バルクホルン「雪だぞ、宮藤!!」芳佳「雪合戦しましょう!!」 (82)

501基地 滑走路

エーリカ「わー!!!」ダダダッ

芳佳「ハルトマンさーん、待ってくださいよー!!」

エーリカ「ゆきだー!! ゆきー!! 早くこいよー、宮藤ぃー!! さむーい!!!」

芳佳「ぅわーい!! 雪ですよー!!」

バルクホルン「はしゃぐな。雪が降ったぐらいで恥ずかしくないのか」ダダダッ

美緒「はっはっはっは!! はっはっはっはっは!!!」

芳佳「雪合戦しましょう! 雪合戦!!」

エーリカ「宮藤ー雪ダルマつくろー」

バルクホルン「落ち着け、お前たち。降雪ごときで喜ぶな。子どもじゃあるまいし」ダダダダッ

美緒「はっはっはっは!!!」

ミーナ「……まだ積もってもないでしょう? 貴方たち、戻りなさい」

格納庫

シャーリー「結構、降ってるなぁ」

ルッキーニ「積もりそう?」

シャーリー「このままなら結構積もるんじゃないか?」

ルッキーニ「にひぃ! 積もったら何しゅるー?」

シャーリー「何って、滑走路が使えなくなったら困るから除雪作業はしないとな」

ルッキーニ「えー? もっとなんかしようよー」

シャーリー「なにするんだ?」

ルッキーニ「えっとねーえっとねー」

エイラ「寒いと思ったら雪かよ……。ふざけんな。サーニャが風邪でもひいたらどうするんだ」

ペリーヌ「うぅ……リーネさん……」ギュゥゥ

リーネ「寒いですね、ペリーヌさん……」ギュゥゥ

エイラ「お前ら……暖かそうだな。私もまぜろー」ギュゥゥ

シャーリー「仲いいなぁ、お前ら」

ルッキーニ「あ、芳佳たち戻ってきたみたい」

ミーナ「ミーティングだってあるのよ? それを無視して外に出るなんて何を考えているの?」

美緒「昔から雪を見ると血沸き肉躍るんだ。許してくれ、ミーナ」

ミーナ「あのね、坂本少佐?」

バルクホルン「少佐もか。実は私も雪を見るとどうにも自分を抑えられなくてな」

芳佳「あ、私もですよ」

エーリカ「というか、ミーナだって昔は私やトゥルーデと雪の日は一緒にはしゃいでたじゃん」

ミーナ「私にも立場というものがあるのよ、ハルトマン中尉?」

エーリカ「自分に嘘をついたってよくないとおもうけどなぁ」

ミーナ「……とにかく、ミーティングを行うから、すぐに集まって」

美緒「了解」

バルクホルン「すまない、ミーナ」

芳佳「ごめんなさい」

ミーナ「三人とも、外を見ずに私を見て謝りなさい」

エーリカ「仕方ないよねー。この雪じゃ」

ミーナ「……」

ミーティングルーム

ミーナ「本日の連絡事項ですが――」

芳佳「見てみて、リーネちゃん。これ、すごいねー。もう薄っすらと雪が積もってきてるよー」

リーネ「ホントだ」

芳佳「もっと積もったら一緒に遊ぼうね、リーネちゃん」

リーネ「うんっ」

ルッキーニ「おぉぉー!! 吹雪いてきたぁー!!」

シャーリー「午後には積もるなぁ。中佐ぁ、除雪剤とか用意したほうがいいんじゃないですか?」

ミーナ「え、ええ。そうね。シャーリーさんの言うとおり、本日から降雪量が多くて――」

ペリーヌ「この天候では飛行訓練にも影響がでそうですわね」

エイラ「ふざけんなぁ。サーニャがくしゃみしたらどうするんだ」

サーニャ「くしゅんっ」

エイラ「サーニャ!!! 寒いか!? 寒いんだな!? 雪のやろぉ!!」

サーニャ「積もりそう……」

美緒「はっはっはっは!」

バルクホルン「積雪まで数時間といったところか」

エーリカ「まちきれなぁーい。ね、宮藤?」

芳佳「はいっ! 楽しみですっ!」

リーネ「でも、寒いのは少し苦手……」

ペリーヌ「わたくしもですわ。よくこんな寒冷を喜べますわね」

サーニャ「うん」

芳佳「えー? 雪が降ってるとワクワクしない?」

ペリーヌ「しませんわ。全く、宮藤さんはお子様ですわね」

芳佳「そんなぁ。シャーリーさんはどうですか?」

シャーリー「あたしも別になぁ。雪なんて面倒ごとのほうが多いんだし」

美緒「シャーリー。もっと心にゆとりを持つべきだぞ。そんなことでどうする」

シャーリー「そうですか?」

ルッキーニ「ゆっきー、ゆっきぃー、るっきーにぃー」

芳佳「あはは。ルッキーニちゃん、その歌なんなのー?」

ミーナ「ですから、訓練時も細心の注意をして……」

バルクホルン「ふん。所詮はリベリアンか」

シャーリー「なんだと?」

バルクホルン「雪の良さがわからないとは。悲しい奴だ」

シャーリー「年甲斐もなく外で駆け回るのよりは何倍もマシだろー?」

ミーナ「私の……話を……」

芳佳「やっぱりいっぱい積もったら雪合戦ですよね!!」

リーネ「雪合戦ってなに?」

芳佳「雪玉を作ってね、投げ合うの。すっごく楽しいよ!」

ルッキーニ「あたしもしゅるー!!」

エイラ「それ、たのしいかぁ?」

芳佳「たのしいですよぉ。扶桑ではみーんなやります!!」

美緒「うむ。そうだな」

ペリーヌ「雪玉を作って投げ合うだけで何が楽しいのやら」

ミーナ「話を聞きなさい!!!!」バンッ!!!

