飛鳥「Twilight Sky」 (44)

飛鳥「おはようございます」

P「おはよう、アスカ。 ん、イヤホンつけて……何か聞いてるのか?」

飛鳥「うん、最近心にくるものがあってね」

P「アスカはどんな曲が好きなんだっけ」

飛鳥「騒々しいのかな」

P「邦楽は聞かないのか?」

飛鳥「聞くよ」

P「ロック好きか?」

飛鳥「好き……うん、好きなのかも」

飛鳥「好きだよ。 ロック以外も聞くけど」

P「李衣菜にも見習わせたいよ」

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飛鳥「彼女はロック好きじゃないのかい? あんなにロックロック言ってるけど」

P「あいつのあれはただ言いたいだけ。 前にラルクをヴィジュアル系とか言ってたぞ」

飛鳥「ラルクってロックバンドじゃ…」

P「アスカさんが正解です。 あいつもうロック言えたらなんでもいいんじゃないかな」

P「Alice Nineとかロック系バンドとか言ってるぞきっと」

P「絶対ヴィジュアル系とロック系がごちゃ混ぜになってるイメージ」

P「にわかだしな」

飛鳥「……酷い言われ様だ」

飛鳥「付き合いは長いんだろう?」

P「ああ、長いほうかもしれない」

P「今は何の曲聴いてるんだ?」

飛鳥「トレーナーさんがアイドル活動の参考にとくれたCDに収録されていた曲だよ」

P「ってことはうちのアイドルの曲か」

飛鳥「そう言ってたね」

P「一応、飛鳥はクール方面狙ってるからこいかぜとかだろうな」

P「曲名は?」

飛鳥「……ゲームをしようか」

P「これまた唐突だな」

飛鳥「内容は簡単、ボクがこの曲を歌うから当ててほしい」

P「俺が勝ったら?」

飛鳥「キミが勝つこと前提のゲームだよ。 残念ながら景品はないね」

P「んー、わかった。 付き合ってやる。 歌ってみてくれ」

飛鳥「~~~♪」

P(前奏口ずさんで相当ノリノリだなこいつ)

飛鳥「どこまでも、広がる…グラデーション♪ ゆっくりと、オレンジが燃えーるー♪」

P「!?」

P(こいかぜでもNever say neverでもないだと!?)

飛鳥「光差す放課後…続くエモーション♪ いつまでも、笑い声ひびいーた♪」

飛鳥「しゅーてぃんぐざすたー♪ 闇を切り裂いて進むよ♪」

飛鳥「びーてぃんぐまいはー♪ それは止められない、すべてを輝かすよー♪」

P(ちょっとリズムとって小さく踊ってるぞ。 何これ可愛い)

飛鳥「無我夢中きらめいて♪ 流れる星のストライド♪」

P(速さが足りない?)

飛鳥「才色兼備いいけれど♪ 三日月も綺麗だよね♪」

P「うん」

飛鳥「純真無垢に見えるけど♪ 星の海翔けるグライド♪」

P(キングダ○ハーツ?)

飛鳥「賛否両論、いいじゃない♪」

飛鳥「繋がってー」トテトテ

飛鳥「離れる♪」クルッ

飛鳥「連なってー」ギュッ

飛鳥「輝く♪」パァッ

飛鳥「心を追いかけてく~♪」ニコニコ

P「千川ぁ!」

飛鳥「っ!?」ビクッ

ちひろ「はいっ!」

P「今の撮れた?」

ちひろ「何のことです?」

P「……このヤクタタズがぁっ!」

ちひろ「誰のおかげで和久井さんをプロデュースできたと?」

P「……あの時は本当にありがとうございました」ドゲザ

ちひろ「よろしい。 あまり調子に乗らないでくださいね」

飛鳥「──いつまでそうしてるのさ」

P「……ちっひーは?」

飛鳥「もういないよ」

P「なら──」

P(パンツ見えてるよ、アスカちゃん)

飛鳥「ど、どうかしたかい?」

P(大人っぽい黒パンなんだね)

飛鳥「……さて、話を戻そうか」

飛鳥「あの曲はなんという曲でしょうか」



P「メルヘンデビュー」

飛鳥「多分違う」

P「あんずのうた」

飛鳥「絶対違う」

P「どうしてそう言い切れる!?」

飛鳥「じゃあメルヘンデビュー歌ってみてよ」

P「わかった」ガバッ

P「ミミミ、ミミミ、ウッサミーン! ミミミ、ミミミ、ウッサミーン!」

飛鳥「違うよね」

P「はい」

飛鳥「じゃあ一応、あんずのうた」

P「メデ! メデ! メデ! メメメメメデー! メデ! メデ! メデ! メメメメメデー!」

飛鳥「違うよね」

P「その通りでございます」

飛鳥「ふざけているよね」

P「だいたい、こんなことしたって何にもならなくなくなくなくない?」

飛鳥「付き合うって言ったのはキミじゃないか」

飛鳥「……正直に答えてくれたらご褒美をあげるよ」

P「まじで!?」

飛鳥「実はトレーナーさんの字が汚くてね。 CDの表面に書いてた字が読めなかったんだ」

P「漢字が読めないとかそういうのじゃないの? 中二なんだし」

飛鳥「ふーん」ガサゴソ

飛鳥「じゃあ読んでよ」

P「ごめんなさい」

P(見栄張って筆記体を頑張った結果、失敗したんだろうなぁこれ)

飛鳥「……ボクは知らないんだ。 この曲の名前も、歌っている人も」

P「……アルファベットってことはわかる」

P(最初がT……)

P「To my darling?」

飛鳥「はじめてまともっぽい答えだね」

P「だけどはずれだな」

飛鳥「違ったのかい? Tとmはボクにもなんとか読めたから多分それだと思うけど」

P「残念だが、ありえない」

飛鳥「言い切ったね」

P「何故ならば、彼女はうちに所属していないからだ」



幸子「くしゅんっ!」

幸P「おー、どうした幸子ー」

幸子「どこかでボクを噂してる人がいるんですよ。 ああ、やっぱり罪深いですね、ボク!!」

幸P「はいはい。 いつも通りでよかったよ、心配はいらなさそうでよかったよかった」

幸子「どうしても心配したいなら心配しても」

幸P「杏でも起こしにいくかな」

飛鳥「……プロデューサー、一ついいかい?」

P「ああ、なんでも聞いてくれ」

飛鳥「キミ、この曲知らないだろう?」

P「知ってるよ! 担当してるアイドルの曲知らないなんてプロデューサー失格だからな!」

飛鳥「なら答えて」

P(実は本気でわからない。 誰の曲だったか、思い出せない)

P(俺が担当しているアイドル……か)

P「こいかぜ!」

飛鳥「……車移動の時、いつも車内でこいかぜ流してるじゃないか」

P「……のリミックス!」

飛鳥「無理しないの。 楓さんが聞いたら落ち込むかもしれないよ」

P「堕天する時!? (堕ちちゃうのか!?)」

飛鳥「そういう意味じゃない。 ……いや、あながち間違ってないのかな」

飛鳥「とーにーかーくー、キミはわからないんだね?」

P「いや、わかる!」

飛鳥「嘘つくな!」

P「だって、ご褒美欲しいんですもん!」

P「──ええ、わかりません! わかりませんよ!」

P「俺は自分が担当しているアイドルの曲すら把握していませんよ!」

P「でも、ご褒美ください!」ドゲザァ

P「ご褒美ください、飛鳥様!」



ガチャ

茄子「ただいま戻りましたー♪」

茄子「……」

茄子「会社間違えましたー」

バタン

数分後

ガチャ

茄子「ただいま戻りましたー」

P「おかえりなさい」

茄子「プロデューサーさん、どうしてアスカちゃんに土下座を?」

P「飛鳥様にご褒美もらいたくて」

飛鳥「お、おかえりなさい。 鷹富士さん。 あの、その……助けてほしいです」

茄子(涙目になってる……可愛い)

茄子「もう、プロデューサーさん。 年下の子に変なこと頼んじゃだめですよ?」

P「はい」

茄子「どうしてこうなったんですか?」

飛鳥「ボクが説明するよ」

飛鳥「──ということなんだ」

茄子「なるほど~♪」

飛鳥「鷹富士さんはこの曲わかるかい?」

つ【イヤホン】

茄子「ちょっと待っててね♪」





茄子「──この曲は確か」

ガチャ

李衣菜「Pさん、ただいま戻りましたよー!」

P「おう、おかえり」

李衣菜「……」

李衣菜(なんで仲良く曲聴かせあってる茄子さんとアスカちゃんの前でPさんが土下座してるの)

