向日葵「月高く昇る暗い夜にあなたと・夏」(149)

いつも喧嘩をするし、意地も張ってしまう存在――――

でも、心の底では放っておけない存在でもあり――――

どこか愛しい存在になった、あなた――――



今は若草のような恋心を胸に秘め、あなたを想うことしかできなくて―――




あかり「あっ、ちなつちゃんと向日葵ちゃん遅刻しちゃうよ」

ちなつ「はぁはぁ、何とか間に合った」

向日葵「まだ始まってないようですわね……」

櫻子「……」

~前回のあらすじ~

中学三年生になり、各々の進路を決める時期を迎えた一同。
しかし、櫻子は進路に対して覚束ない様子。
そんな中、ちなつの提案により、GW中に2泊3日の短期旅行をすることに。
慌ただしい旅行ではあったものの、みな思い出を残すことができた。

が、向日葵の恋路がちなつに勘付かれてしまい……

――そして


先生「……で、クラスでやる出し物を決めます。少し時間を――――」



櫻子「みんなは何かある?」

ちなつ「そうだねぇ、食品を扱えないってのが痛いけど……」

向日葵「と、なると、教室で行う出し物に限られますわね」

あかり「うーん」

ちなつ「候補としては、お化け屋敷とかあるけど、競争率高いし」

櫻子「迷路とか縁日とかは?」

向日葵「創作過程では盛り上がるかもしれませんが、当日は受付で終わる気が……」

あ、昨日何か紛らわしいこと言ったから訂正
×ゆるゆりSSは初めて
○ゆるゆりSSでスレ立てるのが初めて

ひまさくスレでは短編とか書いてたの忘れてた

櫻子「じゃあ、何もないじゃんっ!」

あかり「………………劇」

ちなつ「あっ」

向日葵「劇ならクラスでも印象の強い出し物になりますわね」

あかり「それに、劇だったら、体育館も借りられるよ」

櫻子「じゃあ、候補のところに『劇』って書いてくるー」

そ、そうなのか……

――そしてそして


先生「多数決により、このクラスの出し物は『劇』に決まりました」

パチパチパチ

先生「後日、配役決めをしますが、その前に脚本の担当を決めたいと思います。誰か立候補はいませんか?」

あかり「ノ」


シーン……


先生「えー、じゃあ、すいせn」

ちなつ「は、はい……」

先生「はい、吉川さん」

ちなつ「あ、赤座さんがいいと思います……」

先生「赤座さん、よろしいですか?」

あかり「は、はい、頑張ります!」

ちなつ(あかりちゃん、席の場所が悪かったね……)

