雪歩「四条さんの穴は、私達が埋めます!」P「えっ」(121)

愛『わったっしっ!愛っ!』

舞『舞っ!』

『『Mine!』』

愛『振り切って♪ハーイペース~♪』

舞『た~ま~の~失敗は~?』

愛『スパイッスかっもっね~♪』


ピンポーン

ガチャッ

貴音「ケホッケホッ……はい、どなた様でしょうか」

P「俺だよ、オレオレ」

コポコポコポ…

P「ほら、お茶だ」コトッ

貴音「ありがとうございます……」

P「で、どうだ?体調の方は」

貴音「薬で大分楽にはなりましたが……まだあまり、良くは……」

P「そうか……色々と精のつくもの、買ってきたからな。早く元気になってくれよ」



愛『今日のゲストをご紹介します!……秋月涼さんでーす!』

涼『どうも~』パチパチパチパチ

貴音「………」ズズッ

貴音「はぁ……美味です。あなた様の入れたお茶は、身体が温まりますね」

P「……なぁ、貴音」

貴音「?」

P「収録、やっぱり出たかったか?」

貴音「……未練がないと言えば、嘘になりますね」


グゥゥゥ


貴音「あっ……」

P「ハハハ……あぁ、そうか。もうこんな時間か。ちょっと待っててくれ、何か作るよ」

貴音「そ、そこまでしていただかなくとも……」

P「病人は大人しく寝てる!」

~スタジオ~

愛「という訳で今回はですね、この番組始まって以来の大イベントを!行おうと思ってますっ!」

涼「フードファイト、だよね?私も楽しみにしてたんだ~」

愛「はい!その記念すべき第一回目のチャレンジャーは、あの超有名アイドルさんなんですよ!」

涼「えっ?も、もしかして、そのアイドルさんがフードファイトを……?」

愛「……涼さんは、今きっとこう思ってますね?『アイドルにフードファイトやらせるとかマジキチだろ』って」

涼「あ、愛ちゃん、それ放送禁止用語!一応生放送なんだから……」

愛「そのご心配は無用です!……なぜなら!」ドンッ



愛「本日のメインメニューは!ママ特製のスペッシャルなラーメンだからですっ!!」

涼「……愛ちゃん?それ、答えになってないよ?」

愛『それでは、ご登場していただきましょう!』

愛『四条、貴音さんです!!』パチパチパチパチ





貴音「……あなた様」

P「んー?」ザクザク

貴音「わたくしが、番組に出ているようです」

P「そうかぁ」グツグツ

貴音「あの……生放送、なのですが……」

P「……そういう事もあるだろ」コトコト

愛「早速、チャレンジャーとしての意気込みを聞いて回りたいと思います!」

涼「う、うん……」

愛「四条貴音さん!今日はどんな気持ちでママのラーメンに臨まれますかっ!?」

貴音「へへっ!ボ……じゃなかった、ワタクシはやっぱり、目指せ完食ゥ!」グッ

愛「果たして無事に完食できるのでしょうか!?今回の勝負、非常に気になりますねぇー!」

涼「そ、そうだね……」

愛「では、二番目の四条貴音さんにも意気込みを聞いてみたいと思います!」

二番目の貴音「わ、私……四条さんの為にも、頑張りますぅ!」

愛「四条さんが四条さんの為に頑張るそうです!自分の為に頑張れるって、良い事ですねぇー!」

愛『三番目の貴音さん、今のお気持ちは!?』

三番目の貴音『ミ……タカネはね、やっぱり味の方が気になっちゃう、かな?』

愛『そうですよね!やっぱりママの料理は、おいしくなくっちゃ!』テヘペロ



貴音「……あなた様」

P「あつつっ!……ど、どうした?」コトコト

貴音「わたくしが、三人もテレビに出ております」

P「そうかそうか……よし、次は、と……」グツグツ

