苗木「日向君たちとコロシアイ学園生活」 (369)


プロローグ【絶望よ、こんにちは】

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その学園は都会のど真ん中の一等地にそびえたっていた。
私立希望ヶ峰学園。政府公認のその学校は各分野における超一級…
通称「超高校級」の高校生のみが入学を許可される。

けれど、ボク…苗木誠は別に何かといって超高校級というわけではなく、
抽選によって全国から選ばれた。つまり普通の一般的な高校生にして
この学園の生徒なわけだ。

そんな僕は…今日が入学式…入学式なはず…だったけど…?


…目の前には鉄板だらけの窓。閉じられた教室。
そしてボクを含めて16人の生徒達。

???「あ、気が付いたんだね」

???「けっ…心配させやがって」

???「それじゃ全員が起きたということになるな」

ボクの前でざわざわしている生徒たちは殆どがテレビで見たことがある生徒。
そうでなくても名前を聞けば分かる生徒ばっかりだろうな。
しかしこの妙な教室は…なんだろう?

???「まあとにかく、全員起きたとこだし…とりあえず自己紹介から始めない?」

誰かの一言に全員が承諾した。

まずは一人目。

七海「えっと七海千秋でーす。超高校級のゲーマーでーす。
趣味はゲーム。オールジャンルでイケまーす」

子供の頃はゲームは一日一時間、なんて言われてるけど
彼女はそうでもないらしい。希望ヶ峰学園総合スレでの情報によると
確か七海さんは格闘ゲームやパズルゲームの世界大会で優勝を連発。
世界大会では「レッツゴーナナミン」の愛称で親しまれている。
ルックスも受けが良く、レトロゲームのプレイヤーとしてDVDも出しているんだとか。
まあ実際こうやって見ると、結構可愛いような…

七海「…あ、よろしくね」

苗木「う、うん」

…マイペースな娘だな。


弐大「ワシが超高校級のマネージャー、弐大猫丸じゃあ!よろしく頼むぞお!」

苗木「よ、よろしく…」

弐大「声が小さい!」

苗木「よろしく!…はぁ」

この暑苦しいとも言える彼はその才能に違わず、無名不良高のラグビー部や、
廃部寸前の野球部を全国優勝まで導いた経歴を持っているらしい。
自分でスポーツをやってもいいんじゃないかと言えるほど体も大きいんだけど。
その隣にいるのが…これまた巨漢。

豚神「十神白夜だ」

この威圧感。流石は超高校級の御曹司だ。体型的にも。

豚神「分かっているだろう?俺は個人資産も築いた御曹司の中の御曹司。
特別でもないお前に話しかける権利はない」


苗木「どうしてボクのことを?」

豚神「クラスの奴のことは大体頭に入っている。全員ではないがな」

…もしかしたら意外といい人なのかもしれない。

???「ちょっとー?何してるんすかぁ?」

苗木「君は…?」


澪田「あっすんずれいしましたー!秋山澪の澪にー、田井中律の田にー、
平沢唯の唯にー、琴吹紬の吹でー!澪田唯吹でーす!」

苗木「直球?!」

澪田「まーまー小っちゃいことは気にしちゃダメですぜ、ダンナ?
この学園から出られないのだって何かのドッキリに違いないっすー!」

苗木「閉じ込められてる?!」

澪田「見ての通りっすよ?壁がぎっちり鉄板で」

そう言えば確かに…これは閉じ込める用のものなのかな?

それと、澪田さんは超高校級の軽音楽部。
既にバンド時代からヒットを飛ばしていたけど現在はソロ活動中だ。
派手な見た目だからもうちょっと怖い人を想像していたけど、
フレンドリーな感じで何よりかな。

次は…

ソニア「私、ソニア・ネヴァーマインドと申します。超高校級の王女と
呼ばれておりますが、あまり気にしなくて結構ですよ?」

苗木「えっと、苗木誠…です」

ソニア「大丈夫です、顔をあげなさい!」

苗木「は、はい!」

ソニア「ごめんなさい、普通の言葉づかいでいいですから!
なんならタメ口でも呼び捨てでもどうぞご自由に…」

この人はノヴォセリック王国だったっけ?
とにかく、小国の王女様で日本の留学生。
親日家として有名で日本語はペラペラ。
もしかしたら日本人よりうまいんじゃないかな。
さっきも平気で「タメ口」とか言ってたしね。
でも、どうやって話しかけていいのか困るなあ…


左右田「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?
俺は超高校級のメカニック、左右田和一だ」

苗木「ボクは苗木誠、よろしくね!」

左右田クンは様々な機械の修理で有名らしいけど
ボクは希望ヶ峰学園総合スレで初めて名前を知ったかな。
でも超高校級というだけあってその世界の人はみんな名前を知ってるみたい。
特に乗り物マニアの間では相当有名みたいだ。


???「待て、そこの者。名を名乗れ」

苗木「あ、ボクは苗木誠だけど…君は?」

田中「よくぞ聞いた。我が名は田中眼蛇夢!
やがてこの世の全てを支配する者ぞ!」

苗木「…そ、そうなんだ」

田中「見たまえ!これぞ邪眼にて得た力、破壊神暗黒四天王!
冥途の土産に見せてやろう…ふはははは!」

この何とも言えない彼も超高校級の才能の持ち主。
超高校級の飼育委員として名を轟かせる彼は邪眼の力?
とやらで絶滅危惧種の繁殖にも成功しているみたいだ。
噂では動物と会話ができる「能力」を持っていると…ダメだ。
喋り方が移ってきた…


西園寺「ちぇーっ!つまんないのー!
みんな仲良しこよししちゃってさ!むっかつくー!」

苗木「えっと…」

西園寺「西園寺日寄子でーす。超高校級の日本舞踊家です―。
よろしくお願いしますねー、おにぃ!」

苗木「おにぃ?!」

西園寺「って言っとけば大抵の奴は騙されて脚舐めてくれるんだけど
おにぃは違うみたいだね!見直しちゃった!」

うわぁ…この娘は希望ヶ峰学園総合スレでも「裏では毒舌らしい」と
書かれてたけど本当だとは思わなかった。
海外でも公演を行っているからその実力は本物なんだろうけど。

西園寺「ほら、普段ロリコンの年上ばっかり相手にしてるからどうしても
同世代と話すやり方が分かんないんだよね~?くすくすっ」

苗木「そ、そうだねっ…」

なんだかこれ以上は危険だからやめておこう…と思ってると。

???「ロリコンと聞いて飛んできました!」


花村「ぼくの名前は花村輝々。超高校級の料理人(シェフ)と呼んでくれるかな?」

苗木「花村クン、君の噂は聞いてるよ。君の料理を食べたいなぁ…」

花村「もちろんさぁ。ただし…苗木くん、君はなかなか童顔で可愛い顔をしているから
僕とベッドインしてからゆっくり料理を振る舞ってあげるよ?」

苗木「え、い、いや、ボク、そういう趣味はないんだけど…」

花村「もちろん日寄子ちゃんを食べるのもオッケーだよ!性的な意味で!」

西園寺「キモいー!あんたのポークビッツなんか死んでも食ってやるもんかー!」

…うわぁ


辺古山「お前か、抽選で選ばれたという『超高校級の幸運』とやらは」

苗木「あ、うん。そうだけど…君は確か…」

辺古山「いかにも。私が超高校級の剣道家、辺古山ペコだ」

竹刀を持っているし、そうだとは思ったけど…彼女は
既にいろいろな大会で優勝している剣道界のホープだと聞いている。

罪木「あ、あのぅ…」

苗木「あ、君の名前も知ってるよ?!」

罪木「あ、ありがとうございます…罪木蜜柑です。
超高校級の保健委員と呼ばれてますけど実際はゴミクズみたいな…
メスブタでごめんなさいぃ!」

辺古山「お、おい、しっかりしろ!」

苗木「そ、そうだよ!誰もそんなこと言ってないから、ね?」


罪木さんも田中クンと同じで「委員」の枠を飛び越えた才能の持ち主。
医療知識や技術に関しては並みの大人の医者よりも上なんだとか。

罪木「えへへ…心配してくださってありがとうございます。
怪我したらいつでも私に言ってくださいね」

不意に別の方向を向くと、隅の方で壁を見つめている生徒が一人。

九頭龍「ああん?」


苗木「あ、えっと…」

九頭龍「自己紹介だろ?
くっだらねえ…九頭龍冬彦、超高校級の極道。これで満足かよ?」

まあ、仕方ないよな。
彼は日本最強の暴力団「九頭龍組」の跡取り候補なんだから。
背が低いと言った者は容赦なく指をツメられると聞いてるので
話しかけずにその場を後にした。ボクも背に関しては人のこと言えないし。
すると、反対に背が高い女の子が目の前に現れた。

終里「おっす!」


終里「オレは終里赤音。超高校級の体操部だ。よろしくな!」

体操部…とはいえ、彼女は体操で有名になったのは少なめで
実際は格闘技なんかの方が有名だったりする。
まあ実際スポーツなら何をやらしても強い。
テレビでも何回か顔を見たことがある。

終里「なんだよー浮かない顔してやがんなー」

肩をバシバシ叩かれるだけで凄く痛い。

小泉「あっ、あんたが苗木だったよね?」


苗木「あ、うん…そうだけど」

小泉「アタシは小泉真昼。超高校級の写真家。よろしく」

苗木「あ…ボクは」

小泉「あんたのことはもう聞いてるよ。超高校級の幸運、でしょ?
頼りない苗木?」

苗木「た、頼りない?」

小泉「なんか第一印象的にね。ま、これから仲良くやってこ?それじゃ」

さばさばした感じの彼女も様々な賞を受賞している若手写真家だ。
そして…次が最後の一人だね。


日向「俺の名前は日向創。よろしくな、苗木」

苗木「日向クン、そう言えば君はどんな超高校級の才能を持っているの?
失礼かもしれないけど…」

日向「それが分かってたらいいんだけどな…」

苗木「え?」

日向「俺も覚えてないんだよ。自分の才能。どこかに書いてなかったか?」

希望ヶ峰学園総合スレにも、彼の名前はなかった。それじゃあ、彼はいったい…

日向「だよな、まあ案外俺も苗木と同じで一般公募の抽選だったりしてな」

苗木「と、とにかくよろしくね」

日向「ああ、よろしく頼む」

がっちりと掴んだ手は誰よりも逞しく、頼れるように想えた。
なんとなくだけど、日向クンには自分に近いものを感じたのかもしれない。
だけど…


モノクマ「あーあー、マイクチェック!マイクチェック!
オマエラ、至急体育館にお集まりください!」

突然響いた不気味な低い声にざわめく生徒達。
怖いけど…とにかく行かなきゃ。
そんな思いにかられ、ボクは歩き出していた。
同じことを考えたであろう他の生徒たちと共に。
これからの「超高校級の不幸」も予想せずに…

<To Be Continued…>


chapter1【絶望という名の電車】~(非)日常編~


体育館に集まると、真ん中から出てきたのは不気味なクマのぬいぐるみだった。

モノクマ「オマエラ、おはよーございます!この学園の学園長、モノクマでございます」

苗木「学園長?!」

モノクマ「そうなのです。クマではないのです。もちろんフェルト地でもないのです。
さて、早速で恐縮ですが…これからオマエラにはコロシアイ学園生活を始めてもらいます」


左右田「コロシアイィ?!」

モノクマ「もちろんバトルロワイヤルをさせるつもりは毛頭ありません。
殺人を犯した生徒が学級裁判を切り抜けて、はじめてこの学園から脱出できる…
『卒業』の権利を得るわけです」

日向「学級裁判って…」

モノクマ「ああ!…説明しましょう。殺人が起こった時点で一定時間の捜査を行い、
生徒たち全員で裁判を行います。犯人…つまり『クロ』が正しければクロだけがオシオキ、
違う場合はクロ以外の全員がオシオキとなりクロは晴れて卒業です」


七海「やっぱり私たち…この学園に閉じ込められたんだね」

花村「信じない信じない…これは悪夢だぁ」

十神「殺人を犯さないでこの学園に留まり続けるというのは、
選択肢としてありなのか?」

モノクマ「勿論構いませんよ。ですが、絶えず仲間たちの中からクロが
出続ける可能性を考慮すると、それは辛いんじゃないですかねえ?
細かいことは君たちの携帯の代わりにポケットに電子生徒手帳を配布しておきましたので」

辺古山「確かに携帯が…なくなっているな。これのことか?」


モノクマ「そういうことです。食糧についてはこちらから倉庫に常時支給しておきますので
心配はありません…要は殺されるか殺されないか、ですよ?うぷぷぷぷ…」

終里「おい!勝手に現れて好きかって言ってんじゃねえぞ!クマ野郎!」

モノクマ「おや?電子生徒手帳にも書いてたけど、モノクマへの暴力は即刻処罰だよ?」

西園寺「やっちゃえやっちゃえー」

弐大「待て!危ねえぞ!」


モノクマの身体から無数の刃物が飛び出す。

モノクマ「綺麗なモノクマには棘がある…つまりはそういうことなのだ。
ふむ、わかってないようだね。オマエラは閉じ込められた。
出たければバレないように殺せってことなんだ」

振り返るとぞろぞろとモノクマの大群がボクらを取り囲んでいた。

ソニア「あ、あんなにいっぱい…」

モノクマ「監視カメラが沢山あったでしょ?あれで僕らはオマエラの
着替える姿も、寝る姿も、何もかも監視し放題なんだ。
余計なことは考えない方がいいよ。
こっちはヤル気になればオマエラを皆殺しにできちゃうよ?
生かされてるのはオマエラなんだからそのことを忘れずにね」

小泉「ねえ、待ってよ!」


モノクマ「何かな?くだらないことなら一人の時に聞いても構わないよ
僕はいつでも呼べば出てくるランプの魔人みたいな学園長だから」

田中「興味深いな」

小泉「そんなことより、さっき言ってたオシオキってなんなの?」

モノクマ「あ、処刑のこと」

罪木「処刑って…!」

モノクマ「人を殺してバレたらごめんじゃ済まないじゃない。
でも逆に言えば、バレなきゃ犯罪じゃないんですよ?
僕はこの学園においては中立だからクロは学級裁判の最後まで
明かさないわけだしね。結構ぬるいと思うよ?
それと、僕ばっかり喋り過ぎてみんなも飽きてると思うから
この学園の秘密を知りたい人はここの近くにあった、視聴覚室へ向かってね!
ではまた後ほど、チャンネルはそのままで…」

どこへともなく、モノクマは消えた。
視聴覚室か…

澪田「みんなは行くんすか…視聴覚室…?」

九頭龍「俺はめんどくせーから行かないでおくぜ…
だいたいクロを決めるってったって
肩書の関係で疑われるのどう考えても俺だしよ…
やってらんねえぜ…」

視聴覚室に行くと、各テーブルにボクらの名前が記されていた。
ボク以外でこの部屋にいる生徒は大体半分くらいか。
来ていない生徒もいるみたいだ。
「超高校級の幸運 苗木誠」と書かれた席にボクが座ると…
映し出されたのはボクの家族の写真。

苗木「どうして…?」

すると画面が暗転してボクの家が破壊されている写真。

苗木「どういうことだよっ…?!」

~君の家族の真相を知りたければ卒業すること~

画面に映し出された文字に煮え滾るような黒い感情を覚える。
なんでボクの家族がいるのかとかいう疑問なんかは、
もはやどうでもよくって…すると画面はひとりでに消えた。


豚神「やはり黒幕は俺たちに殺しの『動機』を与えようと
この画面を見せたわけか」

ボクの隣に現れた十神クンはそう呟いていた。

苗木「動機…?」

豚神「そうだ。周りを見てみろ。先ほどまでとはだいぶ違うだろう?
おそらく自分たちが一番『見たくないもの』を見せられたんだ、あの画像でな。
しかもご丁寧に本人以外は見られないと来ている」

苗木「…」


七海「でも、絶対にコロシアイなんてやっちゃダメだよ」

苗木「七海さん…」

横から入ってきた七海さん。他の生徒たちも画像を見終わったのか、
暗い表情でその場に立ち尽くしているが彼女だけは表情が違った。

七海「十神くん、この学園を調査しようよ。
そうすれば何かわかることがあるかもしれない。
もしかしたら…隠れた出口があったりとかさ」


左右田「だなぁ…もうこんなとこ…一秒だっていたくねえよお…」

豚神「わかった…ここにいるメンバーで後のことは相談しておこう。
苗木、七海、お前たちは学園の見回りに向かってくれ。
考えにくいがこうしている間にコロシアイが始まるという可能性もなくはない」

小泉「そんな身も蓋もないこと…!」

弐大「いや、こんな事態だからこそ念には念を入れてしかるべきだと思うが?」

日向「苗木、七海…こっちはこっちで上手くやるよ。後はよろしく頼んだぞ」

苗木「わかった」

七海「任せといて」


―1階

七海「さっ…学園短剣にしゅっぱーつ、だね」

苗木「部屋を出たらいきなりテンション高くなったね…」

七海「あんなところにいたら嫌でもテンション低くなるよ…それに、
こういうのは明るくやらなきゃ身が持たないよ」

苗木「七海さんは強いな」

七海「強くないよ。自分が何を見たのか、今苗木くんに言うほどのメンタルはない」

苗木「それはボクもだから…言える方がおかしいって。
まあ、この状況自体がおかしいんだけどさ」

そう、コロシアイ学園生活なんて夢の中でも早々考え付くもんじゃないんだ。
でも今は、これが現実。頬を抓っても元の世界なんてない…


―1階廊下

七海「こっちの方向が体育館だね」

苗木「今後の連絡とかは体育館でやるのかな」

七海「うーん、あまり考えたくはないよね」


―保健室

罪木「あ、お二人さん…どうも」

七海「罪木さん、何か変わったことはあった?」

罪木「いえ、ここには注射や薬品もあって、しっかり道具が揃ってるなあって」

苗木「流石罪木さんだね」

罪木「あ、あの、誰か怪我したら応急処置とかは任せてください…!
誰かに斬りつけられたりしたらすぐ駆けつけますんで、
死んでない限りはなんとかできる可能性がありますから」

苗木「う、うん…」


―食堂

豚神「お前たち、ようやく来たか」

七海「あ、十神くん」

苗木「何か食べてるけど…どこから調達したの?」

豚神「食堂の裏だ。それと倉庫にも食材はある。
確かモノクマは食料に関して問題ないと言っていた。餓死の心配はなさそうだな」

七海「寝るところに関しては?」

豚神「その辺に行けばわかるはずだ」


―食堂裏

花村「いやー、お二人さん。もしかしてあんなことやこんなことはもうしました?」

七海「してないけどさ、花村くん、この辺には何かおかしいところはあったかな?」

花村「ここの食材はなかなか素晴らしいものが揃っているよ!
まあ超一級品には程遠いけれどね…」

苗木「調理器具はどこにあるの?」

花村「それがさっき、十神くんが倉庫にしまっちゃってさあ…
凶器になる可能性があるから許可を取って使えとさ。お堅いことだよ…」

七海「さっきも倉庫の話が出たし、倉庫に行ってみようか」


―倉庫

小泉「あ、苗木と千秋ちゃん」

日向「こっちは特に異常はないけどそっちはどう?」

苗木「特に何もないよ」

七海「あ、何か凶器になりそうなのがそっちにしまわれてるって聞いたけど」

小泉「十神がそう言ってたからね…そこのショーケースに入ってるのがそれ。
これからは一日倉庫当番を二人一組で決めて、そこのショーケースを見張れってさ」

苗木「二人一組?」


日向「お互いがお互いを監視できるだろ?まあそれ以外にも
十神には考えがありそうだったけどまあ俺には理解できなかったな」

苗木「そっか…ありがと」

小泉「それと、こっちにはゴミ捨て場、
向こうに各々の部屋があるから見といた方がいいんじゃない?」


―個室

苗木「ここが僕の部屋か…」

七海「あ、入っていいかな」

苗木「あ、うん」

七海「さっき、私の部屋を見てみたんだけどね。
女子部屋はシャワールームに鍵がかかるんだね」

苗木「ふーん…」

七海「後、人体急所マップ…これ、なんだか危なそうだね」

苗木「とりあえず、捨てておこうか」

七海「じゃあ、次はどうする?」

苗木「ゴミ捨て場へ行くのもいいけど、ちょっと見たいところがあるんだ」


―購買部

七海「あ、ソニアさんと田中くん」

ソニア「おっつー、です」

田中「インフィニティーアンリミテッドフレイム!」

苗木(二人ともカオスな挨拶…)

苗木「購買部って聞いたけど特に買うものはないみたいだね」

ソニア「特に必要もないですしね」

田中「しかしかの如き牢獄にも我々を見張る黒き眼が光る…恐ろしいことだな」


苗木「どういうことかな?」

七海「監視カメラが怖いってことだね」

田中「なっ!邪眼の力の持ち主が此処にもいようとは!
貴様の『能力(スキル)』は何だ!」

七海「えっと…私、突然ごめんなんだけど、
トイレ行きたくなっちゃったからここで待っててくれる?」

苗木「あ、いいけど…」

ソニア「あ、私も少し部屋に戻ってますね。確かあっちでしたよね?」




七海「いやぁぁぁぁ!」

田中「何だ?!」

苗木「七海さんの声だ!」

罪木「お二人とも…!今、今…!」

走ってきた罪木さんに導かれてボクたちが女子トイレの中で見たもの…
それは腹を切り裂かれた七海さんの…死体だった

<To Be Continued…>


chapter2【絶望という名の電車】~非日常編~


苗木「うわあああああああああ!」


僕は大声で叫んでいた。
さっきまで生きていた人が…死んでいる。
そんな状況なんて今まで見たことがなかったから。

小泉「何が起き…きゃああ!」

弐大「なんじゃああああこりゃああああ!」


ざわめく生徒たちを尻目に放送が流れた。

モノクマ「ピンポンパンポン。死体が発見されました。
一定の捜査時間の後、学級裁判を行います。
生徒手帳に今回の事件に関するモノクマファイルを更新しておきました。
そちらも参考にしながら学級裁判の準備を進めてください。
では、ご検討を…」


そうだ。学級裁判で誰が七海さんを殺したのか暴かなきゃいけないんだ。

罪木「信じたくないけど誰かが、クロなんですよね?」

日向「みんなで捜査を進めよう。辛いけど、それ以外に道がないならやるしかないだろ…」

そうだ。手当たり次第に捜査して少しでも証拠を増やしていこう。

~捜査開始~


罪木「わ、私は検死にあたります。こういうのは私の管轄ですし…」

豚神「俺もこの部屋に残ろう。最低二人は部屋にいた方がいいだろう。
他の生徒も各部屋二人一組で捜査に当たるんだ。余った奴は各部屋の見回りだ。
色々なところを探って初めて見えることもあるだろう」

僕は…まずこの女子トイレを調べよう。
事件現場となった場所…そして目の前に七海さんの死体がある…
怖いけど、目を背けるわけにはいかない。


豚神「苗木、済まない。俺がこの学園にいながら…しかし、
凶器は完璧に保護していたはずなのだがいったいどうやって…」

苗木「確か倉庫に保管していたんだよね。
そういえば十神クンは『二人一組』に拘っているようだけど、
どうしてなのかな?」

豚神「実はモノクマに確認したんだ。『事件に共犯を用いることはできない』んだ」

苗木「どういうこと?」

豚神「二人が協力して一人を殺しても、卒業できるクロは主犯の一人のみ。
故にこの学園で起きる事件は常に単独犯。だからこそ、凶器の多い倉庫には
二人一組、互いを監視し合える状況にした。もしもどちらかが死ねばもう片方が必然的に
クロということになるからだ」

苗木「なるほどね…」


豚神「だがこの計画は今回の事件で狂ってしまった。俺はもう少しここを調べる。
あの状況で倉庫から凶器を持ち出すことができるのかどうか…一応確かめてくれ」

コトダマ<二人一組の法則>を手に入れた!

―保健室

田中「ふむ…」

苗木「田中クン、何か証拠は見つかった?」

田中「ここには大したものはない…が、雌ネコと吾輩の行動を思い起こしていたのだ」

苗木「雌ネ…ああ、ソニアさんか」


田中「うむ、我々は放送室で魔界の道標をその眼に焼き付けた後、
各々の居城を調べ上げた。そしてあちらにある聖剣を売りし館へたどり着く前だ…
このヒーリングルームへと足を踏み入れたのはな」

苗木(いきなり謎の英語?!)

苗木「ということは、一度保健室を経由してここに来たわけ?」

田中「うむ、王女たるもの、医療知識も必要だと雌ネコが言い出したのでな。
注射器やらその他の道具について罪木に聞いていたのを吾輩は破壊神暗黒四天王と
共に見守っていたぞ」

苗木(つまり蚊帳の外だったんだね…かわいそうに)

コトダマ<田中の証言>を手に入れた!


苗木「小泉さんは何か見つけた?」

小泉「ううん、アタシ捜査とかこういうの苦手だから…でも、
日向と一緒に倉庫を見張ってて怪しい人は一切来なかったのは確かだよ。
それに凶器のショーケースにも誰ひとり触ってない」

苗木「倉庫から持ち出したと考えるのは難しいかな…」

小泉「それよりもアタシが気になるのはあのDVDだよ…
家族の安否が気になるなら早く卒業しろって…何あれ、怖いよ…」

苗木「ボクのも同じような内容だった…やっぱり家族関係なのかな?」


小泉「どうだろうね…十神も言ってたけど『一番見たくないもの』を見せられるDVD、
つまり『動機のためのDVD』だよね?あれって…」

苗木「そうだね…いずれは黒幕も誰か暴かなきゃ…」

小泉「でも、今はクロ探しで手一杯だけどね…もうアタシ怖いよ…」

コトダマ<動機DVD>を手に入れた!


―倉庫

苗木「日向クン、やっぱりここにいたんだね?」

日向「ああ、見張りは任されていたけどやっぱり気になるところがあってね」

苗木「というと?」

日向「小泉から聞いてるかもしれないけど、
見張ってる間は誰一人ショーケースには触ってない。
見張る前はそもそもショーケースがなかったからカウントしなくて大丈夫だ。
その間来た生徒は俺を除くと花村、ソニア、十神、苗木、七海の五人だけ」

苗木「ボクと七海さん以外の人は何をしていたの?」

日向「俺たちと一緒に調理器具、特に包丁辺りを中心に
ショーケースへ凶器を詰め込む作業をしていた。途中で力仕事になるから、
ソニアは手が空いて途中で帰って行ったけどな」

苗木「その間、誰かが凶器を持ち出そうとする隙はなかった?」

日向「ないな。十神はショーケースをこの上の棚にしまうまで、
作業はせずに他の生徒の監視に努めていたから」

苗木「ありがとう!」

コトダマ<日向の証言>を手に入れた!


苗木「花村クンは何を探しているの?」

花村「いや、今回の事件なんだけどさあ…結局凶器ってなんだったのかなあってさ」

苗木「それを今から探してるんじゃないか」

花村「でもさ、正直こっから包丁持って歩くのって相当隠すの難しいと思わない?
それにここの包丁っておっきいのばっかりだしね。性的な意味で!」

苗木「性的ではないと思うけど…とにかく持ち運びがめんどくさいってことだね」

花村「そういうこと!まあぼくから言わせれば?包丁は食材を斬るものであって?
殺人の道具では断じてナッシング!」

苗木「その発言にだけは大いに同意するよ…」

やっぱりここから凶器が出たという線は薄いのかな。だとしたら?


―ゴミ捨て場

辺古山「このあたりに凶器が落ちているかと判断したのだが…そうでもないようだな」

ソニア「掃除当番の辺古山さんに協力を願って鍵を開けてもらったのですが、
大したものはないようですね」

苗木「掃除当番?」

辺古山「ああ、十神が決めた掃除当番システムだ。
犯人が証拠を隠滅しないよう二人一組で鍵をかけておくんだ。
今回は弐大と私が担当だったぞ」

強そうなメンバーだな…しかしここにも証拠はなさそうかな。


―個室前

弐大「おう!苗木ィ!こんなところにいたのかぁ!」

苗木「弐大クン?!」

弐大「この辺を終里と一緒に聞き込み捜査していたんじゃが、
めぼしいものは見つからんかったのお。
それと九頭龍と西園寺は自室に籠っていたようじゃなあ」

苗木「と言うことはアリバイはない、と?」

弐大「いや、暇でしょうがなかった終里が左右田を引っ張り出して廊下を
見回っていたからその線はあり得んそうじゃ。もし何かあれば全力で止めておるじゃろ。
信用できなければ今から読んで聞いてみてもいいが?」

苗木「いや、そこまでしなくてもいいけど…ところでなんでボクを?」


弐大「たはーっ!忘れておったぁ!十神からの連絡じゃあ!
検死結果が出たとよお!
わしもお前と入れ違いに各部屋に聞き込みしていたところでな!
わしも遅れてそちらに参るぞお!」

苗木「分かった!すぐに行くよ!」

左右田「おうおう、苗木!」

苗木「あ、左右田クン」

左右田「弐大に聞いたと思うが、俺は昨日終里に引きずられて
見回りに当たってたんだ。あいつ、人使いが荒くてよお…おっと、
こいつはその間に見つけたモンだ。どうやらお前の部屋にもあるらしいが、
証拠になるかもしれねえぜ?」

コトダマ<人体急所マップ>を手に入れた!


そういえば、昨日捨ててたアレだな…
確かに犯人はこれを使った可能性も捨てきれない。あくまで可能性だけど。

―女子トイレ

豚神「遅かったな、苗木。罪木から報告だ」

罪木「は、はいぃ…七海さんはお腹を切り裂かれていますけど死因は首元を
切り裂かれたことによる即死。お腹の傷は相手を怯ませるものだったと考えられます」

予想以上に生々しい話に、ボクは生唾を飲む。

豚神「そして…ここからが重要なのだが…」


苗木「何?」

豚神「先ほど…ああ、ここだ。トイレの用具入れから血塗れのシーツとハサミが見つかった」

罪木「私が保健室で見かけたものと、同じものです…!」

苗木「!!」

豚神「この話は学級裁判で証拠として提示していこう。
おそらくクロにとっては切り札級の一撃になるだろうから、
全生徒に伝えるよりこの参人で保持しておいた方がいいだろう。
もちろん、俺や罪木、苗木がクロなら話は別だが…その時はその時だ」

十神クンがそう言い終わると同時に、放送が流れた。

モノクマ「ピンポンパンポン。捜査終了です。学級裁判を開始します。
体育館付近、赤い扉のを開けてお集まりください…お待ちしています」

罪木「行きましょう、苗木さん」

苗木「…うん」

怖いけど、行くしかない。そして生ききるんだ。この学級裁判を…!
僕は十神クン、罪木さんと一緒にその扉を開けて中へと入った。


コトダマ<血塗れのシーツ><血塗れのハサミ><罪木の検死結果>
を手に入れた!

~学級裁判開廷~


モノクマ「まずは学級裁判の流れを整理しておきましょう。
学級裁判では犯人…つまり『クロ』を生徒全員の投票で決定します。
決定したクロが正しければクロだけがオシオキ、
違う場合はクロ以外の全員がオシオキとなりクロは晴れて卒業となります」

日向「まずは凶器についてはっきりさせておこうか」


~議論開始!~

日向「俺は小泉と倉庫の見張りをしていたけど…」

澪田「<凶器を入れたショーケース>はそこにあったんすよね?白夜ちゃんから聞いたッす!」

西園寺「なら倉庫の見張りはやりたい放題できるってことじゃん!」

九頭龍「<見張りのどちらかが犯人>なんじゃーねーのか?」

→<二人一組の法則>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「いや、見張りの二人が犯人の可能性はあり得ないよ。そうだよね、十神クン?」

豚神「ああ。モノクマに聞いてみたが、二人が協力して犯人を殺しても『卒業できるクロは一人』。
つまり、オタ顔がお互いを監視できる状況にある見張りはまず犯人から除外だ。
監視を逃れるには見張りがもう一方を殺す必要があるからな」

小泉「逆に九頭龍辺りはどうなのよ!」

左右田「それもありえないぜ?終里と俺が九頭龍たち個室組を見回っていたからな」

辺古山「ゴミ捨て場には私と弐大がいた」

澪田「忘れられてるけど澪田はゴミ捨て場でゴミ漁りをしてたッす!」

弐大「これらの発言には全員証人がおる。アリバイはなしとみてよさそうじゃのう」

終里「つーかさ、早い話、一番怪しいのって第一発見者だよな?こういうのって」

苗木「?!」


十神「第一発見者は罪木、苗木、田中…
次いで俺、ソニア、花村、日向、小泉が現場に到着したな」

花村「じゃあ七海さんとイチャコラしていた苗木くんが怪しいよ!」

苗木「待ってよ…そんな」

日向「議論で決めよう。俺たちの命に関わるんだぞ」

ソニア「それしか手はなさそうですね…」


~議論開始!~

辺古山「<見張り以外に倉庫に入った人物>が怪しいのではないか?」

小泉「<ショーケースには誰も触れていなかった>よ」

田中「ならば凶器は何だというのだ…!」

ソニア「<お腹の切り傷が致命傷>と考えると…
ナイフや包丁のようなものが凶器ではないかと思います」

→<罪木の検死結果>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「いや、それはありえないよ」

ソニア「何故ですか?」

罪木「私の検死結果です。七海さんは首を斬られたことによる即死。
お腹を斬られたことは致命傷に結びついていません。犯人が七海さんを怯ませるため…」

豚神「もしくは『凶器を倉庫の中にあった』とするための偽装工作…つまりダミーの傷。
本当の証拠は、苗木…アレを出せ」

苗木「うん、<血塗れのハサミ>が女子トイレの用具入れから発見されてるんだ」

罪木「保健室にあったものですから…倉庫にはしまわれていません」

日向「ということは犯人は保健室に立ち寄って…かつ、女子トイレにも行った人物になるな」

田中「まさか…罪木か?!」


罪木「ひぅっ?!」

日向「いや、罪木が犯人ならわざわざ腹を斬る偽装工作を自ら明かしたりしない。
何より、この事件は前提として、
十神が『ショーケースを倉庫に隠した』事実を知ってなくちゃできない」

西園寺「そこのゲロブタが知ってたかもしれないじゃん!」

苗木「いや、罪木さんは知らないよ。だって、<日向クンの証言>では
ショーケースへ運び出す作業したメンバーはソニアさん、花村クン、
十神クン、日向クン、小泉さんだけ。しかも日向クンと小泉さんは
犯人から除外されてるよね?」

澪田「そもそも偽装工作じゃなかったという可能性はないんすかね?」


豚神「なくはないな。単純に腹を斬って怯ませた可能性は残っている。
だが、犯人が即死させられる技術を持ちながら腹を斬った…と言うことは
ショーケースを考慮した際のダミーと確定できる」

苗木「即死させられる技術…つまり<人体急所マップ>だね」

豚神「ああ、全員にあれは配られているからな。派手につけられている腹の傷と
対照的に、致命傷となった首元の傷はかなり目立たないようにつけられている。
このことからも犯人が俺のショーケースの件を知っており、
かつ急所マップを見ていたとしてまず間違いない」

日向「保健室に行っていて倉庫のショーケースの話も知っているのが犯人か」

苗木「そうだね…もう、犯人は一人しかいない」

田中「なん…だと…?」


苗木「ソニアさん、犯人は君だ」

ソニア「私が…犯人(ホシ)…?」

左右田「おいぃ!生まれも育ちもお嬢様なソニアさんが犯人なわけねぇだろお!
適当な証拠だったら容赦しねえぞ苗木ィ!」

苗木「まず<日向クンの証言>でソニアさんが倉庫のショーケースの片付けに
関わっていたのは分かっている。そして<田中クンの証言>…保健室で罪木さんと
話をしていたソニアさんのことも分かってる。この時にハサミの有無を確認したはずだ。
あのハサミは小さいからポケットに入れるくらいは簡単にできたはず…しかも、
七海さんがトイレに行くのとほぼ同時にソニアさんも部屋を出た…あの後、
七海さんの死体発見からソニアさんが戻ってくるまでは妙に早かったよね?」

ソニア「…」


左右田「おいおい、嘘だろ?嘘だと言ってくれよソニアさん!」

ソニア「はい、嘘です!苗木さんの言動は真っ赤な嘘です!」

十神「往生際が悪いぞ…!」

ソニア「悪いも何も…『はい、じゃあ犯人は私です』
とでも言えって言うわけですか?!それこそわけわかめです!
私がそこに行ったからなんだっていうんですか?!
私がそこに行ったことが嘘じゃなくて、
私が犯人なことが嘘だと言ってるんです!」

