綾乃「何でも願いが叶う力?」(145)
~朝~
綾乃「……」ムクリ
綾乃「んー…!ふぁぁぁっ」ノビー
綾乃「ふー、何か変な夢見た気がするなあ…」
綾乃「天使が出てきて、私に特殊能力をプレゼントとか」
綾乃「そんな夢見て、子供か私は///」
綾乃「……」
綾乃「念のために…」
綾乃「プリン出ろ」
プリン「……」
綾乃「出た!?」
綾乃「え、嘘、本当に?」
綾乃「もしかして…誰かの悪戯?」
綾乃「そ、そうよ、もしかしたら悪戯なのかも…」
綾乃(今度は、ちょっと用意するのが難しいようなものを…)
綾乃「歳納京子が今履いてるパンツ出ろ」
パンツ「……」ホカホカ
綾乃「出た!?」
綾乃(……これは、まだ温かい…)サワサワ
綾乃(冷たいパンツなら用意できるだろうけど)スリスリ
綾乃(温かいパンツは不可能…)クンクン
綾乃(これは、もしかして本物…?)
綾乃(こ、この能力を使えば…!)
~学校~
~2-5教室~
京子「おはよう、綾乃~」
綾乃「お、おはよう、歳納京子」
綾乃(よ、よし、今がチャンス…!)
綾乃(歳納京子の気持ちを私にくぎ付けに…!)
京子「いやあ、参っちゃったよ、今日、どうもパンツ履いてくるの忘れたらしくてさ///」
京子「ちょっと、今から体操服の下だけ履いてくる///」
綾乃「歳納京子のスカート捲れろ今すぐ捲れろ」ボソッ
京子「え、うわ///」ヒラッ
京子「な、なんで!?風も無いのにスカートが///」
綾乃「……」
綾乃「////」プシュー
京子「あ、綾乃、あの、見た?///」
綾乃「////」ブンブンブン
京子「ほ、ほんと?良かった///」
結衣「……」ドバドバ
千歳「……」ドバドバ
綾乃(こ、これで確信した…この能力、本物だわ…)
綾乃(これを使えば、歳納京子の気持ちは、私の物///)
綾乃「……」
綾乃(けど、いいのかしら、そんな…)
綾乃(歳納京子の意思を無視するような事をして…)
綾乃(やっぱり、駄目よね、そんな事…)
綾乃(よし、他人の意思を操る類のお願いは、しないでおこう…)
京子「あー、恥ずかしかった///」
結衣「恥ずかしいのはこっちだよ、パンツ忘れるなんて…」
結衣「まるで子供みたいだぞ?実際、あそこも子供みたいだったし」
京子「おかしいなあ、朝ちゃんと履いてたはずなんだけど…」
綾乃(ごめんなさい、歳納京子…貴女のパンツは私のポケットの中だわ)
京子「あ、しまった…今日、宿題あるんだった!」
京子「う、うう…結衣、結衣助けて!」
結衣「駄目、ちゃんと自分でしなよ」
京子「そ、そんな事言わずに、ね?」
綾乃「……」
綾乃「私、歳納京子に宿題見せなさい」ボソッ
綾乃「はい、歳納京子、宿題」スッ
京子「え!?」
結衣「綾乃!?」
綾乃「見せてあげるわ、宿題、困ってるんでしょ?」
京子「あ、綾乃、ありがとう!嬉しい!」ニコ
綾乃「は、早く写しなさいよ///」
~生徒会室~
綾乃「やってやったわ!とうとう、歳納京子に宿題みせてやったったわ!」ピョン
千歳「綾乃ちゃん、よう頑張ったなあ」ニコ
綾乃「千歳!ありがとう!」
綾乃「ずっと、歳納京子に宿題見せてあげたいって思ってた、その願いが今…!」
綾乃「かなった…」ウルッ
綾乃「う、うう、こんなに幸せでいいのかしら…私…」ゴシゴシ
千歳「綾乃ちゃん…」
綾乃「ご、ごめんなさい、千歳、ちょっと我を忘れちゃって…」
千歳「気にせんでええよ、綾乃ちゃんが嬉しがる気持ち、判るし」ニコ
綾乃「千歳、本当にありがとう…」
綾乃「さ、さて、そろそろ仕事しないとね…」
綾乃「プリントチェック~♪」
綾乃「あ」
千歳「ん?また歳納さん、プリント忘れてるん?」