貴音「心無しか皆、底の厚い履き物を履いているような……」

P「貴音は身長が高いからなぁ」カチャカチャ

絵理『愛ちゃん、愛ちゃん』

愛「はい、キッチンレポーターの絵理さん!」

絵理『……舞さん、料理の方、できたみたい?』

舞『ちょっと作り過ぎちゃったかも♪こんな感じで良いのかしら?』

絵理『スタジオに運ぶから、ちょっと待っててね』

愛「はーい、待ってまーす!」



ゴ   ト   ン

舞「さぁ、お待た~せ~。新しいおいしさを、プレゼンツ!」

涼「こ、これは……」

舞「ラーメン特盛り順二朗オオブタトリプルヤサイマシマシマシ……え、全マシ?」

舞「あと、ニンニク……アブラ、えぇっと……何たらよ、何たら。うん」

貴音ABC「「「……………」」」

愛『遂にラーメンがスタジオに到着!大皿に載った豚肉と野菜が、天を衝く勢いです!』

舞『残さず、食べてね♪』





貴音「あぁ……」ジュルリ

P「こっちも出来たぞー、あつつつつ」ゴトッ

貴音「……これは?」

P「卵雑炊だ。醤油でサラッと味付けした」



貴音「………」シュン

P「……ラーメンは流石に勘弁してくれ」

貴音A「あ、あの……これ、何キロあるんですか?」

舞「んー?大分材料使ったから……そうねぇ、7.65キロぐらいあるんじゃない?」

貴音B「な、7.65キロ……!?」

貴音C「いただきますなの!」パン

涼「あっ」

愛「まずは三番目の貴音さんが行ったぁー!」

貴音C「………」モグモグ

愛「どうですか、お味の方は……!?」





貴音C「おいしいの!」テーレッテレー

貴音C「このお野菜、火も通ってるし……」モグモグ

貴音C「とても柔らかいんだけど、ちゃんと歯ごたえあるよ」

愛「ママ特製ですからね!そこは抜かりありません!」

貴音C「お肉もね、お口の中でフワッて溶けちゃったの」

貴音C「あ、麺の方はね……」ハフハフ

貴音C「スープがしっかり染み込んでて、お口の中でハーモニーを奏でてるの!」チュルチュル

舞「ウチの秘伝のたれ、ちょ~っと入れてみたのよね~」

涼「ホントにおいしそうに食べてるなぁ……」ゴクリ

愛「そうですね!でも、涼さんはゲストですから。今日は食べられません!」

涼「(……じゃあ何で僕呼ばれたんだろう……)」



貴音C「あふぅ……ごちそうさまでした!あとはよろしく~」カチャ

愛「あれ?……も、もうですか!?」

舞「……んん?」

貴音C「え?……だって、ミキって人が出てる番組だと、こんな感じでオッケー出るよ?」

貴音A「番組違うから!趣旨が全然違うからね!」

貴音B「そ、それにしたって、もう少しくらい食べたって……」

貴音C「お昼に真君とパフェ、食べに行ったから。もうお腹いっぱいなの」ゲプー



貴音B「……へぇ」

貴音A「あ、あははは……つ、次は、ワタクシの番、ですね!」カチャッ

貴音B「………」

貴音A「だ、大丈夫だって!絶対ラーメンなんかに、負けたりしないから!」ハフハフ

貴音A『……ごめん、雪歩……ラーメンには勝てなかったよ……』ゲフー

貴音B『今日は間食ダメって、あれほど言ったのに!もう!』





貴音「……つっ!」

P「ほら。他所見して食べるからだ」

貴音「……わたくしには少し、熱過ぎるようです」

P「そうか。じゃあ少し冷ましてやるよ」フーフー

カチャン

貴音B「うっぷ……」

愛「あぁっと!ど、どうしました!?」

舞「……手が、止まってるわよ?」ニコッ

貴音B「(食べても食べても、野菜が消えない……麺が全然、見えてこない……)」

貴音B「(も、もう無理……小食でちんちくりんな私には、限界ですぅ……!)」



