男「モテ期が来たのですがひどいことになりました」(259)

男「はぁぁ……今日もバイト疲れた……彼女もできないし……家もギクシャクしてるし……もういやだ……」トボトボ

婆さん「そこな人……」

男「……はぁ、なんですか」

婆さん「珍しい相が出ておる……占っていきませんかね?」

男「えー……」

婆さん「実は貴方の今後が変わる……」

男「占ってください」

婆さん「2000円」

男「(うわあリアル……でも漫画とかだとこの後超ハッピーな展開になるんだよな)」

男「はい」

婆さん「……ふむふむ、どうやら貴方、これからいわゆる『モテ期』というものに突入しまくるようですな」

男「マジで!?」

婆さん「しかもたくさんの美少女から超アプローチされまくると出ておる……これは今世紀最高のモテっぷりではないかと」

男「マジで!?ひゃああああああっほおおおおおおお!!!」

男「ありがとう!これお代!!」

バン!

タッタッタッタ

ヒャアアアアアアアアアッホオオオオオオオオ

婆さん「……ちょ」

婆さん「……運勢自体はむしろ悪化しておるのですが」

婆さん「……まあいいか」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
男「(ついに俺にもモテ期が!!)」

男「(なんかあの映画みたいな感じだろどうせ!)」

男「(ヒャッホ!ヒャッホヒャッホ!!!)」

ガチャ

男「たっだい……」

ズン!

男「う!!」

男「(……な、なんだ!?この超重い空気は!?)」

男「(いるだけで息が張り詰めて死にそうな……)」

母「……」シク……シクシク

男「(うわああ母さんすっげぇ泣いてるし!!なにこれどうすんの!?)」

父「……たかし」

男「な、なんだよ!」

父「父さん達これから離婚することになったんだ、どっちに行きたい?」

男「えっ」

母「……」シクシク

男「(ええええええええ!?何この究極の選択!?つらっ!こっちは久々にいいことあったから
超意気揚々と帰ってきたのに!?何これ!何これ!?)」

男「えーと……」

父「すぐには決めなくていい、明日母さんは実家に帰るけど……」

男「早急じゃねーか!」

男「……えっちょっと待って?」

父「なんだ?」

男「母さんの実家って鹿児島よな?」

父「そうだな」

男「大学から尋常じゃないくらい遠くね?」

父「そうだな、アルバイト先と大学に連絡しないといけないな」

男「明日までに?」

父「明日までに」

男「今何時?」

父「午前1時35分だな」

男「今日じゃねーか!!」

父「おお」

男「明日明日言いながらすでにトゥディじゃねーか!どーすんの!?俺母さん側に行く場合どうすればいいの!?」

父「明日鹿児島から電話で連絡か、明日帰りながら電話で連絡の二択だな」

男「いやいやいや!そんなあっさりいかないから!制服も返してないから!無茶振りにも程があるからーっ!!」

父「すばらしいツッコミだな。父さんお前を芸人に育てなかったこと後悔してるよ」

男「後悔するとこそこじゃねーよ!ていうかなんで急に離婚なんだよ!何があったんだよ!」

父「実は父さんものすごい勢いで浮気してな」

男「ものすごい勢いって何!?」

父「浮気先の女性を孕ませてきてしまった」

男「駄目だー!こいつ真正のクズだ!こいつについてく価値ねーわ!!でもここにいなきゃ色々問題があるのも事実だわー!」

父「じゃあとりあえず大学とかバイトのことが片付くまでここに残って、それから鹿児島帰る方針でいい?」

男「うわー実際使えそうな具体案くれたわー流石父だわー真正クズなのは変わらないけど」

父「安心しろ、お前たちの生活費、養育費はちゃんと出す。俺稼いでるからな」

男「そこで甲斐性発揮してんじゃねーよクズ……わかったよその方針で行くよクズ」

父「はっはっは。らしいぞ母さん」

母「……待ってるねたかし」シクシク

男「はいはい……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「……というわけで、バイト辞めさせていただきます。すみません」

店長「……ふむ、君も大変だな。ここまでの給料は振り込んでおくから」

男「ありがとうございます」

店長「向こうに行っても、頑張れよ」

男「はい」

ガチャ

男「ふー」

後輩「先輩」

男「どした」

後輩「バイト辞めるって本当ですか」

男「うん。家庭の事情でねー……」

後輩「そうですか。残念です」

男「もうしわ……え?」

後輩「か……ひぐっ、がごじまいっでも、が、がんばっ……ひっ、う、うぇぇ……」ポロポロ

男「ええ!?ちょ、ちょっと!?」

後輩「なんででずかぁ……なんで行っちゃうんですかぁ……」ボロボロ

男「ボロ泣き!?ちょ、わかった!説明するから!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
後輩「そんな大変なことが……」

男「うん、それで親父クズだからさ……」

後輩「そうですか……じゃあこっちに残るんですよね」

男「うん。うん?話聞いてた?」

後輩「いやだって、先輩がこっちに残れば全て解決する話じゃないですか!!」

男「いやだから、親父クズで」

後輩「一人暮らし!」

男「大学からチャリで20分の優良物件なのに!?」

後輩「今の優良っぷりはそうありませんよ!!ほら!ほら!!」

男「確かになぁ……転学するとなると、いろいろ面倒なんだろうし……」

後輩「気持ちはお母さんの方に寄せて、体だけお父さんの所にあればいいんです」

男「言い方がすごく嫌だな」

後輩「とにかく、考え直してください。私ここ離れたくないんです」

男「え?」

後輩「え?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
男「転学って言ってもそう簡単な話じゃないだろうし」

男「向こうに行ったら行ったで……大学のために一人暮らしとかもありえるんだよなぁ」

男「それはもう完全に意味がないし……」

ガチャ

父「たっだいまぁ~~!!おお!どうした我が息子よ!!暗い顔をしているな!!んん!」

男「出た悩みの種!10割アンタのせいだよ!てかテンション高いな!!」

父「当たり前だ!今日は記念すべき日だからな」

「おじゃまします……?」

「こういう場合って、ただいまじゃないの?母さん」

男「え」

父「紹介しよう!今日からお前の義母さんになる人と、お前の義妹になる人だ!!」

男「(ちゃんと『かあさん』『いもうと』って発音してたけど……絶対漢字あっちだよな)」

義母「あ、よ、よろしく……ね?」

義妹「……」

男「あ……ども」

男「(ていうかこれ完全に『ボク母んとこ行くんですよ~ハハ』って言える空気じゃねぇえええ!!)」

義母「ほら、貴方もあいさ……ん?」

義妹「……お兄ちゃん?」

男「え?まぁそうなるな。義理だけど」

義妹「ぎ、義理の兄?お、お、お義兄ちゃん?」

男「ど、どうしたの?」

義妹「わあああああああ!!本当!?本当に義兄ちゃんなの!?ねぇ!お兄ちゃんって呼んでもいい!?」

男「文字で見ないとわかんないよ!……あ、あの実は」

義妹「え……もしかして、愛の告白?キャー早いよお兄ちゃんったら!!」

男「すみませんこいつなんとかしてもらえませんか?」

義母「ごめんなさいね……?この子重度のブラコンで」

男「ええ!?俺初対面ですよ!?」

義母「実はね……話すと長くなるんだけど」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

回想シーン。


義妹「まってよ~」タッタッタ

義妹友「こっちだよ~!」タッタッタ

キャッキャ

ドン

義妹友「あ、ごめんなさい……」

上級生「てめーなんだよ、下級生のくせになまいきなんだよ」

上級生2「こいつなぐってやろーぜ!」

上級生3「そーだそーだ!」

義妹「そ、そんなのひどいよ!」

上級生「ああ!?なんだこら!!」

義妹「ひっ」

「こらあああああああああああああ!!」

上級生「な、なんだ!?」

義妹友兄「俺の妹に何をする!!」

ドカバキグシャー

上級生たち「ぎゃあああ!!」

義妹友兄「大丈夫か」

義妹友「うん……ありがとお兄ちゃん!」

義妹「……ほへー(かっこいいなぁ)」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「……その程度で!?(名前が長いな!!)」

