ほむら「まどかを助けることができた世界」 (278)

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「…」

ほむら「…今日も寒いね。今日はもしかしたら雪が降るかもしれないって」

まどか「…」

ほむら「…」

ほむら「じゃあ 今日もしましょう」クチュ

まどか「・・・・・・」

ほむら「…あ、まどか、寝癖ついてる。直してあげるね」

まどか「…」

ほむら「ちょっとあっち向いてて…そう、そのまま…」

まどか「…」

ほむら「ふふ・・チュチュ・・・」

まどか「・・・・・・」

ほむら「そうよ・・まどか・・もっともっと・・・」

ほむら「…結構髪伸びたね。うん、長くておろしてるのも似合うよ」

まどか「…」

ほむら「髪は女の命ってね…。綺麗に梳かしておかなきゃね…」

まどか「…」

ほむら「…よし、オッケー」

ほむら「…リボンは…いいよね…」

まどか「…」

ほむら「…よし、朝ごはんにしよっか!」

―――
―――――
―――――――――



ほむら「…ごちそうさま」

まどか「…」

ほむら「…まどかも残さず食べてくれたね」

まどか「…」

ほむら「よし、じゃあ食器片しちゃうね」

―――
―――――
―――――――――



ジャーー・・・



ほむら「……」カチャカチャ…

ほむら「……」ゴシゴシ…

ほむら「……」ジャボジャボ・・・

ほむら「……」キュッ・・・キュッ

ほむら「……まどか…」

ほむら「……」フキフキ

―――
―――――
―――――――――



QB「やぁ、ほむら。久しぶりだね」

ほむら「!」チャキッ

QB「まっ――」


ポシュポシュポシュ


QB「 」

ほむら「…」

QB『待ってくれよ。別にまどかを勧誘しようとしに来たんじゃないんだ』

ほむら「! …どういうこと?」

QB『とりあえず中に入ってもいいかな?』

ほむら「…妙なことをしたら…」

QB『分かってるよ』

B「――お邪魔するよ」ニュッ

ほむら「…何の用かしら」

QB「そうだね…まず落ち着いて聞いて欲しいんだけど…。まどかに会わせてもらえるかな?」

ほむら「…」チャキッ

QB「待ってくれ。会わせてくれるだけでいいんだ。まどかには何もしない。確約するよ」

ほむら「…何を考えてるの、キュウべぇ…」

QB「ちょっと確かめたいことがあるんだ」

>>16
訂正


QB「――お邪魔するよ」ニュッ

ほむら「…何の用かしら」

QB「そうだね…まず落ち着いて聞いて欲しいんだけど…。まどかに会わせてもらえるかな?」

ほむら「…」チャキッ

QB「待ってくれ。会わせてくれるだけでいいんだ。まどかには何もしない。確約するよ」

ほむら「…何を考えてるの、キュウべぇ…」

QB「ちょっと確かめたいことがあるんだ」

―――
―――――
―――――――




ほむら「…」

QB「…まどか」

まどか「…」

QB「鹿目…まどか、だね?」

まどか「…」

QB「…」

ほむら「…もう、いいかしら」

QB「ああ…。ありがとう、もう結構だ」

ほむら「…ごめんなさい、まどか。お邪魔しちゃったわね…」

まどか「…」

ほむら「…」

QB「…」

―――
―――――
――――――――



ほむら「で、そろそろ御用の向きを教えてもらえるかしら」

QB「そうだね。手っ取り早く結果からいうと、もう鹿目まどかに魔法少女に成り得る素質は無い」

ほむら「!」

QB「いや、失われてしまった、とでも言うべきかな」

ほむら「…」

QB「今の彼女には感情、自我、心――。そういったものが決定的に欠損してしまっている。」

ほむら「…」

QB「魔法少女というのは複雑で繊細なんだ。感情、願い、因果――。その他諸々のファクターの、どれか一つでも欠けてしまったら忽ち破綻してしまい、成り立たなくなってしまう」

