女「あんたと出会わなければよかった」(1000)
男「……またあいつ一人だ」
女「……」
男(机に座って、本も読んでない。なにもしてない)
女「……」
男(ちょっと、話しかけてみようかな)
女「やめて」
男「!」
女「……私に関わらないで」
男「え……」(なんで俺のことわかったんだ?)
男「お、おい」
女「……」
男「さっき、なんで俺が行くこと、わかったんだ?」
女「うるさい」
男「そんなこと言わずに、教えてくれよ」
女「言う必要ない」
男「な、なんでだよ」
女「しつこい!」
男「っ……」
女「あんたが来なければ……」
男「だ、だからなんで・……」
女「言ったってわかんないわよ!」
男「ちょ、大声出すなって!」
女「あんただって十分大きいじゃない、バカ!」
男「……」
友「おいおい、男やめとけって」
男「友……」
・ ・ ・
友「あいつは昔から一匹狼で来てるやつなんだよ、ソッとしとけ」
男「でも、普通ああいうのって友達作るの失敗しちまった感じじゃないのか?」
友「そんなやつが自己紹介で『私に関わらないでください』なんて言うか?」
男「言わないだろうけど……」
友「女がそう言ってんだから、俺たちは関わらないようにするのが一番なんだ。おわかり?」
男「……なーんか納得いかねぇ」
友「しかしまあ、可愛いのはわかる。声も素敵だしな」
男「いや、そんなことはどうでもいいんだけど」
友「いやいや、不細工だったらお前絶対に話しかけてないね」
男「……そんなもしもの話はやめろよ」
友「へいへい」
男「……まあ、可愛いとは思うけどさ」
友「だろ? 告白回数は高1の中で一番なんじゃねえか?」
男「そ、そうなのか」
友「なにせ物静かで頭も良いし、可愛いじゃほっとかねーだろ」
男「さっき喋ってみたけど、物静かではないだろ」
友「まあ、同じクラスだからじゃねえか?」
男「そんなもんか」
友「まあ、誰に対しても『関わるな』ってのは変わらないみたいだな」
男「ふーん……」
女 キッ
男「うお、睨まれた」
友「完全に嫌われたな」
男「……かもな」
友「まあ、俺たちは無難な相手を見つけましょうや」
男「いや、別に……」
友「へいへい、負け惜しみはいいから、な?」
男「別にそういうことじゃねえって……」
友「このクラスわりと可愛いやつ揃ってるから、その子達でもいいじゃねえか、な?」
男「人の話を聞かんやつだな」
・ ・ ・
放課後
友「男、かえろーぜー」
男「おう」
男 チラッ
女「……」
友「なんだよ、まだ諦めてねぇのか?」
男「いや、諦めるとかじゃなく。先帰れ」
友「へいへい、せいぜい頑張れや、少年」
男「なんだよその言い方」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
女「なんで帰らないのよ?」
男「……え」
女「あんたよあんた」
男「……お前こそ、なんで帰らないんだよ?」
女「私は日直。あんたが帰らないんじゃ帰れない」
男「ああ、そうだったのか。悪い」
ガララッ
女「……ふぅ」
男「帰らないのか?」
女「……なんでまだいるのよ?」
男「お前がまったく帰る気配がないからだ」
女「……はぁ」
男「?」
女「今出るから、さっさと教室から出て」
男「あ、ああ」
ガララ ガチャ
女「……ちょっと」
男「ん?」
女「私に関わらないでくれる?」
男「別に、関わってないよ」
女「関わってるじゃない、今すでに会話してる」
男「一方的じゃなく、お前も俺と話してるじゃないか」
女「忠告よ忠告。これ以上は話さない」
男「無視するのか?」
女「……」スタスタスタ
男「お、おい」
女「……」
男(すげえスルースキルだな……)
・ ・ ・
女「……」
男「なんだ、帰り道同じなんだな」
女「……」
男「それにしても、もったいないな。お前なんでいつも一人なんだ?」
女 キッ
男「その目つきはやめろ。怖い」
女「……」
男(ちゃんと話は聞いてるんだな)
女「……」
男「なんで友達とか作ろうとしないんだ? そういうの苦手とか?」
女「……」
男(歩くのが早くなった!)
