折木「俺が過去になる前に」(165)



摩耶花「それってストーカーじゃない!」

夕暮れの地学準備室―――我らが古典部の部室に、突如伊原の怒声が響き渡った。
いや、本当は突如でも何でもないのだろうが、
前後の話を全く聞いていなかったのでひどく唐突に聞こえた。
俺は文庫本から視線を上げる。

折木「急に大声を出すな。どうした?」

える「!」

摩耶花「はぁ?あんた聞いてなかったの?」

伊原はあからさまな非難の眼差しを俺に向ける。
それはつまり、いつも通りの表情で、ということだ。

うわぁ………地の文とか書いてて恥ずかしくないの?


折木「失敬だな。ちゃんと聞いていたぞ。…………ストーカーのくだりから」

摩耶花「……………つまり、今の今まで聞いてなかったってことね。死ねばいいのに」

える「摩耶花さん……」アタフタ

折木「………?」

何故か千反田の方が慌てている。
どういうことだ。さっぱり話が見えない。


福部「鈍いなー。まだ分からないのかい、ホータロー?」

まだも何も聞いていなかったのだから……………ん?

折木「…………まさか」

福部「そうさ」




摩耶花「だから、ストーカーに遭ってるのはちーちゃんなんだってば!!」

本日二度目の、伊原の怒鳴り声が炸裂した。

える「えーと……そういう大袈裟なことではないんですけど………」

摩耶花「ちーちゃん、人よすぎ!
帰り道で待ち伏せしてるのがストーカーじゃなくてなんだっていうの!?」

える「それは………」

摩耶花「あああ気持ち悪い!!絶対許せない、文句言ってきてやるわ!」

折木「待て」

摩耶花「何よ、止める気?」ギロッ

俺を視線で射殺さんばかりに睨みつける伊原。
誰がそんなおそろしいことをするか。
だが、

折木「千反田が違うと言っているんだ。一旦冷静になって話を聞こうじゃないか」

摩耶花「アンタ、自分が話聞いてなかったから一から説明させようってんじゃないでしょうね?」

否定はしない。

福部「ホータローの言うことにも一理あるね。僕らも話のさわりしか聞いてないし」

摩耶花「………まぁ、確かに」

里志のフォローに伊原は少しだけ冷静になったようだ。

さて、うるさいのが黙ったところで本題に入ろう。

折木「千反田」

える「は、はい」

折木「伊原の言ったことは本当か?」

える「………」

折木「ストーカーに遭っているというのは事実か?」




える「…………少しだけ、違います」

みてるよ

1クール目のOPの方がオレは好きだったぜ


「少しだけ」。
それが千反田の精一杯なのだろう。



こいつは他人に対してマイナスの感情を向けることを極端に嫌う。
性善説論者と言い換えてもいい。
根拠があろうとなかろうと、自分の裁量で他人を「悪い奴だ」と決めつけることに強い抵抗があるのだ。
「ストーカー」といういかにも犯罪者のような呼称を用いるのが嫌なのだろう。


だがその反面、千反田は嘘がつけない。
嘘が嫌いなのではない。嘘をつくためのスキルが絶望的に欠けているのだ。
またその性格ゆえに、事実に反することや憶測に基づく不確かなことも言わない。


つまり、


折木「『少しだけ』、か………どこが違う?」

える「ストーカーなんてそんな大袈裟なことでは、ないと思います」

折木「そうか。
   ………で、どこまでが本当だ?」

える「………………」





える「通学路で、その方とよくお会いするのは、本当です」


面白い

原作読者とみた!