涼「しかし、ものすごい量だなぁ……」

愛「涼さんがモノスゴイ涼って言っても、面白くもなんともないです!」

涼「えっ」

舞「はぁ……四条貴音の実力って、この程度だったの?」

貴音B「(……ごめんなさい、四条さん……わ、私は……もう……)」

舞「……この順ちゃんラーメンを完食できる四条貴音は、もういないのかしら?」



「ちょーっと待ったぁー!!」



愛「!?」

涼「あ、あの人達は……!」

貴音D「んっふっふ~……四条貴音、なら!」

貴音E「ここにも、いるさー!」

貴音F「……まぁ、何でもいいですけれど」

愛『突如現れた三人の四条貴音さん!これはまだまだ終わりそうにありませんねぇー!』

愛『あっ、絵理さん!……CMですか?はい!それでは、CM入りまーす!』





貴音「あなた様、これは一体どういう……」

P「ほれ、あーん」ヒョイ

貴音「あむっ」



貴音「………」ムグムグ

P「どうだ?」

貴音「……美味です」

P「ハハハ……風邪引いた時にゃ、これが一番ウマいってね」

貴音「……そうかも、しれませんね」



貴音「あなた様」

P「ん?」

貴音「真美のかつらが、少しズレておりました」

P「そ、そうか」

貴音F「……はい。これでもう大丈夫」

貴音D「ありがと、ちは……じゃなかった、お姫ちん!」

愛「はい!という事で現在、怒涛の展開が続いております!」

愛「何と言うことでしょうか!ママ特製のラーメンに、四条貴音さんが猛反撃です!!」

貴音E「ふっふーん、こんなの朝飯前さー!貴音、完璧だからなー!」パクパク

愛「口に運んだ肉が!野菜が!麺が!消えていきます!物凄い速さですっ!!」

涼「って言うか、ホントに消えてない?」

舞「………」

貴音D「その調子だー!いけいけお姫ちーん!」

貴音F「(真美?さっきから連呼してるけど、お姫ちん、じゃなくて……)」ヒソヒソ

貴音D「あっ……そ、そっか。じゃあ……いっけぇー!わたくしー!!」

貴音E「………」ヒョイヒョイ

貴音E「(……さぁブタ太、次のもやしを……)」

ブタ太「ブヒィー」

貴音E「(え、もうお腹いっぱい?……そ、そっか、それなら仕方ないなー)」

貴音E「(それじゃ、今度はいぬ美に交代……)」

舞「ふぅん……まさに豚のエサってわけね」

貴音E「あははは、面白いこと言うな~……え?」





貴音E「……あっ」

舞「CM入りまーす♪」キャピッ

舞『みんなー、遠慮せずにじゃんじゃん食べてね♪たっぷりあるから』ニコッ

貴音DF『『は、はい』』

涼『………』

愛『え、えー……四条貴音さんの皆さん、張りきって食べちゃってください!』





貴音「あなた様。響の座っていた席に、ぬいぐるみが……」

P「ほい」ヒョイ

貴音「あむっ」



貴音「………」ムグムグ

貴音D「(ひびきん、別室行きだって……)」ヒソヒソ

貴音F「(でも幾分かは、我那覇さんが個人的なノルマとして持って行ってくれたわ)」ヒソヒソ

貴音D「(そ、そだね。ひびきんには感謝しないと)」ヒソヒソ





~別室~

絵理「……今週の響チャレンジは、こちら」●REC

響「グスッ……こ、こんなに自分、食べられないよ……」モグモグ

貴音D「そんじゃまぁ、お腹くくって本気出すとしますかね~」コキコキ

愛「ほ、本気を?……ま、まさか……!」



貴音G「ククク……今までのお姫ちんは、お姫ちんの中でも最弱……!」



愛「!……四条貴音さんが、もう一人!?」

涼「(そこ、今更驚く事なの?)」

貴音D「やっぱりさ、シングルスじゃダメダメだよね~」