李衣菜「……」

李衣菜「ロ、ロックですよね!」

飛鳥「──というわけなんだよ」

李衣菜「……とりあえず言わせてください」

李衣菜「Pさん、最低ですね。 自分の担当したアイドルの曲ぐらいは覚えておかないとロックじゃないですよ」

P「お前に最低言われてもなぁ。 アスカか茄子さんなら」

李衣菜「喜ばせたくないので」

茄子「流石リーナちゃん。 プロデューサーさんの扱いに慣れてますねー♪」

李衣菜「これでも付き合いは長いですからね」

李衣菜「でもほんっと、信じられませんよ。 担当してる子の曲がさっぱりわからないなんてどういうことですか」

李衣菜「失望しました。 Pさんには一週間お弁当作ってきてあげません」

P「え…酷くない?」

李衣菜「アスカちゃん、よければ私にもその曲聴かせてもらえないかな」

李衣菜「一応、ここに所属している子の曲は全部聞いたことがあるから、わかるかもしれないし」

飛鳥「こちらからお願いしたいぐらいだよ」

つ【イヤホン】

茄子「李衣菜ちゃん……」

李衣菜「大丈夫です、茄子さん」

李衣菜「いやな予感はしてます。 そんな話題に茄子さんが参加している時に出くわしてしまったということは……」

李衣菜「でも!」

李衣菜「Pさん!」

P「なんだ?」

李衣菜「私は、あなたのこと信じてますから」ニコッ

P「信じろ。 俺とお前の仲だからな」ニコッ

李衣菜「ということです。 茄子さん」

李衣菜「信じあえる仲を信じないなんてロックじゃない!」

李衣菜「大丈夫、茄子さんの運とかも影響されないロックって力を見せますから!」

李衣菜「いざっ! ロォォォックッ!」スチャ

李衣菜「……わかりましたよ」

飛鳥「ほ、ほんとかい!?」

李衣菜「うん、知ってる」

茄子(李衣菜ちゃん、顔があからさまに絶望しています……)

飛鳥「ぜひ教えてほしいんだ。 ボクはこの曲に魅了されたんでね」

李衣菜「この曲に?」

飛鳥「歌詞も声も素晴らしいと思う」

飛鳥「騒々しさこそ物足りなくはあるが、それを気にさせないほど曲に込められている意味がすごい」

飛鳥「ボクはこの曲を初めて聞いた時から、虜なんだ」

飛鳥「最近とくに頑張れてるのはこの曲のおかげといっても過言じゃない」

飛鳥「彼女の声にも……惚れてしまったのかもしれない。 否、そうなのだろう」

飛鳥「巧く歌うよりも心が込もった歌、この曲にボクの心は奪われた。 射抜かれてしまったんだよ」

飛鳥「まさにシューティングスター。 思いは星となり、束になって、ボクの世界に落ちたんだ」

飛鳥「この曲はボクの幸せな道へと続くサインだよ」

李衣菜「……」

飛鳥「……?」

茄子「……?」

李衣菜「無我夢中きらめいて?」

飛鳥「流れる星のストライド♪」

李衣菜「才色兼備いいけれど?」

飛鳥「三日月も綺麗だよね♪」

李衣菜「純真無垢に見えるけど?」

飛鳥「星の海翔けるグライド♪」

李衣菜「賛否両論」

飛鳥「いいじゃない♪」

李衣菜「諸行無常絶え間なく?」

飛鳥「流れる星のファインダー♪」

李衣菜「未来永劫変わらない?」

飛鳥「それじゃつまらないよね♪」

李衣菜「清廉潔白だけじゃない」

飛鳥「星降る海のサレンダー♪」

李衣菜「悪口雑言」

飛鳥「気にしない!」

飛鳥「……ボクはどんなに痛いって言われても、気にしないで」

飛鳥「決してくじけずに、アイドルを続けていこう。 この曲を聞いてそう思ったんだ」

茄子(あ、少しだけ李衣菜ちゃん嬉しそう)

飛鳥「ぜひ、この曲を歌った子に会って、お礼を言いたいんだよ。 ありがとうって」

飛鳥「あとは握手とか? よくわからないけど、ファンはそうするんだろう?」

飛鳥「ここに所属している子なら、してもいいよね。 職権乱用かもしれないけど、ボ、ボクは中二なんでね。 いいよね!」

P「可愛い」

茄子(可愛い)