QB「…魔法少女の力の源である因果、ひいては僕たちの欲するエネルギーは、以前と変わりなくとんでもなく潤沢なのにね。なんとも口惜しいことだ」

ほむら「…つまり、まどかは…」

QB「魔法少女に、なれない」

ほむら「…」

QB「つまり此度の来意は、今のまどかを検分しに来たってわけさ」

ほむら「…そう」

QB「…やってくれたね、ほむら」

ほむら「…わたし…」

QB「何をカマトト振っているんだい? 原因は明らかじゃないか」

ほむら「…」

QB「どう考えても、君があの時に選択を間違えたからに他ならないだろう?」

ほむら「…やめて」

QB「まったく…。君にとってはいいことかもしれないけど、僕たちインキュベーターにとって…いや、宇宙全体にみて多大な損失でしかないよ」

ほむら「…」

QB「やれやれ…。まどかのエネルギーの回収さえできたらこの星から引き上げるという案もあったのに…」

QB「おかげでまた地道に仕事をしていかなくちゃならなくなったよ」

ほむら「言いたいことは済んだ?」チャキッ

QB「…」

ほむら「これ以上愚痴を垂れるだけなら結構よ。もう用は済んだでしょう? ならとっとと帰って」

QB「…」

ほむら「そして、まどかの前に二度と顔を出さないで」

QB「…」


スゥ・・・

ほむら「…」

ほむら「…これでよかったのよ…」

ほむら「これで…」

ほむら「…まどか」

ほむら「…ごめんなさい」

ほむら「…本当に…ごめんなさい…」

あの時、私の判断は間違っていたのだろう。

それは明らかなことで、誰に言われるまでもなく十分承知している。

この時間軸――いや、この世界は、もはや停めることもやり直すことも出来ない至極当たり前な現実であり。

冷然で、厳然な事実として今ここにある。

正しく、融通の利かない世界に、私はいる。

過去は、変えられない。

だけど、運命は変えられた。

結果的に、まどかを助けることはできた。

だけど、その代償としてまどかは――。





ほむら「ねぇ、まどか。今日の晩御飯は何がいいかな…?」

まどか「…」

ほむら「…」

すべては私が自分本位にしたこと。

まどかを助けることにまどかの意志は――気持ちは介在していなかった。



ほむら「…ねぇ…まどか…」

まどか「…」

ほむら「…」




そしてまどかは、自我を失った。

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――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――














ほむら「…もう…いや…」


眼前には、荒れに荒れ、荒みに荒んだ見滝原の町並み。

それを背景に、踊り狂うかのように猛威を振るう舞台装置の魔女。


――ワルプルギスの夜。

ワルプルギス『キャハハ! アーハッハッハッハッ!』


何がそんなにおかしいのか。

甲高い声で、癇に触る声で笑いころげている。

ほむら「…もう、うんざりよ…」


この日のために、この日を乗り越えるために用意した策はすべて破れ、銃火器は歯が立たず。

何回やり直してもこの日を越えられず、何回も何回も廻り続ける。

光明さえ見えないこのループに、私という個我は摩耗され続け。



"お手柄だよ、ほむら"


"君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ"




――今や立ち向かう勇気も、抗う気力も奪われた。

ワルプルギス『キャハハ! アーハッハッハッハッ!』



ソウルジェムがじわじわと澱んでいくのが分かる。




ほむら「…私はもう耐えられない…」




いかに自分が非力なのか、無力なのかを痛感させられる。

ほむら「…あなたの道化になって踊り続けるのもたくさん…」




私はのしかかっている瓦礫を払い除け。




ほむら「…さようなら」



その場から、退いた。

後ろからアイツの笑い声が聞こえる。

アイツの追撃は、なかった。

ただ、その癇に触る笑い声は、明らかに私に向けられたものだった。

私に向けた、嘲笑。

もう、どうでもいい。

私はもう降りるわ。

―――
――――――
―――――――――




まどか「…」

まどか(…私には…何もできないのかな…)

