恒子「ねーねー、すこやん。すこやんって麻雀超強いよね?」
健夜「それなりに自信はあるつもりだよ」
恒子「もしさ麻雀の神様が居たとして……。神様と勝負して勝つ自信ある?」
健夜「神様?麻雀の?どうだろうなぁ……、やってみないとわかんないよ」
恒子「むふふふ……実は今だかって無敗の麻雀神が居るらしい」
健夜「無敗?」ピクン
恒子「そうそう降ろしたら最後、誰も勝った事がないんだって。熊倉プロとかですら」
健夜「それは興味深いね。私も世界ランク一位の子に負けるまでは無敗だったんだけどねー」
恒子「やっぱり日本最強としては挑んでみたいよね?神様にさ」
健夜「麻雀でしょ?それなら……私にも勝機はあると思うんだ。麻雀ならね」
鹿児島
恒子「ここ、ここに麻雀神が居るの!」
健夜「ってここ、永水女子じゃない!?」
恒子「だってすこやんが戦う相手って神代小蒔さんだよ」
健夜「えぇー高校生?ちょっと勘弁してよー、壊れたら責任取れないよ」
霞「ご心配には及びませんわ」
初美「麻雀神は人に非ず。姫様も打ってる時の記憶は全く覚えてないですよー」
小蒔「私はプロには進まないので、もう麻雀を打つ機会があまりありません」
健夜「プロに進まないんだ……。それは残念だね」
霞「小蒔ちゃんには神代家を継いで貰わないと行けませんからね」
※本編の一年後って事で
小蒔「そこで今までお世話になった九面の神様達に恩返しがしたいんです」
健夜「恩返し?」
小蒔「その……公式戦で使う神様はだいだい決まってたので……、一人だけ公式戦で麻雀打ってない神様がいらっしゃいます」
健夜「個人戦で宮永さんと当たってたよね?妹の方とも」
小蒔「えぇ、二人とも本当に強かったです。しかし、九面の長の神様は反応しませんでした」
健夜(ふーん、少なくとも宮永姉妹よりは強いのかな?それなら……私もそこそこ本気出せるかも)
霞「今まで一度しか降りて来た事がない神様なので。戒能プロと熊倉元プロとはやりん……コホン。瑞原プロが永水女子にいらっしゃった時に対局しました」
健夜「へぇーそうなんだ」
初美「その時の牌譜ですよー。もう私達高校生レベルの雀士は震える事しか出来ない対局でした」
健夜「フフッ……これは…なかなかだね」ペラッ
恒子「いいじゃん。やってみなよ」
健夜「そ、そうだね」
恒子「命まで取られるわけじゃないっしょー。まぁ、すこやんが負けたら評判に傷がつくけど」
霞「申し訳ありません。この対局は非公開にさせて下さい」
恒子「……カメラ駄目?」
初美「没収ですよー」ポイッ
恒子「とほほほほー、すこやんの負けてガッカリする顔を全国配信したかったのに」
健夜「私はいつでもポーカーフェイスだよ!?」
そして対局
健夜「どんな条件がいい?赤ドラあり?東風戦?サンマ?なんでもいいよ。そっちの有利な条件で」
小蒔「半荘のサンマでありありがいいですね。」
健夜「後一人は……」チラッ
霞「ひぃぃぃ」ビクッ
初美「い、嫌ですよー」ガクガク
巴「絶対無理」フルフル
春「……死ぬ」ポリポリ
恒子「私が入るか……。麻雀よく知らないけど、適当に牌切ればいい?」
健夜「いいよ。こーこちゃんからのロン上がりは無しで」
小蒔「了解しました」
対局キンクリ
健夜「アハハハハハハ!楽しい!すっっっっごく楽しいよ!!!!」
恒子「ようわからんけど、すこやんの点棒がこんなに減る所は見た事無い」
小蒔「コーホー……、スゥゥゥゥゥゥ……、オーラスデス」ゴゴゴ
小蒔「リーチ……」トン
健夜(私にリーチ!?舐められたものだね)
健夜(麻雀の神様だか何だか知らないけど……、相手が誰であろうと最後まで諦めない!)
