貴音「お慕い申しております」冬馬「え?」(296)

中の人的に

はよ

早く!!!

貴音「お慕い申しております」

冬馬「え?」

貴音「はい、いつもわたくし達などと全力で勝負していただけることに
    わたくしはとても感謝しているのです」

冬馬「そりゃ、当然だろ。アンタ達みたいなやり方は俺は好きじゃないからな」

貴音「ふふ、いずれわかる時が来ますよ」

貴音「わたくし、四条貴音と申します。どうぞお見知りおきを」

冬馬「あ、あぁ……わかったからとっととあっち行けって」

後日オーディション会場にて……

貴音「おはようございます」

冬馬「……またあんたか」

貴音「何かご不満な点でも?それとも体調が優れないのでしょうか?」

冬馬「はぁ?……いや、まぁ、別にそんなことはない」

貴音「それより、わたくしまだ挨拶が返されてないのですが……」

冬馬「……」

冬馬「……お、おはよう……」

貴音「今日の調子はいかがですか?」

冬馬「……別に。いつもと変わんねえよ」

貴音「……」

貴音「あの……そこ、座ってもよろしいでしょうか?」

冬馬「……勝手にしろよ」

冬馬(な、なんだよこいつ。長話でもするつもりかよ……)

貴音「では、失礼します」

冬馬(くそ、こんな長椅子になんか座んなきゃよかった……)

冬馬(ち、近い……近い……)

貴音「……?」

貴音「どうかされましたか?」

冬馬「い、いや、なんでも……」

貴音「ふふ……」ニコ

冬馬「な、なんだよ……」

冬馬(ぐあぁッ!!な、なんだこの匂い……!?)

冬馬(こ、こんな柔らかい匂い、初めて嗅いだ……!!)

冬馬(はっ!!……ま、まさかこいつからの匂い!?)

冬馬「……で、今日は何のようなんだよ」スススス

貴音「……?」

貴音「どうして遠ざかるのですか?」ススス

冬馬「ち、近いんだよ!!もう少し離れてくれよ!!」

貴音「嫌……ですか?」ウルウル

冬馬「ぐっ、……い、嫌じゃねえけど……他の奴らだっていんだからよ」

冬馬「せめて普通……くらいにしてくれよ」

貴音「ふふ、それでいいのですね?わかりました、あなたがそう仰るのなら」ススス

冬馬(……ったく、なんなんだよこいつ……)

貴音「あの……今日はお互い頑張りましょね?」

冬馬「お、おう……」

貴音「わたくし、自分自身も一生懸命がんばりますが」パシ

冬馬(手、手、手、柔らけぇぇぇええええ!!)

貴音「あなたのことも応援していますので」

冬馬「お、おおお、おう、おう……わ、わかった、さ、さサンキューな」

貴音「では、もうすぐ……ですので、これで失礼します」スッ

冬馬「……ふ、ふぅ……」

冬馬(やっと行ってくれるのか……)

貴音「ふふ……」ニコニコ

冬馬(なんで俺が手、振りかえしてやらなくちゃいけないんだよ……)

貴音「……」ニコニコ

冬馬(いつまで振ってんだよ)

貴音「……」シュン

冬馬(だーーっ!くそ!!振ってやるから早く行けっての!)ブンブン

貴音「……」パァァア  ニコッ

冬馬「は、はぁ……」

冬馬「ったく、どうなってんだよ……」

……

……後日、フェス会場にて……

冬馬「ふう、本番まで空き時間できちまったな……」

冬馬「まぁ、手際のいいスタッフのおかげで余裕ができたみたいだな」

冬馬「今日は楽屋は俺一人だし、個室のテントみたいになってるから
    誰も来ないだろ……」

冬馬「さてと、本番まで歌詞チェックとかいろいろしようかなー……ん?」

貴音「……」ヒョコッ

冬馬「……」

貴音「……」ジィーー

冬馬(四条貴音が中に入りたそうにこっちを見ている!?どうする俺!!)

冬馬「ごほん……」スクッ

シャッ!

冬馬「テントの入り口を完全に閉ざしてやったぜ……ふぅ」

冬馬「これで……落ち着いて……歌詞チェックが……」

貴音「できますね、ふふふ」

冬馬「いつ入った……」

貴音「とっぷしーくれっとです」ニコッ

冬馬「お、おい!個室のテントなんだから見つかったらヤバイだろ!」

貴音「そのような大きな声を出してしまった方が見つかってしまいます……」

冬馬「んぐ……で、今日は何のようだよ」

貴音「あなたに会いたいから会いに来たのにそれ以外に理由が必要ですか?」

冬馬「……」

冬馬(ちょ、ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってくれよ……い、今なんて?)

冬馬「す、すまんよくわからんのだが……」

冬馬「とりあえず俺とあんたは立派にアイドルやってるんだからこの状況はマズいだろ……」

冬馬「だから、とりあえず話があるなら外にしようぜ……」

冬馬(よ、よく言ったぞ俺の理性!!頑張れ俺!!心の涙が止まらない!!)

貴音「わかりました……そうしましょう」

貴音「あなたに迷惑をかけるわけには行きませんから」

冬馬「……ふぅ」

……

冬馬「で、別に用はないんだろ?」

貴音「こうやって一時でも同じ時間を過ごしたいのです」

冬馬(どーゆー意味が含まれてるのかわかりません!)

冬馬(こうやってってどうやって!!俺はどうすればいいの!)

貴音「……」

冬馬「……」

貴音「……」

冬馬「……」

冬馬(なんか喋れよぉぉぉお!俺か!?俺が話題を振らなくちゃいけないのか!?)

冬馬(なんでこいつ、こんな俺の隣座って居心地良さそうな顔してんだよ!)

冬馬(気まずいよ!とっても気まずいよ!)

貴音「……///」スッ ギュ

冬馬(うぉぉぉおお!!なんか知らんが黙って袖を掴まれただとぉぉぉ!!)

冬馬(い、いかんいかん!!ダマされるな俺!!)

冬馬(これはきっと何かの罠なんだ……)

冬馬「……///」チラッ

貴音「……?」ニコッ

冬馬(う、うぉぉぉおお!!うぉぉぉおお!!)

冬馬(え、ちょっと待って、何でこの人、彼女面なの!?)

冬馬(落ち着くんだ天ヶ瀬冬馬……)

冬馬(別に悪い気はしないし、まぁ、このままでも……って馬鹿!!)

冬馬(俺の馬鹿!!もうちょっと頑張るんだ理性よ!!)

貴音「あの……顔色がよろしくないのですが……
    どうかなされてのですか?」

冬馬(どうかしてるのはアンタだよ!!何!?俺をどうしたいの!?)