まどか(みんなから守られるばかりで…)

まどか(今もほむらちゃんが私のために…この街のために戦っているのに…)

まどか(…私は…)

知久「ん? どうしたまどか?」

まどか「…ちょっとトイレ」

知久「そうか。ここは広いから迷子にならないようにね」


まどか「…うん。大丈夫。ちゃんと戻ってこられるよ」




―――
―――――――
――――――――――

QB「――ほむら、なぜ君がここに…?」

ほむら「…」

QB「…ほむら、きみはまさか――」ポシュ



ポシュポシュポシュポシュ





QB「 」

ほむら「…」

ほむら「…そういうあなたはこれを期にと目ざとくまどかを見張ってたわけね」

QB「 」

ほむら「お察しの通りよ。私は…」


ほむら「…私は…最低だわ…」

―――
――――――
――――――――――







まどか「…あれ? ほむらちゃん…?」

ほむら「…まどか…」

まどか「えっと…どうしてここに…?」

ほむら「…」

まどか「…ワルプルギスの夜は…?」

ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…っ」

ほむら「……ぅ…っうぅ……っ……っ…」

まどか「…ほむら、ちゃん…」

ほむら「……っ…ぅ……んなさい………」

まどか「…」

ほむら「……わたし……やっぱり…弱くて………」

ほむら「…ごめん…なさい……」

まどか「…大丈夫だよ。もう、大丈夫…」

まどか「…辛かったよね。今まで…」

ほむら「……ぅっ…」

まどか「私、思ったの。みんなから守ってもらってばっかりで、私はいつも見てるだけしかできなくて…」

ほむら「……ん…」

まどか「私だってできることがあるのに…。救えるものがあるのにって…」

ほむら「……」

まどか「私、もうただ見てるだけなんて耐えられない」

まどか「私は、みんなから守られる私じゃなくて、みんなを守れる私になりたい」

ほむら「!」

まどか「…ほむらちゃんはもう休んでて…」

ほむら「…」

まどか「後は、私がなんとかするから…」

ほむら「やめて…」

まどか「え…?」

ほむら「…なんでいつもあなたが…」

まどか「ほむら…ちゃん…?」

ほむら「…もう…たくさんよ…」

まどか「ほむらちゃ――」


ドサッ


ほむら「…」


まどか「……」

ほむら「…」

ほむら「……」

ほむら「…ぅ……」

ほむら「…う…うぅっ…うっ……」

ほむら「ぅあああああぁあああああああ!」




――――――
―――――――――――
――――――――――――――――――――

私は多くのものを欲張りすぎたのよ。

まどかが愛した、街、友達、家族、環境。

それらをなるべく損なわないようと無理をするから、本当に守りたかった大事なものさえ守れなくなる。

私が本当に守りたかったのはシンプルで、ただ一つのもの。

まどか。

あなたただひとり。

まどか「…」

ほむら「…」

次にまどかが見た光景は、荒れ果て見る影もない見滝原。

以前の平穏で長閑なそれは、もうどこにも無かった。

ワルプルギスの夜はとっくに姿を消していた。

まさしく台風のごとく。

遊び疲れた子供が家に帰るように。

遊び散らかした見滝原を残して。

まどか「…ほむらちゃん」

ほむら「…」

まどか「…ねぇ…これってどういうことなの…?」

ほむら「…」

まどか「…みんなは?」

ほむら「…」

まどか「街は…?」

ほむら「…」

まどか「避難所は…?」