サーニャ「……!?」ビクッ

ミーナ「貴方たちの任務はなに!? バルクホルン大尉、答えなさい!!!」

バルクホルン「雪であそ……いや、世界の空をネウロイから守ることだ」

ミーナ「その通り。私たちに雪で遊んでいる暇なんてないはずよ」

エーリカ「いーじゃん、いーじゃん。豪雪なんだからぁー」

美緒「除雪作業という口実があるから心配はない」

バルクホルン「流石、少佐だ。それでこそ扶桑の撫子だ」

美緒「はっはっはっは」

ミーナ「あなたたちはぁ……」

シャーリー「中佐、でも実際問題、除雪作業は絶対にしなきゃいけないことですし」

ミーナ「そうだけど」

エイラ「で、雪玉の大きさとか細かいルールあるのか? なぁ?」

芳佳「それはないです。もちやすい、投げやすい大きさでいいんですよ」

エイラ「ふぅーん」

バルクホルン「ミーナ、心配はいらない。皆、ウィッチであることをきちんと自覚しているだろう?」

ミーナ「……もういいわ。今朝のミーティングが終わります。解散」

サーニャ「ミーナ隊長……」

ミーナ「501なんて嫌いっ」

美緒「ミーナ、待て」

ペリーヌ「宮藤さん、どうしますの? ミーナ中佐が怒ってしまいましたわよ。謝罪してきたほうがよろしいのではなくて?」

芳佳「わ、私だけなの!?」

ペリーヌ「宮藤さんがミーティングの空気を悪くしたのですから当然ですわ」

芳佳「えぇー!?」

リーネ「ペリーヌさん、それはあんまりですよ」

エーリカ「ペリーヌだって大はしゃぎしてたじゃん」

ペリーヌ「いつしました!?」

バルクホルン「見てみてろ、ルッキーニ少尉。これはもう積もったと言えるかもしれないぞ」

ルッキーニ「うにゃぁ! ホントだぁー!! ダイブしてもいいー?」

バルクホルン「ああ! ルッキーニ少尉は雪の良さを理解しているな!!」ナデナデ

ルッキーニ「にゃははは」

シャーリー「……」

ミーナ「……」

美緒「ミーナ、私の話を聞いてくれ」

ミーナ「なに?」

美緒「バルクホルンもハルトマンも昔からああだったのだろう?」

ミーナ「そんなことはないわ。もっと自分を律していたはずよ」

美緒「だが、話を聞く限りではミーナも一緒になって積雪の滑走路を走り回っていたのだろう?」

ミーナ「それはまだ私も精神的に若かったからで……」

美緒「今は違うのか?」

ミーナ「違うわ。私はみんなの命を預かっている身だもの」

美緒「こんなときぐらい童心を思い出しても罰は当たらないと思うがな」

ミーナ「無理よ。あのトゥルーデだってあんな調子だもの。こういうときこそ隊長の私がしっかりしていないと」

美緒「気負うな」

ミーナ「……せめて美緒がもう少し毅然としてくれていればね」

美緒「分かった。ミーナがそういうなら、そうしよう」

ミーナ「本当に? ありがとう、嬉しいわ」

格納庫

エーリカ「いくぞー!!!」ダダダダッ

芳佳「ぅわーい!! 雪だー!!!」ダダダッ

エイラ「わぁー」ダダダッ

美緒「――待て」

エーリカ「少佐? どうかしたの?」

芳佳「坂本さん。ほら、もう飛び込んでもいいぐらいになってますよ?」

美緒「お前たち、訓練はどうした?」

芳佳「まだ、訓練の時間じゃないですから」

エーリカ「そうだそうだ」

美緒「これだけの雪だ。昂ぶるものがあるのも分かる。だが、今は作戦行動中だ。もう少し慎め」

エイラ「ダゾ、宮藤」

芳佳「坂本さんだって、さっきまでは……」

美緒「ほら、訓練でないなら外に出るな。戻れ」

エーリカ「ぶぅー。少佐のケチー」

食堂

シャーリー「こりゃ、すごいなぁ。もう真っ白だ」

ルッキーニ「にひぃ! あそびに――」

シャーリー「少佐に怒られたばかりだろ。やめとけって」グイッ

ルッキーニ「うぇぇ!? ちょっとぐらいならいいよね?」

シャーリー「ダメだって」

ルッキーニ「むぅー……」

バルクホルン「……仕方ないだろう。少佐やミーナの言うことのほうが正しいのだからな。大人しくしていろ」

シャーリー「窓に張り付いてる奴が言っても説得力ないな」

ペリーヌ「どうして遊びたくなるのか理解に苦しみますわ。霜焼けにだってなりますし、衣服や髪だって濡れてしまいますのよ」

リーネ「そうですね……。でも、今の芳佳ちゃんとハルトマンさんを見ていると、ちょっと可哀相……」

芳佳「ハルトマンさぁん……ゆきがっせんしたいですよぉ……」

エーリカ「ミーナにいえよぉ……」

芳佳「むりですよぉ……ハルトマンさんからいってくださいよぉ……」

エーリカ「ミーナを怒らせると怖いんだぞ……むりむり……」

エイラ「子どもばっかりダナ。何を雪ごときで一喜一憂してんだよ。少しはサーニャを見習え」

サーニャ「雪……綺麗……」

エイラ「見ろ。サーニャは雪に芸術性を見出してるんだ。すごいだろ」

芳佳「バルクホルンさん、なんとかなりませんか?」

バルクホルン「諦めろ。隊長命令だからな」

芳佳「……」

バルクホルン「そんな悲しそうな目をするな」

芳佳「すいません……」

シャーリー「そろそろ除雪作業しないとヤバいかもな」

リーネ「そうなんですか?」

シャーリー「あたしらの飛行訓練にサーニャの夜間哨戒、輸送機の離着陸だってないわけじゃないからね」

リーネ「確かにそうですね」

シャーリー「バルクホルン、行くぞ」

バルクホルン「どこにだ?」

シャーリー「除雪作業も任務のうちだろ?」

滑走路

バルクホルン「何故、私とお前だけでやるんだ。意味が分からない」ザックザック

シャーリー「時間が空いてるのはあたしらだろ」ザックザック

バルクホルン「こういうことは下士官の仕事だ」

シャーリー「関係ないだろ」

バルクホルン「はぁ……ミーナの機嫌さえよければ……今頃は……」

シャーリー「そういえばさ、宮藤が言ってた雪合戦ってどうなんだろうな」

バルクホルン「どうとは?」

シャーリー「雪でボールを作って、投げ合うんだろ?」

バルクホルン「そうらしいな」

シャーリー「……」ギュッギュッ

バルクホルン「宮藤もかなり雪合戦なるものを熱望していたようだが、上官の命令には従ってもら――」

シャーリー「うりゃ」ブンッ

バルクホルン「わっ!? な、なにをするんだ!!!」

シャーリー「油断しすぎだろ、バルクホルン。今のがネウロイの攻撃だったら、どうするんだ? 死んでるんじゃないか?」

バルクホルン「……下らないことをするな!! 任務に集中しろ!!! リベリアン!!!」

シャーリー「はいはい。悪かったよ。どんなものかなって思っただけだろ」

バルクホルン「子どもみたいなことをするな!!!」

シャーリー「分かったって」

バルクホルン「全く……!!」

シャーリー「冗談も通じないのか。これだからカールスラントの堅物は」

バルクホルン「……」ギュゥゥゥ

シャーリー「あー。ひえるなぁ」

バルクホルン「――ぅおぉぉりゃぁぁぁぁ!!!!」ブンッ!!!!

シャーリー「あぶないっ!!!」バッ!!

バルクホルン「ちっ。避けられたか」

シャーリー「お前!! 殺す気か!!! お前が全力で握ったら氷玉になるだろ!!!」

バルクホルン「シールドを張れば問題はない」

シャーリー「バルクホルン……お前……!!」

バルクホルン「借りは返すぞ、シャーリー」

ミーナ「シャーリーさんとトゥルーデが除雪作業を?」

美緒「ああ。時間も空いているからやらせてくれとな」

ミーナ「そう。温まるものでも用意してあげないといけないわね」

美緒「それがいいな」

ミーナ「だけど、あまり無理をさせるわけにもいかないし、様子でも見に行こうかしら」

美緒「私は宮藤かリーネにスープを作ってほしいと言ってくる」

ミーナ「ふふっ。きっとトゥルーデが喜ぶわ。よろしくね」

美緒「ああ」

ミーナ「えーと、滑走路のほうにいるのよね……」

ミーナ「バルクホルン大尉、シャーリー大尉――」

バルクホルン「くっ!!」

シャーリー「ふふん。シールド張ったな。あたしの勝ちだ」

バルクホルン「貴様!! 魔法で雪玉を加速させるな!! 卑怯だ!!!」

シャーリー「氷玉を作るやつに言われたくない!!」ブンッ!!!

バルクホルン「おのれ!! リベリアン!! 次は私が勝つ!!!」ブンッ!!!

ミーナ「……」

バルクホルン「はぁ!!」

シャーリー「でやぁ!!」

ミーナ「いい加減にしな――」

シャーリー「くらえ!!」ブンッ!!!