冬馬「い、いや、別に……」サッ

バッ

冬馬(な、なんとかさり気なく袖を振りほどくことができた……偉いぞ俺の理性達よ)

貴音「あ、あの……できればこのフェスが終わった
    あと少しお時間をいただけないでしょうか?」

冬馬「え?」

冬馬(どうする……このあと、帰ったら爺ちゃんと将棋する予定が……)

冬馬(爺ちゃんと将棋か美女と対談……ぐぐぐぐ)

貴音「ふふ、では、このフェスのあと765の控え室前で待っていますので」タタッ

冬馬「なっ、おい!!」

冬馬「行っちゃったよ……。はっ!!しまった!!」

冬馬(答えを言わせずに自分はここで待つと言う、まさか強制だと!?)

冬馬(ま、まずい……爺ちゃんとの将棋が……)

冬馬(いや、もしかしたら告白されるかもしれな……いやいや!!そんな訳!)

冬馬(だ、だが……もし、これで告白されたらどうすればいいんだ?)

冬馬(アイドルをやっている身、もちろん断らなくちゃいかんよな……)

冬馬(…………)

……妄想……

貴音「ふふ、冬馬、夕餉の支度ができましたよ」

冬馬「おお、もうそんな時間だったか……君を見ていて時間を忘れていたよ」

貴音「ふふ、それは誠に面妖ですね」

冬馬「ははは、全くだ!ははは」

……

冬馬「は、ははは……」

スタッフ「天ヶ瀬さん?天ヶ瀬さん?」

冬馬「はっ!!な、なんだよ……いたのかよ……」

スタッフ「あの、機材の確認の連絡に……」

冬馬「お、おう……」

冬馬(ったく……恥かいたじゃねえか……)

冬馬(し、しかし、一体何の用なんだろうな……)

冬馬(で、でも、お慕い申すって……まさかな?)

冬馬(だ、だが、俺には今、奴らを実力で倒すっていう目標が……)

冬馬(ど、どうすりゃいいんだ……)

冬馬(と、とにかく、あとで会ってきっちりと俺に近づくなと行っておかなくちゃな)

冬馬(……なんかすげえ惜しい気がする……)

冬馬(ったく、ホント、どうなってんだよ……)

じいちゃんと将棋・・・天ヶ崎くんかわいい・・・

フェス終了後……

冬馬「うーん……」

冬馬「……うーん……」

スタッフ「ど、どうしたんですか?」

冬馬「ん?……いや、どうするか迷っているんだ……」

冬馬「爺ちゃんとの将棋が……」

冬馬「爺ちゃんと将棋したら確実についてくる夕飯の婆ちゃんのハンバーグ……」ブツブツ

冬馬「んぐぐぐ……」

冬馬「し、しまった。もう時間だ……」

冬馬「じ、時間だからな、うん、しょうがないんだよ」

冬馬「べ、別に行きたくない訳じゃないんだけど……」

冬馬「いや、うん……しょうがないんだよ、だって、ほら、もう俺時間だし……」ブツブツ

スタッフ「だ、大丈夫っすか?……聞こえてないし……」

冬馬(俺だって行きたくなくて行かなかった訳じゃないんだ……

冬馬(つ、次に会ったら謝ろう……うん、さすがに約束を破ったことに変わりないからな)

冬馬(き、きっと許してくれる、よな……うん、いや、
    だって、爺ちゃんと将棋すんの結構前から決まってたし……)

……その日の夜……



冬馬(あっちに行けば良かったーーーーーーーー!!!!)




冬馬(集中できなくて全然爺ちゃんに勝てなかった……)

冬馬(……婆ちゃんのハンバーグはいつも通りで美味かったけど……)

冬馬(くそー!こんなことになるならあっちに行って話聞いとけば……)

冬馬(ったく、もし告白だったらどうすんだよ……勿体ねえーーー!)

安定の可愛さ

冬馬(ちくしょー……うん、これは絶対に謝ろう……)

冬馬(こんな、後悔する羽目になるなんて思わなかった……)

冬馬(……ホント、あの女……なんなんだよ……)

……
貴音「ふふふ、あなた様?」
……

冬馬(だーーっ!!妄想の中のあいつが勝手に喋りかけてくる!!)

冬馬(うるさい!くそー!全然寝れない……)

冬馬(くそー……あっちに行けば……うーん……)

冬馬(…………)

……後日、再びフェス会場……

冬馬「……ったく、どこにいるんだ……あいつ……」

冬馬「おかしいな……今日はいないのか?」

冬馬「……いない……のか……」

冬馬(なんでいねえんだよ……いつもいるのに)

冬馬「……って俺は何をあんな奴に振り回されてるんだ……!」

冬馬「こんなもん気にしたら負けだ……」

冬馬「と、とりあえず……自分の所に戻ろう……」

冬馬「もしかしたら……俺の控え室に……」

……

冬馬「いるわけないか……」

冬馬「って、なんであいつのこと必死に探してるんだ俺は!!」

冬馬「くそ、たった一回約束破っただけでこんな気分にさせられちまうなんて……」

冬馬「本当になんなんだよ……あいつ……」

普通にラブコメしてるよ・・・

……後日……

冬馬「……今日もいねえのか……」

冬馬「765プロの控え室……あった。これか」

コンコン

「はーい、どうぞー?」

冬馬「失礼します……」ガチャ

春香「あ、あれ?冬馬くん?」

冬馬「四条貴音いるか……?」

春香「貴音さん……?ああ、貴音さんは売れっ子だから私達とは控え室が
    別になってるんだ……隣にいると思うんだけど……」

冬馬「そうか……すまない……気づかなかった」

……

冬馬(これか……)

コンコン

「はい、どちら様でしょうか?」

「あ、あの少々お待ちを……」

冬馬(こ、ここは気さくに行った方がその後の展開が発展しやすくなるはず……)

ガチャ

冬馬「よう、この前は」

貴音「ひっ……」

冬馬(き、着替え中だとぉぉおおお!!?)

冬馬「す、すまん!!」バタンッ

冬馬(し、下着はつけていたが……は、は、初めて女の人の裸を……な、生で……!!)

やったー!

冬馬(く、くそ、これでどうやって……顔合わせればいいんだよ!!)

冬馬(は、肌……真っ白だったな……)

……妄想……

貴音「冬馬になら……見られても……わたくしは……」

……

冬馬(いかんいかんいかん!!そんな訳ないそんな訳ない!!)

冬馬「す、すまん、ご、ごよj,後日、出直す!!」

ガチャ  ガッ   グイィ  バタンッ

貴音「あ、あの……待ってください……」

やっぱ童貞でもイケメンならかわいく見えてくるんだな・・・

冬馬(な、なんだ……何が起きた!?部屋に引きずり込まれたのか!?)

冬馬(ま、待てよ、い、い、今後ろにいるのはし、しし、し、下着姿の……!?)

貴音「こちらは……決して振り向かないでください…ね?」

貴音「す、すぐに服を着ますので……お待ちください」

冬馬(や、やや、やっぱり服着てない!!  こ、こんな状況マズいんじゃないのか!?)

