末原「姫松高校入学したったwwwwww」(254)


末原(いよいよ今日から新しい生活が始まる……!)

末原(今まではひとりぼっちで空気みたいな学校生活やったけど)

末原(今度こそきっと青春をエンジョイするんや……!!)

末原(眼鏡もおしゃれなんに変えたし、髪もめっちゃ梳いたし、小粋なギャグも考えてきたし)

末原(目指すはネット麻雀部……!)

ふんふむ


――ばんは――今日のニュースです

プロ麻雀――――リーグ――――――決定戦が――――

史上初の九冠を達成した恵比寿ゼータビア、小鍛治健夜選手の優勝パレードが地元渋谷区の――

――――――――――――喜びの声を伝え―――――

―――――グランドマスターの称号を――――――――――――――――


なお、敗れた――――選手は引退を表明

――――――――の現役生活に終止符を――――

―――――に敗れて引退した選手は――――――――

壊し屋と異名を―――――――――――――――協会は懸念をあらわに――――

――――――――

――――

――


プチッ


担任「みんな、入学おめでとう! ようこそ姫松高校へ」

担任「とりあえず背の順で席に座ろかー」

末原(うわ、背の順やと私また一番前で他の子と絡みにくなるやん)

??「えーーー、こういうのって普通は出席番号順なのよー」

??「ぶはは。諦めて一番前行けって」

??「ヒロポンかてどうせすぐ後ろの2番目なのよー!」プンスカ

担任「あんたらちっちゃいなぁ。えーと、確か麻雀部特待生の愛宕さんと真瀬さんやね」

生徒A「えー、そんな凄い人がクラスメイトなん?」ヒソヒソ

生徒B「うちの麻雀部ってめっちゃ強いんやろ? それの特待生ってごっついんちゃうの?」ヒソヒソ

生徒C「ていうか愛宕って名前なんか聞いたことない?」ヒソヒソ

愛宕「!?」

末原「!!??(目が合った!)」

愛宕「由子、仲間や! 仲間がおるでっ」

末原「え?……え?」


真瀬「素敵なのよー。名前なんて言うん? 私は真瀬由子よー」

末原「す、すすす末原恭子ですすすっ」

愛宕「うちは愛宕洋榎や。末原ちゃん、由子と背中合わせて! 背ぇ比べてみ」

末原「あ、え、あああ、あ、え?」

真瀬「失礼するのよー」ピト

真瀬「遂に最前列を譲るときが来たのよー!」

愛宕「ぶはははは! 残念でした! 由子は相変わらず先鋒で固定やな」

真瀬「キーーーーッ、ちゃんとシニヨンの分も測るのよーっ!」

愛宕「無駄無駄。てかお団子無理やり上げたらシルエットがミッキーマ○スみたいなるで」

真瀬「夢の国なんて糞食らえなのよー!」

真瀬「時代はウッディーなのよっ。ウッディーなら伏字も必要ないのよー」プンスカ

末原「え、あ、あ、え、えーと……」

担任「おチビちゃんトリオの完成やね。ほなみんな席に座ってー。最初のホームルームやでー」

愛宕「誰がおチビちゃんやーーーー!!」

ほう


真瀬「放課後なのよー」

愛宕「末原ちゃん、メガネかわいいなそれ。うちの妹もそんなメガネしとるねん」

末原「あ……う……」

愛宕「これからはメガ原ちゃんと呼ばせてもらおう。メガ丼眼鏡盛りや!」

生徒一同(メゲ原……?)(難聴)

真瀬「ひねりがないのよー。私がもっとええの考えたるでー。んーと、んーと……」

真瀬「すえはら……すえはら……うん、末原ちゃんは今日から"八っちゃん"なのよー」

生徒一同(なんじゃそら……)ガビーン

愛宕「で、出たーwww自分でつけたあだ名を誰にも使ってもらえへん奴wwwww」

真瀬「末広がりの"八"ちゃん。縁起がいいのよー」

愛宕「メガ原のがかっこええっちゅうねん!」

真瀬「クソ兎球団のギョロ目監督がメガってるみたいでイヤなのよー! 八っちゃんで決まりよー」

生徒一同(かわいそうな末原さん……)


末原「えと……その……」

真瀬「これから一緒に妖精さんトリオとしてがんばっていくのよー」

愛宕「おチビちゃんトリオが脳内フィルターかけられて自称"妖精さんトリオ"か……」

末原「あぅ……」

真瀬「八っちゃん、顔真っ赤やけど大丈夫?」

末原「は、はい……!」

末原(な、なんかいきなり友達できたみたいで嬉しい……感激っ!)

末原(あだ名で呼んでもらえるとかめっちゃ青春っぽい!)


生徒A「あ、あの……愛宕さん?」オズオズ

生徒B「もしかしてあの、"スーパーマジャンメオトーズ"の愛宕さんなん……?」

生徒C「一世を風靡した、あの夫婦麻雀プロの……!」

真瀬「その通りなのよー」

生徒一同「きゃあああ、すごーーーーい!!」

愛宕「その呼び方やめい! おとんがなんかオーバーオールの配管工っぽく聞こえてイヤやねん!」

真瀬「明らかにその路線で売り出してたのよー」

生徒A「あんな有名人の娘さんとクラスメイトになれるとか、めっちゃついてるー」

生徒B「ていうか愛宕さん、やっぱなんか大物のオーラ出てるわ……」

生徒C「(こいつ調子ええな……)」

支援


キャーキャー

末原(うわ、人だかりで取り囲まれてしもた……)

末原(ていうか愛宕さんそんなに凄い人やったんや)

末原(でも私は完全に忘れ去られてるというか、蚊帳の外)

末原(いつものことやな……)ショボーン

愛宕「はいはーい! ごめんな、うちら今から部活行かなあかんねん」

生徒一同「キャーーーーー! 親子揃って麻雀なんやね。カッコええわぁ」

愛宕「また明日お話しよなー」

生徒一同「部活がんばってねー」フリフリ

愛宕「ほな妖精さんトリオ、でっぱつやーー」

真瀬「行ってくるのよー」

末原(あれ……私も?)ズルズル


愛宕「ごめんなメガ原ちゃん、囲まれて動けんかったやろ」

真瀬「よくあることなのよー」

末原「ううんっ、全然!」(気ぃ使って連れ出してくれたんや……)ジーン

愛宕「でもなんかちょっと気に入ってしもたな、妖精さんトリオ」

真瀬「私の命名よー」フフン

愛宕「メガ原ちゃん、部活とか決めとるん? うちらは麻雀部なんやけど、よかったら一緒に来おへん?」

真瀬「部活でもトリオとか素敵なのよー」

末原「えええええええ!!?? 姫松麻雀部って超強豪の!?」

愛宕「ルール知っとる? 経験なくても頭良さそうやからすぐ覚えれるやろうけど」

末原「うん、ルールはわかるけど……」

真瀬「じゃあ問題ないのよー」


末原「じ、実は私……麻雀部やなくて"ネット麻雀部"に入ろう思ってて……」

愛宕「ええええ、やること一緒やし普通の麻雀部でええやん!」

末原「無理無理無理無理! 私、牌も触ったことないしネット麻雀しかやったことないんよ……」

真瀬「女は度胸! なんでもためしてみるものなのよー」

末原(ていうか昨日までひとりの友達もおらんかったのに、今日になっていっぱいありすぎー!)プシュー

愛宕「おろ? なんかショートしてしもたな」

真瀬「……あんまり無理言うてもあかんかもね。また今度の機会にするのよー」

愛宕「うーん、しゃあないな。んじゃまあ、メガ原ちゃんまた明日なー」

真瀬「バイバイよー。バイバイよー」 ←ピー助っぽく


真瀬「ヒロポン残念だったのねー」

愛宕「な、なにがいな……」

真瀬「絹ちゃんにちょっと似てたのよー」ニヤニヤ

愛宕「ちゃうわ! 全然関係あらへんしっ!!」アセアセ


※超どうでもいいピー助参考動画
ttp://www.youtube.com/watch?v=E3dD1Yczg4o


末原「うぅ、せっかく誘ってくれたのに悪いことしてしもたな……」

末原「でもさすがに私みたいな素人が全国常連トップレベルの姫松麻雀部ってのは無理あるわ」

末原「――でもでもでも、姫松はそれだけじゃ終わらん一味違う学校」

末原「なんと全国でも珍しい、ネット麻雀専用のネト麻部があるんやでっ」

末原「公式大会なんかはないけど、企業サイト主催のオープントーナメントでこないだ優勝しとったし」

末原「ネト麻やったらずっと打ってたし私でもなんとかなるはず……!」

末原「もうちょっと心の準備してからや思てたけど、こういうのは勢いや」

末原「今日はぜったいツイとるし、このままネト麻部直行やでっ」

末原「た、たたたたっ、たのもーーーーーーーーーーーーーー!!!」ガラララ

末原「にゅ、入部したいんですけど……!」


部長「末原恭子さん、やね……確認するけど、ほんまに入部したいん? 麻雀部と間違えてへんのやね?」

末原「は、はい! 私ネット麻雀が趣味で……もしかして入部試験とかあります?」

部長「とくにそういうのはないけど」

末原「こないだの咲ポ杯トーナメントで優勝してるの見て、憧れてたんです……!」

部長「ああ、あれな……。お遊びみたいなもんやけど」ボソ

末原「それで私も、オフラインの雀友とかほしくて……!」

部長「…………」

末原「それにしても今日はお休みやったんですか? パソコンいっぱいあるのに全然人おらんみたいですけど」

部長「んー……まあ、開店休業というか、新入部員増えたら部室で打つ子も増えるかな」

末原「???」

部長「慣れてきた部員はわざわざ部室来んと、各々好きな場所からモバイルで打ちよるんよ」

末原「な、なるほど……!」


部長「それに、なにかを決めて活動しとるわけちゃうしな」

部長「一応、ネト麻部専用の学内サーバーはあるけど、普通の企業サイトで打つ子も多いんよ」

末原「そうやったんですか」

部長「もっかい確認するけど、末原さん、ほんまにネト麻部に入りたいんやね?」

末原「は、はい。そうしたいです」

部長「うん……わかった。どっちみち姫松は4月いっぱいどの部も仮入部期間やから」

部長「部活動時間中は私だいたいここおると思うから、遠慮無く来てな」

末原「はい、よろしくお願いします!」





※ネット麻雀部部長は清楚ロングの薄幸そうなお姉さんみたいなイメージ


末原「部長、牌譜のプリントアウトってこのアプリでええんですか?」

部長「うんうん。プリンタの紙はこの棚にあるから無くなったら補充してな」




部長「末原さん、今回は安上がりに徹して逃げる練習しよか」

末原「はい!」




部長「ネト麻は手軽にルール変更できるから、いろんなルールで打っていこうな」

末原「えーと……」

部長「うふふ……今度はなしなしの卓に行こか」

末原「!?」

部長「大好きなクイタンは封印やで」クスッ

末原「ずがーん!」


末原「部長! やっぱり麻雀って楽しいですよね!」

末原「どんなに強くても負ける時は負ける。逆にどんなに弱くても勝つ時は勝つ」

末原「四角い宇宙に無限の可能性が転がってるわけですよね!?」

部長「うん……そうやね……」

末原「うーーん、楽しいなーーー」ニコニコ

末原「私、ピンフも好きやけど、やっぱり一番はタンヤオなんです!」

末原「2~8で構成される牌姿の美しさ、汚れ(ヤオ九)のない乙女のごとく!」

末原「喰ってもよし、面前でもよし。こんな万能な役ってないですよー」

部長「あはは……末原さんのタンヤオ好きには恐れ入るわ」アセ


末原(今日も部活楽しみやなー。毎日がこんなに楽しいなんてはじめてや……)ポワーン

愛宕「お~ぅメガ原ちゃん、元気しとるー?」

末原「愛宕さん真瀬さん、おはよう」

真瀬「おはようなのよー」

愛宕「そういえば、ネト麻部に入ったんやっけ?」

愛宕「う、うん……」

真瀬「もったいないのねー。八っちゃんと一緒に打ちたかったのよー」

末原「あ、あはは……」

愛宕「そういえば主将が今度ネト麻部で調整どうのこうの言うてなかったっけ」

真瀬「来週なのよー」

愛宕「そんときもしかしたら一緒に打てるかもな!」

真瀬「楽しみなのよー」

末原(合同練習でもするんかな?)

