あかり「いい子ぶるの疲れたなぁ」(97)

あかり(あかり本当は毎日かったるくて仕方ないの。もうやめようかな、いい子ぶるの…)

結衣「あかり、おはよう。朝からゲームやってたら遅刻しそうになった…」

あかり「あはは…結衣ちゃん、ハマりだすとなかなかやめられないもんね」
あかり(別に自己責任なんだから遅刻してもあかりには関係ないけど…何アピールしたいの?)

結衣「あ、うん…セーブポイント見つけるたびに、もっといけそうもっといけそうってさ…疲れた」

あかり「そうなんだ… でも、終わったらごらく部で集まれるし授業頑張ろうね!」

結衣「んー…そうだね…」

あかり(かったるい中で結衣ちゃんの疲れたアピールを聞くあかりの方が疲れるよ)

京子「なんかあかり今日…顔、変じゃない…?」

あかり「えぇ!変じゃないよぉ!」

京子「そういう意味じゃなくて…なんか引きつってるというか」

あかり「そ、そうかなぁ」
あかり(なんでこういうときだけ鋭いかなぁ)

結衣「あ…なにか悩みとかあるならいいなよ?相談に乗るから」

あかり「うん、ありがとう結衣ちゃん」
あかり(逆に疲れるから遠慮しとくね)

あかり(あかりはね。目立たないんじゃなくて…面倒くさいから敢えて目立つのをやめたんだよ…)

-ごらく部-

結衣「あぁ…体育あるとなんか清々しいな」

ちなつ「はい!なんだかいつも以上に輝いてます!」

結衣「あはは…ありがと…」

京子「私は無駄に疲れた」

あかり「確かに体育かったるいよねー 嫌いな種目だとなんでやらなくちゃいけないんだって思う」
あかり(あはは、おつかれさま! 結衣ちゃんすごいよね、勉強も運動もできるし…)

京子「えっ…」

結衣「えっ…」

ちなつ「えっ…」

あかり「!」アセアセ
あかり(考えてることと喋ることが逆になっちゃってたよぉ!)

あかり「………なーんちゃって……」

ちなつ「また目立とうとして… 面白くないからやめた方がいいよ、あかりちゃん」

あかり「そ、そんなぁ!」

結衣「あ…そうだよね…なんか一瞬本気の顔だったから驚いた…」

京子「あかり…?」

あかり「そ、そうでーす!冗談だよぉ!」
あかり(あぶな… 積み重ねがあったから簡単にごまかせた…)

結衣「でもあかりほどのいい子がいきなりあんな感じになったら驚くね」

ちなつ「確かにそうですよね 普段悪い子がちょっといいことするだけですごい良い人に見えるみたいな」

結衣「うん…それは逆パターンだけどね」

あかり「いい子…かぁ」

結衣「やることもないし解散にするか?」

あかり(ゲームやりたいだけでしょ…)

京子「あぁうん…いいんじゃないの」

結衣「…なんだよ、いつになく真面目な顔して」

京子「別になんでもないってー 解散なら帰ろ?」

ちなつ「あかりちゃん、今日まっすぐ帰る?」

あかり「うん!まっすぐ帰るよ!」
あかり(うるさいな…どう帰ろうとあかりの勝手でしょ 結衣ちゃんにくっついてなよ うざったい)

京子「あ、あかり…」

あかり「え?なに京子ちゃん」

京子「本当に何か悩みあるなら…いいなよ?」ボソッ

あかり「きょ、京子ちゃん…?」

あかり(まさか…京子ちゃん、気づいてる…?)

京子「結衣ー 帰りにラムレーズン買って」

結衣「お前最近ラムレーズンのために私といるだろ…」

京子「えー? 結衣のこと好きだから一緒にいるに決まってるじゃん」

結衣「……///」

京子「照れてるの?」

結衣「そ、そんなわけないだろバカ」

ちなつ「むきーっ!京子先輩ずるいです!日常会話の中で告白なんて!」

結衣「いや…今の告白とかじゃないから…」

あかり「帰るなら早く帰ろうよ… いい加減かったるいから」

結衣「あ、ごめん…そうだね… って!なんだって!?」

あかり「なんでもない…ピョン!?」

ちなつ「だからつまんないよあかりちゃん」

あかり「ガーン」
あかり(あぶな…また本音が… 最近ストレスたまってるのかなぁ)

ちなつ「じゃあ私はこっちなので… また明日ー」

結衣「うん、またね」

京子「ちなつちゃん!とらすとゆーふぉーえばー!」

結衣「ずいぶん古いタイトルだな…私たちまだその頃は生まれてないよ」

あかり(とりあえず一番うざいのいなくなったから楽かな…)

結衣「あかり、なんか今日本当に変だけど大丈夫?」

あかり「え!なに結衣ちゃんまで…」

京子「んー まぁあかりとも付き合い長いからすぐに違和感が分かるというか 確かに今日おかしいよ」

あかり「そ、そうかなぁ…頭おかしい京子ちゃんに言われたくないなぁ…」

京子「…え、なに…?」

結衣「今…京子の頭おかしいとか… 確かにおかしいけど、あかり…?」

あかり「あ、あははは!ごめん!今日先に帰るね!」

結衣「待ってあかり!」

京子「あかり…」

あかり(やばやば…絶対にばれちゃったよぉ…)

あかり(とにかく今日は早く帰って気を休めよう…精神統一…澄みきった心…明鏡止水!)

あかり「ただいまぁー」
あかり(って言ったところで大体お姉ちゃんが)

あかね「お帰りあかり。暑いからのど乾いたでしょ、麦茶飲む?」

あかり「あ、うん!ありがとう!」

あかね「ちゃんと手を洗ってうがいもね?」

あかり「はーい!」
あかり(別に何も触ってないし今更手とか洗っても… いいや洗わないで)

あかね「洗ったの?」

あかり「完璧だよぉ!石鹸のにおいもするし!ほら!」

あかね「どれ… べ、別ににおいは無いわ…?」

あかり「あれ、おっかしいなぁ」

あかね「洗ってないでしょう。…お、お姉ちゃんが洗ってあげようか?」

あかり「い、いいよぉ!洗わなくても… めんどい」

あかね「め、めんどい!?」

あかり「うんめんどくさい。お姉ちゃん…洗わないと…だめ…?」キラキラ

あかね「はっ!(か、かわいい)」

あかり(はい、もらった)

あかね「い!いいわよそのままで~!」

あかり「わーい!お姉ちゃん大好きー!」ピトッ

あかね「う、うふふふ… し、幸せ…」

あかり(ちょろすぎでしょ、お姉ちゃん)

~次の日~

あかり(あぁ…なんかあんまり休まらなかったかも…)

結衣「あかりー 迎えにきたよー!」

あかり「あ、ちょっと待ってぇ!」
あかり(こんな早く迎えに来ないでほしいなぁ…HR開始2分前でいいんだけど)

京子「あかり、ゆっくりでいいからねー!」

あかり「ありがとー!」
あかり(こ、このままだとやばいかも… 京子ちゃんが完全に疑ってる)

結衣「あと5分ねー!」

あかり「うるさいなぁ… 母親かって」

あかり「おーまたせーっ!」

結衣「遅いぞあかり。早く行こう…」

京子「ん… き、気にしないでいいからね、あかり」

あかり「ううん!準備が遅いあかりが悪いよ… ごめんね」
あかり(結衣ちゃんは忘れてるっぽい こう見えてマヌケなところもあるから)

京子「あのさ、あかり… 本当に、なにもない?」

あかり「な、なにが?」

京子「気づかないわけないでしょ? 昨日、なんか言葉遣いがやたらと悪かったよ」

あかり「えっ!!」

京子「もし、あかりが本当はすごい色々ため込んでるなら…ちゃんと吐いた方がいいよ」

あかり「え、えっと……」
あかり(きょ、京子ちゃんに完全にばれてる…! ど、どうしよう)

あかり「じゃあ、言うね…?」

結衣「え、ホントになにかあるの…?」

あかり「あかり、本当はすごく心の中で色々嫌なこと考えてる悪い子なんだ…」

あかり「でも、それ言ったらみんなが可哀そうだって思って… 言わないでいるの」

京子「…うん…?」

結衣「いや、ネガティブな事をしたり、言ったりしないことを良い子っていうんだけど… 今さらにいい子になったよ」

あかり「そ、そっか…こういうのがいけないんだよね はっきり言わないと」

あかり「例えば今日は、何こんなバカみたいに朝早くから迎えに来てるんだよ… って考えてた」

結衣「うぇ!? な、なるほど…」

京子「うん、そういうことははっきり言っていいんだぞ 友達なんだから尚更」

あかり「京子ちゃん…」

結衣「なんか結構長い年月を一緒にいたあかりのイメージが…」

あかり「長い年月って言ったって、あかりは10年も一緒にいないし…」

結衣「そ、そうだよね… ごめん」

あかり「でも京子ちゃんありがとう 2人の前では、素直になるね」

京子「大丈夫だってー 気にしないでいいからムカムカしたらドンドン言えー」

あかり「じゃあ…朝からうるさい!バカ!ほっとけー!」

京子「あっはは、なんか結衣が2人になったみたい!」

結衣「え、そんなに言わないだろ私…」

-放課後-

あかり「ちなつちゃんは掃除当番で15分くらい遅れるってー」

結衣「ん、そっか」

あかり「そのまま来なくていいのにね」

結衣「そ、それは言いすぎ…」

京子「あかりー 今日なにやりたい?」

あかり「別にないかなぁ 強いて言うならだらけたい」

京子「おっ気が合うね だらけよう」

結衣「え、ホントに…?」

京子「多数決とる?」

結衣「既に負けてるからいいよ」

ガチャッ

ちなつ「ふぅ… 体育館掃除って楽に見えて1番疲れます…」

結衣「おつかれー」

あかり「えー そもそも掃除自体めんどくさいよぉ」ゴロゴロ

ちなつ「え!?」

あかり「あ…!」

結衣「あ、いやそのこれは…」

京子「ちなつちゃんにも説明した方がいいよ その方があかりももっと楽になる」

ちなつ「ど、どういうことですか?」

京子「実は…(略)…ってわけでさ」

ちなつ「あかりちゃんが…? わ、分かりました… ストレスためるのはよくないですよね…」

あかり「ありがとうちなつちゃん でもなんか胡散臭いとか思ってるでしょ」

ちなつ「お、思ってないよ?」
ちなつ(な、なんか私とかぶってない…? なんなの?)

あかり「前々から気づいてたんだけど」

ちなつ「な、なに?」

あかり「ちなつちゃんって私と同じニオイがする」

京子「えっそうなの? 嗅ぐー」クンカクンカ

ちなつ「や、やめてください… もう!」

あかり「京子ちゃん、そういうニオイじゃなくて」

結衣「あぁ…言いたいこと分かったかも」

あかり「うん、裏表があるってこと」

ちなつ「えぇ!? ていうか結衣先輩、そう思ってたんですか…!?」

結衣「思ってたというか…事実というか… 実は今それが2人になっちゃったから困惑中」

ちなつ「そ、そんなぁ…」

結衣「そうだ、あかりがもっと楽になるようクラスの皆にも説明しておこう!」

あかり「おいふざけんなテメェ」

京子「良いこと思いついた!」

あかり「こういったときは大体やばいよね 結衣ちゃん」

結衣「え、ま、まぁね…」

京子「ちなつちゃんが逆にいい子になろう!」

ちなつ「な、なんで私が…」

京子「いい子になれば結衣ももっと見てくれるかもしれないよ」

ちなつ「やります!」

結衣「え、はや…」

あかり「助かるわー あかりそろそろ目立ってもいいかなって思ってるんだよね」

結衣(そういえば最近の傾向だとちなつちゃんよりあかりの方が目立ってるような…)