………
………………
………………………


える「つい一週間前のことです」

俺の、というよりは伊原の追求をかわしきれず、千反田は観念して事の顛末を語りだした。

える「帰りに商店街の本屋さんに寄ったとき、同じ中学校の方と偶然お会いしたんです」

千反田と同じ中学というと、印地中のヤツか。
ここからは割と距離があるはずだが。

える「ええ。ですから、通学路で印地中学校の方とお会いすることはほぼないんです」

ついに来てしまったか

期待

うーん…
物書きとして許せないんだが
何この稚拙な文章^^;


折木「ふむ。それで?」

える「はい。その方は印地中学で生徒会長をされていた方でした。
私、すっかり懐かしくなってしまって、声をかけてご挨拶したんです」

折木「………」

なるほど。いわゆる「旧交を温める」というやつか。
まぁ同じ中学のヤツに久しぶりに会えば普通はそうなるか。
向こうが声をかけてくれば、俺でも返事くらいはするだろう。
………そいつのことを思い出せればの話だが。


折木「………それで、その後は?」

える「はい。ご挨拶したのは会計を済ませた後でしたので、そのままお店を出ました」

折木「ふむ………」

今のところ、特段不審な点は見当たらない。
千反田も何かを隠しているようには見受けられなかった。

しかし、

折木「なるほどな。
   …………それで」

える「!」ビクッ

折木「次にそいつに会ったのはいつだ」

える「…………本屋さんでお会いした、その次の日です」


………
………………
………………………

千反田によると、次の日もその男(性別は後から聞き出した)は通学路に現れた。
それでもまだ、千反田は偶然だと思っていたらしい。

だが、三日目にも姿を見せた。
それが四日、五日と続き、

六日目、つまり昨日になってようやく偶然ではないと悟ったようだ。

折木「…………」

える「あの……折木さん?どうかされましたか?」

折木「……すまん。少し絶句してた」


というよりも、あきれてものも言えない。
そりゃ伊原があれだけ怒鳴るのも無理は……

福部「…………」

摩耶花「……………」

折木「おい」

何でお前らまで呆然としているんだ。

福部「ああ、ごめん……さすがに気付いたのが昨日って言う話は初めて聞いたよ」

摩耶花「私も……」


える「え、ええと……私、また何か粗相を……?」

折木「いや、別に………それで?」

える「それで……と、言いますと?」

折木「いや、だからそんなに付きまとわれるような理由に何か心当たりはないのか?」

える「心当たりですか………あれっ?」

折木「何か思い出したのか?」

えるたそ~

結構面白いぞ


える「ええ、心当たりと言いますか……」

何故か千反田の歯切れが悪い。

折木「別に具体的な理由でなくてもいい。手掛かりになりそうなことは何でも話せ」

どうして俺はこんなに必死になっているんだ。

「やらなくてもいいことなら、やらない。
 やらなくてはならないことなら、手短に」

それが俺の不変のモットーだというのに。
それとも、
これが俺の「やらなくてはならないこと」なのだろうか。

…………莫迦な。

面白いやん
支援

近頃胸チクが多いよね





快感

支援


える「………折木さんがそうおっしゃるなら、お話ししますけど」

折木「ああ」

える「一番最初にご挨拶したとき、なぜかその方がとても驚いていたんです」

驚いていた?

