スネーク「こちらスネーク。鷹の爪団のアジトに到着した」 (117)

スネーク「到着したんだが・・オタコン」

オタコン『何だい?』

スネーク「鷹の爪団のアジトとやらは、本当にここで合っているのか?
     百歩譲って人目を忍ぶ為の仮の姿としてもだ・・こんな小さな賃貸住宅とは信じがたいんだが」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364469573

オタコン『一番信憑性の高いデータでは、そこが拠点ってことになってるんだ』

スネーク「そのデータの出所は?」

オタコン『タウンページ』

スネーク「たうんぺーじ?」

オタコン『大企業から個人宅まで、日本中の電話番号を網羅している日本版イエローページ(電話帳)さ』

スネーク「帰っていいか?」

オタコン『待ってよ! 一応彼らの表の顔はベンチャー企業ってことになってるんだって!』

スネーク「こんなに貧相ななりで恥ずかしげも無く電話帳に載っている秘密結社に、大層な技術があるとは思えん」

オタコン『わざわざ日本まで来たのに……それに、最初に鷹の爪団に興味を持ったのは君じゃないか』

—数ヶ月前、ゴールデンアイ工業総帥・九条が起こした未曾有のテロ事件は、世界中を震撼させた。
 当初は鷹の爪団による犯行とされ、あわや全世界が彼らに降伏するところまで追い詰められたが、
 正義の味方・デラックスファイターらの活躍により主犯は九条であると判明し、ついには鷹の爪団自らが彼を倒した。

 この大事件は、オセロット達や“愛国者達”との戦いを終えて隠居したばかりのスネークの耳にも入った。
 鷹の爪団・・世界が危機に瀕する時、何故かちょくちょく名前が挙がり、なんやかんやで平和をもたらす……
 とネット界隈で噂になっているという秘密結社に、有閑を満喫していたスネークはささやかな興味を持った。
 
 鷹の爪団について調べれば調べるほど、信じがたい噂が次々に出てくる。
 サイボーグとは全く異なる“怪人”を日夜生み出しているだとか、
 天才科学者と超能力少年と大企業トップが在籍しているだとか、
 胡散臭い噂が殆どであったが、中には既存の兵器を超越する科学技術の存在を臭わせるものもあった。

 『この噂の全てが嘘っぱちとは思えない』
 伝説の英雄の直感。
 戦いを捨てた身であったが、これを終の使命と感じ、再び立ち上がった。
 彼の直感を信じ、サポートを名乗り出たのがオタコンだ。
 科学者たるオタコンは、鷹の爪団が持つという高度な技術に高い関心を寄せている。
 だが、ある一点において、二人の理念は一致していた。

 “メタルギアに匹敵する程の兵器が存在するとしたら、それは、世に放たれる前に排除すべきだ”—

スネーク「確かに切欠は俺だが・・この有様を見せられちゃ、
     “カレーからスクーターを作った”って噂の方を信じたくなる」

オタコン『あぁ、“カレーが黄色だから黄色のスクーターしか作れない”って点が変にリアルなあれか』

オタコン『でもそれなら、尚更真偽をハッキリさせた方がいいんじゃないかな?
     馬鹿馬鹿しい噂ならそれで結構じゃないか』

スネーク「……そうだな。この目で確かめて、下らん噂だったと笑い飛ばす事にしよう」

オタコン『念の為に、今回の作戦を確認しておこう』

オタコン『今回は諜報活動が主だけど、スニーキングミッションと違って見つからないよう気をつける必要は無い』

オタコン『というより、見つからないようにしてたら埒が明かない』

スネーク「鷹の爪団はあの狭いアジトで共同生活をしているらしいからな。ほぼ常に誰かが何処かに居る」

スネーク「だから俺は“他国の雑誌記者”に扮し、奴等の内情を探る」

オタコン『良好な関係を築ければ、向こうから情報を引き出し易くなる。くれぐれも怒らせたりしないようにね』

オタコン『僕はホテルに待機しているから、何かあれば直ぐにsendしてくれ。
     あ、新しいマッスルスーツとソリッドアイはどう?』

スネーク「なかなかに快適だ。スーツで多少着太りしてはいるが、厚着で誤魔化せる。
     ソリッドアイに至ってはごく普通の眼鏡にしかみえない。随分軽量化したな」

オタコン『あるジャパニメーションをヒントに開発したんだ。そのアニメみたいな麻酔銃は付けられなかったけど、
     超小型カメラでの常時モニタリングが可能で、低倍率ながら望遠と赤外線暗視機能も付いてるよ』

スネーク「望遠機能は有難いな。年を取ると細かい物が見え辛くて困る」

スネーク「・・それではこれより、潜入を開始する」

スネーク(部屋の前まで来たが・・見れば見るほど民家だ)

スネーク(……さて、潜入開始だ。頭を切り替えるか)

   ピンポーン♪

???「ひぃっ!?」

スネーク(ん? いま中から、情けない悲鳴が聞こえた気が)

???「よよ吉田君、お客さんじゃぞ。見てくるんじゃ」

???「嫌ですよ! 大家のババアだったらどうするんですか!」

???「ええい、じゃあ居留守を決め込むぞ」

スネーク(俺を大家と思っているらしいが、この怯え様・・間違いなく家賃滞納しているな……)

スネーク「こんにちは。雑誌記者のイロコィ・プリスキンと言う者ですが」

???「ひぃっ……って、ん? 雑誌記者?」

???「総統、記者ってことは取材の申し込みですよ! 臨時収入ですよ!」

???「おお! 吉田君、早く中へお通しするんじゃ!」

   ガチャッ

スネーク(・・何だ? この覆面をした子供は)

吉田「さささ、どうぞどうぞ中へ! あ、すぐに飲み物も用意しますね」

スネーク(この内装・・俺達の取ったビジネスホテルの方が綺麗じゃないか)

総統「いやぁ、外国の方ですか。遠路はるばる鷹の爪団へ、ようこそいらっしゃいました」

スネーク「……」

   [send]

スネーク『オタコン、喜べ。お前の好きな“コスプレ”とやらをした大人が居るぞ』

オタコン『ぼ、僕はコスプレマニアじゃないし、大の男の低レベルなコスプレに興味は無いよ!』

   ブツンッ!

スネーク(すまん、オタコン・・ふざけないと馬鹿馬鹿しくてやっていられなくなったんだ)

吉田「粗茶ですが・・あ、砂糖はご自由にどうぞ。
   島根にある僕の実家から、さとうきびが大量に送られたばかりですから」

スネーク(これは、ニホンチャ? ……うっ、味が薄過ぎる。
     砂糖がどうのと言っていたが、砂糖を入れる以前の問題だ)

総統「えぇーと、色恋鰤鋤さん」

スネーク「イロコィ・プリスキンです」

総統「プリスキンさん、本日は何の取材で、我が鷹の爪団に?」

スネーク「数ヶ月前起こったゴールデンアイ工業による大事件・・
     その陰で活躍したという貴方がたについて、是非取材させていただきたい」

総統「おぉ、その件についてですか! よかった、やっと記事になってくれるようじゃ」

吉田「今までに取材のアポはありましたけど、どいつもこいつも博士を怒らせて、取材どころじゃなかったですもんね」

スネーク「! あの、『博士』という方はどちらに?」

レオナルド「おう、呼んだか?」ワフワフ

スネーク「……」

   [send]

スネーク『オタコン』

オタコン『……着ぐるみだよ、うん』

スネーク「あぁ、実によく出来ていますね、この“熊”の着」

レオナルド「俺は熊じゃねぇーっ!!」ガオオッ!!

