エレン「ミカサ!父さん達の部屋探検しようぜ!」(35)

完結してるので、一気に投下します。

短いです。

時間軸的には、ミカサがイェーガー家に引き取られて少したった頃と思ってください。

「なんだよー本ばっかりじゃねえか」

「エレン、おじさんとおばさんに怒られる」

「うるせえな、告げ口するなよミカサ」

「…」

「何だよ母さんの言うことばっかり聞いて…あっ」

「何?」

「何だ母さんの化粧箱か」

「これは何?」

「は?…よく分かんねえけど、ほっぺたにつける粉だろ。母さんがいつもやってる」

「これは?」

「それは顔用の鉛筆だろ」

「鉛筆で何を書くの?」

「さぁ…あっ口紅だ!ミカサつけてみろよ」

「だめ。おばさんに怒られる」

「何だよ、つまんねえな」


「こっちは本ばっかりだなーアルミン連れてくれば良かった」

「…(化粧道具を片づけている)」

「何だこれ、薬箱か」

「…」

「あっ、これ舐めると喉が痛いの治るんだぞ!甘くておいしいんだ。ミカサいるか?」

「いい。今喉いたくない」

「何だようまいのに」

「うわ!これすげぇぞミカサ!心臓の絵だ」

「…(エレンが出した薬を戻してる)」

「?この青い所は血が青いのか?」

「知らない」

「何で怒ってんだよお前」

「エレンが出した物を戻さないから」

「…後で片づけるんだよ。それより椅子持ってきてくれ」

「何で」

「棚の上になんかあるだろ?あれ見てみようぜ」

「もうおばさん達が帰ってくる」

「だからアレだけ見て終わりにするんだって、早くしろよ」

「くそ、届かねえな…ミカサ、他に台になるものないのか」

「……ない」

「くっそ、おいミカサ、背中にのれ」

「え?」

「俺がお前を担ぐからお前が取るんだよ」

「…分かった」

「ふぐぐぐぐ」

「エレン、届かない」

「ちゃんと手伸ばせよ」

「伸ばしてる。エレンやっぱり私が下になった方が…あっ」

「うわっ!…急に動くなよ危ないだろ!」

「エレンこれは何?」

「は?ただの肖像画だろ」

「凄い…おじさんとおばさん、本物みたい」

「そんなもんいいから早くアレとれよ」

「絵じゃないみたい」

「おい早く…」

「エレンのもある」

「おいミカサ早く…早く!!早く降りろ!!」

「エレン、ミカサ、父さん達の部屋で遊んでいいと教えたかい」

「こら!エレン!またミカサに悪いこと教えて!!ミカサも早く降りなさい!」

「お、おじさん、おばさん…ごめんなさい」

「…お前が早く降りないから見つかっちゃっただろ」

「こらエレン!」
「いてっ」

「エレン、見たいものがあるのなら父さんに言いなさい。隠れて人の物を触るのは良くないだろう」

「……はい」

「ミカサもエレンの言うことばかり聞かないで、悪いことをしてたらちゃんと止めるんだ」

「……はい」

「……(とめたのに)」

「さぁ夕飯にしよう。今日は鴨肉を買って来たんだぞ」

「えっ鴨肉!」

「エレン、今度したら承知しないからね!」

××××××××××××××××××

「おーいアルミン!遊びに来たぞ」

「いらっしゃいエレン、ミカサ」
「おじゃまします」

「なぁアルミンの家には心臓の絵の本ないのか」

「あるけど、どうして?」

「この前父さんの本見たとき、赤いところと青いところがあったんだよ。心臓って半分青いのか?」

「えっとそれは、動脈と静脈をわかり易くしてるんだと思うけど」
「僕なんかよりおじさんに聞いた方が早いよ」

「父さんまた内地に出張なんだよ」

「そっか。ちょっと待っててよ。本探してくるから…ミカサ?」

「どうしたのキョロキョロして。ミカサも読みたい本があるの」

「アルミンの家にもあるの?」

「?何が?」

「肖像画」

「?たしかお父さんとお母さんが結婚したときのがあるけど…肖像画が見たいの?だったら持ってきていいか聞いてくるよ」

×××××××××××××××

「はいミカサ。絵のところには触らないでって」

「…凄い。アルミンのお父さんとお母さんにそっくり」

「そうか?目の色が違う気がするぞ」

「お母さんの目は光の加減で色味が変わるから、絵にするのは難しいんだって言ってたよ」

「絵?これも絵なの?」

「うん。厳密に言うと肖像画は本物に近づけてかいてるから僕らの描く絵とは違うんだけどね」

「?これは誰が描いたの」

「…?さぁ、でも肖像画を描くことを仕事にしている人がいるんだよ。お金を払って描いてもらうんだ」

「お金…」

「なぁアルミン、早く心臓の本見せてくれよ」

「分かったよエレン。ミカサ、見終わったらお母さんに渡しておいて」

「私も、ほしい」

「え?」

「アルミン、肖像画を描く人はどこにいるの?お金は少しならある」

「え?えっと、それはおばさんに聞いた方がいいよ。それにミカサのお小遣いだけじゃ足りないと思うけど」

「ミカサ、あんなの何時間も座ってないといけないんだぞ。やめとけよ」

「違う。私もお母さんとお父さんの肖像画がほしいから、頼みたいの」

「…」

「…ミカサ、それは無理だよ」

「どうして?」

「…肖像画は、目の前にある人を描くものなんだ。だから…」

「…そう」

「ごめんね…ミカサ」

「アルミンが謝ることじゃない」

「…なぁアルミン、いつもの丘行こうぜ。もう花が咲いてるだろ」

「え、う、うん。エレン、本はもういいの?」

「別にそんなに気になってたわけじゃねえよ。ほら、ミカサも早くそれ戻してこい」

「それならいいけど…ミカサはまだ行ったことないよね?凄く甘い蜜が出る花があるんだよ」

「まだ咲いてるか分かんねえけどな」

「… うん。分かった」

すみません。

11は間違いです。

「…なぁアルミン、いつもの丘行こうぜ。もう花が咲いてるだろ」

「え、う、うん。エレン、本はもういいの?」

「別にそんなに気になってたわけじゃねえよ。ほら、ミカサも早くそれ戻してこい」

「それならいいけど…ミカサはまだ行ったことないよね?凄く甘い蜜が出る花があるんだよ」

「…ううん。私はいい。アルミン、ありがとう」

「おいお前、」

「お邪魔しました」

「…」
「…」

「エレン、一緒に帰らなくていいの?」

「あいつ、人がせっかく」

「元気づけようとしたのにね」

「…」

(ミカサのやつ、もう帰ってるのかな)

「た…」

(母さんとミカサ、何話してるんだ?)

(ミカサ、泣いてるのか?)

「ミカサ」

「絵描きに肖像画を頼むことは出来るけど、ミカサのお母さん達を描いてもらうことは出来ないんだよ。その場にいない人を描くのは難しいからねぇ」

「おばさん、お母さんの顔が思い出せないの」

「…どんどん思い出せなくなるの。声も顔も、ちゃんと思い出そうとすると分からなくなる。このままだとお父さんとお母さんが、頭の中から消えてしまう。おばさん、どうしたらいいの」

「大丈夫だよミカサ。ちゃんと優しくしてくれたことも怒られたことも覚えてるだろ?」

「おばさん、怖い」

「怖くないよ。ほら、おいで。エレンには内緒だけど美味しいお菓子があるから」




(………)

××××××××××××××××

「ミカサ、今呼びに行こうと思ってたんだよ」

「アルミン、エレンはもう門限を過ぎてる。おばさんが怒ってた」

「うん…そうだね。早く中に入ってよ」

「エレンを呼んできてアルミン」

「いいから入ってよミカサ」

「?アルミン?」

「エレンがね、ミカサのお母さんが9歳の時の絵を描いてくれるんだって」

「…そんなこと、出来ない」

「いいからそこに座れよ」

「エレン、おばさんが心配していた。もう遊びは終わり」

「遊びじゃないから、じっとしてろ」

「ミカサ、じっとしててあげて」

「……」

「………エレン、もういい?」

「まだ」

「エレン、筆を逆さまにして何してるの?」

「長さ測ってるんだよ」

「エレン、背中が疲れた」

「もうちょっとだから、じっとしてろ」

「エレン…」

「ちょっと黙ってろミカサ。アルミン、ミカサの口の色がない!」

「この色を水で薄めたらいいんじゃないかな」

「本当だ!しかしお前口が小さいな!描きにくい!」

「………」



「よし!出来たぞ!ほら見ろミカサ」

「……?これは私の肖像画。お母さんのじゃ、ない」

「何だよ、父さんが言ってたぞ。ミカサはお母さんにそっくりだって」

「ミカサ、エレンがこれから毎年ミカサの肖像画を描くんだって」

「……」

「……そしたら、お前が大人になったときはお前の母さんの絵になるだろ」

「ミカサ、さっきお母さん達に頼んできたんだ。今度僕たち3人の肖像画を描いてもらおうよ」

「…うん」

「何だよお前!もっと喜べよ!何で泣くんだよ」

「…エレン、でも……」

「何だよ」

「この絵、全然私に似ていない」

「エレン、今度ミカサに鏡をプレゼントしようよ」
「何だよアルミン、お前まで俺の絵を馬鹿にするのか」
「ち、違うよ」
「…そうだな、小さいやつにしよう。持って歩けるやつ」

いつでもお母さんに会えるように。

終わりです。

丘の上のターンは、無くても支障がないので省いたら間違って投稿してしまいました。すみません。

皆ええ子や

すみません。
1ですが、他のssを真似て会話文だけのものに挑戦してみましたが
今他のss見てきたところ、キャラ名を台詞前につけるのを失念してました。
誰が何を言ってるのか分かり辛いと思います。申し訳ないです。

そういえばそうだが全く気付かなかった
自分は読みやすかったよ

キャラ名書いてないのが逆に昔の思い出みたいな雰囲気で良かった

面白かったよ

よかった

ほっこりする

よかった

てっきりエロ本を探す話だと思ったが違った
良い話だった


いい話だった…
名前がなくても誰が喋ってるのかは案外わかったぞ


3人組は口調で誰かはだいたいわかる


ええ話や

名前無くても口調でわかるから大丈夫だ

泣いた
良い話をありがとう乙乙

人が死ぬ時は人に忘れられた時、ってどっかのやぶ医者の言葉を思い出して泣いた

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