折木「久方ぶりだったからじゃないのか?」

摩耶花「だったらちーちゃんの顔を見た瞬間驚くでしょ。ちょっとは頭使いなさいよ」フン

コイツ……今の今まで黙っていたくせにここぞとばかりに。

える「でも、摩耶花さんの言った通りです。その方が驚かれたのは、私がご挨拶をしてお店を出る寸前だったんです」


店を出るときに驚いた……

折木「………なるほど」

える「!
   何か分かったのですか!?」

折木「ああ。おそらくそいつはお前自身じゃなく、お前の言ったことに驚いたんだろう」

える「私の言ったこと、ですか?」

折木「そうだ」

福部「なるほど!それなら、去り際に驚いたことの説明がつくね」


折木「ああ」

そしてそれが、この一件の発端だろう。

える「…………」

千反田は黙ったままうつむいている。
大方くだらないことを考えているのだろう。

折木「千反田」

える「は、はい!」

折木「お前のせいじゃない」

える「!」

ジュ

休憩

あい


仮にこの件が千反田の一言が引き金だったとしても、

折木「この件に関してお前に責任はない。お前は悪くない」

える「折木さん…………」

福部「」ニヤニヤ

摩耶花「…………ふんっ」

折木「だから全部話せ。いいな?」

える「………はい、わかりました」


………
………………
………………………

結論から言うと、新しい情報は何も出てこなかった。
千反田とその男の会話は他愛ない世間話の域を出ず、
決定的な手掛かりは見つからなかった。

摩耶花「……あれだけ自信満々だったくせに」

うぐっ。

福部「まぁまぁ摩耶花。ホータローだってたまにはそういうこともあるさ」

折木「お前ら………」


この二人にかまっていても仕方がない。話をもどそう。
とは言うものの、すでに話は振り出しに戻ってしまっているのだが。

『その男はどうして驚いたのか』。

その男は千反田の言ったことに驚いたのは間違いない。
だが、それは話の内容ではない。
だとしたら、そいつはいったい何に驚いたというんだ?