――さらにそして


あかり「やったね、劇だよ!」

ちなつ「脚本がんばってね」

向日葵「お話に詰まりましたら、私達も手伝いますわ」

ちなつ「絵に困ったら、私が解決するんだから!」

あかり「え、絵はたぶん必要ないから、ちなつちゃんも脚本の方手伝ってほしいなぁ」

ちなつ「そっか。じゃあ、そうする」

櫻子「役に木とかないかな?」

向日葵「サボる気満々ですわね」




こうして、クラスの出し物は劇に決定しました

――月日は流れて六月某日

※尺の関係により、運動会は省略



~生徒会室~


櫻子「あー、最近雨ばっかー」

向日葵「そうですわね……それよりも、中間テストは大丈夫だったんですの?」

櫻子「……何とかして赤点一つに抑えた」

向日葵「ま、まぁ、櫻子にしては上出来ですわ」

櫻子「どういう意味だよ!」

向日葵「ところで、進路はもう決めましたの?」

櫻子「うーん、まだよくわかんない」

春は一応完結
ほんとは全部ひっくるめて一作品だったけど、分割五部作品にした
だから、あとは秋、冬、+αが残ってる

向日葵「早く決めないと二者面談も始まるし、夏休みも来てしまいますわ」

櫻子「んーじゃあ……向日葵と同じ高校にしよっかなぁ……」

向日葵「え?」

櫻子「だって、どこ行ったって同じだしぃ」

向日葵「そ、そう」

櫻子「なんだ、あんまり喜ばないな。この櫻子様が一緒だ、っていうのに」

向日葵「そういう意味ではなくて。それにあなたの学力では七森なんて到底……」

櫻子「だから、そのために向日葵が私に勉強教えるんだろ!」

向日葵「いえ、その……私は構わないけど、あなたは本当にそれでいいの?」

櫻子「……」

向日葵「私は……あなたに合った道を進んでほしい」

櫻子「わ、私と一緒なのが嫌なの?」

向日葵「え、そんな風に言ったつもりは……」

向日葵「と、ともかく、撫子さんに一度相談した方がいいですわ」

櫻子「……」

向日葵「……えっと、このプリント、提出してきますわね」ガタッ


ガララ

向日葵(本当は嬉しいはずなのに……)

向日葵(胸の奥で引っ掛かるこの蟠りは何なの……)



あかり「あれ? 向日葵ちゃんだ。生徒会のお仕事かな?」

ちなつ「……」

今更だけど、細かいところは頭で補完してください
現在の生徒会とごらく部って二人だけ?とか……

――数分後


ガララッ

向日葵「ただい……ま?」

向日葵「櫻子?」


~大室家~


櫻子「ねーちゃんっ!!」

花子「櫻子うるさいし」

櫻子「ねーちゃんは?」

花子「まだ帰ってきてないし」

櫻子「はぁ……」

花子「?」

櫻子「……」ユラユラ

花子「??」

~生徒会室~

向日葵(……櫻子)

ガララッ


向日葵「さくr」フッ

ちなつ「ごめんね、私で」

向日葵「い、いえ、別にそういうわけでは」

ちなつ「……何かあった?」

向日葵「……少し」

~櫻子の部屋~


櫻子「……」グデーン

トントン

撫子「櫻子、入るよ」

ガチャッ

櫻子「……」

撫子「花子から私を探してるみたいだ、って聞いたけど」

櫻子「……進路」

撫子「だろうね、そんなことだと思った。で、何があった?」

櫻子「向日葵と同じ高校に行くって言ったら……」

撫子「うん」

櫻子「本当にそれでいいのか、だって」

撫子「なるほどね」

櫻子「何で……私は向日葵のことを思って言ったつもりなのに……」

撫子「それはさ……ただ甘えてるだけだからだよ」

櫻子「……」

撫子「結局はひま子に頼りたいがために、同じ高校行きたいだけじゃないの?」

櫻子「ち、ちがっ」ガタッ

撫子「じゃあ、聞くけど櫻子がひま子なしでできることは、何?」

櫻子「そ、それは……」

向日葵「大人になっても同じように金魚のフンでいるつもり?」

櫻子「うっ……」

撫子「この前話したこと覚えてる?」

櫻子「この前……何だっけ?」

撫子「まぁ、それは置いておこう……あのね、ひま子を本当にオモってるなら、櫻子の考えは少し違うんじゃない?」

櫻子「……」

撫子「逆に言えば、ひま子は櫻子のことを本当にオモっているから、そういうことを言ったんだよ」

櫻子「……え?」

撫子「今はそれしか言えない。後は櫻子次第だよ」

櫻子「……」

撫子「それと、まず何かしないといけないことあるよね?」

櫻子「……うん」

~生徒会室~


ちなつ「……なるほどね」

向日葵「私は何か間違ったことを……」

ちなつ「たぶん櫻子ちゃんは向日葵ちゃんの言葉を違う風に捉えちゃったのかもね」

向日葵「違う風に……私は何てことを……」

ちなつ「本当に向日葵ちゃんが櫻子ちゃんを想っているなら、ちゃんと心の内を伝えるべきだよ」

向日葵「……心の内?」

ちなつ「ほら、向日葵ちゃんのその胸には何が詰まってるの!」グニッ

向日葵「ひゃッ!」サッ

ちなつ「そうやって、櫻子ちゃんへの気持ちを溜め込みすぎなの!」

向日葵「い、言い掛かりですわ……」

ちなつ「だ・か・ら!」

ちなつ「素直に本当のことを伝えればいいじゃん」

向日葵「……」

ちなつ「後は、向日葵ちゃん次第ね♪」

向日葵「あの……ありがとう」

ちなつ「ふふっ、じゃあね~」


ガララッ

あかり「!」

ちなつ「……盗み聞きは良くないよ」

あかり「ごめんなさい」

~校門~


タタタタタッ

櫻子「ハァッハァッ」

櫻子(お願いだから、まだいてくれよ)