バルクホルン「甘い!! 何度も同じ手が通じると思うな!!」サッ

ミーナ「わぷっ!?」

シャーリー「あ……」

バルクホルン「ミーナ……!! 居たのか……」

ミーナ「……」

シャーリー「あ、あの……」

バルクホルン「ミーナ!! 聞いてくれ!! これは地上戦の訓練なんだ!!」

シャーリー「そ、そうそう!! そうなんですよ!! 宮藤考案の訓練なんです!! それで今、あたしとバルクホルンで試してて……!!」

ミーナ「そう。で、他に言うことは?」

バルクホルン「な、中々、よかった……」

食堂

芳佳「雪合戦できないのかなぁ……」

リーネ「そのうちできるよ。元気だして、芳佳ちゃん」

美緒「今はスープ作りに専念してくれ、宮藤」

芳佳「了解」

美緒「ふむ」

リーネ「芳佳ちゃん……」

エーリカ「たいへんだー!!!」

美緒「ハルトマン、騒々しいぞ」

エーリカ「外、外!! 外みてよ!!」

芳佳「外? 雪が降ってますね」

リーネ「今日は止みそうないですね」

エーリカ「違う違う。滑走路のほう。トゥルーデとシャーリーとミーナが……!!」

美緒「なに?」

芳佳「あ……」

滑走路

美緒「……」

ミーナ「やぁ!!」ブンッ

バルクホルン「狙いが甘いぞ、ミーナ!!」

ミーナ「よーし」ギュッギュッ

シャーリー「隙あり!」ブンッ

ミーナ「きゃっ」

バルクホルン「今だ!! シャーリー!! 集中砲火をかけろ!!!」

シャーリー「了解!! おりゃー!!」ブンッブンッ

バルクホルン「うおぉぉぉ」ブンッブンッ

ミーナ「いたっ、つめたい、やめてー」

美緒「――ミーナァァァ!!!!」

ミーナ「ひっ。あ、美緒……」

美緒「何をしている?」

ミーナ「あの、これは宮藤さん考案の訓練で……。隊長としてこの訓練がどの程度技能向上に役立つのかを確かめていただけで……」

ミーティングルーム

ミーナ「……あの」

美緒「ミーナ。私や部下に指示したことと、お前がやっていたことは矛盾しているような気がするが?」

ミーナ「……」

バルクホルン「少佐、ミーナを責めないでくれ。ミーナも昔は……」

美緒「それは聞いている。だが、これは別問題だ」

ミーナ「ごめんなさい……」

美緒「示しがつかないな」

ミーナ「はい」

シャーリー「あの、少佐。元はといえばあたしとバルクホルンも悪いんだ。除雪作業を投げ出して雪を投げ合いだしたんだし」

バルクホルン「そうだ。罰なら私とシャーリーにも与えてくれ」

ミーナ「二人とも……」

美緒「宮藤やハルトマンも衝動を抑えているというのに」

ミーナ「反省しているわ」

美緒「困ったものだな。ミーナはしっかりしていると思っていた」

ミーナ「うぅ……」

美緒「それで?」

ミーナ「え?」

美緒「訓練は技能向上に繋がりそうなのか?」

ミーナ「そ、それは……」

美緒「どうなんだ?」

ミーナ「……近接戦闘訓練及び射撃訓練には向いているわ」

シャーリー「おぉ」

バルクホルン「一理あるな」

シャーリー「うんうん。あるな」

美緒「ならば、宮藤やハルトマンや私が雪合戦をしても問題はないわけだな?」

ミーナ「ええ。ないわね」

美緒「分かった。このことを宮藤たちに伝えてこよう」

シャーリー「よかったな。バルクホルン。宮藤も喜ぶんじゃないか?」

バルクホルン「宮藤が喜ぶからなんだ? 私には関係のないことだ」

滑走路

エーリカ「シュトゥルム!!!」ブンッ!!!

エイラ「ムリダナ」サッ

芳佳「つめたい!!」

ルッキーニ「いっくよー!! うにゃぁー!!!」ブンッ!!!