健夜「神様相手にだって負けないもん!」
スチャ
健夜がツモった瞬間
健夜「よし!ツモ……九蓮宝……」
プチュン
阿知賀の空き教室
健夜「うーん、あれ?こーこちゃん?神代さん?どこ行った?」
シーン
健夜「……おかしいなぁ。いつの間にか夜になってるし……」
健夜「私、対局して。そのまま……。あれれ?そこから記憶がないような」
健夜「ってここ、私が打ってた対局室じゃないよね?」キョロキョロ
健夜「どこだろう……、こーこちゃん!ドッキリなら怒るよー!出て来てー!」
ガラガラ
健夜(誰か入って来た)
健夜「あ、貴方は!?」
晴絵「誰だ?」
灼「不審者?警察に電話しないと!」
健夜「私、不審者なんかじゃありません!赤土さん、私達お知り合いですよね?」
晴絵「……私の名前を知ってると」
灼「なんだコイツ。晴ちゃんのストーカーか何か?やっぱり警察に電話しなきゃ」
玄「そんな優しくしないで~どんな顔すればいいの♪積み重ねた言葉で見えないよ~ 」テクテク
玄「っておやおや?」
玄「赤土先生に鷺森さんですのだ。我がおもち研究会に何か用ですか?」
晴絵「ここおも研の部室だっけ?あー、そうだったな」
晴絵「この人、松実の知り合い?駄目だぞー、部外者連れ込んじゃ」
玄「んー、普通過ぎるおもち。全く心当たりがありませんのだ」
健夜「私の記憶に間違いがなければ、松実姉妹の妹の方ですよね?」
玄「はて?どこかでお会いしましたか?」
灼「もう一人のジャージの子の知り合いじゃないの?」
玄「穏乃ちゃんの事ですか?おもち研究会、唯一の部員ですからね。けど、あんまり顔を見せてはくれませんよ?」
晴絵「高鴨は数学の補習受けてたし、まだ学校に居ると思うよ」
玄「呼びますのだ」ピポパ
数分後
穏乃「えーと、私の知り合いではありません」
健夜「高鴨穏乃ちゃん!確か、新子さんの妹と仲がいい」
穏乃「憧を知ってる?」
晴絵「望も知ってたりして」
健夜「知ってる!知ってるよ!鳴き麻雀が上手かったあの子でしょ」
灼「泣きまーじゃん?」
玄「亡きマージャン?」
健夜「実はですね……」
すこやんは全国大会の事や麻雀の事を詳しく説明した
穏乃「へぇー、私達に憧を含めた五人で全国大会に」
灼「漫画の王道的展開だよね。憧って誰ですか?」
玄「新子憧ちゃん。私と穏乃ちゃんの幼馴染です」
晴絵「確か昔、撮った写メがあったような。あーあったあった。これだ」パカッ
健夜「あれ?こんなボーイシュな子じゃ無かったけど……」
穏乃「あってますよ。今の憧は、全然違います。こんな感じです」パカッ
健夜「うんうん。こんな感じの垢抜けた子」
灼(私は絶対仲良くなれないタイプだ)
玄(おもちは……まぁそこそこ成長してるみたいですね)
晴絵「望まで知ってるなんてなんかマジっぽいよな」
玄「私のお姉ちゃんも知ってますし」
健夜「うんうん、夏なのにマフラー巻いてた子!」
晴絵「不審者として通報するのは勘弁してやる」
健夜「良かった~」
灼「危ないよ。この人、アラサー無職でしょ?危ない人だと思う」
健夜「むむむむ、無職!?」
玄「まぁ……私達の世界に麻雀なんて存在しませんから」
穏乃「ドンジャラみたいなもんですかね?それなら少しやった事あります」
ハニレス
健夜「……いただきます」パクッ
晴絵「私の奢りだ。何でも頼んでよ」
灼「明日からハローワーク行けよ無職。間違っても晴ちゃんの家に上がりこもうとか考えないように」
健夜「ホントに麻雀を知らないんですか?あれだけ熱心に麻雀の練習してたのに」
晴絵「知らん。麻雀ってなんだそれ?私は、高校生の時はソフトボール部に入ってたよ」
灼「晴ちゃんのアンダースローは美しいよ。ホント……、惚れ惚れするくらいキレイなフォーム」
晴絵「あのさー、小鍛治さん?私の一つ上だよね」
健夜「はい、そうです」
晴絵「もう結婚とかしてたの?」
健夜「してませんよ」
晴絵「仕事はプロ野球みたいな感じと捉えていいのかな?」
健夜「はい。年俸は日本人最高の6.5億円行った事もありました」
晴絵「すごーい。麻雀って儲かるんだなぁ」
健夜「ええっ。……正直、麻雀であれば裏の世界でも稼ぐ自信はあるんですけど」
晴絵「今はないし、それで稼ぐのは無理かな。銀行のカードどうでした?」
健夜「それが存在しない口座らしくて……、カードが使えません」
灼「それはお気の毒に。大阪の西成で働けば日雇いの仕事あるって噂だよ」
健夜「あんまりいい評判聞かない場所だよ……」
晴絵「何か資格とか特技とかは?」
健夜「……」ズーン
健夜「高卒で麻雀一筋でやって来ましたから……、正直料理すら作れません」ウルウル
灼「ぷぷぷ……」プルプル
晴絵「おい、笑ってやるなよ。私の友達にも20代後半で実家暮らしのニート居るしさ」
健夜「うっ…ううっ…、稼いでたもん!税金もいっぱい払ってたし!テレビにだって出た事あるのに……」ポロポロ
灼「正直、鷺森レーンでバイトの面接に来ても丁重にお断りする!」
晴絵「まっ……、気持ちはわかるけど」
健夜「」ガーン
晴絵「これからどうするんですか?」
健夜「実家に帰ってみて、それから私を知ってる人が居ないか探してみます」