ふんふむ

この3人組ええなあ


末原「失礼しまーす……って、あれ?」

??「おお? どなたさん?」

末原「私、ネト麻部員の末原恭子です」

??「新人さん? えっらい早い都落ちやな。まだ二週間やでー」

末原「???」

??「はじめまして。ネト麻部副部長の茂武(モブ)です」

末原「あ、すいません失礼しました」

副部長「うーん、線細そうやしこの早さでもしゃあないか」

副部長「ま、ここは厳しい規律も競争もない、負け犬にとっては天国みたいなところや。まったり行こなー」

末原(?……負け……なに?)

副部長「えーと、LANカードは……あったあった。ほな部長によろしくー」タッタカター

末原「……行ってしもた」

なにこのスレタイ損は


部長「あ、末原さんもう来てたんや。遅なってごめんな」

末原「部長、おはようございます」

末原「あの……さっき副部長さんが来てました。なんかカードみたいなん持って帰って――」

部長「…………そう」

末原(さっきのは一体なんやったんやろう。都落ちとか負け犬とか……)

末原(なんか聞きづらいワードやしなぁ)

末原(そういえば部長以外の部員さんってはじめて見たかも。これぐらいやったら聞いてええかな)

末原「あの、部長……他の部員さんってみんなモバイルなんですか? 全然見ませんよね」

末原「さっきはじめて副部長さんに会うて、失礼な対応してしもうて……」


部長「……実際はほとんどみんな幽霊部員やねん。モバイルで連絡とってる人もちょっとしかおらへん」

末原「あぁ……やっぱり……」

部長「登録人数だけは無駄に多いねんけどな」

末原「じゃあ、新入部員の勧誘とかやってみませんか?私に出来ることやったら――」

部長「ああ、わざわざ勧誘せんでも、もうすぐしたら一杯くるから」

末原「え?」

部長「毎年恒例のことやから。5月すぎたら集まり出すねん。そやから気ぃ使わんでええんよ」

末原「……はあ、それならよかったです」

末原(部活動なんか初めてやから勝手がようわからんけど、そういうもんなんかな?)


部長「末原さん、これ売店で新発売のジュース」

末原「あ、いただきます! 嬉しいですっ!」

部長「うふふ……どういたしましてやで」ニッコリ

末原(ネト麻部の活動はずっと部長とふたりきりやけど……)

末原(全然問題ないなぁ。部長やさしいし、めっちゃええ人やし……)

末原(私も後輩できたらこんな風にしたげたい……)

末原(……ちょっと勇気出せばこんな素晴らしい日々が待ってくれとったんやなぁ)

末原(私も部長になにかお返しがしたいなぁ……)


ガララララッ


愛宕「ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃー」

真瀬「お邪魔しますのよー」

部員A「あ、部長ちゃんおったー。久しぶりー」

部長「あっ……うん、久しぶり」

末原「愛宕さん? 真瀬さん?(と、麻雀部の人たち?)」

愛宕「おーぅ、メガ原ちゃん元気にやっとるみたいやなぁ」

主将「部長、ごめんやけど調整で使わせてもらう」

部長「うん…………わかった」

末原(そういえば先週愛宕さんが麻雀部と合同練習みたいなこと言うてたな)


部長「ほな末原さん、出るで」

末原「え? 出るって部室を……? 合同練習とちゃうんですか?」

部長「違うねん。後で説明するからとりあえず出よ――」

主将「合同練習か! それ名案や!」

主将「部長、どない? たまには一緒に打たへん?」

部長「な、なにを言うてるの。そんなん許されるわけないやん……」

末原(……部長!?)

主将「堅いこと言わんと、たまにはええやないのー」

部員A「そうやで部長ちゃん。いっしょに楽しもーよ」

部長「私らにそんな資格ないん、あんたらが一番わかってるやろ。末原さん、行くで……」

末原「え……? あ、えと……」




※麻雀部主将は全国個人戦決勝っぽい舞台で照ガイト憩と卓を囲むクールビューティなポニーテール子(1巻99ページ左の子)みたいなイメージ(この人この時間軸では2年っぽいけど)


主将「そういえばその子、はじめて見る顔やな」

末原「あ、私ネト麻部員の末原恭子言います。はじめまして、麻雀部主将さん……?」

末原(姫松麻雀部の主将って、ものすごいレベルの人なんよね?)

主将「私が知らん子がネト麻部におるとはなー」

末原「?? 私は麻雀部じゃなくてネト麻部やから、知らんでも当然かと――」

主将「いやいやいや。私はネト麻部員37人の顔と名前、ぜーんぶ覚えとるで」

末原「?? すごい記憶力なんですね……?」

主将「あんたぐらいやな、私の知らんネト麻部員」

主将「麻雀部には来たことないねんな?」

末原「はい、その通りです」

末原(さっきからなんやの、この人……?)ムカッ

sryk


部長「末原さん、ええからもう行くよ」

末原「あの、部長! なんでいきなり部室を占領されて私らは追い出されなあかんのですか?」

末原「ちょっと納得いかへんっていうか……」

部長「あとでちゃんと説明するから――」

主将「それはな、新人ちゃん。ネト麻部は麻雀部に絶対服従で逆らわれへんからや」

末原「は……!?」

主将「ネト麻部は麻雀部を立てることで部の存続が認められとる、いわば下部組織みたいなもんや」

主将「実際、ネト麻部員は全員が元麻雀部。誰も私らに逆らおうとはせえへんよ」

末原「な、なな……」

主将「まあ別に普段からこき使っとるわけやなくて、ネット麻雀で調整したい時とかに部室を明け渡してもろとるぐらいやけどな」

末原「そんな……わけわかんないんですけど!」

主将「不服ある?」

末原「と、当然です! なんでそんな奴隷みたいな扱いされなあかんのですか!?」

支援


部員A「おおぉぉ、まさかうちの主将に噛み付く人がおるとは……」ヒソヒソ

部員B「これは貴重やでぇ」

部員C「普通じゃ考えられへんもんな」

部員D「愛宕と、この新人さんぐらいか。なんか初々しくてええわぁ」

真瀬「八っちゃん、怒ると怖いタイプなのねー」


部長「主将、ごめんなさい! この子には後でよう言うて聞かせとくから……」

末原「部長、なんでそんな卑屈なるんですか!」

末原「ここは部長が毎日一生懸命手入れしてる大切な場所ですよ……!」

末原「そんな簡単に明け渡しなんかできませんよ!!」

主将「ククク……そんな大事な場所なんやったら、余計、無茶苦茶にしたなるなぁ……」

部員一同(主将っ!?)

主将「愛宕なんかポテチ食べた手でそのままマウス握って、油ベトベトなるやろなぁ……」

末原「…………愛宕さん?」ギロッ

愛宕「ひぃぃぃぃ、もうしません!って、なんでバレとるんや!?」

真瀬「誰でも想像つく光景なのよー」

主将「さーて、どうする新人ちゃん。悪の麻雀部がかよわいネト麻部をめちゃくちゃにしてまうでぇ……」

末原「………………させへん」ゴゴゴ


主将「どうさせへんの? ひとりで通せんぼでもするんか?」

末原「……………………」

主将「世の中は弱肉強食。実力主義の社会なんや」

主将「文句なしの実績を積み上げとる麻雀部には学校側もたいていの無茶は通すで」

主将「その麻雀部様が部室を差し出せ言うとるんや」

主将「弱小ネト麻部ごときが逆らうんは身の程知らずってもんやで」フフン

部員一同(主将たのしそうやなぁ……)

末原「ネト麻部は弱小ちゃいます! オープン大会の優勝とか、ちゃんと実績あります!」

部長「やめて末原さん! あんなん、麻雀部に比べたら――」

主将「ほほーう。実力でも負けてへんって言うねんな?」

末原「そ、そそそ、そうです!(もうヤケっぱちや!)」

部長「末原さん……」


主将「ほなまあ、白黒つけるしかあらへんなぁ……実力で」

末原「の、望むところです!」

主将「愛宕! 真瀬! 相手したり」

真瀬「ちょっとかわいそうなのよー」

愛宕「それってネト麻で? 相手するんはええけど、あんな"柄合わせ"で勝負したって言えるんかいな……」

末原「愛宕さん!! ネト麻のことバカにしてんの!!??」

愛宕「いやいやっ、そういう意味やなくて――」

愛宕「いつもと勝手が違って本気になられへんっちゅうか、命を載せられへんっていうか……」

末原「(??)……ほなええよ。自動卓で勝負しよ」

主将「おぉ? こっちの土俵に上がってくれるんや?」

末原「の、望むところです!」

主将(ええなぁ、この子。ますます気に入ったわ……)


主将「そしたら、部長&新人ちゃんvs愛宕&真瀬のコンビ対決で行こか。ルールは――」

部長「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は雀卓なんかつかれへんのよ!?」

主将「おいおい部長……こんなときぐらい野暮は言いっこ無しやで。久々にええやないか」

部長「ネト麻部員は雀牌に触れてはいけない――――これが私らの掟や!」

末原(!!!!????)プッチーン

主将「そんで一年坊ひとりにやらせるつもりかいな。重症やな、コレ……」

部長「そもそも勝負なんておかしいねん……! 末原さん、あんた麻雀牌に触れたことすらないのに……」

部員一同(マジで……!?)

末原「部長、私やります! 一対三でかまいません!」メラメラメラ

部員一同(この子、大物やな……)

愛宕「その意気やよし! 気に入ったでメガ原ちゃん。手加減は無しや!」

真瀬「すごい根性なのよー」

部長「末原さん……」

支援


――麻雀部

末原(これが……本物の雀卓…………四角い宇宙……!)