貴音G「うんうん」

舞「まさか、あなた達……」



貴音DG「「……なら、ダブルスで行くよ」」 ド ン

涼「何……だと……!?」

貴音G「お姫ちん+お姫ちん、二人揃えばいつもの二倍の消費スピードが加わるのだ!」ズルズル

愛「す、すごい早さでラーメンを……!」

貴音D「さらに二人が協力して食べる事により、その早さは二倍!四倍に!!」バクバク

涼「つまり……どういうこと?」

舞「まさかここまでとはね。大した子達だわ……」

貴音D「そしてそして!その上でもう一人のお姫ちんが加わればっ!」ジュルジュルジュル

愛「ま、まさか!?」

貴音G「ヤキニクマン!お前を上回る、8倍の加速だぁーっ!!」モグモグモグ



貴音F「(優……見ていてね。お姉ちゃん、頑張るから)」グッ

カチャン

貴音D「ぶぇぇぇ……あ、脂っこすぎ……」ガクッ

貴音G「も、もぉ……食べれないよぉ」バタッ

貴音F「……やっぱり無理よ……私に、こんなマネ……うっぷ」



涼「あんなに急いで食べるから……」

舞「ちょっとおバカだけど、その姿勢……嫌いじゃないわ」

愛「ラーメンは未だ山盛り太郎さんです!どうやってこれを崩していくと言うのでしょうか!?」



「へぇ……まだ私達が食べる分、残ってるみたいじゃない」

愛「!?」

貴音H「ほ、ホントに……ホントに、アレをお腹いっぱい食べていいんですか!?」

貴音I「えぇ、今日だけはいくらでも食べていいわ」

貴音J「(……どこにいったのかしら、あずささん……)」

愛「し、四条貴音さんです!四条貴音さんが、まだ三人も!!」





涼「あの……貴音さん、ちょっと多過ぎやしませんか?」

愛「スゴイですよねー、四条貴音さんがこんなにいたなんて。あたしもビックリです!」

涼「えっ?……あ、あぁ、うん」

貴音H「そ、それじゃ……いただきます!」パカッ

愛「四条貴音さんが、何かのフタを開けつつラーメンに手を付け……あれは、タッパー!?」

舞「まぎれもなくタッパーね。私もよく使ってるタイプ」

涼「ど、どうしてタッパーなんか取り出して……」

愛「まさか、お持ち帰りを!?……いえ、あ、あれは……!」



貴音H「ハムッハフハフッ!ハフッ!」パクパク

愛「も、もやしです!あのタッパーの中身は、もやしですっ!!」

涼「もやしに自家製のもやしをトッピングして食べてる……」

貴音H「ふぅぅ……こんなにおいしいラーメン、食べたことないですー!」パクパク

愛「あ、あの!お食事中、申し訳ありません!」

貴音H「何ですかー?」パクパク

愛「何で、もやしを一緒に……?」

貴音H「もやしは何にでも合うんです!最高の食材ですよー!」パクパク

貴音I「(その調子よ、やよい!このまま一気に片付け……)」



キュルキュルキュルキュル……



貴音H「………」プルプル

愛「な、何でしょう、今の音は……!?」

貴音H「……す、すみませんー……あ、ぁ……あの!お、おトイ」

舞「はーい、CMー」

P「食欲はあるんだな。ペロッと平らげちまうとは」ジャブジャブ

貴音「……なにゆえ、皆がわたくしの身代わりを?」

P「……俺は反対したんだがな。言っても聞かなかったんだよ、あいつら」キュッキュッ

貴音「………」

P「だが、不本意とは言えドタキャンはドタキャンだ。今や超有名番組の、しかもナマでそれはマズい」

P「んで、こっちで色々考えた末に屁理屈こねてみたら、条件付きだが向こうも了承してくれてな」

貴音「屁理屈?」

P「『“四条貴音”であれば、誰を出演させても構いませんよね?』」

貴音「それで、あのような変装を……」

