やよい「そっかー、今度授業参観があるんだ」(175)

やよい「せっかくだし、事務所はお休みして学校に行こうかな」

やよい「お母さん、あのね。今度のことなんだけど……」



やよい「……あ…ううん、気にしないよ」

やよい「そうだよね」


やよい「二人とも、お仕事忙しいもんね」

長介「そうなの?父さんも来れないんだ」

やよい「ごめんね」

かすみ「…どうしておねえちゃんが謝るの?」

やよい「ホントなら私が見に行ってあげたいんだけど……」

長介「……馬鹿なこと言うなよ、姉ちゃん」

長介「参観に見に来る人がいないくらいで落ち込むような歳じゃないって。な?かすみ」

かすみ「うん。いつものことだし、平気だよ」

やよい「…………」


やよい「………二人ともあんなこと言ってたけど」

やよい「ウソついてるって、お姉ちゃん分かるんだからね」


やよい「だって寂しかったもん。私も」


やよい「友達はみんなお父さんか、お母さんか…両方来てくれる子もいたのに」

やよい「私だけいないんだもん」

やよい「いつも一緒に帰る友達も、その日は家族で帰るんだよ」

やよい「一人で帰るのは、楽しくないよね」


やよい「まだ小学生なのに、私やお父さんたちに気を使うなんて……」

スゥー…

やよい「…二人とも寝てるかな?」


長介「……スゥ…スゥ……」

かすみ「………スゥー…スゥー…」



やよい「…ごめんね。お姉ちゃん頼りなくて」

やよい「…………おやすみ」


やよい「………そうだ」


──────

P「お願いが二つ?珍しいな」

やよい「ちょっと頼みにくいかもしれないんですけど……聞いてくれますか?」

P「…ま、普段頑張ってくれてるし。いいよ、何でも言ってみろ」

やよい「はい………一つ目なんですけど…」

P「うん」

やよい「今度の金曜日、お仕事入れてもらえませんか?絶対に」

P「………」

やよい「………」

P「……ん?仕事?それだけ?」


やよい「はい。一日中すーっごく忙しいスケジュールで、お仕事組んでもらえたらなーって」

P「…なんだ。てっきり休みにして欲しいのかと思ったんだけど」

やよい「い、いえ!いや、確かにお休みは嬉しいですけど……金曜日は絶対にお仕事をしたい気分なんです」

P「………?」

やよい「…………」

P「………」ジー

やよい「……あの、えと……」

P「何か隠してないか?」

やよい「な、何もありませんよ」


P「……ま、仕事熱心なのは褒めるべきなんだろうけどさ」

やよい「じゃ、じゃあ……」

P「……そうだな、都合付けてみるよ。金曜日でいいんだな?」

やよい「はい!ありがとうございます!」

P「で、二つ目は?」


やよい「……あのですね…これは個人的なお願いなんで、ちょっとわがままかもなんですけど……」

P「いいよ。できる限りならこたえてやる」



やよい「同じ日の金曜日に………」


──────

ガラガラ……


やよい「ただいまー」

かすみ「あ。お帰り、おねえちゃん」

やよい「遅くなってごめんね。晩ごはんの用意するから」

かすみ「ううん。私がやっといた」

やよい「……え?」


かすみ「おねえちゃんにばっかり苦労させられないもんね。自分で言うのもなんだけど、上手にできたよ」

やよい「……ホントに…?」

かすみ「もう、疑ってるの?食べてみてよ、おいしいから」

やよい「違うの、そうじゃなくて……」

長介「お帰りー姉ちゃん」

やよい「た、ただいま…」


長介「ほら、みんな待ってるからさ。早く飯食おうぜ」

長介「もうお腹ペコペコだよ」

やよい「……待っててくれたの?」


かすみ「兄弟そろって、がルールでしょ?」

長介「早く!みんな待ってるぞ」

かすみ「ちゃんと手を洗ってからね?ふふっ」

やよい「………うん!」



やよい「(なぁんだ)」

やよい「(長介もかすみも、いつの間にかこんなにしっかりしするようになってたんだ)」


やよい「(……プロデューサーに頼んだこと、もしかして無駄だったのかな?)」


──────

P「………長介くんとかすみちゃんの授業参観に出てやってくれ、か」