主将「よっこらセック――」

愛宕「主将も入んの!?」

末原(……!!)

真瀬「大人げなさすぎるのよー」

主将「勘違いすな。ほんまに一対三でやるわけやない」

主将「あんたらふたりは狙い打ちの練習。トップが飛び終了を狙っとると想定して打つ」

主将「逆に私はラスを守る練習。3位がトップの飛び狙いを阻止する立場ってわけやな」

主将「もちろんターゲットは新人ちゃんやで」

主将「新人ちゃんは、飛ばんと半荘終了したら勝ちや」


末原「は……!? 私、ネト麻でも箱割れなんかしたことないんですけど……!」

末原「……………………」

末原「……まあでも、有利なんにこしたことはないんで、それでお願いします」

主将「おぉ、意外と冷静やな~(ほんまええわこの子)」

愛宕「有利、なぁ……」

真瀬「……ナメられたものなのよーーー!」

部員一同(有利どころか、愛宕にやらせる時点で卑怯っぽい気がするわ……)

部員一同(……入部たった3週間で名門姫松のレギュラーが確約された天才、愛宕洋榎に……!)


トン チャッ カチッ チャッ タン カチャ…………


末原(これが……ほんまの"麻雀"……)

末原(牌って結構重みあるねんな。確か15グラムぐらいやっけ)

末原(牌を自分の手で整理して、反時計回りにツモっていく……)

末原(順番間違えんようにせんと……)

主将「ポン」

末原(!? そ、そうや……鳴く時は自分で言わんとあかんのや……)

主将「新人ちゃん、ツモってな」

末原(!!?? 上家の主将さんがポンしたことですぐ私のツモ番に……!)

末原「す、すいません。すぐ切ります」

末原(お、落ち着け! 落ち着くんや! 呑まれたらあか――)タンッ

愛宕「メガ原ちゃん残念! それ当たりやでー」

末原「ひぅっ」

主将「ちゃんとロンって言わんかい。何回言うても治らんなぁ」


末原(あ、あかん……地に足が着いてへん私……!)

末原(慣れてなくても、なんでもええから自分のペースにするんや!)

末原(得意のタンヤオ……無理鳴きでもええからとにかく一回――)

末原「(出た!?)……ぽ、ポンっ。それポンです!」

末原(えーと、えーと……鳴いたわけやからまず切って、それで納めて……)

末原(そうや! ポンしたからツモ順が変わるんや。間が飛んで私からのリスタートになるから……)

主将「あー、あー……」

末原(??)

主将「うん、最初やからサービス。新人ちゃん、それツモったら多牌なってまうで」

末原「え……ええぇっ!?」

主将「鳴いた時の手順がおかしかったな。まず鳴いた牌をきっちり晒して、それから捨てたらええ」

主将「ポンした牌は鳴いた相手に合わせて横に倒してな」

末原「す、すすすすすす、すいません!!」

ネト麻ばかりやって後に実際打って立直した後気づくフリテン


主将「焦らんと落ち着いてやったらええよ。ちゃんと私ら待っとくから」

真瀬「心配せんでも大丈夫よー」

末原「はい……」

愛宕「……再開してOK? ほな悪いなメガ原ちゃん、どっちみちそれロンやねん」タハー

末原「ぐ…………」プルプル




――結局そのままパニック状態から脱せず、南2局愛宕洋榎の親マン直撃で飛び終了――




末原(ううぅ……結局私なんにもできんまま飛ばされてしもた……)

愛宕「どないメガ原ちゃん! うち強いやろー? さすがやろー?」

末原(こんなあっさりと負けてしもて……)グス

主将「さてさて、肩慣らしはこんなとこかな。ほな次いこかー」

末原「(次っ!?) は、はい……!」


――二回戦――

末原(落ち着くんや末原恭子! とにかく落ち着かなあかん!)

部長「末原さん……」

末原(部長……!? そ、そうや。ネト麻部での日々を思い出せ!!)

末原(私のホームはネット麻雀。今ここで私はネト麻をやっとると仮定するんや!)

末原(俯瞰で自分を見ろ。卓の流れはさっきで掴めた。後は手が勝手に動いてくれるはず)

末原(ここは画面の中。私は今ネト麻をしとるんや。注視するは手牌と河と王牌のみ!)

末原(すぅ……………………)

主将(……お? 落ち着いてきたな。もう半荘ぐらいかかるか思たけど)

末原(…………よし、もう大丈夫。ちゃんと牌が見えてきた。自分の麻雀ができる)

末原(とにかく一回和了ろう。ノミ手でええから和了るんや)


真瀬「それロンよー。3900ね、八っちゃん」

末原「は、はい……」


愛宕「ロン…………メガ原ちゃん、あんた背中が煤けと――」

主将「ええからさっさと点数言わんかい」


末原(ぐっ……もう落ち着きは取り戻したのに、やっぱり歯が立たへん)

末原(それにしても、こんなにリーチが出えへん麻雀なんか初めてや)

末原(私を狙い打つからには当然なんやろうけど、それにしても……)

末原(ネト麻はほとんど即リーやし、リーチしてへん人相手に降りるとか今までやったことない……)

末原(相手をよく見たらなんか情報が――?)

三人「……………………」

末原(!? み、見られてる……? 私の挙動を読み込んどる……?)

末原(普段きゃんきゃんな真瀬さんまでこんな迫力が)

末原(もしかして、私の打ち筋そのものを読もうとしてんの……!?)

>>46

 そ の ま ま 上 が っ て も 誰 も 気 づ か な い 友 人 た ち


――そのままいいところなく、オーラス、愛宕洋榎の親っパネツモで箱割れ終了――

――三回戦――

末原(あかん……)

末原(……一回も和了られへん。やっぱり実力が違いすぎるんか)

末原(狙い打ちの精度も半端ないし、打ち筋まで見切られてもうてるんかな……)

末原(…………)

末原(いや、諦めたらあかん! どんなに弱くても勝つ時は勝つんが麻雀や!)

末原(最善を尽くせ。考えることをやめるな。少しでも勝利に近づくための努力を惜しむことなく――)

末原(…………勝利?)

末原(……私の勝利条件は――)


タン カチッ タン カチャ……


主将(真ん中から処理して中盤からはヤオ九、愛宕真瀬の安牌…………やっと気づいたか)

末原(……私の勝利条件はただひとつ、"飛ばん"こと)

末原(そうや! なんも無理して和了ろうとせんでええねん)

末原(2万5千点リードのトップ逃げ切りと考えたら話は簡単や)

末原(普段は逃げることに専念して……そうやな、配牌で2シャンテン以上やったら攻めてみよう)

末原(麻雀は守る方が圧倒的に有利なんや……!)

>>50
普通の麻雀させてーな


愛宕「メガ原ちゃん、さっきからずっと国士でも狙ってんの? あんま怖いんはなしやでー?」ワハハ

真瀬「極端な河なのねー」

末原(なんと言われようと逃げ切る。安牌切れたときの生牌、ヤオ九狙い打ちに注意して……)

愛宕「リーチしとこか」

末原(……リーチ!?)

愛宕「ほい、きたきた。ツモ。4000・8000」

末原(ぐ……親被り)

愛宕「ゆっくりじっくり手作りさしてもうて、イージーモードすぎてなんか悪いわぁ」

末原(…………堪えろ、堪えるんや末原恭子)

末原(情けないけど、これが一番勝率高いんや。耐えるしかない……!)


末原(と、思ったらなんやコレ……)

末原(タンヤオ平和三色ドラドラ、1シャンテン)

末原(……これは行くしかないやろ!)

愛宕「おお? メガ原ちゃんどないしたん字牌から切っていって」

愛宕「これは流石に警戒せんとやばいんちゃうかー?」ワハハ

真瀬「主将、注意せんでええの? 完全に三味線弾いてるのよー」

主将「もう諦めた。これで悪気ないんがタチ悪いわ」

末原(……張った。安目やけど)

末原(バレバレみたいやし、ツモ期待でリーチかけよかな……)

末原(うーん、まだ高目に切り替えれる牌ようさん残っとるし、ダマでいこ)


愛宕「~~~~♪」ドシッ

末原(え……? 手出しでドラ切り……?)

真瀬「…………」ニコニコ

末原(真瀬さんもそんな強いところ……)

末原(あっちも張ってる? でもリーチはかけてへんし)

末原(……攻めに出た私から直撃をとろうとしとる……?)

末原(…………)カタカタ

主将(オリてしもたかー)

末原(あ、あかん……これで安牌がもう……)

主将「…………」トン

末原(助かった……これで一巡……)

主将「…………」トン

末原(よし、また一巡助かった。それにしても、さすが主将さん。めっちゃ通していくなー)


末原(………………)

末原(……私に安牌増やしてくれとる?)

末原(ほら、またや)

末原(間違いない。私のことサポートしてくれとるんや)

末原(そういえば今までずっと主将さんが安牌増やしてくれとったな……)

末原(ほんまに私の箱割れを阻止しようとしてくれとるんやな。最初の宣言通りに)

末原(……あれ? じゃあもしかしてテンパイ維持しとったら差し込んでくれた?)

真瀬「流局よー」ニコニコ

主将「ノーテン」

末原「ノーテン」

末原(とにかく、味方がおるってわかったんや。次からは最大限に利用して――)

愛宕「ノーテン」

真瀬「ノーテンよー」

末原「は……!?」


末原(え……ノーテン? 張ってなかった……??)

末原「えええええっっ!?」

部員一同(愛宕も真瀬も素人相手にえげつないなぁ。テンパイ伏せて揺さぶりに出た)

末原(あのまま攻めとったら。ビビらんと攻めとったら……)カタカタ

部員一同(ネト麻しか経験なかったら想像もつかんやろな。実は張っとったやなんて)




――揺さぶられた末原は、その後見事に攻め時守り時を見誤り、東4局にて飛ばされる――


――四回戦――

末原(ありえへんとか、気のせいとか、常識はずれとか、否定するんは簡単やけど)

末原(これが現実や)

末原(この人らには見えとるらしい。私の"一挙手一投足"が)

末原(第二次世界大戦で暗号が筒抜けやった日本軍みたいなもんか……)

末原(この状況で私になにができるか)

末原(とにかく……絶対諦めたらあかん。チャンスは必ず来ると信じる!)

末原(考えろ。考えるんや。考えることだけはやめたらあかん)


末原(ひとつだけ……ひとつだけ攻め手があるとしたら……)

末原(国士無双……!)

末原(私が今までやってきとる完全ベタオリの捨て牌は国士狙いと重ねることができる)

末原(このとき、愛宕さん真瀬さんは私を和了り無しと見なしてゆっくり高い手作りをするから――)

末原(安手で流される心配がない。ギリギリまでツモを吟味できる)

末原(さらに、後半の私のヤオ九切りに合わせて、字牌を抱えとることが多いから――)

末原(4枚種切れ破綻って事態が起こりにくい…………と思う)

末原(そやから、テンパイさえ出来ればなんとかなるんとちゃうやろか……)

末原(いや、違うな)

末原(なんとかしてみせるんやっ、部長とネト麻部のために……!)

支援やで

支援

面白い


――南3局――

親:末原恭子 ドラ表示牌:七万

愛宕洋榎:36,700点 真瀬由子29,200:点 末原恭子:12,300点 主将:21,800点

東家 末原恭子 配牌

一八九9①①③④⑨南西北北発


末原(来た……9種11牌。十分狙える……!)

愛宕(感じるでメガ原ちゃん…………牌に魂が宿っとる)

真瀬(強い気配やね。とても初心者とは思えないぐらいよー)

主将(目が死んでへん……諦めてへんねんな、全然)

末原(3、4筒から切っていって……大丈夫、今までのベタオリにカモフラージュできる!)


12巡目 末原恭子 手牌

一九9①①⑨南西北北白発中  ツモ:1 捨て牌:北


末原(張ったで……!)

末原(東は残り2枚。対子で抱えとったら私からの出和了りはないから捨てる可能性は十分ある!)




14順目 愛宕洋榎 手牌

二三四五七八八234②③④  ツモ:東


愛宕(東――……)

愛宕(んー……?)

愛宕(………)タン 


捨て牌:五


16順目 愛宕洋榎 手牌

二三四七八八234②③④東  ツモ:東


愛宕(まァそこやろな~)

愛宕(………)タッ


捨て牌:八


18順目 末原恭子 手牌

一九19①①⑨南西北白発中  ツモ:六


末原(ラスヅモ…………あかんかった)

末原(……これも麻雀か)

末原(でも諦めへんでっ……絶対に絶対に諦めへんっ)

末原(12,300点……親マンまで耐えれる、テンパイとってキープしたい点数やけど……)

末原(この手は晒したらあかん。私の唯一の武器なんや。まだ隠しとかなあかん)

末原(残り1局でも希望は捨てへん! さあ、テンパイ崩して次行くでっ)


捨て牌:北

しえん


――流局。ノーテン罰符で末原恭子-1500点――




部員一同(うわぁ、めっちゃおもろいやん)

部員一同(最後の北切りは痺れたわぁ)

部員一同(この新人さん、成長速度すごない?)

部員一同(それにしても愛宕はほんま鉄壁やなぁ)

支援
この後咲さんにカタカタされるのかと思うと興奮しますね


――南4局・オーラス――


親:主将 ドラ表示牌:南


愛宕洋榎:38,200点 真瀬由子30,700:点 末原恭子:10,800点 主将:20,300点




末原(10,800点……デッドラインは跳満直撃以上)

末原(今までと同じようにオリるか、安手で躱しに行くか……)

久の悪待ちに普通に対応してるもんなあ


北家 末原恭子 配牌

一四八277③③⑧東西西西


末原(ドラの西アンコ……!)

末原(これって……)

末原(攻めるには重すぎる手やけど――)

末原(愛宕さん真瀬さんはツモじゃあかん。跳満以上を私から直撃とらんとあかんのや)

末原(そこに来て、ドラは完全に死んだ。私が握りつぶした)

末原(直取りせなあかんからリーチ裏ドラの心配もない)

末原(これ……いけるんとちゃうか!?)

末原(…………と思って今まで何回やられとるねん)フッ

末原(このふたりは常識の外におる人間や。簡単に行くわけがない)

末原(でも多分、有利なんは私の方や。気ぃ引き締めて逃げ切ったるで……!)


真瀬「ポン!」

真瀬「それもポンよー」


13巡目 末原恭子 手牌

一一一八368東南西西西発  ツモ:東 捨て牌:一


末原(2副露……真瀬さんはソーズの清一色)

末原(死んでもソーズは捨てんけど……混一色対々和役牌2でもいけるんか)

末原(ロン必須やし清一色ブラフで混一色本命かもしれん)

末原(愛宕さんは……なんやろ。真瀬さんのサポートに回っとる感じ)

末原(裏目った?塔子がちらほら。一応、チャンタ系注意――)


17巡目 真瀬由子 捨て牌:東


17巡目 末原恭子 手牌

34668東東南西西西白発  ツモ:東 捨て牌:東


末原「…………っし!」グッ

末原(真瀬さんが東切り。残り2巡で安牌が3枚になったんや。これ完全に逃げ切ったで!)

末原(やった…………ついにやったんや……!!)

支援

ちゃちゃのんフラグっぽい気が


18巡目 末原恭子 手牌

34668東東南西西西白発  ツモ(海底):南


末原(…………これで東を切って…………私は生き残ったんや……)

末原(逃げ回るだけでかっこ悪いけど、それでも勝ちは勝ち)

末原(さあ、勝利の一手を……!)

末原(……………………)

末原(――――――――!?)

末原(え……? これ、もしかしてヤバイ……? まだ可能性は残っとる?)

末原(…………やっぱり愛宕さんなん?)

末原(でも4枚見えとる東で直撃って……)

末原(国士無双……!?)


末原(1万、西が3枚切れ。真瀬さんも混一色で字牌抱えの可能性が高い)

末原(他のヤオ九も私からはかなり見えとるし、確率は超々々低いで……!)

末原(ていうか、さっきの局は私の国士東待ちが愛宕さんに抑えられて)

末原(そんで今度は逆に愛宕さんが国士東待ちで私を狙い打つ?)

末原(…………そんなドラマみたいなことが有り得るん!?)

末原(ドラマやったら主人公はこっちの方やで!)

末原(細々やっとるネト麻部に立ち退きを迫る強権麻雀部)

末原(悪役は完全にあっちや。国士カウンターなんてかっこええ真似、ヒールに許されるはずがない)

末原(絶対ありえへん)

末原(確率から言うても、シナリオから見ても国士なんかあるわけないんや)

末原(この東は絶対に通る――!)






ターンッ






捨て牌(河底):東

 
 
 
 
 
 
 















愛宕「ロン」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


愛宕「役者が違うとでも言うんかな」

愛宕「メイクドラマ…………いや、メイクミラクルッ!」

愛宕「不可能を可能にする女、愛宕洋榎をヨロシクや……」

愛宕「32000! きっちり耳そろえて飛んでもうたで!!」

真瀬「オーバーキルなのよー」




――四回戦・終了――

愛宕洋榎:70,200点 真瀬由子30,700:点 末原恭子:-21,200点 主将:20,300点

 
 
 
 
 


末原「――――――――」カタカタ

愛宕「まぁまぁ、メガ原ちゃん。そんな気ぃ落とすことない」

愛宕「あんたはようがんばった。ただ、相手が悪かっただけやねん……」

愛宕「そう、あんたの敗因はたったひとつのシンプルな答え。実にシンプルなただひとつの理由」

愛宕「あんたの相手は愛宕洋榎やった――」

愛宕「たったひとつ、それだけのシンプルな――」

主将「もうええわっ!!」ボカッ

主将「何回シンプル言うねん」

愛宕姉のウザさが凄い


主将「さーて、新人ちゃん。どない? 麻雀部のこと認めてくれたかな」

末原「う、うぅ……」ポロポロ

末原「……確かに麻雀部は強いです。"今日"のところは完敗です!」グス

末原「でも、麻雀は半荘4回程度で絶対的な強い弱いの判断はつけられんはずです!」グシュグシュ

洋榎「おぉ?」

末原「それに……それに……」

末原「明らかな強者でも負けるときがある」

末原「明らかな弱者でも絶対に勝てないとは限らない」

末原「それが……麻雀の醍醐味のはずです!」キッ

真瀬「その通りよー」


主将「……つまり、まだ諦めてへんと?」

末原「当たり前です! 諦めません! すぐに再戦できるんも麻雀のええとこなんです!」

部長「末原さん……」

主将「わかったわかった。決着はついてへん。勝負はまだまだこれからや」

末原「…………は、はい!」

主将「でもまあ、今日のところはこっちの勝ちやろ? そやから今回の明け渡しの件は納得してもらうでー」

末原「……ぐぬぬ」

主将「フフ……悔しかったらいつでもかかって来ぃ」

愛宕「メガ原ちゃん、おもろかったでー」

真瀬「また今度打つのよー」

恭子ちゃん真面目やから理牌とかも読まれてそうやもんな


末原「部長……勝手な真似して、結局ボロ負けで…………ほんまにすいませんでした!」ペッコリン

部長「末原さん……」

末原「でもでも、最終的な決着はまだ着いてへんってあっちの主将さんも言うてくれたし、力の差は明らかで図々しいですけど、これからも食い下がっていきましょうよ!」

部長「末原さん……」

末原「私、今はこんなやけど、これからまだまだがんばって強なりますし……」

末原「諦めんと立ち向かっていけば、ネト麻部のことも認めてくれるかも……」

部長「末原さん、あんだけボロカスにされといてまだ諦めてへんの?」

末原「当然です! さっきも言うたけど、麻雀は下克上のできるゲームですから!」

末原「それにそれに、卓に着いたんは初めてでしたけど、逃げてただけやけど……でもやっぱり麻雀は楽しいです!」

部長「……!!」

末原「牌も握られへん、麻雀を楽しむことさえ奪おうとするネト麻部の取り決めは絶対おかしいです!」

部長「末原さん、違うんよ……」

末原「……え?」

末原さんの折れない意思好き

おはようメガっち

しえ

可愛い可愛い僕の末原さん
そのままの君でいて

1がさるさん食らいました

ウェヘヘ・・・


部長「末原さん、違うねん。ネト麻部は自分から楽しむことを放棄した人らの集まりやねん」

末原「どういう意味ですか?」

部長「麻雀部を都落ちした人が集まるネト麻部やけど、麻雀部は別にクビとかリストラとかしてるわけとちゃうねん」

部長「その証拠に、ネト麻部員はいつでも麻雀部に復帰できるんや」

末原「ええっ、そうなんですか!?」

部長「戻る意志があるんやったらいつでも復帰できる。さっきも主将が私を卓に誘ってくれたやろ?」

部長「でも、実際に復帰する人なんかほとんどおらへん」

部長「ひどい言い方やけど、ネト麻部ってのは競技麻雀を諦めるためのホスピスみたいなもんなんや……」

末原「…………」

部長「名門姫松に憧れて、でもやっぱり上には上がおって、圧倒的な力の差に押し潰されて……」

部長「表の理由は『第二、第三の麻雀部が設立されれば本麻雀部との競合で問題が起きる』ってことやけど――」

部長「折れた心のままでなし崩しに続けて自分と麻雀を嫌いになる前に、進むか引くかを決断させる」

部長「ほんまは、そのための掟やねん。牌を握られへんってのは」

真瀬さんとスズチャーは可愛い

あ、解除されたか……
さるさん怖い(´・ω・`)
5分間隔ぐらいで投下したら大丈夫かね、コレ……

しえん


部長「私らは諦めた人間やから……」

部長「戦場で身を削られながらも麻雀を好きでいつづけられる。そんな自信を無くした人間やから……」

部長「プロとアマチュアの決定的な差ってやつかな。まあ姫松出身でもプロになれる人はほんの僅かやけど」

末原「部長……」

部長「末原さん…………あんたはやっぱり麻雀部に行くべきや」

末原「ええ!?」

部長「けちょんけちょんにやられても、諦めず、希望を失わず、麻雀を楽しめる」

部長「一番大事なもの……私らが無くしたものをあんたは持ってるんや」

末原「たった半荘4回やっただけで、そんな買い被りですよ!」

8分くらいでどうやろう

支援いれとくよー


部長「ううん、大丈夫。末原さんは大丈夫や。だってあんた麻雀が好きって気持ちは誰にも負けたないやろ?」

末原「!?」

末原「……それはもちろんです! さっき実際雀卓についてもっと好きになりました」

部長「……うん。そやから大丈夫」

部長「麻雀部で、ほんまの麻雀を打ってくるんや。もっともっと、もーーっと麻雀を好きになれるで」

部長「私らの夢、あんたやったら叶えてくれそうや……」

末原「部長……」

麻雀って楽しいね!