まどか「みんなは…?」

まどか「…パパ…ママ…ター君は…?」


ほむら「…」

まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」


ほむら「……私は、救いたかった…」

ほむら「…私は…弱すぎたの…」

>>116
訂正



まどか「避難所は…?」

まどか「みんなは…?」

まどか「…パパ…ママ…たっくんは…?」


ほむら「…」

まどか「…ねぇ…ほむらちゃん…」


ほむら「……私は、救いたかった…」

ほむら「…私は…弱すぎたの…」

ほむら「…私は…あなただけでも救いたかった…」

まどか「…」

まどか「………」

まどか「…………………………」

まどかは泣いていた。

力なくぺたりとへたりこんで。

声を上げることもなく。

瞳からはとめどなく涙を流して。

その瞳は、もうどこも見ていなかった。

何も映していなかった。

私はまどかとは反対に声を上げて泣いた。

へたりこむまどかに後ろからしがみついて。

わんわんと子供のように大泣きした。

私はほんとは泣き虫で弱虫でそのくせ自分勝手で。

それでもまどかを助けたくって――。


――そんな言い訳じみた口上が喉元にこみ上げてくる。

慈悲を請うような。

赦しを願うような。

救いを求めるような。

けれどそれらは口をついてでることはなく、代わりに言葉にならない泣き声と涙になって溢れ出る。

言えるわけがなかった。

許されていいわけがなかった。

それでも、慰めが欲しかった。

自己満足でも。

だからこの時は、確かにこの腕の中に、守りたかった温もりがあることを感じていたかった。

しばらく忘我のまま、恥も外聞もなく散々に泣き喚いた。

涙も枯れ果てた頃、漸う我にかえった。

まどかは、ただ静かに座っていた。



ほむら「…まどか?」


腕の中のまどかに小さく呼びかける。

少し待っても、返事も、反応も無かった。



ほむら「…ねぇ…まどか…」


まどかの顔を見るのは怖かった。

きっと私を恨んでいる。

憎んでいる。

それでも、全ては私がしでかしたこと。

たとえまどかに嫌われることになっても、受け入れなければならない。

だから、目を逸らしちゃいけない。

なけなしの勇気を振り絞って、まどかの正面へ回る。

かがみこんで、まどかに相対する。



ほむら「…まどか…」 



どんな裁断も、受け入れる。

ほむら「…」








まどか「…」








――そして、私はまどかが失ったものに気づいた。

私がしたことを、悟った。

パリン、と小さく小気味いい音が響いた。

音のした方を見ると、左手に備えてある盾からだった。

よく見ると、埋め込んである砂時計が割れていた。

そこから砂が漏れ出して、嫌に澄んだ空気へと溶けていった。

――少し、離れたかった。

見る影がなくなっても、まどかにとっての大事な思い出の地。

今では、失った悲しさを呼び起こさせるだけの偲ぶ草。

そんな場所にいたって、心が休まるはずがない。

そう思えたから。



私たちは、しばらく海沿いの別荘で静養することにした。







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――――――――――――――
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「…うん、なかなかに上手くできたんじゃないかしら…」