  『お父さんとお母さんはお仕事で行けないんです』

  『二人とも気にしてないって言ってるんですけど……やっぱりだれも見に来てくれないのは、寂しいと思うんです!』



P「……やっぱり、ご両親は毎日忙しいんだろうか」

小鳥「どうしたんです?」

P「いえ……やよいに頼みごとされちゃいまして」

P「弟たちの授業参観に行ってほしいらしいんです。……なぜか、俺に」

小鳥「へぇ……」

P「…でも、もう一つあって。やよい自身はその日ずっと仕事を入れてくれって」

小鳥「? それはどういうことなんでしょう……」


P「俺ならむしろ仕事を休みにしてもらって、自分で参観に行くのがいいと思うんですが……」

小鳥「さすがに中学生が小学生の授業参観っていうのは無理があるんじゃ……やよいちゃんだって学校があるのに」

P「あ…そうですね」

小鳥「………うーん…」

P「そもそも、やよいの仕事があったらおれはそっちの付き添いに行かなきゃいけないんですよね」

小鳥「……じゃあ、こういうのはどうでしょう」

P「なんです?」

小鳥「やよいちゃんの付き添いを律子さんか社長に頼んで、プロデューサーさんは参観に行く」

P「うーん…社長も律子も忙しいだろうし、聞いてくれるかどうか…」

小鳥「もしくは、代わりに私が参観に行くというのも」

P「……なるほど。それならむしろお母さん一人ってことで違和感ないかも」

小鳥「………そ…そうですね…」


P「……ともかく、その辺はもう一度やよいと相談してみます」

小鳥「ええ。そうしてください」


ガチャ


やよい「あ。プロデューサー。音無さんもこんにちは!」

P「おう。早かったな、学校から直接来たのか?」

小鳥「こんにちは、やよいちゃん。制服かわいいわね」

やよい「えへへー、ありがとうございます」

小鳥「荷物大きくて大変でしょ?こっちに置いといたら?」

やよい「はーい」ドサッ

P「随分重そうだな」

やよい「教科書とか、一杯あるんで毎日大変ですー」

小鳥「よっ……うっわ重い!」グググ…

やよいちゃんが音無さんって呼んじゃってるので小鳥さんに訂正

SPでは音無さんって言ってたような気がするが


やよい「大丈夫ですか?だいぶ重いから無理しないほうが……」

小鳥「だいじょっ…とっとっとっ…!」グラ

P「うわ、危ないですよ!」

ドターン


小鳥「」

やよい「小鳥さん!大丈夫ですか!?」

P「あーあもう……中身ひっくり返しちゃって」

やよい「私がかばん開けてたから…ごめんなさい」

小鳥「…い、いえ…私こそごめんなさい……」

P「片付けるの手伝うよ」


小鳥「あいたたた……」

やよい「小鳥さん、しっかりしてください!」


ピラッ


P「………あれ」

やよい「どこかケガしましたか?救急箱いります?」

小鳥「わ、私は平気だから…かばんを片付けましょう」

P「この紙………」



【やよかわ中学校 授業参観日のお知らせ
              ○月△日(金)】



P「………」


やよい「私、念のために取ってきますね!」ダッ


小鳥「あぁ、やよいちゃん……本当に優しいわ……」

小鳥「もう平気なのに………プロデューサーさん?」

P「…………」

小鳥「どうかしました?その紙は……?」

P「…………」



  『弟たちが通う小学校で、金曜日に授業参観が』


  『私は金曜日、お仕事入れてください!』


  『お父さんとお母さんはいつも忙しくて』


  『参観日にずっと来られなかったから』


  『やっぱり誰も見に来てくれないのは、寂しいと思うんです!』



P「…………そういうことだったのか」


やよい「小鳥さん!取ってきました!」

小鳥「あ、ありがとうやよいちゃん。でも私は全然………」

P「やよい」

やよい「はい?なんですか?」


P「すまないが、今度の金曜…仕事入れられそうにないんだ」

やよい「……え?」


P「レッスンスタジオも、いつも使ってるところは一日埋まってる」

P「やることがないんだ」


やよい「…………」

P「だから今度の金曜は、事務所に来なくてもいいぞ」

P「学校休みがちだろ?だからそっちに行け」