※作品上の比喩として"ほんまの麻雀"という言い方をしています。
ネット麻雀が本当の麻雀でないとか、そのような意図は決してありません。
ご容赦を。


とりあえず半分でさるさん食らったんで、あと残り半分突っ走ってみる


末原「た、たたたたっ、たのもーーーーーーーーーーーーーー!!!」ガラララ

愛宕「おぉ? メガ原ちゃんきた? 主将の言うた通りや」

真瀬「かわいい道場破りなのよー」

主将「……勝負の続き?」

愛宕「こっちの卓空いてるでー」

末原「は、はははは、はい! いえ、すぐ対戦とかやなくて」

愛宕「ちゃうの?」

末原「そ、そそそそその、いわゆるなんというか……」

末原「ネト麻部の私でも麻雀部の活動についていけるってのを証明することで、認めてはもらえないでしょうかっ」

愛宕「…………?」


主将「つまり、麻雀部に入りたいってことやな?」

末原「……形式上はそうなります、かね」

真瀬「わー、やったのよー! 妖精さんトリオ復活よー」

末原「でもでも、あくまで私はネト麻部員なんで!」

愛宕「意地っ張りやなぁー、メガ原ちゃんは」

主将「ええやろう、歓迎するわ」

主将「でも姫松は昨日まで仮入部期間やし、正式なネト麻部員ってわけでもなかってんけどな」

末原「えぇぇ、そうやったんですか……」

主将「あんたは見かけによらず根性がある。これからビシバシ鍛えたるで」

末原「は、はい! よろしくおね――――」


ガラララッ


部員A「だ、だだだだ大ニュースやで大ニュース! テレビつけてテレビ!」

読んでる途中ほ


主将「どないしたんや、騒がしい」ピッ

テレビ「――――した。繰り返します。史上初の9冠保持者、恵比寿ゼータビアの小鍛治健夜プロが北関東独立リーグ、つくばプリージングチキンズへの電撃移籍を発表しました」

部員一同「えええええええええぇぇぇっっ!」

テレビ「なお小鍛治プロは移籍に伴い日本代表から退くことも表明。第一線から本格的に撤退することになりました」

テレビ「牌界を代表するトップの去就に、日本麻雀界の今後の動向が注目されます」

愛宕「マジでーー!? 一体なにがあったんやろなー」

部員A「小鍛治プロ、去年うちに指導に来てくれたこともあるんやで」

部員B「監督と顔見知りやしなんか知らんかなー」

部員C「顔見知りっていうか姫松とはなにかと因縁の多い関係やけどな……」

末原(す、すごい……! 伝説のプロでも身近の存在なんや、姫松麻雀部って……)



バターン!


部員一同「!?」

部員一同「監督!? おはようございます!」

監督「……………………」

末原(うわ、監督さんやったんか。でもなんか青筋立ってめっちゃ怖い、てか怒ってるみたいなんやけど)

監督「……………………」

末原(こ、怖っ! 杖ついてかなりのおばあちゃんやけど迫力ごっつい……)

部員「(……監督めっちゃ機嫌悪ない? なんかあったんやろか)」ヒソヒソ

監督「そこぉ! なにをぺちゃくちゃやっとんじゃいッ!」ツエビターン!!

部員「…………」シーン


監督「今年入ったジャリどもはどこや! そこ並ばんかい!」

主将「し、新入部員はこっちへ」

末原(あ、私もやっ)ドタバタ

監督「アタシが監督の善野や。命令されたとき以外は口開くな!」

監督「返事はどないしたぁ!?」

一年部員「「はい!!」」

監督「あんたらメス豚どもがアタシの特訓に生き残れたら――」

監督「各人が雀頭になる。麻雀で絶対必要な人間雀頭になるんや」

一年部員(…………??)

監督「その日まであんたらはギョウ虫や!」

監督「寝起きのケツに貼られたセロファンにこびりつくギョウ虫の卵や! 有機野菜なぞクソ喰らえ!」

監督「あんたらは人間やない。配牌で一枚ずつきた三元牌ぐらいの価値しかない!」

真瀬(私は三元牌集まるの好きなのよー)

ポリ

ほほえみモブ

また1がさるさん食らいました

ンモー

支援

しえん

しえ

しえしえ

猿さんとかしょうがねえなぁ…

はあ


監督「あんたらは厳しいアタシを嫌う。でも憎めば、それだけ学ぶ」

監督「アタシは厳しいけど公平や。差別は許さん」

監督「アンコる西、南場の東、ペンチャン待ち――――すべて平等に価値がない!!」

愛宕(……めっちゃヤオ九だけ差別しとるやん)

監督「アタシの使命は後付けを刈り取ることや。愛する中張牌のために!」

真瀬(タンヤオキチ○イなのよー)

監督「わかったかギョウ虫ども!」

一年部員「「はい!」」

監督「もっと、もっと大声ださんかい!」

一年部員「「はいッ!!」」

サーイエッサー

折れて寝ちゃった?

あ、すまん続いてた。
がんばれー。

実際に大阪のブー麻雀世代はタンヤオを重要視する



ジロッ


末原(こっち見た……!?)

監督「戦犯顔、名前は?」

末原「(え、なに顔?)……末原恭子です!」

監督「ふざんけんな! 今から末川原児と呼ぶ。ええ名前やろ、気に入ったか?」

末原「(?…意味わからんけど)――はい!」

??「このババァ、脅したいんか笑わせたいんかどっちなん?」ヒソヒソ

監督「誰や! どこのアバズレや!」

監督「爆○党の手先の天然パーマめ! 伝説ンゴwwられたいか!?」

一年部員「……………………」シーン

監督「答えなしか」

監督「菊門のジジィか!」

支援


監督「ええやろう。池田が泣くまで牌を投げたる。顔が見えんぐらい牌を積み上げたる!」ムッキー

一年部員(誰?)

監督「あんたか、ジャミラっとるんは?」

真瀬「ち、ちがうのよー」

監督「マセガキが! あんたやろ、ウシガエルのものまねが得意なんは!」

真瀬「得意じゃないのよー」ウルウル

愛宕「…………うちや」

監督「そっちのタレ目か」


監督「勇気あるファ○キン親の七光り愛宕洋榎」

監督「正直に言うたんは感心や、気に入った。実家に帰って妹をファ○クしてええぞ」

愛宕(……ファ○クってどういう意味やっけ?)

監督「ロンロンロンロン♪ 楽しいロンロン♪ 愉快なロンロン♪」

監督「ツモ!!」ヒザゲリッ

愛宕「ごふぅっ」

監督「無教養処女が! じっくりかわいがったるからな!」

監督「ボケたり突っ込んだり出来んようにしたる!」

末原(怖すぎるぅぅぅーー!)

真瀬(やっぱり笑わせにきてるのよー)




――こうして新入部員に対する地獄の特訓がはじまったのだった。

コントか

支援




ザッザッザッザッ(全体ランニング中)



監督「咲コンウォーズがでーたぞー」 一同「咲コンウォーズがでーたぞー」

監督「こいつはドエロなアドベンチャー」 一同「こいつはドエロなアドベンチャー」

監督「のめりこめる!」 一同「のめりこめる!」

監督「のめりこめる!」 一同「のめりこめる!」

監督「和ちゃん達には内緒だぞー」 一同「和ちゃん達には内緒だぞー」



末原(いつまでやっとんのコレ……)

末原(死ぬ……)

末原(もうめげたい、投げたい、つらいつらい……)

やりすぎてつまらんぞ


監督「チームデスマッチ、2vsそれ以外全員のハンデ戦、開始や!」

隊長A「アルファチーム校舎裏に展開!」

隊長B「ブラボー、現在、体育館方面を索敵中!」

隊長C「こちらチャーリー! クラブハウスを死守します!」

部員一同(麻雀部やのになんで戦争ゲームしとるん……?)

愛宕「ブタノー、ガン見ニーーー!!」ドドドド

隊員D「キャーーー、出たーーーーー!!」

隊員E「助けてーーーーー」

隊長A「弾幕張らんと! なにやってんの、応戦して!」

隊長B「撃たなきゃ当たらないでしょ!」

隊員F「……ううぅ、当たりました」

隊長C「あらーーー、中野さーーん」

おい、麻雀しろ

sssp://img.2ch.net/ico/kossorisan.gif
なんか急激につまんなくなっちまったな


隊長B「上から来るぞっ、気をつけろ!」

真瀬「残念、後ろからよー。汚物は消毒なのよーー!」ガガガ

隊員Z「こちらブラボー、こちらブラボー! 敵襲を受け壊滅状たギャーーー」

隊長A「油谷さーーーーーん!!」

隊員E「相手は特待生二人だけのチームやのに……もう会いだぐない……」

末原(負けたらまたキツイ罰が……)

末原(もうイヤや……逃げたい……投げ出したい……)

末原(あ、アカンアカン! うちはネト麻部を代表してここにおるんや! 絶対めげたらあかん!)

末原(三週間だけの仮入部員やったけど、ネト麻部魂を見せたるんや……)

只<まだだっ、諦めるな! まだ俺の仕事は終わっちゃいないぜ!

部員一同「只さん……っ」

只<行きな嬢ちゃん達……後は俺に任せろ。絶対に死ぬんじゃないぜ……!

部員一同「只さん、ありがとう。そしてさようなら……ッ」ガチャ

只<前後逆に向けちゃらめえええええええええ!!!

チュドーーーン!


