ジン「ウォッカ、フリーマーケット行くぞ」ウォッカ「へい!兄貴!」 (94)

年明け数日後 米花町町民広場

ウォッカ「えっと、俺達の売り場は……あっ、あそこだな。兄貴ー!うちの組織の場所ありましまぜー!」

ジン「おい、ウォッカ。でかい声を出すな。回りに迷惑だぞ」

ウォッカ「す、すいやせん」

ジン「ここは人との交流の場だ。お互いの気持ちを考えて行動しろ」

ウォッカ「へい!」

ジン「早速、取りかかるか」

ウォッカ「へい!米花町の恒例イベント……」

ジン「フリーマーケットの準備にな」ニヤリ

ウォッカ「それにしても売り物少ないですぜ?コレで全部ですかい?」

ジン「いや、あとでバーボンが追加で衣類を持ってくる。それに売り物はいつもより多いぞ」

ウォッカ「俺、フリーマーケット初めてなんで楽しみですぜ!」

ジン「そうか、毎回バーボンやベルモットの衣類がよく売れる。あいつらは衣装もちだからな」

ウォッカ「変装で必要だからよく買うんスね」

ジン「あいつらは体型違う奴にも変装するからな。いろんなサイズが必要なんだろう」

ウォッカ「使わないのはもったいないですからね」

ジン「ああ、俺もキッチン用品やお歳暮を持ってきた」

ウォッカ「お歳暮ですかい?」

ジン「ああ、あの方がたくさんもらうからな。だがうちの奴らだけじゃ食べきれないからな、今回はハムの詰め合わせが14箱だぶったからな」

ウォッカ「そ、それは食いきれないですぜ……」

ジン「牛乳石鹸や洗剤や海苔の詰め合わせはばらして売るつもりだ、格安でな」

ウォッカ「でもお歳暮を売るなんて気が引けますぜ」

ジン「否定的な意見も多いが、必要とされている場所で使われた方がいいだろう」

ジン「石鹸はともかく洗剤を取っておいたらうちは洗剤屋になるほどあるからな」

ウォッカ「制服は基本的にクリーニング代金が会社から出ますからね」

ジン「さて、フリーマーケットを始める前にウォッカに言っておくことがある」

ウォッカ「へい!注意事項ですかい?」

ジン「そんなところだ。まず儲けようとするな」

ウォッカ「でも、店を開く以上はもうかったほうがいいんじゃないですかい?」

ジン「結果的にそうなるのは構わない。だがフリーマーケットは交流目的もある、今日の参加量とちょっと晩飯代になればいいなくらいの考えの方が楽しめるぞ」

ウォッカ「ガツガツしたらダメってことスね!分かりやした!」

ジン「そうだ。次にこれはもっとも大事なことだが……」

ジン「ベルモットに店番を任せるな」

ウォッカ「……それはなんでですかい?」

ジン「……」

ウォッカ「……」

ジン「……察しろ」

ウォッカ「……へい」

バーボン「ジンさーん!言われてたいらない服持ってきましたよ!」

キャンティ「……何でアタイがベルモットの荷物を……」ブツブツ

ジン「衣類はその辺りに、いい具合に並べてくれ」

ウォッカ「にしてもすごい量だなー、さすが変装得意な奴等は違うな。俺もへんそうするけど、そんなに持ってないぜ」

バーボン「ウォッカとは変装の頻度がちがうからなー……あ、ホットコーヒーありますよ、ジンさん」

ジン「微糖か?だったら貰おうか。おい、ウォッカ。商品にこぼすなよ」

ウォッカ「へい!」

ジン「ぼちぼち始まるからな。お前ら、準備終わらせちまうぞ」

アナウンス「それでは!米花町フリーマーケット開催です」

ウォッカ「な、なんか緊張しやすね」ドキドキ

ジン「気楽にやれ、プライベートだからな。しくじっても問題ない。バーボンとキャンティは早速他の店を見に行った」

ウォッカ「それにしても、うちの店は品揃えに統一感ありやせんね。よそは雑貨とか衣類とか大体決まってるみたいですぜ」チラチラ

ジン「うちの奴等は趣味がバラバラだからな。衣類の他にはキャンティのダイエット器具やコルンの美少女フィギュアや本、ウォッカは……」

ウォッカ「へい!俺はサングラスを!」

ジン(同じようなのが30ほどあるな……)

おばちゃん「おや、いろいろあるみたいだね」

ジン「いらっしゃい。石鹸や洗剤、ハムなんかがおすすめだ。どうだ」

おばちゃん「おや、お歳暮かい?」

ジン「仕事の付き合いでお歳暮が多いので、うちでは使いきれないんですよ」

おばちゃん「おや、安いね。牛乳石鹸2つ貰おうかね。あら、小顔ローラーなんてあるのかい?」

ジン「ああ、顔の部分痩せができるらしい。だが、お姉さんには必要ないだろう?」

おばちゃん「あら、お兄さん上手いわねー!ほら、飴ちゃんあげる」

ジン「貰おうか」

ウォッカ(慣れてるな、兄貴)

女子高生「……すいませーん」コソコソ

ジン「いらっしゃい」

ウォッカ「ラッシャイ!」

女子高生「あの、そこのフィギュア。いくらですか?」

ジン「仮面ヤイバーのフィギュアか?初音ミクのフィギュアか?どっちだ?」

女子高生「や、ヤイバーの方です」コソコソ

ジン「……600円だ、ウォッカ黒い袋くれ」

\ヘーイ!/

女子高生「あ、ありがとうございます。あ、あの……」

ジン「どうした?」

女子高生「あの、黒服でサングラスのお兄さんはコスプレですか?」

ジン「……」

女子高生「あの、写真いいですか?」

ジン「……ウォッカ」

\ヘーイ!/

ウォッカ「いやー!兄貴!モテちゃいましたぜ!写真一緒にとってくれなんて初めて言われましたぜ」ホクホク

ジン「……」

ジン(あの娘、カイジがどうの黒服がどうの言ってたな。あとで調べるか)

ウォッカ「……どうかしましたかい?」

ジン「いや、なんでもない」

???「おや?あんたらも出店しておったのじゃなあー」

ジン「……あんたは……?」

ウォッカ「兄貴!アガサさんですよ、こないだの」

ウォッカ「ほら、餅つきの時の……」

ジン「ああ、そうか。先日は干し柿を頂いたようで、礼を言おう。うちのやつら喜んで食べていてな」

アガサ「いいんじゃよ。ワシも出店しておるからあとでのぞいてくれんか?」

ウォッカ「アガサさんは何を売ってるんで?」

アガサ「ワシは発明品じゃよ!」

ウォッカ「は、発明品?」

ジン(こいつ……人のいいじいさんに見えるが……どんな発明品なんだ)

アガサ「なかなか売れんでのおー、孫娘に任せてぶらぶらしとるんじゃよ」

ウォッカ「そうですかい。俺のサングラスもまだ5本しか売れてなくて」

ジン「慌てるな、まだフリーマーケットは始まったばかりだ」

アガサ「それもそうじゃな!」

ウォッカ「そうスね!頑張りますぜ!兄貴!」フンス

ジン「あまり張り切るな、ウォッカ。そうだ、じいさん。こいつを持っていけ、孫娘にな」

アガサ「これは……」

ジン「寒いとはいえ水分補給は怠るな。Qooオレンジだ、あと貰いもののだが飴玉だ」

アガサ「気をつかってもらってすまんのう、それじゃあまたの」スタスタ

ウォッカ「あとでアガサさんの店覗いてみますよ」

ジン「ああ、任せた」

バーボン「ジンさーん!ウォッカ!お疲れ様です」ホクホク

キャンティ「バーボンたら、あれだけ売りに出したのにまた古着買ってきてんのよ」

バーボン「いやいや、これは私服にするから」ホクホク

ジン「悪いが店を三人で見ていてくれ。少し買い物したいからな」

ウォッカ「へい!兄貴!」

キャンティ「はーい。あ、ウォッカ、バーボン。たこ焼き食べる?露天出てて買ってきた」

バーボン「伊右衛門もあるぜ、たこ焼きにはお茶が合うよな」ワイワイ

ジン(ふっ……あいつら楽しんでるな)

ジン(さて、ポエム帳によさそうなノートや掘り出し物があるといいが)スタスタ

ウォッカ「しかし、今年の正月は楽しかったなー」モグモグ

バーボン「兄貴の餅つきの時よ怪我も大したことなかったからな」ゴクゴク

キャンティ「でも、ベルモットは性懲りもなくジン兄に絡んでたよね」パクパク

・・・
大晦日 黒の組織 リビング

ベルモット「ジン アウトー!」ゲラゲラ

バシッ

ジン「なんの真似だベルモット……お前、正月用の酒を飲んだな?」

ベルモット「あしたにはあらしの口にはいるんだからいっしょれしょ」ヨイドレー

ジン「あれはあの方の酒だ……」ギロリ

ベルモット「あはは!ジンアウトー!」バシッバシッ

ジン「……おい、バーボン!こいつをどうにかしろ!」ギリッ

・・・

お客さん「すいませーん」

バーボン「あ、俺が行くよ」パタパタ

キャンティ「あと、ジン兄の受難といえば」

・・・
大晦日 黒の組織 リビング

ベルモット「よし、12時になったらはつもうでいこ!」ヨイドレー

キャンティ「アタイはパス」

バーボン「近所にないですよ?神社」

ウォッカ「俺がクルマ出しますよ」

ジン「俺はまだ台所仕事あるから、お前らで行ってこい」

ベルモット「えー!ジンもいこうよー」ジタバタ

バーボン「ジンさん、なんとかなりませんか」

ベルモット「ジーン!いっしょにいこうよおー」ヨイドレー

ジン「……しかたねえ」

ジン(急いで終わらせるか。大晦日くらい付き合ってやろう)

12時 黒の組織

ジン(ふう、なんとか間に合ったな)

ジン「おい、準備できたか?」

ウォッカ「そ、それが……兄貴」

バーボン「ベルモットさん、こたつで寝ちゃってて……」

ジン「……なんだと?」ギリッ

ジン「起きろベルモット、初詣にいくんだろ?」ユサユサ

ベルモット「うぅ~ん……はつもうで?」

ジン「お前が言い出しただろ。起きろ」

ベルモット「やだ、めんどくさい……」ゴロン

ジン「ベルモット!お前……!」

・・・

ウォッカ「兄貴、今年は楽できるといいな」

キャンティ「無理でしょ」マテチャゴクゴク

ウォッカ(兄貴……)

バーボン「ありがとねー」ニコニコ

ウォッカ「バーボン、なにか売れたのか?」

バーボン「ああ、売れた売れた。つーか、キャンティのだろ?あのダイエットサプリメント、ダイエット諦めたのか?」クスクス

ウォッカ「ああ、あれな。売れたのか」

キャンティ「え?アタイあのサプリメントは全部飲んで、新しいのはへやにあるけど?」

バーボン「え?でもさっき……」

ジン「戻ったぞ。どうした?なにかトラブルか?」

ウォッカ「あ、兄貴!実は……」

バーボン「ということなんですよ」カクカクシカジカ

ジン「……ウォッカ、お前。キッチンにあったダイエットサプリメントを回収してないか?」

ウォッカ「へい!兄貴のキッチン用品と一緒に……まずかったですかい?」

ジン「……バーボン!その女の特徴を教えろ!」

バーボン「え、えっと……これこれこうで……」

ジン「ウォッカ!追うぞ!急げ!」

ウォッカ「ど、どうしたんですかい!兄貴!」

数時間前 黒の組織 キッチン

ジン「さて、お歳暮はこれくらいか。あとはキッチン用品だな。ウォッカー!とりにきてくれー!」

\ヘーイ!/

ジン(これでようやくキッチンが片付くな)ウキウキ

ジン「大嫌いなんてー嘘でもー言わないけどー大好きだって嘘なんかじゃ言わないからねー……むっ」ハナウタ

ガシャン

ジン「くっ、油断してしまったな。こんな大事なものを割るとは……しかたねえ、ヒビが入ったままは危ない。とりあえず中身だけこの空きビンに移して……」

ジン「……よし。こいつはあぶねえからしまっておくか」

ベルモット「ジーン!いらない服はどーしたらいいー?」

ジン「待て、今行く」

・・・

ウォッカ「兄貴?いないな、でも荷物はこれだな。もらっていきやすよ」

・・・

http://www.youtube.com/watch?v=tFxyWCq-Aow&list=PLMXVzrHJYGFOPx3lP0UWXc101PZlraiRE&index=13&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DtFxyWCq-Aow%26list%3DPLMXVzrHJYGFOPx3lP0UWXc101PZlraiRE%26index%3D13&app

ジン「俺が片付けてからベルモットのところにいくべきだった!」ギリッ

ウォッカ「すいやせん!俺が確認していれば」ダダダダ

ジン「今は誰が悪いなどと話している場合じゃねえ、急ぐぞ」

ウォッカ「でも、何が入ってるんですかい?正露丸とかですかい?」

ジン「それならよかったんだがな」

ウォッカ「い、いったい何が……」

ジン「……出来損ないの名探偵」

ウォッカ「……えっ」

ジン「……アポトキシン4869だ」ギリッ

ウォッカ「」

ウォッカ「アポトキシン4869って劇薬じゃないですかい!」

ジン「俺が一番勝手を知ってるのは台所だからな、それにもとの瓶にはでかく文字が書いてあったからな、油断した」ギリッ

ウォッカ「もし飲んでたりしたら」ガクブル

ジン「確実に死んじまう。無関係の人間を殺すわけにはいかねえ」ギリッ

ウォッカ「……兄貴」

ジン「とにかく急ぐぞ!」

ウォッカ「あ、あの女じゃないですかい!?」

ジン「バーボンの言っていた特徴と一致するな、よし」

ジン「すいませーん!」

数時間後 黒の組織 リビング

バーボン「ココアはいりましたよ、ジンさん」

ジン「ああ、貰おうか」グッタリ

ウォッカ「なんとか間に合ってよかったスね」グッタリ

ジン「ああ、あの女。俺たち見たとたん逃げるから手間がかかったな」

ウォッカ(まあ、黒服が追いかけてきたらしかたないな)

ベルモット「あら、疲れてるみたいね、ジン」

ジン「……ああ。だからお前のあいてはしたくねえ」

ベルモット「つれないわね、お疲れのジンにいいのをあげようと思ったんだけど」フフッ

ジン「……」ガンムシ

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