飛鳥「だめ……かな?」

李衣菜「ううん、大丈夫だよ」テヲギュゥ

飛鳥「よかった。 李衣菜さん、教えてほしいな」

李衣菜「この曲の名前はTwilight Sky」

飛鳥「Twilight Sky......。 黄昏の空……。 いい名前だ。 素敵な名前だね!」

李衣菜「この曲を歌ってるのは」

李衣菜「……多田李衣菜」

飛鳥「っ!?」

飛鳥「い、言われてみれば確かに……声とかそっくりだ。 ごめんなさい」

李衣菜「謝らないで。 でも、ごめんね。 ちょっと、今は握手とか無理、かな」

飛鳥「李衣菜……さん?」

李衣菜「ごめんね。 あの、ちひろさんっ、隠れてないで……伝えたいことが……」

ちひろ「流石、李衣菜ちゃんですね!」

李衣菜「すみません……一時間ぐらい泣かせてください……」

ちひろ「次はレッスンですが……なんとかしておきましょう。 李衣菜ちゃんは悪くないですし」

李衣菜「申し訳ありません……ぐすっ」

李衣菜「こんなのっ、ロックじゃないけどぉ……ひぐっ」

李衣菜「ごめんっ、なさいっ…………っ!」ダッ

茄子「李衣菜ちゃんっ!」

ちひろ「李衣菜ちゃんを追いかけるのは私たちじゃないですよ」ジー

P「お、おう?」

P「状況は大体わかった気がする」

P「あの曲、李衣菜のだったんだね!」

ちひろ「……はぁ」

茄子「はぁ……」

P「え…酷くない?」

飛鳥「酷いのはボクたちだよ…」

ちひろ「アスカちゃんはまだ仕方がないとしても」

ちひろ「李衣菜ちゃんとどれだけ一緒にいたと思ってんですかあんたはっ!!」

P「ひぃっ! 鬼! 悪魔! ちひろ!」

茄子「プロデューサーさん、追いかけてください♪」

P「えぇー、李衣菜を?」

茄子「今すぐに♪」

P「は、はいっ!」

P「りーなー、りーなー……だりぃな」

バタンッ

P「ひぃっ! な、なんでロッカーが突然倒れてくるんだよ!」

P「ポ、ポルターガイストとかそういう類のなにかですか!」

P「くそっ、こんな時に……李衣菜めぇ」

ズルッ

P「うおっ」ズテッ

P「いたた──うおっ!」ズルッ

P「ひぎぃっ!」ドンッ

P(何もないところで尻もちついたと思ったら手元に濡れてる雑巾があって体勢崩すなんて)

ペシャッ

P(おまけに濡れた雑巾が顔にかかってくるってどんな現象だよ)

