小鳥「千早ちゃんの機嫌がとてつもなく悪い……」(83)

765プロ

千早「…………」ガチャ

小鳥「千早ちゃん? 今日は早いのね」

千早「……おはようございます」

小鳥「お、おはようございます……」

千早「…………」


小鳥(険しい顔、というかあれは……怒ってる?)

小鳥(なんだか、機嫌が悪そうね……なにかあったのかしら)

P「おはようございまーす」

小鳥「あっ、プロデューサーさん……ちょっとちょっと」

P「どうしました、音無さん?」

小鳥「ほら、あっちあっち」


千早「…………」


P「千早ですけど……それがどうかしました?」

小鳥「それが、なんだか機嫌が悪そうに見えるんですよ」

P「あー……やっぱり怒ってんのかな」

小鳥「えっ? プロデューサーさん、なにかあったんですか?」

P「ええ、実は……昨日、千早とメールしてる途中で返信せずに寝てしまって」

小鳥「……は?」

小鳥「あの、それってつまり……昨日の夜は千早ちゃんとずっとメールを?」

P「昨日、というかほとんど毎晩ですね。いつもはおやすみ、ってメールをしてから寝るんですけど……」

小鳥「え、ええっ!? 毎晩!?」

P「声が大きいですよ音無さん……千早に聞こえちゃいます」

小鳥「ご、ごめんなさい。でも、びっくりしちゃって……」

P「ん? なにか驚く要素ありました?」

小鳥「だって、プロデューサーさんと千早ちゃんがそんな仲だったなんて」

P「えっ? 俺と千早はプロデューサーとアイドルの関係ですからおかしくはないですよね」

小鳥「そ、そうなんですか?」

P「ええ、なにもおかしい事なんてありませんよ」


小鳥(私がおかしいのかしら……いや、でも……)

小鳥「と、とりあえず今はそれはいいとして、千早ちゃんの機嫌をどうにかしてくださいよ」

P「んー……わかりました、俺がなんとかしてみます」

小鳥「頼みましたよ、プロデューサーさん」


P「おはよう、千早」

千早「……おはようございます」

P「ああ、昨日はよく眠れたか」

千早「ええ、プロデューサーよりは眠れていないと思いますけど」

P「そ、そうか……」


小鳥(うわー、言い方がちょっとキツイわね……本当になんとかなるのかしら)

P「あのー、千早?」

千早「なんですか? 用があるのなら手短にお願いします」

P「えっと……昨日は済まなかった」

千早「なんの事ですか? そんな事する必要、無いと思いますけど」


小鳥(謝ることすら許さない、これは難しい……)


P「千早さん、ちょいとお耳を」

千早「……なんですか、手短にお願いします」

P「――今日のレッスンですが、いつもよりいい場所、押さえてあります」

千早「えっ?」

P「……スタジオみたいな場所で今日はレッスンの予定です」

千早「そ、そうですか。まあ、場所なんてどこでも構いませんが……」

P「……その場所、録音や録画もできるから、後で歌い方のチェックもできます」

千早「歌い方の、チェック……」

P「……千早さんの歌唱レベル、上がる事間違いなしです」

千早「…………」

P「……昨日の事、許してもらってもいいでしょうか?」

千早「し、仕方ありませんね。時間がもったいないですから、早く向かいましょう」

P「ああ、千早は先に降りててくれ。俺もすぐに行くから」

千早「わかりました、急いでくださいね」

小鳥「……プロデューサーさん、上手くやりましたね」

P「まあ、物で釣ってるみたいであまり良い事ではないですけどね」

小鳥「それでも、千早ちゃんものすごく目がキラキラしてましたよ。効果絶大ですね」

P「ええ、機嫌を良くしてもらってよかったです。じゃあ、待たせるのも悪いんで行きますね」

小鳥「はーい、いってらっしゃーい」


小鳥(あっ、メールのこと聞くの忘れてた……)

それから一週間後 765プロ



千早「…………」ガチャ

小鳥「あら、千早ちゃん……って」

小鳥(また険しい顔してる……なんだか今日も機嫌が悪そうね。とりあえず挨拶を)


小鳥「お、おはよう千早ちゃん」

千早「……おはようございます」

小鳥「えっと、今日もいい天気ね」

千早「……そうですね」

小鳥「え、ええ……」


小鳥(うー……私では無理ね。プロデューサーさん、早く来て!)

P「おはようございまーす」

小鳥「プロデューサーさん! ちょっとちょっと……」

P「ど、どうしました音無さん」

小鳥「まーた千早ちゃんの機嫌が悪いみたいなんですけど……メール返さなかったんですか?」

P「あー……いや、違うんですよ。実は」

小鳥「実は?」

P「……昨日、亜美と美希が」

回想

亜美「うーん、やっぱおっぱいって大きい方がいいのかなー」

美希「ミキはそうだと思うよ。ね、ハニー?」

P「えっ? うーん、俺は別に……というかなんでそんな話に」

美希「素直になった方がいいと思うな。ハニーもミキみたいなおっぱいの方が好きでしょ?」ギュム

P「お、おい、胸当たってるぞ」

美希「あはっ☆ 当ててるの、ってやつなの」

亜美「おー! ミキミキせっきょくてき→!」

P「は、離れろって……」  バタン

P「……ん? 今、誰か来たか?」

亜美「あれ? 千早お姉ちゃんがチラッと見えた気がするけど、気のせいだったかなー」


P(……なんだか、嫌な予感がする)

P「という訳です。やっぱり千早、あの時いたのか……」

小鳥「それってつまり、千早ちゃんが自分の胸を気にして……」

P「そうかもしれませんね……まったく、別に気にしなくてもいいのに」

小鳥(それはプロデューサーさんがどうなのか、って事だと思うけど……)


P「とりあえず、話を聞いてみます」

小鳥「え、ええ、よろしくお願いします

P「あー……千早、おはよう」

千早「……おはようございます」

P「えーっと、今日もいい天気だな」

千早「……そうですね」

P「あの、昨日なんだけど……事務所にいたか?」

千早「ええ、美希に胸を当てられて嬉しそうなプロデューサーを見かけました」

P「いや、別に嬉しそうになんて」

千早「そうですか。まあ、どうでもいいですけど」


小鳥(あらら……これは簡単には機嫌直さないわね)

小鳥(まあ、デレデレしてたプロデューサーさんにむくれてるってだけだから理由は可愛いんだけど)

P「……わかった。千早さん、ちょいとお耳を」

千早「またですか? どうせ大した事ではないんでしょうけど」

P「――音楽番組の仕事、取りました」

千早「えっ?」

P「……ローカル局ですけど、しっかりとした音楽番組です」

千早「え、えっと……時間は」

P「……千早さんだけで、インタビュー合わせて七分です」

千早「七分も……」

P「……上手く行けば、千早さんの音楽のお仕事、増えるかもしれません」

千早「…………」


小鳥(あら、また千早ちゃんの目がキラキラしてきた)

小鳥(それどころか、音楽の仕事が来たのが嬉しいけど、それを隠そうと頑張ってるように見えるわね)

P「……機嫌、直していただけましたか?」

千早「べ、別に私は機嫌悪くなんてありません」

P「そうか、それなら良いんだ。それと千早……」

千早「まだなにかあるんですか?」

P「……俺は、千早みたいな胸の方が好きだぞ」

千早「……っ!? ふ、ふざけた事言わないでください!」

P「ご、ごめんごめん。ほら、番組の内容が書かれた書類だ。目を通しておいてくれ」

千早「……もう」


小鳥(さりげなく物凄い恥ずかしい事言ってる……千早ちゃん、顔真っ赤ね)

小鳥「プロデューサーさん、上手くやりましたね」

P「ええ、なんとか機嫌を直してもらって良かったですよ」

小鳥「それにしても、プロデューサーさんはそういう趣味だったんですね……」

P「趣味……? なんの事ですか?」

小鳥「とぼけないでくださいよー。小さい方が好きって言ってたじゃないですか」

P「ああ、それは違いますよ。小さいのが好きって訳じゃなくて、千早が小さいからそういうのが好きってだけです」

小鳥「ああ、なるほど。…………ん?」

P「どうかしましたか?」

小鳥「い、いえ……」


小鳥(さらーっととんでもない事聞いたような気がするけど……深くは掘り下げないでおこう)


P「それにしても音無さん、耳いいですね。耳年増……ってのは意味が違うか」

小鳥「……今、なにか言いましたか?」

P「い、いえ、なんでもないです」

それから一週間後

千早「…………」ガチャ

小鳥「あら千早ちゃ……あっ」

小鳥(まーたまた千早ちゃんの機嫌が悪いみたいね……どうせプロデューサーさん関係でしょうけど)


小鳥「おはよう、千早ちゃん」

千早「……おはようございます」


小鳥(さわらぬ神に何とやら……ささっとプロデューサーさんに解決してもらった方が良さそうね)

P「おはようございまーす」

小鳥「プロデューサーさん、ちょいとちょいと」

P「あれ、このパターンはまさか……」

小鳥「そのまさかですよ。今回はなにがあったんですか?」

P「いや、実は……昨日映画を観に行ったんですよ」

小鳥「映画、ですか?」

P「ええ、千早と一緒に」

小鳥「……それ、デートじゃないですか」

P「いやいや、ただご飯を一緒に食べて洋服を見て映画を観に行っただけですよ」

小鳥「世界はそれをデートと呼びますね、間違いなく」

P「そうですか? まあ、実はその時――」

P「いい映画だったな……なあ、千早」

千早「ええ……許されない恋、ありきたりな内容と言えばそうですが、心に来るものがありました」

P「まあ、教育係がお姫様と結ばれるなんて事はさすがに許されないからな」

千早「そうでしょうか? 私は物事を教えるだけでなく、二人で悩む姿に共感しましたが」

P「うーん、でも物事には限度ってもんがあるだろ?」

千早「……現実ではあの二人のような恋は有り得ないと言いたいんですか?」

P「ああ、男と女っていっても、その前に自分のやるべき事があるからな」

千早「……そうですか、そうなんですね」

P「ん? どうした千早?」

千早「……なんでもありません、今日はここで失礼します」

P「いや、それなら送って行くけ 千早「結構です」

P「そ、そうか……気を付けて」

千早「……さようなら」

P「――って感じで、どうやら怒らせてしまったんですよ」

小鳥「……これは酷い」

P「酷い……? あの、どこが酷いんですか?」

小鳥「もういいです、私がどうこう言う問題では無いですから。ほら、さっさと行ってくださいよ」

P「えっ、は、はい」

小鳥(機嫌が悪いというか、なんというか……まあ、なんとかなるでしょう)

P「ち、千早、おはよう」

千早「……おはようございます」

P「えっと、昨日は楽しかったな」

千早「……そうですね」

P「あのー……怒ってる?」

千早「怒る? どうして私がプロデューサーに怒る必要があるんですか?」

P「いや、でも」

千早「私は怒ってなんかいません。ただそれだけです」


小鳥(うーん、これはさすがに厳しいかしら……)

P「……えーっと、千早さん、少々お耳を」

千早「……くだらない事なら聞きませんよ」

P「――実は、新曲が完成しました」

千早「えっ?」

P「……千早さんの新曲、頼んでおいたのが完成したんです」

千早「し、新曲……」

P「……しっかりと歌い上げる必要のある、バラードです」

千早「歌い上げる、必要がある……」

P「……楽譜、明日には届きます」

千早「…………」


小鳥(新曲……これは千早ちゃんも嬉しいはず、というか今回も隠しきれてないわね)

P「……千早さんさえよければ、明日から新曲を中心にスケジュールを組みますが」

千早「そ、そうですね……プロデューサーがそう言うのであれば従います」

P「機嫌、直してくれたか?」

千早「別に、機嫌が悪かった訳では……」

P「あと、もう一つあるんだけど」

千早「なんですか?」

P「昨日の映画は昔の話で、今の時代とは全然違う」

千早「え、ええ、そうですけど」

P「だから、その……俺と千早の関係とはまた違うと思うんだ」

千早「……えっ? ぷ、プロデューサー、それは……その」

P「いや、それだけだ。ほら、今日は春香と美希と一緒に収録だろ? 送迎は律子に頼んであるから」

千早「は、はい……」

小鳥「……プロデューサーさーん」

P「なんですかそのニヤケ顔……」

小鳥「もーう、ちゃんと分かってるじゃないですかー。このこのー!」

P「さ、さて、響と貴音がそろそろ来るし準備するかなー」

小鳥「またそうやってはぐらかそうとしてー」

P「とりあえず、音無さんもちゃんと仕事してくださいね。机の上の領収書、結構時間かかりそうですし」

小鳥「そうなんですよ……社長がこまめに渡してくれれば……」

P「じゃ、お互いに今日も頑張りましょう」

小鳥「そうですね……はあ」

それから二週間後 765プロ

千早「…………」ガチャ

小鳥「…………」

小鳥(……プロデューサーさん、またなにかあったのね。まあ、もう驚く事でもないけど)

小鳥「千早ちゃん、おはよう」

千早「……おはようございます」


小鳥(さーて、今回はなにがあったのかしら……)

P「おはようございまーす」

小鳥「はい、今回はなんですか?」

P「えっ? まさか……」

小鳥「ええ、千早ちゃんは機嫌が悪いのでさっさと上手い事やってください」

P「あー……やっぱり怒ってんのか」

小鳥「心当たりはあるみたいですね。なにがあったんですか?」

P「いや、実は昨日……千早の作ってくれた夜ご飯を食べられなくて」

小鳥「……は?」

P「昨日は千早が夜ご飯を作って待っててくれたんですけど、社長に誘われちゃって」

小鳥「う、うん?」

P「さすがに千早が家で待ってるとは言えないじゃないですか。だから飲みに行ったんですよ」

小鳥「え、ええ」

P「それでなんとか終電で帰ったんですけど、千早は帰っちゃったみたいで」

小鳥「はあ」

P「メモが置いてあって、『私の料理は不必要ですね、失礼します』って……」

小鳥「…………」

P「千早の料理は美味いから、不必要どころか今では必要不可欠なのに……音無さん?」

小鳥「……まあ、今までの流れから考えて驚く事でもないわね」

P「……?」

小鳥「もうここまでくると痴話喧嘩ですね、ちゃちゃっとお願いします」

P「は、はい」

小鳥(……千早ちゃんも千早ちゃんね。それってもうほとんど恋人じゃない)

小鳥(でも付き合ってたらそれはそれで問題か……後で聞いてみよう)


P「ち、千早、おはよう」

千早「……おはようございます」

P「えっと、昨日の事なんだけど」

千早「社長との時間を邪魔してすいませんでした。以降は気を付けます」

P「いや、その……」


小鳥(もうこれはむくれる千早ちゃん可愛い、ってスタンスでいた方がよさそうね)

P「……千早さん、お耳をお貸しください」

千早「またそうやってごまかそうとするんですね……手短にお願いします」

P「……実は、この前の番組を見ていたらしくて」

千早「ああ……あのローカル番組の」

P「……その見ていた人っていうのが、有名な番組のプロデューサーで」

千早「えっ……?」

P「――千早さん、ミューステ、決まりました」

千早「みゅ、ミューステに……私が?」


小鳥(おおっ!? まさかの超有名番組!?)

P「……あのローカル番組、実は売れる歌手の登竜門だったみたいで」

千早「私の歌う姿を見ていたって事ですか……?」

P「……千早さん、みんなより先にミューステ、出ませんか?」

千早「生放送で、私の歌声を……」

P「……聞くまでも無いか。千早、出演は結構先だがそれまでしっかりと準備しないとな」

千早「は、はい!」


小鳥(さすがに今回は隠しきれてない、やっぱり千早ちゃんは笑った方が良いわね)

P「それと、昨日の事なんだけど……悪かったな」

千早「いえ……私の方こそ、プロデューサーにも付き合いがあるのに」

P「それなんだけど、千早の作ってくれたハンバーグ……弁当箱に詰めて持ってきたよ」

千早「えっ……? 本当ですか?」

P「ああ、全部詰めてきたから一緒に食べないか?」

千早「は、はい。……でも、せっかくだから出来立てを食べて欲しかったです」

P「じゃあ、今日も作ってくれよ。千早が良かったらだけど」

千早「……仕方ないですね、今日はちゃんと食べてくれないと怒りますから」

P「楽しみにしてるよ。さて……本番まで忙しくなるなー」

千早「ええ……頑張ります」


小鳥(……なんだろう、急に寂しさと虚しさと心弱さが)

それから一か月後 765プロ


千早「……はあ」

小鳥「あら千早ちゃん、おはよう」

千早「……おはようございます」


小鳥(なんだか元気がないみたい……機嫌が悪いって訳ではないみたいだけど)

小鳥(こういう時はプロデューサーさんに……って、そういえば)

小鳥(プロデューサーさんは出張だから三日前からいないのよね……帰ってくるのは)

小鳥(早くても今日の夜、しばらく千早ちゃんはこのままかしら……)

千早「…………はあ」

小鳥(うーん、さすがに放っておくのも……声をかけてみる位なら)


小鳥「あの、千早ちゃん? どうかしたの?」

千早「えっ? い、いえ……なんでもありません」

小鳥「ひょっとして、プロデューサーさんとなにかあった?」

千早「……っ!」

小鳥「……図星、みたいね」

千早「音無さん……私、プロデューサーに…………ごめんなさい、なんでも無いんです」

小鳥「千早ちゃん……」


小鳥(やっぱりプロデューサーさんじゃないと、ダメね……)

千早「…………」


小鳥(あれから一時間位かしら……ずっとあのまま)

小鳥(……他の子は今日はみんな仕事、千早ちゃんは……あら?)

小鳥(千早ちゃんは今日はオフのはず、どうして事務所に……あっ)

小鳥(もしかして、プロデューサーさんを待っている……?)


小鳥(プロデューサーさん……早く来ないと、泣いちゃいますよ)



小鳥(あれからずっとこのまま……千早ちゃんは会う人全員に何でもないと言ったけど)

小鳥(……でも、私も含めて他の誰かでは解決できない問題みたいね)

小鳥(もう帰る時間なんだけど……うーん)


小鳥「……千早ちゃん、もうこんな時間になってしまったけど」

千早「えっ……? あっ……ごめんなさい、もう帰らないといけませんよね」

小鳥「ううん、別にいいのよ。……待ってるのよね」

千早「…………」

小鳥「電話、してみたの?」

千早「……電源、切っているんです」

小鳥「えっ……? ど、どうして?」

千早「……怖くて」

小鳥「千早ちゃん……」


「はあ……どうりで連絡が取れないと思ったよ」


千早「あっ……」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん! 遅いですよ、もう……」

P「えっと……なんだかすいません。これでも急いだんですけどね」

小鳥「ほら、プロデューサーさん。いつもみたいにお願いしますよ」

P「え、ええ……なあ、千早」

千早「プロデューサー……あれはやっぱり、無かったことにしてください」

P「千早、耳貸せ」

千早「えっ……?」

P「――、――――――」

千早「……っ!?」


小鳥(うーん……今回は聞こえなかったわね。まあ、聞かない方がよさそうだけど)

千早「ほ、本当ですか……?」

P「ああ、こんな事冗談で言う訳ないだろ? ……これを言うために千早のマンション寄ったのに」

千早「……私のマンションに行ったんですか?」

P「でも千早はいなくて電話も繋がらないんだから困ったよ。……まあ、こうして会えて良かった」

千早「プロデューサー……私、不安で……怖くて……でも、会いたくて」

P「……千早、ただいま」

千早「……おかえりなさい」


小鳥(……上手くいった、みたいね)

P「えっと、俺はまだやる事があるんだ……だから」

千早「……分かりました、先に帰って食事を用意しておきます」

P「えっ? いや、無理しなくていいんだぞ? 何時になるか分かんないし」

千早「私がそうしたいから、そうするんです。……いけませんか?」

P「分かった……美味いもん、用意してくれよ」

千早「それだと、いつも作っているのが美味しくないみたいに聞こえますね」

P「ち、違う違う、そんなつもりは」

千早「ふふっ……頑張って早く帰ってきてくださいね、プロデューサー」

P「……ああ」


小鳥(…………独りって、辛いわね)

小鳥「……で、プロデューサーさん、千早ちゃんもいませんし聞かせてもらえますよね」

P「あー……言わなきゃダメですか?」

小鳥「当たり前ですよ。今日、どれだけ私が苦労したと思ってるんですか?」

P「……実はですね、千早に、その……告白されまして」

小鳥「こ、告白!?」

P「そんなに驚く事じゃ……いや、驚きますよね」

小鳥「え、ええ」

小鳥(千早ちゃんから、っていうのと今更、っていう二つの意味で驚いたわ……)

小鳥「でも、あの千早ちゃんが……なにがあったんですか?」

P「千早と出張先で電話していたんですけど、その時に……」


『あなたに会えない事がこんなに辛いとは思いませんでした……まるで、何かを失ったようで』
『こんな思いする位なら……いっその事、全て打ち明けます。プロデューサー、私は――』


P「って感じで……たった数日間会えないだけでこんなになるとは」

小鳥「……それ、ただののろけ話じゃないですか」

P「そうですか? でも、千早がその後すぐに電話を切って……正直不安だったんですよ」

小鳥「千早ちゃんは千早ちゃんで、二人の関係が壊れるかもしれなくて不安だった……って感じかしら」

P「ええ……いやー、千早ってやっぱり可愛いですね」

小鳥「……心配して損した気がします。まあ、千早ちゃんが笑っていればそれでいいですけどね」

小鳥「ところでプロデューサーさん、アイドルと付き合うって事になりますよね?」

P「ま、まあ、そうなりますね」

小鳥「……社長やらみんなにばれたら大変ですよねー」

P「……何が望みですか?」

小鳥「たるき屋奢り、それと……誰か素敵な人、紹介してください」

P「なんか、切実ですね」

小鳥「ええ……幸せそうな人を見て不幸せな自分をはっきりと認識してしまって」

P「な、なるほど……」

小鳥「そういえば、千早ちゃんに耳打ちした時、なんて言ったんですか?」

P「えっ……? いや、それはさすがに……」

小鳥「まあまあ、減るもんじゃないですよ」

P「……えっと、あの時は千早に――」

P「――って言ったんですよ」

小鳥「…………」

P「お、音無さん?」

小鳥「……頑張れ、私。がんばるのよ小鳥ー!」

P「そ、そうですね。そろそろさんじゅ……あっ」

小鳥「プロデューサー、さん?」

P「あ、いや、今のは……」

小鳥「今度は私の機嫌がとてつもなーく悪くなったので、たるき屋二回でお願いしますね」

P「……了解です」




    オッワリーン

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom