兄「―――おし、準備できたぞ」
妹「わーい」
兄「また今年もお世話になるな」
妹「一番コタツー♪」
兄「あ、こら。中で丸くなるんじゃねーよ」
妹「はやく、スイッチいれて」
兄「はいはい」
妹「……おぉ。赤くなった」
兄「さて、テレビでもみるか」
テレビ『なんということでしょう、邪魔だった扉を天井に取り付けることでモダンな雰囲気に―――』
兄「……」
妹「ぐぅ……」
兄「また眠ってやがる……もう毎年恒例だな」
兄「あ、恒例といえば、みかんがないな」
兄「また買いに行っとくか。こいつが文句言う前に」
兄(にしてもこのコタツ、ホント年季入ってるよなぁ)
兄(もう15年ぐらいは使ってるよ……)
兄(そりゃこいつも中学生になるわな)
妹「ぐぅ……」
兄「おーい、風邪引くぞ。起きろー」
―――夜
兄「ほら、もう出ろ。寝るときはベッドに行け」
妹「あぅぅ……」
兄「ほら、いつまでも出れなくなるぞ」
妹「はぁぁ……さむいぃ……」
兄「いーから、出ろ」
妹「コタツってホント、魔力があるよね~。一度、入ったら出れない」
兄「出ろ」
妹「でも、最初の寒さは異常だよね。暖かいと思って入ったらスイッチ切れてて、ひゃぁぁん!ってなるし」
兄「出ろ」
妹「みかんは?」
兄「出ろ!!」
妹「ひゃぁぁん!!さむいぃぃ!!」
兄「ったく。スイッチはちゃんと切っとけよ」
妹「はいはい……(パチン」
―――翌朝
妹「おはよー!!今日も寒いねー」
兄「だな」
妹「コタツに滑り込みー!!」
兄「あ、おい。まだスイッチを―――」
妹「ぬへぇ……あったかーい♪」
兄「え……あ、ホントだ」
妹「朝から幸せ~」
兄「……」
妹「どうかしたの?」
兄「いや」
妹「あ、今日みかん買って帰ってくるね」
兄「お、いいな。頼む」
兄「じゃあ、そろそろ支度しろよ」
妹「お兄ちゃん、歯ブラシ持ってきて」
兄「アホ。もうスイッチは切っとく」
妹「いじわるー!!」
兄「早くしろ」
妹「ひとでなしブルース」
兄「うっせえ」
兄(……よし。切ったな)
兄「うん。切れてる」
兄(相当古いからな。故障とかしてなきゃいいけど)
妹「ばっくしゅん!!!」
兄(アイツが文句いうし)
―――午後
妹「ただいまー!!寒いっ!寒っ!!」
妹「コタツにダ~イブ♪」
妹「―――ぬへえ」
妹「あったけぇ……」
妹「さてと、みかんを置きますかね」
妹「はぁ……極楽じゃぁ……」
妹「テレビ、なにやってるかな?」
テレビ『―――犯人はこの中にいます!!』
妹「……みかん食べよ」
妹「……もぐもぐ」
妹「―――すっぱ!」
―――夕方
兄「ただいまー」
妹「よっ」
兄「おま、制服のままでねてんなよ」
妹「いやぁ。コタツは怖いね」
兄「早く着替えてこいよ。皺になるだろ」
妹「えー?」
兄「えーじゃねえ」
妹「よし、軍曹殿。私の服を持ってきなさい」
兄「……今、俺の手でお前の顔に触れるとどうなるかな?」
妹「おぉぉ……や、やめて」
兄「――おら!」
妹「ひゃぁぁ!!!つめたい!!!」
兄「早く着替えてこい」
妹「はぁーい……」
―――夜
兄「みかん、すっぱいな」
妹「うん」
兄「ちゃんと選んでこいよ」
妹「みかんソムリエじゃないもーん」
兄「しらねーよ。……そろそろ寝るか」
妹「じゃあ、コタツさん、お邪魔しまーす」
兄「あほ。出ろ」
妹「あーん」
兄「ほら、もう電源落としたし、ベッドに行け」
妹「ちくしょう……コタツは私がここで寝ることを望んでいるんだぞ!!」
兄「コタツだって主に風邪をひいてほしいとは思ってねーよ」
妹「コタツと会話できるの!?」
兄「できねーよ」
―――翌朝
妹「寒い!!朝一コタツ!!」
妹「ぬっへぇ……丁度いい、温度……」
兄「ふわぁぁ……おはよう」
妹「おはよっ。お兄ちゃんも早く早く」
兄「早くって、そんなにすぐに温まらないだろ」
妹「え?もういい感じだよ?」
兄「え……?」
妹「朝のニュースでもみようかな?」
兄(マジだ……おかしいな……ちゃんとスイッチは……)
妹「どうかした?」
兄「いや……」
兄(やっぱ故障してんのか、これ?)
兄(まあ、古いしな。でも、勝手にスイッチが入るのはやばいな。家事の原因になる)
テレビ『最近、不法投棄が多いようですね。このように色んな物が山に捨てられています』
妹「うわぁ……もったいないなぁ」
兄「おい。そろそろ支度しろ。遅刻するぞ」
妹「歯ブラシ」
兄「洗面所にいけ」
妹「はいはい……」
兄(そういえば、プラグを刺しっぱなしにしてたな。今日からはきちんと抜いて行こう)
兄「うし」
妹「あ、お兄ちゃん。私、今日はちょっと遅くなるよ」
兄「そうなのか。晩飯までには帰ってこいよ」
妹「はぁーい」
>>16
兄(まあ、古いしな。でも、勝手にスイッチが入るのはやばいな。家事の原因になる)
↓
兄(まあ、古いしな。でも、勝手にスイッチが入るのはやばいな。火事の原因になる)
訂正
―――夕方
兄「ふう……寒いな」
兄「コタツにでも……あれ?」
兄「プラグが……スイッチも入ってる……?」
兄「温かい……」
兄「おーい!!帰ってきてるのかぁ?!」
兄「……いないよな」
兄「……どういうことだよ」
兄「泥棒か……?」
兄「―――荒らされた形跡はなしか。コタツを温めていくだけの不法侵入者でもいるのか」
兄「なんか気味悪いな……」
兄「ま、今はコタツでゆっくりしとこ」
―――夜
兄「ふう……」
妹「ただいまーんもす!!」
兄「おかえり」
妹「寒い!!」
兄「なあ」
妹「ぬへぇ……なに?」
兄「今日、家に帰ってきたか?」
妹「ううん。今日は友達の家で遊んでたよ」
兄「だよな」
妹「どうかしたの?」
兄「いや……」
兄(余計なことをいったら怖がらせるだけだな)
妹「……?」
兄「なんでもない。早く着替えてこい」
兄「―――そろそろ寝るか」
妹「今日は意地でも出ない所存」
兄「はいはい」
妹「あーれー」
兄「―――よし、スイッチ切って、プラグも抜いた」
妹「なんの確認?」
兄「火事怖いだろ」
妹「まあ、そだね」
兄「だからだ」
妹「ふーん」
兄「じゃ、おやすみ」
妹「ふわーい」
―――翌朝
妹「もう!!冬いや!!!コタツさーん!!!」
兄「いや、だから、ちゃんとスイッチを―――」
妹「はぁ……いつもありがとね、コタツさん♪……ナデナデ」
兄「……温かいのか?」
妹「え?うん」
兄「……なあ」
妹「ん?」
兄「早起きしてコタツのスイッチを入れたか?」
妹「はぁ?そんなわけないよ、今起きたし。お兄ちゃんが温めてくれてたんじゃないの?」
兄「……俺も今、起きたところだ」
妹「……え。あー、お母さんとお父さんじゃないの?」
兄「二人はコタツを使う前に出勤してるだろ」
妹「だ、だよね……わざわざ入れていかないよね……」
兄「どうなってんだ?」
兄「……」
妹「ま、まあ、いいじゃない。こっちは朝から温かい思いができるんだし」
兄「だけど……」
妹「あれだよ、コタツさんが私達のことを思って自分から電源を入れてくれてるんだよ」
兄「そんなわけあるか」
妹「でもぉ」
兄「お前、夢遊病なんじゃねーの?」
妹「ひどいなぁ」
兄「……」
妹「どーする?片付ける?」
兄「今日、また勝手に電源が入ってたらもう片付けよう。流石に気味悪いしな」
妹「そ、そうだね……」
兄「―――よし、支度だ」
妹「うん」
兄(……スイッチも切った、プラグも抜いた……よし)
妹「ねえ…お兄ちゃん… お兄ちゃん?」
兄「…」
妹「し、死んでる…」
―――午後
妹「ただいまー」
妹「コタツ……は?」
妹「あ、ちゃんと切れてる」
妹「なーんだ。やっぱりお母さんかお父さんが電源入れてたんだ」
妹「よーし、スイッチオウン♪」
妹「ひゃぁぁ……まだつめたいなぁ……」
妹「今のうちに着替えてこよっと」
妹「ふんふーん♪」
妹「コタツさーん、温かくなった?」
妹「―――ぬへぇ……いい感じー」
妹「みかん♪みかん♪」
妹「すっぱ!!」
―――夕方
妹「あ、お兄ちゃん。おかえりんこ」
兄「ただいま。電源はどうだった?」
妹「ちゃんと切れてたよー」
兄「そっか」
妹「やっぱりお母さんかお父さんがスイッチを入れていってたんだよ」
兄「そういうことになるのか」
兄(でも、夕方にスイッチが入っていたのは説明がつかないぞ)
妹「どうかした?」
兄「いや」
妹「あ、ねえねえ。週末、友達が遊びにくるんだけど、いいかな?」
兄「あんまりうるさくすんなよ?」
妹「わかってますって」
―――週末 午前
友「お邪魔します」
妹「あがってー」
兄「んじゃ、俺昼飯買いに行く」
友「あ……お、おはようございます……」
兄「おはよう」
友「……」
兄「どうかしたか?」
友「い、いえ!!」
妹「お兄ちゃん、甘いみかん買って来てね」
兄「はいよ。君も昼飯たべてくか?男の手料理で良かったらだけど」
友「あ、はい!!も、もちろんです!!」
兄「よし。わかった。いってきます」
妹「いってらー」
友「い、いってらっしゃい……」
妹「入って入って」
友「ありがとう……あ、コタツだ」
妹「へへーん。いいでしょ」
友「うん。私の家はエアコンだけだから、ちょっと新鮮」
妹「コタツ、使ったことないの?」
友「うん。幼稚園ぐらいのときにはあったみたいだけど、覚えてない」
妹「そっか」
友「……ふぅ」
妹「にっしっし」
友「な、なに?」
妹「いや、いつになったらお兄ちゃんに告白するのかなーって」
友「な……!?!?わ、わわ、私は別に……お、おにいさんのことなんて……」
妹「うそばっかりー」
友「ほ、ほんとだよ!!」
妹「顔まっかですが、まだそんなこといいますか?」
友「こ、これは……コタツのせい……」
妹「でも、もう長いよね。お兄ちゃんのこと好きになったの、もう何年前かな?」
友「……小学校二年生……」
妹「早く告白しちゃいなよ。あげるから」
友「で、でも……中学生に告白されても……きっと、困るだけ……」
妹「あー……お兄ちゃん、ロリコンじゃないのかなぁ」
友「……ロリって」
妹「あ、何か飲む?持ってくるよ」
友「あ、うん……」
妹「ちょっと待っててねー。―――ほひょぉぉ、寒い!!」
友「―――はぁ」
友(お兄さん……♪)
友「―――ん?なんか……暑い……」
友「……うわ。温度が最大になってる」
友「少しぐらい緩めてもいいよね……よいしょ」
兄「ただいま」
妹「おつ!!」
友「あ、おかえりなさい」
兄「少し待っててくれ、うどん作るから」
妹「私、肉うどん!!」
友「えっと……たぬきそばで」
兄「うどんだってば」
妹「肉うどんがいいなー!!」
兄「はいはい」
友「たぬき、うどん……」
兄「あー、たぬきな。了解」
友「……♪」
テレビ『―――見てください。ここにも家電の不法投棄が。全く、信じられませんね』
妹「あ、またしてるよ。もったいないよね」
友「うん。そうだね」
―――午後
妹「満腹じゃー」
友「ごちそうさまでした」
兄「じゃあ、洗ってくるか」
友「あ、私が……」
兄「いーよ。妹の相手をしててくれたほうが助かる」
妹「どーいう意味だ!!」
友「でも……」
兄「いいから。ゆっくりしててくれ」
友「あ、はい……」
妹(鈍感なお兄ちゃんだね、全く)
友「……あ」
妹「ん?どうかした?」
友「よくみると、このコタツ、傷がいっぱいあるなって」
妹「あー。私が生まれる前からあるからね。仕方ないかも」
友「そうなんだ」
妹「昔は私がよくこの上で暴れてたらしいから、そのときの傷とかもあるかも」
友「ふふ、なにそれ」
妹「それでもこうして今も動いてくれてるから、ホントにこのコタツさんは出来る奴だよ」
友「そうだね。普通ならもう壊れていてもおかしくないもんね」
妹「でしょー?あ、でもね、最近変なことがあったんだ」
友「変なこと?」
妹「うん。電源を落としてるのに、勝手に電源が点いてたの。一回じゃなくて何回も」
友「うそ……」
妹「ホントホント。お兄ちゃんもみてたし」
友「そうなんだ……。このコタツ、二人のことが好きなんじゃない?」
妹「あはは、まっさかー」
友「ふふ」
兄「―――おーい、なんか飲むか?」
妹「のむー♪」
テレビ『―――こがはざん!!』
妹「ここで秘奥義だ」
兄(友達きてるのに、ゲームするか……しかもRPGとか)
友「……」
兄「あ、ごめんな。アイツ馬鹿で」
友「そ、そんなこと……ありません」
兄「そういえば結構久しぶりだな」
友「え、あ、はい……」
兄(……この子、いつも目を合わせてくれないんだよな……嫌われてんのかな)
友(はぁ……もう、なんでこうなるの……変な子って思われてるよ……)
妹(折角、二人の空間を築いてやったのに、何も喋んないのか……ったく)
兄「みかん、食べる?」
友「あ、は、はい!!」
兄「―――ん?なんか暑いな」
兄「……げ。温度が最大じゃねーか。誰だよ……って一人しかいないか」
妹「ミラー!!」
兄「おい」
妹「あだだ!!耳をひっぱらないでよ!!」
兄「勝手に温度をいじんな」
妹「はぁ?知らないよ」
兄「お前しかいないだろ」
妹「でもぉ……」
友「あ、あの」
兄「ん?」
友「さっきも温度最大になってましたよ……?」
兄「ほら、お前だろ」
妹「ちがうよー!!」
友「この家の基本設定かなって思ったんだけど」
妹「最大にはしないよ。あ、でも洗濯物を乾かすときは最大だね」
兄「それでTシャツ一枚、ダメにしたけどな。お前が」
―――夕方
兄「あ、晩御飯も食べてくか?」
友「い、いえ……流石にそこまでは」
妹「とまってけー」
友「えぇ!?」
兄「お、それいいな。明日、日曜日だし」
友「えぇぇ!?」
妹「(お兄ちゃんと一緒に寝ちゃえよ)」
友「(何言ってるの!?)」
妹「(寝ぼけてお兄ちゃんのベッドに入れば?)」
友「ちょっと!!」
兄「なにしてんだ?」
妹「是非とも泊まりたいって」
兄「そっか。じゃあ、そっちの家に俺から連絡いれとくよ」
友「あぁ……す、すいません……お願いします……」
兄「―――ええ。はい。明日の夕方には、はい、勿論です」
妹「よかったね」
友「もう……着替えとかもってきてないよ?」
妹「ノーブラ、ノーパンでいいじゃん」
友「な……!?」
兄「―――了解も得たし、んじゃ晩飯でも作るか」
妹「お兄ちゃん、なにするー?」
友「あ、お手伝いします……いえ、させてください!!」
兄「お、そうか。なら……」
妹「頑張れよ、諸君」
兄「お前は何もしないのな」
妹「出来るお兄ちゃんを持つと、どうしても妹はぐーたらになるよ」
兄「自分でいうな」
妹「いてっ」
友(いいなぁ……私も仲よくなりたいなぁ……)
兄「じゃあ、野菜を切ってくれるか?」
友「はい」
妹「何がでるかなー♪なにがでるかなー♪」
妹「……ん?コタツ、暑い……」
妹「うわ……温度最大だ……。お兄ちゃんめ、報復のつもりか」
妹「さげよ」
妹「―――暑い」
妹「あれ?温度がまた元に戻ってる……なんで?」
兄「指、気を付けてな」
友「あ、はい」
妹「―――お兄ちゃん!!コタツが壊れたー!!」
兄「はあ?電源が落ちたか?」
妹「逆ー!もうずっと温度が最大なのー!!」
兄「マジかよ。プラグは?」
妹「抜いた」
友「困りましたね」
兄「まあ、あとで様子をみるか。じゃあ、ここまで来たんだ。お前もなんか手伝え」
妹「マジで!?」
兄「マジだ」
妹「ちくしょう……」
友「ふふ、はい」
妹「ニンジン切れってか。というか、カレーだね?」
兄「シチューだ」
妹「なんだカレーか」
兄「シチューだって」
友「指を切らないようにね?」
妹「はいよ」
兄「こいつは多分、切るだろうけどな」
妹「む……」
友「あはは、不器用だもんね」
妹「―――痛っ!?」
友「あ、大丈夫!?」
兄「ほら、いわんこっちゃない。見せてみろ」
妹「お兄ちゃんが手伝わせるから……」
兄「はぁ……少しぐらい練習させたかったんだよ」
妹「血が出てる……」
友「痛そう……」
兄「まあ、深くはないな。舐めとけばいいだろ……ん」
妹「ぶっ!?」
友「あ……」
兄「よし。ちょっと待ってろ絆創膏もってくる」
妹「な、なにするの!?この変態!!!」
兄「なんだよ、指を舐めただけだろ」
妹「死ね!!」
友(いいなぁ……わざと指を切ってみようかなぁ……)
兄「さてと、あとは煮込むだけだな」
妹「うぅ……」
友「まだ痛むの?」
妹「そ、そういうわけじゃ……」
兄「ちょっとコタツの様子を見てくる」
友「あ、はい」
妹(ったく……この優しさをこの子に向けろってば)
兄「―――普通だな」
兄「別に壊れてるわけじゃなさそうだけど……いや、内部が馬鹿になりはじめてるのかもな」
兄「俺達の成長をずっと見てくれてきたから、捨てることはできればしたくないけど……」
兄「今年の冬ぐらいはもってくれよ?」
兄「頼むな」
兄「―――じゃあ、頂きます」
友「いただきます」
妹「ズズズズズズズ!!!」
兄「おい。きたねえよ」
妹「え?」
友「あはは」
妹「そういえばコタツ、直ったの?」
兄「問題はないな」
妹「そっか」
友「嬉しそうだね?」
妹「だって、私よりも先にこの家にいたんだよ?もう人生の先輩みたいなものだし、なんというか家族?みたいな」
友「ふふ……家電が家族かいいね」
兄「まあ、それぐらいの愛着はあるよな」
妹「でしょ?―――ズズズズズズズ」
兄「その音やめろ。嫁にいけないぞ」
―――夜
妹「あ!お風呂はいろー」
友「え……うん」
妹「お兄ちゃんもはいる?」
兄「よーし、背中も前も洗わせろ」
友「はぇぇぇ!!?」
妹「ほほ、本気にすんな!!」
兄「冗談に決まってんだろ」
妹「バーカ!!ほら、いこ」
友「あ、うん。あの、お先に失礼しますね」
兄「ああ」
兄「―――コーヒーでも飲むか」
兄「……いや、いいか。なんかコタツから出たくないし」
兄「ふわぁぁ……ねむいな」
妹「―――でーん!!初公開、バスタオル一丁の中学生女児!!」
友「ちょっと!!恥ずかしいから!!!」
妹「あれ?」
兄「すぅ……すぅ……」
妹「寝てやがる」
友「はぁ……よかった」
妹「なーんだ。つまんないの」
友「は、はやく、着替え……」
妹「でも、胸のサイズが違うからなにきても苦しいと思うよ?」
友「なんでもいいよ!」
妹「この無駄乳め」
友「はにゃぁ!!」
兄「ん……やべ、寝てた」
妹「あ、起きた?」
兄「おう……うーん……部屋に戻るわ」
妹「えー?もう?」
友「いや、12時だし」
妹「まだ12時じゃん」
兄「ふわぁぁ……じゃあ、おやすみ……さむ……」
友「おやすみなさい……」
妹「チャーンス」
友「な、なにが……?」
妹「ベッドにいってこい」
友「や、やめてよぉ」
妹「ほらほら。30分後ぐらいにいけばいいって。そんなことじゃあのお兄ちゃんは振り向いてくれないぞ?」
友「お兄さんが迷惑がるよ……」
妹「大丈夫だって。お兄ちゃんも男だし。起きてみると可愛い中学生が隣で寝てたら興奮するって」
―――深夜
兄「……ん」
兄「便所……」
友「すぅ……すぅ……」
兄「……またアイツの悪戯か」
兄「可哀想に」
兄「―――ふぅ。すっきりした」
兄「あ、コタツ、ちゃんと切ってんだろうな?」
兄「……おし、プラグも抜いてあるな」
兄「……よいしょ」
兄「なんだろうな……電源落ちてても、温かい気がする……」
カチン……
兄「え?」
兄「……電源が入った……?」
兄「プラグは!?―――ささってる……」
兄「……」
妹「おしっこー」
兄「……」
妹「うわぁ!?おにいちゃん、なにやってんの!?電気もつけないで!!」
兄「あ、いや……なんとなくコタツに入ってみようかなって思ったら」
妹「なに?」
兄「……勝手に電源が入った」
妹「センサーでもついてたっけ?」
兄「そんな高性能なコタツじゃないはずだけどな」
妹「ふーん……あ、おしっこー」
兄「……どうなってんだ、このコタツ……」
兄「ちょっとこわいな……」
妹「―――すっきりした」
兄「……」
妹「まだいたの?」
兄「ああ」
妹「じゃあ、わたしもはいろっと……ぬへぇ……」
兄「……はぁ」
妹「えへへ、温かいね」
兄「そうだな……でも、怖くないか?」
妹「勝手に電源が入ること?」
兄「プラグも勝手に入るぞ?」
妹「……私は別に」
兄「そうなのか?」
妹「うん……温かいもん」
兄「理由になってねえな」
妹「それに……家族みたいなものだしね」
兄「でもなぁ……」
妹「じゃあ、片付ける?」
兄「……」
妹「この部屋、エアコンないからこの子に頼るしかないんだけどなー」
兄「いや……壊れるまで使うよ」
妹「そうこなくっちゃ」
兄「……そうだな。もうこの家の一部みたいなもんだよね、これ」
妹「でほぉ?」
兄「ああ……」
妹「ふわぁぁ……」
兄「あ、寝るならベッドにいけよ」
妹「うん……そうする。じゃ、おやすみ」
兄「ああ」
兄「さて、じゃあ、俺も寝るか……スイッチをオフに……よし」
兄「おやすみ……」
―――翌朝
友「―――きゃぁあああああああ!!!!」
兄「うぉ!?」
友「あ、す、すいません……」
兄「なにかあったのか?」
友「い、いえ……目が覚めたら……お兄さんの寝顔が……」
妹「―――どうしたの!?」
友「あ、おはよう」
兄「よお」
妹「まさか……夜這い!?」
兄「朝だし」
友「な、なにもされてないから……」
妹「そっか……残念だね」
友「うん……いやいやいや!!!!」
兄「朝から元気だな……よし、朝食でも食うか」
妹「コタツさーん!!今日もあっためてー!!」
兄「どうだ?勝手に電源入ってるか?」
妹「はいってたー♪」
兄「そうか」
友「ええ?」
妹「ほらほら、こっちきなよ。温かいよ?」
友「うん……」
兄「あ、パンがいいかライスがいいか」
妹「パン!!」
友「私も」
兄「了解」
友「でも……怖くないの?勝手に電源は入るなんて……」
妹「全自動オンオフ機能搭載のコタツを買ったと思えば、それほど」
友「適応するの早いね」
妹「そうでもないよ。買ったばかりのコタツならすぐに返品してる」
友「それはそうだろうけど」
兄「ほい。焼けたぞ」
妹「サンクスブレッド」
友「ありがとうございます」
兄「さて、今日一日なにするんだ?」
妹「どっか遊びに行く?」
友「あ……うん……そだね」
妹「お兄ちゃんも一緒に、ね?」
兄「二人で行って来いよ」
妹「だーめ」
兄「……いや、この子が気を使うだろ」
友「そ、そんなことありません!!い、いっしょにいきましょう!!」
兄「そ、そうか……」
妹「んじゃ、着替えたら出発だー」
妹「うっし」
友「どこいこっか?」
妹「まあ、適当にショッピングモールでもウロウロしようっか」
兄「……よし」
妹「プラグ抜いたの?」
兄「ああ」
友「帰ってきたらまた温まってるんでしょうか?」
兄「多分な」
妹「お兄ちゃんよりいい子だよ」
兄「うっせえな」
友「あはは」
兄「んじゃ、いってきます」
妹「いってきます」
友「い、いってきます……」
コタツ「……」
―――ショッピングモール
妹「うっひょー!お兄ちゃん、このアクセかってー!!5万するけど」
兄「死ね」
友「……」
兄「ん?なにか欲しいものでもあるのか?」
友「あ、えと」
妹「あ、コタツみてたの?」
友「私の部屋に置きたいなぁって」
兄「ああ、一人用のコタツか。それほど高くないな」
友「でも……中学生には中々手が出ません」
妹「親に懇願したら?」
友「ううん……エアコンがあるから……多分、買ってくれない」
兄「ふーん……すいませーん」
店員「はい?」
