カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」 (461)

始業式

中島「いよいよ5年生だな、磯野!」

カツオ「う、うん……」

中島「どうした磯野?」

カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」

中島「はぁ?何言ってるんだ磯野
昨日まで冬休みがあって、今日の始業式で進級したんだ
僕達が昨日も5年生なわけないじゃないか」

カツオ「そうだよな……(でも何だろう……この違和感……)」

下校後

カツオ「ただいまー」

サザエ「お、お帰りカツオ」

カツオ「ん?何かあったの?」

サザエ「べ、別に何もないわよ
それよりケーキがあるから食べなさい(動揺して思わずケーキを買ってしまったわ)」

カツオ「(姉さんが何もない日にケーキを……?これは怪しいぞ
僕に話せないことなら、夜僕達が寝る時間の後に分かるかもしれない
今までも僕達が寝てる間にこっそりおやつを食べたりしてたからね
あれ?今まで……?)」



カツオ「(やっぱり居間で何か話し合ってるよ
聞き耳を立てよう)」

サザエ「ほ、本当なのかしら……」

波平「ああ……ワシも信じられないが、これは間違いなくワシの字だ」

フネ「私もそう思います
無駄にしないためにも、引き継ぐしかないですよ」

マスオ「しかし驚きましたよねー
まさかループしてたなんて」

カツオ「(ループ……!?)」ガタッ

中島「なぁカツオ、俺たち5年目じゃなかったか?」

カツオ「う、うん…」

サザエ「ん!?ちょっと待って!」

ガラッ

サザエ「カツオ!あんたとっくに寝てる時間じゃないの!」

カツオ「と、トイレだよ!」

波平「子供がこんな時間に起きるなんてけしからん!
とっとと寝なさい!」

カツオ「はーい!」

カツオ「(帰ってきたときの姉さんの様子はこのことだったのか!
朝起きたとき父さん達に不可解な所はなかった
恐らく、僕が感じた違和感から、ループの始めは今日で、姉さんが掃除でもしてた時にたまたまループに関するものを手に入れて、動揺していた所に僕が帰ってきたんだな
そして夜、父さん達に相談したんだ
それにしても“引き継ぐ”という言葉……
もしかして父さん達が首謀者なのか?
だとすれば今回の件、父さん達には相談出来ないぞ
となれば、父さん達と密接な関わりを持っておらず、更にループに気づいてそうな人を頼りにするしかない
中島の様子から考えて、ループに気づいていない、もしくは関連者の中島には期待できない
カオリちゃん達はかよわいから巻き込むわけにはいかない
花沢さんは……いいや
だとしたら……あの人だ!)」

後日

甚六「どうしたんだいカツオくん
勉強の相談かい?」

カツオ「やだな、甚六さん
僕はあまり自分から勉強しないじゃないか」

甚六「あはははは!その通りだ
それで、何の相談なんだい?」

カツオ「ひょっとしたら甚六さんは気づいてるかもしれないと思って、相談に来たんだ」

甚六「……何のこと?」

カツオ「僕がこの件と密接することに畏怖の念を抱いているなら離してもらっていいよ、甚六さん
甚六さんは気づいてる?
この世界が、ループしているということに」

甚六「……さすがだねカツオくん」

カツオ「やっぱり気づいてたんだね……甚六さんも」

甚六「ああ、何となくね
僕は恐らくカツオくんと同じようにループしているという確かな証拠の記憶を持ち合わせていない
それでも分かるんだ
僕が持っているこの参考書群……まだやり始めていないものすらスラスラ解くことが出来る
体が覚えてるんだ
最初は悩んださ、どうして僕はこんな難しい参考書さえも楽に解いてしまうのかって
それで解決する為に立てた一つの仮説が……」

甚六「僕は、既に浪人ではなくて、ループという名の無限牢獄に閉じ込められた“牢人”だった」

甚六「というものさ
もちろん突拍子が無さすぎて半信半疑だったけどね
だから、まだ小学生のカツオくんがこの世界の不可解な法に深入りしていいのかと考えると同時に、僕はこの仮説を確信へと変えてくれたカツオくんの鋭さに感謝してるんだ」

カツオ「買い被らないでよ甚六さん
僕がループに確信を持ったのは、父さん達の会話を盗み聞きしたからなんだ」

甚六「父さんだって?」

カツオ「うん、父さん達はループについて記憶を失っていた
でも、姉さんが何か父さんが書いたものを発見して、気付いたみたいだった
それに、母さんはその何かを見て『引き継ぐしかない』と言ってたんだよ」