京子「あかり、レッスンしてあげて いい子を演じるための」

あかり「なんかその言い方気に入らないなぁ」

京子「ご、ごめん… 長年に渡り良い子を演じ続けたあかり様の神技をどうかこの愚か者にもお伝えください…」

ちなつ「って誰が愚か者ですか京子先輩!」

結衣「ぐだぐだだよ…」

あかり「仕方ないなー サービスは嫌いなんだけど」

京子「ゆ、結衣も頼んで!」

結衣「別に頼んでも私にはメリットないし…」

あかり「そういう真っ先に損得を考えるところは好きだよ、結衣ちゃん」

結衣「あ…ど、どうも…」

-数時間後-

ちなつ「うぅ…つ、疲れたよぉ…」

結衣「お、おつかれ…」

京子「どう?なんか変われた?」

ちなつ「もちろん!教え方上手で助かっちゃったよぉ!」

結衣「前のあかりの口調だ!」

ちなつ「てへ! あ、ため口ですみません…」

京子「ううん、なんか新鮮でいいかも」

あかり「うぁーあ…疲れたー」

京子「あ、あかりさん!お疲れっす!」

あかり「お茶」

ちなつ「あ、今いれるね!」

あかり「飲み込み早くて助かったよー」

ちなつ「ううん!教え方が上手なんだよ!さすがあかりちゃんだね!」

あかり「そうかなぁー そうかもね!」

結衣「なんかある意味いつも通りだな…」

京子「重大な何かが反転してるけどね」

あかり「もうめんどくさいから教室でもこんな感じでいい気がしてきた」

ちなつ「わ、私は構わないよ…? でもいいの? 評判悪くなりそう…」

あかり「あー 別にあかりにはごらく部のみんながいてくれればいいから」

京子「あ、あかりぃ…」

あかり「それが… 仲間ってもんだろ?」

結衣「いや、なんかキャラ更に変わってるぞ…」

-後日教室-

向日葵「おはようございます。吉川さん、赤座さん」

ちなつ「おはよー!向日葵ちゃん!」

あかり「おはよ」

櫻子「いえーい!あかりちゃん!来る途中で靴下切れちゃった…また縫って?」

あかり「自分でやってよ 道具は貸すから」

櫻子「あ…す、すんませんでした…」

向日葵「え…赤座さん?」

ちなつ「あ、あのね!しばらく性格を入れ替えて演じてみようって話になったんだ?」

櫻子「あ…なるほど! あれ?でもそれだとちなつちゃんって元々は…」

ちなつ「ちょっとやりすぎてるだけだと思うよ? …ハハッ?」

向日葵「ミッキー笑い…」

あかり「あーみんなホント朝からうるさいなー」

-昼食-

あかり「うわ…ぶどうパン…きっつ…」

向日葵「干しブドウ嫌いな方って結構いますよね。私もあまり得意じゃないですわ…」

櫻子「私はなんでも食べるけどねっ!」

ちなつ「でも主食が微妙なときって副菜がおいしいよね」

あかり「それはわかる 今日もビーフシチューだし」

向日葵「ビーフシチューならフランスパンなどを合わせてほしいとは思いますわね」

櫻子「グルメぶるなよー」

向日葵「普通の感想だけど…?」イラッ

あかり「お腹すいた もう号令いいから食べよう」

ちなつ「そ、それはさすがに待った方がいいよ…?」

-放課後-

あかり「あかり部活だから行くね」

櫻子「え、待って!掃除は!?」

あかり「適当にちゃっちゃとやればいいと思うよ 箒で」

櫻子「そうじゃなくてあかりちゃんは…やらないの!?」

向日葵「赤座さん、さすがに掃除はちゃんとやっていただかないと…」

あかり「向日葵ちゃん当番じゃないのになんでいるの?」

向日葵「え…そ、それは…櫻子を待とうかと…」

あかり「あー 2人つきあってるもんね」

櫻子「な!///」

向日葵「赤座さん!冗談は性格だけにしてください///」

あかり「性格はいいんだ…」

-部室-

結衣「あ、あかり…どうだった?」

あかり「ふー…なにが」

結衣「いやその…教室の友達の反応は」

あかり「あー普通普通、別に大して変わらなかったよ」

ちなつ「け、結構驚いてたけど…」

あかり「…なんか、思ってること全部吐くのってすごく楽だけど あかりすごくいけないことしてる気がする」

結衣「あかり…?」

京子「え、ざいあくかん?」

ちなつ「あかりちゃん…(やっぱり、あかりちゃんはあの性格なんだよ…)」

あかり「あーでもこうするって決めたし…」

結衣「戻りたいなら戻って良いと思うけど… 私たち以外はただの気まぐれ程度にしか思わないだろうし」

あかり「ちょっと1日考えさせてほしい」

京子「いくらでも考えるんだよ…悩み多き美少女よ!」

結衣「いや、1歳しか変わらないし… しかも美少女って」

ちなつ「あのね、あかりちゃん」

あかり「…なに?」

ちなつ「誰もがみんな、心の中で嫌なことくらい考えてるよ」

あかり「…うん」

ちなつ「でもそれを外に出さないのも性格のうちだし、むしろすごいことなんだと思う」

あかり「ちなつちゃん…」

ちなつ「だから、あかりちゃんさえ我慢できるなら… 前の性格に戻ってほしいよ」

あかり「…ありがとう」

-あかりの家-

あかり「ただいま」

あかね「お帰りなさいあかり!手は洗わなくてもいいのよ!!」

あかり「あ、ううん… 洗うよ…」

あかね「あ、あかり…」パァァ


あかり「洗ったよ?」

あかね「どれどれ…」クンカクンカ

あかね「……」サッ クンカクンカ

あかり「お、お姉ちゃん…手だけだよ」

あかね「はっ!ごめんね!つい身体が勝手に」」

あかり(やっぱり、この方がいいや…)

あかり(お姉ちゃんちょっとしつこいけど…今日の方がなんか嬉しそうだった)

あかり(うん…あかりが我慢すればみんな楽しそうだもん…)

-後日-

結衣「あ、あかりー!迎えに来たけどゆっくりでいいから!」

京子「結衣、警戒しすぎ…」

あかり「ごめんね!ちょっと待ってー」

結衣「あれ…今ごめんねって言わなかった…?」

京子「言った…」

あかり「おまたせ!いこ?」

京子「あ、あかり…?」

あかり「うん?どうしたの?京子ちゃん」

京子「あ…いや… なんか、普段のあかりだなって」

あかり「普通ってこと!? そんなに褒めないでよぉ!」パァァ

結衣「い、いつものあかりだ…」

あかり「何言ってるの2人とも…あかりは、いつでもいつも通りだよ」

結衣「やっぱりこっちの方が…いいね」

京子「あかりはやっぱり優しい空気じゃなくちゃ」

あかり「あーっ!ひ、酷いよぉ!2人とも待ってぇ!」


~END~

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