スネーク「!」

   ガシッ!

スネーク「ふんっ!!」

   ブオンッ!

レオナルド「ぶべらっ!?」ビターンッ!

吉田「博士ーっ!」

スネーク「失礼。急に襲い掛かってきたので、つい」

総統「あ、あぁ・・脊髄反射とはいえ先に手を出したのはこっちですから、お気になさらず……」

レオナルド「おい、テメェ……」

総統「は、博士、喧嘩を売るようなことは」

レオナルド「バッカ、違ぇよ。・・今の手際、なかなか見事だったぜ。俺の負けだ」

スネーク「そいつはどうも」

スネーク(掴んだ時の、筋肉と毛皮の感触……コイツ、着ぐるみなんかじゃない)

吉田「プリスキンさん、博士は自分の容姿の事を言われると脊髄反射的に見境なく襲ってくるので気を付けてください」

スネーク「・・知ってる」

スネーク「では密着取材は明日からということで」

総統「よろしくお願いします」

スネーク「最後に、ずっと気になっていたんですが・・
     あの、血色がブルーベリーの子供と、全身が半透明の男性は……」

吉田「やべっ。フィリップを幽霊にしたまんまだった」ピッ

フィリップ「吉田サーン……」パッ

スネーク「カラーになった!? それに『幽霊にしたまま』というのは、一体」

吉田「それは話すと長くなるんで明日聞いてください。まぁ一言で言うなら、
   アイツは何度も死んじゃうようなダメな奴ってことです」

スネーク「死?」

レオナルド「あと菩薩峠の事は気にすんな。アイツはあの肌色が普通なんだよ」

スネーク(アレが普通だと? 死体の方がまだ血色がいいぞ)

   [call]

オタコン『とりあえず、接触は出来たね』

スネーク「ああ。だいぶ面食らったがな」

スネーク「・・今日はもう休んでいいか? 驚き過ぎて疲れた」

オタコン『僕もだよ・・明日から頑張ろう』

短いですが一旦切ります。明後日あたりに再開する予定です。
細かい事は気にしない

酉テスト。ついているかな?
次レスから再開します

—翌日—

スネーク「……ほぉ」ピッピッピッピッ

フィリップ「あ、アノ……」パッパッパッパッ

スネーク「ハッ・・面白さについリモコンを連打していた」

スネーク「生体と霊体を切り替えるなど、SF小説の様だが・・実際に見せられては、信じざるを得ない」

レオナルド「どうだ、俺の技術は」

スネーク「驚きました。噂に聞いたんですが、カレーからスクーターを作ったというのは」

レオナルド「本当だぜ。今日だって、中途半端に残ってた福神漬けからワインレッドのポルシェを作ってやった」

吉田「すっげー!」

スネーク(ここまで来ると、科学というより魔術だな)

吉田「博士、せっかくだから怪人製造マシンも公開しちゃいましょう」

スネーク(怪人製造マシン!?)

総統「吉田君、むやみやたらに情報を晒すのは流石にマズイんじゃないかね」

吉田「大丈夫ですよ。どうせ博士以外には再現できない技術なんですから」

レオナルド「プリスキンも気の済むまで写真を撮っていいぜ。
      吉田の言う通り、写真から推測できるようなちゃちな技術なんて使ってないからな」

スネーク「そこまで言うなら・・今この場で怪人を作る事は可能ですか?」

レオナルド「そう来ると思って、もう作ってある」

吉田「博士天才過ぎぃっ!」

スネーク「いや、『今この場で作ってほしい』と言ったんだが」

レオナルド「コイツがその怪人、“起菌(おきん)カイナ”だ!」

スネーク「・・角が生えている以外は、 二十歳前後の普通の女性にしか見えないが」

レオナルド「プリスキン、ちょっとそこに寝っころがれ。寝た振りでいい」

スネーク「……こうでいいのか?」ゴロンッ

カイナ「ねぇ、起きて。朝だよ?」

総統「起菌さんがプリスキンさんに声をかけとるだけじゃな」

カイナ「起きてって……おい、朝だっつってんだろ? 何シカトぶっこいてんの? あ゛?」

総統「ちょっと口調がきつ」

カイナ「起きんかゴルァ!! しばくぞテメェ!!」バシバシバシバシッ!

総統「平手打ちの嵐!?」

レオナルド「寝坊を言い訳に朝のゴミ出しを俺に押し付けようとする吉田の為に発明したんだ」

吉田「道理で僕好みの大和美人だと思いました。グーでなく平手で叩くなんて奥ゆかしいですね」

スネーク(目覚まし時計を買えば済むだろう!? いつまで叩くんだこの女!!)

スネーク(CQCを見舞ってやろうと起き上がった途端にピタリと黙った・・何なんだ、本当に)

吉田「どうですこの技術!」

スネーク「技術云々よりも、もっと実用性のあるものを作った方」

吉田「あ、良い事思いついた。記事のアオリは『鷹の爪団の科学力は世界一ィィィッってやつだ!!』で是非」

スネーク「……」イラッ

   [call]

オタコン『スネーク、怒ったら負けだよ』

スネーク『……分かっている』

スネーク「アオリ文はさておいて、今度こそ実際に目の前で怪人を」

???「はーっはっはっは! 今日もお前達の作戦は失敗だー!」

総統「ぬう、この声は!」

DF「そぉーだ、デラックスファイターだ!!」バァーン!

スネーク「……」

   [send]

スネーク『オタコン・・確か、デラックスファイターってのもデータにあったよな?』

オタコン『あ、うん・・鷹の爪団とセットと言っていい、それくらい敵対してる“正義の味方”って存在らしいけど……』

スネーク『“ヒーローごっこ野郎”と書き換えておけ』

DF「あ? 何だ、そこのじいさんは。新しい怪人か?」

総統「ふん、何でもかんでも怪人扱いとは単純な奴じゃ」

吉田「この人は、俺達の活躍と技術力を世に広めんと馳せ参じた雑誌記者だぞ。頭が高ぁーい! 頭が高い!」

スネーク「頼むからこれ以上ふざけ」

DF「お前らの活躍だぁ? いつ活躍したってんだよ」

吉田「いつって、九条の時のアレだよ」

DF「あれは九分九厘俺の活躍だっただろうが。俺が九条に気付かなけりゃ、お前ら戦犯になってたんだからな」

吉田「いいや、鷹の爪団の捨て身の潜入が五分は占めるね。残りの五分はコンドルのお陰」

DF「何が潜入だ。バイトだって騙されて、のこのこ出向いた挙句に拉致られただけだろうが」

スネーク(・・一時でもこいつ等に敬語を使った俺が馬鹿だった)

DF「つーかお前らの活躍はどうでもいいんだよ。取材ってんなら俺にしろ」

スネーク「ああ・・では彼らの後に取材させてもらおう」

DF「おい、俺を後回しかよ」

スネーク「後回し? 俺は彼らに用があって来たんだから、当然の順番だ」

DF「だからこいつらの活躍はどうでもいいだろ」

スネーク「どうでもいいかはこちらで判断する」

DF「このジジイ……デラ」

総統「ま、待て待て! 民間人にデラックスボンバーを撃つ奴があるか!」

DF「おっと危ねぇ・・雑誌記者を吹っ飛ばしてマスコミを敵に回しちゃ、商売上がったりだ」

DF「しょーがねぇな。俺の特集記事組んだら許してやるよ。何なら私生活の密着取材もしていいぜ」

吉田「欲に塗れた薄汚い素顔を載っけるなんて、雑誌一つ廃刊に追いやる気かよ」

DF「デラックスボンバー!!」ビカーッ!