甚六「なるほど、それで家族には相談しづらくなったんだね」

カツオ「ワカメやタラちゃんは巻き込めない
だからもしやと思って甚六さんに相談したんだけど、相談して良かったよ」

甚六「僕もカツオくんには感謝しなくてはならないからね、カツオくんが困ったときは助けになるよ
僕はもう入試の心配をする必要がないから」

カツオ「ありがとう、甚六さん!」

バブー「はーいちゃーんばぶー(明日、ワルプルギスの夜が、来る)」

タマ「ニャーン(おそらく今回も勝てないだろうね)」

甚六「それで、カツオくんは今後どうするんだい?」

カツオ「もう家族は信用出来ない、盗み聞きしていたことも気付かれたしね
ただ、他の人の家に泊めてもらうわけにはいかないからね
気をつけながら内情を探ってみるよ」

甚六「そうか……
それなら僕は僕の方で様々な人物にコンタクトを取ってみるよ
気付かれてしまったカツオくんには誰が裏切りを持って接するか分からないからね
もしかしたら僕達に味方してくれる勢力もいるかもしれないし」

カツオ「何から何までありがとう甚六さん」

カツオの盗み聞きが気付かれた後

サザエ『まずいわ……よりによってカツオに聞かれるなんて』

マスオ『そうだね
カツオくんは勘がいいから既にこの世界がループしていることに気付いてるかも知れないよ』

波平『なーに、まだ気付いているとは限らん
ループが始まってからまだ初日だしな
それにカツオはワシの息子だ
きっとループ前から続くワシ達の思想も理解してくれるよ』

フネ『そうですね』

サザエ『でももしカツオが私達の計画……“アレフ2プロジェクト”を否定したら……』

波平『その時は……消すしかないだろう
“奴ら”と繋がる前にな』

後日、平日

カツオ「(姉さんは何かを発見したようだった
その何かを見つけられれば……)」

カツオ「ただいまー!」

サザエ「お帰りカツオ(この前探った時はカツオは気付いていない様子だった……
でも私には分かるわ……あの様子のカツオは多分気付いている
ループを通して何回もカツオを見てきたんだから
このままなら良いけど……もし私達の秘密に触れようものなら、カツオも巻き込まなくてはならないわね、良い意味でも悪い意味でも
私の勘が間違っているということを信じて仕掛けさせてもらうわ、カツオ)
これから母さんと買い物に行ってくるから、一人でお留守番しててくれない?
父さん達は仕事、ワカメはまだ帰ってこないし、タラちゃんは遊びに行ってるのよ」

カツオ「(一人で留守番……!
またとないチャンスだけど……普段一人で留守番することはないのに図ったかのようなタイミングだ……
何かある……
それでもこのままだと手がかりが手に入らないんだ
乗ってあげるよ、姉さん)
それならお駄賃!」

サザエ「もう、ここぞとばかりに……」

カツオ「どうも~!」

サザエ「それじゃ、行ってきます」

カツオ「行ってらっしゃい」

カツオ「(その時僕は気付いていなかった
これが家族としての最後の会話だということに)」

カツオ「(念には念を入れとかなきゃね
ループを起こせるぐらいなんだから監視カメラぐらいはあるかもしれない)
さーて、お金を貯金して、中島の所にでも遊びに行こうかな
(これなら中島の所に行った風に見せかけて家の庭から甚六さんにコンタクトを取れるぞ)」

コン

甚六「(窓ガラスに小石が当たった音?)」

ガラガラ

甚六「カツオくん!」

カツオ「甚六さん、今から僕しかいないこの家を探索するから、万が一何かあった場合助けに来て欲しいんだ」

甚六「分かった、気をつけてねカツオくん
あ、それと……」

カツオ「なに?」

甚六「いや、後にするよ」

カツオ「分かった、また後で」

なあ、お前タイムリープしてね?

カツオ「(さて、探そうかな)」

カツオ「そういえば中島、忙しいって言ってたしやっぱり一人で過ごすか」

カツオ「(こうして僕は様々な場所を、ループに関する物をかぎ回ってる訳ではない体で数時間ほど探し回った
そして父さんの居間に……)」

カツオ「掛軸の裏にボタン?」ポチッ

ゴゴゴゴゴ

カツオ「隠し階段!?
入ってみよう……」

サザエ「そこまでよ!」

カツオ「姉さん……!」

カツオ「買い物に行ったんじゃ……」

サザエ「いよいよあんたは触れてしまったわね……」

カツオ「な、何のこと?僕はたまたまこのボタンを見つけて……」

波平「もう手遅れだカツオ
家の中の様子はいつでも確認出来るようメガネを改造してある
あんな小芝居じゃワシの目はごまかせんよ
予めサザエと打ち合わせ、お前に罠を仕掛けたんだ
そしたら見事にハマってくれたな……カツオ」

カツオ「父さん……これはどういうことなの?
この階段はもちろん、世界がループしてるのは……」

波平「ふむ……ワシも最近知ったんだが……この世界がループしているのはワシらの研究の為だよ」

カツオ「研究……!?」

波平「ああ、ワシらはこの世界に限界を感じていた
そこでワシらが始めたのが……“アレフ2プロジェクト”」

カツオ「何を言ってるの……父さん?」

波平「この計画でワシらは上を目指す
カツオ、お前もワシらに着いてこないか?
なーに、カツオの悪いようにはせんよ」

サザエ「そうよカツオ、もし歯向かったりなんかしたら……」

カツオ「僕はそんな訳の分からない計画の為にずっと5年生を演じ続けて来たんだね……
成長しない人なんか人じゃない、それは既に悪魔なんだ!
それに、カオリちゃんとも結婚出来ないじゃないか!ループなんてごめんだよ!」

波平「そうか、残念だ……
お前の後ろにはγ線バーストを発射出来る小型ロボットを準備してある
もしワシらを裏切るのなら、γ線という強力な放射線によって細胞が死ぬことになるだろう
カツオ、お前に選択の余地はない」

カツオ「それはどうかな……」

波平「うん?」

ブロロロロロロ

甚六「カツオくん!」

カツオ「甚六さん!」

波平「甚六くんと繋がっておっただと!?
イササカ……裏切ったな!!
γ線バースト、発射!!!」

甚六「手遅れだよ!僕がバイクで直進してカツオくんを抱き抱える方が速い!」

波平「くっ……!」

サザエ「ちょっと!家の中バイクで走らないでよ!」

えぇぇーー!?本当なのかい!?

甚六「さっ、カツオくん!抱き抱えられたままじゃ危険だから乗って!」

カツオ「ありがとう甚六さん!」

ブロロロロロロ

波平「逃すな!追え!」

小型ロボ「きぃー!」

甚六「僕のバイクは特別製だ
そんなロボットじゃ追い付けないよ!」



サザエ「あーあ、逃げられたわね……
それに寝室から玄関までタイヤ痕が付いちゃってまあ……
後で誰が掃除すると思ってるのかしら!」

波平「カツオ……お前は勘当だ…………」

ブロロロロロロ……

甚六「危ないところだったね、カツオくん」

カツオ「甚六さんがいなかったら僕は死んでたよ、ありがとう
それより、イササカ先生が裏切ったって言われていたけど……」

甚六「分からない……もしかしたら僕のお父さんも協力者なのかもしれない」

カツオ「これから何処へ行くの?」

甚六「あの時、後で話すって言ったよね?
その事と同じさ
対抗勢力が見つかったんだ」

カツオ「本当?」

甚六「カツオくんも知ってる人だよ」

?「今のバイクに乗ってた人、お兄ちゃん……?
とりあえず今はおじいちゃんの監視を続けないと……」

中島「いつから俺がタイムループしてるのに気づいてないと錯覚していた?」

とある宿舎

甚六「こんにちは」

海平「おお、来たか」

ノリスケ「よく来たねーカツオくん」

カツオ「ノリスケおじさんに海平おじさん!何でこんなところに?」

ノリスケ「伯父さん達にはアパートの場所が割れてるからね」

甚六「さっき波平に殺されかけまして……」

海平「それは不味いな
とっととワシらのアジトへ行こう」

カツオ「あ、アジト……?」

ノリスケ「ああ、カツオくんは何も知らないからね
きっと驚くぞー!」

海平「転送!」

その頃

波平「くっ……ついに海平と繋がったか……!
ワシの衛星じゃ転送までは追いきれん!」

サザエ「不味いわね……」

波平「……とにかく今はイササカ先生だ
一体何があったのか聞いてみんとな……」

海平(゚Д゚)イラネ

カツオ「こ、ここは?」

海平「ここはワシらのアジトだよ」

カツオ「アジト?」

ノリスケ「伯父さんの科学力に対抗する為に、ちょっと別の宇宙を作ってそこにアジトを作ったんだよ
宇宙が違えば計画に夢中な伯父さんでは着いてこれないからね
ワームホールという目に見えない通路を通ってここへ来ることを僕らは転送と呼んでるんだ
簡単に言えば瞬間移動だね」

カツオ「は、話が見えてこないよノリスケおじさん」

ノリスケ「ごめんごめん、先走っちゃったね」

海平「ここからはワシが順を追って説明しよう」

海平「話はループが始まる前まで遡ることになる……」

ループ前

海平『アレフ2プロジェクト?』

波平『ああ……』

海平『何だそれは』

波平『海平兄さんも薄々感じていたんだろう?人間の限界を』

海平『何の話だ?確かにワシは研究していく中で人知を越えた存在を感じざるを得なかったが……』

波平『その限界を“突破”する方法をワシは発見した
それが“アレフ2プロジェクト”だよ』

海平『……?』

その頃、アナゴは痴漢の冤罪容疑にかけられていた

波平『これはアレフという言葉から説明しなければいかんな
1、2、3、……から成る自然数と0.5652などのややこしい数も含んだ実数を考えよう
自然数と実数、どちらが大きいだろう?』

海平『どちらも無限で同じじゃないのか?』

波平『それが違うんだよ
例えば2、4、6、……と続く偶数も無限にある
偶数の一つ一つに1、2、3、……と番号を振ったとしよう
この番号はもちろん自然数だ
この時、どちらも無限に続くが、どんな偶数を取ってきても必ず自然数の番号を振ることが出来るだろう?』

海平『うむ、自然数も偶数も余ることがないな』

波平『ところが実数は、対角線論法というのを使うと必ず番号が振れない数があることが分かるんだ
すなわち、自然数より実数の方が大きいということになる』

海平『なるほど』

波平『そこで、自然数の大きさをアレフ0、実数の大きさをアレフ1と呼ぶことにしたんだ』

海平『つまりアレフ2というのは……』

波平『そう、実数よりも大きい無限のことだ』

海平『それと一体何の関係があるんだ?』

波平『縦、横、高さを考えれば時間を除いてこの世界のどこの点でも表せることは知っているだろう?』

海平『ああ、それはワシの研究対象とも関連があるからな
3つを考えれば良いからこの世界は3次元空間だと言われている』

波平『ところでこの宇宙、ずっと高い所へ進んで行くとどこに辿り着く?』

海平『元いた場所だろう
この世界はトーラス構造だ
ドーナツ型の世界があったとして、その表面に二次元の存在がいたとしよう
その存在がある方向へ進むと必ず元の場所に戻ってしまう
ドラクエで言えば地図の右上へ進んでいたら左下から出てきてまた元の場所に戻るようなものだ
こんな性質を持つトーラス構造は、我々が住む世界にも当てはまると言われている』

波平『その通りだよ海平兄さん
言い換えればこの世界は無限に縦、横、高さへと行くことが出来るんだ』

海平『いい加減結論に入らんか、弟よ』

波平『そうだな
自然数は3つや4つ集まっても実数の大きさには届かない
しかし、自然数が無限に集まればその時は大きさが実数と並ぶことが分かっている
つまり、アレフ0が無限に集まればアレフ1になるんだ
この世界は縦、横、高さを実数、つまりアレフ1で表せる』

海平『ま、まさか……!』

波平『そう、今はアレフ1が3つでこの世界全体もアレフ1でしかない
そこでワシは縦、横、高さといったものを無限に増やす……すなわち、この世界を無限次元へ拡張させてアレフ2へと昇華させる!』

海平『バ……バカな……そんなこと……』

波平『出来るんだよ、ワシの理論ではな』

波平『ワシらは今まで三次元空間の存在であるが故に遠い次元のことを抽象的にしか理解出来なかった
しかしこれが成功すれば、遠い次元の概念もぐっと分かりやすくなり、科学はより上のヒエラルキーへとステップアップ出来るんだ
素晴らしいと思わんか?』

海平『バカげている』

波平『ほう?』

海平『外積は“n元数”という考え方を用いれば7次元までしか適用出来ないことが分かっている
そして“磁”の付くもののほとんどがその外積で表せることもな
この世界を高次元にすれば外積が成り立たない、即ち“磁”の付くものが崩壊する
これは粒子のスピンという性質にまで影響を与え、ワシら人間どころか物質が存在出来なくなるぞ!』

波平『数式は言葉でしかない
言葉が失われた所で事実は消えんよ』

海平『話にならん!
ワシは大事な家族を失いたくはない
全力で止めさせてもらうぞ』

波平『……』

マジかよタラヲ最低だな

カツオ「父さんと海平おじさんの関係は分かったけど……それから?」

海平「波平と話し合った当時、ワシは時空間について研究しとった
そして、波平に、アレフ2プロジェクトとやらに先を越されまいと必死にやった結果、ワシは何とか“時間の特異体”というものを発見した」

カツオ「時間の特異体?」

海平「この世界は当たり前のように時間が勝手に流れていく
しかし、ワシはそのルールに反する空間を見つけたんだ
そこは時間が流れない場所だった
ただし未来のワシが物質Aを入れたとして今のワシが物質Aを取り出す、といったことは出来ないみたいだがな
その穴へとワームホールを繋ぐのは中々大変だったが、何とか繋いだワシは、そこに籠りその空間の研究をしとった
そして、気付いたら外の世界がループしていたというわけだよ」

カツオ「よく分からないよ
そもそも時間が流れない世界にいるのなら、ループする前からループする後という時間の流れを受けないじゃないか」

海平「確かにその通りだ
しかし、通常の時間が流れる世界ならワシはループに巻き込まれているはずだ
どういうわけか、皆ループが始まると記憶を無くしてしまう
しかし、そこに籠っていたワシだけは無くさなかった
これは時間の流れを受けなかったに他ならない」

カツオ「よく分からないや」

海平「例えばSPF50やPA++という言葉があるだろう?この意味が分かる人はほぼいない
しかし、50や+という数、記号によって何となく理解ができる
このように深く考えようとせずに浅く理解しておけばよい」

カツオ「分かったよ海平おじさん
それで海平おじさんは今何をしてるの?」

海平「今は時期が来ては時間の特異体に入りループを回避しながら、波平の計画を止めるための研究をしているよ」

ノリスケ「そこで、東大生の僕をスカウトしたんですよね!」

アナゴ「僕は痴漢なんかやってない!」
鉄道警察「おいおい、被害者はあんたが下半身露出して咥えなさい、と言ったと言ってるんだぞ!」
アナゴ「、、、やってない!そうだ、親友のフグ田君なら僕の為人を証明してくれる!今すぐ連絡してくれ!」

やっぱりカツオはカツオだったな

海平「お前が文一卒だったのは後で気付いたことだったがな……
しかし今はイクラちゃんの才能を認めざるを得ないよ
彼はノリスケが名古屋に転勤となった時に独自のプログラミング言語“Baboo”を開発してパソコンで高度なシミュレーションを行うことを可能にしたんだ
そのせいか名古屋で簡単な日本語を覚えたにも関わらず、東京に戻った後研究のしすぎで“Baboo”に言語能力を支配され、今では“Baboo”で使う言葉しか使えなくなってしまったが……」

カツオ「ええ!?ノリスケおじさん名古屋に転勤になったの!?」

ノリスケ「ハハハ、そうだよ
ループしてるとはいえ、僕達や伯父さん達の行動が違うせいか全く同じ世界にはならないからね
例えばカツオくんの隣に住んでる今のイササカ先生はループの途中からやってきたのさ
僕も名古屋に転勤になる前は今のアパートには住んでいなかったしね」

カツオ「(イササカ先生とお父さんは繋がりがあったみたいだった……ループの途中から来たのには何かわけがあるのか?)」

その頃

波平「どういうことですかな?イササカ先生」

イササカ「わ、私にもさっぱり……
バレないようにやっていたはずです
自分で気付いたとしか……」

波平「……イササカ先生にはわざわざ近くまで来てもらい協力してもらっている身です
しかし、これでは出した金と釣り合いませんぞ」

イササカ先生「もちろん、私が責任を持って甚六の所まで行けるようにします」

波平「頼みましたぞ」

イササカ先生「はい」

波平「では」

お軽「あなた……」

イササカ先生「私の息子がやったことなんだ
仕様がないじゃないか」

お軽「でも、もう一つの方が……」

イササカ先生「もちろんそちらも続ける
むしろそちらを止めたら磯野さんに何をされるか……
私の貸した小型ロボや衛星もすっかり我が物顔だ」

お軽「そうですね……(おフネちゃん……あなたはこれでいいの?)」

未来

?「なに……これ……?体が消えていく……!
どうして……!?」

カツオ(未来)「まさか、父さん……!
時空の乱れを観測していたとはいえ、ここまで強い影響を及ぼすなんて……!」

ワカメ(未来)「当然だわ、お父さんは時間軸の一部を切り取ったのよ!
切り取られなかった時間軸が、修正でその世界に大幅な変化を与えることは想像に固くないもの!」

?「お兄ちゃん……!」

カツオ「今お前を救う方法は一つしかない
虚数時間軸を利用して、切り取られた実数時間軸の世界……即ちループ世界へお前を送る
ループ世界で、お前は父さんを止めてくれ
僕たちの世界は父さん達が切り取ったことで存在し得ない未来になってしまった
今後どのような世界になるか想像出来ないが、お前が消えかかってる以上お前が存在しない世界になる事は明らかだ
そんな世界に僕はしたくない!」

ワカメ「お願い、私達の未来を守って……!」

?「うん、行ってくる……
お兄ちゃん、お姉ちゃん、待っててね」

カツオが海平のアジトに着いてから数日後

イクラ「Baboo!Hi!」

タイコ「ちょっとイクラ!今時間の特異体を調査中って言ったでしょ!手が話せないの!」

海平「この汎関数を解けば……」

カツオ「何だかついていけないね」

甚六「しょうがないよ、僕達は詳しいことを何も知らないんだから」

カツオ「一体いつになったら僕は小学6年生になれるのかな」

ノリスケ「僕はもう社会人だし、転勤もあったからあまり実感はないけれど、カツオくんや甚六くんからすれば大事なことだね」

甚六「本当ですよ
僕なんかいつになったら大学に入れるのか……」

ドーン

海平「何事だ!?」

マスオ「やあ皆さん」

カツオ「マスオ兄さん!

海平「次元を上げることに夢中でワームホールの技術は未発達だったはずだ……」

マスオ「だから更にワームホールの研究も始めてもらっただけですよ
邪魔されては困りますからね」

マスオ「あと、この宇宙はビッグクランチを起こしてますから、早く脱出した方がいいですよ」

海平「なに!?」

カツオ「ビッグクランチ!?」

ノリスケ「宇宙がビッグバンという爆発でおっきくなったように、小さくなっていくことをビッグクランチと言うのさ!」

海平「とにかく脱出するぞ!転送だ!」

磯野家

海平「こ、ここは……」

波平「久しぶりだな、兄さん」

海平「波平……!」

イササカ先生「ちょっとワームホールの出口をこちらに繋げておきましたよ
これくらいなら私にも出来ました」

カツオ「イササカ先生!」

甚六「お父さん……」

波平「既に小型ロボを配置してある
何か怪しい動きをすれば細胞が死ぬぞ」

海平「くっ……」

波平「安心しろ、ループの始めになれば復活する
その頃には記憶を失っているだろうがな」

リカちゃんですぅ

波平「ここに集まってもらったのは他でもない
ワシはお前達に協力してもらいたいんだよ、ワシの研究の為にな
生憎、こちらには技術担当がイササカ先生しかいない
優秀とはいえイササカ先生の技術ではワームホールと言えども若者一人しか通せない」

マスオ「だから僕が行ったんですよね」

波平「そこで、ワームホール他の技術に関して長けているお前達の力を貸してほしいんだ」

海平「断る!」

波平「やはりな……あれ持ってこい」

フネ「はい」

ワカメ「お兄ちゃん!」タラ「出してくだサーイ!」

波平「反抗するならこいつらを殺す
なあに、ループ世界の始めになれば復活するさ」

ノリスケ「自分の息子を……!」

イクラ「Chaaaan!」

カツオ「いつからそこまで落ちぶれたのさ、父さん」

波平「何だと?」

カツオ「僕が知ってる父さんは、厳しくとも自分の子を大事にする人情のある人だった
それが今じゃ自分の子と孫を人質にする始末だ」

波平「……ワシはもう退けないんだ!
カツオ、お前みたいなガキにはわからんだろう?ワシの遂行な計画が、何回も何回もループして進めている至高の計画が!」

波平「この世界がどうなってるか知っているか?カツオ」

タラで草不可避

カツオ「海平おじさんが話してくれたよ
この宇宙は真っ直ぐ進んでも必ず元の場所に戻ってしまうトーラス構造だって」

波平「やはりその程度か……それでは空間の話しか出来ていないな
教えてやろう、この世界の姿をな」

波平「“無境界仮説”を知っているか?」

カツオ「無境界仮説?」

海平「ワシも聞いたことがない……」

波平「とある学者の出した仮説だよ
宇宙がビッグバンから始まったのは常識だろう
しかし、このビッグバンの逆を辿ればどうなる?」

カツオ「ビッグクランチでしょ?ある一点に収束するに決まってるよ」

波平「甘いな
ビッグクランチによってある一点に収束した場合、その一点は特異点となる」

カツオ「特異点?」

ノリスケ「物理法則が通用しない点のことさ
ブラックホールの真ん中も特異点と言われているね
僕達がループを回避する為に利用しているあの世界も、時間の法則を受けないからそれをモジって“時間の特異体”と呼んでるんだよ」

波平「しかし特異点は不可思議だ、あってはならない
そこで生まれたのが“無境界仮説”」

波平「“無境界仮説”によれば、宇宙は一点には収束しないことになる」

波平「そしてその無境界仮説に必要なのが……“虚数時間”」

カツオ「虚数時間……!?」

波平「時間だけの世界において、虚数時間軸は実数時間軸と直交するような方向に取る」

カツオ「……?」

タイコ「カツオちゃんはあまり知らないかもしれないけど、比例とかで使ったグラフには横軸と縦軸があるでしょ?
その横軸を実数時間軸とすれば、縦軸が虚数時間軸なんじゃないかしら」

波平「その通りだ
そして、ご存知の通りワシはイササカ先生の手を借りてループ世界を作ることに成功した
これは実数時間軸から一部を切り取り、端と端を繋げて円にしたものだ
そしてこの実数時間軸の円と虚数時間軸を繋げる理論が“wheel theory”だよ」

波平「wheel theoryは元々0÷0を解決するために生まれたんだがね、これはこの世界を実によく表している
Wheel theoryによれば実数の世界は円となっている
1、10、100……と進んで行けば、いずれ-100、-10、-1と戻ってくる
所謂トーラス構造だ
そしてそのwheel theoryにおいて0÷0はどこを表すか……それは円の中心だ
Wheel theoryでも0÷0は定義不可能ではないが実数軸で表すことは出来ない
それは円の中心で無限の穴を作っているんだ」

波平「そして無境界仮説によれば虚数時間軸も無限に続くと言う
円の中心を通る軸があるとすれば、それは円のどことも直交するんだ」

波平「つまり、このループ世界は実数時間軸が円を成し、虚数時間軸がその中心を通る世界なんだよ!」

波平「簡単に考えれば、円錐の底を二つ繋げたようなものだ
ワシらは普段繋げた円錐の底の部分である実数時間軸上にしか存在出来ない
しかし、兄さんが言うような時間の特異体は円錐が上下に作る山の部分だ
この部分は当然実数時間軸にも合わせて進んでいるが、記憶を失うような修正を受けない
それを利用してワシらは文書を書き残したり海平兄さん達は記憶を引き継いだりしている」

波平「文書ではあまりにも効率が悪いんだよ
もう一度聞こう、ワシらに着いてこんか?」

海平「断ったら……」

波平「もちろんこの二人は殺す」

ノリスケ「卑怯な……」

カツオ「(ワカメやタラちゃんの命には変えられない……いくらループ世界の始めになれば生き返るからってそんなの……)
僕は……父さんに……」

ノリスケ「カツオくん!」

甚六「カツオくん……」

?「その必要はないよ、お兄ちゃん」

波平「誰だ!」

海平「見たことない顔だ……」

甚六「僕も知りません……」

ノリスケ「僕もです」

イササカ先生「私も……」

サザエ「私もよ」

カツオ「(か、可愛い……)」

?「皆が私を知らないのは当たり前だよ
だって、私は未来から来たんだから」

波平「未来……だと?」

?「おじいちゃんの言う通り、この世界には虚数時間軸がある
実数時間軸から切り取っても、虚数時間軸は切り取れない
それを使って私は未来から来た」

波平「おじいちゃん……?」

?「私の名前はヒトデ
フグ田マスオとフグ田サザエのもう一人の子供」

マスオ「えぇ!?君が僕達の子供だって言うのかい!?」

サザエ「あなたが私達の子供!?」

ヒトデ「私はおじいちゃんを止めに来たの」

波平「だ、騙されるか!行け!」

ヒトデ「小型ロボは壊しておいたよ
いくらループしているからって、数人で回してるだけじゃ未来の技術には届かないもん」

波平「くっ……」

ヒトデ「おじいちゃんが時間軸を切り取ったことで、未来は大変なことになってるの
そのせいで、私の存在も消えかかった
おじいちゃん、こんな事はもうやめて!私のお兄ちゃんとお姉ちゃんもそれを望んでる!」

カツオ「お兄ちゃんとお姉ちゃんって……」

ヒトデ「うん、君とワカメお姉ちゃんのこと
おじさんおばさんってほどの年じゃないからお兄ちゃん、お姉ちゃんって呼んでるの」

波平「今更やめられるか……!」

マスオ「お、お義父さん」

サザエ「やっぱりおかしいわよ!自分の家族を人質に取るなんて!
それにヒトデも消えそうになったなんて……」

フネ「私はずっと黙ってお父さんに着いてきました
でも、それも終わりのようですね
やっぱり家族を見捨てるお父さんなんか嫌いです!」

波平「バカモーン!!!裏切ったな!!!
イササカぁ!計画実行だぁ!!」

イササカ先生「は、はい!」

ゴゴゴゴゴゴ

ノリスケ「な、なんだ……?」

波平「イササカの技術がやっとワシの理論に追いついたのでな
今それを実行したのだよ」

サザエ「あ、あれは未完成だって!」

フネ「だからこそ皆さんに協力を頼んだんじゃないですか!」

波平「バカモン!裏切り者は黙っておれ!
ワシはこの世界をアレフ2にし、より真理を追求する!!!」

甚六「な、なんだいこれ!」

タイコ「景色が崩れて行くわ……」

イクラ「chaaaan!」

波平「今、閉じた時間軸を回転させている……
点を回転させれば一次元の円に、円を回転させれば三次元のドーナツ型に、どんどんトーラス構造の上位次元へと昇華出来るのだよ……!」

ヒトデ「それにしても様子がおかしいわ!
きっとこの世界が耐えられずに崩壊しつつある!」

マスオ「えぇ!?本当かい!?」

ヒトデ「今すぐこの世界から脱出しないと!」

カツオ「でもこの世界が崩壊するってことは、ヒトデはどうなるんだ!?」

ヒトデ「この世界が無くなれば私達が存在した時間軸の修正は免れない
その流れに乗って私の存在は消える」

カツオ「そんな!僕はイヤだよ!」

ヒトデ「未来のお兄ちゃんも同じこと、言ってた
でも大丈夫、君の行動次第で、未来は変わるから」

カツオ「……?」

甚六「そんなことよりこの件に関わっていない人達が……!」

ヒトデ「大丈夫、一斉に避難させられるから!」

波平「ワシの……ワシの世界がぁ……」

フネ「お父さん!しっかりしてください!」

ヒトデ「行くよ!」

ヒトデ「(ごめん、お兄ちゃん……
お兄ちゃんは私がいない世界なんて嫌だって言ってくれたけど……おじいちゃんを止められなかった……
それでも……たった一つだけ希望を残して……)」

ヒトデ「えい!」ポチッ

……

波平「いよいよカツオも中学生か」

フネ「何だか心配だね」

カツオ「僕だってもう中学生なんだ!一人で時間管理ぐらい出来るさ!」

サザエ「そうじゃなくて勉強でしょ」

「あはははははは!」

波平「それに、ワカメは小学5年生か」

フネ「ワカメはしっかりしてるから安心だね」

ワカメ「お兄ちゃんと違って勉強も出来るものね」

カツオ「ワカメ~」

波平「タラちゃんは幼稚園楽しいかい?」

タラ「楽しいデス!」

フネ「それは良かったわ」

波平「そして、サザエにもう一人の子が宿るとはな……」

サザエ「頑張ったのよね?」

マスオ「あ、ああ……」

ワカメ「何を?」

マスオ「それより、名前はどうするんだい?」

サザエ「そうね……ヒトデなんかどうかしら?」

マスオ「良いじゃないか!」

波平「うむ、磯野家にピッタリの名だな」

フネ「ええ、きっととっても可愛らしい子に育つわね」

カツオ「(あの時の記憶は、今はもう僕しか持っていない
結局、ループの為に切り取られた時間は、何でもないただの日常で補完された
本来ヒトデは生まれないはずだったけど、気を使ったよ、姉さんとマスオ兄さんをいい雰囲気にさせるのは
もしかしたらこの為に未来のヒトデが僕にだけ記憶を引き継がせたのかもしれない
僕達はもう無限牢獄には閉じ込められていない
僕達には未来がある
どんな未来が待ってるのかは分からない
それでも、立ち止まらずに前へ進んで行く方がいいと僕は思う
いつか、カオリちゃんと結婚することを夢見て)」

ガタガタ

サザエ「あら、誰かしら」

花沢「磯野くーん!一緒に学校行きましょうよ!」

波平「お、早速彼女の登場だな」

カツオ「勘弁してよ父さ~ん」

「アハハハハ!」

カツオ「(カオリちゃんと結婚するのは、無理かもしれない……)」

終わり

プルルル、プルルル、auお留守番サービスに接続します。

アナゴ「くそ!出ない。フグ田くぅうん」

早坂さん「、、この人です!私にいやらしい事をしたのは」

鉄道警察隊「jsに痴漢たぁこの御時世いい度胸だな、アナゴさんよ」

アナゴ「くっ!だから、僕じゃないんだ。」

裏のおばあちゃん「あたしがみてました、その人じゃありませんよ」

裏のおばあちゃん「犯人が財布を落としていきました、はいこれ」

鉄道警察隊「、、ふむ。名刺があるな。花沢不動産、、か。御協力感謝します!」

アナゴ「、、おいキミ!人を犯人扱いしといてそれで終わりかね!」

鉄道警察隊「こちらとしてもね、顔とか怪しい人には協力してもらってるんですわ」

1時間後ー

アナゴ「くそっ!くそ!僕は何もやってないのに!、、、元をとらないとな」

おさわりパブ・痴漢の巣 待合室

アナゴ「奮発してSコース頼んでやったわ!ブロォア!」

マスオ「!アナゴ君、きみも来てたのかい!?」

アナゴ「フグ田くん、、こっちは大変だったんだぞ」

マスオ「いやー悪いね、こっちも宇宙規模で大変だったのさ」

END

はいーアフィー


カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」:ぼっち速報
bottisoku.blog.fc2.com/blog-entry-3485.html

カツオ「なあ中島、僕達って昨日も5年生じゃなかったか?」 : アッー!速報
ah-news.blog.jp/archives/1291158.html

>>427
まともにURLも貼れないのか

>>442
アフィサイトだから
敢えて直で踏めないようにしてるだけ

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