恒一「うわ……古いギターだなあ」(171)

※当SSにおいて現実世界の年代は無効であります


榊原恒一、6歳――自宅にて

恒一「これって、父さんのギター?」

父 「ああ、若い頃に使ってた奴だな。もう随分手入れしてないが……」

恒一「父さん、バンドとかやってたの?」

父 「まあな。結構人気はあったし、それなりの腕だったぞ」

恒一「へえ……でもこのギター、音が変だよ?」パョーン

父 「弦を緩めたままだからな。張り替えれば使える筈だ」キュッキュッ ペィーン

恒一「あっ、ちゃんと音が出るんだ」

父 「そうそう、このギターじゃないがライブ映像を結婚前の母さんに撮ってもらったんだ。えーと、ビデオビデオ……おう、あった」
http://www.youtube.com/watch?v=C74sjfGUQXo&

父 「どうだ、なかなかのモンだろう?」

恒一「凄いね、2:05あたりからのソロがエモーショナルだよ。それに父さんが若い」

父 「若いのは当たり前だ。まあいい、このギター欲しかったらやるぞ?」

恒一「いいの? ありがとう!」

榊原恒一、15歳――『4月』より夜見山北中学に編入

恒一「災厄……このクラスに、そんなものが……」

勅使河原「サカキもついてねーよなあ、転校してきたクラスがよりによって3組だもんな」

恒一「困ったなあ」

望月「でも、榊原くんの転入でもっと困ってるのは対策係の赤沢さんだよ」

恒一「どうして?」

望月「例年なら一つ余る筈の机が、榊原くんの転入でぴったり合ったんだ。災厄が始まってから初めてのケースだって」

勅使河原「だもんで赤沢も、例年通りに『いない者』を作るかどうかで悩んでんだよ……作らないと災厄が始まるかも
しれねえし、今年は起きないのかもしれねえし」

恒一「なるほど、僕の転入が慌しかったせいだね。赤沢さんに悪い事しちゃったなあ……挨拶がてら、お詫びしに行こう」

勅使河原(別にお前が悪いわけじゃあ……)

望月(僕のせいじゃないとか駄々をこねない……うーん、イケメンだ)

音楽室――

赤沢「まったくもう、面倒なタイミングで転校してこないでほしいわ。私はどうすればいいのよ!」

杉浦「泉美、落ち着いて。何をそんなに苛立ってるの?」

赤沢「決まってるじゃない、『いない者』をどうするかって事よ……作るか、作らないか」

杉浦「作れば確実なんじゃない?」

赤沢「必要ないかもしれないじゃない! もしそうだったら、その人は無意味に『いない者』として、
中学最後の1年を過ごす事になるのよ! 皆を助ける為ならともかく……」

杉浦 ポンポロロン
http://www.youtube.com/watch?v=-uVmGm9yiGg

赤沢「あ……」

杉浦「少しは落ち着いた?」

赤沢「うん……ごめんね、多佳子。ありがとう」

杉浦「どういたしまして。ところで……突っ立ってないで、入ってきたら?」

赤沢「え?」

恒一「……」ガラガラ

赤沢「さ、榊原くん……! さっきのは、その」

恒一「ごめん、赤沢さん。僕がこんな時期に転入してきたばっかりに」

赤沢「それは……いえ、謝るのは私の方よ。理不尽な事を言ってごめんなさい」

杉浦「で……榊原君は、どうしてここに?」

恒一「勅使河原に、赤沢さんが僕のせいで悩んでたって聞いたんだ。多分音楽室にいるだろうって」

赤沢(あいつ余計な事を……口を縫い合わせてやろうかしら)

恒一「来てみたらちょうどその話をしてたし、入りづらくて……でも、杉浦さんの『月光』で空気が変わったよ」

杉浦「……大げさね///」

赤沢「多佳子のピアノは凄いわよ? クラシックもジャズも、何でも演るんだから」

恒一「へえ……赤沢さんも何か楽器を?」

杉浦「泉美は歌う方が得意ね。そのくせ合唱部には入らないで演劇部なのよ」

赤沢「いろんな種類の声が出せた方が歌い方に幅が出ると思ったのよ。そういう榊原くんは?」

恒一「僕は、ギターをちょっとだけ」

赤沢「アコースティック?」

恒一「いや、エレキだよ。かなり古いやつで、父さんから貰ったんだ」

杉浦「東京でバンドとかやってたの?」

恒一「そういうのはなかったなあ。父さんに教わって、家で一人で弾くだけだったよ」

赤沢「今度聞かせてほしいわね」

恒一「そんな大したものじゃないよ……まあ、機会があったらね」

投下が速い
支援

某日、夜見山市内のCDショップ――

恒一「困ったな、欲しいCDが4枚もあるのに……完全に予算オーバーだよ」

恒一「中学生の小遣いじゃ厳しいよなあ。どれか1枚は諦め……ん? あれは確か、うちのクラスの……」

鳴 「……」テクテク

恒一(見崎さん、だったっけ……まだクラスの人はよく分からないけど、眼帯とかしててミステリアスな子だな)

鳴 「……」カチャカチャ

恒一(CDを捜してるのか……あれ? もしかして……)

鳴 「ない……」

店員「何かお探しですか?」

鳴 「WHITESNAKEの『SERPENCE ALBUS』……」

店員「申し訳ありません、あれは出てるだけですから棚になければ……」

鳴 「そうですか……」ショボーン

恒一(まさかと思ったけど……あんな子がこんなジャンルを聞くなんて意外だ)

恒一(売り場の最後の一枚は、僕が持っているコレだ……どうしよう)

恒一「(……ええい、また買う機会はあるさ)あのう、見崎さん?」

鳴 「?……ああ、転校生の……」

恒一「榊原恒一だよ」

鳴 「そう……私は見崎鳴。で、何の用?」

>>9
すまん少しゆっくりにする

マジすまんSSもスレ立ても始めてで色々分からん

しかもこっから先は『ある筋の人』でないと分からんと思う

恒一「探し物、これじゃない?」

鳴 「それは……!」

恒一「僕も買いたかったんだけど、予算の都合で今回は見送る事にしたんだ。良かったらどうぞ……って、
プレゼントするわけでもないのに変だね」

鳴 「いいの?」

恒一「うん。廃盤でもないし、また今度でいいよ」

鳴 「……ありがとう。ところで、榊原くんは何を買うの?」

恒一「僕は……今日は、これを」

鳴 (IRON MAIDENの『FEAR OF THE DARK』……IN FLAMESの『CLAYMAN』……MANOWARの『LOUDER THAN HELL』……)
http://www.youtube.com/watch?v=Nba3Tr_GLZU
http://www.youtube.com/watch?v=qNDknB7UpFo
http://www.youtube.com/watch?v=00dCnzZJuSg

