アルミン「恥を捨てる」(33)

12巻までのネタバレあり

エレン「しっかし急な招集だな…一体何の用なんだろうな」

アルミン「さぁ…あ、ハンジさんが来たみたいだよ」

ハンジ「はい、静粛に!」

ハンジ「今日君達を招集したのは他でもない、カード用の撮影のためだよ!」

アルミン「か、カード…?」

ハンジ「その通り!調査兵団は今資金難に喘いでいるからね、少しでもお金がほしいんだ」

エレン(そんなに経済難なのか…大丈夫か調査兵団)

アルミン「そうでしたか…それで、どのようなカードなんですか?」

ハンジ「よくぞ聞いてくれた!SiegKrone(ジーククローネ)というトレーディングカードゲームだよ!」

アルミン「ジーククローネ…勝利の王冠、という意味ですよね」

ハンジ「ああ。特徴としては…」

ハンジ「軽快かつダイナミックなゲーム展開!一発逆転も狙えるワクワク感!」

ハンジ「勝敗を分ける心理戦!戦略と判断が迫る深みのあるゲーム進行!」

ハンジ「そして心理戦を駆使して"勝利の王冠を目指す"そんなゲームさ!」

ジャン「なかなか面白そうジャン」

リヴァイ「なんで俺までこんなことをしなくちゃいけねえんだよ」

ハンジ「リヴァイは稼ぎ頭だからさ、理解してくれよ」

リヴァイ「…チッ」

エレン(いきなり言われてもどんなポーズをすればいいのか想像つかねえよなぁ)

ミカサ(たまには可愛らしい格好をしてみたい…)

リヴァイ(面倒臭え)

アルミン(折角だから、男らしくてかっこいいポーズをとってみたいよね)

ジャン(ミカサにいいところを見せたい!)

クリスタ(どんな服装で、どんな格好をしようかな…)

ライナー(可愛いクリスタが見られるのならなんだって構わん)

ハンジ「まずは、エレン、ミカサ、リヴァイから行こう。撮影室まで案内するからついてきてよ」

エレン&ミカサ「ハッ!」

リヴァイ「…」スタスタ

アルミン(三人が戻るまで、どんなポーズを取りたいか考えてみよう)

アルミン(頭の中でイメージして…実際にそのポーズを取ってみるか)

アルミン(早速ひらめいた!)ピコーン

 ヘ(アルミン)ヘ

   |∧   
  / 

アルミン「これは格好いいよ!全力で威嚇してやるって感じがする!クリスタもそう思うだろ?」

クリスタ「うん、凄く格好いいと思う!」

アルミン「あと、これなんかもどうかな?」

   (アルミン)/
  /(  )
  / >

アルミン「この体勢でブレードを構えると…きっとリヴァイ兵士長みたいに男前になれる気がするんだ」

クリスタ「うんうん」

アルミン「あ、また閃いた!」

  \
 (/ミン)
 ( /
 / く

クリスタ「いいね!私も真似しちゃおっかな…」

アルミン「ああ、全然構わないよ!」

ジャン「なぁ…」ヒソヒソ

ジャン「クリスタはあれが本当に格好いいと思ってるのか?」ヒソヒソ

ライナー「あの様子から察するに演技ではないだろう。しかし、ほほえましい光景だな…」ニマー

ジャン「…」

ジャン(何で鼻の下を伸ばしてるんだよ、気持ち悪い奴だな…)

