京子「なんか綾乃ってウザいよねー」(124)

京子「うるさいしさー」

結衣「わかるわかる。おまけにつまらないギャグばっか言って腹立つよな」

京子「なんで、わざわざごらく部によく来るんだろう。正直迷惑だよ」

ガラガラ

綾乃「見つけたわよ、歳納京子ぉ! あんたまだ夏休みの宿題出してないのあるでしょ!」

綾乃「そんな、行為。この生徒会副会長、杉浦綾乃が許さないんだから!」

京子「勝手に部室に入ってくるなよ」

綾乃「えっ」

綾乃「ご、ごめんなさい」

結衣「フン」

京子「で、用件は?」

綾乃「さっき言ったじゃない! あんた宿題出してないでしょ! 早く出しなさいよね!」

京子「それだけ?」

綾乃「そ、そうだけど……」

京子「おっけー。それで用件終わりっしょ。じゃあ、早く部室から出てってよ」

綾乃「え、あ、ええ……」

綾乃(なんか歳納京子も船見さんも様子が……)

綾乃(き、きっと、何かのおふざけなのよね。そうよね……!)

綾乃「いーい、もし明日までに出さなかったら罰金バッキンガムよ!」

京子「うわ……」

結衣「つまんねー」

綾乃「……ごめん」

結衣「悪いと思ってるなら早く出てっよ」

京子「うん。はやくはやく」

綾乃「うぅ……」

綾乃「歳納京子の……バカァー!」

ダッダッダッダッダ

京子「みた。半べそかきかながら出て行っちゃったよ」

結衣「やっと出て行ったか。もう来ないで欲しいね」

京子「ほんとほんとー」

結衣「それにしても、綾乃の奴京子のことバカって言ってたな」

京子「バカって言った方がバカなんだよーん」

京子・結衣「あはははは」

放課後

綾乃「……」

千歳「どうしたん、綾乃ちゃん。元気にないなぁ?」

綾乃「え、そんなことないわよ!」

千歳「もしかして、昼休みに何かあったん?」

綾乃「だからないってー! いやーね。さぁ、さっさと書類の整理終わらせちゃいましょ!」

綾乃(歳納京子……ぐすっ)

千歳「綾乃ちゃん、書類整理はウチに任せてごらく部の部室いってき」

綾乃「え。な、なんでよ……!?」

千歳「綾乃ちゃんの顔見てたらわかるわ。歳納さんと何かあったんやろ?」

綾乃「ちがっ、そんなこと……!」

千歳「こういうことは早めに解決した方がええと思うわ」

綾乃「千歳……」

千歳「ほら、早く行ってき。ウチは大丈夫やから」

綾乃「……。ごめん、千歳。すぐ戻るから!」

千歳「がんばってなー」

綾乃「……」

タッタッタッタッタ

綾乃(さっきのお昼休みのこと、ちゃんとあの二人に確かめないと……)

綾乃(ちょっと怖いけど……)

綾乃(このまま歳納京子にあんな態度取られ続ける方がもっとイヤ!)

綾乃(歳納京子に確かめて、もし私が悪かったら二人に謝るのよ)

綾乃が階段に差し掛かった、その次の瞬間。

ドンッ

綾乃「えっ……き、きゃあああ!!」

ゴロゴロゴロ ドンッ

綾乃「いたたぁ……急に誰かに背中を押されて」

ちなつ「どうも、杉浦先輩」

綾乃「よ、吉川さん……。まさか、あなたが。どうして……?」

ちなつ「ごめんなさいね。別に杉浦先輩に恨みがあるわけじゃないんですけど」

ちなつ「結衣先輩に頼まれたんです。杉浦先輩を部室に近づけるなって」

綾乃「ふ、船見さんが……!?」

ちなつ「他でもない結衣先輩の頼みですし、私なりのやり方でいいって言われましたから」

綾乃「どうして船見さんが私を……!」

ちなつ「さぁ、知りません。では、そういうことなので。さようなら~」

綾乃「ま、待って吉川さ……いたっ! 足がいたい……」

京子「なんか綾乃ってウザいよねー」

結衣「だな」

京子「そこがまたいいんだけどねっ」///

結衣「え?」

京子「え?」

綾乃「階段から落ちたとき、足を痛めたのね……」

綾乃「思うように動けない……」

綾乃「……」

綾乃「どうして……どうしてこんなことするの……」

綾乃「教えてよ、歳納京子……ぐすっ」

あかり「あれ、階段の前で倒れてるの。あわわ、杉浦先輩! 大丈夫ですか!?」

綾乃「赤座さん……?」

あかり「足腫れてますよ! 階段から落ちたんですか!?」

綾乃「え、その……」

あかり「とりあえず保健室まで行きましょう。あかりが肩貸しますから」

綾乃「ご、ごめんなさいね」

保健室

あかり「包帯巻き終わりましたよ。これでとりあえずは大丈夫だと思います」

綾乃「手馴れたものね」

あかり「この前、あかりがケガしたときにお姉ちゃんがしてくれたのを覚えてただけなんですけどね」

綾乃「へぇ。ありがとう、赤座さん。面倒かけちゃって」

あかり「いえ、そんなこと。それより、そのケガどうしたんですか? やっぱり階段から」

綾乃「……」

綾乃「ええ、そうよ。つまづいちゃってね。ドジだから、私」

あかり「あかりも気をつけないとなぁ」

あかり「足、平気ですか?」

綾乃「ええ。おかげさまで」

あかり「よかったー。そうだ、もしよかったらこれからごらく部に遊びに来ませんか?」

綾乃「へ?」

あかり「きっと京子ちゃんたちも喜ぶと思いますよ」

綾乃「喜ぶわけないじゃない……」

あかり「え?」

綾乃「ううん、なんでもないわ。せっかくだけど今日は遠慮しておくわ。ほら足がこんなだし念のため」

あかり「あ、そうですよね……! ごめんなさい、そんなことも気にかけないで」

綾乃「いいのいいの。こっちこそ、ごめんね。せっかくのお誘いなのに」

ちなつ「あかりちゃん、何やってるの!?」

あかり「え。ちなつちゃん?」

綾乃「よ、吉川さん……」

あかり「何って、杉浦先輩と話してたんだよ」

ちなつ「そんなの見ればわかる!」

あかり「ひゃう! どうしたの、ちなつちゃん。怖いよー……」

ちなつ「なんで、杉浦先輩を部室に誘ったりしてるのって聞いてるの!」

あかり「え。それっていけないことなの……?」

ちなつ「はぁ。あかりちゃん、何にもわかってないんだね」

あかり「えっ、えっ?」

ちなつ「おまけにせっかく足止めしたのに、手当なんかしてるし」

あかり「どういうこと、ちなつちゃん。何言ってるかわからないよ……」

綾乃「赤座さん。私ね、ごらく部の人たちに嫌われてるの」

あかり「杉浦先輩が? そんな。だって京子ちゃんとあんなに仲良くしてるじゃないですか」

ちなつ「勘違いも甚だしいよ、あかりちゃん。先輩二人は杉浦先輩と会いたくないほど嫌ってるんだよ」

あかり「そんな……。ちなつちゃんは、ちなつちゃんはどうなの!?」

ちなつ「結衣先輩の嫌いなものは私も嫌い。ただそれだけよ」

あかり「ちなつちゃん……」

綾乃「……」

ちなつ「そういうわけだから、あかりちゃん。ほら、杉浦先輩から離れて」

ちなつ「これからも近づいちゃダメだよ」

あかり「で、でもぉ!」

綾乃「いいのよ、赤座さん。私は別に構わないから」

あかり「先輩……」

ちなつ「ほら、面倒かけないでよ。ただでさえ、あかりちゃんは手当てなんかして邪魔したんだから」

あかり「え。あ、もしかして。杉浦先輩はつまづいたんじゃなくて、ちなつちゃんが落としたんだね!」

ちなつ「ええ、そうよ」

あかり「酷いよ! ちなつちゃん、先輩に謝りなよ」

ちなつ「なんで私が謝らなきゃいけないのよ」

あかり「ちなつちゃん!」

ちなつ「ああん、あかりちゃん。うるさぁい!」

ドン

あかり「ひゃあ!?」

ドテ

綾乃「赤座さん! 大丈夫?」

ちなつ「もう、わからずやなあかりちゃんとは絶交だよ。せっかく仲良くなれると思ってたのに」

あかり「ち、ちなつちゃん……」

綾乃(もともと歳納京子と私の問題だったのに。私のせいで。この二人まで巻き込んでる)

綾乃(本当、何やってるのかしら……私)

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