今晩はシチューだ。

コーンとチーズ等をふんだんに使い、こくのあるまろやかな味わいになっていると思う。

きっとまどかも喜んでくれる…。

ほむら「この鏡に向かって"お前は誰だ"って言い続けて」

まどか「うん!」

~~~~~~

まどか「・・・」

ほむら「計画通りまどかが自我を失った」

コンコン



ほむら「まどか、入るね…」

返事はない。

いつものことで、もう慣れている。



ガチャッ




まどか「…」

部屋は夕日が沈みきったあとの、独特のしっとりとした暗さで満たされている。

そんな中、まどかは何をするでもなく、ベッドの上で上体を起こして窓の外を見ていた。

確かにはじめこそは私もその景色に息を呑み、見蕩れたものだけど。

今ではすっかり見慣れてしまい、なんの感慨もない。

まどかは何を思い、外を見続けているのか。

私にはわからない。

ほむら「…まどか、シチューを作ってみたの。冷めないうちに食べよ?」

まどか「…」




まどかは、答えない。





―――
―――――
――――――――

部屋は枕元にある小さなテーブルランプで優しい光に満たされている。



ほむら「…こぼさないようにね」



ベッドの近くにある椅子を引き寄せて、まどかと一緒に食事をとる。


まどか「…」

ほむら「…まだ少し熱いかもしれないから気をつけて…」

まどか「…」

まどかはゆったりとした動きで、スプーンでシチューを掬い、もくもくと小さな口へと運んでいく。


――この暮らしをはじめた当初。

最初こそは全く口をつけてくれないもので、本当に困り果てていたのだけれど。

毎日の呼びかけ、献身が功をそうしたのだろうか。それも徐々に改善されていった。

何はともあれ嬉しい変化だった。

まどか「…」

ほむら「…」


ちょっと前までは私が食べさせていたのだけれど、今ではちゃんと自分でスプーンを持って食べてくれている。



ほむら「…」



厚着してても肌寒く感じるようになった今日この頃。

冷えた体を芯まで温めてくれるシチューは、格別においしく思えた。

まどか「…おいしい」

ほむら「…!」


まどかが、小さな声で言った。

久しぶりに口を開いて…。

…褒めてくれた。

ほむら「ぁ……ありがとう……」


そんなのはただなんとなく呟いただけで、意味など無いのかもしれない。

それでも、嬉しい。

ほむら「…ありがとう、まどかぁ…」



本当に、嬉しい。


思わず涙が零れてしまうほどに、嬉しかった。

――
―――――
―――――――――




風呂上り。

まどかの髪を先に乾かして、後に私の髪を乾かす。

まどかは先に寝室に戻っていた。



コンコン


ガチャッ


ほむら「…」

まどか「…」

部屋は明かりがついてはなかったけれど、窓からさす月明かりで、優しくて心地よい明るさになっている。

まどかはベッドの上で膝に布団をかけ、上体を起こしたいつもの姿勢で、いつものように外を眺めている。


ほむら「…」


月明かりに照らされるまどか。

その姿は、どこか夢見る少女を想起させるものがあった。

確かに、以前はまさにそう言った言葉がよく似合う女の子だった。

――だけどそれはやっぱり錯覚でしかなくて、今は病床の少女という表現の方が、悲しいほどに適切だ。

ただただ虚ろで、陰りとともに消え入ってしまいそうなくらい儚い。

今にもいなくなってしまいそうで、怖い。



ほむら「…今日はもう寝ちゃおっか…」

まどか「…」

夜は特に怖かった。

すべてが夢のように、まやかしのように。

起きたらまどかがいなくなっているのが怖くて。

寝るときはまどかとベッドを共にした。

まどかの力ない手を握って。

確かなまどかの存在を感じていたかった。

まどか「…」

ほむら「…」




まどかは、すぅすぅと、小さくゆったりとした寝息を立てている。

まどかの寝顔は、起きている時の悲哀さを感じさせない穏やかなものだ。

年相応の幼さがあり、とても愛らしい。

まどか「…」

ほむら「…」



まどかはどんな夢を見ているんだろうか。

楽しい夢だったらいいな。

まどか「…」

ほむら「…」



まどかは寝ている時、たまに涙を流すことがある。

そんなときは、そっと涙を拭き取って、優しく頭を撫でる。

せめて夢でも、楽しくて優しい夢を見れるようにと願いながら。

まどかはもう誰も必要としていない。

まどかは、この世界を拒絶している。

だけど、私には彼女が必要だ。

私には、まどかがいないとだめだ。

私という酷く脆くて弱くて愚かな存在。

そんな粗悪な欠陥品の根幹は、どうしようもないほどまどかによって支えられていて。

情けないほどに、彼女に依存している。