える「折木さん………」

折木「……………」


折木「………もしかして」

える「折木さん?」

折木「千反田。そいつが驚いたのは別れ際だと言ったな」

える「………? はい、そうですが」

折木「その別れ際に何を言ったのか正確に思い出してみろ」

える「正確に……?」

書き溜めてからスレ立てなさいよ


折木「そうだ」

話の内容に問題がないのなら、
本当にこいつが無意識に言った何気ない一言が原因だと考えられる。
「言葉の端々に」というやつだ。

福部「コアじゃないならディティールに、ってことかい?
   その意見にはちょっと賛同しかねるなぁ」

折木「そうか?」

福部「だってそうだろう?デリカシーの欠片もないホータローならともかく、
   千反田さんが無意識に人を傷つけるようなことなんて言う訳がない」

摩耶花「私もそう思う。ちーちゃんに限ってそれはありえないわ」

もっともな意見だが、それでは不十分だ。
しかしそれを説明するとなると、千反田が聞いていると都合が悪い。

折木「里志」

福部「ん?」

折木「伊原」

摩耶花「何よ?」

折木「耳を貸せ」

俺は手招きをしながら、二人に小声で促した。

伊原「はぁ?言いたいことがあるならここで言いなさいよ」

阿呆、でかい声で言うんじゃない

摩耶花が生き生きしてる

栃木に見えた


折木「いいから早く」

福部「ふーん……わかった」イソイソ

伊原「ふくちゃん!……もうっ!早く言いなさいよ」イソイソ

える「え?三人ともどうしたんですか?」

千反田が俺の背後でうろたえているような気がするが、
気にせずに三人で部室の隅に集まって内緒話を始めた

折木「(………いいか)」ヒソヒソ

える「あ、あの!」

折木「(確かに千反田の心ない一言がそいつを傷付けたとは考えていない)」ヒソヒソ


える「何をお話しされているんですか!?」

摩耶花「(だったら何が原因だってのよ!)」ヒソヒソ

折木「(話は最後まで聞け。傷つけるようなことはなくても………)」ヒソヒソ

える「あのー!」




折木「誤解させるようなことは言うだろ。間違いなく」

福部「…………」

摩耶花「…………」

経験者は語る


える「もしもーし!」

福部「あり得るね」

摩耶花「あり得るわね」

える「何がありえるんですか!?」

理解を得られたようで何よりだ。

折木「何でもないぞ千反田。さぁ、話の続きだ」

える「どうして流そうとするんですか!?一体何をお話していたのか、
   私、気になりま……」

折木「言 っ て る 場 合 か ?」

ヌッ

える「あぅ………」

折木「いいから話せ。こんどこそ洗いざらい全部だ」

える「わかりました。
ええと……一しきりお話しした後、随分時間が経ってしまったことに気が付いて、
   お別れのご挨拶をして……」

折木「その『お別れのご挨拶』で何を言ったんだ?」

える「え?それはもちろん、




  『それでは失礼します、○○さん』、と」

折木「」

福部「」

摩耶花「」

あくしろよ


まさかとは思うが………
これが原因?
いや、まさか……

折木「………ひとつ聞きたい」

える「は、はい!何ですか?」

折木「そいつに会うのは卒業して以来初めてだったんだよな」

える「はい」

折木「………集合」

福部「」ガタッ

摩耶花「」ガタッ

える「またですか!?」


折木「(………どう思う?)」ヒソヒソ

福部「(いやー、それだけで勘違いするにはちょっと弱くないかな)」ヒソヒソ

摩耶花「(私もそう思う)」ヒソヒソ

折木「(………じゃあ質問を変える)」ヒソヒソ

折木「これだけだと思うか?」ヒソヒソ

福部「…………」

摩耶花「…………」


える「どうして私には内緒なんですか!」

折木「……千反田、もう一つ訊いていいか」

える「私の質問は無視ですか!?」

折木「逆に、最初に声をかけたときは何て言った?」

える「えっ?最初ですか?」

折木「そうだ。話しかけたときの第一声だ」

える「………えーっと
   最初に『お久しぶりですね』と声をおかけしました」

折木「次」

えるかわいいよえる


える「次ですか?えっと、その方が反応に困っていたようなので、
   『覚えていないのも無理はありませんね』と言った後、
   『印地中学校出身の千反田えるです。お久しぶりですね』と自己紹介をしました」

折木「…………」

福部(それは………)

摩耶花(ちーちゃん………)

折木「最後に一つ訊きたい」

える「は、はい」

折木「そいつに会ったのは、本当に卒業以来始めてか?」

える「卒業以来……というと?」キョトン

折木「……お前とそいつが印地中を卒業してから一年間本当に会ったことがなかったのか?」

私がLです

こっちはほんわかする


える「一年間………どうして一年なんですか?」

こいつは……!

折木「だから、お前とそいつはほぼ一年前に印地中を卒業したんだろうが」

える「………あのぅ、折木さん。折木さんは何か勘違いをされてると思うんですが……」

折木「はぁ?」

える「先輩が卒業されたのは3年前です」

折木「…………………先輩?」





える「その方は同級生ではなくて、二学年上の先輩なんですけど………」

折木「……………………………は?」

               ,, ´  二 } `ヽ 、_,. ---->―-- .,__,ノ
           _,,ノ、 /   -.}    \: : //: : : : : : : : :ト、
         /   ヽ /   /二 ヽ, j } : : /: : : /: : : : :}: |: :ヽ
        /      〉彡=='  /`〈_/イ: : : : :/:/: : : : :/: : : : : :゚,_
       /      |  /   彳: : : : : /: : :..:/|/:/: : : /: /: :|: : : :「
      / \    │'      八: : /.:.:.:.://=|:/: : : /: /: : :|: |: : |
.   /      ヽ   /       イ´{/.:. /レ'_  |:.:.:.:.:/イ{:|: : :|: |: : ト
  /       丶,:′        { }:.:.:.{ ⌒ヾ/!:.:.:/  |:l: : :乂: :.:「
  {        イ             ゝ|`ヾ⊂⊃  乂リ ___ リ{:./: /}: :,′
   :,       jヾ          |      ,   ⌒ヾ ノ:.:./:.:}ノ    てへぺろ ☆
   ’  __,,.. イ  }\       /〈 ̄小        ⊂⊃/:.ノ:.ィ´
    ‘,       |   〉 }`¨ヽ.  { /\/ '.   \ __,ゥ   /- '´
      ’    j  」 './ ヽ  \  { \ '. ___,,..  ´{
      ‘,     」  ゙,   } } ヽ  { { `¨ヽ  / \
        ’     」  / !      \ {@ / /: :.  \-- 、
        \ 」  / |       ゚:,ノ  /  ヾ //  〉   ヽ
.           \. /  .|         {  {――////   │
.          \  |  /        |  |又¨/´  '"       |
          |ハ ノ ./       ‘,@} / /  :,  | l   |
          |`ト            い;./     }   | l   l
          |、.} ` ‐- ..,,_     / /       .|/  ,:′
          | '. vヘ_    ヽ.,   j  .′    __ -j''"´{
          |  '.     `-ヘ___ `¨{ @{-- ¨¨  vv}^^´ ノ