李衣菜「……何がっ、ぐすっ。 いけなかったのかなぁ」

李衣菜「私がCDデビューした時、ひっ、あんなに喜んで……ひぐっ」

李衣菜「一番、伝えた、ぐすっ。 かったのにっ……」

李衣菜「世界で……たった一人の……あなたに……」

P「李衣菜ーっ」

李衣菜「……?」

P「すみませんでした」

P「李衣菜さんの曲忘れてて本当にすみませんでした!」

李衣菜「べ、別に……いいんじゃ、ぐすっ。 いいんじゃないですか?」

李衣菜「担当の曲を知らなくても……ひっくっ。 義務じゃない……でしょう?」

P「……でも、ごめんなさい」

李衣菜「意味がないのに…っっ。 …謝らないで……くださいっ」

P「ごめん」ギュゥ

P「俺はお前を傷つけた。 だから、悪いことはしたんだよ」

P「だから、償わせてほしい。 謝るだけじゃないなら何か命令してもいい」

P「違うプロダクションに行くってなら、一応探してみたりもする」

P「なんでもするから、泣きやんでくれ」

P「女の子を泣かせたままだと、寝覚めが最悪になっちまう」

李衣菜「……っ」

P「もう、絶対忘れたりしないからっ!」

李衣菜「……ほんと、ですか?」

李衣菜「ぐすっ。 本当に、忘れないでくれりゅ?」

李衣菜「私の……私の」

P「約束する。 絶対に忘れないよ」

李衣菜「絶対の……絶対の……絶対……? ひぐっ」

P「絶対の絶対の絶対の絶対の絶対だ」

李衣菜「……」ギュゥ

李衣菜「ごめんなさい。 レッスンサボっちゃって」

P「そっちのほうがロックだぞ」

李衣菜「えへへ。 でもこんなことで泣いてちゃロックじゃないですよね……」

P「いいや、ロックだよ」

李衣菜「……ロックだけじゃ、いやです」

李衣菜「可愛い、も言ってください」

P「……」

P「か、かわいい」

李衣菜「えへへ」ギュー

P「……」ギュー

李衣菜「せっかくだし、一緒に次の時間までサボってください」ギュー

李衣菜「あーあ、なんでこんな人が私のプロデューサーなんでしょうねー」

李衣菜「担当したアイドルの曲を忘れるとかそれでもプロデューサーですかー?」

P「何も言い返せません」

李衣菜「これはあれですねー。 一週間Pさんのお弁当作らないの確定ですねー」

P「はい」

李衣菜「……あ、そうだ。 さっき何でも言うことを聞くみたいなこと言ってましたよね」

P「はい」

P「あの、できればプロダクション抜けるのは」

李衣菜「そんなことしませんよ」

李衣菜「でも、聞いてもらいましょうか」

李衣菜(あなたに、私の歌が届くように)

李衣菜「Pさん、お願いはですね」


【数日後】

P「ついたぞ」

李衣菜「ありがとうございます! ではロックなアイドル、多田李衣菜! いってきますね!」

P「おーう、いってらいってら」

李衣菜「あっ! 今日も私弁当作りすぎて二つになっちゃったんで」

李衣菜「Pさんのではないですが、私の弁当を一つ食べてしまってもいいですよ!」

李衣菜「食べきれないのでお願いしますね!」

P「……」

飛鳥「じゃあ、気をつけて」

李衣菜「うん。 アスカちゃんも頑張ってー!」

李衣菜「また3時ごろにー!」

P「……じゃあ出すぞ」

『どこまでも~広がる♪ グラデーション♪』

飛鳥「ふふ」

P「流石に飽きたか?」

飛鳥「全然? 前に言っただろう。 ボクはこの曲が大好きだからね」

『オレンジが燃え~る♪ 光差す、放課後~♪』

飛鳥「でも、これも約束なのかい?」

P「いんや。 自主的にだな。 あとはお前が好きだからってのもある」

P「それにこの曲流してると李衣菜の奴、恥ずかしがって少し静かになるからな」

『それは止められないすべてを輝かすよ~♪』

飛鳥「恥ずかしがることないのにね」

P「お前もCD出せばわかるんじゃないのか?」

飛鳥「まだ成り立てのボクには夢のような話だ」

P「そうだなぁ。 奈緒ですらまだだからなー」

飛鳥「でも、それでも……いつかできたとしたら、こんな曲を歌いたいな」

『賛否両論いいじゃない♪ 繋がって離れる~♪ 連なって輝く~♪ 心を追いかけてく~♪』

飛鳥(少し遅くなっちゃったな…)