サーニャ「きゃっ」サッ

芳佳「あぷっ!?」

リーネ「芳佳ちゃん!! 大丈夫!?」

芳佳「う、うん。なんとか……」

エイラ「くらえ!!」ブンッ

エーリカ「あたるかぁー!!」サッ

リーネ「きゃぁ」サッ

芳佳「ぅぶっ!?」

ペリーヌ「さむいですわぁ……」

美緒「――お前たち!! 戻って来い!! 伝えることがある!!!」

ミーティングルーム

芳佳「え!? 雪合戦してもいいんですか!?」

エーリカ「わーい。やったー。スノーウォーの始まりだね」

サーニャ「スノーウォー……」

エイラ「なんだよ。それー。私とサーニャになんの得もないじゃないかー。雪玉投げるとか、宮藤とかペリーヌみたいな子どもが嬉しがるだけだろ」

ペリーヌ「……」

エイラ「なんだ、やんのか?」

ペリーヌ「別に」

ルッキーニ「やったー!!」

美緒「勘違いするな!!」バンッ

リーネ「え……?」

美緒「これは訓練だ。遊びではない」

芳佳「く、訓練なんですか?」

美緒「我々は軍人でありウィッチだ。いつネウロイの襲撃があるか分からない今、遊戯に費やす時間など1秒もない」

芳佳「すいません……」

美緒「ミーナ中佐と相談した結果、ネウロイとの地上戦を想定した訓練を明日行うことにした」

サーニャ「航空団なのに地上戦を……」

美緒「文句があるのなら挙手しろ、サーニャ」

サーニャ「いえ、ありません」

美緒「よし。これは実戦形式の訓練だ。被弾は死と同義だと思い望んでくれ。一切の気の緩みなど許されんぞ。いいな」

エーリカ「で、具体的にはどうするの?」

美緒「これを見てくれ」

リーネ「それは……」

美緒「チームを東西に分ける。戦闘終了条件は敵陣地に設置されたフラッグの奪取だ」

ルッキーニ「たのしそう!!」

美緒「ルッキーニ。これは遊びではない、訓練だ。今後、口が裂けてもそのような発言はするな」

ルッキーニ「あ、あい」

美緒「うむ」

ペリーヌ「少佐。チームはどうなっていますの?」

美緒「それなのだが……。もう少し待ってくれ。そろそろミーナたちも戻ってくるはずだ」

シャーリー「――悪い。待たせたな」

芳佳「シャーリーさん! バルクホルンさん!!」

ペリーヌ「何をされていましたの?」

シャーリー「ま、色々とね」

ミーナ「気にしなくてもいいわ」

リーネ「そ、そういわれると……」

エイラ「気になるよなぁ」

バルクホルン「少佐、続けてくれ」

美緒「よし。では、チーム分けを始める前に、チームリーダーを決めたい。希望者はいるか?」

芳佳「チームリーダーはどんなことをするんですか?」

美緒「役割は戦闘指揮だな。それと自軍メンバーの選出権限も与える」

バルクホルン「ならば、私が立候補しよう」

美緒「そうか。もう一人いないか? 推薦でも構わんぞ」

ミーナ「……リーネさんはどうかしら?」

リーネ「え!? わ、わたしですか!?」

美緒「ほう?」

バルクホルン「リーネか。面白い」

リーネ「ま、まってください……!! そんな……!!」

エーリカ「いーじゃん、いーじゃん。リーネでもさ」

リーネ「こ、こまります!!」

美緒「他にチームリーダーを希望する者はいないか?」

ルッキーニ「シャーリーは?」

シャーリー「いやだよ」

サーニャ「エイラはどう?」

エイラ「メンドーだからいい」

美緒「……では、バルクホルンとリーネが各チームのリーダーで決定だな」

リーネ「そんな!!」

バルクホルン「容赦はしないぞ、リーネ。本気でこい」

リーネ「あぁ……」

芳佳「リーネちゃん!! がんばって!!」

ペリーヌ「少佐がリーダーをなされば……」

美緒「それではミーナとケンカになるからな」

ミーナ「本気のね」

シャーリー「それはそれで見たい気もするけど」

美緒「次に各チームリーダーは自軍メンバーを選んでくれ」

バルクホルン「リーネから選ばせてやろう」

リーネ「は、はい。えーと……えーと……」

バルクホルン「早くしろ」

リーネ「ご、ごめんなさい! あの……なら、エイラさん!!」

エイラ「私か。仕方ないなぁ」

リーネ「ごめんなさい……よろしくお願いします……」

エイラ「メンドーだけど、やるかぁ。別にちっともやりたくなんてないけどなぁ」

バルクホルン「宮藤」

芳佳「わ、私ですか!?」

バルクホルン「こい」

リーネ「えーと……サーニャちゃん、おねがい」

サーニャ「うん。がんばりましょう」

エイラ「リーネ、よく分かってる人選だな!!」

バルクホルン「ルッキーニ」

ルッキーニ「うにゃ? あたしでいいの?」

バルクホルン「こい」

リーネ「ミーナ中佐、いいですか?」

ミーナ「勿論よ。必ず、トゥルーデを打ち破りましょう」

リーネ「は、はい! 力を貸してください!!」

バルクホルン「ハルトマン」

エーリカ「やっぱり、私がいないとねぇ」

バルクホルン「その通りだ」

リーネ「よかったぁ……。坂本少佐、お願いしますっ」

美緒「任せろ。これでも扶桑にいたころは雪玉補充班で大活躍したこともある。期待してくれて構わんぞ、リーネ。はっはっはっは」

リーネ「は、はい! 心強いです!!」

バルクホルン「ペリーヌ」

ペリーヌ「え!? あの、わたくしは……できればリーネさんの……」

バルクホルン「上官命令だ。こい」

ペリーヌ「は、はい。了解……」

シャーリー「あたしはどっちだ?」

バルクホルン「リーネのほうで構わない。ハンデだ」

シャーリー「後悔するなよ?」

バルクホルン「ふん」

シャーリー「そういうわけだ。よろしくな、リーネ」

リーネ「はい!」

美緒「これでチームわけも済んだか。では、各チームの作戦会議時間とする。しっかりと練り、明日の訓練に備えろ!! 以上!!」

芳佳「リーネちゃんと戦わないといけないなんて……」

バルクホルン「そういうこともある。さぁ、いくぞ」

リーネ「芳佳ちゃん……。お互い、がんばろうね」

シャーリー「にしても、バルクホルンのチーム、なんか偏ってないか?」

バルクホルンの部屋

バルクホルン「いいか。フラッグを奪取すれば訓練は終了となるが、それともう一つ条件が加えられた」

エーリカ「全滅、だね」

芳佳「全滅?」

バルクホルン「少佐も言っていただろう。被弾は死と同義だと。つまり、雪玉に当たった時点で、その者は戦えないというルールだ」

ルッキーニ「まぁ、当たらなきゃいいんだしぃ、ヘーキ、ヘーキ」

芳佳「そうかなぁ」

ペリーヌ「宮藤さんの不安も分かりますわ。相手にはミーナ中佐と坂本少佐、それに未来予知が可能なエイラさんに、全方位広域探査が可能なサーニャさんがいます」

エーリカ「加えて切り込み隊長のシャーリー、そして指揮官にリーネだもんね。無敵っぽいよね、向こうは」

芳佳「か、勝ち目があるんですか!?」

バルクホルン「無論だ。私が何も考えずにこのメンバーを集めたわけではない」

ルッキーニ「そうなの?」

バルクホルン「このメンバーこそ。私にとっての黄金メンバーだ」

芳佳「お、黄金……!! なんだかすごいです!! かっこいいです、バルクホルンさん!!!」

エーリカ「なんだか、勝てそうな気がしてきた」

リーネの部屋

リーネ「え、えーと……あの……」

ミーナ「遠慮なんてしないで。リーネさんが考えた作戦通りに私たちは動くから」

美緒「今の指揮官はお前だ、リーネ」

シャーリー「緊張するなってほうが無理かもしれないけど、リーネのために全力を出すから」

エイラ「リーネ、私たちを信じろよ。私たちはリーネを信じてるぞ」

サーニャ「うん」

リーネ「みなさん……。ありがとうございます……」

ミーナ「リーネさん。具体的な作戦を聞かせてくれるかしら?」

リーネ「はいっ。まず、シャーリーさんとエイラさんがロッテを組んで中央突破をしてください。シャーリーさんとエイラさんの能力なら難しくはないはずです」

エイラ「いくら私でもさぁ、中央突破は難しいぞ?」

リーネ「後方からサーニャちゃんが敵の位置等を指示してくれれば、リスクは減らせるはずです」

ミーナ「私と坂本少佐はどうしたらいいの?」

リーネ「ミーナ中佐と坂本少佐はロッテを組み、状況に応じて攻め込んでください。私が指示するよりもそのほうがいいと思うので」

美緒「私とミーナは遊撃隊と言ったところか。了解。それで行こう」

食堂

シャーリー「お? ルッキーニ」

ルッキーニ「シャーリー!!」ギュッ

シャーリー「そっちはどうだ。勝つ算段はできたのか?」

ルッキーニ「にひぃ! できたー」

バルクホルン「いらぬ心配だな、リベリアン。我々には一粒の雪すらつくことはない」

シャーリー「言ったな? お前の顔面、雪塗れにしてやるよ」

芳佳「あれ? 見て見て、リーネちゃん」

リーネ「どうしたの?」

芳佳「整備班の人たち、滑走路で何かしてるよ」

リーネ「なんだろう? 雪で壁を作ってるのかな?」

エーリカ「整備班も楽しんでるねー。負けてらんないね、私たちも」

エイラ「なんだー? 整備班だけであそびやがってー」

サーニャ「明日、私たちもいっぱい遊べるから」

ペリーヌ「壁を作ってなにが楽しいのやら……」

翌日 滑走路

ミーナ「これでいいのね?」

美緒「完璧だな」

芳佳「わぁぁ。壁がいっぱいあるぅー」

エイラ「整備班はなにやってんだよぉ。邪魔だろ、これぇ」

美緒「これは雪合戦……いや、スノーウォーには必要なものだ」

ペリーヌ「この壁がですか?」

ミーナ「始まったら分かるわ」

エイラ「きっと死角になるんだな」

芳佳「なるほど!!」

美緒「――全員、整列!!!」

ペリーヌ「はい!!」

美緒「もう一度言っておく。これは遊びではない!!! 訓練だ!!! 雪玉の一つ一つがネウロイの攻撃だと思え!!! いいか!!! 繰り返す!! これは遊びではない!!!」

芳佳「は、はい!!」

美緒「戦闘開始は0800時丁度だ!! 早速、それぞれの自陣へ移動しろ!!! 解散!!!」

バルクホルン「作戦の再確認だ。私とハルトマンで道を切り開く。その後から……」

ルッキーニ「あたしとペリーヌがつっこむ!!」

芳佳「私は旗を守ります!!!」

バルクホルン「完璧だ」

ペリーヌ「そうなのですか? 不安でいっぱいですわ……」

エーリカ「心配ないって」

ペリーヌ「しかし……」

エーリカ「私が許さないよ。一人の脱落も」

ペリーヌ「ハルトマン中尉……」


リーネ「みなさん。油断だけはしないでくださいね」

シャーリー「どうしたって油断はできないな」

エイラ「私がいるんだ。どうにでもなるって」

サーニャ「エイラ、気をつけてね」

ミーナ「さて、トゥルーデはどうでるかしらね」

美緒「開始まであと10分か……」

バルクホルン「――時間だな。ハルトマン、壁を利用して攻撃するぞ」

エーリカ「わかってる。宮藤、スノーボールは任せるから」

芳佳「はい! いっぱい握っておきます!!」ギュッギュッ

ルッキーニ「ドキドキしゅるー!!」

ペリーヌ「ルッキーニさん。くれぐれも慎重にですわよ」

ルッキーニ「分かってるって」

バルクホルン「行くぞ!!」ダダダッ

エーリカ「おぉー!! 突撃だぁー!!」ダダダッ

芳佳「頑張ってくださーい!!!」

バルクホルン「任せろ、宮藤!!」

ルッキーニ「いくよ、ペリーヌ!!」

ペリーヌ「はい!!」

芳佳「よし。握っておかないと」ギュッギュッ

芳佳「……」ギュッギュッ

芳佳「ひとつできたー」

バルクホルン「この辺りが中央か」

エーリカ「っぽいね。ルッキーニ、ペリーヌ。異常はない?」

ペリーヌ『こちら、ペリーヌ。未だに敵兵は確認できていませんわ』

ルッキーニ『だーれもいないよー』

バルクホルン「気をつけろ。どこに潜んでいるのかわからないからな」

ペリーヌ『了解。大尉もお気をつけて』

エーリカ「もう少し進んでみる?」

バルクホルン「そうだな」

芳佳『バルクホルンさん!!』

バルクホルン「どうした、宮藤!?」

芳佳『今、雪玉3つめです!!』

バルクホルン「その調子だ!!」

芳佳『はいっ!!』

エーリカ「行くぞ、トゥルーデ。私が先頭になる」

バルクホルン「了解」

バルクホルン「……随分、進んだがまだ敵を目視すらできていないとは」

エーリカ「不気味だね」

バルクホルン「向こうにはサーニャとミーナがいる。私たちが深く攻め込んできていることには気づいているはずだが……」

エーリカ「そうだよねー。このまま進めばフラッグとれちゃうよ」

バルクホルン「ルッキーニ、ペリーヌ。そちらはどうだ?」

ペリーヌ『こちら、ペリーヌ。以前、敵影は確認できませんわ』

ルッキーニ『これ、あたしだけで遊んでるとかないよね?』

バルホルン「そんなわけがないだろう。あと、これは訓練だ、ルッキーニ少尉」

ルッキーニ『あい』

芳佳『バルクホルンさん!!!』

バルクホルン「どうした!?」

芳佳『今、雪玉4つめです!!』

バルクホルン「流石だ!! そのままのペースを維持してくれ!!」

芳佳『はい!! がんばり――ぁ』

バルクホルン「宮藤? どうした、宮藤? 応答しろ!! 宮藤!!」

バルクホルン『宮藤!! どうしたんだ!!!』

エーリカ『宮藤!! おい!! 宮藤!! 何か言えよー!!』

芳佳「あ……あぁ……」

美緒「はっはっはっは」

ミーナ「うふふ……」

ペリーヌ『宮藤さん!? なにかありまして!?』

ルッキーニ『よしかぁー!?』

芳佳「は、旗は……渡しません……!!」

美緒「ふんっ」ブンッ!!!

芳佳「ぅぎゃっ!?」

ミーナ「残念ね……」

美緒「宮藤……いいウィッチだった……」

バルクホルン『宮藤!!! 宮藤!!!』

ペリーヌ『宮藤さん!! 応答してくださいな!!』

ミーナ「さぁ、フラッグを頂きましょうか」

バルクホルン「――宮藤!!!」

エーリカ「な……!!」

芳佳「……」

バルクホルン「宮藤!! しっかりしろ!! 宮藤!!」

エーリカ「トゥルーデ……宮藤はもう……」

バルクホルン「くっ……私の……私の所為で……宮藤……!!」ギュッ!!!