私には、まどかが必要だ。

たとえまどかが、私を必要としなくても。

私を、恨んで憎んで――。

…呪っているとしても。

私にはまどかが――。




――
―――――
―――――――
――――――――――

―――――――
――――――――――
―――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――




ドゴォ・・・


メシャァ・・・



ベキベキッ




使い魔『――cmfv:ds。 cmgfr:fr・。、、』オドオド・・・

ほむら「っていう夢を見たのよ」

マミ「」
杏子「おい」

ドン・・・ドン・・・


ドドドドド・・・ドドドドッドドドドド



ゴシャアア!!!!



使い魔『¥glbhfycsl! dcsgmmmmmmmmmmmmm!』ブルブルブル





プチッ





使い魔『 』死ーン・・・

魔女『g・y、rtb、ltb;k;jkbv、fb・。fg!』プンプン



ほむら「…ッ、……ッ!」ダダダッ、ダラララララ…



魔女『skjdgcbj! ck、・;lkctch、!』ブン・・・ブンッ




ほむら「…ッ」


ほむら(よし…あと半歩…!)

魔女『fcdl! ・。grf! ;:glhvrw。vgf、mv。d・dxkxl!』ヒュッ・・・




ほむら「!」

ほむら(避けられない…なら…時間を…ッ!)カチッ・・・





ほむら「っ」







ほむら(あ…そうか…もう時間は…)







ガシッ

ほむら「ッ!?」

ほむら(しまった…腕を掴まれ――)








魔女『jmscxm・¥zcx¥。dgcgs!』ヒョイ


ほむら「…ッッ」









ギュウゥゥゥゥゥゥ・・・

ほむら「!! がぁ…はぁ……ッ…あぁッ……ッッッ!!!」ミシミシミシィ・・・







ミシィィ・・・




ベキッ


ボギキッ

魔女『f、md、cfrkc¥・。ddxd! xwl、jskmnx-c。!』ケラケラケラ




ほむら「……げぼぉ…ぁ…ッ……」ビチャァ…





ほむら(…………せっかく……追い込んだのに…)

魔女『x、mwdscd! svbd・。gtvd! cmsljfs@bg!』ウキウキ


ほむら「…………」ガクガク



ほむら(……このままじゃ……私もc4の…爆発に巻き込まれる……)


ほむら(…でも……もうなす術は……………)


ほむら(………………)

なすーん

魔女『:・l;。、kwdfgt? lgcfdjmrgfd、gfdcfvdsdsmt;h、kfdmfsdm!』キャッキャッ




ほむら「………………」



ほむら(………………………)






ほむら(……私は………死ぬわけには……いかない……………………)

ほむら「………」ボソボソ


魔女『lsmdsg-vcy・wst?』キョトン



ほむら(………私は………死ねない……ッ!)

カチッ・・・




魔女『¥g・dvAXSzwxe?』





ピピッ




ピピピピピピピピピピピッ




ほむら「…」



―――――
―――――――――
―――――――――――――――――

まどか「…」

まどか「…」

まどか「…」

まどか「……」


まどか「……ゆき…」


まどか「…」

―――――
―――――――――
―――――――――――――――





シュウゥゥゥ・・・





カランッ・・・コロロ・・・








ほむら「…」

*チョボーン*

ほむら「…」


ほむら「…」


ほむら「…」


ほむら「…」


ほむら「…」

ほむら「…」

ほむら「…」

ほむら「……」



ほむら「…、…………」

ほむら「……」

ほむら(………まだ……生きてる…………)





ほむら(けど……長くはないな…………)

ほむら(でも………まだ………)

ほむら(……命が……尽きる前に……)

ほむら「……」

ほむら(目が……濁ってる………)


ほむら「……」ヨロ・・・

ほむら「…っ」トテ

ほむら(……ああ…。片足が………)

ほむら「……。…」ズル・・・ズル・・・


ほむら(…多分…この辺りに……)



ほむら「…、……」ズル・・・ズル・・・


ほむら(……お願い……あって…………)



ズル・・・ズル・・・


ズル・・・ズル・・・ズル・・・

ほむら「………」ズル・・・


ほむら「…、……」サッ・・・サ・・・


ほむら「……」ズル・・・



サッ・・・サッ・・・サッ・・・


サッ・・・コツンッ


ほむら「…」



ほむら(……あった…………)



ほむら(…グリーフシード……)

シュウゥゥゥ・・・




ほむら「…っ…、ごほっ、…がはっ……!」


ほむら「…ハッ…ハッ……はぁ……」



ほむら(……助かった…)


ほむら(…私…助かった…………)

--ドクン・・・


ほむら「!」




GF『 』カタカタ…







ほむら「…」


ほむら(…慣れない回復魔法のせいであっという間に汚れが飽和したのね…)





GF『 』ピシッ・・・

ほむら「ッ!」





ピシピシピシッ・・・




ほむら「ひっ……」

ほむら「うわああああああああああああああああああああああああ!」パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン




キンッキンッキンッガッガッ・・・


パリーン




シュゥゥゥ・・・

ほむら「……」

ほむら(………やった………?)

ほむら(……間に合った……の……?)


ほむら「………」

ほむら「……ッ」ゾクッ

ほむら「…ぅ…」

ほむら「…ぐ、げぇぇ………」ゲボゲボ・・・


ほむら「……はぁ……はぁ……はぁ………」




ほむら「………怖い」


ほむら「……怖いよ………」





ほむら「…まどか…」

―――――
―――――――――
―――――――――――――




ほむら「…ただいま、まどか…」

まどか「…」

ほむら「遅くなってごめんね。今ご飯作る、から――」フラッ


バタン


まどか「…」


ほむら「…ごめんなさい、ちょっと疲れてるのかしら。…心配しないで。お腹すいたでしょう? 今からご飯作るからもう少し待ってね…」ヨロ・・・

>>240
訂正

―――――
―――――――――
―――――――――――――



ほむら「…ただいま、まどか…」

まどか「…」

ほむら「遅くなってごめんね。今ご飯作る、から――」フラッ


バタン


まどか「…」


ほむら「…ごめんなさい、ちょっと疲れてるのかしら…」フラッ・・・


まどか「…」


ほむら「心配しないで。お腹すいたでしょう? 今からご飯作るからもう少し待ってね…」ヨロ・・・

――――――
―――――――――――
―――――――――――――――――



ほむら「……」

まどか「…」

ほむら「…まどか、もう寝てる…?」

まどか「…」

ほむら「…まどか、ちょっといい…?」

まどか「…」


ギュゥ・・・


ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「……私ね、今日ちょっと怖いことがあって…」ブルブル・・・

まどか「…」

ほむら「……苦しいかもしれないけど…ちょっとだけ……」ブルブル…


ほむら「……ちょっとだけでいいから……このままでいさせて………」

まどか「…」

まどか「…」

まどか「……」


ギュッ・・・


ほむら「ぁ…」

まどか「…」

ほむら「…まどか……」

まどか「……」ナデナデ

ほむら「っ」

まどか「……」ナデナデ

ほむら「…………」

ほむら「……ぁ…あり…がとう……」


ほむら「……ありがとう……まどかぁ……」ポロポロ・・・


まどか「……」


―――――――
――――――――――――
――――――――――――――――

まどか。





私の、生きるための指標。





私の、唯一の希望。





私の、ただひとりの友達。






――私の、この世でいちばん大切なひと。

あなたがいれば、いかにここが残酷で冷酷な現実であろうとも。


この先、どんな過酷な運命が待っていても。


あなたが一緒なら、私は耐えられる。


私はまだ、頑張れる。

何もかもが思い通りにはいかず、妥協と取捨選択を繰り返してたどり着いたこの世界。


正しく、融通の利かないこの世界。



この世界で私は生きていく。













終わり

遅筆でくさい駄文にここまでお付き合い頂きありがとうございました
夜遅くまで付き合って支援して頂いてありがたかったです
本当はもう少し続けるつもりでしたが、流石にもう眠くて…
くどいようですが、書ききれなかった分の続編も考えているのでその時はまたどうかお願いします…
それではまたどこかで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月19日 (木) 00:25:35   ID: sqlBeO7i

このまま終わったらあんまりなので未見の人へ

つづき:まどか「すわんそんぐ」
最終話:まどか「あの子の名前を」
おれはわりと好き

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