 ガラッ バタン

エレン「ただいま」

アルミン「おかえり!どうだった?」

エレン「自分で言うのもなんだけど…なかなかよく撮れたよ」

ミカサ「ええ。とてもよく映っていると思う」

アルミン「どれどれ…」

エレン「いいだろ?」

アルミン「わぁ…ブレードを構えるエレンも、まさに立体機動に移ろうとしているミカサもすごく様になってて格好いいよ!」

エレン「だろ?」

ミカサ「ふふ…ありがとう、アルミン」

アルミン「…そういえば、リヴァイ兵士長は?」

エレン「撮影が終わった後すぐに帰っちまった」

アルミン「はは…まああの人らしいよね」

 ガラッ

エレン「あ、ハンジさんだ」

ハンジ「次はアルミンの番だよ!」

アルミン「ぼ、僕一人でですか?」

ハンジ「そうだよ。ほら、ついておいで」スタスタ

エレン「頑張ってこいよ」

ミカサ「アルミン…そんなに緊張しなくても大丈夫」

アルミン「う、うん…行ってくる!」

アルミン「あ、あのっ!」

ハンジ「どうしたの?」

アルミン「僕、エレン達が撮影中の間に色々ポーズを考えてみたんです。もし宜しければ見ていただけませんか?」

ハンジ「時間はたっぷりあるし大丈夫だよ」

アルミン「ありがとうございます!四種類ほど御座いますので、順番にやってみますね!では…」スゥ

アルミン「行きます!」

             ヘ(アルミン)ヘ 
                |∧   
               /

                    
                (アルミン)/
               /(  )
               / >


       (アルミン) 三
       (\\ 三 シュッ
       < \ 三

 \
 (/ミン)
 ( /
 / く

アルミン「ど、どうでした?」

ハンジ「…………」

アルミン「…」ドキドキ

ハンジ「…ぶっ」

アルミン「え…?」

ハンジ「あははははははははっ!」ゲラゲラ

アルミン「な、何がおかしいんですか?」

ハンジ「ごめんごめん…余りにも面白いポーズで。君、ユーモアのセンスあるよ」

アルミン「面白い…僕は、格好いいポーズのつもりだったんですけど…」

ハンジ「…」

アルミン「……」

ハンジ「そうだ。君の魅力を最大限に引き出せるポーズを思いついたんだけど…」

アルミン(スルーされた!?)

アルミン「あ、はい…」

ハンジ「まず、こうやって足を組んで座ろうか。あ、マントは外しとこうか」ペタン

アルミン「…こんな感じですか?」ペタン

ハンジ「そうそう。次に両腕を下ろして私がやっている感じに組む」

アルミン「…」

アルミン「…あの」

ハンジ「最後に、満面の笑みを浮かべてみる」

アルミン「ちょ、ちょっと待って下さい!これって女の子がやるようなポーズですよね!?」

ハンジ「別に問題ないっしょ!まさにザ・あざといミンって感じで…グッと来るね!」

アルミン「か、かなり恥ずかしいのですが…」

ハンジ「…アルミン」

アルミン「ハッ!」ビシッ

ハンジ「…一時の恥と、調査兵団の存続…この2つを天秤にかけた場合どちらを捨てるべきか…君になら分かるはずだ」

アルミン「うっ……分かりました、僕なんかでよければやりますよ…」

ハンジ「ふふっ、エルヴィンの物真似をしてみたけど似ていたかな?まあ、これで交渉成立だね!」

アルミン「うぅう…」

ハンジ「それじゃ始めるよ!ほら、笑顔笑顔!」

アルミン「は、はい!」ニコッ

ハンジ「もっとあどけなくて幼気な感じに!」

アルミン「ハッ!」

アルミン(そうだ…この行為が調査兵団のため…ひいてはエレンやミカサのためになるのなら…恥なんて投げ捨ててしまえ!)

 ガラッ バタン

アルミン「…やっと終わったよ」

ミカサ「お疲れ様、アルミン」

エレン「大分時間かかったな、それでどうだった?」

アルミン「ハンジさんはばっちりだって言ってくれたけど…その…」

エレン「お、見せてみろよ」

アルミン「み、見ないで…!」

エレン「別に減るもんじゃないしいいだろ、どれどれ…」ペラッ


 http://i.imgur.com/wOmCq8s.jpg

エレン「……!」

エレン(オレの幼馴染がこんなに可愛いわけがない…ッ)

ミカサ「エレン、どうしたの?私も見てみよう」チラッ

ミカサ「…!」

ミカサ(これは…守らなくては…)

アルミン「ちょっと、二人ともどうしたんだ!しっかりしてくれ!」

クリスタ「私にも見せてほしいな」チラッ

クリスタ「!!!!!」

クリスタ(本人が聞くと怒るだろうけど…これは可愛い)

アルミン「クリスタまで!?」

ライナー「どうしたんだお前ら、そんなに凄いものなのか?」チラッ

ライナー「…!?」

ライナー(壁内には女神クリスタを除いて悪魔しかいないと思っていたが…まさかもう一人天使がいたとは)

ジャン「おいおい、皆大げさすぎんだろ…どうせ大したものじゃ…」チラッ

ジャン「!!!」

ジャン(…あざてぇ。あざとすぎるだろ、これは…なんで頬染めてるんだよ)

アルミン「…ねぇ、皆。大丈夫?」

アルミン(なんだこれ、なんだこれ…そんなにマズイものなのか…?)

エレン「あ、あぁ。大丈夫だ。アルミン、凄くよく撮れてると思うぞ!」

ミカサ「ええ。…これは、素晴らしい」

クリスタ「うん。アルミン、凄くかわ…格好いいよ!」

ライナー「ああ…思わず感動しまって、言葉が出なかったよ」

ジャン「…お前、やる時はやる奴だと思ってたぜ」

アルミン「そ、そう?なら良かったよ。みんないきなり硬直したから、てっきり嫌なものを見たショックによるものだと思って…」

エレン「んなわけねーだろ!な、ミカサ?」

ミカサ「ええ。皆、感動のあまり言葉に詰まってしまったのだと思う」

アルミン「そ、それはそれで…恥ずかしいな…」テレテレ

ジャン「…なぁ」ヒソヒソ

エレン「なんだよ」ヒソヒソ

ジャン「アルミンって…男でいいんだよな?」ヒソヒソ

エレン「当たり前だろ!あとそれ本人の前では絶対言うなよ?」ヒソヒソ

ジャン「そこまでアホじゃねえっての」ヒソヒソ

 ガラッ

ハンジ「おまたせ、次はライナーの番だよ!」

ライナー「ハッ!」

こうして撮影会は無事?終了し、晴れて僕達の描かれたカードが売りだされることになった。
クリスタの撮影が終わった後、また一波乱あったのだけれどそれは別のお話。
カードは飛ぶように売れ、あっという間に調査兵団の資金も潤沢なものとなった。
ハンジさんは、間違いなく僕の功績が大きかったと嬉しそうに話してくれたけれど、
あの姿が壁内中に広まったと思うとまだ少し恥ずかしい。…けれど、これで良かったんだ。
僕が恥を捨てることで、ここまでの功績を残すことができたのなら。人類のためになったのなら。
人類復興のために心臓を捧げた兵士として…これ以上の幸せはないのだから。

ライナー「…オレ、人類滅ぼすのやめるわ」

ベルトルト「はぁ?何を言い出すんだ、ライナー!」

アニ「…ついに頭がおかしくなったの?」

ライナー「いや、断じておかしくなんかない!ほら、これを見てくれ!」


 http://i.imgur.com/wOmCq8s.jpg
 http://i.imgur.com/ObnKCMf.jpg

ベルトルト「…」

アニ「…!」

ライナー「壁内にこんな天使たちがいると思うと…とてもじゃないが…」

ベルトルト「ライナー。君は変士じゃなくて戦士だろう?しっかりしろ!」

アニ「…私も、ライナーに賛同する」

ベルトルト「アニ!?」

アニ「ベルトルトはどうするの?」

ベルトルト「…アニが言うなら」

ベルトルト「僕一人だけじゃ人類を滅ぼすだなんてとても無理な話だしね……
これからは人類のために戦おう。そして生きよう。それが、僕らにできるせめてもの罪滅ぼしだから…」

あの撮影会以降、壁が壊されることはなくなった。
壁外調査も円滑に進み、とりわけライナー、ベルトルト、アニは獅子奮迅の活躍を見せてくれた。
そして最小限の犠牲でエレンの生家の地下室にも辿り着くことができた。
そこには無知性巨人に対し特攻性のあるウィルスが隠されており、この世界を蹂躙していた巨人は瞬く間に絶滅した。
壁の中に大型巨人が大量に埋まっていた気もするけれど、もう壁の中に囚われて生きる必要もなくなった今となっては関係ないことだ。

そして今、僕は―
幼いころ、夢にまで見た海を親友のエレン、ミカサと眺めている。
二人のキラキラとした笑顔を見ているとこう思うんだ。あの時、恥を捨てて良かった、と―

~完~

世界観崩壊も書くべきだっ
最初に画像を見た時の衝撃を伝えたかったんです。
最後に ア ル ミ ン は 天 使

http://siegkrone-tcg.com/news/news20131216/
http://siegkrone-tcg.com/wp/wp-content/uploads/2013/12/%E6%8F%8F%E3%81%8D%E4%B8%8B%E3%82%8D%E3%81%97%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88.png

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