ちなつ「あれは……」

あかり「あっ、櫻子ちゃん」

櫻子「二人共……」

ちなつ「あれ? 忘れ物かな?」

あかり(白々しいよ、ちなつちゃん)

櫻子「い、いや、まぁ、ちょっとね」

櫻子「急いでるから、じゃ!」タタタッ



ちなつ「……さ、私達は帰ろう」

あかり「そうだね」

~生徒会室~


ガララッ

向日葵「!?」

櫻子「よ、よっ」

向日葵「櫻子……」

櫻子「あのさ!」 向日葵「あのっ!」

向日葵「あ、先にどうぞ」

櫻子「あ、うん」

櫻子「えっと……さ、さっきは軽はずみなこと言って、わわ悪かった……よ」

櫻子「その、やっぱり、自分の進路は自分が納得いくように決めようかなぁ……って」

櫻子「ほ、ほら、いつまでも向日葵に頼るわけにはいかないでしょ?」

向日葵「そう……あなたが決めた進路に、私は口を挟みませんわ」

向日葵「それと、私も誤解を招くようなことを言って、ごめんなさい」

向日葵「ね、念のために言いますけど、別に櫻子と同じ高校が嫌ってわけじゃありませんからっ!」

櫻子「そ、そう、なんだ……へぇ」

向日葵「ほ、ほら、まだ仕事がこんなに残ってますわ! さっさと片付けないと」

櫻子「お、おう!」



翌日、向日葵と櫻子の仲は元通りになりました

――六月・中旬

~教室~


ちなつ「あージメジメするー」

あかり「そういえば、昨日、脚本仕上がったよ」

ちなつ「へぇ、じゃあ、配役決めも近い内にやるんだ」

あかり「うーん、たぶん今日かなぁ……」

櫻子「木こい! 木こい!」

あかり「あ、ちなみに木はないよ」

櫻子「ぬぁにぃぃい」

向日葵「いや、当たり前ですわ」

ちなつ「どんな脚本か見てもいい?」

あかり「うん、いいよ。ちょっと待ってね……はい」

ちなつ「ありがとう……どれどれ」

あかり「えへへ、初めて作ったから、上手にできたかわかんないけど」




ちなつ「∵」

向日葵「よ、吉川さん!?」

ちなつ「『クラゲ仮面とユリ姫』、まずこのタイトルは何ですか……?」

あかり「クラゲ仮面が悪の王様ワルインジャーに誘拐されたユリ姫を助けるお話だよ!」

櫻子「おお! 特撮か!」

ちなつ・向日葵「えっ」

あかり「当たり! 実は王道物にしてみたんだ」

櫻子「いやぁ、あかりちゃんはセンスあるよ」

あかり「て、照れるなぁ」

ちなつ「あの、あかりちゃん、もう一回だけ考えを改めてみない?」

向日葵「ぜ、絶対その方がいいですわ!」

ちなつ「特撮は女の子にウケが悪いってハーバード大学の研究で分かったんだよ!」

向日葵「しかも、中三の女の子は98%が好みじゃないということもオックスフォード大学の研究で明らかに!」

あかり「そっかぁ、もう一回書き直そうかな」

ちなつ「待って! ホームルームが始まるまでに私が書き直す!」

あかり「へっ?」

ちなつ「安心して! 登場人物はそのままにするから!」

あかり「う、うん、じゃあ任せるね」

――そして


先生「今日は配役を決めます」

ちなつ(何とかして、特撮から純愛物に変更できた……)

先生「劇名は『百合姫』だそうです」

あかり「じゃあ、役の名前を黒板に書いていきますね」カツカツ

先生「配役は平等にくじ引きで決めようと思います」



向日葵(き、緊張しますわ)

櫻子(脇役こい、脇役こい!)

ちなつ(ワルインジャーだけは勘弁……)

先生「では、順番にくじを引いてください」

櫻子「先に向日葵行け!」

向日葵「わ、私から!? まぁ、結果は然程変わりないと思うけど……」

向日葵(これでいいですわ)ガサッ

櫻子「何出たー?」

向日葵「ちょっと、待ちなさ……!?」

ちなつ「……」

向日葵「……百合姫……」

櫻子「……」

――だいたいの人がくじを引いて


ちなつ「ワ、ワルインジャーorz」

向日葵「ま、まぁ、似合ってますわ」

ちなつ「うぅ……」



櫻子(ふむ、あと三役か)

櫻子(王子様、クラゲ仮面、そして、通りすがりの猫!!)

櫻子(で、残る一つがあかりちゃんになるわけか……)


向日葵(まだ王子様は……)

向日葵(って、何意識してますの、私は)

櫻子(…………)カサ

向日葵「……」ドキドキ

櫻子「……」チラッ
















櫻子「……通りすがりの猫」



ゆき「あっ、王子様……」

めり「おお、やったじゃん、ゆきちゃん」

ゆき「わ、私にできるかなぁ」

前回のスレとやらをください!

ゆきちゃん、めりちゃんに関してはゆるゆり4巻『掃除!!』P.25に出ています
未読の人は名前のあるモブだと思ってください
まどかマギカでいう中沢みたいな存在

あかり「じゃあ、あかりがクラゲ仮面……」

向日葵「……」

櫻子「向日葵! 脇役きたよ!」

向日葵「そ、そう……良かったですわね」

ちなつ「……」

>>64
向日葵「居回りの若草は愛くるしくて・春」って名前だけど、どっかに書いた前回のあらすじで十分かな?

――放課後

~教室~


向日葵(別に期待していたわけでもなかったのに……)

ちなつ「ねぇ、向日葵ちゃん」

向日葵「な、何ですの?」

ちなつ「今日少し時間ある?」

向日葵「ええ。でも、何か用でも?」

ちなつ「んー、ほら、脚本の添削してもらいたいんだ」

ちなつ「だって、あかりちゃんと櫻子ちゃんは……ね」

向日葵「それなら構いませんが……」

ちなつ「じゃあ、決まり!」

向日葵「……」

~通学路~


櫻子「今日、向日葵、ちなつちゃんと用事あるんだって」

あかり「最近仲良いよね、二人とも」

櫻子「向日葵のやつめー。私も用事あったのにー」

あかり「へぇ、どんな?」

櫻子「そ、それは、向日葵は私専用の家庭教師だからっ!」

あかり「そっかぁ。それにしても、もう六月も半分過ぎちゃうんだねぇ」

櫻子「あー、確かに……半分?」

あかり「どうしたの?」

櫻子「何か……何か忘れてるような……」

あかり「うーん、あかりにはわからないけど、思い出せるといいね」

余談だけど、以前ひまさくスレにてゆきめりの短編を書いたのは私です!
ゆきめりいいよね、ゆきめり!