悪魔冬馬(押し倒せ♪押し倒せ♪)

天使冬馬(優しくしてあげなさい冬馬?)

冬馬(なんで意見一緒なんだよ!!)

冬馬(そんな訳で……着替えを中で待つ羽目に……)


スルッ   シュルゥ

冬馬(き、衣擦れの音が……や、やばい……こんなフェス会場の
    テント控え室で俺の股間が別のテントを立てている……)

冬馬(って、馬鹿なこと言ってる場合か……!!)

冬馬(も、もしかしてエロいコスチュームだったり……)

冬馬(しないしない!!絶対ないから!そんなんで誘惑とか……)

北斗さんに「俺のテント」とか当てはめるとなぜか違和感がないな
羅刹くんにはちょっとあるが

……妄想……

貴音「こ、こちらを向いてください、冬馬……///」

冬馬「ほう、これは中々……」

貴音「あ、あまり見つめられると……ぁんっ」

……

冬馬(だ、だめだ!!やめるんだ!)

冬馬(は、早くしてくれよ……ったく……)

貴音「どうされました?」ヌッ

冬馬「どわぁぁ!!」ガシャーン

冬馬「お、終わったんなら先に声かけてくれよ……」

貴音「すみません……大丈夫ですか」スッ

冬馬「す、すまん……」ギュ

冬馬(な、なんつーエロい、胸元の開いた格好を……)

冬馬(目のやりどころに困る……)

貴音「あ、あの……どうされましたか?熱でもあるのですか?」ピト

冬馬「や、やめろよ!!なんでおでこなんだよ!手でいいだろ!」バッ

冬馬「手も離せし!」バッ

貴音「っ!……」ウルウル

冬馬「ぐっ……わ、悪かったよ、乱暴にして……」

冬馬(どうされたいんだよ……)

貴音「ふふふ、わたくし今、とっても嬉しいのですよ」

冬馬「……え?」

貴音「だって、貴方様がわたくしの元にこうやって訪ねてきてくださってのは初めてですから」ニコッ

冬馬(な、なんだその笑顔は!!こっち見んな!)

貴音「えっと、それでどのようなご用件でしたでしょうか?」

冬馬「おっと、そうだった……こ、この前はすまなかった!!」

冬馬「急な約束だったから行けなかったんだ……」

冬馬(言えない!爺ちゃんと将棋してたなんて言えない!)

貴音「ふふ、いいのです……そのことはもう……」

冬馬「い、いや、何かあるなら……言ってくれ……
   できることならお詫びのつもりでしたいから」

貴音「わたくし、そのような風に貴方様に何かして欲しくはありません……」

貴音「あくまでも、貴方様がわたくしに自らの意志で何かをしてくれることを願います」

冬馬(な、なんだよそれ……どうしろってんだよ……)

冬馬「えっと……こ、この前の話ってのを聞かせてくれよ!」

貴音「いえ、そのことも……もういいのです」

冬馬(なぜーーー!先生!!この問題、俺には解けません!!)

貴音「あの時のことはあの時のことなのです」

冬馬(言ってることがわかりません!!女って難しいですね!)

冬馬「わ、わかった……こ、今度一緒にどこかに遊びに行こう!!」

冬馬「そ、それでいいだろ!?」

貴音「よろしいのですか?」パァァア

冬馬(先生!正解がこれだったんですね!?)

悪魔冬馬(どこかってホテルしかないだろ?)

天使冬馬(遊園地などに遊びに行きましょうよ)

冬馬(おお、天使!お前良いこと言うな!!それでいこう!!)

貴音「では、美味しいラーメン屋に連れて行ってください」ニコッ

冬馬・悪魔冬馬・天使冬馬(な、何ぃぃーーーーーー!?)

冬馬(ば、馬鹿な、ここは普通俺が提案する場面のはず!?)

冬馬(その前提を覆してきただと!?)

冬馬「お、おう……ま、ま、任せとけ……よ」

貴音「ふふ、あ、ではここに電話番号とアドレスを書いていただいてもよろしいですか?」

冬馬「ん?あ、あぁ、ま、ま、任せとけよ……ははは」

貴音「では、わたくしはりはーさるの支度がありますので……」

冬馬「じゃ、じゃあ俺はこれで……」

貴音「貴方様……お待ちを……」

冬馬「え?」

貴音「今日もお互い頑張りましょうね」 チュ

冬馬「なっ!!?  なぁぁぁああ!?」

冬馬(お、お、おおお俺のふぁ、ふぁふぁふぁーすとほっぺが!!)

貴音「ふふふ」タッタッタッ

……楽屋……


冬馬(何してんだ俺……)

冬馬(ラーメン屋って……言ったか……)

冬馬「くそ……どうすりゃいいんだよ……」

……フェス終了後……

冬馬「ん……メールが来てるな」

冬馬「10通!!?」

冬馬「ぜ、全部同じ奴からじゃねえか……」

冬馬「一通目……」

「お仕事終わりましたか?四条貴音です。
 わたくし、今、貴方様にめぇるを送っているのがとても嬉しいのです」

冬馬「2通目……」

「話の途中で送れてしまいました。すみません。わたくし、貴方様とこうして文通するのが
 夢でしたので、今も夢のようなんです。おかしいでしょうか?」

冬馬「…………」

「まだお仕事中なのですか?もうフェスも終わりになる時間ですが……
 打ち合わせ等の場で電話を鳴らしてしまっては申し訳ございません」

冬馬「……ひぃいいいいいい!!」

冬馬(ま、待て……これは問題ない……きっと普通に話して理解させれば」

冬馬「向こうもきっとわかってくれるはずだ……」

ブーーー!

冬馬「ま、またか……」

「写真を撮ってみたのですが……どうでしょうか?」

冬馬「添付ファイルがあるな……」

冬馬「う、うおっ!?な、なんちゅー格好してるんだコレ……」ゴクリ

冬馬「と、とにかく今すぐ返事出してこのメールの連鎖をやめさせよう……」

冬馬「えっと……メールありがとう。だけどそんなにたくさん送らなくても必ず返すようにするから
    返事が来たら次のメールを打つようにしてくれ……と」

冬馬「これで大丈夫だろ……」

ブーーー!

冬馬「はやっ」

「貴方様からのめぇるがこれほどまでに嬉しいものだとは思いませんでした。
 わかりました。ご迷惑をかけてしまいもうしわけありませんでした」

冬馬「ふ、ふぅ……なんとかわかってくれたか?」

……後日……

冬馬(なんとか約束を取り付けた俺はらぁめん屋にあいつを連れて行くために
    日付を決め……今、待ち合わせている……)

冬馬「……なんとか待ち合わせているの5分前に到着したか」

冬馬(あいつとは衣装とかしか見なかったからな……)

冬馬(私服……の……)

……妄想……

貴音「貴方様~うふふふ」タッタッタッ

……

冬馬「なんつってな……」ニヤニヤ

貴音「貴方様~~、うふふ」タッタッタッ

冬馬「何!?妄想通りで現れただと!?」

貴音「?どうされました?」

冬馬「い、いや、なんでもないぞ!!?」

貴音「ふふふ、さ、行きましょう?」ギュ

冬馬「なっ!!?んなぁぁぁああ!?」

冬馬(う、うでを回してきただとぉ!?)

