まどか「付き合うならさやかちゃんだけど…」(629)

まどか「好みのタイプは杏子ちゃんかな」

ほむら「え?」

まどか「やっぱりさやかちゃんは頼りになるし、守ってくれそうだし、一緒に居るならさやかちゃんだと思うんだよね」

まどか「でも個人的には杏子ちゃんが、ど真ん中なんだよね。もうピッタリ!みたいな?」

ほむら「そ、そうなの」

まどか「マミさんは…う~ん。確かに頼りになるし綺麗なんだけど、やっぱり先輩かなぁ。恋人って感じじゃないかも」

まどか「あ、もちろんほむらちゃんは最高のお友達だよ?ほむらちゃんだから、こういう話もできるんだし」

ほむら「そう言ってくれるのは嬉しいけど…」

まどか「で、でも…誰でも最初はお友達なんだし、これからどうなるかは誰にも分からないよね…」チラッ

ほむら「え、ああ…うん。そう……?」

ほむら(人生を懸けてまで助けた友達が同性愛者だった。どうしよう…)

ほむら(ちょっと待って。なにこれ、唐突過ぎない!?)

ほむら(いつもどおり普通に二人でお茶してたら、突然のカミングアウト…)

ほむら(マジな意味でガールズトークじゃない。女性しか出てこないわよ、私にどうしろというの)

ほむら(…いえ、落ち着きなさい暁美ほむら。この程度で私のまどかへの友情は揺らぎはしないわ)

ほむら(考えてみれば今まで度々まどかにそういうケがある節は見られたんだし、まだうろたえる時間じゃない)

ほむら(まず付き合うなら美樹さやか…つまり、美樹さやかと付き合いたいと暗に言っているわけよね?)

ほむら(でも彼女は今、必死になって上條恭介と結ばれようと頑張っている。
    今までの彼女の努力も見てきたし、昔ならまだしも今は友人なのだから、できれば応援したい……)

ほむら(………ダメね。まどかには悪いけど私には、美樹さやかとの仲は取り持てないわ)

まどか「でも、やっぱり付き合うならわたしのことを大事に想ってくれる人がいいよね。
    た、例えば、いざというときに全部投げ出して、わたしを守ろうとしてくれる人とか……」チラッチラッ

ほむら(と、なると…狙うは佐倉杏子か)

ほむら(佐倉杏子は今、当然フリー。まどかが入り込む余地は十二分にある)

ほむら(幸い向こうもまどかを嫌ってはいないし…まあどちらかというと、妹に対するような接し方だけど)

ほむら(そこら辺は追々、意識を変えていけばいいかしら。腕の見せ所ね)

ほむら(まどかだって美樹さやかじゃないと駄目とはハッキリ言っていないし、それでもいいわよね。
    幸せになれば結果オーライよ。そもそも私ができることといえば、それくらいしか無いんだし…)

まどか「そういえば、ほむらちゃんの好みのタイプってどんな人なの?
    べ、別に参考にしようとか思ってないよ!?ただちょっと興味があるなっていうか、それだけで……」

ほむら(任せてまどか。私があなたに幸せを掴ませてみせる…最高の友達の名に賭けて!)

まどか「ほむらちゃん……?」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「え?」

まどか「もう…さっきから俯いてブツブツ言ってばっかり。ちゃんと聞いてくれてるの?」

ほむら「え、ええ。もちろん聞いていたわ。まどかが言いたいことは充分伝わったから」

まどか「充分…そ、それって……ほむらちゃん、わたしの気持ち―――」

ほむら「もちろん任せて。今すぐは無理だけど、必ず期待に応えてみせる」ファサッ

まどか「え、えっ!?ほんとに…ほんとに期待してもいいの?」

ほむら「あなたに嘘は吐かないわ。それじゃ、色々と準備があるから今日はこれで帰らせてもらうわね」スタスタ

まどか「あっ、ほむらちゃん! …行っちゃった」

まどか「どうしよう。まさか気付いてくれるなんて……
    こんなことなら、もっと早くにハッキリ言っておけばよかったなあ」

まどか「準備があるとか、今すぐは無理って言ってたけど…そうだよね。
    女の子同士でお友達だったのに、いきなり告白みたいなことされても返事できないよね」

まどか「はぁ…すっごくドキドキしてる」

まどか「まだ好きだって言ってないのに気付かれちゃうなんて、恥ずかしいよぅ」

まどか「あ、明日からはもうちょっと積極的になってもいいのかな」

まどか「なんだかいきなりすぎて、でも嬉しすぎて胸が苦しい…」

まどか「…ほむらちゃん………好き……」

ほむら「さて、準備があるとは言ったけど、具体的にはどうしようかしら」

ほむら(一人でやれることは高が知れてるし、できれば協力者が必要ね)

ほむら(美樹さやかはできれば避けた方がいい。佐倉杏子は論外)

ほむら(志筑仁美…は何故か食いついてきそうなイメージがあるけど、魔法少女の事を知らないと、いざという時に頼れないわね)

ほむら(と、いうことは。消去法で残ったのは巴さんか)

ほむら「……悪くないわね。むしろ適任だわ」

ほむら(頼りになるし、まどかの好みからも外れてるけど信頼が厚い。素晴らしいわ)

ほむら「後はまどかの恋に理解を示してくれるかだけど…こればっかりは訊いてみないとわからないか」

ほむら「そうと決まったら早速確かめましょう。
     できれば顔を会わせて話したいわね…この時間なら居るでしょうし、直接家に行こうかしら」

ピンポーン

マミ「はーい」

ガチャッ

ほむら「どうも、こんばんは」

マミ「あら暁美さん。連絡も無しに、急にどうしたの?」

ほむら「少し訊きたい事があって……いま、時間いいですか」

マミ「ええ、構わないけど…今日は一人なのね。鹿目さんは?」

ほむら「そのまどかの事でお話があるんです」

マミ「ふぅん…まあいいわ。立ち話もなんだから上がってちょうだい。お茶でも淹れてあげる」

ほむら「お邪魔します」

マミ「はい、どうぞ」カチャッ

ほむら「どうも」

マミ「で、話ってなにかしら」

ほむら「…唐突で悪いのだけど、同性愛についてどう思います?」

マミ「ぶふっ!」

ほむら「きゃっ!ちょっと、汚いでしょう!」

マミ「ご、ごめんなさい……え?ど、同性愛って…あなた、まさか…!」

ほむら「違うわよ!変な勘繰りはやめてちょうだい。とにかく、どう思いますか?」

マミ「そうね……ちょっとビックリしたけど、別に頭ごなしに否定する気はないわよ。
    私自身そんな性癖はないけど、だからといって気持ち悪いとも思わないし。人それぞれよね」

ほむら「そう。なら、やっぱりあなたは協力者として相応しいわ」

マミ「協力者?」

ほむら「ええ、実は……」

カクカクシカジカ

ほむら「と、いうわけで杏子とまどかをくっつける手伝いをしてほしいんです」

マミ「……ちょっと待って、頭が痛いわ。落ち着く時間をちょうだい…」

ほむら「どうぞお好きなだけ」

マミ「………よし大丈夫、落ち着いたわ。 それにしても鹿目さんがそんな事をねえ…」

ほむら「まあ、私も最初は呆然としましたけど。
     でも冗談を言ってるようでもなかったし、それなら応援してあげたいから」

マミ「相手は美樹さんか佐倉さんでしょう?ちょっと意外よね」

ほむら「どうして?」

マミ「だってそういう性癖を持ってるとなると、てっきり鹿目さんは暁美さんが…」

ほむら「私が?」

マミ「………いえ、なんでもないわ。
   そうよね、いくら最近ずっと一緒に居るからって、そうとは限らないわよね」

ほむら「……?」

マミ「で、美樹さんは普通の恋愛中だからダメだとして…佐倉さんもどうなのかしらね?そういう事に理解はあるのかしら」

ほむら「多分、理解はあっても自分が対象になると…ってタイプだと思います。私たちと同じですね」

マミ「それなら望みは無いんじゃないの?その気も無いのに、無理矢理くっつけるような真似はちょっと…」

ほむら「大丈夫、それはあくまでも現時点での話です。元々そっちの素質はあると思いますから切っ掛けさえあれば何とかなります」
     それに一人きりで寂しがってたところに、妹のように可愛がれる恋人ができるんだし満更でもないはず」

マミ「そんなものかしら」

ほむら「そんなものでなくとも、そんなものにさせます。まどかの幸せのためなら手段は問いません」

マミ「恐ろしいわね……まあ、そこまでの覚悟があるなら反対はしないわ」

ほむら「なら、協力は?」

マミ「…しましょう。可愛い後輩のためですもの」

マミ「それに佐倉さんも最近丸くなってきたとはいえ、まだまだ一匹狼気質が抜けてないしね。
    これを機会に仲間というか、チームの素晴らしさを知ってくれれば私としても喜ばしいわ」

ほむら「ありがとうございます!」

マミ「いいのよ。二人で、鹿目さんの恋を実らせましょう」

ほむら「早速明日から着手しましょう。腕が鳴るわ…」

~翌日~

まどか「お…おっはよー、ほむらちゃん」

ほむら「おはよう、まどか。行きましょうか」

まどか「うん」

まどか(わたし、昨日は恥ずかしくって眠れなかったのに…
     ほむらちゃんはいつもどおりで格好良いなあ。やっぱり凄いや)

ほむら「今日もさやかは居ないのね。
     今頃は上條恭介を、志筑仁美と取り合ってるのかしら。毎日ご苦労なことだわ」

まどか「あはは…確かに、毎日お互いに抜け駆けされないようにって、朝早くから迎えに行ってるみたいだよ」

ほむら「……あそこまで頑張っているんだから、是非とも成就してほしいものよね?」

まどか「うん、そうだね。仁美ちゃんには悪いけど、やっぱりわたしはさやかちゃんに頑張ってほしいかな」

ほむら「まったくだわ。 ……よし、美樹さやかは消えた」グッ

まどか「どうかしたの?」

ほむら「いえ、なんでも」

まどか「そう………?」

まどか「…………」テクテク

ほむら「…………」テクテク

まどか「……ほむらちゃんは」

ほむら「ん?」

まどか「ほむらちゃんは、気持ち悪いとか思ったりしなかったの?」

ほむら「……どうして?」

まどか「だって普通はそうでしょ?女の子が好きだって言う女の子なんて、おかしいもん」

まどか「ほんとはね、自分でもわかってる。こういう気持ちになっちゃうのは、何かがおかしいんだって…」

まどか「昨日だって冗談みたいに言っちゃったけど、ほんとは手探りだったの。
     こんなわたしをほむらちゃんはどう思うだろう。嫌われたりしないかなって」

まどか「もしもほむらちゃんが嫌がったり気持ち悪がったりしたら、冗談で済まそうと思ってた。
     でも……ほむらちゃんは全部受け止めてくれたね。それどころか、言わなかったわたしの気持ちにまで…」

ほむら「…なんとなくよ。ハッキリと解ったわけじゃないわ」

まどか「てぃひひ…それでもやっぱり嬉しいな。恥ずかしさもあるけど、やっぱりすっごく嬉しい」

まどか「言っておくけど、わたし本気だよ。遊びとか冗談なんかじゃない」

まどか「これから大変だろうし、みんながみんな解ってくれるとも思ってない。それでも…」

まどか「それでも、我慢できないの。好きなの!」

ほむら「まどか…そこまで……」

まどか「…なんて、ほむらちゃんにはバレちゃってるかな。だから、お願い……」

ほむら「…待って。みなまで言わなくていい」

まどか「ほ、ほむらちゃ…」

ほむら「あなたの覚悟、確かに受け取ったわ。 …私も応えなくちゃね」

まどか「それじゃ!」

ほむら「ええ。任せて、まどか。あなたは、必ず幸せにしてみせる!」

ほむら(私が……私が絶対に杏子と結ばせてみせるわ!)

まどか「ほんとに……ほんとにわたしなんかでいいの?」

ほむら「何を言うの。確かにあなたは少しばかり世間とはズレた感覚を持っているのかもしれない」

ほむら「でも、それがおかしいというわけではないわ。まどかのその気持ちは、とても大事な貴い物なのよ。
    それが間違っているなんて言わないし、絶対に誰にも言わせない」

ほむら「だから胸を張って。あなたがそんな風だと、私だってどうしていいのか不安になるわ」

まどか「ほむらちゃん……ありがとう…」

ほむら「例には及ばないわ。 忘れないで、私はいつだってあなたの味方よ」

まどか「……えへへ、なんだかホッとしちゃった。ほむらちゃんには助けられっぱなしだなあ」

ほむら「いいのよ。あなたを支える事が私の喜びだもの、気にしないで」

まどか「うん……あなたを好きになって、よかった…」ボソッ

ほむら「え?」

まどか「んーん、なんでもないっ! あの…さ、先に行ってるね!」タッタッタッ…

ほむら「あっ、まどか! ……待っててね」

ピッ

ほむら「もしもし。ええ、やはりどうやらさやかは無いようです。
    それにかなり本気のようで…はい。予定通り、こちらも行動に移します。では放課後に」ピッ

~放課後~

さやか「と、言うわけで。やってまいりました魔女退治!」

ほむら「いきなり出てきたと思ったらテンション高いわよ。少し落ち着きなさい」

まどか「さやかちゃんは今日もやる気満々だね~」

杏子「相変わらず能天気な奴ら…」

マミ「まあまあ。暢気だけどチームワークはいいのよ、彼女たち。佐倉さんも見習う部分はあると思うわ」

杏子「ふーん……」

マミ「特に、中心になっているのが鹿目さん。いつも誰かのことを考えている、とってもいい子なのよ。
   優しくて芯が強くて…みんなあの子に救われてるわ。あなたも少しは仲良くしてみたらどう?」

杏子「な、なんで急にあいつを押してくるんだよ?!きもちわるっ!」

マミ「ああ…いえ、別に他意はないのよ?私はただお互いのためを思って……」


さやか「なんだかんだで仲良いよね、あの二人」

まどか「昔みたいに仲良くなれたらいいのにね」

ほむら(何をしているの…あなたが打ち解けても意味無いでしょう!)

ほむら「さあ、ボーっとしている暇は無いわよ、二手に分かれるから、チーム分けしないと!」

さやか「ひゃっ!きゅ、急に大きな声出さないでよ、ビックリするじゃん」

ほむら「いいから気にしないの。ほら、そこの二人も」

杏子「へーへー、そんなに急かさなくても分かってるよ」

マミ「ごめんなさい、暁美さん……」ヒソヒソ

ほむら「やってる事は間違ってないけど、もう少し自然な流れでお願いします」ヒソヒソ

まどか(二人とも、なに話してるんだろ……?)

さやか「で、チーム分けだっけ。…する必要あんの?めんどくさいじゃん」

まどか「5人で一緒に戦えば安全なのにね」

ほむら「確かに安全だけど、どう考えても戦力過多でしょう。分散して狩った方が効率的だわ」

マミ「それにあなたたち、新人を教育するためでもあるの。みんなで戦ってちゃいつまで経っても成長しないでしょう?」

さやか「ほえー…確かに。色々考えてるんですねえ」

杏子「教育って、もしかしてアタシも教える側かよ」

ほむら「当然よ。あなただってベテランなんだから」

杏子「げーっ、めんどくせー」

まどか(教育……ほむらちゃんの教育……)マドマド

マミ「と、言うわけだから、まず美樹さんと鹿目さんは別ね」

さやか「ちぇー、仕方ないかぁ。まどかとは相性いいと思ってたのになあ」

まどか「またお互いに強くなったら、いくらでも一緒に戦えるよ。頑張ろ!」

マミ「で、佐倉さんは鹿目さんと一緒に行ってね」

杏子「えー、なんでだよ。アタシ弓の戦い方なんかわかんねーぞ」

ほむら「今回は連携を重視するから前衛と後衛に分かれてほしいの。
    まどかの弓は威力が高い分、隙も大きいから中距離のフォローもできるあなたが適任なのよ」

杏子「ふーん、そんなもんか。まあそういう事ならいいけどさ」

まどか「よろしくね、杏子ちゃん」

まどか(ほんとはほむらちゃんと二人っきりがよかったけど、しょうがないよね)

マミ「私は美樹さんとね。ビシバシ行くから覚悟なさい?」

さやか「わ、わぁ~い。マミさんと一緒なのは嬉しいけど、お手柔らかに……」

ほむら「じゃあ、私も巴さんたちの方に…」

まどか「えっ!?」

マミ「鹿目さん、どうかしたの?」

まどか「だ、だって…ほむらちゃん、そっちに行っちゃうの?」

ほむら「ええ、そのつもりだけど」

まどか「どうして?」

ほむら「どうしてって、あなたと…じゃなかった。
    こっちは中距離をカバーできる人間がいないから、私が行った方がいいと思って」

まどか「そんなぁ…」

マミ(あら?気を回したのに、あまり嬉しそうじゃないわね…)

さやか「うげー、マミさんだけでも厳しいのにほむらまでぇ?」

杏子「ってことはアタシ一人でこいつの指導か……経験も無いのにいきなり無茶だろ?」

マミ「暁美さん、ちょっと」クイクイ

ほむら「あ、はい…まどか、ごめんね。少し待ってて」

まどか「…………」

ほむら「なんですか?」ヒソヒソ

マミ「やっぱり今日は鹿目さんに、ついてあげた方がいいんじゃないかと思うんだけど」ヒソヒソ

ほむら「どうしてですか?確か打ち合わせでは二人だけにして…」

マミ「そうだけど……これは推測なんだけどね。
   いくらなんでも、いきなり好きな人と二人っきりって言うのは恥ずかしいんじゃないかしら」

ほむら「…ああ、言われてみれば……」

マミ「でしょう?普通、相談も無しにこんなことされたら誰だって困惑するわ」

ほむら「道理でまどか、あんまり乗り気じゃなかったのね…」

マミ「そういうこと。だから慣れるまではあなたが緩衝材になった方がいいと思うのよ」

ほむら「解りました。私がフォローしながら、二人が少しでも接近できるように取り計らってみます」

マミ「鹿目さんの気持ちを理解しているあなたが頼りなのよ。頑張って!」


さやか「なにヒソヒソ話してんだろ?」

杏子「お前らの教育方針でも決めてるんじゃねーの? にしても、仲良いな…」

まどか「………」イラッ

ほむら「待たせたわね。やっぱり私は、まどかたちの方について行くわ」

さやか「マジで!?やった、これでちょっとは小言が減るかも」

マミ「聞こえてるわよー。心配しなくっても、暁美さんの分までちゃんと口は出させてもらうから心配しないでね」

ほむら「元々あなたの指導には、巴さんの方が適しているから任せるつもりだったのよ。私が居なくたって楽にはならないわ」

さやか「さいですか……」

杏子「まあ小言はともかく、助かったのは本当だな。
   指導なんてした事も無いのに、アタシだけじゃどうしていいかわかんねーし」

ほむら「それなら、あなたにもこれからはそういう事を覚えてもらわなくちゃね。
    ちょうどいいしあなたも今日はそっちの方について慣れておきなさい。きっとこれから教える機会が増えるから」

杏子「うわ、アタシにまで飛んできた……藪蛇だったか」

ほむら「まどかも、できるだけ私もフォローするから基本は杏子に合わせて。
    それで『こうしたらいいんじゃないか』とか、わからないところがあったら杏子に訊きなさい」

まどか「わたしは、ほむらちゃんに色々教えてほしいのになぁ…」

ほむら「そう言ってくれるのは嬉しいけど、いつまでもこのままじゃいられないでしょう?チャンスはモノにしないと、ね」

まどか「へ?…あ、うん、よくわかんないけどほむらちゃんが言うなら…ごめんね、ほむらちゃんだって大変なのに」

ほむら「私の事はいいの。巴さんだっているし、一人分の負担なんて知れたものだから心配ないわ」

まどか「ふーん……マミさんマミさんって、ちょっとはわたしだって頼ってくれても………」

マミ「さあ、張り切って行きましょう!」

~二時間後~

さやか「あー疲れたー!今日もみっちり扱かれちゃったよ……さやかちゃん自信なくしちゃうわ」

マミ「美樹さんは一人だとかなり戦えるけど、突っ走るクセがあるから連携をとりにくいのが欠点ね」

杏子「わかるわかる。回復できるからって無茶しすぎなんだよな。あれじゃマミたちが攻撃しにくいって」

さやか「もういいよ、それも嫌ってほど聞かされた~」

ほむら「まどかも随分動きがよくなってきたわね。最初の方に比べたら見違えるようだったわ」

まどか「そ、そうかな?うぇひひ……」

杏子「でも、もうちょっと自分の判断で動けるようにした方がいいと思うけどな」

マミ「そうねえ。相手に気を使って動けるのは凄いと思うけど、自分で『ここ!』って思えるところでは引いちゃダメかも」

まどか「…はい……」

ほむら「でも、そこはまどかの性格というか…良いところでもあるし、少しずつでも直していきましょう」

さやか「そうだよ。ま、いざとなったらみんなが支えてくれるし、仲間がいるんだから気楽に行こうよ」

まどか「……そうだね。うん!」

さやか「それじゃ、あたしこれから約束あるんで今日はこの辺で…」

マミ「ええ。頑張ってね、もう一人の子に負けちゃダメよ!」

さやか「な、何のことかな~……とにかくさよなら!」タッタッタッ

杏子「わっかりやすいやつ…」

ほむら「さやかはあれくらいがちょうどいいのよ。さあ、私たちも帰りましょう」

まどか「じゃあほむらちゃん、今日もわたしと一緒に帰…」

マミ「佐倉さん。鹿目さんを家まで送ってあげてくれない?」

まどか「!?」

杏子「え、別にいいけどなんでだよ?いっつもほむらと一緒に帰ってるじゃん」

ほむら「き、今日は…ちょっと、ほら、ね……」チラッ

マミ「え、ええ。少し反省会でもしようと思って!」

杏子「じゃあ全員でやればいいんじゃねーの?さやかはともかく、アタシたちだって時間は余ってるし、なあ?」

まどか「あ、うん。そういうことならわたしも…」


マミ「ダメよ!鹿目さんは門限があるから早く帰らないと!」


マミ「あ……」

まどか「…………」

杏子「そりゃそうかもしれないけど、何もそこまで必死になって言わなくてもさあ…」

まどか「…いいよ」

マミ「か、鹿目さん…?」

まどか「マミさんの言うとおりです。あんまり遅くなるとパパたちに怒られちゃうし、今日は帰りますね」

ほむら「まどか、大丈夫?なんだか様子が…」

まどか「大丈夫だよ。杏子ちゃんもついてくれてるし…心配しないで」

マミ「あ、あの…」

まどか「わかってます。わたしが無理しないように、マミさんは気を使ってくれたんですよね?」

杏子「アタシにとっちゃどっちでもいいよ。ほら、帰るんなら早く帰るぞ」

まどか「うん。ほむらちゃんもまた明日、いつもの場所でね?」

ほむら「ええ、気をつけてね」

まどか「バイバイ」

杏子「じゃーなー」


マミ「………ふぅ」

ほむら「………はぁ」

マミ「ちょっと強引すぎたかしら」

ほむら「かもしれませんね。ちょっとまどかも怒ってたみたいだし…」

マミ「魔女退治中の二人はどうだったの?」

ほむら「私が見る限りでは、ほとんどいつもと変わりありませんでした」

マミ「やっぱり恥ずかしいのかしらね……鹿目さんって押しが弱そうだし」

ほむら「というよりも、自分を主張するのが苦手なんだと思います。いざというときまで溜める感じ」

マミ「これは私たちも一筋縄ではいかないわね。そうとわかれば私の家で作戦会議よ!」

ほむら「はい。全てはまどかのために……」

~翌日~

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「おはようまどか。昨日は何かあった?」

まどか「ううん、いくらなんでもおうちに帰るだけなんだもん。魔女も倒したし、さすがに襲われないよ~」

ほむら「そんな意味で訊いたわけじゃないんだけど…先は長そうね」

まどか「……そういうほむらちゃんは、昨日何も無かったの?」

ほむら「え?」

まどか「あれからマミさんの家に行ったんでしょ。何かされなかった?」

ほむら「何かって……別になんにも。昨日は色々と話しただけよ」

まどか「そうなんだ。まさか、お泊まりなんかしてないよね」

ほむら「それこそまさかよ。今日も学校があるのに、余所の家に泊まっちゃ支度ができないじゃない」

まどか「そっか…よかった」

まどか「……ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「なに…?」

まどか「あの……わたしを裏切ったりしないよね」

ほむら「………? 何を…」

まどか「いいから答えて。わたし、信じても良いんだよね…?」

ほむら「……ええ。勿論よ」

ほむら「昨日も言ったでしょう?私はいつだってあなたの味方。
    誓ったっていい、絶対にあなたの信頼は裏切らないわ」

まどか「ほむらちゃん……嬉しいっ!」

ほむら(そう…必ず杏子をあなたに振り向かせてみせるわ。任せてまどか!)

まどか「ほむらちゃーん、一緒に帰ろっ!」

ほむら「ええ。今日はどこかに寄っていく?」

まどか「うん、行く行く!えっとね……」

まどか「実はこのまえ、駅前で美味しいケーキ屋さんを見つけて…ちょっと行ってみたいなーって」

ほむら「へぇ…たまには巴さんの家じゃなくて、お店で食べるのもいいわね」

まどか「………マミさんは今関係ないでしょ」

ほむら「何か言った?」

まどか「なんでもない!今はわたしと二人しかいないんだから、早く行こうよ」

ほむら「え、ええ。今すぐ帰り支度するから、下駄箱で待ってて」

まどか「うん。お店混んじゃうといけないから急いでね!」ガラッ

ほむら「…………」

ピッ

ほむら「もしもし。はい、駅前にあるらしいケーキ屋に…知ってるんですか?
    名前は…はい。じゃあそっちで杏子を捕まえてください。ええ、今から向かいます。ではまた後で」ピッ

まどか「楽しみだな~。ケ-キだよ、ケーキ!」

ほむら「まどかは甘いもの大好きだもんね。今日は何を食べるの?」

まどか「えっとねぇ、苺のショートケーキが美味しいらしいんだって!わたしも苺ショート大好きだよ!」

まどか「あっ。でもでも、モンブランとかも好きだよ!ふわふわでとろっとしてて美味しいよね~」

ほむら「そうなの。じゃあ、私はモンブランにしようかしら」

まどか「うん、そうしなよ!そ、それで…ちょっと分け合いっことか……」

ほむら「えーっと…まどか、ケーキ屋ってここの事?」

まどか「あ、うん。そうそう、ここだよ。
     よかった~…まだそんなに混んでないしケーキも残ってるね」

まどか「それじゃ入ろうよ。わたし、あっちのテラスで食べたいな」

ほむら「ええ……あっ」

まどか「どうしたの?……あ」


マミ「あら、鹿目さんに暁美さん」

杏子「よお、一日ぶり」

マミ「二人もこのお店、知ってたの?なかなか良い眼をしてるわね」

まどか「マミさん…どうして」

マミ「私もここのケーキが好きなの。ちょうど佐倉さんを見つけたから、御馳走してあげようと思って」

杏子「せっかくただで美味いケーキが食えるんだから、こっちとしちゃ断る理由は無いしな」

まどか「そうですか~。 ……それじゃわたし、ほむらちゃんと来てるんでこれで!」

マミ「あっ、ちょうどいいから御一緒しない?奢るわよ」

まどか「……っ!」

ほむら「え…そんな。いつも御馳走になってるのに、こんなところでまで出してもらうなんて申し訳ないです」

まどか「そ、そうだよ。マミさんにはいっつも美味しいケーキを食べさせてもらってるんだからいいです」

マミ「そう?そういうことならいいけど…とりあえず座りましょうか。すいません、4人です」

まどか「あぁ……(ほむらちゃんとのデートが…)」

杏子「なんでガックリしてんの、こいつ?」

ほむら「さあ?やっぱり奢ってほしかったのかしら」

マミ「窓際の良い席が取れたわね」

まどか(テラスで、二人で向かい合って座りたかった…)

ほむら「どこに座る?」

杏子「どこでもいいって。さっさと座ってメニュー見よう」

まどか「二人が無理なら、せめて隣だけでも…」

マミ「暁美さん、こっち座らない?」

まどか「!?」

ほむら「ええ。じゃあまどかと杏子はそっちね」

まどか「え?えぇ!?」

まどか(一応向かい合わせにはなれたけど……二人っきりになれないなら隣になりたかったなぁ)

杏子「向こうのケースから選ぶのか。さ~て、なに食べよっかなー」

マミ「暁美さんは何を食べるの?」

ほむら「私はモンブランにします。まどかの話を聞いてたら、食べたくなっちゃって」

マミ「あら、良いチョイスね。でもここは苺を使ったケーキが特に美味しいのよ。
   目玉は苺ショートだし、他にもタルトだとか色々あるの。私はミルフィーユにしようかしら」

ほむら「あ、たしかに美味しそう。良いな…」

マミ「なら、ちょっと交換してみる?私もモンブラン食べてみたいし」

ほむら「いいんですか?」

マミ「もちろん!お店でこうやってお菓子の分けっこするの、ちょっとだけ憧れてたの」

ほむら「え、巴さんも? じ、実は私も少し……」

まどか(そこ、わたしの場所なのに……)

杏子「どれにしよっかな…なあ、まどか。お前何にすんの?」

まどか「ん、苺ショートだよ」

杏子「あー。美味いらしいもんな。ならアタシも苺で…でもチョコも捨て難い……」

まどか(わたしが先に、ほむらちゃんと分けっこしようって考えてたのに! む~)

杏子「いやー、食った食った。どれも美味かったなあ」

ほむら「結局御馳走になっちゃって、すみません。ありがとうございます」

マミ「いいのよ。ここって紅茶やコーヒーも美味しいし、いい穴場よねえ」

まどか(みんなで分けっこしちゃった。美味しかったけどなんか複雑…)

マミ「さあ、これからどうする?みんな、もう帰るの?」

杏子「アタシは元々マミに誘われただけだし、どうでもいい」

ほむら「私は…」

まどか「そうですね!そろそろ暗くなるし、帰ろっか。ほむらちゃん!」

ほむら「え?あ、あの…」チラッ

マミ「え、ええ。そういえば、元々暁美さんたちは寄り道で来てたんだもんね」

まどか「……ほら、早く行こうよ。それじゃさよならマミさん、杏子ちゃん」グイグイ

ほむら「あ、ちょっと、引っ張らないで…」

杏子「じゃーなー」

マミ「鹿目さん…?」

まどか「ケーキ美味しかったね~。今度また二人で行きたいよね」

ほむら「そうね…ねえ、まどか」

まどか「なぁに?」

ほむら「……もしかして、巴さんとは一緒したくなかった?」

まどか「………そんなことないけど」

ほむら「そう。ならいいけど…ただ、覚えておいて。
    巴さんも、あなたのためを思って気を使ってくれてるの。だからあんまりああいう態度は…」

まどか「……ごめんね」

ほむら「いいのよ。それは私よりも、また巴さんに言ってあげて」

まどか「ん…」

ほむら「あ、まどかの家に着いちゃった。それじゃ、また明日」

まどか「うん、また明日ね」

ほむら「さよなら、まどか」スタスタ


まどか「………マミさんマミさん、わたしがいるのにマミさんのことばっかり…!」

~ほむホーム~

マミ『私、鹿目さんに何か悪いことしたかしら…?』

ほむら「いえ…多分してないはずですけど」

マミ『でも鹿目さんみたいな子があんな態度を取るのって、そうそう無いことよね』

ほむら「ええ、まあ。基本的にお人好しが人間好きを着て生きているような子ですから」

マミ『そうよねえ……でもここ数日、明らかに避けられてるというか、敵視されてる気がするし…』

ほむら「原因は何なんでしょう?」

マミ『うーん…恋する女の子の考える事は、私には解らないわ』

ほむら「同じく。これまでにまどかとそういう話もしたこと無いですし」

マミ「…今まで、一度も?」

ほむら「ええ。どの時間軸を思い出しても、一度たりとも。そして私自身の恋愛遍歴も…」

マミ『……お互い、寒い青春を送ってるわね』

ほむら「言わないでください」

マミ『まあ恋する機会なんて、これから沢山あるわよ。私だってまだ15なんだし彼氏くらい…』

ほむら「そう思いたいですね。まあ、それよりも今はまどかの事です」

マミ『あなたは鹿目さんにベッタリ付いてあげてる間に、チャンスを逃しそうな気もするけど』

ほむら「まどかの事です!」

マミ『はいはい分かってるわよ。鹿目さんに嫌われる心当たりねえ…』

ほむら「今までの巴さんへの信頼ぶりを見ると、想像すらできないわ」

マミ『あなたが言うんだから、相当だったんでしょうね…ふむ、心当たり……あっ』

ほむら「どうかしました?」

マミ『いえ……もしかしたら。理由、見つかったわ』

ほむら「本当!?」

マミ『ええ、間違いないと思う。 ……フフッ』

ほむら「な、何がおかしいんですか?」

マミ『ううん、大した事じゃないの。
   ただ……鹿目さんってそんなところもあるんだなって思ったらちょっと微笑ましくて』

ほむら「はぁ。で、結局どういうことなんですか」

マミ『考えてみれば簡単なことよ。鹿目さんはね…私に、焼きもちを焼いてるの』

ほむら「は? ……ああ、そういうことですか」

マミ『考えてみれば佐倉さんとの付き合いは一応私の方が長いんだし、家にも時々泊まりに来るし…』

マミ『最近の魔女退治の時だって二人だけで話したりして、見ようによっては感じが悪かったと思うしね』

ほむら「今日だって事情を知らなきゃ、まるで仲良く連れ添って来たように見えますね」

ほむら「だけど、そんなことで勘違いするなんて…」

マミ『ね、可愛いでしょ?』

ほむら「まあ……でも今日お店で、席に着いた後の事はどうなんですか?
    せっかく杏子と隣同士になれたのに、相変わらず不機嫌なままでしたけど…」

マミ『うーん…多分だけど、鹿目さんは隣よりも向かい合わせになって座りたかったのかも』

ほむら「ああ、なるほど!」

マミ『そこら辺は好みだから、完全な盲点だったわね。
   いっそ二人きりになれば、好きなようにさせてあげられたんだけど』

ほむら「それは仕方ないわ。あの状況で二組に分かれるのは、どう考えても不自然だったもの」

マミ『さて。とりあえず過ぎた事は置いておくとして、これからどうしようかしら?』

ほむら「巴さんは、まどかの前では杏子の傍に居ないようにしてもらうしか…」

マミ『やっぱりそうよね。私だって誤解されたまま嫌われるのは悲しいし』

ほむら「一応あなたへの態度を、今日の帰り道で言っておいてはいたんですけど」

マミ『そうなの?珍しいわね、暁美さんが鹿目さんにお説教なんて滅多に無いのに』

ほむら「いいんです。今日のあれは明らかに八つ当たりだったもの」

ほむら「でも、まどかが嫉妬してたっていうなら責任は私にもちょっとはありますけど…
    気を利かせて、どこに座りたいかぐらい決めさせてあげればよかった」

マミ『その辺で止めておきましょう。やってしまった事を言っても始まらないわ。
   お互いミスをしたと思ったなら、これから挽回すればいいじゃない』

ほむら「…はい」

マミ『まずこれからはもっと積極的に動きましょう。鹿目さんと佐倉さんが一緒に居る時間の方が多くなるくらいに…
   そうすればきっと、嫌が応にも鹿目さんだって自分の気持ちを出さずにはいられなくなる筈よ!』

ほむら「…そうですね。私たちのやり方は控えめすぎたのかも」

マミ「ええ。取り合えずできるだけ、佐倉さんを鹿目さんと一緒に居るように誘導してみるわ。
   暁美さんは、鹿目さんが素直に佐倉さんの誘いに乗るようにフォローしてあげて』

ほむら「それはいいですけど…私も杏子を嗾けなくてもいいんですか?」

マミ『それはダメよ。二人掛りでアレコレ口を出しちゃ怪しまれるでしょ?
   暁美さんは何も知らないフリをして、さり気無く自然に話を合わせなきゃ』

ほむら「なるほど……それもそうですね。
    これから一緒に居られる時間が減っちゃうのは寂しいけど、まどかが望むなら是非も無いわ」

マミ『頑張りましょう!』

ほむら「はい!」





~まどホーム~

まどか「大丈夫、ほむらちゃんは傍に居てくれる。大丈夫……」ブツブツ

知久「まどか。まどかー! ごはんだよー!」

~翌日~

ほむら「おはようまど…か……?」

まどか「おはよー……」

ほむら「ど、どうしたの。すごい隈ができてるわよ?!」

まどか「うん、ちょっと考え事してたら寝れなくって…」

ほむら「ちょっとって…そんなレベルじゃないわよ。まるでパンダじゃないの!」

まどか「うぇひひひ、パンダは言い過ぎだよ。おかしなほむらちゃん」

ほむら「おかしいのはあなたの方よ……」

ほむら「顔色も悪いし、ご両親には何も言われなかったの?」

まどか「うん。学校休めとか病院に行けって言われたけど、みんな大げさだよね~」

ほむら「誰だって今のまどかを見ればそう思うわよ!ねえ、本当に無理しないで…」

まどか「大丈夫だってば。そんなことより早く行かないと遅刻しちゃうよ。
    眠くて我慢できなかったら授業中に眠っちゃえばいいんだし、ね?」

ほむら「でも……」

まどか「わたし、ほむらちゃんと学校に行くのが楽しいの。だから休みたくなくって…お願い……」

ほむら「うっ……」

ほむら「…分かったわ。でも、少しでも調子がおかしいと思ったら素直に保健室に行くのよ。
    私から見ておかしいと思っても、引き摺ってでも連れて行くから。いいわね?」

まどか「うん。わたしも保健委員なんだし無茶はしないから安心して。行こっ、ほむらちゃん!」

ほむら「ならいいけど………」

まどか「と、ところでほむらちゃん。
    大丈夫って言っておいて早速申し訳ないんだけど…手を握ってくれないかな」

ほむら「え?」

まどか「体は平気なんだけど、やっぱり眠くて…ふらってしないためにお願いしたいの」ウトウト

ほむら「もう……だから言ってるのに」

まどか「てぃひっ、ごめんね」

ほむら「仕方ないわね、はい」ギュッ

まどか「あ……あ、ありがと。…暖かいな」ギュッ

ほむら「寒気がするの?やっぱり休んだ方がいいんじゃ……」

まどか「もう、そういう意味じゃないよ。ほむらちゃんってそういうとこ空気読めてない!」

ほむら「ええ!?ご、ごめんなさい……」

まどか「む~…もうちょっと女心を勉強した方がいいと思うな」

ほむら(釈然としないけど、言い返せない…そして地味に傷付くわ)

ほむら「とは言っても…私にも責任があるんだから、そう言われても仕方ないか」

まどか「ん? 何のこと?」

ほむら「………ごめんなさい」

まどか「へ?」

ほむら「昨日の事よ。そんなになるまで色々と考えてたんでしょう?」

まどか「……うん」

ほむら「あの時はまどかだけが悪いみたいな言い方をしてたけど、思えば私にだって非はあったわ。
    だから、ごめんなさい。私がもう少し気を利かせていれば、あなただって……」

まどか「う、ううん。ほむらちゃんは悪くないよ、謝らないで!」

ほむら「けど…」

まどか「確かに思ってたのとはちょっと違ってたけど、あれでも結構良かったと思ってるんだから。
    またチャンスなんていくらでもあるんだし、ほむらちゃんが気にする必要なんてないよ」

ほむら「まどか……うん、私も頑張るから!」

ほむら(今度は杏子と二人っきりで、ちゃんと向かい合わせで座らせてあげたいわ)

まどか(今度はほむらちゃんと二人っきりで、できたらくっついてお隣同士で座りたいな…映画とかどうだろう?)

ガラッ

まどか「おはよー」

さやか「おっ、おはよーまど…目ぇ黒っ!?」

上條「か、鹿目さんどうしたの、大丈夫なのかい!?」

まどか「大丈夫だってば。みんなオーバーすぎるよ」

ほむら「一晩でそこまで変貌した人間に対しては、至極真っ当な反応だと思うわよ」

まどか「えー…わけわかんないよ」

仁美「解らないのはこちらも同じですわ……」

さやか「で、ほんとに何があったの?っていうかなんで学校来たの?」

上條「明らかに病院に行かなきゃいけない雰囲気だけど…」

ほむら「無駄よ。私も散々言ったけど、全く聞き入れなかったもの」

まどか「意味もなく学校お休みしたくないんだもん」

仁美「今のまどかさんを見れば、十分有意義な休学だと思いますけど…」

ほむら「ほらまどか、フラフラしないで。あなたの席はこっちでしょう」

まどか「あれ、そーだっけ?みんなの顔見たら、急に眠くなって…ふあ~ぁ……」ウトウト

仁美「あの様子で、よく無事に教室まで辿りつけましたわね」

さやか「なんで手ぇ繋いでるのかと思ったら、こういうことか…」

まどか「ごめんね、もう限界かも。ちょっとだけ寝させ…て……ぐぅ」

さやか「はやっ!」

ほむら「私も自分の席に…」ガシッ

まどか「くー……」

ほむら「……まどか?」クイクイ

まどか「すぴー……」ガッチリ

ほむら(掴まれてて動けない……)

上条「見てて飽きないね、あの二人」

さやか「ねー。面白いでしょ?」

仁美「暁美さんの困った姿は新鮮ですわね」

キーンコーンカーンコーン

ほむら「もうお昼休みか…最近、時間が経つのが早いわね。まどかは…?」

まどか「……Zzz」

ほむら「朝から寝っぱなしね。先生も呆れ果てるくらいの見事な居眠りだわ。
    まどか起きて。もうお昼よ、ご飯を食べないと」

まどか「んー……やぁ…」

ほむら「ダメだわ……起きる気がしない。どうしましょう」

まどか「むにゅ…もうたべられないよぅ……うぇひひ…」

ほむら「それは現代では、もう古の呪文よ…」

上条「あ、いたいた。暁美さん!」

ほむら「上条恭介…?」

ほむら「私に、しかもあなたから話し掛けてくるなんて珍しいわね。何か用かしら」

上条「うん、大した用事じゃないんだけどさ……お昼はもう食べた?」

ほむら「いいえ、まだよ。一緒に食べようと思ってた子がこの通りだから」

まどか「らめだよほむらひゃん…それはましゅまろじゃないよぉ……くぴー…」

上条「あぁ…じゃあ鹿目さんもまだなんだね。ちょうど良かった」

ほむら「何が?」

上条「いや、良かったら僕らと一緒にお昼を食べないかって、誘いに来たんだ」

ほむら「あなたたちと?別に私たちがいなくても、さやかと志筑仁美が居るじゃないの」

上条「それはそうだけど、最近ずっとあの二人としか食べてないから偶には…」

ガシッ

さやか「あー、いたいた恭介ぇ。勝手にどこ行ってるのさ」

ガシッ

仁美「全くですわ。あれほどじっとしていて下さいとお願いしたのに…悪い人」

上条「ひぃっ!? さ、さやか…志筑さん……」

上条「な、なんで両腕を持つんだ。離してくれ!」

さやか「勝手に居なくなるあんたが悪いんでしょうが」

仁美「時間は有限なのです。つべこべ言わずに早くお弁当を食べましょう」

上条「たまには大勢で食べたっていいじゃないか。息が詰まるんだよ!」

さやか「だからって、よりにもよってほむらとまどか誘う?信じらんなーい」

上条「それはさやか達も気を楽にできる相手をと思って……」

仁美「はいはい、どちらでもいいから早く行きましょうね」

上条「ま、待ってよ。暁美さんも何とか言ってくれ!」

ほむら「……両手に花で結構な事ね。男の甲斐性を見せる時よ、頑張って」

さやか「はいはい、そういうことだから仁美は先に連れて行っといて。あたしお弁当持っていくから」

仁美「承知しましたわ。では上条さん、行きましょうねー」

上条「はい…」ズルズル

ほむら(……まあ、今までの事を思えばあれくらいの苦労はして然るべきよね)

さやか「悪かったね、ほむら。あいつがなんか迷惑掛けちゃったみたいで」

ほむら「それはいいけど…恋敵の割にはえらく仲がいいのね」

さやか「え? あー、仁美の事か」

さやか「確かに最近まではちょっと張り詰めた感じだったんだけどさ。
    話し合った結果、なんか二人にとっていい感じに納まったの。妥協案っていうの?」

ほむら「妥協案?」

さやか「そう。 考えてみれば、別にあたしら結婚とか考えられる歳じゃないしさあ。
    ちょっとぐらいいろいろ試してもいいんじゃないかって話になって。 ……恭介を共有する事にしました」

ほむら「…はぁ?」

さやか「どっちを選ぶかは結局あいつに任せるしかないんだし、それまでこっちの好きにしてもいいんじゃない?って思ったわけ」

ほむら「上条恭介の意思は…」

さやか「こっちはあいつの手足を治したんだし、それくらいしても罰当たんないでしょ。
    前に杏子にも言われたし、あたし自分に正直になることに決めたの。おかげで、これはこれで楽しいよ」

ほむら「ああ、そうなの……あなたが幸せなら別に構わないけど」

さやか「ありがと。それじゃ、あたしも行くからまどかの事よろしくねー!」

ほむら「言われるまでもないわ」

ほむら「さて。これだけ騒がしくても起きないのね」

まどか「……んぅ…ほむらちゃぁん……」

ほむら「どんな夢を見てるのかしら……まどか、いい加減に起きて」ユサユサ

まどか「くぴー…」

ほむら「食事のついでに巴さんと話し合ってもらおうと思ってたけど、仕方ないか」

ピッ

ほむら「もしもし。すみません、まどかが全然起きなくって…
    放っておけないし私はまどかを見てます。ええ、申し訳ないけどそうしてもらえると…」

ピッ

ほむら「やれやれ…巴さんには悪いことをしてしまったわね」

まどか「ほむらちゃん……ごめんなひゃい…」

ほむら「謝るくらいなら、早く起きてほしいわ……クスッ」

まどか「ぐー……」

まどか(本当に、ごめんね……)

~放課後~

まどか「んー!終わったね。帰ろっか!」

ほむら「結局、一日の3分の2は寝てたわね」

まどか「いいの!学校には来ることに意義があるんだよ」

さやか「ほっほー、さすが5時間目始まってすぐ怒られてた子が言うことは違いますなあ」

まどか「そ、それはフリをしてたら、いつの間にかほんとに寝ちゃってて」

ほむら「フリ?」

まどか「な、なんでもない!…うぅ……」

さやか「しっかりしなよ~?じゃ、あたしは恭介達と帰るから。また明日ね」

ほむら「最近はそっちばかりね」

さやか「あはは…まあ、あたしにとっちゃ今が割と大事な時だから。
    悪いとは思うけど、許してよ。どうせ明日は魔女退治で集まるんだし」

まどか「ううん、わたしはほむらちゃんがいるから大丈夫。頑張ってね!」

さやか「そうやって、かるーく流されるのもちょっと寂しいけど…ま、いっか。じゃーねー!」

ほむら「さよなら。 ……私たちも帰りましょうか」

まどか「うん!」

まどか「今日はどこかに寄る?」

ほむら「ダメよ。今朝はフラフラだったのに寄り道なんてしないの。
    送っていくから、今日はまっすぐ帰りましょう?」

まどか「だよね……ほむらちゃんは、この後なにか予定とかあるの?」

ほむら「特には何も。武器の調整でもして寝るだけよ」

まどか「じゃあ暇なんだね!」

ほむら「確かにそうだけど…そうハッキリ言われると、少しヘコむわね」

まどか「ご、ごめん!そういうつもりじゃなくって、その…」

ほむら「いいのよ、事実だもの。趣味の一つでも作るべきなのかしら…」

まどか「うん、それもいいかも…って、そういうことでもなくって!」

まどか「その…時間が空いてるなら、良かったら…あの……」

ほむら「…?」

まどか「えっと…わ、わたしのおうち…に、上がって…」

ほむら「あ、家に着いたわよ」

まどか「へ!?」

ほむら「もう着いちゃった…まどかと一緒に帰ると、時が立つのが早く感じるわね」

まどか「え、それって…わ、私と居ると楽しいって言ってくれてるの?」

ほむら「そういうこと。 ……面と向かって言うと、なんだかちょっと照れるわね」

まどか「嬉しい…わたしも。わたしもほむらちゃんと一緒だと、とっても楽しいよ!」

ほむら「ありがとう。でも、名残惜しいけど今日はゆっくり休まなくちゃね」

ほむら「早く家に入って、少し安静にしてた方がいいわ。
    お昼休みの時だって、あんなに騒がしかったのに眠り続けるなんて相当疲れてるわよ」

まどか「あ……」

ほむら「本当だったら今日は(巴さんを交えて)私の家でお茶でもしようと思ってたんだけど、ちょっぴり残念だわ」

まどか「ほ、ほむらちゃんのおうち!?」

ほむら「ええ。今後の事とかも色々、一度真剣に話してみたかったし」

まどか(今後の事ってなに!?それにほむらちゃんのおうち……行きたいよぉ!)

ほむら「でもまどかの健康が第一だもんね。今日は諦めるわ」

まどか「つ、疲れてないよ!わたしもう元気に…」

ほむら「ダメよ、こういうのは自覚症状が出る前から用心しないと。今日は大人しく休むこと。 ね?」

まどか「そんなぁ……」

ほむら「じゃあ私は帰るから…お大事にね。また明日、元気な姿で会えるのを楽しみにしておくわ」スタスタ


まどか「あぁ……バカ…わたしのバカ!初めておうちにお邪魔できるチャンスだったのに!」





ほむら「そういえば、なにか言いかけてたみたいだけど何だったのかしら?」

ほむら「ま、いいか。巴さんも別の予定を立てちゃったし…
    いくらなんでも杏子に看病を任せるのは不安だし、今日はお休みね」テクテク

~次の日~

まどか「お、おはようほむらちゃん!」

ほむら「おはようまどか。体調は……良さそうね」

まどか「うん、絶好調だよ!」

ほむら「顔色も良さそうだし、これなら今日は居眠りしないかしら?」

まどか「もう、それじゃわたしがいっつも寝てばっかりみたいじゃない。昨日は特別だよ!」

ほむら「分かってるわよ!冗談なんだから、真に受けないで」

まどか「そ、そっか。みんなからよく居眠りばっかりしてるって言われるから、気になっちゃって…」

ほむら(実際、暖かい日なんかは結構寝ていると思うけど)

まどか「でね…今日はわたし、とっても元気だよ!」

ほむら「ええ。そのようね」

まどか「眠くないし疲れてもいないよ!」

ほむら「見ていれば、それはよく分かるわ」

まどか「……もう!」

ほむら「えぇっ!?な、なんで怒るの?」

まどか「もっと他にあるでしょ?!その、一緒に行くところとか!」

ほむら「行くところ? ……ああ、そういうことね」

まどか「分かってくれた?じゃあ、今日はわたしのおうちかほむらちゃんのおうち、どっちに…」

ほむら「魔女退治、頑張りましょう」

まどか「ま、まじょ?……あっ!」

ほむら「そんなにやる気満々だなんて頼もしいわね。今日は捗りそうだわ…頑張りましょう!」

まどか「あ…うん……」

まどか(そうだった、今日はそういう予定だったんだ。すっかり忘れてた…!)

ほむら(やっぱり、杏子に会えるのがそんなに嬉しいのかしら?
    一日会わないだけで、こんなに意気込むほど想われるなんて…ふふ、ちょっと妬けちゃうわね)

マミ「さあ。今日も魔女退治、行ってみましょうか!」

さやか「気合入ってますねー」

マミ「だって、みんなのおかげで随分余裕もできたし…仲間がいると、やる気が出るんだもの。
   昨日も、久しぶりにお友達と遊びに行けたの。それもこれも全部あなたたちのおかげよ」

杏子「別にマミのためにやってるわけじゃないけどな」

さやか「そんなこと言っちゃてぇ、照れてんじゃないの?この、このっ!」

杏子「うぜー…早くチーム分けしろよ」

ほむら「そうね。じゃあ、配置は前回と同じで…」

早く気づいてあげて…

マミ(暁美さん!)チラッ

ほむら「あ……こ、今回は私、巴さんたちの方に行くわね」

さやまど「「えーっ!?」」

まどか「どうして?この前と同じで、わたしや杏子ちゃんと一緒じゃダメなの?!」

ほむら「それは、その…片方ばかりに付いてると偏るでしょう?さやかの方も見てみたいし」

さやか「いや、あたしは別にマミさんだけでも一杯一杯っていうか…」

まどか「ほら、さやかちゃんもいいって言ってるよ。私もほむらちゃんがいないと不安だし」

ほむら「大丈夫。前回見て、あなたたちなら充分やっていけると確信したわ。ファイトよ!」

まどか「えー……」

杏子(アタシの意見は無視なのな)

~二時間後~

杏子「あ゛ー、疲れたー」

さやか「…あたし、もう魔法少女やめる」

まどか「ど、どうしたの!?」

さやか「だってほむらとマミさんで、二人して虐めてくるんだもん」

ほむら「人聞きが悪いこと言わないで。私は自分が気になったところを言っただけよ」

さやか「ウソだ!めちゃくちゃマミさんと息合ってたじゃん」

マミ「それだけ美樹さんの欠点が目立ってるってことよ。ほら、不貞腐れないの」

さやか「別に不貞腐れてないですぅー」

ほむら「あなたは自分だけじゃなく、大事な人たちも守るんでしょう。自分に厳しくしなくてどうするの」

マミ「それに前回言ってたように、少しずつ直していけばいいのよ。その間は私たちが支えるから、ね?」

ほむら「そんな弱い意志で、上条恭介に振り向いてもらえると思ってるの?
    負け犬の環から脱け出し、最後に勝者になりたければ立ち上がりなさい。さあ、早く!」

さやか「……うん…」

杏子「駄々捏ねる子供と宥める親……いや、どっちかって言うと鬼教官だな」

まどか「…………」





さやか「ごめんねマミさん、ほむら…あたしが間違ってたよ!」

ほむら「やれやれ…まったく手間が掛かるんだから」

マミ「さて、美樹さんの説得も終わったし、帰りましょうか」

杏子「最後らへん説得っていうよりも洗脳だったぞ、オイ…」

ほむら「細かい事を気にしてはいけないわ。結果だけを見るのよ」ファサッ

マミ「それじゃ、わたしたちはまた反省会があるから。佐倉さんは鹿目さんのこと、よろしくね」

杏子「えー、またかよ」

まどか「………ほむらちゃんも?」

ほむら「ええ」

さやか「これからまだ話し合うの?大変だねえ、マミさんたちも」

ほむら「なに言ってるの、あなたも来るのよ」

さやか「はぁ!?」

もはや嫌がらせに近くなってるなw

マミ「美樹さんの事について話し合うんだから、あなたがいなくてどうするの」

さやか「なんてこったい…」

ほむら「二人も、ちゃんと自分たちで話し合っておいてね」

杏子「面倒くさ…」

まどか「さやかちゃんも一緒なら、まあ……わかったよ」

マミ「いい?ちゃんと、しっかりじっくり話し合うのよ!」

杏子「しつけーよ!言われなくっても、やる事はやるっての」

まどか「………」

ほむら「それじゃまどか、また明日。杏子もまた今度」

さやか「バイバーイ……」トボトボ

杏子「おう、じゃあな。 ……さやかのやつ、大丈夫か?」

まどか「…………」ギリッ

杏子(そしてこいつも大丈夫なのか……)

~数日後~

まどか「はぁ……」

まどか(ここ最近、ずっとマミさんとか杏子ちゃんに邪魔されて全然二人っきりになれない…)

ほむら「どうしたの?溜息なんかついて」

まどか「んーん。別に大したことじゃないから気にしないで」

ほむら「そう言われても…ここ数日、ずっと元気が無いわよ?心配にもなるわ」

まどか「ほんとに平気だよ。こうやって、ほむらちゃんと一緒に帰ってるだけでも十分楽しいもん」

ほむら「そう?」

まどか「そうだよ……ほむらちゃんだけなら、ね」

ほむら「そういえばもうすぐ三連休だけど、まどかはなにか予定はある?」

まどか「ううん、ないけど…ほむらちゃんは?」

ほむら「よしっ……いえ、私も特には。魔女退治以外は暇よ」

まどか「じゃ、じゃあ…遊園地とか…」

ほむら「ええ。どこかに行く予定があるなら、この町は私に任せて遠慮なく行ってきていいから。
    最悪、一日ぐらいなら開けても平気よ。昼間なら魔女が出る確率も低いだろうし」

まどか「……はぁ」

ほむら「また溜息…幸運が逃げるわよ」

まどか「同じだよ。吐いても吐かなくっても逃げていくもん。
    それなら吐いた方が気晴らしになるって、最近わかったの」

ほむら「どうしてそんな……なにか、悩み事でもあるの?
    私でよければ相談して。できる限り力になるから」

まどか「ううん、気持ちだけ貰っておくよ。
    これはわたしがしっかりしなきゃいけないってだけだから」

ほむら「そ、そうなの?」

まどか「そうなの。今日だって最近のパターンを考えたら、そろそろ…」

マミ「あら。暁美さん、鹿目さん!」

ほむら「巴さん。こんにちは」

まどか「ほら、やっぱり……」ボソッ

救いはまだか!

ほむら「巴さんは、今帰り?」

マミ「ええ。あなた達も、いつも一緒で凄く仲が良いわねぇ…」ジトー

ほむら「う…こ、これは……」

まどか「一緒のクラスなんだから、いつも一緒にいて何かおかしいんですか?」

マミ「あ…い、いえ、別になんでもないの。ただ勘違いされると困るかもって思っただけで」

まどか「勘違い?何が勘違いなんですか。
    わたしとほむらちゃんの間に何かを勘違いされるような、やましい事なんて少しもありません」

まどか(純愛だもんね)

ほむら「まどか……」

ほむら(そこまで、私との友情を大事に……)ジーン

マミ「……そうね、妙な事を言ってごめんなさい。
   それじゃ私、もう行くわね。キュゥべえの足拭きマット買わなくちゃいけないから」

ほむら「さようなら」

まどか「さよならー」

まどか「なにしに来たんだろうね?」

ほむら「さあ……?」

ほむら(相変わらず、融通の利かない演技しかできない人…)

まどか「(割とすぐ引き下がってくれたし)まあいいや。それより連休中……」

杏子「お…よう、奇遇だな」

ほむら「杏子…今日は立て続けに誰かに会うわね」

まどか(また言えない……)

杏子「相変わらず、連るんでるな。学校帰りか?」

ほむら「ええ、そうよ。あなたは…相変わらずブラブラしてるのね。暇人?」

杏子「うっせ。こっちはこっちでやる事があるんだよ」

ほむら「本当かしら。例えばどんな?」

まどか「ほむらちゃん、忙しいところ邪魔しちゃ悪いよ……行こうよ」

杏子「あー、いいんだよ。丁度お前らに用があったんだった」

ほむら「貴女から私たちに?珍しいわね」

杏子「えーっと、新聞屋のオッサンに○○パークのチケットを貰ったから、どっちか一緒に行かないかと思って誘いに来たんだ」

ほむら「○○パーク…ああ、向こうの方にある遊園地ね」

杏子「さやかはあの坊やに付きっきりだし、マミにも断られちゃってな。
   明日から学校は休みなんだろ?このままだと勿体無いし、どっちか付き合えよ」

まどか「ふーん……」

まどか「杏子ちゃん、決まった住所が無いのに新聞取ってたんだ?」

杏子「え、取れないのか!?」

ほむら(バカッ!)

まどか「知らなかったの?じゃあどうやってそのチケット、貰ったのかな」

杏子「え…え~っと」

ほむら「…知り合いだったとか?」

杏子「そ、そうだ。そのオッサンが知り合いなんだよ!
   だから新聞取ってるわけじゃないけど、よかったらどうだってな」

まどか「ふぅん……本当かな」

ほむら「まあ、この際それはどうでもいいじゃない。今はそのチケットの話でしょう?」

杏子「そ、そうそう。お前ら暇なら、どっちか付き合えよ」

杏子(ヤッベー…意外とまどかも鋭いな。っていうか、どうしてアタシがこんなこと……)

ほむら「それにしても、遊園地ねぇ……暇は暇だけど、どうしようかしら」

ほむら(きっと、これも巴さんの差し金ね。さっきすんなりと退いたのには、こういう理由が…)

杏子「別にアタシはどっちでもいいよ。行ってみたいのは行ってみたいけど、相手は誰でもかまわねーさ」

杏子(とは言ったけど、まどかを誘えって言われてるしな…
   でもこの空気でまどかだけを直接誘うのはおかしいし……頼むほむら、断れっ!)

まどか「わ、わたしは……」

まどか(どうしよう、わたしはほむらちゃんと行きたいよ…
    でもでも、ほむらちゃんが杏子ちゃんと一緒に遊びに行くなんて、それって、デ…デートだよね!?)

まどか(ダメダメダメ!わたしもまだなのに杏子ちゃんとだなんて…
    マミさんと違って杏子ちゃんとなら心配はないと思うけど、やっぱりダメだよ!)

まどか(…杏子ちゃんには悪いけど、やっぱり断るしかないのかなあ。
    でもせっかく誘ってくれてるのに、こっちの都合で無理って言うのも悪いし…)

まどか「あの……」

ほむら「そういえばまどか、さっき遊園地がどうとか言い掛けてなかったかしら?」

まどか「!?」

杏子「へえ、そうなのか」

まどか「そ、そうだっけ?」

ほむら「ええ。確かについさっき言っていたわ。ついでに言えば、この連休中は暇だとも」

まどか「それは!……それは、ウソじゃないけど…」

まどか(ほむらちゃんを誘う口実が欲しかっただけなのに)

杏子「へえ、じゃあちょうどいいや。まどかでいいから一緒に行こうよ」

ほむら「『で』いいからとはなによ。まどかさえよければ、でしょ」

杏子「チケットはこっち持ちなんだし、いいじゃん別に。
   …ったく。まどかサマさえよければ一緒に来てくれませんか~。ほら、これでいいか」

ほむら「ギリギリ合格ってことで許してあげるわ」

杏子「どうもありがとよ。 マミのやつ、こんな厄介事ばっか押し付けやがって。恨むぞ……」ボソッ

まどか「え、え…?」

もどかし杉て禿げそうだ…

俺も眠くて禿げそう

つ[ミノキシジル10%]

まどか「ちょ、ちょっと待って。わたし行けないよ! だって…」

ほむら「安心して。魔女退治は残った私たちで何とかするわ。巴さんもいるし、大丈夫よ」

まどか「全然大丈夫じゃないよ!?むしろ心配だよ!」

杏子「オイオイ、別に肩持つわけじゃないけど、マミはかなりのベテランだぞ?
   新米のお前にそこまで心配されるほどヤワじゃないって。さやかもいるし大丈夫だよ」

まどか「そういうことじゃないの!わたしが心配してるのは…」

ほむら「ああ、ちょうどいいから、こっちはこっちで連携の確認でもしておくわ。
    あなた達も少しぐらい、親睦を深めてきたらどうかしら」

まどか「聞いてよ!まだほむらちゃんとの親睦も大して深めてないのに……」

杏子「どいつもこいつも似たような事を…まあいいや。そういうことだから、暇なら付き合えよ」

まどか「……うん、わかった。もういいよ」

杏子「よっしゃ!」

杏子(よかったー、断られたらどうしようかと思った。メシの種がなくなるところだ)

ほむら(まどか、私達が作った折角のチャンスなんだから照れずに勇気を出すのよ。
    杏子もキチンとまどかをエスコートして、一日共に過ごしてまどかの魅力に気付くがいいわ)

まどか(なんでこんなことに……)

杏子ちゃんが最後の希望か?

~翌日~

杏子「よっ、待たせたかい?」

まどか「ううん、時間ピッタリだし、私もついさっき来たばっかりだから」

杏子「そっか、なら良いんだけど…まあいいか」

まどか(ほむらちゃんに、いま来たばっかりだよって言ってみたかったなあ…)

まどか「ううん、いけないいけない!」ブンブン

まどか(せっかく杏子ちゃんが誘ってくれたんだもん。今日は日頃の鬱憤を思いっきり発散しよう!)

杏子「じゃあ、行くか」

まどか「うん」





ほむら「なにやってるのよ杏子…こういう待ち合わせは最低5分前到着が常識でしょう」コソッ

マミ「佐倉さん妙に律儀だから、時間キッチリが正しいと思ってるんじゃないかしら」コソッ

ほむら「まどかはしっかり5分前に来てたというのに……」

マミ「というか、何故私たちはこんなところで、コソコソ佐倉さんたちの後を尾けているのかしら…?」

ほむら「恥ずかしがり屋のまどかが、上手くデートできるか心配なんです。
    もしアクシデントが起きた場合、すばやくフォローに回って助けてあげないと」

マミ「ちょっと過保護すぎない?」

ほむら「仕方ないでしょう。だっておそらくは、これがまどかの初恋。初恋くらい実らせてあげたい……」

マミ「自分の初恋もまだなのにね」

ほむら「人のこと言えるんですか?」

マミ「…………ごめんね、無神経だった」

ほむら「いえ。それじゃ連休も寂しい者同士、早く行きましょう」

マミ「分かったからもう言わないで。口にされると余計に虚しくなるじゃない…」

杏子「えーっと、こっちがお化け屋敷。メリーゴーランドにフリーフォール…
   あとジェットコースターは定番らしいな。どこから回るか」

まどか「ジェットコースター」

杏子「うん?」

まどか「ジェットコースターがいい!」

杏子「そんなに好きなのか…?まあいいや。オッケー、そんじゃ行くか」

まどか「飽きるまで5回でも6回でも乗るんだから!」

杏子「はぁ!?」


マミ「まぁ…鹿目さんって、意外と引っ張っていくタイプなのかしら」

ほむら「ここ一番では勇気を出す子ですから。取り越し苦労なら、それが一番」

マミ「それにしても元気ね。あの佐倉さんが、ちょっと気後れしてるように見えるわ」

ガタンガタンガタン

杏子「ジェットコースターか。定番とは言ったけど、実は乗るの初めてなんだよな」

まどか「楽しいよー。スカッとするもん」


マミ「…ねえ、暁美さん。これは私たちも乗る必要があったのかしら。私ジェットコースターって初めてなんだけど」

ほむら「一応念のためです。あと初めてなのは私も一緒…あ、重力が―――」

ゴォォォォォォ!

杏子「お、おぉぉぉぉ!?なんだこれ、速っ!怖っ!?」

まどか「きゃーーーーーー!あははははは!」


マミ「あわわわわわわ、なにこれ、なにこれ!」

ほむら「っきゃぁぁぁぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

マミ「暁美さん!?」

これまた話がこじれる方向に進んでしまいそうで心配だ

杏子「う…も、もういいのか? …うっぷ」フラフラ

まどか「うん、とっても満足!」

杏子「なんか乗ってる途中、ほむらの悲鳴っぽいのが聞こえた気がするけど、幻聴かな……」

杏子「……気にするだけ無駄か。次は何に乗るんだ?」

まどか「えーっと…フリーフォール!」

杏子「」


マミ「まさか続けて四回も乗るなんて…もう軽く一年分は乗った気分だわ。……暁美さん?」

ほむら「」

マミ「ああ…真っ白に……」

杏子「行くのはいいけど、ちょっと休まないか?
   絶叫系が続くとアレだし、フリーフォールって高いしさ…」

まどか「なに言ってるの。まだ来たばっかりだよ?
    それに普段からビルの屋上とかによく登ってるじゃない。平気平気」グイグイ

杏子「登ることはあっても飛び降りた事はねーんだよ! あっ、ちょっと待て、引っ張んなって!」


マミ「並んだわよ。追いかける?」

ほむら「…いえ。良く考えたら、近づきすぎるとバレる可能性があるわ。
    アトラクションの同乗は危険だし、ここから監視しておきましょう」

マミ「そうね。上から見られても困るし、あそこに屋根付きのベンチがあるから休みましょう」

ほむら「それは良い考えね。………すいません」

マミ「ううん、流石に私もグロッキーだもの…」

その後も、まどかのはしゃぎ様は凄いものでした。


まどか「あはははは!ほら、ここ下ったら写真取られるんだよ、杏子ちゃんピースピース!」

杏子「はぁ!?いや、そんなこと急に言われたって―――ぶわっ!冷たっ!?」

フリーフォールを二回乗った後に、嫌がる杏子を引っ張って急流滑りに乗り


まどか「見て見て、もっと速くできるよ、ほら、ほら、ほら!」

杏子「お、お、おぉぉぉぉ!?どうなってんだこれ、景色が回って見えねーぞ!ストップ、ストーップ!」

合羽で身を庇い損ねて全身ビショ濡れの杏子とコーヒーカップに乗ったかと思えば


まどか「ちょっとおとなしいのが続いたし、もう一回ジェットコースター乗りに行こっか」

杏子「お……ちょ…ちょっと、待っ……」

まどか「さあ、どんどん行こー」

目が回って若干気分が悪そうな杏子をトドメとばかりにもう一度ジェットコースターに連れて行く、イジメと錯覚するような徹底ぶり。
全て回り終えた杏子は、見ていただけの私たちには想像もできない、筆舌しがたい表情になっていました。

それにしても、普段は虫も殺さぬような性格のまどかは何処へ行ったのでしょう。

遊園地に行くと性格が変わる人だったのか、もしくは相当ストレスが溜まっていたのか―――
いずれにせよ、こう言っては薄情というか可哀想な気もするけど……正直、巻き込まれなくてよかったなあと思いました。

マミ「……監視は休んで、売店に行ってお茶でも飲む?」

ほむら「………はい。あれは止めようが無いですから」

高らかに笑い声を上げるまどかを見て不覚にもドン引きしてしまったのは、誰にも言えない内緒の話です。

マミ「はあ…疲れたわね」

ほむら「確かに…まだジェットコースターにしか乗ってないはずなんですけど」

マミ「鹿目さんが待望のデートに、はしゃぐ気持ちは解るけど、あそこまでとはね。正直ついていけないわ」

ほむら「そうですね。でも…まどかはとっても楽しそうだったし、それなら私は十分です」

マミ「一途ね…尊敬しちゃうわ。にしても……はぁ」

ほむら「どうかしました?」

マミ「どうしたもこうしたも無いわ。周り、見てみなさい」

ほむら「周り……?」


カップルA『イチャイチャ』
カップルB『イチャイチャ』
カップルC『イチャイチャ』
以下省略


マミ「周囲も気にせずイチャイチャしちゃって……!こんな幸せオーラ全開な場所、魔女も寄り付くもんですか」

ほむら「…仕方ないわ。そういうシーズンなんですもの」

さあストレスの原因を杏子に白状しチャイナYO!

ほむら「そもそも私達の年齢じゃ、まだ恋愛って早すぎる気もしますけど」

マミ「ダメよ、暁美さん。そんなこと言ってるうちにどんどん時間は過ぎてるんだから。
   あなたの学年はどうなのか知らないけど、三年じゃ結構居るのよ。男の子と付き合ってる子」

ほむら「居ますか」

マミ「居ますとも。私の友達にも何人か居るわよ。もう惚気話が鬱陶しくって」

ほむら「まあ、自慢したくなる物ですものね…」

マミ「彼氏を優先するだけならともかく、皆で遊んでる時までずっとその話ばっかりっていうのは……はぁ」

ほむら「その恋人が居る友達から、他の男の子を紹介して貰ったりはしないんですか?よく話に聞きますけど」

マミ「何度かそれは言われたんだけど……いきなりこの子と付き合ってみれば?って言われて、
   ハイどうぞよろしくっていうのはちょっと違うんじゃないかと思っちゃって」

ほむら「ああ、わかります。上手く言葉にできないんですけど、何かが違うんですよね」

マミ「皆は試すつもりで遊んでみればいいって言うけど…そんないい加減な気持ちで付き合うのも失礼じゃない?」

ほむら「自惚れてるわけじゃないけど、向こうは真剣じゃないかと思うと中々割り切れませんよね」

マミ「一緒の時間を過ごすにも、そう都合もつかないし。せめて魔法少女でさえ無ければね……」

ほむら「結局は、その結論に行き着くのね…」

俺は禿げ上がるまで寝ないぜ

ほむら「そういえば、ラブレターとかは貰わないんですか?」

マミ「貰った事ないわねえ。暁美さんは?」

ほむら「無いです」

マミ「そう……まあ転校生だからまだ、よく人と成りも知られてないし、暁美さんは仕方ないかもしれないけど」

ほむら「そうですか?私は別に欲しいと思ったことは無いけど、何かの切っ掛けにはなるかなあって」

マミ「というか、こっちの場合男の子と接すること自体があんまり無いのよ。クラスメイトもよ?」

ほむら「それは……不思議ですね。私もですけど」

マミ「なんでだろうって冗談半分で友達に訊いてみたら、『マミは近寄りにくいから』って言われちゃったの。
   どういうことよ!私、普段からできる限り誰にでも愛想良くしてるのに……何が悪いのかしら」

ほむら(それは、単に高嶺の花っていう意味じゃないかしら)

マミ「まあいいわ。お仲間もいることだし……暁美さんもなんでしょう?」

ほむら「ええ。さやかが仕入れた噂によると、『暁美はスゲー美人だけど男子に興味が無い』って言われてるらしくて。
    確かにそこまで食いつくほど興味は無いけど、私だって年頃の女の子なのに……」

マミ(それって多分、鹿目さんにベッタリなせいで同性愛者だと思われてるんじゃ…?)

ほむら「ホント、別にいいんですけど……」

マミ「…………」

ほむら「…………」

マミほむ((この人、勘違いされて不憫……))

マミ「………やってられないわ」

ほむら「は?」

マミ「なんで自分の事も儘ならないのに、連休の初日にこんなことしなくちゃいけないのよ。
   そもそも、もうすぐ学校も終わってクリスマスなのよ?さすがに人の面倒見てる場合じゃないわよ!」バンバン!

ほむら「お、落ち着いてください。別に友達と過ごせば…」オロオロ

マミ「みんな予定作ってるわよ!あからさまに暇なの私だけよ!?」

ほむら(絶対に見栄張ってる人が何人かいると思うけど…)

マミ「これで鹿目さん達も予定が立ちそうになったし、美樹さんもどうせあの上条って子達と一緒だろうし」

ほむら(そういえば……もしかして私たちって、寂しい?)

マミ「……行きましょうか。鹿目さん達もあれだけ楽しんでたんだから、もう大丈夫よ」

ほむら「そうですね。なんだか、急にやる気が……」

マミ「鹿目さん達に見つかる前に帰って、一杯引っ掛けましょう」

ほむら「紅茶ですけどね……あ、なんだか泣けてきた」ウルッ

マミ「元気を出して。悪いのは私たちじゃない、恋人が居ないとおかしいなんて風潮を作った世間よ」ナデナデ

ほむら「すみません……あと、頭撫でないでください。流石に恥ずかしいです」


まどか「…………」

見付かったのか!?

~約10分前~

まどか「あー楽しかった!杏子ちゃんは…大丈夫?」

杏子「キツイよ、馬鹿……ちょっと休ませてくれ…」フラフラ

まどか「そうだね。そろそろお昼だし、どこかでごはん食べよっか」

杏子「くそ…メシなのに全然嬉しくねえ。こんな気分初めて……うっぷ」

まどか「杏子ちゃん意外と絶叫系、ダメだったんだね。
    ほむらちゃんなら、きっと涼しい顔で乗り続けるんだろうなぁ…うぇひひ!」

杏子「むしろ、あれだけ乗って平然としてるお前が信じらんねーよ。ったく…」

杏子「さてと。レストラン系は高くつくし、どっか売店でも……ん?」

まどか「どうしたの?」

杏子「いや、あれ……? あそこに座ってるの、マミじゃねーか?」

まどか「え、マミさん……?」

杏子「ああ。間違いないって。あんなコロネみたいな髪型そうそう居ないだろ」

まどか「誰かと一緒にいる…………うそ」

杏子「あれ、ほむらか?なんで二人で……」

杏子「なんだよマミの奴、人にチケット渡しておいて自分も遊びに来てたのか。
   丁度いいや、マミならおごってくれるかも。これで昼メシ代が浮く!」

まどか「待って、杏子ちゃん。行っちゃダメ!」

杏子「はぁ?なんでだよ。全員で固まった方が―――」

まどか「いいから隠れて。ほら、こっち」コソコソ

杏子「わっけわかんねー……まあいいけどさ。じゃあ昼メシ代わりにおごってくんない?」

まどか「なんでも食べさせてあげるから、早く!」

杏子「よっしゃ、交渉成立な」コソコソ

まどか「それよりもチケット渡しておいてって…
    まさかマミさん。ほむらちゃんを誘うために、そこまでするの……?」

杏子「あいつらなに話してんだ。溜息ばっか吐いてて、なんかあんまり楽しそうに見えないけど」

まどか「でもケンカしてるってようにも見えないよ。なにか…なにかあるんだ。きっと…」

杏子「なにかって何だよ。普通に遊んでるだけじゃねーの?」

まどか「……はぁ。杏子ちゃんは良いよね、純粋で。羨ましいな」

杏子「お、おう……なんか、馬鹿にされたような気が…?」

まどか「気のせいだよ。それよりちゃんと見張ってて。なにか変わった事を見つけたら、すぐに言ってね」

杏子「変わったことっつってもな。普通に仲良く喋ってるようにしか見えないけど」

まどか「それがもう、わたしにとっては充分変わった事なんだよ…」

杏子「……? マジでわっけわかんねぇ」

マミ『~~~~~~~~!』バンバン!

杏子「おっ、なんか怒ってるみたいぞ。溜息吐いたり机叩いたり、忙しいやつだな」

まどか「な、なんで?まさかほむらちゃんに、なにか……」

杏子「あーあー、ほむらのやつ慌ててら」

まどか「なにがあったの…?ああ、もう!あとちょっとでも、近づいて聞けたらいいのに」

杏子「やめろって。見つかりたくないなら、これ以上は危ない。あいつらの周りの席は埋まってるしな」

ほむら『…………』

杏子「ほむらのやつ黙っちまったな。何があったかしらねーけど、マミも大人げないなあ」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら『…~~~~~』ウルッ

杏子「お、あれ泣きそうになってるんじゃないか?」

まどか「なっ……!」

マミ『~~~~~』ナデナデ

杏子「ああ、流石に慰めるのな。ったく、なにやってんだよ。……にしてもまあ、仲良いなあいつら」

まどか「…………っ」ブチッ

ほむら「ねえ、巴さん。やっぱりこういうのはいけないと思うわ。
    私にはまどかが居るし……お気持ちは嬉しいけど、これっきりにしましょう…?」

マミ「……酷い人ね。本当に、あなたにその気が無いなら…わざわざこんなところまで付き合ってくれなければよかったのに」

ほむら「そ、それは…巴さんが一度だけ、お願いだからって言うから。
    よりにもよってここ、まどかが杏子と来てる場所でしょう?もし見つかったら…」

マミ「……っ!こんなときにまで鹿目さん鹿目さんって……いい加減にしてよ!」バンバン!

ほむら「っ!?」ビクッ

マミ「いま目の前に居るのは私。話してるのは私でしょう!? そんなに私は魅力が無い?一瞬でも鹿目さんのことが忘れられない?!」

ほむら「そ、そんな…そんなつもりじゃ……」オロオロ

マミ「じゃあいいわよ、好きにしなさいよ。もう私、今後一切あなたたちとは関わらないわ」

ほむら「…………」

マミ「もちろん魔女退治も別。 いいわよね。だってあなたには鹿目さんだけ居ればいいんでしょう?」

ほむら「………そんな……そんな…私、どうすればいいんですか…?」ウルッ

マミ「あ……ご、ごめんなさい。別に、あなたを悲しませるつもりじゃなくって…
   ちょっと急すぎたわよね?でも、もうちょっと私の話もちゃんと聞いてほしくって、だからつい…ね、泣かないで?」ポンポン

~~~~~

まどか(きっと、こんなことがあったんだ……。 マミさん酷いよ!)

まどっちはほむらが自分の告白を受け入れてくれたと思ってるから仕方ない

杏子「なあ、まどか。いつまで見てるつもりだ?なんか、こういうのって無粋って言うんじゃ……」

まどか「ジェットコースター」

杏子「え?」

まどか「ジェットコースター、乗りに行こう」

杏子「はぁ!?だ、だってメシは…」

まどか「さっき杏子ちゃん、食欲無いって言ってたでしょ?要らないよね」

杏子「いや、ようやく気分悪いのも収まってきたとこなんだけど」

まどか「とにかく乗ろ。晩御飯は好きなの食べてもいいから。
    わたしも色々考えたいことがあるから、ジェットコースター乗りたいの。あとストレス発散ね」グイグイ

杏子「は?わけわかんね…ってか、それって昼メシ抜きってことだろ!
   おい待て、無理矢理引き摺るな…っていうか、ちからめちゃくちゃ強いな、オイ!」ズリズリ

まどか「…いくらマミさんでも、もう許さない。
    ほむらちゃんの優しさに浸けこんで、泣かせて…そっちがその気なら、わたしにだって考えがあるんだから!」

杏子「いやだー!もうビュンビュン走り回るのはいやだー!!」

~二日後~

マミ「連休最後の日なのに魔女退治……憂鬱な気分に反して成果が出るのが悲しいわね」

ほむら「憂鬱だからこそ魔女が寄って来てるのかも知れませんけど」

杏子「まるで囮だな。魔女ホイホイってか?」

さやか「捕まえるだけじゃなくて本当に殺しちゃう分、余計に性質が悪いよね」

マミ「あなた達、私をなんだと思ってるの……」

杏子「あー、にしても腹減ったなぁ。なあ、今からメシ食いに行かねー?」

さやか「え~?さっきケーキ食べてたじゃん。燃費悪いなあ、もう」

杏子「仕方ないじゃん、なんでか食っても太らないけど胃袋は大きくなっていくんだよな~」

マミ「羨ましい…」

まどか「………すいません。今日わたし、先に帰ります」

さやか「え、まどか行かないの?」

まどか「うん、ごめんね。あと……杏子ちゃん、ちょっと一緒に来て!」

杏子「は?アタシ?」

まどか「じゃあみんな、また今度ね。ほむらちゃんも…気をつけてね、負けちゃダメだよ!」テクテク

杏子「ちょ、ちょっと、おい!なんかこういうのばっか……」ズリズリ

ほむら「気をつけてって…何に?負けるもなにも何かと戦う予定なんか無いんだけど」

さやか「……行っちゃった。まどか、どうしたの?」

マミ「さあ…?でも、これは、もしかして……」

ほむら「ええ。多分一昨日のあれが切っ掛けで…とうとう来たのかしら」

マミ「その可能性は高いわね。ちょっと様子がおかしいのが気になるけど、ようやく私たちの努力も報われたってことかしら」

ほむら「今日はお祝いね!」

マミ「そうね。腕によりをかけて、ご馳走作るわ!」

さやか「おーい、もしも~し。 ……だめだ。かんっぜんに聞いてない。すごい置いてけぼりな気がする…」

スレタイにさやか入ってるけどさやか空気だなw

杏子「お、おい!なんなんだよ、急に。
   無理矢理引っ張んなって。こんなことしなくってもいつも帰りは送ってるのに…」

まどか「杏子ちゃん、今から暇だよね」

杏子「は? そりゃまあ、特に予定も無いけど。っていうかアタシの場合、魔女退治がライフワークだしな」

まどか「そっか。じゃあ、今日はウチに寄っていって。泊まっていってもいいから」

杏子「…また唐突だな。なんだよ急に。今日のお前、いつもに増しておかしいぞ?」

まどか「ちょっと大事なお話があるの。できたらじっくり話し合いたいから」

杏子「話、ねえ……まあいいや。一泊の恩ってことで、話くらいなら付き合うさ」

まどか「ありがと。パパ達には事情を説明してあるから、わたしに話を合わせてね」

杏子「オッケー。ってか、妙に根回し良いのな」

~まどルーム~

杏子「ふぃ~、美味かったぁ。お前の親父さん料理ゲキウマだな」

まどか「でしょ?パパは何でも作れるんだよ。お菓子だって、ちょちょいのちょいなんだから」

杏子「ふーん。一家に一人いたら便利そうだよな」

まどか「うぇひひ、ひっどーい!それじゃお父さん、洗濯機みたいだよ」

杏子「どちらかって言うとお料理ロボットか?いや、どっちにしても機械呼ばわりは酷いな」

まどか「ほんとだよぉ。でも、そんなに喜んでくれたなら、わたしも嬉しいな」

杏子「ああ、ご馳走さん」

まどか「お粗末さまでした。って、わたし作ってないけど。てぃひひ!」

杏子「ハハッ。で、話があるって言ってたっけか。
   メシの恩も出来ちゃったし、話せよ。何でも聞いてやる」

まどか「そう?じゃあ遠慮なく―――杏子ちゃん、最近マミさんに何か頼まれてるよね」

杏子「……え?」

まどか「詳しくは分からないけど…わたし一人だけ誘い出せとか、そういうこと言われてないかな?」

杏子「あ―――いや、それは…」

まどか「……言われてるんだね。なんでそんなこと頼まれたのか、知ってる?」

杏子「…いいや。アタシはただ、メシ食わせてやるから頼みを聞いてくれとしか言われてない」

まどか「そっか。まあ別にそれは良いんだ。杏子ちゃんが詳しいこと知らないのは仕方ないもん」

杏子「あー、なんか拙かったか?それでなくても、なんか最近お前とマミって雰囲気悪いし…」

まどか「そうだね……うん。これからの事もあるし、杏子ちゃんには全部、ちゃんと話しておくよ。
    わたしとほむらちゃんのこと。それから、マミさんが何をしようとしてるのか……」

しかし杏子だけは、まどか好きなのがほむらだとちゃんと知ることになるな

杏子「マミが、ほむらを……?マジかよ」

まどか「多分間違いないと思う。だって、そうでないとマミさんが最近してたことに、説明がつかないもん」

杏子「っていうか、アタシとしてはお前らがいつの間にかそういう仲になってたことが一番ビックリなんだけど」

まどか「そ、それはわたしもだよ。ちょっと色々訊いてみよっかなって思ったら、ほむらちゃんに全部気付かれちゃって…
    でも、ほむらちゃんは受け入れてくれたんだよ。わたし、とっても幸せだった。 なのに……」

杏子「その恋人が取られようとしてるってわけか。ふーん、確かに気持ちの良い話じゃねーな」

まどか「きょ、杏子ちゃんは、こんなこと話して気持ち悪いと思わないの…?」

杏子「アタシ?ああ、アタシは別に、そういうのには興味ないけど、抵抗もないよ。
   確かに少人数派かも知んないけど、愛の形なんて人それぞれだろ?恥ずかしいと思ってないなら堂々としてな」

まどか「…うん、ありがと」

杏子「それにしても、問題はマミだな。
   あいつはお前らが付き合ってるって知ってるのか?」

まどか「ううん、わたしはなんにも言ってない。でも…ほむらちゃんが話してるかも。
    でないと、あそこまで意地になって徹底的にわたしをほむらちゃんと引き離そうとする理由が無いもん」

杏子「確かにそうか。なんにも知らないにしては、やり方が陰湿だもんなあ。マミらしくないっていうか」

杏子「ってことは、だ。最近マミと一緒に出かけてると、お前らとよく会うのも……」

まどか「わたしたちの邪魔をするのが目的なんだと思う。
    杏子ちゃんが居れば、わたしの相手をさせて離れさせながら、ほむらちゃんを独り占めできるから…」

杏子「なるほどな。せっこいこと考えるもんだ」

まどか「多分そうだと思うけど、一昨日の遊園地のお誘いもマミさんが言ったの?」

杏子「その通りだよ。チケットやるから、まどかを誘えってさ。
   しかも自分が頼んだって事は言わずに、他にも余計な事も言うなって言われてな」

まどか「やっぱり……ほむらちゃんに、そんなこと聴かれるわけにいかなかったからだ」

杏子「まあ、基本的にお前ら一緒にいるから…どうしても、ほむらの前で誘うことになるんだよなあ」

まどか「それで、残ったほむらちゃんは、まんまとマミさんに誘い出されて…出されて、あんな……!」ワナワナ

杏子「おーい。気持ちは分からんでもないけど、落ち着けよ」

杏子「で、話ってのはその事についてなのか?」

まどか「うん。わたし、もうこれ以上マミさんに好き勝手させたくない。
    だから……杏子ちゃんに力を貸して欲しいの」

杏子「ふーん。…ま、話の流れからして、なんとなく読めてたけどさ」

まどか「お願い!それが無理でも、せめてマミさんを手伝うのだけはやめてほしいの。
    ごはんとかが欲しいなら、わたしが何とかするから…」

杏子「………オッケー。いいよ、わかった。そっち手伝ってやるよ」

まどか「ほ、ホント!?」

杏子「お前の気持ちは、人間として当たり前のものだからな。分かりやすくて良いと思うよ。
   それに、なによりも……事情を隠して人を利用しようとしたアイツは許せねえ。ちょいと痛い目見せてとっちめてやる」

まどか「ありがとう、杏子ちゃん!」

杏子「そういうことだ。自分のためでもあるから無理矢理メシたかる気もないしさ。
   で、具体的にはどうするんだ。アタシは何すりゃいい?」

まどか「別に難しい事はしてくれなくってもいいの。
    つまり、マミさんにやられたことをやり返せばいいんだから…」

おいまさか>>1の育毛剤が切れたのか?

~翌日 放課後~

まどか「ほむらちゃん!一緒に帰ろっ」

ほむら「うん。ふあぁ…ぁ」

まどか「おっきなあくび…珍しいね。眠たいの?」

ほむら「ええ、まあ。昨日まどか達が帰ってから、三人で騒ぎすぎちゃって」

さやか「ホント、なんなのかわかんないけどマミさんご馳走並べてさ。夜遅くまでずーっとだよ」

まどか「ふーん…どうしたんだろうね?」

ほむら「きっと色々とあるのよ。さ、それよりも帰りましょうか」

まどか「そうだね。さやかちゃんは……上条君たちと一緒だよね」

さやか「まーね。しっかし…最初らへんは一緒に帰られなくて悪いと思ってたけど、最近はその方が良いような気がしてきたよ」

ほむら「どういうこと?」

さやか「お二人さん仲良しすぎて、あたしが入った方がお邪魔になるんじゃないかな~ってこと。
    いっつもくっついてる気がするし、もうあんたら付き合ってんじゃないの?ってかんじ」

ほむら「なに言ってるのよ…もう」

まどか「あはは…どうだろうね?」

頑張れ超がんばれ

さやか「冗談冗談!じゃ、あたし待たせてるから行くね。バイバイ!」

ほむら「さよなら」

まどか「バイバ~イ」





まどか「さやかちゃんって、意外と鋭いよね~」

ほむら「え?…ああ、あの事。確かに結構当たってたわね」

ほむら(主に、女の子同士で恋愛してるところとか)

まどか「結構っていうか、もうほとんどだよね」

まどか(だって、実際に付き合ってるもん)

ほむら「ほとんど?いえ、そこまでは……ふぁあ…ぁ…」

まどか「ほむらちゃん大丈夫?まだ眠たい?」

ほむら「いえ。もともと、ちょっと欠伸が出るくらいの眠気だから平気よ」

まどか「そっかぁ…じゃ、じゃあね?今日は良かったらほむらちゃんのおうちに―――」

マミ「あら、二人とも。いま学校の帰り?」

マミさん絵に描いたような最悪のタイミングで出現したなwww

ほむら「巴さん……と、杏子」

まどか『来たね、マミさん……負けないよ!杏子ちゃん、打ち合わせどおりにお願い!』

杏子『オッケー、任せとけ。こういうときにテレパシーって便利だよな』

マミ「今日はえらく遅いのね。まあ私も帰る途中なんだけど」

杏子「アタシは、さっきマミに呼ばれてさあ。今日は何の―――」

ほむら(!?)

マミ「佐倉さん!?それは、ちょっと…ね。分かるでしょ?」

杏子「え?ああ……」

ほむら「……ホッ」

まどか「それで、今日はマミさんと杏子ちゃんは、何をしに行くんですか?」

マミ「あ、いえ。別に私たちは…」

杏子「そうだなぁ。せっかくだし、メシの約束でも消化しに行くか。なあ、マミ」

マミほむ「「!?」」

マミ「ちょ、ちょっと佐倉さん。あなた何を言ってるの!?」

杏子「何って、忘れんなよオイ。メシ奢ってくれる約束してただろ!」

マミ「それはわかってるけど、何もこんなところで……」

杏子「こんなところって、ここで言っちゃダメな理由でもあるのか?」

マミ「そ、それは………」

ほむら「あ、あの―――」

まどか「そっかぁ、約束してるなら仕方ないよね。行ってらっしゃい、二人とも。楽しんできてね!」ニコニコ

マミほむ「「ええっ!?」」

杏子「さあ、そうと決まったら行くぞー。なに食おっかなぁ」

マミ「ちょ、ちょっと待って佐倉さん。引っ張らないで!」

杏子「そんじゃ、お前らもまた今度な」

杏子『どうよ。こんなもんだ』

まどか「うん、また今度ね~」

まどか『ありがと、杏子ちゃん!』

まどか「仲良いよね、あの二人。わたし達も行こ?ほむらちゃん」

ほむら「あ、あの…いいの?」

まどか「ん?なにが?」

ほむら「何がって…杏子と巴さん、二人っきりなのよ」

まどか「うん、たぶん二人っきりなんだろね。別にいいじゃない、ほら行こうよ」

ほむら「え、ええ……」

まどか「それでね、きょ、今日は…今日はほむらちゃんのおうちに行けたら、とっても嬉しいなって!」

ほむら「え?」

まどか(い、言っちゃった…)

ほむら「……そうね。もう予定も潰れちゃったし、それも良いかも。
    あ、でもまどかを家に招待するのに、何にも用意してないわ」

まどか「そ、そんなのいいよ。いらない!一緒におうちで遊べれば、それで十分だよ」

ほむら「そう?なら、途中でコンビニでも寄って、お菓子買ってから行きましょうか」

まどか「うん!えへへ、楽しみだなぁ」

さすがにマミられそうな流れには見えんがwww

~翌日~

さやか「お疲れ~……今日はどうよ!さやかちゃん自信有り!」

ほむら「立ち回りがふざけすぎ」

マミ「あの状況で剣をわざわざ投げる意味はあったの?」

さやか「デスヨネー」

まどか「さあ…じゃ、みんなでマミさんの家に行って反省会だね!」

杏子「お、今日はまどかも来るのか?」

まどか「うん。パパに遅くなるって、ちゃんと言ったから」

マミ「そ、そうなんだ…佐倉さんも来るのよね?」

杏子「いいや?アタシはこれからメシの確保に行かなきゃなんないからパス」

ほむら「そ、そうなの?どうして…」

杏子「どうしても何もアタシだってメシは食うし、用意してくれる奴もいないからな。
   あーあ。マミが約束どおり、いつでもちゃんと奢ってくれれば……」

マミ「あーあーあー!それなら仕方ないわね、またの機会ね!」

ほむら「と、巴さん……」

まど杏「「………」」ニヤリ

~更に数日後~

まどか「ほむらちゃん、今日はマミさんの家に遊びにいこっか」

ほむら「え……いいの?」

まどか「いいのって?」

ほむら「いえ、最近ますます、その…巴さんとの関係がキツくなってるというか…そんな気がしたから」

まどか「なにそれ?気のせいだよ。マミさんは、とっても頼れる先輩だもん」

ほむら「そ、そう。じゃあいいの。ごめんなさいね、変なこと言っちゃって。……怒った?」

まどか「ううん、そんなわけない。わたしがほむらちゃんを怒るなんて、あるわけないよ」

ほむら「うん……じゃあ巴さんを誘いに行きましょうか」

まどか「そうだね。マミさんが帰っちゃわないうちに、早く行こ行こ!」

まどか「え~っと…あ、いたいた。マミさ~ん!」

マミ「あっ、か、鹿目さん……」

杏子「よう」

ほむら「きょ、杏子!?」

杏子「何だよ、幽霊にでも遭った様な顔して。アタシが居るのがそんなにおかしいか?」

ほむら「いえ、おかしくはないけど、その…ね」

まどか「杏子ちゃんは、またマミさんとお出かけ?」

杏子「まあな。最近美味いイタリア料理の店見つけたから、一緒に行こうと思って誘いに来たんだ」

マミ「そ、そうだ!ちょうどいいから鹿目さん達も…」

まどか「そっかぁ。そういうことならわたし達が居ると気を使わせちゃうし、楽しんできてね」

杏子「ああ。またな」

まどか「ばいばーい」ニコニコ

ほむら(……どうなってるのかしら?)

ほむら「ま、まどか。その…」

まどか「あ、ゴメンねほむらちゃん。もしかして行きたかった?」

ほむら「いえ、それは別に良いんだけど」

まどか「じゃあいいや。それより、ごめんなさい。
    最近結構出かけるのが多かったから、今日は早く帰らなくちゃいけないの」

ほむら「そうなの?ああ、それで……」

まどか「だから、今日は寄り道できなくて……で、でもね!その代わり明日は、よかったら―――」





まどか「もうすぐ始まるよ、ほむらちゃん。楽しみだね!」

ほむら(で、どうして私は映画館にいるのかしら……)

まどか(うぇひひ!ほむらちゃんとデートっ///)

保守ならまかせろーバリバリ
と言いたいところだが、>>1が死んだら俺も死にそうな勢いだぜ

まどか(しかも二人っきりで映画館……こ、これはチャンスだね!)

ほむら(まあ杏子も捕まらないし、暇だから遊びに来たと考えれば…それにしても、この映画意外と怖い……)

まどか(落ち着いて……練習どおり、映画が盛り上がったところで手を握る!)

まどか「すぅ~…はぁ……」

ほむら(な、なんで深呼吸してるの!?やめてよ、余計に怖くなるじゃない!)

まどか(聞いた話だと、もうすぐ……)

『キャァァァァァァァァァァ!!!』

まどか(いまっ!)

ギュッ

ほむら「ぃひゃぅ!?」ビクンッ

まどか(ぃひゃぅ、だって!ほむらちゃん可愛いっ♪
    手もちょっと汗ばんでるけどスベスベで気持ち良い…うぇひひっ)

ほむら(もう、なんなのよ!なんなのよ!!)ドッキン、ドッキン

ほむら「どういう事なんでしょう」

マミ「さあ……?どういう事なんでしょうね」

ほむら「最近、杏子とえらく一緒に居るみたいですけど?」

マミ「そういうあなたこそ、鹿目さんと四六時中ベッタリじゃないの」

ほむら「私はまどかが誘ってくるし、杏子も居ないしで断る理由が無いから」

マミ「私だって佐倉さんが、ほとんど無理矢理引っ張っていくのよ。
   報酬のこと切り出されちゃ、その…ねぇ? おかげでお財布にも大打撃」

ほむら「誤算だったわ。まさか、杏子があそこまで意地汚かったなんて……」

マミ「食べ物で釣るのが手っ取り早い方法だと思ってたけど、とんだ諸刃の剣だったわね」

どんどんこじれるなあ
収束するのかこれw

まだ気付かねえのかよww

>>289
確かに……

ほむら「でも不思議なのが、最近のまどか…なんだか、機嫌が良いように見えるんです」

マミ「私もよ。ここ最近は良く話しかけてくれるようになったし、今までどおりに戻った感じ。
   ただ時々、なんとなく…ちょっと妙な眼で見られてるような気がするの」

ほむら「はあ……それはつまり、どういうことですか?」

マミ「さあ?それが分かれば苦労しないわよ。 でもこのまま放っておくわけにもいかないんでしょうね」

ほむら「ええ、まぁ…まどかの中で何らかの区切りがついたのだとしても、それが分からないとサポートのしようが無いし」

マミ「良い機会だし情報整理がてら、明日辺りにでも話を訊いてみましょうか。
   というか、もっと早くそうしておくべきだったような…。後の祭りな気もするけど」

ほむら「そうですね。なら、お昼休みに屋上で集まりましょう。まどかも呼んでおきます」

マミ「お願いね」

~翌日 教室~

ほむら「ねえ、まどか。ちょっといいかしら」

まどか「うん。なにかご用?」

ほむら「今じゃなくって、お昼休みなんだけどね。大事な話があるから、屋上でご飯を食べない?」

まどか「え…」

ほむら「本当はもっと早く切り出しておくべきだと思ってたんだけど…なかなか機会が無くって」

まどか「う、うん。いいよ。その……楽しみに待ってるから」

ほむら「……? ええ。じゃあ次の授業が終わったら、一緒に行きましょう」

まどか「うんっ!」

まどか(大事なお話…なんだろう。ちゃんとしたデートのお誘い?
    それとも御両親への挨拶?あっ、もしかして……ちゅ、ちゅーしたいとか? きゃーっ!)

まどか「ティヒッ、ウェヒヒヒヒ………」

さやか(うわぁ……)

ウェヒヒヒヒ

~昼休み 屋上~

まどか「ごっはん、ごっはんっ、ほむらちゃんとごっはん~♪」

ほむら「えらく今日はご機嫌ね」

まどか「仕方ないよ。だって、今日はもしかしたら記念日になるかもしれないんだし―――」

ガチャッ

マミ「あら、来たのね。こんにちは鹿目さん」

まどか「マミさん……」

ほむら「こんにちは。連れて来ましたよ」

まどか「ほむらちゃん?」

マミ「ええ。お疲れ様。それじゃ、お話しながら食事にしましょうか」

まどか「……そういうことですか」

まどか「ほむらちゃんをわざわざ使って、呼びつけたんですね」

マミ「えっ。た、たしかにそうだけど、なんだか人聞き悪く聴こえるわね……」

まどか「いいです。わたしもこのままズルズル行くのは良くないと思ってましたし、決着をつけましょう」

マミ「け、決着!? なんでそんな物騒な……ちょっと暁美さん、あなたどういう説明したの?」ヒソヒソ

ほむら「どんなって、普通に話したいことがあるから屋上に行こうって言っただけです」

マミ「ウソ仰い。それだけでこんなに物々しい空気になるわけ―――」

まどか「それ以上ほむらちゃんに近づかないでください」

マミ「え?」

まどか「よりにもよってわたしの目の前で…」

マミ「わ、私なにか悪いことした?」

ほむら「さあ?私に訊かれましても…」

まどか「また! ほむらちゃん困ってるじゃないですか。離れてください!」

マミ「えー……」

ほむら「どちらかというと、あなたの行動に戸惑ってるわ…」

まどかさんあんま暴走しるぎるとほむほむにまでそっぽ向かれるで

まどか「一応訊いておきますけど、わたし達のことをマミさんは知ってるんですよね」

マミ「(私たち…佐倉さんのことかしら?)ええ。それは一応、暁美さんから大まかには聞いてるけど」

まどか「やっぱり、ほむらちゃんから聞いたんだ……それをわかった上で、あんなことしたんですか?」

マミ「あんなことって……どんなこと?」

まどか「杏子ちゃんのことです!」

マミ「え?……あっ! もしかして後押ししてたの、バレてたの!?」

まどか「当たり前です。気付かないと思ってたんですか?」

マミ「そ、そうなの。そうとも知らずに私ったら、なんだかちょっと恥ずかしいわね」

まどか「恥ずかしい……それだけなんですか?」

マミ「待ってちょうだい。確かに私は少しばかり、一緒にいる機会が多かったのかもしれないわ。
   でも別に、あなたたちの仲を引き裂こうと思ったわけじゃないのよ?」

まどか「今までしてきたことを省みて、説得力があると思ってるんですか?」

マミ「ん~、そんなに信用無い?」

まどか「……わたしだって信じたかった。でも、今のマミさんは…」

ほむら「まどか、言い過ぎよ!」

まどか「ほむらちゃんはお人好しすぎるよ!あんな目に遭わされて、まだマミさんの肩を持つの!?」

ほむら「あんな目?」

まどか「わたし、見てたんだから。遊園地で二人が一緒に居るところ……」

マミほむ「「あ」」

>>48やら>>83あたりの会話からしてまどっちの振る舞いも仕方ないってもんだぜ

ほむら「み、見つかってたの…」

マミ「途中から最後のあたり、注意が散漫になってたから。不覚だったわ」

まどか「同じところに居ればわかります。どういうつもりだったんですか?」

ほむら「どういうつもりだったって……」

まどか「ほむらちゃんじゃないよ。マミさんに訊いてるの」

マミ「と、言われても…あんまり品が良いことじゃないし、ねえ。分かるでしょう?」

まどか「わかりません。やましい気分で、あんなことやってたんですか?」

マミ「やましいっていうか、良くないことだとは分かってたんだけど心配だったのよ」

まどか「心配……?ほむらちゃんが自分の気持ちに応えてくれるのかって事ですか。
    だからって、わたしが居るところにまで引っ張り出してきて、脅しでもするつもりだったんですか?」

まどか「ハッキリ言えばいいじゃないですか。わたしを引き離して、ほむらちゃんを連れ出したかったって。
    それもわざわざ杏子ちゃんまで巻き込んで誘わせるなんて……趣味が悪すぎます!」

マミ「確かに尾行なんてしてたのは悪いと……え?」

ほむら「……ん?」

俺「……ん?」

ほむら「ちょっと待って」

まどか「なに、ほむらちゃん。いまマミさんを追い払ってあげるからね」

ほむら「それよ、それ。巴さんを追い払うってどういうこと?」

まどか「どうもなにも、マミさんに泣きつかれて一緒に遊園地まで行ってあげたんでしょ?」

マミ「いいえ。どちらかと言うと私が、ついて来てくれって頼まれたようなものだったんだけど」

ほむら「ええ、まあ。まどかが上手くやれるか心配だったから……」

まどか「そ、そんな……じゃあ、ほむらちゃんから誘ったの?
    ずっとマミさんが誘惑してるだけだって思ってたのに…信じてたのに! 浮気ものぉ!」

ほむら「う、浮気!?」

マミ「……今更ながら、なにか致命的な思い違いをしてるような気がしてきたわ」

ついに来たか

まどかさん空回りしすぎでしょうw

マミ「そうよ、暁美さんが私に惚れているのよ」

マミ「そもそも、なぜ私が暁美さんを連れ出す必要があるの?そこからして分からないわ」

ほむら「巴さんを誘惑する必要も感じないし。杏子を嗾けたのは確かに強引だったと思うけど…」

まどか「えっ、杏子ちゃんにあれこれさせたのもほむらちゃんの考えだったの!?」

マミ「いえ、細かいところは私が決めたわよ。暁美さんとはおおよそ漠然とした話しかしてないの。
   佐倉さんに、万が一にでも気付かせるわけにはいかなかったのよ」

ほむら「あくまでも、杏子には自分の意思であなたに振り向いてほしかったから…苦肉の策だったのよ」

まどか「………あれ?」

マミ「……これは、何かがおかしいわ」

ほむら「どうなってるのかしら…?」

???「随分揉めているようだね」

一同「「「!?」」」

シュタッ

QB「このままじゃ場の収拾がつかないだろう。よければ僕が説明をしてもいいけど、どうかな?」

まどか「キュゥべえ…」

こういうときQBは便利だよな

今までなにやってた

ほむら「どうもこんにちは、そしてさようなら」チャキッ

QB「待って待って!今の僕はタダの可愛いマスコットだよ。
  今回出てきたのも、純粋な親切心からさ。腹黒いことなんか考えてないよ!」

マミ「自分で言うのはどうかと思うけど…取り合えず暁美さん、銃を下ろして」

ほむら「フン……」

QB「やれやれ。いやぁ、助かったよマミ。
  君たちをサポートするのが僕の役目とは言え、流石にストレス発散の捌け口にされるのは御免だからね」

マミ「それはいいから、あなたが何を知ってるのか教えてほしいのだけど?」

まどか「そ、そうだよ。いきなり出てきて」

QB「なに。僕はキミたちが何故仲違いしているのか、大体は事情を把握できているからね。
  現在の君たちの状況を客観的な視点で説明してあげようと思っただけさ」

ほむら「お前に何かが解ると思えないけど…」

QB「まあまあ。キミたちは見たところ、ちょっとした誤解ですれ違ってる状態なのさ。
  こんなくだらないことでチームワークを乱されても面倒だ。僕が一肌脱ぐよ」

マミ「そこまで自信があるならお願いしようかしら。正直、私も何がなんだか分からないのよ」

QB「オッケー」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
      __/___,}`゛゛´/  | |,   ,.. --'´,l_|_`<     /.ノ ,   ,イ,: l! , ,j! , ト、
     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

>>378
泥沼になって彼女らが魔女化するのを待っていたんじゃない?
尤もその目論みは失敗したようだけど

QB「………と、いうワケさ。どうやら全員が全員、誰かの想い人を勘違いしていたようだね」

ほむら「そ、そんな……」

ほむら(まどかは同性愛者だったけど、杏子が狙いじゃなかったのね。まさか私が狙いだったなんて―――私?)

まどか(ほむらちゃんは明後日の方向に勘違いしてて、マミさんはそれを手伝ってただけで…
    なにやってるんだろうわたし。これじゃ空回りしてただけだよ………あ。)

まどか(ってことはほむらちゃんに今、知られちゃったってこと!?)

まどか「ほ、ほむら……ちゃ、ん?」

ほむら「あ…ぅ……///」プイッ

まどか(あああぁぁぁ!恥ずかしい、恥ずかしいよぉ!)

マミ(………ああ、なるほど。これが一種の修羅場ってヤツなのかしら)

QB「いやぁ、なにやら妙な空気になってるけど、誤解が解けて本当に良かったね!」

きゅっぷい!

杏子ェ……

マミ「ま、まあ結果オーライとして……キュゥべえ、あなたどうして私たちが各自で相談してた内容まで知ってるの?」

QB「そんなの言うまでも無いじゃないか。キミたちの精神状態に異常がないか見張ってたのさ。
  キミたち魔法少女の心のケアも、僕の役目の一つだからね。監視は怠らないよ」

マミ「そう…そうだったの。……暁美さん」

ほむら「わかってます」チャキッ

QB「思うに、キミたちは意思疎通の際に重要な単語を省くから、食い違いが出るんじゃないのかな。
  マミだって普段、あれだけ小難しい単語をノートにまとめたりしてるくせにどうして―――」

パンッ

QB「」ドサッ

ほむら「説明は感謝するけど、乙女のプライバシーを覗き見たのは許せないから撃たれなさい」

マミ「妥当な処置ね。キュゥべえ、人間にも異星人にも越えてはならない一線というものがあるのよ」

まどか(何気にマミさん相当怒ってるなあ)

マミ「さて……鹿目さん。これで、私が邪な事を考えてないとわかってくれたかしら?」

まどか「あ、はい…ほんっとーにすみません。ごめんなさい!
    なんだか、わたしの勝手な思い込みでずいぶん酷い態度取っちゃって、なんて謝ったらいいか…」

マミ「いえ、分かってくれたならいいの。やっぱり仲間同士でギスギスした空気は嫌だものね」

まどか「そうですね。わたしが言うことじゃないけど、みんな仲良しが一番だって思います」

マミ「さあ、それじゃ……もう一つ、片付けなくちゃいけないことがあるはずよね?」

まどか「あ……」

ほむら「………」

マミ「まあ、ここからは当人たちの問題だから私は見学に回らせてもらうわ。お互い頑張って」

そこは退場しましょうよ、マミさん

まどか「………」

ほむら「………」

ほむら「…えっと。ご、ごめんなさい」

まどか「え……?」

ほむら「だって私、なんだか勘違いして、余計なことしちゃってたみたいで…」

まどか「う、ううん!わたしこそハッキリ自分の気持ちを言わなかったから、こんな事になっちゃったんだし」

ほむら「でも、私が言うのもなんだけど、ショックだったりとかしなかった?」

まどか「……うん。実はちょっと、結構…ううん、かなりかな」

ほむら「そ、そうよね…かく言う私も少し戸惑ってるわ」

まどか「でもわたしは……伝わってなかったからこそもう一度改めて、ちゃんと言いたい」

まどか「初めはね、憧れてたの。マミさんとはちょっと違う感じの格好良い子だな~って」

まどか「不思議で、少し怖くて、でもなんとなく悲しそうな雰囲気の女の子。それくらいだった」

まどか「でもね。仲良くなって、ほむらちゃんの事を知って、どうして魔法少女になって戦ってるのかを聞いて…」

まどか「わたしのために頑張ってくれてるってことが分かって、申し訳ない気持ちと同じくらいに嬉しかったんだ。
    だって、それだけわたしのことを大切に想ってくれてるってことだもんね?」

まどか「こんなお友達が自分にも居るんだって思うと、それがとっても誇らしくって。
    でも、ほむらちゃんと一緒に戦ったり遊んだりしてるうちに、段々それだけじゃ物足りなくなっちゃった」

まどか「わたしね、ずっと誰かの役に立ちたかった。誰かに、頼りにされる人間になりたいって思ってた。
    さやかちゃんや、パパやママ…色んな人にお世話になってるのに何にも返せない自分が、もどかしくて仕方なかった」

まどか「魔法少女になったら何か変わるかなって思ったけど、あんまり実感も湧かなくて…
    たしかに人の役には立ててるんだろうけど、やっぱりみんなには助けられてばっかりだもん」

ほむら「……だから私に何かを返したいって、そう思ったの?」

まどか「ううん、それは違うよ。そんな理由なんかじゃない」

まどか「さっき言ったみたいに、わたしはずっと、お世話になった人たちに何かを返したかった。
    そうしなきゃ誰かの大切な人になれない、相応しくないなんて思っちゃって…」

ほむら「………」

まどか「あっ、今はもちろん違うよ?そんなこと考えてない。
    誰と居たほうが得だとか損だとか、そんなことを考えて仲良くなるわけじゃないもんね」

まどか「考えてみれば当たり前のことだけど、つい最近まで気付きもしなかった。
    それとね。そのことに気付けたのは……ほむらちゃんが一緒に居てくれたから」

まどか「あなたがいつもわたしのそばに居てくれて、わたしに笑いかけてくれて…
    そのうち、ほむらちゃんの役に立ちたいって思うんじゃなくって、ただ一緒に居たいって思うようになったの」

まどか「わたしがほむらちゃんと辛いことも楽しいことも分かち合って、支えあうことができて。
    あなたの隣に居る未来が見られたら、それはどれだけ素敵なことだろうって思った」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
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         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
      __/___,}`゛゛´/  | |,   ,.. --'´,l_|_`<     /.ノ ,   ,イ,: l! , ,j! , ト、
     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

まどか「でも、わたしはほむらちゃんの事がお友達としてじゃなくって、一人の女の子として好きなんだって気付いちゃった。
    ほんとは隠したまま普通のお友達としていられたら一番話が早いんだろうけど…わたしは、そんなに器用じゃないから」

まどか「だから、ほむらちゃんがわたしの気持ちを受け入れてくれたって思った時は、本当に天にも昇るような気持ちだったの」

まどか「でも、それからしばらくすると今度は、その幸せが無くなる事が、どうしても怖くなっちゃったの。
    それでほむらちゃんが、わたしのそば以外のどこかに行くのが許せなくなって……」

まどか「マミさんがほむらちゃんを奪おうとしてるって一度思っちゃったら、頭がカーッてなって、
   そのうち歯止めが利かなくなって、自分でも嫌になるようなこと沢山しちゃった……」

まどか「でも、それももうおしまい。考えてみれば、中途半端に逃げてたからこんな気持ちになったんだと思うの。
    最初から自分の気持ちを悔いが残らないようにまっすぐ伝えてれば、こんなことにならなかったんじゃないかって」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
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        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
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      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
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           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

まどか「だから、今度こそ面と向かって言います。ちゃんと逃げずに、誤魔化さずに伝えます」

まどか「わたしはほむらちゃんの事が好きです。一人の女の子として、人間として愛してます」

まどか「あなたと一生共に歩いていきたいです。周りが何を言っても、自分の気持ちを貫き通せる自信があります」

まどか「だから……わたしと付き合ってください。お願いします!」


ほむら「まどか…………」



1.ありがとう

2.ごめんなさい

11111

さあ、選んでください

先着5人の多数決です

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
      __/___,}`゛゛´/  | |,   ,.. --'´,l_|_`<     /.ノ ,   ,イ,: l! , ,j! , ト、
     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

ほむら「ありがとう。気持ちはとっても嬉しいわ。 でも……」

まどか「………っ」

ほむら「わたしはまだ、恋とか愛とか、そういう気持ちがよくわからないの。
    まどかの事を、そういう眼で見たことも無いから尚更だし……」

まどか「……そっか。そうだよね。
    ごめんね、こんなこと言って。気持ち悪いよね…」

ほむら「だから…だから、改めてお友達から始めましょう?」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
      __/___,}`゛゛´/  | |,   ,.. --'´,l_|_`<     /.ノ ,   ,イ,: l! , ,j! , ト、
     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

後味良いので頼みたいぜ

まどか「―――え?」

ほむら「か、勘違いしないでね!?まどかのことが嫌いってわけじゃないの。むしろ誰よりも好きで大切よ。
    でも、同性に恋をするって気持ちがよくわからないし…まどろっこしいと思われるかもしれないけど、少しづつ慣らしたいの」

まどか「え、あ……」

ほむら「いきなり恋人は、やっぱりちょっと怖いから…そこから始めて、少しづつ距離を縮めていきたいの。……いや?」

まどか「う、ううん。全然! 仕方ないよ。そう思うのは自然だと思う」

ほむら「ほんと? じゃあ……私と恋人を前提に、付き合ってくれますか?」

まどか「は―――はい! こっちこそ、喜んで!」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
      __/___,}`゛゛´/  | |,   ,.. --'´,l_|_`<     /.ノ ,   ,イ,: l! , ,j! , ト、
     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

木間市

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
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    | {    /     /  ヽ-'/ /rrA ゛、 \ ,/  |./ :: ,ll         ゙': ゙i./
    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

ほむら「それじゃ、えっと……どうすればいいのかしら」

まどか「さ、さあ…?とりあえず行こっか?」

ほむら「どこへ?」

まどか「どこでもいいよ。行こう、ほむらちゃん。 その…手、繋いでもいい?」スッ

ほむら「それくらいなら、喜んで」ギュッ

まどか「うぇひひ…やっぱりほむらちゃんの手、スベスベで気持ちいい」

ほむら「まどかの手も、ぷにぷにで暖かいわ」

まどか「……これからよろしくね、ほむらちゃん?」

ほむら「ええ。願わくば、末永くね」

まどか「うん! それじゃ、さようならマミさん。本当に……へ?」

ほむら「巴さんすみません。失礼します…あれ?」


まどほむ「「居ない……?」」


ほむら「…気を使わせちゃったみたいね」

まどか「また今度、しっかりきっちりお詫びもお礼もしないと」

~マミホーム~

マミ「はぁ……なんだかねえ。雨降って地固まるというか、元の鞘に納まったというか…」

マミ「そもそも元から私は必要だったのかしら。もう二人で好きにやってちょうだいって感じだったんだけど。
   流石にあの場で、自分がどうしようもないお邪魔虫だってことぐらい分かってるわよ」

マミ「……ちょっと、うらやましいなあ」

マミ「女の子同士っていうのは別にどうでも良いんだけど、やっぱり恋愛って素敵よね。
   恋に恋焦がれるというか……はしたないけど、憧れちゃうわ」

マミ「…あ~あ。クリスマスも暇だったし、今年の年越しは一人なのかしら」

ピンポーン

マミ「誰か予定空いてないか、もう一回連絡でも……あら?」

ガチャッ

杏子「勝手に邪魔するぞー。お、やっぱりマミ一人か」

マミ「佐倉さん……」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
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       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
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       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
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    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
     `゛     Y   /    ./ /,. |.|.| | |      V../' ヽ.          リ _
           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

杏子「いやー、さっきまどかとほむらから連絡来てさ。すっげえ謝られちまった。
   なんか色々解決して上手くいったらしいけど…話は聞いたよ。大変だったな、お前も」

マミ「全くだわ。振り回すだけ振り回されて、変なレッテルを貼られかけて……散々だったわね」

杏子「こっちも、何がなんだか知らんうちに終わってやんの。アタシとしちゃメシの種もできたし、別に良いんだけどな」

マミ「ポジティブねぇ…。ところで佐倉さんは、途中から鹿目さんの味方をしてたのよね?」

杏子「まーな。あいつの話…まあ勘違いだったんだけど。
   それ聞いて、アタシもお前にちょっとイラッとしちゃってさ」

マミ「本当に濡れ衣極まりないわ」

杏子「でもお前らだって、もうちょっと賢いやり方あっただろ。そりゃ勘違いの一つもされるっつーの」

マミ「あれでも本気だったのよ…本気でいけると思ってたのよ……」

杏子「なお性質が悪いな」

マミ「返す言葉も無いわね」

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
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    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
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           |  ー |     L, / r--< | |        l./  ヽ        / 

マミ「ま、みんな仲良くできていればそれで良いんだけどね。あんな空気、二度とゴメンよ」

杏子「仲が良すぎて、行き着くとこまで行っちまったけどな」

マミ「ケンカしてるよりはマシよ、多分」

杏子「やれやれ…これから顔を合わせるたびにイチャイチャ見せつけられんのか。ちょっとしんどそうだな」

マミ「我慢しましょう。 ……でも、ちょっとだけ悔しいわね」

杏子「妙な敗北感がすごいな。あーあ、やってらんねー」

マミ「せっかくだしお茶でも飲んでく?一人ぼっちは寂しいものね」

杏子「ああ。暇な時くらいは付き合ってやるよ」

マミ「ふふっ、ありがと」

杏子「……にしても、なあ?」

マミ「ええ。………他人はともかく、ねえ?」


杏マミ「やっぱり自分がレズっていうのは無い(よなあ)わよね~」




おしまい

          >r  l | ,/           /    ヽ
          /  __|i 〉       ,.     /     、 `、
         ム (( ,,./   /    /     / ヽ     ヽ i
        / / >r,|   /    イ    //   | l    ト、|
        '´´゛//,L/| |  |  __,/_|-/ //  , --、l_,|、    |ヽ|
          //   | |  | '´/  ヽ|/ /      |/ヽ   .ト、|
         /イ  ,/l |  l .〃 yr=ミ:、     !/行ミt |  / =、
       ,/ヽ、 | / ヽヽ|  i、| .{_ヒri}゙     ゙ ヒrリ.》....| /,.\、,,)r゙''"''ー弋辷_,,..ィ
       |  \ー、__l|_>、ヽヽ,,ー‐'   i    ー‐'  | /``ミミ,   i'⌒!  ミミ=
       ヽ    \_   ____;iヾ     .{ニニニィ     /.= -三t   f゙'ー'l   ,三
      r、 `ヽ、   `゛゙ ー<´ヽ、   ∨    }    _,<__r'´ ,シ彡、 lト  l!  ,:ミ...
      | `ー -`=-、____,.--r-,-iヾ 、 _ .゙こ三/.,..イ´ /   | .../^'''7  ├''ヾ!
      \  .\-----/  //  ヽヽ<` 二´ _.イ /`ヽ、. /    l   ト、 \.
       }、__  `> /  //    \ , | //´,. /    / 〃ミ ,r''f!  l! ヽ.
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     / /    /    l / r'´  ,.イ/ l,|\  `ヽ、 l/ / ./ ィ,/ :'     ':. l ヽ.}
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    ヽ゛、    、     /    ./ ./ |.|.| | |   `  .../  /ll         '゙ !
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これで終わり

後日談とかも考えてあったけど、眠くてそれどころじゃないんで寝ます
おやすみなさい


              .,-'''''~~~ ̄ ̄~~''' - 、
 \      ,へ.人ゝ __,,.--──--.、_/              _,,..-一" ̄
   \  £. CO/ ̄            \       _,,..-" ̄   __,,,...--
      ∫  /         ,、.,、       |,,-¬ ̄   _...-¬ ̄
 乙   イ /    /   ._//ノ \丿    ..|__,,..-¬ ̄     __,.-一
      .人 | / ../-" ̄   ||   | 丿 /  ).  _,,..-─" ̄   ._,,,
 マ    .ゝ∨ / ||        " 丿/ノ--冖 ̄ __,,,,....-─¬ ̄
        ( \∨| "  t-¬,,...-一" ̄ __--¬ ̄
 ミ  ⊂-)\_)` -一二 ̄,,..=¬厂~~ (_,,/")

     .⊂--一'''''""|=|( 干. |=| |_      (/
   /  ( /      ∪.冫 干∪ 人 ` 、    `
 /      )         ノ '`--一`ヽ  冫
                 く..          /
                .  ト─-----イ |
                  ∪       ∪

乙乙乙!
後日談とやらのために保守すりゃいいのか?

後日談って言っても所詮おまけだし、
どうせまどほむでヤマもオチも無くイチャイチャやってるだけだし、別にいいです

さやかは今回は縁が無かったということで、スレタイに出してごめんなさい

ホシュラチャン!

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

なんか起きたらまだスレあるし、乙女座出て来てるしで、
これ以上待たせるのも申し訳ないからおまけ書きます

あと、まどほむだけしか出てこないけどエロは無理だからそのつもりで

うほ、ヘロヘロになりながらも起きてた甲斐があるってものだぜ

―おまけ―


ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ

知久「まどかー!朝だよ、そろそろ起きなきゃいけないんじゃなかったのかい」

まどか「ん……んん…」

知久「お友達との待ち合わせに遅れちゃうよ!」

まどか「お友達……?ん、いま何時……」

ピピピッ、ピピ、カチッ

まどか「なな…違う。8時……?ううん、これ9時だ」

まどか「なんだ、9時前かぁ………9時!? うそっ!」

ドタドタドタ…

まどか「わーーー!うそうそ、もうこんな時間なんて!」

ガチャッ!

まどか「おはよう!」

知久「おそようだよ、まどか」

詢子「たま~にやらかすね、まどかは」

タツヤ「まろか、ねぼすけ~」

まどか「ごめんなさいっ。ご、ごはんは……」

知久「いまパン焼いてるから、髪の毛梳かして顔洗ってきたらどうだい。ボサボサだよ」

詢子「そうそう。そんな成りで外に出たら、女が廃るってもんさ。慌てず急げってね」

まどか「うん、お願い!」

詢子「ホント、遠足の前の日とかになると眠れなくなるんだからさ」

知久「で、寝坊ってパターンだね。そういうところは変わらないなあ」

まどか「それじゃ、いってきまーす!」ガチャッ

詢子「はいよ、行ってきな。遊園地に行くんだっけ?気合入ってんね~」

知久「気をつけてね。遅くなるなら連絡入れるんだよ」

まどか「はーい!」

タツヤ「いってあっしゃ~い」

バタン

まどか「今は…9時40分。大丈夫、駅前まで十分間に合う」

まどか「早く行かないと…ほむらちゃんよりも先に着かないと『ううん、今来たところだよ』って言えない!」

しつけえこのスレでさやかはあきらめろ

タッタッタッタッ

まどか「はぁっ…はぁ…」

まどか(服が乱れないように走るのって結構大変……ほむらちゃん、まだ来てないよね?)

まどか(いつも時間に厳しいし、30分前でも普通に居そうだもん。急がないと…)

まどか(息を切らしたまま会うわけにもいかないし…ああ、もう!なんでもっと早く起きなかったんだろ!)

まどか「…噴水が見えた! やった、間に合―――」

ほむら「30分前は流石に早く来すぎかしら―――え?」

ドンッ!

ほむら「キャッ!」

まどか「きゃぁっ!」

まどか「いたた……すみません、ちょっと急いでて…って、ほむらちゃん!?」

ほむら「っつぅ…あら、まどか。おはよう」

まどか「あ、うん」

まどか(どうしよう、タイミング最悪だよ…)

ほむら「ごめんなさいね、私も不注意だったわ。大丈夫?」

まどか「え? う、うん。平気、いま来たところだよ!」

ほむら「は? ええ…そうなんでしょうね。見ればわかるけど」

まどか「あ……」

まどか(わたしのバカー!)

まどか「うぅ…セリフ一つも、まともに言えないなんて……」

ほむら「ほ、ほんとに大丈夫?」

まどか「…ゴメンね、こんなダメな人間で」

ほむら「いえ、それは別にいいのだけど。よくわからないけど元気出してね。
    取り合えず揃ったんだし、ちょっと早いけど行きましょうか?」

まどか「そうだね……うん。いつまでも沈んでちゃ楽しくないよね。行こっ、ほむらちゃん」

ほむら「今の時間なら…丁度いいわ。五分後に出る準急に乗りましょう」

まどか「わかったよ。二人っきりで電車に乗って出かけるのは初めてだよね。てぃひひ!」

ほむら「そうね。もっと言えば、一日かけて出かけること自体が初めてね。
    いつもは放課後の寄り道だとか、皆で出掛けたりとかばっかりだったから」

まどか「でしょ?だから、今日はとっても楽しみにしてたんだ。付き合ってから初めてのデート」

ほむら「デ、デート!?」

まどか「そうだよ。だってほら、わたし達って恋人見習いみたいなものなんだし。
    デートって言うのはおかしいのかな。ほむらちゃんはイヤ?」

ほむら「いえ……構わないわ。そうね。考えてみれば、これはデートって言ってもいいかもね」

まどか「うん!だから、いままでで一番ワクワクしてるんだ。さあ、切符買わなくちゃ」

ガタン…ガタンゴトン……

まどか「そういえばほむらちゃんも、この前はあの遊園地に来てたんだよね?」

ほむら「ええ。あなたが杏子と上手くいくようにって、巴さんと後を尾けてたのよ。とんだ勘違いだったけど…」

まどか「あ、あはは…それはもういいじゃない。それよりも、やっぱり結構遊んだの?」

ほむら「ううん。あなた達に付き合おうと思ったら、最初の連続ジェットコースターで気分が悪くなっちゃって」

まどか「そうなんだ。ほむらちゃんは絶叫系が苦手なんだね」

ほむら「苦手というか、あれだけ乗れば大体の人が嫌になると思うけど…」

まどか「そうかなぁ?ま、いいや。そういうことなら、ほとんど遊んでないってことだね。 ……よかった」

ほむら「何が良かったの?」

まどか「だって、わたしもまだまだ乗りたいもの沢山あったし…
    二人とも初めてなら、きっと一緒に楽しめるなって。そう思ったらちょっと嬉しくなったの」

ほむら「……うん。そうね。私も楽しみだから、その…
    あの時みたいに、絶叫マシーン巡りだけは勘弁してくれないかしら?」

まどか「てぃひっ、大丈夫だよ。ほむらちゃんも楽しめるように、ちゃんと回るアトラクションは考えてあるんだ!」

ほむら「そ、そうなの?なら安心ね。準備がいいのね、まどか」

まどか(そのせいで夜更かしして寝坊しかけた、なんて事は絶対に言えないけど)

紫煙

ほむほむまどまど

まどか「着いたー!」

ほむら「やっぱり人が一杯ね。この前よりも断然多いわ」

まどか「冬休みだもん。家族で来てる人とかも沢山いるね」

ほむら「この様子だと、乗るものは選ばないとかなり並ぶことになるかも」

まどか「そうだけど…今日は人が混みそうなアトラクションは避けるつもりだし、そんなに気にすること無いと思うよ」

ほむら「そっか。じゃあ、こういうところって勝手が良く分からないし、まどかに任せるわね」

まどか「うぇひひ!ほむらちゃんに楽しんでもらえるか、責任重大だね」

ほむら「ううん、そんなこと気にしないで。
    私は、まどかと遊んだり一緒に居られさえすれば、それだけで楽しいの」

まどか「ほむらちゃ……」キュン

ほむら「だから二人で一緒に、目一杯楽しみましょう?デートなんだもの」

まどか「う…うん!わたしも同じ気持ちだよ。ほむらちゃんと一緒に居るだけで幸せ!」

ほむら「嬉しいけど、せっかく来たんだから遊ばないと。案内お願いするわね、まどか」

まどか「もちろん任せて。ついてきてよ!」

ほむら「ここは……」

まどか「コーヒーカップだね」

ほむら「え、だって。これって、前に乗ってたときは……」

まどか「うぇひひっ、大丈夫だよほむらちゃん。わたしのあれは間違った遊び方だから。
    ほんとはゆっくり回りながら楽しむものなんだよ?ハンドルで回るスピードを調節するの」

ほむら「そういうものなの?それなら平気…なのかしら」

まどか「そういうものなの。今なら空いてるし、最初はこれに乗ろうよ」

ほむら「でも、これ子供向けなんじゃ…と思ったけど、意外と大人も待ってるものなのね」

まどか「うん。お母さん達が子供と一緒に乗るとかじゃなくって、その…カ、カップルの人とかも多いんだよ///」

ほむら「言われて見れば確かに…じゃあ、私達も乗っていいのね」

まどか「あ……うん、乗ろう乗ろう!」

まどか(わたしのこと、ちゃんと恋人として考えてくれてるんだ…)

支援でござる

ウンテンチュウニ、タチアガラナイデクダサイ prrrrrrrr!

ほむら「……当たり前だけど、回ってるわね」

まどか「こうやって見てると、景色も面白いでしょ?」

ほむら「ええ。それに、なんていうか…解放的なはずなのに、カップの中だけ二人の空間みたい」

まどか「そうだね。周りがうるさいからほむらちゃんの声しか聞き取れないし、ほんとに二人っきりと思っちゃう」

ほむら「だからみんな、恋人同士で乗りたいって思うのかもね」

まどか「せっかくだしもうちょっと速くしてみる?」

ほむら「それはやめて」

ほむん

まどか「楽しかったね~」

ほむら「コーヒーカップ、侮れないわね。 次はどこに行く?」

まどか「この次はねぇ……あった、すぐそこだよ!」

ほむら「あれって…おばけ屋敷?」

まどか「うん。ここのお化け屋敷は、実際に人間がお化けに扮装していますので迫力満点!……らしいよ」

ほむら「迫力、ねえ……まどかはお化けとか平気なの?」

まどか「ちょっと怖い…かも知れないけど、平気だよ。ほむらちゃんが一緒だもん」

ほむら「ん……わかったわ。妙なことが起きないように、一緒に行きましょう」

まどか「うん!」

~お化け屋敷 内部~

まどか「思ったより暗いね…ほむらちゃん、居る?」

ほむら「ここに居るわ。それにしても、ひんやりしてて音も無くって…思ったより本格的ね。舐めていたわ」

まどか「わたしもだよ……ごめんほむらちゃん。手、繋いでもいい?」

ほむら「え、ええ。勿論よ。私もちょっと、この雰囲気は……」ギュッ

まどか「暖かい……じゃなかった。
    ほむらちゃん、こういうの慣れてそうなのにね」ギュッ

ほむら「魔女の類は見慣れてるけど、考えてみれば化け物とお化けって別物なのよね…」

ガタンッ

ほむら「キャッ!?」ガバッ

まどか「わわっ!?ほ、ほむらちゃ、腕……///」

ほむら「ご、ごめんなさい!急でビックリしちゃって……」

まどか「う、ううん、いいの。離れなくってもいいから気にしないで!」

まどか(左腕がほむらちゃんにピッタリくっついてて、髪も良い匂いで、幸せだよぉ……)

初々しいなぁ

昼飯なら言ってくれれば代行してやるというのに

ほしゅる

ケケケケケ!

ほむら「うぅ……なんなのよ。脅かすならさっさと、堂々と脅かせばいいのに…」

まどか「そ、それじゃ、お化け屋敷の意味無いんじゃないかな…」

ほむら「そうだけど、これじゃ生殺しみたいで気味が悪いわ」

まどか(生殺しはこっちだよ。ほむらちゃん体ごと寄って、ますますくっついてきてるし…
    もう腕がおっぱいに挟まれてて、息が耳にあたって、気持ち良くってお化け屋敷に全然集中できない!)

ほむら「第一、ここって人間がお化けやってるんじゃなかったの?
    全然出て来ないじゃない。こんなお化け屋敷、聞いたことない…」

キャァァァァァァ!

ほむら「いやぁぁぁぁぁ!」ガバッ

まどか「ほ、ほほほほむらちゃん!?だ、大丈夫だから、落ち着いて!
    わたしも決して怖くないわけじゃないっていうか。その、嬉しいけどまだわたしたちには早いっていうか…」

まどか落ち着けwwww

ほむら「もうやだぁ……」メソメソ

まどか(…なんて、言ってる場合じゃないかな)

まどか「よしよし、平気だよほむらちゃん。落ち着くまでここでこうしてようね」ナデナデ

ほむら「うん…」

まどか「それにしてもほむらちゃんの言うとおり、お化け出てこないなあ。 怪我か病気で、中の人が居ないのかな?」

ほむら「まどかぁ…」ギュッ

まどか「ほむらちゃんったら…ちょっと苦しいよ?
    てぃひひっ。でも、こんなほむらちゃんもすっごく可愛い…」ギュッ

スタッフ(うわぁ……百合ん百合んだわ。普通のカップルなら殺すつもりで邪魔するけど、出辛えな……)

このスタッフは出来ておる楠

スタッフワロタ

ほむら「はぁ…はぁ……あ、外…?」

まどか「結局お化けっぽい人はほとんど居なかったなあ。
    事情があって人が足りないのかな?仕掛けだけでもけっこう怖かったけど」

ほむら「あの…」

まどか「ほむらちゃん、もういいの?」

ほむら「うん。その……ごめんね。あんなに大きな口叩いておいて、恥ずかしい…」

まどか「ううん、気にしないで。誰だって苦手なものはあるよ。恥ずかしくなんかない」

ほむら「でも…」

まどか「いいの。わたしも頼ってもらって嬉しかったし、それに…ほむらちゃん、とっても可愛かった」

ほむら「なっ……やめてよ、もう…///」

まどか「うぇひひ!これからもほむらちゃんのそういうところ、もっといっぱいいっぱい見たいなぁ?」

ほむら「知らない!早く次に行きましょう!」

まどか「あっ、待ってよほむらちゃん。ふふっ…」

スタッフ「ごちそう様でした!!」

まどか「あ、ほむらちゃんストップ。次はここだよ」

ほむら「ここが? これって……」

まどか「うん。メリーゴーランド」

ほむら「へぇ……遊園地じゃ特に有名だけど、実物を見るのは初めてだわ」

まどか「小さい子の乗り物だって思われてるけど、ちゃんと大人の人だって乗れるんだよ」

ほむら「ここも、そんなに混んでないからすぐ乗れそうね」

まどか「定番だけど、ジェットコースターとかに比べたら乗りたがる人は居ないから」

ほむら「わりと恥ずかしいものね。でも、ちょっと乗ってみたいかも…」

まどか「うぇひひ、実はわたしも。ね、これも一緒に乗ろうよ」

ほむら「いいけど、メリーゴーランドに?
    えっと、二人乗りのは……あの馬車みたいなやつはどう?」

まどか「だめだめ!それじゃコーヒーカップと変わらないよ。メリーゴーランドって言ったら、やっぱり…」

ほむら「………?」

ほっしゅ

マモナク、ウゴキダシマス

まどか「始まるって。ほら、ほむらちゃん、ちゃんとポール握っててね」

ほむら「わかったけど、まどか。これって……」

まどか「うん。メリーゴーランドって言ったら、やっぱりお馬さんだよね!」

ほむら「子供用に作られてるせいか、ちょっとバランスが取りにくいわ。それに二人乗りなんて…」

まどか「ちゃんとなにかにしがみ付いてれば大丈夫。
    わたしはポールとかないから、ほむらちゃんに抱きつかせてもらうね?」

ほむら「う、うん……///」

まどか「ほむらちゃん細くて背も高くてスタイルいいから、ぎゅってしやすいね。やわらかーい♪」

ほむら「んんっ…くすぐったいわ。まどか、あんまり背中は…」

まどか「気持ち良いなぁ」スリスリ

ほむら「んっ。もう……」

ガタッ ゴウン、ゴウン…

ほむら「あ……」

まどか「どう?すごいでしょ」

ほむら「うん。見えるものがちょっと違って、不思議な感じ」

まどか「わたしもずっと前。今のたっくんぐらいの時に乗ったきりなんだけど、初めて乗ったときはすっごく興奮したよ」

ほむら「子供が夢中になるのも、ちょっとわかる気がする」

まどか「大人だって乗っちゃいけないわけじゃないよ。
    楽しみ方だって色々あるから。今のわたしみたいに、好きな人と一緒に乗るとか…」

ほむら「キャッ!わぁ……見て、まどか。上下に動いてるわ。 あはっ!」

まどか「好きな人の喜んでる顔が見られるとか、それだけで充分だもん」

ほむら「まどか、落ちないようにね!」

まどか「うん。ちゃんとしがみ付いてるから、大丈夫だよ」ギュッ

まどか(ほむらちゃんの心臓、すっごくドキドキしてる……わたしとおんなじくらいかな?)

まどっち積極的なんやな

ほむら「はぁ…楽しかった……」

まどか「うん。わたしも久しぶりに乗ると、昔を思い出して面白かったな」

ほむら「初めてでも、そうでなくっても楽しめるのね」

まどか「ずっと昔からあるのには、やっぱり人気と理由があるんだよ。きっと」

ほむら「……また、乗りたいわね」

まどか「…そうだね。今度はわたしが前で、ほむらちゃんが後ろがいいな」

ほむら「ええ、また一緒にね。 次はどこに行く?」

まどか「んー、そろそろお昼にしよっか?」

ほむら「それもいいわね。早めに済ませておけば、その分空いてる時間に遊べるかも」

まどか「うん。あっ、ほむらちゃん、あそこのレストラン入ろうよ!」

まどか「なに食べるか決めた?」

ほむら「私はボンゴレビアンコ。ドリンクはホットコーヒーで」

まどか「えーっと、それじゃわたしはオムハヤシにしようかな。それとクリームソーダ!」

ほむら「クリームソーダ?」

まどか「うん、好きなんだあ。…こ、子供っぽいかな……?」

ほむら「ううん。まどからしくて、可愛くて良いと思う」

まどか「ふぇっ!? あ…あ、ありがとう……///」

ほむら「じゃあ店員さん呼ぶわね」

まどか(わたしらしくって可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた)プシューッ

夏場に飲むクリームソーダの美味さは異常支援

本編がずっと不穏な空気だったのもあって、この後日談は心が洗われるようで大変すばらしいものになっているな

店員「以上で御注文の品はお揃いでしょうか?」

まどか「はい、ありがとうございます」

ほむら「それじゃ、冷めないうちに食べましょうか」

まどか「そだね…はむっ。うん、美味しい!」

ほむら「ええ、こっちも。良い味してるわ」

まどか「…………」モグモグ

ほむら「…………」ホムホム

まどか「…………」モグモグ

まどか(はっ! これって……もしかして、チャンスなんじゃ!)

まどか「ほ、ほむらちゃん。そのスパゲティ美味しい?」

ほむら「ええ。さっきから言ってるけど、嘘じゃないわよ。良かったら食べてみる?」

まどか「いいの!?」

ほむら「別に構わないわよ。ちょっと待ってて、いま店員さんにもう一本フォークを…」

まどか「ス、ストップ! いいよそんなの。代わりのフォーク要らない!」

ほむら「そう?でもスプーンじゃ食べにくいし、そうなったら私のフォークしかないし……」

まどか「ほ、ほ、ほ、ほむらちゃんさえよかったら、そのフォーク使ってもいいかな?」

ほむら「え、それでいいの?いえ、私は構わないし、衛生的にも大きな問題は無いと思うけど」

まどか「うんうん。わざわざ店員さんに持ってきてもらうのも申し訳ないし、わたしはそれでいいよ」

ほむら「まどか……そんな小さな気遣いまで忘れないなんて…」

まどか(やった、これで食べさせあいっこができる!)

ほむほむ鈍過ぎってか理解が明後日の方向杉wwwwww

まどか「じゃあ貰ってばっかりも悪いし、まずはわたしのお料理食べてよ。 はい、あ…あーん」

ほむら「えっ!? …ちょ、ちょっと、まどか?それは……」

まどか「ほむらちゃん。ほら、あーんって」

ほむら「うぅ……あ、あーん///」パクッ

まどか「ん、じゃあ、わたしも…あ、あーん///」

ほむら「う、うん……はい、まどか」

まどか「はむっ。……ん~、美味しいっ!」

ほむら「え、ええ。あなたのも、美味しかったわ…」

まどか「じゃあ次はクリームソーダも食べる?はい、あーん」

ほむら「あ……もうっ、あーん!」パクッ

店員「・・・・・・眼福です!」

まどか「あー、美味しかったね。大満足!」

ほむら「そうね。お腹いっぱい…」

ほむら(美味しかったけど、途中から恥ずかしくて味が……)

ほむら「さて…そろそろ店の中も混んできたし、出ましょうか」

まどか「そうだね。まだまだ乗りものはたっくさんあるよ。いこっ!」

ほむら「ええ。次はどこに行くの?」

まどか「次はね、向こうの―――」

四円

それから遊園地の中をたくさん、ほむらちゃんと回りました。

ミラーハウスに入ったり、ゲームコーナーのようなところに行ったり、
留守番をしてくれてるみんなへのお土産を見て回ったり、あとは一度だけジェットコースターにも乗ったりしました。

ほむらちゃんも(一部を除いて)とっても楽しそうで、そんなほむらちゃんと一緒に居るだけでわたしも幸せです。

ずっと夢見て憧れてたデートは、思ってたよりもずっと楽しくて。
時間を忘れちゃうほどにわたしたちは歩いて、話して、一緒に笑いました。

でも、楽しければ楽しいほど時間は早く過ぎてしまうもので―――

まどか「ほむらちゃん、射的すっごく上手だったね!今日一番の点数だったって言ってたよ」

ほむら「慣れてるだけよ。……それにしても、少し暗いわね。今は何時かしら?」

まどか「あ…もうこんな時間。そんなに遊んだっけ……?」

気が付けば太陽は随分傾いて、空は薄っすらと赤くなり始めていました。

一部を除いて……ほむほむよく我慢したな

冬なので陽が沈むのが早いとは言っても、太陽が沈めば夜は夜です。
いくら魔法少女でも中学生の女の子だけで遠くの、よく知らない場所にいるものではありません。

ほむら「そろそろ帰らないと、帰りが混むかも。御両親も心配するだろうし」

まどか「うん、そうだね…」

名残惜しいけど、ほむらちゃんの言うとおりです。

ただでさえ、普段から魔女退治でパパたちに帰りが遅いと思われているのです。
ちょっとの遅れくらいなら連絡すればなんとかなるけど、もしものことを思うと早く帰った方がいいでしょう。

でも、その前に。最後に…

まどか「帰る前に、一つだけ乗りたいものがあるの。よかったら付き合ってほしいな?」

ほむら「ええ。一つぐらいなら大丈夫でしょうけど…どこに行くの?」

わたしが考えたデートプランの締めくくり。
これにほむらちゃんと乗って終わろうって、最初に決めてた場所へ。

まどか「あれだよ」

ほむら「あれって……?」

わたしが指差した先では、大きな大きな丸い観覧車が、ゆっくりと回っていました。

>観覧車
まどかはよく分かってるな

運が良かったのか時間帯が良かったのか。
観覧車はそこまで混んでなくて、すぐにわたしたちの番が来ました。

まどか「ほら、ほむらちゃん。早く乗って」

ほむら「え、ええ」

扉が開いてからもゆっくりと動き続けるゴンドラに、急いで乗り込みます。
ほむらちゃんは初めてのせいで慣れてないのか、おずおずといった風にわたしの後に続きました。

わたしたちが乗って数秒後。扉がガコン、という音と共にスライドして閉まりました。
ゴンドラは何事もなかったかのように動き続け、地面がゆっくり。でも確実に離れていきます。

ほむら「これが観覧車……けっこう高く感じるのね」

まどか「まだまだ高くなるんだよ。この観覧車は、たしか…70メートルちょっとだったかな?」

ほむら「へえ…そんなに高いところから町を見渡せたら、きっと素敵なんでしょうね。楽しみだわ」

ほむらちゃんが眼を細めながら、入って右手の座席に座りました。
わたしも……ちょっぴり勇気を出して、ほむらちゃんの隣に座ります。

ほむらちゃんはなんにも言わずにチラッとわたしを見て、少し微笑んで外の景色へと視線を戻しました。

それが『隣に居てもいいんだよ』って言ってくれているように思えて、また少し嬉しくなっちゃうのでした。

盛り上がってまいりました

ゴンドラが全体の四分の一ほどを過ぎました。

空は更に赤みを帯び、町並みは随分遠くまで見渡せるようになっています。
豆粒のような大きさ…というと少し言いすぎかもしれないけれど、遠くに小さく見滝原のショッピングセンターも見えます。

ここからだからこそ見えるもの。
道行く人の流れ。夕暮れに淡く輝く、車や建物の光。当たり前のように送られる営み。

この平和すべてを、とは言わないけど。その内の少しでもわたしたちが守っているのだと思うと誇らしくなります。

隣のほむらちゃんを、チラッと見てみます。
ほむらちゃんは変わらない微笑を浮かべながら、さっきまでのわたしが見てた場所と同じ辺りを見ていました。

ほむらちゃんも、わたしと同じことを考えてるのかな?

そんなことを考えながら見つめていると、わたしの視線に気が付いたのでしょうか。
ほむらちゃんの視線だけがこっちに向いて、少し首を傾げます。

ほむら「どうかした?」

まどか「ううん。いい眺めだなーって思ってたの」

考えてみれば、ほむらちゃんの顔を見ながら良い眺めも何もないものだけど…
あえて指摘することでもないと思ったのか、ほむらちゃんは『そう。私もよ』とだけ言って、また視線を外に戻しました。

それからしばらくの間は会話もなく、時間だけがゆっくりと過ぎていきました。

傍から見れば味気ないと思うかもしれないけれど…わたしは、とっても満たされていました。

好きな人と言葉を交わして触れ合ったりしなくても、同じ場所で、同じものを見て同じ事を思う。
それがどれだけ幸せな事か、今のわたしなら十分に理解できます。

ほむらちゃんも、こんな気持ちになってくれてるといいな。

そう思ってほむらちゃんの横顔を見ていると、突然、ほむらちゃんが首ごとこっちを向きました。
唐突に視線が合ったので、妙な気恥ずかしさに囚われてドキドキしていると、ほむらちゃんはニコッと笑って言いました。

ほむら「今日はありがとう」

唐突なお礼の言葉に、思わず首を傾げてしまいます。
別に今日はお礼を言われるようなことはしていないはずだけど……?

ほむら「私ね、今までこんな風に普通の女の子みたいに遊んだことってなかったの。
    何の心配も悩み事もなく、心の底から友達と笑いあえるなんて初めてだった」

ほむら「今日は魔女のことも、今ままでのことも、これから先のことも何もかも忘れてまどかと楽しめたわ」

ほむら「だから言わせて。 ありがとう」

そう言ったほむらちゃんの笑顔は少しだけ、寂しげでした。

黄昏時の眺望に高所に狭い密室で2人きりとか…
観覧車ってどんだけすげーアイテムなんだよ…

その笑顔を見てわたしは唐突に、自分がほむらちゃんの事をほとんど知らないのだと言うことに、今更ながら気付きました。

ほむらちゃんは、未来から来たそうです。
わたしを守るために魔法少女になって、何度も何度も違う時を生きてきたのだと。

今回は色々と心配が無い時間軸に収まって安心した。と言っていたのですが、それでもこれまでの苦労は並大抵ではなかったのでしょう。

ほむら「言いたかったのはそれだけ。 こんな時じゃないと、面と向かって言えそうにないから…ごめんね」

ほむらちゃんは、あまり昔のことを話したがりません。

大まかなことはともかく、詳しい話になればいつも適当に誤魔化されたり、はぐらかされます。
それはもちろん、わたし達に聞かせるような楽しい話ではないと思っての、ほむらちゃんの気遣いでしょう。

わたしもほむらちゃんの意思を尊重して訊かないでいましたし、今までもこれからもそれで良いと思っています。

別に昔のことを無理にほじくり返さなくったって、ほむらちゃんの事を知ることはできるから。
だから、他でもないほむらちゃんが"話したくない"のではなく"話さなくていい"と考えたなら、それでいいのです。

それになによりも、ほむらちゃんは今日、何もかも忘れられたと言ってくれました。

それは他の誰でも無い、わたしを。『鹿目まどか』だけを見てくれていたということで…
それだけでわたしは幸せです。これ以上に、嬉しいことはないのです。

だから、そんなわたしには、今のほむらちゃんに返してあげられる言葉もなくって。 

ただ一言

まどか「また、何度でも来ようね」

そう言っただけでした。それだけで十分だと思いました。

ほむら「……うん」

ほむらちゃんも、今度はにっこりと笑って頷いてくれました。

まどっちが既に良妻賢母の域に達している件について

天使だからな

そうしている間にも、時間は進んでいます。
気が付けば、もう観覧車は最上部付近まで来ていました。

まどか「ほら見て、ほむらちゃん。今が一番の見所だよ」

先程にも増して壮観な景色は、昔見たそれとは少し違っていて。
いつの間にか夕日で真っ赤に染まっていた町や、遠くに見える海には、不思議と胸が透くような爽やかさがありました。

まどか「ね、すごいでしょ」

ほむらちゃんは、どんな顔で見ているんだろう。
ふと気になって隣を見ます。

そこには―――


まどか「綺麗……」


燃えるような赤に全身を照らされながら眼を細める、とても美しい女の子がいました。

ほむら「ほんと。綺麗ね…」

ほむらちゃんは外を向きながらわたしの言葉に同意して、ぼそりと呟きます。

でも、違うのです。わたしが見ていたのはあなた。

風も吹いていないのにサラサラと揺れる黒い髪。少し眩しそうに細めた目から覗く、紫がかった瞳。
白い肌。ほっそりとした指。ほむらちゃんの全てが赤く染まって、背後の景色と調和して。

それはまるで、一つの絵画を見ているような気分になってしまうのでした。


ああ…わたしは本当に、ほむらちゃんの事を知らないんだなあ。

うっとりとした顔で町並みを見下ろす彼女を見て、改めて心底そう思いました。

にっこりと笑うほむらちゃん。無邪気にはしゃぐほむらちゃん。ちょっと拗ねたほむらちゃん。
しがみつかれて照れたり、怖がって叫んじゃう。そんな普段のクールさとは程遠い、でも魅力的なほむらちゃん。

今日だけでもこんなに色んなほむらちゃんが見られて、わたしは今まで、そんなほむらちゃんを知らなくって。
それが嬉しくもあり、情けなくもありました。

でも、それでも一つだけ。少なくとも一つだけは変わらないと言えるものがあります。

それは、わたしがほむらちゃんを好きでい続ける。ほむらちゃんを愛し続けるということです。

ううん。それどころか、わたしがほむらちゃんを愛しいと思う気持ちは今、この瞬間にもますます大きくなって。
心の器から溢れそうになった"好き"は、もう言葉では言い表せないほどになっていました。

だから……



まどか「んっ…」



ちゅっ



乾いているようで、すこし湿り気が混じったような。そんな音が、ゴンドラの中で短く静かに響きます。

ほむら「……え?」

ほむらちゃんは呆然とした表情で、頬に…キスをされた場所に、そっと手を当てました。

まどか「…えへっ。キス、しちゃった」

わたしも顔を真っ赤にしながら。そして心臓をドキドキ言わせながら、そう言うのが精一杯でした。

ほむら「え…?えっ?えっ!?えぇっ!?」

夕日にも負けないくらいに顔を真っ赤にしながら、
身体ごとこっちに向いて手をわたわたさせて、ほむらちゃんは声をひっくり返らせます。

そんなに恥ずかしがられると、こっちまでなんだかよけいに恥ずかしくなっちゃうわけで…

だけど、そんな風に慌てるほむらちゃんも、初めて見るとっても可愛いほむらちゃんでした。

ほむらちゃんの頬に触れた唇から辿る様に、まるで温かいココアを飲んだみたいに胸やお腹が暖かくなっていって。
そのうち指先や髪の毛の一本一本まで幸せが染み渡るような、そんな気持ちがわたしを満たしていきます。

こんな気持ちのまま、これからもわたしが知らないほむらちゃんをたくさん見ていけたらいいな。

そう考えてしまうわたしの心は、まだまだ喜びと愛しさでいっぱいです。

これから先、わたしたちには色んな壁が待ってるんだろうけど…
きっとどれだけ時間が経っても、何度でも、この気持ちが色褪せることは無いって言い張れます。

一度だけじゃ、もう満足も我慢もできない。

まるで魔法にかかったように辛抱堪らなくなったわたしは、人目に触れる危険も放り出して再びほむらちゃんに顔を近づけていきます。

ほむら「あ……」

さっきまで慌てていたほむらちゃんも一回だけピクッと震えたあと、潤ませた瞳を閉じました。

胸の前で祈るように手を組んで、体は強張って、目尻に涙が滲むほどギュッと眼を閉じて。
それでもほむらちゃんは一度も後ろへ退くことなく、黙って顔を少しだけ突き出してくれました。

そんな彼女の姿がちょっとだけ弱々しく見えたけど、それでもやっぱり受け入れてくれたことが嬉しくて。

でも、わたしが知らないほむらちゃんがまだまだ居る今は、恋人だって堂々と言える自信は無くって。

わたしが胸を張って恋人見習いを卒業できたと思える時まで、ちゃんとしたキスは当分お預けです。

その時が来るのを待ち遠しくも楽しみにしながら、あなたへと贈る
とびっきりの好きとありがとうを、どうか受け取ってください。


まどか「大好きだよ」

わたしは彼女の震えている肩をしっかりと抱いて、永遠の愛を誓うような気持ちでもう一度


ちゅっ


真っ赤に染まった愛しい人の頬に、そっと口付けをしました。



地上まで、あと70メートル。

もう少しだけ、二人っきりの時間が終わるまで。この魔法は解けそうにありません。





おしまい

乙乙!
よくやった最高だ

乙っした!
観覧車の会話でホロリと来ちまったわ

今度こそ本当に終わりです
支援や保守してくれた人、ありがとう

今からもう一回寝ます、おやすみなさい

http://i.imgur.com/D8m34.jpg

最高や!
まどほむは宇宙の理だったんや!

http://i.imgur.com/HBp42.jpg

最高や!

http://i.imgur.com/d0oSK.jpg

最高だったのだ…

http://i.imgur.com/NNnEp.jpg

この辺にしておくか
また俺の力が必要になったら呼んでくれ!

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