P「……お前、今日何個目だ?」
加蓮「一個目だよ?」
P「……ここに凛と奈緒からの」
加蓮「あー……二個目、かな」
P「……加蓮」
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加蓮「ちょ、そんな目で見ないでよー。それに、べつに一日何個までー、とか、ないでしょ?」
P「あんまり食べると腹を壊すぞ」
加蓮「大丈夫だって。子供じゃあるまいし」
P「子供関係ないだろ……それに、加蓮は子供だろ」
加蓮「いやいや、私、もう16だよ? 16と言えば結婚できる年齢だよ。結婚できる年齢だったらもう大人と言っても過言じゃない。つまり、私は国から大人だと認められているということだよ」
P「なんだその屁理屈……国を持ち出すなら国が20歳からって決めてるだろ……」
加蓮「あ、そっか。それじゃあ国の方から攻めるのはダメかー」
P「攻めるって……加蓮。結局お前はどうしたいんだよ」
加蓮「アイスが食べたい」
P「だろ? ……いや、ダメだけどな」
加蓮「ダメなら戻さないでよー」
P「そうだな、ごめん……って、なんで俺が謝ってるんだよ」
加蓮「それは私に聞かれても」
P「それは……そうだな」
加蓮「そうそう。もう、Pさんってばなんでも私のせいにしてー」
P「してるか……?」
加蓮「してるしてる。これはもう、アイスを買ってもらわないとね」
P「そうだな、お詫びにアイスを――って、なるか」
加蓮「ならないかー」
P「ならない。あんまりアイスばっかり食べるのは健康にも悪いからな」
加蓮「それは私が病気がちだったから?」
P「病気がちじゃなかったとしても、だ。相手が誰であっても同じことを言うよ」
加蓮「……そっか」
P「ああ」
加蓮「……なんか、それはそれでむかつくなぁ」
P「……どうしろって言うんだよ」
加蓮「どうしろって言うんだろうね?」
P「俺に聞くなよ」
加蓮「それはそうだね。じゃあ、アイス食べよっか」
P「ああ、そう……は、ならないぞ」
加蓮「あー、惜しかったのにー」
P「惜しくない」
加蓮「でも、もうちょっとで『そうだな』みたいにならなかった?」
P「……なった、かも」
加蓮「ほらー」
P「『ほらー』じゃない」
加蓮「『ホラー』?」
P「『ホラー』でもない」
加蓮「あ、でも、暑いのが悪いんだし、ホラー映画とかを見るのもいいかも。ね、Pさん。ホラー映画、見ない?」
P「なんでそう……いや、まあ、アイスを食べるよりはいいか」
加蓮「そうそう。『きゃー』ってPさんにも抱きつけるしねー」
P「なんで抱きつくことが目的になってるんだよ……抱きついたらむしろ暑いだろ」
加蓮「それはそれ、これはこれ、だよ?」
P「どれだよ……」
加蓮「……Pさんは、私に抱きつかれるの、イヤ?」
P「……イヤでは、ないけど」
加蓮「じゃ、決定♪ PさんPさん、映画、見よ?」
P「……わかった」
――
加蓮「あー、面白かった♪」
P「そうだな。だから離れてくれないか?」
加蓮「こわくて離れたくなーい、とか?」
P「なんで疑問形なんだよ……そもそもそこまでこわくなかっただろ」
加蓮「だね。でも、Pさんの胸、ドキドキしてない?」
P「……加蓮もだろ」
加蓮「……ふふっ。バレてた?」
P「……バレてた」
加蓮「そっか。……なんか、ちょっと、恥ずかしいかも」フフッ
P「……恥ずかしいのに、なんで笑ってるんだよ」
加蓮「恥ずかしいけど……嬉しいから、かも」
P「……そうか」
加蓮「うん」
P「……で、まだ離れる気はないのか? 俺も少し、あつくなってきたんだが」
加蓮「……もう少しだけ、ダメ?」
P「……ダメじゃない」
加蓮「……ありがと、Pさん」ギュッ
――
加蓮「それじゃ、Pさん。アイス、食べよっか」
P「結局そこに戻るのか……」
加蓮「映画も見たしさー」
P「関係ないだろ」
加蓮「いやいや、意外と関係あるかもよ?」
P「何が関係あるんだ?」
加蓮「うーん……私にはわからないけど」
P「わからないのか……」
加蓮「うん。でも、アイスは食べたい」
P「どんだけだよ……太るぞ」
加蓮「あ、女の子にそんなこと言っちゃってー……Pさん、デリカシーってものを考えてよー」
P「デリカシーって……俺はプロデューサーだからな。アイドルの体調管理はしっかりしないといけないだろ。体重とかもその内だ」
加蓮「でも、私はもうちょっと太ってもいいと思わない?」
P「それ、自分で言うのか……」
加蓮「言っちゃう言っちゃう。私、割りと痩せてると思うし。胸はそこそこあるのにねー」
P「……まあ、そうだな」
加蓮「あ、顔赤くなったー。なになに? さっきの感触、思い出してるの?」
P「っ……お前、あれもわざとだったのか」
加蓮「そりゃそうだよー。……それで、私のおっぱい、どうだった?」
P「……それ、聞くのか」
加蓮「聞くよ。で、どうだった?」
P「……良かった」
加蓮「……へえ」
P「……にやにやするな」
加蓮「それは難しい相談だねー。……そっか。Pさん、私の胸、良かったんだ」
P「繰り返すな。……くそっ、なんでこんな……」
加蓮「あはは。ごめんごめん、機嫌なおしてー。アイスおごるからー」
P「誰がおごられるか」
加蓮「でも、たぶん私の方が給料――あ」
P「……」
加蓮「あー……ごめんね?」
P「……そこで申し訳なくされると本気で情けなくなってくるからやめてくれ」
加蓮「それじゃあ……Pさんの甲斐性なしー、とか?」
P「それの方がへこむ」
加蓮「えー。どっちなのー?」
P「どう言われても悲しいかな……」
加蓮「むぅ……あ、じゃあじゃあ」
P「……なんだよ。まだ攻撃するのか?」
加蓮「Pさんのこと、私が養ってあげよっか?」
P「っ」
加蓮「……これは、どうだった?」
P「……情けないけど、なんか、良かった」
加蓮「良かったんだ。……Pさん、もしかして、ヒモの素質あったりして」
P「ない! ……ない、と思う」
加蓮「あ、自信なさげ」
P「……というか、冗談でもそういうこと言うなよな」
加蓮「あ、逃げた」
P「逃げてない」
加蓮「えー。そうかなー?」
P「そうだ」
加蓮「そっか。……でも、冗談じゃ、なかったんだけどな」
P「……そういうこと、言うな」
加蓮「ぐっときた?」
P「……きた」
加蓮「そっかー……ふふっ」
P「……なんだよ」
加蓮「いやー……ね、Pさん。私、16歳なんだよ」
P「……そうだな」
加蓮「もう、結婚できるんだよ」
P「……そうだな」
加蓮「……私が何を言いたいか、わかる?」
P「……アイスを食べたい?」
加蓮「む。……そこでそれを持ってきちゃうか」
P「さっきまで加蓮が言ってたことだろ。……あと、俺もアイスが食べたくなってきた。なんか、あついからな」
加蓮「……そうだね。うん。確かに」
P「だろ?」
加蓮「うん。だから……今は、アイスで我慢してあげる」
P「……お願いします」
加蓮「よろしい♪ ……でも、今は、だからね」
P「……わかってる」
加蓮「ほんとかなー?」
P「本当だよ」
加蓮「誓える?」
P「誓える」
加蓮「それじゃあ、誓いのキスを――」
P「それは違うだろ」
加蓮「バレたか」
P「バレるよ。……それに、それはまた、な」
加蓮「……うん」
P「……アイス、食べるか」
加蓮「……ん♪」
終
終わりです。ありがとうございました。
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