ガチャ

飛鳥「ただいま戻りました」

ちひろ「アスカちゃん、おかえりなさい」

飛鳥「トレーナーさんからメモ翌預かってきたんだけど、プロデューサーさんは?」

ちひろ「いつものところよ」

李衣菜「巧く歌うんじゃなくて~、心を込めて歌うよ~♪」

李衣菜「世界でたった一人の君に伝わりますように~♪」

李衣菜「って、伝わってますよね? 流石にこれだけ聞かされれば」

P「朝昼晩、暇あれば歌ってるもんな。 俺の膝の上に座って」

李衣菜「約束、ですよー。 いやとは言わせません!」

P「いやじゃないけど、密着し過ぎだと思います」

李衣菜「あー、聞こえない聞こえない!」

ガチャ

飛鳥「お邪魔だよね、ごめん。 これ、トレーナーさんから」

李衣菜「アスカちゃんおかえりー。 アスカちゃんもPさんの膝どう?」

飛鳥「ボクはいいよ……好意抱いてるわけじゃないからね」

李衣菜「わ、私だって好意抱いてるわけじゃないんだからっ!」

P「そうだぞ。 アイドルに恋愛はご法度だ」

飛鳥「ならまず離れようか、二人とも」

飛鳥「じゃあ、ボクは渡したからね。 先に帰るよ」

P「大丈夫か?」

飛鳥「帰りぐらい独りにさせてほしいな」

P「寂しくないか?」

飛鳥「14歳なんてそんなものさ。 お疲れ様」

P「そうなのか…」

バタン

李衣菜「まるでアスカちゃんの父親ですね」

P「あいつは好みのタイプだから彼氏がいい」

李衣菜「へぇ…」

P「李衣菜よりも──いたっ、いたいからっ!」

李衣菜「あらごめんなさーい。 でもロックだし許してくださいねー♪」

P「わざとだろこの女! ロック関係ねぇし!」

P「……なでなで」

李衣菜「んー……ぷろでゅーさー」

P「なんだ?」

李衣菜「やっぱり、なんでもないです」

李衣菜(忘れないこの気持ちも)

李衣菜「あの時は本当に辛かったんですからね」

P「あ、お前の曲忘れた」

李衣菜「……へぇ」ジトー

P「嘘です。 ごめんなさい」

李衣菜(忘れないこの痛みも)

李衣菜「知ってます」

李衣菜(ねぇ、感じていたいんです)

李衣菜「連なってー、輝くー」

李衣菜「止めてもー、あふーれるー」

李衣菜「あいらびゅーびこーずゆあゆー」

李衣菜「──えへへ」ギュー

飛鳥「いつまで事務所でのろけるんだろう、あの二人。 あ、神谷さん、借りてたCD返すよ」ガサゴソ

奈緒「だよなー。 外でされたらまずいような」

ちひろ「李衣菜ちゃんは頑張ってるからそれぐらいのご褒美あげてもいいと思いますけどねー」

ちひろ「あの子すごいんですよ。 CD化決まった際なんて、もうすごかった」

ちひろ「ちひろさーん、同じところから出てるアイドルのCDってどれくらいありますかー。 なんて聞いてきて」

ちひろ「調べて教えた三日後には全ての曲を覚えていたんですよ」

ちひろ「あの子はアイドル業に関しては努力家ですからね。 ギターとかはすぐに放り投げましたけど」

飛鳥「すごいね。 流石に真似できそうにないや」

奈緒「……いい奴だよね」

ちひろ「……このままじゃ、あの子がプロデューサーを落とすのもそう遠くないかもしれないですよねー」

ちひろ「ねー」

奈緒「な、なんでこっち見るんだよ! ああもう帰る! お疲れ様でした!」

飛鳥「はぁ……はぁ……」

奈緒「追いかけてきたのか……」

飛鳥「CD手に取らず走られたからね」

奈緒「ごめん。 少しそこで休むか?」

飛鳥「そうしてもらえると、助かるよ」



奈緒「はい、ジュース」

飛鳥「ありがとう。 えっと」

奈緒「お金なら気にするな。 一応これでもお姉さんなんだし」

奈緒「お姉さんには甘えておきなよ。 14歳なんだしさ」

飛鳥「あう…」

飛鳥「──リーナさんにプロデューサーが取られそうで不安な人がお姉さんとはね」

奈緒「はうっ!」

奈緒「──キレイナソラデスネー」

飛鳥「強引だね。 でも神谷さんの言う通りだ。 とても綺麗な空だね」

奈緒「明けてゆく東の空でー、目覚める夢の続きがー」

飛鳥「たとえ違ったとしても」

二人「「君の歌聞かせてー」」

奈緒「……順調に洗脳されてきたな」

飛鳥「いい曲だから、悪い気はしないけどね」

奈緒「……っ!」

飛鳥「神谷さんがCDデビューした際にはキミの歌聞かせてくださ……どうかした?」

奈緒「いや、なんでもない」

飛鳥「……あ。 そういうことか」

飛鳥「中二なんでね。 神谷さんみたいに我慢したりはしないよ」

飛鳥「この真っ赤な空は、間違いなく」

飛鳥「Twilight Skyってね」



奈緒「お前の顔のほうが真っ赤だぞ」

これで終わりです
板汚し失礼いたしました

茄子さんを福袋一回でお迎えできた記念に大体3時間で仕上げのはいいけれど結局寝れないという
あ、Twilight Skyは飛鳥ちゃんにぴったりの曲だと思うんですよ
かなりいい曲だとも思うんです。カラオケで歌うとすごく気持ちいいですし

こいかぜよりもTwilight SkyよりもYou're stars shine on meが一番なんですけどね
CDジャケットのアーニャに膝枕されたいです

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