富豪「ワシが死んだので遺産争いが勃発」 (107)

富豪「ううっ……ワシはもうダメじゃ……」

妻「あなた、しっかりするザマス!」

弟「兄貴ィィィ! 死なないでくれェェェ!」

長男「親父、弱気になるな!」

長男嫁「おぬしが死んだら、わらわは悲しいのじゃ……」

次男「ボクらにはまだ、父さんが必要なんだ!」

長女「あたしたちを置いていかないでよ!」

ポチ「ワォォォ~~~~~ン!」

富豪「ワシの遺産は相続税を差し引いても、ざっと1000億はあるじゃろう」

富豪「みんなで仲良く分けるんじゃよ……」ガクッ…



   遺  産  戦  争  勃  発  !  !  !

妻「脈拍ナシ、呼吸ナシ、心拍ナシ、ようやくくたばったザマスね」

妻「さあ、お待ちかね。遺産分配を始めるザマスよ!」

弟「うおっしゃァァァァァ!」

長男「余命半年を宣告されてから、三年近くも生きるとは、しぶとかったな……」

長男嫁「まったくじゃ。不死身かと思ったぞえ」

次男「でもこれで、ようやく1000億はボクらのものだ!」

長女「あたし、欲しいものいっぱいあるのよね~」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

妻「生前、主人は遺言を残していなかったザマスから」

妻「こういう時のために弁護士先生を呼んでおいたザマス!」

オォ~……! パチパチパチパチ……

次男「さすが母さん、準備がいいや!」

弁護士「皆さん、はじめまして」

弁護士「ざっくりですが、法律に基づいた遺産の分配方法について」

弁護士「説明させていただきます」

長男「よろしく頼むよ」

弁護士「それでは法定相続人について説明させていただきます」

弁護士「法律上、相続の優先順位は次のようになります」

・配偶者 常に相続者

・子 第一順位(常に相続者)

・父母 第二順位

・兄弟 第三順位

弁護士「第二順位、第三順位の方は、上位相続人がいない場合のみ」

弁護士「相続権を得られます」

弁護士「今回のケースですと……」

弁護士「相続権があるのは、妻さん、長男さん、次男さん、長女さん、の四人です」

弁護士「2分の1を奥様、残りを息子さんたちで分配、となるでしょう」

弟「なんだってェェェ!? じゃあオレは相続権ないのかよォォォ!」

弁護士「はい」

弟「ちくしょォォォォォ!!!」

長男嫁「わらわはもらえぬのか!? 義理の娘じゃというに!」

弁護士「もらえません」

長男嫁「遺産目当てで結婚したのに、なんということじゃ……」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

弁護士「お手」サッ

ポチ「ワン!」シュタッ

長男「よかったな、お袋。俺たちだけで仲良く分けよう」

妻「……気に入らないザマスね」

長男「お袋!?」

次男「なんでだよ、母さんが一番多くもらえるのに!?」

長女「そうよ!」

妻「主人が血がにじむ想いで蓄えた財の分配を……」

妻「こんな家族でもない赤の他人の言う通りにするだなんて──」

妻「やっぱりイヤザマスッ!」

長男「た、たしかに!」

次男「そうだね、やり直そう!」

弁護士(なら、なんで私を呼んだんだよ……)

次男「じゃあさ」

次男「手っ取り早く、ここにいる人数で割るってのはどうだい?」

長男「なるほど、一理あるな」

長女「それが一番平等だわ!」

弟「おお、それならオレももらえるなァァァ!」

長男嫁「わらわも賛成じゃ!」

次男「よぉーし、じゃあさっそく1000億を6で割ると──」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

次男「ごめん、ポチを忘れてた。じゃあ7で割ろう」

次男「さっそく、生前父さんが購入していたスーパーコンピュータで計算しよう」

次男「1000億÷7は、と──」カタカタ…

次男「…………」

次男「わ、割り切れない!」

妻「えぇっ!?」

長男「なんだと!?」

弟「ウソだろォォォ! そりゃまずいぞォォォ!」

ポチ「アォォォ~~~~~ン!」

長男嫁「割り切れぬのなら、いっそ小数点以下を切り捨てたらどうじゃ?」

次男「それだと142億8571万4285円っていう」

次男「すごく中途半端な数になっちゃうんだ!」

弟「半端すぎるゥゥゥ!」

妻「そんな中途半端な金額の遺産なんか、もらわない方がマシザマス!」

長男「お袋のいうとおりだ! なんだよ4285円って!」

長女「でも4285円もあれば、ユニクロでなにか買えるわね」

ポチ「ワン!」

次男(なんとかして割り切れるようにする方法は──)

次男「そうだ!」

次男「弁護士さん、あなたも遺産を相続して下さい!」

次男「7人が8人になれば、偶数になって割り切れるはず!」

弁護士「え!?」

妻「それがいいザマスね!」

長男嫁「ナイスアイディアじゃ!」

弁護士「いや、私は赤の他人なんですけど」

長女「この際、赤でも青でもなんでもいいわよ!」

次男「1000億÷8は、と──」カタカタ…

次男「割り切れた!」

長男嫁「いったいいくらになったのじゃ!?」

次男「125億!」

妻「でかしたザマス!」

弟「いよっしゃァァァ! キリがいいィィィ!」

長男嫁「うむ、よくやったのう。さすがわらわの義理の弟じゃ」

長女「やったわ!」

ポチ「ワォォォォォ~~~~~ン!」

妻「125億もあれば、十分ザマス!」

弟「兄貴ィィィ! ありがとうゥゥゥ!」

次男「ボク、新しいパソコンが欲しかったんだよね」

長男嫁「わらわも満足じゃ」

長女「125億円って、しまむらでなにが買えるかしら」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」

弁護士「私は赤の他人なんですが……」

長男「…………」

長男「みんな、ちょっと待てよ」

長男「みんな仲良く、1000億をキレイに八等分」

長男「たしかにもっとも理想的な解決方法だ」

長男「だが、みんなの本音はきっとこうだろう?」

長男「どうせなら“全額自分が欲しい”と」

妻「!」

弟「!」

長男嫁「!」

次男「!」

長女「!」

ポチ「!」

弁護士(いや、私は別に──)

妻「たしかにもらえるものなら、全部欲しいに決まってるザマス」

弟「一人占めしてえよォォォ!」

次男「そりゃそうだよ……なんたって1000億だもん」

長女「1000億もあれば、イオンでなんだって買えるしね!」

ポチ「ワオォォォ~~~~~ン!」

長男嫁「しかし、長男よ。どうやってその一人を決めるのじゃ?」

長男「決まってるだろ」

長男「格闘トーナメントを開催するんだよ!」

長男「優勝した人間が、遺産を全額相続できるんだ!」

【 第一回 富豪遺産争奪トーナメント 】

          ┌─  妻
      ┌─┤
      │  └─  長女
  ┌─┤
  │  │  ┌─  ポチ
  │  └─┤
  │      └─  弁護士
─┤

  │      ┌─  長男
  │  ┌─┤
  │  │  └─  次男
  └─┤
      │  ┌─  弟
      └─┤
          └─  長男嫁