やよい「あの、でも……」

P「最近だんだん忙しくなってきてるんだし、いける日にきちんと学校に行かないとな」

やよい「その……」

P「お前もみんなもアイドルである前に学生なんだ。勉強をおろそかにしちゃいけない」

やよい「……う…じゃ、じゃあ掃除やります!一日中事務所の掃除手伝います…」

P「全部小鳥さんがやる」

小鳥「えっ!?」

P「ね?」

小鳥「あの」

P「だから心配いらないよ」

P「今度の金曜は学校の日。分かった?」


やよい「…………」

やよい「………わかりました」


P「よし。今日はレッスンがあるからな」

P「学校終わってからで疲れてるかもしれないけど、頑張るんだぞ」

やよい「……はい」

P「先行っててくれ。多分亜美と真美が一緒にいるから」

やよい「分かりました」


バタン


小鳥「……やよいちゃん、どうしたんでしょう?そんなに金曜日、お仕事したかったのかしら…」

P「小鳥さん」

小鳥「…はい?」

P「今、有給申請して構いませんかね?」

小鳥「えっ?」


P「今度の金曜なんですけど。無理なら午後からだけでも」

ちょっと30分ほど離れます


──────

かすみ「おねえちゃん、おはよう」

やよい「あ、おはよう。かすみ」

長介「おはよ」

やよい「朝ごはんできてるからね」

かすみ「うん。いただきます」

長介「姉ちゃん今日は学校行くの?」

やよい「!」

長介「…?」

やよい「……うん」

かすみ「…おねえちゃんの学校もだっけ?」

やよい「………そうだよ」


長介「…ま、いいじゃん。友達はみんな『親が来てうざい』って言ってるし」

長介「オレさ、実はうらやましがられてるんだよね。気楽でいいなってさ」

やよい「………」

長介「もう!なんだよ姉ちゃん」

かすみ「私たちは平気だよ」

やよい「………ホント?」

長介「何回も言ってるじゃんかよ。気にすんなって」

やよい「…そっか!なら安心」

やよい「私は大丈夫だけど、みんな寂しかったらどうしよっかなーって心配だったんだからね」

かすみ「ふふっ。大丈夫だよ」


長介「俺たちだって寂しくなんかないよ。バカだな」

やよい「お姉ちゃんのことをバカ呼ばわりしないの」

長介「ははは」

やよい「じゃ、私ちょっと早いからそろそろ行くね」

長介「うん。行ってらっしゃい」

やよい「戸締りきちんとね!鍵はマットの下!」

かすみ「うん。いってらっしゃーい」

やよい「行ってきます!」


ガラガラ…
ピシャン


長介「………」

かすみ「………」

長介「かすみ、ウソつくなよ」

かすみ「……そっちだって」



やよい「…ウソついちゃった」

やよい「でも、プロデューサーにはちゃんとお願いしておいたし」

やよい「長介たち。びっくりするかな?…えへへ」

─────

P「おはようございます」

小鳥「おはようございます。午前中だけでも頑張ってくださいね」

P「はい」

小鳥「……それで?」

P「え?」

小鳥「授業参観に行くんですよね?誰のですか?」

P「…そりゃもちろん、やよいに頼まれた長介くんたちの……」

小鳥「そこだけですか?ホントに?」ニヤニヤ

P「………はぁ」


P「やよいが弟たちの参観に行くよう俺にお願いしておきながら」

P「どうして自分は頑なに仕事を入れたがっていたのか」

P「理由を考えるといてもたってもいられなくなって……」


小鳥「…そうですか。頑張ってくださいね」

P「…頑張ることなんて何もないですよ」

小鳥「いえいえ。小学校と中学校の行き来は大変だなぁと思って」

P「…ですね」


P「では、ちょっと外回り行ってきます」

P「昼に一度戻ってきた後、退社しますんで」

小鳥「はい。行ってらっしゃーい」

バタン


小鳥「………さて」

小鳥「今日は大変な1日になりそうねー。定時に帰れるかしら」


小鳥「……ま、あっちはそっとしておいてあげましょう」


──────

  「やよいー、お昼ご飯食べよっ」

やよい「うん」



  「はー、午後は面倒だなぁ。中学にもなって授業参観なんてだるいねー」

  「ねー。小学校の間にたくさんやったしいいじゃんね?」

やよい「そ、そうだね……」

  「あとで色々怒られるし。来ないほうが楽でいいよねー」

やよい「………」


やよい「(……これが普通なのかな?)」

やよい「(……誰も来てくれないのを気にしてる私って)」


やよい「(やっぱり子供なのかな……)」


  「やよい?どうかした?」

やよい「え?ううん、なんでもない」


やよい「(………プロデューサー)」


やよい「(せめて長介たちだけは、喜ばせてあげてくださいね)」


──────

P「あとの仕事全部小鳥さんに任せて、悪いことしちゃったな…」

P「今度食事でも誘ってあげよう」


P「……まずは長介くんのクラスから。ここだな……」

P「……どこにいる…?」


長介「…………」カキカキ


P「(お、やってるやってる。一番後ろの席か…真面目にうけてて偉いな)」

P「(もうちょっと近くに行ってやるか)」


P「すいません、ちょっと通らせてくださいね。失礼」ボソボソ


長介「…………」ボー


P「(あれ、今度はボーっとし始めたぞ)」


長介「…………」コク…コク…


P「(なんだ、眠いのか)」


長介「…………!」ハッ

長介「………」カキカキ


P「(ははは、しっかりしろよ。しょうがない、ちょっと目を覚まさせてやるか)」


P「(おーい、頑張れよ)」ボソボソ


長介「!!」クルッ

P「よ」


長介「(プロデューサーの兄ちゃん…!?何で来てんの!?)」ボソボソ

P「(前向け前)」

長介「(見に来てくれたの!?マジで!すげぇ!)」

P「(わかった、分かったから。ほら頑張って授業受けろ、見ててやるから)」

長介「……!!」コクリ


P「(なんだなんだ、すごく嬉しそうだぞ?)」


  「だから、この問題はさっき覚えた公式をこう変形して……」


長介「…………」カキカキ

P「…………」

長介「…………」チラッ

P「…………」

長介「…………」

P「…………」

長介「…………」チラッ

P「(めっちゃ気にしてる……)」


P「(長介くん。悪いけどそろそろ時間だし、かすみちゃんのところ行くよ)」

長介「(OK)」グッ

P「(またな)」


P「…………あんなに喜ぶもんなのか」

P「おれ、子供の頃参観に来てもらってあんなに喜んでたかなぁ………」

P「………ま、悪くはないかな」


P「かすみちゃんのクラスは……ここね、よし」

カラカラ……


P「(あっ、ちょうど黒板の前で答え書いてるところじゃないか!グッドタイミング)」


かすみ「えっと………ここがこうで…」カッカッ


P「(へー…難しそうなのにスラスラ解いてる…やよいよりも成績良いのかも知れないな)」


かすみ「……で、こう。先生、できました」

  「ありがとう、正解です。戻っていいわよ」

かすみ「はい」テクテク


かすみ「…!」

P「(……あ、目が合った。軽く手を振っとこう)」フリフリ


かすみ「……!」ニッコリ


P「(うわぁこれまためちゃくちゃ嬉しそう!でもそんなところで笑ったりなんかしたら……)」


  「あら、保護者の方がいらしてるんですか?どうもー」

ドッ
HAHAHAHA……


P「(先生にいじられた…!)」

P「…ど、どうもー」


HAHAHA……


かすみ「………」ニコニコ

P「(あはは……かすみちゃん、頑張ってね。見てるから)」グッ

かすみ「……」コクリ

P「(…なんとなく伝わったみたいだな)」


  「では、次の問題は……出席番号次の人」

  「前に来て解いてくれるかしら?よろしくね」


かすみ「………」カキカキ

P「(かすみちゃんも、真面目に授業受けてるな…偉い偉い)」

かすみ「……」チラッ

P「………」

かすみ「……」ニコッ

P「…あはは……」フリフリ


かすみ「………」カキカキ

P「………」

かすみ「………」チラッ

P「………」

かすみ「………」ニコッ

P「(…あぁもう、いちいち可愛いな!)」

すまぬちょっと休憩

浩3人組はどこまでが小学生だっけ?

浩太郎が低学年
浩司が幼稚園
浩三は赤ちゃんでFA?