冬馬(ぬ、ぬわぁぁあ!!な、何か腕に……や、や柔らかいものがぁぁああ)

冬馬(こ、これがこ、これがお、おお、おお、おっぱい、な、なのかぁあ!?)

貴音「!?どうされました?」

冬馬「な、な、ななんでもない……なんでも……ないんだ」

貴音「ふふふ、行きましょう?」

冬馬「あ、あっちにありますんで……」

…………

冬馬(何が起きたんだ……)

冬馬(俺の財布に……)

冬馬(思い出せ……)

冬馬(一体……何が…………)

冬馬(俺が気がついた時には隣にも腕にも四条貴音いなかった……)

冬馬(はっ……ここは待ち合わせの駅……?)

冬馬(そ、そうか……もう別れたあと……なのか?)

冬馬(口に残るラーメンの香り……)

冬馬(重たい腹…………)

冬馬(胃が……痛い……)

冬馬(……何にも記憶がない)

冬馬(……ったく、どうなってんだよ……)

……後日、音楽番組収録前……

冬馬「今日こそは奴に侵入されないように控え室の開け閉めに厳重注意せねば……」

冬馬(ま、まぁ……別に……入って来られても……)

冬馬(いや、だめだ!!ここ最近ペースに飲まれてるが本来はダメなんだ!!)

冬馬「えっと、俺の楽屋は……おっと、これか」ガチャ

貴音「おはようございます、貴方様」

冬馬(先回りされただとぉぉお!?)

冬馬(じゃ、若干喜んでる俺がいる……。バカバカ!喜んじゃダメでしょうが!)

貴音「あ、あの貴方様……実は折り入ってお話があるのです」

冬馬「……なんだよ、いつもよくわかんないし、つまんないじゃん」

冬馬(な、何を思ってもないことを口走ってるんだ俺は……)

貴音「貴方様のいけず……」シュン

冬馬(しょげてないでいいから早く教えてくれよ!)

冬馬「わ、悪かったよ……で、話って?」

貴音「わたくしが貴方様をお慕いしてることはすでに申してあります」

冬馬「……あぁ……それがどうした?」

貴音「あの……実はわたくし、貴方様と、こうしてもうお会いできないのかもしれません」

冬馬「……は?」

冬馬「そ、そっか……まぁ、別にいいんじゃねえの?」

冬馬(何言ってんだかさっぱりだけど……とりあえず……良かったわ)

冬馬(解放されるんだよ……な?これでいいんだよな?)

貴音「どうして貴方様はそう言うのですか?」ウルウル

冬馬「うっ、こっち来んなって……」

冬馬「そ、んなこと言ったって……反応に困るんだよ」

冬馬「俺とあんたは別に……つ、付き合ってるわけでもないのに……」

貴音「そ、そうです……よね……」

貴音「あの……わたくし、貴方様に……結局何にもしてあげられませんでした」

冬馬「……」

冬馬(いや、いろいろ迷惑されてるんですが……)

貴音「ですが……これで最後にしますね……」

貴音「今度こそ……本当に大事なお話があるので
    お仕事終わりにわたくしの楽屋に来ていただけますか?」

冬馬「え?……あ、あぁ……今日か……わかった……」

貴音「もし、今日これない場合は……もう二度と……」

冬馬「……おい、なんかあったのか?」

貴音「い、いえ……別に……その時にお話しますので……」

冬馬「……?」

冬馬(ま、まさか……あの記憶のないらぁめんの日に孕ませたのか!?)

冬馬(き、記憶のないうちに童貞じゃなくなってたのか!?)

冬馬(いやいや、んなアホな!)

貴音「あ、あの……」

冬馬「い、いや、なんでもない……今日は何の用事もないしな」

冬馬「今日は行く、必ず行く!!」

冬馬(俺は何をこんなに楽しみにしてるんだ!!)

冬馬(はっ、まさか、楽屋に呼んで……)

……妄想……

貴音「ふふふ、お待ちしていました……」パサッ

冬馬「ほう、今日も美しいね、貴音は……」

貴音「また、お上手ですね……」

冬馬「はっはっは……」

……

冬馬(いやいや!!ないって!!)

冬馬(というかなんで妄想内の俺は3割増くらいでダンディーになってるんだ……)

貴音「では、お待ちしております……約束ですよ?はい」スッ

冬馬「お、おう……」

貴音「指切った……ふふふ」

……本番終了後……

冬馬「ふんふんふーん♪」

スタッフ「あ、お疲れ様ですー、なんか今日機嫌いいっすね?」

冬馬「あぁ?んなこたぁねえよ!んなこたぁねえよ!ははは!」

スタッフ「……あんな廊下スキップしながら歩く人初めて見たわ……」

冬馬「さて、と……帰りの支度は済ませておいてっと……」

ドタバドタバタ……バタンッ!

冬馬「おいおい、ドアくらいもっと静かに開けられないのか?」

スタッフ「あ、天ヶ瀬さん、おじいさんが倒れたって……!!」

冬馬「な、何ぃぃい!?じ、爺ちゃんが!!?」

冬馬「びょ、病院は!?」

スタッフ「○×病院です!」

冬馬「す、すぐタクシー呼べ!!今下まで行くから!!」

冬馬(くそ、待ってろ爺ちゃん!!この前将棋した時あんなに元気だったじゃねえか!)

…………

看護師「お疲れ様です。おじいさんも幸いご自宅の階段をダンボール、お尻に敷いて
      滑り降りて遊んだら頭打って気絶したってだけなんで……」

冬馬「何してんだあの爺ちゃん……とんだデンジャラス爺ちゃんだな……」

看護師「今はもう反省してるみたいなんで……」

冬馬「そ、そうですか……よ、よかったぁ……。じゃ、じゃあ俺はこれで……」

冬馬「……ふぅ、なんとか無事みたいで安心したぜ……」

冬馬「ん……?なんか忘れてるような……」

冬馬「ああああああああ!!!しまったぁぁぁあああああ!!!」

タクシーのあんちゃん「え?テレビ局まで?」

冬馬「頼む!!今すぐだ!」

あんちゃん「へ、へい……」

……

冬馬「……ハァハァ……やっぱ、いねえか……」

冬馬「……そりゃそうだよな」

冬馬「俺の楽屋に……なんか手紙か?」

冬馬「この置き手紙は……あいつからだろうな……」

ペラッ

「嘘つき><」

冬馬「ぐ、す、すまねえ……メール打っとくか……」

冬馬(はぁ……くそ、失敗したなぁ……)

眠いから寝る
残ってたら完成させます
冬馬じゃないので約束は守りますよ

おまたせして申し訳ない。起きて家の掃除してたらこんな時間に
保守ありがとうございます
ぼちぼち始めましょうか

おお、戻ってきたのか

冬馬(……今日はいけなくてすまない。急用が入ったんだ、許してくれ……と)

冬馬(俺はどうしてこんな付き合ってもない女に媚び売らなくちゃいけないんだ……?)

冬馬(どうかしてるぜ、どいつもこいつも……)

冬馬(だいたいなんで俺なんだよ……)

冬馬(いや、そもそも……なんで俺はあいつのことを好きになっちゃいけないんだ?)

冬馬(い、いやいや……俺もあいつもアイドルなんだ)

冬馬(問題があってからじゃ遅いんだっつうの……)

冬馬(と、とにかく、今度また直に会った時に謝ろう……)

……後日、フェス会場……

冬馬「はぁ……そういや、もうすぐバレンタインの時期じゃないか……」

冬馬「……大量にチョコは来るものの」

冬馬「スタッフや関係者用のチョコ箱はほとんど空っぽじゃねえか」

冬馬「だいたいなんでファン用と分けたんだよ……」

ヒョイッ

冬馬「これ、誰のだ?やたらデカイが……ヴっ……北斗じゃねえか」

冬馬(にしても今日はあいつ来ないな……謝りたかったのだが……)

冬馬(も、もしかして……)

……妄想……

貴音「わたくし、貴方様のためにちょこを作ってきたのですが……手間がかかってしまって
    少々遅れてしまいました……」

冬馬「ははは、まったく、貴音はだめな子だなぁ、めっ!」

貴音「うぅ、貴方様はいけずです……」

……

冬馬(なんだこの妄想は……ありえないありえない)

冬馬(そして、やはり妄想のなかでは3割増しでダンディーになる俺……)

冬馬「……ん?」

貴音「……ふふ、何やら楽しそうですね」ヒョコッ

冬馬「……ん?お、おう……なんだあんたか……」

冬馬(き、キターーーッ!!)

冬馬(ひゃっほう!チョコゲット!チョコゲット!)

貴音「あ、あの……」モジモジ

冬馬(チョコかな?その手の後ろに隠してあるのはチョコなんだろう!はよ、くれや!)

貴音「この前はどうして来てくださらなかったのですか?」

冬馬(しまった……そっちの話が先だったか……)

冬馬「あ、いや、えーっと……これには訳があってだなぁ……」

貴音「もしや、わたくし以外の女性と密会をなさっていたのでしょうか?」

貴音「それでしたらわたくしは……わたくしは……」シクシク

冬馬(なんか知らんが勝手に泣き出したぞ!!)

冬馬(女の子がわかりません!助けて!)

悪魔冬馬(ここは押し倒せ!ガッとやってチュッとしてはぁんだ!)

天使冬馬(ここは優しくしてあげるべきです、まずは床を探すべきです)

冬馬(なんでまた一緒なんだよ!)

冬馬(しかし、前回同様にどこかに連れて行ってやるというのは……もう通じないだろう)

冬馬(えっと、何かお詫びになるもの……)

冬馬(そ、そうだ!!)

冬馬「す、すまん……これで勘弁してくれ……」

冬馬(たぶんこれは市販の奴だから何も俺宛のなんかとか入ってないだろう)

貴音「これは……ちょこれぇと?」

悪魔冬馬(お前、人からもらったチョコお詫びの品に渡すなよ……)

天使冬馬(見損ないましたよ……)

冬馬(だからなんで意見一緒なんだよ!!)

冬馬(い、いや、そりゃ俺だっていけないことだってのはわかってるが)

冬馬(今はこれでしか乗り切るものがないんだ……)

冬馬(しょうがないんだよ……)

冬馬(……ってなんでまた俺はこんな女に必死に言い訳してんだ?)

貴音「ですが、これは貰い物では……?」

冬馬(バレたーーーーーー!!)

冬馬(い、いや、そりゃバレるよね……貰い物ようのダンボール箱から取り出したらね)

冬馬「い、いや、これはお前にあげるように置いておいたんだが怪しまれると思って
    チョコの中に隠しておいたんだ…」

冬馬「ほ、ほら、よく言うだろ?木を隠すなら森の中って!」

冬馬(何を言ってるんだ俺は……)

貴音「ふふ、わかりました……。ですが、わたくし非常に寂しい思いをしたんですよ?」

ダキッ

冬馬(ふぉぉおおお!ち、近い、胸があたって、あ、良い匂いする!)

冬馬(めっちゃ良い匂いするぞぉぉおおお!)

冬馬(Fooooooooooo!!!)

貴音「わたくし、もう離れたく有りません」ギュゥ

冬馬(それはそれで困るんだけど……で、でもこれは……うわぁぁああ!)

悪魔冬馬(よし、Go!)

天使冬馬(この辺りの休憩所は……確か……)

冬馬(待て、早まるなお前たちぃぃぃいい!)

冬馬(や、やややばいって!こんな所人に見られたら!)

冬馬(雑誌の記者にでも撮られたらどうするんだよ!)

貴音「あ、あの……貴方様……?腰が引けていますが……お腹の調子でも悪いのでしょうか?」

冬馬(ち、違うんです……竿が当たっちゃうんだってば!)

冬馬「あ、あぁ……ちょっとな……」

貴音「もっと……わたくしは貴方様を肌で感じていたいのです」

冬馬(や、やめてぇぇぇ!暴発しちゃうから!!原子炉漏れちゃうから!)

貴音「貴方様はとっても良い匂いがします」

冬馬(そ、そんなエロイ顔して匂い嗅がないでください!!)

貴音「お腹の調子が悪いのでしたね……そこの長椅子に横になってください」

貴音「さ、どうぞ?」

冬馬(ま、ま、ままま、まさか……!!これが都市伝説とも言われた、膝枕!!?)

貴音「……?どうかしましたか?」ニコッ

ふたりともかわいいなあ

冬馬「お、お邪魔します……」

冬馬(まずい……こんな風に寝転がったら股間のテントが……丸見えじゃねえか!)

貴音「お腹の調子はどうですか?まだ痛みますか?」サスサス

冬馬「ふぁ、ふぁい……」

冬馬(い、いかーーん!非常にいかん!流されてはだめだ!)

冬馬「あ、もうそろそろ……大丈夫なんで……」

貴音「そうですか……わたくし、まだ貴方様をこうやって見ていたいのですが、よろしいでしょうか?」

冬馬「あ、……ど、どうぞ……」

……妄想……

貴音「ふふ、こんなになっては苦しいのでしょう?」サスサス

冬馬「ふぁ、ふぁい、そうです!」

……

冬馬(しまった、妄想の中でもとうとう童貞キャラに!!)

冬馬(せめて、妄想の中くらいダンディーにならないとな!)

