美希「星井美希の、正直眠いの。あはっ!」(73)

美希「あふぅ…雨上がりの晴れの日って、なんだか眠くなるよね~。ミキだよー」

美希「雨の日は雨の日で何もしたくなくなるし、くもりの日もなんだか億劫になるの」

美希「だから、ミキ的にはやっぱり晴れの日が続くのが一番だって思うな!」

美希「ひなたぼっことか~、ウインドウショッピングとか~……」

美希「晴れの日ならなんでも出来ちゃうってカンジ!」

美希「……うん、6月に言ってもムダなのはわかってるけど、どうしても言いたかったの……」

美希「それじゃあ、VTR…HAPPYになろうなのー!」

美希「はーい。スタジオのミキから現場のミキにバトンを受け取ったのー!」

美希「今回はねー、ブーブーエスの前で待ち合わせなの!」

美希「かなり忙しい人なんだけど、どうしても今回のゲストにってミキがネツボーしたの!」

美希「ちょうど終わった頃だと思うけど、まだかなー?」

美希「んー…おにぎりでも食べて待ってよっと♪」

美希「もぐもぐ……あっ!ちょうど来たみたいだね!それじゃあ、今回のゲストは~……」

律子「こぉら美希!テレビ局の前で飲食なんて行儀悪いわよ!」

美希「はーい!今回のゲスト、律子……」

律子「美希ぃ~?」

美希「……さんなのー!」

律子「はいよろしい。みなさんこんばんは!竜宮小町のプロデューサーの秋月律子です!」

美希「律子、さんはね…ちょっと口うるさいけど、ミキの先生みたいな人なの!」

律子「口うるさいだけ余計よ!はぁ…私、アイドルじゃないのに……」

美希「あれぇ~?じゃああのライブの後からたまにステージに立ってるのは、いったいどこの誰なの~?」

律子「あ、あれはその……大人の事情よ!」

美希「大人って汚いの……」

律子「それより美希。どうして今回は私なのかしら?他にゲストに来てない子もいるはずだけど」

美希「それはあとのお楽しみなの!ってことで、デートプランの発表だよ!」

美希「律子、さん。この間事務所のパソコンの調子がおかしいって言ってたよね?」

律子「そうなのよ。今度のライブののセットリストを打ち込んでた時にフリーズしちゃってね……」

美希「ってことで、新しいパソコンを見に行くのはどうかな?」

律子「それは私としてもありがたいけど……予算は?」

美希「もちろん番組が負担……するわけないの」

律子「はぁ…低予算番組にそういうのを求めた私がバカだったわ……」

美希「さっそく電気街に来てみたのー!ミキはあんまりこういうところ来ないから、なんだか新鮮ってカンジ!」

律子「そう?なかなか見るところがあって面白いわよ?」

美希「律子、さん。なにかいいのある?」

律子「あそこにサンプルがあるわね。触ってみたらどう?」

美希「うん!あ、これゲームなの……あれ?全然横とか動けないよ?」

律子「あー…バイオハザードね。ラジコン操作だから初心者には難しいかも……」

美希「ダメ!こんなの面白くないの!」

律子「慣れたら面白いんだけどね」

美希「ミキ、トランプのゲームがいいなー。あのトランプが飛び回るやつ!」

律子「ソリティアかしら?」

美希「多分それかな?小鳥が仕事中によくやってるの!」

律子「へ~……いいこと聞いたわ。ありがとう、美希」

美希「どういたしましてなのー!…あれ?ミキ、お礼言われるようなことしたっけ?」

律子「ええ、最高の知らせだわ♪」

美希「律子さん……なんだか怖いの……」

美希「ねぇ律子、さん」

律子「ん?どうかした?」

美希「コンピュータが危険に…って書いてるよ?これってお店の人に言わなくても大丈夫なの?」

律子「あ~…このメッセージって、いつ見ても印象悪いのよね…。大丈夫よ、ただセキュリティソフトを入れてないだけだから」

美希「セキュリティ…?ミキにはよくわかんないの……」

律子「そうね…わかりやすくウチの事務所に例えると、深夜でも鍵が開けっ放しのようなものかしら」

美希「えぇっ!?それって大変なの!ドロボーさんが入っちゃうよ!!」

律子「そうね。だからパソコンを買う時は必ず必要なものなのよ」

美希「お、恐ろしいの……大変なの……パソコン怖いの……」ブルブル

律子「そこまで怖がる必要は無いと思うけど……ああ、それより新しいの見なきゃね」

美希「み、ミキも手伝うの!あんまり役に立てないかもしれないけど……」

