聖「し、しまった！　もう２ストライクだ！」

パワプロ「んふー。いい匂いだ」

聖「か、返してくれ！」

審判「おい聖。練習時間少ないんだから、はやく構えろよ。退場にすんぞ」

聖「だ、だが！　先輩が私のパンツをだな……！」

パワプロ「あれー？　バッターの下着を盗んで匂い嗅いだら反則だなんてルールブックに書いてあったかぁ？」

審判「いやぁ。知らないっすね」

パワプロ「だってさ。ほら聖ちゃん、バット構えて」

聖「むむむ……よし。もう絶対に集中するぞ」

パワプロ「……ねえ……うぅ、っく、聖ちゃん」ｼｺｼｺ

聖（無視だ。無視しないと……）

パワプロ「聖ちゃんんっ……ぬふぁ」

聖（……？　先輩は何をしているのだ？）

パワプロ「……聖ちゃぁん……！」ｼｺｼｺ　ﾄﾞｯﾋﾟｭ

ﾋﾟﾁｬ

聖「なー！　なんだこの白い液体は！？」

ｽﾊﾟｰﾝ

審判「ストラーイク！　バッターアウト！」

聖「し、しまったぁ！」

パワプロ「ふぅ……見逃し三振か。聖ちゃん、バットを振ることから覚えないとね」

聖「くやしい……仕返ししてやるぞ……」

～攻守交代～

パワプロ「……」

聖（よし。先輩にささやき戦術を……）

聖「チンチン」

パワプロ「……」

ｽﾊﾟｰﾝ

審判「ボール！」

聖「おかしい。先輩が全く動揺していない」

パワプロ「聖ちゃんさぁ」

聖「な、なんだ」

パワプロ「チンチン好きなの？」

聖「ち、違うぞ！　今のは先輩を動揺させるために……！」

ｶﾞｯ　ﾎﾟﾛｯ

聖「なー！　取り損ねた！」

パワプロ「パスボールなんて、本番ではやめてね」

聖（どうしたら先輩を動揺させることができるのだ……？）

パワプロ「……」

聖「せ、先輩のチンチンは、小さそうだな」

パワプロ「……」

聖「ちっこいのではないか？」

パワプロ「……」

聖「とても、可愛いだろうな」

パワプロ「……」

聖「足の小指と並べても比較にならないほど小さいと思うぞ」

パワプロ「てめえええええええええええええ」

ﾊﾞｷｯ

聖「グフッ」

審判「ちょ、ちょっと！」

「乱闘だー！」「誰かとめろー！」「先生呼んでこい！　先生！」

パワプロ「ごめんね聖ちゃん……殴っちゃって」

聖「いや……私も先輩を馬鹿にし過ぎた。ごめんなさい」

パワプロ「かまわないさ。ささやき戦術は、あれぐらいやるほうがいいんだよ」

聖「ふむ……たしかに、先輩にやられたとき、私はすっかり動揺してしまったぞ」

パワプロ「でしょう？　精液をぶっかけられて冷静にバットを振れる人なんて、いないからね」

聖「せーえき……それはどうやって出せるのだろうか」

パワプロ「女の子には出せないよ。だから、言葉攻めに絞った方がいいね」

聖「そうか……残念だ」

パワプロ「相手が気にしてる部分をとにかく指摘するんだ。たとえば……そうだな」

パワプロ「おーい。矢部くん」

矢部「なんでやんすか？」

パワプロ「アニヲタきめえから死ねよ。眼鏡厚すぎだろ昭和かよ。語尾きもいんだよ。いい加減にしろ」

矢部「死んでくるでやんす……」

パワプロ「ね？」

聖「なるほど」

聖「といっても……相手が気にしていることを把握するのは難しい……」

聖「男子が総じて気にしていることはなんなのか……教えてくれないだろうか」

みずき「チンコに決まってるじゃん」

聖「やっぱりそうか……パワプロ先輩もとても怒っていた」

みずき「パワプロくんだけじゃないって。男子全員、『チンコ小さそう』って女の子から言われれば思考停止するし」

聖「なるほど……」

～地区予選～

パワプロ「よーし！　俺たち三年にとっては最後の夏だ！　絶対に勝つぞー！」

「「「　おー！　」」」

聖「よし。先輩たちを甲子園へ連れて行くためにも、頑張るぞ！」



バッター「……」

聖「やい、粗チン」

バッター「……！」

聖「チンチン小さそうな顔だ。女を満足させることなく死にいくんだろうな」

審判「……」

聖「股間のバットが極小だから、せめて金属バットだけは振り回していたいのか。悲しいぞ」

バッター「ぐ……」

聖「お前のチンコの価値は、折れたバット以下だ」

バッター「うわあああああああああああああああああ」ﾊﾞｷｯ

聖「ぐはっ！！！」

その後、争いは乱闘へ発展。それが原因で、パワプロたちは出場停止となってしまった―――

～完～