一年A「私、もう耐えられません! 辞めますゥ」タタタ

一同(……………………)

部員A「これで10人目かぁ……」

部員B「主将、いくらなんでも今年のは厳しすぎるんちゃう? 私らの代の3倍はひどいで」

主将「…………」

部員A「今年の一年は気の毒やわぁ。なんで急に厳しなったんやろなぁ」

主将「(監督、やっぱり小鍛治プロの件が原因なんやろか……)」

主将「(身体の方もええことないのに……)」

ここから麻雀だな

アラフォーに精神をやられたか…


部員一同「ゼェ……ハァ……ゼェ……ハァ……」

一年B「ハァハァ……この基礎訓練ってなんなん? なんで麻雀に体力訓練が必要なん?」

一年C「時間いっぱい特訓して、最後は部室と雀卓と牌の掃除……」

一年D「麻雀の練習いっこもしてもらわれへんやん」

一年C「体育会系の部活やったら、最初の一年は球拾いだけとかよう聞く話やけど……」

愛宕「今やったら大丈夫やって! 半荘一回ぐらいいけるでっ」

真瀬「打ちながら牌の掃除なのよー」

一年B「ムリムリムリムリカタツムリ! もう牌握る握力さえ残ってへんわー」

一年C「愛宕さんと真瀬さんのふたり異常すぎるわ」

一年D「あんなキツイ特訓の後でなんでそんな元気あんの?」

愛宕「ええぇー、そんなキツかったかぁ?」

真瀬「今日の特訓も楽しかったのよー」

一年「」

セーラ・穏乃「麻雀に体力必要」

のどっちのランニング風景


愛宕「今日のあれなんやったっけ。キノコ麻雀でポン!やった? 超おもろかったわー」

真瀬「溜め池の上を回転する雀牌型のセットにしがみ着いてぐるぐる回って対岸渡るやつやね」

愛宕「昨日のジブラルタル麻雀海峡?も燃えたわー」

真瀬「不安定な一人用吊り橋を渡り切るゲームやね。雀牌型バレーボールをぶつけられて邪魔されるのよー」

一年B「愛宕さんはスポーツ万能で運動神経超ええし、真瀬さんも異様にすばしっこいし……」

真瀬「ヒロポンはむかし女子サッカーで近畿代表だったのよー」

愛宕「あんたが麻雀に引き込むまではなでしこ目指しとったからな!」フフン

一年C「へー。愛宕さん、有名な親御さんに麻雀のエリート教育されとるわけとちゃうんや?」

愛宕「……ま、まあ別に…………ほら、半荘一回ぐらいやろうやっ」

一年D「だから無理やって。もう体力ないもん」

よん


末原「わ、私やる……」

愛宕「さっすがメガ原ちゃんやで! 他はー? あとひとりやでー?」

一年「……………………」シーン

真瀬「……また今日も三麻なのねー」

愛宕「三麻もええけどたまにはちゃんと四人で打ちたいなぁ……」

末原(ほんまは私もとっくに体力限界やけど……)

末原(でもこんなときやからこそ一回でもええから打っときたい)

末原(やっぱり卓で打つん楽しいし……)

末原(ていうか、身体がガタガタやからこそ余計な力が入らへんというか)

末原(なんか逆に集中できるような……)

末原(スポーツでこういう理論あるようながする)


キーンコーンカーンコーン

愛宕「よっしゃ今日も部活やでぇー」

真瀬「今日はどんなアトラクションなのか楽しみよー」

末原「アトラクションて……」

クラスメイト「おチビちゃんトリオ、今日も仲ええなぁ」

愛宕「誰がおチビちゃんやーーーー!! こん中やとうちが一番高いっちゅうねん!」

真瀬「まさにどんぐりの背比べなのよー」

末原「…………」

クラスメイト「でもあんたら大丈夫なん? なんか麻雀部って新人の退部者続出で監督の責任問題になるかもって噂やん?」

末原「!?」

愛宕「あんなおもろい練習しとるのになんでみんな辞めていくんかなぁ」

真瀬「根性が足りないのよー」

末原(責任問題…………!?)

部活そっちのけでたけし城ごっことかやってるんだから
責任問題以前の話だけどな



ガラララッ


愛宕「おはようサンガリア! 今日も一日がんばるんば――――」

一年生D「だから!! なんでずっとあんな特訓ばっかりなんですか!?」ドンッ

主将「…………」

一年生E「お願いです主将。私ら、麻雀やりたいです……」

一年生F「基礎訓練とは名ばかりの体罰やないですかコレ。あの監督あたまおかしいですよ!」

主将「こらこら、過激な発言は――」

一年生G「あ、末原さんっ。なあ、あんたもこっちきて一緒に抗議しよ」

末原「えぇっ?」

一年生H「愛宕さんと真瀬さんはアレやけど……あんたはこっち側の味方やんな?」

末原「そ、それはその……」


末原(確かに練習は厳しい。理不尽なシゴキばっかりかもしれん)

末原(私かて何回もやめたいって思ったけど……)

末原「でもその、なんか逃げるみたいでイヤかな……」

一年生I「!? へー、あんたもいい子ぶるんや……」

一年生J「もうええです! もう限界や! こんなん、ネト麻部でネット麻雀やっとるほうがよっぽどマシです!」

一年生D「行くでみんな。あ、末原さんはええ子ぶってせいぜい特待生の金魚のフンでもやっとき」スタスタ

愛宕「こらーーー、妖精さんトリオって言わんかーい!」

真瀬「行ってしまったのねー」

末原(みんな……)


部員A「主将、さすがにマズない!?」

部員B「ていうか……え、残った一年生この3人だけ?」

愛宕「三麻も飽きてきたで……」

主将「…………うむぅ」

末原「あ、あのあの……責任問題とか噂で……」

部員C「さすがにここまでの大量離脱は前代未聞やもんな。結構広まってるみたいよ」

部員D「監督いったいどないしてもうたんや」

部員E「……やっぱり時期的に小鍛治プロの半引退が原因?」

部員F「姫松出身のプロ、軒並み小鍛治プロに潰されたもんな……」

部員G「監督、教え子をことごとく壊されて、しまいには勝ち逃げされて相当腹立ってる感じ?」

部員H「身体もええことないのに、悪いこと重なっておかしなってしもたんやろか」

部員I「麻雀協会が調査に来るって噂まで出とるよ?」

部員J「それマジでヤバない? 大会出場停止とか部活動停止とか……!」

部員K「その前にまず監督が処分されるんちゃう?」


??「その心配はないで」ガラララ

部員一同「か、監督!?」

監督「クックック……協会の連中なんか、みんなアタシの孫娘みたいなもんや」

監督「形だけは調べに来ても実質お咎めなんかあらへんで」

監督「それにまあ、アタシももう長いことない。年齢的にも体力的にも」

監督「ほっといたら消えるんやから、協会もわざわざ虎の尾を踏むような真似はせえへんわな」

監督「つまり、結局アタシの好き放題ってわけや」

監督「最後のおもちゃ、生贄ちゃん達は……」

監督「なんや、まだ3人も残っとるんか」

監督「…………こりゃもっと厳しせんとなぁ」ニタァ

末原(まだこれ以上厳しく!? さ、さすがに死ぬんちゃうやろか……)

書き込めるかテスト

もう全部書き上げてるんで寝落ちはありません
あと闘牌描写ももうありません(´・ω・`)
急に投下なくなったときはバイバイさるさんで1時間ほど規制されてます。。。
支援ほんとにありがとう

期待しようじゃないか



トン チャッ プシューー


末原(あれから、ようやく卓についての麻雀練習ができるようなった)


タン カチッ プシューー


末原(やっぱり麻雀は楽しい。実力はダントツで一番下やけど、その分成長を実感できるから嬉しい)


シューーーーーーー


末原(けど――そやけど――――)


パァーーーーーン!!


末原「きゃあああああ!!」ドテッ

どんな投下パターンだと猿になるんだろね。
支援やたらたくさんはさめば多少の連続は許してくれるのかな。

前SS書いてたときに投下中に他のスレに書き込めば予防になるって聞いた


愛宕「ぶはははは」

真瀬「八っちゃん、残念やったねー」

末原「うぅぅ……」

愛宕「それにしても風船ふくらませチキンレース麻雀はスリルあるなぁ」

真瀬「ドキドキなのよー」

監督「末原、罰ゲームや。服一枚脱げ」

末原「うぅぅぅぅぅぅ!」

監督「常に恐怖心と緊張感を持ちながら打つんや! トップクラスの化物は殺す気で打ってくるで!」

末原「」シクシク

監督「さっさと脱がんかい! 誰もあんたの貧相な身体なんか見たないわ!」

末原「」キッ

監督「」ビクッ

主将(ひとりだけ普通の子で心配やったけど、さすが末原。全然大丈夫みたいやな)

主将(ていうか監督にまで噛み付くようなったし……キレたらどんだけ怖いねん)アセアセ

愛宕姉のせいで顔面偏差値下がってるな


監督「ええかあんたら。麻雀ってのは強固なメンタルがモノを言う競技や」

監督「どんな極限状態でも心を平静に保つこと。これが一番大事なんは言うまでもない」

監督「これまでの練習でも様々な極限状態を試してきた」

監督「いついかなる状況でも平常心で打ち続けなあかんでっ」

愛宕「……それにしたって、いくらなんでもコレはないやろ!」カーッ

真瀬「こんな紐の水着なんて初めて着たのよー」カオマッカ

末原「ひーん……」グスッ

監督「……しかしまあ、あんたら色気足りてへんなー。凹凸のないこと平野のごとし」

真瀬「一部から絶大な支持があるのよー」シクシク

監督「しゃあない、もうひとりや。これじゃなんのサービスにもならん」

>>175は屋上に集合

                                 _,. .-‐-、
          _                    /: : : : : : :ヽ
      ,. :''"´: : : : :`ヽ、          /: : : :_; : : :-:‐:-. . . ._

     /: : : : : : : : : : : : : : : : :‐-. . . .-‐ ''ン; : ''": : : : : : : : : : : : : :`:ヽ
   /: : :_; : : -‐-x: : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
  /: :, '"´ , : ''"´: : : : : : : : : : : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.
. //  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : .:/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
 {.i  /: : : : : : : : : :_:_: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\

. |j /: : : : : : : ; ''"´   ̄  ー-‐‐7: : : : : : : /l: : : : : : : :iハ: :ヽ`/: : i : : : : : : :}`ヽ
    {: : : : : ./           //: : : : : : : / .l: : : : : : : :i .i: i/ i: : : :}: : : : : : : i : : : . 、
   i: : : :/            /:.:/: : : : : ∧7‐-=ミ:ハ : : : :.!/  j: :ハ∧.: : : : :ト,:i  ̄ `ヾ;,.
   i: : :/             /:.:/{:.i: : : :.i:i リ   i:./ _\: : :i =ニテオ=z≦!: : : : :} '!    /: :}
   ヾ: :i           /:./   i:ハ: : : |:| _,z=オ芹「  \:!  i:::;;;しイ j: : :./:V   /:/
     \__,        'イ     lj ヾ: :i:| '"i::::;;;しイ.      弋::::::ソ ,厶イ:.:ハ :i   /
              `ヾ=---' //\!ト、 弋_::_;ソ         ̄  i |: !: i i }/
                     // |: :i ∧         '_         i |: : .i i:.!   どこから見てもかわいいやろ
                   {:.i  .|: :!: :∧      / `ヽ    イ l: : :i //
                   ヾ\ |:.:i.:/  ` .     i__,ノ  / iリ |: ://
                           i:.:i/     ≧-  _  イ  ,/ i:/
                        i:.|      八|      ,ハ__   /
                       ';.! _,, -‐f´  \  /  i ` ‐-  _
                      , ''"    {.    ∧_∧   }       `ヽ
                        /    /.   \. _/x==x`ヾ_,ノ      i
                    //  i   ___{{__〃V \        i    \
                        /    .l. / ,、ヽヽヽヾ! i\,ノ       ./     \_
                  /      i / ゝ_/_/_/_/ー-、. \     V          ̄_`ヽ
                  ∠__      /      _,, イ ̄          〈           /::::i i
                  {::::/ `ヽ.  /     -‐‐''"  .|             }::.i      /\:::ノ ノ

>>175
あっ?あっ?あっ?