律子「ふふ…それじゃあ一緒に選んでもらえるかしら、リアル眠り姫さん?」

美希「ミキは千早さんの持ち歌じゃないの……あ、これなんてどうかな?丸っぽくてかわいいの!」

律子「macかあ…悪くないけど、私はWindowsの方が好きなのよねぇ」

美希「そ、そうなの?それじゃあこれは?」

律子「それ、最新ネットゲーム用のモンスターマシンじゃない!
   こんなの買っちゃったら、ますます小鳥さんが仕事しなくなるわ!」

美希「そ、そう…なの……」

美希「えっとね…じゃあこれは?安くていいカンジだよ?」

律子「これは安いけど…ああやっぱり…決まったプロバイダと契約しなきゃいけないやつだわ。ウチはもうネット環境契約済みだから…」

美希「むーっ…全部いけないのばっかりで面白くないの!」

律子「えっ?」

美希「律子、さん…そんなにミキのこと嫌い?ミキは役に立ちたいだけなのに……」

律子「ご、ごめんなさい…そんなつもりじゃ……」

美希「……なーんて、冗談なの!」

律子「……は?」

美希「ミキだってそういう区別ぐらい付くよ?パソコンは高いんだし、慎重に選ばなきゃだよね!」

律子「美希…あなた……」

美希「ほら、選んじゃお?律子の好きなのでいいの!」

律子「こらこら、さんを付けなさい」

美希「あ!ご、ごめんなさいなの!」

律子「よろしい。じゃあこのパソコンにしようかしらね」

美希「えっ?これはさっき小鳥が遊んじゃうからダメって……」

律子「遊ばせなきゃいいの!せっかく美希が選んでくれたやつだし、ちょっと奮発しちゃうわよ~♪」

美希「あはっ!なんだか嬉しいの!」

律子「ふふっ…すいませーん、これをお願いできますか?」

美希「最新型だから、みんなびっくりしちゃうねー」

律子「そうね…あ、領収書をお願いします。765プロダクションで!」

美希「社長…大丈夫かな?」

律子「文句は言わせないわよ。財布を握ってるのは実質私だからね…ふふふ……」

美希「じゃあ財布を握ってる律子、さん。あっちのお店でドーナツ買ってほしいな~♪」

律子「はいはい、あとでね!」

美希「うーん…ドーナツ最高なの~♪」

律子「美希のはいちご味ね。私、いつもポンデリングを選んじゃうのよね」

美希「ねぇ、それっておいしい?ミキ食べたことないの!」

律子「ええ、これは私のオススメよ!」

美希「へぇ~……」チラッ

美希「ね、食べてもいい?ミキのも食べていいから」スッ

律子「ええ…ってなにこれ!?こ、これじゃ恋人同士が食べさせあってるみたいな状況じゃない!」

美希「気にしない気にしない♪ほら、食べよ?」

律子「し、仕方ないわねー……あーん……」パクッ

美希「……あはっ☆」パクッ

パシャッ

律子「あっ!?ちょっ…ちょっとカメラさん!何してるんですか!?」

美希「大成功なのー!」

律子「な、なに?どういうこと?」

美希「さっき密かにお題が出てたの!『ドーナツを食べさせあってる一枚が欲しい』って!」

律子「ああ…や、やられたわ……まるでスキャンダルを撮られたような気分……」

美希「気を取り直して、次のところにレッツゴーなのー!」

律子「もう…次はどこに行くの?」

美希「律子、さんって本読むの好きだよね?」

律子「そうねぇ…漫画も結構好きだけど、小説を読んだりビジネス書を読んだりすることが多いかしら」

美希「だからちょっと行ってみようよ!ミキもなにか探したいなって思うな!」

律子「そうしましょうか。最近は仕事が忙しくてご無沙汰だったからいい機会だわ!」

律子「あ!ミント・アドネードの新作の日本語訳版が出てる!気付かないなんて盲点だわ……」

美希「それ、外国の小説?律子、さんってそんなの読むんだ?」

律子「ええ。海外の原本は持ってるんだけど」

美希「ってことは…英語!?」

律子「そうよ。英語の勉強にもなるし、日本語版との違いが楽しめたりするのよね~」

美希「ま…マニアックだね……。ミキなら英語見ただけで即あふぅなの……」

律子「あなたはもう少し耐性付けなさい!」

美希「ところで、それってどういうお話なの?」

律子「……笑わないで聞いてくれる?」

美希「うん!ミキは笑ったりしないよ?」

律子「…恋愛小説……」

美希「えっ?」

律子「恋愛小説なのよ、これ……」

美希「あはっ!なんか意外だね~。律子にそういう趣味があるなんて知らなかったの!」

律子「はぁ…あんまり言いたくなかったのになあ……」


美希「別におかしくないと思うよ?女の子なら恋愛に憧れるのはトーゼンなの!」

律子「美希の場合、そういう傾向がちょっと強すぎると思うけどね」

美希「それほどでもないの~♪」

律子「褒めてないから!」

美希「あ、それよりさっきも聞いたけど、その小説ってどういうお話なの?」

律子「そうねえ…恋愛小説って言ってもこの作品はファンタジーがベースで
   少年剣士の住む村が、謎の騎士団に襲撃されて壊滅ところから始まるんだけど……」

美希「い…いきなりヘビーなお話だったの……」

律子「その後ヒロインとの出逢いがあって、親友を救うために時を越えたりまあいろいろあるのよ」

美希「ふーん…あんまり恋愛要素とかなかったりするのかな?」

律子「直接的な描写は少なめだけど、この作者はヒロインの心理を表す描写がとても繊細で綺麗なの」

美希「ミキでも楽しめるかな?」

律子「あ、でも戦争の描写とかも結構リアルよ?」

美希「ぅ…そういうのはちょっと苦手かもなの……」

律子「ま、とにかく私はこれを買うわ。原本と違うところが楽しみねぇ~♪」

美希「んー…ミキもなにか買おうかなー」

律子「あら、ここのコーナーで探すの?」

美希「うーん……あっ!これなんかいいかも!このワンちゃんかわいいよね?」

律子「『名犬ラピード』…それ絵本よ?」

美希「絵本って、見てるだけでも癒される感じがするよね?」

律子「なるほど…ちょっとわかるかも。独特の色使いとか素敵よねぇ」

律子「美希ってそういう感性はすごいのよね…何か活かせそうな仕事はないかしら……」

美希「むーっ!今はデート中だから、仕事の話はダメなの!」

律子「はいはい、わかったわよ」

美希「律子、さん。はいは一回だよ?」

律子「……美希にそれを言われる日が来るなんて……」ズーン

美希「あはっ!してやったりなの☆」

律子「さて、本も買ったし、次はどこに行くの?」

美希「んーっと…アクセサリーが見たいなあ。律子、さんは結構いいセンスしてるから、お仕事でも使えそうなのを一緒に見てほしいの!」

律子「あら、ますます磨きをかけるわけね?ならそのお手伝いをさせてもらおうかしら」

美希「でも仕事の話ばっかりしちゃやだよ?すぐにそういう話しちゃうんだから!」

律子「う…ぜ、善処するわ……」

美希「ホントかな~?」

律子「ほ、本当よ!……多分」

美希「着いたのー!」

律子「へ~…結構いろいろあるのね。ステージに映えそうなのもいくつか……」

美希「でしょっ?ミキもたまに来るお店なの!新しいのあるかな~♪」

律子「本当に種類多いわね……。あ、このネックレスなんてどう?」

美希「うーん…ちょっと違わない?ミキ的には、もっとこうキラキラしててかわいいのがいいの!」

律子「キュートなアクセサリーね……うん、こっちはどうかしら?」

美希「あはっ!いいカンジなの!やっぱり律子はセンスいいね!」

律子「だからさんを付けなさいってば!」

美希「それじゃあミキはこれを……あ、律子、さんはどうするの?」

律子「そうね…この指輪とか、なかなかいいデザインだと思うけど……」

美希「じゃあ買っちゃえばいいの!こういうのは…えっと……イチゴイチエだって貴音が言ってたよ?」

律子「……いえ、いいわ」

美希「へ?なんで?」

律子「事務所の経費でパソコン買っちゃったしね。それなのに私が贅沢するのは示しがつかないわよ」

美希「えぇ~…似合うと思うのになあ……」


美希「それじゃあ買ってくるの!律子、さん。すぐ終わるから外で待っててくれる?」

律子「ええ、そうさせてもらうわ」


美希「ふっふっふ…甘いの律子!ミキは諦めないんだから!」

美希「店員さーん、こっちのネックレスと……」

美希「お待たせなのー♪それじゃあ行こっか!」

律子「そうね。次はどこに……」

ピピピピピッ

律子「……あら?時間切れかしら?」

美希「えーっ!?これからだったのに、そんなのってないの!」

律子「え?どこに行くつもりだったのよ?」

美希「んーっと…とりあえず座れる場所探そう?律子、さんもスタッフさんも、悪いけどもうちょっとだけ付き合ってね!」

律子「…?別に構わないけど……」

律子「それで…何をするつもりなの?」

美希「えっとね……」ガサゴソ

美希「ミキのネックレスー!!…じゃなくて……」

律子「ちょっと、本当にどうしたの?」

美希「出てきたっ!はい、律子さん!」

律子「え?これは……さっきの指輪!?」

美希「ちょっと早いけど、誕生日おめでとうなのー!!」

律子「えっ?えっ…?」

美希「すっかり忘れちゃってた?これがオンエアされるのって、律子の誕生日なんだよ?」

律子「美希…もしかして、今回私をゲストに呼んだのは……」

美希「んー…まあそういうことなの!忙しいのにごめんね?」

律子「…やめてよ……」

美希「へっ?」

律子「こういうの…本当にやめてよ……」

美希「も、もしかしてイヤだったの?ごめんなさいなの……」

律子「ち、違うの!こういうの……泣いちゃうから…やめてって……」グスッ

美希「あ、あれ…?ミキの予定だと、ちょっと照れて怒りながら受け取ってもらうつもりだったのに……」

律子「…はぁ…ダメね、最近涙腺が弱くなっちゃったわ……」

美希「え、えっとお……」

律子「美希、ありがとう。本当にありがとう!大事にするわ!」

美希「……うんっ!!」

【スタジオ】


美希「えっ?今のでVTR終わり!?こんな編集聞いてないの!!」

美希「お世話になってる人に当たり前のことをしただけなのに、なんだかいい話みたいになっちゃったの……」

美希「でも、ミキもびっくりだったなあ…。まさか律子が泣いちゃうなんて……」

美希「ミキ、律子のことはよく知ってるつもりだったから、意外過ぎてびっくりしちゃったの!」

美希「そ、それよりもメールだね!うん!」

From:律子      さん
Subject:ライブの準備はばっちりかしら?

この間はありがとう。不思議と癒された感じがするわ
最近は仕事ばかりで働き詰めだったから特に…ね

指輪の件も本当にありがとうね。あれからずっと大事にしてる
指輪は男の人から貰った方が嬉しいって言うけれど、細かいこと言いっこなしよね?

まあ、しばらくはお互い仕事が恋人状態ね。ふふっ♪
美希は現役のアイドルなんだから、そういうのは気を付けなさいよ?

それじゃあ、また事務所で


PS.私がいないからってさん付けしてなかったら、差し入れのおにぎりを一個減らすから覚悟しなさい!

美希「そんなのってないの!!おにぎりがないとミキ死んじゃうの!!」

美希「ああ…どうしよう……ってそうだ!ライブ!!」

美希「えっとね、今日6月23日は、律子…さんの誕生日兼、765プロの記念ライブの日なの!」

美希「当たり前だけど、ミキも出るから応援してね!来てくれる人は今日また後で会場でねっ♪」

美希「それと…もちろん律子、さんも出るの!衣装合わせの時もすっごくノリノリだったってカンジ!」

美希「これは番組に見てくれてるみんなだけのヒミツだよ?」

美希「それじゃあ、いつもどおりのプレゼントコーナーなの!」

美希「今回はミキと律子、さんがドーナツを食べさせあってる写真と……」

美希「恒例だけど『生っすかSPECIAL 01』を、抽選で5名様にプレゼントなの!」

美希「でも、毎週プレゼントなんてして売り上げは大丈夫なのかな?まあきっと平気だよね!」

美希「はがきに住所氏名電話番号と律子、さんのメガネを好きか嫌いか書いて、ご覧のあて先に送ってね♪」

【東京都大田区矢口2丁目1番765号 たるき亭ビル 3F 私書箱821号 正直眠いの係】

美希「あふぅ…ライブが近いのに眠気が抜けないの……」

美希「これは寝溜めしなきゃだよね?そうなの。そうに違いないの」

美希「寝る子は育つって言うし、ミキも次に起きたらきっとサイヤ人みたいにすごいパワーアップをしてるに違いないって思うな!」

美希「それじゃあミキは寝るね……あふぅ。また次回なのー」

美希「あ、そうそう…最後に……みんなもわかるよね?せーの……」

美希「律子さん!誕生日おめでとうなのーっ!!」




おわり☆

終わりなの、あふぅ。こんな夜中までお付き合いくださりありがとうございました
律っちゃんの誕生日をすっかり忘れてたから焦った。稚拙だけどこんなもんで許してください

ライブ参加組の人、楽しんできてくださいね

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