芳佳「むぐぅ!?」

バルクホルン「必ず仇は取ってやる……」スリスリ

芳佳「お、お願いします」

エーリカ「早く行くぞ、トゥルーデ」

バルクホルン「エーリカ……?」

エーリカ「……絶対に許さない」

バルクホルン「エーリカ、これを持て。宮藤が死ぬ間際まで作ってくれていたスノーボールだ」

エーリカ「うん。宮藤、これは大切に使うから」

バルクホルン「……フラッグの奪取などもうどうでもいい。敵勢力を殲滅する」

リーネ「こんなに簡単に終わらせてよかったんでしょうか」

美緒「奴らが私たちの力を見誤った結果だ。何も問題はない」

ミーナ「私と坂本少佐が遊撃に回った時点で、こうなることは分かっていたもの」

美緒「さてと、勝利宣言を出して二回戦を――」

サーニャ『リーネ司令、応答してください』

リーネ「どうしたの?」

シャーリー『あいつら、まだ戦うつもりみたいだ。進んできてる』

美緒「なんだと!? バルクホルンめ、ルールを無視するつもりか」

エイラ『どうすんだ? やるのか?』

リーネ「え、えっと……」

美緒「リーネ、奴らは復讐の鬼と化しているようだ。私たちを全滅させるつもりなのだろう」

リーネ「えぇ!? そんなぁ!! バルクホルンさん!! ハルトマンさん!! 復讐なんてやめてください!!」

バルクホルン『黙れ。私たちは私たちのやりたいようにやらせてもらう』

エーリカ『宮藤を狙い撃ちするなんて、絶対に許せないね』

リーネ「こ、こんなことって……」

シャーリー「ちっ。バルクホルンの奴、宮藤のことになるとああだからな」

エイラ「だから、言っただろ。少佐と中佐は反則気味だから途中から投入させるべきだって」

シャーリー「今、そんなこと言っても仕方ないだろ。サーニャ、相手の位置は?」

サーニャ『シャーリーさんとエイラから約200メートル前方です』

シャーリー「このまま進むか?」

エイラ「そうだな。……ん?」ピクッ

シャーリー「エイラ、あたしのあとについて――」

エイラ「あぶない!!!」バッ

シャーリー「な!?」

ドォォォン!!!

シャーリー「な、なんだ!?」

エイラ「こ、これだ。これが飛んできて壁をぶっ壊したんだ」

シャーリー「これは……氷玉……!! バルクホルンか!!!」

エイラ「大尉は本気ダナ」

シャーリー「気合いれろ、エイラ。ただの訓練じゃなくなってきたみたいだからな」

バルクホルン「ルッキーニ。どうだ?」

ルッキーニ『んー。エイラとシャーリーが移動したみたい』

バルクホルン「よし」ギュゥゥゥゥゥ

エーリカ「ペリーヌはルッキーニのサポートよろしくっ」

ペリーヌ『は、はい』

バルクホルン「今の威嚇でこちらの意図はわかってくれただろう。次は当てるぞ」

シャーリー『そっちがその気ならこっちだって考えがあるぞ』

バルクホルン「ほう……?」

エイラ『勝てると思ってんのか?』

エーリカ「そっちこそ。私とトゥルーデを本気にさせたからには無事で済むとは思わないほうがいいよ?」

サーニャ『ひっ』

バルクホルン「ハルトマン!! ついてこい!!!」

エーリカ「了解!!」

シャーリー『バルクホルン!! 氷玉だけは本当にやめてくれよ!!』

バルクホルン「心配するな。壁を破壊するときにしか使わない』

美緒「サーニャ!! 敵の位置を頼む!!」

サーニャ『4人は固まったまま、中央を進軍中です』

ミーナ「何をするつもりかしら」

美緒「罠かもしれなんが、一塊になっているなら選択肢も多くはない。――シャーリー!!」

シャーリー『はい。少佐は後ろに回りこんでください』

美緒「ああ。挟撃だ。いけるな」

シャーリー『誰に訊いてるんですか、少佐?』

エイラ『私もいるんだ。なんてことないって』

美緒「信じているぞ、お前たち」

リーネ『エイラさん……』

エイラ『なんだ?』

リーネ『気をつけてください。サバイバルをするつもりなら、きっとエイラさんを真っ先に狙ってくるはずですから』

エイラ『……了解』

ミーナ「私もリーネさんに賛成ね」

美緒「エイラが崩れれば、シャーリーも……。戦況が覆るな……」

サーニャ『接触まで30……20……10……』

シャーリー「……」

エイラ「――上だ!!」

シャーリー「上!?」

ルッキーニ「――うにゃぁぁ!!!!」

シャーリー「バルクホルンがルッキーニを投げたか!! でもなぁ……」

ルッキーニ「あにゃ!?」

シャーリー「空中だと身動きとれないだろ!!」ブンッ!!!

ルッキーニ「ぶふっ!?」

シャーリー「悪いな。ルッキーニ……」

ルッキーニ「つめたいぃ……」

エイラ「なんだ、大したこと――」ゾクッ

エイラ「シャーリー!! 走れ!!」

シャーリー「え……?」

エーリカ「――シュトゥルム!!!」

シャーリー「くっ……ハルトマン……!! ルッキーニは囮か!!」

エーリカ「くらえぇぇ!!!」ブンッ!!!