貴音「貴方様ぁ……」ジィー

冬馬「な、なんだよ……」

貴音「ふふ、なんでもないです」ニコッ

ギュゥ

冬馬「むぐっ!!」

冬馬(く、苦しい!柔らかいもので顔面が!!)

冬馬(頭抱きしめられて顔におっぱいが!!)

冬馬(と、とりあえずタップ!)パンパンパン

貴音「……?どうかされましたか?」

冬馬「ぷはっ、こ、殺す気か!窒息死するわ!」

貴音「こ、これは……申し訳ありませんでした」

冬馬「べ、別に……わ、わかればいいんだよ!わかればよ」

冬馬(なんでまんざらでもない感じなんだよ……)

貴音「ではわたくしも、簡易ながらお詫びを……」

スッ   チュ

冬馬(んなぁぁぁああ!ほっぺに続き俺のファーストおでこまでもが!!)

冬馬「……///」

貴音「ふふ」ニコッ

冬馬「……!!だ、ダメだダメだ!やめろよ!俺とあんたは別にそんな関係じゃねえだろ」

バッ

冬馬(よ、よくぞ言った俺の理性!!だけど涙が止まらないよ、勿体無いよ!)

冬馬(よし、いいぞ俺!やられるばかりの天ヶ瀬冬馬じゃねえんだぞ!)

冬馬「だいたい……なんで俺なんだよ……」

貴音「……それは……」ギュ

冬馬(ま、また腕回してきた!)

冬馬(む、む、胸がぁあぁ!)

貴音「貴方様がとても可愛らしいからです」

冬馬「……お、おう///」

冬馬(い、いかん、何を喜んでるんだ俺は!!)

貴音「それに、わたくしは貴方様が一目見た時から運命だとわかっていました」

貴音「……あ、あの……」

……妄想……

冬馬「俺もなんだぜ」ガッ  チュッ

貴音「貴方様……///」

……

冬馬「はっ、え?な、なに?」

貴音「貴方様、一度でいいから貴方様からわたくしに激励を込めて」

冬馬(何?何を込めてって!?え?目、閉じてなんか待ってるけど……!?)

冬馬(な、なにこれ!?ど、どうすればいいの……?)

冬馬(え?え?く、唇にしろってことなの!?)

冬馬(き、ききこ、きしゅきっ、キッスをぉぉぉ!?)

冬馬(じゃ、若干アゴを上げてるということは……)

天使冬馬(Go!です)

悪魔冬馬(Go!だ!)

冬馬(で、で、ですよねーーー!?)

冬馬(い、いいのか?いいのかこれ?大丈夫なのか?)

貴音「…………」

冬馬(な、なんちゅーエロい唇してんだ……こいつ)ゴクリ

冬馬(め、目がくらんできた……)

冬馬(よ、よし、まずは……か、肩を掴んで狙いを定めよう……)ガシィ

冬馬「い、いいんだな?」

貴音「…………」コクン

天使冬馬(そこで聞くんじゃないよ!このへたれ!)

悪魔冬馬(何聞いてんだ!さっさと行けこのへたれ!)

冬馬(だ、だってぇ~~)

冬馬(と、とりあえず青信号です!!
   信号が青に変わります!手をあげてゆっくり渡ります!)

冬馬(大人の階段、冬馬!渡りまーーす!)

冬馬(じ、爺ちゃん、これが人生の王手なんだね!!)

悪魔冬馬(早く行けよ)

冬馬(OK,落ち着けよ冬馬……外すんじゃねえぞ……)

冬馬(ゆっくり……ゆっくり……)

チュッ

貴音「……わたくし、今日はとっても頑張れる気がします!」ニコッ

貴音「今日のこと、絶対に忘れませんからね?ふふ」タッ

冬馬「お、おう……じゃぁな……」



冬馬(おでこにしちゃったーーーー!!)



悪魔冬馬(このへたれ!!)

天使冬馬(このへたれ!!)

冬馬(ごめんなさいごめんなさい!)

悪魔冬馬(あーあ、あの時していれば……)

……

貴音「もっと、もっとしてください貴方様ぁ」

冬馬「ちっ、しょうがねえなぁ……ほら、んっ」

貴音「んっ、んちゅ、んぅ!」

……

悪魔冬馬(なんてこともあったのになぁ~?)

冬馬(や、やめてぇぇぇ!)

童貞童貞って人を勝手に童貞キャラにしてんじゃねえぞ!

天使冬馬(そのようなベロチューから……)

……

貴音「今夜は帰りたく有りません……」

冬馬「じゃあ、朝まで……だな?」

……

天使冬馬(なんてことも……)

冬馬(うわぁぁああ!やめてくれぇぇ!冬馬のライフはもうゼロよ!)

冬馬(ぅぅ……俺はきっと一生童貞……なのか……)シクシク

冬馬(この日、フェスで俺はよくわからん奴と戦い初めて負けた)

……

冬馬(く、くそ……あの日がきっかけで黒井のおっさんに無茶苦茶怒られたじゃねえか)

冬馬(気合入れなおしてあいつが来ても流されないようにしないと!)

……ロケ現場(山奥)……

貴音「貴方様ぁ~」タッタッタッ

冬馬「お、おう……め、珍しく普通の登場で焦ったぜ」

冬馬(しまった……普通の登場すぎてすんなり受け入れちまった!!)

貴音「今日は外のロケですね、楽しみです」

冬馬「そ、そうだな……」

冬馬「今日はやけに楽しそうだな……」

貴音「はい、わたくし、貴方様とご一緒できると聞いて心を踊らせていました」

冬馬「そ、そうなのか……」

貴音「さ、行きましょう?」ギュ

冬馬(なんか腕を回してくるのも慣れてきたが……
   どうしても神経が腕にあたるおっぱいに……)

>>200
Hさん「でも童貞だろ?」
Sくん「逆にそれで卒業してたら引くよねー」

貴音「ふふふ」

冬馬(相変わらず良い匂いがする……)

冬馬(はっ、また空気に流されている……)

貴音「ふんふんふーん♪」

ズルゥッ

冬馬「どわぁぁ!」

貴音「きゃぁぁああ!」

ドサァァッ

冬馬「いててて……道を踏み外して落ちたのか?」

貴音「うぅ……貴方様ぁ……」

冬馬「お、おい……大丈夫か!?怪我したのか!?」

貴音「あ、脚が……!」ズキ

冬馬「お、おい、むりすんなって!ほら、おぶされよ!」

貴音「貴方様ぁ……」

冬馬「ほら、捕まれって……よっと」

冬馬(うっ……、こ、ここで弱音を吐けない、絶対に吐けない!!)ヨロヨロ

冬馬「と、とりあえず、みんなの所まで戻ろう……」

冬馬「携帯はあるか?」

貴音「い、いえ……スタッフに預けてしまったので……」

冬馬「くそ、俺もだ……」

冬馬(はっ、なんだこのラブコメでよくあるベタな展開は……!!)

冬馬(と、言うことは……やっぱり背中にあの感触がぁあぁあ!)

貴音「あ、貴方様!天気が!」

冬馬「な、なんだと!?あ、雨が!!」

冬馬(て、定番すぎる展開!!ま、まさかこのあと!?)

……

貴音「あちらの小屋で肌と肌で温めあいましょう?」

冬馬「ふぁ、ふぁい!よろしくお願いします!」

……

冬馬(また童貞キャラが妄想で出てきちまった!)

貴音「あ、貴方様、一先ずあの小屋で休憩を……!」

冬馬「お、おう!!」

…………

冬馬「ふぅ、お、降ろすぞ……」

貴音「は、はい……く、クチュンッ!」

冬馬(くしゃみが可愛いなぁオイ)

冬馬「だ、大丈夫か?風邪引いてないか?」

冬馬「うっ、」

冬馬(雨で濡れた服が……!!す、透けているだとぉぉ!?)

貴音「貴方様……このままでは風邪を引いてしまいます……」

冬馬「そ、そうだな……だが、火はないし……」

貴音「幸い通り雨のようですので……少しの間」

冬馬(肌と肌を!!?)

貴音「肌と肌で温めあいませんか?」

冬馬(ひゃっほーーーーーう!!)

もう付き合っちゃえよ・・・

冬馬(今すぐルパンダイブしたいくらいだ……)

冬馬(はっ、まさか……)

……妄想……

貴音「じゃあ、いきなりですが、下から脱いでいただきますね?」

冬馬「ふぁ、ふぁい!お願いします!」

……

貴音「……」ヌギヌギ

冬馬「ぐはっ!」

冬馬(躊躇なく脱ぎだしたよ……)

冬馬(い、いかん、白い肌!!くびれ!濡れた下着!!)

冬馬(パンツが吹っ飛びそうです……)

貴音「あ、貴方様……あんまりジロジロ見ないでください///」

冬馬「ぐあっ、ご、ごめんなさい!!」バッ

貴音「あ、貴方様ぁ……」ピト

冬馬(ぐぁぁああああ!)

冬馬(だ、誰か助けてぇぇぇぇ!!)

冬馬(く、首に腕を回して抱きつかないでください!)

冬馬(お、おっぱいが……あああああばばばばばば)

貴音「貴方様ぁ……」ギュゥゥ  ブルブル

冬馬(……なんか、違うな、寒い時のと……)

貴音「む、虫が……」ブルブル

冬馬「な、なんだ……虫か……ちょっと待ってろ、今追っ払うから」

冬馬「よっ、ほら、シッシッ!」ブンブン

貴音「うぅ……怖い……」ウルウル

冬馬(うっ……!!)ズギュゥーーーンッ

冬馬(か、かわええ……)ゴクリ

冬馬(お、おお、おっぱいが当たって……)

冬馬(お、俺、今若干鼻息荒くないか?大丈夫か?)

冬馬(こういう時どうしたらいいんだ……)

貴音「貴方様ぁ……」ギュゥゥ

悪魔冬馬(あぁ?呼んだか?こういう時は俺と熱い一時を過ごせば~
      とか言っておけよ、はははは)

天使冬馬(こういう時は私が守りますからとか言うのですよ!)

冬馬(お、天使が久しぶりにまともだ!!)

冬馬(よ、よし……)ゴクリ

貴音「……貴方様ぁ……」ギュゥゥ





冬馬「だ、ダイジョブだ……すぐに……助けが来るから……」





悪魔冬馬(他人任せにしてどうすんだ、このへたれ!!)

天使冬馬(このキングオブへたれ!!)

冬馬(ごめんなさいごめんなさい!!)

貴音「もう、虫はいないですか?」

冬馬「お、おう、ほら、このとおりだ!」ブンブン!  ガッ

冬馬「うわぁぁ!」ドサァァッ

貴音「ひゃっ……」

冬馬(うわぁぁ!事故とは言え押し倒した形になってしまった!!)

悪魔冬馬(よくやった!行け!行け!)

天使冬馬(行け!行け!)

貴音「あ、貴方様……?」

冬馬「あ、いや、ちが、こ、これは……わざとじゃ……」

貴音「貴方様……」ブルブル

冬馬(目を閉じただと!?)

悪魔冬馬(Go!サインじゃねえか!いけ!)

天使冬馬(さぁ、大人の階段を登りましょう!!)

冬馬(ぐぐぐ……」

冬馬「ほ、ほら……大丈夫かよ……」グイッ

貴音「……は、はい。ありがとうございます貴方様」

悪魔冬馬(起こしてやるだけってなんだそりゃ!!このクソへたれ!)

天使冬馬(このへたれ虫!)

冬馬(うるせえ!)

冬馬「なぁ……あんた……なんで俺なんだよ」

冬馬「別に俺じゃなくてもいいだろ」

貴音「わたくし、前にも一度言いましたよね?」

貴音「貴方様に運命を感じたと……」

冬馬「あんたならきっと他にももっといい奴はいるだろ……」

冬馬「俺は……正直……困ってるんだよ」

冬馬「あんたの気持ちには答えられそうもないんだ」

貴音「でしたら、わたくしは傍にいるだけでも十分ですので」

冬馬「いや、だから……」

冬馬「あんた本当に俺のこと好きなのかよ」

悪魔冬馬(お前、それを目の前で本人に聞くか?)

天使冬馬(ありえないですね、察しなさいよ)

冬馬「わかんねえんだよ、そういうのってさ」

冬馬「あんたが何を考えて近づいてきたのかなんて……」

冬馬「俺にはさっぱりなんだよ」

貴音「はい、前々からお慕い申しておりました」

貴音「あの……嫌でしょうか?」

ヘタレかわいいなあ

冬馬「……困ってるんだよ。ライバル事務所の奴からこんな風にされて」

冬馬「一体どうしたいんだよ……勘違いさせて楽しいのか!!?」

貴音「!!……わたくしそのようなつもりは……」シュン

冬馬「……うっ、すまん」

天使冬馬(攻めるんなら攻めなさいよ、怯んでどうする)

冬馬「ここを出てみんなの所に帰ったら……関わらないでくれよ……」

冬馬(よく言った!俺、頑張ったな!!
   今日は婆ちゃんの家に行ってハンバーグ作ってもらおうぜ!?)

冬馬(勿体ないことをした……)

ほんのり塩の味がするハンバーグ

冬馬「俺とあんたには……お互いの事務所のことだってあるんだ」

冬馬「だから……迷惑をかけるわけにはいかない」

冬馬「あんたも俺もまだまだ売出時だろ……」

冬馬「こんなつまんないことで……あんたの夢を潰すわけにはいかないんだ」

天使冬馬(言ってることカッコいいけど言い訳だよねー……)

冬馬(やめろ、惜しいことをしてるのはわかってるんだから!)

貴音「そうですか……ご迷惑ですか……すみませんでした」

貴音「…………」シュン

冬馬「……と、友達としてならまた今度遊びに行ってもいいぜ?」

天使冬馬(お前振っといた直後にそれは、逆に追い打ちになりますよ?)

悪魔冬馬(俺よりよっぽど悪魔だなオメエさん)

冬馬(し、しまった……そうだったか……)

冬馬「い、いや……なんでもない……忘れてくれ」

天使冬馬(そしてあっさり前言撤回とは恐るべきへたれですね)

悪魔冬馬(しょうがねえほどへたれだな!どうするつもりだったんだよ……)

……
冬馬(あのあと、俺達は雨がやみ濡れた服を着てみんなの元に戻った)

冬馬(もちろん帰りもおぶっていった)

冬馬(しかし、この事件依頼……あいつは本当に関わってこなくなった)

冬馬(はぁ……ったく、どうなってんだよ……)

……後日、フェス会場……

冬馬「さて、今日も張り切って相手を叩きのめしてやるとするか……」

冬馬(あ、四条貴音……)

貴音「……」スタスタ

冬馬(そうか、関わるなって言っておいて俺は何を期待してるんだ)

冬馬(すれ違い様にも何も言わなかったなあいつ)

冬馬(あいつ……あんなに元気にしてこっちに寄ってきてたのに……)

冬馬(って、何を気にしてるんだ俺は……)

冬馬(……声をかけるべきか……否か……)

冬馬(い、いや、しばらくは放っておいてやろう……その方があっちのためなんだよ)

冬馬(い、いや、決して俺はヘタレじゃないからな!!)

冬馬(いつもの妄想も……全然調子がよくないし、発動すらしない……)

冬馬(……気になる……なんだこの胸のモヤモヤは……)

冬馬(なんとか、いつか言おうとしていたことだけでも聞き出せたらなぁ……)

冬馬(しょうがねえ、ここは1つ話かけるとするか……)

冬馬(だが、どうやって……?)

冬馬(……メールでいいか……)

天使冬馬(直接行きなさいよこのへたれ虫!)

冬馬(しょ、しょうがないじゃないか……)

冬馬(今度のフェスが終わったら俺の楽屋まで来て欲しい)

冬馬(よし、これでいいだろう……)

悪魔冬馬(お前、今度のって……次まで結構空くんじゃねえのか?)

冬馬(いや、きっと読んでくれてるさ……)

……そのフェス終了後……

冬馬(……まだか……?)ソワソワ

冬馬(……まだ来ないか……?)

貴音「……」ヒョコッ

冬馬「おお、その登場も久しぶりになると可愛いなぁもう!」

貴音「……あ、あの……なんでしょうか」

冬馬「い、いや、なんか元気なさそうだったからよ……」

冬馬「どうしてるのかなぁー……なんて」

貴音「わたくしは……いつも寂しい思いをしておりました」

冬馬「そ、そうか……」

冬馬「あ、あんまり元気がねえもんだからよ……て、適度になら
   会ってやってもならんこともないぞ?」

冬馬(なんで上から目線なんだ俺は……)

貴音「ふふふ、ありがとうございます。
   お気持ちだけ……受け取って起きます」

貴音「わたくし、今、お付き合いしてる男性がいるのです、ふふ」

冬馬「…………そ、そうなの?へぇー、どんな?」

貴音「ふふ、それはトップシークレットです」ニコッ

冬馬(…………)

冬馬「そっか……まぁ、そっちが楽しそうにしてるんなら俺としては?
   本望というか?うん、まぁ良かったじゃん。……ははは」

冬馬(………………)

冬馬「そっか、うん。じゃあ、今度会う時は正真正銘のライバルになれるんだな?」

冬馬(………………)

貴音「ふふ、ええ。負けませんよ」ニコニコ

冬馬(………………)

貴音「えっと、それでご用というのは……」

冬馬「っ! ……あ、いや、えーっと、なんでもないんだよ。
   今ので終わりだよ。元気にしてるかなぁーって思っただけだからさ」

冬馬(………………)

天ヶ崎さん


「おーい、貴音ー?」

冬馬(………………)

貴音「呼んでいますので……すみませんがこれで失礼します」

冬馬(………………)

貴音「また、呼んでくださいね?ふふふ」タッ

冬馬(………………)

冬馬「……」チラッ


「ふふふ、今日の勝ったご褒美はなんですか?」

「ん?らぁめんでどうだ!?」


キャッキャウフフ……

冬馬「…………」


悪魔冬馬(お、おい……行かねえのか?)

天使冬馬(これがラストチャンスですよ?)

冬馬(……っせえよ……。わかってるよ、んなこと)

冬馬(行かないと……絶対後悔することくらい……)

冬馬(クソ、動けよ俺の脚……!!)


ダッ!!

冬馬「おい!!!待ってくれ!!四条貴音!!」

ザワザワ……

冬馬「ず、あ、……う……」

冬馬(出ろ!!喋れ!!叫べ、俺!!)

冬馬(今しか、今しかないんだ……もう、もう次は……)

冬馬「ぐ……、す、……」

冬馬(だ、誰が見てようが関係ない!!もう、今しか……!!)

冬馬「ぐ、す、好きだーーーー!!!」

冬馬(よし、よしよし!!言ったぞ!言えた!!)

貴音「……」 ピタ……

冬馬「お、お前のことが、ず、ずっと好きだった!」

冬馬「ぐ、あ、えと……ど、どこにも行かないでくれ、貴音ーーーー!!」

ザワザワ……

貴音「…………」クルッ

貴音「…………ごめんなさいっ」ニコッ

冬馬(………………)

ザワザワ……

冬馬(………………)

冬馬「……」トボトボ

冬馬(………………)

冬馬(……ったく、なんだったんだよ、ちくしょう)

冬馬(……くそ、んだよこれ……)

冬馬「ックソォッ!!」 ガンッ  ガシャーーンッ

冬馬(…………)

冬馬「……はぁ……ちくしょう……」

…………


……

冬馬(あの日、あのあと事務所に呼ばれて黒井のおっさんに
    勢いで蹴って壊した机のこと騒ぎのことを無茶苦茶に怒られた)

冬馬(そのせいもあって何か色々吹っ切れた俺はアイドルとして
    真剣にやれていくことができ今では立派にアイドルをすることができている)

冬馬(あのことがなかったら何も変わんなかった……へたれのまんまの俺が)

冬馬(……あの日、俺はまた大人になったんだと……そう思う……)


END

思いっきり罵倒がしたいがそれをする気力が湧いてこない

くっつけたらくっつけたで怒る癖にBADENDも良しとしないとは……。
苦い思いをしてDTは強くなるんだぜ、というのを込めたがお気に召さない様子……。
正直さるさん鬱陶しくて思ったように書けなくて萎えてきてた……。

いや、そんな怒るなよ悪かったよ
残すのなら10時くらいに帰ってくるからどっからやり直すかご要望に答えます。

>>291
なんで貴音があそこまでアプローチしてきて断ったのかがわからん

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