える「あれ?私、同級生だって言いましたっけ?」

福部「…………言ってないね」

摩耶花「………………ついでに先輩とも言ってないわ」

里志と伊原はどっと疲れたように机やいすにもたれかかって脱力している。
無理もないか。

折木「………生徒会長をしていたというのは?」

える「私が印地中に入学した時の生徒会長がその方だったんです」

折木「……………さいで」

最後まで頼む


福部「それは………」

摩耶花「………私が男だったら、まず勘違いするわね」

える「勘違い?」


キーーーンコーーーーン
カーーーーンコーーーーー……ン

折木「…………下校時間か」

福部「どうするんだい、ホータロー」

える「あの、私なら大丈夫ですから」

摩耶花「ちーちゃんまたそんなこと言って!
    万が一何かが起こってからじゃ遅いのよ!?」
える「ありがとうございます、摩耶花さん。ですけど本当に……」




折木「いや、俺が行こう」


える「ええっ!?」

福部「!!?」

摩耶花「折木………アンタ……」

折木「多分俺が一番話を丸く収められる。
   千反田もその方がいいだろう?」

える「え、ええ………ですけど、折木さんにご迷惑をかけるわけには……」

折木「…………別に恩を着せるつもりはない。
   俺が出ていくのが最も効率がいいというだけだ」

える「そう、ですか………」

折木「まぁ、何だ」



折木「俺に任せろ」



………
………………
………………………

折木「あいつか?」

える「ええ、あの方です」

此処は千反田の通学路。件の男が出没する商店街だ。
やはり今日も奴はそこにいた。
現在は本屋の雑誌コーナーで立読みをしている……フリをしている。
持っている雑誌が上下さかさまだ。

折木「じゃあ、少しだけ待っててくれ」

SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
エーベルージュ
センチメンタルグラフティ2
Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
初恋ばれんたいん スペシャル
ファーランド サーガ1、2
MinDeaD BlooD 4
【シヴァンシミター】WOG【クリムゾンクルセイド】
アイドルマスターブレイク高木裕太郎


える「折木さん、さっき言ったこと忘れないでくださいね。
   暴力や危ないことはだめですよ!」

折木「心配するな。お前はそこの喫茶店にでも入っててくれ。
   見つかると面倒くさいことになるからな」

える「………わかりました」

千反田はまだ不満げな様子を見せながら角の喫茶店に入って行った。
………さて、厄介なやつがいなくなった。

すまない千反田。
俺はさっき、お前に少し嘘をついた。

暴力を行使するつもりはない。
そもそも俺はそんなに強くない。

が、




少しだけ、底意地が悪いのだ。

ほーたろーがカコイイ

ほうたるに惚れそう



………
………………
………………………

………まだ来ないな。
いつもなら、10分前には通りかかっているのに。
ひょっとして、警戒された?
いや、昨日まで馬鹿正直にこの道を通っていたような子だ。
今日も必ず

折木「よう」ガッ

!?

な、何だ!?
何が起こった!!?

折木「あんただよな?千反田に付きまとってるのは」

「!?」

折木「ああ、喋らなくていい。どうせ声は出せないだろう?」ギリギリ

「…………!!」

こ、声が出ない!!

折木「おー、初めてでもできるんだな。姉貴の見様見真似だったんだが」

顎を極められて動かせない。
首を絞めずにこんなことができるのか・・・・!?


折木「騒いだら首も極める」

「…………!!!」

折木「俺が誰か、とか、千反田とどんな関係か、とかそんなことはどうでもいい。
   聞きたいことは二つだ」

「…………!!」

折木「ひとつ。千反田とアンタは面識があったか?
   Yesなら1回、Noなら2回かかとを鳴らせ」

…………

カッ、カッ

やだ///ほーたろー男らしい

折木「いいだろう。二つ目だ。
   アンタは、千反田の記憶力がずば抜けていいことを知ってたか?」

千反田さんの記憶力?