シャーリー「しまっ――」

エイラ「させねー!!!」バッ

シャーリー「エイラ!?」

エイラ「ぁうっ!?」

シャーリー「エイラ……!! あたしを庇って……!!」

エイラ「ふくに……ゆきが……つめてぇ……」

シャーリー「この……!!」

バルクホルン「おっと。そこまでだ」

ペリーヌ「シャーリー大尉。大人しくしてもらいますわ」

シャーリー「囲まれた……」

エーリカ「残念だったね」

シャーリー「それはどうかな? ――後ろを見てみろ!」

バルクホルン「構うな!! 集中砲火だ!!!」

シャーリー「ちょっ……!?」

エーリカ「おらおらおらー」ブンッブンッ

ペリーヌ「トネールですわ」ブンッブンッ

バルクホルン「これは宮藤の分! これも宮藤の分!!」ブンッブンッ

シャーリー「つめてっ!! やめろ!! おぷっ!?」

美緒「それ以上はさせんぞ!!!」

バルクホルン「来たか、少佐……」

ミーナ「よくもやってくれたわね」

エーリカ「ミーナか。相手にとって不足はないね」

ミーナ「美緒!!」

美緒「分かっている。――ペリーヌ!!!」

ペリーヌ「は、はい!」

美緒「バルクホルンを討て!!!」

ペリーヌ「わかりました!!」ブンッ!!

バルクホルン「わぷっ!?!」

エーリカ「ペリーヌ……お前……!!!」

ペリーヌ「あ……あぁ……つ、つい……」

バルクホルン「ペリーヌ……しんじ……て……いたのに……」

エーリカ「このー!!!」ブンッ

ペリーヌ「もうしわけありませんでしたぁー!!! きゃふっ!?」

エーリカ「トゥルーデ……」

美緒「観念しろ、ハルトマン。指揮系統を失ったばかりか、もうお前一人だけ。何もできはしない」

ミーナ「さぁ、終わりにして二回戦をしましょう」

エーリカ「まだ終わってない」

美緒「無駄な抵抗だ」

ミーナ「これ以上、無駄な血は流したくないの」

エーリカ「本気でいくからな……!!!」ゴォォォ

美緒「ハルトマン……!!」

エーリカ「宮藤が遺してくれた4つの雪玉があれば、十分ミーナたちを全滅させることはできる」

ミーナ「やめて!! やめなさい!!! フラウ!!」

サーニャ「リーネちゃん」テテテッ

リーネ「サーニャちゃん。今、どうなってるの? 坂本少佐とミーナ中佐、いくら呼びかけても応答してくれなくて」

サーニャ「それより……ぁ」

リーネ「え? サーニャちゃん?」

サーニャ「……ちょっと、つめたい」ドサッ

リーネ「……!?」

エーリカ「リーネ……」

リーネ「ハ、ハルトマン……さ、ん……」

エーリカ「終わりだ……これで……」

リーネ「いやぁ……」

エーリカ「ていっ」ブンッ

リーネ「あんっ」

エーリカ「……」

エーリカ「勝った……勝ったよ……みんな……」

エーリカ「これがスノーウォー……虚しい……何も残らないなんて……涙もでない……」

ミーナ「整備班!! 壁の修復をお願いします!!!」

「「了解!!」」ダダダッ

バルクホルン「一回戦は我々の勝利か」

エーリカ「ヨユーだね」

美緒「バルクホルン。フラッグを取ったチームの勝ちだと伝えたはずだ」

バルクホルン「ならば引き分けだな」

シャーリー「おい。素直に負けを認めろって」

芳佳「まさか開始3分でやられちゃうなんて……」

リーネ「芳佳ちゃんは少佐と中佐に狙われちゃったから仕方ないよ」

サーニャ「芳佳ちゃんがフラッグを守っているって知っていたらあんなことしなかったのに」

リーネ「うん」

芳佳「次はもっとがんばらないと!!」

ペリーヌ「少佐の声に反応してしまう自分が恐ろしいですわ……」

エイラ「お前が敵チームでよかった」

ルッキーニ「もういっかい!! もういっかいぃ!! 次はあたし、魔法で雪溶かしながらしゅしゅむー!!」

ミーナ「やぁー!!」ブンッ

エーリカ「いたぁーい!!!」

美緒「ふぅ……。これで第何戦目だ?」

バルクホルン「15から数えていない」

美緒「少し疲れたな」

バルクホルン「ミーナにとっていい息抜きになっただろうか」

美緒「あれだけ楽しいだからな。それでいいだろう」

バルクホルン「そうだな」

シャーリー「お。かなり遊んだから除雪作業もしなくてよさそうだ」

リーネ「つかれました……」

エイラ「もうムリダナ……」

サーニャ「芳佳ちゃん、何してるの?」

芳佳「雪ダルマ作ってたの。サーニャちゃんも一緒にどう?」

サーニャ「うん」

ルッキーニ「にゃはー!! たのしかったー!!」

美緒「ミーナ!! そろそろ終わるか!!」

ミーナ「そうね。もう十分ね」

美緒「お前たち!! 本日の訓練は特別なものだ!! しっかりと胸に刻みこんでおけ!!!」

芳佳「それって……二度とはしないってことですか……?」

ミーナ「特別な訓練だからね」

シャーリー「色んなところに許可とるの、メンドーだもんな」

バルクホルン「シャーリー」

エイラ「許可だと?」

ペリーヌ「当然ですわ。傍から見ればただ雪を投げ合っているようにしか見えませんでしょ」

リーネ「それで許可が……?」

シャーリー「だから、今日だけ特別だ」

ルッキーニ「えぇー!? 明日もしよーよぉ!!」

芳佳「そっか……そうですよね……。でも、すごく楽しかったです!! 5分以上、生き残れませんでしたけど!! 私、楽しかったですから!!」

バルクホルン「私も久しぶりに熱くなれた。これを糧に明日からの任務も尽力する」

美緒「よし。では、解散だ。しっかり休めよ。はっはっはっはっは」

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