綾乃「いや……ちゃんと提出してる…」ガク
千歳「あらら、それは残念やったね…」
綾乃(いや、待てよ、私の能力を使えば…)
綾乃「歳納京子のプリント、歳納京子の元に戻れ」ボソッ
プリント「……」フッ
綾乃「プリントが…消えた…」
~娯楽部~
綾乃「歳納京子!貴女、またプリント出し忘れてるわね!」
千歳「お邪魔しますなぁ」
京子「え、出したよちゃんと」
綾乃「そんなのは気のせいよ!ちゃんと鞄の中を確認してみなさい!」
京子「え、えええー…そんな断言されるの初めてだよ…」ゴソゴソ
京子「あれ!?プリント入ってる!?」
綾乃「ね?言った通りでしょ?」
京子「うう、ごめん、綾乃、出したと思ってたけど勘違いだったみたい…」
綾乃(う、反省してる歳納京子可愛い///だ、だめ、また照れ隠しが出ちゃう///)
綾乃「私、1分間だけ素直になれ」ボソッ
京子「え?」
綾乃「いいのよ、歳納京子…私、全然気にしてないから」
綾乃「寧ろ、プリントを何時も忘れてくれる歳納京子には感謝してるの」
綾乃「だって、そのお陰で歳納京子に会いに来れるんだもん…」
京子「え、あ、綾乃///」
綾乃「歳納京子、プリント、また忘れてもいいわよ」
綾乃「何時でも取りに来てあげるから」
京子「/////」
綾乃「じゃあ、名残惜しいけどそろそろ…」
綾乃「そろそろか帰るわ!こんな事が無いよう、今後は注意してよね!」
京子「え…」
~生徒会室~
綾乃(うあああ、何やってるの私…)ゴロンゴロン
綾乃(あれじゃあ頭がおかしい人じゃない…!)ゴロンゴロン
綾乃(け、けどずっと素直でいるなんてお願いしたら怖いし…)ムクリ
綾乃(ふう……転がりまわったら安心した…)
千歳「あ、綾乃ちゃん…」ホロリ
まじですか
千歳「うーん、どうしよ、書類が1式無くなってもうてるわ…」
綾乃「あら、それは困ったわね、ちょっと一緒に探してあげるわ」
千歳「ありがとうな、綾乃ちゃん」
綾乃(まあ、こんなの願いをすれば簡単だけどね…)
綾乃「書類出てこい」ボソッ
書類「……」
綾乃「出た」
綾乃「はい、千歳、この書類でしょ?」
千歳「あら、何処にあったん?」
綾乃「そこの棚の中にあったわ」
千歳「あれ、そこさっき探したと思うたんやけど…」
綾乃「よ、よくある話よ!」
千歳「せやね、綾乃ちゃん、ありがとうな」
~校舎玄関~
綾乃(さて、そろそろ娯楽部が終わる時間帯よね…)
綾乃(ここは、少し大胆なお願いをしてみよう…)
綾乃「と、歳納京子と私が、偶然緒に帰る事になりなさい」ボソッ
京子「あれ、綾乃じゃん」
綾乃「と、歳納京子///」
京子「今帰り?って…雨降ってる」
綾乃「あ、本当ね…」
京子「参ったなあ…傘持ってきてないや…」
綾乃「わ、私は傘持ってるわ…」
京子「ほんと!?入れて入れて!」
綾乃「も、もう、仕方ないわね///」
京子「ありがとう!綾乃!」ダキッ
綾乃「ちょ、どうして抱きついてくるの///」
京子「え、だってひっつかないと二人とも濡れちゃうよ?」
綾乃「そ、それなら、仕方ないわね///」
綾乃「も、も、も」
京子「桃?」
綾乃「違う///もっと、ひっついても、別に構わないわよ///」
京子「任せろ~♪」ギュム
綾乃「////////」
綾乃(凄い、凄いわ、この能力…)
綾乃(みるみるうちに歳納京子との距離が縮まって行く…)
綾乃(ちょ、ちょっと怖いわね、これ)
京子「綾乃、どうしたの?不安そうな顔して」ダキー
綾乃「な。なんでもないわよ///」
綾乃(いいか…難しい事は後で考えよう)
綾乃(今は、二人の時間を楽しもう///)
~1週間後~
~生徒会室~
綾乃「ふ、ふへへ」ポー