折木「あいつはな、合同授業で一度同じになっただけの、クラスも違う俺の顔と名前を一度で覚えたんだ」

…………!!!?

折木「………知ってたか?
   Yesなら1回、Noなら2回だ」


…………………

カッ………、カッ


折木「………なるほどな」

なるほど


くっそ………!!

折木「……アンタの気持ちも分からんではないがな」

こいついけしゃあしゃあと……!!

折木「アイツはこの間言っていた。
   『勘違いは責められない』ってな」

勘違い…………





折木「だから一度だけは見逃す。次はない」

!!!


折木「もし……また千反田を困らせてみろ。
   そのときは俺も容赦しない」

声のトーンが変わった。
さっきまでの問い詰めるような声音とは違う。
平坦で、恐ろしく冷淡な声だ。

折木「アンタの人生経験のなかで一番つらかったことを思い出せ」

…………!!!

折木「そいつを百回繰り返した方がマシだというほどの責め苦を味あわせてやる」

陳腐だ。
脅し文句としてはあまりにも陳腐でチープだ。
だがなぜだ。

折木「返事がないな。分かりにくかったか?」

おほほ良いね


店内はこんなに暖房が効いているというのに、



折木「金輪際千反田の前に現れるな」



体の震えが止まらないのはなぜなんだ………!!!




折木「 殺 す ぞ ? 」


…………………!!!!!



………
………………
………………………

言い回しが厨ニ過ぎてやばい

こんなの折木じゃねぇ…

ほうたる「This way....」

流石ほうたるさん中二王子や

   ',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
    ',::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
    ',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
     !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,'
    |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,'

      !:::::::::::::::_:::::::::::::::::::::::_::::::::::::|
     |::::::::::__>:::\:_::/:::::::レl::::::|
     ',:::::::> :::::::::::::::::::::::::::::::∠:::::|
     ',__:{ '`'‐ .,_:::::::::::::::::_,. -''`'},...|

      /ヘヾ f'て::)`::::::r''て:カ /ヘ 〉
     ヽ{〈 ',     :::::::::|:::::::  ,'::: /
      ヽ-ヘ    :::::::┘::::  ヒノ
         ト、  :::-‐‐-::::::/|     
        _| `'::::.,`¨´:/:: ト、            殺すぞ?

.     _,. ‐'", ┘ :::::::`¨´:::::::: \`' 、
,. - '"      \.,_::::::::::::::::::::::::::/   `' - .,_
ヽ        \::::::::::::::::::/        /\

 !        :::::::\:::::/:::::::::          |   \
 |        ::::::::::::::::::::::::::::::::       |    ヽ

………………………

カランコロンカラン….

折木「待たせたな」

える「折木さん………」

千反田を待たせていた喫茶店に入る。
千反田は俺が言った通り、窓から見えない奥の席に座っていた。

折木「座ってもいいか」

える「あっ、はい。どうぞ
   それで………」

ほうたるかっこいい


折木「ん?ああ、円満に話は終わった。
   お前には迷惑をかけた、謝っておいてほしいとのことだ」

える「いえ、そんな!もとはと言えば私が……」

折木「千反田」

える「はい?」


ポフッ


折木「」ナデナデ

える「………へっ?」

折木「言っただろ。お前のせいじゃない」

惚れた

ほうたる怖い
えるたそにチクらなきゃ(使命感)

ほーたろーかっこよすぎ濡れた

省エネはどこに行った

栃木に見えた
それだけ


える「でも……」

折木「勘違いは責められないんだろう?
   ならば勘違いさせた方だって責められるいわれはないさ」

える「ですが………」


そうだ。
アイツを責めるのは筋違いだ。
なぜならあいつは俺かも知れなかったのだから。

今回千反田に非はない。
落ち度があるとすれば、

折木「お前は優しいからな」

える「優しい、ですか?」

耳元でモットーを囁いてほうたるを顔真っ赤にさせたいよ派


おそらく千反田は、人の全てを「過去」にしてしまうのが嫌なのだろう。
『氷菓』の、というよりも、関谷純の一件でもそれが垣間見えた。
こいつは自分が出会った人々を、通り過ぎてしまった人々の全てを記憶しようとしている。
記憶しようと努めている。
思いでだけでも。名前だけでも。
自分の内に留めておきたいのだろうと思う。


だがそれは時として、全てを忘れてしまうより残酷だ。

(*´Д`)えるたそ~


おそらく千反田にとってあの男は、本当に「過去の人」だったのだろう。
だが千反田はあの男を覚えていた。
全てを覚えたまま、あの男を「過去の人」にできてしまったのだ。

例えるならば、コンピュータに内臓されたHDDが容量不足になったとき、
HDDのデータを消すのではなく、外付けのHDDにデータを移し替えるようなものだ。

凡人の俺には理解しがたいが、千反田にはそれができる。


千反田は気付いていない。
人の全て記憶したまま過去にしてしまうことの残酷さに。

そのことを危惧すると、どうしても嫌な考えが頭に浮かぶ。



俺もそうなってしまうのかと。
コイツにとって、俺も過去になってしまうのかと。

折木「………………」ナデナデ

える「あ、あの、折木さん……」

折木「何だ?」ナデナデ

える「その、いつまで私の頭を……?」

折木「あぁ……すまない」サッ

える「あっ……」

折木「どうした?」

える「あ……いえ、何か考え事をされていたんですか?」

保守

耳元で折木さんの声で「殺すぞ」なんて言われたらおしっこちびるわ

考え事………まぁそう言えなくもない。

折木「そうだな………これからについて考えていた」

える「これから……ですか?」

折木「ああ。
   俺のことと………お前のことだ」

える「えっ、ええっ!!?」

千反田は風のようだと、そんなくだらないことを考えていた。
好奇心の赴くままにさすらうつむじ風。
いつの間にか俺の灰色の砂漠を吹き抜けた南風。

える(わ、私と折木さんのこれから………
   ど、どういう意味ですか!?)

(;゚ω゚)wktk

このポエマーwww


この風が凪いでしまう前に、俺はお前を捕まえられるだろうか。

える(でもそんな………第一私たちはまだ学生ですし……
   そもそも折木さんの口からそんな言葉が……)

この俺がこんなこと考えてしまう理由を、お前は見つけてくれるだろうか。

える(私、とっても気になります!!!)





俺が、お前の過去になる前に。


おしまい


このほうたるの声は野島健児

乙!
久々にほうえる見た


面白かった!

乙!ほんわかした




オマケ

入須「………千反田」

える「ああ、入須さん。こんにちは」

入須「ストーカー被害にあったそうだな」

える「えっ!ど、どこでそれを?」

入須「すまない、情報元を明かさないという条件で聞いたんだ」

える「そうですか……」

入須「千反田、危ないことはなかったか?」ガッ

える「えっ?」

入須「変なことはされなかったか……!?」クワッ

ほうこれは


入須「折木君か………」

える「はいっ!」ニコッ

入須(うっ、かわいい)

入須「そうか。それならいいが……今度からは私に相談しろ」

える「入須さんに?」

入須「ああ。私なら三日、いや二日でそいつをお前の前に引きずり出して土下座させてやる」

える「ええっ!?」

入須「脅しつけるなんて生ぬるい。もっと精神を根元からへし折って二度とヘンな気を起こさないよう徹底的に……」ブツブツ

える「あ、あの、入須さん?」

入須「うん?」


える「やっぱり、遠慮しておきます」

入須「!?
   ………何故だ?私では頼りにならないか?」

える「いえ!そうではなくてですね……?」

入須「?」




える「その……入須さんが危険な目に遭う方が、ほっぽど心配です」

入須(可愛い!!!!!)

おしまい

お疲れさま

終わりん。
今日8時起きだけどまあいいか。
じゃあの。


何やってんだはよ寝ろwww

女帝乱入!!乙~ 寝坊すんなよ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年04月09日 (土) 07:20:47   ID: GxTLTu1q

奉太郎の解決方法が割とパワープレイだった点だけ目を瞑ればすごくいい

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