兄「このコタツ、配達してもらえますか?」
友「えぇ!?」
妹「ちょ!!お兄ちゃん!!私にもアクセサリー!!」
店員「はい。勿論です」
兄「じゃあ、買います」
友「お兄さん!!やめてください!!」
兄「え?いらないの?」
友「いや……ここまでしてもらう必要は……」
兄「いつも馬鹿を世話してくれてるお礼のつもりなんだけど」
妹「人をウサギみたいにいうな!!」
兄「鶏のつもりで言ったんだが?可愛く解釈するな」
友「で、でも……」
兄「まあ、まあ。早いクリスマスプレゼントってことで」
妹「確かに早いね」
友「………た、大切にしますね?」
兄「じゃないと困るよ。大事にしてやってくれ」
妹「うーん……」
兄「どうした?」
妹「いや、どのコタツもしっくりこないというか」
友「どういうこと?」
妹「いや……買い変えるつもりなんて更々ないけど、いつかはきっとダメになると思うし」
兄「そうだな……。どこかで新調しなきゃいけないときが来るだろうな」
妹「そのときのために候補を選んでみようと思ったんだけど、どれもイマイチなんだよね」
友「ふふ……今のコタツに愛着があるからじゃないの?」
妹「だろうけどね」
兄「ま、そんな先の話をしても仕方ないだろ。いこうぜ」
妹「ほーい」
友「お兄さん……本当にありがとうございました」
兄「いーよ」
妹「よっしゃーお昼ご飯たべようー」
―――夕方
友「では、ここで失礼します」
兄「ああ、気を付けてな」
妹「また明日ねー」
友「うん!ありがとう!」
兄「寒いな……早くコタツで温まろうぜ」
妹「だね!」
兄「ふう……あれ?」
妹「ひょぉぉ!!さむい!!」
兄「なんだ温かくなってないな」
妹「はやくー」
兄「はいはい」
妹「もうどうしたの?ストライキ?」
兄「コタツが?まさか」
妹「まあ、いいけどねー。……おぉ、じんわり温かくなってきたよ」
―――翌朝
妹「さむいー!!」
兄「はいはい」
妹「……ぬへぇ……」
兄「今朝は入ってたか」
妹「やっぱりいい子だね。あ、ツンデレなのかも」
兄「性格まであるのか。怖いな」
妹「まあまあ」
兄「あんまりゆっくりし過ぎんなよ?」
妹「わかっとります」
兄「さてと……パンでも焼くかな」
妹「テレビー」
テレビ『―――今日は乾燥しています。火のお取り扱いには十分に注意しましょう』
妹「そーなんだ」
―――夕方
兄「ただいま」
妹「おふぁえり」
兄「くつろいでるな」
妹「まあね。この子が私を離さないのさ」
兄「そのまま同化しちまえ」
妹「合体!」
兄「いや。本当にしなくていいから」
妹「合体したのでもう今日は出ません」
兄「アホか」
妹「あ、晩御飯どうする?」
兄「そういえば何も買ってなかったな」
妹「よろぴく」
兄「たまには手伝えカス」
妹「やーだよー」
―――数日後
テレビ『今日も空気が乾燥しています。火のお取り扱いには―――』
妹「おにーちゃん!!遅刻しちゃうよー!!!」
兄「分かってるって!!」
妹「あ、コタツさん。電源落としといてね?」
カチン……
妹「おお」
兄「なにしてんだ。早く行くぞ」
妹「ねえねえ。今、コタツさんが反応したー!!」
兄「何言ってんだ、早くしろ」
妹「ほんとだってー!!」
兄「はいはい」
妹「信じろ!!」
―――中学校
妹「おっはよー!!」
友「あ、おはよう。ねえねえ」
妹「どしたの?」
友「昨日、コタツが届いたの」
妹「おー、そうなんだ」
友「小さくて可愛いの……あの、今日お兄さんに改めてお礼を言いたいんだけど……」
妹「オッケー。じゃあ、放課後は私の家に直行だね」
友「うん!」
妹「で、お兄ちゃんを思いだしながら、コタツで丸くなったわけ?」
友「や、やめてよ!!そんなんじゃないよ!!もう!!」
妹「あはは」
―――夕方
妹「ただいまー」
友「お邪魔します……」
妹「コタツさん元気ー?」
友「もう本当に家族みたいに扱ってるね……」
妹「あれ……?また電源落ちたままだ」
友「え?」
妹「最近、電源がついてるときとついてないときがあるんだよね」
友「そうなんだ」
妹「なんでかな?」
友「……寝てるときがおおいんじゃないかな?」
妹「そっか……もう10年以上も生きてるし……疲れてきたのかな?」
友「そうかも」
妹「なら、無茶はもういえないね。これからは優しく扱わないと」
友「ふふ、そうだね」
兄「ただいま」
妹「おっかえりー!!」
友「あ、お、お兄さん……お邪魔してます……」
兄「あ、来てたんだ。ゆっくりしていけよ?」
友「あ、はい!」
妹「お兄ちゃん、みかんは?」
兄「ほらよ」
妹「やっほー!!」
友「あの……昨日、コタツが届きました……」
兄「そっか。どう?」
友「とっても素晴らしいです。もうエアコン使えません」
兄「そっか」
友「ありがとうございました!私、一生の宝ものにしますね!」