P「(あんだけ嬉しそうにしてるの見ると、なんだか出て行きづらいな……)」

かすみ「………」チラッ

かすみ「………」ニコッ

P「……まいったな…」フリフリ


P「仕方ない。このままだと時間も…」

P「(かすみちゃん、そろそろ行くよ。またね)」


かすみ「………」フリフリ


P「………ふぅ。あとは浩太郎くんのあと、やよいのとこに急がないとな」




  「はーいみんなー!お父さんやお母さんが来てくれてうれしいのは分かるけど、お利口に授業受けてくださいっ!」


ガヤガヤ
   ガヤガヤ


P「…さすが低学年クラスはカオスだな」

P「…浩太郎くーん。どこだー……?」


浩太郎「あっ!にーちゃん!」

P「うおっ!そこにいたのか……」


  「にーちゃんってだれのー?」

  「こーたろーのだってー」

  「ほんとにー?にてないよ」


ガヤガヤ
  ガヤガヤ

P「まずいな……」


P「(こ、浩太郎くん?俺は教室の外から見てるから、静かに授業受けようね)」

浩太郎「はーい!」

P「(静かにね)」シーッ

浩太郎「(はーい)」シー


  「はい次は、歌を使って九九を覚えましょうねー」

  「「「「はーい」」」」


P「……なんとか収まったか。先生ってのは大変な仕事だ」

P「…頑張れよ。浩太郎くん…またあとでな」ダッ


浩太郎「………」フリフリ


P「中学校までは車で10分……なんとか間に合いそうだ。よかった」



  「…というわけで、ここで登場人物の気持ちを確認しておきますと…」


やよい「………はぁ…」

やよい「(……学校ってこんなにつまらないところだったっけ……)」

やよい「(………だめだめ!せっかくお休みもらったんだから、きちんと授業受けないと……)」


やよい「(……プロデューサー…皆のところにちゃんと行ってくれたかな?)」


カラカラ……
  「…すいません、失礼します…通ります…」ボソボソ



やよい「(………長介もかすみも無理しちゃって)」

やよい「(私だって小学校の頃は寂しかったんだから、同じに決まってるのに)」


やよい「…………」

やよい「(…プロデューサー…もしかしたら、頼んだら来てくれたのかな)」

やよい「(こんなお願いするの恥ずかしいけど……)」

やよい「(………見に来てくれるんなら)」


やよい「来てほしかったな……」ボソ



  「……誰に来てほしいって?」ボソ


やよい「!!??」ガタン


  「…どうした?誰だ?」

やよい「す、すいません!なんでもないです!」

  「……高槻か。大丈夫か?」

やよい「は、はい…ごめんなさい」

  「……続けるぞ」



やよい「(……あ、あの、もしかして…)」ボソボソ

P「(後ろ向くんじゃないぞ)」

やよい「(……)」コクリ


P「(…授業、頑張れよ。見てるから)」

やよい「(………! はい…!)」


やよい「(うわー!どうしよう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!)」ドキドキ


やよい「(プロデューサーが………見に来てくれた…!)」

やよい「(ダメ、顔おさえないと……にやけて……えへへ、えへへへ…)」

やよい「(あぁ、ダメだってば……!笑ってたら先生に怒られる……)」

やよい「(…うぅ、我慢できない……プロデューサー…!プロデューサー…!)」


やよい「(来てくれた……っ!!)」

やよい「(私のために……見に来てくれた……!!)」


やよい「(嬉しい……嬉しいよっ……!!)」



P「(……間に合ってよかった)」ホッ


──────

キーンコーンカーンコーン……


やよい「………授業終わったら、プロデューサーもういなくなっちゃってた」

やよい「…ま、お仕事忙しいだろうし、しょうがないよね……」

やよい「……ちゃんとお礼言っておかないと…」


ブー…ブー…


やよい「あ、メール……プロデューサーから?」


2012/07/13 16:29
From:プロデューサー
件名:お疲れ様
本文:長介くんたちを家に送るために少し早く抜けさせてもらったよ。
   よかったら俺が中学校に戻るまで少しまっててもらえないか?
   30分ほどでそっちにいけるはずだ
   面倒なら先に帰っててもいいぞ

やよい「…長介たちを家まで送ってくれてるんだ……」

やよい「でもでも、だったらどうしてわざわざこっちに戻ってくるんだろう…?」

やよい「…………」

カチカチカチ…


2012/07/13 16:34
To:プロデューサー
件名:Re:お疲れ様
本文:今日はありがとうございました。
   校門の前で待ってます。
   …早く来てくださいね


──────

P「……やよいー。やよいー」

やよい「あっ、プロデューサー……!」

P「…お待たせ。今日はお疲れさま」

やよい「はい!あの、色々ありがとうございました!」

やよい「長介たちにもよくしてもらって……それに…それに」


やよい「まさか、私も見に来てくれるなんて……とっても嬉しかったです…」

P「…そっか、よかった。でもまだだぞ」

やよい「えっ?」


P「一緒に帰るまでが参観日ってな」

やよい「……!」


やよい「……えへへ。はい!」


やよい「でも、どうして分かったんです?ウチの学校も今日が参観日だってこと」

P「たまたまお前の中学校の配布物を見つけてな」

やよい「あれ?事務所のどこかで落としたんでしょうか…」

P「…まあ、そうなんだろう」



やよい「弟たちは何て言ってました?」

P「3人とも喜んでくれてたよ。…見に来てくれたことがなかったから嬉しかったってさ」

やよい「…………」

P「…………」

やよい「……」


P「……お前が仕事を入れたがってたのは、こういうことだったのかってのもよく分かった」

やよい「……ごめんなさい…」


P「謝ることなんかじゃない」

やよい「でも、お仕事に逃げようとしたんですよ?私」

P「それでもだよ」


P「わざわざ俺に頼んでまで、長介君たちを見に行ってやってくれって言ったのは…」

P「昔自分が感じたのと同じように、寂しい思いをさせたくなかったからだろ?」

やよい「………」

P「やよいはとっても優しい子だ」


P「でも、兄弟のためとはいえ自分が我慢する必要なんてないんだぞ?」

やよい「……はい」

P「今日だって、お前の授業を見に行く時間をきちんと取れたし…全てうまく行った」


P「忙しかったけど、楽しかったよ。俺は」


P「まあやよいの家は兄弟も多いし、色々大変なことが多いだろうし」

P「これからもお姉ちゃんとして頑張らないといけないのかもしれないけどさ」

やよい「………」

P「もっと頼っていいよ」

やよい「……はい」

P「最近じゃ高槻家の代理家族役も、型にはまってきた所だしな。ははは」

やよい「……そうですね。プロデューサー、家で何かすること増えましたね」

P「うん」


やよい「…だったら、たまにはプロデューサーのこと、家族として頼ってもいいですよね」

P「もちろん。いつでもどうぞ」


やよい「じゃあ、今度また授業参観が会ったときはまた見に来てくれますか?」

P「いいに決まってるよ。でも、お父さんが無理なときだけだぞ?そのときは全員分参観してやるからな」

やよい「えへへー。楽しみにしてます!」

P「俺も楽しみだよ。またニヤついたやよいの顔が見られると思ったらな」

やよい「……えっ?えっ!?み、見てたんですか!?」

P「ちょっとだけ、いや結構じっくり」

やよい「ちょ、ちょっと待ってください!忘れてくださいぃー!」

P「無理だねー。可愛かったよ」

やよい「もー、プロデューサー…!」



長介「…なんだあれ」

かすみ「すっごく仲よさそうだね」

長介「……朝はあんなに暗い顔してたのに、兄ちゃん一人来ただけであんなに楽しそうなんだな」


長介「はーあ。心配して損した」

かすみ「よかったじゃない。それにプロデューサーさんが一緒にいると、なんだか楽しいもんね」

長介「……まあね」

長介「……晩ごはん、食べていってもらう?」

かすみ「そうしよっか」



P「ほら!もう家についたぞ!やよい!」

やよい「長介ぇー、プロデューサーがひどいんだよー……」

長介「はいはい。さあ入った入った」

かすみ「プロデューサーさんもどうぞ」

P「いいのか?…ならお邪魔するよ」

やよい「晩ごはんの準備しますねー」


長介「兄ちゃん!俺どうだった!?頑張ってただろ?」

P「おう。ちょっと眠そうにしてたけどな」

 やよい「………」トントン

かすみ「私も頑張ってたでしょ?」

P「ああ。頑張ってたよ」

 やよい「………」トントントン


P「………」

 やよい「………」トントントン


P「やよいも頑張ってたぞー!」


やよい「えっ!あ、ありがとうございます!」トントントン

P「偉かったぞー!」

やよい「あの、ありがとうございます!」トントントン


P「…さて」

P「…今日はもうしばらくここでゆっくりさせてもらうか」

P「…いい家族じゃない。高槻家」


終わり

上手い終わり方が見つからなかった

お付き合いありがとう

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