義母「いえ、これはささいなきっかけにすぎず……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

回想シーン2。

義妹「ねーおかーさん」

義母「なぁに?」

義妹「なんでうちにはお兄ちゃんがいないの?」

義母「……母さんその質問は予想してなかったな」

義妹「ねぇ、なんで?」

義母「えーと、あ、貴方が一番最初に生まれたからね」

義妹「なんで?」

義母「さ、さぁ……」

義妹「私ねー」

義母「うん、なぁに」

義妹「生まれてこなければよかった」

義母「ええええええ!?な、なんでそう思うのかな!?」

義妹「どうせ私にはお兄ちゃんがいないんだし」

義母「お、弟なら……」

義妹「いみない」

義母「……母さんが、貴方より年上の男の子のいるところの人と結婚すれば」

義妹「……!!!」パァァァ

義母「む、無理よ!?すぐには無理よ!?」

義妹「いつ?」

義母「あ、貴方がいい子にしてたら……」

義妹「わかった!私いい子にする!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「それで何年ごまかしてたんですか」

義母「つい最近まで……」

男「うわぁ……」

義母「『お兄ちゃんお兄ちゃん言う悪い子のところにはお兄ちゃんこないよ』って言ってて……」

男「あくどいですねぇ……」

義妹「お兄ちゃん、私体洗ってくるね!!」タッタッタ……

男「う、うん……」

義母「あ、大丈夫ですよ、あの子から手を出すことはないかと……」

男「え、ちょ、何の話!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

回想シーン3

義母「……(どうしましょう)」

義母「……(眉目秀麗スポーツ万能成績優秀)」

義母「……(炊事洗濯掃除に育児……なんでもできる子に)」※育児は、親戚の子の面倒見てるだけです

義母「……(勧められて読んだ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のキリノちゃんを素直にしたような子に育ってしまったわ)」

義母「……(まぁいいか!!)」

義妹「おかあさーん、晩御飯できたよー」

義母「はーい♪」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「アンタもクズだとは思いませんでした」

義母「ごめんなさい」

男「それからずっと……?」

義母「はい。あの子はいい子にしてればお兄ちゃんができると5歳の時から信じ続けて……今日やっと」

男「親父は言ってなかったんですか」

父「いやー、その場のノリでセックスしちゃってさ」

義母「その後なんかおかしいなって確かめたら、できちゃったんですよね~」

男「あれ?想像以上にクズすぎるんだけど。この二人」

義母「だから、貴方に相当甘えてしまうかもしれませんが……すみません」

男「いや、そのことなんですけど」

義母「はい?」

男「俺母方の方につく予定なんですが」

義母「というと?」

男「鹿児島に帰るかもしれないんですよ」

義母「……え?」

パサッ

義妹「……え?」

男「(あ、やばい、聞かれてた)」

義母「あ、あのね!?違うの!!これはね!?」

義妹「そーなんだぁ」

男「……え?」

義妹「なぁんだ、お兄ちゃん鹿児島帰っちゃうの?もー。それならそうと早く言ってよ」

義母「……(よ、よかった……この数年で、寛大な子に成長してくれたのね!?)」

義妹「荷造りだってあるんだからね?もー。まったく……お母さん、私のドライヤーどこかやった?」

男「え」

父「え」

義母「え」

義妹「どうしたの?私お兄ちゃんと一緒に行くけど?」

男「いやいやいや!?それはおかしくない!?」

義母「そうよ!?貴方実質完全な他人よ!?」

義妹「血はつながってなくとも、心でつながってるの!!」

男「そのセリフは今ここで使うべきじゃない!」

義母「と、とにかく!貴方はお兄ちゃんと一緒にいけないの!!」

義妹「えー……そうなの?」

男「(ふぅ……ようやく納得したか)」

義母「そうなのよ、だから貴方は……」

義妹「そっかぁ。お兄ちゃんと一緒にいられないんだね。舌噛んで死ぬよ☆」

男「ちょ、ちょっと待ったあああああああああああああ!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サークルにて。

男「はぁあぁあ~……」

部長「さぁ今日も元気に……おりょ?どうしたの?元気ないねー。悩み事?」

男「あ、部長……それがですね……」

部長「おお、君から話してくれるなんて珍しい」

男「そうでしたっけ」

部長「ちょっと、二人きりになれるとこ行こっか」

男「言い方が」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「……ということなんです」

部長「はぁ……君も意外と波乱万丈なんだねー」

男「いやそれほんの数日だけですから」

部長「君も大変だね。ま、これからはそのクズなお父さんと仲良くしなさいな」

男「いや俺鹿児島帰ろうかなって」

部長「え?」

男「もう学校もやめて、向こうで職探そうかなって思ってまして」

部長「は?何言ってんの?」

男「義妹は死なないようになんとか説得します。最悪連れて帰ってもいいかなって」

部長「え?え?」

男「だから今日はそのことを……」

部長「冗談じゃないよ」

男「え?」

部長「ポっと出のくせにかっさらってく気?ありえないよ。私たちの絆がどれほど深いものか思い知らせてやらないと」

男「部長?」

部長「ようし決めた!!今日は君ん家行くよ!!」

男「はああああああ!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

部長「お、お、おじゃ、おじゃましまひゅ……」

男「ちょ、昨日の威勢はどうしたんですか……」

部長「うるさいな!異性の家に行くと緊張するもんなの!」

男「(は、これは異性と威勢をかけたダジャレ!?)」

部長「ど、どーかしたの?」

男「なんでもありません。どうぞ」

スタスタ

義妹「……あ、お帰りお兄ちゃん!」

部長「あ、おじゃましてます……じゃなくて、あの子が例の義妹ね!?可愛い……じゃなくて、
とっちめてやるわ!」

義妹「……と、彼女さんですか?」

部長「ひゅえっ!?」

男「あ、いや違うっていうか」

義妹「わぁ~、お兄ちゃんったらもう彼女つれてきてる~!大胆~!」

部長「ああああののののねねね?きききみみ、わわわわたしたちはそそそんな関係では」

義妹「お姉ちゃんって呼んでいいですか!?」

部長「いいよ!!」ニコッ!!

男「懐柔されとる!!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

オネーチャーンオネーチャンキャッキャ

男「どういうことなんですか……?もっと大変な事になると思ったんですが」

義母「あの子はどうしてか『妹』にこだわりまして」

男「はぁ」

義母「おそらく心では嫉妬もあるのでしょうが、それよりも様々な感情が勝っているようです」

男「や、ややこしいですねぇ……」

義母「まずは、お姉ちゃんができてうれしかったこと……」

男「ああ……」

義母「続いて、『お兄ちゃんに彼女ができたと冷やかす』ことが嬉しくてしょうがなかったんでしょうね……」

男「(めんどくさい子……)」

義母「セリフの練習までしてましたし」

男「ええ!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ガチャ

男「すみません、ちょっと義母さんと話してまし……」

部長「やっほー!この子いいこだねぇ~」ナデナデ

妹「おねーちゃんくすぐったい~♪」

キャッキャ

男「……(超仲良くなっとるーーー!!)」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

部長「すみません、今日は晩御飯までごちそうになっちゃって」

義母「いいのいいの!食事は多い方が楽しいし!」

義妹「お姉ちゃんまたきてね!それとも、泊まってく?」

部長「ええ!?え、えとそのあの!ま、また今度!?」

義母「うふふ。今度は勝負下着をつけてこないとね」

キャッキャウフフ

男「あははー……なんだろうな凄い疎外感。なんでだろーなーあはは」

インコ「ドン、マイッ!」

男「ありがとう……ほんと、ありがとう……」

インコ「ドン、マイシスター!!」

男「首領、マイシスター……!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

チュンチュン……

男「……ふぁ」

男「あ、制服返しにいかないとな……」

義妹「んぅ……」ゴロン

男「……えー?若干予想は着いたけども」

義妹「……むにぅ。お兄ちゃん?起きた?」

男「起きてるよ。全くべったべたな事しやがって……」

義妹「えへへ~明日は何しよっかなぁ~♪」

男「ほらさっさと布団から出なさい(パターンあるんだ)」バッ

義妹「お兄ちゃん、寒い……」

男「……何故服を着ていないのですか?」

義妹「そっちの方がドキドキすると思ったからです!」

男「服を着ないとお兄ちゃんいなくなっちゃうぞ。なーんて……」

義妹「ひっ、い、いやああああ!!すみません!ごめんなさい!
もう二度としません!!今すぐ着てきます!!うえええええん!!!」ダッ ガチャッ タッタッタ……

男「こ、効果絶大すぎだろ……」

ガサガサ、ゴソ

男「よしと」

男「ここでの生活も楽しかったけどな……。うーん、やっぱ悩むな」

男「でもバイトは……辞めとくか。これじゃ迷惑かけるし。残ることになったら、また、探そう」スッ……

ガチャ

後輩「させません」

男「なんで!?」

後輩「今日はシフト入ってませんからね!」

男「知ってるよ!学校行け!!」

後輩「自主休校ってやつです!」

男「それが許されるのは大学からだ!」

後輩「今は非常事態なんです!」

男「俺にとってはそうだろうけどな……」


後輩「先輩の非常事態は、私の非常事態でもあります!」

男「ええ!?」

後輩「とにかく……バイトを辞めたいのなら、私を倒してからにしてください」

男「(意味分からん)というか店長にはこの前言ったっていうか……」

後輩「甘いですね」

男「え?」

後輩「先輩は今交代という形になっているだけです。私が二人分働いています」

男「はああああ!?」

後輩「私が泣きながら土下座して店長に頼みました。『二人分働くから、時間をくれ』と……
私が過労死するのが先か、先輩が戻ってくるのが先か、勝負ですね!!」

男「ちょ、お前、何やってんの!?」

後輩「これは聖戦なんです!私にとっての……あうっ」フラッ

男「おい!」

バタッ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

後輩「……ここは」

男「俺ん家だよ」

後輩「え?」

男「お前が寝てるのが俺の布団だ」

後輩「(え、え、ええ!?じゃあ私が持っているかけ布団は先輩のいつも使っているかけ布団で
この枕は先輩がいつも使っているまくらでこの本棚は先輩がいつも使う本を置いてある本棚で
この女の子は先輩がいつも使う女……の……子?)」

義妹「……」ニコニコ」

後輩「先輩がそんな人だったなんて……失望しました」

男「ええ!?なんで!?」

義妹「お兄ちゃんったら何したのー?」

男「いや何もしてないよ!」

義妹「(昨日の事は言わないであげるね!キャー!私ったら妹の鑑!)」パチッ

男「(ウィンク?なんで?)」

後輩「先輩、その女の子は……いったい、誰なんですか!」

男「義妹」

後輩「へ?先輩……いもうとさんなんて、いましたっけ……」

男「ああ、説明が遅れたな……実は」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

後輩「なるほどー……」

男「わかった?」

後輩「はい。先輩にモテ期が来て……あ!なんでもないです!!」

男「え、なんで知ってんだ」

後輩「やだなー先輩!!私盗聴なんて!!」

ピーピー

義妹「お兄ちゃん、ケータイ貸して?」

男「はい」

後輩「あ、ちょ、いやああああああああ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「何故こんなことをしたのですか?」

後輩「すみません」

義妹「謝ってるだけじゃ解決しないよ?お兄ちゃんは法的手段に出る事だって可能なんだから」

後輩「ひっ……そ、その」

男「いやそこまではしないけどさ、何でこんなことしたのさ」

後輩「いや、その……」

男「……誰かに脅されてたのか?うちに金目のものなんて」

義妹「大外れだよお兄ちゃん」

男「え?だって今こんな事言うのもおかしいとおもうけど、こいつは真面目で、義理堅くて、素直で……
とてもじゃないが盗聴なんてするようなヤツじゃ」

義妹「『だからこそ』だよ?お兄ちゃん」

後輩「……」ビクッ!

男「おい、どうしたんだ?理由があるなら言ってくれ!相談になら、乗るし……!」

義妹「早く言わないと、私が言っちゃいますよ?」

男「え?お前わかって……」

義妹「うん、実はね、この人ねぇ……」

後輩「わかった!言う!言いますから!」

義妹「うんうん」

男「……」

後輩「実は私、先輩の事が好きなんです!!」

義妹「うんうん」

男「……へ?」

義妹「うん……ええ!?あそこまでされて気が付いてなかったの!?」

男「初耳です」

後輩「あひゅあっ」カァッ

義妹「ああ!顔が真っ赤に!が、頑張ってください!」

後輩「う……うん!じ、実は私そもそもこのバイトに入ったのも先輩が原因で」

後輩「飲み会でお酒が飲めない私のために、こっそり度数を弱くしてくれたり」

義妹「わぁお」

後輩「吐いたときの掃除もやってもらって……それから、一緒に仕事していくうちに、どんどん好きになっちゃって……」

男「……(恥ずかしいなこれ)」

後輩「そ、そのうちどんどんエスカレートしていって!!つ、つい!」

男「この前くれたストラップが盗聴器入りとはなぁ……」

後輩「手作りなんですよ」

男「ええ!?」

後輩「太陽光発電を取り入れるシステムでして」

男「……あ!ほんとだ!すげぇ!!お前これ特許とれるんじゃねーの!?」

後輩「あ、あはは……」

義妹「でもあなたのしたことは犯罪ですよ?」

後輩「……はい」ジワッ

男「……いいよ。俺の事を想ってやったことなんだろ。だったら責めることはできねーわ」

後輩「……!!」

義妹「……さ」

男「さ?」

義妹「さっすがお兄ちゃん!!かぁあぁっこいいい!!!」

ガバッ

男「こら!抱きつくな!」

後輩「わ、私も!!」

ガバッ!!