千歳「綾乃ちゃん、大丈夫?」
綾乃「あ、ご、ごめんなさい…ちょっと昨日の事、思い出してて」
千歳「昨日は大変やったねえ、歳納さんと綾乃ちゃん体育倉庫に閉じ込められて…」
千歳「挙句に、障害物競走用の網に二人とも絡まって…お、思い出しただけで…」ポタポタ
綾乃「千歳、鼻血、出てる」スッ
千歳「ありがとうな…あれ、綾乃ちゃん、ティッシュ箱なんか持ってた?」
綾乃「……ええ、持ってたわ」
千歳「そか、最近の綾乃ちゃん、用意周到やね」
綾乃「ふふ、ありがとう」
京子「綾乃~娯楽部行こうよ」ガラッ
綾乃「え、歳納京子、な、なんで私が娯楽部に///」
京子「もう、忘れたの?ほら、結衣が作ってくれたお菓子を皆で食べようって話してたじゃん」
綾乃「あ、そうだったわね///」
綾乃「あ、あの、迎えに来てくれて…ありがとう///」
京子「え、あ、うん、どういたしまして///」
京子「あ、あの、綾乃と一緒にいると、その、楽しいしね///」
綾乃「歳納京子///」
千歳「ええなあ…」ドバドバ
千歳「うちは、書類整理しとくさかい、綾乃ちゃん楽しんできてな?」ツメツメ
綾乃「千歳、ありがと!」
≪今思えば、それが予兆だった≫
~娯楽部~
京子「みんな~綾乃連れてきたよ!」
結衣「いらっしゃい、綾乃」
ちなつ「杉浦先輩こんにちわ!」
あかり「こんにちわです!杉浦先輩!」
綾乃「あ、ありがとう、船見さん、吉川さん、えっと…」
綾乃「鷲巣さん?」
あかり「赤座だよ!?」
綾乃「あ、ごめんなさい///」
結衣「さ、沢山あるから、一杯食べてね」
京子「いっただきー!」
綾乃「ちょ、歳納京子、取り過ぎよ!」
ちなつ「そうですよ、京子先輩、一人占めは駄目です!」
あかり「結衣ちゃんのお菓子、美味しい~♪」
キャッキャウフフ
京子「そろそろ帰ろうか?」
結衣「うん、そうだな、お菓子も無くなったし」
綾乃「あ、じゃあ、私も生徒会室に戻るわ」
京子「あれ、綾乃、まだ仕事終わってなかったの?」
綾乃「ええ、今日中に終わらせないといけない仕事があったはずよ」
京子「そっか…ごめんね、忙しいって知らなかったから…」
綾乃「……1分間素直化」ボソッ
綾乃「そんな心配そうな顔しないで、歳納京子」
綾乃「誘ってくれて、凄く嬉しかったんだから…」
京子「あ、あやの///」
綾乃「またの機会があったら、絶対に誘って?」
綾乃「私、歳納京子との時間を大切にしたいと思ってるの」
京子「もう、最近の綾乃、そんな事ばっかり///」
綾乃「だって、本心だもの…あ、そろそろ行くわね」
綾乃「……」
京子「綾乃?」
綾乃「あ、なんでもないわ、じゃ、行くわね///」
京子「うん、綾乃、無理しないでね?」
綾乃「む、無理なんてしないわよ///」
綾乃「じゃあ、また明日///」タッタッタッ
綾乃(よし、最近は慣れてきて1分間で言いたい事言えるようになって来た…)
綾乃(本当に、役に立つ能力だわ…)
~生徒会室~
綾乃「ただいま」
千歳「あれ、綾乃ちゃん、どうしたん?」
綾乃「娯楽部の用事が終わったら、帰ってきたの」
綾乃「確か、今日中に終わらせないといけない仕事、あったわよね?」
千歳「え、それ、昨日、綾乃ちゃんやってたよ?」
綾乃「あ、あれ、そうだったっけ」
千歳「ほら、報告書も、綾乃ちゃんの名前書いてあるし」
綾乃(そうだった…かしら、ちょっと記憶が曖昧なのよね…)
千歳「綾乃ちゃん?」
綾乃「あ、大丈夫、ちょっと勘違いしちゃってた///」
千歳「そう?」
千歳「うちも、もう帰る所やし、綾乃ちゃん、今から歳納さん追いかけて一緒に帰ったらどう?」
綾乃「そ、そうね、お言葉に甘えさせてもらうわ///」
~校舎玄関~
綾乃「歳納京子、もう帰っちゃったかしら…」
綾乃「うう、しまったな、生徒会の用事がないって判ってたらあのまま一緒に帰ったのに…」
綾乃「あ、そうだ、こんな時こそ…」
綾乃(初めての願いだから、ちょっと慎重に…)
綾乃「身体に異常が起こらないよう移動先に障害物がある場合はそれを避けて
歳納京子の近くまで瞬間移動させて」ボソッ
綾乃「……」スッ
京子「あれ、綾乃、何時の間に?」
綾乃「あ、歳納京子…あの、生徒会の用事終わったから、追いかけてきたのよ」
綾乃(ここは…アイス屋さんの前か…)
綾乃(良く考えると船見さんの部屋とかに出てたら言い訳できないわよね…)
綾乃(気をつけないと…)
京子「ナイスタイミング、綾乃!」
京子「今丁度、アイスの当たりが出たから、もう1個貰えたんだ!」
綾乃「そ、そうなの、おめでとう、歳納京子///」
京子「はい、一個あげるね!」
綾乃「え、い、いいの?」
京子「うん、そこの公園で食べよ?」
綾乃「う、うん、歳納京子がどうしてもって言うなら///」
~公園~
京子「アイスうめー♪」
綾乃「そうね、美味しい///」
京子「そういえばさ、綾乃ってアイスとプリン、どっちが好き?」
綾乃「プリンと、アイス?」
京子「やっぱり、プリンかな?」
綾乃「いや、別に好きじゃないわよ、プリン」
京子「え……?」
綾乃「このアイスは美味しいから、どっちかって言うと、アイスの方が好きかしら///」
京子「ええ、綾乃飽きっぽいなあ、あんなに毎日プリン持ってきてたのに」
綾乃「え……?」
綾乃(私、プリンなんて持ってきてたかしら…)
綾乃(歳納京子の勘違い…?)
京子「ん、美味しかった♪」
綾乃「と、歳納京子、ごちそうさま///」
京子「どういたしまして!」
京子「綾乃、これから暇なんでしょ?」
綾乃「え、ええ、もう帰ろうと思ってたし、暇だわ」
京子「じゃ、じゃあさ、ちょっと、買い物に行かない?」
綾乃「買い物?」
京子「う、うん、ちょっと、綾乃に付き合ってほしい買い物があるんだ///」
綾乃(う、歳納京子…可愛い///ここは素直にならないと///)
綾乃「……1分間素直化」ボソッ
綾乃「ええ、勿論、一緒に行くわ、歳納京子」
綾乃「そういえば、二人っきりで街に行くのってはじめてよね…」
綾乃「デートみたいで、すごく楽しみ」
京子「う、うう///もう、綾乃、そんな言い方されると恥ずかしいって///」
綾乃「そうやって照れる歳納京子って、本当に可愛いわよね」クスッ
綾乃「さ、連れて行って、歳納京子」スッ
京子(あ、手を///)
京子(うう、凄くドキドキする///)
綾乃(あわわわ、私、歳納京子と手を繋いでる///)
京子(ど、どうしよう、手、汗出て来ちゃった///)
綾乃(歳納京子の体温が感じられて、私、私///)
京子「あ、こ、ここだよ///」
綾乃「え、あ、アクセサリー屋さん?///」
京子「う、うん、あのね、ここで凄く可愛いアクセサリーがあって…」
京子「あ、これこれ」
京子「これが欲しくて、今日、買いに来たの」
京子「売り切れてるんじゃないかって思ったけど、残ってて良かった~」
綾乃(喜んでる歳納京子、可愛いなあ…)
京子「すみません、店員さん、これくださーい!」
綾乃「良かったわね、歳納京子」
京子「うん!」ニコ
綾乃(ああ、もう、本当に…抱きしめたい…)
綾乃(け、けど、私は歳納京子にとって、友達だろうし…)
綾乃(抱きしめたりなんかしたら、嫌われるわよね…)
京子「綾乃?」
綾乃「え、は、はい!」ビクッ
綾乃(ひょっとして抱きしめようとしてた事、バレた!?)
京子「私の買い物終わったし、綾乃はどうする?何か買っていく?」
綾乃「い、いえ…私はいいわ」
綾乃(び、びっくりした…)
京子「~♪」
綾乃「歳納京子、ご機嫌ね」クスッ
京子「うん!最近、ずっと楽しい事が続いてるからね!」
京子「そのほとんどが、あの、綾乃のおかげなんだけど///」
綾乃「え、そ、そんな///」
京子「だって、本当だよ、昨日も、一昨日も、その前も」
京子「ずっと綾乃とドキドキする事に遭遇してたし…」
京子「何か、運命を感じられるんだよね///」
綾乃「も、もう、また、からかうつもりね、歳納京子///」
京子「……」
京子「綾乃…」ガシッ
綾乃「……!」
綾乃(え、肩を掴まれた…)
京子「あ、あの、冗談とかじゃなくて…」
京子「私、あの、綾乃の事…」
京子「好きなの///」
綾乃「え…」
京子「ごめん、本当は、明日言おうと思ってたんだけど///」
京子「今日、また会っちゃったし、もう、我慢できなくて///」
京子「ご、ごめん、迷惑だよね…」
京子「判ってる、判ってて聞いた、私が卑怯なんだ…」
京子「ごめん……」
綾乃「と、歳納京子…」
綾乃(早く答えてあげないと…こ、ここは能力で素直に…)
綾乃「……」
綾乃(だ、駄目よ、歳納京子は)
綾乃(願いが叶う能力なんて無いのに私に告白してくれたんだから…)
綾乃(それに、能力を使って返事をするのは…卑怯だわ…)
京子「……」
綾乃「と、歳納京子!」
京子「は、はい!」
綾乃「わ、わたしも、歳納京子の事が…好き///」
綾乃「歳納京子に言われたからとかじゃなくて」
綾乃「ずっと前から、好きだったの」
綾乃「1年のころ、会った時から…ずっと」
京子「あ、あやの///」
綾乃「私、ずっと言えなかった…」
綾乃「もしかしたら、ずっと言えないままで終わってたかも…」
綾乃「だから、あの、歳納京子、ありがとう///」
綾乃「返事をする勇気を分けてくれて、ありがと///」
京子「綾乃…あやのお!」ダキッ
綾乃「と、歳納京子、も、もう…いきなりなんだから…」ダキ
京子「だって、私、嬉しくて///」グスン
京子「想いが伝わるって、こんなに嬉しいんだね///」
綾乃「もう、歳納京子、泣かないで?」スッ
綾乃「私も、私も嬉しいから…」
綾乃「好き、歳納京子、本当に大好き…」
京子「私も、好きだよ、愛してる、綾乃…」
チュッ
京子「え、えへへ///」
綾乃「///」
京子「あ、それと、綾乃、これ、あげる!」
綾乃「え、これは…さっきのアクセサリー?」
京子「うん、ハート型のアクセサリがついたネクレスなんだけど…」
京子「ほら、ハートが二つに割れるんだ」
京子「これ、片方、綾乃に持っていてほしいなって///」
綾乃「え、わ、わたしに!?」
京子「もう、他の誰にこんなのプレゼントするの///」
綾乃「あ、ありかどう///」
綾乃「ありがとう…本当に、歳納京子…ありがとうね…」ダキッ
綾乃「大切にするわ…」ギューッ
京子「綾乃…」ギュ
京子「家、着いちゃった…」
綾乃「う、うん…」
京子「じゃ、綾乃、また明日、学校でね?」
綾乃「あ、あの、歳納京子…」
京子「?」
綾乃「あの、明日から、朝…迎えに来ちゃ、駄目かしら…」
京子「え、迎えにって…綾乃の家って、遠いよね?」
京子「そんな、朝から無理させられないよ」
綾乃「その辺は大丈夫、無理なんてしないから、ね?お願い…」
京子「ほんと?無理しない?」
綾乃「うん、大丈夫」
京子「そ、そっか…明日から、綾乃が迎えに来てくれるのか…」
京子「も、もう、どうしよう、こんなに幸せでいいのかな私///」
綾乃「私も、幸せ…朝から歳納京子の顔が見れるんですもの///」
京子「もう、綾乃恥ずかしいよ///」
綾乃「と、歳納京子こそ、恥ずかしい事言ってるわよ///」
キャッキャウフフ
~翌朝~
~京子宅前~
綾乃「……」スッ
綾乃「ここは…歳納京子の家の前で間違いないわね…」
綾乃「えっと、身だしなみ、オッケー、髪型も大丈夫…」サッサッ
綾乃「……」ピンポーン
綾乃「あ、あの、歳納京子さんは…」
京子「あやの!」ドーン
綾乃「あ、としの…」
京子「綾乃ー♪」ダキッ
綾乃「キャッ、も、もう、乱暴なんだから///」
綾乃「と、歳納京子…待たせちゃったかしら///」ギュ
京子「うん、10分くらい玄関で待ってた///」
綾乃(…歳納京子、昨日より、いい匂いがする…)
綾乃(そうか…朝、シャンプーした直後だからなんだ///)
京子「じゃ、綾乃、学校行こう?」
綾乃「う、うん///」
京子「あ、あの、昨日みたいに、手、繋いでいいかな…」
綾乃「も、勿論よ///」
京子「ありがとう///」
~学校~
~2-5教室~
京子「綾乃の髪、綺麗だよねえ…」サワサワ
綾乃「あ、あの、歳納京子、み、皆見てるから///」
結衣「 」
千歳「…」ボタボタ
京子「いいじゃん、別にー」プー
綾乃(う、うう、歳納京子、思ったより甘えん坊なんだ///)
綾乃(ど、どうしよう、ニヤニヤが止まらない…みんな見てるのに///)
~生徒会室~
綾乃「あう///」グッタリ
千歳「綾乃ちゃん綾乃ちゃん!あの歳納さんの変貌ぶりはなにごとなん!?」
綾乃「あ、う、うん、実は///」
千歳「歳納さんから告白された!?」
綾乃「う、うん、で、私も、それを、その、受けたの///」
千歳「そ、そうなん、とうとう二人はそういう仲に…」
綾乃(あれ、千歳、鼻血出無いんだ…)
千歳「……」ドシュッ
綾乃「うわあ!?時間差で出た!?」
綾乃「うわわ、ティッシュ、ティッシュ!」
向日葵「遅れて申し訳ありません」ガラッ
櫻子「すみません~掃除が長引いて…って、池田先輩!?」
綾乃「あ、丁度いいところに!えっと、そこの、あの…おっきい胸の人!」
向日葵「凄い呼ばれ方しましたわ!?」
綾乃「それと、その、小さい胸の人!手伝って!」
櫻子「う、うう、今日の杉浦先輩、超失礼だよお…」
綾乃(そう…ね、どうして、私、この二人の名前思い出せないのかしら…)
綾乃(同じ生徒会の仲間だっていうのは覚えてるんだけど…)
綾乃(わたし、疲れてるのかな…)
綾乃「ご、ごめんなさい、二人とも、千歳の事、ちょっと任せていいかしら…」
向日葵「は、はい、もう鼻血も止まってますし、大丈夫ですけど…杉浦先輩?」
櫻子「何か、顔色、悪いですよ?」
綾乃「ええ、ちょっと、疲れてて、保健室で休ませてもらうわ…」
綾乃「……何だろう、何か、凄く不安になってくる…」フラフラ
綾乃「と、歳納京子に、会いたい…」
綾乃「そ、そうよ、歳納京子に会えば、こんな不安さは、無くなるはずだわ…」フラフラ
綾乃「ええと、確か…歳納京子は、娯楽部に…」
綾乃「娯楽部って……何処だっけ…」
綾乃「……」
綾乃(思い出せない…な…)
綾乃(そうだ、簡単に歳納京子に会う方法、あるじゃない…)
綾乃「……歳納京子の元に、飛んで」
綾乃「……」フッ
京子「あれ、綾乃?」
綾乃「歳納京子…見つけた…」ギュッ
京子「ちょ、綾乃、何処から来たの?///」
綾乃「あのね、歳納京子…私、多分、もう…」
綾乃「駄目なんだと思う…」ウルッ
綾乃「今、大切な友達の名前、忘れちゃった…」
京子「綾乃…?」
綾乃「何時も、私を励ましてくれて、元気づけてくれた子の名前、忘れちゃった…」ヒック
京子「綾乃、え、忘れたって、どういう…」
??「綾乃、保健室へ行った方がいいんじゃ…」
??「杉浦先輩?大丈夫ですか?顔色悪いですよ」
綾乃「もう……煩いな……」
綾乃「誰だか知らないけど…邪魔しないで…」
京子「あ、あやの…」
綾乃「静かな所へ、行きましょう、歳納京子…」
京子「え、けど…」
綾乃「屋上へ、歳納京子と一緒に、飛んで…」
~屋上~
京子「……あれ」
綾乃「…歳納京子、静かになったわ」
綾乃「これで、ゆっくり、話が出来るわね」
京子「え、私、さっきまで娯楽部に…」
綾乃「あの、歳納京子、聞いてほしい事があるの…」
京子「あ、綾乃?」
綾乃「私ね、歳納京子…」
綾乃「貴女の事が、好きだったの」
綾乃「1年のころからね、ずっと」
綾乃「今までずっと、言う勇気がなかったけど」
綾乃「貴女に勇気をもらったから、言うね」
綾乃「私は貴女の事を……」
綾乃「愛してるわ」
京子「……」
綾乃「歳納京子…?」
綾乃「どうして、そんな目で、私を見るの…?」
京子「……綾乃、私も、綾乃が好き」
京子「何度でも言うよ、綾乃の事が、好きなの、愛してる」
綾乃「ほ、本当…?」
京子「うん、本当…だから、ね?」ギュッ
綾乃「あ…あったかい…歳納京子、温かいよ…」ギュ
京子「何があったのかは、私、判らないけど…」
京子「ずっと、一緒にいてあげるから…」
綾乃「歳納京子…ありがとう…」
綾乃(あれ、どうしてだろ…歳納京子、泣いてる…)
綾乃(何で泣いてるの…私、何かしたかな…)
綾乃(涙、止めてあげたいな…)
綾乃(私に何か、出来る事…ないのかな…)
綾乃(……ああ、あるじゃない、私、こんな事を忘れていたなんて…)
綾乃「歳納京子…」
京子「なに、綾乃…」ナデナデ
綾乃「私の為に、泣くのは、もう、止めて」
京子「…あれ、涙、止まった…」
京子「安心したからかな…綾乃、大丈夫そうだし…」
綾乃「……」
京子「綾乃?」
綾乃「貴女、だれ?」
京子「……え」
綾乃「私、もう家に帰るの…」
京子「あ、あやの?」
綾乃「誰?それ?」
京子「……綾乃、保健室、行こう?」
京子「西垣ちゃんに見て貰えばきっと…」
綾乃「離して」
京子「あ、あれ……」
京子(綾乃を、掴めない…)
綾乃「あなた、ちょっと、うるさい」
綾乃「わたし、いえに、かえるの」
京子「だめ、こんな状態の綾乃、放っておけないよ!」
綾乃「うるさい、うるさい…」
綾乃「うるさいな、お前なんて」
綾乃「しんじゃえ」
綾乃「あはは、はははは、しんじゃった」
綾乃「だからいったのに」
綾乃「さあ、いえに、かえろ」
綾乃「…あれ、いえって、どこだっけ」
綾乃「……もう、いいや」
綾乃「すわろ…」
綾乃「あれ、なにか、ひかった」
綾乃「あ、こいつ、なにか、きれいなの、もってる」
綾乃「こいつ、しんでるから、もう、いらないよね」
綾乃「きれい、だな、これ」
綾乃「くびに、まくのかな」
綾乃「あれ」
綾乃「わたし、同じの、もう、つけてるや」
綾乃「同じの、つけてるや…」
綾乃「ハートがたのペンダント」
綾乃「……」
綾乃「なんでだろ、なみだが、でてくる」
綾乃「ねえ、あなた」
綾乃「どうして、わたし、ないてるの」
綾乃「どうして、わたし、あなたと同じペンダントもってたの」
綾乃「ねえ」
綾乃「もしかして、あなたは」
綾乃「さいごのおねがいをします」
綾乃「どうか、彼女を生き返らせて下さい」
綾乃「だって、多分、彼女は」
綾乃「もう名前も覚えてないけれど」
綾乃「共に過ごした時間も思い出せないけど」
綾乃「私の大切な人だったんだろうから」
綾乃「おねがいします」
綾乃「おねがいします」
綾乃「おねがいします」
≪私の記憶は、これで終わる≫
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
天使「綺麗さっぱり無くなりましたね」
綾乃「……」
天使「残ったのは、貴女一人です」
綾乃「……」
天使「どうして貴女、消えないんですか?」
天使「貴女一人では、身体も動かせませんよ?」
綾乃「……」
綾乃「待ってるから」
天使「待ってる?」
天使「奇跡をですか?」
天使「じゃあ、特別に貴女にチャンスをあげましょう」
天使「貴女の大切な人の命と引き換えに、貴女の記憶を全て戻してあげます」
天使「どうしますか?」
綾乃「いらない」
天使「ソウデスカ」
綾乃「……」
綾乃「……」
綾乃「……」
コツン
綾乃「……」
コツン
コツン
綾乃「……」
綾乃「……」
コツン
コツン
コツン
コツン
綾乃(綺麗な石が、毎日落ちてくる)
綾乃(誰が落としてるのかは知らないけど)
綾乃(何時か、ここが石で一杯になったら)
綾乃(私はそれを積み上げて、上に登って、言葉を伝えよう)
綾乃(私は、それだけの為に残ってるんだから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~病室~
京子「…というのが、私と綾乃の出会いなのでした!」
綾乃「……」
京子「よし、じゃあ、次は最初のテストで勝負した時の話をしてあげるね」
京子「私が覚えてる事、全部教えてあげる」
京子「私が知らない事は、千歳や、ご両親に聞いて、全部伝えてあげる」
綾乃「……」
京子「私、諦め悪いよ」
京子「綾乃が全部忘れてしまったなんて、信じないから」
~冬~
京子「ほら、綾乃、クリスマスのシャッフルデート覚えてる?」
京子「うん、綾乃が結衣と、私がちなつちゃんとで組んじゃったんだよね」
~春~
京子「あの時、綾乃ったらガスマスク被って花粉から逃げようとしてたんだよ」
京子「もう、私おかしくて…」
~夏~
京子「皆で海に行ったの、楽しかったね」
京子「綾乃ったら、浴衣の下、下着付けてないんだもん///」
~秋~
京子「修学旅行で行った京都、楽しかったねえ」
京子「また、一緒にお風呂入りたいな…」
京子「綾乃~♪」
綾乃「と、歳納京子、今日も来てくれたんだ」ニコ
京子「うん、そりゃ来るよ、綾乃は私の大切な人だからね!」
綾乃「すみません、私、全然覚えてなくて…」ショボン
京子「また、顔がうつむいてるよ!」コチョコチョ
綾乃「ちょ、歳納京子、やめてください///」
京子「ん、やっぱり綾乃は笑ってる方がいいよ」ニコ
綾乃「あ……」
京子「綾乃?」
綾乃「あの、あの…」ポロ
京子「え、どうしたの、綾乃…大丈夫?」
綾乃「1つだけ、1つの言葉だけ、思い出しました…」グスン
綾乃「歳納京子、私は、貴女を愛しています」
京子「……うん、ありがと、綾乃、私も、ずっと、ずっと綾乃の事を愛してるよ…」
完
そういえば「成績がガン落ちしたけど京子がいるからまあいいか」ってシーン入れ忘れた
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