櫻子「うん……あ、言い忘れてたけど、クラゲ仮面決まっておめでとう」

あかり「ありがとう~。やっぱり残り物には福があるんだね」

櫻子「だね。私も脇役になれたことだし」

あかり「あっ、じゃあ、特別にクラゲ仮面の誕生秘話を教えてあげるよ!」

櫻子「…………誕生秘話?」

あかり「うん! あのね……」

櫻子「誕生秘話……誕生…………誕生日!」

あかり「あかりの誕生日はまだ先だよぉ」

櫻子「あかりちゃんのじゃないよ!」

あかり「ええっ、じゃあ、誰の?」

櫻子「……ねぇ、あかりちゃん、少し時間ある?」

あかり「う、うん」

~教室~


向日葵「……」

ちなつ「で、ここの部分を変えようと思うんだけど……」

向日葵「……」

ちなつ「……王子様」ボソッ

向日葵「え」

ちなつ「は結衣先輩に似合そう」

向日葵「そうですわね……」

ちなつ「あーあ、向日葵ちゃんはいいよね、お姫様役」

向日葵「そ、そんなことは……」

ちなつ「……期待した?」

向日葵「!! べ、別に櫻子なんかには!」

ちなつ「まだ『期待した?』としか聞いてないんだけど」

向日葵「うっ…………いじわるですわ」

ちなつ「ごめん、ごめん。でもね、その気持ち、わからなくもないよ」

向日葵「……」

ちなつ「だって女の子なら白馬の王子様に一度は憧れるもん」

向日葵「……何でもお見通しですのね」

ちなつ「恋する乙女の勘だって♪」

向日葵「確かに私は……櫻子を慕っているのかもしれない」

向日葵「でも、それは叶わぬ恋路。最初から期待など……」

ちなつ「それでも、やっぱり諦めきれない……でしょ?」

向日葵「そうかもしれませんわ」

ちなつ「何もしてないのに諦めるのは、ただ後悔するだけだと思うなぁ」

向日葵「……」

ちなつ「じゃあ、私からは以上! おせっかいで気を悪くしたのならごめんね」

向日葵「いえ、とっても勇気付けられましたわ」

ちなつ「それなら良かった。んー、もう遅いし、帰ろっか」

向日葵「ええ」



ちなつ(私が見た感じなら、二人は……)

ちなつ(問題は櫻子ちゃんか……)

――翌日

~教室~


ちなつ「おはよう」

あかり「おはよう、ちなつちゃん」

向日葵「おはようございます」

櫻子「おはよ……」

ちなつ「ん? あれ? もしかして、今日って向日葵ちゃんの誕生日だっけ?」

向日葵「そうですけど……」

ちなつ「あちゃー、何も準備してなかった」

あかり「あー! そうだった!」

ちなつ「明日、誕生日プレゼント用意するね」

あかり「あかりも!」

向日葵「そ、そんな、わざわざ用意する必要なんて……気持ちだけで十分ですわ」

あかり「そんなことないよ。 あっ、そういえば、昨日櫻子ちゃんが――――」

櫻子「!!!!」ガバッ

あかり「ふもぉ、ふももぉ」

櫻子「しーっ!」

ちなつ「……」

向日葵「?」

~生徒会室~


櫻子(給食早食いしたから、胃がもたれる……)

櫻子(そんで、向日葵にこれを……)ガサゴソ

櫻子(ああっ! 緊張してきた!!)ウロウロ

櫻子(何て言えばいいんだよ!)

櫻子(毎年あげてれば、自然な流れで行けたのに)

櫻子(去年渡すの忘れた自分を恨んでやるぅ)

櫻子(しかも、勢いで買ったこれ……気に入るかなぁ……)

ガララッ

向日葵「あ、あの……」

櫻子「げっ、向日葵」

向日葵「わざわざ呼んでおいて『げっ』はないでしょう」

櫻子「あ、うん、悪かった」

向日葵「その、何か?」

櫻子「えー、ごほん」

向日葵「……」

櫻子「あー、今日は晴れてるなー」

向日葵「今日はどう見たって、雨ですわ」

櫻子「じょ、冗談はさておき……と、ところで、向日葵はいつもそのカチューシャしてるよね」

向日葵「ええ。まぁ、だいぶ古くなってきましたけど……」

櫻子「えっ、じゃあ、カチューシャ欲しかったの!?」

向日葵「はい? いきなり何の話ですの?」

櫻子(ちなつちゃんに聞けば良かった……)

櫻子「……えーと、もし良かったらでいいんだけど……」サッ

向日葵「……えっ」

櫻子「これ……あげるよ」

向日葵「これって……もしかして」

櫻子「た、誕生日プレゼント……的なやつ」

向日葵「開けてもよろしくて?」

櫻子「いいけど、期待は……」

向日葵「……」シュルシュル パカッ

櫻子「ど、どう?」

向日葵「……リボン?」

櫻子「う、うん。向日葵に似合うかなぁ、って、あかりちゃんと相談して選んだんだけど」

向日葵「……」

櫻子「あ、や、やっぱり気に入ら――――」

向日葵「嬉しい……とても、嬉しい……」

櫻子「! そ、そっか! ……そっかそっか!!」

向日葵「大切にいたしますわ」

櫻子「い、一応使えよ! せっかくあげたんだからっ!」

向日葵「ふふ、もったいないですけどね」


向日葵(櫻子が誕生日を覚えててくれた……やっぱり、わたくしは……)