灼「仕事探せ」
健夜「仕事って……、メイド喫茶とか?メイド雀荘なら、何度か行った事あるけど」
晴絵(27歳でメイド喫茶はないだろ)
晴絵「あの……、これ少ないですけど取って置いてください」
すこやんのポケットに諭吉を一枚入れる晴絵
健夜「えっ!?」
晴絵「元気出して下さい。諦めなければ、生きて行く事くらい簡単ですから」
健夜「この恩は……この恩は…けして忘れませんから」ポロポロ
晴絵「いつか気が向いたら返して下さい。年も近いですし、いい友人になれたらって思います」
灼「けっ」
次の日
すこやんの実家
健夜「……やっぱり無くなってる」
健夜「空き地か。お父さんとお母さんは違う場所で暮らしてるのかな?」
健夜「はぁ~~~~、私の事覚えてるのかなぁ……。実家に居た時は、散々家を出ていけって言われたけど、こんな形で出て行く事になるなんて」
ラジオ局
健夜「確かこの日に、はやりちゃんと恒子ちゃんのラジオがあったはず……」
テクテク
恒子「でさー、まどマギの映画見たわけよ」
はやり「魔法少女と言えばなのはじゃない?まどマギなんてつまんないって」
恒子「いやいや、なのはに比べたら全然魔法少女してるから!」
健夜「おーい!おーい、二人ともー」ブンブン
はやり「はーい☆」ニコッ
恒子「営業モードになるのはやっ!」
健夜「二人とも私の事、覚えてない!?麻雀わからない?」
はやり「んんっー、何の事かわからないぞー☆」
健夜「……やっぱりか」ガクッ
はやり「何があったか知らないけど、元気出して☆サイン書くよー」
恒子「スーパーアナウンサー福与恒子のサインはいらない?」
健夜「両方下さい」グスン
健夜(仕事探して……、新しい生活を送ろう)
しばらく時が経って……
長野にある大学
照「あっ、咲に電球買って来いって言われてた」
美穂子「電球ですか?」
ゆみ「コンビニで売ってるじゃないか」
照「コンビニのは高いよ。咲が怒る。いちいちうるさいんだ、アイツは」
ゆみ「そうか。宮永の所の妹さんはしっかりしてるな」
照「どこか電気屋ない?」
ゆみ「車で行かないとないんじゃないか?」
美穂子「……実はありますよ。あまり有名ではない家電量販店ですが」
照「コンビニより安いならいいよ。近い?」
美穂子「はい、私もよく電化製品を買いに行きます。そこでしか買いません」
ゆみ(美穂子って家電使えるのか……)
家電量販店ウエノ電機
久「えーコホン。今月まだ一台もご成約を頂いてない契約社員が居ます」
健夜「……」ビクビク
久「小鍛治さん、貴方の事よ」ジロッ
健夜「は、はひ」
久「今月中に最低一台お願いしますね!出来れば洗濯機」
健夜「……わ、わかりました」
健夜(クソクソクソクソ!なんで私が、高校出たばっかりの小娘に命令されなきゃいけないのよ……)
女1「ねぇねぇ聞いたー、竹井さんって今月のノルマもう達成したって」
女2「この前はマッサージ機売ってたよー。あの人、ホント売るの上手いって」
健夜「け、けどさー、目上の人に対する態度とか悪くない?お客さんに敬語使ってなかったりするし」
女1「あーそうね。友達と喋ってるみたいな感じで話す事もあるよね」
女2「聞いた話なんだけど、このウエノ電機のオーナーの娘らしいよ」
健夜「苗字違うよね?」
女1「ここが潰れかけた事があってね。その時に離婚したみたいよ」
女2「なんか仕事に賭ける意気込みが違うよねー。一番若いけど、オーナーの娘だから頑張れるんじゃない?」
女1「そうそう売り上げ悪くても、私らが困る事ないし。潰れた時に新しい仕事探すのはめんどうだけど」
健夜「頑張っても、頑張らなくても時給1000円は変わらないよ」
女2「うんうん、ノルマは期日ギリギリに達成すればいいよね」
女1「むしろ契約社員にノルマかせんなつー話だし」
健夜「そうだよ。ノルマ達成出来なくても、クビになるわけじゃないし」
ウィーン、ガヤガヤ
久「いらっしゃいませ!!!!!」
健夜「ませー」
美穂子「あ、あの……友達が電球探してて」
久「はい。電球でございますね!こちらのコーナーにございます」シュタ
照「いっぱいあるなー。どれかわかんないよ」
久「あれ?宮永さん?清澄高校のA組の」
照「あっ……生徒議長やってた竹井さん」
照「就職してたんだ」
久「えぇ、そうなのよ。宮永さんは大学生になったのね」
美穂子「……知り合いですか」
照「同じ高校だよ。あっ、福路美穂子。大学の同級生」
久「名前は知ってるわよ。私の大切な常連客の福路様だからね」
健夜「お客様、最新型の洗濯機なんていかがでしょう?こう、ギュルギュルって感じでどんな汚れも簡単に落ちますよ」
ゆみ「洗濯機?パンフレットを見せてくれ。気に入ったらアマゾンで買うから」
健夜(またアマゾンか……、説明するだけ無駄だよね)
年収200万まで落ちたすこやんは、それなりに幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
カン!
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