゃあ男の両親?」

男「それも……あるかもしれないけど、違うかな」

少女「じゃあ……」

男「お前がいなかったから、俺もこんなに関わらなかったかもな」

少女「……ねぇ」

男「ん?」

少女「もしさ、この世界に'力'なんてものが無かったら……私達はどこかで会ってたのかな」



男「……きっと、逢ってたさ」

Prrrrrrr.....


男「ん、電話だ。もしもーし」

女店員『男君?少女ちゃんもそこにいる?』

男「ん?ああ、いますけどなにか……」

少女「?」

女店員『すぐに東京支部に来てくれない?』

男「どうしたんですかそんなに慌てて」



女店員『東京支部にも奴らが攻めて来たんだよ!』



女店員『'光'はこっちの支部にあったみたい。だから狙ってきたんだと……』

男「すぐに向かいます!それまで耐えて!」


少女「……行こう」



***



-支部 非常入口


眼鏡「二人とも!こっちこっち!」

男「無事だったか!」

女店員「私達はなんとかね。ロビーからなにから、奴らに占拠されてる」

少女「宝玉は?」

眼鏡「最後に見たのはうちの研究員だそうだ。しかし、緊急事態だから研究室に置いて逃げてきたらしい」

男「研究室はどこに?」

眼鏡「施設の最奥だ。研究室というより工場のような広い作りになってる」

少女「……向かおう」

眼鏡「そんな!無茶だ!中は敵で一杯だぞ!」

女店員「そんなこと言ってられないでしょ!少女ちゃん、男君、私達も援護するから宝玉を回収しに行こう!」

男「任せろ!」



-支部内 廊下


過激派構成員(以下構成員)A「いたぞ!こっちだ!」

男「くそっ!見つかった!」

少女「ッ!」

風の様な切り込み。

構成員A「ぐあぁっ!」

構成員B「逃がすか!」

地面に土色の魔法陣。無数の土槍が生える。

女店員「うるさい邪魔すんなぁ!」

空を切るパンチ。
橙色の衝撃波が土の槍もろとも構成員Bを吹き飛ばす。

女店員「へへん、ざまぁ見ろ!」

眼鏡「! 危ない!」

無数の炎弾。
標的は女店員。

女店員「!」

男「んなもん効かねーよ!」

炎弾が水色の魔法陣に吸い込まれるように消える。

男「行け!少女!」

少女「……言われなくても!」

咄嗟に防御態勢を取る。
が、少女の方が圧倒的に速い。

構成員C「がはっ!」

女店員「みんな、こっち!」

男「おう!」




眼鏡「……私だけなにもしてない気がするなぁ」


-支部内 ロビー


女店員「ちょっとまずいね……」

少女「10人近くいるね」

男「強行突破……は難しいか」

眼鏡「かといって、ここを通らないと奥には行けないんだ」

女店員「やるしかないね」

少女「私が陽動する。まとめて仕留めて」


構成員D「ん?今何か動いて……ぐはっ!」

少女「……遅い」

構成員E「敵だ!向こうだ!」

構成員D「一人か。降伏すればいいものを」

様々な色の魔法陣。そのすべてが少女に向けられる。
瞬間、一斉の砲撃。

少女「……」

男「甘いんだよ!」

構成員F「なにっ!?」

敵と少女を隔てる水色の魔法陣。

構成員E「クソ!何をしてる!はやく破れ!」

眼鏡「それが、無理なんだよねぇ」

敵を囲むように複数現れる、淡い緑の魔法陣。

構成員D「う、動けない…!」

女店員「いくよ!一点突破!」

空中に現れる橙色の魔法陣。
その中心を、拳が捉える。

女店員「ぅおりゃあぁぁぁぁ!!」

圧縮され、指向性を持った強力な衝撃波が敵の集団を貫く。


構成員G「つ、つよ……」

少女「残念。降伏すればいいものを」

構成員G「がッ……」


構成員H「何のさわg……敵だ!集まれ!」

女店員「ここは私達に任せて!二人は研究室に!」

男「でも……!」

眼鏡「たまには私にだって、いい恰好させてくれ」

男「眼鏡……」

少女「……行こう!」

-支部奥 廊下


男「こっちで、合ってるんだよな……」

少女「そのはずだけど」

男「こっちの方は誰もいないのか?」


構成員I「そんな筈無いだろう?」

進路に現れる薄紫の魔法陣。

男「なにを……くっ!?」

少女「男!?」

構成員J「お前らがここを通ることくらい簡単にわかる。張らないほうがおかしい」

少女「ッ!」


振り向くと同時に迫る剣。
青い魔法陣とともに跳躍する少女。

構成員J「ふんっ!」

鍔迫り合い。
打ち合う刃が火花を散らす。

構成員I「お前はここから逃げ出せない。諦めろ」

薄紫の魔法陣が強く光る。

男「ぐ……あああああ!!!!」

少女「男!」

構成員J「お前の相手はここにいる。余所見をするな」

少女「くっ!」

魔法陣を伴う神速の連撃。
しかし、一撃一撃全てを弾かれる。

構成員J「そんな程度か、過大評価だったようだな。さて、終わりにしよう」

大きく振りかぶった一振り。
衝撃波が床を抉り、壁に裂け目が出来る。

少女「! しま……」

衝撃の余波にバランスを崩す。
隙を逃さず再び振りかぶる。

構成員J「ここで眠れ」

少女「っ!  ……?」

突如吹き荒ぶ目も開けられない程の突風。
構成員Jをなぎ倒し、男を蝕む魔法陣をかき消す。

男「はっ、どうなって……」


副店長「まったく。だらしがないですね」

男「副店長さん!」

少女「……」

構成員I「チッ! 何人来ても同じ……」

店長「おっと、そうはさせないよ?」

構成員I「なn」

腹を打ち抜く店長の拳。
身体を軽く撃ち飛ばし壁に叩き付けるほどの、威力。

店長「驚いたかい?僕だって戦えるんだ」

男「店長さん……」

副店長「惚けてる暇はありません。早く行ってください」

少女「……男」

男「後で援護に来ます!」




副店長「まったく、自分のやることをやってから言ってほしいですね」

店長「ふふ、こうして肩を並べるのも久しぶりだね」

副店長「御託はいいです。さっさと蹴散らしてください」

店長「言われなくても」

つづくよ!

有難うございます。昨晩は投下できず失礼しました
今晩は0時頃には…多分…できる…はず

良い評価を頂けて嬉しい限りです
投下

-支部奥 研究室前


男「ここか……」

少女「空けるよ」

開く扉。
身構える。

少女「……?」



男「……支部長?」

支部長「おお、男君に少女君じゃないか。よく来たね」

少女「……ここに敵はいないの?」

男「よく来たねじゃないですよ!早く宝玉を持って逃げないと……」


支部長「どうした、そんなに焦って」

男「'光'の宝玉はここにあるんですよね?だったら奴らの手に渡る前に……」

支部長「ああ、それなら心配ない。奴らがここに来ることはないだろう」

男「? どうしてですか?」

少女「男……」

支部長「どうして?簡単なことさ。理由がないからだ」

男「理由?やつらは宝玉を使って力を手にする研究をするつもりなんです。はやく……」

支部長「問題ないといっているだろう?」





支部長「研究は、既に成功したんだよ」


男「!? どうして……」

少女「……男」

男「どうした!?」

少女「また……反応してる……」

握りしめた胸元。
足が震える。

男「……まさか」


支店長「その、まさかだ」


感情の高ぶりに反応するかのように、輝きが増す。
無数の光弾が襲いかかる。

男「少女!」

少女「……っ」

寸での所で回避。

支店長「そんな状態じゃ戦えないねぇ。君の実力には期待していたのだが」

男「……うるせぇ!」

高速で迫る水色の壁。
しかし、それが影であるかのように掻き消す光。

支店長「無駄だ!分かりきったことじゃないか!」

再び集まる光。

男「くそっ!」

水色の魔法陣、4つを重ねた防御壁。
それが紙であるかのように打ち砕く、光。

男「がはっ……」

支部長「諦めなさい。聖なる力は絶対だ」

少女「ぁぁぁあああ!」

力を振り絞った切り込み。
それを防ぐ光の壁。

支部長「所詮、その程度か。ふっ!」

手で空を薙ぐ。付随した光が少女を襲う。

少女「きゃ……」

男「少女! …てめぇ」


支部長「もう少し骨があると思ってたんだがなぁ」

男「……ふざけんな」

力が湧き上がる。
黒い、禍々しい力。

支部長「ほう…?」

光弾。
黒く、そして赤く光る輪にぶつかり消える。

支部長「そうこなくてはね……折角だ、'闇'も手に入れておくとしよう!」

纏う光が増える。
奔流となって襲いかかる。

男「……ぁぁあ!」

輪から流れ出した黒い力が光とぶつかる。
強烈な爆風。反射的に目を閉じる。


支部長「ほら!こっちだ!」

目を開けた瞬間視界に入る支部長。
その拳が男の腹を捉える。

男「かはっ……」

支部長「いやぁ、すばらしい。確かに手に入れる価値のある力だ」

座り込む少女へと歩み寄る。

男「やめ……」

支部長「そして、私はここでさらなる力を手にするわけだ」

少女「っ……」

首にかかる光の環。
上から吊られるように浮き上がる少女の身体。

少女「がっ……ぁぁ……」

支部長「さあ……私の元へと還れ……」

浮かび上がるネックレス。
吸い込まれるように、支部長の手のひらへ。

少女「ぁ……ぁぐ……」


支部長の眼前に現れる赤い魔法陣。
刹那吹き出した高温の爆風が支部長を撃つ。

スーツの男「すまない。遅くなったね……というか、本当に遅かったか」

光の環が消え、床に投げ出される少女。

男「少女!」


支部長「貴様……邪魔をするな!」

スーツの男「そういってもね……こっちだって目的があるんだよ」

支部長「統治という、崇高なる使命があるではないか」

スーツの男「私は、宝玉を元の世界に戻す為に来た」

少女「……」

支部長「ほう。面白い冗談だ」



支部長「ならば、やってみるがいい!」

再び支部長の身体が光を纏う。
先刻とは比べ物にならない量。

スーツの男「まずいな……」

光が集まる。形作るは、剣。

支部長「その身体に刻み込んでやろう……これが聖なる者の力だ!」


神速の切り込み。

スーツの男「くっ!」

寸でのところで躱す。
同時に作り出す深い蒼の魔法陣。

支部長「効かん!」

轟音をあげ、吹雪のように吹き荒れる氷の弾丸。
が、光の剣一振りで全て消失する。

スーツの男「……ほんとかよ」

男「だぁぁぁっ!!」

赤黒い輪から弾け出す衝撃波が、支部長を捉える。

支部長「む……」


光の壁。
防ぎきれなかった衝撃波が支部長の体制を崩す。

少女「っ!」

切り込み。光の剣で受け流す。

スーツの男「…君に、これを渡すよ」

男「……?」

風のような立ち回り。
少女の剣閃が畳み掛けるように降り注ぐ。

スーツの男「こうなったら仕方が無いんだ。君が持つ他にない」

男「なんだこれ……指輪?……っ!」

一振りの光。
少女がサイドステップでこれを躱す。

スーツの男「大切な物だからね、無くさないよう気をつけてくれ。」

男「あが……なにを……」



スーツの男「君がしたいことは何だ?自分によく言い聞かせるんだ」

つづくよ!

こなれてきたということで最初から書き直したい欲がすごい
というか恥ずかしい。最初の方を読んでそっ閉じした人が何人いるだろうか

失礼しました
>>321
>>322
支店長→支部長
です

今晩は。面白いと言っていただけて本望。
いよいよ最終回。投下しますよーしちゃいますよー

スーツの男「さあ聖なる者とやら!こっちにも敵はいるぞ!」

緑の魔法陣。
吹き荒れる強力な突風。

支部長「ぐっ」

少女「……余所見すんな」

目にも留まらぬ一撃。支部長の腕を掠める刃。


男(なんだ……これ……)


支部長「身の程をわきまえるがいい!」

光り輝く魔法陣。
輪が8分割し、一つ一つが光の剣となる。


男(『君がしたいことは何だ?』)


支部長「死ねェ!」

少女「くっ!」

支部長の周囲に浮く光の剣。
意思を持つ生き物のように、支部長の動きに合わせて宙を舞う。


男(『君がしたいこと』)


少女を襲う無数の剣。

スーツの男「こっちだ!」

支部長の足下に現れる紫の魔法陣。
髪の毛が逆立つほどのスパークが吹き上がる。


男(誰?)


支部長「効かんと言っただろう!」

一振り。スパークが意思を変え、その主を襲う。


男(俺?)


スーツの男「くそっ!」

土色の魔法陣。
床が隆起し、壁を成す。


男(俺がしたいこと?)


支部長「それで防いだだつもりか!」

光の奔流が壁を突き破り、スーツの男を撃つ。

スーツの男「ぐあっ……」

少女「っ!」

支部長「同じ手には乗らん!」

少女「かはっ……」

支部長「肩ならしにはちょうど良かった。これにてお役御免だな」


男(俺がしたいのは……)


支部長「死ねッ!」

小さな音。
指輪が砕け、落ちる。




男「護る、ことだ」



支部長「……?」

少女「ぁ……何……」

スーツの男「……間に合ったようだね」

男から流れ出す、圧力を感じるほどのエネルギー。
黒い奔流が集まり、3対の巨大な翼を形作る。

支部長「何だ……?」

断末魔の悲鳴を思わせる奇音を発し出現する、黒く赤い輪。
肌で感じるほどに集約する力。

支部長「……くそっ!」

幾重にも現れる光の魔法陣。

少女「男……」

スーツの男「まあ、無駄だろうな」


男「      」

轟音をあげ吹き出す衝撃。
光の剣を飲み込み、魔法陣を掻き消す。

支部長「!」

目を覆いたくなるほどの光。壁を成す。


男「あ……ぁぁぁ……!」

黒い衝撃波が突き抜ける。
薄紙のように四散する壁。



少女「男に、何をした!」

スーツの男「渡したんだよ」

少女「何を!」


スーツの男「'護'の、宝玉をね」


支部長「こ、この……!」

男の足下に現れる光の魔法陣。
吹き出す光が男を包む。

少女「! させない!」

切り掛かる。
剣撃を受けることに、もはや抵抗はない。

支部長「……もう遅い!浄化されてしまえ!」

男「あ……ぐっ……!あああああああああああ!!!」

断末魔。
刹那、黒い奔流が光を打ち破る。

支部長「! くそっ!」

続けて、少女の周囲を光が舞う。
首の収束し、先刻より太い輪を形成する。

少女「くっ、ぁぁぁあ!!」

支部長「こいつを助けたかったら、大人しく……!」

男「……やめろ」

少女を囲む黒い輪。
取り巻く光が打ち消される。

少女「っ……はぁ、はぁ……」

支部長「なぜだ!なぜ光が効かない!!」

少女「……バカバカしい」

男「……少女、大丈夫か?」

少女「こっちの台詞。喋れるなら平気そうだね」

男「平気……だと思う。自分がどうなってるのかわからない」

スーツの男「以前話したね。'強力な力'だ」

支部長「私は聖なる者だ!絶対の光だ!負けるはずない!」

少女「見苦しい。考えればわかるでしょ」

支部長「なにを……」




少女「欲に溺れた奴に、聖なる力なんて扱えるわけないでしょ」

支部長「っ……」

スーツの男「分かったかい? いい夢を見ただろう。ここらで目覚めるといい」


スーツの男「それを、返してもらうよ。……手伝ってもらってもいいかな」

男「……はい」

支部長を拘束する黒い輪。

支部長「やっ、やめろ!放せ!」

スーツの男「それは聞き入れられない」

エメラルドグリーンの魔法陣。

支部長「あ……ああ……ぐああああああああ!!!!!」

身体から光が零れ落ちる。
一際大きな2つ、光の塊。

支部長「…」

黒い輪が消え、身体が地面へと倒れる。

スーツの男「君の持ち物だったけど……預かっても、いいかな」

少女「……アンタの目的なんでしょ。事情は知らないけど」

スーツの男「助かる。……誰も巻き込みたくなかったんだけどね」

男「どうしてだ?」

スーツの男「……私の目的は宝玉を元の世界に戻すことだ」

少女「さっきも言ってた」

スーツの男「この世界の'力'は、宝玉が及ぼした影響だ」

スーツの男「今これが消えれば、この世界に力は残らなくなる」

男「……」

少女「……続けて」

スーツの男「続けるもなにも、そういうことだよ。私が持ち出した時点で、この世界から力は消える」

少女「その方がいい。力がなければ、こんなこと起きなかった」


スーツの男「君がそう言ってくれて本当に良かった。必死で止めにかかってくる連中もいると思うから、巻き込みたくなかった」

男「なんだ、それだけの話か。俺も少女に同感だ」

スーツの男「……それなんだ」

男「?」

スーツの男「いまこの状況では、君が……君自身が、力の塊のような存在だ」

男「それがどう……」





スーツの男「力が消えたら、君も消える」


少女「っ!」

男「……どういうことだ」

スーツの男「推測の域ではあるけどね。君と宝玉の侵食度合いは大きい。元々の素質もあるかもしれない」

男「あの……俺は、どうすれば」

スーツの男「だから私は、君に選択肢を委ねようと思ってる」

男「俺に?」

スーツの男「今君が持つ力なら、この世界の改変だって可能だ。……本当は、私がやろうとしてたことだけど」

男「……」

スーツの男「宝玉をこの世界から消し去るか、そもそもこの世界自体を無かったことにしても構わない。それを君に委ねる」

男「……俺なんかが、そんなこと決められるわけない」

スーツの男「決めなければならない。なんなら世界を再び作ったっていい」

少女「男……」

男「少女も言ってやれよ。俺には大きすぎる話だろ?」

少女「……私は、力なんて」

男「ん?」




少女「私は、力なんていらないと思う」

男「少女……」

少女「力なんてなければ、犠牲になる人もいなかった」

少女「力なんてなければ、戦う必要もなかった」

少女「今みたいに私達の存在を知って怯える人もいないし、力がなければ幸せになれた人だっていたと思う」

意識を失ったままの支部長を一瞥する。

男「……」

少女「でも、力があったから男と会えた」

少女「それだけで私は十分。どっちかなんて選べない」

男「……」

少女「できれば……こんなのなかった世界で男と知り合ってみたかったけどね」

少女「だから、選ぶのは男に任せる。私にとって一番の幸せは今だから。でもそういうわけにもいかないから」

男「……少女」

スーツの男「なに、今すぐってわけじゃない。引き延ばしにされても困るけど、家に帰ってゆっくり考えてからでもいい」


男「……いや」


男「もう、決めた」

スーツの男「……そうか」

男「少女。俺も……こんな力、いらないと思ってたんだ」

少女「……」

スーツの男「でも、それじゃ君も消えてしまうよ?」

男「わかってる。改変は自由なんだろ?」

男「少女のおかげで、踏ん切りはついたんだ」

少女「男……」

スーツの男「それじゃ、任せるよ」

男「ああ。俺は……」


***





友「おっせーなぁ……まだかよ」

女「さっき寝坊したってメールあったばっかし、そろそろ来るんじゃない?」

友「お詫びとしてこの前の講義のノートをだな……」

女「お詫びもなにもいつも見せてもらって……あ、あれかな?」



男「わりーわりー!待たせて悪かっ……」

友「遅刻!罰金!」

女「それはちょっと古いんじゃないかな」

視界の端を、黒いものが掠める。

友「罰としてまず講義のノートを……」

長く、風に靡く綺麗な黒髪。

女「男くんのことだら夜遅くまで勉強して……」

無駄な肉が無い様な細い身体。

友「おい、聞いてんの……」

ふと、こちらを向く。
不意に交錯する視線。



少女「……?」




男「お、可愛い子みっけ」



おわり

くぅ~疲、ここまでよんでいただきありがとうございました
最後の投下に限って全レス書き込みエラーという嫌われ様。ちゃんと書き込めてる……よね?


有難う!
文章書くのが苦手な自分克服のためにSSというものを書いてみたが、まだまだだと判明した!
読みにくい箇所も多々あったと思うけど最後まで読んでいただけてよかった
精進します

少ししたらhtml化出してきますね

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