絹ちゃとすずちゃでおもち偏差値が

>>175
SOAどころの騒ぎじゃねえぞてめえ

支援
スレタイからこんな流れになっているとは


愛宕「……主将エロすぎるやろっ」

主将(なんで私まで……)マッカッカ

監督「さあ、羞恥心を克服して平常心で打たんかい!」

真瀬「セクハラがひどすぎるのよー」

監督「セクハラも清原もあるかい! グラウンドでとんぼ引きたいか!」

愛宕「かんぱぁ~~い 今うちは人生のぉ 小さな小さな――」

監督「やかましいっ、その恰好のまま大阪ドームで打たしたろか!」

真瀬「どうせ客席ガラガラなのよー」

>>177
誰もブサイクなんていってないじゃないか
ワハハw

なんもかんも阪神が悪い


愛宕「合同合宿か~」

主将「毎年の恒例行事や」

真瀬「近畿の有力校と、今年は広島からも来てるんやてー」




千里山監督「善野さん、よろしゅうに。胸を借りるつもりでやらせてもらいます」

姫松監督「イヤミか貴様ッッ!」

千里山監督「……うちのボンクラがご迷惑おかけして、ほんま頭が上がりませんわ」

姫松監督「アレはほんまにあんたからなんも教わってへんのか?」

千里山監督「……はい。血は争えんみたいで」

姫松監督「父親も人にモノを教えれるようなタマとちゃうし、完全に才能のみってわけやな」

千里山監督「お恥ずかしい限りで」

姫松監督「ま、責任持って見とくから安心し。教えることなんかほとんどないけどな」

千里山監督「よろしくお願いします」


藤白「姫松さん、ここの卓空いてるよ」

姫松部員A「うわ、千里山女子の藤白七実や……」ヒソヒソ

姫松部員B「絶対入りたない……」ヒソヒソ

姫松監督「愛宕と……末原いってこい」

末原「わ、わわわわ私っ!?」

藤白「あれー? 主将入らんのー?」

主将「……ま、決着つけるんは戒能も交えて全国でってこっちゃな」

藤白「ふーん…………セーラ、入りー」

江口「やったーーー。俺の出番がキタデー」

姫松一同(なんで男子がおんの……?)

愛宕「お、あんた……インターミドル以来やな。千里山行っとったんか」

江口「ここで会ったが100年目やでっ。覚悟しとけよ愛宕洋榎ーー!」

愛宕「また返り討ちにしたろうやん、俺俺詐欺女」


清水谷「ほら、あの子が監督の娘さんやって……」

園城寺「おぉ、やっぱオーラあるなぁ……」

清水谷「うちのセーラかて負けてへんでっ」

園城寺「うん! セーラ、ファイトやでー!」


監督「どないや、全国クラスの魔物と打った感想は」

末原「手も足も出なかったです……」カタカタ

監督「負けるんはしゃあない。誰でもあることや」

監督「でもな、重要なんはどんな負け方をしたか、やで」

監督「前のめりに、次に繋がる打ち方できたか?」

末原「!!……はい!」

監督「考えることをやめへん。最後まで諦めへん」

監督「これができてはじめて価値ある負けってもんや」

末原「はい!!」


愛宕「んーー……稼ぎ負けたなぁ」

真瀬「ドンマイよー」

部員A(プラスで戻ってこれるだけでも凄いわ)

部員B(スーパーマジャンメオトーズの娘ってこと、改めて確認)

部員C(ていうか本物来てるやん。後でサインもらい行こうや!)


江口「くっそーーー! やっぱあいつ見かけによらずめっちゃ守り堅いぞ!」

清水谷「セーラとは正反対やね」

園城寺「……監督の娘さんをあいつ呼ばわりしてええんやろか」

江口「じゃあ"お嬢さん"でいこか。ははは、あいつには似ても似つかん呼び方やでー」

江口「おーい、お嬢さん。監督のお嬢さーーん。俺ともっかいやろうやー」

愛宕「な……っ! なんやねんその恥ずかしい呼び名は!!」

江口「今度は俺が勝つからなー」

愛宕「まーた俺俺詐欺女の勝つ勝つ詐欺か」

江口「竜華ー、怜ー、お嬢と打てるええ機会やでー」

愛宕「その呼び方やめい!」

実際愛宕ネキの防御力意味わからんからな
「まーそこやろな」ってどこで判断したのかと

経験に裏打ちされた動物的勘やろな


清水谷「はじめまして洋榎ちゃん。いつもお母さんにお世話なってます清水谷竜華言います」ニコ

愛宕「お、おぉ…………これはこれは、立派なおもちをおもちで」

清水谷「ほら、怜も一緒に入れてもらお? 洋榎ちゃん、この子、園城寺怜って言うねん。同じ一年生やで」

園城寺「わ、私みたいな三軍が入っても邪魔にしかならへんから……」アセアセ

愛宕「ええやんええやん。遠慮せんと西園寺ちゃんも一緒に打とうや」

園城寺「西園寺やなくて園城寺や!」


椿野「梢ちゃん、梢ちゃん。あそこにいるのちゃちゃのんだよー」

古塚「どなたでしょうか?」

椿野「広島の美少女雀士って触れ込みで、今テレビで凄い人気あるんだよもー」

古塚「テレビとはあの低俗な映像機械ですか」

椿野「もー! いくらお嬢様学校だからって、みんなテレビぐらい見てるよもー。世間の話題についていけなくなるよー?」

古塚「今より前に進もうとするなら、ただテレビを見ているだけではだめなのかもしれないと、そう思っているのです」

椿野「石器時代に進もうとしてるよ! もー」




小走「はん、ニワカはすぐ流行に飛びつこうとするね」

小走「ありゃステマが相当効いてる」

小走「まぁどれだけ視聴者に媚びようと私は小3の頃から大沼プロ一筋だ」

圧倒的王者オーラ


椿野「ほら、梢ちゃん。撮影会みたいなの始まったよ」

古塚「カメコを代表して謝罪します」

椿野「ポーズとりながらなんか決め台詞みたいなの言ってるよ。かわいいなーもー><」

古塚「ローアングラーを代表して謝罪します」

椿野「どんな決めゼリフなのかな。もうちょっと近寄ってみようよー」

古塚「月に代わって謝罪します、ではないでしょうか」

椿野「古すぎるよもー」










佐々野「ちゃちゃのんも、朝○ソーラーじゃけん」キラッ


支援

猿た?


真瀬「今日、練習試合にくる白糸台って聞いたことない学校なのよー」

部員A「東京からわざわ大阪遠征来てるんやってさ」

主将「なんか今年から麻雀部が新設された学校らしいわ。奨学生の待遇が段違いらしい」

愛宕「そういえばうちのとこにもスカウト来たかも」

部員B「臨海女子の日本版みたいな感じ? 東京モンはこれやからなぁ~」

主将「一年しかおらんけど、麻雀部めっちゃ力入れとるらしいで」

真瀬「金満巨カスがウキウキでワロタのよー!」ゴゴゴ




白糸台コーチ「わざわざウチみたいな無名校との試合を承諾していただいて恐縮です。今日は胸を借りるつもりで臨ませてください」モミテ

監督「わざわざ来とるんはそっちやん」

白糸台コーチ「いやはや、まったくもって…………必ず満足させてご覧に入れますので」

おお、生きてた。

咲絶ちに慣れていないころ

細かくおさるさんが邪魔してくる。。。
仕様がイミフすぎやで!

長さも関係あるのかな。


白糸台コーチ「……宮永、お相手しなさい」

宮永「……はい」

監督(…………こいつ!?)ピキーン

監督「愛宕、末原ァ!」

末原「ま、また私でええんですか!?」

愛宕「メガ原ちゃん、ようやく胸を貸せる大きさの相手やなっ」

末原「私らとたいして変わらへんやん……」

宮永(……胸のことを言った?)

宮永「…………ゆるさない」ゴゴゴゴゴゴ

主将(……こ、これは!?)ゾクゾクッ

弘世「おいっ、照……!」ヒソヒソ

弘世「今回の遠征は鏡での情報収集が目的なんだ。あんまり目立つことはするなよ……!」

宮永「菫みたいな大福おもちに、この気持ちはわからない」

弘世「あー、もう! ならせめて剣までにしておけよ。勾玉まで見せるんじゃないぞ!」

宮永「――――」コク


監督「特盛クラスの化物やったな」

末原「」カタカタ

監督「凡人相手じゃどうにもならんレベルか」

末原「せっかくの起用に応えられんで自分が情けないです……」

監督「ま、凡人は凡人なりにいろいろ試行錯誤してがんばっとったやんか。そのへんは褒めたってもええんちゃう?」

末原「いえ! 今思い返しても、もうちょっとやりようがあった気がします!」

監督「……諦めへんのか。埋めようのない差を感じたけど」

末原「どんな相手でも絶対はないんが麻雀です!」

末原「いつか……いつか届くことを信じます」

監督「ほな今度から負け確定の捨て駒として対魔物用にオーダーしてぶつけるで?」

末原「の、望むところです……!」

末原「どんな相手でも麻雀は楽しいですからっ」

監督「………………フッ」ニヤリ


部員A「監督ついにデレた!?」ヒソヒソ

部員B「末原イケメンやなぁ……ボロ負けして慄えとるくせに」ボソッ

部員C「逆にそこがよかったりして」




真瀬「すごい相手だったのよー」

主将「間違いなくトップクラスの怪物やな。あんたらと同世代やで……」

真瀬「インターミドルでは見かけなかったのよー」

愛宕「んーー……まだ全力やなかった感じやけど」

愛宕「とんだ伏兵登場ってとこやな」





弘世「さすがに愛宕夫婦の血を引くだけはあるな。勝ちきれなかったか」

宮永「…………まだ底が見えてない」

弘世「鏡でも見抜けない本物か…………楽しみが増えたということにしておこう」

支援


監督「末原ァ! そこは薄くてもリーチかけていけ!」

末原「はい!」

監督「末原ァ! 理論だけに頼るな! 常に状況を肌で感じて分析するんや!」

末原「はい!」




部員A「最近の監督は末原につきっきりやなぁ」

部員B「まっさらで吸収早いと教える方もおもしろいんちゃう?」

主将(末原――――監督のキャリアの最後にあんたがおってくれてよかった)