男「お前はこいつを止める役割だろーー!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『へ、へへへ返事!ま、まま待ってますから!!』

男「……変な質問だけどさ」

義妹「なぁに?」

男「お前は俺の事が好きってわけじゃないんだよな」

義妹「大好きだよ?」

男「そうじゃなくて」

義妹「異性としてってこと?」

男「そ」

義妹「そういうのがお好みなら、今すぐにでもらぶらぶモードになるけど?」

男「それはやめてくれ」

義妹「ふふ。やっぱお兄ちゃんって面白い」

男「お前も珍しいよな。いろいろ」

義妹「ん……そーかもね」

男「かもじゃないな。確実に珍しいよな」

義妹「さっきの質問の答えだけどね」

男「おう」

義妹「今私は、最高に幸せなの」

男「……」

義妹「十年以上憧れ続けてきた『お兄ちゃん』とこうして兄妹みたいなことしてるんだもの」

男「……」

義妹「それだけで夢みたいだよ」

男「でもさ」

義妹「ん?」

男「理想とは違ったろ?」

義妹「なんで?」

男「なんでってそりゃ……もっとこう、かっこよかったり、頭良かったり」

義妹「……はぁ」

男「え?」

義妹「駄目。お兄ちゃんってばホント駄目」

男「ええ!?なんで駄目出し!?」

義妹「お兄ちゃんってばお兄ちゃんの事何もわかってないんだから」

男「え、ちょっと意味わかんない」

義妹「あーもう……とにかくお兄ちゃんは、私が探してた理想のお兄ちゃんそのものだったの!」

男「ええ!?でも全然頼りにならないっていうか」

義妹「ええいもう面倒くさい!ここに兄妹関連書籍があるから読んでおいて!」

男「ダンボール7箱!?」

義妹「これでも厳選したんだから!」

男「お前は何者なんだ!?」

義妹「決まってるでしょ?ちょっとブラコン気味な、お兄ちゃんの妹♪」

男「……そーか」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ぴりりりりー!ぴりりりりー!」

男「……う」

「ぴりりりりー!ぴりりりりー!」

男「うるせーな……うちこんな目覚ましだっけ……」

フニッ

男「……カチ、じゃなくて、フニ?」

義妹「朝から大胆だね。お兄ちゃん?妹目覚ましだよ!」

男「……おはよ」

義妹「あ、も、もしかして嫌だった?きょ、今日はちゃんと服着てるよ!?
だ、だから、いなくならないでっ……」

ガッ

義妹「にゃっ!?」

ズルッ

ストン

義妹「(……お、お兄ちゃんに引っ張られて、いつのまにか目覚めたお兄ちゃんのひざの上に……!?)」

男「んー……」ナデナデ

義妹「みゃあああああ!?お、お兄ちゃん、何!?」

男「あ、悪い、嫌だったか?」

義妹「い、嫌じゃないよ!た、ただどうしたの!?急に積極的になられると、私びっくりしちゃうよ!」

男「いや、可愛いな、と……」

義妹「ふぇぇっ!?」

男「妹がいるってのも、悪くないかなー……と」

義妹「……え」

男「……俺も一人っ子だったんだ。両親がいなかったら、いつも一人」

義妹「……」

男「慣れてたつもりだった。でも、違ったんだな」

義妹「……」

男「こうしてお前といると、ひどく安心できるんだよ。心地よいんだよ。
やっぱり俺、ここに残ろうかな……」


義妹「……お兄ちゃん」

男「……なんだ?」

義妹「ずるい」

男「へ?」

スッ

スタスタスタ

男「お、おい?何か俺お前の気に入らない事でも……」

義妹「その逆!!」

ガチャ バタン!

男「お、女の子って、わからん……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「というわけで、俺やっぱこっちに残ろうかなって……」

父「おお!そうかそうか!!流石我が息子!モテるなぁ!!」

男「いやそういうわけじゃ……」

義妹「昨日も別の女の子連れ込んでたもんねー?」

父「それはすごいな!逸材だ!!」

男「やめてくれ!!俺にその才能があるみたいじゃねーか!」

義母「あらぁ?ありますよ?貴方には」

男「え」

義母「なんというか、オーラというか……私も危うくひっかかるところでしたし」

男「(なんだと……義母さんのムチムチボディを……じゃない、俺から、オーラが……!?)」

父「それは困るなぁwwwwwwwww」

男「草生やすな!どーでもいいのか!?」

父「サイフ落とすくらいの辛さ」

男「ううん……結構つらい!!」


アハハハ……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「絶対に……」

「絶対に、連れ戻してやるんだから……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「さて、今日も学校行くかな」

義妹「私もいくー!」

男「……そういえばさ、俺に合わせてて平気なの?」

義妹「大丈夫、遅刻ってカウントされてるよ!」

男「それ大丈夫って言わない。覚えておこうな?」

義妹「いいよぉ。私にとってはお兄ちゃんと登校することのほうが大切なの!」

男「遅刻が多い家からはお兄ちゃんいなくなっちゃうんだぞー……なんて」

義妹「いやああああああああ!!ごめんなさい!もう二度と遅刻しません!
じゃあねお兄ちゃん! ヘイ、タクシーッ!!!」

男「ごめん嘘!嘘だから!!タクシーはダメ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねぇ」

「ねぇってば」

「どーしたの?」

義妹「……はっ!?」

義妹友「どーしたの?最近変だけど、今日はそれに輪をかけて変だよー?」

義妹「あ、うん。朝起きたらね?お兄ちゃんがかっこよくて、ナデナデしてくれて、
優しくて、本当かっこいいの。大好きなの」

義妹友「それはさっきも聞いたよ?」

義妹「あ、ごめん……うん。なんかね?嫌な予感がするの」

義妹友「それは……お兄ちゃんの事?」

義妹「もちろんだよ」

義妹友「……だったら、何がなんでも解決しないとね」

義妹「うん」

義妹友「……我ら」

義妹「兄を愛する者たちの集い」

義妹友「ブラコン・シスターズ!」
義妹 「ブラコン・シスターズ!」

義妹友「さぁ、活動開始だよ!」

義妹「うん!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「今日は午前で終わりなんだよな~」

男「バイト、やっぱ入れようかな……」

男「そうだよ、今晩俺が入らなかったら、また一人で……」

『実は私、先輩の事が好きなんです!!』

男「……」

男「告白、かぁ……」

男「生まれて初めてされたなぁ」

男「これで、俺がオーケーだせば……」

男「は、晴れて、ゆ夢のカッポー……」

男「リア充に……!」

部長「リアじゅう?」

男「どうわああああああ!?」

部長「ひゅあっ!?な、なに!?」

部長「どうしてって、私も自転車通学……」

男「あ」

部長「……なんか、ひどい」

男「すみません。忘れていたわけではなく、なんというか……」

部長「ねぇ、さっきのリア充ってなに?まさか君……」

男「ああ、それはですねぇ……」


「見つけた」


男「え?」

男「え?」

従妹(同い年)「ようやく見つけた……たっくん」

男「たっくん言うな恥ずかしい。おす久しぶり」

従妹「久しぶり……じゃないわよ!今どうなってるかわかってんの!?」

男「え?どうって……?」

部長「え?え?」←完全に置いてけぼりな人

従妹「離婚したんだって……?どうしてアンタはあのクソ親父のところにいるのよ!!」

男「お前だって昔は世話になったろー?」

従妹「うるさい!浮気して、あまつさえその女の人を孕ませて、乗り換えるですって!?
人間の所業じゃないわよ!」

男「よくしってんなぁ」

従妹「おばさんが泣きながらはなしてくれたわよ!『たかしがこない』って言いながら……!」

男「……あ」

従妹「大学が何!?バイトがなに!?そんなことよりも、お母さんの方が大切じゃないの!?」

男「でも……」

部長「……ねぇ」

従妹「なに!?部外者はだまっ……うっ」

部長「……どういうことなのか、そろそろはなしてほしいんだけどなー?」ゴゴゴゴゴゴ

男「すみません部長。この前話したと思うんですが?というかなんでそんなに怒ってるんですか?」

部長「やだな怒ってない怒ってない……。ただね?君の事を『たっくん』なんて呼ぶような厚かましい輩と
君の関係性だけ聞きたいなーって」

従妹「全裸でお互いの体を隅々まで洗いあうような仲です」

男「昔の話な!?」

部長「はーん……そうなんだぁ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「ねぇ部長!ゴゴゴってなんですか!?ゴゴゴって!?
もしかして怒ってます!?」

部長「おこってない、怒ってないよー……?ただこいついらないよねって思っただけで」

男「部長ーーーー!?」

従妹「へぇ……やる気ですか?私空手有段持ってますよ?」

男「馬鹿!そんなんじゃこの人にはかなわない!にげっ……」

部長「……コロス」ユラァ

男「(畜生……!この手しかないのかっ……!!)」


部長「この世界に生まれてきたことを、後悔させてあげる!!」

男「部長!!!」

部長「へ!?なっ……」

ポフー

男「ああ、部長の胸って……ふかふかですね。枕にしたい」

部長「……ッ!!」

従妹「……は?」

部長「ふふ……?甘えんぼさんね?よしよし……」

男「あはは……(良かった……部長の『胸に顔をうずめて抱きつかれるとつい母性本能を発揮してしまう癖』
が出て……)」

従妹「何やってんの」

男「今のうちだ!にげごぼふ」

部長「こーら。暴れちゃだーめ」ギュー

男「(ああ感触が気持ちいい)」

従妹「……そう。そんなにその女と仲がいいんだ。小さいころあんなに遊んだ私よりも」

部長「あたりまえでしょー?この子は私のなんだから」

従妹「……ッ!」バッ

ガッ

従妹「へ」

男「部長!また今度~!!」

タッタッタッタ……

部長「……あ、あれ?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

従妹「いーかげんに、降ろしなさいっ!!」

男「あ、ごめん」

スト

従妹「(あ、ちょっと名残惜しい……じゃなくて!)
どういう事?こっちに残りたいのは学校じゃなくて、あの女が原因だったってわけ!?」

男「あーいやそういうわけじゃないんだけどさ?」

従妹「じゃあどういうわけなのよ!」

男「話すと長くなるんだがな……」

従妹「話しなさい!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「ということなんだが……」

従妹「……あんたさ」

男「なに?」

従妹「何人女たらしこんでんの?」

男「ブフッ!?」

従妹「どう聞いてもそうなるわよ。なんなの?ハーレムでも作る気?どんなトラブルがあったらそうなるのよ」

男「いくらなんでもたらしこんでるは人聞き悪い!」

従妹「ええ!?こればっかりは私正論言ってるわよ!?どうみてもたらしこんでるじゃない!」

男「いやいや、何言ってんだ!?俺が女の子たらしこむわけないだろ!」

従妹「いや少なくとも一人はたらしこまれた例を知ってるわよ!」

男「ええ!?(あいつの告白に関しては言ってないはずなのに)」

従妹「(ま、私なんだけどね……)それで、どうなの?
……本当に、戻らないつもり?」

男「……ま、今の所は」

従妹「わかった」

男「あの、一つだけ言っておくけど」

従妹「私も住む」

男「私も住む、とか言わな……あー遅かった」

従妹「とーぜんでしょ。アンタが誰もたらしこんでないって言うなら、まずはその証拠からよ」

男「おいおい……」

ガチャ

義妹「お帰りー!お兄ちゃん!」

ガバー!!

男「抱きつくなー!」

義妹「……およ?そっちのお姉ちゃんは」

従妹「……い、妹さん?い、いたっけ」

男「……義妹だ」

義妹「えーと……お兄ちゃん?」

男「言いたいことはわかってる」

従妹「ねぇ妹ちゃん」

義妹「なんです?」

従妹「こいつって女ったらし?」

義妹「今日確信しました!」

従妹「アンタねええええええええ!!」

男「ええええええええええええ!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「……(なんだろうか?)」

男「……(ほんの、ほんのちょっとだが)」

男「……(よくわからんが……確実な敵意を感じるような)」

義妹「んー!このお煮つけおいしー!」

男「……(気のせいか)」

義母「久々に腕をふるったもの!」

父「それにしても大きくなったな!わはは!」

従妹「あ、あはは……」

義母「ねぇ」

従妹「はい?」

義母「なにか……言いたいことがあってきたんでしょ?」

従妹「……はい」

父「……たかしを連れ戻す気だろ?ははっ」

従妹「最初はそのつもりでした」

男「……(たかしたかし言わないでくれ)」

父「ってことは」

従妹「はい。私もここに住んでいいですか?」

男「……そーいや、学校どうするんだよ」

従妹「アンタが戻るっていうまで自主休講でもするわよ」

男「はぁ!?俺が戻らなかったらどうするんだよ!」

従妹「私とアンタの、根競べってやつね」

男「お前……留年するかもしれねーんだぞ……?」

従妹「かもね?」

義妹「愛されてるねぇお兄ちゃん」

男「ええ!?」

従妹「ちょっ!?」

父「こんなにモテるとは、お父さん嬉しい」

義母「やっぱり才能あったんですよ」

男「ちょ、ちょ!何の話!?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

義母「じゃあ『二人は一緒の部屋』ね!」

義妹「はぁい!『私たちは一緒の部屋で寝る』よ!」

従妹「そうね。『私たちは一緒の部屋で寝ましょう』か」

男「……なんだろう。言い方変じゃない?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「一番風呂もらっていいか?」

義妹「お兄ちゃんのぞいてもくれないし偶然を装って私が裸の時に脱衣所に来たりしないもんね。
いいよ、最初で」

男「その言い方はどうなんだ?」

従妹「(たっくんの残り湯ハァハァ!!)ふん。別にいいわよ。好きにしたら?」

男「せんきゅ」

スタスタスタ……

義妹「おねーさん、こっちへ」

従妹「……」コクン

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

義妹「気づいておられるとは思いますが」

従妹「うん」

義妹「私はお兄ちゃんが大好きです。義兄としても、異性としても」

従妹「知ってたよ」

義妹「流石ですね」

従妹「でも、アンタも知ってるんでしょ?」

義妹「はい。というかあんなに全力ラブコールしてるところを見れば」

従妹「あれでも気づかないのよアイツ。どう思う?」

義妹「最近いろいろありましたからねぇ。動揺しているのでは?」

従妹「あ、そっか……」

義妹「そこで」

従妹「なに?」

義妹「停戦協定といきませんか」

従妹「……賛成。むしろありがたいよ」

義妹「……ありがとうございます。これは友好の証です」

スッ

従妹「……これは」

義妹「脱ぎたてホカホカ、お兄ちゃんパンツです」

従妹「……こんなもの!」

バッ

義妹「……」

従妹「嗅いだのは何年振りかな!?ああ!いい匂い!いい匂いぃ~!!」スーハークンカクンカ

義妹「……うふふ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カポーン……

ブルッ

男「今一瞬寒気がした」

男「いや、風呂場内で放尿はしないよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

従妹「あー堪能した、肺の中が潤った」

義妹「それにしても」

従妹「ん?」

義妹「単位を犠牲にしてでもお兄ちゃんをとる、流石ですね」

従妹「そういうアンタも命くらいかけそうには見えるけど?」

義妹「てへ☆」

従妹「ぶっちゃけさ」

義妹「はい」

従妹「あれの、どこがいいの?」

義妹「?それは、おねーさんが一番知ってることでは?」

従妹「そうだけどさ。アンタはたぶん……あいつと出会って、ひと月もたってないでしょ?」

義妹「それどころか、一週間くらいでしょうか」

従妹「短っ。私はね?あいつと何度も何度も顔を突き合わせて、何度も遊んで、何度も喧嘩して……
何度も、守ってもらって……それでようやく惚れたのよ。たった一週間って、不思議だな、って思ってさ」

義妹「なるほど」

従妹「『お兄ちゃん』に妙なこだわりがあるのは、見ててわかるけどね」

義妹「おお、そこまでわかるんですか」

従妹「女の勘」

義妹「大正解です。お兄ちゃんは……私にとって、完璧なんです」

従妹「どこが?あいつ頭もそこまでよくないし、スポーツも下手っぴ。お洒落さなんて皆無だし、
なんていうか全体的にへちょいよ?」

義妹「そこです」

従妹「ほう?」

義妹「頼りなくて、カッコ悪くて、ダサくて……みっともない」

従妹「……」

義妹「でも時々、びっくりするくらいカッコよくて、心を読んでるかのように的確な事を言い、
依存してしまうほどに優しい」

従妹「それが……」

義妹「私の『理想のお兄ちゃん』です」

従妹「……ふぅん。まさにアイツじゃん」

義妹「おねーさんなら、わかってくれると思いました」

従妹「アイツはなんだろーね。ドラッグみたいだよね。はたから見てる分には避けようとするのに、
一度ハマってしまったら、もう抜けられないよね」

義妹「そのたとえ、最低ですけど、すごく合ってますねぇ」

従妹「『存在が非合法』とか言ってやろーか」

義妹「あははっ!」

ガチャ

男「なんだお前ら、俺の部屋にいたのか」

従妹「ぴっ!!」

義妹「みゃっ!」

男「風呂空いたから、次入れよ」

義妹「はひっ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

従妹「パパパ、パンツ一丁で出てくるとか、アイツ、何考えてんの!?」

義妹「本当です!心臓止まるかと思いました!」

従妹「ひ、久々に見たけど……」

義妹「いい体してますよねぇ……お兄ちゃん」

従妹「昔は空手もやってたしね。途中で辞めたけど……」

義妹「……どーしてですか?お兄ちゃんなら、きっと」

従妹「練習中に、女の子に怪我させちゃったの」

義妹「あら……」

従妹「その時もフラグたってたのかは知らないけど。その女の子は気にも留めてないし、
実際受け身失敗して足くじいただけなんだけど、激しく自分をせめて」

義妹「……」

従妹「それから空手には、手を出さなくなったよ」

義妹「……痛いです」

従妹「いたい?」

義妹「痛いくらいの優しさって、いうか……」

従妹「……ロマンチックな事言うね」

義妹「妹ですから」

従妹「妹がみんなロマンチックみたいな言い方だね」

義妹「もちろんですよ」

従妹「変な子」

義妹「知ってます」

アハハ……

コンコン ガチャ

男「お前ら、早く入れ」

従妹「ぴっ!」

義妹「みっ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

義妹「最初はぐー!!」

従妹「じゃんけんぽん!!」

アイコデショ! アイコデショ!!

男「あいつらなんであんな激しい戦いを……

義妹「……あいこでしょ!!(残り湯!!!)」

従妹「……あいこでしょ!!(残り湯!!!)」

父「なんだ入らないのか?じゃあ父さん先に」

義妹「でりゃあ!」

ドグッ!

男「クズ父さーーーーん!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

後輩「……(眠い)」

後輩「……(先輩のシフトも入ってるからかな)」

後輩「……(なんだろ、今日とっても、眠いな)」

キキキィーーッ!!!


ガシッ

バッ

「あぶねーな!!このヤロー!!」

ブロロロロロ……」

男「おい!大丈夫か!?」

後輩「せん……ぱい……?」

男「そうだ。お前はもう、無理に俺の分まで働くことはない。
それよりも体を、ちょっとは休めてくれ……。俺のせいだけどさ」

後輩「せんぱーいっ!!」

ガバッ!!

男「ちょ!普通の道で抱きつかないでくれ!」

後輩「戻ってきてくれると信じてました!愛してます!
貴方を好きでよかった!」

男「止めて照れる!」

後輩「……へんじ」

男「その……」

後輩「……」

男「……あの」

後輩「……わかってますよ」

男「え?」

後輩「先輩はこう言おうとしてるんでしょ?
『とりあえず、保留とかってなし?』とか」

男「……っ!!なんで!」

後輩「もう盗聴はしてませんけど、それでも先輩の……
大好きな人のことくらいわかります」

男「……」

後輩「『私の気持ちは裏切りたくない、ただ、ほかにも気になる子がいる……そうですよね?」

男「……ああ、完璧だよ。正直なんて言っていーか……」

後輩「こんなの女の子なら全員わかります。で、誰を選ぶんですか?」

男「誰か……」

後輩「……はぁ、決められないんですよね?」

男「……ぎく」

後輩「それもわかってますよ。ただ……」

男「……ただ?」

後輩「これは、私からでなく、一人の女の子としてのアドバイスなんですけど……」

男「……え?」

後輩「早めに決めるか、なんとかしたほうがいいと思います。
なんだか……嫌な予感がします」

男「嫌な予感……?」

後輩「あふ」フラッ

男「お、おい!」

後輩「あ、だいじょーぶです……私仮眠室で休んでますね」

男「おう」

テクテク……

男「嫌な予感……ねぇ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

義妹「……何故でしょう」

義妹「わかってたはずなんです」

義妹「知っていたはずなんです」

義妹「……でも」

義妹「何故か……もやもやする……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


男「ある日突然、同じ景色のはずなのに、まったく違うところに来てしまったような感覚を覚える」


男「理由はよく、わからなかった」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


後輩「(大好きな先輩が……他の女の人と道を歩いている)」


後輩「(先輩はモテるって知ってるし、また妹さんかもしれない)」


後輩「(でも、なんとなく、どうしようもなく不安になります)」


後輩「(どうやら、私は私の事を、抑えきれないみたいです)」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


部長「(私のものにしたいけど)」


部長「(無理に私のものになってもらわなくてもいい)」


部長「(ただ、私が、安心できれば……それで)」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


従妹「(ずっとずっと抑えてきた)」


従妹「(毎日毎日、襲いかかりたくてしょうがなかった)」


従妹「(逆レイプっていうのかな?毎日妄想してた)」


従妹「(我慢の限界が来そうだった)」


従妹「(だからその前に『なんとかした』)」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「なぁ我が愛しの妹よ」

義妹「なぁに?私の大好きなお兄ちゃん♪」

男「……何をしたんだ?」

義妹「質問があいまいだねー。お兄ちゃん。私はね?というか私たちはね?」

『貴方と一緒にいたかっただけ』

男「あはは……どうやら俺にも本当にモテ期が来たみたいだ。嬉しいなぁ。だからさ」

義妹「手錠は外さないよ?お兄ちゃん?」

男「……いや、それは」

義妹「大丈夫!トイレもお風呂も、みーんな、私たちがお世話してあげるから!
お兄ちゃんは、ずっとそこにいて?」

男「……おい、いい加減にしろよ」

義妹「え?」

男「こんなことするようなところからはな!お兄ちゃんはいなくなっちゃうんだぞ!?」

義妹「ありえないよ」

男「え?」

妹「両手両足を鎖でつなぎ、ここは24時間体制でカメラがおかれ、かつ常に誰か一人が必ずいるようにしてるんだよ?
ありえないよ。そんなこと」

男「……いったい、どうしちまったんだよ」

義妹「どうもしてないよ?……少なくとも私は、出会った時から何も変わってない」

男「……」

義妹「ちょっと……ブラコンなだけの、普通の妹だよ♪」

男「普通の妹は、兄を拉致監禁したりはしねーけどな……」

義妹「ちょっと愛情表現が過剰なの!もう、お兄ちゃんったら」

男「親父たちはどうやってごまかす?俺が帰ってこないのを、不審がる……」

義妹「大丈夫だよ?」

男「なんでそんな事が言える」

義妹「大丈夫。お母さんたちには何もしてない。
ただ、私たちで『愛の巣で一緒に暮らします』って言いに行っただけ」

男「わーお」

義妹「お義父さんは『一気に複数とかwww流石我が息子www』って言ってたよ?良かったね、
自慢の息子だね!」

男「そんなところが自慢でも何一つ嬉しくないな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

数日後

後輩「先輩、あーん」

男「あーん……」

モグモグ

後輩「先輩、おいしいですか?」

男「ああ」

後輩「きゃー!先輩がおいしいって!」

従妹「良かったじゃん」

男「(俺はいつまでこうしているのだろうか?)」

男「(時間の感覚さえ曖昧になってきた。今何時だ?今は、何曜日……)」

チュ

男「……っ」

後輩「愛してます、先輩」

男「……ああ」

部長「ここにいれば、誰にも邪魔されない」

男「……」

従妹「ずっと、ずーーーっと、皆でここで暮らしましょう?」

男「……」

男「(悪くないかもしれない)」

男「(ここにいれば、何もしなくても、生きていられる。何も、何もしなくても……)」

男「(……どうして、こうなったんだろうな)」

ギュ

義妹「お兄ちゃん……愛してるよ?」

男「……俺もだ」

男「(……モテ期って、こんなもんだっけ)」

男「(もっと明るくて、華々しいもんだと思ってたけど……)」

男「こんなモテ期も、あるもんなんだな……」

義妹「……そだね」

―― バタン
                            HAPPY END

はい終わり!
駄目だ収集つかなくなった。最初からこの展開は予測してたというのに……

皆さんもモテ期には気を付けましょう。
拉致監禁されて衰弱死するので、モテ期なんてこなくていいんです!!ええ!!ちげーよ強がりじゃねーし!!

やっぱりダメだ
BADEND(?)ルート書いてから寝るよ!!

>>151の続きから

男「さて寝るか」

義妹「寝よ!お兄ちゃん♪」

従妹「こら。夜中なんだから、騒がしくしない」

男「……いや」

義妹「どうしたの?おやすみのチュー?きゃー!」

男「いや、君ら一緒に寝るんじゃ」

義妹「『私たち二人が一緒の部屋で寝る事』が条件だよお兄ちゃん」

従妹「そう。だから私たちがどこで寝ようと条件は満たしているってこと」

男「……へーへー。もうなにもいいませんよっと」

スッ

ガサガサッ

ピトッ

男「近い」

義妹「知ってる♪」

男「はーねむ……一限からってホントだりーな」

従妹「大変ねー」

男「他人事みたいに言ってるけどお前が大学生って事実は今も変わってないんだぞ」

義妹「急がないと遅れちゃうよ」

男「へーへー」

ガチャ

部長「おはよう!迎えに来たよ!!」

男「……あ、はい」

従妹「……アンタ」

部長「ってあれ!?この前の!?」

男「従妹です」

部長「ああ従妹……なんで一緒に生活してるの!?」

男「え?なんでだっけ……」

従妹「私がコイツの事を好きすぎてしょうがないからです」

部長「えええ!?」

男「ま、マジで!?」

部長「気づいてなかったの!?」

従妹「ここまで鈍いともう意味わかんない」

義妹「ねー」

部長「……私も住みたい!!」

男「無茶言わないでください!」

後輩「お話は伺いました!」

男「なんでいるの!?」

後輩「やだなぁ先輩、たまたま今日は早く起きたんで、そのあたりを散歩してたんですよ」

男「コートにマスク、帽子に眼鏡かけて、アンパン片手に……?」

後輩「それが最近の散歩スタイルなんですよ」

男「ねーよ!!」

後輩「お話を戻しましょう……たとえば、こういうのはどうですか?
『私たち五人で部屋を借りて、全員でそこに住む』というのは……」

部長「……!」

男「あれ?俺いる前提なの?」

義妹「というかお兄ちゃんいないと話にならないよ」

男「というかそんな話をして親父がそうそうと許可を出すとでも……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

親父「許可します」

義母「孫の顔がみたいな♪」

男「おいいいいいいい!!!」

義妹「やったー!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

新居にて

男「……五人で暮らすには狭くないか、ここ」

義妹「そっちの方が不可抗力的にお兄ちゃんにくっつけるじゃない!?」

男「あーもうそこ包み隠さず言っちゃうんだね!」

後輩「布団は持参しました!」

男「高級羽毛布団!?」

後輩「さぁ先輩私の布団で寝てもいいんですよ……」

男「くっ、なんという誘惑……!」

部長「わ、私の肉布団のほうがふかふかだよ!!」

男「くっ!!なんという蠱惑的な響きだっ……!!」

従妹「私も参戦したい……」

義妹「今日は武器が足りません、後日参加しましょ?」

従妹「うん」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カポーン

男「ふー……」

ガララー

義妹「お兄ちゃん背中流しに来たよー!」

男「うわー予想ついてたけどさー」

後輩「ふつつかものですが!」

男「お前も!?」

従妹「私もいるわよ」

男「いやまて!風呂場のキャパ考えろ!」

部長「はいれない~……」

男「ですよね!!」

男「風呂くらいゆっくりさせてくれ!!おら散った散った!!」

義妹「……邪魔なの?」

男「え」

義妹「私、邪魔だった?いらない子だった?生まれてこなければよかった?」

男「いや、ちょ……」

義妹「ごめんね?私お兄ちゃんの人生の邪魔してたみたい。これから首つって死ぬよ」

男「……ああもうわかったから!いいよ!!もう!」

義妹「やったー!!」

後輩「かゆいところはございませんかー?」

男「……平常心、平常心」

後輩「平常心がかゆいんですね?このあたりかな?」

男「前に回ってくるな!
……ていうかお前、着やせするタイプだったんだな」

後輩「てへ。実は脱ぐとすごいんです」

部長「間違いない、私のライバル……!」

義妹「……お兄ちゃん」

男「なんだ?」

義妹「お兄ちゃんのお兄ちゃんが、暴れくるってるよ?」

従妹「……ひぃっ!?グロッ!」

男「……仕方ないだろうがもう!この状態で勃起するなって言う方が無茶だ!」

従妹「すーりすーり」

男「体をすりつけるな!」バキバキ←勃起が加速する音

従妹「……ねえ」

男「なんだよ。俺の愚息をまじまじ見ないでくれ。興奮はするが恥ずかしいんだ」

従妹「こうなるってことは、小作りの準備ができてるってことよね……?」

男「……何する気!?」

従妹「大丈夫!先っちょ、先っちょだけだから!!」

男「それはお前が言うべき台詞じゃねぇ!」

義妹「おねーさん!!」

従妹「ッ!」

義妹「お風呂あがってから布団で最初が定説でしょう!!」

従妹「……ごめん」

部長「わかってくれたらいいの」

従妹「ありがとう」

後輩「よしよし」


男「あれ?これ何?俺がおかしいの?」

男「おし寝ようか」

義妹「ヤダ、今夜は寝かさないだなんて……って、え?」

男「寝るぞ」

義妹「……お兄ちゃん、真剣に手を出さないつもり!?」

男「あたりまえだろ」

後輩「ええ!?先輩大丈夫なんですか!?」

男「大丈夫って!?」

従妹「だってその、アレじゃない?私たち、自分で言うのもなんだけど、
かなり可愛い方だと思うんだけど……それが全力アピールしてるのに、おいしくいただきすらしないなんて」

男「今後どうするか、はっきり決まってないのに、そういう事をする気にはなれん!以上!」

部長「ま、まっじめぇぇ!!」

後輩「でもそこが好きです」

従妹「私も」

義妹「右に同じです」

部長「うん。気持ちはわかるよー♪」

男「(仲いいな)」

義妹「でもさーでもさー。つまみ食いくらいならしちゃってもいいんじゃない?」

男「つまみ食いって……」

部長「そうそう!試食試食!とりあえずやってみてからって感じじゃない?」

男「俺はなんでこんなに推奨されてるんだ……」

従妹「あーもうじれったいな!早く私の子宮に膣内射精(なかだし)してよ!」

男「どこでそんな隠語を覚えた!!」

従妹「ベッドの隠し収納スペース」

男「大変申し訳ありませんでした」

義妹「妹もの以外は処分しておきました」

男「絶対に許さん」

義妹「えーいいじゃん実物あるんだから。てきとーに触ったら?」

男「軽々しく言うなぁ……」

後輩「『据え膳食わぬは男の恥』ですよ?」

男「そういわれてもさ……まず据え膳が4つあることに驚きなんだよ」

義妹「それはそうかも」

男「一つでも悩むってのに、四つ一気とか、胃もたれするだろ」

部長「流石文学部……」

男「いや関係ないです」

従妹「じゃあ順番に食べていって、おいしかったのと付き合えば?」

男「その混ぜ方やめて。俺が本当最低みたい」

義妹「へたれではあるけどね」

男「誰がヘタレだ!」

義妹「いや、お兄ちゃん以外のどこにいるのさ!」

男「ええー!?」

従妹「あーもうわかったわよ!勝手に寝ときなさいよ!」

男「お、物分かりがいいな……。
お前らも明日早いヤツいるんだから、夜更かしすんなよ!」

義妹「はーい」

男「ふー……」

ガサゴソ

ズルズル

男「なにやってんですか?」

従妹「陰茎を露出させています」

男「何故ですか?」

従妹「性行為を行うためです」

男「勝手にする気!?」

従妹「だってあんたやる気ないんだもん!こーなりゃ息子さんに直接お話しするしかないなって思ったの!」

男「いやダメだろ!ていうかお前……」

従妹「なによ?」

男「処女だろ?」

義妹「というかここにいる人はみんなそうだと思いますが」

部長「この年になって処女って恥ずかしいけどね!!」

男「一個上でしょ」

後輩「リア充爆発しろ!!」

男「この前君が同期の男の子フッてるとこ見たんだけど」

後輩「あ、ばれてました?でもあんな餓鬼相手にする気なかったんで」

男「何気に辛辣だ!」

従妹「むしろ、処女だからこそよ」

男「だからこそ?」

義妹「お兄ちゃんで処女を失いたい、できるなら、童貞のお兄ちゃんと、私の処女を交換したい――」

部長「そう!!それ!!」

男「……処女はもちろん、俺の童貞も一回きりだけど」

義妹「……これは」

従妹「バトルロワイヤルね?」

男「バトルロワイヤル!?」

義妹「私たちはいつでもお兄ちゃんの童貞を狙います」

男「なにその生活!?おちおち眠ることもできない!」

従妹「開き直って、獣になってみたら?」

男「それじゃーあのおやじと一緒じゃねーか……」

義妹「……あ」

後輩「先輩はそれが気がかりだったんですか?」

男「気がかりというか、そんなんになりたくないんだよ」

部長「……ああ、かっこいい。だから好き」

義妹「右に同じです」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男「えー、それから、血で血を洗うバトルロワイヤルが始まりました」

男「いや実際流れた血は経血と鼻血くらいですが」

男「正直な話、疲労感満載なんで、そろそろ限界かとおもいます

男「これから私のふつうの一日を紹介します」

深夜

男「……」

従妹「……ふふ」ガサッ

ズルズル……

ガッ

従妹「いたい!いたい!」

男「自分の布団にもどりなさい……」

従妹「ちぇー……」

男「ふー……」

部長「……ふふ」ガサッ

ズルズル

ガッ

部長「あいたたた!痛い!痛いよう!」

男「自分の布団に戻ってください」



男「……結局ほとんど寝てない」

義妹「おはようお兄ちゃーん!」

ドグッ

男「ごほっ!!ごほっ、ごほっ!」

義妹「あ~お兄ちゃんいい匂い~」

男「お前の方が圧倒的にいい匂いだっつの……どいてくれ、顔洗う」

チュ

義妹「おはようのチューゲット!」

男「……んな」

義妹「大丈夫!私は1時間前に起きて口臭予防してるから」

男「いや俺はしてないんだけど……」

義妹「いい匂いだから大丈夫」チュ

従妹「ああああああああ!ずるいー!!」

義妹「へへーん!悔しかったおねーさんもやってみてくださいよ!」

男「たきつけないでぇ……」

歯磨中

従妹「すきあり!」ズルッ

男「うわぁ」

従妹「いいわねぇ・・・・・・朝立ちじゃない」

男「頼むから歯磨くらいゆっくりさせてくれ・・・・・・」

従妹「たっくんのおちんちん・・・・・・はぁはぁ、凄い臭い・・・・・・ああ、臭いよう・・・・・・はぁ、はぁ」

男「・・・・・・ハァ」

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男「こんなのが朝晩続き、眠れない毎日が続きました……」

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学校

男「……」シーン

友「だ、大丈夫か……?最近疲労感たっぷりの顔してるけど」

男「もう……つかれた」

友「え?」

男「俺もう……限界かも」

友「お、おい!自殺とかはするなよ!?」

男「いやそれはしない」

友「なにする気だ!!」

男「双方合意の上でのセックス」

友「……なんだ。じゃーいいや。ゴム貸そうか?」

男「いいや。自分で買う」

友「そか。がんばれよー!」

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男「……」

ガチャ

義妹「おっかえりぃ~!!」ガバッ

男「……」ギュ

義妹「へ?」

男「シようか」

義妹「へ……は、ほ、ふ、ひゅぇあ!?」

男「もう、疲れたんだ、もう……」

義妹「……そだね。これからはもっと、疲れないように」

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「んあっ!そこっ!いい、いいよぉっ!お兄ちゃん!!」

ギシッ ギシッ……
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男「それから早かったです。新しいバイト先から帰ってきた従妹を犯し、
続いて帰ってきた部長も犯しました。
後輩はどうしても帰りが遅いので、深夜に静かに帰ってきたところを、後ろから口をふさぎ、無理やり犯しました」

男「途中まで真剣に嫌そうで必死に逃げようとしましたが、相手が俺だとわかるといなや顔を綻ばせちょっと泣いてました」

男「あれは悪いことをした気分になりました」

男「その後俺の睡眠不足が解決したかというと……」

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義妹「お兄ちゃん!私お兄ちゃんの子供孕むね!お兄ちゃん私の子供にも、私の妹にも種付けしてね!」

ビュルルルッ

義妹「あ、あぁぁあああっ!!出てる!中に射精る(でてる)よ!」

男「ふ、ふぅ……」

ズポン

従妹「次は私~♪」

男「ま、待ってくれ……そんな元気はムグッ」

従妹「ほーれほれー。天然無毛地帯だぞー」

男「ムグッ……ムグムグッ!!」

ムクムク

従妹「おっきくなった~♪」

男「ちょ、もう……」

ズン!

従妹「あひっ!い、いい!!」

男「頼むから……」

パンッ パンッ パンッ

部長「はやく!はやくはやく!」

従妹「たっくんそんな早漏じゃないって!」

男「あの、もう……無理だから、マジで……」

後輩「なに言ってるんですか!もう二周はしないと」

男「……死ぬ、セックスに殺される」


アハハハ  ウフフ   パンッパンッ

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男「モテ期は確かに来たのだと思います」

男「でもどうしてか、これが幸せとはとても思えないというか……なんか実際死にかけてるっていうか……」

男「モテ期がこんなにひどいもんだとは、思いませんでした。

男「以上が私の、『モテ期レポート』です」

男「……あ、肉体が呼んでる、そろそろ戻らないと、本当に死ぬな」


                            
                                BAD END(?)

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