櫻子「何にやにやしてんだよっ!」

向日葵「内緒、ですわ!」タタッ

櫻子「あ、待てー! 私に教えろー!!」タタッ



昼休みが終わるまで、生徒会室で戯れました

――それから約一ヶ月後


櫻子「やっと夏休みだぁ!!」

あかり「何かあっという間だったね」

ちなつ「あ、ねえねえ、夏休み中のクラス練習の日程どうする?」

あかり「うーん、やっぱり出られるだけ出ようかなぁ」

向日葵「確かに赤座さんは台詞多そう」

ちなつ「人のこと言えないでしょ、向日葵ちゃん」

向日葵「そ、そうですわね。まさか主役になるとは思ってもいなかったから」

櫻子「ははは、それに比べて私は脇役!!」

向日葵「だから何ですの……」

ちなつ「ま、中学生最後の夏休みで、最後のクラス行事! 出来るだけみんなで集まろうよ!」

あかり「勉強大変だけど、そうしたいね」

ちなつ「よーし、みんなで最高の出し物にするぞ! けって~い」

あかり「ちなつちゃんは違うキャr……な、なんでもないよぉ」




こうして、夏休みと劇『百合姫』のクラス練習が始まった

――夏休み中のクラス練習・一回目


向日葵「これが台本ですの?」

櫻子「…………私の台詞ゼロだ」

ちなつ「正直いてもいなくても変わりないからね。その代わり、出番は多くするよ」

ゆき「わ、私の台詞こんなに……」

櫻子「がんばれ、ゆきちゃん!」

あかり「それじゃあ、練習はっじめっるよ~」


ちなつ「まずは棒読みでもいいから、一通り流れを掴もうね

――そして


向日葵『私はユリ王国の百合姫。平和で優雅な国のお姫様』

向日葵『しかし、悪の秘密国家バラーの王様ワルインジャーによって囚われの身になってしまったの』

向日葵『今宵もひとり、冷たい牢獄で……』


ゆき『待っててください、百合姫よ。今すぐあなたを助けに向かいます』


あかり『王子様~、お供します』

――そしてそして


ちなつ『ふはは、少しでも動いたらこいつの命はないぞ!』

ゆき『くっ、卑怯だぞ! ワルインジャー!』

向日葵『わ、私のことはいいから、ワルインジャーを倒してください』

――さらにそして


向日葵『きっと助けに来ると信じていました』

ゆき『姫様……』

向日葵『王子様……』



ちなつ「で、ここでキスをする」

向日葵「へ?」

ゆき「え?」

櫻子「!!」

めり「えっ?」

あかり「えーっ!」

ちなつ「……というのは冗談で、キスしたふりをお願い」

ゆき「な、なんだ、びっくりしちゃった」

向日葵「変な冗談はよくないですわ」

ちなつ「ごめんね、二人とも」

あかり「ちなつちゃん、冗談に聞こえないよ……」

ちなつ「……ごめん、あかりちゃん」

櫻子「……」

――数時間後


ちなつ「じゃあ、今日の練習はここまでにしよっか」

向日葵「そうですわね」

ゆき「次に来るまでは自主錬かな?」

あかり「あかり、お姉ちゃんに手伝ってもらう!」

櫻子「……ふぁあ」

向日葵「さ、帰りますわよ、櫻子」

櫻子「はーい」

~古谷家~


向日葵『私はユリ王国の……』

向日葵(一人の練習は虚しいですわね……)

向日葵(仕方ない、楓に手伝ってもらいましょう)


ピンポーン


向日葵「?」

櫻子「ひまわりー遊べー」

向日葵「……何時だと思ってますの?」

櫻子「んー八時くらい?」

向日葵「九時ですわ」

櫻子「まぁ、いいじゃんか。上がるよー」

向日葵「まったく……」

~向日葵の部屋~


櫻子「おじゃまするー」

向日葵「今お菓子持ってきますわね」

櫻子「おー! 気が利く……ん?」

櫻子(台本……自主錬してるのかな?)

櫻子(向日葵も大変だなぁ)

向日葵「お待たせしましたわ……って、何してますの?」

櫻子「あ、あー、ちょっと台本読んでただけだよ」

向日葵「……」

櫻子「いやぁ、主役は大変だなぁ」

向日葵「…………あの」

櫻子「ん? 何?」

向日葵「劇の練習……手伝ってもらえません? その……一人だと難しくて」

櫻子「私が? まぁ……別にいいけど」

向日葵「ほ、ほんと!?」

櫻子「う、うん。で、どれやればいいの?」

向日葵「で、できれば……お、お、王子様……とか」

櫻子「王子ね、いいよ」

向日葵「じゃ、じゃあ、ここの場面から!」

櫻子「はいよ」

――数十分後


向日葵「きょ、今日はありがとう」

櫻子「別にいいって、暇だったし」

向日葵「おかげでいい練習になりましたわ」

櫻子「…………な」

向日葵「な?」

櫻子「な、何なら、毎日練習に付き合ってやってもいいけど……」

向日葵「お、お願いしてもよろしくて?」

櫻子「お、おう!」

――夏休みのクラス練習・四回目


向日葵『もう私は……』



あかり「向日葵ちゃんの演技、とても上手になったよね」ゴショゴショ

ちなつ「うん、様になってる」

あかり「……あかりもがんばらないと!」

櫻子「……」

~古谷家・向日葵の部屋~


向日葵『きっと……きっと、助けに来てくれると信じてました……』

櫻子『姫様……』

向日葵『王子様……』


向日葵「は、はいっ、今日はこの辺でお開きにしましょう!」

櫻子「あ、あー、だな。じゃ、じゃあ、おやすみ」

向日葵「お休みなさい……」




向日葵(この後だけ……上手くできない……)

~大室家・櫻子の部屋~


櫻子『待っててください! 百合姫よ!……』

櫻子『くっ、卑怯だぞ、ワルインジャー!』

櫻子『こうすれば、あなたと話せると思ったから』

櫻子『姫様……』



櫻子(あれ、覚えちゃった……?)

あともう少しなんだけど、お風呂入ってきます
30分くらい保守お願いします

――夏休み中のクラス練習・最終日


ちなつ「今日は一通り通してみよっか」


向日葵「ええ、それでは、始めますわね」

向日葵『……私はユリ王国の百合姫。平和で優雅な国のお姫様』

――そして


ちなつ『な、何故、剣を捨てた!?』

ゆき『こうすれば、あなたと話せると思ったから』

※中略


ちなつ『わ、私は……何てことを……』

あかり『ワルインジャー、傷ついたその腕に何を抱いてる』

ちなつ『!』

ゆき『打たれた頬を拭うように笑いなよ』

あかり『苦しみは優しさを死なせはしないからね』

ゆき『うん、弱さを知れば人は強くなれる』

あかり『さぁ、お前の罪を数え、魂に踏み留まれ』

ゆき『そして、愛する者を守るために立ち向かえばいい』

あかり・ゆき『立ち向かって行けばいい!』

ちなつ(何これ……)

あれ?

>>137は自分ね

~古谷家・向日葵の部屋~


向日葵(そういえば、もうすぐあの子の誕生日……)

向日葵(このリボンのお返しに……ふふっ)

櫻子「た、大変だー、向日葵!!」バタンッ

向日葵「ちょ、ちょっと、勝手に上がらないでくださいな! ……で、どうしましたの?」

櫻子「こ、これ……」ドサッ

向日葵「……」

櫻子「宿題忘れてた……」

向日葵「……手伝いません」

櫻子「練習に付き合ってあげたじゃん!」

向日葵「それはあなたから言い出したことでしょ」

櫻子「そ、そんなぁ……」

向日葵「……お、教えるくらいならできますけど……」

櫻子「ほんとっ! まずこれから!」

向日葵「えーと、これはこうで」



こうして中学最後の夏休みを有意義に過ごしました



まだつづく

また中途半端は終わりだけど、これでこの話(夏)は終わりです
夏休み中にこれだけ?って思うかもしれないけど、そこらへんは適当に補ってください

次は金曜日に投下します
時間はこのくらいで

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