実況『さあ、ついに始まりました!』

実況『第一回、富豪遺産争奪トーナメント!』

実況『果たして優勝して遺産を全額ゲットできるのは、八人のうちの誰でしょうか!?』

実況『それではさっそく試合を開始いたしましょう!』

実況『第一試合は──』

実況『妻VS長女!』

実況『実の母と娘が遺産のために、目を¥マークに変えての真剣勝負!』

実況『いったいどんな試合になるのかぁっ!?』

【 一回戦第一試合 妻VS長女 】

妻「実の娘だからって、手加減はしないザマスよ」

長女「望むところよ!」

妻「いくザマス!」ダッ

長女(タックル!? ──なら顔面にヒザを合わせれば!)ブンッ

妻「甘いザマス!」ガシッ

実況『あーっと! 妻、長女のヒザ蹴りに組みつくという高等テクニック!』

実況『そのままテイクダウンに持ち込んだァ!』

妻「アキレス腱固めザマス!」グイッ…

長女「いだだだだっ! 参ったわ!」パンパンッ

妻の勝利──

【 一回戦第二試合 ポチVS弁護士 】

実況『犬と弁護士の異色対決、勝つのはいったいどっちだ!?』

弁護士「なんでこんなことに……」

ポチ「ワン、ワン、ワン!」ダッ

ポチ「ワォンッ!」ガブッ

実況『ポチ、弁護士のケツに噛みついた! これは痛い!』

弁護士「ポチ、お手、お手っ!」サッ

実況『弁護士が手を差し出すも、ポチはシカト!』

ビリビリッ……!

弁護士「あひいいっ!」

実況『あ~~~~~っと、弁護士のズボンが破れ』

実況『朱雀と青龍と白虎と玄武が描かれたブリーフが丸見えだぁっ!』

弁護士「ギ、ギブアップ! ギブアップだ!」

ポチの勝利──

【 一回戦第三試合 長男VS次男 】

次男「いくよ、兄さん!」

長男「来い!」

次男「暗黒呪殺魔神撃!」

長男「聖天光輪飛翔拳!」

ズガァァンッ!

実況『お~っと、光の長男と闇の次男の、対極を成す拳がぶつかり合った!』

次男「ぐ……さすが兄さん。やはり暗黒の力では聖なる光には勝てない、か」ガクッ…

長男「いや、光あるところには必ず闇が生まれるものだ」

長男「今回俺が勝てたのは、時の運という名の気まぐれが俺に味方したからに過ぎん」

長男の勝利──

【 一回戦第四試合 弟VS長男嫁 】

弟「よっしゃァァァァァ!」

弟「甥の女房だからって、容赦はしないぜェェェ!」ダダダッ

ガシィッ!

長男嫁「むっ」

実況『弟は柔道七段!』

実況『長男嫁の襟を掴んで、そのまま投げるつもりのようです!』

長男嫁「無礼者ッ!」

弟「!」ビクッ

長男嫁「わらわを誰だと思っておる!」

長男嫁「おぬし如きがわらわに触れようなど、言語道断じゃ! 恥を知れ!」

弟「す、すみません……」

長男嫁の勝利──

【 準決勝第一試合 妻VSポチ 】

妻「長年可愛がってきたペットと戦うことになるザマスとは……」

妻「しかし、これも運命ザマスね! 全力でいくザマス!」ダッ

実況『一回戦のようなタックルだ! さあポチ、これをどうさばく!?』

ポチ「ワンッ!」ビュバッ

妻(速いザマス!)

実況『ポチ、妻の後ろに回り込んだ!』

ポチ「ワォンッ!」ガブッ

妻「痛いザマス!」

ビリリィッ!

実況『妻の着物が破れ、桃色のふんどしが丸見えだぁ~~~~~!』

妻「あんっ……私の負けザマスっ……!」ビクビクッ

ポチの勝利──

【 準決勝第二試合 長男VS長男嫁 】

長男「…………」

長男嫁「…………」

長男「どうした、なぜこない?」

長男嫁「おぬしこそ、なぜ来ぬのじゃ?」

長男「……俺は女房であるお前を殴れない。俺を好きなように殴ってくれ」

長男「お前は親父の遺産目当てで俺と結婚したんだろう?」

長男「だったら、俺を倒して決勝に進んでくれ」

長男「もしもポチを倒して優勝できたら、遺産は独占してくれてかまわない」

長男嫁「…………」

長男嫁「そう、わらわはおぬしの父の資産目当てでおぬしに近づき──」

長男嫁「そして結婚したのじゃ……」

長男嫁「じゃが、わらわは……わらわは──」

長男嫁「いつしか、本当におぬしのことを好きになっておった」

長男「ウソつけ! お前は金をなにより愛する女だったはずだ!」

長男嫁「ウソではない……」

長男嫁「わらわは、金以上に大切な……“愛”を知ってしまったのじゃ」

長男嫁「だからわらわも……おぬしとは戦えぬ」

長男「お前っ!」ガバッ

長男嫁「ああっ、わらわを抱きしめてくれるのか! この罪深きわらわを!」

長男「抱きしめてやるともっ!」ギュッ…

長男嫁「ああっ、わらわもじゃ! おぬしの胸板のなんと心地よいことか!」ギュッ

パチパチパチパチ……!

妻「これが……これこそが“愛”なのザマスね!」

弟「へっ、泣かすじゃねえかァァァ!」

次男「兄さん……お義姉さん……おめでとう!」グスッ…

長女「新婚でもなんでもないのに、見せつけてくれちゃって!」

弁護士「えぇ~っと、このトーナメントはどうなるのでしょうか?」

実況『二人とも棄権したようなものですので……』

実況『こうなりますと、自動的に優勝者はポチということなりますね』

ポチ「クゥ~ン?」

実況『というわけで、遺産を全額獲得するのはポチに決定でぇっす!』

妻「ポチ、1000億円獲得おめでとうザマス!」

弟「おめでとォォォォォ! うおおおおォォォォォ!」

長男「ポチ、おめでとう!」

長男嫁「めでたいことじゃ」

次男「やったね、ポチ!」

長女「ポチったら、おいしいとこ全部持ってちゃうんだから!」

弁護士「もうなにがなんだかさっぱりですが……おめでとう」

ポチ「…………」

ポチ「待てや」

妻「え……!?」

ポチ「なんやねん、この白ける結末は。ホワイトキックやで、ホンマ」

次男「ポ、チ……!? お前、しゃべれたのか!?」

ポチ「当たり前や、なめとんのかワレ」

ポチ「ところでお前ら、こんな結末でええんか」

ポチ「1000億やぞ、1000億」

ポチ「ホンマ大金やで……」

ポチ「何が買えるか、なぁんて勘定するのがアホ臭くなるくらいや」

ポチ「世の中にゃ、1億円のために宝くじを買う奴がぎょうさんおる」

ポチ「3億円事件は未だに語り草になっとる」

ポチ「たかだか数千円単位のトラブルでコロシをやった奴もおる」

ポチ「こんだけ話せば──」

ポチ「いくらお前らがボンクラでも、1000億がどんだけ大金か分かるやろ」

ポチ「これほどの大金をだれが手に入れるか……」

ポチ「ジャリが読むマンガみたく、トーナメントなんかで決めてええんか?」

ポチ「不服ある奴はおらんのか?」

ポチ「え、どうなんや?」

長女「でも……みんな合意の上でトーナメントを始めたわけだし……」

長男「そうだ。わざわざ実況の人まで呼んで……」

ポチ「たしかにな」

ポチ「それで、ワシみたいな人間ですらない犬っころが1000億を獲得……」

ポチ「なんやほのぼのしたオチがついてめでたしめでたし……」

ポチ「この話を聞いた奴は“まさか犬が遺産を相続するなんて”と微笑むやろな」

ポチ「せやけど、ホンマにこれでええんか?」

ポチ「しつこいようやが、1000億円は大金や」

ポチ「そんな大金、ワシみたいな雑種のクソ犬に渡して悔しないんか?」

妻「え、あなた血統書付の犬だったはず──」

ポチ「あんなもん、ワシを売っとったクソ業者の偽造に決まっとるやろ」

ポチ「──で、どうなんや?」

ポチ「1000億円、ワシに渡して後悔はないんか?」

シ~ン……

ポチ「1000億やぞ、もっと欲出してみいや! あがいてみろや!」

ポチ「欲っちゅうのはなにもあったらアカンもんちゃうで!」

ポチ「人間なんちゅうもんは、欲かいてでっかくなったようなもんなんや!」

ポチ「それともなにか?」

ポチ「お前らには人間の誇りっちゅうもんがないんかッ!!?」

バンッ!!!

シ~ン……

妻「わ、分かったザマス……ポチ」

妻「遺産の分配は私たち人間だけで決めるザマス……」

ポチ「分かればええんや。じゃ、ワシはメス犬と交尾しにいくで。ほな、サイナラ」トコトコ

シ~ン……

長男「──で、どうする? ポチはああいってたが……」

長男「お前、1000億欲しいか?」

長男嫁「いらぬ。わらわはおぬしがおれば十分じゃ」ギュ…

長男「叔父さんはどうです?」

弟「俺もいらないィィィ!」

長男「そんな! 最初は相続権がないことを悔しがってたじゃないですか!」

弟「兄貴の財産は、やっぱり兄貴の家族で分けるべきだろォォォ!」

弟「俺も兄貴ほどじゃないが、資産はあるしなァァァ!」

長男(今さら遺産を拒否するなんて、なんて身勝手な人なんだ……!)

長男「じゃあ、お前たちは?」

次男「ボクもいらないよ。兄さんが全部相続してくれよ」

長女「あたしも……。なんだか疲れちゃった」

長男「お前たち、俺の兄弟だろ!? 遺産をもらってくれよ! 分けようぜ!」

次男「絶対イヤだ」

長女「あたしも」

長男「弁護士さん! どうです、1000億欲しいでしょ!?」

弁護士「いいえ、いりません」

弁護士「もし強引に私に遺産を相続させるというのなら、あなたを訴えます」

弁護士「六法全書の力で、あなたを社会的に完全滅殺します」

長男「うぐっ……。そうだ、トーナメントの実況やってた人に相続させれば──」

長女「実況の人はポチが怒ってる間に帰っちゃったよ」

長男「ちくしょう! あのヤロウ、遺産を渡されることを恐れて逃げやがったか!」

弟「ここはやっぱり、長男がもらうのがスジなんじゃねえかァァァ!?」

次男「そうだよ、兄さんが全部相続してよ」

長女「うんうん、それが一番丸く収まると思う」

長男「なんだと……!」

長男「みんなして、俺に遺産を押しつけようってのか!」

長男「ゆ、許さねえ! こうなったらみんなブッ殺してやる!」

長男「ブッ殺して、死体になったお前たちに無理やり遺産を相続させてやるっ!」

次男「よせっ、兄さん!」



長男嫁「ああっ、遺産争いで殺人事件が起こってしまいそうじゃ! なんたること!」

妻(どうすればいいザマスか、あなた……!)

妻(こんな時、あなたが生きていればみんなを止めてくれるザマスのに……)

すると──

富豪「やめるんじゃ!」

弟「兄貴ィィィ!?」

長男「親父!?」

長男嫁「義父上!?」

次男「父さん!?」

長女「お父さん!?」

弁護士「富豪さん!?」

妻「あなた!?」

妻「たしかに死んだハズなのに……どうして生きているザマスか!?」

富豪「“地獄の沙汰も金次第”というじゃろ?」

富豪「だから閻魔さんに金を払って戻ってきたのじゃよ!」

富豪「今頃、現世のワシの財産から、生き返るための代金が引かれているはずじゃ」

妻「ちなみにいくら払ったザマスか?」

富豪「ざっと1000億円じゃ」

妻「本当ザマスか!? よくやってくれたザマス! さすが私の主人ザマス!」

長男「これで……俺は遺産をもらわずに済むんだな」ホッ…

長男嫁「よかった、よかった。わらわも一安心じゃ」

富豪「さぁて、生き返った記念にパーチーでもやるかのう」

妻「でも、1000億も払ったのに、パーティーをやるお金はあるザマスか?」

富豪「心配無用じゃ」

富豪「ワシには、税務署の網をくぐり抜けた隠し財産がいくらでもあるでのう」

妻「そんなことやってるから、地獄に落ちたんザマスよ……」

弟「やっぱ兄貴は最高だぜェェェ!」

長男「まったく親父らしいというか、なんというか……」

長男嫁「うむ、人騒がせな御仁じゃ」

次男「でもよかったよ、やっぱりボクらには父さんがいないとね!」

長女「お帰りなさい、お父さん!」

弁護士「……私、帰っていいですか?」



こうして遺産戦争は終結した──

めでたしめでたし。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom