冬馬「暇だな」P「俺は忙しいけどな」(257)

冬馬「じゃあなんで961にいんだよ。事務所戻って仕事すりゃいいじゃねーか」

黒井「全くだ」

P「ここでの休息は重要なんですよ。コーヒーくれ冬馬」

冬馬「自分でいれろよ……」

翔太「へーほーふーん」

北斗「テレビにかじりついて何みてるんだ?」

翔太「南の島だってさ! 北斗君行ったことある?」

北斗「俺はないな。現地のエンジェル達には興味あるけど……プロデューサーさんは?」

P「あぁ、それなら今度」

ガチャ

三条馬「皆、次の仕事が決まったわよ!」

このSSは以前投下した下記のSS内容を一部引き継いでいます。

律子「あなたを拘束します!」P「な、なんだと!?」

北斗「おかえりなさい、961プロに最近入社したマネージャーの三乗馬静(26)さん」

翔太「お帰り~」

冬馬「うぃっす」

P「お疲れ様です」

三条馬「あ、どうも……って何でナチュラルに765がいるんですか! 帰ってください!」

P「酷い言われようですね……」

黒井「それよりも決まったとは、例の件か?」

三条馬「はい!」

冬馬「何の話してんの? ライブでもやんのかよ」

三条馬「そう、ライブよ! 場所は南国のリゾート地!」

翔太「えっ!?」

P「おっ、ということは」

黒井「ウィ」

三条馬「南の島の音楽祭! シャイニーフェスタに招待されたのよ!」

冬馬「へぇ……バケーションアイランド国際音楽祭だって」

北斗「国際とはまた大きな舞台だな」

翔太「ジョバちゃんジョバちゃん! 本当に行くの!?」

三条馬「マジよマジ!それも二泊三日!」

三条馬「あ、765プロさんには関係ない話をしてしまったかもしれませんね。ふふん」

黒井「ノンノン。当然765プロも参加するよ三条馬君」

P「今朝正式に招待されましたよ。アイドル達に説明するのは明日ですけどね」

三条馬「えっ」

冬馬「んだよ765に負けてんじゃねーか」

北斗「ドンマイ静さん☆」

三条馬「え、あの、その……ごめんね?」

黒井「とにかく、ご苦労だった三条馬君。今日はもうあがっていいぞ」

三条馬「でも当日のスケジュール調整とかセトリを考えないと」

冬馬「引率は社長だし、後はこっちで勝手にするから」

三条馬「は?」

翔太「?」

三条馬「確認なんですけど、私も行きますよね?」

黒井「君は待機だ」

三条馬「あ、ホテルで待機ですか? 用意してきたパンフ持ってきましょうか?」

黒井「961プロで待機だ」

三条馬「そ、そんな……! せっかく……せっかく……」スルスル

三条馬「水着も買ってきたのに……!」バッ

冬馬「遊ぶ気満々じゃねーか」

P「というか既に着てるとかちょっと……」

三条馬「プールや遊園地もあるんですよ!」

翔太「ジョバちゃ~んこれ遊びじゃないんだよ?」

三条馬「君達がそれを言うのね……」

三条馬「はぁ……それじゃ帰りますね……お疲れ様でした……」トボトボ

三条馬「ちらっ!」

黒井「待機だ」

北斗「チャオ☆」

三条馬「くぅ! 765プロの馬鹿! イケメン!」ダッ

P「なんでうちの悪口言われたんだ」

北斗「ところで765プロは誰が出るんです? 竜宮小町ですか?」

P「いや、うちは先方から組み合わせの指定を受けててな」

黒井「ほう」

P「カルテットで3グループ作ったんだ」

翔太「カルテットって何人?」

北斗「4人だな」

冬馬「一人余ったのは我那覇か……俺達と一緒に参加させてやるか?」

P「響は伊織達のユニットにちゃんと入ってるよ。そこだけ5人編成でな」

翔太「ほんとに響さんだったんだ……」

北斗「悪意はないさ。多分」

冬馬「それより、久々に俺達が動くんだよな」

北斗「律子ちゃんに絞められてからは、また休止状態でしたからね」

翔太「楽しみだねっ!」

P「あぁ、P.Kジュピターの復活だ!」

P.Kジュピターとは

961プロ所属のジュピターに黒井祟男と765プロのプロデューサーが参加した

新感覚アイドルユニットのことである。

前回の我那覇響聖誕祭では、怨敵秋月律子と手下の水瀬伊織の手を掻い潜り

漸くの勝利を収めるも、やはり彼女達の理解は得られなかった。

だが彼らは諦めない。アイドルに敗走の文字はないのだ。

P.Kジュピターの伝説が再び始まろうとしている――

翔太「765のみんなって、ユニット名も新しく決めるの?」

P「そうだぞ。ハニーサウンド、ファンキーノート、グルーヴィーチューンだ」

P「まだ公表してないから口外するなよ」

冬馬「かっけぇ!」

北斗「その音楽祭はどういった内容なんですか?」

黒井「簡単に言えば、それぞれ曲を披露してファン投票で順位を決める形式だな」

冬馬「実力勝負なら俺達が負ける訳ねぇぜ! なぁプロデューサー!」

P「あぁ! 本当のアイドルを見せてやろうじゃないか!」

翔太「プロデューサーさんも765プロなのにね」

P「アイドル達の仕事もちゃんとするさ。むしろ最優先だぞ」

冬馬「クビになったらなったでうちに来ればいいんだって」

P「不吉なこと言うなよ……」

黒井「なるほど新ユニットか……」

北斗「何を考えてるんです?」

黒井「フフフ……」

翌日

P「ということで次の仕事は南の島だ!」

律子「新しいユニット構成と楽曲は各自で目を通しておいてね」

真 「ボク達はグルーヴィーチューンだってさ」

雪歩「どういう意味なんだろうね」

千早「世界中の人達と音楽を共有できるなんて夢みたいだわ!」

響 「あれ? 自分はどこだ?」

あずさ「響ちゃんはやよいちゃん達と一緒ね」

美希「ハニーと沖縄行けるの!? やったやったやったぁ!」

P「遊びじゃないんだぞ……」

伊織「交通費とか大丈夫なの?」

小鳥「主催者側が出してくれるからバッチリよ!」

高木「私と音無君は実費になるがね」

小鳥「えっ」

高木「ただの観客扱いだよ……」

春香「千早ちゃん、私達のユニットのメンバーって」

千早「もしかして律子も出るの?」

P「そうだぞ。主催側からの強い希望でな」

律子「まぁ頼まれたら断るのもほら、悪いじゃない?」

響 「にやけてるぞー律子っ!」

律子「う、うるさい! 仕事だから仕方なくよ、仕方なく!」

春香「久しぶりに律子さんのアイドル姿が見られるんですね!」

あずさ「楽しみね~」

真美「ねぇやよいっちー帰りにお菓子買いにいかない?」

やよい「行く行く!」

律子「そういえばプロデューサー」

P「何だ? 資料なら今音無さんにコピーしてもらってるけど」

律子「この音楽祭にはジュピターも出るんですか?」

P「いや、ジュピターは今回出ないよ」

律子「本当ですか? またうちの演目を潰されるなんて御免ですからね」

P「だ、大丈夫だって」

伊織「そもそもなんで出ないって知ってるのかしら」

P「うぐっ……伊織のくせに痛いとこ突いてくるじゃないか」

伊織「あんた達が名乗ってるへんちくりんなユニットも参加しないのね?」

P「あぁ、信じてくれ! 今回ジュピターもP.Kジュピターも音楽祭に出場しない!」

律子「それなら安心ですけど……」

黒井「そこで国際音楽祭用に考えたユニット名がこれだ」

翔太「グレイスフルリズム? なにこれ……」

黒井「セレブだろう?」

冬馬「かっけぇ!」

北斗「ようするに765プロに対抗したかっただけなんですね」

黒井「ウィ。ジュピターというブランド無しでも敵を粉砕できることを教えてやれ」

冬馬「正面切って765と競うなんて久しぶりだぜ」

翔太「ぎゃふんって言わせちゃおーよ!」

黒井「高木の驚く顔が目に浮かぶようだなはーっはっはっは!」

北斗「参加者の一覧とかはないんですか?」

黒井「現地で配布されることになっている。かなりの人数が参加しているらしい」

翔太「天ヶ瀬冬馬、伊集院北斗、御手洗翔太、他って書いてるけど」

黒井「敵の目を欺く必要もあるからな」

………

あずさ「と、言うことで~」

春香「プロデューサーさんっ!、南の島ですよっ!南の島っっ!」

亜美「お勤めご苦労はるるん」

雪歩「外国の人がいっぱいだね……」

やよい「見てくださいー! お菓子もらっちゃいましたっ!」

律子「さて、ここからは一旦別行動をとるわよ。それぞれ前準備をしないとね」

真美「えぇー!? 皆で観光しないのー?」

美希「ハニ……プロデューサーは誰と一緒にいくの?」

P「俺は少し用事があるから、一旦一人で行動するよ。その後は美希達と合流予定だ」

貴音「私達は、どこか店に入りましょうか」

真 「さすがにラーメン屋はないからカフェでも探そうよ」

P「響は伊織達を頼む。何かあったら俺か社長を呼んでくれ」

P「伊織だけだと突っ走りそうだから、響がストッパーになるんだ。重要だぞ」

響「大丈夫だよ! ユニット最年長の自分に任せるさ!」

北斗「プロデューサーさんも現地入りしたみたいだぞ」

冬馬「了解っと。それよりSEって俺達で指定できんの?」

黒井「そのあたりは現地のスタッフが決めるそうだ」

翔太「燃えてるねー冬馬君」

冬馬「まぁな! 世界中のやつらが見てくれるんだ。気合入るってもんだぜ!」

北斗「俺プロデューサーさん迎えに行ってくるよ」

翔太「行ってらっしゃーい」

冬馬「翔太はさっきから携帯いじって何やってんだ」

翔太「ジョバちゃんに写メ送ってるんだよ!」

黒井「なんという鬼畜さだ」

冬馬「やめてやれよ……」

P「なんだこの格差……俺達のホテルより断然豪華じゃないか。皆はどこだろう」

北斗「チャオ☆プロデューサーさん」

P「お、迎えに来てくれたのか北斗。助かるよ」

P「てっきり遊びに出てるかと思ったが仕事中とはな」

北斗「冬馬が燃えてるんですよ。想像以上に活気がありましたからね」

P「本当に世界各国の人が集まってるからな」

P「それより参加者一覧見たか? 結構面白いぞ」

北斗「もう配布されてるんですか?」

P「入ったときにスタッフさんが配ってたけど受け取らなかったのか?」

北斗「スルーしちゃったのかな……」

北斗「まぁ、部屋でゆっくり見せてもらいますよ。こちらです」

春香「うーん」

あずさ「困ったわね~」

千早「……」

律子「ほら、千早もちゃんと考えなさい。本番まで時間がないんだから」

千早「曲の演出なんて私にはどうしたらいいのか」

春香「そこを何とか考えないとダメなんだよ千早ちゃん」

あずさ「いい案ないかしら~?」

千早「配布された資料に目を通しているけど、特に演出の制限はないみたいね」

律子「制限がないってセットも好きなの使っていいの?」

千早「ええ」

春香「へぇー私そこまで読んでなかったなー。あ、それ参加者リスト?」

千早「見る? 私はこういった表現あまり好きじゃないわ」

律子「そういえば自分達のことばかりで、まだ確認してなかったわね」

あずさ「沢山いますね~」

春香「どれどれ……?」

渋谷凛 ランクB

高垣楓 ランクS

春香「ランク付けされてるの?」

千早「何を参考にしてるのかしらね」

春香「私達はSSだって! すごいですよねあずささん!」

あずさ「なんだか恐れ多いわ~」

律子「ユニットはもしかして私達だけなのかしら」

あずさ「あ、一組見つけましたよ」

グレイスフルリズム SSS

律子「聞いたこと無いユニットね」

千早「国際音楽祭なのに、なぜ殆どが日本人なのかしら」

春香「そ、それ以上言わないほうがいいよ千早ちゃん……」

冬馬「ま、妥当なとこだろ」

翔太「SSSって僕達しかいないじゃん! もっと喜ぼうよ!」

黒井「当然過ぎて喜びようがないなはーっはっはっは!」

翔太「それが喜んでるって言うんだよクロちゃん……」

冬馬「765は全員SSか。俺達程じゃねぇが流石に抜けてんな」

P「げっ! 俺達のリハって律子達の直前じゃないか!」

北斗「今から変更は難しいと思いますよ」

P「うまく誤魔化すしかないか……」

黒井「やはり用意してきて正解だったようだな」

冬馬「あんたのために色々準備してきたんだ。変装七つ道具だぜ」

P「よくわからないけど助かるよ……」

北斗「プロデューサーさんの今日の予定は?」

P「美希達と合流して曲の演出を練った後、真美達と遊園地を回ってそのまま夕食だな」

P「途中なんとか時間を作ってリハには出るようにするよ」

冬馬「忙しすぎだろ」

P「律子が歌う側な以上あまり負担はかけられないしな……」

黒井「よし、大体方向性は決まったな。リハーサルまで時間もあるし少し出るか」

翔太「やったぁ!」

P「あ、じゃあ俺はもう行くよ。美希達のサポートにつかないといけないからな」

北斗「頑張ってくださいね」

P「これでもプロデューサーなんだぞ俺は。じゃあ皆また夜に会おうな」

黒井「初日で力尽きたりするなよ」

翔太「行ってらっしゃーい」

ホテル前

P「メールではここに集まるようにって書いてたけど……」

美希「ハニ、じゃなくてプロデューサーお待たせなの! 待った?」

P「5分くらい待ったかな」

美希「そこは今来たとこだよって言ってほしかったって思うな」

P「悪い悪い。さ、時間もないんだし早速作戦会議だ!」

真 「そのことなんですけど、プロデューサー!」

P「な、なんだ?」

雪歩「わ、私……私達と!」

貴音「結婚のABCをしてください」

冬馬「Cィイイイイイ!?」

P「け、結婚!?」

美希「違うの! 恋のABCなの!」

真 「それに今はABC関係ないよ……」

貴音「そうでした。私達と逢引していただきたいのです」

雪歩「い、今変な声聞こえなかった?」

真 「あぁ、この島にいるなんとかネコってやつじゃないかな」

翔太「ニャーニャー!」

北斗「フシャー!」

真 「ほら、後で探してみようよ」

翔太「……ちょっと冬馬君! バレちゃうでしょ!」

黒井「スパイに行くと言い出したのはお前なのだからな」

冬馬「いきなりエンディングに突入するのかと思ったぜ……」

貴音「実はこれこれこういうことで……」

P「あぁつまり歌詞を深く理解するために恋を体験したいんだな」

真 「はい! だからプロデューサーには明日1日付き合ってもらいます!」

P「俺なんかで勤まるのかな……」

北斗「なら真ちゃんは俺が!」

翔太「だ、ダメだよっ!」

北斗「離せ翔太! 冬馬! なんでいつもプロデューサーさんばかり!」

冬馬「アホか! 今出て行ったら四条に殺されるぞ!」

雪歩「ね、ねぇ……やっぱり変な声が……」

黒井「ニャー!」

貴音「響に聞いたことがあります。この鳴き声はこの地にのみ生息するヤマネコの類だと」

真 「それさっきボクが言ったよ」

貴音「なんと」

P「とにかく明日だな。このメモ通りに動けばいいんだな?」

美希「絶対遅れないでね! ヨロシクなのっ!」

黒井「プロデューサーが移動するぞ」

冬馬「そういやリハの時間だな」

リハーサル会場

春香「うわぁー! 想像してたより大きい会場ですね!」

あずさ「ここにファンの皆が集まるのね~」

千早「外壁には参加するアイドル達の看板が立て……」

[ 5人の恋をはじめるポーズ ]

律子「どうしたの? 固まってるけど」

千早「何でもないわ。ふふっそういうことですか」

春香「千早ちゃん?」

千早「楽しみね。春香」

春香「? そうだね?」

冬馬「お、あんた達もう来てたのか」

黒井「毎度のことながら働き蟻のような連中だな」

律子「げぇっ! 黒井社長に天ヶ瀬冬馬! 」

翔太「僕もいるよー!」

北斗「チャオ☆ハニーサウンドのエンジェル達!」

あずさ「あらあら~こんにちは~」

北斗「あずささんは相変わらず可愛いな……」

律子「ジュピターは参加しないはずじゃなかったの!?」

冬馬「参加しないぜ。なぁ?」

黒井「ウィ。今日の私達は961プロのジュピターではない」

謎の覆面「俺達はグレイスフルリズムだ!」

律子「……」

春香「……」

あずさ「あら~プロデュむぐぐ」

千早「初めまして。765プロの如月千早です」

春香「えぇー……」

律子「覆面のアイドルなんて聞いたことありませんが、961プロの関係者ですか?」

春香「えぇー!?」

小鳥「社長ー! 今会場のモニタ映ってるんですけど春香ちゃん達出てますよ!」

高木「おぉ! ハニーサウンドの面々と……嫌な男の顔を見てしまった……」

小鳥「あ、黒井社長。やっぱり来てたんですね」

小鳥「後ろのキン肉マンマスクのスーツって間違いなくプロデューサーさんですよね」

高木「彼も音楽祭に参加するつもりなのか……」

小鳥「普通に業務もこなしてますし、大目に見てあげてもいいんじゃないですか?」

高木「まぁきちんとルールに則って参加している以上口出しはできないな」

小鳥「ところで毎回思うんですけど、何で社長はお呼ばれしないんでしょうね」

高木「彼に聞いてくれたまえ……私は疲れた。少し休むとするよ」

小鳥「はーい」

春香「ちょっと律子さん冗談ですよね? この人どう見ても」

律子「コラ春香! 初対面の人にそんな態度はないでしょう?」

春香「しょ、初対面じゃ……うぅ、ごめんなさい……」

覆面「これから俺達のリハーサルなんだけど、皆は?」

律子「あ、はい。あなた達の後で歌わせてもらいます」

覆面「ここは世界中の人々が集まる場所なんだ。お互い過去の遺恨は忘れて正々堂々歌おう」

律子「は、はい!」

北斗「そろそろ準備しないと。あずさちゃん俺達のダンス見ててね!」

冬馬「あんたらのリハも楽しみにしてるぜ」

黒井「アデュー!」

あずさ「プロデューサーさん~頑張ってくださいね~」

律子「あの覆面只者じゃないわね……燃えるわ!」

春香「もうどうでもいいや……」

覆面「出会ってくれてぇ ありがとぉー!」

デン!

律子「大砲から飛び出したり3DCGを使ったり……ここまで大掛かりなセットを用意するなんて」

律子「私達もワイヤーで空を飛ぶくらいしたほうがいいのかしら」

春香「今の歌でも気づかないんですか? 本気で言ってますか?」

律子「歌? そういえば聞いたことあるような……うっ頭が……」

春香「そうですか……」

あずさ「あまり根を詰めないでくださいね律子さん」

千早「……」

春香「何書いてるの?」

千早「今のリハーサルを聴いた上での改善点をね」

春香「……千早ちゃんってプロデューサーさん達の味方なの?」

千早「私は歌を愛する人全ての味方よ」

春香「違った場面での台詞なら格好いいのに……」

北斗「お疲れ様でした。飲み物貰ってきましたよ」

黒井「ご苦労。このペースで調整すれば本番ではベストで歌えるだろう」

P「あっつぅうううう!! 覆面ってめちゃくちゃ暑いぞ!!」

翔太「律子さん達うまく誤魔化せてよかったね!」

冬馬「あーあ汗垂れてんじゃねーか……ほら、顔貸せよ」

P「サンキュ……次は伊織達のとこに行かないと」

翔太「大丈夫なの? フラフラだけど」

P「俺はプロデューサーだからな……コーヒーカップくらいならなんとか倒して見せるさ」

冬馬「倒してどうすんだ倒して」

黒井「貴様が倒されんようにな」

P「どうも……それじゃ行ってくるよ」

北斗「俺達どうします? このまま戻りますか?」

冬馬「秋月達のリハ見てからゲーセン行こうぜ! さっき見つけたんだよ!」

翔太「子供だねー冬馬君は」

真美「あ、兄ちゃん来たよ! HEY兄ちゃーん!」

亜美「遅いYO!」

P「わ、悪い……色々やることが重なっててな……」

伊織「ちょっと酷い顔色じゃない。大丈夫なの?」

P「大丈夫だよ……ふぅ。さ、行くか」

やよい「本当に大丈夫なんですか?」

P「大丈夫だって。ところで……」

長介「こんにちはー」

かすみちゃん「こんにちは!」

P「なんでこの子達までいるんだ?」

伊織「にひひっ私が大サービスで連れてきてあげたのよ」

P「音無さん達も一緒に連れてあげればいいのに……」

伊織「小鳥達は大人だから自分で何とかできるでしょ? 弟君達はまだ子供だしね」

響 「じゃあ遠慮なく遊ぶぞー! 行くぞ皆! まずは急流滑りだ!」

P「わっ! お、おい引っ張るなって! 」

……

………

春香「だ、大丈夫ですか?」

P「なんとか……」

響 「絶叫マシーン苦手なら言ってくれればよかったのに」

P「苦手じゃなくても、ずっと飛んだり跳ねたりしたら堪えるって」

小鳥「うーんノンアルコールなのが辛いところですねぇ」

高木「子供達の前だしね」

やよい「はわっ! 美味しいですーーーっ!!」

貴音「あの、おかわりは……え、ない? そうですか……」

律子「そういえばリハーサルですごいアイドル見つけたんですよ」

律子「ダンスも歌も並なのに只ならぬ雰囲気を出してたわ……」

P「そんなやついるのか。世界はすごいな。な、春香!」

春香「ははっ」

伊織「あんた達は今日何してたの?」

美希「ハニーとデートのイメージトレーニングしてたの」

伊織「はぁ?」

あずさ「伊織ちゃん達はどうしてたのかしら」

伊織「わ、私達はしっかり演出を練って……」

真美「フリーフォール10回連続で乗ったんだよ!」

亜美「メッチャ楽しかったNE!」

あずさ「あらあら~楽しそうで何よりだわ~」

真 「遊んでたんだね」

伊織「あ、明日やってやるわよ!」

雪歩「あの、後でお茶淹れましょうか?」

P「ありがとな……でも俺この後すぐ行かないといけないんだ」

律子「まだ仕事残ってるんですか? きついようなら私に回してくれても」

P「大丈夫だって。律子は律子達のことだけを考えてくれ」

高木「私からは止めたりはしないが、本業に支障がでない程度にしてくれよ」

P「ありがとうございます!」

真 「明日はボク達とデートですけど、日を改めたほうがいいですか?」

P「いや、俺の事情で皆の日程を遅らせるわけにはいかない。明日は予定通り進めるぞ!」

春香「デート? デートってなんですか? ねぇ真! デートって何するの!?」

美希「ハニーってばそんなにミキのこと考えてくれて……!」

春香「なんで美希達ばっかり……ハニーサウンドなんて超名前負けじゃないですか……」

雪歩「ご、ごめんね……」

P「それじゃ俺は行くから皆は楽しんでてくれ」

響 「あ、プロデューサーそれ食べないのか? 自分貰ってもいい?」

P「あぁ、いいよ」

真美「やったー! いっただきぃ!」

響 「あぁー! ズルいぞ真美! 自分が貰っていいか聞いたのに!」

亜美「その隙にひびきんのエビもーらいっ!」

響 「あぁーーー!?」

P「さて……今行くからな……」

千早「あ、プロデューサー。これを」

P「なんだこれ」

千早「採点結果です」

ガチャ

冬馬「お、来たみたいだぜ」

翔太「お疲れ様ー! プロデューサーさん!」

P「お疲れ様。待たせて悪かったな」

黒井「随分消耗しているな」

P「色々ありましてね……」

北斗「とりあえず掛けてください。飲み物何がいいですか?」

P「雪歩のお茶」

冬馬「ねーよ」

翔太「リハでかなり体力使っちゃったからかなぁ」

P「でも休んでる暇もないんだ、レッスンを始めよう。ここってスタジオあるのか?」

冬馬「カラオケルームならあるけど、もう使用時間過ぎてるぜ」

P「どうするかな……」

翔太「全員で練習できるのって夜くらいだから難しいね」

北斗「この時間の海岸なら誰もいませんし、迷惑にならないんじゃないですか?」

黒井「そうだな。少し歩くが……」

P「だ、大丈夫です」

翔太「もう行くの? UNOとか持ってきたんだけど一緒にやろうよ!」

P「練習終わったらな。まずは本番に備えて調整だ」

律子「さて、明日も早いんだし今日はもう寝るわよ」

あずさ「そういえばお昼にスタッフさんに教えてもらったんですけど」

春香「どうしたんですか?」

あずさ「この島って人魚がいるそうなのよ~」

律子「人魚ですか」

あずさ「ここの海には美しい人魚がいて、夜になると浜辺で歌うそうなんです」

春香「なんだかロマンチックですね~」

あずさ「そしてその歌声を聴いた人は異性にモテモテになるらしいんですよ!」

千早「モテモテはともかく人魚の歌には興味があるわね」

律子「今頃歌ってたり……なんて」ガララ

きっみが触れたっからー!なっないっーろボータンッー!

全てを恋でそ・め・たよー!

ピシャ

律子「寝ましょう。疲れてるみたいだわ」

春香「は、はい……」

P「ちょおっとぉ! ゆ・だ・ん! してれぅ! ……どうだ?」

北斗「今のテンポでいいと思いますよ」

冬馬「いきなり全力でいくなよ。バテちまうぜ」

翔太「千早さんメモ其の16。1メロが半音ズレていた」

北斗「よくもまぁここまで指摘できる点が見つかるな。自信無くしちゃうよ」

P「千早は歌のプロフェッショナルだからな」

P「この前格好つけて適当なクラシック聴いてたら話が弾んで大変な目にあったよ」

黒井「それは貴様のせいだろう……」

冬馬「おし! 次は俺達も入って一度流してみようぜ!」

北斗「砂浜で踊るのって脚にキそうですね……」

P「ほら、漫画であっただろ。重力を倍にして特訓するやつ」

P「あんな感じで砂浜で通常のステップ踏めるようになればきっとレベルアップするぞ」

翔太「千早さんメモ其の30。アップもせずに身体に急激な負担をかけることはしないように」

P「……通す前にストレッチするか」

冬馬「もう改善点とかじゃなくて普通のアドバイスじゃねーか」

P「はいサンハイサンハイ!」

黒井「ふーっ! ふーっ!」ドスドス

北斗「あれ?」

冬馬「動きづれぇー! っておい北斗サボるんじゃねーよ!」

北斗「いや、あっち見てみろよ」

翔太「んー?」

伊織「……」キョロキョロ

黒井「ふーっ……あれは水瀬のところの娘か?」

P「伊織? こんな夜中にに出歩いて何やってるんだあいつ」

黒井「夢遊病とは不気味な女だ」

P「そんなわけないじゃないですか……俺ちょっと行ってきます」

冬馬「んじゃ今日はもう解散な。明日も予定ガッツリあるんだろ?」

P「っとそんな時間か。じゃあ俺このまま伊織送って帰るんで」

翔太「えぇー? UNOはー?」

北斗「チャオ☆」

伊織「無い、無いわ……」

P「伊織!」

伊織「あ……」

P「こんな時間に何やってるんだ? 一人で出歩いたら危ないじゃないか」

伊織「え、えっと……そう、散歩よ! 少し寝付けないから散歩に来たのよ!」

P「こんな海岸まで一人でか?」

伊織「そうよ……悪い?」

P「……とにかく明日も仕事があるし帰ろう。送っていくよ」

伊織「ええ……」

翌日

P「痛てて……」

あずさ「湿布だらけですねプロデューサーさん……昨日歩きすぎたのかしら」

P「次の日にくるだけ良いってものですよ……音無さんなら」

小鳥「私なら明後日にくるって言いたいんですか!? あんまりです!」スパーン!

P「うひゃあ! もっと優しくしてくださいよ!」

春香「そういえば美希達がいませんけど、もう出発しちゃったんですか?」

P「あ、あぁ。俺が遅れて行かないとダメらしい」

やよい「あのー伊織ちゃんまだ来てないんですか?」

律子「そういえば見てないわね」

真美「真美達にあれだけ言っておいて寝坊とはいい身分ですなぁ」

亜美「これは教育が必要ですなぁ」

P「伊織か……やよい、悪いけど様子見てきてくれるか?」

やよい「はいっ! 行ってきますねー!」

律子「それでは私達も色々考えがあるので、お先に出発しますね」

P「あぁ。頑張れ」

春香「行ってきますプロデューサーさん!」

P「人前で転ばないようにしろよ春香。あ、千早!」

千早「はい?」

P「アドバイス助かったよ。参考にさせてもらうからな」

千早「お役に立てたようでなによりです」

あずさ「千早ちゃ~ん。皆待ってるわよ~」

千早「それではプロデューサーも良い一日を」

P「さて……伊織の様子を確認したら俺も行くかな」

響 「随分のんびりなんだな。貴音達怒るんじゃないか?」

P「レッスンスタートは昼からだから、午前中はゆっくりできるんだよ」

亜美「暇なら亜美達の曲プロデュースしてよー!」

P「できるだけ自分達で考えて、どうしても難しいなら手伝うさ」

やよい「あ、あのプロデューサー」

P「お、悪かったなやよい。伊織はちゃんと起きてたか?」

やよい「それが……」

伊織「遅くなってごめんなさい……。もう大丈夫よ」

真美「んぅ?」

P「大丈夫って、やっぱり何かあったのか?」

響 「どうしたんだ?」

伊織「ううん。何でもないわ。それより昨日遊んだ分今日はしっかり練習しましょ」

亜美「どう思います旦那」

P「何か隠してるのは間違いないとは思うが……俺はもう行かなくちゃならないし」

P「今日亜美達はステージのほうに行くんだよな?」

亜美「そうだよー」

P「よし、一応連絡だけはしておくか」

P「それじゃ俺は行くけど、何かあったら携帯に連絡してくれ」

響 「う、うん」

冬馬「はぁ食った食った……んじゃそろそろ練習するか」

翔太「えぇー? 今日はプールに行くって言ってたじゃん!」

黒井「今日のメニューをこなしてからだぞ」

翔太「そんなのもう寒くて入れないよっ!」

北斗「温水プールらしいから夕方からでも大丈夫さ」

翔太「大体僕達もう曲の構成演出全部完成してるんだよ?」

翔太「あとはプロデューサーさんと調整するだけなんだからさー」

北斗「我侭言うなって。プールくらいならいつでも……ん、そのプロデューサーさんからメールだ」

冬馬「あの人今日はデートイベントだろ確か」

北斗「ヘルプ依頼だったりしないかな……!」

翔太「ないない」

黒井「どうだ?」

北斗「デートではないですけど、エンジェル達の救援要請みたいですね」

冬馬「救援?」

遊園地前

P「13時に遊園地、15時にカフェ、17時に展望台で19時にプールか……過密すぎるぞ」

雪歩「あ、あの……」

P「伊織達大丈夫かな……」

雪歩「あの、プロデューサー!!」

P「わぁ!?」

雪歩「あ、ご、ごめんなさいぃ……」

P「あ、いや。こっちこそごめんな。最初は雪歩か」

雪歩「私も美希ちゃんみたいにまでは言わないけど……こ、恋を経験してみたくて」

P「……これもステージのために必要なことなんだよな。あくまで仕事としてだよな」

雪歩「はい……だ、ダメでしょうか」

P「ダメなわけないだろ。むしろ雪歩のお相手をできて光栄だよ」

P「さぁ、行こう」

雪歩「あ、ありがとうございます!」

ステージ前

響 「伊織。ねぇ伊織ってば」

伊織「あ、ごめんなさい。なにかしら」

やよい「やっぱりおかしいよ伊織ちゃん。何があったの?」

伊織「なんでもないわよ。ほら、準備しましょ?」

やよい「っ!」

やよい「嘘ついてるよ伊織ちゃん! 私それくらいわかるもんっ!」

伊織「……」

真美「や、やよいっち落ち着いてってば……」

響 「ど、どうしたらいいんだこんな時……学校では習わなかったぞ……」

冬馬「救援ってこういうことかよ……俺達はパシりじゃねーんだぞ」

北斗「穏やかじゃないな」

やよい「あ……」

亜美「961プロの火星!」

冬馬「ジュピターは木星だ! わざわざ日本語で間違えんなっ!」

黒井「三文芝居はどうでもいいとして、貴様等のプロデューサーから連絡を受けてな」

亜美「あぁーそういえば連絡がどうって言ってたような」

響 「というか961プロも参加してたんだな」

北斗「何か困ってるらしいじゃないか。どうしたんだい?」

翔太「プロデューサーさんのお願いだし、僕達にできることならなんでもするよっ!」

伊織「別に……困ってることなんてないわよ」

やよい「伊織ちゃん!」

冬馬「一人で抱え込むのは良くねぇぞ」

北斗「もしかして、昨日の夜出歩いてたのと関係してるのかな?」

伊織「う……」

響 「夜? なんのことだ?」

翔太「僕達昨日浜辺にいたんだけど、その時伊織さんが歩いてるの見たんだよね」

北斗「俺の見立てでは何か探し物をしてるみたいだったけど」

黒井「ウィ。例えばそうだな……携帯電話、ステージパス、財布」

伊織「こ、この伊織ちゃんがそんな大事なもの落とすわけないじゃない」

黒井「あとは貴様が連れているあの詰め物――」

翔太「ぬいぐるみでしょ……」

真美「そういえば今日シャルルいないね」

伊織「……!」

亜美「練習のときも隅っこで座ってるのにどうしたの?」

冬馬「シャルルってなんだよ高槻」

やよい「伊織ちゃんといつも一緒にいるウサギのぬいぐるみなんですけど……」

伊織「……そうよ。居なくなっちゃったの」

伊織「シャルルがどこにも居ないのよ……」

やよい「それで落ち込んでたんだね伊織ちゃん……」

響 「じゃあ探しに行かなきゃ! きっとシャルルも寂しがってるぞ!」

伊織「でも今はいいの。昨日あれだけ遊んだんだから今日は練習しなくちゃ」

やよい「そんなの……ダメだよっ!」ダッ

翔太「やよいちゃん!?」

やよい「私、シャルルを探してきます!」

伊織「それこそダメよ。 ステージは明日なのよ?」

伊織「961プロももういいから、どっか行きなさい。敵の探し物をする必要なんてないでしょ?」

黒井「大いにある。貴様達がやる気の無いままステージに立たれるとこちらも迷惑だからな」

冬馬「なんだ探し物か。そうならそう言えよな」

北斗「いつまでシャルルちゃんを抱いてたか覚えてる?」

伊織「……昨日は皆と遊んで、ご飯を食べてそのまま部屋に戻って」

伊織「気づいたらいなかったわ……」

真美「総力戦ってやつですな」

黒井「ウィ。手分けして探すしかあるまい」

冬馬「プロデューサーに連絡入れるか?」

北斗「とりあえず春香ちゃん達には話しておこう」

北斗「響ちゃん、グルーヴ以外のメンバーに伝えてくれ」

響 「わ、わかった!」

真美「なんでゆきぴょん達には話さないの?」

北斗「彼女達は今夢物語の中にいるからね」

北斗「できるだけそっとしておいてあげたいんだ」

冬馬「正確にはデーむがが」

翔太「はいはい拗れそうなことは言わないでおこうねー」

響 「律子に電話したらすぐに来るって!」

冬馬「よっしゃ、高槻家は集合! 俺が指揮を取るぜ!」

長介「は、はい!」

かすみちゃん「はいっ!」

黒井「周辺の地図は用意できるか?」

やよい「パンフレットでいいならあります!」

伊織「なんでそこまでするのよ。た、たかが……」

伊織「……っ」

伊織「たかが、ぬいぐるみなのに……」

冬馬「そのたかがぬいぐるみでも、お前にとっては大切な宝物なんだろ?」

冬馬「どれだけ薄汚れた人形でも、厚く積もった雪道でも、俺は掘り当てるぜ」

翔太「何言ってるの冬馬君キモいよ」

北斗「女の子の悲しむ顔は見たくないんでね」

やよい「ほら、伊織ちゃん! 行こう?」

伊織「……うん」

黒井「では捜索隊を編成するぞ。エリアを決めて徹底的に洗え」

黒井「邪魔立てする輩は殺して構わん」

真美「ダメに決まってるっしょー!」

亜美「なんて恐ろしいおじさんなんだYO……」

黒井「おじさんじゃない!」

カフェ

P 「……」

真「プロデューサー?」

P 「……」

真「プロデューサー起きてますかー?」

P 「あ、す、すまん。なんだ?」

真「もうっ! 今日はせっかくのデートなんですから、もっとしっかりしてくださいよ!」

P 「ご、ごめんな……いつも以上に真が可愛くてボーっとしてたのかもな」

真「へへっそう言ってくれたら、お洒落した甲斐がありますよ!」

真「と、いつもなら言うところなんですけど。今日は少し事情が違いそうですね」

P 「え?」

真「話してください、プロデューサー。何を悩んでるんですか?」

P 「いや、でも今日は真達にとって重要な日だろ」

P 「俺も心を入れ替えてちゃんと挑むからさ。悪かったよ」

真「はぁ……プロデューサーは乙女心をわかってませんねー」

P 「お、乙女心?」

真「誰かが言ってたでしょう?喜びを人に分かつと喜びは二倍になり」

P 「苦しみを人に分かつと苦しみは半分になる、か? そんな言葉よく知ってるな」

P「少し使い方を間違ってる気もするけど……」

真「ボクは女の子らしさを追求してる修行者ですから! まぁ、そんなわけで」

真「彼女は彼氏の悩みを聞いてあげたくなったんですよ……へへっこれってすごく乙女チックですよね」

P 「彼氏の悩みか……そう言われたら言わないわけにもいかないな」

真「やーりぃ!」

P 「その喜び方はちょっとどうかと思うが、まぁいいか。実はな――」

真「なるほど……伊織の様子がおかしいと」

P 「どうでもいい悩みだといいんだけどな。翌日まで引き摺ってるとなると話は別だ」

真「ボクは今日伊織と会ってなかったからなぁ……同じユニットの子に聞いてみましょう」

P 「悪いな。せっかくのデートなのに」

真「これもカップルのやり取りのひとつですよ! あ、響? 今大丈夫?」

真「うん、うん……え? そ、それは大変だよ! うん、ボク達もすぐ行くから!」

P 「どうだった? やっぱり何かあったのか?」

真「伊織がシャルルを失くしたらしいんですよ! ボクも探してきます!」

P 「シャルルってあのウサギか。だから元気がなかったんだな……」

P 「よし、俺も行くよ」

真「あ、プロデューサーはダメですよ。これから展望台の予定でしょ?」

P 「 えっ? でも一人でも多いほうが探すのも楽だし、美希達にも話して今日は……」

真「全く……いいですか? プロデューサー」

真「いや、ここで説教するのは女の子らしくないかも。やっぱり止めときますね」

P 「なんだよそれ……気になるじゃないか」

真「いいからいいから! もう時間ですし、プロデューサーは行ってください!」

真「雪歩にはボクから伝えておきますから!」

P 「わ、わかったよ。本当にごめんな。この埋め合わせは必ずするからさ」

真「その言葉忘れないでくださいよっ! それじゃ楽しんできてくださいねー!」ダッ

P 「真には敵わないな……」

P 「さて、次は展望台か。どっちがいるのかな」

翔太「それにしても、よくクロちゃんが手伝う気になったよね」

冬馬「あぁ、正直おっさんは断るかと思ってたんだけどな」

黒井「甘いぞお前達。王者とは常に二手三手先を読むものだ」

黒井「これがきっと良い方向に繋がると思ってな」

北斗「強敵の伊織ちゃんを懐柔してしまえば後は律子ちゃんだけですからね」

黒井「ウィ。小娘どもの信頼を得るなど容易いことだ……はーっはっはっは!」

律子「ちょっとあなた達! 遊んでないでちゃんと動きなさい!」

冬馬「チッうっせーな」

律子「何ですって!」

翔太「反省してまーす!」ダッ

春香「まぁまぁ律子さん……今は少しでも人手が欲しいですから」

律子「ぐぬぬ……そういえば覆面さんがいないわね。彼はどこいったのかしら」

春香「今頃楽しんでるんじゃないですかね」

展望台

P「ふぅ……ふぅ……流石に、筋肉痛の足でっ展望台まで登るのは、しんどいな……」

貴音「お待ちしておりました。あなた様」

P「あ、やっぱり貴音だったか……早めに着いたのに待ってるなんてすごいな」

貴音「デートとはこのような駆け引きをするものだと、美希が言っておりましたから」

P「か、駆け引きか……ある意味そうなのかもな」

貴音「それと、ひとつ謝らなければならないことが」

P「謝る? なんだ?」

貴音「仲間の友が危機に瀕していると聞き、私も行かねばならなくなったのです」

P「仲間って……まさか伊織のことか?」

貴音「はい。響から連絡がありました」

冬馬「それでお前! 四条に言っちまったのかよ!?」

響 「わ、悪かったって言ってるだろ! 真が知ってるから皆知ってると思ったんだよ!」

翔太「うっわ~やっちゃったね……」

冬馬「アホ! お前のせいで今ひとつのフラグがへし折れたんだぞ!」

小鳥「でもそのまま貴音ちゃんルートに進んだらビターエンドなんじゃないかしら」

冬馬「あ、そうか……それ言えてるかもな」

かすみちゃん「フラグってなに?」

真美「確か英語でハタだったかな?」

響 「で、でも貴音が美希には言うなって言ってたから、バレたのは貴音だけだぞ」

冬馬「威張って言うんじゃねーよ! このミミガー!」

響 「ミミガーはないだろ! あんまり怒るともうブタ太に触らせてやらないからな!」

冬馬「ごめん」

律子「はいはいケンカはそこまで! 喋ってる暇があったら探す!」

P「そうか……それで、行くんだな」

貴音「折角の好機を活かせずに終わるのは口惜しいですが、皆の為なら致し方ありません」

貴音「まこと、損な性分ですね。ふふっふふふ」

P「でもそんな貴音を俺は尊敬するよ。ありがとう」

貴音「礼を言われるようなことは何もしておりませんよ」

貴音「それより、あなた様は美希とのデートに専念してください」

貴音「美希は文字通り恋に命を賭けていますから」

貴音「と、雪歩が言っておりました」

P「そ、そうか。貴音の女子力に驚くところだったよ」

貴音「さて、私も行くとしましょう」

P「あぁ。今度お詫びにラーメン屋でも何でも連れて行ってやるからな」

貴音「それは楽しみですね。では、また後程」

P「あとは美希か……」

プール

P「貴音とすぐ別れたから、かなり早く来てしまった」

P「一応メールは入れておいたが……いたいた。やっぱり目立つな」

P「おーい! 美希!}

美希「あ、ハニー!」

P「お、おい! 人前でハニーは止めろって言ってるだろ!」

美希「おっと、なの。ついテンション上がって口が滑ったの! あはっ☆」

P「はぁ。とにかく始めるか。プールでデートって何すればいいんだ?」

美希「一緒にプカプカ浮けばいいって思うな」

P「そんなもんか」

美希「そんなものなの」

P「はぁーこうしたゆっくりした時間は久しぶりな気がするな……」

美希「このまま一緒に寝ちゃおっか」

P「そんなことして風邪引いたら大変だろ。明日は本番なんだからな」

美希「そうだよね。明日はフェスタなんだよね」

美希「……」

P「……」

美希「ねぇハニー」

P「ハニーじゃないけど、なんだ?」

美希「今ハニーの頭の中にいるのは誰?」

P「誰って、美希だよ。今は美希とデートしてるんだからな」

美希「それが本当ならとっても嬉しいけど、ミキじゃないってわかるの」

P「……なんでそう思うんだ?」

美希「わかるよ。好きな人のことだもん」

P「アイドルが簡単に好きなんて言うもんじゃないぞ」

美希「簡単に好きなんて言わないの。本当に好きな人にしか言わないんだから」

P「そっか……ごめんな」

P「はぁ……俺って顔に出やすいタイプなのかな」

美希「うーん他の人ならわからなかったかも」

美希「ハニーがハニーで、ミキがミキだから?」

P「ははっ、なんだそれ」

美希「だからミキは今ハニーが一番したいことを手伝ってあげたいって思うな」

P「一番したいことか。そうだな」

P「美希のことは大事だけど、俺は伊織の、仲間のことを放ってはおけない」

P「俺はプロデューサーだからな」

……

………

北斗「そっちはどうだった?」

やよい「ダメです……スタッフの人にも聞いたりしたんですけど……」

真美「はぁー」

雪歩「どこいっちゃったんだろうね……」

P「皆!」

真 「プロデューサー!? なんでここに!?」

P「美希にバレちゃったよ。せっかく気を使ってくれたのに悪かったな」

美希「もう水臭いったらないの!」

伊織「ごめんなさい……デートだったんでしょ?」

美希「ハニーとデートも大事だけど、でこちゃんはもっと大事だって思うな」

美希「それにデートなんていつでもできるんだし。ね?」

P「じ、時間があえばな……」

黒井「はしゃぐのは後にしろ。本格的に暗くならない内に探し当てるぞ」

P「そ、そうでした。どこまで探したんだ?」

貴音「博物館と水族館は既に……遊園地も今し方終えたところです」

春香「あれ? あずささんは?」

律子「可哀想だけど迷子を探している余裕はないわ。自力で帰還してもらいましょう」

冬馬「長介達はもうホテルに戻れ。ここからは俺達だけで探すからよ」

長介「な、何でですか? 俺だって手伝えますよ隊長!」

冬馬「妹ちゃんとチビどもを見てみろ。もうヘトヘトじゃねぇか」

かすみちゃん「ごめんなさい……」

冬馬「謝るなって。幼女が姉ちゃんのために頑張ったんだ」

小鳥「リ、リアルでその言い方はヤバいと思うわ……」

高木「では私が子供達を送るよ」

P「それにしても、ここまで探してるのに見つからないのはおかしいな」

千早「誰かが持って帰ったりしたんでしょうか」

亜美「昨日あとどこ行ったっけ?」

真美「うーん」

伊織「皆ありがとう。もういいわ」

冬馬「もういいって諦めちまうのかよ」

北斗「大切な子なんだろ?」

伊織「きっと罰が当たったのよ……仕事を放棄して一日中遊んだりして」

やよい「絶対見つかるよ! だからもうちょっと探そうよ伊織ちゃん!」

P「誰かが持って帰った……シャルルを持って……」

男 「そろそろ向こうのイベント始まるってさ!」

女 「早く行かないと良い席とれないわよ!」

響 「イベントなんてあったのか?」

真 「マスコットキャラクターのショーがあるみたいだよ」

P「イベント……それだ」

P「黒井社長」チョイチョイ

黒井「ウィ。スタッフ共の掌握は任せろ」

冬馬「あぁ、なるほどな」

北斗「確かに効果的かもしれませんね」

P「そうと決まれば急ごう。こっちです。美希、手伝ってくれ」

美希「了解なのー」

……

律子「ほら、961プロもプロデューサーも行きますよ。次はアトラクションのほうに……」

シーン

千早「いなくなってるわね」

貴音「先程まで一緒だったのですが……」

伊織「ほら、あいつらも飽きて帰っちゃったのよ。私達も少しでも練習しましょ」

やよい「き、きっとプロデューサー達は別の場所に探しに行ったんだよ!」

春香「そうだよ伊織! もうちょっとだけ探そうよ!」

伊織「……」

律子「こっちもダメ……まずいわね」

ヤキニクマン『ヤキニクパァーンチ!』

真美「あ! ヤキニクマンだ!」

亜美「マスコットショーってヤキニクマンだったんだ!」

雪歩「モニタで中継してくれてるんだね」

春香「シオタンたんがいないね」

小鳥「中の人の都合で出せなかったのかしら」

ヤキニク『これでまた悪が滅び……うわっな、なんだお前た……ぎゃああああ!!』

真美「ヤ、ヤキニクマーン!?」

律子「ヒーローショーは後回しよ! 早く探さないと夜になったら……」

黒井『はーっはっはっは! これでヤキニクマンは滅びた! 悪の時代が来るのだ!』

冬馬『キムチちゃんは見逃してやるよ。さっさと消えな』

キムチ『ひ、ひぃぃ……』

ざわ……ざわ……

律子「なっ……」

黒井『レディース&ジェントルメン。お初にお目にかかる方もいるかもしれません』

男 「お、おい……あれって……」

北斗『ある時は961プロのジュピター』

翔太『そしてまたある時は期待の超新星、P.Kジュピター!』

冬馬『そして今日の俺達は、ジュピターでもP.Kジュピターでもない!』

P『俺達は!音楽祭優勝候補筆頭!グセイスフルリズムだっ!』

女 「P.Kジュピターよ!やっぱり音楽祭にきてたんだわ!」

ウワァアアアアア!!

主催者「おい何事だこれは! さっさと音響を切れ!」

スタッフ「だ、だめです! 金を握らされたので切れません!」

主催者「正直に言うな!」

律子「P.Kジュピター! 覆面さんの代わりにプロデューサーが出てるなんて……!」

春香「いや、あの覆面プロデューサーさんですから」

律子「えっ」

冬馬『お前等こんな子供じみたヒーローショーで満足かよ!?』

翔太『ほんとはもっと熱いイベントを期待してるんじゃないの!?』

美希「はいはーい皆さんこれどうぞなのー!」

客 「なんです?これ」

美希「コール本なの! これを見ながら一緒に歌ってね! あはっ☆」

客 「か、可愛い……」

P『ヤキニクマンの調子が悪いみたいだから、代役で俺達が選ばれたんだ!』

真 「調子が悪いって、思いっきりシャイニングウィザードしてたよね」

雪歩「き、綺麗に膝が入ってたね……」

響 「北斗はダンス下手なわりに運動神経あるからなぁ」

冬馬『俺達が本物のヒーローを見せてやるぜ!』

P『まずは皆が知ってるあの曲だ!』

翔太『恋をはじめよう! 』

♪~~

キャァアアアア!!

冬馬『愛してる! 愛してる! いつか未来で!』

P『ボクがキミに! 誓うから!』

美希「げっちゅう!!!」

北斗『行こう!! さあ行ける!!』

翔太『どんな今日でもー!』

黒井「二人ならば! 恋をはじめよう!」

ワァアアアアアア!!

雪歩「」ウズウズ

律子「イ、イベントを妨害してライブ始めるなんて……」

小鳥「何考えてるのかしら……」

P『ボクがキミを! 抱きしめて!』

女 「きっしゅー!!」

デキル!! そうデキル!! どんな夢でも!!(野太い声)

響 「す、すごい合唱だな……」

冬馬「二人ならば! 愛を創めようよ!」

バーーン!! (恋をはじめるポーズ)

P『ありがとぉーう!』

ワァアアアアアアアア!!

北斗『それじゃあ2曲目! と言いたいとこだけど……』

翔太『実はライブを始める前に、ひとつイベントを用意したんだよっ!』

P『このバケーションアイランドの敷地内に、ひとつ宝を隠しておいたんだ!』

黒井『その宝とはこれだ! 映像を出せ! 全施設のモニタにも出力させろ!』

スタッフ「はっ!」

伊織「あ、あれは……シャルル!」

P『隠してある場所にはなかったから、誰かが見つけてくれてる筈だ!』

冬馬『持ってきたやつには、1日P.Kジュピターメンバー権と!』

黒井『961プロ就職斡旋権をプレゼントしよう! 正社員だぞ!』

北斗『さぁ誰か名乗り出る人はいないかい!?』

ざわ……ざわ……

幼女「こ、これですか!」

P『それだ!』

北斗『それじゃ、可愛いお姫様。ステージへどうぞ』

美希「くくぅ……羨ましいのー!」

P『どこでそれを見つけたのかな?』

幼女『ホ、ホテルの前で拾いました!』

冬馬『よっしゃ! 嬢ちゃんは今日一日俺達P.Kジュピターの一員だぜ!」

幼女『ほ、ほんと!?』

P『皆ー! この幸運な少女に大きな拍手と声援を頼むー!』

ワァアアアアアアアアア!!

すぐご飯食べてくる

P『君は俺達の歌知ってるのかな?』

幼女『オーバーマイスターなら踊れます!』

冬馬『なら大丈夫だな! それじゃ2曲目行くぜー!』

オーバーマイスターとは……オーバーマスターを少しだけ意識したオリジナル曲である。


幼女「カッコ悪いわよぉー!」

北斗「アタシを落とすのー☆」

冬馬「バーレてるのぉ!」

律子「あ、あ、……あぁぁあああああ!!!」ガクガクガク

春香「り、律子さん!?」

小鳥「トラウマが蘇っちゃったのね……」

黒井『グッドゥラックトゥーユー!』

ウッウー!!(野太い声)

美希「キャァアアアアア!」

P『今日は俺達のライブに来てくれて本当にありがとぉー!』

冬馬『明日の本番も楽しみにしててくれよな!』

北斗『それじゃあ世界中のエンジェル達! チャオ☆』

キャァアアアアア!!

黒井『』チラッ

スタッフ『い、以上! P.Kジュピターショーでした! ありがとうございましたー!』

スタッフ『引き続きバケーションアイランドをお楽しみくださぃ……』

やよい「伊織ちゃん! 行こうよ!」

伊織「え、ええ!」

春香「あ、私律子さんをホテルに連れて帰るから皆行っといていいよー」

真 「ボクも手伝うよ」

小鳥「私も行くわ」

黒井「さて、礼を言わねばな。君のおかげでイベントは大成功だったよ」

幼女「は、はい」

黒井「北斗」

北斗「はい。これをどうぞ」

幼女「これなぁに?」

冬馬「P.Kジュピターファンクラブ会員証だぜ。No一桁だから将来プレミアもんだな」

幼女「わぁ……!」

翔太「じゃあボク達行くね! これからもP.Kジュピターをよろしくっ!」

幼女「ありがとうー!」

P「やっと見つけたぞシャルル。お前の相棒は随分寂しがってたんだからな」

シャルル「……」

タッタッタッ

伊織「プロデューサー!」

北斗「もう一人のお姫様のおいでだな」

P「待たせたな伊織。ほら」

伊織「シャルル……」

やよい「良かったね伊織ちゃん!」

響 「これで安心して歌えるな!」

伊織「皆……迷惑かけて本当にごめんなさい」

美希「こういう時はごめんなさいじゃなくて、ありがとうって言うべきって思うな」

黒井「そうだな。謝られる筋合いなどない」

伊織「……ありがとう。皆のおかげよ」

冬馬「こ、これがデレってやつか……強烈だぜ」

貴音「ともあれ、これで一件落着ですね」

雪歩「本当に良かったね。伊織ちゃん」

主催者「君達! こんなところにいたのか!」

黒井「これはこれは主催者殿ではありませんか」

P「俺達のライブ、見ててくれたんですか?」

主催者「あぁ。すごい衝撃を受けたよ」

冬馬「へっ、そりゃそうだろうな」

主催者「そこで君達にひとつ伝えないといけないことがある」

黒井「ノンノン。優勝は自力で勝ち取るので必要ありませんよ」

主催者「P.Kジュピターは失格だ」

冬馬「は?」

P「」

北斗「」

翔太「」

黒井「」

俺達のシャイニーフェスタが終わった。

ホテルロビー

春香「そりゃ怒っちゃうよね……」

千早「元気出してください。素晴らしい歌でしたよ」

P「いいんだ……歌うことはできたんだし」

北斗「世界中の人に聴いてもらえただけで満足だよ……」

P「真美達は?」

貴音「良い演出を閃いたと、執事の方を呼び出して出て行きましたが」

P「よかったよ……」

冬馬「俺帰る……帰って寝る……」

翔太「僕も……」

北斗「社長は俺が背負って帰りますんで……それじゃお疲れ様でした……」

P「また明日な……」

北斗「ちゃお……」

美希「あれだけ頑張ったのに主催者のおじさん酷いの!」

P「ウジウジしても仕方ないか……気持ちを切り替えて皆のライブを成功させよう!」

翌日 フェスタ本番

司会「ハニーサウンドの皆さんでした! 盛大な拍手をー!」

ワァアアアアア

P「皆、完璧だったぞ!」

春香「ありがとうございます!」

あずさ「これで肩の荷が降りました~」

律子「なんとか上手くいったわね」

響 「そういえばあずささんいつ戻ってきたんだ?」

真 「いつの間にか部屋に戻ってたよ。本人もどうやって帰ったのか覚えてないんだって」

真美「もう一種の特殊能力だね」

亜美「どうせなら瞬間移動とかが欲しいなー」

高木「さ、次は水瀬君達だよ」

P「頼んだぞ。伊織」

伊織「ええ。迷惑をかけた分以上に働いてみせるわ!」

……

………

北斗「ファンキーノートの皆も大盛況に終わったみたいだな……」

冬馬「俺達の伝説は始まる前から終わってたけどな……」

黒井「本来なら私達が声援を独占する筈が……」

翔太「いっそ今の会場も占拠しちゃう?」

冬馬「次は警察呼ぶらしいし流石に無理だぜ……」

翔太「そっか……そうだよね……」

北斗「静さんここにいなくてよかったな」

冬馬「いたら俺達魚の餌にされちまうよ……」

黒井「恐ろしいな……」

翔太「あ、やよいちゃん達こっちに手を振ってくれてるよ」

冬馬「手をあげる気力もねぇ……」

四人「はぁ……」

高木「よし、あとは結果発表だ。胸を張って並んできなさい」

雪歩「は、はい!」

貴音「では行きましょうか」

P「あぁ。どんな結果になってもお前達の歌は最高だった。それは変わらないからな!」

伊織「……」

やよい「伊織ちゃん? どうしたの?」

伊織「う、ううん。なんでもないわ」

真美「まーた隠し事かね?」

亜美「汗臭いよいおりん!」

伊織「あ、汗臭くなんてないわよ! 伊織ちゃんは踊った後でもフローラルなんだから!」



司会「それでは発表します! 今音楽祭の優勝者は……!」

……

………

P「皆やったな!」

小鳥「これで765プロの名前も世界に知れ渡ったわね!」

高木「本当によくやってくれた。君達は我が事務所の誇りだよ」

真美「今から祝勝会が楽しみだNE!」

貴音「なんと……!」

P「おっと余韻に浸るのはまだ早いぞ。次の出番があるんだ」

司会『それでは、765プロの皆さんにアンコールをお願いします!』

アンコール! アンコール!

P「今度は全員で歌うんだ! 会場をもっと盛り上げてやれ!」

伊織「そ、そのことなんだけど、プロデューサー!」

P「どうした? どこか調子でも悪いのか?」

春香「伊織ちゃんからの提案なんですけど、プロデューサーさんも一緒に歌いましょう!」

P「えっ!? いいのか!?」

真美「もっちろんピヨちゃんもだよ!」

小鳥「えぇ!?」

貴音「高木殿もどうか力添えを」

高木「わ、私もかね?」

伊織「そ、それと……」

伊織「あいつらにも、歌わせてあげたいんだけど……」

P「あいつら? あいつらって……もしかしてあいつらか?」

美希「そうなの! 本当に皆で歌うんだよっ!」

律子「犯罪スレスレの頭が吹っ飛んだ連中ですけど、昨日の行動に感銘を受けたのも事実」

律子「あの子達にも歌ってもらいましょう」

P「ほ、ほんとか……!」

伊織「か、勘違いしないでよね! シャルルを見つけてくれた借りを返すだけよ!」

P「やった……やった!!!」

P「黒井社長! 朗報ですよっ!朗報!」ピッ

冬馬「見直したぜ水瀬! カッコいいじゃねーか!」

伊織「だ、だから勘違いするのはやめてよね! 今回だけよ!」

北斗「なんでもいいさ。せっかく貰えた機会なんだ」

翔太「ほんっとーにありがとうっ!」

黒井「秋月律子……」

律子「ひとつ言っておきますが、P.Kジュピターを認めたわけではありませんからね」

律子「昨日あなた達が言っていたでしょう?過去の遺恨は忘れて正々堂々、と」

律子「世界に私達の音楽を見せてやりましょう」

P「律子……お前イケメンだよ」

律子「あんまり嬉しくないですね……」

高木「ほ、本当に私も歌うのか?」

小鳥「歌っちゃいましょう!」

伊織「それじゃ行くわよ!」

冬馬「俺達の!」

翔太「皆のっ!」

北斗「音楽の世界へ!」

黒井「世界よ、これがアイドルだ!」

P「最後の歌! 最高の歌にするぞ!」

司会「それでは歌ってもらいましょう! 765&961オールスターズ!」

司会「MUSIC♪ どうぞー!」

ワァアアアアアアアアアアア!!

おわり

ハニーサウンドでジュピターを出してくれてありがとう。正直存在を消されると思っていた。
支援、保守ありがとうございました。お疲れ様でした。

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