総統「吉田くーん!!」

   ドガァーン!!

DF「ふん、これで俺の凄さが……なっ!?」

DF「何でジジイだけ無傷なんだよ!? まさかテメェもヘルシータイガーみたいにアレを弾くってのか!?」

スネーク「弾く? そんなこと出来るわけないだろう。俺が無傷なのは・・博士のお陰だ」

————
——


DF「デラックスボンバー!!」ビカーッ!

スネーク「なっ!?」

レオナルド「プリスキン!」ドカッ!

スネーク「博士!?」ヨロ…ドサッ


——
————

スネーク「博士・・何故あの時、俺を庇った」

レオナルド「……オメェは、俺の牙から逃れた唯一の男だからな。吹き飛んだりしちゃ惜しいだろ」

吉田「博士・・自己犠牲キャラじゃないのに、それでもプリスキンさんを……」

スネーク「掌からビームとはな・・驚いた。レールガンでもないのに、大した威力だ」

スネーク「だが、もう見切った」

DF「何だと?」

スネーク「何ならもう一発撃ってみるか? ん?」

DF「安い挑発しやがって……俺は金払いは良い方だからな、いくらでも買ってやるよ!」

DF「デラックス・・」スッ

スネーク「!」ダッ!

レオナルド「速ぇ! もう間合いを詰めた!」

スネーク(掌から撃つと分かれば、発射前に叩けばいいことだ。
     攻撃は直線的だし、ご丁寧に技名を叫んでから撃ってくれるから、造作も無い)

   ガシンッ!!

DF「いっ、痛てててててっ!!」

総統「あっという間にデラックスファイターの腕を捻り上げた・・何て人じゃあ」

DF「お、俺の負けだ! 痛っ・・だから解いてくれ、頼む!」

スネーク「・・いいだろう」パッ クルリ

DF(馬鹿が、背中を見せたな!)スッ

スネーク「止めておけ。今度こそ腕が無くなるぞ?」

DF(! コイツ・・分かっててわざと背中を向けやがった!?)

DF「……くそっ! 止めだ止めだ! 俺は帰る!!」

総統「あぁあぁ手荒にドアを閉めて出て行きおって。壊れたら弁償するのはわし等なんじゃぞ」

吉田「プリスキンさん、言っておきますけどアイツの言う事は嘘か見栄だと思った方が良いですよ。クズの鑑ですから」

スネーク「・・知ってる」

—夜—

スネーク「モニタリングしていた映像の分析は進んでるか?」

オタコン「やってはいるけど・・レオナルド博士の言う通り、画像から推測できる範疇を超えてる」

オタコン「君が撮ってきてくれた細部の写真を見ても、手がかりすら見出せない。
     そもそも・・これの材料って、本当に100円の品ばかりなのかい?」

スネーク「そうらしい。“あんな芸当”を見せられては、もう疑う気も起きん」

オタコン「君の目の前で、水垢から日本刀を作っちゃったものね・・物理法則を完全無視だよ」

スネーク「昨日今日と潜入を試みたが・・あいつ等の科学力だけは本物のようだ」

オタコン「あれを科学と言われたら僕の立つ瀬が無いんだけど・・高過ぎる技術力は確かにあるね」

スネーク「だが、あいつ等に世界征服が実現できるとは思えない。
     今迄、ありとあらゆる人間を見てきたが、あんなのは初めてだ」

スネーク「覇気の無いリーダーと、徒に無能な怪人を作って喜ぶ団員・・子供のお遊戯の方がまだ纏まりがある」

スネーク「当初の予定よりも早めに調査を切り上げて問題なかろう」

オタコン「そうだね。空いた時間は観光に有効活用しようかな」

—翌日—

スネーク(今日の結果次第では、これが最後になるかもしれんな)

   ワイワイガヤガヤ……

スネーク(ん? 何やら賑やかな声が漏れ聞こえる)

吉田「じゃあ目からビームとか撃てちゃうんですか!?」

???「ビームは流石に備えていないな。だが力には自信がある。ほら」

総統「おお! フィリップを指一本で持ち上げた!」

レオナルド「これが巷のサイボーグ技術か。俺の技術にゃ劣るが、まぁなかなかだな」

スネーク(この声・・しかも『サイボーグ』だと? まさか……)

   ガチャッ

吉田「あ、プリスキンさん」

???「プリスキン?」クルッ

スネーク「どうしてお前がここに」

スネーク(間違いない、雷電だ!)

総統「プリスキンさん、ジャックさんとはお知り合いですかな?」

スネーク「・・ああ。以前“職場”が一緒になったのが縁で、今でも付き合いがある」

雷電「こんな所でプリスキンさんと会うとは、驚きました。そちらは、どうしてここに?」

スネーク「雑誌記者として、ちょっと取材をしに。そういうお前は?」

吉田「ジャックさんは、鷹の爪団への入団希望者ですよ」

スネーク「何?」

吉田「何でも、サイボーグって理由でまともな職場に就けないから、いっちょ世界征服でもしてやるかーって」

スネーク「ちょ、ちょっと待て。少しの間、コイツを借りるぞ」

スネーク「どういうつもりだ、雷電」

雷電「……まさか、さっきの彼の言葉を信じてるんじゃないだろうな」

スネーク「あいつ等と一緒にするな。何故“入団希望者”と偽ってまで、奴等に接近している」

雷電「・・鷹の爪団が隠し持つという、凶悪な殺戮兵器の正体を暴く為だ」

スネーク「殺戮兵器? そんな物の存在など、少しも見受けられなかったが」

雷電「巧妙に隠しているんだろう。俺はそれを突き止める為に、嫌々入団希望者に扮しているだけだ。
   あんたは、本当にあいつ等で雑誌の特集を組む気なのか?」

スネーク「まさか。鷹の爪団の気になる噂を耳にして、調査をしているんだ」

雷電「噂?」

スネーク「既存のサイボーグ技術やメタルギアすら凌駕する技術の存在を臭わせる噂だ。
     カレーからスクーターを作ったなんて馬鹿げた話もあったが、ガセネタじゃなさそうでな」

雷電「カレーからスクーター……」

スネーク「言っておくが嘘じゃ」

雷電「いいや、信じるさ。そんな馬鹿げた技術力があってこその鷹の爪団だ」

スネーク「奴等について随分と詳しそうだな」

雷電「クライアントから、あれこれ聞かされただけだ」

   [send]

スネーク『雷電の話、どう思う』

オタコン『個人的な心象だと、有り得ないかな。彼等の技術は確かに凄いけど、
     その技術を世界征服に活かすだけの知恵と機会があるとは思えない。あったらとっくに征服してるだろうし』

スネーク『俺も同意見だ。・・だが、もう少し鷹の爪団を注意深く調査する必要が出てきた』

スネーク『使用者が馬鹿なだけで、何かの弾みで悪性兵器自体は生み出されているかもしれない・・
     その危険性に気付かされたよ』

オタコン『じゃあ、もう少し潜入を続けるかい?』

スネーク『ああ。もしもそんな兵器が実在するようなら、雷電のクライアントには悪いが、
     こちらで破壊させてもらうことにしよう』

スネーク『サイボーグにスパイをさせる様な客だ。“正体を暴く”だけで穏便に済むとは思えんからな』

吉田「やっと戻ってきた。待ちくたびれたから皆で島根の良い所を言い合いっこしてましたよ」

総統「言い合いっこというか、一人ひとつ言ったら終わってしまったが」

総統「さて、プリスキンさん、今日はどんな感じで取材を進めますかな」

スネーク「そうだな、今日は」

DF「あっ、まだ居やがったのかこのジジイ!?」

総統「デラックスファイター!? 一体今日は何の用じゃ!」

DF「正義の味方が悪の秘密結社に乗り込むっつったら、理由はひとつだろ」

DF「デラックスボンバー!」ビカーッ!

総統「まだ何もしてないのにー!」

   ドカァーン!!

DF「ジジイは避けたか・・まぁ他は吹っ飛ばせたしスッキリしたぜ。イライラした時はコレに限る」

雷電「ぐっ・・不意打ちとは汚い奴だ」

DF「ん? 誰だお前。万が一民間人ってなら、今の事は黙っとけよ」

雷電「・・正義の味方が、とんでもない言い草だな」

   ガシッ

DF「おい、なに人の胸倉掴んでんだよ」

雷電「目障りだ」

   ブオンッ!!
   ガシャーンッ!!

DF「わあああぁぁぁぁぁ……!」ビューン!

吉田「デラックスファイターがお星様になっちゃいました!」

総統「あああ・・窓ガラスが・・修理代が……」

総統「いやぁー、窓ガラスの修理代だけでなく、こんな豪華な昼食まで奢ってもらえるとは」

雷電「只のコンビニ弁当ですよ」

吉田「こんな文化的な食事、僕達だけじゃ滅多に食べられませんよ」

スネーク「日頃何を食っているんだ」

吉田「干草です」

スネーク「そ、そうか……」

雷電「こんなのでよければ、いつでも奢りますよ」

吉田「まままマジっすか!? マジっすか!? ジャックさん最高です!」

スネーク「日本のコンビニ弁当とやらはなかなか良いな。味も悪くない」

雷電「このくらい普通でしょう」

スネーク「おいおい、お前の嫁さんの料理を忘れたか?」

雷電「……あぁ、そうでしたね」

吉田「『嫁さん』って、ジャックさん結婚してるんですか?」

雷電「・・言いませんでしたっけ」

吉田「総統、こいつリア充ですよ! 金持ちでイケメンで嫁が居るなんて、リアルが充実しきってます!」

総統「恵んでくださる入団希望者様に『コイツ』は失礼じゃぞ吉田君!
   それに結婚なら、わしだってしたことあるし、珍しくは無かろう」

スネーク「アンタが、結婚?」

雷電「……」

総統「・・二人とも、何で宇宙人でも見るかのような目でこっちを見るんじゃ」

—夕方 街中—

DF「クソッ、あの野郎、人をスーパーボールみてぇに思い切り飛ばしやがって!
   気合で浮かび上がれたからよかったものを、危うく顔面複雑骨折するとこだったぞ!」グチグチ

コンビニ店員「あぁ、デラックスファイター!? 丁度いいとこに! 強盗を捕まえてくれ!」

DF「やだよめんどくせぇ」

店員「あんた正義の味方だろ!? カラーボールぶつけてるからそれを目印に、
   インク塗れの奴を捕まえてくれればいいんだよ!」

DF「インクで汚れた服とか、着てる奴いっぱい居んだろ。ファッションにかぶれた若者とかよぉ」

店員「何だよその屁理屈! もういいよ、アンタには頼ま」

雷電「失礼・・その強盗というのは、コイツのことですか?」グイッ

強盗「い、痛ぇっ! もう逃げねぇから、腕放してくれよ!」

DF「! テメェ、さっきはよくm」

店員「あぁ! ソイツです!!」

雷電「挙動不審だったので声をかけたら襲い掛かられて……とりあえず警察を呼んでくれますか?」

警察官「ご協力ありがとうございました」

雷電「いえ」

店員「本当に助かりました。貴方こそヒーローですよ!」

通行人A「さっきの見たか? あの外人、片腕で強盗のおっさんを放り投げてたぞ」

通行人B「やっべー、よく見たらサイボーグじゃん! 生サイボーグ、ポイポンで写メっとこ」

通行人C「何あのイケメン! 記念に呟いとこ」

   ワーワー! キャーキャー!

DF「……」ポツーン

DF「何だよ・・俺だって本気出しゃあ、あんな強盗、屁でもねぇってのに」

—夜—

オタコン「さっきサニーから連絡があったんだけどね、日本のネット上で雷電の事が話題になってるみたいだよ」

スネーク「雷電が?」

オタコン「日本の短文投稿サイトに、雷電がコンビニ強盗を撃退したって話題が写真付で投稿されてるんだ。ほら」

スネーク「大勢の人間に囲まれているだけの写真じゃないか」

オタコン「撃退の瞬間の写真は無いけど、“ハンサムでメカっぽい外国人が片手で強盗を撃退した”から注目されてるのさ」

スネーク「成る程な。それにしてもこんな情報まで仕入れてくるとは、サニーはよほど雷電の事が好きらしい」

オタコン「・・彼女は元々ネットの世界の住人だし、あの年頃の子はこういった旬の話題に敏感だから・・
     たまたまだよ、きっと」

スネーク「……」ニヤニヤ

オタコン「何だいその顔は! 別に、何となく寂しいとか……とにかく他意は無いからね!」

スネーク「悪かった悪かった。……それより・・雷電の奴、どことなく雰囲気が変わった気がするんだが」

スネーク「この写真にしてもそうだ。見ず知らずの人間に囲まれて騒がれているにも拘らず、穏やかに笑えている」

オタコン「そう言われれば……彼は複雑な環境で生まれ育ったから、気難しい所があるのに」

オタコン「僕としては、家族を持って多少性格が丸くなったんだって考えたいけど・・君は違うみたいだね」

スネーク「アイツには“愛国者達”の件もあるからな。つい勘ぐってしまう」

オタコン「念の為、最近の彼について調べられるだけ調べてみるよ。疑ったままじゃスッキリしないだろう?」

スネーク「あぁ、頼む」

キリが良いのでここで一旦切ります。
明日はもう少し早い時間から更新する予定です

—翌日—

総統「ジャックさん、ホテルからの通いじゃあ面倒じゃないかね。お金もかかるだろうし、
   鷹の爪団に慣れる為にも、今日からはここで寝泊りしてはどうかな?」

雷電「いいんですか? ・・なら、お言葉に甘えて」

スネーク「……」

—夜—

吉田「うーん……貴方の為に歌う事が、こんなにも辛い事だなんて……」ムニャムニャ

雷電「……」コソコソ

雷電「さて・・やるか」



スネーク「何をやるって?」

雷電「!?」

スネーク「動くな。明かりも点けずに、怪人製造マシンで何をする気だった」

雷電「ナイフなんか構えて。脅しているのか?」

スネーク「質問に答えろ」

雷電「ふっ。そんな体で、サイボーグに敵うものか」

スネーク「・・お前」


総統「どうもトイレが近くなってイカン。これも歳の所為かのぉ・・」ヒョコッ

総統「えぇっ、プリスキンさん!? 何でここに!?」

雷電「! 総統・・起きてたんですか」

総統「あ、いや、変な時間に目が覚めてしまっただけなんじゃが・・それより、二人とも何を」

吉田「あれ、この目覚まし時計、動くぞ……?」

総統「吉田君!?」

吉田「ハッ……え、総統? 耳障りな声で鳴る目覚まし時計を叩き壊してやろうとしてたのに、時計はどこに?」

総統「それ、わしの事を言ってるんじゃないだろうね?」

吉田「すいません寝ぼけてました」

総統「否定はしないんじゃな」

吉田「あぁっ!? どうしてナイフを持ったプリスキンさんがここに!?」

総統「あ、そうじゃった! この状況は一体どういうことですか!?」

雷電「この人、そこの窓から忍び込んだんですよ。たまたま俺が気づいて声をかけたら、いきなり刃物を」

スネーク「……」

総統「窓からって・・本当ですか、プリスキンさん」

スネーク「……いや、違うな」

スネーク「俺は、“玄関”から入った」

総統「玄関から?」

スネーク「無用心にも鍵がかかっていなかったんでな」

吉田「あぁ、しまった」

総統「吉田君、また戸締りを忘れたのかね!?」

吉田「盗られる物なんて無いからいいかなって常々思ってたんで、うっかりしてました」

総統「それはうっかりというより故意じゃろう」

スネーク「盗られる物なんて無いなら、俺が忍び込む理由だって無いよな?」

吉田「それもそうですね」

総統「しかし、そのナイフは・・」

スネーク「これは只のナイフじゃない。“スタンナイフ”だ」バチバチッ

吉田「何すかそれカッケー! すぐに博士に作ってもらおう!」

レオナルド「うるせぇなぁ吉田! うるさくて目が覚めちまった所為で、
      寝ぼけてライフル一丁作っちまったじゃねぇか!」ヒョコッ

吉田「狩られる側の博士が銃を背負ってるなんて、とんでもない矛盾だ」

レオナルド「そりゃどういう意味だ」

吉田「ハッ! また寝ぼけてた! 何を言ってたか全部忘れました!」

総統「ちょっとうるさいよ吉田君! こんな時間に騒いでいると大家さんに知れたら怒られてしまうぞ」

吉田「すみません。・・で、何の話をしてたんですっけ?
   あ、部屋の電気の点け忘れについてでしたね。今、点けに行きます」

雷電「・・つくづくと嫌になる馬鹿さだ」ボソッ

吉田「馬鹿って何ですか馬鹿って」

雷電「はっ、つい本音が・・」

吉田「電気を点けたら馬鹿呼ばわりってドケチですか、まったくもう。
   そこまで言うならもう切りますよ」

レオナルド「待て吉田。・・おいジャック。オメェが右手に持ってるもん、そりゃ何だ」

雷電「これですか? ここに落ちてたんですよ」

レオナルド「俺はそんなUSBメモリ持ってねぇよ」

雷電「総統や吉田さんのかもしれないじゃないですか」

レオナルド「ごく潰しのこいつ等に、そんなもん買う金があるわけねぇだろ」

雷電「・・そこの二人とは違って、なかなか面倒な人だ」

スネーク「お前・・本当に雷電か?」

総統「『雷電』……?」

スネーク「そもそも『仕事に就けない』というのは嘘だろう。
     お前には新しい仲間が居て、全く別の案件に就いている筈だ」

雷電「・・調べたのか」

スネーク「オタコンがな。お前に職を与えたボリスって奴とも連絡はとれている。
     あちらさん、数日前からお前が突然消息不明になったって心配してたぞ」

スネーク「何より・・浅い付き合いじゃないからこそ分かる。今のお前は、俺の知る雷電じゃあない」

雷電?「……やはり記憶を頼りに成りすますのは限界があるか」

スネーク「何だって?」

雷電?「貴様の言うとおり、私は雷電ではない。ちょっとこの義体(ボディ)を借りてはいるがね」

スネーク「ボディを借りているだと? 何者だ、貴様」

雷電?「フェンダーミラー・・と言えば、分かるな?」

総統「フェンダーミラーじゃと!? そんな筈はない!」

スネーク「フェンダーミラー・・かつて世界を二度に渡って征服しようとした、某国の元軍人か」

総統「わし等との二度目の戦いで、奴はわしを道連れにしようと自爆したんじゃ。無事な筈が無い!」

フェンダー「自爆したのは“オリジナル”だ。私はオリジナルのクローンで、唯一の生き残り」

スネーク「クローン……随分と穏やかじゃない話だ」

フェンダー「完全体まであと一歩というところで、貴様ら鷹の爪団によってオリジナルの野望は潰えた。
      何とかピースボールから逃げ出して地球へ降り立ったはいいが・・
      完全体に成りきれていなかった私の体は、直ぐに悲鳴を上げた」

フェンダー「行き倒れていた私は、偶然にもサイボーグ技術者に拾われ、改造の実験体になる事を条件に生き延びた」

フェンダー「しかし、与えられたボディの出来はお粗末。これでは、お前達には勝てない」

フェンダー「更なる改造を施したかったが、金があるわけでもない。
      考えた末・・私はボディを捨て、インターネットという大海に身を投じる事にした」

吉田「インターネットという“大会”? 会話は全部二進法で、ニッチな話題の掲示板で自演自作をして
   いかに勢いを粉飾決算できるか競うアレですか」

総統「そんな大会があるのかね!?」

レオナルド「バカヤロ! コイツが言ってるのは、自分の精神をインターネット上に移し変えたって事だ。
      ネットに魂を移し変えて、正真正銘“ネットの住人”になっちまったってことさ」

スネーク「馬鹿な・・脳まで捨てては、自我が残る筈が無い」

吉田「僕達もネットの世界に入り込んだ事はあるけど、脳は現実世界にきちんと残しときましたもんね」

総統「博士のモチベーションのせいで、“ネットの中で死ねば現実世界でも死ぬ”という恐怖に晒されはしたがのう」

スネーク「・・何やら、VR訓練とはまた違う技術のにおいがする会話だな」

吉田「詳しくは『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE�〜私を愛した黒烏龍茶〜』をチェック!」ビシッ!

総統「吉田君、これは劇場版とかじゃないから宣伝は控えるように」

スネーク「とにかくだ、どれだけよく出来ていようと・・
     お前は、フェンダーミラーのクローンとやらが残したプログラムに過ぎない」

吉田「僕の宣伝広告をまるっとスルーするなんて、何て肝っ玉だ」

フェンダー「……言われてみれば、そうかもしれない」

吉田「え、僕の宣伝がそんなに魅力的だって?」

総統「誰もそんな事言っておらんじゃろ! プラス思考にも程があるわい!」

フェンダー「だが・・それが何だ? “私が何者か”など関係無い」

フェンダー「オリジナルの文化的遺伝子(ミーム)を引き継いだ“私”が成すべき事は、
      憎き鷹の爪団の殲滅と、世界征服だ」

総統「わし等を殲滅しようとするなら、何故『わし等の仲間になる』などと言ったんじゃ」

フェンダー「お前達を油断させる為だ。オリジナルの体験の全てはデータ化され、随時クローンの脳に送られていた。
      過去のデータを見るに、お前達に技術で対抗するよりは内側から壊す方が安全だと判断した。
      たった数日で私をここに泊めるまでになった、その警戒心の無さ・・思わず哂いそうになったぞ」

フェンダー「後は、お前達が大量殺戮兵器を作っているかのような証拠を捏造し、頃合を見て私が貴様等の首を取る。
      疑われないよう、大衆の人気取りもした。こうしておけば人殺しも“悪を討つヒーロー”だ」

フェンダー「ちょうど良い“広告塔”が居る内に・・と捏造を急いだのが裏目に出るとは」

スネーク「広告塔というのは俺のことか?」

フェンダー「そうとも。“ソリッド・スネーク”・・いや、“オールド・スネーク”か」

吉田「そりとスネーク? そりを引くのはトナカイだろ、バカだなぁ」

フェンダー「ソリッド・スネークだ。SOP・・サンズ・オブ・ザ・パトリオット壊滅の立役者」

レオナルド「SOP『壊滅』だ? あれはシステムがハッキングされたからやむなく“廃止”したんだろ」

総統「大体ソリッド・スネークというのは何なんじゃ? この人はイロコィ・プリスキンさんじゃないのか」

フェンダー「“廃止”の話もプリスキンの名も、全ては偽りだ。私はこのボディの持ち主の記憶を読んで知ったが、
      このボディも、そこの男も、随分と面白い体験をしてきているじゃないか」

フェンダー「一時は犯罪者の汚名を着せられたようだが、お前を“伝説の英雄”と崇める奴は少なくない。
      お前ほどの人間が一言“鷹の爪団の大量殺戮兵器”について言及してくれれば、世間に“波紋”が生まれる」

フェンダー「投じられたものが真実だろうと虚構だろうと関係ない。噂の波は瞬く間に広まる。
      その波紋を絶やさぬよう、私が更なる虚構を投げ込んでいく」

スネーク「そして“波紋”はやがて“世論”という、鷹の爪団を飲み込む大波へと変貌する……」

フェンダー「私だけはその大波から逃れる算段をつけていたが・・もう、どうでもいい」

総統「貴方は一体・・何者なんですか、プリスキンさん」

スネーク「話は後だ。俺は、フェンダーミラーを倒さなければならない」

フェンダー「ほう、私を殺す気か? 言っておくが、頭を潰せば殺せるなどと短絡的な発想はするなよ」

フェンダー「精神は私が支配しているが、ここ(頭)にある脳自体は雷電とかいうコイツのものだ。
      傷つけようものなら、その時は雷電を道連れにさせてもらう」

フェンダー「ようやく手に入れた、至高のボディ・・強化骨格と鋼の筋肉の前では、貴様等など敵ではない」

フェンダー「それでもまだ貴様等は、“人に地球に優しい世界征服”などという寝言を言うつもりか?」
 
総統「・・ああ、何度だって言ってやるわい」

総統「わし等の世界征服は、下らん国境を取り払って世界をひとつに結び、
   疑いもいがみ合いも、傷つけあうこともなく、格差を無くし、
   誰の子供も自分の子供と同じくらい愛せるようにする為のものじゃ」

総統「お前の様な、青二才の二番煎じに世界を私物化させては、鷹の爪団の名が廃るわい!」

スネーク「……」

フェンダー「・・話の通じない奴だ」

   ガシッ!!

吉田「うわぁっ!?」

総統「吉田君! フェンダーミラーめ、吉田君を放せ!!」

フェンダー「軽い・・首を掴んで持ち上げているというのに、羽毛を掴んでいるかの様だ」

吉田「うぅっ……」

フェンダー「どうだ、私の恐ろしさが分かったか?」

吉田「この・・」

フェンダー「む?」

吉田「この・・うんこ野郎……!」

フェンダー「……死にたいのか」

フェンダー「このまま首を折ってもいいが・・貴様の頭をサンドバッグ代わりに殴ってみよう」

吉田「わあああ許してください! エッチな本を差し上げます! エッチな本を差し上げます!」

フェンダー「原型が残るかどうか見物だな」グッ

スネーク「止めろ!!」



DF「デラックスボンバー!!」

フェンダー「ぐあっ!?」ヨロヨロ

総統「今のうちにこっちへ!」

吉田「島根の情景が走馬灯のように流れかけました・・でもどうして、窓の外からデラックスボンバーが」

DF「感謝しろよ吉田」

総統「デラックスファイター!? 何で当然の顔して窓から入ってくるんじゃ!」

DF「近くを通りかかったらお前等の騒ぎ声がしたんで、何事かと思って覗いてたんだよ。
   そしたらこいつが吉田をぶん殴ろうとするのが見えたから、つい助けちまった」

総統「正義の味方なら常に助けるスタンスでいてほしいもんじゃが」

DF「ごちゃごちゃうるせぇな。それよりもこの状況を三行で説明しろ」

吉田「入団希望者でサイボーグのジャックさんはあのフェンダーミラーのクローンに体を乗っ取られていて
   俺達の殲滅と世界征服を企んで俺達に近づいたんだけれど色々あってばれた末に俺の首根っこを掴んで
   俺の頭をぶっ潰そうとしたところへデラックスファイターがタイミングよくデラボを放ったってわけだよ」

DF「なるほど」

総統「ホントに分かっとるのか?」

DF「“俺が活躍した”って分かればいいんだよ」

フェンダー「又も不意打ち……だが、まだだ! まだ終わってない!!」フラッ

スネーク(全く効いていないというわけでは無さそうだな……)

スネーク「博士。背中に背負っているそれ(ライフル)を借りるぞ」

レオナルド「ほらよ」つライフル

   ジャキッ!

フェンダー「何だ? 頭でも打ち抜くか? 出来るものならやってみろ」

スネーク「いや・・撃ちはしないさ」

スネーク「ふんっ!」ブオンッ!!

レオナルド「ライフルを振り回して足払いをかけた!?」

フェンダー「なっ!?」ドサッ!

スネーク「物は使いようだ。そしてコイツは・・かなり“ビリッ”と来るぞ」

   バチバチバチィッ!!

フェンダー「がぁぁあぁっ!?」

吉田「スタンナイフすっげー……」

スネーク「避ければいいものを・・撃たれようとも平気だと高を括っていたか?」

スネーク「お前さんの言動を見るに、手に入れたボディによほど自信があった様だな。
     確かにサイボーグの筋力は常人の比ではないし、“雷電は”戦闘の天才だ」

スネーク「それなのに、『老人』相手にこうも容易く膝を付くとはな・・これでハッキリした」

スネーク「お前のミームは、ここで消える」

フェンダー「ふ・・言ってくれる……!」ヨロヨロ

スネーク「まだ動けるか・・ならば雷電の脳が壊れない程度に、好きなだけ食らわしてやろう」スッ

房子「うるさいんだよアンタ達!! いま何時だと思ってんだい!?」

総統「お、大家さんっ!?」

スネーク「“彼”が大家か。危険だ、下がっていろ」

房子「“彼女”だよアタシゃあ! 家賃滞納してる上に騒音撒き散らすとは良い度胸だね」

総統「いやーこれはその、決してワザとじゃあ」

房子「アンタら不良債権一歩手前なんだから、せめて人様に迷惑かけないように静かにしな!
   エリカ様まで起きちまうだろ!」

スネーク「エリカ様?」

吉田「総統と大家の子供の名前です」

スネーク「なっ・・アンタに子供がいるだと!? 女の趣味も・・度し難いな」

総統「わしには全く身に覚えが無いんじゃが」

房子「『度し難い』って何だい! アタシの身も心もファッションもね、西日暮里あたりじゃイケイケなんだよ!」

房子「ん? そこの床に這いつくばってる奴は誰だい」

総統「あぁ危ない! 近づいたらいかん!」

房子「大家のアタシに黙って入居者増やそうってんなら、断固阻止するからね。ほら、顔見せな」

フェンダー「大家・・貴様……」フラフラ

房子「!!」ドッキーンッ!!

房子「な、何てイケメンなんだい・・図らずも胸が締め付けられちまったよ……」

房子「やだねぇ・・アタシの中の“女”が燃え上がっちまうじゃないか……」

フェンダー「貴様、何を言って」

房子「瑞々しい・・若い、男……」ギラギラ

吉田「何だかこの先グロ注意な予感が」

房子「精気を寄越しなぁっ!!」ガバァッ!!

フェンダー「な、何をする!? 馬乗りになるなっ!!」

房子「ギブミーユアリップ!!」

   ブッチュゥゥゥゥゥッ!!

フェンダー「し、舌を入れるなばばばっ!!」

総統、吉田、レオナルド、DF、スネーク、オタコン「「「「「『お゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛っ!』」」」」」ゲボゲボ

フェンダー「う・・がはっ……」ガクッ

総統「あぁっ! 蟹さながらに泡を吹いて気絶した!」

房子「キシャァァァァァッ!!」

吉田「大変です! 大家さんが欲望に飲まれて理性を失いました!」

房子「ワカイオトコ、サガス!!」

総統「大家さーん!! ……ああ、部屋を飛び出して行ってしもうた」

吉田「総統。フェンダーミラーの奴、どうしましょう」

総統「この体からフェンダーミラーを追い出さねばならん。が、どうすればいいやら」

レオナルド「そう言うと思って、コイツのボディから“フェンダーミラーのプログラムだけ”を
      駆逐するウイルスを作っておいた」

スネーク「恐ろしく都合がいいが・・今そんな事はどうでもいい。頼む、雷電を元に戻してやってくれ」

総統「・・プリスキンさん・・いいや、スネークさん。
   アンタと、『雷電』と呼ばれたジャックさんについて、わし等に本当の事を話してはくれんかね?」

スネーク「……ああ、分かった」

総統「何と・・わし等には到底想像の及ばん世界で生きてこられたんじゃな」

スネーク「無理に知ろうとしなくていい。知らない方が幸せな事など幾らでもある」

雷電「うぅ……」

スネーク「雷電!」

レオナルド「駆除完了だ。今度こそ本当のジャックと話が出来るな」

雷電「・・スネーク……? ここは……彼等は……?」

スネーク「まぁ、少々ややこしい事件が起こってな」

もう少し早めに更新再開して完結させるつもりでしたが、ここで一旦切ります
あと少しだけなので、明日には完結します

雷電「クライアントにまんまと騙されたってわけか、俺は……」

スネーク「クライアントというのは、フェンダーミラーのことか?」

雷電「名前は違ったが恐らくそうだろう。・・AIの次はネット上の“ゴースト”か・・
   “クライアントの関係者”と名乗る生身の人間を見せられて、すっかり油断していた」

レオナルド「きっとソイツはフェンダーミラーに金で雇われたんだろうな。
      さっきちょこっと調べたら、フェンダーミラーらしい人物のネットバンク口座を見つけたぞ」

吉田「そこまで調べるなんて、博士天才過ぎぃっ!」

総統「プログラムが銀行口座を持てるものなのかね?」

スネーク「ハッキングなりすればいい。俺の知り合いにも
     国家機密にアクセスする技量を持つ奴がいるからな、不可能じゃない」

DF「さらっととんでもねぇ事言いやがったな。・・ちょっとソイツを俺に紹介してくれよ」

スネーク「断る」

吉田「どういう経緯でボディを乗っ取られちゃったんですか?」

雷電「『潜入先のセキュリティの都合上、ボディに偽装セキュリティパスを送る』とか言われたな。
   ・・言われるままにしたのは、完全に俺の不注意だ」

吉田「全くです」

総統「こら吉田君!」

スネーク「しかし、サイボーグのボディを乗っ取るという荒業があるとはな」

オタコン『一応“ブレインハック”という遠隔操作法はあるよ。
     けど今回はブレインハックよりも“憑依”って言った方がいいだろうね』

スネーク「“乗っ取られる”という感覚は、どういうものなんだ?」

雷電「俺の場合は・・見るもおぞましい光景を三日三晩脳内で再生され、
   精神まですり減らされた所で、記憶が途切れた」

DF「見るもおぞましい光景?」

雷電「『私が知りうる最悪の光景だ』と言う声が聞こえたかと思いきや……」チラッ

総統「な、何じゃ、何故わしを見るんじゃ」

雷電「・・アンタとそっくりな男と、時代に逆行しているファッションの・・女?が、その」

雷電「宇宙船の機内の様な場所で・・目が腐る程のキスを……うっぷ」

総統「・・それは多分……」

レオナルド「あぁ、ピースボールでの大家の暴走だな」

吉田「“あれ”を三日三晩耐えるなんて、ノーベル平和賞クラスの忍耐力ですよ」

スネーク、DF「「?」」

吉田「分からない人は『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜』をチェック!」ビシッ!

DF「とにかく、俺はまたも世界を危機から救ったってわけだな。明日もまたパレードやるかぁ」

総統「・・デラックスファイター」

DF「何だよ。お前らは参加させねぇぞ」

総統「そうじゃないわい。
   ・・さっき、咄嗟の事だとしても吉田君を助けてくれて、感謝しておる」

DF「な……お前バカか。正義の味方にお礼を言う悪の秘密結社があるか」

総統「大事な仲間を助けられて礼も言えんようじゃ、“人に地球に優しい世界征服”など出来んわい」

DF「……バーカ。俺は帰るぞ」スタスタ

スネーク「・・素直じゃない奴だ」

スネーク「では、俺達も帰らせてもらおう。雷電、歩けそうか?」

雷電「あぁ、もう大丈夫だ」

総統「あの・・」

スネーク「心配するな。もうアンタらについて調べまわったりはしない」

スネーク「騙されたり、いい様に使われたりした事はあるが、
     お前さんの信条の真偽を見極められないほど落ちぶれちゃあいないからな」

総統「妙に引っかかる言い方じゃないかね」

スネーク「何故引っかかる言い方をされているかが分からない内は、世界征服は無理だな」

スネーク「・・『下らん国境を取り払って世界をひとつに結び、疑いもいがみ合いも、
     傷つけあうこともなく、格差を無くし、誰の子供も自分の子供と同じくらい愛せる』世界・・
     来世あたりにでも、是非見せてほしいものだ」

総統「来世と言わず、お前さんの目が黒い内に見せてやるわい」

スネーク「無理だと思うが、期待している」

スネーク「じゃあな」

   コツンッ

スネーク「ん? 今、何か蹴飛ばしたか?」

レオナルド「おい、ボイスレコーダーが転がってるぞ。お前のか?」

スネーク「いや、違う。雷電・・じゃあないな、フェンダーミラーが隠し持っていた物では?」

雷電「或いは、さっき出ていったデラックスファイターの落し物かもしれない」

吉田「これ、録音データが入ってますよ。持ち主に繋がるヒントが聞けるかもしれません」

総統「うーん・・何だか嫌な予感がするんだよねぇ。
   タンスの引き出しと同じくらい、触れない方が綺麗に終われそうな気が……」

吉田「タンスは僕達の鉄板ネタじゃないですか。やらない方がギャグ作品的にナシですよ」

総統「・・それもそうじゃな。よし、再生してみよう」

   [再生]

???『んん? 電気が消えてる・・あいつ等もう寝てんのか?』

吉田「デラックスファイターの声ですよ、これ」

DF『昨日から尾行(つけ)てるってのに、あのサイボーグ野郎、ボロ出さねぇな』

雷電「『サイボーグ野郎』・・俺の事だな」

DF『ちょっと顔が良くて人助けしたからってちやほやされやがって。
   こないだの草食系ヒーロー共みたいに出しゃばる前に、出る杭は引っこ抜く。俺をなめんなってんだ』

DF『鼻ほじって鼻くそ食うとかしてくんねぇかな・・その瞬間をカメラに収めて、ネットにばら撒いてやる』

総統「……」

DF『お? 電気も点けずに何してんだ……おいおいまさか、一人でいかがわしい観賞会おっ始めるとかか?
   綺麗な面してても所詮は男ってわけか? あー、こりゃあ同じ男としちゃあ見逃してぇ……』

DF『流石にコレばら撒いたら炎上すっかな……あぁめんどくせぇ。取り敢えず弱みを握っとけ』

DF『げ、間違えてボイスレコーダー持ってきちまった! しかもなに勝手に録音してんだコイツ・・
   ポイポンのカメラ……クソっ、暗くて写らねぇか』

DF『んだよ、折角張り込んだってのに・・あーあ、つまんねぇ』

   [停止]

スネーク「・・クズの鑑だな」

吉田「知ってます」



—To Be Continued—

—数時間前—

フィリップ「タダイマ」

百合「おかえりフィリリン。今日はツバメの巣が安かったからおひたしにしちゃった。
   後はトリュフの煮物と自然薯のステーキよ」

フィリップ「ウン」

百合「・・あれ? 何か嬉しい事でもあったの?」

フィリップ「エ・・分かる?」

百合「あ、やっぱり? 足音しないなぁと思ったら、床から数ミリ浮足立ってるんだもの」

フィリップ「実ハ・・鷹の爪団に、新しい団員が加わるカモしれない」

百合「どんな人なの?」

フィリップ「チョット粗暴な所があるケド、常識がアッテ、即戦力になれそうなタイプ」

百合「期待の新人さんってわけね」

フィリップ「・・デモ、そんな逸材が、鷹の爪団に来るなんて、チョット怪しい」

百合「気にし過ぎよ。それにもし何かあっても、鷹の爪団ならまた乗り越えられるわ」

フィリップ「……そうだネ」

百合「フィリリンに後輩が出来るのね。・・あ、だからさっき浮足立ってたのかぁ」

フィリップ「・・エヘヘ」

百合「ふふっ、楽しみね」



—翌朝、吉田から事の顛末を知らされて一人落ち込む事になろうとは、この時のフィリップには知る由もなかった—

スネーク『こちらスネーク。これより帰還する』

オタコン「了解。雷電の部屋は僕の方で確保しておくよ」

雷電『すまない。感謝する』

   [無線 OFF]

オタコン「思わぬ黒幕登場だったけど・・何にせよ、殺戮兵器が無くてよかった」


   コンコンッ


オタコン「えっ、もう帰って来た? ・・いや、流石に早過ぎる」

   コンコンコンコンッ

オタコン「あの、どちら様で」

   ドンドンドンッ!

オタコン「ひっ!?」

???「オトコノコエ・・キットワカイ……」

   ガチャガチャガチャガチャ!

オタコン「あぁっ、ど、ドアノブが」


   バキンッ!!


房子「イケメンジャァァァ!!」ガバァッ!

オタコン「うわああぁぁぁ……!?」



—帰還したスネーク達が、真っ白に燃え尽きたオタコンを発見したのは、この大惨事から30分後の事だった—

吉田「どうも皆さんグーテンアーベント。鷹の爪団戦闘主任、島根の吉田です。

   この度は本SSを読んでくださり、まことにありがとうございます。

   さて、皆さんやっと読み終わったところで恐縮ですが・・
   スネークさんや雷電さんとのご縁からか、またも僕達は奇妙な冒険に駆り出されてしまうようです。

   出雲大社の様に重厚な存在感と、かつての石見銀山の採掘量の様な豊かさを兼ね備えた胸を持つお姉さんが
   真っ黒な腕を気持ち悪いほどに体から生やしたり、

   ミームだかミール貝だかで講釈を垂れたと思いきや、ばっさばっさと斬られながらも『悔しくなんかない』と
   粋がっちゃう細マッチョおやじに馬乗りになられたり、

   『バーコードハゲ』という言葉を体現する為にサイボーグ化したのかって位に揺ぎ無いバーコードハゲが、
   背中がら空きの装甲に守られつつこっちに突進してきたり、

   剣士なんだけど何となく蹴り技が持ち味っぽい声の、というか刀を弾かれたら実際めちゃめちゃ蹴ってくる、
   ジェットストーキングなんて最悪な二つ名を持つハンサム侍と死闘を演じたり、

   それに……おっと、これ以上はいけない。

   僕達と雷電さんが遭遇した事件の全ては・・

   『秘密結社鷹の爪 メタルギアライジング 〜スイカより愛を込めて〜』で明らかに!!」

吉田「・・はい。
   皆さんお気づきでしょうが、先程のは嘘です。
   嘘っていうか、ネタがあるだけでオチがまとまらない状態だそうなので、嘘ってことにします。

   何でそんな嘘吐くのかワケが分からないという方は、今日の日付を見てください」

吉田「それでは最後に、皆さんのお手を拝借。
   ・・何のことだか分からない方の為に、振り付けをおさらいしましょう」

吉田「両脇を締めて両肘を曲げ、両手首の力を抜きます。
   ちょうど幽霊の『うらめしや』のポーズです。こんなの実践する幽霊なんて今時居ないでしょうけど」

吉田「両手をだらりと垂らしたら、両手を上下にパタパタと動かしてください。
   その時、気持ち程度に全ての指をクワッと曲げると尚良しです」

吉田「僕が『せーの』と言ったら、ひとしきりパタパタしてください。
   それでは、脇を締めて肘を曲げ、両手をだらりと垂らしてください。いきますよ」



吉田「せーの・・

   た〜か〜の〜つ〜め〜」

                                    レオナルド「イシクラっ」>



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