苗木「でもソニアさんは…!」

ソニア「私があなたたちと一緒に現場に駆け付けた時、
私の服は血塗れでしたか?そのハサミでも握っていたんですか?!」


苗木「それは綺麗だよね。だって現場には<血塗れのシーツ>があったから。
それで身体を覆い隠していたんだよ。

日向「でも、そのことを知らないはずのソニアさんがいきなり
返り血について言及するなんてやっぱりおかしいぞ?」

ソニア「わ、わ、私は…私は…シロです!だって私には動機がありません!
七海さんとは初めて会ったばかりですし…」

苗木「動機なら全員にあるよ。あの放送室にいた全ての人にね」

ソニア「…!」


苗木「放送室で見たDVD…僕は家族が殺されそうになる瞬間を見た。
そして他の生徒も『自分が一番見たくないもの』を見たはずなんだ。
特に国を背負ってるソニアさんは…」

左右田「やめろ!もうやめてくれぇ!これ以上ソニアさんを苛めるな、苗木よぉ!」

苗木「ソニアさん、君の犯行をこれからまとめていくよ。
反論はないね…?」


苗木「まず犯人は放送室で例のDVDを見た後、十神クンたちと一緒に倉庫の
凶器整理に向かったんだ。そこで凶器のありかを知ることになるけれど、
見張りの制度があることを知って一旦は断念したんだよ。

そこで犯人は一旦倉庫を抜け、田中クンと行動を共にしてアリバイを確保しつつ、
保健室にシーツとハサミがあることを確認したんだ。
シーツに関しては小さく畳んで置いてあったし、
ハサミと一緒に目を盗んでポケットに入れても不自然じゃなかったはずだ。

そしてボクらに購買部で田中クンと話していながら隙がある生徒が来るのを付け狙っていた。
そんな犯人の前に丁度七海さんが現れた。
女子トイレに入り込む彼女は力もさほど強くなさそうだし、
犯人にとって最高の条件を持った被害者だったはずだ。

七海さんがトイレから出る直前に壁伝いに待ち構え、彼女の首をハサミで斬り付けた。
さらに偽装工作として彼女の腹も切り裂いたんだ。これが事件の全貌だよ」


左右田「ソニアさん…反論は…」

ソニア「反論はありません。おっしゃる通り、犯人は私です。
私は罪のないものを殺した残虐な女なんです…」

苗木「罪を認めるんだね…ソニアさん」

ソニア「はい、では私を慕う気が亡くなるようもう少し面白い話をしましょう」

十神「どういう意味だ…」

澪田「どうかしちゃったんすか…ソニアちゃん?」


ソニア「私、こう見えても殺人鬼マニアで…
全世界の殺人鬼を調べるのにハマっていたんです。
そうしたら日本に『ジェノサイダー翔』というハサミを使う殺人鬼がいることを知りまして。
それでその人のようにうまくやれるかなと思ったんですが…現実は上手くいかないものですね」

弐大「おい!こいつは人の皮を被った悪魔じゃあ!投票じゃ!」

終里「マジかよ…信じられねえ」

ソニア「ふふふふ…」

花村「流石の僕でも殺人鬼には興奮できないよ!」

モノクマ「おや、そろそろ投票でよろしいですかね?」


モノクマ「投票結果は全会一致でソニアさん!勿論お察しの通りクロも正解です!」

左右田「くそぉ…信じてたのによぉ…」

田中「だが…本当は愉快犯ではないのだろう?貴様…演技か?」

ソニア「うっ…!」

日向「ソニア…?」

ソニア「そうですよ!私はDVDで国が滅びかけていると伝えられて…!
一刻も早く帰りたいと思ったんです!誰かを殺してでも!この手を血に染めてでも!
ホントは生きたいですよ!今だって!まだ死にたくない!死ぬのが怖い!」

左右田「ぢぐじょぉ…ソニアさん…!」

モノクマ「うぷぷぷ…よかったねぇ…最後に言いたいことが言えて…
でも君はクロだから、もう『知る権利』も『生きる権利』もないよ?
オシオキたーいむ!」

            オシオキ

~ソニア・ネヴァーマインドの首飾りに赤いケチャップを添えて~


ボクらはソニアさんのオシオキから目を背けられなかった。
彼女の悲痛の表情と嗚咽が聞こえて。その首が勢いよく切り落とされるまで。

モノクマ「いやはや、盛大にマミっちゃいましたね…残念ですよ僕は」

苗木「何言ってるんだ!お前が仕向けたことじゃないか!」

モノクマ「嫌だなあ…僕は殺人自体に残念だと言ってるんじゃないんですよ」

豚神「なんだと?」


モノクマ「殺人鬼マニアという、この条件下にピッタリな要素を
持ちながらてめーの犯した罪も隠せねー…
そんな希望も糞もないソニアさんの使えなさにイラッとくるぜ!
それが今の僕の気持ちなんですわ、分かります?
ピンチはチャンス、絶望の時こそ自分だけが生き抜く希望を持つこと。
これが大事なわけ。これからクロになろうって奴らは耳かっぽじってよーく覚えとけ!」

苗木「お前…!」

弐大「やめておけ…今は耐えるしかなかろう」

モノクマが笑いながら消えるのを僕らはただ見送るしかなかった。
生き残るには生き残った。だが、全く喜べない。
それでも、希望を持って生きるしかないんだ。
モノクマの言うように「自分だけ」ではなく、生き残ったみんなで…!

<To Be Continued…>

ただ今の生き残り人数
16-2=14


chapter3【顔のない絶望】~(非)日常編~


ソニアさんと七海さんが殺された日の翌日、
食堂にボクらは集まっていた。

日向「くそっ…どういうことだよっ…!」

豚神「ひとつわかったこと、いや、わかってしまったことは
あれだけ手を施しても殺人は起きるということだ…」

そう、十神クンがあれだけ手を尽くしたにも拘らず、
前回のクロはそれを掻い潜って殺人を犯した…しかも、
モノクマから与えられた「動機」によって…!


終里「そういえば、今日の朝飯はうめーな!
もしかして…」

花村「作ったのはぼくではないよ…残念ながら」

辺古山「倉庫やここの裏にある支給品を使って私と小泉が作っておいたんだ」

苗木「二人ともありがとう、ご苦労様」

九頭龍「なるほどな、どうりでうめえわけだ」

西園寺「小泉おねぇが作ってくれたご飯は美味しいね!」

左右田「あれま、今日は西園寺も九頭龍もいるのか」


九頭龍「昨日の学級裁判で実感したんだよ…
自分がヤバいところに来ちまったってな。
それに今の俺は極道って言ったって頼れる部下もいねえ、ただの弱い男さ」

西園寺「それにチビだしね」

九頭龍「てめーに言われたかねーよ!」

西園寺「まあともかく、勝手に行動してたら殺されちゃうかもしんないし、
とりあえずはみんなにくっついてた方が安心だよねー…
仮に何か起こっちゃった時にクロだと疑われる心配も減るしさ」

終里「相変わらず一言多いな…」

弐大「まあ全員が揃ったんじゃ、良い事じゃあないか」


和やかな雰囲気のところに、いきなり放送が流れる。
嫌な予感はすぐに的中した。

モノクマ「えー皆様、仲良く朝食のところ申し訳ありません。
大事なお知らせがあります」

左右田「なんだよなんだよ…今度は…おいおいおいおい…」

田中「破壊神暗黒四天王も警戒しているな」

モノクマ「ただ今より、
この学園内のとある部屋にある生徒の重大な秘密を隠しておきました」

罪木「重大な秘密…?」

辺古山「また動機に関わることなのか?!」

モノクマ「それは見つけた生徒のみが知ることになるはずだよ…ではまたいずれ」


苗木「放送が終わったみたいだね」

小泉「気にしなくていいよ…前のことから考えて、ろくなことじゃないよきっと」

豚神「だが知っておくは必要はあるかもしれんな」

罪木「そういえば昨日の夜、気付いたのですが…」

日向「なんだ?」

罪木「私、学級裁判の後、皆さんと一緒にショーケースに保健室のハサミを
しまってたじゃないですか。あの時見かけたんです…」


花村「裸の女性を?!」

左右田「どうしてそうなる?!」

罪木「いえ、階段のテープが剥がれていくのを…です」

弐大「待ったれや、あれはわしと終里が一緒に引っ張ってもびくともせん代物じゃぞ?
あの鉄板のようにのう」

日向「もし黒幕が…モノクマを操ってる誰かが、それを動かしたんだとしたら?」

澪田「見てみる価値はありそうっすね」


―2階

辺古山「まさか上の階が空くようになるとはな…」

弐大「しかし一通り鉄板を引っ張ってみても脱出口は見つからんかった」

終里「プールと、その向こうにトレーニングルームはあったけどな」

豚神「図書室もあったが…大した資料はなさそうだな」

澪田「気にはなるっすけどね」

豚神「見てみるか?本当につまらない情報しかないぞ?
常識程度の哲学書や歴史の本、小説ばかりだった。パソコンもなかったしな」

澪田「やめとくっす。唯吹、本嫌いなんで」

苗木(どっちなの…?)


―1階

九頭龍「おい、1階ではコインランドリーと風呂が開いてたぞ」

西園寺「覗きとか考えてんじゃねーぞ?」

花村「ひぃっ!ごめんなさい!」

小泉「でも、ネガティブな話、それだけ殺す場所が増えたとも言えるんだよね…」

左右田「だからそーいうのはよしてくれって…」

豚神「よし、こうしよう。見張りの制度はこれまで通り続ける。
さらに今日から夜の間は部屋から出ることを禁止とする」

日向「賛成だね」

澪田「何から何まで頼りになるっすねー白夜ちゃんは」


豚神「俺は新たな凶器がないか校舎を見回っておく。
見張り役の二人のところにもちょくちょく監視に来よう。
今日の見張り役は…」

澪田「はいはーい!唯吹がやりまーす!」

西園寺「えー?大丈夫なのぉ?」

澪田「こう見えても唯吹はみんなの役に立ちたいのです!」

終里「じゃあ、もう一人はオレがやる!」

苗木「いいと思うよ」

日向「ちょっと不安なコンビだけどな…」

豚神「それと今回からゴミ捨て場のカギも倉庫に置くことにしよう。
一度殺人が起こっている以上、厳重さは強めすぎるくらいでちょうどいい」


花村「ところで十神くん、せっかくこう食材が揃っているんだよ?
一度ぼくの料理を食べてみたいとは思わないかい?」

豚神「確かにな。腹が減っては戦はできぬというし、
何より超高校級の料理人(シェフ)の腕前、味わってみたいものだ。
ただし、ナイフなどがいるような料理は作るなよ?倉庫のメンバーと俺は別行動。
別の場所で食べることになるのだからな。ナイフを凶器にしてしまっては元も子もない」

澪田「そっ、そうなんすか?!」

終里「まー食えればなんでもいいぜ?」

花村「その辺は任せてよ!取って置きの唐揚や炒飯、その他もろもろ…
いろんな料理を詰め込むからさあ!」

左右田「うっひょー!昼食が楽しみだ!俄然元気が湧いてきたぜ!」

確かにたまにはこういう息抜きもあっていいよな。
僕はしばしこの時間を楽しむことにした。


―食堂

左右田「うっめー!こりゃあ飯を食う手が止まらないぜ!」

花村「当たり前だよ!「食べられなくても食べたくなる」!
それがぼくの作る夢の料理だからね!じゃんじゃん食べてってよ!」

西園寺「人間顔だけじゃ分かんないもんだねー!
中華・西洋料理でこんなにおいしいの、初めて食べたよー!」

花村「ふふふ…お望みとあらば今度和風も作ってあげちゃうからね?
今からでも作ってほしいなら…」

小泉「無理でしょ。これ以上食べたらお腹がパンクしちゃう」

苗木「でも、やっぱりこうやってみんなで食べられるっていいことだよね」

弐大「うむ、やはり人は多いに限る!がっはっは!」

日向「そういや十神はどこへ行ったんだ?」

田中「辺古山と九頭龍が二人で異界の地へと旅立つと聞いて、探索に出かけたようだが?」

花村「とりあえずぼくは倉庫の二人に料理を運んでくるけど、誰か手伝ってくれる?」

苗木「ならボクが手伝うよ!」


―倉庫

澪田「うわーお!美味しそうっすねー!」

終里「うへへ…花村ァ…ちゃんと用意してあるんだろうな…沢山料理をよォ…!」

花村「一応かなり運んできたつもりだけど…」

苗木「食べたばっかりで運んだから疲れて死にそう…!」

豚神「俺の分もあるのか?」

苗木「十神クン?!」

花村「今、弐大くんを呼んで運んでもらうよ!」


音を立てて料理にむしゃぶりつく超高校級の御曹司。
この状態だけ見るとただの太った…いや、やめておこう。

豚神「それで…先ほどショーケースの中身を確認したが何も変化はなかったな」

澪田「調理用具もしまったし、ダンベルも運んでもらったから一安心っすね!」

苗木「ダンベル?」

終里「十神が持ってきたトレーニングルームのものだよ。
鈍器になるって理由でショーケースにしまっておいたのさ」

豚神「しかしそれにしても辺古山と九頭龍は遅いな…辺古山の話では、
12時に2階に用があって、すぐ戻ると聞いていたがもう1時間以上経つ。
飯を食っていないことも考えると、あまりにも遅すぎる」

苗木「様子を見てこよう…十神クン」

当たってほしくない嫌な予感を抱きながらボクは2階へと急いだ。
しかしその予感はすぐに現実のものとなってしまった。

半開きになったトレーニングルームの部屋の中…
そこには頭から血を流した九頭龍クンの死体を抱いて泣いている…辺古山さんの姿が。

<To Be Continued…>


chapter4【顔のない絶望】~非日常編~


モノクマ「ピンポンパンポン。死体が発見されました。
一定の捜査時間の後、学級裁判を行います…」

辺古山「くぅぅっ…!誰だ!ぼっちゃんを殺したのは!」

モノクマの放送が消えるほどの大声で辺古山さんは叫んだ。

左右田「おいおいおい…やめてくれよ…もうよしてくれよ!」

辺古山「お前かぁ!殺したのはぁ!」

左右田「ひぃ!」


辺古山「許さない…許さないぞ…私を殺すならいざ知らず…
ぼっちゃんを殺すなんて…!」

みんなが部屋に来た後も血走った眼で辺古山さんはまくし立てている。
九頭龍クンの死体以上に以上の彼女の形相にどよめく生徒たち。

罪木「落ち着いてください!辺古山さん!
今から検死を行いますから!」

辺古山「黙れ!ぼっちゃんの死体には誰ひとり触れさせるものか!」

豚神「辺古山、クロだと疑られたくないなら検死に協力するんだ」

辺古山「くっ…!うぅっ…!」


周りの目は誰もが辺古山さんを疑っていた。
しかし日向クンが切り出す。

日向「辺古山…ぼっちゃんというのは…?」

辺古山「いいだろう。ここまで来て隠す必要もない。
私は捨て子だったが九頭龍組に拾われ、幼い頃から冬彦ぼっちゃんと共に育てられた。
そして九頭龍組に暗殺者として長年仕えてきたのだ。表向きは『剣の達人』として…」

豚神「つまり、その恩を仇で返す真似はしないと?」

辺古山「当たり前だ。私はぼっちゃんの道具であり、ぼっちゃんのためならなんでもする。
人を殺せと言われれば殺すし、死ねと言われれば死ぬ覚悟がある。
学園に入った頃はお互いの身分を隠せと命令されたから隠してきたのだ…!
それが、こんなことに…!」

苗木「辺古山さん…」

日向「とにかく今回も前と同じように調べられるものは徹底的に調べよう」

コトダマ<九頭龍組と辺古山>を手に入れた!

~捜査開始~


―トレーニングルーム

豚神「今回は女子更衣室で殺人が起きているようだな」

苗木「どうしてわかるの?」

澪田「電子生徒手帳を見たんすね」

豚神「ああ。捜査用に現在はご丁寧に開放されてはいるが…
普通は電子生徒手帳を翳して男性は男子更衣室、
女性は女子更衣室に入る仕組みになっているようだ」

終里「つまりクロはオレら女子に限定されるってことかよ…!」

左右田「おい!こんなものが落ちてるぞ!」


弐大「それは模擬刀…かのう?」

花村「それって体育館に集まる時に見かけたよね?」

豚神「迂闊だった…装飾品すらも凶器になるとはな」

西園寺「これが凶器ぃ?」

小泉「きゃっ…血がついてる…!」

罪木「こちらの検死結果も出ました…!
九頭龍さんは鈍器のようなもので殴り殺されたようです…!」


日向「つまり今回の犯人は九頭龍をここに呼び出して、
この模擬刀で殴り殺した…そういうことになるのか?」

罪木「断定はできませんけど…多分、そうだと思います」

豚神「とりあえずこの辺の捜査は完了だな。
各自、散らばって別の部屋を捜査終了時間ぎりぎりまで調べよう」


―2階廊下

左右田「なー苗木…今回の事件、どう考えてももう解決じゃね?」

苗木「辺古山さんを疑っているの?」

左右田「いやだって、超高校級の剣道家が模擬刀持ってぶん殴った…
しかも食事中は丁度二人だけいないとかつじつま合いすぎだろ。もう確定だって」

苗木「うーん…なんだかあからさますぎて逆に怪しいような…」

日向「俺もそう思う。辺古山が犯人ならわざわざ凶器に自分が疑られるのを使うのか?
しかも逃げもせず死体の前で泣き伏すなんて疑ってくれって言ってるようなもんだ」

左右田「じゃあクロはそこまで考えて、
辺古山を犯人に仕立て上げる作戦を練ったってことか?」

日向「どうだろうな…」

苗木「とりあえず辺古山さんにもう一度聞いてみるよ」


―トレーニングルーム

苗木「辺古山さん、大丈夫?」

辺古山「…済まないな。苗木、少し落ち着いた」

苗木「無理もないよ。目の前で大切な人が殺されたんだもの」

辺古山「お前は私がクロでないと信じてくれるのか?」

苗木「うん。辺古山さんの表情とさっき言ったことが
どうもボクには演技に感じられなくて」

辺古山「ありがとう。その恩に報いることができるか分からないが、
情報をできる限り提供しよう。何か聞きたいことはあるか?」

苗木「どうして辺古山さんはここに来たの?」

辺古山「確か個室にはポストのように紙を投函できる部分があるだろう?
あれにぼっちゃんからの手紙が入っていたんだ。これだ」

苗木「12時に2階の図書室の書庫に来い…これだね」

さっき十神クンもそんなことを言っていたのはこの手紙があったからか。
辺古山さんは急いでいたのかな?でも図書室?

辺古山「だが、私は入ってもしばらく坊ちゃんが来る様子はなかった。
しかし部屋をノックする音と同時にぼっちゃんの声が聞こえたんだ。
『トレーニングルームに来い』と…そこに行きぼっちゃんを探すと、その時は…!」


苗木「その時は既に遅かったということなんだね…」

辺古山「ああ…いったい誰がこんなことを…?!」

苗木「ううん…あ、そうだ。女子更衣室の模擬刀には触ってない?」

辺古山「そんなもの、先ほど言われて初めて気が付いたぞ。
しかし、少し見ただけであれは殺すのに役にはたたないことが分かる。
なぜなら金箔がすぐに手に付着してしまうからな」

苗木「なんだって?!」

コトダマ<九頭龍からの手紙><辺古山の証言><金箔の模擬刀>を手に入れた!

罪木「あのぅ…苗木さん…」


苗木「罪木さん、まだここで何か調べていたの?」

罪木「はい、九頭龍さんのこの手紙が気になって…」

苗木「これって…!あれ、でもこっちには
『11時にトレーニングルームに来てください』って書いてある…!
11時と12時じゃあタイムラグがあるぞ?辺古山さん!この手紙は分かる?」

辺古山「これは…明らかに私の筆跡にそっくりだが…だが私は書いていないぞ?
それにもし11時に私が合うと約束したならばぼっちゃんに手紙を書く必要はないはず…」

罪木「謎…ですよね」

本当に謎が謎を呼ぶばかりだ…とりあえず他の部屋に向かおう。


コトダマ<九頭龍の持っていた手紙>を手に入れた!

―1階廊下

澪田「あ、誠ちゃん!何か証拠はあったッすか?」

苗木「あ、うん、いっぱいあったけど…」

澪田「それならよかった!考えるのは誠ちゃんに任せられるッすね!」

苗木(え~?)

澪田「それよりも唯吹に聞きたいことあるッすか?」

苗木「倉庫に変わったことはあった?」


澪田「さっきも言った通り、白夜ちゃんが
ダンベル持って入ってくるのを見ただけッす!役立たずですんませんしたぁっ!」

苗木「そうなんだ…」

澪田「ただダンベルから水の滴る音…みたいなのを聞いたッす!
唯吹、耳はいいんで!これは確かッすね!」

苗木(何かの役に立つのかな…この証言?)

コトダマ<澪田の証言>を手に入れた!


―1階ゲート

終里「いやあ…びくともしねえなあ」

苗木「この部屋…初めて見るね」

終里「出口っぽい扉だよな!でもびくともしねえ!」

苗木「終里さんも倉庫見張り担当だったよね?」

終里「でもオレは花村の食いもんが美味すぎてなーんも覚えてねえ!」

苗木(これはひどい)

終里「ただそこに面白いもんを見つけたぞ?」


苗木「これってソニアさんと七海さんの電子生徒手帳!」

終里「見てみたけどきちっと使えるみたいだな。
分かってると思うけど、七海の死体は学級裁判中に片づけられてた。
血の匂いが消えるくらいにな」

苗木「そう…だったんだ…女子トイレなんて入る機会ないし…
もう一回見るの怖かったから分からなかった…!」

終里「で、ご丁寧に電子生徒手帳はここにあるっつーわけだ。
案外律儀な性格しやがって、あの熊ヤロー…!」

コトダマ<亡くなった生徒の電子生徒手帳>を手に入れた!


―図書室

苗木「色々調べたけど、ここはまだ見てないな…」

豚神「苗木か。俺が見る限り、ここにはめぼしい証拠がなかったが…
何か探してみるのもいいかもな。先に赤い扉の前で俺は待っているぞ」

苗木「うん…」

ドタドタト早足で1階へと降りていく十神クンを見送り、
ボクは辺古山さんが呼び出されたという書庫の中に入った。


―書庫

小泉「うーん、ないなあ…」

日向「こっちにもない…」

苗木「二人とも、どうしたの?」

日向「モノクマが言っていた、ある生徒の重大な秘密…
それが今回のクロの動機と踏んで俺たちはここを探してるんだ」

小泉「部屋が空いたタイミングからして、場所はここだよね」

日向「まあ、俺の超高校級の才能が分かるかもって微かな期待もあるんだけどさ」


苗木「探してない部分を僕が探してみるよ…」

日向「助かる」

小泉「苗木…来て早々悪いんだけど…見つけちゃったよ、それっぽいの」

苗木「え?」

日向「超高校級の才能を持つ犯罪者一覧…
しかも組番号は俺たちと同じ!」

小泉「アタシたちの中に犯罪者が元からいたって言うの?!」


日向「一人は九頭龍冬彦…もう一人は彼に仕える辺古山ペコ…
これは確かに辺古山の説明と合致する…!」

苗木「待って!その先のページ…」

小泉「NoImage…超高校級の…!これって…?!」

日向「誰のこと…なんだ?」

コトダマ<超高校級の才能を持つ犯罪者一覧>を手に入れた!

モノクマ「ピンポンパンポン。捜査終了です。学級裁判を開始します。
体育館付近、赤い扉を開けてお集まりください…さっさとしないと怒っちゃいますよ?
うぷぷぷぷ…」


苗木「…行こう」

放送に呼び出されるように小泉さんと日向クンと1階へと駆け降りる。
そしてもう一度開けなくない扉…赤い扉を開けた。

~学級裁判開廷~

モノクマ「今回はちょっと模様替えをしてみました。
さて、まずは学級裁判の流れを整理しておきましょう。
学級裁判では犯人…つまり『クロ』を生徒全員の投票で決定します。
決定したクロが正しければクロだけがオシオキ、
違う場合はクロ以外の全員がオシオキとなりクロは晴れて卒業となります」

左右田「とりあえず今回のクロは決まったようなもんだぜ!」


~議論開始!~

左右田「今回のクロは辺古山だ!」

田中「破壊神暗黒四天王も頷いているぞ」

西園寺「確か<トレーニングルームに模擬刀があった>んだっけー?」

左右田「<命が惜しくなった辺古山>は昔から九頭龍と関係が深いことを利用し…
油断させて<頭をぶん殴った>んだ!
まさに<模擬刀の先制攻撃>だぜ!」

→<金箔の模擬刀>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「それはありえないよ。模擬刀には金箔がついていて、ちょっと触っただけでも
金箔が手に付着してしまうんだ」

左右田「なにぃぃぃ?!」

田中「では、あの血は一体なんだというのだ?!」

日向「犯人が凶器を偽装するために付着させたんじゃないか?
実際、俺たちに会った時に辺古山の手に血は付いてなかった。
九頭龍との関係も考えると、殺すとは考えにくい」

十神「だが、辺古山が洗い流した可能性はどうだ?
それに九頭龍の同意のもと、彼女が殺したという可能性もあるだろう?」

弐大「つまり、九頭龍は死を望んでいたというのかぁぁぁぁ?!」


~議論開始!~


辺古山「<ぼっちゃんが私に殺されることを望んだ>だと?
ふざけたでたらめを抜かすな!」

豚神「そうやってむきになるところが余計に怪しいな。
九頭龍は<自殺を装い、辺古山に自分を殺させた>んだ。
その結果、<出てきたのは金箔の模擬刀>だ。
そして自らの罪に苛まれ<その場を立ち去ることができない辺古山>…」

澪田「た、確かにつじつまが合うようにも聞こえるッすけど…」

田中「むしろ違和感を感じることの方が難しいな」

豚神「実際辺古山が<九頭龍と直接会って>からは
1時間ものタイムラグが存在する…殺すには充分な時間だ」

→<辺古山の証言>

苗木「それは違うよ!」


Break!

苗木「辺古山さんは九頭龍クンと直接会ってはいないよ。
辺古山さんは図書室で九頭龍クンの声を聴いただけに過ぎないんだ」

終里「辺古山が嘘を吐いている可能性はねーのかよ?」

罪木「でも<辺古山さんの持っていた手紙>と
<九頭龍さんの持っていた手紙>がありますよね?」

左右田「なんだそりゃあ?」

苗木「辺古山さんは部屋に投函された九頭龍クンの手紙を基に図書室に向かい、
九頭龍クンはトレーニングルームに向かっている」

小泉「あれ、でもそれじゃあ二人とも会えないじゃん!」

日向「しかも普通待ち合わせってどっちか一人が決めるもんじゃないのか?」


苗木「おかしいのはそれだけじゃないんだ。
この手紙、両方とも待ち合わせ時間に1時間ものタイムラグがある。
九頭龍クンの指定時間の方が先にね」

花村「んもう、わけがわからないよ!」

苗木「考えられる可能性は一つ…」

閃きアナグラム!

「ぎ・ぞ・う」

苗木「そう、手紙は両方とも犯人の偽造なんだよ」

十神「何ぃ?!」

日向「なるほどな、犯人は偽造の手紙をそれぞれに送り、
辺古山と九頭龍の待ち合わせを図った…というわけか」

左右田「ちょっと待てよ!」


左右田「じゃああの金箔の模擬刀はどうなんだよ!凶器じゃねーのか、ちげーのか!」

苗木「凶器は<澪田さんの証言>で分かったよ…」

澪田「えっ!あの情報だけで分かっちゃったんすか?!」

苗木「十神クンは水に濡れたダンベルを持って倉庫に現れたんだよね?」

澪田「間違いないッす!」

苗木「だったらそのダンベルが凶器だ。そのダンベルに付着していた血を、
十神クンが洗い流して持ってきたんだ。
そこから導き出される犯人は十神クン…君しかいないんだ」


豚神「俺を犯人に仕立てるというのか、苗木?」

澪田「うっ…ウソッすよ…あんなに殺人が起きないように…
頑張っていた白夜ちゃんに限って…」

日向「確かに辺古山を除けば、その時間にアリバイがない…
しかも凶器を握れた奴は十神しかいない。
プラスして辺古山をわざわざ疑ってくれと言っているような
金箔の模擬刀を使って九頭龍が自殺を要求するとも思えない。
<九頭龍組と辺古山>の深い関係から考えても…」

罪木「逆に辺古山さんが殺したにしても手紙をわざわざ
違う時間に出すのは不自然ですし、後から偽造する意味も考えられません」

豚神「何を言っている!俺は男だぞ?!どうやって女子更衣室に入ったというのだ?!」


苗木「電子生徒手帳だよ…亡くなったソニアさんか七海さんのを使えば、
女子更衣室には潜入できる」

終里「なるほどな…あれを使えば男でも女子更衣室に入れるわけか。花村、入ったら潰すぞ」

花村「まだ何もしてないけどごめんなさいっ!」

苗木「丁度パーティ会場でみんながいなくなった隙を付けば、これらは全部こなせたはずだ」

豚神「だっ…だがっ!姿は見ていないものの、辺古山は九頭龍の声を聞いたと言っていた!
お前の言っている理論が正しいならその声を聞く前に九頭龍は殺されていなくてはならないぞ!」

苗木「それで正しいんだよ」

田中「正しい…だと?」


小泉「<超高校級の才能を持つ犯罪者一覧>…
ここにこんな人のことが書いてあったんだよね…『超高校級の詐欺師』」

豚神「!!…そ…れは…!」

日向「彼は姿、筆跡、声色を変え…あらゆる人物に化けることができる、
その才能を活かしていたが全ての罪を帳消しにすることを条件に我が校への入学を承諾した」

豚神「やめろ…」

澪田「白夜…ちゃん…?」

弐大「まさか…本当じゃというのか…?」

左右田「冗談…だろ?」

豚神「やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろぉぉぉぉぉぉぉっ!」


苗木「十神クン…いや、君の罪をここで暴く。
辛いけど…そうするしかないんだ」

豚神「ふざけるな…苗木…!
俺は…私は僕は俺様は吾輩はぼくちゃんはわたくしはミーは自分はぁ!
十神白夜だ…!その詐欺師などでは断じてない!その証拠が提示できない限り…!」

辺古山「十神…!」

苗木「あるよ、証拠は」

豚神「ハッタリを抜かすな糞野郎…殴りますよ?」

苗木「君自身が持っている電子生徒手帳だよ。君は超高校級の詐欺師なら、
十神白夜とそこには刻まれていないはずだ。そしてそれを無くしている可能性もゼロだ。
だって、君自身が言っていたからね。あの更衣室には生徒手帳を使って入るんだと」

豚神「あ…あ…うあああああああああああああああああああああああああああ!」

苗木「十神クン…いや、超高校級の詐欺師。君の犯行をまとめていくよ?」


苗木「まず犯人はモノクマから提示された『重大な秘密』…
この時点で気付いていたんだよ。その秘密が自らを指すことに。
図書室でその秘密を見つけた彼は才能を活かして
九頭龍クンと辺古山さんの筆跡を真似、手紙を投函したんだ。
<超高校級の才能を持つ犯罪者一覧>にはその筆跡や
アバウトな性格も載っていたからターゲットを絞れたんだ。

丁度その手紙は辺古山さんが九頭龍クンを殺したように偽造する、
充分なまでのタイムラグを発生させるようにできていた。
そして九頭龍クンを殺した後、九頭龍クンの声真似をして
辺古山さんを部屋におびき寄せた犯人は…

アリバイを確保するのと証拠を消し去る二つの意味で
澪田さんたちの前でダンベルを倉庫にしまった。
あとは誰かがその場で泣き崩れるであろう辺古山さんを
発見してくれるのを待つだけだった…!

それが全部可能なのは間違いなく、
超高校級の詐欺師である十神白夜クン…ボクの前にいる君だ!
これが事件の全貌だよ」


豚神「はっ…ははは…ははははははははは!」

澪田「白夜ちゃん…!」

西園寺「壊れた?!」

豚神「完敗だよ、苗木『君』。君は凄いな…うわべだけリーダーの姿を借りて
信頼を勝ち得ていた僕なんかよりもずっと凄いよ…」

日向「十神…」

豚神「もうその名でも呼ばないでくれ…もっとも、僕には…
名前なんて生まれた時からないんだけどね…さあ、投票してくれ。
そして死ぬ前に僕に自分が誰なのかを思い出せてほしい…叶わぬ夢だろうけど…!」

苗木「…!」


モノクマ「うぷぷぷ…今回も全会一致で十神クンがクロ!そして正解!
なかなかいいトリックだったけど…秘密をしっかり隠さなかった十神クン、
いや超高校級の豚クンはちょっと甘かったねえ…」

苗木「何言ってるんだよ?!」

豚神「いや、それでいい」

日向「え…?」

豚神「豚…か…僕の名前を悪口でも、
他人の名前でなく呼んでくれればどんなに幸せだったか」

澪田「白夜ちゃん…たとえ超高校級の詐欺師でも…
白夜ちゃんのリーダーシップはホンモノなのに…
なんで殺人なんて犯したんすかぁ!」

モノクマ「ではそろそろ時間も押してきたんで…オシオキだべぇー!」

             オシオキ

            ~ミラーマン~


鏡の中に閉じ込められた十神クン…彼が絶叫した間際、
巨大な鏡にプレスされて死ぬのをボクたちは見守った。
やっぱり…この裁判でクロが悪いなんてありえないんだ。
全ての元凶はこの笑いながらオシオキの中継画面を指さして笑う、
モノクマを動かしている黒幕…そう思っている間にモノクマは消えていた。

花村「リーダーがいなくなって…これからどうするんだよおおお…!」

弐大「しかもクロだなんて、わしらこれから何を信頼し、
どうやって生きていけばいいんじゃあ…」

辺古山「信頼するしかないだろう、それでも仲間を」

小泉「ペコちゃん…」

辺古山「苗木…お前がいなければ私は死んでいた。
そうでなくても自殺していたかもしれない。せっかく生き残った命だ。
これからは道具としてではなく、私としてお前たちの助けになろう」

苗木「…ボクだって必死だっただけだよ」

田中「む、二人とも頼もしいことだな」

左右田「偉そうだなお前は」

日向「ともかく、改めて進んでいこう。何があっても、殺人なんかするなよ、みんな」

少しずつ明るさを取り戻していく生徒たちに頼もしさをまた覚えるボク。
まだ、希望はあるんだ。こんな絶望の中でも、希望は…希望は…

<To Be Continued…>


chapter5【君は絶望に似ている】~(非)日常編~


十神クン…のふりをしていた彼と九頭龍クンを失ったボクらは
食堂でこれからについて話し合っていた。

日向「しかしどうする?今後の倉庫の見張り役とかさ」

終里「なしでいいんじゃねーか?めんどくせーし」

弐大「考えてみると、これまでの事件…二つとも倉庫にある凶器があるという点を
逆利用しているとも言えるしのう」

左右田「しかもそれを考えた本人が結果的にやっちまったわけだしな…
もうソニアさんの悲劇は繰り返しちゃダメだろ」

澪田「随分ソニアちゃんの比重が大きいんすね…」


西園寺「そう言えばまた部屋が増えてたねえ」

小泉「3階には物理質と娯楽室と美術室…4階には音楽室と化学室があったね」

罪木「4階の一部の部屋は閉まっていましたねえ」

澪田「音楽室にはギターもあったッすね!安めのだったけどエレキギターが!」

苗木「なんで音楽室に『エレキ』ギターなのか理解に苦しむけどね…」

田中「全ては『彼』の御意志だろう…」

左右田「意味深だけど意味のない発言はやめような」

小泉「美術室はよかったよね…世界の風景や色んな人の笑顔の写真が沢山あった」


罪木「ちょっと変な造形物もいくつか見られましたけどね…」

小泉「もちろんそれもあったけどさ、アタシああいう写真見るのはやっぱ好きだよ」

西園寺「小泉おねぇは笑顔の写真が好きだもんね」

苗木「あれ、いつからそんなに仲良かったの?二人って」

西園寺「おねぇ、こいつ私たちを百合と勘違いするロリコン変態ペド野郎だよ」

小泉「ま、まぁ…日寄子ちゃんとは帯を結んであげてから色々お話したんだよね」

終里「おい、西園寺って日本舞踊家とかなんとかじゃなかったか?
なんで帯の一つも結べねーんだよ?」


西園寺「うるせー!バカが変なとこ突っ込んでくんじゃなーい!」

花村「あれ、泣いちゃったよ…?」

弐大「どうせ嘘泣きじゃろ」

苗木「ところで小泉さんはどうして笑顔の写真が好きなの?」

小泉「アタシは親が戦場カメラマンなの。
それでも見せてくれる写真は笑顔の写真ばっかりで…
アタシもそういうのが撮りたいって小さい頃からずっと思ってたんだ」

日向「そっか…そういうのっていいよな…」

そんな和やかなムードをかき消す放送。

モノクマ「オマエラ、全員集合していますね?その足で至急体育館にお集まり下さい…」


―体育館

モノクマ「直接お会いするのはお久しぶりですね、皆さん」

花村「もう会いたくないモノを見るのは人生で初めてだよ…!」

罪木「今度は私たちにどんな恥ずかしいことをさせるんですかぁ…?!」

澪田「罪木ちゃん、言い方が完全にエロ同人のノリッす」

モノクマ「うぷぷ…僕も歓迎されてきたようで何よりだよ。
さて、みなさんにあるものを配りまーす!そーら拾えー!」

モノクマが体育館にばら撒いたのは各々の名前が書かれた封筒。
思わず全員が自分の名前を書かれたそれを拾う。
前の事件と同じような予感がしたからかもしれない。
そしてこの手のお決まり…そう、悪い予感の的中。

モノクマ「全員拾いましたね?もう前の事件でお気づきかと思います。
その封筒の中にはオマエラ一人一人の知られたくない秘密が書いてあるのです!」


封筒を開いた全員が驚愕していた。
もっとも、後から体育館に入って来た辺古山さんを覗いてだったけど。

澪田「なんで?!こんなことを…知ってるッすか…」

左右田「十神のことを考えればわかんねー話でもねーが…タチわりーぜオイ…!」

モノクマ「その秘密を公表するか…みんなに話すかはオマエラ次第…うぷぷぷ…
なお黙っていて秘密がバレてしまっても当社は一切責任を負いません。
もちろん知った人が殺されてしまってもね…それではライオンの御機嫌よう…」


モノクマが消えると、辺りが疑念の目で溢れる。
沈黙を破ったのは左右田クンだった。

左右田「なあ、やっぱり全員で書かれた内容を言わねーか?
十神やソニアさん、九頭龍のこともある…やっぱり秘密は黙ってたらよくねーって!」

終里「オレは大して恥ずかしい事でもねーし構わないけどよ」

日向「…俺も賛成だ」

花村「ここで出て行って犯人扱いは嫌だし…言うよ」

小泉「アタシは言わない」


小泉さんはゆっくりと手を挙げた。
清廉潔白そうな彼女がなぜ?恐らく誰もがそう思っていたはずだ。

小泉「悪いけど、一人にさせてもらえるかな…」

そう言って部屋を後にしていく小泉さん。

左右田「おい小泉!」

辺古山「よせ。前の私でもそうしていただろう。
一人か二人そういう者がいても仕方のないことだ」

西園寺「なら今のあんたは言えるって言うの?」

辺古山「私の内容ならこの通りだ…
『辺古山は九頭龍組の命令で人を殺した過去がある』。
前の学級裁判で私が言ったことだ」

終里「マジかよ?!」

田中「記憶していない者もいるようだが」


苗木「まあ終里さんには後で辺古山さんが説明するとして…
他に抜ける人がいなければ順々にカミングアウトしていこうよ」

左右田「なら俺からやる。俺はこういう見た目だけど、
『昔は黒髪眼鏡でいじめられっこだった』だ。それをきっかけに見た目を変えたんだけどな」

西園寺「あ、意外だけど分かる気がする~!」

弐大「奇遇じゃな。わしも『昔はいじめられっこ』と記載してある。
実際、それを機に鍛え直したんじゃがな。こう見えて昔は病弱だったのじゃ」

終里「これまた意外だぜ…オレより強そうな弐大のおっさんが…!」

罪木「いじめられっこ多いんですね…なんだか親近感があります…
私は…『いじめを受けて人前で全裸になったことがある』ってありますよ…」

弐大「違和感なしじゃな」


澪田「ビジョンが今にも目に浮かぶようッす」

苗木「苦労してきたんだね…」

日向「罪木、安心しろ。俺たちはお前を見離したりしない」

罪木「さらっと受け入れてほしくないんですけどぉっ!もっと驚いてくださいぃ!
今ここで脱ぎますよぉ?」

花村「それはとんでもないご褒美だね!」

田中「やめておけ…俺は『小学校の時孤高の戦士だった』とある。
むしろ誇り高い事実だな」

苗木(ある意味罪木さん以上に可哀想だから突っ込まないでおこう)

花村「ぼくは…プロフィールだと都会派出身のシェフなんだけど…
実家がい、田舎の…定食屋なんだ…!田舎って書かれて正直怒りそうでげすよ!」

澪田「でげす?!」

終里「美味けりゃどっちでもよくね?それに都会の店に呼ばれたりもしてるんだろ?」

花村「んぎぃっ!ぼくにとっては大きな問題なのじゃき!」

西園寺「なんだか口調がヤバいから次は私だね」


西園寺「『日本舞踊の西園寺はロクな死に方しない』。
超アバウトだけど、むしろ怪しまれそうな書かれ方だから先に言っとくね。
私の家系は毒殺なんか当たり前。身内が目の前で殺されるのを私も何度見たことか。
だからぶっちゃけ、こういう状況ってのはそんなに珍しかないわけ。
まあ私は辺古山と違って殺したことはないけどねー」

終里「なんて奴…あたしは大したことねーぞ?
『家計のために男の前で”ご奉仕”したことがある』。な、フツーだろ?」

左右田「フツーじゃねーよ…一番ヤバめの奴じゃねーか!」

田中「もはや多くは問うまい…」

苗木「なんかみんな重くてボクはある意味恥ずかしいんだけど…
『苗木君は小5の時におねしょをしたことがある』」


西園寺「うわっ!カッコわるっ!」

花村「そんな苗木くんを抱きたくなってきたよ!」

左右田「お前の性癖おかしいだろ!」

日向「次は俺だ…俺もある意味辛い。『白紙』だからな」

罪木「そんな…!」

辺古山「日向は才能を覚えていないんだったな。
そこまでしてモノクマ、いや黒幕がもったいぶる必要のあることなのか?」

日向「分からない…くそっ…なんでこんなっ…!」

苗木「日向クン…」

西園寺「ところで澪田がまだ言ってなくなーい?」

澪田「ついに唯吹の番ッすか…」

弐大「大した秘密ではなさそうな気がするがのう…」


澪田「『唯吹は希望ヶ峰に来る前、人を殺したことがある』…」

日向「澪田…?」

終里「じゃあテメーは前科持ちってことかぁ?!」

澪田「違うんすよ…希望ヶ峰には超高級の才能と引き換えに罪を帳消しにして
特別入学する『裏ルート』があるんす。唯吹もそれで入学したけど…
他にも少なくとも一人は同じクラスに『裏ルート』を使って
入学したことがある生徒がいると聞いてるッす。だから安心しろって」

辺古山「『裏ルート』という言葉は使われていないがおそらく私のことだろうな。
同じクラスで明かされていない直接の前科持ちと言うと…」

西園寺「あんた疑られるよ?そんなことバラすとさ?クロかもって…」

澪田「覚悟してるッすよ」


苗木「澪田さん…どうしてそこまで?」

澪田「唯吹が殺したのは過去のバンドメンバーの一人ッす。
証拠はないけど残った二人は唯吹がやったと確信してて…
唯吹は一人でこの学園に入った。みんな希望ヶ峰に入ろうって約束した友達なのに…!
白夜ちゃんも秘密を隠してああなった。だから、たとえ事態がマイナスに働いても
唯吹は秘密を隠したくないんすよ…なんて、らしくないっすね…
真面目なこと言うのはやっぱり向いてないッす。唯吹のキャラには」

左右田「澪田…お前…」

西園寺「やっぱり私、小泉おねぇを探してくる!」

弐大「なんじゃと?」


西園寺「澪田もここまで勇気出して秘密を言ったんだよ。
だから私、おねぇを探してなんとか秘密を言わせる!ちょっと待っててよ!」

左右田「俺も協力するぜ!こういうのは頼れる男が必要だからな!」

西園寺「えぇ~?ボディタッチしたら蹴り飛ばすからね?」

二人は急いで上の教室に向かっていった。

澪田「行っちゃったっすね」

弐大「とりあえず待つとしようかのう」


―1時間後

終里「まだ戻らねーのか、あいつら」

花村「ま、まさか…誰か殺されてるんじゃ…!」

罪木「演技でもないこと言わないでくださいよぅ!」

辺古山「確認してみるに越したことはない。いくらなんでも時間が経ち過ぎだ」

日向「よし、みんなで手分けして捜索しよう」


―3階

弐大「苗木ィ!終里ィ!教室には誰もいなかったか?!」

苗木「うん!」

終里「隠れてる奴もいなかったぜ」

弐大「わしはちょいと美術室に行ってくる!
苗木は娯楽室、終里は物理質を回れ!」

苗木「分かった!」


―娯楽室

苗木「結局誰も見つからないな…!」

終里「苗木!オイ!弐大のおっさんが!」

焦って扉を開けてきた終里さん。
その表情は青ざめている。
彼女についていくように美術室に向かうと…
そこには血を吐いて倒れている…弐大君の死体があった…


苗木「うわああああああ!」

終里「とりあえず下にいる奴を二人で呼んでくるぞ!」

急いで階段を降りていく。
そんな折、放送が入る。

モノクマ「ピンポンパンポン。死体が発見されました。
一定の時間の後、学級裁判を始めます」

終里「ちっ!放送がいつもより遅い!どうなっていやがる!」


―3階

ひときわ人影が集まっている音楽室。

終里「くそっ!なんだよあいつら!こんな時にチンタラしやがってぇ!」

苗木「あっ終里さん!」

終里「おいてめえら!何やって…?!」

小泉「何って…あれ…!」

小泉さんを見つけたということよりも注目すべきは目の前に見える…
頭から血を流し、首を紐で絞められた…今日二人目の犠牲者、左右田クンの死体…

ただ今の生き残り人数
14-2-2=10

<To Be Continued…>


chapter6【君は絶望に似ている】~非日常編~


終里「とっ…とりあえず!美術室にも来てくれ!弐大のおっさんが…!」

そこにいた小泉さんたちを連れて4階に上がっていくボクら。

日向「くっ…!まだ何かあるって言うのかよ!」

西園寺「どうしたの?!今死体発見アナウンスが…!」

4階に行くと西園寺さんに出会う。
彼女も連れて弐大クンの死体の元へ向かっていく。

花村「そんな…二人も死んじゃうなんてぇ…!」

モノクマ「ピンポンパンポン。ただ今、3階美術室と4階音楽室にて、
死体が発見されました。いつもより長めの捜査時間の後、学級裁判を始めます。
では、武運を祈る!どんっ!」

終里「くそぉ…こんなことしやがったのはどこのどいつだ…この期に及んで…!」

苗木「とにかく捜査しよう、ボクらにはそれしか方法がないんだから」


~捜査開始~

苗木「まずはこの美術室を捜査してみよう」

終里「それよりも最初の死体発見アナウンスが遅れたのは、
どういうことだオイ?」

モノクマ「それについては僕から説明します」

西園寺「うわぁっ!」

モノクマ「死体発見アナウンスは被害者を除いて三人以上の生徒が
死体を発見した時のみ流れます。勿論この三人には犯人も含まれます」

日向「なるほどな…」

モノクマ「それと、電子生徒手帳にも記載されていますが…
殺せる人数は一人に付き二人まで。
今後一度の事件で二人殺された場合は今回のように続けて流します。
それではゆっくり捜査していってね!」

コトダマ<犯行のルール>を手に入れた!


小泉「ところで…弐大の近くにあるこのハンマーが凶器なのかなあ?」

西園寺「罪木を呼んでくれば分かるんじゃなーい?」

苗木「ボクが探してくる!多分左右田クンの近くで検死をしているはずだよ!」

西園寺「じゃあ私も一緒に行く!」

コトダマ<ハンマー>を手に入れた!


―音楽室

澪田「ううっ…改めて見ると酷いっすね…」

西園寺「どうだろうね、私はあんたがやったと思ってるけどねー」

澪田「…でも、唯吹はここを出ても自首するつもりだから…
結局裁きを受けるのは変わらないッす…」

西園寺「どーだか、口では何とでも言えるよね」

苗木「ちょっと、西園寺さん…」

西園寺「それに証拠もあるんだよ?」


澪田「自分の出したシングルのことッすね?」

西園寺「自覚してんじゃん。あんたのソロデビューシングル『撲殺絞殺毒殺』。
この題名とはっきり手口一緒じゃんか」

澪田「…否定はできないッすね」

思い出した。澪田さんはグループ解散後、それまでの爽やか路線を一変させ、
デスボイスと過激な歌詞で彩られた曲をリリースしたんだ。
その内容はそれまでの内容と違い過ぎて賛否両論だったけど、ランキングでは上位…!

コトダマ<澪田のソロデビューシングル>を手に入れた!

罪木「あっ…皆さん…検死の結果が出ましたよ?」

苗木「どうだったの?」




罪木「左右田さんは撲殺による死亡…絞殺なのはダミーの可能性があります。
それに…この紐…どう見てもしっかり縛れてません」

澪田「そーいや、これ1階の倉庫にあったロープっすよ!
見張りをやってた唯吹が言うんで間違いないっす!」

西園寺「じゃあ凶器は…?」

苗木「ピアノの裏にエレキギターが…!血がついてる…!」

西園寺「エレキギター…ますます澪田が怪しいよねー?
しかも前の事件と違って今回の凶器は擁護できないっしょ?」

澪田「ま、裏ルートで入って来た唯吹は、
学級裁判の結果がどーであろうと受け入れるつもりなんで…」

苗木「そう言えば『裏ルート』について詳しく教えてくれる?澪田さん」

澪田「誠ちゃんも唯吹を疑ってるッすか?まあ仕方ないッすよね…」

苗木「違うんだ!辺古山さんと同じように今回も何か引っかかるんだ…!」


澪田「裏ルートについてはしっかりと
『裏ルートを使った生徒は少なくともクラスにもう一人いる』って言われたんす。
あとは言った通りッすよ?」

苗木「分かった、ありがとう」

澪田「役に立ったんすかねーコレ、まあいつも誠ちゃんは確信を突いてくるんで
今回も結局頼りにさせてもらうんすけどねー」

罪木「それで苗木さん、どうしてここへ?」

苗木「そうだ!弐大クンの死体の検死をお願いしたいんだ!案内するから早く!」

コトダマ<ロープ><罪木の検死結果(左右田)>
<血の付いたエレキギター><裏ルート>を手に入れた!


―美術室

田中「遅かったな、苗木、罪木」

辺古山「私はあらかたこのあたりを調べ終わったところだ…
音楽室へと向かうとするぞ。もっとも役に立つ情報かは分からんが」

苗木「じゃあその情報を聞かせてくれる?」

辺古山「ああ、田中のハム…」

田中「破壊神暗黒四天王だ」

辺古山「ハムス…」

田中「破壊神暗黒四天王」


辺古山「は、はかいしんあんこくしてんのうが見つけた証拠によるとだな…」

苗木(あちゃー…)

辺古山「とっ…とにかくっ…!流しっ放しの水道に落ちていたコップが見つかったのだ」

苗木「コップ…?」

田中「流しっ放しだったことから見て弐大の死ぬ前に出されたことは明白!」

辺古山「まあ水を飲んだだけに過ぎない可能性もあるのだがな。
以上だ、役に立てず済まない。下を見てくる」

田中「ふはははははは!破壊神暗黒四天王に臆したか!辺古山ァ!」

苗木(どうすればいいのこの人)


コトダマ<コップ>を手に入れた!

罪木「あっ…検死結果が出ましたよ?弐大さんは毒殺です」

小泉「毒殺?!ハンマーは死因じゃないってこと?!」

罪木「はい…」

コトダマ<罪木の検死結果(弐大)>を手に入れた!

苗木「凶器が毒だというなら、毒のありそうな場所を探してみよう…」


―化学室

日向「苗木か…」

苗木「日向クン…ここにめぼしい証拠がないか探してるんだけど…」

日向「ここにある薬品はぜんぶ毒。しかも一つには開けられた跡がある。
どう考えても凶器はこれだと思ってるんだよな、俺は」

苗木「罪木さんの検死結果も毒殺だった…弐大クンの方は」

日向「やっぱりな、それにこの脚立も明らかに引っ張り出した跡がある」

苗木「大急ぎで犯人が痕跡を残すのを忘れていたんだろうな」

日向「どうだろうな?俺はわざと犯人が痕跡を残しているようにも思える」

苗木「え?」

日向「これはただの勘だけどな…」


花村「きみたちもここに来たんだね」

苗木「終里さん…花村クン…」

終里「オレは今回のクロが許せねえ!
せっかくみんなが団結していたところに、横槍入れやがって!
なにも殺すことはねーじゃねーか!…しかし、けほっ!
この部屋は匂いがすげえな…」

花村「まあ落ち着いてよ終里さん!可愛い顔が台無しだよ?」

終里「ああん?」

花村「ひぃっ!」

日向「お前ら、何しに来たんだよ」


花村「ああそうだ、重要な証拠になるかと思ってね。
ぼくは小泉さんが見つからなかったとき、
倉庫のあたりをさがしていたんだけど、
小泉さんが倉庫のぼくを突き飛ばしていったのを見たんだ」

日向「うーん…それは役に立つ証拠なのか?」

苗木「分からないけどね…」

花村「ま、まあとりあえずイってみるもんだよ?証拠もアレもね?」

終里「ざけてんじゃねーぞ!」

花村「ぎゃべぇっ!」

コトダマ<脚立><花村の証言>を手に入れた!


モノクマ「ピンポンパンポン。捜査終了です。学級裁判を開始します。
体育館付近、赤い扉を開けてお集まりください…
さあ、エクストリームなショータイムの始まりです!張り切っていきまショー!」

日向「ここまで、みたいだな」

花村「ま、また始まる…学級裁判がががが…」

終里「弐大のおっさん、左右田の死は無駄にしねえぞ…」

三人と共にボクは赤い扉へと走り、その扉を開けていく…
再び開かれる地獄の門…

~学級裁判開廷~


モノクマ「まずは学級裁判の流れを整理しておきましょう。
学級裁判では犯人…つまり『クロ』を生徒全員の投票で決定します。
決定したクロが正しければクロだけがオシオキ、
違う場合はクロ以外の全員がオシオキとなりクロは晴れて卒業となります」

西園寺「じゃあぱっぱとクロについてまとめちゃわない?」


~議論開始!~

西園寺「<クロは澪田>!けって~い!」

辺古山「私の件もある、安直な決め方はよくないぞ。
それに彼女の<裏ルートとやらが事件に結びつくとは限らない>」

西園寺「そっちじゃなくて、澪田のシングルの題名が問題なんだって!
澪田は<シングルの題名通りに弐大と左右田を殺していったんだよ>!」

→<罪木の検死結果(左右田)>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「澪田さんも西園寺さんも他のみんなも見てたはずだよ?
<罪木さんの検死結果>が表す通り、
弐大クンは毒殺、左右田クンは撲殺で死んでいるんだ」

西園寺「でもシングルの題名には『毒殺』もあったよ?」

罪木「題名通りとするなら見立て殺人が成立しませんよね?」

澪田「見立て?」

罪木「映画などモチーフを基に殺人を行うスプラッタ映画の常套手段…
順番的に毒殺が最後なのに、弐大さんの死亡は最後…」

西園寺「げぇっ!罪木もスプラッタ映画好きなの?!趣味被ったぁ!」

田中「運命の悪戯か、悪魔の罠か…」

西園寺「悪魔の罠だよ!」


日向「…つまり、
どちらかと言うと今回は澪田さんのシングルの題名に合わせるように
死亡原因を偽装したと考えられるわけか」

終里「また罪の押しつけってわけかよ…!」

澪田「あのー、疑られてるところ申し訳ないっすけど…
なんで犯人はエレキギターを隠さなかったんすかね?」

西園寺「それは澪田、あんたがクロだからだよ!」

澪田「えええっ?!」

田中「まだ澪田を疑るか…もうその辺にしておいてやればよかろうものを」


~議論開始!~

西園寺「騙されないよ?前回は辺古山と見せかけての別の奴。
だからこそ<澪田がクロなのはあり得ない>?
それこそないないない!実際<血の付いたギター>も見つかってるしね!」

田中「それこそ先入観というものだ!
それとも貴様には<クロを見通す千里眼の力がある>とでもいうのか?」

辺古山「西園寺は<ハンマーの偽装工作をしたのも澪田>で、
<ロープの偽装工作をしたのも澪田>だと考えているのか?」

→<ロープ>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「<ロープ>で絞殺の偽装工作をしたのも澪田さん…それには無理があり過ぎるよ」

西園寺「はぁ?!チョーシこいてんじゃねーぞオネショちびり野郎のくせによぉ!」

日向(早速利用してきたぞ悪口に…)

苗木「と、とにかく…<ロープ>は1階の倉庫にあったものなんだ。
これは澪田さんが自ら明かしたことだし、多分倉庫見張りをやったことがある人なら分かるはずだ」

日向「だな、俺も覚えてるぞ。なあ小泉」

小泉「あ、うん…多分、そうだと思う」

終里「倉庫のショーケースに入れてたんだっけか?
よく飛び出してきて床に落ちて面倒だったんだ、あれ」


苗木「そこからわざわざロープを持ってきて弐大クンを殺し、左右田クンを殺した。
流石にみんなで小泉さんを探しに言った時1階から4階までを駆けまわる真似は無理だよ」

西園寺「ロープを部屋に仕掛けてたかもしれないじゃん!」

罪木「音楽室に都合よく左右田さんが来るかどうかにもわからないのにですか?
左右田さんはあの時小泉さんを探しに行っていたんですよ?」

日向「それにもうひとつ…時間がかかることがある」


閃きアナグラム!

「ど・く・や・く」

苗木「化学室にある毒薬だね」

辺古山「私と田中の…ハムスt…」

田中「破壊神暗黒四天王」

辺古山「…が見つけた<コップ>に浄水器を入れて盛ったのだな」

苗木「浄水器からコップに入れる直前、毒薬を入れられるのは一人しかいない」


澪田「だ、誰ッすか…まさかこの状況で唯吹とか言わないッすよね…?」

苗木「西園寺さん、君しかいないんだ」

西園寺「えー?なんでー?頭おかしくなっちゃったのかなー?」

日向「まずお前の過去からして、身内の毒殺は日常茶飯事って言ってたよな?
それこそお前もそういう手口は簡単に分かってたはずだ。
たとえばそこの着物の袖から毒薬を滑り込ませるとかな」

西園寺「それこそ先入観じゃん?理論も糞もなくて反吐が出そうー!」

苗木「勿論それだけじゃないよ」


日向「化学室の毒薬の扉に開けられた跡があって…
しかも<脚立>を倒した跡があった…!
これが何を意味するか分かるか、西園寺?」

西園寺「わっかんないよ、そんなの。バカの言うことなんて日本語じゃないし」

苗木「あの化学室で脚立が必要なのは生き残っている今の生徒を考えると、
西園寺さんくらいしかいないんだ。それに、美術室と音楽室の間あたりで
うろついていたのもボクと終里さんが見てる。あの間、君は女子トイレか
物理室あたりで手を洗っていたんだ。疑われないようにね」

西園寺「…あっははー?バレちゃったー?」

小泉「日寄子ちゃん?!」

終里「あっさり認めりゃ済むとでも思ってんのかよ?」


西園寺「そうでーす!私が犯人でーす!澪田の秘密の話を聞いたから
あいつを犯人に仕立て上げようと思って計画を練ったんだけどバレちゃったねー!」

花村「ど、どうしてあの二人を殺そうとしたのさ!」

田中「姑息な真似を…!」

西園寺「だってあいつら二人ともウザかったんだもーん!
なーにが仲間と協力だよバーカ!ここは幼稚園かっての!
キモいキショい暑苦しいー!だーから、ぱっぱと殺して卒業したかったわけ!
でも失敗しちゃったなーてへぺろー!」

終里「お前に投票だ西園寺…裁きを受けやがれっ!」

澪田「待ってほしいッす!」


辺古山「澪田?こいつはお前を犯人に仕立てた奴だぞ。
おまけに今までのクロと違い、人としての道にも反している…」

澪田「ホントは日寄子ちゃんそんな奴じゃないと思うんす…!
何かこの事件には裏があると思うッすよ!」

苗木(確かにおかしい…なんだろう…この違和感は…!)


~議論開始!~

西園寺「だーかーらー私が犯人なんだって!もーいいじゃんそれでー」

田中「全ては貴様の仕業だとそう自白するのか?」

西園寺「何度も言ってんじゃん!ここは<バカの見本市>なのかなー?」

澪田「見立てなんとかも全部日寄子ちゃんの仕業ッすか?」

罪木「<見立て殺人>のことですね…」

西園寺「そーだよー?<弐大に毒を飲ましてぶっ殺したのは私>、
<ハンマーを近くにおいていったのも私>、
<左右田を重いっきしギターでぶん殴った>時はスカッとした―!
それで最後に<倉庫からロープを取ってきたのも私>!これで納得したよね?」

→<花村の証言>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「いや、ロープを持ってきたのは小泉さんだ。
花村クンも言っていたけどね」

罪木「確かに西園寺さんがあの短時間で
全部やるにしては一度にやるべきことが多過ぎる…
でもそうなると犯人は小泉さん?」

西園寺「バカなこと言うな!おねぇは犯人じゃない!」

終里「やけに小泉だけは庇うんだな」

田中「とはいえ貴様が卒業するということは小泉は死ぬことを意味するぞ?」


苗木「それがまさに、西園寺さんの目的だったんだ」

小泉「何言ってんのよ苗木…?!」

苗木「小泉さんが左右田クンを殺したのを西園寺さんは庇ったんだ」

西園寺「そんなわけないじゃん!さっき苗木、自分で言ったよ?!
弐大を殺したのは私だって!」

苗木「その発言を撤回するつもりはないよ」

日向「おい…待ってくれ…!それじゃあ…!」


閃きアナグラム

「べ・つ・べ・つ」

苗木「そう、左右田クンの事件と弐大クンの事件は全く別の犯人…そうすれば、
あわよくば二人で『卒業』することができる…!どっちかがクロだと疑られても
片一方が庇うことでもう一方は卒業できるんだ…西園寺さんは自らを犠牲にして、
小泉さんを必死に庇うために現在進行形で凶悪犯の演技をしているんだよ!」

終里「ま、マジなのかよ…!」

西園寺「違う違う違う!だって、私と苗木が二人きりになる瞬間だってあったじゃん!
あの時私が苗木を殺せば証拠はなくなるよ?!二人が別々のクロならそうできたじゃんか!」

苗木「それもありえないんだよ」


苗木「モノクマの提示した<犯行のルール>…
これは『殺人人数は一人に付き二人まで』とある。
つまり、西園寺さんがもう一人殺せば…」

罪木「事件は複数犯と確定してしまいこのトリックは成立しなくなる…!」

花村「そ、そこまで考えていたって言うの?!」

西園寺「待ってよ!それじゃあこれはどうなのさ?!
小泉おねぇは澪田のシングルの話も聞いてないよ?!もちろん秘密の話も!」

田中「西園寺は左右田と共に小泉を探しに行った…つまり」

日向「その時に小泉と話す瞬間があった…」


苗木「小泉さんの左右田クンへの犯行は澪田さんの件と関係なく起きていたんだ。
だからこそ、後でそれに気付いた西園寺さんは小泉さんにロープを偽装させ、
自分は弐大クンを殺すために化学室へ向かった…」

澪田「すると順番も実際見つけた死体の順番とは逆と言うことに…?!」

辺古山「だが小泉には左右田を殺す動機があったのか?」

西園寺「その通りだよ!小泉おねぇには動機がないんだよぉ!
だから誰が何と言おうと私が犯人なんだぁ!」

小泉「日寄子ちゃん…!」


苗木「それは澪田さんも言っていた<裏ルート>だよ。
澪田さんは『少なくとももう一人の生徒が同じクラスに同じ方法で入学している』と言ってた」

辺古山「あれは私や十神…のふりをしていた彼のことではないのか?」

澪田「もしかして…真昼ちゃんが…!」

苗木「そうなんだ。「殺人を犯している生徒が『裏ルート』と称して学園に入学する」。
これは詐欺罪しかない十神クンにも、その名称を知らない辺古山さんにも成立しない。
九頭龍クンが知っていれば、彼を介して辺古山さんが知っているはず。
そう考えると…!」

日向「おい…小泉…嘘だろ…?お前に限って…そんな…!」

西園寺「違うよ!おねぇは人殺しなんかじゃないよぉ!」

小泉「ごめん。アタシは人殺しだよ」


終里「小泉…!」

小泉「日寄子ちゃん、ごめん。
アタシ、日寄子ちゃんと違って演技が下手だから…結局隠し通せなかったよ」

西園寺「やだやだやだ!認めちゃやだ!おねぇにだけは死んでほしくないのに!」

小泉「もう、嘘吐くのはできないんだ。苗木、お願い…こんなアタシを裁いて…!」


苗木「まず、犯人はみんなが秘密を書かれた紙をカミングアウトしている間、
音楽室にいたんだ。そこに入って来たのは左右田クンだった。
この時おそらく犯人は左右田クンを衝動的に殺してしまったんだ。

そこでその様子を見かけたもう一人は自身が第二の犯人となり、
澪田さんの曲を使った一人の事件に見せかけようと提案した。
第一の犯人は言われた通り自分の犯行現場の捏造するため、倉庫に向かう。

その間に第二の犯人は手早くもう一人の殺人計画を進めていた。
自分が得意とする毒殺を思いつき、弐大クンの前でコップの中に浄水を注いだ。
そしてその中に毒を滑り込ませて彼を殺し、申し訳程度にハンマーを置いた。
澪田さんの曲の見立て殺人であると誤認させるようにね。

現場を後にした犯人はもしくは計画の全てを悟られないようにしつつ…
第一の犯人の居場所を見ることが可能な中途半端な地点に身を潜めていた。
それを合図に第一の犯人はロープを左右田クンの首元で縛り、トリックを完成させた。
これらができるのは西園寺日寄子さんと小泉真昼さん、君たち二人だけだ!」


小泉「やっぱり苗木は凄いや。みんなも凄いよ。
だって、自分の秘密を簡単に曝け出せるんだもの。これは嫌味じゃないよ。
それに比べて、アタシって駄目な奴だね…
昔かっとなってクラスメイトを殺して…もう二度とあんなことはしないって誓ったのに。
秘密を渡された瞬間…気が動転して…左右田に会って…必死に『秘密を打ち明けるんだ』って
説得された瞬間、またかっとなって…ギターで何回も…!
気が付いたらそこには左右田の死体と私を探しに来た日寄子ちゃんと、
後には引けなくなった私がいた…」

西園寺「もうやめてよ、おねぇ…私は死んでもいいからおねぇだけは…
毒づいてばっかりの私に優しく話してくれた優しい優しい小泉おねぇだけは…!」

日向「くそっ…小泉…!お前だけはやらないって思ってたのに…!」

小泉「みんな、ごめん。アタシはこういう奴なんだ。昔っからちっとも変わらない…」

モノクマ「盛り上がってるとこ、すみませんねえ。
さて、今回の事件…正直答え言っちゃってるようなもんですが、
左右田君の事件と弐大君の事件をこの順番で別々に投票しまーす!」


モノクマ「はい、西園寺さんと小泉さんでクロは確定!当然正解だ!
三連勝おめでとう―!いやっほーう!」

小泉「唯吹ちゃん、ごめん…アタシや日寄子ちゃんのこと、恨んでるよね?
でも、恨まないで強く生きてね。アタシは恨んでもいいけど…日寄子ちゃんだけは。
日寄子ちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよ」

澪田「真昼ちゃん…唯吹は…!」

西園寺「行こう、小泉おねぇ」

小泉「うん、ロクな人生じゃなかったけど日寄子ちゃんに会えて良かった」

西園寺「私もやっぱりロクな死に方じゃないだろうけど、おねぇに会えて良かった。だから…」

「「最後くらい、笑って死のうね」」

                  オシオキ

              ~良い子悪い子笑顔の死~


磔になった小泉さんと西園寺さんは最後まで笑って手を握り合っていた。
大量の爆撃を受けて、身体が消し飛ぶその瞬間まで。


モノクマ「まさか二人で一つの殺人とは僕も驚きだよ。
まあ小泉さんが演技をして、積極的に西園寺さんを攻めていたら
事態はどうなっていたかもわからないけどその辺の不器用さは彼女の魅力だね!」

終里「結局…今回もこういう顛末かよ…!」

モノクマ「まあでもそんな彼女を失う絶望を乗り越え、
希望にしてこそオマエラってもんじゃないかなあ?次の裁判も頑張ってよね?
うぷぷぷぷ…」

苗木「とにかく、もうこれ以上コロシアイはしちゃいけない…
そして黒幕を暴いていこう」

花村「あのモノクマを操っている人を探すのかい?」

辺古山「私ならできる。元よりもうない命だ」

澪田「唯吹もせっかく与えられた命…無駄にはしないっすよ」

田中「共に掴もうぞ、外へ出るルートへの近道をな!」


人数が少なっていくにつれ、強まっていく…と信じたい僅かな希望。
しかし、その中に二人の姿はなかった。

終里「あれ、罪木と日向は?」


―???

日向「くそっ…俺はいったい誰なんだよ…?!
こんな時に自分の才能が思い出せない俺って…!」

罪木「知りたいですかぁ?あなたの正体を…あなたが一体何者なのか。
どんな才能を持っているのかを」

日向「つみ…き…?」

ただ今の生き残り人数
12-2=10

<To Be Continued…>


chapter7【それでも希望は回る】~(非)日常編~


一度に四人ものクラスメイトを失った日の翌日。
食堂に集まる生徒の数は既に一桁になっていた。

終里「くそぅ…朝から花村の飯が食えて幸せなはずなのに…!」

澪田「正直煮え切らない思いッすね…誰を恨んでいいのやら」

花村「はぁ…料理を作れば気も紛れるとは思ったけど…そうもいかなかったよ…」

田中「悲嘆にくれる場合ではないとも言えん…失ったものは元には戻らない」

生存した生徒はかなり明るいメンバーが多いのにこれだ。
しかし…少ないからこそ分かるものもある。

辺古山「そう言えば、罪木と日向はどこだ?」

苗木「まさか…この展開って?」

モノクマ「うぷぷぷ…皆さんに朗報がございます」


花村「で、出たぁ!」

モノクマ「皆さんは超高校級のコロシアイ学園生活を生き延びた生徒と言えましょう。
そこで、最後の学級裁判に向けた『黒幕探し』をしてもらいます。
待ちに待った僕との直接対決ですよ?」

辺古山「つまり、お前を操っている黒幕を学級裁判で突き止めれば、
お前は処刑され、私たちは全員脱出できるということか?」

モノクマ「そういうことになるね。オマエラがそういう気持ちになるかどうかは別にして」

田中「なるに決まっておろう。このような所に留まる理由などある筈もない」

苗木「こんな急に何を…何か裏があるんじゃ…?」

モノクマ「裏ならあるけど、別に全員を無条件で処刑するとかは一切ないと約束するよ。
だってオマエラは『希望の体現者』だからね。それと、出血大サービス!
今回は黒幕をスムーズに探せるよう、全ての部屋のカギを解放しておいたよ!
どんな部屋も隅から隅までご自由に丁寧に調べて結構だよ?」

終里「このことは日向や罪木にも伝えたのかよ?」


モノクマ「それは後ほど分かると思うよ?」

苗木「学級裁判では黒幕が誰かを裁くという形式なの?」

モノクマ「それも後ほど…とりあえず今は捜査に集中!
時間は無限だけど有限だよ?それじゃあ僕はここで一旦…」

消えるモノクマ。不審に顔をしかめるボクを含めた六人。


田中「ここは策に乗る以外の選択肢しかなかろう」

辺古山「だな。向こうから姿を現してくれるならむしろ叩き潰してくれる」

終里「モノクマはともかく、生身でのタイマンならオレも自信があるぜ?」

澪田「ま、まあ物騒な話はいいからとにかく捜査ッすよ、捜査!」

花村「今回はまだ人が死んでないからね…」

苗木「とにかく捜査しよう。モノクマの言う通りにするのは癪だけど、
利用できるものは最大限に利用しよう」

~捜査開始~


―5階廊下

終里「最上階だけあって部屋もいっぱいだな!」

苗木「隠し部屋があるかもしれない。慎重に調べていこう」


―生物室

花村「生物室と聞いて美味しそうな食用生物を探していたけど、
ただの寒い部屋じゃないか!」

苗木「しかも何もないね。変なロッカーしかないよ…開かないし」

花村「あれ、これってハサミに、ダンベル、コップにエレキギター…?」

苗木「全部今までの凶器…何を意味しているんだろう…」

花村「ロッカーの数は丁度16…何か暗号とかじゃないかな?」

コトダマ<生物室と凶器群>を手に入れた!


―武道場

終里「桜が散ってるけど…これはオレが思う武道場とはちげーな」

苗木「どう見てもスケールの大きな造花だしね」

終里「そういやそこの鎧の裏からこんなものを見つけたぞ?」

苗木「これって…束ねられた矢…しかも血が付いてる…!」

終里「この血の匂い…ついさっき付いた感じだぜ?
じゃあどっかで殺人が起きてるかもしれねえってことか…!」

苗木「まさか…モノクマの言ってる学級裁判って…!」

終里「またオレらはハメられたってわけかよ…?!」

苗木「とにかく他の部屋を探そう!」

コトダマ<>


コトダマ<束ねられた矢>を手に入れた!

―植物庭園

澪田「うっひゃ!あの植物でっけーッす!」

苗木「なんか近づくと溶かされるって変えてあるけど…新種の植物みたいだよ?」

澪田「うえぇ…オシオキで使う用すかね?」

苗木「ああ…そういうのありそうだよね…」

澪田「死ぬのは怖くないすけど、そういう死に方は嫌すね」


澪田「どうせ処刑されるなら、意識のないうちに…眠ってる間とかに、
首吊りとか電気椅子とかで一瞬で死にたいすわ」

苗木「…もうこの話やめよう?」

澪田「そうすね…あっ!なんかみっけた!」

苗木「これは鍵かな?」

澪田「秘密のルートを開く鍵っすよ!裏ルート的な!」

苗木(自分のトラウマすら冗談にできる澪田さん…ある意味凄いよ…)

コトダマ<謎のカギ>を手に入れた!


―謎の教室

苗木「うわぁぁぁ!」

田中「凄まじい血の量…何かの跡か?
これは…血文字で『超高校級の絶望的事件』と書いてあるぞ…?」

苗木「こんな事件…いったいいつ起こったって言うんだよ?!」

田中「だがもしこの事件が我々のこのコロシアイ学園生活に関与しているとすれば?」

苗木「むしろこの生活自体が超高校級の絶望だけどね」

田中「否定はできんな。とりあえずこの邪悪なる場所からはもう出るとしよう。
破壊神暗黒四天王すらも恐怖に凍えている」

コトダマ<超高校級の絶望的事件>を手に入れた!


―ロッカールーム

苗木「これは何だろう?田中クンの名前が書いてある…?」

田中「うむ、この筆跡は確かに我が物に間違いないが…
こんなものを持っていた覚えはないぞ?十神だった奴のではないか?」

苗木「でも授業用のノートにここまで丁寧に五芒星と…動物の名前と…
邪神の儀式召喚の呪文?を彼が書くとは思えないけどね」

田中「ドッペルゲンガーの類か…あるいは影を操る能力の持ち主か…」

苗木(ここはノーコメントを貫こう)

コトダマ<田中のノート>を手に入れた!


―学園長室

辺古山「学園長室…何か重要そうな証拠があると思ったのだがな…
いかんせん扉が開かない」

苗木「辺古山さん…もしかして…この<謎のカギ>が必要?」

辺古山「なるほど…近くの部屋にそういうものがあったのだな!」


―学園長個室

辺古山「早速だが超高校級の希望…と書かれた紙を見つけたぞ?」

苗木「その人物は我が希望ヶ峰学園の最高傑作である。
ある生徒を本人の許可をとって改造し、全ての超高校級の才能を詰め込んだのだ…?」

辺古山「しかしそれでも彼が『超高校級の幸運』を手に入れることはできなかった。
それゆえか不明だが彼は感情の全てを失ってしまうことになった…」

苗木「でもこの人の写真…」

辺古山「日向にそっくりだな…」


苗木「辺古山さん、日向クンに感情がないなんて思ったことある?」

辺古山「ないな。しかし、この最後には『彼の名前は日向創』とまで書いてあるぞ」

苗木「どういうことなんだ…」

辺古山「だが、日向の隠された才能がこれだとしたら?」

苗木「うーん…つじつまはあうけど…腑に落ちないなあ」

コトダマ<超高校級の希望>を手に入れた!


辺古山「それとここにDVDと誰かの生徒手帳を見つけたぞ」

苗木「電子生徒手帳ではなさそうだね。
DVDの方は、後で視聴覚室で見てみようか」

辺古山「だな」

コトダマ<生徒手帳><DVD>を手に入れた!


辺古山さんと一緒に部屋を出ると、終里さんに呼び止められた。

終里「てめーら、まだこんなとこにいたのか!4階に面白いもんを見つけたぞ?」

―情報処理室

辺古山「これは…モノクマか?!」

モノクマ「違うんすよ、澪田ッす!」

苗木「え?」


奥の扉が半開きになって、花村クンが顔を出す。

花村「どうやらモノクマは遠隔操作で動いてるみたいなんだよ」

モノクマ「入ってきて入ってきて!」

見渡す限りの各部屋の映像。これにより黒幕はみんなを監視していたはずだ。
そして奥の扉を開けると、澪田さんが出てきた。

澪田「ここのマイクに声を当てると、モノクマの声に変換されるッす。
そしてここが操作。武器や歩き、消滅・出現などはここで行ってるッす」

終里「体育館だけには大量に配備されてるな」

澪田「そして、ここからが問題なんすけど…一度前の部屋に戻ってほしいんす」


田中「この邪眼に我々の行動を監視されているようなのだ」

辺古山「いつの間に背後にいたのだ?!」

田中「ふはははは!姿を消していたのだ」

澪田「空気だっただけっしょ…」

苗木「とりあえずこのテレビは何を示しているの?
ボクたちが写っていて、横には顔写真と数字が表示されているよね」

花村「この写真はぼくたちの現在を映してるって感じかな?」

辺古山「わからん…やはりこういう閃きは苗木に任せるしかあるまい」

苗木「そんなにボクを信用して大丈夫?」

コトダマ<テレビに映った苗木たち><モノクマの操作方法>を手に入れた!


澪田「まあ誠ちゃんに唯吹ら助けてもらってるようなもんですから!」

花村「頼りにしてるよ」

田中「破壊神暗黒四天王には及ばぬが頼りにならんと言わなくもない」

終里「なんだかんだで最終的に葉苗木が犯人を的中させてるもんな!」

苗木「みんな…」

辺古山「ところでこのテレビ、日向の顔が表示されていないようだが…?」


田中「破壊神暗黒四天王と共に探すとしよう」

花村「確かこの階にはまだ入っていない部屋があったよね?」

澪田「蜜柑ちゃんの行方も不安ッす」

苗木「ならボクも…」

辺古山「待て苗木。お前は視聴覚室に行って、DVDを見てくるんだ。
ここから視聴覚室は遠いし、その前に学級裁判が始まらないとも限らない。
後のことは私たちに任せておけ」

苗木「分かった!」


―視聴覚室

DVDを急いで差し込むボク。画面に映ったのは…ボクだった。

###

???「希望ヶ峰学園に幽閉されてもいいですか?」

苗木「構いません」

###


驚く間もなく、次の画面に切り替わる。
同じ男性が同じ質問を投げかけていく。
田中クン、辺古山さん、九頭龍クン、ソニアさん、
花村クン、小泉さん、十神クン、西園寺さん、弐大クン、
終里さん、左右田クン、澪田さん、罪木さん…
食い入る様に画面を見つめて耳を凝らしたけど答えは全員ボクと同じ。
どうして…?しかし、そこで画面は途切れた。

謎のまま思わず生徒手帳を開く。
そこにはボクとは違った筆跡のサインと『超高校級の幸運』の文字。
名前欄にはボクの名前にない漢字が消されている。
その上から『コロシアイ学園生活の黒幕は僕だ』と書かれた文字。
何が何だかわからない。

突如、静かな部屋に放送が鳴り響いた。

モノクマ「ピンポンパンポン。死体が発見されました。
全生徒は、大至急4階職員室にお集まりください」


ボクは急いで4階に向かって走り出した。
また殺人が起きてしまった…いったい誰が?
そしてたどり着いた職員室。
不気味に花が並ぶ部屋で罪木さんが涙を浮かべて腰を抜かしている。

苗木「罪木さん!この部屋で殺人が起こったって…?!」

無言で彼女が指差す先に集まった五人の生徒の人だかり。
その中心にあったのは…ボクが一番死んでほしくなかった生徒…
日向クンが首吊り状態で死んでいる姿だった…

ただ今の生き残り人数
8-1=7

<To Be Continued…>


chapter7【それでも希望は回る】~非日常編~


モノクマ「ピンポンパンポン。死体が発見されました。
ただちに学級裁判を行います。生徒たちは全員、赤い扉を開けてお待ちください」

辺古山「捜査時間はなしと言うことか…」

田中「これまでの証拠で何とか決着をつけるしかあるまい」

澪田「これで終わりにするんす…何もかも…!」


花村「ほら、罪木さん、早く立って!」

罪木「いやですぅ…もうこんなのは二度と…!」

終里「これで終いなんだ、やるしかねーだろ!」

苗木「みんな、行こう」

7人で赤い扉を同時に開ける。
泣いても笑っても最後の学級裁判だ。これが…!

~学級裁判開廷~


モノクマ「今回の学級裁判は特別ルール!僕も議論に参加させてもらいます。
そして、今回の犯人はズバリ黒幕と同一人物!黒幕が誰かを指定し、
その人をオシオキすることでオマエラはこの学校から卒業となります。
もちろん黒幕が違った場合は…黒幕以外の全員がオシオキです」

辺古山「まずは私なりに考えをまとめてみたのだが…」


~議論開始!~

辺古山「日向が殺された理由はやはり黒幕にとって…
<日向の存在が邪魔になったから>としか思えない」

終里「わざわざ<黒幕本人が出てきて殺す>ほどの理由があるのかよ?」

田中「そもそも<黒幕はこの中にいる誰か>なのか?」

罪木「…」

花村「罪木さんの検死がない以上…<日向くんがそもそも死んでない>可能性もあるよね?!」

澪田「<創ちゃんの才能>が分からない以上は…どーにも前に進めそうにないッすね…」

→<超高校級の希望>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「日向クンの才能は辺古山さんと見た…<超高校級の希望>で
間違いないはずだよ」

辺古山「だが、日向には感情があったはず…」

苗木「自分の才能を忘れたということは、感情も復活した…と考えるとどうかな?」

辺古山「確かに仕えていた疑問がとれるな…」

田中「何故そのような能力者でありながら、自らのことを忘れているのだ?」

苗木「勿論黒幕の仕業だよ」


花村「それだと日向くんはぼくたちと出会う前から黒幕と接触していたことに…?!」

澪田「まさか、創ちゃんは黒幕と仲間だったとか言うんじゃ…!」

苗木「そうなんだ」

罪木「そ、そんな…?!」

苗木「こんな残虐でスケールの大きなシステムを作ること…
普通の人間なら抵抗感もあるし思っても実行はできない。
でも、ありとあらゆる才能を持っていて感情がなくなった日向クンならば…?」


田中「そして黒幕は一旦日向の記憶を消し、学級裁判に参加させたものの…」

終里「最後まで生き残っちまった…だから痺れを切らして殺しちまったってのか…」

辺古山「では黒幕は誰なのだ?」

苗木「この中で記憶を奪うような真似ができるのは…罪木さん、君だ」

罪木「ふ、ふぇぇ?!」


澪田「マジすか?!虫も殺せないどころか、虫にも殺されそうな蜜柑ちゃんが?!」

花村「それはそれで言いすぎな気もするけどねえ…」

苗木「日向クンと二人でいたのはあの時君だけ…それに記憶喪失させるのは
薬品なんかの調合が必要だよね?注射とかもいるだろうし…君の専門範疇だと思うんだ」

罪木「そ、そんなの推測ですよぉ…あれは日向さんの自殺ですぅ!」

終里「自殺だって?!ここにきて全く違う意見かよ?!」


~議論開始~

罪木「日向さんはきっと自殺です…
日向さんは自らの罪に苛まれ…死ぬことを選んだんですぅ…」

辺古山「<自分のことを思い出した日向に感情があるはずがない>は…
あるとすれば苗木が言った超高校級の希望と矛盾するぞ!」

田中「<もしくは何者かが日向の記憶を再度弄ったか>…」

罪木「でも<記憶を弄った証拠はない>ですよねぇ?
だったら自殺でいいんじゃないですかねぇ?どうでもいいですよこんな議論」

澪田「蜜柑ちゃん…<キャラが壊れてきてる>んすけど…もしもーし?」

罪木「首吊り死体であって、私の検死結果もない…しかもしかもぉ?
<日向さんが誰かに殺されたという証拠はない>…だったら自殺で反論はないですよねぇ?」

→<束ねられた矢>

苗木「それは違うよ!」

Break!


罪木「は?何か言いましたか?苗木さん…」

苗木「武道場には束ねられた矢があった…」

終里「しかもついさっき血の付いた匂いがしてたな」

苗木「これはつまり、束ねられた矢による撲殺…首を縛っているのはダミーだ。
他に殺された生徒もいない以上、確定だよ。罪木さんにもアリバイはないし、
自分に不利な証拠になるであろう検死もしていないんだ」

辺古山「本当なのか…やはり罪木が…私たちを…?」


罪木「なるほどなるほどぉ~…すっごいですねぇ~…ふふふ…うふふふふふ…」

花村「罪木…さん?」

罪木「ぴんぽんぴ~ぽ~ぴんぽ~ん…そうですよぉ~?
私が『超高校級の絶望』黒幕の罪木蜜柑ですぅ~」

田中「な…貴様がっ…!」

澪田「唯吹たちを騙したんすか?!」

罪木「あれあれあれあれぇ?騙されたのはオマエラの癖に
何ほざいちゃってるんですかねぇ~?それともあれですかぁ~?
悔しいんですかぁ~?」

辺古山「何故こんなことをっ…?!」


罪木「前言ったじゃないですか。私は小さい頃からいじめられ続けてきたんですぅ~…
だから皆さんへの復讐ですよぉ?世の中全部に私の味わった絶望を与えたかった…
そんな気持ちも理解できないんですかぁ?」

田中「理解できん!それが殺し合いなどという思想に発展するわけが!」

罪木「まあそうでしょうね…だって皆さんだって私を変わった奴だと思ってたでしょうし…
所詮そんな奴なんでしょうね…私なんて…
さ、さっさと投票ボタンで私に投票してくださいよ?
もうこの世界に生きる意味もないですし…やりたいこともできましたし…」

終里「待て!そうはいかねーぞ…てめえがやったことを洗いざらい吐いてもらうぜ!」

苗木(そうだ…まだ聞きたいことが聞きだせていない…それにこの状況は前にも感じた…
このもやもやした違和感…西園寺さんの自白の時と同じだ…!)


~議論開始!~

終里「罪木、てめえが全部やったのか?!」

罪木「何度も同じこと言わせないでくださいよ…そうですってば…
<私…罪木蜜柑がこのコロシアイ学園生活の黒幕なんです>ってば!」

辺古山「ならば日向とはどこで知り合ったんだ?」

罪木「<日向さんとはもともと同じクラスでした>からね…
呼びだして<記憶を弄るのは簡単>でした…<日向さんにモノクマを作らせた>のも、
<学級裁判を企画したのも私>、勿論<学園生活のルールは日向さんに作って貰いました>。
あとは今そこにいる<モノクマを操作しているのも私>ですよ…うぷぷぷ…なんちゃって…」

→<モノクマの操作方法>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「罪木さん、黒幕は確かに君だ」

罪木「分かっていただけましたぁ?なら…」

苗木「でも君だけじゃないんだ。君の裏に、もう一人の黒幕がいる…
それがこの学園生活の真の黒幕だ」

花村「ど、どういうことなの?三行で説明して?!」

澪田「唯吹たちが見つけた<モノクマの操作方法>によると、
モノクマの操作はあの情報処理室で行わなければならない。
だから、学級裁判中モノクマと同席することは黒幕にできないんす!」

田中「なるほど、先ほどからモノクマは喋っていないが…
最初には罪木がいるにも拘らず堂々と喋っていたな?」

罪木「わ…私は…私は…!黒幕なんですよぉ!
だって、あなたたちは黒幕が誰か知らないじゃないですかぁ!
それを知らない限り…!」


苗木「知ってるよ。この<生徒手帳>にある通り、黒幕は『超高校級の幸運』だ」

終里「ちょっち待っち!『超高校級の幸運』ってまさか?!」

モノクマ「苗木君は僕を操っている黒幕だったんだよ!」

罪木「…」

花村「おーまいがぁっ?!そういえば苗木くんって結構閃き凄かったよねぇ?!
あれは全てを知っての挙動だったってーの…?!」

辺古山「落ち着け!<モノクマの操作方法>を考えると、
苗木が黒幕なこともあり得ない!そうだろう苗木?」


苗木「ありがとう辺古山さん。そうなんだ。
ボクが見つけた生徒手帳にはボクの名前にない漢字が消された跡があった。
つまり、モノクマを操って今ボクらをあざ笑っているのは…
もう一人の『超高校級の幸運』…その人が日向クンにこの学園生活の下準備をさせ、
罪木さんに日向クンの記憶操作をさせた張本人なんだ!」

澪田「つまりモノクマを今操っているのがその…」

田中「『もう一人の超高校級の幸運』…か」

罪木「あ…あ…あ…!」

終里「おい!さっさと出て来やがれ!
黒幕だか何だか知らねーが…今からてめえの顔をぶん殴ってやる!」

モノクマ「そうだね…丁度高みの見物も飽きていたところだし…
そろそろバトンタッチと行こうかな?」


~『超高校級の幸運』狛枝凪斗 降臨~


狛枝「始めまして、超高校級のみんな!
ここまで生き残ってくれた希望の象徴と言える君たちの前には…
顔を出すのも恐れ多いけど…自己紹介だ。狛枝凪斗って言うんだ、僕」

辺古山「どことなく…苗木に似ているが…!」

澪田「背がすっげー高いんすね!」

花村「しかも顔を隠すのはイケメンの法則…やはり合ってたんだね…!」

狛枝「こんな汚い容姿を褒めてくれるのかい?光栄だよ…」

罪木「狛枝さん…私は…」


狛枝「罪木さん、君にはがっかりだよ…
確かに僕は僕の存在がばれるような証拠を多めにしたけど、
もう少し君が頑張ってくれると思って期待していたんだよ?
それがもう…殆ど苗木君の独壇場。君は惨めな悪あがきしかしてないよね…」

罪木「ごめんなさい…ごめんなさいぃ…!」

苗木「お前が…モノクマの正体?」

狛枝「あ、意外だった?演技力に自信がないからさぁ、結構苦労したんだよね。
超高校級の生徒たちを絶望させ、苛立たせるような言葉遣いを
日向君にわざわざ台本書いてもらったんだけどさ」

田中「あえて罪木と同じ質問を問おう…何故貴様はこのような凶行に及んだ?
貴様は何を望む?」

狛枝「あれ、モノクマの時にも言っていたけどなぁ…
僕の拙い語法力じゃ伝わらないのも無理はないか…簡単に言えば、
『絶望から這い上がる希望の力』だよ」


苗木「何が希望だ!お前がもたらしたのは絶望だけじゃないか!」

狛枝「いいねえ苗木クン…同じ才能の持ち主として君の言葉は心にクるよ…!
じゃあもうひとつ面白い話をしようか。僕は飛行機事故で身内を全員亡くしているんだよ」

辺古山「不幸自慢のつもりか?」

狛枝「ああ、違うよ…そう思われたなら心から謝罪するよ。
元々僕は家族から罵倒され、クズだと言われ続ける毎日だったから。
そのことに関しては何の悲劇性もないよ。
勿論僕自身がたとえようもないクズでカスで、ゴミ以下の人間だとも自覚しているよ?」

花村「な、何言ってるんだよ?!」

狛枝「それはそうとさ、その飛行機事故、生存者が僕だけだったんだって。
この時、僕は確信したんだ自分のたった一つの才能にね。
実際僕が立ち寄る場所には様々な災厄が下りてきた。
大事故・大災害・外国に行けばテロに紛争…周りの人はそのたびに沢山死んだよ。
けれど、僕がそれで被害を負うことはなかった。いつしか僕はこの社会の裏話で
名前が挙がるようになり、この学園にも入学を許可された。
生まれついた運…『幸運』の研究材料としてね」


終里「ああ!まどろっこしい!だから、その話が今のオレらに押しつけた生活と…
どう関係あるかって聞いてんだよ!」

狛枝「あるじゃないか。動物は生存競争で進化を遂げ、子孫を増やす。
人間も常に周りを食い合い、生物の頂点に立った。
超高校級の人間はいわばその頂点の頂点…希望の体現者…!
彼らは生まれついての財産とか、そんなくだらないものではなく…
圧倒的な絶望を味わった先に掴んだ希望を持ってないといけない…そう僕は思うんだ」

澪田「そのためにコロシアイを強制したって言うんすか?!」

狛枝「大して苦労もしていない人間が世の中に蔓延するから、
超高校級のハードルも低くなる、世の中もマンネリ化した社会で腐りきる…
それはよろしくないことだよ?絶望を乗り越えてこそ人は強くなれる!
実際君たちもこの絶望を乗り越えて成長したはずだよ?
澪田さん、辺古山さんなんかは特にね…自分の生きる意味を見出すことができた」

辺古山「それは…」


狛枝「それにね…君たちにはこの学園にいなくちゃいけない理由があるんだ。
それを自分で承諾した」

田中「バカな!そんなことがあるはずがない!」

苗木「いや、確かにあの<DVD>…みんながこの学園に幽閉されることを望んでいた…」

狛枝「流石苗木君!じゃあそれが意味する者とはなんだと思う?」

閃きアナグラム!

「き・お・く・そ・う・し・つ」


苗木「ボクらも日向クンと同じく記憶を奪われた…?」

罪木「狛枝さん…!」

狛枝「それには君たちの知りたくない事実があったからだ…」

田中「待て!この邪眼の力を持つ吾輩が記憶を失うわけがない!」


~議論開始!~

田中「記憶を失ったとどうして言えるのだ?」

花村「でも逆に<記憶を失ってないと言える証拠もない>よ!」

辺古山「狛枝、これもお前の罠か…?」

狛枝「<僕は残念だけど嘘を吐くのが下手>なんだ。
<全部僕の言ったことは本当>だよ?」

田中「だが<この田中眼蛇夢の記憶が消えたなど…あろうはずもないハッタリだ>!」

→<田中のノート>

苗木「それは違うよ!」

Break!


苗木「ロッカールームで田中クンと一緒に見つけたノート…
あの筆跡や中に書かれた…」

田中「邪神召喚の儀式か…確かにあれは我が物…ハッ!」

苗木「そうなんだ、ボクたち全員が日向クンと同じように記憶を失っている…
それゆえ学園に幽閉されることを自ら許可した事実も知らない…!」

澪田「なんでそんなことを自分から…!」

狛枝「それには僕から答えるとしようか…苗木君は見たよね?
<超高校級の絶望的事件>を…!」

苗木「?!」

罪木「やめて…やめてくださぁい!狛枝さぁん!」


狛枝「希望ヶ峰学園で起きたあの事件で生き残ったのは君たちのクラスのみ。
僕・罪木さん・日向君がいたクラスはこの三人を除いて全滅。他のクラスも勿論全滅だよ」

花村「それじゃあ、このコロシアイ以上の使者が出たってこと?!」

狛枝「残念なことだよ…だからさ、学園長は君たちを呼んで保護したわけだよ。
なぜって?外も危険だったからね。人類は革命に向けて動き出していたんだ。
腐りきった世の中を壊し、絶望から這い上がる希望を求めてね」

終里「その事件もお前の主導だったってわけか…
学園長に見えないように日向を動かして…!」

狛枝「そういうことになるね」


罪木「えっ…?!」

狛枝「おっと、この話は罪木さんにもしてなかったかな。
でももういいよね、罪木さんはもうオシオキされちゃうんだし」

苗木「何を勝手なことを…!」

狛枝「え?だってさ、僕が日向君を殺したか罪木さんが殺したかはあの証拠だけだと
分からないんだよね…だから投票形式は自由なんだ」

辺古山「真相はお前と罪木のみが知っている…ということか…!」

花村「罪木さん…教えてよ!」

罪木「言えません…!」


苗木「なんで?!狛枝は君を殺そうとしているんだぞ?!」

罪木「ずっといじめられていた私に声をかけてくれた初めての人が狛枝さんでした…
私は狛枝さんのためなら命も捨てる…だから言えません…」

澪田「そんなことって!それじゃあ日寄子ちゃんと同じ…」

狛枝「それどころじゃないよ?罪木さんは希望と言う絶対的なものを信じているんだ!
だからどんな困難にだって立ち向かうよ?死の絶望にも立ち向かう…覚悟ができているんだ」

田中「自らのクラスメイトを皆殺しにした狛枝を守るためにか?」

罪木「たとえそうであっても…私は狛枝さんを裏切らない…裏切れない!」

苗木「どうすりゃいいんだよ…?!」


狛枝「じゃあまずは外の世界を見てみようか…
この学園の外の世界の人は何を望んでいると思う?君たちにさ」

花村「ぼくたちに…?!」

澪田「それってあの時の<テレビに映った唯吹たち>のことッすか?」

狛枝「そうだよ。あの時、君たちの横に出ていた数字は何だと思った?
正解は生き残るとみんなが予想している人数」

苗木「それってつまり…この学園生活は実況中継されてるってことか?!」

罪木「はい…そうです…」

狛枝「君たちが絶望の中から這い上がる様子は今絶望の中から這い上がろうとする、
世の中の人すべてに希望を与えているんだ」

辺古山「世の中の人すべてが絶望の中から這い上がっている…?」


狛枝「その通りだよ。僕なんかのくだらない考えだけど、
僕の知名度は日向君の生前の活躍のおかげで大いに上昇した。
今や日本では『希望の団体』と呼ばれるグループが世間の脅かしているんだ。
腐った政府やお偉いさんの重要人物たちを殺し、破壊活動を続ける…希望をスローガンに」

苗木「それがお前の言う『希望』なのか?!」

狛枝「いいね苗木君…やっぱり君こそ『希望の団体』の新たなリーダーに相応しいよ…
自分が信じていた希望が絶望と紙一重だと認めたくない表情…絶望を憎む強い口調…!
今までの君には見られなかった成長だよ?僕を憎み、呼び捨てで呼び糾弾する…!
そして腐った世の中を裁き、新たな希望の種を群集の中から見つけていく…
僕の考えた理想社会のリーダーの姿だ…!」

苗木「違う!ボクはそんなんじゃあ…!」

狛枝「まあいいや、もうひとつ面白い話をしようか」


辺古山「まだ何かあるというのか…?!」

狛枝「君たちに最初に見せたDVDがあっただろう?動機のためのアレさ。
あれで見せた人物は『希望の団体』によって図らずも殺されてしまったんだよ…」

澪田「うそ…じゃあ唯吹のバンドメンバー二人も…!」

花村「お母さんも…?」

終里「オレの家族が全員やられた…?!」

田中「我が家族や召喚獣たちもか?!」

辺古山「私を育ててくれた九頭龍組幹部も…皆…もうこの世にはいないというのか…?」


狛枝「僕は正直なところ、
ここまで『希望の団体』が大きくなるとは予想していなかったんだ。
だから、僕なんかに頼まれるのはなんだろうけど、
この学園生活で生き残った君たちには僕と共に生き残ってほしい。
新たな『希望の団体』のリーダーとしてこの学園から世界に革命を起こすんだよ!」

苗木「そんなこと…!」

狛枝「どうかな苗木君?君だってもう家族はいない。
僕を敵に回せば『希望の団体』はあちこちで君たちを付け狙うよ?
こんなところで君たちもむざむざ死にたくないでしょう?」

田中「『希望の団体』とやらに対抗できる『組織』はないのか…?」

狛枝「あるにはあるよ。『未来機関』さ」


罪木「七海さんの…」

苗木「えっ…?」

狛枝「その通り。苗木君が見たDVDには七海さんの姿はなかったでしょ?
あれは七海さんがこの学園の生徒じゃなくて…未来機関から派遣された、
『超高校級のスパイ』だったからなんだ。ゲーマーと言うのは仮の姿さ。
面白いから視聴者にも彼女の正体を公表したうえで泳がせておいたんだけど…
あっさり死んじゃって正直拍子抜けだよ」

辺古山「最後の希望すらも…そんな程度なのか…?」

狛枝「違うよ。希望はそんなみみっちい物じゃない。絶対的で唯一の存在なんだ。
神にも勝るようなものだ。苗木君、ここまで言えば分かるよね?君の為すべきことが」


苗木(モノクマを操っている人物は…絶望を愛するような狂った人だと思っていた。
だけど…本当の姿はどんな時でも希望を捨てない…ボク以上のカリスマ…!
ただの希望じゃみんなを説得させられない…!でも、こんなことはいけない…!
どうすれば…!)

カムクラ「ミライ」

苗木(え…?)

日向「未来へ進むんだ、苗木…」

苗木「日向…クン?」


日向「俺はもう死んでしまったけれど…お前ならできるよ。
俺の失ってしまった感情…『未来へと進む勇気』で狛枝を乗り越えられる…!」

苗木「日向クン…!」

狛枝「さあ、最後の投票ルールを発表だ。
僕の話を聞いて、僕とともに新たな世界を作ろうと思う人は罪木さんに。
僕を殺して外に出たいと思う人は僕に投票してくれ。
僕はどのような結果も受け入れるつもりだよ?
希望の体現者たる君たちが出した結論ならば」


田中「投票された人間が処刑されるのか?」

狛枝「もちろん、罪木さんはもう使えないからね。
希望でもなんでもないし、もう新しい世界には必要ない」

罪木「え…?」

狛枝「何驚いてるの?僕だって悲しいんだよ?罪木さん、この計画の時に言ったよね?
僕のことを『私の希望』だって。違うんだよ、僕の言ってる希望はもっと崇高なものなんだから。
しかも学級裁判で演技までしてこの醜態。もう救いようがないよ」

苗木(ダメだ…こんな希望が望まれる世界は…あっちゃいけない!)

コトダマ<未来>を手に入れた!


~議論開始!~

狛枝「花村クン、君のその腕前が消えてしまうのは勿体ないよ。
料理界を支えるのは希望の体現者たる君しかいない。僕と共に、新しい世界を作ろう!」

花村「…」

→<未来>

苗木「勇気を持って未来へ進むんだ!」

花村「…そうだね、たとえ母さんがいなくなったとしても…ぼくは前に進むよ。
この学園に籠るより、外の世界で夢のレストランを作るんだ!
明るくないぼくなんて…お魚抜きの海鮮丼だよ!」


~議論再開!~

狛枝「終里さん、君が命を削って支えてきた家族がいない今…
君に残されたのはその才能のみだ。
それすら消えてしまったら、君の輝かしい軌跡は誰が残すって言うの?」

→<未来>

苗木「勇気を持って未来へ進むんだ!」

終里「…オレはバカだから細かいことはよくわかんねーし、
これからどーするかも決まってねー!だけど狛枝!
てめえの思い通りにはならねえ!オレの行く先はオレが決める!」


~議論再開!~

狛枝「田中君、日本の動物は今滅びかけている…もちろん人も含めてね。
今こそ君の力が必要なんだ。生き物を愛する君の力こそ、希望そのものだ」

田中「…」

→<未来>

苗木「勇気を持って未来へ進むんだ!」

田中「苗木、心配はいらないぞ。わが魂は不滅!
狛枝のような詭弁に屈しはしない!
なぜなら、破壊神暗黒四天王はこうして我が元にいるのだからな!」


~議論再開!~

狛枝「澪田さん、かつて君と一緒にやっていたバンドメンバーはもういない…
彼女たちのためにも、今は僕と共に生きることが君に残された道のはずだ」

澪田「…」

→<未来>

苗木「勇気を持って未来へ進むんだ!」

澪田「確かに唯吹は取り返しのつかないことをした…それを償う相手もいない…
けれど、過去を背負って唯吹は生きていくんす!クサい言葉ッすけど…
もう二度と誰かが傷つくところを見たくないんすよ!」


~議論再開!~

狛枝「辺古山さん、九頭龍組がいない今、彼らの恩に報いるためにも…
その力をボクたちのために生かそうとは思わないかい?
ここでその命を散らせば九頭龍冬彦君も悲しむはずだよ?」

辺古山「…」

→<未来>

苗木「勇気を持って未来へ進むんだ!」

辺古山「…私は自らを道具だと思っていた。だが、今は違う。
私は私…それは狛枝、お前のいう絶望のおかげではない。
未来を信じる信念が私を突き動かしたのだ!これからは、
お前やその仲間たちの凶行から民を守る剣となるくらいの所存だ!」


~最終議論!~

狛枝「花村クン、君のその腕前が消えてしまうのは勿体ないよ。
料理界を支えるのは希望の体現者たる君しかいない。僕と共に、新しい世界を作ろう!」

花村「ぼくは外の世界で夢のレストランを作るんだ!」

狛枝「終里さん、君が命を削って支えてきた家族がいない今…
君に残されたのはその才能のみだ。
それすら消えてしまったら、君の輝かしい軌跡は誰が残すって言うの?」

終里「オレはてめえの思い通りにはならねえ!オレの行く先はオレが決める!」

狛枝「田中君、日本の動物は今滅びかけている…もちろん人も含めてね。
今こそ君の力が必要なんだ。生き物を愛する君の力こそ、希望そのものだ」

田中「貴様の詭弁には屈指はせんぞ、狛枝!」

狛枝「澪田さん、かつて君と一緒にやっていたバンドメンバーはもういない…
彼女たちのためにも、今は僕と共に生きることが君に残された道のはずだ」

澪田「もう誰かが傷つくのを見たくはないッす!過去を背負って、唯吹は生きていく!」

狛枝「辺古山さん、九頭龍組がいない今、彼らの恩に報いるためにも…
その力をボクたちのために生かそうとは思わないかい?
ここでその命を散らせば九頭龍冬彦君も悲しむはずだよ?」

辺古山「私は私の信念を貫き、お前たちの凶行から民を守る剣となろう!」

罪木「皆さん!もうやめてください!狛枝さんに見捨てられた私にはもう希望がない…
私を殺してみんなで生き延びてくださぁい!」

→<未来>

苗木「それでも未来の道は…残されているはずだ!」

Break!


狛枝「…」

苗木「終わりなんだ、何もかも」

辺古山「投票タイムだ」

田中「準備はできたぞ」

終里「狛枝…覚悟しな」

花村「これで…これで…!」

澪田「外に出られる…!」

罪木「…!」


狛枝「…なるほどね、まさか罪木さんまでが僕に票を入れるとは思ってなかったけど…
まあそれも苗木君一人の、いや、苗木君と日向君の為せる技か。
さて、そろそろ視聴者もお待ちかねのようだね…僕の処刑を。
大丈夫さ、僕が死んでもまた次のリーダーが出る。
それは苗木君かもしれないし、また別の『超高校級の幸運』かもしれない。
もしくは…いや、やめておこうか」

                 オシオキ

               ~ハッピーエンド~


自らオシオキの部屋へと足を進める『もう一人の超高校級の幸運』を、ボクたちは見守る。
降り注ぐ大量のナイフは一つとして縛り付けられた狛枝クンには当たらない。
そして最後に…一本の巨大な矢が彼の心臓を貫いた。

罪木「狛枝さん…さようなら…そして…ごめんなさい…」

ボクたちは学級裁判の部屋を後にする。


罪木「急いでください!狛枝さんが死んでから一日経つと校内に毒ガスが蔓延し、
ガスマスクなしでは生活不可能になります」

田中「つまり先へ進まねば、死は確実か」

辺古山「1階のあのゲートがこれから開くのか?」

罪木「はい、だから少しあの部屋で待っていてください!
苗木さんは私と一緒に!」

苗木「ボクも…?」

言われるがまま、罪木さんについていく。
ついたその先は…5階の生物室だった。

<To Be Continued…>


エピローグ【光射す未来(ほう)へ】


生物室のロッカーに手を翳し、罪木さんは中から鍵を取り出す。

罪木「これが脱出の鍵です…私はこの学園に残り、死を待ちます。
もう時間がありません。早く行ってください」

苗木「そうはいかないよ?みんなは君の死を望んでいない。
生きていれば、必ずいいことがあるよ。
狛枝君はどう思っているか分からないけれど…」

罪木「また、いつもの口調に戻りましたね、苗木さん」

苗木「あ…」


罪木「苗木さんなら分かっていますよね…ここには今まで殺された生徒たちの死体があります。
私はここで死ぬことでせめて罪を償えればと思っていました…!でも、苗木さんがそう言うなら、
私は狛枝さんではなく、自分だけの未来に全てを賭けることにします。
それが本当の償いかもしれません…!」

苗木「そうだね、罪木さん…そろそろ行こう」

1階まで駆け降りる間に罪木さんが言った。

罪木「そう言えば、七海さんも所属していた未来機関もコロシアイ学園生活を見ているはず。
そこで私は処罰を受けるかもしれませんが、話しかける価値はあると思います」

苗木「…分かった。でも無茶はしないでね」

罪木「…ありがとうございます」


―1階ゲート

終里「遅かったな苗木、待ちくたびれたぜ」

花村「心配したよ」

辺古山「鬼が出るか蛇が出るか、ともかく行こう」

田中「いざ進まん!」

罪木「じゃあ鍵を!」

澪田「せーの!オープン!」

巨大な扉が開いていく。
みんなも分かってる。これから何があるか、分からない。
でも…不思議と上手くいく気がする…みんなが見守ってくれているから、必ず。

<End>


以上です。
誤字や細かい矛盾点を訂正したバージョンを一ヶ月先くらいに
スレ立てするかもしれません。
その時は温かい目で見守ってやってください。

それでは長々と読了ありがとうございました。

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