兄「ああ、そうしてくれ」
妹「みかん、あめー!!うまうま……」
―――夜
テレビ『プラグは抜いておきましょう。埃がたまりショートするときもあります』
妹「こわーい」
兄「もっと怖そうに言えよ」
妹「火事は怖いよね」
兄「そうだな」
妹「まあ、ここは大丈夫だろうけど」
兄「そうか」
妹「だって、プラグはいつも抜いてるし」
兄「それもそうか」
妹「うん……あ、トイレ……さむっ!!」
兄「はやくいけ。コタツの中で漏らすなよ?」
妹「あ、一回そんなことあったよね」
兄「……うっせえな」
―――数日後
妹「さむ!!コタツさーん!!」
妹「おお、今日はぬくーい♪」
兄「ふわぁぁ……テレビ……」
テレビ『それでは今朝のニュースです。最近、不審火が相次いでおり―――』
妹「朝ごはんはー」
兄「ちょっと待ってろ」
妹「はいはい」
テレビ『放火の疑いもあるとのことです。それでは今日のお天気です』
妹「今日は晴れだ。少しぐらいお日様がないとね」
兄「その分、乾燥してるけどな」
妹「唇荒れるし、やだよねー」
兄「そうだな」
―――中学校 昼休み
妹「ご飯だー!」
友「あ、食堂いかない?」
妹「いいよー」
友「あ、そうだ。昨日のドラマ見た?」
妹「おぉ。見た見た。主演の人がカッコいいんだよねー」
友「うんうん」
生徒「おい、さっき消防車いっぱい走ってたな」
生徒「おお。見た見た」
妹「火事かな?」
友「乾燥してるし……怖いよね」
妹「うん」
―――午後 授業中
教師「―――で、ここにはこの公式を」
妹「ふわぁぁ」
友「……」
担任「―――おい!!」
妹「!?」
生徒「どうしたんですか?」
担任「ちょっと、こい」
妹「え?え?」
友「あ……」
―――廊下
担任「すぐに家に戻れ」
妹「え……なにかあったんですか?」
担任「君の家の近くで火災があったらしい……それで……」
妹「う、そ……」
―――自宅前
警察「それで、火元は?」
隊員「ええ……やはり火元は―――」
妹「あ、あの!!」
警察「ん?ここは立ち入り禁止だよ」
妹「あ、あの家、私の自宅なんです!!」
警察「え……ああ。もう少し待ってくれるかい?現場検証が済み次第、すぐに」
妹「―――待てません!!」
警察「あ、おい!!」
隊員「ちょっと、待ちなさい!!」
妹「放して!!」
隊員「中には誰もいなかった!ご家族はきっと無事だ!!」
妹「違う!!一人いたんです!!大事な家族が!!」
警察「ペットかなにかいましたか?」
隊員「いえ。あの家からはなにも……」
警察「―――やはり放火のようですね」
隊員「ええ」
妹「……」
隊員「あ、中に入る?」
妹「……あの……すいませんでした」
警察「自宅が火事に巻き込まれたら誰しも動揺するだろう」
妹「……」
隊員「中の様子だけど……」
兄「はぁ……はぁ……!!」
妹「あ、お兄ちゃん!!」
兄「大丈夫か!?」
妹「う、うん」
警察「貴方は?」
兄「この子の兄です……」
警察「そうですか……ご自宅の中、ご覧になりますか?」
兄「……・ボロボロだ」
隊員「申し訳ありません。乾燥していたこともあり、延焼が酷く……」
妹「……」
警察「放火犯は我々が全力も持って―――」
兄「いえ……犯人をどうこうじゃないです」
警察「は?」
兄「……すいません。今は二人にしてもらえませんか?」
警察「はい」
隊員「建物が崩れることはありませんが、足元には注意してください」
兄「わかりました」
妹「探さなきゃ……」
兄「あ、おい」
妹「きっと……私たちを待ってる……」
兄「……」
妹「あ……」
兄「……」
妹「お兄ちゃん……」
兄「ああ……コタツにはいろっか」
妹「……よいしょ」
兄「もっとくっつけよ……寒いだろ?」
妹「……」
兄「……」
妹「……うぅ……お、にい……ちゃん……さむぃよぉ……」
兄「うん……そう、だな……」
妹「……はやく……スイッチ……いれ、てよ……」
兄「……」
妹「……ぅぅ……あぁぁ……」
兄(布団も台も……無くなって……それでも脚だけが……待っててくれたんだな……)
兄「……ただいま」
―――夕方
友「……うそ」
妹「……」
友「あ、の……」
妹「燃えちゃった……えへへ」
友「……」
兄「運が悪かった……そう思うしかないな」
友「あの……コタツさんは……?」
兄「……」
友「……そう、ですか……」
兄「とりあえず今日はホテルに泊まることになったよ」
妹「ごめんね。もしかしたらしばらく学校休むかも。ノート、見せてね?」
友「う、ん……ちゃんと、取るよ」
妹「ありがと」
兄「じゃあ、またな」
―――夜
兄「―――おい」
妹「あ……」
兄「勝手にホテルから抜け出すな。母さんも父さんも心配してんぞ?」
妹「ごめん……でも、どうしてもコタツさんのことが気になって」
兄「もう脚だけだな」
妹「……古いから燃えやすかったのかな?」
兄「しらねーよ」
妹「……」
友「―――あ、やっぱりいた!!」
妹「え……?」
兄「どうしたんだよ……!?」
友「あの……これ、一人用ですけど……ここで使いませんか?」
妹「持ってきたの……そのコタツ?」
友「うん……よ、余計な、お世話だったかな?」
兄「いや……どうして?」
友「二人があのコタツで一緒にいるときが……一番幸せそうだったから」
妹「……」
友「だから……あの……」
妹「ありがとう。恥ずかしかったでしょ?」
友「え……いや、折りたためるし……そこまでは」
兄「いいのか?汚れるぞ?」
友「構いません。これはお兄さんに頂いたものです。この子もきっとお兄さんたちに入って欲しいって思ってくれます」
妹「……お兄ちゃん」
兄「じゃあ……コタツ設置してみるか」
友「はい」
妹「うん……」
友「でも、狭いから二人がやっとですね……」
妹「大丈夫だよ。多分」
兄「まあ。かなり窮屈だろうな……でも、入りたいな」
友「よいしょっと……」
兄「じゃ、入るか」
妹「もっとつめてよ」
兄「無理だって」
友「あ、このままじゃ寒いですし、私、温かいお茶を買ってきます」
兄「あ、なら俺が……」
妹「……」
友「ううん。お兄さんはいてください。すぐに戻ってきます」
兄「ああ……」
妹「……寒いね」
兄「そうだな……」
妹「今まで、ここを温くしてくれてたのって、全部コタツさんのおかげだったんだね……」
兄「ああ」
妹「……ありがとう……今まで……でも……もう一度……だ、け……温めて……」
―――カチン
兄「え……?」
妹「……あ」
兄「ちょ、なんで!?プラグも刺さってないのに!?」
妹「……ごめんね、無理させて……もういいよ?」
兄「なんだよ、これ……?」
――――カチン
兄「落ちた……」
妹「……お兄ちゃん……温かいね」
兄「何だったんだろうな……今の」
妹「さあ……でも、なんとなくわかるな」
兄「……なんだよ」
妹「―――おかえり」
兄「……」
妹「そういった気がするんだ……」
兄「……そうかも、しれないな」
―――1週間後
友「引っ越し……ですか?」
妹「とりあえず私とお兄ちゃんは親戚の家で住むことになったの」
友「じゃあ……転校……?」
兄「そうなるな……」
友「そうなんだ……」
妹「ごめんね?」
友「連絡してね?」
妹「勿論だよ」
兄「じゃあ、そろそろ」
友「うん……明日は会えるんだよね?」
妹「転校は来週だから……明日も会えるよ?」
友「いっぱい、遊ぼうね?」
妹「うん」
兄「行くか。買いそろえないといけないものが多いしな」
―――翌週 駅
妹「見送りありがとね」
友「ううん……」
兄「おし、電車が来たぞ。荷物もてよ」
妹「はいはい」
友「あ、あの……!!」
兄「ん?」
妹「(よし、がんばれ!)」
友「……また、連絡……」
妹「馬鹿!!ちゃんと言うの!!」
友「あ、うん……・お兄さん……あの……」
兄「ん?」
友「―――ずっと、好きでした!!!」
兄「おぅ……そうか」
妹「それだけ!?」
アナウンス『電車がまいります。白線の内側にお下がりください』
友「……」
兄「よし、乗るぞ」
妹「ちょっと!!」
友「あ、いいから……」
妹「いや、でも……」
兄「―――待っててくれないか?」
友「え……?」
兄「きっと、ここに戻ってくるから」
妹(なんだ……)
友「は、はい……!!」
兄「じゃあ、またな」
妹「お兄ちゃんはロリコンだったね」
友「うん」
兄「お前ら好き勝手言うな!!」
―――数年後 冬
兄「―――よし。荷物の整理はこんなもんか」
友「あ、あの……これ……」
兄「なんだ、それ持ってきたのか」
友「だって……折角頂いたものだし……お兄さんと使おうって……最初から」
妹「よかったね。こんな性格の良い恋人と同棲できて」
兄「うっせーな」
友「もう……」
妹「じゃあ、早くコタツをセッティングしよう!」
友「うん!」
兄「そうだな……」
妹「―――よし。さあ、コタツさん、起動せよー」
兄「スイッチ、オン」
カチン……
友「わーい、つきましたよ」
妹「はぁー引っ越しも完了だね」
兄「んじゃ、引っ越し祝いの焼き肉でもいくか」
友「いいんですか!?」
妹「タン塩食ってもいいの!?」
兄「好きにしろよ」
妹「―――しゃ!!いくよ!!」
友「うん!」
兄「元気いいな。―――よし、コタツの電源を……」
―――カチン
兄「あ……」
妹「どうしたの?」
友「……?」
兄「いや、なんでも。じゃ、行くか」
兄「―――行ってきます」
―――いってらっしゃい。温かくして待ってます。
END
おつ!
これ犯人、放火魔ってことでいいよね?
>>192
友が放火する理由がないです
いい子なんで
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません