竜騎士「孤島に残されサバイバル生活」(471)


■前作の続編になります

竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活」
竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1379945614/)


■前作のあらすじ

田舎の支部に左遷された竜騎士は、女武道家と出会う。
だが支部は経営危機に陥っており、本部から月末までに結果を挙げなければ、クビになるという。

竜騎士はクビを回避する為に月末までの目標をたてる。その利益額はおおよそ500万。

竜騎士と女武道家は町民の依頼をこなし、畑を作り、魚を釣り、自給自足といえる生活を始めた。
――やがて月末を迎え、努力の甲斐もあって無事に500万に到達、2人はクビを回避する。

全ての事柄が終わると、竜騎士は出会った人々の影響を受けて世界へと旅立つ事を決意。軍の"冒険部"へと志願した。

女武道家もまた、竜騎士の言葉を受けて共に冒険部へと志願。2人はパーティを組み、世界を駆け巡る。



物語は、そんな最中から再び始まる………

 
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――――【 南部にある孤島 】


軍人A「…おーい!そっちに行ったぞ!」

軍人B「分かってる、いいぞーーっ!」


グリフォン『ガアアアッ!!!』

ダッダッダッダッダッダ…!!


軍人B「…かかってこい!」スチャッ

ダダダダダダッ!!…バキィンッッ!!!


軍人B「うあっ!」

軍人A「おい、大丈夫か!」

 
軍人B「く…少尉殿!!そちらに向っています!」バッ

軍人A「かなり力があるようで、注意してください!」


…ビクビク

???「気のせいですよね、な…何かこっちに来てるような…」


軍人A「…申し訳ないです、"女武道家"少尉殿!」

軍人B「グリフォンがそちらに…お願いしますっ!」


女武道家「えっ、ちょ、私ぃぃ!?」

 
ダダダダダダッ!!!

グリフォン『グウウオオオオッ!!』

女武道家「こ、こっち来たぁぁ!」


グリフォン『グガアアッ!』


女武道家「や、やだぁぁ!気攻波連弾っっ!」ビュビュビュンッ!!!

…ドォンッ!!

グリフォン『グオッ…』


軍人A「おぉ!?」

軍人B「当たった!」

 
 
女武道家「…えっ?や、やった?」


フラフラ…ドサッ

グリフォン『』


女武道家「きゃーっ!やったぁぁ!」

軍人A「やった!」

軍人B「さすが少尉殿!」

女武道家「えへへ、さすが私ですね!」


…ゴツッ

女武道家「いたいっ!?」

 
???「…わき腹見ろ」


女武道家「え?あ…"竜騎士"さん!?…って、グリフォンの脇に竜騎士さんの槍が刺さってる…」

竜騎士「ったく、正面から打ち込むバカがいるか!俺が刺さなかったら、今頃、あの世だ!」

女武道家「あうう…」


軍人A「…やっぱり、少尉殿は少尉殿だったな」

軍人B「だな…」


女武道家「で、でも、私も役に立ちましたよね!」

竜騎士「囮という面ではな」

女武道家「むぅ…」

 
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軍人A「では、自分たちはグリフォンを運んでおきます」ビシッ

軍人B「ご苦労様です!運び終わるまで、休んでおいてください」

竜騎士「はいよー、ありがとさん」

女武道家「ご苦労様です!」


竜騎士「はーっ、やっと一息つけるな」

女武道家「今回の依頼も簡単なものでしたね!」

竜騎士「…」

女武道家「でも、こんな離れの島までやってくるとは思いませんでした」

 
竜騎士「グリフォンの生息域がこの辺だから仕方ないだろう。依頼主は、グリフォンの皮を欲しがってたし」

女武道家「船で往復2日、嵐にも恵まれず快晴でしたね」

竜騎士「そうだなー、今度は仕事じゃなくバカンスで来たいもんだ」

女武道家「是非来ましょうよ!」

竜騎士「んむ」


…サァァァッ

女武道家「いい風…」

竜騎士「島の周囲が海だからな。…潮風の匂いは嫌いじゃない。むしろ心地いい」スゥ

女武道家「ですねぇ」

 
…ザザァーン…

竜騎士「…」

女武道家「…」

竜騎士「…」


女武道家「…もう、故郷を出て1年過ぎてるんですね」

竜騎士「あー…そうだな」

女武道家「こうやって遠出して、空を見ると、みんな同じ空を見てるのかなーって思います」

竜騎士「私は成長しません、アホのままですーって言っとけ」

女武道家「ひ、ひどい…」

 
竜騎士「ははは、さて…そろそろ行くか。もう運び終わっただろ」

女武道家「ですね、戻りましょうっ」

…トコトコ


軍人A「あ、中佐殿。グリフォンは船に運び終わりました」

竜騎士「おー、ご苦労さん」

軍人A「午後から天気が荒れるそうなので、その前に本島に向います」

竜騎士「はいよー、じゃあ帰るかぁ」

女武道家「はいっ!」

 
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――――【 船の中 】


…ザアアアアッ!!!

女武道家「…うわっ、雨強くなってきましたね」


軍人B「ですね…おい、運転大丈夫か?」

軍人A「大丈夫だって。しかし、天気予報安定しないなぁ」


竜騎士「本格的に嵐になる前に本島着けるか?」

軍人A「どうでしょうか、風次第といった所ですが」

竜騎士「まぁ頼む」

軍人A「はい」

 
女武道家「私はちょっと…」トコトコ

竜騎士「どこ行くんだ?」

女武道家「ちょっと…」

竜騎士「あん?」


女武道家「…です」ボソボソ

竜騎士「聞こえねえって!」


女武道家「トイレですっっ!!」

竜騎士「お…おう」キーン

ガチャッ…バタンッ

 
竜騎士「相変わらず耳に響く…」

軍人A「はは、今のは中佐殿が悪いですよ」

竜騎士「ぬぅ」


ザァァッ…ビュウウウッ…

軍人A「んー…視界も悪くなってきましたね。急いだほうが良さそうだ」

軍人B「大丈夫か?手伝えることはあるか?」

軍人A「いや、今はないよ。船は頑丈だし、大丈夫だろう」

軍人B「わかった」

 
…ガチャッ

女武道家「たたた、大変ですー!」

竜騎士「あん?」

女武道家「とと、トイレの床から、水が染み出してます!」

竜騎士「…はぁ!?」


軍人A「えっ」

軍人B「え、えええ!?」

 
竜騎士「ちょっ、どこだ!」

女武道家「こっちです、来てください!」

 
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タッタッタッタ…

女武道家「足元が妙に冷たいなと思ったら、水が溢れてたんです!」

竜騎士「開けるぞ」

…グッ

 
竜騎士「…んっ?」

ググググッ

竜騎士「おい、開かないぞ」

 
女武道家「え?」

竜騎士「…あれ」

ググググッ…!!!


竜騎士「ふぬぬ…!」

女武道家「…竜騎士さん、どいてください!」

竜騎士「ん?」

女武道家「引いてダメなら…」スッ


竜騎士「おま、ちょっとま…」

女武道家「…押してみなぁぁっ!なんて!」ドォンッ!!!

 
バキィッ!!!!…ザバアァァンッ!!!


竜騎士「!?」

女武道家「!?」

ザァァァァッ!!!!
 
 
竜騎士「なな、何だぁ!?」

女武道家「凄い量の水がぁぁ!」

竜騎士「水圧でドアが開かなかったのか!」

女武道家「なな、流されるぅぅ!」

 
竜騎士「やばいぞ、こっち来い!」

女武道家「は、はいっ!」


タッタッタッタ…ガチャッ

竜騎士「おい、やばいぞ!」

軍人A「ど、どうしました!?」

竜騎士「急激な勢いでトイレの床から浸水してる!」

軍人B「何ですって!?」

竜騎士「どうしてだ!」

 
軍人A「おかしいな、そんなワケないんだけど…」

軍人B「床に穴が開くなんて…」


…ザバァァッ…

竜騎士「水がどんどん上がってきてる。やばいぞ、どうする」

軍人A「もう手遅れでしょうが…穴を防げませんかね?」

竜騎士「ちょっと厳しいな」

軍人A「…っ」


竜騎士「つーか、何で本当に穴なんか開いてたんだ…?」

女武道家「…あ」

 
竜騎士「…女武道家さん?また、君のせいか?」

女武道家「い、いえいえいえいえ!全然知りませんよ!」

竜騎士「今、"あっ"って言ったよね、どうしたのかな?」ニッコリ


女武道家「あ、あのですね…えーと…もしかしたら…」

竜騎士「…」

 
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ダダダダダダッ!!!

グリフォン『グウウオオオオッ!!』

女武道家「こ、こっち来たぁぁ!」ググッ


グリフォン『グガアアッ!』


女武道家「や、やだぁぁ!気攻波連弾っっ!」ビュビュビュッ!!
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女武道家「あの時に、ハズれたのが船に命中してたのかなー…なんて…」

竜騎士「…」

女武道家「あはは…」

竜騎士「こ…、この…」ブルブル


女武道家「…や、やっぱり…怒られます…?」

竜騎士「当たり前だ、このアホがぁぁぁっ!!」

女武道家「きゃああっ!」

 
…ミシッ…ミシミシミシ…

軍人A「やばい、船が傾き始めてる!」

軍人B「どどど、どうする!?」


竜騎士「ゴムボートか何かないのか、さすがに船と心中は避けたいぞ!」

軍人A「2人乗りのが2つ、倉庫にあります!グリフォンは諦めて、乗り換えましょう!」

竜騎士「わかった、この嵐の中で体をさらけ出すのか…」

軍人A「…頑張って、生き延びましょう」

竜騎士「…だな」

 
竜騎士「女武道家、説教は後だ!とにかく乗り移って、生き延びるぞ!」

女武道家「は、はいっ!」


ミシミシミシ…ミシ…

女武道家「あわわわ、船が…」

竜騎士「急げ、持てる物は持って…行くぞ!」

…ドドドドドド…


竜騎士「うらあああっ!」

女武道家「きゃあああっ!」

軍人A「うわああっ!」

軍人B「ああああっ!」

 
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…ザザーン…ヒュウウ…


竜騎士「…」

女武道家「…」


ミャア…ミャア…


女武道家「…」ハッ

 
ガバッ!!…キョロキョロ

女武道家「…竜騎士さん、竜騎士さん!」ユサユサ

竜騎士「…ん」

女武道家「よ、良かった、生きてますよね!?」


竜騎士「…」ハッ

女武道家「私たち、生きてます!」

竜騎士「…」ムクッ

女武道家「他の人たちは…近くにいませんけど」

 
竜騎士「…ここは、どこだ?」

女武道家「え?」

竜騎士「だから…ここ、どこだ?」

女武道家「…どこでしょう」


竜騎士「俺には、依頼をした孤島に戻されたように見えるんだが」

女武道家「あ、そういえば?」


竜騎士「…」ブルブル

女武道家「あ…あはは」

 
竜騎士「…女武道家さん?」

女武道家「は、はいっ」


竜騎士「この…アホがぁぁっ!!!!」

 
That's where the story begins!
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【竜騎士「孤島に残されサバイバル生活】
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Don't miss it!

竜騎士の続編を開始致しました。
本日はここまでです、ありがとうございました。

皆さま、ありがとうございます。投下、開始いたします。

 
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竜騎士「はぁ…起きたものは仕方ない」

女武道家「そ、そうですよ、前向きにです!」

竜騎士「うっせ!」

女武道家「…あうう」ショボン


竜騎士「にしても、どうすっかなぁ…絶望なんだけど」

女武道家「完全に無人島ですもんね」

 
竜騎士「あいつらも無事だといいんだが…」

女武道家「…」

竜騎士「まぁそれもだが…これからの心配だ。乗ってきたゴムボートは?」

女武道家「…ありませんね」

竜騎士「んー…、お前の持ち物は?」


女武道家「ポケットにチョコレート、腰に武器くらいです」

竜騎士「俺も槍は背負ったままだったからな、武器はあるが…他は何もない」

女武道家「どうしましょう…」

 
竜騎士「どうしようったってな…、船が戻らない時点で助けは来るだろうが」ボリボリ

女武道家「そうですか」ホッ

竜騎士「が、軍が俺らに気づくのは数日後、助けも含めて結構な時間がかかるだろうな」

女武道家「えぇ…」


竜騎士「参ったな…この島のことはほとんど知らないし動き回れん」

女武道家「…」

竜騎士「せめて船から地図を持ってくるんだった…、道具も何もかもないぞ…」

女武道家「…あ、もしかしたら流れ着いてたりしませんかね?」

 
竜騎士「流れ?」

女武道家「私たちみたく、潮の流れはこの島向きだったってことですよね?」

竜騎士「なるほど、確かにな。ちょっと探してみるか」

女武道家「はいっ」

竜騎士「…お前はもうちょっと、注意力というものを身に付けろ!」コツンッ

女武道家「痛いっ!…はい、申し訳ないです…」

 
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…ザザーン…


竜騎士「おっ?おー…」

女武道家「何かありました?」

竜騎士「見ろ、道具箱だ!」

女武道家「え、私たちのですか?」

竜騎士「そう!…不幸中の幸いだな。って、やっぱり中身海水漬けだよ…」


女武道家「…使えそうなものはあります?」

 
パカッ…

竜騎士「錬金具類は全滅だな。地図は濡れてるが…乾かせばいいか」

女武道家「あら…」

竜騎士「食べ物も海水でダメだ。まともに使えそうなのは…ナイフとか糸とか…か」

女武道家「そうですか…」


竜騎士「まぁ…広い島だ。食べ物はあるだろうが、水…水。水どうする」

女武道家「私、水魔法は使えませんよ」

竜騎士「…俺もなんだ」

女武道家「え、えぇ!?竜騎士さん、水魔法使えないんですか?」

 
竜騎士「そもそも魔法自体が苦手だって。俺が使ってるの見たことあるか?」

女武道家「そういや、ほとんど見ませんね」

竜騎士「何とか使えるのが火魔法だが、体力も使うし多用はできない」

女武道家「じゃあ、水…どうしますか?」


竜騎士「一応、知識はあるけども…」

女武道家「何とか、なりそう…ですか?」

竜騎士「まぁ…熱帯のような島だし、大丈夫だとは思うが」

女武道家「良かったです…」

 
竜騎士「だからこそ、ちょっと問題がある」

女武道家「え?」

竜騎士「食べ物に限らず、スコールや満潮干潮の話、動物の存在とか…色々とな」

女武道家「…前から思ってましたけど、色々詳しいですよね」

竜騎士「中央にいる時は、こういう島での演習も多かったから自然に身につくんだ」

女武道家「なるほど」


竜騎士「それで、まず先にすることは拠点の確保。つまり家だ」

女武道家「あ、知ってます!洞窟とか探すんですよね!」

 
竜騎士「そりゃ漫画の話だ。そんな簡単に見つかるわけがないからな」

女武道家「えー…じゃあどうするんですか?」

竜騎士「洞窟は見つけたら万歳っつーことで、まずは岩陰を探すとするか」

女武道家「岩陰?」

竜騎士「それだけでも十分な雨よけにもなる」


女武道家「なるほど」

竜騎士「あと、このナイフで枝とか切って集めてくれ。寝床の確保もいる」

女武道家「わかりましたっ」

  
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ザッザッザッザ…


竜騎士「…」キョロキョロ

女武道家「…」

竜騎士「…」


女武道家「竜騎士さん、ずいぶん落ち着いてますね」

竜騎士「あん?」

女武道家「普通だったら、うわーっ、遭難したー!とか慌てそうで」

竜騎士「俺にしてみたら、お前も落ち着きすぎじゃないか?って感じだが」

 
女武道家「…竜騎士さんといれば何とかなる気がして」

竜騎士「あ、そ、そう」

女武道家「はいっ」


竜騎士「まぁ俺が落ち着いてるのは、お前といるとトラブルが耐えないから慣れすぎたってだけだ」ハァ

女武道家「す、すいません…」

竜騎士「ま…何もない人生よりはよっぽどマシだと思ってるよ」ハハ

女武道家「…」

竜騎士「…お、あそことかイイ感じだな!」

 
タッタッタッタ…

竜騎士「おーっ、いい感じだな!これなら隙間に草木敷き詰めて屋根もすぐ出来るだろ!」

女武道家「うわあ、大きな岩…」

竜騎士「下に寝床作れば立派な拠点になるな!」


女武道家「枝とか集めますか?」

竜騎士「ついでに葉っぱとかも集めたらココに頼む。あまり遠くに行くなよ?」

女武道家「はい!」

竜騎士「俺は周辺の岩集めてちょっと色々準備する」


女武道家「わかりました、行って来ます」

 
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――――【 1時間後 】


…パサッ!

女武道家「ふぅー、こんなもんでしょうか」

竜騎士「お、だいぶ集まったな」

女武道家「はぁ~…疲れた。これでいいですか?」


竜騎士「うむ、充分だ」

女武道家「竜騎士さんは何を作ってたんですか?」

竜騎士「見ろ、簡易かまどだ!」

女武道家「おー!」

 
竜騎士「土が軟らかいならそこを掘って、周囲に軽く石を詰める。それだけでかまどになるんだ」

女武道家「なるほど、凄いですねぇ」

竜騎士「基本を知ってる人なら誰でも出来る事だ」

女武道家「う~ん…」


竜騎士「っと、後ろから岩に登って屋根を作ってくる。女武道家は寝床作れるか?」

女武道家「どうすればいいんでしょうか…」

竜騎士「えーと…まぁ、ベッドのように敷き詰めて、寝っ転がって寝やすいようにしとけ!」

女武道家「わ、わかりました!」

 
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竜騎士「よし…これで雨漏りの心配もないかな」

女武道家「ご苦労様です。ベッド、こんな感じでいいですか?」

竜騎士「おー、上等上等」

女武道家「えへへ」

竜騎士「えーと、まぁ軽くなら魔法もいいか…"小火炎魔法っ"」ボッ


ボワッ!!…パチパチ…

 
女武道家「…」

竜騎士「…女武道家、服脱げ」

女武道家「えっ!?」


竜騎士「早く脱げ」

女武道家「りりり、竜騎士さん、ベッドが出来て、いい雰囲気といえども、いきなり島で体を求めるのは恥ずかしいというか!」

竜騎士「…あ?」

女武道家「たた、確かに竜騎士さんの事は好きですが、いきなり言われるとどうしていいか!」

 
竜騎士「ばっか!そういう意味じゃねえよ!」

女武道家「え?」

竜騎士「海水に漬かって、上着は半乾きだろうが靴やらは濡れてるから、乾かしておけっていってんの!」

女武道家「あ…あぁ…びっくりしました」

 
竜騎士「はぁ…俺はちょっと道具箱持って出かけてくる」

女武道家「どこ行くんですか?」

竜騎士「水確保。面白いもの見つけたからな」

女武道家「?…行ってらっしゃいです」

 
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――――【 しばらくして 】


ザッザッザ

竜騎士「ただいまー」

女武道家「あ、お帰りなさい」

竜騎士「言うの忘れてたけど…火は絶やさないように、って絶やしてないか」

女武道家「このくらいは知ってます!」エヘン

竜騎士「いいことだ。んじゃ…ほれ」ポイッ

 
女武道家「わっ、バナナ!?」

竜騎士「野生種だから味うっすいけどな。貴重な食べ物だ。それと、箱に水入れてきた」

女武道家「え、えぇ…?」

竜騎士「ん?」


女武道家「水、どうやって確保したんですか?」

竜騎士「確保っていうほどじゃないが、バナナの木の下側を切ると水が出て来るんだよ」

女武道家「そうなんですか?」

竜騎士「多くはないがな。暖かい気候で雨もそれなりだろうし、水にはそこまで困らないと思うぞ」

女武道家「知識は幾ら持ってても損にならないもんですね」

 
竜騎士「当たり前だ」

女武道家「結構動いたからお腹すいちゃって…食べてもいいですか?」グゥゥ

竜騎士「あぁいいぞ。もうすぐ日暮れだから、地図と照らし合わせての行動は明日からにしよう」

女武道家「はいっ!…バナナ~♪」ワクワク


竜騎士「あ…言うの忘れてたが、野生のは硬めだから少しずつ食べ…」

女武道家「」

 
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――――【 夜 】


…ホウ…ホウ…チチチ…


竜騎士「…」

女武道家「…」

竜騎士「…」

女武道家「竜騎士さん」

竜騎士「ん?」

 
女武道家「…私って、やっぱりバカですよね」

竜騎士「ん…どうした急に」

女武道家「いっつもいっつも、ヘマやって、みんなに迷惑かけて…」

竜騎士「どうした…?お前らしくもない」

女武道家「その…、こうして静かだと色々…考えちゃって…」


竜騎士(明るく振舞ってても、不安が一気に押し寄せてきた…か)


女武道家「…私といつもいて、迷惑かけて…本当にごめんなさい…」

 
竜騎士「バーカ」

女武道家「そうです…私はバカで…」

竜騎士「…そういう意味じゃねえよ」

女武道家「…え?」


竜騎士「さっき言っただろうが。よっぽどな平和ボケするなら、このくらいの方が楽しいってよ」

女武道家「でも…」

竜騎士「お前は楽しくないのか?」

女武道家「…え?」

竜騎士「冒険して、俺と一緒で、楽しいとは思わないか?」

女武道家「そりゃ…楽しいです」

 
竜騎士「俺は嫌なものは嫌だとハッキリするほうだ。本当にお前といるのが嫌なら…俺はここにいないさ」ポンッ

女武道家「…」

竜騎士「お前がアホなのは出会った時から承知済みだ。だから気にするなよ」ハハハ

女武道家「竜騎士さん…」


竜騎士「それに仲間だろ。仲間は足りない部分を補い合うもんだ。お前の足りない分は、俺がカバーしてやるよ」

女武道家「…竜騎士さぁん…」グスッ

竜騎士「泣くな泣くな。当然のことだ」

女武道家「うぅ~…」

 
竜騎士「はは、それより…きちんとまとめておくか」

女武道家「え…まとめる?」

竜騎士「今日は10月23日だろ。日付、道具、書ける事は記載しておくんだよ」

女武道家「なるほど…」


竜騎士「地図みたく濡れてたが、さっきようやく乾いたからコレで書ける」

女武道家「…」


竜騎士「…」カキカキ

女武道家「…」

竜騎士「…」カキカキ

 
女武道家「…」

竜騎士「…よし。これでいいな」パンッ


女武道家「…竜騎士さん、もっと近づいて寝ても…いいですか?」

竜騎士「んむ?」

女武道家「…ちょっと怖くなってきちゃって」

竜騎士「…もちろん、いいぞ」

女武道家「えへへ…ありがとうございます」


竜騎士「今日は先に休め。火を軽く持たせつつ俺も休むから」

 
女武道家「はいっ…おやすみです」

竜騎士「おやすみ」


女武道家「…」スゥッ


竜騎士「え、もう寝たの…?はや!」

女武道家「…」スヤスヤ

竜騎士(はは…長い事一緒にいるが、遭難は初めてだな)

女武道家「…」クゥクゥ


竜騎士(さて、明日からどうするか…)

 
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【10月23日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・細糸
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)

■食料
・バナナ
・チョコレート1枚

本日はここまでです、ありがとうございました。

ありがとうございます、投下開始いたします

 
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――――【 10月24日 晴天 】


…ムクッ

竜騎士「…」フワァ

女武道家「あ、おはようございます」


竜騎士「お?早いな」

女武道家「あまり寝れませんでした…何度か起きちゃって」

竜騎士「…ま、そりゃそうか」

 
女武道家「今日は、何から始めますか?」

竜騎士「海辺に俺たちがいる痕跡を残して、とりあえず川探索、食べ物や周囲の探索かな」

女武道家「わかりましたっ!」


竜騎士「…さて、困ったことがある」

女武道家「なんですか?」

竜騎士「この島地図なんだが、依頼主から貰ったものだろ?」

女武道家「ですね」

竜騎士「完成図じゃなくて、少し古いモノのようなんだ」

女武道家「え?」

 
竜騎士「昨日言わなかったが、地図にある"川"がなかった」ハァ

女武道家「えー…じゃあ地図の意味がないって事じゃないですか」

竜騎士「いや、大体の目安はつくし、上書きすれば何とかなるだろ。とりあえず拠点はここにして探索する」

女武道家「ですねっ」


竜騎士「地図を見てくれ」ペラッ

女武道家「はい」

竜騎士「この地図の、深い緑が山。薄い緑が丘…っていうところか。白は砂浜、灰色は岸壁だ」

女武道家「結構広いですね」

 
竜騎士「俺らがグリフォン探索討伐したのは所詮、島の3分の1にも満たないからな」

女武道家「それしか…じゃあ、どこへ向いますか?」

竜騎士「まずは水源を探そうと思う。やっぱり水もちゃんと欲しいし、体も洗いたいだろ?」

女武道家「あー…ですね」


竜騎士「川があれば色々助かるんだがなぁ」

女武道家「拠点を移動しますか?」

竜騎士「出来れば、海から離れてない場所ならな。助けが来たとき気づけないだろ?」

女武道家「ですねぇ」

竜騎士「じゃ、出発するか」

女武道家「おーっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザッザッザッザ…


竜騎士「…」

女武道家「…ふぅ、暑いですね」

竜騎士「仕方ないだろー…しかし、こうやって森の中を進むと懐かしい気になるな」ハハハ

女武道家「あっ、奇遇ですね。私もです」


竜騎士「お前と出会った時のことを思い出すよ」

女武道家「可愛らしくて、役に立つ軍人がいてよかったー!ですよねっ!」

 
竜騎士「…いっぺん、お前の頭の中を取り出して、野生のバナナと交換してやろうか」

女武道家「え、えぇ!死んじゃいますよ!」

竜騎士「…」

女武道家「それに痛いだろうし…」


竜騎士「お前さ、本当変わらないよな」

女武道家「えー…成長してると思うんですけど…」

竜騎士「自分で言ってる時点でどうかと思うぞ」

女武道家「むむ…」

 
竜騎士「でもまぁ、以前はこうやって歩くだけで文句タラタラだったが…今は立派に着いてこれるようになったな」

女武道家「で、でしょうっ!」

竜騎士「戦いは嫌いだわ、文句はいうわ、散々だった…」

女武道家「そんな言わなくてもいいじゃないですかぁ!」

竜騎士「はは…」


女武道家「む…ちょっと待ってください」ピクッ

竜騎士「ん?」

女武道家「今、水の音が…」

竜騎士「え?」

 
女武道家「この辺に水辺、ありますよ多分」

竜騎士「…いや、まぁ確かに地図によれば、この辺に川の記載はあるが」ペラッ

女武道家「はい。これでも耳はいい方なので…、こっちです!」ダッ

竜騎士「あ、待てよ!」

 
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タッタッタ…ピタッ

女武道家「ほらぁ!」

竜騎士「ほ、本当だ…」

女武道家「水、水ですよ!」

竜騎士「…飲めるのか?」

女武道家「え…それは…どうなんでしょう」

 
竜騎士「ちょっと飲んでみてくれ。綺麗に透き通ってて美味そうだ」

女武道家「ええ、私がですか!?」

竜騎士「はは、冗談だよ」


女武道家「仕方ないですねぇ、私がいないと竜騎士さんは何もできないんですから」ブツブツ

トコトコ…グビグビ


竜騎士「って、うおおおい!」

女武道家「…」プハァッ

竜騎士「おま、本当に飲むんじゃねぇ!」

 
女武道家「え?…おいしいですよ?」

竜騎士「…」

女武道家「竜騎士さーん?どうしたんですかー?」

竜騎士「うん…何かゴメン、本当にゴメン」

女武道家「どうして謝るんですか?」

竜騎士「…」ハァ


女武道家「でも、思ったより川…小さいですね」

竜騎士「まぁな。それより…水は煮沸とかしたほうがいいから、すぐに口にしないことだ!」

女武道家「しゃふつ…です?…は、はい!」

 
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トコトコ…

竜騎士「…」

女武道家「今度はどこへ?」

竜騎士「川と海の境目を探す」

女武道家「どうしてです?」


竜騎士「昔、汽水域の話をしたことがあるの覚えてるか?」

女武道家「支部の時ですよね。確か、海と川の境目は魚が好んで生息しやすいとか」

 
竜騎士「よく出来ました。このサイズの川でも充分汽水域は期待できる」

女武道家「えっ、じゃあ…魚釣り…ですかっ!」クイックイッ

竜騎士「その手の動きはやめよう。まぁ、魚釣りだ」

女武道家「わーい!」


竜騎士「遊びに来てるんじゃないんだから…」

女武道家「故郷では"釣り王"と呼ばれた私に、不可能はありません!」

竜騎士「その故郷で結構一緒にいたけど、聞いたことないけどな」

女武道家「ふふふ…」

 
ザッザッザッザ…

竜騎士「お、あった!」

女武道家「わっ、川と海が一緒になってる…不思議な感じ」

竜騎士「うん、充分広いな。岩場もあるし、魚がいそうだ」

女武道家「じゃあ、早速ですか!?」キラキラ


竜騎士「…お前、どうやって釣る気?」

女武道家「もちろん、釣竿で!」

竜騎士「…どこにあるの」

女武道家「え、ないんですか?」

竜騎士「…」

 
女武道家「じゃ、じゃあ…素手で!!」

竜騎士「…やってみ?」

女武道家「よぉーっし!」スッ


竜騎士「待て待て待て!!」グイッ

女武道家「きゃあっ!」

竜騎士「本当に行くな!岩場がある場所は潮の流れが複雑なんだ、流されるっつーの!」

女武道家「そ、そうなんですか」


竜騎士「はぁー…、持ってる道具じゃ釣竿は作れん。拠点に戻って作ろう」

女武道家「おー、作れるんですか!?」

 
竜騎士「まぁ木やら何やら使えばな。エサは川虫がいるだろうし、今日は探索だけだ」

女武道家「わかりましたっ」

竜騎士「やれやれ…」

女武道家「…むぅ、それじゃ一旦戻ります?」

竜騎士「そうだな」


女武道家「じゃあ、行きますか」トコトコ

竜騎士「おい、どこに行く。戻る道はこっちだぞ」

女武道家「え?砂浜をこっち側に歩けば、私たちが流れ着いた場所ですし、早いかと」

 
竜騎士「え?…ちょい待て。地図を見る」ペラッ

女武道家「?」


竜騎士「…た、確かに浜繋がりだ。よく分かったな」

女武道家「あそこの砂浜が私たちの場所ですよ。あそこです。そこまで平坦繋がりじゃないですか」ビシッ

竜騎士「え?…いや、見えねえよ」ジー

女武道家「眼悪いんですか?」


竜騎士「いや両目ともに1.5だ。…それに、よく砂浜の形覚えてるな」

女武道家「そうですか?」

 
竜騎士「…お前さ、もしかして…今まで歩いた場所しっかり覚えてる?どこに何があったとか」

女武道家「一応全部答えられますよ?川沿い、海沿い、どっちからでも戻れますし」

竜騎士「…」

女武道家「どうしたんです?」


竜騎士「いや、勿体ないなと思って」

女武道家「何がですか?」


竜騎士「…何でもねえよ!行くぞ!」スタスタ

女武道家「あ、待って下さいよぉ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 拠点 】


竜騎士「ふー、着いた」

女武道家「我が家じゃないのに、安心しますね」

竜騎士「しかしあっちぃなー…だけど、やることはまだある」


女武道家「釣竿作り!!!」

竜騎士「まぁそうだけど…」

女武道家「えへへー!」

 
竜騎士「明日までに2本作って、釣りして食料確保すっか」

女武道家「ですねっ!」


竜騎士「…んー」

女武道家「?」

竜騎士「そういや女武道家、腹なんともない?」

女武道家「大丈夫ですよ」

竜騎士「…じゃあ、飲める水だったか」ホッ

女武道家「飲めない水だったら…どうなってたんでしょうか」

 
竜騎士「まぁ…腹下したら治す薬はねえし、痛みでのたうち回るだろうな」

女武道家「ひぃ…」

竜騎士「最悪、死ぬかもしれん。…結果オーライとしか言えん」

女武道家「そう言われると、急にお腹が…」ウゥ

竜騎士「…」


女武道家「それより、釣竿作りましょうよ」バッ

竜騎士「わかったわかった!」

女武道家「手伝えることがあった手伝います!」

竜騎士「材木集めとか、色々ある。今日は道具作りで後の時間が終わりそうだな」

 
女武道家「明日のためなら、幾らでも道具作りしますっ」

竜騎士「…んじゃ、休憩したし出発だ」

女武道家「いっぱい材料集めますっ」


竜騎士「ケガだけは本当に気をつけろよ」

女武道家「は、はいっ!」

 
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・・・
・・

 
【10月24日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本

■食料
・バナナ
・チョコレート1枚

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10月25日 雨天 】


…ポツ…ポツポツポツ…シトシト…


竜騎士「…ん」

女武道家「…」スヤスヤ

竜騎士「うお、雨か」バッ


女武道家「…」ムニャムニャ

竜騎士「おい女武道家、起きろ」

 
女武道家「ふにゃ…?」

竜騎士「あー…雨か…」ボリボリ

女武道家「ふわぁ~…、雨、ですねぇ」


竜騎士「釣りに行こうと思ってたが、これじゃちょっと行けないか」ンー

女武道家「えぇ~」

竜騎士「仕方ないだろう。つーか、寒っ!」ブルッ

女武道家「うぅ…本当に寒いですねっ」ブルブル

 
竜騎士「火魔法っ」ボッ

…ボワッ!!……シュゥッ


竜騎士「あれ?」

女武道家「竜騎士さん?」

竜騎士「火魔法っ!」ボッ

…シュゥ…

竜騎士「…やべ、木材が雨で湿気ってる」

女武道家「えっ!」

 
竜騎士「…」

女武道家「昨日まで暑かったのに…急に寒くなるなんて…」ブルブル

竜騎士「ぐっ…」

女武道家「どどど、どうするんですか…」ガタガタ


竜騎士「…と、とりえあず食べて内臓を動かして熱を出そう」スッ

女武道家「またバナナ…ですね」

竜騎士「仕方ないさ、食えるものがあるだけマシというもんだ」モグモグ

女武道家「ですね…」モグモグ

 
竜騎士「…」ゴクンッ
 
女武道家「ふぅ…食べたら少し落ち着きました」ゴクンッ


竜騎士「木を乾燥させておくべきだった…、くそっ」

女武道家「雨ですし、動けなそうですね」


竜騎士「いや…、バナナのある近くまでは探索する。野草でも何でもいいから探してくるよ」

女武道家「私も行きます」

竜騎士「…こういう時、体力が何よりの財産だと思うよ」

女武道家「同感です」


竜騎士「それじゃ軽く探索に出発だ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザッザッザッザ


竜騎士「お…あれが言ってた野生バナナだ」

女武道家「お~…バナナの木!」

竜騎士「な?結構生ってるんだよ」

女武道家「ほえー、凄いですね。こんな感じに生ってるんだ…」

 
竜騎士「さすがにバナナだけじゃ持たないからなー…何か周辺にないか…」

女武道家「この辺の草とか食べられたらいいんですけどね」

竜騎士「雑草は…」


女武道家「…あっ、この花キレイですね」

竜騎士「お、そりゃあ…ユリだ!」

女武道家「ほえ?」

竜騎士「でかした!ユリの根っこは食べられるんだぞ!」

女武道家「えっ…でも、毒もあるって聞いた事がありますよ?」

 
竜騎士「毒があるものもある、ってことだ。これはヤマユリだから大丈夫だろ」

女武道家「へぇ…おいしいんですかね?」

竜騎士「んー…味付けがないと何ともいえないが、ジャガイモに近いな」

女武道家「へぇっ、楽しみです」


竜騎士「あー良かった。少しでも腹に入れられるものが欲しかったところだ」

女武道家「結構ありますけど、食べる分だけ採っていきますか?」

竜騎士「そうしよう」

 
女武道家「他にはあります?」

竜騎士「見える範囲じゃ何もないな…、鳥なんかもとれたらいいんだがなぁ」

女武道家「お肉、ですね」

竜騎士「是非欲しいが、道具もない。それも考えないとな…」


女武道家「何だかんだでもう3日目ですね。救助は来るんでしょうか…」

竜騎士「…待つしかないだろう」


女武道家「ですよね…私たちは、今日を生きるのを頑張ります」ビシッ

竜騎士「その意気だ」ハハ

 
女武道家「…やっぱり、今日は釣り出来ませんかね」ショボン

竜騎士「ん~…目に見えて雨のせいで時化てる感じだしな」


女武道家「海には近づけない、ってことですね」

竜騎士「それに雨の中で長時間活動はできん。火の確保がない今、体温の低下は死の直結だぞ」

女武道家「ですよね…明日の楽しみにします」

竜騎士「そうだな」

 
…ザァァァァッ!!!


竜騎士「って、うお!雨強くなってきた!」

女武道家「ひゃっ!冷たいっ…戻りましょう!」

竜騎士「今日は体を動かさないで待機してよう」


女武道家「そうですね、きゃーーーっ!びしょびしょになる!」


タッタッタッタッタ…

………………………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夜 】


チチチ…ホーホー…


竜騎士「…雨、あがったか」

女武道家「良かったです、止まなかったらどうしようかと」

竜騎士「おかげで体は洗えたようなもんだが…」


女武道家「1着しかない服がビショビショですよ…」

竜騎士「道はドロドロだし、どうしようもねえな」

 
女武道家「…うぅ」ブルッ

竜騎士「濡れた服は1回脱げ。体で暖をとろう」

女武道家「は、はい…」

竜騎士「…」


スタスタ…ペタッ

女武道家「ん~…竜騎士さん、少しあったかいです」ホクホク

竜騎士「お前、遠慮なく来るよな。つか、女としての粗相をだな」

女武道家「竜騎士さんは優しいからいいんですよ」

竜騎士「そ、そう…」

 
女武道家「明日には乾いてるといいんですけどねえ…」

竜騎士「…気のせいか、雨が上がったのに昨日より寒くないか?」

女武道家「言われてみれば…」


竜騎士「いや、朝ほどじゃないが…それに空気も少し乾燥してる気がする」クンッ


女武道家「熱帯の島って、普段から暑くてムシムシしてると思ってましたけど」

竜騎士「雨も多いはずだが、確認できたのは今日だけだし…しかも短かったな」

女武道家「私たちが思ってるより、ちょっと違う島なのかもしれませんね」

竜騎士「乾燥してくれると火が焚けるから嬉しいが…ちょっと不安になる」

 
女武道家「それに、グリフォンを討伐したときにいた魔物とか全然見ないですよね」

竜騎士「うむ…」

女武道家「気配を読むことは竜騎士さんの得意技ですもんね」アハハ

竜騎士「戦士の感覚ってやつだ」


女武道家「私もいつかそのレベルまで…!」

竜騎士「今のお前じゃまだまだだけどな」

女武道家「むぅぅ」

竜騎士「はははっ」


女武道家「…」グゥゥ

 
竜騎士「…ハラ減ったなぁ」グゥゥ

女武道家「はい…」

竜騎士「ユリの根っこ、焼かないと食べれないだろうに…火が点かんという由々しき事態」

女武道家「となると、バナナですか」


竜騎士「とにかく火だ…、火さえ安定させられれば何とかなる」

女武道家「…」

竜騎士「クッソ、改めて自分に腹が立つ。食べ物や他の事に気を取られすぎて…肝心なことを忘れてた!」

女武道家「私も気づけなかったので…竜騎士さんのせいなんかじゃありません…」

 
竜騎士「はぁ…この乾燥が続いてくれるのを願いしかない」

女武道家「仕方ないですよ、今日は我慢でバナナです!」グッ


竜騎士「俺はいいが…。ユリ根、火魔法で焼いてやろうか?」

女武道家「いえ、竜騎士さんが我慢するなら私も我慢するべきです。絶対に」

竜騎士「いいのか?」


女武道家「元々私のせいですし…文句はいえませんよ」

竜騎士「…明日、魚釣って…腹いっぱい食うぞ!なっ!」


女武道家「…はいっ!」ニコッ

 
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【10月25日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本

■食料
・バナナ
・チョコレート1枚
・ユリの根

本日はここまでです、ありがとうございました。

ありがとうございます、投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10月26日 晴天 】


チュンチュン…バサバサッ!!


竜騎士「う~ん…」ノビノビ

女武道家「あ…今日はいい天気ですねぇ」

竜騎士「おっしゃ、今日こそ釣りいけるだろ…陽も出てるし、火も確保できるな!」


女武道家「わーいっ!」

竜騎士「バナナ…食ってからな」

女武道家「…はい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 汽水域 】


パシャアッ!!

竜騎士「おっ、釣れた!」

女武道家「きゃー、こっちも来ましたよ!」

竜騎士「思ったより釣竿が使いやすくて良かったよ」

女武道家「ですねっ!」

 
竜騎士(…それにしても、一晩で島の変化が大きすぎる気がするが)

女武道家「…竜騎士さん?」

竜騎士「ん、あ、あぁ…いや…」


女武道家「どうしたんです?」

竜騎士「んー、いや…ちょっと島のことが気になってな」

女武道家「島が?」

竜騎士「もうちょっと探索域を広げるとは言ったが、どういう風にするかとか…色々な」

女武道家「目的とかあればいいんですけどね」

 
竜騎士「目的か…そりゃあ食べ物とかの確保だろう」

女武道家「お肉も食べたいですよねぇ」ジュルッ

竜騎士「だからこそ、使えるモノがないかっていう話だ」

女武道家「例えば自然の中に使えるものってどういうのがあるんですか?」


竜騎士「すっげー身近なものだと、石なんかも有用な道具になる」

女武道家「石が、ですか?」

竜騎士「例えばそこらへんにある岩を砕けば、ナイフの代わりにもなるだろ?」

女武道家「ははぁ…発想力が大事ってことですね」

竜騎士「まぁー、言われればそうなるな」

 
女武道家「他には何かありますか?」ウキウキ

竜騎士「今回は道具箱に入れてた細糸で釣竿を作ったが、本当に何もない場合はどうする?」


女武道家「素手っ」キリッ


竜騎士「…」

女武道家「?」

竜騎士「糸はこういう森にあるツタとか麻を水につけて柔かくして、棒で叩いて伸ばすんだ。あとは割けば糸になる」

女武道家「無視ーっ!?」ガーン

 
竜騎士「まぁ、お前の言った通り発想だな。つーか、本来なら人間がやってて当たり前の事なんだけどな」

女武道家「便利すぎる世の中になったから、忘れられていることもある、ということですね」

竜騎士「そういう事だ」


女武道家「…他に面白い話とかあります?」

竜騎士「面白い話な…、釣りに集中したら?」

女武道家「釣りをやりつつ、談義をするのが楽しかったりするじゃないですか」


竜騎士「仕方ないな…一日中"陽が落ちない"っていう地域があるのは知ってるか?」

女武道家「えぇ!?」

竜騎士「やっぱり知らないか。結構認知はされてると思ってたんだがな」

 
女武道家「初耳ですよ、どこですかそれ!」

竜騎士「白夜って聞いた事ないか?」

女武道家「あ、聞いたことなら♪」

竜騎士「そういう意味なの。一日中太陽が沈まないってこと」


女武道家「ヘぇぇ…一日中遊び放題じゃないですか」

竜騎士「…」


女武道家「あっ、お魚きたっ!」パシャッ!!

 
竜騎士「まぁ…んなことより、島の情報が欲しい。早速、午後から中央の山に向うか」

女武道家「山ですか?」

竜騎士「この地図の…ここ。恐らく島で一番高い、"山"だ」ペラッ

女武道家「なるほど」

竜騎士「ここに登れば、グルリと島を見渡せるし島の状況も把握できるだろう」


女武道家「…その前に、お腹いっぱい食べたいです」グゥゥ

竜騎士「分かってるよ!俺だって腹減ってるんだから!」グゥ

 
女武道家「魚が食べれることが、こんなにも嬉しい日がくるとは思いませんでした」

竜騎士「俺だってだよ」

女武道家「結構釣れましたし…行きますか?」

竜騎士「んー、そうだな。一回拠点に戻って食べてから…山に登ろう」

女武道家「わかりました」


竜騎士「うっしゃ…魚…食うぞぉ!」

女武道家「おーっ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 拠点 】


竜騎士「魚が4匹。上々!」

女武道家「ユリの根っこもありますし、立派なご飯ですね♪」

竜騎士「よし、乾いてるお陰で火も点く…な。よし、魚捌けるか?」

女武道家「…え?」

竜騎士「…魚。捌けるか?」


女武道家「さば…鯖っておいしいですよね…あはは…」

竜騎士「…」

 
女武道家「…」

竜騎士「ナイフを持て。やり方を教える、覚えろ」スッ 

女武道家「え、わわ、私がやるんです!?」

竜騎士「…覚えていて損はない。俺がいなくなったらどうする?」


女武道家「え?」

竜騎士「ほのぼのしてるけど、実際は尋常じゃなく緊迫してるんだ。何があるか分からん」

女武道家「…」

竜騎士「そりゃ守ってやるし、俺がやれることは率先してやる。だが、いざという時にお前が出来なかったら…」

女武道家「…そう、ですよね」

 
竜騎士「…ニジマスなのは幸いだ。簡単だしやり方をきちんと聞けよ」

女武道家「はい」

竜騎士「生きてると動くから色々と面倒だ。まずは動きを止める」

女武道家「…どうすればいいんですか?」


竜騎士「魚の尾に近いほうを持て」スッ

女武道家「こう、ですか」スッ


竜騎士「そしたら、岩に…たたき付ける!」

ビュッ…ゴツッ!!!

女武道家「ひっ!」

 
竜騎士「…そうすりゃ、気絶する」プラーン

女武道家「た、叩きつけるんですか…」チラッ

…ピチピチ!!


竜騎士「…」ジッ

女武道家「…」

竜騎士「…」

女武道家「わかりました…」

 
ググッ…

女武道家「お魚さん…ゴメンなさい!!」

ビュンッ……ゴツンッ!!!…ダランッ


竜騎士「…よく出来た。次は魚を葉の上に置いて、ナイフを持つ。まずは見てろ」スチャッ

女武道家「うう…はい…」

竜騎士「魚のケツは分かるか?」

女武道家「ここら辺、ですか?」

竜騎士「そう。そこにナイフを入れる」グッ

 
女武道家「痛い…っ」

竜騎士「そして、頭のほうに向って…切り入れる」ザクザク

女武道家「…っ」


竜騎士「そうするとこうやって、内臓を…取り出せる」グイッ

女武道家「う…は、はい」

竜騎士「あとは中身を良く洗えばいい。うろこはニジマスなら取る必要はないだろう」ジャブジャブ

女武道家「はい…」

竜騎士「簡単だろ。さ、やってみろ」スッ

女武道家「うぅ~…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…パチパチパチ…ジュワジュワ…


女武道家「…」

竜騎士「さて、焼けたかな」

女武道家「手に…未だに感触が…」

竜騎士「…」

女武道家「でも、こうしなくちゃ…いけないんですよね」

竜騎士「当たり前だ」


女武道家「はい…頑張ります!」

竜騎士「…」フッ

 
女武道家「私が捌いた魚です…おいしく頂きます!」

竜騎士「美味しく頂くこと、それは何だかんだで大事なことだ…頂きます!」


ジュワジュワ……パクッ…


女武道家「!」

竜騎士「!」

 
女武道家「…お、おいしい…!!」ゴクンッ

竜騎士「旨い…」ゴクッ


女武道家「塩味だけなのに…体全体が魚ーって感じです!」


竜騎士「その例えはよく分からないが、本当に…旨い…」

女武道家「も…もう1本!!」

竜騎士「はは、落ち着いて食べろ」

女武道家「うぅ~…美味しいです…」モグモグ

竜騎士「あぁ。おー…ユリの根も焼いただけでも結構イケるな」ハフハフ

 
女武道家「はぁ~食べ終わったら…このまま眠りたいです」

竜騎士「…同感だ」

女武道家「でも、山に登るんですよね」

竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士「…仕方ないんだよ。必要な探索だ。まだお天道様も出ているしな」

女武道家「ですよね、頑張りますかっ!」

竜騎士「うむ」

 
女武道家「どこのルートを行くんですか?」

竜騎士「この地図によれば、この間の川から目的の山までは繋がってるみたいだから、そこを辿る」

女武道家「了解しました」

竜騎士「水源がどのくらいなのかとか、どう古地図と違うのかとか見たいしな」

女武道家「あの川もやっぱり少し違かったんですか?」


竜騎士「んむ…改めて見ると表記より小さいようなんだ」

女武道家「水源が少なくなってるのかもしれませんね」

竜騎士「それも含めての探索、だ」

女武道家「ですねっ」

 
竜騎士「さて…食べ終わったか?」

女武道家「とっくに!でも、1つだけあまってますよ」

竜騎士「本音をいえば、2つは晩御飯用にきちんと取っておきたかったんだが…まぁまた釣ればいいか」

女武道家「釣りならまっかせてくださーい!」キラキラ


竜騎士「…、よし、じゃあ出発するかぁ」ヨイショ

女武道家「はい~!」

本当なら1日進行分(10月26日分)を公開したかったのですが、
ちょっと体調を崩してしまい、短めながらここまでとなります。明日に残りと追加で更新致します。

ありがとうございました。

皆様ご心配ありがとうございます。
体調が優れず、休んでいて更新が遅れました。投下、開始致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 川沿い 】


トコトコ…

竜騎士「足元が滑りやすいな…気をつけろよ」

女武道家「…きゃあっ!」ズルッ


竜騎士「…」


女武道家「あはは…どんまい!」

竜騎士「あほ!」

女武道家「ひどいっ!」

 
竜騎士「…ん?」スッ

女武道家「?」

竜騎士「やっぱり、この辺…川があった跡だなこりゃ」

女武道家「どうして分かるんですか?」


竜騎士「この脇のえぐれ方、足元にある小石。こりゃ水流で削られたもんだ」

女武道家「なるほど、でも…雨が来た時だけここまで広くなるのかもしれませんよ?」

竜騎士「それも考えたが、昨日も雨だったろ?干上がるのが早すぎる」

女武道家「…あぁ、なるほど」

竜騎士「とりあえず水源探しつつ、山に向ってレッツゴーだ」

女武道家「はいっ!れっつごー!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数時間後 】


…ザッザッザ…


竜騎士「はぁ~…だいぶ歩いたな」

女武道家「ふぅ、今どの辺ですか?」

竜騎士「そろそろ…山頂付近だ。岩場が増えてきたな…」

女武道家「歩きにくいですねぇ」

 
竜騎士「…っと」ピタッ

女武道家「…うわっ!」ピタッ


竜騎士「…なーるほどね。これが原因か」

女武道家「うっわぁ…こんな大きな岩見たことありませんよ」

竜騎士「どんだけデッケー岩だよ…川完全に塞いでるじゃねえか」

女武道家「…上と隙間からチョロチョロと水が出てますけど」


竜騎士「これのせいで、川が小さくなってたんだ」

女武道家「壊すんですか?」

竜騎士「さすがに壊せねーよ…、下手すりゃ鉄砲水だって発生するかもしれん

 
女武道家「自然のダムって感じですね」

竜騎士「参ったな、これ以上は直線的には進めないか」

女武道家「脇から進みます?」

竜騎士「しかないだろ。森を切り開きながらこの岩の向こう側に出る」

女武道家「はいー」


ザッザッザ…

竜騎士「…」

女武道家「進みにくいですねぇ」

竜騎士「ナタが欲しくなるな…くそっ」

 
ザッザッザ……、ガサガサッ!!

竜騎士「…」ピクッ

女武道家「…今の音は」


竜騎士「何かいるな。ちょっと屈め」スッ

女武道家「は、はいっ」

竜騎士「…」ジー


女武道家「…どうです?」

竜騎士「んー」

 
ガサガサ…ガサ………

…シーン


竜騎士「…小動物か何かだな」

女武道家「なんだ、そうですか」ホッ


竜騎士「…」

女武道家「ふー、もう立っても大丈夫ですね」スッ

竜騎士「…って、待て!!」

 
…ブオンッ!!!

女武道家「…え?」

竜騎士「危ねぇ!」バッ


ドゴォッ!!!…ズザザザ…


竜騎士「ぐああっ!」

女武道家「り、竜騎士さん!?」

竜騎士「くっ…正面だ!前!!」

女武道家「え?」クルッ

 
アウルベア『グルル…』

女武道家「ふ、梟…?じゃない、体が熊さん…え?」

竜騎士「ボケっとするな!しゃがめ!」

アウルベア『グオッ!』ブンッ

女武道家「きゃあっ!」ヒュンッ!!


アウルベア『グ…グルル…』


竜騎士「よく避けた。こりゃまた厄介なヤツもいたもんだ…」スチャッ

女武道家「うう…な、何ですか一体!」

竜騎士「アウルベア。梟の頭を持ち、熊の体を持つ。より凶暴な熊といったところか」

 
アウルベア『…』ギロッ


竜騎士「…っち、面倒だな」

女武道家「倒せますか?」

竜騎士「倒せるだろうが、ちょっと相手にはしたくないっつーのが本音だ。ケガはしたくないからな」

女武道家「なら…逃げますか」


竜騎士「よっしゃ…少しずつ、後退だ」ザッザ

女武道家「はい…」ザッザ…

 
アウルベア『グルル…』


女武道家「めっちゃ睨んでますけど…これで逃げられるんですか…?」

竜騎士「わからん」

女武道家「わ、わからんって」

竜騎士「俺だって何でも知ってるワケじゃないんだよ!」

女武道家「あうう」


…ザッザッザ

竜騎士「ほら、で、でも少しずつ離れられてるだろ?」

女武道家「で、ですね…」

 
アウルベア『…』

竜騎士「…」

女武道家「…」


アウルベア『…』ググッ


女武道家「竜騎士さん?アウルベアさんが変な体勢とってますが、嫌な予感がするんですけど」

竜騎士「奇遇だな、俺もそう思う」


アウルベア『…グアアアアッ!!!』ダダダダダッ!!!

女武道家「き、きたぁぁぁ!」

竜騎士「やっぱりダメかーー!!」

女武道家「む、迎え撃ちますか!?」

 
竜騎士「クソッ!女武道家、ちょっと失礼するぞ!」バッ

女武道家「…、ちょっ、どどど、どこ触ってるんですか!」

竜騎士「お前の胸ポケットにチョコレートあっただろ、どこだ!」ゴソゴソ

女武道家「あ…ちょ、変な触り方を…。胸の方じゃなくて、こっちです!ズボン~っ!!」


アウルベア『グガアアアッ!!』ドドドド


竜騎士「早くだせー!!」

女武道家「は、はい、これですーっ!」スッ

竜騎士「アウルベア、これでも食え!!」ポイッ!!

 
…ベシッ!

アウルベア『…グ?』


竜騎士「…」ハァーハァー

女武道家「…」フゥフゥ


アウルベア『…』クンクン

バリバリ…パクッ…


竜騎士「よ、よし、今の内に進むぞ」コソコソ

女武道家「は、はい…」コソコソ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 山の頂上 】


…ドサッ!!!


竜騎士「あーっ…着いたぁぁ!」

女武道家「着きましたね…」ヘナヘナ

竜騎士「…はぁ」

女武道家「寿命が縮まりました…」


竜騎士「…だが、ここまで来た甲斐はあったみたいだな」

女武道家「おぉー…」

 
サァァァ…ギャアギャア……サワサワ……


竜騎士「すげぇ…」

女武道家「凄い…」


竜騎士「思ったより広い…島だ。本当に、島だ」

女武道家「こんな景色、見たことないですよ…」

竜騎士「…」

女武道家「…」

 
竜騎士「…ヤッホーーーーー!!!」

女武道家「!」ビクッ


…ヤッホー…ヤッホー…ホー…


竜騎士「…」ニヤッ

女武道家「…むう…、ヤアアアッホオオオオーーーー!!!」

竜騎士「うっせえええー!!」


…バサバサバサッ!!!ギャアギャア!!!…

 
竜騎士「おい、お前の声で鳥たちがどよめいてるぞ」

女武道家「ひ、ひどい…」

竜騎士「はっはっは!」

女武道家「むぅぅぅ…」


竜騎士「さてと、見渡せる限りの部分を地図に上書きしておくか」スッ

女武道家「それがいいですね」

竜騎士「俺らが来た方向はこっち、とすると逆側がこうで…、東側には沼があるのか…」カキカキ


女武道家「…」ピクッ

 
竜騎士「北がこっちで…俺らの拠点が…」ブツブツ

女武道家「…んー?」ジー

竜騎士「なるほど…で…」ブツブツ


女武道家「…竜騎士さん」

竜騎士「なんだ?」

女武道家「アレ、何でしょうか」

竜騎士「アレ?」

 
女武道家「向こう側の、あそこです。ほら、岩の」

竜騎士「ん…んん?確かにでっかい岩はあるが…それが?」

女武道家「あれ、揺れてますよね。岩」

竜騎士「何…岩が揺れてるだ?」


女武道家「ほら…、また!」

竜騎士「…?」

女武道家「見えないんですか!?」

竜騎士「いや、お前ほど眼が良くねえよ…、揺れてるのか?」

 
女武道家「はい、なんかこう…あそこだけ地震が起きてるみたい…」

竜騎士「んー…わからん」

女武道家「…あ、収まった。…気のせいでしょうか?」

竜騎士「気のせいじゃないのか?揺れる意味もないだろ」

女武道家「う~ん…」


竜騎士「とりあえず、見て分かる範囲は記載したし、陽が落ちる前に拠点に戻ろう」スタッ

女武道家「え、でも…同じ道を通ったらアウルベアさんが…」

竜騎士「少しだけ迂回して、な」

女武道家「ですよねー…」

 
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――――【 数時間後・拠点 】


ストンッ!!

竜騎士「戻ってこれたが、すっかり夜になっちまった」

女武道家「さすがにヘロヘロですよ」

竜騎士「ご飯は昼間の魚の残りと、バナナ…」


女武道家「バナーナ…」

竜騎士「魚はお前が食え」スッ

女武道家「え、いいんですか?」

 
竜騎士「俺は別に平気なの。そういう訓練を受けてたんだから」

女武道家「で、でも…」

竜騎士「ん!?女武道家、大変だ…ちょっと口の中見せてみろ!」

女武道家「え!?あ、は、はい…」アーン

…グイッ!!

女武道家「もがぁっ!」


竜騎士「なんつって。そのまま食っちまえ」ハハハ

女武道家「うむぐぅ…」モグモグ

竜騎士「そうだ。食え食え。俺はバナナが大好きなの」モグモグ

女武道家「竜騎士さん…」

 
竜騎士「さーて、食ったら寝るか。だけど今回は雨に備えてきちんと備蓄分確保したぞ」フゥ

女武道家「これで火の心配はないですね♪…多分」

竜騎士「多分じゃなくて、大丈夫だっつーの!」ポコッ

女武道家「いたいっ!」


竜騎士「はは…しかし、本当に疲れた。久々にこ眠気が強い」フアァ

女武道家「私も眠いです…」フワァ


竜騎士「一応、火は点けたまんまにしておくか…よし。んじゃ…お休み」ゴロンッ

女武道家「はい、お休みなさいです」ゴロンッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 しばらくして 】


女武道家「…」パチッ

竜騎士「…」


女武道家「竜騎士さん、起きてます?」ボソボソ

竜騎士「…」スヤスヤ

女武道家「寝てますか~?」

竜騎士「…」グウグウ

 
女武道家「…寝てますね。あんなに歩いて、バナナだけじゃ体持ちませんよ」

ゴソゴソ…

女武道家「私が、朝の為に…食料探し…もとい夜釣りに行ってきますよぉ!」キラキラ


竜騎士「…んー」ゴロンッ

女武道家「あ、静かにしないと…。一応火が消えないように木、くべておきますね」コソコソ


トコトコ…クルッ

女武道家「私の為に色々してくれるなら、私も出来る事で助けます…待っててください竜騎士さんっ」ビシッ

竜騎士「…」スヤスヤ

女武道家「いってきまーす…!」


タッタッタッタ…

 
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【10月26日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材

■食料
・バナナ

数々のコメント等、心から感謝致します。
遅れながら、本日はここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます。大分体調は落ち着きました…ありがとうございます。
いつも通り、投下致します。

 
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――――【 10月27日 曇り 】


竜騎士「…」フワァァ


…キョロキョロ

竜騎士「…起きるには少し朝早いか…?まぁいいや…女武道家、起きろー」ムニャムニャ


シーン…

竜騎士「ん…あれ、女武道家は?トイレか?」

 
バッ!!トコトコ…キョロキョロ

竜騎士「うーむ…」


ボォォ…パチパチ…

竜騎士「…火が消えてない?それにしては…くべてある木が随分と小さい…」ハッ

ガバッ!!…ゴソゴソ…

竜騎士「釣竿がねぇ…、あいつ、まさか一人で夜釣りに行ったのか!?」


…ガサッ!!ガサガサガサ!!

竜騎士「…」ビクッ


ガサ…ガサ…、ザッザッザ…ヒョコッ

女武道家「あ、竜騎士さん♪」

竜騎士「…お前」


女武道家「聞いてください♪竜騎士さん私にばっか食べさせて、お腹が空いてると…」

竜騎士「どこ行ってた!!」

女武道家「え、ですから…釣りで…」

竜騎士「お前、何やってるんだよ!」

女武道家「え…その…」

竜騎士「どんな状況か分かってるのか?何やってるんだ!」

 
女武道家「そ、その…だから、竜騎士さんに…」

竜騎士「そんなに釣りがしたかったのか!?人に心配までかけて!」

女武道家「ち、ちが…私は…」

竜騎士「さすがにそこまで自分の立場を理解していないとは思わなかったぞ、女武道家!」


女武道家「あう…」グスッ


竜騎士「…そんなに楽しい事しか目が行かないんだったら、勝手にしろ!」


女武道家「…」ダッ

…ガランッ!!!バシャァッ…、タッタッタッタ…

 
竜騎士(あのバカ、箱の中身ぶちまけて…逃げやが…ん?)

…スッ

竜騎士(魚、捌いてあるのか…。それも2匹だけ…あいつ…)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガサガサ…タッタッタッタ…

女武道家「竜騎士さんのバカ…私だって…」グスッ


タッタッタッタッタ…ガスッ…ドサッ!!!

女武道家「きゃっ!い、痛い…」


ズキンッ…

女武道家「…血、出てる。う、…うぇ…うぇええん…」ポロポロ

 
ポツ…ポツポツポツ…

女武道家「うぇええん…うぅぅ~…」グスグス

ザァァァァッ…


ガサ…ガサガサッ!!!

女武道家「ひっく…、り、竜騎士さん…?」


ガサガサガサ…


アウルベア『…グルル』ヌッ

女武道家「ひっ…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザッザッザッザッザ

竜騎士「くそっ、女武道家どこ行きやがった。頭に血が上りすぎた…俺もまだまだな」


ポツ…ポツ…

竜騎士「んお…」

ザァァァァッ!!!!


竜騎士「ここで雨か…!最悪だ…。女武道家ぁ、返事しろぉー!」

 
…グオオオオォッ!!…バキバキッ…

竜騎士「…今の声はアウルベアか!?」


タッタッタッタ…

竜騎士「まさか…女武道家、どこだぁぁっ!」ダッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザッザッザッザ…

竜騎士「はぁ…はぁ…」

ガサガサッ

竜騎士「ん…」


アウルベア『グオォ…!』ヌッ


竜騎士「はぁ…会いたくねぇ方に会うとはな…」

アウルベア『グオ…グルル…』ギロッ

竜騎士「…」

 
アウルベア『…』

竜騎士「…!!!」ハッ


女武道家「…」ダランッ


竜騎士「…お、おい…」

女武道家「…」

竜騎士「お、おい…待てよ…女武道家?お前、そんな所で何やってるんだよ…」

女武道家「…」

竜騎士「おい!!女武道家!!!」


アウルベア『グルル…』

竜騎士「アウルベア…てめぇ…!!」

 
アウルベア『グオオオッ!!』

竜騎士「女武道家を、離せぇ!!今すぐにだ!!」

アウルベア『フンッ…』


竜騎士「聞こえなかったのか。離せ、この薄汚い下等獣がぁ!」

アウルベア『…グルル』

竜騎士「口で言っても無駄に決まってるか…!」スチャッ

アウルベア『…』

竜騎士「…女武道家を離せコラァ!」ダッ!!

 
ダダダダダッ!!!

竜騎士「うおおおっ!」

アウルベア『…グオオオッ!』ブンッ

キィンッ!!…キキィンッ!!


竜騎士「思ったより早いじゃねえか、だが、俺の槍の間合いのほうが上だ!」ビュビュビュッ!!

アウルベア『フングッ!!』ビキビキ

ガキガキィンッ!!!

竜騎士「!」


アウルベア『…フン』

 
竜騎士「筋組織の鋼鉄化だと…」

アウルベア『グオオオッ!』ブンッ

…ヒュンッ!!

竜騎士「っぶねぇ…!くっそが…、あまり魔力を要する事は苦手なんだがな…」ゴゴゴ

アウルベア『…?』


竜騎士「ミスリルの槍の性質、精一杯引き出してやるぜ。火炎魔法っ!」ボワッ

…シュボオオォォッ…

竜騎士「ミスリルってのは異質でな、魔法を吸い込めるんだ。こういう具合に、な」ボォォォッ


アウルベア『…』

 
…ザァァァァァァ…

竜騎士「いうところ、火炎の槍ってところか…雨の中だろうが燃え続けるぞ…?」ボォォッ


アウルベア『グァッ!!』ブンッ 

竜騎士「お前の速度じゃ当たらん!間合いも攻撃も俺のほうが早い、火龍突っ!!!」ビュッ!!!

ドシュッ!!!…ボワァッ!!!


アウルベア『ギィヤアアアッ!!!』

竜騎士「火の味は、どうだ?」グリグリ

アウルベア『グウウオオッ!』ブンブンッ

竜騎士「く、暴れるんじゃねぇ!…女武道家を離せば許してやる!!」

 
アウルベア『…グアァッ…!』

パッ…

女武道家「…」


竜騎士「やっと離しやがったなっ!」ダッ

ダダダダダッ…ダキッ……ズザザ゙ァ…

竜騎士「よし…」


アウルベア『フゥー…フゥー…』ギロッ

竜騎士「これ以上暴れるなら…森を焼いてもお前を殺すぞ!!」ギロッ!!!

アウルベア『!』ビクッ

 
竜騎士「…」

アウルベア『…」

竜騎士「…」

アウルベア『…』クルッ

…ガサガサ…ザッザッザッザ…ザッザ…ッザ………


竜騎士「…はぁ…行ったか…」

女武道家「…」

竜騎士「おい、おい!しっかりしろ!!」バッ

女武道家「…」ハァハァ


竜騎士「生きてる…、が…キズが酷過ぎる…。くそっ…!」ギュウッ

 
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――――【 夜 】


ボオオ…パチパチ…

竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士(骨折や重いキズはないが、切り傷が深い…)

ドクン…ドクン…

竜騎士(俺のように感染症を引き起こしたら…どうする…)

 
…モゾッ

女武道家「…う」

竜騎士「女武道家!」バッ

女武道家「竜騎士…さん…?」パチッ

竜騎士「あぁ…俺だ。もう大丈夫だ…」


女武道家「竜騎士さん…ごめん…なさい…」

竜騎士「…いや、謝るのは俺のほうもだ。お前の気持ちにも気づかず、怒ることしかしなかった」

女武道「で、でも…、私が勝手なことばかり…して…」

竜騎士「…いいんだよ。何も言うな、今は休め」

 
女武道家「…はぁ…はぁ」

竜騎士「…魚、食べられるか。お前が採ってきてくれたやつだ…いや、食べろ!」

女武道家「それは…竜騎士さんに…」

竜騎士「いいんだ。俺はバナナが大好きだっつっただろ」ニカッ

女武道家「…」


竜騎士「それとも何だ?また怒られたいのか?おぉ?」

女武道家「あはは…、そ、それは…勘弁して欲しい…ですね…」

竜騎士「だろ、だから食え。生きるんだ」

女武道家「…」パクッ

 
竜騎士(煮る事が出来れば…、もっと食べやすくなるんだが…)

女武道家「…げほっ、げほげほげほ!」

竜騎士「落ち着け。大丈夫だ…ゆっくりな」

女武道家「えへへ…竜騎士さん、優しい…です…」ゴホッ


竜騎士(脚と腕の血は止まっているな…良かった。だが、ダメージとショックがでかいか…)


女武道家「…」ブルッ

竜騎士「…」

女武道家「竜騎士…さん、いつもみたく…こっち、来てくれませんか…」ブルッ

竜騎士「あぁ、いいぞ」スッ

 
女武道家「…うっ…うぇ…」グスッ

竜騎士「…」

女武道家「うぇええん…」

竜騎士「…」ギュウッ


女武道家「竜騎士さん…本当に…ごめんなさい…」

竜騎士「いいんだよ」

女武道家「うう…あううう…」ポロポロ


竜騎士(自業自得だけとはいえない…)

女武道家「…」グスッ

竜騎士(俺に女武道家の優しさの行動を攻め続けることは…出来ない…)

 
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【10月27日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材

■食料
・バナナ
・生魚

 
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――――【 10月28日 曇り(霧) 】


竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士「!」ガバッ!!

女武道家「…」

竜騎士「おい…女武道家、大丈夫か?」

女武道家「…」ハァハァ

 
竜騎士「良かった…っと、寒いな…いつの間に火が消えていたんだ」
 
…ゴソゴソ…ボワッ!!!


竜騎士「…ふぅ。おい、体調はどうだ」

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「…女武道家?」


女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「…おい、ちょっと失礼するぞ」

ピタッ…

竜騎士「お前、熱…まさか…」

 
女武道家「…」ハァハァ


竜騎士「最悪だ…冗談じゃないぞ、こんな何もない島で…感染症で倒れたら…」

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「…っ!」


…ガシッ!!

竜騎士「!」

女武道家「竜騎士…さん…」ハァハァ

竜騎士「…無理するな、寝てろ!」

女武道家「大丈夫…ですから…心配しないでください…」ゼェゼェ

 
竜騎士「大丈夫なんかじゃないだろう!」

女武道家「いえ…いいえ…これ以上、迷惑を…かけるわけにはっ…」

竜騎士「…、いいから寝ているんだ」


女武道家「…」

竜騎士「寝ていろ。動くんじゃない…」

女武道家「…はい」

ゴロンッ…


竜騎士(どうすればいいんだ…。このままでは…)

 
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――――【 夜 】


ゴリゴリ…ゴリゴリ…ジャブジャブ…


竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士「女武道家」

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「魚を砕いた。水で少しずつ流し込め」

女武道家「…」ゴクッゴクッ…

 
竜騎士「…」

女武道家「ごほっ…おえっ…」

竜騎士(…1日待ったが回復の兆しがない…。俺には医学の知識もない、回復技術もない…どうしたら…)

女武道家「はぁ…はぁ…」ゴロンッ


竜騎士(俺に出来る事は…救助を待ち、見守る事だけ…?)

女武道家「…」

竜騎士(いや…きっと出来ることがあるはずだ…きっと!)

 
女武道家「うぐっ…うううぅ…」

竜騎士「…女武道家?」

女武道家「うぅぅ~…!」


竜騎士「どうした、キズが痛むのか?…見せてみろ」

女武道家「…」ゼェゼェ

竜騎士「!!…何て腫れ方だ…、化膿してるのか…」

 
女武道家「…」

竜騎士「熱もひどい…、冷たい水を持ってきてやる…待ってろ!」

女武道家「…」ハァハァ


ゴソゴソ…タッタッタッタッタ…


竜騎士「…、死なせるものか…絶対に」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 川 辺 】

ガサガサ…

竜騎士「…」

…ジャブジャブ…コポコポコポ…

竜騎士「…うし、急いで戻るか」


…フラッ

竜騎士「ん…お、おっとっと…」

フラフラフラ…グゥゥ…

竜騎士「さすがにバナナだけで動き過ぎたか…腹が減ったなぁ。…お?」

 
トコトコ…スッ

竜騎士「キノコか」

ブチッ!!

竜騎士「…食べられるのか?縦に裂ければ食べられるんだっけか…」

サクッ…ブチブチッ

竜騎士「裂けた…。虫が食べているものとか、かじって変な味がしなければ大丈夫だった…って聞いたが」


パクッ…ジャリジャリ

竜騎士「虫が少し食べた後もあって…味は何ともいえない…が、…っぺ!」

…ベチャッ!!

竜騎士「はは、アホらしい。知識もないまま毒食って死んでたまるかよ…」


ザッザッザッザッザ…

 
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・・・
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【10月28日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材

■食料
・バナナ

本日はここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます、投下致します。

 
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チュンチュン…

竜騎士「…朝か」ハッ

女武道家「…」


竜騎士「女武道家、大丈夫か…?」

女武道家「…」

竜騎士「…女武道家?」

女武道家「…」

…シーン

 
竜騎士「…女武道家、おい」

女武道家「…」

竜騎士「お…おい、おい!!!」


…ガバッ…ピタッ

竜騎士「手が冷たい…、冷たい…?おい!おい…」

ブチブチッ…バッ!!

竜騎士「…っ」


女武道家「…」
 
竜騎士「心音が…しな…え…?」

 
女武道家「…」

竜騎士「ちょっと…待てよ…なぁ、え?どうした?女武道家?」

女武道家「…」

竜騎士「…嘘だろ?」

女武道家「…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
竜騎士「俺が守ってやる!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

竜騎士「…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
女武道家「えへへ、竜騎士さん…ありがとうです!」

竜騎士「当たり前だろ!」
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竜騎士「…っ!!」ドンッ

女武道家「…」

竜騎士「何か言ってくれ…女武道家ぁっ!」

女武道家「…」

竜騎士「おい…おいっ…!うあぁぁっ!!」

女武道家「…」

 
…ズキン…

竜騎士「…っ?」

ズキン…ズキズキズキ…

竜騎士「何だ…体が…痛い…」


フラッ…ドサッ

竜騎士「ごほごほっ…!な…何だ…」

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パクッ…ジャリジャリ

竜騎士「味は何ともいえない…が、…っぺ!」
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竜騎士「まさか…あれが…」

 
ズキズキズキ…!!!

竜騎士「…っ!!」

フラフラ…ドサッ


竜騎士「う…世界が回る…。俺は…ここまでか…?」


竜騎士「…ダメだ、眼を開けていられない…」


竜騎士「……女武道家…」


竜騎士「……」


竜騎士「…」

 
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――――【 10月29日 曇り 】
 
 
…チュンチュン…

竜騎士「…っ!!」ガバッ

女武道家「…」


竜騎士「俺…生きてる…?夢、だったのか…」

女武道家「ごほごほっ…」

竜騎士「女武道家も…生きて…!」

 
女武道家「…」ゼェゼェ

竜騎士「…うっ」ズキン!!

ズキ…ズキズキ…


竜騎士「ぐ…うぅ…。悪夢にこの痛み…アレのせいか…、毒だったんだな…」ズキズキ

フラフラ…

竜騎士「はぁ…、参った…生きてるだけマシか…」ドサッ

 
女武道家「…」

竜騎士(だが…このままじゃ夢が現実になっちまう…、どうすれば…)

女武道家「…ごほっ、ごほごほ…」


竜騎士(思い出せ…どうすればいいか…!必ず突破口はあるはずだ…)

 
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――――【 10年前 サバイバル演習 】


上官「今回のような行動をする上で、非常に大事なことがある!」バンッ

竜騎士「何ですか?」

上官「"体調管理"だ。一個小隊ならまだしも、単独や少ないパーティにおいては最重要な項目になる」

竜騎士「えー…敵を倒すことよりですか?」


上官「そりゃそうだ。とにかく、最後には"生きている"だけで勝ちということを刻んでおけ」

竜騎士「は、はぁ」

 
上官「それと…何があるか分からんからな。あらゆる事象を覚えていて損することはない」

竜騎士「でも俺、勉強苦手なんで…」

上官「軍の未来を担う若い者が、それでどうする」ハァ

竜騎士「はは…、いざとなったら仲間に頼りますよ」

上官「いずれはお前も先輩になり、頼られる存在になる。お前は後輩に頼る気か?」


竜騎士「それは嫌だな…」

上官「だったらしっかり話を聞け!」

竜騎士「はい…」

 
上官「薬草、野草はどこにでもある。だが、数が多くそれは専門家にもならんと難しい」

竜騎士「必要な分だけ覚えてればいいってことです?」

上官「まぁそうだ。それと私たちは戦士だ。戦士には、戦士しか出来ないこともある」

竜騎士「ふむ?」


上官「魔物というものは…栄養豊富な組織で蓄えられていてな。それを重要な食料ともできる」

竜騎士「なるほど」

上官「例えば、蛇苺というものを知っているか?」

竜騎士「いえ」

上官「勉強が足りん。ヒュドラの卵のことだ。絞蛇症の特効薬として有名だが、新鮮な卵は万能の妙薬となりうる」

 
竜騎士「なるほど…、新鮮…」

上官「生が一番効くというが、私にはとてもじゃないが食べれそうにないな…」

竜騎士「うぇ…気持ち悪いですね…」

上官「まぁ、美食家たちに乱獲されつつあるが…。沼地なんかによく生息している。覚えておけ」

竜騎士「はい」


上官「あとは…魔獣の心臓とかな。アィー、ラミア、ユニコーン…"アウルベア"の肝臓とか有名か」

竜騎士「それも万能の妙薬に?」


上官「万能過ぎるわけではないが、解毒作用や体調を整えるのに充分な薬となる」

竜騎士「へぇぇ」

上官「とは言っても、お前はいざという時思い出せそうにもないがな」ハハハ

竜騎士「ひどくないですか…」

 
上官「いざとなったら毒キノコでも食べて、死を感じて思い出せばいいさ」ククク

竜騎士「どういうことですか?」

上官「人の体には、死の恐怖を感じると、今までの記憶を過去から無理やり引き出す能力があるらしい」

竜騎士「あー、走馬灯もそういう仕組みでしたっけ?」

上官「そうらしいな。ま、そんな体験はしたくないが…」

竜騎士「俺もですよ」ハハハ


上官「お互い、そうならないように気をつけような」

竜騎士「はいっ!」

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ポツ…ポツポツポツ…

竜騎士「…んむっ」ハッ

ザァァァァッ…


竜騎士「また雨か…っと、いつの間にか寝てしまったのか」

女武道家「…」ハァハァ


竜騎士(上官殿…そんな体験、してしまったようです…。それより…)

 
ガサガサ…ペラッ

竜騎士(…やっぱりか。確か山頂から見た時、沼があったと書いた覚えがあった…。一応書き込んでたみたいだな)

…カキカキ

竜騎士(ここまでの距離はそれなり…往復で戻ってくるまで…時間がかかる)


…ズキンッ…

竜騎士「ぐっ…俺の体力で持つか…?だが連れて行くワケにはいかないし…、おい」

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「女武道家、聞こえるか?」

女武道家「…う」

竜騎士「聞こえてるなら、俺の指を軽く握ってくれ」

 
ギュッ…

竜騎士「よし。体調はどうだ?…言いたくはないが、まだ、"持ちそう"か…?」

………

…………ギュッ…


竜騎士「無理はいい。素直に言うんだ…。もう1度聞く。まだ、持ちそうか?」

…ギュゥゥッ…!!!


竜騎士「…」

女武道家「…」ニコッ

竜騎士「…わかった。信じるぞ」

ギュッ…

 
竜騎士(どんなに急いでも半日、往復で着くのは夕方になる…)

…チラッ…スチャッ

竜騎士(沼にもしいなかったら…。そして、アイツと再び対峙することになる…)

竜騎士(だが、いる事を信じて、勝てることを信じて…出会うことを信じて…走り続けるしかない)


ズキンッ!!

竜騎士(いつっ…俺の体力もどこまで持つか。だが、やるしかないっ…)

 
…ハッ

竜騎士(待てよ…?アウルベアが、俺のいない間にココへ襲いにきたら…?)

竜騎士(…匂いにも敏感だ。恐らく…)

竜騎士(一緒に連れて行くか?背負って?…俺が何でもないなら、背負ってもいけた。だが…)


ズキンッ…

竜騎士(素直に救助を待っていても、間に合う可能性は低い…)

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士(…っ)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザッ…ザッ…ザッ゙!!


竜騎士「ぐぬっ…!」ギリギリ

女武道家「…」

竜騎士「歩きながらだ、揺れて辛いかもしれねえが…我慢してくれ…」


女武道家「…」コクン

竜騎士「っしゃあ…一歩、また一歩…」フゥフゥ

 
女武道家「…」ゴホゴホ

竜騎士(どんどん衰弱していっている…急がなければ…)

…ズキンッ…

竜騎士(ぐうっ…)


女武道家「…しさん」ボソッ

竜騎士「ん、どうした?」

女武道家「…迷惑…は…せん…」

竜騎士「…」

女武道家「だ…じょぶ…ですから…、置いてっ…て…下さい…」

竜騎士「…あーん?聞こえねえな。素直に上司に従ってろ、アホな部下が!」ハァハァ

 
女武道家「…」

竜騎士「それより、喉渇いてないか。水だけはしっかり飲ませる。トイレにいきたくなったら軽く腕を触れ」

女武道家「…」

竜騎士「お前を助ける為なら何でもしてやるよ…、お前も羞恥心は捨て置け!」ゼェゼェ

女武道家「…」コクン


竜騎士「目の前で…死なせるかっつーの!」

女武道家「…」

竜騎士「さぁ…行くぞ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 半日後 】


竜騎士「はぁ…っ!はぁ…もう沼の目の前だ…、女武道家、起きてるか?」

女武道家「…」スヤスヤ

竜騎士「眠ってるか…。優しく下ろして…」

…ストンッ


竜騎士「小火炎魔法っ」

ボワッ…パチパチ…

竜騎士「火がついたか…。日暮れも近いな…。一応ビバーク的に、と考えていたが…」
(ビバーク※緊急的な野営)

 
キョロキョロ…

竜騎士「まともにビバークできる場所がない…ここに腰を下ろすしかないか…」ハァッ

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「鬱蒼とした森が続くだけ…」


…シュルンッ!!

竜騎士「!」

ガバッ…ガシッ!!!ビクビク…


竜騎士「普通の蛇…か。シマヘビ…こいつは…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パチパチ…ボォォ…ジュワジュワ…


竜騎士「…女武道家、肉だ。食えるか?」

女武道家「…」

竜騎士「少しでもいい。栄養になるものだ…少しだけでも食べるんだ」

女武道家「…」パクッ

竜騎士「そうだ。生きるために、食うんだ」

 
女武道家「…」

ムグムグ…ゴクッ……


女武道家「…」

竜騎士「よし…旨いだろ…?」

女武道家「…」ニコッ

竜騎士「…」ニコッ

 
女武道家「…」ガクッ


竜騎士「…女武道家?」

女武道家「…」スゥ

竜騎士「良かった…寝ただけか…」ホッ

女武道家「…」スヤスヤ


竜騎士「決して最悪の結末にするものか…」

スタッ…ゴソゴソ…

竜騎士「さて…沼は目と鼻の先。ヒュドラ、いてくれよ」スチャッ

本日はここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 沼地 】

 
…スタッ

竜騎士「…沼地。気配はある」

ゴソゴソ…スチャッ


竜騎士「…」ジー


…ガサガサ!!…ザボンッ…サワサワ…

竜騎士「沼に入る音…いるな」

コソコソ…


ヒュドラ『シュルッ…』

竜騎士(…いた!)

 
ヒュドラ『シュルルッ…シュルル…』

竜騎士(問題は子持ちかどうか…、肉自体にも栄養はあるが…)


ヒュドラ『…シュルル…』

竜騎士(鳴き声が違う…、子持ちは"カラカラ"と鳴くはず)

ヒュドラ『シュルッ…』

シュルル…シュル…ガサガサ………シュルシュルル…


竜騎士(…子持ちがいない?耳を…研ぎ澄ませろ!)


シュルシュルルル……ガサ…シュルシュルル…カラッ……シュルル…

竜騎士(!)

 
紅ヒュドラ『カラカラ…』


竜騎士(いたっ…!だけど色が違う…亜種か…?)

紅ヒュドラ『…カラ』

竜騎士(亜種は何かしらの特異を持ってるはずだ…、特攻はあまり得策じゃないか?)

紅ヒュドラ『…』


竜騎士(もう少し近づくか)

コソコソ…ガサ…パキッ

 
紅ヒュドラ『!!』ビクッ

竜騎士(気づかれた!?)

 
紅ヒュドラ『カラカラ!!シュルッ!』

竜騎士(…なるほど、極端な認知の性質を持っているのか)


ワラワラ…

ヒュドラ『シュルシュル…』

ヒュドラ『シュルッ…』


竜騎士(しかも何かしやがったな…続々と集まってきやがった…)

紅ヒュドラ『…』

竜騎士(だがこれは逆に好都合…、お前らの栄養豊富なその身を差し出してもらう…)

 
…スチャッ

竜騎士(…奇襲!)バッ


紅ヒュドラ『!!』

ヒュドラ達『!!』


竜騎士「龍突連弾っ!!」ビュビュビュッ!!

ヒュドラたち『シュルッ!!!』

ドシュドシュドシュッ!!!…ビュンッ!!


竜騎士「…と、亜種を逃したか!」


紅ヒュドラ『シュヴァッ!』クワッ

竜騎士「危ねぇ!」ヒュッ

 
紅ヒュドラ『クワァッ!』ギロッ

竜騎士「休ませる暇もないってか…!」

紅ヒュドラ『シャアッ!』ビュンッッ

竜騎士「くっそ、早い!」ヒュッ


紅ヒュドラ『ムグ…カァァッ!』ゲボッ

竜騎士「ぬおっ!」

…ベチャアッ!!!…ドロッ…ジュワジュワ…


竜騎士「熱っ…ど、毒液!?」

 
紅ヒュドラ『…カラカラ』

竜騎士「…っち」

紅ヒュドラ『カァッ!』ゲボッ

竜騎士「っと!毒液はやべえ!」ヒュンッ


紅ヒュドラ『…ッ』シュルシュル

竜騎士「くそっ、距離を置けない!…小火炎魔法っ!」ボワッ

紅ヒュドラ『!』

ドォンッ!!!

 
竜騎士「怯んだか…龍突っ!」ビュッ

紅ヒュドラ『シュルッ!』

…ヒュンッ!!

竜騎士「ハズした!?」


紅ヒュドラ『カァッ!』ゲボッ!

…ベチャッ!!!ジュワッ…

竜騎士「ぐあっ!」


紅ヒュドラ『…シュルルル』

竜騎士「…」ハァハァ

 
…ズキンッ

竜騎士「…っつ」

紅ヒュドラ『…』

竜騎士(毒キノコに毒液…、毒祭りだなチクショウ)


紅ヒュドラ『カラカラ…』

竜騎士「体力さえあればこんなヤツ…」

紅ヒュドラ『…』


…ミシッ…ゴゴゴ…

竜騎士「…ん?」

紅ヒュドラ『…?』

 
ゴゴゴゴ!!!グラグラグラグラ…

竜騎士「…な、なんだ!?地震!?」

紅ヒュドラ『…シュルッ!』ビクッ


竜騎士「動きが止まった?…好機!」ダッ

ダダダダッ…ビュンッ!!!ブシュッ!!!


紅ヒュドラ『カッ…』ビクビク

竜騎士「…」

…グラグラグラ…グラ…ミシ…

 
紅ヒュドラ『…』ガクッ

竜騎士「はぁー…助かったぜ」ハァハァ


紅ヒュドラ『』ビクンビクンッ


竜騎士「…」チラッ

ヒュドラ達「…」

紅ヒュドラ『…』


竜騎士「悪いな…、旨く食べてやるからな」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パチパチ…ボォォ…


竜騎士「…ヒュドラの卵。こうしてもう1度食す事になるとはな」

女武道家「…」ゼェゼェ

竜騎士「女武道家、口開けるんだ」

女武道家「…?」ハァハァ

竜騎士「早く開けるんだ。生だからちと…食感は最初は悪いかもしれんがな」


コツコツ…パカッ

女武道家「…!」ニュルンッ

 
竜騎士「気持ち悪いかもしれんが、飲み込め!」

女武道家「むーっ!ぐむう!」ブンブン

竜騎士「吐き出すな!」

女武道家「う…うぐう…」ビュッ

竜騎士「!」ガツンッ!!

…タラッ…


竜騎士「大丈夫だ。落ち着け、しっかりと飲み込むだけで良い」ギュッ

女武道家「んむ…むぅ…」ゴクンッ

竜騎士「よし…、上体起こすぞ。水をゆっくり飲むんだ」スッ

女武道家「…」コクコク…ゴクンッ

 
竜騎士「…」

女武道家「…」ハァハァ

竜騎士「…俺の膝で横になってろ。地面よりマシだ」

女武道家「…」


竜騎士「これから夜が来る。動くのは得策じゃないからな、寝にくいだろうが少しの時間だけ…な」

女武道家「…」コクンッ

竜騎士「よし。じゃあ休んでおけ」

女武道家「…」


竜騎士(元気になってくれればいいんだが…いててっ)タラ…

 
ズキン…ズキン…

竜騎士(女武道家の暴れた撃、かすめただけで切れやがった…、思った以上に力があって少し安心だな)


ゴゴゴ…

竜騎士「ん?」

ゴゴゴゴ…ミシミシ…ゴゴ………


竜騎士(また地震…、考えてみればこんな孤島で地震?あるものなのか?)

竜騎士(まぁいい…か。俺も久々の肉にありつけて…少し落ち着けた)

竜騎士(…はは、笑えてくるぜ色々…)


パチパチ…ボォォ…

ホゥ…ホゥ…

チチチ…

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
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・・・・・
・・・
・・

 
【10月29日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

・沼付近のビバーク
(簡易かまど)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材

■食料
・ヒュドラの卵少量
・蛇の肉少量

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10月30日 晴天 】


ユサユサ…

竜騎士「…む、また地震か…?」ムニャッ

ユサユサユサ…


竜騎士「地震…でかい!?」ガバッ

…ゴチンッ!!!

竜騎士「いてぇぇーっ!なんだ!?」ゴロゴロ

 
女武道家「あうう…」ズキズキ

竜騎士「…女武道家?」

女武道家「き、急に起き上がらないで下さい…」

竜騎士「ん?…え?」


女武道家「体調が落ち着いたようなので…眼が覚めたら朝だったから…起こそうと」

竜騎士「…」ジワッ

女武道家「その…あの…」

竜騎士「…」ゴシゴシ

ブンッ…ゴツンッ!!!

 
女武道家「」ズキズキ

竜騎士「この、アホが!手間かけさせやがって!」

女武道家「うう…」


竜騎士「この…アホ…が」

女武道家「…う」グスッ

竜騎士「…良かったなぁ、本当に…」

女武道家「竜騎士さん…」

 
竜騎士「…」グスッ

女武道家「…竜騎士さんも、泣いてくれるんですか…?」

竜騎士「!」

ゴシゴシゴシゴシ

竜騎士「これは違う!あれだ、朝露がたまたまな!」

女武道家「…うああ…」グスグス

竜騎士「泣くなぁぁ、俺も泣けるじゃねえかあぁ」ポロポロ


女武道家「うああん…竜騎士さん…私…」ポロポロ

竜騎士「いいんだ…」ポンポン

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ボォォ…

女武道家「…」モグモグ

竜騎士「ヒュドラ。久々だろ?」

女武道家「はい、美味しいです…」


竜騎士「はは、そりゃよかった」

女武道家「…」

竜騎士「…?」

 
女武道家「今回、本当に竜騎士さんに迷惑かけちゃいましたね」

竜騎士「仕方ないことだ。お前も俺の為を思ってやったんだろう」

女武道家「…」

竜騎士「あの魚の捌き方、見事だったぞ」ハハハ

女武道家「竜騎士さん…」


竜騎士「何にせよ、万病の薬の蛇苺か…、お礼を言っておこうぜ」

女武道家「はい、ありがとうです…ヒュドラさん」ペコッ

竜騎士「あとは美味しく頂くこと。命を頂き、生きられる。それを忘れるなよ」

女武道家「…はいっ」

 
…ミシミシ…ゴゴゴ…
 
竜騎士「…ん」

女武道家「地震、ですか?」

竜騎士「んー、この最近多いようでな」


女武道家「…」キィン


竜騎士「…ふむ」

女武道家「…?」キィン

竜騎士「どうした?」

女武道家「何か、頭の中にキィンとしたものが…響くんですけど」

竜騎士「ついにアホが大アホになった…か?」ゴクリ

女武道家「違いますっ!」

 
竜騎士「…」

女武道家「…近くに何かありますよ。そんな気がします」

竜騎士「何かって…」

女武道家「うぅっ…何でしょうこれ…」キィィン

竜騎士(頭にキィンと響く感覚?それが本当なら、感知の能力だ…。だがまさか…)


女武道家「こっち側…何かありますよ、うわっ…頭に響く!!」キィィィン…

竜騎士「女武道家、まず俺の眼を見ろ」

女武道家「は、はい?」

竜騎士「次に目をつぶって、壮大な野原の上に空を飛ぶイメージをしろ」

女武道家「はい…」

 
竜騎士「そして、その野良の上にゆっくりと、ゆっくりと着地していく」

女武道家「…」

竜騎士「やがて、お前はその野原に横になる。そよ風、鳥のさえずり。木陰が優しく聞こえてくる」

女武道家「…」スゥッ

竜騎士「…」

女武道家「…あれ?」


竜騎士「まだ、聞こえるか?」

女武道家「あ…いえ…」

竜騎士(…落ち着きで聞こえなくなった。やはり…)

 
女武道家「…うーん?」

竜騎士「女武道家、よく聞け。お前が聞こえていたのは、"感知"の能力のせいだな」

女武道家「感知…ですか?」


竜騎士「前に話しただろう、俺には気配が読めると。それに似て、何かしらの同調するものを認知する能力だ」

女武道家「…え?」

竜騎士「恐らく、死の淵をさ迷ってたところに食べた…亜種ヒュドラの卵の認知能力が吸収されたものだとは思うんだが…」

女武道家「え?え…?」

竜騎士「元々、女武道家自身に高い身体や感覚能力はあったみたいだし…覚醒したのかもしれん」

 
女武道家「それは、強くなったってことですか?」ムフー

竜騎士「どうだろうな、一時的なものではあるとは思うぞ…卵のドーピングみたいなもんだろ」

女武道家「えぇ…じゃあ、いずれ落ち着きますか?」

竜騎士「少なくとも、影響はある。今まで以上の感覚性能は身につくかもしれんがな」

女武道家「そ、そうですか」


竜騎士「…」

女武道家「…?」

竜騎士「…」

女武道家「竜騎士さん?」

竜騎士「ん?あ、あぁ…いや、何でもない」

 
女武道家「…は、はい」

竜騎士「それで、お前が感じたのはどっちの方角だったっけ」

女武道家「えーと…」ググッ

…キィィィン…


女武道家「うっ…こ、こっちです」

竜騎士「…落ち着きはさっきと同じようにすればいい。慣れればオンオフも効くだろうしな」

女武道家「はい」ハァハァ

 
竜騎士「さて、食べ終わったみたいだし…探索に行ってみるか?」

女武道家「戻らないんですか?」

竜騎士「折角ここまで来たし、お前の言う方に何があるか気になるからな」ヨイショ

女武道家「はいっ」


竜騎士「ん?そういや…こっち側って…」

女武道家「?」

竜騎士「確か…」ペラッ

女武道家「地図に赤い丸が書いてありますね」

竜騎士「お前が見えた揺れる岩の場所じゃないか」

 
女武道家「あ、そうですね」

竜騎士「…地震、揺れる岩…ふむ」

女武道家「関係ありそうですね」

竜騎士「行ってみる価値はありそうだ。だけど、今日はゆっくり休むか?」

女武道家「いえ、近くにあるなら行きましょう!」


竜騎士「…1つ言っておくが、完治した訳じゃないんだから少しでも辛くなったら…」

女武道家「もちろん、声をかけます」

竜騎士「よろしい」


女武道家「それじゃ、謎の岩に向って出発です!」ビシッ

竜騎士「…おう!」

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆さま有難うございます。投下、開始致します。

  
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――――【 揺れる岩 】


…ザッザッザッザ

竜騎士「…ふぅ、ふぅ」

女武道家「竜騎士さん…気のせいじゃないですよね…」

竜騎士「あぁ…暑い…」タラッ

女武道家「…ですよね」


竜騎士「急に暑くなってきやがった…まるで初日のようだ」ハァハァ

女武道家「一体何なんでしょう」

竜騎士「さぁな…」

  
ザッザッザ…ピタッ

竜騎士「あった、これか…!」

女武道家「うわ、岩っていうより岩壁ですね…てっぺんが遠い!」

竜騎士「ぬぐ…この熱気…」ムワッ

女武道家「サウナみたいですよ…」


竜騎士「水分が奪われる…ん?」

…キランッ

竜騎士「これは…」スッ

女武道家「何ですか?」

 
ミシミシ…ゴゴゴゴ…

竜騎士「っと、また揺れが」

ゴゴゴゴゴ…!!!

女武道家「うわ、岩全体が地鳴りあげてますよ!」



竜騎士「一旦少し離れろ」

女武道家「は、はいっ」

竜騎士「…なるほどな、お前の感知に引っかかったのも頷けた」

女武道家「…?」

  
竜騎士「拾ったやつ…これを見ろ」スッ

女武道家「…真っ赤な石、ですか?」

竜騎士「クリスタル、赤の魔石だ。地面から露出していた。この魔力を強く感知したんだ」ボゥッ

女武道家「赤の魔石…火魔石ですか!?」


竜騎士「魔石というより、原石だ。この岩は恐らく地下鉱脈が表に長年かけて露出したものだろう」

女武道家「これが全部…火魔石の原石!?」


竜騎士「岩壁を叩くぞ…見てろ…」スチャッ

ブンッ!!!ゴツンッ!!!…ボワッ!

女武道家「岩壁の中から炎が!」

 
竜騎士「火魔石は露出すると次々魔力を失うが、ここまで巨大だとわずかながら火の性質を保っているんだ」

女武道家「じゃあこの島が熱帯だったのって…」

竜騎士「…そうだ。鉱脈の筋の出るところ。まるで…星の結晶だ。この島は、"生きている"っていう感じか」

女武道家「生きている…島」


竜騎士「まぁこれに限らず、全てにおいて生きているとは言えるが。ここまで象徴的なのも珍しい」

女武道家「でも、ここまで巨大な魔石があって…急に寒くなったのはどうしてでしょう」

竜騎士「…それも少し分かった」

女武道家「?」

 
竜騎士「こっち側に来い」

女武道家「は、はい」

トコトコ…


竜騎士「ここ、隙間を見てみろ」

女武道家「…真っ黒ですね」

竜騎士「恐らくだが…この島の真下を走る魔石鉱脈は、この世界の中枢を担う鉱脈が走っている」

女武道家「この世界の…」

竜騎士「この島は、その鉱脈が浮き出た周囲に形成されている島なんだろうな」

女武道家「じゃあ…この黒いのは?」

 
竜騎士「…魔力を失い始め、死んだ部分だ」

女武道家「死んだ部分?」

竜騎士「島を生成する鉱脈の魔力が寿命になりつつあるということ…になる」


女武道家「え…じゃあ、もしかして寒くなったきたのは…島の…寿命…?」

竜騎士「動物が極端に少なかったこともそれで頷ける。住めなくなり始めていたんだ…」


女武道家「で…でも、生きているんですよね…まだ」

竜騎士「そう…島は生きようと鉱脈を地上へと突き上げる…。まるで"島の呼吸"だな。それが…」


ゴゴゴゴゴ…ミシミシミシ…!!!

女武道家「地震、ですね」

竜騎士「地震、だ」

 
女武道家「この島は、必死に生きようとしているんですね」

竜騎士「ヒュドラがこの地震に驚いていたわけだ…、島の寿命が近いことを知っていたんだ」

女武道家「…この島、持ってどのくらいですか?」

竜騎士「この失われた魔石の範囲から見ても、そう長くはないだろうな…」


女武道家「そうですか…この島には助けてもらいました…」

竜騎士「そう…だな」

女武道家「何とか、ならないんですか?」

竜騎士「…へ?」

女武道家「こう、この島を助け出す手立てとか!」バッ

 
竜騎士「…あのな、魔物や手が及ぶところの問題じゃないんだこれは」

女武道家「むぅ…」

竜騎士「これは"星"が生きている証拠。…俺らがどうこうできる問題じゃない」

女武道家「そう…ですよね」


竜騎士「また絵本の話か?」ハハハ

女武道家「似たような話があるんですか!?」

竜騎士「知らないの?」

女武道家「知りませんよぉ…」

竜騎士「英雄剣士の末裔の話だぞ?習っただろ?」

女武道家「…?」

 
竜騎士「お前さ、中途半端に色々覚えすぎ。中央に戻れたら俺と勉強会な」

女武道家「えぇぇっ!」

竜騎士「お前には色々教える必要がありそうだ、まだまだ勉強の予知はある」ニッコリ

女武道家「あうう…勘弁してくださいよぉ」

竜騎士「今回の行動も反省!いいな!」

女武道家「そ、それは勿論です!」ビシッ


竜騎士「はは…それじゃ戻るか。島の秘密も分かったし、最初の拠点まで戻って…久々にのんびり出来そうだな」ウーン

女武道家「そういや、竜騎士さんお腹大丈夫なんですか?」

竜騎士「えっ」

 
女武道家「毒キノコにやられた、俺はもうだめだ…、うぐー!とか色々言ってましたよね」

竜騎士「えっ、えっ」

女武道家「"思い出しました上官殿"とか…確か。気のせいじゃないですよね?」

竜騎士「…さ、急いで拠点に戻るぞ」

女武道家「竜騎士さん?」


竜騎士「ささ、日が暮れる。急げっ!」ダッ

女武道家「まだ昼にもなってな…、あ、待って下さいよぉ!」


タッタッタッタッタッタ…

 
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――――【 夜・海辺 】

ザザァン…


竜騎士「おっ、来た!」パシャァッ!!

女武道家「むぅ…釣りの腕前あげましたね」

竜騎士「はは、当たり前だ!」

女武道家「ぐぬぬ…ん?」

ザッ…


アウルベア『…』

 
竜騎士「!」

女武道家「アウルベア…」

竜騎士「性懲りもなく…またきやがったな…」スチャッ

女武道家「…竜騎士さん、ちょっと失礼しますよ」ゴソゴソ


竜騎士「あ、俺の釣った魚…」


女武道家「それーっ!」ポイッ

アウルベア『…!』

女武道家「…」

アウルベア『…』パクッ…モグモグ

女武道家「…ふふ」

 
竜騎士「お前…」

女武道家「きっと、アウルベアさんもお腹がすいていたんですよ」

竜騎士「だからっつってな、お前殺されかけた…」

女武道家「…ごめんなさい」


竜騎士「そういう事じゃない。殺されかけた相手に、よく情けをかけられるなってことだ」

女武道家「この島に動物が減っていく中で、アウルベアさんも大変なんですよ…きっと」

竜騎士「そうかもしれんけどな…」
 
 
女武道家「…」キィン

 
ゴソゴソ…スッ…


女武道家「…」キィィン…

アウルベア『…グルル』

トコトコ…


竜騎士「あ、おい!女武道家、近づくな!」

女武道家「アウルベアさんも、怯えているんです。見知らぬ存在がいたことで、興奮してたんですよ」

竜騎士「また攻撃されるぞ!待て!」

女武道家「しっ…大丈夫です」キィィン…

竜騎士「…」


女武道家「頭の中に、響いてます。大丈夫です」

竜騎士「感知の…力か」

 
女武道家「アウルベアさん、あなたの住む島、もう少しだけいさせてくださいね」スッ

アウルベア『グルグル…』

女武道家「私の釣ったお魚も、あげます」ニコッ

アウルベア『…』


女武道家「…」ナデナデ

アウルベア『ガウウ…』クルッ

女武道家「…あ、どこに行くんですか?」

アウルベア『…グルッ』

女武道家「…そうですか、また…」


ザッザッザッザッザ…

 
竜騎士「…ハラハラしたぞ。お前、あいつの言葉が分かったのか?」

女武道家「何となくですけど、もう俺の縄張りには来ないでくれとか…そういうことじゃないでしょうか」


竜騎士(そういや動物もとい、魔物好きだったな…、ここまで来ると逆に尊敬するよ…)ハハ


女武道家「さて、魚釣りの続きをしましょう!」


竜騎士「お…おう、また俺が釣りあげてやるからな!」

女武道家「望むところですっ!」

 
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【10月30日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

・沼付近のビバーク
(簡易かまど)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材
・火魔石

■食料
・魚

 
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――――【 10月31日 晴天 】


チュンチュン…

竜騎士「おーっ、久々に良い天気だー!」

女武道家「ふわぁ~…」

竜騎士「水の確保、釣り、野草探索、色々できる!」


女武道家「…竜騎士さん、今日で何日目です?」

竜騎士「んーと…8日目だな」

女武道家「1週間も救助って来ないもんなんでしょうか」

 
竜騎士「昨日の釣りをするときに砂浜を見たが、誰か来た痕跡もなかったしな」

女武道家「忘れられてるとか…」

竜騎士「一応俺らは世界を巡る冒険部とはいえ、中央勤務だ。上官殿も心配はしてるはずなんだが…」

女武道家「ですよね…」


竜騎士「とはいえ、そろそろ救助が来てもいいとは思うがなぁ」

女武道家「信じて待て、ってことですね」

竜騎士「その通り。俺らはとにかく今日を生きるのに必死になることだ」

女武道家「はいっ♪」

 
竜騎士「さーてと、とりあえず砂浜にでも行ってみるか」

女武道家「何するんですか?」

竜騎士「貝でもいないかなーと思ってね」

女武道家「なるほど」

竜騎士「それと、昼間は砂浜に顔を出していたほうがいいかなとか思ったんだよな」ウーン


女武道家「ですねぇ…」

竜騎士「野草探索がてら、のんびり色々探そう」

女武道家「はいですっ」

  
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――――【 海 辺 】


ザザァーン…ミャア…ミャア…


竜騎士「…意外なものとか落ちてると嬉しいんだけどなー」

女武道家「例えば?」

竜騎士「…鍋」キリッ

女武道家「即答ですね」

竜騎士「鍋があれば色々できる」


女武道家「あるといいんですけどねえ…って、竜騎士さん?」

  
竜騎士「ん?」

女武道家「水って、しふつ…でしたっけ?あれしないと飲めないんじゃなかったんですか?」

竜騎士「煮沸(しゃふつ)な。いやーそう思ったんだけど、考えたら鍋なかったよな」ハハハ

女武道家「えぇ、じゃあ危険なまま飲んでたんです?」


竜騎士「いや、沢蟹とカワゲラっつー虫がいた。それだけで飲める水の見分けになる」

女武道家「あーなるほど…って!私は怒られ損ってことじゃないですか!」

竜騎士「アホ!いきなり生水を口にするとか、怒られて当たり前だろ!」

女武道家「ひええっ!」

竜騎士「ははは」

 
…ザザァーン


竜騎士「…」

女武道家「…」

竜騎士「静かだな」

女武道家「本当に…」


竜騎士「…」

女武道家「こんなにも広くて、青々とした島なのに…なくなってしまうんですか?」

竜騎士「仕方ないことだ…、それが運命なんだからな」

女武道家「…」

 
竜騎士「さて、何もないようだし…戻るか」ザッ

女武道家「そうですねぇ…」


竜騎士「貝もいないようだし、収穫はなしだなぁ」ハァ…

女武道家「野草でも探します?キノコとか生えてそうですし」


竜騎士「キノコ、却下」

女武道家「え?」

竜騎士「キノコ、却下」

女武道家「きの…却下?」

竜騎士「却下!!」

 
女武道家「な、なんでそんなムキになるんですかぁ!」

竜騎士「毒かどうか分からないからだよ!また腹痛とか、悪夢とか見たくないんだよ!」

女武道家「…やっぱり、食べたんですね」

竜騎士「あっ」

女武道家「人に色々言っといて、それはズルくないですかぁー!」

竜騎士「うっせー!」

女武道家「むぅ!」


竜騎士「もう、お前を失う悪夢なんて見たくないんだっつーの!」

女武道家「…私を失う夢?」

 
竜騎士「お前が倒れてた時、俺はキノコのせいで…悪夢を見たんだ。それはお前を失う夢だった」

女武道家「…」

竜騎士「…だが、あれがお前を助けるきっかけにもなったんだけどな。処理と動く原動力になった…って感じか」

女武道家「竜騎士さん…」


竜騎士「…あの悪夢を見そうで怖いんだ。…だからキノコは却下だ。しばらくは料理でも食べれそうにない」ハァ

女武道家「…」

竜騎士「なんだよ」

 
女武道家「…本当に、ありがとうございました」ペコッ

竜騎士「いいよ。俺らはパーティだ。仲間を補うのが、当たり前なんだからな」

女武道家「私を見捨てないで、私のためにキズついてまで…」


竜騎士「…ははっ」ポンポン

女武道家「あう…」


竜騎士「もうそういうのは言いっこなしだ。中央に戻ったら勉強は変わらんけどな!」

女武道家「やっぱりですか…?」

竜騎士「当たり前だ、アホ!」

女武道家「うう~…アホばっか言いすぎです!」

 
竜騎士「はははっ!それじゃ拠点に戻って探索続行だ」

女武道家「はいっ!」


竜騎士「釣り以外でしたいこととかないのか…?」

女武道家「うーん…釣りが得意ですし…」

竜騎士「川の向こう側とか…」

女武道家「うーん…」

竜騎士「じゃあ…」

女武道家「…で」

竜騎士「…」

「…」

 
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・・・
・・

  
【10月31日終了時点】

■拠点
・岩陰の寝床
(簡易かまど、簡易ベッド)

・沼付近のビバーク
(簡易かまど)

■道具
・ナイフ
・島地図
・メモ帳
・道具箱
・ナックル、槍(武器)
・釣竿2本
・乾燥木材
・火魔石

■食料
・魚
・沢蟹

本日はここまでです。

また、次回の更新で本作は最終回となります。
読んでくださった方々、コメントを下さった方々に、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。

皆さま有難うございます、投下致します。

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 11月1日 晴天 】


ミャア…ミャア…サァァァ…


ボォ~…!!

???「…急げ!」

船員「あ、ちょ、勝手に!!」

???「島に突っ込めヨーソロー!!」

船員「ちょおおっ!本当にぶつかりますって!!」


ゴォォォォ…!!!!!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 拠 点 】


ズドォォォン!!!ミシミシミシ…バサバサッ!!!


竜騎士「!?」ガバッ

女武道家「!?」ガバッ


竜騎士「なな、何だ今の轟音は!」

女武道家「何か砂浜のほうで音しましたけど…」

竜騎士「見に行くぞ!」

女武道家「は、はい!」

 
ザッザッザッザ…ガサガサ…


竜騎士「…」

女武道家「一体なんでしょうね」

竜騎士「明らかに何かが座礁、ぶつかった音だ!」

女武道家「じゃあ、もしかして…」

竜騎士「あぁ!」


女武道家「…急げーっ!」ダッ

竜騎士「あ、おい!お前、こういう時だけ脚早すぎるだろ!」

女武道家「敏捷化ぁっ!」パァッ

ダダダダダダダッ!!!


竜騎士「おい、コラァ!ずりーぞ!」

 
…ガサガサガサ…パァッ!


竜騎士「…」ハァハァ

女武道家「…!」


上官「早くしないか!魔動エンジンが止ってるぞ!」

船員「突撃するからですよ…もー…」

上官「ったく…ん?」


竜騎士「…」

女武道家「…」

 
上官「あ…」

竜騎士「上官殿…」

女武道家「上官さん…!」


上官「り…竜騎士?」

竜騎士「上官殿…はい、俺です…」

上官「…竜騎士」

竜騎士「上官殿…」

 
ダッ…

上官「竜騎士ーっ!」

竜騎士「上官殿ぉぉ!」

タッ…タッ…タッ…タッ…

 
上官「鉄鋼化!攻撃増大魔法!」パァァッ!!

竜騎士「えっ」

上官「スーパーラリアットォォ!」

…ボゴォンッ!!!クルクルクル…ドシャッ…


竜騎士「」ピクピク


女武道家「えっ?えっ…!?」

上官「…」ニコッ

ズシン…ズシン…

女武道家「…」ブルブルブル

上官「…」ニコニコ

ズシンズシンズシン!!!

 
女武道家「いやぁぁぁーっ!」

…ゴツンッ!!!!…ドサッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


上官「言い訳はあるか」

竜騎士「…」

女武道家「…」


上官「この…バカどもが!!」

竜騎士「申し訳ないです…」

女武道家「すいませんでした…」


上官「救助が遅れたのは、爆弾低気圧のせいで船が出せなかったからだ」

 
竜騎士「そうでしたか…」

上官「ったく…、お前らに着いてた部下がな…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガチャッ…バタンッ!!

軍人A「上官さん、竜騎士さんたちが…!」

軍人B「俺らとはぐれて…どうすればいいか…」グスッ

上官「…何?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


上官「いきなり部屋に飛び込んできた時はびっくりしたぞ」

竜騎士「えっ!あいつら…生きて…」

上官「話しを聞いてあいつらが生きてたのも嬉しかったが、お前らの事を聞いてもっと肝を冷やしたわ!」

ビュッ…ゴツンッ!!!

 
竜騎士「」プシュー…


上官「だが、無事でよかったぞ。女武道家、コイツに変なことされなかったか?」ハハハ

女武道家「大丈夫ですよ♪竜騎士さんはそんな人じゃないですしっ!」

上官「そりゃそうか、こいつはそんな勇気ないからな」

女武道家「勇気?」

上官「あぁ、前な、コイツと演習に行った時に…」


竜騎士「うおおおおっー!!」ズザザァ

上官「何だ」

竜騎士「それは、それだけは勘弁してください!」

上官「どうしよっかねぇ…」ククク

 
竜騎士「何でもしますから、本当に!お願いします!」

上官「え~?」

竜騎士「…この通り!」

女武道家「えーっ、気になりますよぉ!」

竜騎士「気にすんじゃねー!」

女武道家「ぶー」


上官「はは、そこまで言われたらな。あ、そうそう…今回の事故についてだ」

竜騎士「…」

上官「船の損害はグリフォンによる攻撃での沈没とあいつらが言ってた。本当だな?」

女武道家「!」

 
竜騎士「…あいつら」

上官「本当なんだな?」

竜騎士「…」

女武道家「あ、あのそれは…」


上官「本当らしいな。私からそう報告しておくよ」フン

竜騎士「…」

女武道家「…」

上官「まぁそんな事より、考えれば…お前らと会うのは久々だよなぁ」

 
竜騎士「ですね、まともに最後に会ったのはおおよそ1年前ですから」

上官「もうそんなになるか」

竜騎士「今もあの田舎町に?」

上官「既に後釜に任せて、中央復帰だ。もう私は准将に昇進したんだぞ?」

竜騎士「あの町の様子はどうなんでしょうか」

女武道家「あ、そうですね、今の私の故郷はどんな感じですか?」


上官「中央商人が規模を広げて、冒険者のたまり場になっているよ」

竜騎士「冒険者のたまり場に?」

上官「後は…というか、顔出ししたらどうだ?」

 
竜騎士「へ?」

上官「1年ぶりの帰還、ていうのも悪くないんじゃないか?」

女武道家「1年ぶりの帰還…そういや家族に顔出しもしてませんね」

上官「こんなサバイバルからの生還だ。顔出しするくらい、いいと思うぞ」


竜騎士「そうですね…中央に戻ったら考えてみます」
 
女武道家「私は竜騎士さんに従いますよ」

竜騎士「まずは休養。それからだ」

女武道家「はいっ」

 
上官「…」

…ブルンッ!!!グォォォォォンッ…


船員「エンジン、かかりました!」

上官「エンジンかけるの遅い!」

船員「そ、そんなぁ」

上官「さ、船に乗れ。帰るぞ」スタッ


女武道家「…」

竜騎士「…」

 
上官「…どうした?」

竜騎士「あ、いえ…帰りますか」

女武道家「はい…あっ」


ガサガサ…ヌッ

アウルベア『…』


上官「…アウルベア!?」

竜騎士「お前…」

女武道家「アウルベアさん、見送りに来てくれたんですか?」

 
アウルベア『…グルル』

女武道家「…」キィン…キィ…ン…

竜騎士「…」


女武道家「…どうやら、私の能力も切れそうです竜騎士さん」

竜騎士「そうか」

女武道家「…さようなら、とだけ…」キィ…


アウルベア『…グルッ…』

女武道家「さようなら…」ィン…

アウルベア『…』

 
上官「何か分からんが…終わったか?早く出発する、行くぞ!」

女武道家「はいっ!」

竜騎士「はい!」

ガタガタ…

上官「乗ったな…?よし、出発だ!」


女武道家「…」

竜騎士「…」

ブルンッ…ブルン…ゴォォォォ……

 
ザザァン…サァァ…

アウルベア『…ガウ』


…クルッ

ガサガサ…ザッザッザッザ…

  
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
それから月日が流れ――…
 
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――――【 3月4日 中央都市 】


コンコン…ガチャッ

上官「来たか」


竜騎士「失礼します」

女武道家「失礼します」


上官「呼び出したのは、お前たちに関係ある事が起きてな」

竜騎士「関係あること?」

 
上官「お前らが数ヶ月前に遭難した島、覚えてるか?」

竜騎士「勿論です。忘れたくても忘れられない…今でもキノコが…」ブツブツ

上官「キノコ?」

竜騎士「な、なんでもありません!」

女武道家「…」クスッ


上官「まぁいい。…3日夜、昨晩だ。あの周辺に大規模な地震が起きた」

竜騎士「地震?」

上官「その影響で、本土の一部に津波が観測されるくらいの規模だ。これが観測書」ペラッ

竜騎士「そんな強い地震が?」

 
女武道家「それで…どうなったんですか?」

上官「一言でいえば、島がなくなった。観測隊によれば、あそこは鉱脈と密接な関係で生成された島だったようだな」


竜騎士「…」

女武道家「…」

上官「…どうした?」

竜騎士「いえ…」

女武道家「…なくなっちゃったんですね」

上官「うむ。それと、その地震の影響との関連かどうか急がれているが、付近に"新たな島"が生まれたらしい」

 
竜騎士「えっ?」

女武道家「新たな、島?」


上官「地震の影響で、同じ鉱脈の一部がせり上がったんだろうな」

竜騎士「…!」


上官「魔石鉱脈のせいか、確認されたら既に"緑の島"になってたとか。細かいことは観測隊の報告待ちだ」

竜騎士「同じ鉱脈の島…まるで子供のようですね」ハハ

上官「子供…ははは、うまいことを言うな」

女武道家「本当に子供みたい…ちょっと嬉しいです」


…コンコン

上官「ん?誰だ?」

 
観測隊員「観測隊の者です!」

上官「入っていいぞ」

ガチャッ…バタン

観測隊員「失礼します!」ビシッ

上官「噂をすれば観測隊員か。帰還には早いな?」

観測隊員「えぇ…ちょっと問題がありまして…」

上官「問題?」


観測隊員「実は、今回の新たな島に火傷を持つ非常に強いアウルベアと、ヒッポグリフがいまして…」

女武道家「!」

竜騎士「!」

 
上官「アウルベアにヒッポグリフだぁ…?」

観測隊員「とてもじゃないですが、観測には戦士が足りません。至急応援を、と」

上官「そうか、すぐにでも戦士を送る」


女武道家「はいっ!いきます!」ビシッ

上官「何?」

竜騎士「おま…」

女武道家「あのアウルベアさん、ですよね多分」

竜騎士「火傷のあるやつっていったら、そうだろうが…」

 
女武道家「…行きましょうっ」

竜騎士「お前な、殺されかけた相手に…」

女武道家「昨日の敵は今日の友、ですよ!」

竜騎士「…微妙に意味が合ってない!」


女武道家「それに、よく見るとフカフカしてて、可愛いところがあるかも…」

竜騎士「動物好き…もとい魔物好きにも程があるわ!」

女武道家「そ、そうですかね…」

竜騎士「そうだっつーの!」ハァ

 
カキカキ…ペラッ

上官「…というわけで、観測本隊には竜騎士と女武道家を手続きしといてくれ」

観測隊員「はっ!了解しましたっ!」ビシッ

竜騎士「!?」


上官「頼んだぞ、2人とも」ポンッ


女武道家「はいっ!」

竜騎士「…」ブルブル


女武道家「竜騎士さん、どうしました?」

竜騎士「決まっちまったじゃねえか…このアホがぁぁっ!」


女武道家「…えへへ♪」

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――陽を受けた草木は、力強く天へと伸びてゆく。

まるで太陽を掴まんと、高く…高く…伸びていく。


その草木のように、2人の若き冒険者は世界を駆け巡る。

明日のために、夢のために、未来のために。


やがて、立派な花を咲かせることだろう。



…2人の冒険は、まだ始まったばかりである



【…E N D…】


■後書き
本編はこれで終了になります。読んでくださった方々、感謝致します。ありがとうございました。

今回のは完全な冒険モノにするか、前作のテイストで行くか実は2つのパターンを用意してました。

ですが、普通のSSとはやや異なる形(自分の作品の別シリーズとは違うもの)で行くこと、
前の作品を読んだ方ももう1度とっつきやすくする為、本作のような流れで公開させて頂きました。

前作と比べ、ほのぼの感よりも緊張感が主な流れで色々分かりにくい部分もあったと思います。
もうちょっと広げて書いたほうが良かったな、と今更に公開したりしていますw

しかしながら、最後まで書けた事をいつものように感謝致しまして、皆さまにお礼の言葉を申し上げます。


P,S 最後にいつも通り、ちょっとしたお話を乗せます

 
…SPECIAL STORY…
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――――【 謎の解明 】


女武道家「それにしても、何でアウルベアさんは無事だったんでしょうか」

竜騎士「俺も不思議だったんだが、調べたら色々と答えが見えてきたよ」

女武道家「何ですか?」


竜騎士「あの川辺の大岩覚えてるか?」

女武道家「川を塞き止めてたやつですよね」

竜騎士「そうだ。あれは新たな島にいた"ヒッポグリフの卵"だったらしいな」

女武道家「ヒッポグリフ?」

 
竜騎士「考えたら、あんな上流に川を塞き止める岩なんて不自然だろ」

女武道家「そういやそうですね」

竜騎士「ヒッポグリフはグリフォンの子。俺らが討伐したグリフォンの子を守る為の卵だったんだろう」

女武道家「…なるほど」


竜騎士「ヒッポグリフはグリフォンの子だが、極端に知性が高いんだ」

女武道家「知性が?」

竜騎士「そう。恐らく、島の寿命に気づいたヒッポグリフは"島の魔力を使って"生物たちを守ったんだろ」

女武道家「なるほど!」

見てるよ

 
竜騎士「どういう手段かは知らないけどな…空も飛べるヤツだし色々な手はありそうだが」

女武道家「それで、島の生き物たちを新たな島に移動させたってことですか!」

竜騎士「俺たちじゃ出来ない事も、魔物ってのは不自然にやり遂げちまうもんだしなぁ」ハハ

女武道家「ですね~」


竜騎士「お前のせいで、またあのアウルベアと対峙したけどなっ!!」

女武道家「うぅ…」

 
竜騎士「ま、それより…次の俺らの目的地は決まった」

女武道家「えっ?」

竜騎士「次は…"空"だ」ビシッ

女武道家「空!?」

  
竜騎士「昔作られた、天への塔…そのてっぺんにある空中都市!」

女武道家「空中都市!?」

竜騎士「正確にいえばその遺跡だがな。長い間、探検申請してたがようやく許可が下りた」

女武道家「許可が必要なんですね」

 
竜騎士「当たり前だ。今までとは次元が違う強さの魔物だっているぞ」

女武道家「えぇ…」

竜騎士「まぁ…守ってやるよ!」


女武道家「頼りにしてますよっ!」グッ

竜騎士「当たり前だ!」グッ



【 E N D 】

乙乙!
次回予告ととっていいんだよな?
楽しみにしてる!

 
これで今回の本編はすべて終了になります。

ありがとうございました。

>>383
おおう…見ているコメありがとうございます。

>>387
お早い乙ありがとうございます。
次回の期待も持たせつつーという感じのフェードアウトで行きました。
声があるなら是非もう1度、竜騎士の旅を書いてみたいなとも思います。

乙乙
続編も楽しみにしてるよ

竜騎士の時代って英雄剣士の時代からどのくらい未来の世界なんだろ

>>401
作品としては彼らの生きている世界からおおよそ1000年後になります。


皆さま、本当に沢山のコメントありがとうございます。


短いとの声(前作と比べると確かに大分少ない)ので、ちょっとした別のお話を
下ろしました。告知等はなかったですが、気づいた際に読んであげてくれれば嬉しいです。

前後で2日、今日と明日に短くわけて更新致します。

では、投下致します。

 
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――――【 田舎町・レストラン 】


コック「お待ち。次は海鮮パエリアか?」

弟子「はいそうです。今日も忙しいですね」


コック「中央商人のおかげだな。町も潤う」

弟子「もとい…あの人のおかげですよね」

コック「そうだな。まぁムダ話はいい、早く料理を出して来い」

弟子「はいっ!」

 
スミス「次はこのオーダーだってよ。俺のバイト代弾んでくれよ?」

コック「わかったわかった。いいから料理運んでくれ」

スミス「任せろ!」


タッタッタッタ…

ガヤガヤ…、ザワザワ…


剣士「ん~!うまい!」

戦士「なー!?前、ここに来た時うまくてさぁ」

格闘家「また来よう、こんな絶品は初めてだ」

魔法使い「うんうん!」

 
剣士「で、これからどうするんだっけ?」

戦士「あの盗賊団の住んでいた跡地に現れた魔物の討伐だろ」

格闘家「結構奥地だったよな。早めに行くか?」

魔法使い「私はいつでもいいですよ。日が暮れる前に行きたいところですが」


コック「…」ピクッ


剣士「俺らの手にかかれば、どんな魔物でも軽い軽い!」

格闘家「どんな相手なんだっけ」

剣士「忘れたけど、形のもたないもの…だったかな?まぁいいじゃん、余裕だって」

 
…スッ…カチャカチャ

剣士「ん?」

格闘家「何ですか、このデザートは?」

魔法使い「美味しそうです!」


コック「店からのサービスです、お客様方」

剣士「本当か!?」

戦士「うまそうだ…でも、どうして?」


コック「不本意ながら、お客様方が山の主に挑むという事で話をさせていただこうかなと」

戦士「…聞いてたのか」

剣士「っていうか、山の主?」

 
ガタ…

スミス「あそこに住み着いたのは自然を成す、山の主。手を出すなってことだ」フゥ

コック「スミス…」


剣士「あ?」

戦士「ウェイターが、何を知ってるっつーんだよ」

格闘家「待って、話を聞こうよ。ウェイターさん、どういう事です?」


スミス「とにかく、手を出さないほうがいい。今、彼がいたら全力で止めるだろうね」

コック「だな」

剣士「彼?」

 
スミス「…とりあえず行かないほうがいい。忠告はしたよ」

格闘家「詳しく話して下さいよ。それだけじゃ分からないです」

スミス「俺たちにも詳しくは分からないんだ。だが、帰ってくる冒険者は…」

剣士「いない…ってか?」


スミス「いや、いる。というか、全員が戻ってくる」

剣士「はぁ?」

スミス「だがな、戻ってきた冒険者たちは…心を抜かれてくるんだ」

剣士「意味がわからん。よそ者に手柄を取られたくないってだけだろ?あぁ?」

 
スミス「いや…そういう意味じゃ…」

剣士「…面倒くせぇ、さっさと行こうぜ」ガタガタ

スミス「…」


格闘家「あ、待てよ!ご馳走様でした、美味しかった」

魔法使い「また、来ますね」

戦士「美味しかったよ」

ガランガラン…バタン…

 
コック「…」

スミス「…」


弟子「コックさん!料理早く作って下さいよぉ…!」

コック「あ、すまん」

弟子「パエリア、パフェ、ステーキ…次々たまってますよ!」

コック「急ぐよ。スミス、手伝ってくれ」

スミス「あぁ、わかった」

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
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――――【 付近の山 】
 

剣士「さぁ、目標は目の前だぜ」

戦士「武器は準備いいか?」

格闘家「あぁ、いいぜ」スチャッ

魔法使い「いつでもいいですよ」スッ


剣士「地元の人間が止めるくらいの財宝を持ってるかもしれねーぞ?」ククク

戦士「はっはっは、そりゃ楽しみだ!」

 
魔法使い「でも、本当に大丈夫なんですか?」

剣士「何が?」

魔法使い「本当に、止めるほどの強さを持ってたり、心をからっぽにされるとか…」

剣士「そりゃウソだろ」

魔法使い「え?」


剣士「そもそも、そんな影響のある相手なら、支部の軍人が対処するだろ」

魔法使い「あ、確かにそうですね」

剣士「だろ?つまり、そこまで強くなくて、何か持ってるっつーことだ」ハハハ


戦士「さすが剣士、頭がいい!」

剣士「そんな褒めるなよ、照れるじゃねえか」

 
トコトコ…


剣士「さて、ここだったな」スチャッ

戦士「よし…突撃するか」

魔法使い「さ、作戦は…」

格闘家「お、おい、きちんとまずは隊の形を整えてー…」


タッタッタッタ…!!

格闘家「聞いちゃいない…待てよ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カツーン…カツーン…


剣士「湿っぽいな…、前は盗賊がアジトに使ってたらしいが」

格闘家「一部は大きく崩れてるみたいだな。支部の軍人が倒したとか聞いたぞ」

剣士「洞窟崩すほど暴れるって…バカかよ」

戦士「力はあるがちょっと足りない軍人さんなのかもしらねーぞ?」

剣士「かもな」ハハ

 
格闘家「おい、待てよ」

剣士「あん?」

格闘家「そんな人が、ここにいる魔物に対応出来ないってことだろ?」


剣士「あ…そうなる…か?」

戦士「…」

剣士「…」

格闘家「…」

魔法使い「…」


剣士「…だ、大丈夫だろ」ハハ…

格闘家「情報もないまま走るのは、得策ではないんじゃないか…?」

 
ゴソ…

剣士「…!」ビクッ
 
戦士「今、洞窟の奥で何か動いたぞ」

魔法使い「…っ」ブルッ


剣士「だ、誰だ!」

格闘家「ばかっ、大声出すな…刺激で攻撃してくるものだったらどうする…」

剣士「で、でもよぉ…」


ゴソゴソ…

 
格闘家「…向かってきそうだ。構えよう」スッ

剣士「…じ、上等だ、返り討ちにしてやるよ…」スチャッ


ズル…ズルズル…ベチャ…


魔法使い「ひ、ひぃぃ!」ビクッ

戦士「な、何だありゃ…」

剣士「うっ…何て醜態な姿…見たこともないぞこんな魔物…」

格闘家「なるほどな…」ゴクリ

 
ショゴス『ア…ァァ……アアア…』


格闘家「ショゴスだ…」

剣士「何!?」

格闘家「聞いたことあるだろ!形のない、泥のような魔物だよ!」

剣士「あれが、そうなのか!?」

格闘家「…こりゃ勝てる訳がない…」


剣士「へ…へへ、でもよ、ただのドロじゃねえか…」

格闘家「バカ!見くびるんじゃない、あれは見た目と裏腹に知性が高く…」

 
タァンッ…

剣士「うらあぁぁ!飛び切りっ!」ブンッ

格闘家「ば、バカ!!」


ベチャッ…スパァンッ!!!…

剣士「お?へへ…簡単に切れたぞ?雑魚じゃねえか」

戦士「さすが剣士、余裕だな!格闘家は心配しすぎなんだよ」

魔法使い「やりましたね!」

格闘家「…?」


ズル…ズル…

格闘家「おい、油断するな!まだ動いてるぞ!」


剣士「へ?」

 
ベチャアッ!!!

剣士「…むぐぅっ!」


格闘家「剣士っ!…挟まれてる、窒息するぞ!」

戦士「くそ、剣士を離せ…斧落としぃっっ!!」ブンッ!!


…ガキィンッ!!


戦士「ぬあっ…!何だ…弾かれた!?」

格闘家「…斬撃耐性をつけやがった」

戦士「どういうことだ!?」

 
格闘家「ショゴスはあんな見た目だが、知性は著しく高いんだ」

戦士「はぁ!?」

格闘家「厄介だな…対応しないものなら…魔法使い、炎魔法!」


魔法使い「は、はい!中火炎魔法っ!」ボワッ!!

…ボォンッ!!


ショゴス『ア…アァ…』ボォォ

ベチャッ…ドロドロ…


…ドサッ

剣士「ごほっ…ごほごほ…」

格闘家「よし、大丈夫か!」

 
剣士「あっちぃな…、もっとマシな助け方はできねえのか!」ゴホゴホ

格闘家「文句いうな、助かっただけマシだ」


ショゴス『…ァ…アア…」ビクビク


格闘家「もう元に戻ったか…ここは逃げるぞ」

剣士「それが良さそうだな。逃げるぞ!」

魔法使い「は、はいっ!」

戦士「っち、俺らが逃げることになるとは…」

 
ダッ……タッタッタッタッタ

剣士「…っ」

戦士「走れ走れ!」


ショゴス『…アァ』ベチャッ…


魔法使い「ひ…、で、出口のほうにもいますよ!」

剣士「な、何で!」

戦士「回り込まれたんだ、くっそ!」

格闘家「言わんこっちゃない…、もうだめだ…」

 
ショゴス『ア…ァァ…』

ジリ…ジリ…


剣士「ひ…死にたくない…」

格闘家「…」

戦士「助けてくれよ…、誰か…」

魔法使い「やだ…」

ショゴス『アァァ…ア…』

 
ザッザッザッザ…

戦士「…あ、足音?」

魔法使い「…」ガタガタ


???「…間に合ったか、バカどもが」

???「そうみたいです!」


剣士「だ…誰だ…?」

本日はここまでです、ありがとうございました。

作品一覧でまとめてほしい

>>433
本来、こちら側は"世界観が同じ"であって、
未来に生きる1人の戦士のキャラクターを描いた物語です。
ですので、シリーズとしてはこの2つのみになります。

本作(別の物語)として、剣士シリーズがあるのですが
数が多すぎて、まとめると書き込みが出来なくなってしまいますので、

白剣士「未来が平和なこと」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1379983305/)

こちらのトップページから参考して頂ければ幸いです。

皆さま有難うございます。投下、開始致します。

 
???「…龍突っ!」ビュッ!!


…ドゴォォォッ!!!ドシュドシュッ!!!

ショゴス『…ッ』
 
???「銀は光だ。闇属性のお前にゃ痛いだろ?」


ショゴス『グ…アァ…』ドロォ…

 
格闘家「銀とはいえ…、あの攻撃力…貴方たちは…?」

剣士「誰だ、あんたら…」

魔法使い「…」ビクビク


竜騎士「あ?…俺は竜騎士だ」

女武道家「私は女武道家です♪」


剣士「竜騎士…女武道家…?」

 
女武道家「って…竜騎士さん、まだ破片が残ってますよ!」

ショゴス破片『…』モゾモゾ


竜騎士「…気づいたら、先にやれ!」

女武道家「は、はい!気攻波連弾っ!」ババババッ

ドドドドドゴォン…!!モクモク…

ショゴス『』

 
女武道家「ふえー、ショゴスって光属性だけじゃなくても倒せるんですか?」

竜騎士「破片は残りカスみたいなもんだからな。覚えておけ」

女武道家「なるほど、はい…覚えておきます」

竜騎士「で、そこのメンバー。大丈夫か」


剣士「大丈夫…だけど…」

戦士「な、何者だよ…」

格闘家「あんな簡単に気攻波を打てるなんて…」

魔法使い「た…助かったんですね…」ヘナヘナ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


竜騎士「…というわけだ。ようやく遭難から戻ったから挨拶を、とな」

女武道家「そしたらスミスさんたちに頼まれて、ここまで来たわけです」


剣士「そうか…ありがとうよ」

格闘家「本当にありがとうございます、助かりました」

魔法使い「もうだめかと思いました…」

 
竜騎士「はは、無事でよかったよ」

女武道家「ですね♪」


剣士「…」

戦士「…」

格闘家「…あのさ、2人とも。もうちょっと落ち着きを持った行動をしろって言ってるだろ?」

剣士「うっせ…」

格闘家「あのウェイターの話をもっと聞いておけばよかったね」

戦士「うるせえ…」

格闘家「…もう、今日のことでハッキリ分かった。俺は君たちについていけないよ」

 
剣士「何…?」

格闘家「前々から思ってた。よく生きてこれたと思えることも沢山あった。今日限りで俺はパーティを抜けるよ」

戦士「は?」

格闘家「…もう無理だ」

魔法使い「…」


竜騎士「…」

女武道家「…」


格闘家「じゃあね。今まで有難う」

剣士「ま、待てよ!俺が悪かった、だから抜けるなよ!」

戦士「そうだ、お前がいなくなったら…寂しいじゃねえか!」

格闘家「…」ハァ

 
魔法使い「…」

格闘家「これで何度目だ?こんな事が何度起きる?俺はもう…一人で旅に出る。また、どこかで」

タッタッタッタッタ…


剣士「くそっ…勝手なやつだ。死んじまえバカヤロウ!」

戦士「あぁ、あんな勝手なヤツは死ぬに決まってるさ」

魔法使い「格闘家さん…」

 
竜騎士「さて、仕事も終わりだ。改めてスミスさんたちに挨拶しに行こう」

女武道家「あ、はい!」

竜騎士「…あとそこの3人。ショゴスはしぶとい…姿を消しただけかもしれない。ここから早く出るんだぞ」


剣士「はぁ?もういないじゃん」

戦士「ウソつくなよ、やっぱりここに財宝とかあるんじゃねーの?」

剣士「あっ、そうか」

戦士「探してみようぜ、行こう魔法使い」


魔法使い「私、格闘家さんを追いかけます」バッ

タッタッタッタッタ…

 
竜騎士「…」


剣士「あいつ、格闘家のことでもすきなのか?」

戦士「お前フラれたじゃん」ハハハ

剣士「うっせ!」


竜騎士「…とにかく、早く出るんだぞ。俺らは町に戻る」

剣士「はいはい」

戦士「ばいばーい」


竜騎士「…行くぞ、女武道家」ハァ

女武道家「…はい」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
――――【 レストラン 】


スミス「ご苦労さん。飲み物でも飲んで休んでくれ」コトン

コック「ありがとよ、倒してくれたんだって」


竜騎士「いえいえ、出口付近まで出てたのを倒しただけですよ」ゴクッ

スミス「それでも充分だ。町人に被害が出さえしなければいいからな」

竜騎士「多分、数がいないわけではなさそうなのでー…応援お願いしときますよ」

スミス「うん、頼んでもらえればありがたい」

 
コック「それと、あそこにいる2人、他のメンバーはどうしたんだ?」


格闘家「…」

魔法使い「…」


竜騎士「あの2人で愛の逃避行、じゃないですかね」ハハ

女武道家「あはは…かもしれませんね」

スミス「なんじゃそりゃ」


コック「…何となくだが、分かった。それと、無事だといいな」

スミス「何、お前に分かって俺にわからないだと…?」

コック「愛に疎いお前じゃな」

スミス「何だとぅ!」

 
女武道家「それにしても…あの2人、姿が見えませんね」

竜騎士(あのバカども…、本当に奥に進んだんじゃないだろうな…)


ガチャッ…ガランガラン!!

剣士「…」

戦士「…」


格闘家「!」

魔法使い「!」

 
格闘家「…お前ら」

剣士「…」フラフラ

戦士「…」フラフラ


…ペコッ……ガチャッ、ガランガラン…


格闘家「…あいつら」

魔法使い「あの2人、どうしたんでしょうか…すぐ出て行ってしまいましたね」

格闘家「さぁ…生気のない顔だったな…。それより、俺と本当に2人でいいのか…?」

魔法使い「え、えぇ!はい…もちろんです」ニコッ

格闘家「そうか…」ニコッ

 
竜騎士「…剣士と戦士だっけか…あいつら、やられたな」

コック「バカは死んでも直らないと言ったが…」フゥ


女武道家「どうしたんですか…さっきの2人の様子」

竜騎士「心を…食われたんだ」

女武道家「え?」


竜騎士「ショゴスは、あらゆる知性を食う。そして、自分のものとするんだ」

女武道家「知性を…食べる?」

竜騎士「それは全ての思い出、人格をも奪う。そして…ああなっちまう」

女武道家「じゃあ…さっきのは…」

竜騎士「生きた…屍のようなものだ。1度ココへ来たのは…仲間だった顔を見るためだろうな」

 
女武道家「もう…治せないんですか?」

竜騎士「あいつらはまだ意思があるようだし…全ては食べられなかったんだろう。そのうちまた、自我は芽生えるとは思う」

女武道家「…そうですか」


竜騎士「もし完全に治せるなら…ショゴスから食われた人たちは病院のベッドの上に並んじゃいないさ」

女武道家「…」


竜騎士「人の自我、心を戻す特効薬なんざありゃしないんだよ」

女武道家「…本当に、そうですかね」

竜騎士「ん?」

女武道家「きっとあると思います」

竜騎士「…どういうことだ?」

 
女武道家「私は、自分で思うくらい弱くて、自分のことばっかり考えてました」

竜騎士「…」

女武道家「けど、竜騎士さんに出会って考え方が変わって、苦手なものが平気になったり…」

竜騎士「…」

女武道家「それは心の特効薬、とはいえませんか?」


竜騎士「…たまに、お前は核心をつくような事を言うよな」

女武道家「へへ…」

竜騎士「確かに…俺もお前と出会えて色々変わったとは思うよ。責任感とかな」

女武道家「…」

竜騎士「ま、楽しいとは思うから安心しとけ」ポンッ

女武道家「はいっ♪」

 
弟子「いいなぁー…竜騎士さん」ジー

竜騎士「うおうっ!?弟子か…いつの間にいやがった!」ビクッ

弟子「女武道家さんみたいな、可愛い人とラブラブなんて…」

竜騎士「なっ…何を言いやがる!」

スミス「おっさんも若ければねー…、あそこの席もなんか熱い雰囲気だし」


弟子「いつの間に、このレストランは愛の巣に変わったんでしょう」チラッ


格闘家「…うん、で?なるほど…」キャッキャ

魔法使い「だ、だからね…。ありがとう…」ウフフ

 
女武道家「竜騎士さんとラブラブなんてぇ~」カァ

竜騎士「あーもう!いいから外行くぞ、支部に挨拶していく!」プイッ

女武道家「あっ、待って下さいよぉ!」

竜騎士「また後できます、コックさん、スミスさんっ!」


ガチャンッ…ガランガランッ…
 
スミス「あーあ、いっちゃった。竜騎士も照れてやがんのな」アハハ

コック「お前らのせいだろ」

スミス「つまる話もあるだろうし、あとで色々冒険譚でも聞かせてもらわないとな!」

コック「旨いツマミでも作っておくか」

 
ガタガタッ…

コック「ん…」

格闘家「えと…それじゃ、美味しかったです。また来ますね」

魔法使い「また食べに来ますね」ペコッ


コック「…ありがとうございました」


ガチャッ…ガランガラン…バタン

 
スミス「最後の客も帰ったか。しっかし…本当に竜騎士たち、相変わらずだったな」ハハ

コック「いきなり変わって帰ってきたら怖いだろ」

スミス「はは…まぁそうだな」


コック「さ、夜も忙しくなるぞ。弟子、気合を入れろよ」

弟子「はいっ!」

スミス「きちんと手伝ってやるからな、バイト代頼んだぞ?」

コック「分かってるって言っただろ」

 
カチャカチャ…

コック「皿下げておくぞ。午後はこれで終わりだ。弟子、ドアの札を裏返しといてくれ」

弟子「はいっ!」


タッタッタッタ…クルッ…カランッ


-【Restaurant Cook CLOSED】-

 
ありがとうございました。
告知もなかったのですが、短いながらも帰省するまでのシーンを載せて頂きました。

竜騎士自体の作品は未定ですが、竜騎士の新作は声が多いので、続編は是非書かせていただきたいです。


また、次の作品は別のメインシリーズの新作を投下予定です。

従来通りあちら側は過去を読まなくとも"新規としても読みやすくする"予定の投下で、過去との繋がりをしっかりさせたものです。

一応、開始する際は現行で残っているスレに告知いたします。 
(予定では今週中です)


竜騎士の続編はスレが残っている場合は告知いたしますので、宜しくお願いいたします。

 
それでは、失礼致します。

一応ご報告致します。

真剣士「英雄の…血…?」
真剣士「英雄の…血…?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1383997828/)

竜騎士の前身である、剣士作品の新作が始動致しました。
過去の作品を知らなくとも、読める展開にしております。
是非、暇なときに目を通してくれると嬉しいです。

※竜騎士の次回作は徐々に進行中です。
近々公開できると思うので、近く報告いたします。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月31日 (木) 12:19:59   ID: 2aANP8jU

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