キャラの崩壊があります
パロディがたくさんあります
よろしくお願い致します
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望月「何してんの?」
能代「あ、望月ちゃん」
望月は、執務室の前でもじもじする能代に話しかけた。
能代「実は、今日の秘書艦として来たんですけど、初めてなので緊張しちゃって」
望月「緊張するような相手じゃないよ」
能代「そ、そうでしょうか」
望月「ていうかさ、何で眼鏡かけてんの?」
能代「これは、阿賀野ねぇ…阿賀野姉さんが眼鏡をかけた方がいいって言うから」
望月「なんで…あぁ」
提督はメガネっ娘が好きだったのを、望月は思い出した。
能代「どうでしょうか、似合ってますか?」
能代は、かけていた眼鏡に手を添えて望月に目を合わせた。
望月「いいんじゃないの、眼鏡さえかけてればそれで良さそうだし」
能代「そうなんですか。あ、あの望月ちゃん、ひとつお願いしてもいいですか」
望月「お願いって?」
能代「一人で入るの、その、恥ずかしくって、今回だけでいいんで、一緒に…」
望月「ああ、いいよ。んじゃ」
望月は、執務室のドアを開けた。
能代「ああ、そんないきなり」
望月「おーい」
望月たちが部屋に入ると、提督は部屋の真ん中で横たわっていた。
ついでに、全身ボロボロだった。
望月「お、やった。死んでる」
能代「て、て、て、提督!?」
能代は、提督に駆け寄り、膝枕をして安否を確認した。
望月「おい、ボロ雑巾、生きてるか?」
能代「大丈夫ですか、提督?」
提督「ん、ぐ…だ、誰?この感触は…?」
能代「私です、軽巡の能代です」
提督「ん、のしろん?どうしてここに?」
能代「今日は私が秘書艦で、というより提督は何故こんなことに?」
提督「実は昨日ね…」
望月「回想とかいいんだけど」
提督「そんなこと言わずに聞いて」
能代「聞きましょう、望月ちゃん」
提督「そんでね、昨日の夜のことなんだけど…」
昨夜の執務室
提督「ぐあー!疲れたー!」
大量の書類を片付けた提督は、大きく伸びをした。
提督「あーあ、このイスがマッサージチェアだったらいいのになぁ」
多摩「ん、肩揉んであげるにゃ」
提督「ありがとー…球磨は、なんかしてくれないの?」
球磨「何もしないクマ」
提督「何もしてくんないの?何も手伝ってくれなかったのに」
球磨「見てたクマ」
提督「見てたって…あー、まあいいや」
多摩「提督、どうにゃ?」もみもみ
提督「すげぇ気持ち良い」
球磨「肩ぐらい、自分で揉むクマ」
提督「自分でやるのとは違うんよ、球磨さんや。こっち来てみ」
球磨「何する気クマ?」
提督「何も変なことしないよ。人に肩を揉んでもうら気持ちよさを教えてやる」
球磨「いいクマ」
提督「そう言うなって、ほれ、おいでー」
多摩「やってもらうといいにゃ」
球磨「むぅ、多摩が言うなら…」
球磨は、手招きをする提督に近づき、背中を向けて座った。
球磨「どーぞ」
提督「くらえ!」もみもみ
球磨「ん、む、うー」
提督「どーよ」
球磨「まぁ、悪くないクマね」
提督「だろー」
提督は、球磨の頭を優しく撫でた。
球磨「あ、ちょっ!やめるクマ、前にも言ったけど、球磨はぬいぐるみじゃないクマ!」
提督「別に、ぬいぐるみだなんて…いい手触りだな、それにもっふもふ」なでなで
球磨「やーめーるークーマッ!」シュバッ
提督「ぬあ、も、もうちょっとだけ撫でさせてよ」
球磨「嫌クマ」
提督「2、3分でいいからさ」
球磨「嫌だクマ」
提督「じゃあ一回でいいから、もふっとさせてよ」
球磨「お断りだクマ」
提督「今日、何もしてくれなかったんだから、お願い!」
球磨「嫌」
提督「…多摩にゃん、ちょっとごめんね」
多摩「にゃ?」
ユラァと立ち上がる提督。
提督「もう一度だけだ、もう一度だけ言うぞ、球磨…!
一回だけでいいから、頭をもふらせてくれ!」
球磨「嫌クマよ」
提督「いいか球磨…俺は、この俺は…いわゆる提督のレッテルをはられている…」
多摩「レッテルっていうか職業にゃ」
提督「演習の相手を必要以上にぶちのめし、いまだに入渠中のヤツもいる…」
多摩「提督は、戦わないにゃ」
提督「生意気に糞提督なんて呼びやがるんで、気合を入れてやった駆逐艦は、
二度と俺を糞提督なんて呼ばねえ」
多摩「がっつり言われてるにゃ」
提督「予想以下の戦績の艦娘には、補給をしねーなんてのはしょっちゅうよ」
多摩「どんなときも、補給を一番大事にしてるにゃ」
球磨「長いクマ」
提督「とどのつまり、怠けてるだけで頭をモフらせてくれない艦娘を裁くのは、この俺だッー!!」
提督は、球磨に突進した。
球磨(ふっ…ただの突進、なんてことないクマ!)
球磨は、余裕の表情でそう考えた。
なぜならば、普段は艦娘として艦装を使って砲雷撃戦をしている球磨であったが、球磨の真骨頂は格闘。
人型の艦娘としての体のしなやかさ、そして、名前どおりの熊のような力強さ。
それらを駆使し迂闊に近づいてきた敵艦を、一撃のパンチで轟沈させるその姿を見た艦娘から、
意外に優秀な球磨ちゃんと呼ばれていることを球磨は知っている!だから!
球磨(顎に一発入れて、黙らせてやるクマ)
球磨には、提督に勝てる自身があった!
それを知ってか知らずか、提督は、球磨を見据えたまま突進していた。
球磨(…今だクマ!)シュバッ
渾身の右フックを繰り出す球磨。が…
球磨「!?はずした…?」
球磨は混乱した、状況を把握できなかった。
球磨(何故はずしたクマ?避けられたクマ?どうやってクマ?…提督は!?)
提督「球磨、お前はここの司令官が誰か知っているのか?」
球磨「ハッ!」
提督「球磨、お前は戦闘の指揮を執っているのが誰か知っているのか?」
球磨「う、後ろ…?」
提督「球磨、お前は今!誰と戦っているのか知っているのかッ!」
球磨「な、何故だクマ?なんで後ろに?」
提督「お前の戦闘スタイルは熟知している。顎に一発、それで多くの敵艦を沈めてきた。
構えで分かった、お前が俺の顎を狙っていると…だから、俺は!
お前の、マヌケに開いた足の間を、スライディングで抜けさせてもらったンだよォ!」
球磨「………」
提督「お前の敗因は、俺を舐めてたことだ!そして!」
提督は、球磨の頭に顔をうずめた。
提督「うはぁ~もっふもふ~、こういう枕、欲しいなぁ」もふもふ
球磨「……」
提督「おっとと、やりすぎるのはよくないな、ありがと、球磨」
球磨「…」
提督「球磨?」
球磨「もっともふっても、いいクマよ。それが、提督に、この球磨が授ける死の前の名誉…」
提督「は?名誉?」
提督の方へ振り向いた球磨は、頭を下げた。
提督「何してんの?」
球磨の頭にある、アホ毛が回り始めた。
球磨「闘技!神球磨嵐!」
多摩「提督、逃げたほうがいいにゃ」
球磨のアホ毛が、右に左に不規則に回転する!
けっこう呑気していた提督も、アホ毛が巨大に見えるほどの回転圧力にはビビった!
そのアホ毛の真ん中で生じる真空状態の圧倒的破壊空間は、まさに艦本式タービン的球磨嵐の小宇宙!!
そして、どこにも身を隠すことができなかった提督は、この神球磨嵐の直撃を受けてしまった!
提督「うぅぅおぁぁぁあアァァァ!!!」
提督は、戦艦ですら一撃で沈む球磨のパンチのごとき衝撃を全身に浴びながら打ち上げられた!
提督「あがっ!」ビターン
多摩「落ちたにゃ」
球磨「お前の敗因は、球磨を舐めたことクマ」
提督「…」
球磨「じゃ、球磨たちは部屋に戻るクマ」
多摩「大丈夫にゃ?」
提督「…」
多摩「そんなところで寝てると、風邪引くにゃ」
提督「…」
多摩「じゃあね、提督」
提督「…」
執務室
提督「てなわけで、二人が来るまでここで倒れてたわけよ」
能代「ということは、昨日の晩御飯、提督は食べてないのですね。それは辛いですね」
提督「あの、のしろん?話聞いてた?」
望月「…」
提督「ついでに、望月ちゃんも」
望月「ん、あぁ、聞いてたよ。膝に矢を受けて大変なんだろう」
提督「なんも聞いてねーじゃねえか!」
能代「お洋服もボロボロですね」
提督「うん、服っていうか身も心も…しかし、のしろんの膝枕気持ちいいね」
能代「ありがとうございます。よく、阿賀野ねぇにも言われるんですよ」
望月「セクハラされてっぞ、のしろん」
提督「してませんー」
提督は、ゆっくりと立ち上がった。
提督「とりあえず、着替えてくる」
能代「それじゃあ、私はお茶を入れますね。望月ちゃんは、何か食べ物を持ってきて」
望月「はぁ…しゃーないなー」
提督「あ、風呂にも入りたいなぁ。のしろん、一緒に入る?」
能代「え、あ、どうしましょう…」
望月「考えんなよ」
提督は、風呂に入って、着替えて、望月の持ってきたカレーを食べた。そして…
提督「再戦だ」
能代「はい?」
提督「再戦」
能代「賽銭?神社に行く予定でも?」
提督「じゃなくてね、球磨ともっかい戦うの」
能代「なるほど」
提督「艦隊司令官であるこの俺が、負けたままでいられんのよ」
望月「うわぁ、めんどくさぁ」
提督「そんなこと言わないで」
望月「どうせ、また負けるって」
提督「ええい、とにかく球磨を呼べえい!」
望月「自分で呼べよ」
提督「その前に、2人に話がある、実は…」
提督は、執務室に球磨を呼び出した。
球磨「なにクマ?」
提督「なにじゃない、再戦だ」
球磨「嫌クマ」
提督「なんでさ?」
球磨「提督は、球磨と戦うには未熟クマ。昨日のあれもまぐれだクマ」
提督「ぐ…」
球磨「多摩が警告してくれたのに、神球磨嵐を避けられなかったのが良い例だクマ」
提督「ぐぬぬ…」
球磨「球磨ともう一度戦うなんて、1億と2千年早いクマ」
提督「それでも、球磨と再戦したい」
能代「それなら、私に良い考えがあります」
提督「良い考え?」
能代「球磨ちゃんが選んだ人と戦って、その人に勝てれば再戦ということで」
提督「俺が未熟じゃないってところを見せるわけだな!どう?」
球磨「面倒クマ」
望月「…考えてみなよ球磨ちゃん、こいつはしつこいぞ」
球磨「むー」
望月「顔を合わせる度、俺と戦えってうるさいぞ」
球磨「それは、嫌クマ」
望月「だろ、それに」
望月は、球磨の耳に近づき小声で、「適当なやつ選んで、適当に負ければいいんだよ」
と言った。
球磨「…負けるのは嫌だクマ」
望月「でもさー」
球磨「仕方ないクマ、のしろんの提案に乗ったクマ」
提督「やる気になったようだな」
球磨「覚悟するといいクマ、球磨の選んだ球磨四天王が提督を八つ裂きにするクマ」
望月「いきなりなんだよ」
提督「く、球磨四天王!?」
能代「まさか、そんな四天王がいたなんて!」
球磨「フッフッフ、覚悟するといいクマ、球磨四天王に八つ裂きにされるクマ」
望月「球磨四天王とか今考えたろ」
提督「いったい、どんな奴らなんだ…!」
能代「これは、能代も気になります!」
球磨「覚悟するクマ、八つ裂きにされるクマよ」
望月「球磨ちゃんさっきから、似たようなことしか言ってねーし」
提督「じゃあ、とりあえず一週間後」
能代「会場は、明石さん達に頼んでおきますね」
球磨「八つ裂きにされるクマ」
望月「なんでみんなノリノリなの?あれ?私がおかしいのか?」
能代と球磨が、部屋を後にした。
執務室に残った望月は、いきなり提督にたすきをかけられた。
望月「うわっぷ、なんだよぉ!」
提督「しばらく、ここ(ブイン基地)のこと頼むね」
望月「はぁ?」
望月は、いきなり変なことを言い出した提督にイラっとした。
そして、なんとなくたすきに目をやると、『あんたが大将』と書かれていた。
望月「なんだよこれー」
提督「俺は、修行に行ってくる、ギアナだ。ギアナ高地」
望月「どこだよ、そこ」
提督「俺が修行に行ってる間、もっちーが代理やってね」
望月「え、やだよ」
提督「んじゃ、行ってくる!」
望月「おい、話聞けよ」
提督「心配しなくていいよ。俺は、帰ってくる…!今よりも強くなって」
望月「しらねーよ!」
提督「なにか困ったことがあったら、長門や加賀にも手伝ってもらってね」
望月「だったら、その二人に頼めよ」
提督「俺は、望月ちゃんに任せたいの」
望月「な、なんだよ…私に?」
提督「そう…俺のことボロ雑巾って言った罰」
望月「あっ、お前ッ!」
提督「ではさらばッ!」
望月「ちょっ、もー!」
一週間後
バン!
執務室の扉が、勢いよく開けられた!
提督「今、戻った!」
能代「あ、お帰りなさい提督、ご飯にしますか?それともお風呂?
それとも…えーと、私と…なんだっけ?」
提督「お茶ちょうだい」
能代「はい、了解です」
提督は、イスに座って一息ついた。
提督「ふぅ…一週間どうだった?」
能代「望月ちゃん、頑張っていましたよ。早起きして、ちゃちゃっと任務を終わらせて」
提督「なんだかんだで律儀にやるもんねー、もっちーは」
能代「それに、戦闘指揮も執ったりして…
そういえば、提督が帰ってきたら何かするって言ってましたね」
提督「お帰りのキスとか?」
バダァァァン!
再び、執務室の扉が勢いよく開けられた!
提督「おぉ!久しぶりもっぢぃッ!」
部屋に入るなり望月は、電直伝、スーパー電キックを、提督の顔面にぶちかました!
提督「ヒダカァッ!」ドサッ
望月「一週間大変だったぞ、オラァ!」
倒れた提督に、追い打ちをかける望月。
望月「この一週間、すんげえ疲れた!ストレス発散させろォ!」
提督「いだだだ、ちょ、望月ちゃん止めて!の、のしろん助けて!」
能代「こんなところで負けていては、球磨ちゃんには勝てませんよ、提督」
望月「おーし、次は深雪ちゃんを一撃で沈めるほどの威力を持つ
スーパー電タックルをお見舞いしてやる!」
提督「やめてください、しんでしまいす」
ドアバダァァァン!
三度、勢いよく開かれる執務室の扉、この扉はもう限界だ!
球磨「帰ってきたようだクマね、提督」
望月「オラァ!」
提督「リナァッ!」
球磨「今日は無理そうクマ」
能代「そうですね、明日にしましょう」
望月「ここから、出て行けぇーッ!」バリーン
提督は、窓から投げ捨てられた。
翌日、提督、望月、能代の3人は、執務室で球磨を待っていた。
提督「まあ、昨日のアレは、俺も悪かったから怒っちゃいないよ」
望月「マジごめん」
提督「怪我も、別になかったし」
望月「わるっかたよ」
提督「それに、一発目のキックでパンツ見れたし」
望月「くたばれ」
提督「ところでのしろん、昨日から気になってたんだけど、眼鏡はかけないの?」
能代「え、あ、眼鏡ですか?」
提督「うん、一週間前はかけてたよね。あ、あれかな、外にいるときはかけないけど、
部屋に戻ると眼鏡かけるパターンの人?この前は、うっかりかけっぱなしで…」
球磨「帰ってきたようだクマね、提督」
望月「それ昨日も言ってたよね」
球磨「ついて来るクマ」
提督「んで、よかったらこれからも眼鏡をね」
望月「いくぞ、おら」
球磨と一緒に、提督たちは基地の外へと出て行った。そして…
能代「提督、どうですか?すごいですか?」
提督たちは、巨大な建造物にたどり着いた。
提督「うん、すごいね。すごいっていうか、なにこれ?」
能代「コロシアムです。あ、もしくはコロッセオです」
提督「ああ、なるほど…で、どうやって造ったのさ?」
明石「説明しましょう!」
提督「おぉ、あかっしー!」
明石「一週間前、提督が修行に出た後のしろんに、
提督が決闘をするので、決闘にふさわしい会場とかとか造れませんか?
と、お願いされて、頑張りました」
提督「それで、一週間で造れちゃったの?」
明石「はい、現地の人たちも手伝ってくれたので」
提督「まあ、映画館とかゲーセンの時も手伝ってくれたからね」
望月「よく考えたら、そんなもん建てて怒られないの?」
提督「ブイン基地は、基地だから。施設が充実してないとね」
望月「そもそも予算はどこから…」
球磨「建物のことはいいクマ、早く入るクマ」
コロシアムに入った提督は、会場の熱気に圧倒された。
提督「満員じゃん」
能代「すごい数ですね」
望月「ただの喧嘩が、こんなになるとは」
球磨「うわっ、観客多すぎクマ」
提督「ええー、こんな中で闘うの?緊張してきた…気持ち悪ッ!」
球磨「この程度で緊張するなんて、大丈夫クマゲーロロロ」
望月「吐いてんじゃねえよ、汚ねえな!」
能代「あ、あれ見てください提督」
能代の指差すほうに、全身黒尽くめで正体が隠された4人組を見つけた。
提督「あれが、球磨四天王」
球磨「とりあえず、開会式だクマ」
望月「え、そんなのやんの?」
開会式
伊勢「えー、今から、提督対、球磨四天王の、決闘、決闘を始めます」
提督「多分なんだけど、あいつ高田延彦のモノマネしてね?」
望月「いや、違うだろ」
伊勢「それじゃあ、今から、いや、今から、早速選手に、入場してもらおうか」
提督「あいつ、ふざけてんな」
伊勢「提督の中の提督、男なら…出て来いや!」
望月「うわっ、本当にモノマネしてた!クオリティ低ッ!」
てーとく!てーとく!
会場中に、提督コールが響き渡る!
提督は、会場に真ん中に立った。
提督「提督だ…俺が、提督だ。フフフ、怖いか?」
???「パクられた!」
四天王の1人が叫んだ。
望月「1人正体わかっちゃったな」
伊勢「次に、ルール説明をする、レフェリーの中のレフェリー、出て来いや!」
長良「はーい、レフェリーを勤めさせていただきます。長良でーす」
伊勢「じゃあ、ルール説明を」
長良「はい、じゃあルールその1、この決闘については、誰にも話しちゃ駄目でーす。
ルールその2は、この決闘については、絶対に誰にも話しちゃ駄目でーす」
望月「それ、ファイト・クラブじゃねーか!」
長良「とりあえず、武器とか艦装は、許可が無い限り駄目でーす」
一回戦
長良「それじゃあ、一回戦でーす!」
球磨「行くクマ、奴を八つ裂きにするクマ」
望月「まだ、言ってんだ」
提督「フッ、茨城の狂犬と呼ばれたこの俺に、勝てるかな」
四天王の一人が、提督の前に立った。そして、その正体を現した!
白露「一番目の相手は私、白露だよ!」
提督「マジかよ」
球磨「数合わせに適当に選んじゃったクマ、ごめん」
提督「マジかよ」
白露「ていうか、私もいきなりビックリなんですけどー!」
球磨「そこはホントごめん」
望月「一週間も時間があったのに、ちゃんと4人集まらなかったんだ」
白露「うーん…でもまあ、いっかな、一番最初に戦えるし」
能代「一番なら、何でもいいんですね」
提督「ひとつ言っておくぞ、白露」
白露「なぁに、提督?」
提督「俺は、一度球磨に負けている」
白露「うん、知ってるよ」
提督「つまり、今回俺に勝ったとしても、お前は2番目に俺に勝ったことになる」
白露「ハッ!?」
望月「ハッ、じゃねーよ」
提督「だがしかし、だ、俺に負けたとしよう、するとどうだ?」
長良「ま、まさか」
長良(というか、もう戦いは始まってる…!?)
白露「私が、一番最初に…負ける!一番、最初に!」
提督「さすが、白露。その通りだ」
白露「勝ったら二番、負けたら一番…」
望月「そんな悩む?」
提督「白露、考えるな…感じろ」
白露(私は、私は、常に一番にこだわって来た。お風呂にご飯のおかわり、
朝起きる時間も、夜寝る時間も、敵に一撃与える時も、敵に一撃くらう時も、
常に一番、一番だった…その私が、提督に勝ったという事実を手に入れるために二番目になる。
勝利の栄光を手に入れるために、二番目になる…)
提督「白露」
提督は、白露にゆっくりと近づき、やさしく声をかけながら、頭にポンっと手を置いた。
提督「俺は、一番の白露が好きだぞ」
白露「て…ていとくぅー!」
白露は、提督に抱きつき、泣いた。
白露「悩むなんて、どうかしてたよ私!ごめんね提督、私、負けを認めるよ。
提督の、一番最初、一番最初の敗者になるよ!」
提督「おーよしよし、さすが白露、いい判断だ」
球磨「むぅー、やるクマね」
望月「何が?」
提督「勝った」
能代「さすが、提督!修行の成果が出ましたね」
望月「なんも、出てねーよ」
二回戦
球磨「じゃ、早速二回戦を始めるクマ!さあ、提督をバラバラにするクマ」
望月「八つ裂きとそんな変わんねーけど」
提督「フッ、茨城のランボーと言われたこの俺に、勝てるかな」
四天王の二人目が、提督の前に立ち、その正体を現した。
霧島「ふふっ、司令、驚きました?」
提督「き、霧島…!」
霧島「また、こうして司令の前に立つとは思いませんでした。
最後にやったのは、たしか3日前のギアナ高地でしたっけ?」
望月「そんな日にち経ってねーっていうか、霧島さん行ってたの、ギアナ!?」
金剛「ど、ど、ど、どういうことデース!?
霧島は、提督と二人で修行していたということデスか?
ここじゃないどこかで、二人で、三日も、二人で、あんなことやこんなこと!
ということは、ということは…私は、伯母さんになってしまうデスか?」
比叡「お姉さま落ち着いて!」
榛名「名前は、みんなで考えましょう、男ならシンジ、女ならレイなんてどうでしょう?」
比叡「榛名も落ち着いて!」
提督「なんもなかったよ」
霧島「そうです、ただ提督の相手をしていただけです」
金剛「ほんとに?」
霧島「はい、マイクに誓って」
榛名「なら、信じましょう」
比叡「良かったぁ」
望月「マイクが、何なんだよ」
能代「マイク万能説ですね」
提督「しかしだ霧島、なぜ球磨四天王であるお前が、俺の修行に付き合ったんだ?」
霧島「私の相手が、弱かったらつまらないじゃないですか」
提督「言ってくれるじゃあないか、霧島」
霧島「さあ、行きますよ、一撃で沈まないでくださいね。司令!」
提督「そうそう簡単にやれると思うなよ。霧島!」
二人は、同時に相手に向かって走り出した。
霧島「もらった!」
先に仕掛けたのは、霧島だ。鋭い右ストレートが提督に襲い掛かる。
提督「ぐっ!」
提督は避けなかった、あえてそのストレートを右手で拳を掴んで受け止めた。
霧島的には、35.6cm連装砲程度の一撃であったが、提督には十分すぎる威力だった。
何故、提督はこの一撃を受け止めたのか、それは!
霧島「くっ!」
掴んだ霧島の右の拳を引き、脇腹へアッパーを打ち込もうとする提督。
右腕を引かれた霧島は抵抗せず、そのままの提督に引っ張られる。
それにより、抵抗されることを考えて出した提督の一撃は、空を切る。
提督の一撃を避けた霧島は、拳を引いていた力の流れに乗り、
そのままくるっと回転し、あいた左手で提督の顔に肘鉄をぶちかます!
顔に、肘鉄を受けた提督はよろけた!
霧島(やったか!?)
しかし、提督は顔に強烈な一撃を受けたにもかかわらず気絶しなかった。
驚きはしたものの、すぐに次の手を打つ。
掴んだ霧島の右腕を自分に引き寄せ、蹴り飛ばす!
霧島「んぐっ!」
伊勢「なかなかやるじゃないか、提督は」
望月「まあ正直、一撃でやられると思ってた」
伊勢「オーラの流れがスムーズだ。霧島の重い一撃を、最小限のダメージですましている」
望月「は?オーラ?」
能代「ええ、それに攻撃を受けた右手や顔にだけオーラを集中させず、
ちゃんと足にもオーラを残していたおかげで吹き飛ばされずにすみましたね」
望月「え?なんの話してんの?」
提督(顔への一撃は、まあ何とかなった。正直、霧島の一撃を受け止めたことで、
ほんのちょっぴり安心していたところをやられた。油断はしないことだな、危なかった…)
提督は、口の中を傷つけたことにより、流れ出ていた血をぺっと吐き出した。
霧島は、提督に背を向けたまま動かない。
長良「霧島さん?」
長良に声をかけられた霧島は、ゆっくりと長良の方へと体を向けた。
そして、外した眼鏡を長良に渡した。
金剛「き、霧島が眼鏡を…!」
榛名「眼鏡を外すなんて、何年振りでしょう」
比叡「昨日、一緒にお風呂はいるとき、外してたよね?」
霧島「長良ちゃん、終わるまでこれ、持っててもらえる?」
長良「はい、承りました」
眼鏡を渡した霧島は、提督の方へ体を向け、見据えた。
提督だけじゃなく、会場にいる全員が、空気が重くなったのを感じた。
伊勢「ヌムッ!」
能代「眼鏡を外しただけで、なんて威圧感」
提督「ま、最初はこんなもんだよな」
霧島「そうですね。次は、ちょっと本気で行きますよ」
霧島(さっきまでのは、修行中よくあったこと、準備運動みたいなもの。拳による挨拶。
次からが、本番…司令のアレが出る、次が)
提督は、左腕の力を抜き、だらんとさせ、右腕は手を開いて前に突き出していた。
望月「何してんだ、あいつ」
伊勢「何だあれは?」
初雪「対深海棲艦用海軍式格闘術 戦技 柔の構え:流(りゅう)」
望月「初雪ちゃん、いつの間に!?」
能代「知ってるの?初雪ちゃん?」
初雪「対深海棲艦用海軍式格闘術は、選ばれた提督しか会得することを許されていない格闘術。
艦娘のように艦装を付けられず、
後方で艦隊の指揮を執ることしか出来ず、
艦娘だけに戦闘を強いることしか出来ないことを心苦しく思った初代提督が、
深海棲艦と直接戦うために創った、海軍男子の己の体を武器とする最終兵器」
望月「は?」
初雪「対深海棲艦用海軍式格闘術には、対となる二つの構えを基本としている。
猛烈な攻撃で、相手を速攻で殲滅する剛の構えと、
徹底的な防御と回避で、相手の隙を突く柔の構え、
その中でも、今、司令官が使っているのが、
敵の攻撃を受け流すことに重点を置いた、柔の構え:流」
望月「初雪ちゃん、すげーしゃべんな」
初雪「司令官は、ちょっと脳筋なところがあると思ってたから、
剛の構えで戦うのかと思ってた…ちなみに、
対深海棲艦用海軍式格闘術は、ヨガをベースに創られたらしいので、
本土の女性たちの間でブームになってるらしい」
望月「選ばれた提督にしか会得できないんじゃねーのかよ!」
伊勢「なるほど、つまり、対深海棲艦用海軍式格闘術は健康に良いという事だな」
能代「ええ、明日提督に、対深海棲艦用海軍式格闘術を教えてもらいましょう」
長良「私は、対深海棲艦用海軍式格闘術の、剛の構えを習得したい」
初雪「確か、対深海棲艦用海軍式格闘術のDVDが出てたはず」
長門「なるほど、あれが対深海棲艦用海軍式格闘術か、胸が熱くなるな」
ホワイトベース「対深海棲艦用海軍式格闘術があれば、左の弾幕が厚くなる…!」
レ級「うわぁ、対深海棲艦用海軍式格闘術って、怖ー」
望月「お前ら、なんかもう、うっせえよ!!!」
霧島(修行中に見た構えと少し違う…あれが柔の構え:流!
私が、司令に向けて放っている闘志が、あの右手一本によって受け流されている…)
提督「…」
霧島(自分からは来ないか…なら、私からッ!)
霧島は、提督へと吶喊した!
霧島「はぁぁぁ!とぉぉぉりゃぁぁぁあ!」
さっきと同じ、右ストレート。しかし、威力とスピードはさっきの倍!
速すぎるその一撃は、ブオンという大きな音をたてながら、提督に襲い掛かる!
伊勢「なんて、一撃だ!霧島の拳が歪んで見える!空間を破壊しているのか!」
提督「…」
提督は、静かに、相手へと向けていた右手で、霧島の右ストレートを軽くいなした。
続いて打ち出された二撃目の左アッパーも、右手でいなす。
三撃目、アッパーを出している間に右腕を引き、その勢いを使って体を回転させ、
回し蹴りをかますが、これも提督の右手によっていなされる。
次の一撃も、その次の一撃も、提督は右手一本でいなす。
霧島は、一発も提督へ与えられないまま、後ろへ跳び距離をとった。
霧島「ふぅー」
大きく息を吹きながら、霧島は考えていた。
霧島(まさか、繰り出す技がすべて外れるなんて…さすが司令。
修行のお手伝いをしていた時は、あんなことされなかったのに…
この日のためにとっておいたの?私が手伝いに行った時には、もう習得していた?
私の手伝った三日間は、ただの基礎の底上げ?)
比叡「駄目だよ霧島、考えすぎちゃ駄目。霧島は頭が良くて、
相手を分析して戦うけれど、今は違うよ。感覚で戦わないと…」
霧島「でも…」
提督「どうした霧島、疲れたか?」
霧島「くっ!」
比叡「挑発に乗るのも駄目だよー!」
比叡の言うことも分かるが、それでも霧島は止まれなかった。
提督に一撃も入れられなかった悔しさと、よくわからない何かが、霧島の体を動かしていた。
霧島「ふんッ!」
提督「…」
霧島は、連続で技を繰り出すが、先ほどと同じく、右手でいなされる。
霧島(一撃、一撃だけでも入れられれば!)
比叡「い、いけない!」
提督「もらったぞ…!」
霧島「ハッ!?」
意地になるあまり、無茶苦茶な攻撃していた霧島は、提督に隙を突かれた。
提督「すぅー…ハァッ!」
提督は大きく息を吸い、吐くと同時に霧島へと強力な掌打を放つ!
霧島「ッくぅぅぅはァ!」
またしても霧島は吹き飛ばされる。
肺の中の空気が、意思に反して吐き出され、嘔吐する時以上の嫌悪感と気持ち悪さが霧島を襲った。
なんとか受身をとり、気合で立ち続けようとしたが、耐え切れず膝をついた。
提督「ギブ?」
霧島「…まさか」
霧島(何故、提督に攻撃が当たらない?何故、提督の攻撃を受けた?何故だ?
隙を突かれた。認めよう。しかし何故?
意地になってた。これも、認めよう。しかし何故?
あとは何だ…心の中でもやもやしてる何か。それが邪魔をしている…)
霧島は、息を整えながら考えた。こんなことになると思っていなかったから。
もっと、楽に勝てると思ってたから。そう…
霧島(そうだ…楽に勝てると思ってた。容易いと。
三日前、修行の手伝いに行った時。拳を交えた時。その時、勝てると思った。
そう感じた…ハッまさか!?)
霧島「まさか…まさか、今日私と戦う事…三日前にはもう知ってました?」
提督「いいや」
霧島「じゃあ、三日前、私とやりあってた時、その、柔の構え:流 をしなかったのは?」
提督「ただ、秘密にしたかったからだけど」
霧島「だったら…」
霧島(だったら、何で私は司令を簡単に倒せるなんて、そう思っていたの?)
霧島は、提督を見つめた。構えはそのまま、提督も霧島を見つめていた。
そして…霧島は気づいた。
霧島(キリッとしているけど、優しい顔…ジト目だけど。それに、どこか暖かい雰囲気。
…そうか、私はずっと騙されていた…いや、そうじゃない。
勝手に思い込んでいた。顔や雰囲気で勝手に判断していた。
あの人は、私に勝てるような人じゃないと…どこかで司令を舐めていた。
だから、意地になった。そして、隙を突かれた)
霧島「司令、申し訳ございません。私は、あなたを舐めていました」
提督「マジか」
霧島「楽に倒せると思ってました」
提督「マジかぁ」
霧島「最初の一撃で、いけると思ってました」
提督「マジかよー」
霧島「それは間違っていました…私のミス、慢心。
ですから、今から私は、あなたへの認識を改めます。
今、ここにいるあなたは敵。私の命を脅かす敵…」
榛名「こ、この感じは…!?」
比叡「すごい久しぶりですね」
金剛「提督ー!気をつけるデース!」
提督「?」
霧島「お姉さま達の命を脅かす敵。仲間の命を脅かす敵。
敵。敵。敵。
敵はどうする…」
提督「…」
霧島「敵は、敵は…」
長良「あれ?霧島さんの眼鏡…なにこれ?」
長良の持つ、霧島の眼鏡に、FS-Dの文字が浮かび上がる。
提督「!」
提督(来る!)
提督が反応した瞬間、すでに霧島の右ストレートは顔に撃ち込まれていた!
提督(な、なんだとぉぉぉ!!!)
顔の痛みを感じる前に、提督は二発目の左のストレートを顔に、三発目の右のショルダーアタックを胸に、
そして、顎への左アッパー!
提督「がぁぁぁ!」
なんとか顎への一撃を右手で防御する。欲張りな四発目はなんとか防ぐ。
提督(き、霧島はどこだ?)
アッパーをなんとか防いだものの、提督は霧島を見失った。
視界に入らないし、気配もしない。
提督「!?」
瞬間、提督は後ろへ跳んだ!何かを感じたからだ。何かはわからない。
そもそも、後ろへ跳んだこと自体、理解できていなかった。
体が勝手に動いたのか?経験から動いたのか?何かの意思がそうさせたのか?
とにかく、提督は助かった。霧島のハイジャンプからの踵落し、それから。
提督「!?」
踵落しの直撃を受けた地面は、綺麗に抉れていた。
提督(な、なんなんだよォー!今のは!か、顔が痛え!胸も!)
提督「うえッ!ゲホォ!ゲッホ!」
胸の痛みを感じると同時に、咳が出る。肺が勝手に息を出すからだ。
霧島「…!」
咳き込む提督を、霧島が襲う!
提督の喉を潰そうとするどっちの手かわからない手刀による一撃を、なんとか防ぐ。
提督(クソ!なんて速さだ!)
提督は、霧島の動きを捉えるのが精一杯だった。攻撃は防ぎきれない。
提督(どいうことだ…!)
今の霧島は、目から入る情報が、一切のタイムラグ無しに全身に伝わっていた。
提督の筋肉の動き、目の動き、それらが目に入った瞬間、すでに霧島の体は動いていた。
故に視界に入らず、攻撃を的確に当てることが出来ていたのだ。
伊勢「一転攻勢か」
能代「霧島さんの本気、凄いですね」
比叡「FS-D…フラグシップ・デストロイヤー…まさか、提督に対して発動するなんて」
望月「初めて聞いたよ」
初雪「…柔の構えの弱点を突かれたっぽい」
夕立「ぽい?」
初雪「柔の構えは、基本カウンター狙い。
対深海棲艦用海軍式格闘術は一人で闘うための戦闘術じゃない。
艦娘との連携を想定して創られている。特に柔の構えは、それが重要」
望月「と言うと?」
初雪「柔の構えは、敵の攻撃を受け流し隙を突く。
そして、怯んだところを、艦娘による攻撃で敵を倒す。それが本来の戦い方」
能代「つまり、提督一人の攻撃では、決定力に欠けると?」
初雪「うん」
伊勢「なるほどな、完全なカウンター狙いなだけに、艦娘の援護が必要。しかし、今回は援護が無い。
自分から攻めていかないといけなかった。それなのに、提督は一撃入れたあと何もしなかった。
だから、霧島が何かに目覚める時間を作ってしまったと言うわけか」
提督(クソッ!どうすればいい!?このままだとやられる!)
霧島の猛攻を受けながら、提督は考える。
提督(パワーもスピードも圧倒的だ。なんとか目が追いついてきたけど、それだけだ。
体が動かない。霧島のスピードに対応できない)
霧島「!」
一方的に攻撃を受け続ける提督。
提督(このままだと…負ける…俺が…!?)
提督「ぐッ!」
提督(球磨と闘うことも出来ず…柔の構えを破られたまま…)
提督「がッ!」
提督(やられる…)
???(諦めるな…)
提督(だ、誰だ…)
???(ワシじゃ)
提督(…誰?)
???(いや、だからワシじゃ)
提督(…え?)
???(え?嘘…ワシだよ、師匠だよ。ほら、ギアナ高地で会った!)
提督(ギアナ高地…師匠…そうだ、思い出した!俺には、ハイパーモードがあるッ!)
師匠(なにそれ?)
望月「ハイパーモードってなんだよ!?」
能代「ど、どうしたの望月ちゃん?誰にツッコミを?」
提督「ハァァァァァァア!!!」
一瞬だが、提督の体が金色に輝き、衝撃波が発生し、霧島を吹き飛ばす。
霧島「!?」
能代「あ、あれは!?」
伊勢「教えてくれ、初雪ちゃん!」
初雪「え、知らない」
提督「!」
提督は、霧島に向かって掌底を打ち出す!
引き離した霧島には、その一撃は当たらない!
能代「あれは、いったい!?」
伊勢「!?あれを見ろ!」
提督の右手から、霧島へ向けて、何かか進んでいく!
伊勢「オーラが、衝撃波となって霧島へ向かってく!?」
初雪「あれは、柔の構え:銃!
銃という字を使っているから、銃を使った戦闘技だと思われているけど、
実は、銃を持った相手を想定した構え!
衝撃波を打ち出し、敵の銃撃や砲撃を防いだり、離れた相手に攻撃する戦闘技!
でも…少し遅い」
提督の打ち出した衝撃波は、霧島の顔面へと迫っていた!
霧島「!」
霧島は衝撃波を避けた!そして、提督に襲い掛る!
能代「外れた!」
望月「ヤベーんじゃねえの!?」
提督「…」
霧島「!」
一気に距離を詰めた霧島は、提督の顔面へと右ストレートを撃ち込んだ!
提督「ぐあッ!」
霧島「!?」
撃ち込まれた右ストレートを、提督は右手で受け止めた!
しかし、勢いは止まらず、霧島は提督を押し出す!
提督(霧島、お前の拳を掴んだぞ!一か八かの賭けだったが…成功したぜ!)
霧島は、右ストレートで提督を倒したかった。最初に繰り出し、防がれた右ストレート。
自分の慢心が出ていた、忌まわしい右ストレート…それで提督を倒そうと、無意識に意地になっていた。
そして提督は、負けず嫌いな霧島の性格を知っていた、だから同じ攻撃をしてくることに賭けていた。
提督「ぐうう!霧島ァ」
提督(無視かよ!右手が痛え!でも、離しはしないぜ!あとは、一瞬でも隙が出来ればッ!)
霧島「!」
提督「うぐぁ!き、霧島ァ!」
霧島に押されていた提督は、壁に激突し壁が崩れた。
霧島「!!!」
なおも勢いは止まらず、提督は壁に押し付けられていく。
服がボロボロに破れ、体中に痛みが走る。その痛みが、提督の思考を鈍らせる。
しかし、それでも提督は霧島の右手を離さず、左手をズボンのポケットに突っ込ませていた。
提督(あった、これなら…うまくいくか分からないが、やってみるしかねぇ!)
提督「霧島、おい、俺の声が聞こえないのか!」
霧島「!」
提督(クソっ!俺の声が霧島に届けば…何とかなるかもしれないのに!)
提督「霧島ァァァ!」
ドォォォン!!!
後ろから大きな音、驚いた霧島は後ろを見た。提督を押し込んだまま。
提督(…よし)
霧島(後ろの壁が、破壊された?)
霧島は、何故、壁が壊れたのか奇妙に思った。
提督を倒すことだけに集中していた意識が、逸れた。
提督「気になるか霧島」
霧島「?」
さっきまで、聞こえなかった。聞こえないようにしていた提督の声が耳に入る。
提督「教えてやるよ、俺がお前に放った衝撃波だよ」
霧島「…」
提督「それが、後ろの壁に当たっただけだよ」
霧島「…」
提督「お前の疑問に答えんたんだ。俺の疑問にも答えてくれないか?」
霧島「…」
提督「何で、お前は、今日というこの日…まさに今…」
霧島「…」
提督「ノーパンなんだ?」
霧島「…」
伊勢「今、なんて?」
能代「霧島さんが」
初雪「履いてない?」
霧島「…」
望月「は?」
提督「履いてない、と言うか…履いてはいたけど…」
提督は、チラッと左手に持っている布切れを見せた。
提督「これ、なんだかわかる?」
霧島「………んあ!?」
霧島(まさか…そんな…確認しなきゃ!)
顔が赤くなっていく霧島。
そんなはずは無いと思ったが、あれだけ激しく動いたのだ。もしかしたら…
霧島「あぅ…あぁ…あれぇ?」
提督「見てみなよ」
混乱した霧島は、スカートに手をかけ、めくって確認しようとするが…
目の前に提督がいるのに気づき、どうすればいいのかわからずモジモジし始めた。
霧島(どどど、どうしよう!…あれ?)
霧島は、提督の持っていた布切れの色が白なのに気がついた。今日は白じゃない。
そもそも、あれはただのハンカチ…
霧島「あ、あれれ?」
提督「マジごめん」
じゃあ、私は履いている!と安心した顔をした霧島の腹に、提督は掌打を当てる。
提督「嘘ついて、ホントごめん」
霧島「ぐっ…し、司令…か、壁を破壊して気を逸らせたのは…狙って…?」
提督「そうだよ」
霧島「さ、さすが…ですね…」
霧島は、ゆっくりと膝から崩れ落ちる。
そして、望月に向けてガッツポーズをしながら、提督は言った。
提督「勝った」
提督の声が聞こえるやいなや、望月は提督へ突撃し、スーパー電キックをぶちかます!
望月「うるぁア!」
FS-D中の霧島を超えるスピードの、望月の一撃!避けることも防ぐこともできず、顔に直撃を受ける提督。
提督「あがっ!」
地面に倒れこんだ提督に、望月は殺意のこもった追い打ちをする。
望月「何してんだよ、卑怯者!騙まし討ちなんてー!」
提督「聞いてよ望月ちゃん!今回のメインイベントは球磨との対決だよ!
それなのに、こんなところで負けられないじゃん!」
望月「だからって!」
なんとか立ち上がり、高く跳び上がる提督。
提督「いいかい望月ちゃん!俺がここにいるのは、
あくまでも球磨と戦うため!あくまでも球磨に勝つため!!
もうすんごい疲れたし、まともにやりあって勝てそうにも無い…
どんな手を使おうが………最終的に…勝てばようかろうなのだァァァァッ!!
そしてッ!」
望月「何をする気だ!」
提督「くらえ必殺!対深海棲艦用海軍式格闘術、柔の構え:ラノベ主人公!」
望月「何してんだよ、バカヤロー!」
伊勢「まあ、いいじゃないか望月ちゃん。確かに卑怯に感じるが、
あの場面でハッタリかますなんて結構やるじゃないか」
望月「は?」
能代「ええ、すごい勇気です!もしかしたらみんなに嫌われるかもしれないのに、
それでも霧島さんを騙すなんて!」
望月「は?」
初雪「うん、プライドを捨てて、勝ちにこだわるなんて、誰にでも出来ることじゃないよ」
望月「は?」
摩耶「ふん、やるじゃねーか」
古鷹「すごいなー、憧れちゃうなー」
響「ハラショー」
レッド・オクトーバー「ハラショー」
望月「な、何言ってんだよみんな…!?」
提督「フハハハハハ!これが必殺!対深海棲艦用海軍式格闘術、柔の構え:ラノベ主人公!
これをすれば、なんかもう、とにかくみんなが褒めてくれる!フハハハハハ!
さぁ、もっちーも!コッチヲミロォォォ!」
望月「あー眼鏡外すと何も見えねー」
提督「あ!何してんの!?眼鏡かけなさいよ!」
提督に背を向け、崩れた壁の方へ歩き出す望月。
そして、ちょうどいい石を手にする。
望月「うん、ちょうどいい」
提督「何がちょうどいいのさ!?ねえ!望月ちゃーん!」
提督に振り向くと同時に望月は、ちょうどいい石を提督へ投げた!
石は、すんごい勢いで提督の顔面へ撃ち込まれる!
提督「キャイン!」
再び倒れこむ提督。
望月「まだだ、まだ終わんねーよ」
霧島「もう許してあげて、望月ちゃん」
望月「霧島さん…でもさー」
霧島「いいの、騙されたのは、ちゃんと履いているって自信を持てなかった私のせいだから」
望月「えー」
霧島「それに、最後の一撃は、入っていないから」
望月「じゃあ、どうして倒れたの?」
霧島「疲れちゃったの、もう歩くのも辛いわ。ちゃんとした勝敗は決まってないけど、
私はもう続けられないし。司令は、まだ大丈夫みたいだから…今回は私の負けでいいの」
望月「むぅー」
霧島「ね、許してあげて」
望月「それって、さっきの変な構えのせい?」
霧島「ううん、違う」
望月「…はぁ、霧島さんに感謝しろよ、ボロ雑巾」
提督「は、はい…霧島、悪かったな」
霧島「いいえ、楽しかったですよ司令」
伊勢「どうだ球磨、提督のやつ、なかなかやるじゃないか」
球磨「そうクマね…というか」
伊勢「ん?」
球磨「もう、終わりでいいんじゃないかクマ?」
選手控え室
那珂ちゃん「提督たちが出てくるまで、那珂ちゃんが会場の熱気を保つために!やるよ!!
ナカライブ!!!」
那珂ちゃんの元気な歌声が聞こえてくる。
提督「うわあー、那珂ちゃんの歌声元気出るわー。ねーあかっしー」
明石「そうですね、これなら提督の修理も早く済みそうです」
港湾棲姫「ワタシノ、ヒザマクラハ、ゲンキデナイ?」
提督「最高だけど」
港湾棲姫に膝枕をされながら、明石の謎クレーンに修理される提督。
能代「港湾棲姫さん、いつの間に…あの膝枕、私より気持ちいいんでしょうか?
提督の膝枕ランキングでは、私は何位なんでしょうか?」
望月「いや、知らないけど…ていか何言ってんのさ、のしろん?」
伊勢「どう?提督は、まだやれそうか?」
明石「修理自体は、10分ぐらいで。
でも、完全に直るわけではないですし、疲れも残りますね」
提督「大丈夫だよ、伊勢、俺はまだやれる。球磨にそう言っといて」
伊勢「わかったよー。あ、港湾ちゃんの膝枕、次は私ね!
っとと!忘れてた。次の対決は色々内容を変えるって言ってたよ」
提督「色々って何?」
伊勢「ああ、それはねぇ…」
三回戦
長良「次の対決はじゃんけんでーす!」
???「何でだよっ!!!」
球磨四天王の一人(天龍)が、その正体を現しながら叫ぶ。
球磨「さっきみたいに激戦になると、時間が掛かるからだクマ」
天龍「だからってよ!」
球磨「それに、さっき以上の戦いができるクマか?」
天龍「できる!………と思う」
球磨「無理だクマ。それに、メインイベントをやる球磨の気持ちを考えてほしいクマ。
これ以上良い戦いをされると、ハードルがすんごい上がってしまうクマ。
かなりのプレッシャーだクマ。そんなの考えただけで…うっぷっ」
天龍「意外とメンタルが弱いんだな」
球磨「あと、そこにいるタ級ちゃんも一緒にじゃんけんするクマ。二人で提督を八つ裂きにするクマ」
タ級「うぉぉ、ナチュラルに正体をばらされた…というか、どうやって八つ裂きにしろと?」
長良「今回は、艦装OKでーす!」
天龍「艦装付けてどうしろってんだよ!」
タ級「ふむ、ならとりあえず付けとこうかな」
提督「艦装を付けたところで、茨城のスパルタカスと呼ばれたこの俺に、勝てるかな?」
天龍「来やがったな提督うぅぅえぇぇ!?」
提督は、誰も押していないのに動く台車に乗せたられた港湾棲姫に、膝枕されたままやって来た。
天龍「何してんだよ、てめぇ!」
提督「入渠だけど」
天龍「入渠じゃねーだろ!」
提督「ん、港湾ちゃんありがとね。よっこいしょ」
スッと立ち上がる提督。港湾棲姫は、提督をじっと見つめる。
港湾棲姫「オワリ?」
提督「うん、またね。それにほら、他にもしてほしいって人がいるから」
港湾棲姫「ワカッタ、イセヤンノトコニ、イッテクル。タキュウチャンモ、バイバイ」
タ級「うん、またねー」
台車がまたひとりでに動き出し、港湾棲姫はその場をあとにする。
天龍「どうなってんだよ、あの台車」
タ級「さぁ?」
望月「ていうか、タ級ちゃんはもう普通に喋れんのな」
提督「んじゃ、さっそく始めようか」
球磨「ちょっと待つクマ。2対1はさすがにかわいそうだクマ、誰かと一緒にやるクマ」
提督「ヘイ、もっちー!」
望月「嫌だけど」
提督「ん、今なんて?」
望月「嫌」
提督「ちょっとちょっとのしろん、今の聞いた?可愛くね?俺とコンビ組むの恥ずかしがっちゃってさ」
能代「そうなの?望月ちゃん」
望月「くたばれ」
提督「…ひどいよもっちー!俺たちシンクロマニカしてたんじゃなかったの?」
望月「うっせーなー、諦めて誰か他の奴に頼めよ」
提督「じゃあ、隼鷹ー!」
隼鷹「お、あたしでいいの?」
提督「いいよー!」
隼鷹「よっしゃ!」
望月(…くそっ、なんだよ。もっとしつこく絡んでくると思ったのに…
これはこれで、なんかムカつくな)
とりあえず、望月は提督の足を蹴る。
提督「痛っ。も、望月ちゃん?」
長良「じゃあ始めまーす」
提督「んじゃあやるぞ、最初はグー」
タ級「じゃん」
隼鷹「けん」
天龍「ぽん!」
提督「…あいこでしょ!」
タ級「あいこでしょ!」
隼鷹「あいこでしょ!」
天龍「あいこでって、もう!仲良しかよッ!」
提督「次のグーで、決めてやる…!」
タ級「そんな拳、私のチョキで切り裂いてあげる…!」
隼鷹「あたしのパーは、すべてを包み込むぜぇ…!」
天龍「なに言ってんだよお前ら!?ていうか、それじゃまたあいこだろ!いい加減にしろよ!」
提督「あいこで!」
隼鷹「しょ!」
提督「またか…」
天龍「ほらな、言わんこっちゃねえよ!」
提督「こんどこそ、グーで!」
天龍「らちが明ねえよ!」
隼鷹「しかたないねえ、アレを使うしかないか」
天龍「アレって何だよ?」
隼鷹は、緑色の光を放ち始めた。
タ級「何をしている隼鷹…はっ、まさか!?」
能代「あの光は、なんでしょうか?」
初雪「隼鷹さんは使う気だよ…ビスト神拳を」
望月「なにそれ?」
初雪「かつて、全裸の男とユニコーンが戦ったときに、ユニコーンが全裸の男をボコボコした格闘術!」
望月「なんなのさ、その話…」
能代「そのビスト神拳は、今回のじゃんけん対決でどう役に立つんでしょう?」
初雪「…さあ」
望月「えー」
タ級「くっ…迂闊にチョキなんか出したら、確実にボコボコにされてしまう!」
能代「チョキに対して、何らかの効果があるみたいですよ!」
隼鷹「ビスト神拳は、ブイン基地にて最強」
タ級「だったら私も!」
タ級は、提督たちに背を向けて、足を軽く開き、腰を曲げて両腕を頭の上に突き出し、手を軽く組ませた。
なんだかセクシーな格好だ。
タ級「必殺!生足魅惑のマーメイド!」
能代「なんというか、胸を刺激する構えですね!」
望月「初雪ちゃん、アレは?」
初雪「宝物の恋が、出来そうな気分になるよ」
望月「それが、何の役に立つのさ…」
提督「なんてこった…俺の、グーが封じられた!?」
能代「グーに対して、何かしらの効果があるみたいです!」
提督「だったら俺は!」
提督は、両手両足を、立ったまま大きく広げた。大の字の格好だ。
提督「俺の体を、みんなに貸すぞ!」
長門『そう、それでいい、提督…』
天龍「な、誰の声!?どこから!?」
望月「気をつけろよー、天龍ちゃーん!そいつらは真面目にじゃんけんする気ないぞー!」
能代「今度は、提督の体が光っていますよ!あれも、対深海棲艦用海軍式格闘術の構えなんですか?」
初雪「みんなの魂を1人の体に集める柔の構え:Ζ」
望月「Ζ…ねえ、それって本当にあるの?今、適当につくってない?」
タ級「2人の艦娘が揃って楯突くか、海の総意の器である、この私に!」
天龍「提督は、野郎だぞ…」
タ級「しかし、たかがパーを封じた程度で、この私が倒せるか、小僧!」
提督「わかるまい。じゃんけんを遊びにしているタ級に、この俺の体を通して出る力が!」
天龍「遊び以外の何物でもねーよ」
タ級「体を通して出る!?そんなものが、私を倒せるものかッ!」
白露『提督は、その力を表現してくれる人なんだよ』
マヤ『カーニバルダヨ!』
天龍「また声が…誰だよ、怖ええよ」
タ級「ならば、受けて立つまで…カンムス!」
隼鷹「分かるよ、提督。みんながあたしの中に…!」
飛鷹『それでいいのよ、隼鷹。あなたは提督と一緒に為すべきと思ったことを為せばいいの』
龍驤『やったれー隼鷹、やったれー!』
天龍「ていうか、お前ら、何してんだよ…?」
タ級「くッ…何だ!?私、動け!私、なぜ動かん!?」
天龍「バカだからじゃねーのッ!」
隼鷹「行くよ、提督!!!」
提督「うぉぉぉ!最初はグー!」
タ級「じゃん!!」
隼鷹「けん!!!」
天龍「うぉ!ぽ、ぽん!」
提督「ここからいなくなれーぇぇぇ!!!」
タ級は、チョキ!提督はグーを出していたッ!
そして、天龍も隼鷹もグー!!
タ級「……私だけが…死ぬわけがない…」
天龍「死なねーよ!」
タ級「貴様も…一緒に…連れて行く…じゅ……隼鷹…!」
隼鷹「やったのか…!?あ、あたしの指が開いていく!」
隼鷹の指が、勝手に動き、グーがチョキに変わっていく!
天龍「何してんだよ!」
隼鷹「あ、大きな星が…ついたり消えたりしている…ははは、大きい。
彗星かなぁ?いや、違うなぁ…彗星はもっと、バァーと動くもんなぁ…」
天龍「彗星?今日のお前、載せてないだろ」
望月「違う、そうじゃないよ天龍ちゃん」
長良「はーい!隼鷹さんとタ級ちゃん、轟沈でーす!」
提督「タ級…なんて奴だ!まさか隼鷹を…くそッ!」
タ級と隼鷹は、その場に倒れこむ。
そして、提督は隼鷹に駆け寄り、軽く抱き寄せた。
提督「隼鷹!目を開けろよ!嘘だろ!!こんなの嘘だろ!!!目を開けてくれよ!隼鷹ー!!!」
天龍「お前、どうした!」
龍田「あらあら、天龍ちゃん~。天龍ちゃんも、タ級ちゃんに声かけてあげて~」
望月「んあ、龍田さん?」
能代「いつの間に?」
天龍「え、あ…んと…タ級?大丈夫か?」
タ級「あんな光がなんになる…! 一瞬の光がいくら集まったところで…!」ガクッ
天龍「う、うん…」
天龍は、辺りを見渡し、なんとも言えない気持ちになった。
天龍(なんだこれ…?なんだこれ…!?)
提督「天龍…次はお前だ!」
天龍「お、おう」
提督は、グッと拳を握り締め、天龍を睨みつける。
提督「こいつで、きめてやる!」
天龍(こいつで?ということは、またグーを出してくるってことか?
いやでも、また同じグーを出してくるか?さっきから提督の野郎グーばっかだったし…
も、もしかしたら、あれはオレをはめるためのハッタリ!?
また、グーを出すと思わせといてチョキとか?いやいや、裏の裏を読んでパー!?)
龍田「ふふふ、天龍ちゃんたら、必死に考えちゃって~。
さっきの霧島さんみたいに、直感でやっちゃえばいいのに~。
どうせ、考えたって無駄なんだから~」
望月「無駄って…」
天龍(…つまり、提督はオレに語りかけてるってことか、うまい!うますぎる!と…)
長良「あの、天龍ちゃん?大丈夫?」
天龍(…だったらオレは、眼鏡を求めて福岡へ行くしかないのか?)
龍田「も~、しょうがないな~。
望月ちゃん、提督に投げつける用に、ちょうど良い石、ストックしてるよね~?」
望月「うん」
能代「あるんですね…」
龍田「1個ちょうだ~い」
望月「はいよー」
望月から、手のひらサイズのちょうど良い石を受け取った龍田は、
天龍に狙いを定めて、ちょうど良い勢いで投げつけた。
天龍「ったッ!」
頭に、ちょうど良い衝撃が走る天龍。
天龍「ハッ!オレはいったい何を!?」
龍田「思考が、地方CM巡りをしていたのよ~」
望月「は?」
天龍「マジかよ…助かったぜ、龍田!」
天龍は、ちょうど良い石が当たった頭を軽くさすりながら、提督を鋭い目つきで睨み返す。
提督「天龍!抵抗すると無駄死にするだけだって、何で分からないんだ!」
天龍「おう!おうおうおうおうおう!テメェ、オレのことを誰だと思ってやがる!!」
能代「天龍ちゃん、なんか吹っ切れたようですね」
天龍「ブイン基地に悪名轟く第2艦隊(天龍幼稚園)、男(?)の魂背中に背負い、
海から海に泣く人の涙背負って海の始末!世界基準テンリュー、お呼びとあらば即参上!」
望月「天龍ちゃんまで変なこと言い出した!」
天龍「おっしゃあ!なんだか楽しくなってきたな!提督さんよォ!」
提督「何が楽しくて、じゃんけんをやるんだよ!」
望月「ホントにな」
天龍「最初はグー!」
提督「じゃん!」
天龍「けん!」
天龍・提督「ぽん!!!」
提督「遊びでやってるんじゃないんだよぉー!!!」
天龍「オレの拳は!天と地と!明日を貫く拳だぁー!!!」
互いに出し合ったグーがぶつかり合う!
提督「あいこで!」
天龍「しょッ!」
また、二人はグーを出し、今度はお互いの顔に打ち込む!
提督「グアァーいこでぇぇ!」
天龍「うぅぅッしょー!」
またもやグーを出す2人。その次も、そのまた次も!もはや、ただの殴り合い!
天龍「提督!テメェ!パーは出さねえのか!」
提督「煽ったのは、そっちだろ!」
望月「じゃんけんしろよ!」
能代「これ、どっちかがパーを出したところで、終わるんでしょうか?」
球磨「これじゃ、さっきの二の舞クマ。やめて欲しいクマ」
天龍(これだ、やっぱこれだ!オレがやりたかったのは!
じゃんけんでもねぇ!意味のわからねえことを言い合うことでもねぇ!
提督と、ガチの殴り合い!これができるって聞いたから、オレは球磨四天王になったんだ!)
霧島と激しい戦いを繰り広げた提督と殴り合っているこの状況が、天龍の闘志に火をつけた!
天龍「提督!お前!ボコボコにしてやっからなぁ!おい!」
提督「やれるもんなら!やってみろやァ!!」
能代「どうしたんでしょう、天龍ちゃん?随分とテンションが高くなってますが」
龍田「さぁ?ちょっと天龍ちゃんの頭の中、覗いてみる~?」
望月「え?」
天龍は、初めて提督に会ったときのことを思い出していた。
天龍『オレの名は天龍。フフフ、怖いか?』
提督『あぁ、マジでびびったわ』
天龍『なんだよ、情けねえなー』ドヤァ
提督『おっぱいでかくない?本当に軽巡?』
望月『あぁ本当にでかいなー、あぁ本当にでかいなー』
天龍『なんで2回も言うんだよ!』
提督『俺のおっぱいのくだりも突っ込んでくれよ』
天龍『でっかくねえよ!』
提督『でけぇよ』
天龍(思えば、あの時からコイツにはなめられっぱなしだったな…だが!)
龍田「なるほどね~、いつもいじられてるから~、提督に勝って~、
なめんじゃねー的なことを言いたいんだ~」
望月「あー、回想は負けフラグだなぁ」
天龍「今日、オレが勝ったら!二度となめた口を利くんじゃねーぞ!オラァ!」
提督「お前こそ!俺が勝ったら!なんか言うこときいてもらうからなぁ!」
天龍「おうよ!なんでも言うこときいてやるよ!」
提督「ん?今なんでもするって言ったよね?」
天龍のなんでもする発言を聞いた提督は、後ろにジャンプし、少し距離をとった。
そして、両手を背中にまわした。
提督「ならば!対深海棲艦用海軍式格闘術、柔の構え…隠!」
望月「出た!新しいの!」
龍田「あら、天龍ちゃんの負けが確定したわ~」
能代「ま、まだ負けたとは…初雪ちゃん、あれはどんな構えなんです」
初雪「柔の構え:隠は、両手を隠して反撃する構え」
望月「なんか、説明が雑になってきてない?」
長良「二人ともー!じゃんけんしてくださーい!」
柔の構え:隠をした提督に、まっすぐ突っ込んでいく天龍。
天龍「どんな技を出そうが、オレのことは止められねーぜ!覚悟しろよ、提督!」
右手に、ありったけの力をこめる天龍。
天龍「くらえぇぇぇ!!!」
天龍の、怒りのパワーが宿った鋭い一撃が、提督を襲う!
提督「もらったぞ…天龍!」
背中に隠した両手を前に出し、天龍の右ストレートを受け止める!
提督「ぐぁア!」
提督は、両手で天龍の拳を包み、怒りの一撃を受け止める。そして、衝撃で軽く吹き飛ばされた。
望月「今、パー出したんだから、あいつの勝ちでよくね?」
提督「さ、最初はグー…」
天龍(まだ、じゃんけんをする気か…ハッ、勝ったな!
あくまでもこの戦いはじゃんけん!それをオレは忘れちゃいねえ!
パーを出す気なんだろ!次もグーを出すと思ったら大間違いだぜ!)
天龍「じゃん!」
提督「けん!」
天龍「勝ったぜ!ぽん!!!」
天龍は、提督を吹っ飛ばした右手を引き、もう一度、提督の前に突き出した!
提督は、天龍と同じように右手を突き出して、パーを出していた。
天龍「オレはチョキ…勝ったぜ!」
望月「いや、勝ってないよ」
天龍「はぁ?何言ってんだよ、もっちー!よく見ろよ、オレはチョキを出してるぜ!」
提督「いいや…自分の右手を見てみろよ、天龍」
天龍「なにを言って………な、なんだとォォォ!?」
天龍の右手は、グーのままだった。
天龍「ど、どういうことだ…これは?オ、オレはチョキを出してたはずじゃ」
天龍(な、何故だ…確かにオレはチョキを…指に力は入っている…人差し指と中指だ。
オレの右手は、確かにチョキにしようとしている…なのに指が、動いていない!?
いや、動かせない!何かがオレの指を押さえてやがるッ!!)
天龍「何をした…?提督!オレの右手に何をしたァァァ!!!」
提督「目を凝らして、自分の右手をよぉーく見てみな」
天龍「なんだと!………こ、これは!?」
能代「あぁー!天龍ちゃんの右手を、提督のオーラが覆ってる!」
望月「え、まだオーラの設定いきてたの?」
初雪「なるほど、あれで天龍ちゃんの右手をグーのまま固定してたんだ」
提督「悪いな天龍、どうしても勝ちたかったんだ。ここまできたら、球磨と戦いたい」
天龍「ちっ…なんだか納得できねーが、オレの負けだ…くそッ!」
望月「本当に納得できないわ」
龍田「あら~、意外と素直なのね~」
天龍「まあな、最後の最後、右手を出す前に、オーラの存在に気づかなかった自分のミスだからな。
それに…」
提督「ん?」
天龍「正直、拳を交えた時点で、察したよ。今のオレじゃ、まだ勝てないってな」
提督「天龍…」
天龍「おい長良、オレの負けだ」
長良「はーい。じゃあ提督の勝ちでーす!」
隼鷹「すこし分かったような気がする…これがニュータイプの戦い方なんだな」
タ級「負けたのね…まぁいいわ、政治的な手段を含めて、チャンスはいくらでもある」
望月「お前らうるせーよ」
球磨「うぅ、最悪だクマ」
選手控え室
那珂ちゃん「もう一度!ナカライブ!!!」
提督「あぁ~、那珂ちゃんも頑張るね~」
明石「ですねー」
明石の、謎のクレーンによるマッサージを受けながら提督は体を休めていた。天龍に膝枕をしてもらいながら。
天龍「くそぅ…」
提督「なんだよ天龍~、俺が勝ったら何でもするって言ったろ~」
天龍「あぁ、言ったよ。だからこうして、膝枕してやってんだろ。
でもな、顔をこっちに向けんなよ!」
提督「なんでよ?」
天龍「なんでって、お前…それは…その…」
龍田「天龍ちゃんって、見つめ合うと素直にお話できないタイプの娘なんだよ~」
明石「そうなんですか?」
天龍「違ッ、なんか、こう、やなんだよ!」
提督(パンツ見られるのが、恥ずかしいって言えばいいのに)
能代「それにしても、天龍ちゃんの膝枕…どれだけ気持ちいいんでしょう…
提督は、能代の膝枕に飽きてしまったんでしょうか?」
望月「のしろんってさ、どんだけ膝枕に自信があるのさ?」
伊勢「おーい提督。調子はどうだー?」
提督「なんかすげえ興奮してきた」
天龍「も、もう見んなよ!」
伊勢「大丈夫そうだな。あーそれでな、提督、次の球磨との対決なんだけど」
提督「へーこうなってんだぁ…ん、次の対決がどうしたの?」
天龍「何を見たんだよ!」
伊勢「え、何がどうなんてんの?私にも見せてよ」
天龍「くんなよー!」
望月「なにやってんだよお前ら」
能代「それで、伊勢さん。次がどうしたんです?」
伊勢「恥ずかしがらずに見せなよ…ん、ああ次ね。あと1時間待っててほしいってさ」
提督「1時間も?長くね?」
伊勢「球磨のやつがさぁ、プレッシャーに押しつぶされそうなんだよ。
今、なんとか気持ち作ってるから、待っててほしいみたいだよ」
望月「どんだけメンタル弱いんだよ」
天龍「1時間も膝枕なんて、してらんねーぞ。もう終わりだ」
伊勢「だったら次は、天龍ちゃんに明石さんの服着てもらおうぜ」
提督「それいいね。採用」
天龍「しねーよ!」
龍田「なんでもするって言ったんだから、やらないと~」
明石「ということは、私は天龍ちゃんの服を?ちょっと楽しみですね」
提督「そうと決まれば、天龍ちゃん!脱ごう!」
天龍「脱がねーよ!」
最終決戦
長良「じゃあ、メインイベント始めまーす!伊勢さん、どうぞー!」
伊勢「じゃあ早速やるよ!青コーナー!
海軍学校時代、とにかくもう暴れに暴れまわり、茨城の徹甲弾と呼ばれた男!」
ゴゴゴと大きな音を鳴らし会場を振動させながら、コロシアムの地面の一部が自動ドアのように開いた。
伊勢「提督ー!!!」
開かれた地面の下から、腕を組みながらゆっくりとせり上がって来る提督。
と、その他もろもろ。
能代「やめた方がいいんじゃないでしょうか提督、もう体ボロボロですし」
提督「大丈夫、10分ぐらいなら」
望月「いきなりどうした、お前ら」
能代「でも、球磨ちゃんとの戦闘だなんて無理ですよ…」
提督「いざとなれば、体ごとぶつかっていくまで…!」
能代「提督…」
望月「なんかこのやりとり、どっかで聞いたことがあるぞ」
長門「提督、目標はあくまで球磨だ!雑魚には目もくれるな」
望月「球磨ちゃんしかいねぇよ」
提督「長門…」
望月「ていうか、どっから出てきたんだよ」
能代「長門さん!?」
長門「行け!」
提督「っしゃー!」
望月「ていうか、今のいる?」
伊勢「続いて赤コーナー!
可愛い容姿とは裏腹に、近づく敵を素手で殴り落とす、意外と優秀な!球磨ー!」
提督の目の先、壁に背をつけて球磨は座っていた。
望月「あー、あいつらもか」
多摩「膝の具合はどうだにゃ?」
球磨「平気だクマ」
望月「お前、今日なんもしてねーじゃん」
木曾「お、お前は膝の怖さを知らねーだろ。もういいんじゃないか」(棒)
球磨「やるクマ」
長良「あのー、提督さんがー」
木曾「棄権だ、棄権」(棒)
球磨「今行くクマ」
多摩「ちょっと待っててほしいにゃ」
長良「えー」
多摩「球磨…」
球磨「提督が、提督が待ってるクマ」
多摩「もう面倒だから、早く行くにゃ」
球磨「…はい」
木曾「ここで止めるなら、俺は一体なんのために台詞の練習を…」
提督「球磨…来たか」
球磨「フフ、随分と体がボロボロじゃないかクマ。そんな状態で戦えるのかクマ?」ドヤァ
望月「あいつ何なんだよ」
提督「馬鹿にするなよ、球磨!お前に…お前に負けたあの日から、俺の生活は地獄だった。
曙には糞提督と呼ばれ、摩耶にはウザイと言われ、挙句の果てにはこのざまだ」
望月「お前にも責任はあるぞ」
球磨「すべては提督の弱さが原因だクマ。弱さは罪だクマ」
提督「だから俺は、強くなって帰ってきた!
球磨四天王は全員倒したぞ!あとはお前だけだ、球磨!覚悟は出来ているだろうな!」
球磨「フッフッフ…それがどうしたクマ」
提督「何!?」
球磨「球磨四天王を倒したくらいで、いい気になるなと言っているクマ。
あんなやつら、提督に負けた時点でただの屑になったクマ」
提督「貴様!仲間が死んだんだぞ!」
望月「死んでねーよ」
球磨「それがどうしたクマ?負ける奴が悪いクマ」
提督「わかったぞ!俺が、何でこんなにも意地になってお前と戦いたかったのか!
それは、俺の心の中の何かが感じていたからだ!お前が人を死に追いやる悪意の塊だって!」
望月「ていうかなにこれ?」
球磨「何を言っているんだクマ?これもすべて、提督のせいクマよ」
提督「俺のせい?どういうことだ!?」
球磨「さっき球磨は言ったクマ、弱さは罪。今のこの時代、弱者でいることは許されないクマ」
提督「何が言いたい?」
球磨「球磨は弱い提督が嫌いだったクマ。みんなと仲良く過ごして、的確な指示を出して勝利に導く。
指揮官としては認めていたクマ。でも、肉体的な強さはどうだクマ?
球磨はどうしても気になっていたクマ。自分より弱い人間が、自分の上に立っていることが」
能代「球磨ちゃん…」
球磨「でも、球磨は提督のことが好きになりたかったクマ。みんなと一緒に、仲良く過ごしたいクマ。
だから、球磨は強くなって欲しかったクマ、提督に…」
提督「球磨…お前…」
球磨「それなのに、提督は球磨の気持ちに気づいてくれず、弱いままだクマ。それが許せなかったクマ。
球磨は提督に強くなって欲しかったクマ」
提督「だったら、言えばよかっただろ。俺に強くなって欲しいと、そうすればこんな…」
球磨「本当に、球磨が頼んだら、体を鍛えてくれたかクマ?どうせ、ちょっと鍛えて終わりだクマ。
それじゃ、駄目なんだクマ。球磨よりも強く、今みたいな提督になってもうら必要があったクマ。
そうすれば、球磨も素直になれるクマ。球磨は、今の提督は好きクマよ」
提督「球磨、お前はそんなことのために俺に喧嘩を売ったのか?
そんなことのために、俺と球磨四天王と戦わせたのか?」
球磨「そうだクマ、球磨のために強くなってくれて、球磨はとてもうれしいクマよ」
提督「球磨…」
球磨「さあ提督、無駄話もここまでだクマ。始めるクマよ、最後の決闘を!
球磨に見せるクマ!強くなった提督を!」
提督「わかっているのか球磨!この戦いで、お前は死ぬんだぞ!」
望月「死なないと思う」
提督「お前は、それでいいのか!?」
球磨「それでいいクマ、提督が球磨より強いことがわかれば、それで!」
提督「球磨…お前の気持ちに気づかなかった、それがお前をこうさせたのかもしれない。
俺のせいだ…だがしかし!だからって、仲間を利用するなんて愚の骨頂!
覚悟しろよ球磨!俺はお前を、敵として殲滅する!」
伊勢「おー、なんだか盛り上がってきたなー!」
多摩「ちなみに…」
望月「ん?」
多摩「ちなみに、さっき球磨が話してたことは全部嘘だにゃ。
それっぽいことを言って、自分のテンションを上げてるだけだにゃ」
望月「は?」
多摩「提督は優しいから、球磨の茶番に付き合ってくれたにゃ」
望月「あのさぁ…じゃあ、球磨ちゃんがあいつに喧嘩売った本当の理由は?」
多摩「ただ提督をなめてただけにゃ、球磨ずっと言ってたにゃ。
『どうしてこうなったクマ』って」
望月「ちっ」
多摩の話を聞いた望月は、軽い舌打ちをしながらストックしていたちょうどいい石を両手に持った。
能代「ちょ、望月ちゃん?それをどうするんです?」
望月「もう付き合ってらんない、これで2人を撃滅する…!」
伊勢「ちょっ待てよ!せっかく球磨のやつがプレッシャーを跳ね除けてやる気を出したんだから!
それにこれが最後だし、ね?ね?」
望月「今すぐ帰りたいんだけど…まあ、伊勢やんがそう言うなら…3分間だけ待つ」
能代「3分過ぎたら?」
望月「2人を沈める」
能代「ですって2人ともー!3分以内に決着付けないとー!死んじゃいますよー!」
提督「マジでー!?」
球磨「もうだめクマぁ…おしまいクマぁ…」
望月「いいからさっさとやれ!バカー!!!」
伊勢「いきなりどうしたんだ、望月のやつ」
能代「提督がいなかった一週間の間にたまったストレスが、また爆発したみたいですね」
球磨「こ、こんなところ死ぬなんて嫌だクマ!提督、覚悟するクマ!」
提督「むッ!その構えは、神球磨嵐!」
球磨「とっとと落ちるクマ!」
球磨のアホ毛から、神球磨嵐が放たれる!
提督「無駄話している間に準備していたのか、球磨!しかし、同じ技が通じると思うなよッ!」
提督は、両手を大きく開き、前に突き出した。
初雪「あれは!」
能代「対深海棲艦用海軍式格闘術のなんなんですか?」
初雪「柔の構え:流を両手でやってるんだよ!あれなら…!」
神球磨嵐の直撃を受ける提督!
提督「ぐぅ…!」
球磨「ふっふーん、たいしたことないクマね」
神球磨嵐の猛烈な勢いで砂埃が舞い上がり、提督の姿を隠していた。
球磨「今回の神球磨嵐は、威力がこの前の倍クマ。直撃を受けて、立っていられるはずが無いクマ」
伊勢「良い具合に、フラグが立ったな」
能代「フラグ?」
提督「言ったはずだぞ球磨!俺に、同じ技は通じないと!たとえ、威力が上がっていようともなッ!」
砂埃の中に、うっすらと提督の姿が現れる。
神球磨嵐の直撃を受けた時のままの状態で立っていた。
提督「元はといえば、お前を倒すために!俺は、対深海棲艦用海軍式格闘術を会得したんだ!
その俺が、神球磨嵐の対策を何もしてないはずが無いだろうが!」
球磨「そ、そんな…」
フンッと声を出し、気合を入れる提督。その瞬間、提督の周りを覆っていた砂が吹き飛ばされる。
初雪「すごい、司令官は柔の構え:流を完璧に極めていたんだ!
だから、球磨ちゃんの神球磨嵐、アホ毛の回転力でできた真空衝撃波を受け流すことができたんだ!
すごい、高ぶる…!」
能代「初雪ちゃんがすごいって2回言った…相当すごいってことですね」
望月「今更だけど、対深海棲艦用海軍式格闘術って、一週間でマスターできるんだ…」
提督「次は俺の番だ、行くぞ!対深海棲艦用海軍式格闘術…剛の構え:拳」
初雪「ご、剛の構え!?ここに来て!柔の構えしかしてこなかった司令官が!剛の構え!興奮する!」
望月「ちょっと落ち着きなよ、大丈夫か?」
初雪「剛の構え:拳は、剛の構えの中でも最初に習うの基本の構え!
名前通り、拳での一撃に重きを置いた攻めのスタイルで、そこから斬や破に発展することが多い!」
望月「聞いてもいないのに、説明し始めた!」
初雪「それなのに、あえて司令官は拳を使うなんて!渋い!渋すぎるよ!」
望月「何がどう渋いんだよ!ていうか、今更だけど初雪ちゃんのその知識なんなの!?」
提督は、ゆっくりと拳を握ったまま右手を天に向けて突き上げる。
すると、空、いや宇宙(そら)から青い光が一筋、提督の右拳に集束する!
伊勢「なんだか分からないけど、これは何かすごいんじゃないか!?」
能代「初雪ちゃん!あれは!?あれは何なんです!?」
初雪「あう…あー…あの………なにあれ?しらない…」
望月「知らねーのかよ!!!」
球磨「何の光ぃ!?」
提督「この光は、太陽の光を受けて反射した月の光を軌道衛星なでしこが反射した太陽の光だ!」
望月「直接太陽の光を受けろよ!」
提督「行くぞ、球磨!」
球磨「くッ、こうなったら提督の一撃を受け止めて、反撃するクマ!」
提督「ルール53、頭を潰されたものは…失格とみなす…」
望月「どんだけルールあるんだよ!」
球磨「あ、頭…!?」
球磨はとっさに、手で頭を守ろうとした。
提督「くらえ!はぁぁぁ!!!」
提督は、球磨に向けて右手を突き出す!すると、右手の青い光が球磨に向けて撃ち出された!
球磨「ク、クマー!!!」
勢いとは逆に、提督から放たれた青い光は、球磨を優しく包み込んだ。
球磨「光が…これは一体?何だクマ?あ、温かい…」
提督「だろ?」
球磨「提督」
提督「太陽の光だからな、温かいんだよ。気持ちいいだろ?」
球磨「ここは?光の中?」
球磨は、自分の周りがさっきまでいたコロシアムではなく、青い光の中だと気づいた。
提督「そうだ、俺がお前に撃った光だよ」
球磨「なんでこんな?提督、浮いてるクマ?どうなってる球磨?」
提督「ちょっとジャンプしてみなよ」
球磨「ん」
足にちょっぴり力を入れてジャンプしてみた球磨。すると、球磨の体は目の前の提督のようにふわっと浮いた。
球磨「これは、不思議な感覚クマ。すごい光クマ」
提督「実はな、これは太陽の光だけじゃないんだよ。人の光…ここにいるみんなの光」
球磨「みんなの、光」
提督「そう、心の光だ。ふふっ、実はな球磨、お前の本心、実は察してたんだよ」
球磨「クマ?」
提督「球磨、お前が素直になれないって悩んでたの、多摩から聞いてたんだ。
それに、あの日のお前の態度、素直になれない感がめっちゃ伝わったよ」
球磨「そんな…」
提督「そこで俺は、考えたわけだ。どうすれば、球磨が素直になれるか」
能代「それが、今回の決闘なのよ、球磨ちゃん」
球磨「のしろん」
望月「まぁ、悔しいからやり返したいって気持ちもあったみたいだけどな、こいつ」
提督「言うなよもっちー」
伊勢「ま、サプライズパーティってやつ?楽しかったでしょ?」
球磨「もっちー、伊勢やん。みんな知ってたのかクマ?」
エンタープライズ「球磨四天王のみんな、いえ、ブイン基地のみんなに現地の人。みんな知ってたわ」
球磨「お前、誰クマ?」
提督「ちなみに、修行に行ってた一週間は、この技を習得するためなんだ」
球磨「この技を?なんで?」
提督「この光の温かさと、体を引っ張っていた重力がなくなって感じる、体と魂の開放感。
それが、球磨を素直にさせるんじゃないかと思ったんだ。
球磨、言いたいことがあったら言ってくれ。さっきの茶番みたいな、思いつきの言葉じゃなく。
球磨の、本当の言葉を、俺に聞かせてくれ」
球磨「恥ずかしいクマ…」
多摩「球磨、なにも怖がることはないにゃ」
木曾「何を言ってもいいんだぞ」
北上「ほらほら、提督が待ってるよー」
大井「私は、北上さんを待ってるわ」
望月「ぶれねえな」
球磨「みんな…」
三隈「球磨ちゃん、提督が待っていますよ」
阿武隈「がんばってね、球磨ちゃん」
熊野「提督に緊張することなんて、ありませんわ」
フル・フロンタル「それに、何か間違ったことを言ってしまったとしても、
その過ちを気に病むことはない。ただ認めて次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」
球磨「ちょくちょく、知らないのが出てくるクマ」
提督「さあ球磨、なんでもいい、言いたいことを、俺に言ってくれ」
球磨「提督…あの、提督!…この前は、生意気なこと言ってごめんクマ。神球磨嵐も、ごめんクマ。
それと…肩、揉んでくれて…ありがとう。今度また、秘書艦を担当することになったら、
お仕事手伝うクマ。終わったら、少しだけ、頭モフモフしてもいいクマよ」
提督「球磨、俺もごめんな」
球磨「ん、あと、それと…」
提督「どうした?」
球磨「提督のこと、ほんのちょっとだけど、好きになれたクマ」
提督「球磨…俺も、球磨のこと好きだぞ!」
能代「能代も、好きです!」
多摩「多摩も好きだにゃ」
木曾「もちろん、俺も好きだぜ」
望月「あたしもー」
長良「私も好きでーす!」
伊勢「私も好きだ!」
球磨「みんなぁ」
白露「私が、一番好き」
霧島「私も、球磨ちゃんのこと、好きですよ」
天龍「好きだぜ、球磨!」
タ級「嫌いじゃないわ」
球磨「四天王のみんな、ひどいこと言ってごめんクマ」
長門「私も、球磨が好きだ」
明石「私も、球磨ちゃんのこと大好きです」
初雪「好き…」
港湾棲姫「スキ…」
那珂ちゃん「那珂ちゃんも、大好きだよー!」
マクロス「好きだぞ、球磨、好きだ」
マヤ「カーニバルダヨッ!」
球磨「球磨も、球磨もみんなことが、好きだクマー!」
提督に、ありがとう
艦娘に、ありがとう
深海棲艦に、ありがとう
そして、すべての子供たちに、おめでとう
………
……
…
提督「さ、次は…曙ちゃん、おいでー」
曙「はぁぁぁ!?いきなり何言ってんのよ、このクソ提督!終わったんじゃないの!?」
能代「あら、こんなところにも素直になれない娘が」
伊勢「これはもう、素直にさせるしかないな」
長良「さあ、曙ちゃんも、提督に言いたいこと言おう」
曙「別に!言いたいことなんて、何もないし!」
漣「そんなこと言わずに、ほら、ご主人様が待ってるよ」
朧「曙、素直になろう」
潮「曙ちゃん、私たちがついてるよ」
曙「な、ちょっと…も、もう!わかったわよ!
クソ提督、あたし、別にあんたのこと…き、嫌いじゃないわ」
霧島「違うでしょう、曙ちゃん」
曙「え、じゃあ…クソ提督、えーと、その、気に入ってるわ」
長良「そうじゃないよね、曙ちゃん」
曙「えー!?じゃ、じゃあ!良いやつだと思ってるわ、クソ提督!」
金剛「NO」
曙「なんでよ!それじゃあ、悪くないわね、クソ提督!」
アルバコア「NO」
曙「クソだとは思ってないわ、クソ提督!」
ビスマルク「NO」
望月「そこは、ドイツ語で言えよ」
フル・フロンタル「恐れているのかな、何か間違ったことを言ってしまうかもしれないと、
しかし、その過ちを気に病むことはない。ただ認めて次の糧にすればいい。それが、大人の特権だ」
曙「誰よ、あんた」
龍田「さぁ、曙ちゃん、最後のチャンスよ~」
曙「最後!?」
提督「言っちゃいなよ、曙ちゃん、俺に言いたいこと言っちゃいなよ」
曙「んー、もう!…す…す、好き…提督…」
提督「え?なんだって?」
曙「あーもー!私も提督が好き!」
提督「ああ、俺も好きだぞ!曙!」
能代「能代も好きですよ、曙ちゃん」
伊勢「私も好きだ、曙ー!」
マヤ「カーニバルダヨ!」
………
……
…
金剛「私も、ボノちゃんのこと、好きデース」
曙「ワタシモ、ミンナノコトガ、スキダヨー」
提督に、ありがとう
艦娘に、ありがとう
深海棲艦に、ありがとう
そして、すべての子供たちに、おめでとう
提督「よっしゃ、次は、摩耶ちょん、おいでー」
摩耶「はぁぁぁ!?」
能代「ていうことが、矢矧ちゃんが来る前にあったんですよ。楽しかったなぁ、秘書艦の仕事」
矢矧「え、秘書艦の仕事…なのか?」
能代「うん、そうだよ」
矢矧「結局、遊んでただけじゃ…それに深海棲艦と仲良くしてるし…どういうこと」
能代「どうもこうも、みんな仲良しだなんて、いいことじゃないですか!」
矢矧「いや、それはそうだけど…なんて言えばいいか…最後のあたり洗脳してないか?」
伊勢「ほう、こんなところに、素直になれない艦娘が」
提督「これはもう、やらざるをえないな、アレを…」
矢矧「!? 2人とも、いつの間に?それに、アレってなんだ?
提督、なんで右手を上げているんだ?あれ?提督の右手に光が…まさか!?」
能代「矢矧ちゃん…矢矧ちゃんも、素直になろう、か」
矢矧「能代、なぜ抱きつく、離れてくれないか、能代」
能代「さぁ、矢矧ちゃんも、我らがブイン教団の一員になりましょう」
矢矧「ブイン教団!?何を言って…な、なんだ光が!?や、やめろー!」
陸奥「やだ、なんなのこのオチ、球磨ちゃんと仲良くして終わりで良かったんじゃない?」
長門「確かにな。それでだ、陸奥、なにかいい感じに落としてくれないか?」
陸奥「は?」
長門「あんな、サイコな感じでなく、もっとこう、いい感じのオチを」
陸奥「何を言ってるの?私、今回の話、一切絡んでないんだけど」
長門「そんなこと言わずに、なんかこう…ムズムズしないか?」
陸奥「ムズムズ?別にしてないけど…あら?」
ボァガァァァン!!!
提督「落ちたな」
長門「ああ」
望月「落ちてねーよ」
終わり
終わりました。
呼んでいただけた方がいらしたら、ありがとうございます。
ありがとうございます
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