P「『愛が気付かなければ別に構わない』って、舞さんは笑ってOK出してくれたよ」

貴音I「うぐっ……」ピタッ

舞「あら?箸が止まってるようね?」

貴音I「な、なんでこんなに量があるのよ……話が違うじゃない」

舞「だって、貴音ちゃんが来るって言うから~♪私ぃ、張りきり過ぎちゃってぇ♪」テヘペロ

貴音I「(こ、こいつ……!)」プルプル





舞「(私は愛と楽しくちちくりあえれば、別に何だって構わないわ)」

舞「(でも折角ナマなんだし、それじゃあ面白くないじゃない?)」

舞「(だからこれは、私が用意したあなた達への挑戦であり、ただの余興)」

舞「(あなた達が身を挺して守るその覚悟の程、戯れに確かめちゃおっかなーって)」

貴音I「脂ばっかりで……き、気分が……」ウップ

愛「貴音さんが良く食べるラーメンを徹底研究して作ったら、そうなったみたいです!」

貴音I「(どうやったらこんな量を処理できるのよ、あいつ……)」



貴音K「……ストップ。もうそこまでにしておきなさい」

貴音I「は?な、何勝手な事言ってんのよ?私はまだ……」

貴音K「来週に撮影、控えてるでしょう?これ以上は仕事に障るわ」

貴音I「ぐっ……」

貴音K「後は、私に任せて」

愛「メガネをかけた貴音さんが、遂に動きました……!」

涼「……メガネ、かけてたっけ?」

貴音K「野菜よりも、スープが染み込んで重くなる麺を先に……」ズルズル

貴音K「チャーシューは先に食べ、後に残さない……」ムシャムシャ

涼「……この食べ方は……」

愛「完全に手慣れてますね!」

舞「確実なペースで、しかも早い……出来るわ、この子」

貴音K「(変装とは言え、周りを気にせずこんなに食べられるって……ちょっぴり、幸せね)」ハフハフ



涼「………」

愛「どうしたんですか、涼さん?」

涼「……間違いない。律子姉ちゃんと同じ食べ方だ」

貴音K「」ピタッ

愛「律子さんとですか!?」

涼「うん。他人の空似なんでしょうけど、ちょっと昔を思い出しちゃって……あはは」

貴音K「………」ズルズル

舞「どんなお姉さんだったの?」

涼「昔からですけど、意外と食べる方なんですよ」

涼「よく自分は寸胴だからー、なんて遠慮して言ってるけど、それってあながち間違ってないんです」

涼「だってまだ律子姉ちゃんが中学のこr」


ガタン


貴音K「カメラ止めてください」

愛「え?あっ、ちょっと」

貴音K「早く止めて」

愛「え、えぇっと……」

愛「涼さんは体調不良で、スタジオを一旦離れるそうです!」

愛「代わりに、腰を凹ませるとぎゃおんと唸る、可愛い涼さん人形を置いておきました!」

舞「テレビの前の皆は、これでガマンしてね♪」



貴音K「も、もうお腹いっぱいだわー、これ以上食べられなーい」カチャン

舞「あら、ホントに?」

貴音K「…」



貴音K「……た、食べられません」グスッ

舞「(周りが気になり過ぎて、かしら……悪い事しちゃったわね)」

~別室~

涼「あの人が律子姉ちゃんだなんて知らなかったんだよ……」ガタガタ

絵理「……あれ、涼さん?」

涼「あ、絵理ちゃん」

絵理「どうしてここに?」

涼「わ、私もスタジオから追い出されちゃった……あはは」





響「グスッ……エグッ……も、もう、ズルしないからぁ……許して……」

絵理「ダメ。愛ちゃんのお母さんから、残すなって言われてる」

涼「………」グゥ

響「うぅぅ……」モグモグ

涼「……ねぇ、絵理ちゃん」

絵理「何?」

涼「それだったら、私も食べていいかな」

響「えっ!?」

涼「残すなって言われてるだけなんでしょ?」

絵理「……うん」

涼「じゃ、私も参戦で」

響「うぅ……ぁ、ぁ……りょ、涼~!」ブワッ


ガチャッ


貴音L「こんばんは~、四条貴音です~。フードをファイトしに……あら?」

P「ふぅ、やっと食器が片付いた……ん?」

貴音「………」ゴソゴソ





貴音「……あなた様、退いて下さい」

P「他所行きの服に着替えて、どこに行くつもりだ?」

貴音「行かねば、ならないのです。これ以上、彼女達に迷惑は……」

P「ダメだ」

貴音「っ……何故です!」

P「俺はあいつらを信頼しているからな。お前は、信じてないのか?」

貴音「しかし……!」

P「しかしもだってもない」

貴音「……致し方ありません」

P「そうだ、今日は大人しく寝て……」

貴音「かくなる上は……!」ビュッ

P「!」グイッ


ビターン


P「ぐぇっ……!」

貴音「ケホッ……あなた様、申し訳ありません……」ダッ

P「ば、バカッ!行くんじゃない、貴音!」

舞「……それで?四条貴音は、これで打ち止め?」

貴音K「い、いえ。あずささんはともかく、まだあの子がいるはず……」



「す、すいませーん!遅れちゃいましたー!!」ドタドタ



愛「!……もしかしてあなたも、四条貴音さんですか!?」

貴音M「いぇい!四条貴音、ただ今到ちゃk……わ、わゎっ」グラッ

愛「あっ」



ドンガラガッシャーン

春香「いたたたた……も、もぉ~、厚底ブーツのバカぁ……」

愛「は、春香さん!?」

春香「えっ?……ち、違うよ愛ちゃん?私は……」

貴音K「は、春香、ウィッグが!」

春香「へ?あっ……わ、わぁ~っ!」ゴソゴソ





愛「春香さん、ですよね?」

貴音M「……え、えぇっと」

舞「………」

貴音K「(舞さんの目が笑ってない……)」

貴音M「そ、そうなんです!私は天海春香でもあるんですよ!」

愛「あ、やっぱりそうだったんですね!」

貴音M「でも!それは世をしのぶ仮の姿!」ババッ

愛「!?」

貴音M「本当の私……それは今の私、四条貴音なんです!」

愛「も、もしかして……春香さんって、実は貴音さんだったんですか!?」

貴音M「そ、そう!それ!その通り!いやー、やっぱり愛ちゃんは賢いなぁ~」



舞「……ふぅん」

貴音M「あ、あはははは……」

愛「さ、席へどうぞ!まだたっぷり残ってますから!」

貴音M「……あ、その前にちょっといいかな?」ゴソゴソ

愛「?」

貴音M「今度、私ソロでライブをやるんですよ~」トン

貴音K「い、いつの間にフリップを……」

貴音M「新宿BLAZEで午後5時から開場、6時から開演となっています!」

貴音M「出演は私、四条貴音こと天海春香で、料金は5500円です!」

貴音M「販売は8月から行っていますので、皆さん是非見に来てくださいね~!」

愛「わぁ~!あたし、絶対見に行きますね!」

舞「………」イラッ

貴音K「(春香、あなた……転んでもタダでは起きないのね)」

舞「で?……食べるの?食べないの?」

貴音M「は、はい!それでは早速、いただきますね!」カチャ

貴音M「………」モグモグ





貴音M「あっ、おいしい……!」テーレッテレー

舞「あぁ、そう」

貴音M「このお野菜も、火が通ってますし……」モグモグ

貴音M「とても柔らかいんですけど、ちゃんと歯ごたえがあります!」

舞「へぇ」

愛「あれ……?」

貴音M「お肉の方も、お口の中でフワッて……あ、麺の方はですね……」ハフハフ



貴音M「うーん……スープがしっかり染み込んでて、口の中でハーモニーg」

愛「あ、あの!ちょっといいですか!?」

貴音M「?」

愛「そのコメントなんですけど、全部最初の貴音さんが言ってました!」

貴音M「え、ウソッ!?」

愛「はい!ほぼ同じ内容でしたよ!」





貴音M「え、えぇっと……」

舞「………」

貴音M「ぐ、偶然ですよ、偶然!……あははは」

舞「食事の時は人に向かって喋らない」

貴音M「………」モグモグ

貴音K「(私達で半分以上減らせたけれど……あのラーメンは、まだ大分余ってる)」

貴音M「うっぷ……」モグモグ

貴音K「(今の様子じゃ、春香も限界が近い……どうすれば……)」



「うっうー!ただ今戻りましたー!」



愛「!?」

舞「あら……」

貴音H「お食事中にすいませんでした!私、もう一度頑張りますっ!」ゲッソリ

愛「だ、大丈夫なんですか?お腹の方は……」

貴音H「大丈夫です!全部、出してきましたから!」フラフラ

舞「全然大丈夫じゃないじゃない。残念だけど……」

貴音H「む、無理なんかじゃありません!」

貴音M「や、やよい……」

舞「………」

貴音H「無理って思うから無理なんです!出来るって思えば、何でもやり遂げられます!」

舞「んー……なかなか良い事言うけど、私も鬼じゃないし。ダメよ」

貴音H「お願いします!私達が完食出来なきゃ、貴音さんが安心して病気を治せないんです!」

舞「だぁめ。今は自分の身体の方を大事になさい」

貴音H「お願いします!お願いしますっ!!」ポロポロ

愛「ま、ママ……」

舞「……泣いたってダメ、絶対」

貴音H「うぅぅ……」

貴音M「も、もう無理かも……」ゲフー

貴音K「(打つ手なし、か……)」



愛「!?……あ、あれって……」

舞「ん?」

愛「四条貴音さん、ですか!?」



貴音N「………」コヒュー コヒュー

貴音K「あずささん……ではないようね」

貴音M「えっ?」

貴音K「顔もよく見えなくなるようなマスクなんて渡してないし、付けさせないわよ」

貴音H「じゃ、じゃあ、もしかして……」

貴音K「いいえ、本物が来る事はあり得ない」

貴音K「もしもの時に備えて、プロデューサーが止める手筈になってるから」

貴音M「で、でも……もしかして、止められなかったんじゃ……」

舞「何でもいいじゃない?四条貴音なら。貴女も、食べに来たんでしょう?」

貴音N「………」コクリ

舞「そう。じゃ、そこの席へどうぞ」

貴音N「………」スタスタ

愛「突如として現れたマスク姿の四条貴音さん!その実力やいかn」


ズルズルズルズルルルル


貴音M「な、な……なっ……!?」

愛「な、流れるように、麺が!野菜が……!!」


ズルズルゴクゴクモグモグバクバクジュルルルルルルルルル


貴音H「うわぁ……」

舞「まだ3キロ弱は、残ってたわよね……?」

貴音K「な、なんてスピード……ま、まさか……本物!?」

カラン


貴音N「……ふぅ」ペロリ

舞「あーらららららぁ……」

愛「す、すごい事が起こっちゃいました!」

愛「まだあんなに残っていたラーメンが!またたく間に、器だけに!!」

愛「四条貴音さん……チャレンジ、成功です!!」



貴音K「な、何なの、あの食いっぷり……」

貴音H「す、すごい……」

貴音M「もうあの人一人で良かったんじゃないかな……」

舞「見事にやってくれたわねぇ……」

愛「貴音さん!完食した貴音さん!ぜひ、ぜひ一言を!!」

貴音N「……じゃあ、一言だけ」スッ

愛「お願いします!」

貴音N「………」





貴音N「……社長。明日から私、有給取ります」

P「……ったく、こんな所にいたか」

貴音「ゲホッ、ゲホッ……」

P「その格好じゃ寒いだろ。ほら、帰るぞ」

貴音「わ、わたくしは、まだ……」

P「……歩けるか?」

貴音「……足元が、少しふらつく程度です……」

P「無茶しやがって……ほれ、肩貸せ」





貴音「うぅ……らぁめん……特盛り、順二朗……」グスッ

P「……元気になったら、な」

~数日後~

高木「ふ……ふぁ……は……」

高木「ぶぁっくしょぉいっ!!」



高木「ズズッ……えー、四条君の件もあるが、最近は特に風邪が流行りつつある」

高木「諸君らも喉をやられたりしないよう、くれぐれも気を付けたまえ」

「「「「「はーい」」」」」



P「……もう体調はいいのか、貴音」

貴音「はい。あなた様のおかげで、もうこの通りです」ガバッ

P「上着は脱がなくていい」

貴音「わたくしのせいで皆の時間を割いてしまい、本当に……」

雪歩「気にしないでください。私達、仕事が終わった合間に来てましたし」

春香「うんうん、いいですよそんな、別に……ライブの宣伝もできたし」

千早「なっ!?……私も、やっておくべきだったかしら……?」

律子「やめといた方がいいわよー。あの時の舞さん、目が笑ってなかったから」

真「ぬ、抜け目ないなぁ、春香は……」

春香「えへへ……」

美希「褒めてないと思うの」

亜美「んで、ひびきんは完食出来たん?」

響「途中からな、涼とあずささんが協力してくれたんだー」

あずさ「最後に絵理ちゃんも一緒に皆で食べられたし、とても楽しかったわね~」

真美「いいなぁー、真美も行きたかったよ別室……」

伊織「番組の方は本当に地獄だったわね……」

やよい「お持ち帰り出来ればよかったのにねー……」



貴音「………」

P「どうした、貴音?」

貴音「このままでは終われません……りべんじを、致したいと思います」

~数日後~

愛「それでは!今日のゲストをご紹介します!」

愛「四条、貴音さんでーす!」パチパチパチパチ

貴音「よろしくお願い致します」

愛「今日のメニューはですね、あたしのはなまるハンバーg」

貴音「らぁめん」





愛「えっ?」

貴音「らぁめんを所望します」

舞「……もしかして、順ちゃんラーメン?」

貴音「えぇ。特盛り順二朗を、一つ」

愛「そ、そんな、急に言われてもですね、材料が……」

舞「ふっふっふ……」

愛「ま、ママ……?」



舞「貴女一人で、アレを食べ切れる覚悟はあるの?」

貴音「なければ、ここには来ておりません」

愛「えぇっ!?」ガーン

貴音「……らぁめんに立ち向かった皆の無念、わたくしが晴らします」キリッ

舞「無念って……完食はしたんだけどねぇ。ま、いいわ」

愛「え?」

舞「愛ー、キッチン借りるわよー」

愛「えぇーっ!?はなまるハンバーグはー!?」

舞「また今度で良いじゃない」

愛「そ、そんなぁ……あたしの番組なのに……」





貴音「特盛り順二朗……必ずや……!」ジュルリ

ギュルルルルル……


小鳥「ふぇぇ……ぽんぽん痛いよぉ……」

小鳥「有給が……私の、休日が……トイレに流されていくなんて……」


ゴロゴロゴロゴロ……


小鳥「はぁうぅ……い、一番頑張ったのに、この仕打ち……」

小鳥「あっ……で、出る……今度こそ、出る!」

小鳥「ふああぁぁぁぁぁっ!あ、穴から!穴から出ちゃううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


プスー


小鳥「……ですよねー」ガクッ



おわり

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