主将(あの日、あんたに会うてなかったら…………ネト麻部にも感謝や)

愛宕「アレやな。ここを鴨川ジムとすると、うちが鷹村でメガ原ちゃんが一歩ってところやな」

真瀬「じゃあ私は宮田くんやねー」

愛宕「あんたはマンモス西やろ」

真瀬「作品が違ってるのよー!」キーッ


監督「あんた、アニメとか見る方か?」

末原「へ……? えーと、話題になったやつは結構見てます」

監督「今年はどんなアニメが人気やったんや」

末原「えーと、めっちゃブームになったんは『じゅうおん!」ですかね」

末原「一番売れてるんは『漬物語』って聞いたことがあります」

監督「……今の時代、アニメはごっついらしいなあ。年間200本は作られとるそうや」

末原「ごっついですね」

監督「例えばやで、末原。例えばその200本全部のアニメキャラで人気投票をやったとする」

末原「?……はい」

監督「1本10人ぐらいおるとして、候補2000人ぐらいの人気投票やな」

末原「すごい規模ですね」

監督「で、結果はなんと1位から10位まで全部『じゅうおん!』のキャラで独占や」

監督「こうなったらどう思う?」

おっと、最萌の悪口はそこまでだ


末原「『じゅうおん!』すごいですね、て感じでしょうか」

監督「ほなこれ、10年連続『じゅうおん!』がトップ10独占したらどないや?」

末原「うーん、他が不甲斐なさすぎというか、盛り上がりに欠けるかもしれないですね」

監督「じゃあ『じゅうおん!』が手加減して票数減らすようにするか?」

監督「それともエントリー辞退して出場せんかったら、トーナメントはまた盛り上がるか?」

末原「余計に盛り下がると思います……」

監督「どないしたらトーナメントはおもしろくなるんや」

末原「……『じゅうおん!』には人気をキープしてもらって、他が拮抗できるようにがんばるしかないですね」

監督「…………」


監督「云わば小鍛治健夜は『じゅうおん!』なんや」

監督「強すぎてライバルがおらん。他の追随を許さんってやつやな」

監督「確かにあいつは壊し屋や。アタシの教え子もほとんど引退に追い込まれるほど圧倒的やった」

末原「…………監督」

監督「でもな、それはあくまで真剣勝負の結果や」

監督「プロ麻雀はショーやない」

監督「競技として命を削り合った上での結末や」

監督「燃え尽きるまで戦ったあの子らを誇りに思っとるよ」

監督「壊し屋となじられても手加減せえへん小鍛治にも感謝の気持ちでいっぱいや」

監督「でもな…………願わくば、負けてもええから卓に座り続ける図太い魂を持った選手に育てたかった」

監督「どんな壁にぶつかっても麻雀を楽しめる、愛し続ける選手に育てたかったわ……」

末原(これが……善野監督の……)

紫煙

これは末原先輩も心酔しますわ


監督「破壊神と誹謗を受ける小鍛治やけど、あいつは絶対に悪ない!」

監督「周りががんばらんとあかんのや! 『じゅうおん!』に拮抗できるようがんばらんとあかんのや!」

監督「むしろこれは日本麻雀界が成長するチャンスやねん」

監督「小鍛治を退屈させんぐらい周りがレベルアップする」

監督「麻雀界全体が発展するチャンスなんや……」

監督「それやのに、間に合わんかった」

監督「とうとう日本麻雀界は小鍛治を表舞台から引き摺り降ろしてしもた」

監督「去年会うた時、地面に額がつくぐらいの謝罪といっしょに、ぽつりと漏らしよったわ」

監督「もう、壊したくないってな……」

末原(話のスケールが大きすぎてついていけんけど、こんな悲しそうな監督見るん初めてやな)


監督「なあ末原、麻雀の深みってどんなところにある」

末原「……どんなに強くても負ける時は負ける。どんなに弱くても勝つ時は勝つ」

末原「四角い宇宙に無限の可能性が詰まってるところです」

監督「誰でも知ってる麻雀の楽しさ、小鍛治はまだ味わったことがないねん」

監督「勝つばっかりで負けたことがあらへん怪物やからな、あいつは」

末原「つまり監督は小鍛治プロに勝てる素材を見つけたいってことですか?」

監督「あっはっは。そこまでは望んでへんよ。それは人間の役目とちゃう」

監督「アタシが目指してるんは、壊し屋と打ち続けることのできるゾンビみたいな選手やな」

末原「ゾンビですか……」


監督「末原、あんたはアタシの最期の教え子や」

末原「え!?」

監督「今年を最期にアタシは降りる。身体の方がもう限界きとるしな」

末原「監督っ!?」

監督「最後にアンタみたいな子と巡りあえてよかった。神様に感謝やで」

末原「ちょ、ちょ、ちょっと監督!?」

監督「ええか末原。凡人でも天才に立ち向かえるんが麻雀や」

監督「どんな相手とぶつかっても考えることをやめるな」

監督「どんな化物に蹂躙されようとメゲたらあかん」

監督「それが凡人に出来る最大の武器や」

監督「別にプロになれとは言うてへん。別の道でも、どこでも麻雀は打てるんや」

監督「どんな場所でもええ。あんたが納得する卓で麻雀を楽しめ」

監督「麻雀を愛し続けろ」

監督「……これが、アタシの最後の教えや」

末原「監督っっっっ!!!!」


時は過ぎ、また春がやって来て…………監督は療養生活に入った。

手続き上の問題とやらで書類の上ではまだ姫松の監督やけど、あれから一回も顔を見せてない。

このことをきっかけにいろんなことが変わった。

私自身、そして周りも。

後輩ができて、いっしょになんかヘンな人も増えた。


末原「は……!? 基礎訓練禁止?」

赤阪「そうやで~。聞くところによるとめっちゃスパルタやったみたいやん」

赤阪「そんなん今どき流行らへんで~。残ったんはあんたら3人だけって問題多すぎやわ~」

末原「でも……私は善野監督から……!」

赤阪「あのな~末原ちゃん。方針とか理念ってもんは体現した人が口に出して初めて成立するねんで~」

赤阪「スパルタすることが善野さんの目的とはちゃうやろ? 違う方法で末原ちゃん自身が体現したらええやないの~」

末原「そんな……わけわかんないんですけど!」

赤阪「と~に~か~く~、スパルタだけは絶対に禁止~!」

赤阪「去年かて揉み消すん大変やってんから、これは絶対やで~」

末原「うぅ……」



※赤阪郁乃のイメージボイスはまきいづみ


愛宕「代行、なんて?」

末原「新入部員へのスパルタは一切禁止って……」

愛宕「あははは。まあしゃあないんちゃうかー」

末原「去年問題なったとき揉み消したって、あの人いったい何者なん?」

真瀬「善野監督と結構深い仲らしいのよー」

愛宕「おかんに心当たりないか聞いてみてんけど、どうもあの代行、麻雀協会会長の孫娘らしいで……」

末原「マジで……?」

愛宕「腕も相当立つみたいや」

真瀬「わー、ヒロポン以上の大物なのよー」

末原「さすが名門。とんでもないコネを持っとるんやなぁ」

真瀬「そんな姫松の新人指導役に抜擢される八っちゃんも大物なのよー」

末原「そんなんちゃうって。私はただ善野監督の教えを守っとるだけやから……」


愛宕「それにしてもあの代行、いつまで姫松におるつもりなんやろな」

真瀬「そのまま正式な監督になっちゃいそうなのよー」

末原「やめてー。なんかあの人、目が笑ってなくて怖いときあるねん」

真瀬「私の見立てやと、八っちゃんはかなり気に入られてるみたいよー」

末原「勘弁してぇな……」

愛宕「恭子も言うようになったなぁ」

真瀬「最近、貫禄が凄いのよー」

愛宕「眼鏡もやめてメガ原ちゃんって呼べんようなってしもたし」

真瀬「吊り下げてる後ろ髪の意味を知りたいのよー」

恭子「……もう、イチイチうるさいで」

>真瀬「吊り下げてる後ろ髪の意味を知りたいのよー」

わろた。
眠気覚めた。


愛宕「しっかしまあ、あの眼鏡がダテメガネやったとはな……」ククッ

恭子「洋榎、うるさい言うてるやろ……」

洋榎「『だって、目になんか入ったら怖いんやもんっ』とか」

洋榎「どこの箱入りお嬢様やねんって話やで!」バンバン

真瀬「今の八っちゃんからは考えられないのよー」ププ

恭子「言いたいことはそれだけ……?」ピクピク

洋榎「……げ」


スタタタッ


恭子「こらぁぁ! 洋榎、由子、待たんかーーーい!!!」

由子「逃げるが勝ちよー」

洋榎「ダッシュ勝負でうちらに勝てると思う…………うわ、結構早っ!!」


監督、部長、ネト麻部に行ってしもたみんな……

私は今、姫松麻雀部でがんばってます

充実した日々を送っています

歩き出した道はまだまだ始まりに過ぎんけど

とてつもなく長く険しい道のりになるんやろうけど

みんなの想いを胸に、私は歩き続けようと思います

どんな困難が訪れてもめげないこと

どんな逆境に立たされようと麻雀を楽しむこと

忘れんように、心に刻み込んで歩んで行きます

うむ




恭子「コラーーー、1年! ボケーっとしとらんと走り込み100週や!」

一年「「は、はい!」」

洋榎「100週は言いすぎやろ」

由子「すっかり鬼監督なのよー」

赤阪「も~~~~、末原ちゃん! スパルタは禁止って言うたやろ~~~」

恭子「げぇっ、代行!?」





                                     ~ 姫松物語 ~
                                     Zenno's last sun



カンッ!

 
 
 

おつかれー。
フルメタルのところでどうなるかと思ったけど
これまたよかったよ。
内面がよく考え抜かれてると感心してます。



やっと寝るる

すばらです!
善乃さん本編でも出てきて欲しいな

長々とお付き合い、ありがとうございました
支援&保守してくださった方々マジ感謝!

つまりなにが言いたいかというと
最後まで諦めず(メゲかけたけど)最善を尽くし(咲さんカンドラが乗らないデータとか)
末原先輩は2回戦を勝ち上がるに相応しい努力を怠らなかったってことで……!

最後までバイバイさるさんでこっちはメゲたけど

おつ

ネトマ部の部長が気になる

乙乙

俺将、会心の出来と自負した鬼軍曹&FPSネタが不評でメゲる

乙、面白かった
つまりあれだな、末原ちゃんはかわいい

>>248
FPSやらないから意味わかんなかった
最初の闘牌は面白かったよ

>>248
正直面白かったから不評で残念なのよー

おつ
説得力がある面白さだった
なおFPS部分は意味がわからなかったので飛ばしてしまった模様

乙乙
すばらでした!
FPSネタは分からんかったけど面白かった!

読む前ほ

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