恒一(無反応だ……全然興味がないか、それとも引かれたのか……)

鳴 「榊原くん」

恒一「うん?」

鳴 「『CLAYMAN』は買わなくていいわ。私が持ってるから、今度『SERPENCE ALBUS』と一緒に貸してあげる」

恒一「えっ、本当に?」

鳴 「その代わりといってはなんだけど、他の2枚を今度貸してほしい」

恒一「それはもちろんいいけど、見崎さんもその……好きなの?」

鳴 「好き。ヘヴィメタルは素晴らしいわ」

恒一(ヘビーメタルじゃなくヘヴィメタルと言った……!)

鳴 「メロデスとジャーマンはそこそこ持っている方よ。最近はメタルコアもいいと思い始めたけど、北欧勢の
NWOTHMムーヴメントももっと世界的になってほしい。SAXONやRUNNING WILDみたいな若手が出ないかな」

恒一(興味がないなんてとんでもない、彼女は本物……本物の)

恒一「メタルヘッズ……」

鳴 「そういう榊原くんも、ね」ニヤリ

鳴 「その右手のリストバンド。ドイツのヴァッケン・オープン・エアの参加者でしょう」
http://www.wacken.com/

恒一「あ……分かるんだ」

鳴 「話で聞いただけだけどね。行ってみたい」

恒一「メタルが好きならぜひ行くべきだよ」

鳴 「榊原くん、今から時間ある?」

恒一「え、うん。大丈夫だけど」

面白そうだけどついていけない

鳴 「よかったら、家に来て。色々と話したい」

恒一「家って、見崎さんの家に? それは、でも……女子の家はさすがに」

鳴 「特別に許可します。あと、見崎でいいわ」

恒一(いや、僕が恥ずかしいんだけど……)

鳴 「……来てくれないの?」ショボーン

恒一「うっ……分かった、行くよ」

鳴 「……!」パアア

恒一(……か、可愛い)

先に謝っておく、申し訳ない
ここからさらに皆さん置き去りにしてしまう

翌日、始業前の教室――


勅使河原「まだ一ヶ月足らずだけど、今んとこ誰も被害に遭ってねーな」

赤沢「だから何? あんた、誰か死ねばいいとか思ってんじゃないでしょうね?」ギロッ

勅使河原「そ、そんなわけないだろ! ただその、結局『いない者』も決めてねーのに不思議だなって思ってよ」

望月「確かにそうだね……でも、誰も死なずに『いない者』も作らずにすむんならそれが一番だよ」

杉浦「だけど勅使河原が言ったとおり、まだ一ヶ月足らずよ。油断できないわ」

赤沢「……もしかしたら、もう私は取り返しのつかないミスを犯してるのかもしれない」

望月「え?」

赤沢「榊原くんの転入で、机の数は合った。だから私は、『いない者』を作る事を一旦先送りにした……でも、
もしかしたら今までと同じように、『いない者』を作っておかなければいけなかったのかもしれない」

赤沢「そうだとしたら……私の優柔不断が、致命的な」

勅使河原「おい、ちょっと待てって!」

せやな 後鳴ちゃんが可愛ければ

勅使河原「そんなに何でもかんでも悲観的になるなよ。お前らしくねーぞ」

赤沢「勅使河原……」

望月(へえ……)

杉浦(これはこれは)

勅使河原「だってほら、お前はもっとマッチョに行くタイプだろ? 何つーか、前進! 粉砕! 制圧! みてーな」

赤沢「災厄関係なくお前を殺す!」メキメキメキ

勅使河原「うぎゃああああああ!」

望月(うーん、元気付けようとしてるのは分かるんだけど)

杉浦(どうしてこうもやり方がまずいのかしら、このバカ)

恒一「おはよう」ガラガラ

赤沢「!」シュバッ

>>28
悪いが『可愛い』は保証できねー

恒一「……どうして勅使河原が朝からぐったりしてるの?」

勅使河原「さ、サカキ……実は、あか」

赤沢 ギロッ

勅使河原「……アカシア通り22番地って知ってるか?」

恒一「IRON MAIDENの22 Acasia avenue?」
http://www.youtube.com/watch?v=5zyUG0KHlKk

クラス全員(……!)ピキーン

勅使河原「お、おう……昨日、そればっか聞いててさ。ちょっと疲れてんだよ」

恒一「名曲だよね。勅使河原もいい趣味してるなあ」

中尾(シングルカットされたわけでもない、アルバム曲……)

渡辺(CDを持ってなければまず知らない筈)

有田(榊原くん……メタル、イケるクチなのね)

藤巻(だからと言って……いきなり話に食い込むのはまずい)

桜木(同好の士にならともかく、そうでない他のクラスメートにバレるのは危険です。しかもスラッシュ好きなんて)

風見(僕がスレイヤー好きなんてバレたら、桜木に引かれる事は間違いない……)
http://www.youtube.com/watch?v=T_Now8FNNu0

前島(世間的にマイノリティな趣味を持つと、こういう時に困るんだよな)

水野(いくら事実でも、姉ちゃんに洗脳されたなんて言い訳は通用しないだろうし……)

猿田(くっそー、思いっきり話してみたいぞな)

王子(榊原くん、メロディアスハードは好きかなあ)

佐藤(ブラック……)

江藤(ペイガン……)

柿沼(プログレ……)

鳴 「おはよう」ガラガラ

恒一「見崎、おはよう。昨日は色々ありがとう、楽しかったよ」

鳴 「私も。またそのうち、ね」

恒一「うん」

勅使河原「……おいサカキ、見崎となんかあったのか? ずいぶん仲良さそうじゃねーか」

恒一「あ、うん……ちょっと、共通の趣味がある事が分かってね」

赤沢「共通って」キーンコーン

望月「あ、席に戻らないと。もう先生が来ちゃう」

赤沢(くッ……タイミングの悪い)

一限目、授業中――

教師「桜木、桜木はいるか?」ガララッ

久保寺「どうしたんですか?」

教師「ああ久保寺先生、今病院から連絡がありまして。桜木のお母さんが車にはねられて……」

クラス全員「……!!」

教師「一命は取り留めましたが、しばらく入院が必要だそうです」

久保寺「…………そ、そうですか。桜木さん、すぐ病院に」

桜木「は……はい」ガタタッ ガラガラ

恒一「これって、まさか……」ヒソヒソ

望月「分からないよ……災厄だとすれば、命が……」ヒソヒソ

桜木「きゃああああああああああ!」ガタガタガタガタ

全員「!?」

赤沢「……階段から落ちて、足の骨折だけですんだのは不幸中の幸いね」

杉浦「桜木さんもお母さんも、一ヶ月程度で退院できるそうよ」

勅使河原「やっぱ、これって……始まっちまったのかなあ」

赤沢「偶然にしては出来過ぎよ。認めたくないけど、やっぱり私のミスだったようね……」

風見「いや、そう決め付けるのは早い。今までの災厄なら、骨折ではすんでない筈だ」

望月「机の数の事もあるし、今年の災厄は……いつもと何か違うのかな」

勅使河原「けどなあ、どうして違うのかも分からないんじゃなあ」

風見(理由なんてどうでもいい。違ってくれて良かった。桜木……本当に、本当に良かった……)


数日後、放課後――第二図書館

千曳「ふむ……私も今年の動向を掴みかねているが、どうも妙だな」

赤沢「今のところ、被害者は6名です。桜木さんとお母さんは同じ日に怪我、水野くんのお姉さんが病院で勤務中に
エレベーターの故障で怪我、高林くんが心臓の発作。つい先日は綾野さんが、倒れてきたガラスに巻き込まれかけました」

千曳「居合わせた榊原くんが助けたそうだね。見事だ」

恒一「いえ、それほどの事では……」

鳴 「そして桜木さんより前に、私の姉妹が一人。病気にかかって入院中」

杉浦「泉美。これほど連続したからには、もう断定するしかないわ」

赤沢「ええ……今年の災厄は、始まっている。ただ……不思議な事に、命は落としてない」

千曳「そこが私にも分からん。例年通りなら、先の6人全員が亡くなっていても不思議はないというのに」

鳴 「……赤沢さん。今からでも『いない者』を作る?」

赤沢「それは……」

鳴 「私が、なってもいい」

恒一「!? 見崎、何を!」

鳴 「誰かがやらなきゃいけないなら、私がやってもいい筈」

恒一「だからって、そんな……それなら、僕がやる」

鳴 「ダメ」

恒一「見崎がやる方がダメだ」

アーデモナイ コーデモナイ

赤沢「……どっち道、手遅れだと思うわ。今更一人二人と『いない者』を作っても間に合わない」

勅使河原「だったらどうするか考えようぜ。俺は、何もしなくていいんじゃないかって思う」

望月「どうして?」

勅使河原「今んとこ、誰も死んでないんだ。言い方は悪いけど、今までの年を考えりゃ生きてるだけでめっけもんだろ?
だったら余計な事しないで、このまま乗り切れねえかなって」

杉浦「……ベストとは言えないけど、ベターではあるかもしれないわ。中途半端な事をして、災厄が悪化するよりは」

赤沢「対策係として情けない限りだけど、現状維持しかないのかしら……それも、何の保証もないのに」

榊原「千曳先生、今までの年にこういう事はなかったんですか?」

千曳「私もそれを話そうと思っていたんだ。誰も死ななかった年はないが、近い状況の年はあった」

全員「!?」

千曳「災厄は4月から始まったが、だが各月に一人ずつの死者しか出なかった。しかも……」

千曳「その年は唯一、理由は分からないが途中で災厄が止まった年だった」

恒一「災厄が止まった……?」

千曳「最後の死者は9月だった。10月以降は誰も死なず、そのまま卒業を迎えられた。しかしその年、クラスの行事などは
特別な事はしていない」

千曳「だから、どうして止まったのかは不明だ……その年の資料をどれだけ引っくり返しても、何も分からない」

恒一「そうなんですか……」

勅使河原「やっぱどうしようもねーよ……げっ、もうこんな時間かよ。おい皆、そろそろ帰ろうぜ」

赤沢「そうね、あまり長居しては先生の迷惑だし」

望月「先生、さようなら」

千曳「うむ、気をつけて帰りたまえ」

恒一「……」

鳴 「榊原くん?」

恒一(何かある……絶対に、その年に何かあった筈だ。何もなしに止まるなんて方が説明がつかない)

恒一(一体何が……特別な事はしていないと先生は言った。だとすれば……)

恒一(特別ではない何かが……たまたま特別な結果に結びついたのか……? 学校生活の中の何かが……)

鳴 「榊原くん!」

恒一「えっ……ああ、ごめん見崎。ちょっと考え込んじゃって」

千曳「何か気になる事でもあったかね?」

恒一「まだそう言えるほどはっきりとはしてないんです……もう少し整理してから来ます」

千曳「そうか。だが、あまり根を詰めすぎないようにな」

恒一「はい。見崎、行こうか」

鳴 「うん」

帰り道――

恒一「その年に、きっと何かあった筈なんだ。誰も気付いてない何かが」

鳴 「私もそう思う。だけど、今までに誰も気付けてない……」

恒一「そもそも、死者はどうして甦ってくるんだろう」

鳴 「……そういえば、その事については考えなかった。そういうものだという認識だけ」

恒一「死者が甦る……理由としては、何か思い残した事があるっていうのが定番だよね」

鳴 「未練を解消して成仏させる?」

恒一「推測だらけの仮説だけど、災厄が止まった年の3年3組はやっぱり何かしたんだ。それによって、未練が解かれた」

鳴 「でも、止まったのはその年だけ。次の年はまた毎月死者が出ている」

恒一「未練の解かれ方が中途半端だったとか……いや、やめよう。絵空事ばかり言ってても仕方ない」

恒一「今はとりあえず、怪我をしないように気をつけながらすごすしかないね」

鳴 「うん。ところで、サバトンの『COAT OF ARMS』を買ったの」
http://www.youtube.com/watch?v=BP5frF2KTs0

恒一「えっ、聞きたい」

鳴 「じゃあ、家に来る?」

恒一「お邪魔します」

その後、毎月負傷者を出しつつも7月に――

赤沢「このままなら、一学期は無事に終われそうね」

杉浦「怪我をした皆も、この程度ですむならって感じだったし」

勅使河原「な? だから言っただろ、大丈夫だって」ドヤァ

赤沢「あんたに言われるとムカつくのよ!」ジャガッタ

勅使河原「うぎゃあああああああ!」

恒一「おはよう」ガラガラ

赤沢「!」シュバッ

恒一「うわっ、勅使河原がジャガられてる! 一体誰にやられたの?」

赤沢「……」アンタ、バラシタラモットヒドイカラネ

勅使河原「……身長2mを越す、白髪の老人……」

恒一「……アメリカの死刑囚?」

桜木「皆さん、席についてくださーい。今からクラス会議をします」

望月「なんだろう、会議って」

恒一「さあ……」

久保寺「えー皆さんご存知のとおり、我が3組は奇跡的に、誰一人欠ける事無くここまでやってきました。
災厄が始まって以降、初めての事です」

久保寺「無論まだまだ油断はなりません。ですが、君たちは青春真っ只中の中学三年生なのです……暗い影に
怯えて過ごすだけでは、あまりにももったいない時間です」

久保寺「ゆえに、大分早い時期ではありますが。二学期の文化祭に備えて、少しずつ話し合いをしたいと思います」

三神「といっても、全てを完全に決めるわけではありません。あくまでも意見交換、それらをもとに夏休みという
期間でよりしっかりとした意見を作ってもらうという事です」

三神「ちょっと無理じゃないか、と思うような事でも構いません。自由に意見を出してみて下さい」

ドースル? セッカクダシハデニヤリタイヨナー ワイワイ

勅使河原「文化祭かあ、全然考えてなかったぜ。サカキ、何やりたい?」

恒一「うーん、まだ考え中」

望月「クラス全員で何かをやるなんて、滅多にないもんね。楽しみだなあ」

恒一(クラス、全員……?)

恒一「まさか……!」ガタタッ

久保寺「榊原くん? どうしました?」

恒一「すみません、緊急の用事で失礼します!」ダダダダッ

第二図書室――

恒一「失礼します!」

千曳「榊原くん? 今はホールーム中じゃないのかね」

恒一「すみません、どうしても確認したい事があります。先生、一番初めに亡くなった……」

3年3組――

勅使河原「サカキの野郎、どこ行っちまったんだろうな?」

望月「あんなに急いで出て行くなんてね」

赤沢「だから喫茶店よ! ハワイコナ・エクストラ・ファンシーの魅力を世にアピールするの!」

鳴 「却下。あなたの個人的な趣味に私を巻き込まないで」

赤沢「なんですって!」

恒一「……」ガラガラ

勅使河原「お、サカキ! 遅かったなー、何してたんだ?」

恒一「ちょっとね……皆、少し話を聞いてもらえる?」

綾野「こういっちゃんが皆に? 何だろう」

小椋「赤沢と見崎の喧嘩が止まるなら何でもいいよ」

恒一「文化祭の事だけど。僕は、バンド演奏の発表を提案する」

松井「バンド……」

金木「発表……?」

多々良「えっと、それは……有志で、っていう話?」

恒一「いや、クラス全体で。いくつかのバンドを組んで、体育館のステージで演る。照明なんかも全部僕らで」

和久井「うーん、面白そうだけど……」

高林「楽器とか、何も出来ない人もいるよ?」

中島「私もちょっと無理かなあ」

恒一「もちろん、初めから裏方専門の人もいていいと思う。大事なのは、3組全員で一つの事をやるってところなんだ」

恒一「災厄の始まりになった生徒――夜見山 岬。その年の担任だった千曳先生の話だと、4月の頃から文化祭で
バンド演奏をやりたいと言ってたらしいんだ。彼を中心にして、クラス全員で関わる筈だった」

恒一「ところが、バンドの中心だった彼が亡くなった事で実行できなくなり、他の企画に変えざるを得なくなった」

恒一「そして何年か前――災厄が途中で止まった年。その時の3組は、有志のバンドがステージで演奏していた」

米村「! って事は……」

辻井「夜見山 岬の未練を俺たちで解消すれば」

川堀「災厄が……止まる?」

恒一「確証はない。災厄が止まったのは他に理由があったのかもしれないし、本当にたまたまだったのかもしれない。
ただ、可能性がある以上は賭けてみたいんだ」

恒一「特別な行事でなく、文化祭という全体行事の中の出し物。しかもクラスの出し物でもないんだから、今まで
誰も注目してなかったんだと思う……どうだろう、皆」

赤沢「……一つ、訊きたいんだけど。恒一くんがバンド演奏を推すのは、災厄を止めたいから?」

恒一「もちろんそれはあるよ。でもそれ以上に、僕がやってみたいから……かな」

赤沢「……いいでしょう。対策係としても赤沢泉美個人としても、乗らせてもらうわ」

鳴 「面白そう」

ドースル? エー、オレチョットナラデキルゼ ナニヤル?

勅使河原「そんでサカキよー、演るってどんな曲でやるんだ? 何の楽器が必要かとか、それで変わるだろ」

恒一「僕は……」チラ

鳴 「……」コクン

恒一「皆に引かれるのを覚悟で言う。僕は、ヘヴィメタルで行きたい」

放課後――

恒一「疲れた……まさかあんな事になるなんて」

勅使河原「ホントだよな。3ヶ月も経つのに、全然知らなかったぜ」

望月「まさか、クラスの全員が」

赤沢「大なり小なり、メタル好きだったなんてね」

杉浦「話が早くてよかったじゃない。このままなら、一学期中にバンドメンバーが確定できるわよ」

鳴 「榊原くんが堂々とカミングアウトしてくれたおかげで、他の皆も踏み出せた」

恒一「メタルが好きな事を恥ずかしいなんて思わないからね。さて、僕もメンバーを集めないと……」

綾野「あ、いたいた。こういっちゃーん! ちょーっと音楽室まで来てもらえるかなー?」

恒一「綾野さん。音楽室って、どうして?」

綾野「にっひひー。来れば分かるよー」

音楽室――

綾野「連れてきたよー」

恒一「お邪魔しま……うっ」

小椋「……」ギロッ

恒一(小椋さん……小柄なのに、どうも怖いんだよなあ。一体何の用だろう)

小椋「……あんた、ギター弾くんだってね」

恒一「えっ……うん、少し」

小椋「少しかよ。まあいいや、そこに授業用のギターあっから使え」

恒一「使えって言われても」

小椋「テストしてやるっつってんだ。あたしと彩と組むのに相応しいかどうか」

恒一「綾野さん、どういう事なの?」

綾野「ごめんねー、私はこういっちゃんと組みたいんだけど由美がねー」

小椋「あたしは下手な奴とは演りたくねえんだ。だから、それだけの価値があるかみてやる」

恒一「一方的だなあ……でも、僕もメンバーを捜してたしちょうどいいかな。二人のパートは?」

綾野「私はドラム」

小椋「あたしがベース」

恒一「リズム隊か。僕がギターで入ってスリーピース……何をやる?」

綾野「由美に任せるよー」

小椋「あたしのベースから入る。一発で合わせられないなら要らねえし、曲知らねえなら論外だ。歌もあたしが歌う、いくぞ」
ジャンジャジャンジャジャジャジャンジャンジャンジャン

恒一(このベースとは思えない歪んだ音……! そうくるのか、小椋さん!)
http://www.youtube.com/watch?v=qYO4zLY-Nag&ob=av3n

多々良さんはまだですか

小椋「……」

綾野「……」

恒一「えっと、どうだったかな? がんばってはみたんだけど」

小椋(こいつ、とんでもねえ……! 何が『少し』だ、メチャクチャうまいぞ!)

綾野(やばいよ、やばいよ!? こういっちゃん、どう考えても世界で通用するレベルだよ!)

恒一「あの……」

小椋「うるせえ! 合格だ、組んでやるよ!」

綾野「というか、むしろ私らから組ませてほしいっていうか」

恒一「ありがとう! よーし、他のメンバーも集めなきゃ」

「だったら、私たちはどうかしら?」ガララッ

恒一「赤沢さんは何を?」
赤沢「トライアングルよ!」ドヤァ

>>68
すまん、けっこう後な上に出番は少ない

恒一「赤沢さん、杉浦さん」

赤沢「楽器は正直苦手だけど、歌なら自信があるわ」

杉浦「私はまあ、キーボードだったら何とか」

小椋「お前らだったらある程度腕も分かってるからな。別にいいよ」

綾野「放課後、たまにここで歌ってたもんねー?」

赤沢「ぐっ……まさか聞かれてたなんて」

小椋「杉浦の伴奏もしっかりしてたし。テストする必要もねえ」

杉浦「光栄だわ。でも……」チラ

恒一「?」

杉浦「ギターが一人っていうのは、ちょっと寂しいわね」

赤沢「そうね。キーボードを入れて六人なら理想的だわ」

小椋「つっても、もうかなりクラスん中で組んでるからな。浮いてる奴がいるか?」

綾野「うーん、ギターかあ」

恒一「……一人、心当たりがある。呼んでもいい?」

赤沢「その人、腕は?」

恒一「口幅ったいけど、僕が保証するよ」ピポパ プルルル プルルル ガチャ

小椋「心当たりって見崎かよ……ホントにギターなんか弾けんのか?」

鳴 「……」ムッ

綾野「こういっちゃんは、見崎さんのプレイ見た事あるの?」

恒一「うん、家に遊びに行ったときにね。さっきも言ったけど、テクニックは僕が保証する。見崎は上手いよ」

鳴 「……///」

赤沢(家に遊びに……! そうか、これが前に言ってた『共通の趣味』! ぬかったわ)

杉浦「じゃあ、せっかくだし一度何か演ってみましょうか」

恒一「見崎、どう?」

鳴 「……いいわ。その代わり、私に曲を決めさせてほしい」チラ

小椋「へえ、自信ありげじゃねえか。いいぜ、何やるんだ?」

鳴 ニヤリ

http://www.youtube.com/watch?v=FH8oVTOwpDQ&feature=related

綾野(うひゃー凄い! こういっちゃん、やっぱ上手い!)

小椋(くそっ、なんだってんだ! 榊原もだけど、見崎……コイツも半端ねえ!)

綾野(恒一くんが言うだけの事はある! 恐ろしく正確、その上勢いもいい!)

杉浦(怪物が二匹……! この二人のギターバトルは、異次元級だわ!)

鳴・恒一 キュインキュインキュイン ピロピロピロピロ ギョワワーン

メンバーが見崎、綾野、榊原、赤沢、小椋だから頭文字をとってバンド名はMASAOにしよう

恒一「いやあ、楽しかった。やっぱり人と一緒に演るっていいね」

鳴 「私もずっと一人だったから、バンドって面白いわ」

小椋「そりゃそうだろうよ。あんだけピロピロしまくってりゃな」

綾野「もーダメ、私動けない……」

杉浦「泉美は出せない声があるの? 高音・低音・太い声まで自由自在だけど」

赤沢「あるわ。ウド・ダークシュナイダー、あの声はどうしても真似できない」
http://www.youtube.com/watch?v=2MU3GM6fk64

鳴 「無理よ。あの声ははっきり言って機械音に近いもの」

小椋「ところで、榊原と見崎はなんであんなに上手いんだ? どう考えてもおかしいだろ」

恒一「僕は父さんに教わっただけだよ」

鳴 「私も母に習っただけ」

>>88
眼鏡の子も思い出してあげてください

赤沢さんの歌声聴きたい

>>91
「レーチャン!レーチャン!」

赤沢「一体どんな練習すれば15歳であれだけの技術が……」

恒一「でもやっぱり、使い慣れたギターでないとしっくりこないね」

鳴 「そうね。大事なのは性能よりも相性」

綾野「あれで本気じゃないの!?」

小椋「おい、あたしらのレベル考えて曲選べよ?」

杉浦(そうは言っても、全員今すぐレーベル契約結べるレベルだけど)

鳴 「別に、そこまで難しい曲を演らなくてもいいと思う」

恒一「そうそう、楽しくないとね。そこで僕は、この曲がいいんじゃないかと思う」

赤沢「……なるほど、これは痛烈ね」

小椋「へえ……そうくるか」

綾野「こういっちゃん、洒落っ気あるねー」

杉浦「皮肉が過ぎるわよ。でも、面白いわね」

鳴 「私も、いいと思う」

恒一「じゃあ、決まりだね」

第二図書室――

恒一「という事で、今年の3年3組はクラス総出でバンド発表です」

千曳「死者の未練という点については、可能性はあると思う。いい考えだ」

恒一「皆が乗り気になってくれたのが幸いでした。偶然にも、基本的な好みが同じでしたから」

千曳「そこだ。実は少し気になって、当時の生徒に確認してみたんだが……夜見山くんは音楽の趣味が革新的でね」

恒一「……もしかして」

千曳「うむ。当時にしては珍しい、メタルやハードロックを好む嗜好だったそうだ」

恒一「じゃあ、今年の災厄が死に繋がってないのは」

千曳「未練はあるが同好の士を殺したくない……などと考えるのは浅慮かもしれん。まあこの部分については、
おそらく永久に答えは出ないだろう」

恒一「そうだったとしても、来年以降の3組の生徒全員をメタル好きにするわけにもいきませんしね」

千曳「そういう事だ。そしてもう一つ、これは更に根拠が希薄なんだが……三神先生に聞いたが、君の使っているギターは」

恒一「父にもらった、ヤマハのSG30です」

千曳「夜見山くんも、そのギターを使っていたそうだよ」

恒一「えっ」

千曳「偶然と言ってしまえばそれまでだ。しかし、何か運命めいたものを感じずにはいられない……榊原くん、君が
今年転校してきたのは、ひょっとしたらとても重大な事なのかもしれない」

恒一「僕には……難しい事は分かりません。ただ、目の前の事に全力を尽くすだけです」

千曳「ふっ……そうだな。それでいいんだ、君たちは。それが、若者の特権だ……がんばりたまえ」

時は流れ、10月。文化祭当日、ステージ横――

赤沢「ステージ使用時間は50分。演奏が終ったらすぐに交代、機材セッティングはお互いに協力して
素早く終わらせるように」

PAチーム 高林・和久井・中島・柿沼・佐藤

高林「時間の都合で1バンド1曲しかできないのが残念だね」

和久井「仕方ないよ、5バンドも出るんだから」

中島「柿沼さん、照明のコントローラーは?」

柿沼「さっき佐藤さんに渡しました」

佐藤「これね、いつでもいいわよ……あ、先生」

久保寺「やあ皆さん。準備はどうですか?」

桜木「万全です。欠席も体調不良もいません」

久保寺「そうですか」

久保寺「私も担任として檄の一つも差し上げたいのですが……どうしてでしょう、うまく言葉がでてきません。
そこで、今日この場に至る提案をした榊原くん。何か一言」

恒一「え、僕ですか? 風見くんや赤沢さんの方が適任じゃあ」

赤沢「いえ、このクラスの中心は恒一くん、あなたよ。だから先生もあなたに任せたの」

風見「頼む、榊原くん」

全員 ジーッ

恒一「……えーっと」

恒一「なんて言ったらいいか……この半年、怪我をした人はいても死んでしまった人はいなかった」

恒一「それがどうしてかっていうのは、とても大事な事だと思う。バンドをやろうって言ったのも、それに
関わっての事だしね」

恒一「でも、この3ヶ月――組んだメンバーで練習を重ねて、僕は凄く楽しかった。皆も、きっと楽しかった
と思う。そういう表情だもの」

恒一「だから今日は、災厄の事も何もかも忘れて。思いっきり楽しく、派手に演ろう。皆、右手を」スッ

全員 スッ

放送「続いては、3年3組によるバンド演奏です」

恒一「さあ、出番だ――SHOW MUST!」

全員「GO ON!」
http://www.youtube.com/watch?v=wegLB9xevPQ

望月「僕たちが一番手か……緊張するね」

勅使河原「だなあ。くーっやべえ! 超ドキドキしてきたぞ! なあ風見、お前もだろ?」

風見「そうだな、平静でない事は認めるよ。だから、いつもと違う事でもできる……桜木さん」

桜木「はい?」

風見「僕は、君が好きだ」

桜木「……えっ」

望月「ええええっ?」

勅使河原「はあっ!? お前、いきなり何言ってんだよ!」

風見「ステージが終ったら、返事を聞かせてもらえるかな」

桜木「……いいえ、そんなに時間は要りません」

桜木「私も、風見くんの事……好きですよ」

風見「そ、そうか……あ、りがとう」

勅使河原「どもってんなよ……どうすりゃいいんだよこの空気」

望月「あ、あはは……」

勅使河原「ええい、ちくしょー! ブチかますぞおっ!」

ギターボーカル 勅使河原
ギター 望月
ベース 桜木
ドラム 風見

勅使河原「RUNNING WILD!『BAD TO THE BONE』!」
http://www.youtube.com/watch?v=zwnipCkNgDw

ウォーオーオーオー ドーンテールノラーイズ

恒一「勅使河原、なんだか鬼気迫るものを感じる」

鳴 「ステージで何かあったのかも」

赤沢「あの、先生。体育館のステージでパイロって大丈夫なんですか?」

三神「どう考えてもダメね、消防法に引っ掛かるわ。他のメンバーも驚いてるし、勅使河原くんの独断じゃないかしら」

赤沢「あのバカガワラ……終ったら火あぶりにしてやる」

猿田「いやー、ええステージだったぞな」

江藤「オーディエンス、かなり温まってるよ」

有田「大丈夫かな、勅使河原くんたちの曲と全然方向性違うけど」

渡辺「気にしない気にしない。楽しくやればいいんだって」

王子「そうそう、なんたって文化祭なんだから。中尾、いけるかい?」

中尾「任せろ!」

シャウトボーカル 中尾
クリーンボーカル 王子
ギター 有田・渡辺
ベース 江藤
ドラム 猿田

中尾「SONIC SYNDICATE!『JACK OF DIAMONDS』!」
http://www.youtube.com/watch?v=boEypavY46w

言い忘れてたけど声は適当に補完してくれえ

ザッツワッマーイ ライフィーゾーラバーゥ

赤沢「メタルコアとはね。毛色が違って逆に新鮮だわ」

綾野「おーじくんが吼えるのは意外だったけど、結構ハマってるね」

小椋「そうだな。中尾いらねえんじゃねーの?」

杉浦「何言ってるのよ。ツインボーカルで中尾が吼え続けるから、コーラスで王子くんの声が際立つんじゃない。中尾の……」ハッ

赤沢・小椋・綾野 ニヤニヤ

杉浦「……ま、まあ悪くはないと思うわ」

赤沢・小椋・綾野 ニヤニヤ

杉浦「その顔やめて」

藤巻「ねー、今更だけどあたしたちの曲ってまずくない? 中学生的に」

松井「そ、そうだよね。練習してる時はよかったのに、今になってみると凄く恥ずかしい気がする」

金木「だからってもう変えらんないし、吹っ切ってこのまま行くしかないっしょ」

多々良「ちょっと皆、お願いだからしっかりコーラスやってよ? あたしだけ歌うとかなしだよ?」

ギターボーカル 多々良
ギター 松井
ベース 金木
ドラム 藤巻

藤巻・松井・金木「……」

多々良「し、信じてるからね! CRUCIFIED BARBARA、せ……『SEX ACTION』!」
http://www.youtube.com/watch?v=fZGP4oabVFY

セックサクショーン ユークッビーザワーン トゥナーイ

恒一「オーディエンスの反応が凄いよ。特に男子」

鳴 「さもありなん。衣装も過激」

赤沢「勅使河原たちの革ジャンに引きかけたけど、全然まともだったわね」

杉浦「職員会議に上りそうな気がするわ」

久保寺・三神「ハァ……」


         ____
       /      \
      /  ─    ─\
    /    (●)  (●) \   
    |       (__人__)    |    見崎、僕たちも行こう
     \      ` ⌒´   /
    /           ヽ

   (   /         | ヽ
  /\ \ ̄・ ̄ヽ、___|_|_____ノφφφ~ヽ   
  (  ( ヨ||=||=||=||=(゚∀゚)=||=ηη=||=━━━━!!!!!  
   ヽ◎。_。_ノ ̄ ̄ ̄\_ノ ̄ ̄ ̄ヽφφφ__ノ   

米村「やっと俺たちの番か……って言いたいけど、なんかここまであっという間だったな」

川堀「それだけ緊張してるんだろ。そういや水野、お前のお姉さん来てるんだよな? ステージでアピールしてやれよ」

水野「い、いらねーよそんなの」

辻井「会場の熱気が凄いな。ガーリー人気恐るべし」

前島「いい感じでトリに繋げないとな」

ボーカル 水野
ギター 米村・辻井
ベース 前島
ドラム 川堀

早苗「おーい、猛ー。こっちこっちー」

水野「(うわっ、最前列かよ……おい、恥ずかしいから手振るなよ!)あ、IRON MAIDEN!『ACES HIGH』!」
http://www.youtube.com/watch?v=4Sam5omG0v0&&skipcontrinter=1

ラーン リーブトゥーフラーイ フラーイトゥーリーブ

恒一「難しい曲を選んだね。でも、高音部に力がちゃんと篭ってる。水野、凄いなあ」

鳴 「意外な人が意外な才能を持っているものね」

小椋「最前列でやたら手振ってんの、水野の姉貴だってさ。家族が見に来るっての、キツいよなー」

綾野「あのさー、由美。黙ってようかと思ったんだけど、面白そうだから言っちゃうね……ほら、入り口の脇」

小椋「……げっ、兄貴! あのヒキコモリ、なんで今日に限って出てきてんだ!」ウワアアアア

赤沢「楽しそうで何よりじゃない」

杉浦「泉美、ギャラリー正面」

赤沢「え? ……お、お父様とお母様!? 今日は出張だって言ってたのに!」ウワアアアア

恒一「うちは高齢だから来てないけど、見崎のお母さんもいるね」

鳴 「……///」

ガーリー人気ってどんな意味?

赤沢「うう……油断したわ」

小椋「あー……もうどうにでもなれだ……」

杉浦「ほら、しゃんとしなさい。ヘッドライナーなんだから」

綾野「こういっちゃん、体育館が人でいっぱいだよ! 東京ドーム何杯分かな!?」

恒一「うーん、色々な意味で答えにくいなあ」

三神「見崎さん。あなたにお客さんよ、ちょっと来てくれるかしら」

鳴 「? ……分かりました」

>>125
ガーリーっては女の子メイン、というか女の子だけでやってるグループを指す
多々良ちゃんたちがやった曲もドイツの女の子4人組
女の子がやってるから必然的にそれなりの固定ファンがいる

未咲「あ、来た来た。おーい、鳴ー」ブンブン

鳴 「未咲? どうして……」

未咲「どうしてって、鳴がステージに立つって聞いたから」

鳴 「聞いたって、誰に?」

未咲「榊原くん。この間、病院でばったり会ったの。気胸の検査って言ってたなあ」

未咲「私と鳴がそっくりだから、凄く驚いてたよ」

鳴 「それで、今日の事を聞いたのね」

未咲「もー、教えてくれないなんて酷いよ鳴ー」

鳴 「まだ外出できないって聞いてたから……ごめんなさい」

未咲「いいよー。その代わり、かっこいいとこ見せてね? 彼氏と一緒に」ニヤニヤ

鳴 「かっ……///」

鳴 「……榊原くんは、そういうのじゃないわ」

未咲「あれー? 私、榊原くんなんて言ってないけどなあ」ニヤニヤ

鳴 「……///」

恒一「見崎、そろそろ……あ、藤岡さん。来てくれたんだ、ありがとう」

未咲「お礼を言うのは私だよ。ステージ、楽しみにしてるからがんばってねー」タッタッタッ

恒一「元気そうで良かったね。さ、行こう……見崎?」

鳴 「……」ギュウウウウ

恒一「痛っ! いきなり腕をつねらないでよ」

鳴 「未咲を呼んだのに私に黙っていた罰」

鳴 「それと、未咲に弱みを握られた。その罰」

恒一「弱み?」

鳴 「そう。猛省を要求します」

恒一「なんだか分からないけど、ごめんなさい」

鳴 「……特別に許します」

これはなんというか脳内学園祭ライブと似た何かを感じる…

赤沢「二人とも、何してるの? そろそろ出番よ」

綾野「もー、呼びに行ったこういっちゃんまで帰ってこないんだもん」

小椋「まさかここまで来てびびってんじゃねーだろーな?」

杉浦「行くわよ。準備はいい?」

恒一「大丈夫だよ。見崎も、いけるよね?」

鳴 「うん。だけど、出る前に一つだけ」

鳴 「……他の皆は、純粋に楽しむためにステージに上った。でも、私たちは違う」

>>134
俺は会社の行き帰りにいつもメタルを聞く。脳内でそれを演奏するのは
なのはのキャラだったりマリみてのキャラだったりもする

ギター 鳴 「この選曲には、榊原くんと私たちの意地が込められてる」

ドラム 綾野「……うん。災厄なんかに負けないっていう、意地」

ベース 小椋「殺されてなんかやらねえ。逆にこっちが殺してやる」

キーボード 杉浦「それだけの意地と覚悟が、私たちにはある」

ギター 恒一「誰だか分からない、もう一人――『Another』。僕たちは、夜見山『北』中学」

ボーカル 赤沢「だからこその、この曲。Norther――」チラ

恒一・鳴・綾野・小椋・杉浦 コクリ

赤沢「『DEATH UNLIMITED』!」
http://www.youtube.com/watch?v=mbCBtIx8jGk

某ステージ脇――

恒一「今年もそろそろ、文化祭の時期だね」

鳴 「相変わらずやってるらしいわ。3年3組のバンド出演」

恒一「今でも思い出すよ。結局あの年の死者は玲子さんで、僕たちのステージの後にはもういなかった……そして、僕と
見崎以外は誰も玲子さんの事を覚えてない」

鳴 「クラス全員が関わってのバンド演奏。それに満足したのか、私たちの歌が危険すぎたのかは分からないけど、
災厄も止まった。次の年からは、誰も死なない普通のクラスになった」

恒一「なぜか、3組の生徒は必ず文化祭でバンドをやるっていう伝統だけが残っちゃったけど」

鳴 「別にいいと思う。楽しそうだと思った人が、楽しい事をやってるだけでしょう」

恒一「そうだね。今の僕たちと同じように」

小椋「あっ、こんなとこにいやがったのかよ。そろそろ出番だぞ」

綾野「わー、わー! 人がいっぱいだよ、東京ドーム何杯分かな!?」

杉浦「参加者全員が来てるとすれば8万人ぐらいだから、1.6杯分ぐらいじゃないかしら」

赤沢「二人とも、準備はできてる?」

恒一「もちろん」

鳴 「いつでも」

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
 ̄ ̄\/___/
    ドゴォォォォン!!
        ; '     ;
     \,,(' ⌒`;;)
   !!,' (;; (´・:;⌒)/
  ∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
 ⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
   ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄

          /\
     . ∵ ./  ./|
     _, ,_゚ ∴\//
   (ノ゚Д゚)ノ   |/
  /  /

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ     ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
 _/_ミつ/ ̄/_
      /_/

恒一「……あの年、見崎と初めて話した時。言ってたよね、ここに来てみたいって」

鳴 「! ……覚えて、るんだ」

恒一「うん。だからマジソンスクエアガーデンじゃなく、こっちをツアーのファイナルにしてもらったんだ」

鳴 「榊原くんにしては珍しく、強硬な主張だったから不思議に思ってたけど」

鳴 「……ありがとう」

恒一「喜んでくれて何よりだよ……さあ、行こう。僕たちは――」


恒一「今年のヴァッケン・オープン・エアの、ヘッドライナーなんだから」




終わり

ラストの手前でまさかのさるさん食らって超焦った
ここまで支援してくれたみんな、こんなイミフSSに付き合ってくれて
本当にありがとう

俺がメタル好きで、鳴ちゃんたちに演奏させたいってだけだったんだ

こっち方面の音楽あんまりわからないけど、おもしろい。
王子くんたちの曲かっこいいわぁ(´・ω・)
ちなみに>>1さんのオススメ教えてもらえたら幸いですたい(´・ω・)

>>157
速いのが好きであれば6人顔合わせの時のドラゴンフォースがおすすめ。
とにかくギターがアホみたいに速い。

そんなにメタルっぽくなくて聞きやすいのはH.E.A.T。
http://www.youtube.com/watch?v=QIwYCkJriSA

王子くんたちがやったのはソニックシンジケートってバンドだけど今
活動休止中、そのメンバーが別口でやってるThe Unguidedはもっとキーボードが多彩。
http://www.youtube.com/watch?v=HNomaxnIyWo

最近メタルに目覚めたんだが
ドリームシアターみたいなプログレでオススメとかある?

もしメタル好きがいるなら、今年のヴァッケンで会おう

>>160
プログレはあまり詳しくないんだけど、こんなのどうだろう。
ドイツのVanden Plas
http://www.youtube.com/watch?v=qdy2uk-GqFM

>>159
ありがとう(´;ω;)
でも、このスレの中で一番好きなのは王子くんたちの奴かな
教えてもらったのにごめんよ
今までメタルは敬遠してたけど、スゲェカッコいいわ。マジで。興奮して眠気が…
これから色々漁ってみます(^-^)/

>>163
謝らないでくれ、気に入ってくれたならそれこそ嬉しい
そのバンドは4枚アルバム出してるけど、あの曲が好きなら2ndと3rdが
いいんじゃないかと思うよ

あとそうだ、叙情系メタルコアってことでこのバンドもオススメ。
Dead by April
http://www.youtube.com/watch?v=nwAi8RrL1BE

では皆おやすみ。
万一朝まで残ってたら、俺に答えられる限りの質問に答える

>>165
やべぇ…好きだわ(;_;)/
callingって曲いいね☆

>>1ありがとう
ちなみにssもおもしろかったからな~(^-^)/

>>169
そう言ってくれると嬉しいわ
おやすみー

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