江ノ島「ただ、愛しているだけだったんだよ?」 (9)

注意

・苗木×戦刃、江ノ島×戦刃などのCP要素有り。
>>1は超高校級の遅筆。オマケに更新不定期。
・妹様が(色んな意味で)怖い。

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「ねえ、お姉ちゃん」

「どうしたの、盾子ちゃん」

一般的だと思う会話を妹とする。
場所は希望ヶ峰学園の校門の前。桜が綺麗で、物理的にも精神的にも巨大な建物は、私達を見下ろしている。
ふと、妹・江ノ島盾子を見ると、だらしない笑みを浮かべていた。

「私ね、やりたいことがあるの」

盾子ちゃんが笑う…ただそれだけで私は幸せ。でも、私には言わなきゃいけないことがある。この苦しみがきっと、全世界の妹を愛する姉の辛さ。妹の話を中断させなくちゃいけないだなんて。

「ねえ、盾子ちゃん」

「何ですか、私様が喋っているんですよ!」

むぅ、と頬を膨らませる盾子ちゃん。ああ可愛い。

「私ね、前バイトで、優しくしてくれる人が居たの。男の人だよ。でね、その人を見ると、胸の辺りが少し苦しくな……」

言葉を途中で途切れさせられる。もごもがっ、としか言えない。口に盾子ちゃんの手があって、喋れない。
盾子ちゃんの手を見ると、思ってしまう。盾子ちゃんは美人で綺麗。姉の私はそれより劣っている。
羨ましい。
前、盾子ちゃんに、お姉ちゃんも綺麗。って言われたのに。
羨ましい。
頭の中で、その言葉がずっと繰り返される。

「お姉ちゃん、バイト先教えてよ。今度の日曜日にそこに一緒に行こっ」

盾子ちゃんの明るい笑顔。見ると悩みが吹き飛ばされる、明るい笑顔。

「お姉ちゃん」

「何?」

「呼んだだけ、えへへっ」

ああ。やっぱり盾子ちゃんは可愛い。天秤にかけるとしたら、あのバイト先の男の人より、ずっとずっと大事。

何で。
思っても答えは返されない。
お姉ちゃん、と呼ぶけど、何?としか返されない。呼んだだけ、と言ってえへへと笑うとお姉ちゃんも同じように笑う。
この日常が、大好き。
カメラマンと居るときよりも、読モ友達と居るときよりも、クラスメイトと居るときよりも、ナンパしてくるバカな男と居るときよりも。
だから、苦しい。
嘔吐させたい。腸をグチャグチャにかき混ぜたい。欲望が溢れてしまう。
どうすれば、良いんだろう。
殴る、蹴る、ぶつかる、奪う、会わせない、溺れさせる、心霊スポットに行かせる、社会的に抹殺される。
何が良いんだろう。
お姉ちゃんの周りに、私以外誰も来ないようにするには。
お姉ちゃんが、私以外を信じないようにするには。

松田夜助。
その名前を思い出す。
思わずうぷぷと声が漏れそうなほどに、思い出せたことが嬉しい。
アイツも、<超高校級の神経学者>として入学してたはず。そして、お姉ちゃんと同じで、私に依存している。
だから、どう聞いても教えてくれるはず。
嫌いな人を殺したいと言っても。
好きな人を依存させたいと言っても。
胸が高鳴る。
何で、こんな素敵なことを今まで思い浮かばなかったのかな?
絶望感。
ああ、嬉しい。

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