女「……もったいないって、なによ」
男「え?」
女「……」
男「ああ、もったいないって言葉の意味か」
男「お前が可愛いのに一人でいるってことだよ」
女「……」
男「だから、もったいないって」
グイッ
男「うお、な、なんだよ?」
女「そういうことは、普通彼女に言うもんでしょ?」
男「え、なんだよそれ?」
女「あんた、私の彼氏? 違うでしょ。私とあんたはただのクラスメイト。違う?」
男「ち、違くねえけど……」
女「そういう臭い言葉言えるような相手に言いなさいよ」
男「……だから、言ったんだろ」
女「え?」
男「可愛いから、可愛いって言って何が悪いんだよ?」
女「……」バッ
男「……別に彼氏じゃなくても、言うのは自由だろ」
女「……言われる身になってみなさいよ」
男「?」
女「こっちはどういう態度取ればいいかわからないじゃない!」
男「ええ!?」
女「可愛いって言われて照れないと思う? 恥ずかしいのよこっちは!」
男「そ、そうなのか」
女「しかもあんたみたいに直接目の前でいうやつはなんなのよ……顔も見れないじゃない」
男「意外とシャイなんだな」
女「……うっさい」
男「俺は言われたことないから、お前のことはわからないかもな」
女「……可愛いなんて誰も言わないわよ」
男「いや、俺も流石に可愛いなんて求めてない」
女「さしずめ正直者よ」
男「あれ、誉められた?」
女「ほ、誉めてないわよ」
男「はは、そうか」
女「……ばっかみたい」
男「よく言われる」
女「……」クスッ
男「今、笑ったか?」
女「笑ってない」
男「いや、今……」
女「関わらないでよ」
男「今更感が半端ないぞ……」
女「忠告よ、忠告」
男「忠告らしい忠告が一つもなかったけどな」
女「あっそ、じゃあね」
男「お、おい」
女「私はここが家なの」
男「そうか、じゃあ、また学校な」
女「ふんっ」
タタタッ ガチャ
男「……面白いやつじゃねえか」
・ ・ ・
男「……もしもし?」
友『あん?』
男「よう、弱小」
友『なんだよその呼び方は』
男「いや、大したことじゃないんだが」
友『まさか、女となにかあったのか? ……なわけねえか』
男「あいつわりと普通なやつだぞ」
友『……え?』
男「今日一緒に帰ったんだけどさ、普通に喋れるし、面白い奴だったぞ」
友『……嘘だろ』
男「?」
友『あいつ、誰にも口聞かないって噂だぞ!?』
男「はぁ、なんで?」
友『知らん』
男「まあ、知るわけないか」
友『おぉ!? 俺の情報網をなめるなよ?』
男「いや、でも、噂だろ?」
友『……おう』
男「なんでしょぼくれてんだよ」
友『いや……お前って結構喋れるやつなんだな』
男「はぁ?」
友『もういい、自慢はたくさんだ。じゃあな!』プツッ
男「……なんだよ」
男「まあいいか。女とも喋れたし、これでなんかスッキリしたな」
男(あとはあいつに友達ができればいいんだがな)
男(……俺は、友達に入るのか? まあ、どうでもいいか)
男「寝よう。することもないし」
男(彼女がいれば俺だって今ごろキャッキャしながらメールしてるのに! 畜生!)
男(といって電話したのが野郎とは……悲しい)
ブーブー
男「あん?」
男(こんなに悲しくなってる時に誰だ?)
カチャ
男「知らないアドレスだ……」
男「迷惑メールかな……ん?」
『$BH`=w$K4X$o$k$J!#(B』
男「なんだこれ……文字化けしてるじゃねえか」
男「意味わかんねーや。寝よ寝よ」
男「……」
男(なんか、嫌な予感がする)
・ ・ ・
男(ん、なんか今日は早く起きちまったな。参った)
男「あと5分……って言うほど眠くない」
男(わりと気持ちよく寝れたみたいだ。良かった)
男「んじゃあ、今日は早く行ってみようかな」
男(行ってから寝れば焦る必要もない、なんて画期的だ!)
・ ・ ・
男「……あれ?」
女「……」
男「早いな、おはよう」
女「……」フイッ
男「なんだよ、朝から機嫌悪いな」
女「生理よ」
男「せ……って、そんなこと軽々しく言うなよ!」
女「別に気にしないし」
男「変な奴」
女「引いた?」
男「そんなやつだと許容した」
女「……ふんっ」
なるほど
彼女は超能力者ですね
そして過去に辛いことがあり、それ以来自分の殼に閉じ籠っている……
人間にもなれず、超能力者にもなれない
哀れで醜い我が娘だ
男「ふんって……可愛げないな」
女「可愛くしてるつもりはない」
男「わかってるけどさ、せっかく可愛いのに」
女「も、もったいないとか言ったら怒るわよ」
男「……残念だ」
女「な、なにが残念よ!? 胸!? そりゃ確かに大きくは無いけど……」
男「……は?」
女「……何言わせてんのよ、変態」
男「お前が勘違いしたんだろ!?」
女「うっさいわね、私に関わらないでよ、バカ!」
男「な、なんだよ! そりゃ」
女「あんたが話しかけるせいでどんどん墓穴掘っちゃってるのよ!」
男「それは自業自得だろ!」
女「あーもういいから、話しかけないで!」
男「なんだよ……」
女「……」
男(……う、睡魔が来た……寝よう)
女「……」
男「……ふわぁ……」
男「すぅすぅ……」
・ ・ ・
友「うおぉい! 起きろ!」
男「んあ……?」
友「お前……なんでそこで寝てるんだ?」
男「へ?」
友「そこは、お前の席じゃねえだろ!」
男「は? 何言ってんだよ?」
友「んじゃあ、お前の席見て見ろい!」
男 キョロキョロ
男「……あれ、ここ、女の席か?」
友「それで、お前の席を見てみろ」
男「ん?」
女「……」
男「あれ、女?」
友「怒らない女も不思議だが、お前はなんでそこで寝てる!?」
男「知らねえよ」
友「寝たのはお前だろうが! バカ野郎っ」バシッ
男「超微妙なビンタやめろよ! 本気より地味に痛い!」
・ ・ ・
男(それにしても、どうして?)
女「……」
男(俺が、あいつの机に? 俺は自分の机に突っ伏していたはずだ)
女「……」ジロッ
男「?」
女 パクパク
男(なんだ……口パク?)
女『こっち見るな』
男(なんだよ、それ)
・ ・ ・
男「おい、女」
女「……」
男「無視するなよ」
女「……いただきます」
男「弁当一緒に食わせて貰うぞ」
女「迷惑」
男「うっせ、ちょっと聞きたいことがあるんだ。だから一緒に食わせてくれ」
_z| ::::::::ヽヽ;;;;;;;;;| ' ^ l::: |''7;;;:::;::::: |ム,,
,,_z''' |ヽ、;;;;;;-''''''' '''''~~L,,<_,,
>''' 从''' ><,
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::::从:::::::::::::::::从/::::::::::::::::::':':l::;;;;;\;;:::::::::::::::::;;;;;;;;;, _/:::|:::::::::ト .∧、∧、∧、∧、∧、
::::::从::::::::::::::::::И/|::::::::::::::::::::::;;;;;l;;||lll|--,'''''''''、 '''''''''-'''|::::i|l::::::::从 . : :┌´
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:::::::::::从::::::::::::::从:|l:|N:::::;:::;;:;:;;;;;;;;;;;;;|lll||.ヾ;;::::::|:::::;;ノ ||l|:::::::::::::::|:|:::::::::::<
:::::::、wv\|ヽ:::::::|;;;|;;从;i;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ll|> | V^V^l/ト'//:::::::::::|::从::::::::/|:ム
~~''''::;;|;;;;从从|;;;;;;;;;;;;;;;;ヾミミ^-^-^ 彡'/::::::i:::/|/::::::::从::::::::∨^ ∨^ ∨^ ∨^ ∨^
'''--;;;l;l;;;;;;;;;;;;;;;;;^w,,≡≡;w^::::::::ノノ:::::::::::从ゝ--;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::
 ̄'''---;;;;;;ii;;;''^'''^:;:::/::从:::::::::::::::|:::''' ヾ::::::::
女「……」
男「いただきます」
女「普段言ってないくせに」
男「お前が行ってた手前、言わざるを得んだろ」
女「ふんっ」
男「……つか、なんで俺がいつも言ってないこと知ってるんだ?」
女「……」
女「知らないわよ」
男「ん?」
女「あんたの声が聞こえないから、そう思っただけ」
男「ふーん、器用な奴だな」
女「……」パクパク
男「食うの早いな」
女「早く食べてどこか行きたいの。あんたのいないところにね」
男「俺のこと嫌いすぎだろ」
女「嫌いだもの」
男「ズバッと来るな……」
女「だからあんたといると苦痛。だからどっか行って」
男「わかった。聞きたいことだけ聞いてどっか行く」
女「じゃあさっさと聞きなさい」
男「……なんで俺はお前の席で寝てたんだ?」
女「寝ぼけてたんじゃないの?」
男「それはない。俺は俺の席まで行ったのも覚えてるし、お前は自分の席に座ってたはずだ」
女「……だから?」
男「お前しかいないんだから、教えてくれよ」
女「……教室にはたくさん人がいるわ」
男「……あの時はお前しかいなかっただろ?」
女「……」
男「教えてくれよ。このままじゃスッキリしない」
女「世の中不明瞭なことなんてたくさんあるじゃない」
男「?」
女「例えば、政治のこととか」
男「そういう話はどうだっていい」
女「……スッキリしないわ」
男「俺は目の前の不明瞭にだけに集中したい」
女「そういうの、偏屈って言うのよ」
男「お前に言われたくない」
女「……さあね、教えてあげない」
男「教えてくれなくていい。伝えろ」
女「言葉だけ変わっただけじゃない。バカじゃないの?」
「ううー、さみぃ」
「そこエアコンガンガン当たる場所だろ? 風邪ひくぞー」
男「……ん、まさか」
女「ごちそうさま」
男(俺の席もエアコンどストライク席……夏なのに厚着をしなければいけないくらいに冷えるゾーン……)
女「……」
男「ありがとうな、女」
女「なにがよ」
男「いや、別に」
女「礼なんていらないわ。なにもしてないもの」
男「それでも、ありがとう」
女「……ふんっ」
男「どこ行くんだ?」
女「トイレよ、バカ」
男「……」(場所、教えてくれるのか)
友「おい……男ぉ」
男「うおっ、なんだその顔は?」
友「お前は女を助ける代わりに俺をぼっちにするつもりかぁ……?」
男「だったらこっちに来ればいいだろ」
友「できたら苦労しねえよ!」
男「大丈夫だ、もうお前をひとりになんかさせん」
友「それはお前……オトコに言う言葉じゃねえよ気持ち悪い」
友「とりあえずお前はな、気づいた方が良い」
男「なにがだ?」
友「はいはいはーい! 鈍感! DONKAN!」
男「いきなりテンションがおかしいぞ」
友「え、ここまで展開があって、わからないの?」
男「? 数式か?」
友「お前、ボケ過ぎだろ……」
友「お前は女とすでに関係ができあがってるんだよ!」
男「なんの」
友「友人としての、絆がな!」
男「ああ、そうなのか?」
友「絶対そうだ。見ろ、周りの男子を……」
男「……うおお」
友「確実にお前を敵視している。全員殺人鬼手前の眼だ」
男「待て、殺される義理は無いぞ」
友「なにを言っておる。『関わるな』と言っていたあの女と交友関係を持ってるんだぞ?」
男「それはさっきお前が言ってただろ」
友「あの、可愛い、女とだぞ?」
男「……ああ、なるほど」
友「お前そんなに軽いと帰り道とか気をつけろよ。死ぬぞ」
男「流石にそれはないにしても、凄い殺気だな……」
友「仕方ない。嫉妬ってのはそういうもんだ」
男「そういうお前は?」
友「妬ましい」
男「ありゃま」
友「俺はお前からどうやって友達になったか教えてほしいくらいだ」
男「わからん」
友「『わからん』(ドヤァ)じゃねえよ!」
男「そんなにドヤ顔してねえよ!」
友「ゆるせねえ、ゆるせねえよよおおおおお!!」
男「落ちつけよ! 別にそんなに仲良くなったわけじゃねえって」
ガララ
女「……気持ち良かった」
スタスタスタ
男「ん?」
ピシャ
男「うごっ、わざわざ水をかけにこっちに来るな……ってもういない!」
友「……どぉこぉが仲良くないじゃわりゃあああああああああ!!」
男「うわあああ、友が暴走した!」
「いいぞ殺っちまえ!」
男「え!?」
「友、お前はこのクラスの希望だぁ!」
男「お、お前ら!」
「というか、男自滅しろ!」
男「な、なにをぉ!?」
友「男……悪いがお前が悪だ!」
男「そ、そんなバカな……」
友「正義は必ず――」
「「「勝つ!!」」」
男「お前らのテンションがよくわからねえ!」
友「先手必勝! でりゃああ!」
男「ぬが、やめろ……わはははははは!」
友「野郎をくすぐるなんてしたくなかったが、この際仕方ねえ!」
男「ちょ、お前……わははははは!」
女「……ばっかみたい」
・ ・ ・
男「はぁ……今日は死ぬかと思った」
女「……」
男「元はと言えば、お前がずっと一人だからだぞ」
女「それは人のせいにしてるだけでしょ」
男「まあ、そうだな」
女「ふん、楽しんでたくせに」
男「……まあな、ああいうテンション、嫌いじゃないし」
女「わからないんじゃないの?」
男「ノリだよ、ノリ」
女「……それより」
男「ん?」
女「なんでまた懲りずに私にひっついてるのよ」
男「懲りずって、なにがだ?」
女「気づいているくせに」
男「別に、お前面白いし」
女「はぁ? 私はああいうテンションじゃないし、毒づいてるわよ」
男「毒づいてるのは自覚してるんだな」
女「……」
男「結構口からポロっと出しちまうみたいだな」
女「ふんっ、悪い?」
男「素直だと言ってるだけだ」
女「……」
男「ん?」
女「面白いとか、素直だとか……また目の前で」
男「ああ、すまん、悪かった。謝る」
女「三重の謝罪なんて聞きたくないわ」
男「なるほど、そういうことか」
女「……もう一度言うわ、私に関わらないで」
男「お前はそう言いながら、わりと拒んでない気がする」
女「自意識過剰にも程があるわ、気持ち悪い」
男「略すな。お前、どうしてそこまで人と関わらないようにしてるんだ?」
女「……さあね」
男「すぐに答えをぼかすなよ」
女「いちいち質問しないで」
男(色々と事情があるのはわかってるけど……)
女「悪いけど、私はあんたと関わりたくないと言っているの」
男「だから、俺が言いたいのは」
女「聞きたくない、あんたの言葉なんて私は右から左に流すわ」
男「この立ち位置だと左から右だな」
女「細かいわ、細かすぎる」
女「ちょっと止まりなさい」
男「なんだよ」
女「私の眼を見なさい」
男「……ん」
ヒュウウウ
ピラリッ
男「あ……」
女「……」バッ
男「……」
女「あんた、今パンツ見た?」
男「見た」
女「正直なのは時に損をする」
男「……すまん」
女「仕方ないわ。オトコは好きだもの、パンチラ」
男「……」
女「不潔だから近寄らないでくれる?」
男「さっきのは謝る、しかし、それとこれとでは話が……」
女「関わらなくてすむ理由できたじゃない。私は嬉しいわ」
男「……」
女「とにかく、これであなたは私を性的な目で見ていた。それ私は不快に思った。だからこれで終わりよ」
男「待て、それは納得がいかない」
女「どうしてよ?」
男「俺は別にお前を性的な目で見ていない。そこが俺には納得いかない」
女「建前上よ」
男「それでも、認めたくない」
女「なによ、私の体が不満なの?」
男「変な言い方はやめろよ」
女「……」
男「……わかった。じゃあ俺は素直に言っておく」
女「……?」
男「俺はお前と仲良くなりたい。だから関わるなと言われても困る」
女「私は関わりたくないし、あんたが嫌いなの」
男「お前は俺のことを本当に嫌いじゃない」
女「……なによそれ」
男「変かもしれないが、俺はそれがわかる」
女「……勘違いも甚だしいわね」
女「証拠もないくせに、よくそんなことが平気で言えるわ」
男「証拠ならある」
女「……」
男「お前は、関わりたくない相手を無視していた」
女「……」
男「話しかけてきても口を聞かなければいいんだから、関わらずにすむに決まってる」
女「……」
男「だけど、俺には口を聞いた、つまり……」
女「……」
男「つまり、なんだろうな」
女「なによそれ」
男「……いやあ、なんか上手く言い表せなかった」
女「……バカみたい」クスッ
男「あ」
女「笑ってないからね」
男「……はいはい」
女「……なに、文句でもあるの?」
男「いきなり喧嘩腰だな」
女「腰なんて見てるなんて、腰フェチ?」
男「言葉通り取りすぎだろ」
女「ふん、つまんない」
男「なんだよそりゃ」
女「もういいわ、じゃあね」
男「もう家か。また明日な」
女「ふん……」
男「……」
女「また明日」
・ ・ ・
男「あれ、またメールか」
『?¨‘O?I’m?e?±?A?E?E?e?B ?±?I?¢?I?u?E‰??O?c?E?a?A?A”j‰o?3?e???O?A? ?e?A?A?¶?I?μ?E?¢?B ???a‘S?A?d”j‰o?μ?A’j?a?≫?e?d?U?i?・?e?B』
男「まーた文字化けだよ。しかもなんか長いし……」
男「ったく……なんだってんだ」
男「……そういえば、女のアドレス知らないな」
男「明日にでも聞いてみるか」
・ ・ ・
男「うおおおお、遅れるーーーー!」
男(なんで時計のアラーム鳴らねえんだよ! 畜生っ)
男「こういう時は全然ついてなかったり……ん?」
女 タッタッタッ
男「おう、女」
女「!」
男「お前も寝坊か?」
女「時計のアラームが鳴らなかったのよ」
男「なんだ、俺と同じだ。走れー間に合わないかもしれないぞー!」
女「朝から気持ち悪いテンションね……」
男「はっ、よく言われる。ほら、早くしねえと本当にまずいぞ」
女「言われなくても……へぶっ!」コケッ
男「って、おい!」
女「ったぁ……あんたが急かすからこけちゃったじゃない!」
男「俺のせいなのか!?」
女「……膝すりむいちゃった。最悪よ……」
男「このままじゃ本気で間に合わないぞ!」
女「なんでもいいからおぶりなさいよ!」
男「なんで?」
女「あんたのせいなんだから責任取りなさい!」
男「お前そんなやつだったか!?」
女「うっさい、今日だけ関わってあげるから、早く!」
男「だー、わかったよ! ほれ、乗れ!」
女「すこしはゆっくりさせなさいよ……よいしょ」
男「ゆっくりしすぎだ、お前はばあちゃんか!」
頭痛がひどくて書けないです……。
ごめんなさい、ここまで来て離脱します。
保守は……最近落ちるの早いですから、できる範囲でしていただければ嬉しいです。
落ちたら落ちたでなにかで完結させますので、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
もしも残っていたら書きます。そんなスタンスでごめんなさい。
女「こんな若い子捕まえてなに言ってるのよ!ちょっと揺らさないでよ!危ないじゃない」(ギュッ
男「なんか昨日までとキャラ違いすぎね?」
女「あんたのせいなんだから責任取りなさい!」
男(あれ・・・意外と胸大きい?・・・背中・・・やべえ・・・)
女「また性的なこと考えてるでしょ!?」
男「んなわけねーだろ!ほら!ダッシュするからしっかり捕まってろ!」
女「これ以上しっかり捕まったら…」
男女「びっくりするほどユートピア!びっくりするほどユートピア!」
∩___∩
| ノ\ ヽ
/ ●゛ ● |
| ∪ ( _●_) ミ
彡、 |∪| |
/ ∩ノ ⊃ ヽ
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200~ 24時間営業 年中無休! ∧_∧
, ''二=-― -、 (´・ω・`)_.. ッ". -'''" ̄ ̄^ニv..........,、
/,'" )'ー、 ∧_∧ ,.. -―'''';;]_,゙二二__,,/ _..-''" ゙゙゙̄''ー `'-、
/ /''ー ' /'"`` ' 、 ( ・ω・.:.`) ,,-'"゙゙,゙ニ=ー''''"゙゙シ'"_,゙,゙,,,,,,,_ `'''T゛ \
/: / ヽー'ノ::::.... )-、,, /:::゙' 、. ヽ /_..-'"″ '''^゙>'''"゛ ´ `!、
l゙::: / リ:/ ::: ノ::::.... ヽー 、:::: :::: :: ','' ー 、 _イ- ''""" '' 、,,,,,,,、-ーZ ''''''''ー、- 、、, ,r‐-、_ ∧_∧ .l
', | / l|// /::" ::/ ̄ヽヽ、、、,,,:::: | ',::::: `'ー、,、-''"´ / ヽ ヽ `'' 、/.:.:.:ヘ7ノ (・ω・:.:.`)ハ=ー-、
',ノ,'' イ' ::/ ィ / :/ ゙''':::::| ヽ;;;;; `゙;;'''';;ーi、,,、- '''''"彡゙ll|ソ , '" / / i l |ゝl|.__i´.:.:.:./-' /:.`ニニ´彳`` _,,='"´.: ̄`ヽ
{ | l| /,,;イ / / ::| ::」``ヽ;;;;; ,、;;;ヽ、ヽ;; 、,,,ッ ,、 '"ノ / ノ ,j lリ j{=ー---‐' } ,r'´ ̄`ヽ‐-=,_ゝY´.:.:.:.:.`゙ー-、,,.:.:}.::`ー、_
ヽ リ '" } /ノ l| / :|" 三三`' 、( );; ヾ'、○} { r' / j , |,,、 " `ー---‐'、 ,r='´`ー='"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'',,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ'´`ヽゝ、ハ
ヽ ヽ" :l l l| / :}、::::: `' 、;;; ;;; ', ゙''、 j 、|. y' }. / / _,、,," ',.:.:.:.:.:.:.Y.:.:.:.:.:.:.r'´.:>、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノヽ、,,_,,/ハ.:.:.:.:.:`i.:.:`ヽ、
ヽ ヽ { " / | リ:: ヽ::: '' 、从 ',、 ミヽ ゙' 、.| ||. ノ / /∧ _∧ .',.:.:.:.:ノハ,,='"´.:.:.::i´.:`ーt――"´-'ー--'彡/リ`ー=_ノ、.:.:.:)ヘ
ヽ :: \ '、 ミ / 、 ゙l::: ゙ll ゙ll:',ヽ ゙' 、, ゙{ jl,,,,/,z'ノノ/∧´・ω・) ',.:.:.:.>.:.:.:_,,=-'ゝ、.:.:.:',ニ)_`i´.:_ノ、_)ー'/ /,r'.:.:.,,/.:)
ヽ ::: ミ '、 ミ |::: ヾ::::: ゙ll ゙l|l::::゙、 { |`"´ ,r=‐'"ノ /ノ >‐个Y´`ー=-‐'゙ `ヽ i、ヽ_ノ´.:.:.`ii´.:.:.ノ リ j'.:./:/.:ノ
ヽ::::: リl|l|::: ', ゙ll: |::::::゙、人|; / , r='´ー-=',,_lゝ `ー‐',=-、{ {o ゚ ..,(⌒) 。゚ } ',ヽヽ_)ー-‐< }ー'ノ ,' /`ヽ、/,,;''/
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壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています 筋肉に自身のあるそこのアナタ!
ほ
女「ばあちゃんでもなんでも、遅れたらあんたのせいだから」
男「人任せだな」
女「ほら、早く行きなさいよ」
男「わかったよ……おりゃ!」
女「悪かったわね、重くて」
男「言ってねえ」
女「そう聞こえたの」
男「なにがそう聞えたんだよ」
女「私のことはほっといていいから早く走りなさいよ!」
男「わーったわーった!」
女「ったく……」
男「……」
女「なにも喋らないと、逆に何考えてるかわからなくていやね」
男「どうすりゃいいんだよ……」
女「無心で走りなさい」
男「言われなくてもしてるんだがな……」
・ ・ ・
女「……」
男「あー、疲れた!」
友「説明しろ、男」
男「あ? 今疲れてるんだけどな」
友「説明しろやああああああ!」
男「また昨日のノリか!」
友「なんでお前が女をおぶって登校してきたんだ? ああ!?」
男「友、目が怖い」
友「いきなり女運付きすぎだぞお前ええええ!!」
男「いや、そう言われてもな」
友「女に聞けなんて野暮なこと言うなよ? 無視されるのがオチなんだからな」
男「俺だって理由を言えと言われて簡単に言えないぞ」
友「だから当事者は女とお前なんだろがぁぁぁ!!」
男「あいつがこけたから俺がおぶったってだけだよ」
友「……」
男「これでいいんだろ? 理由はちゃんと言ったぞ!」
友「……おい、まだだ」
男「なんだよ、まだ不十分か?」
友「なんで一緒に登校してんだよぉぉぉぉぉ!!!!」
男「会ったんだよ、途中で」
友「この前は早めに二人で登校」
男「……」
友「今日は遅れて、遅刻寸前で登校」
男「……ああ」
友「お前ら、なんか赤い糸的なものが」
男「んなものはない」
男「女だって前と変わらないだろ?」
女「……」
男「そんなにあいつとの仲は変わってないし、変わったっつってもちょっとのことだ」
友「そのちょっとってのはなんだよ?」
男「あ」
友「今、『しまった』と思っただろ?」
男「思ってない」
友「いいや、思ったね。思ってましたよ、ばばんばん」
男「ああ、もういい。めんどくさい」
友「なんだそりゃ」
男「俺と女は友達になった、それだけだ」
女「!」
友「なにぃ……クラスメイト以上になっただと?」
女「勝手なこと言わないでよ」
男「ん、女」
女「さっきから聞いてればなに? 勘違いもいい加減にしなさいよ」
男「……」
友「なんだよ、ビックリさせんなよ男ー」
女 ジロリ
友 ビクッ
女「ちょっと」
男「ん?」
女 ゴニョゴニョ
男「『ウジウジしててオトコらしくない、私の話をしないで』だとさ」
友 ガガーン (せめて自分の口から言って欲しかった!)
男「まあ、どうやら俺の勘違いだったみたいだな」
友「……いや」
男「ん?」
友「羨ましいよ、お前」
男「なにが?」
友「鈍感というか、なんかもう腹立つ域だな」
男「お、おい」
友「おめでとう、そしてさようなら!」
男「もう……なんなんだよ!」
・ ・ ・
男「なあ、女」
女 パクパク
男「……お前携帯とか持ってないのか?」
女「……持ってたらなによ」
男「あ、持ってるのか?」
女「連絡なんて一度もしたことないけどね」
男「携帯する意味ねえじゃねえか」
女「だから家にあるわ」
男「尚更意味ねえ!」
女「メールとかして、意味がある? それなら直接会って話をした方がとても有意義よ」
男「友達がいないのにか?」
女「作ってないだけだし、関わりたくないだけ」
男「なんでそんなに関わりたくないんだ?」
女「あんたには関係ない」
男「まあいいや、電話番号教えてくれよ」
女「なんでよ」
男「……教えてほしいから?」
女「そんな理由は認められないわ」
男「じゃあ、電話したいから」
女「却下」
男「……じゃあ、アレだ」
女「……」
男「会う約束するために」
女「なんであんたに会わないといけないのよ」
男「理由ばっかにこだわるなよ、な?」
女「スッキリしないわ」
女「残念だけど、私自分の電話番号覚えてないから」
男「ああ、そうなのか」(それほど使ってないのか)
女「はい、おしまい」
男「なにが?」
女「無駄なトークタイムよ。話しかけないで」
男「そうかい、わかったよ」
・ ・ ・
先生「席替えするぞー」
男「前だと寝れないから頼む……できるだけ後ろ!」
友「なにを言うか。俺はできるだけ女の近く!」
男「懲りないな」
友「目の保養のためさ!」
男「オトコの鑑だな……」
女 ギロッ
友「ひっ」
男「お前も結構目をつけられちまったんじゃないか?」
友「……男、どうしよう」
男「どうした?」
友「俺、興奮してる」
男「……きもちわりぃ」
先生「次、男」
男「うっす」
ゴソゴソ
男「これだ!」バッ
先生「その番号は……あそこだ」
男「おっし、後ろ!」
友「おお、希望どおりじゃねえか」
男「まあな」
・ ・ ・
女「……」
男「近いな」
女「関わらないで」
友「……」
男(男の人を狩るような目が痛い……)
友「……」ジー
男「せ、せんせー」
先生「くじで決めた席に文句を言うんじゃねえ!」
男「あれ!? さっきと先生キャラが違うっ」
・ ・ ・
男「おい、女」
女「……」スタスタ
男「おい」
友「おーい、どうした?」
男「いや、なんでもない」
友「久しぶりに一緒に帰るか?」
男「ああ、そうだな」
・ ・ ・
友「もうすこし俺のことも考えて欲しいぜ」
男「あ?」
友「お前が女と弁当食うから、俺はひとりで食ってるし、帰りだって一人なんだぞ」
男「……お前も友達いないのか」
友「いや、いるよ!? ただ一緒の帰り道のやつがお前だけって話だからな!」
男「言えば言うほどむなしいぞ……」
友「そう言われると余計いたたまれねー!」
友「……まあ、どうだ、今日は夕食どっかで食っていかねえか?」
男「ああ、いい。俺は帰る」
友「ノリ悪いぞー」
男「いいだろ別に、お前が夕食どっか行かねえかはお決まりなんだから」
友「ちぇ、んじゃあな」
男「おう」
男(というか、夕食の時間まで潰すのがめんどくさいんだよな。すまん、友!)
男「……ん?」
?「……」
男「ん……あれ」
?「……」
男(女じゃねえか)
?「……」モジモジ
男(自分の家の前で何してるんだ?)
男「おーい、どうした?」
? ビクッ
男「ん?」
?「あ……あ……」
男「どうしたんだ? なんか戸惑ってるみたいだけど」
? ダッ
男「お、おい! どこ行くんだよ! 女ー!」
男「どうしたんだあいつ……いつもみたいに怒ってもいなかったし」
女「人の家の前でなにしてるのよ」
男「!」
女「静かにしなさいよ、寝れないじゃない」
男「まだ夕方だぞ!?」
女「だから?」
男「え、本当に寝るつもりだったのか?」
女「そのつもりに決まってるでしょ。バカみたい」
男「お前、いつもそうなのか?」
女「違うわよ」
男「じゃあなんで?」
女「あんたと帰りたくなかったから」
男「なんか違うことの理由を言ってないか?」
女「早く寝ようとしたのはあんたの声が聞こえてきたから」
男「俺の声には眠気を誘うのか!?」
女「耳に入った瞬間にね」
男「この前は右から左に聞きながすんじゃなかったのか?」
女「勝手に拾っちゃうのよ」
男「ちゃんと返事ができるのは聞いてる証拠じゃないのか?」
女「うっさいわね」
男「まあ、お前らしいか」
女「なにがよ」
男「そんな感じが」
女「意味分かんないわ。わかりたくもないけど」
男「それでいい。……で、その手に持ってるのはなんだ?」
女「なんでもないわ」
男「俺には携帯に見えるんだが」
女「私は家では携帯っ子なの」
男「嘘つけ」
女「本当よ。サイトを見るのはもっぱら携帯よ。さっきも見てたわ」
男「そうなのかぁ?」
女「信じないの?」
男「いや、信じないつもりではないだが」
男「それより、聞きたいことがある」
女「いつもその切り出し方ね。他になにかないのかしら」
男「……悪かったな」
女「……ふん」
男「さっき、お前の家の前にいたのって、誰だ?」
女「なんのことよ」
男「お前にそっくりのやつが、いたんだが」
女「……私にそっくり?」
男「ああ」
女「……私にそっくり……ふぅん、そう」
男「どうした?」
女「そっか……やっぱりね」
男「おい、どうしたんだ?」
女「なんでもないわ、大したことじゃない」
男「そうなのか」
女「それでも、なんであんたが私の家の前で堂々と私と話しているのか、わからない」
男「?」
女「あんたと私はただのクラスメイトよ。会話なんて一言二言で十分なのよ」
男「……それなら、もう俺たちはクラスメイトじゃないんじゃないか?」
女「え」
男「一言二言、それ以上なら、俺たちはクラスメイトって関係じゃなくなってるんだよ」
女「なに、都合よく理解してるのよ」
男「それでも、そうだろ?」
女「……」
男「というか、お前は一言二言すらクラスメイトと話してないだろ」
女「……ふん、その通りよ」
男「ただでさえ、お前みたいなやつが愛想良くしてたら、絶対に得するぜ?」
女「損得を理由に愛想を振りまくなんて馬鹿げてるわ」
男「まあ、したくないことはしたくないな」
女「そういうこと。それが心理よ。自分がしたくないことを進んでやるほどMじゃないってこと」
男「お前は見るからにSだな」
女「ツリ目を見て言ったの? 何を見て判断したのよ」
男「雰囲気」
女「一日二日で雰囲気を感じ取れるなんて、人間観察の賜物ね」
男「いや、趣味じゃねえからな」
女「ふん、まあ、合ってるわ」
男「まあお前と話しててわからないやつはいないと思うぜ」
女「キツイ性格で悪かったわね」
男「そんなこと言ってねえよ、別に」
女「……ふん」
男「それ、私服か?」
女「……」
男「なんかまた……うーん」
女「文句あるの?」
男「凄くもったいない……な」
女「またもったいない……は、恥ずかしいこと言ったら怒るわよ」
男「いつも怒ってるように見えるけどな」
女「うるさいわよ、余計なお世話だわ」
男「お前、そういう服しか持ってないのか?」
女「できるだけ目立たないようにしてるだけよ」
男「なんだお前、なんか社会に不満でもあるのか?」
女「人と関わりたくないだけ。それだけでたくさんの問題を抱え込むことになるから」
男「難しい年頃か」
女「あんたに言われたくないわよ」
男「現時点、俺には関わってるわけだけど」
女「関わってると思いたいならそう思ってればいいじゃない」
男「人に自分の考えを委ねるのは危険だぞ。危ない」
女「だから嫌なの。人と話すのもいや、関わるのもいや」
男「関わりたくないやつって、もっと静かな奴が多いと思ってたけど」
女「知らないわよ。そういうの偏見って言うのよ」
男「そうかもしれないな、俺の目の前のやつが全然そうじゃないしな」
女「あー、うるさい。なんでこんな夕方にあんたの声聞かなきゃならないのよ」
男「悪かったな」
女「悪いと思うなら帰りなさいよ、バカ」
男「わかったよ……」
女「わかったのね、ふんっ」
男「あ、そうだ」
女「今度はなによ?」
男「明日、空いてるか?」
女「……さあね」
男「さあね……って……。その日になるまでわからないって感じか?」
女「……」
男「明日、1時に来るから。来れないなら来れないで教えてくれ」
女「それは困るわ」
男「え?」
女「1時なんて、大迷惑よ」
男「なんで?」
女「私の昼食時だもの」
男「ならどこか食いに行こう」
女「あんたに合わせる気はないわ」
男「悲しいこと言うなよ」
女「全然悲しくない。関わらないでよ」
男「じゃあ、1時より先にここに来て、1時には食べれるようにしよう」
女「……なんであんた私が行く前提で話進めてんのよ?」
男「ポジティブなだけだ」
女「バカみたい」
男「……」
女「意味わかんないし、自分勝手だし」
男「まあまあ」
女「なになだめてんのよ……まったく」
女「……まあ」
男「?」
女「行ってやらんでもないわ」
・ ・ ・
男「……ふぅ」
男「……あれ、なんで緊張してんだろ」
男「明日は女と出かける。それだけなのになぁ」
男「……だーめだ。なんかすげえ変な気分」
男「なんか気分紛らわせらんないかな……」
男「柄でもないが、外でも見てみるか!」
男「……うむ、曇ってる」
男(風も強いし……なんかどんよりしてるなぁ)
男「星一つ見えないなぁ……ん?」
「……」
男「あれ……女?」
「……!」
男「お、おい、女ー?」
タタタッ
男「……まただ」(あいつは、一体……?)
男「……まあ、いいか」
男「あいつも大したことじゃないって言ってたし」
男(まあ、とりあえず、今日は寝ましょ寝ましょ)
男「明日に備えて……おやすみ」
・ ・ ・
男「……おかしいな、目がギンギンなんだけど」
男「落ち着け、こういう時はどうすればいい……」
男「テレビを観る? 深夜なんか面白いのないぞ」
男「とりあえず目をつぶる? なんかダメだ」
男「とりあえず横になっておくか……」
男「……あーなんでだ」
男(こんなこと初めてだ)
男「ああああ、もうこれはスポーツするしかない!」
男「って、室内でやれるようなスポーツなんてそんなにない!」
男「うるさくすると悪いし、どうすりゃいいんだ!」
男「……はぁ」
男「やっぱり、寝ようとするしかないんだな」
男「そうすれば自然と瞼が……」
・ ・ ・
男「おおおお……寝れてる……」
男「でも……ふわぁぁ……眠い」
男「やっぱりちゃんと寝れてなかったか……前とは逆だ」
男(よりにもよって、女と出かける日に……やれやれ)
男「くよくよしててもしかたがない、準備しよう」
・ ・ ・
男「……」ピンポーン
シーン
女「……なによ」
男「うっす、来たぞ」
女「本当に来たの……はぁ」
男「悪いな、約束は守るタチでな」
女「あっそ」
プツッ
男「……」
ガチャ
女「……ふん」
男「地味ー」
女「うるさい」
男「まあ、そのおかげでちょうどいいかもな」
女「はぁ? なにが」
男「可愛いと思うぞ」
女「……だから、やめて」
男「照れるなよ」
女「なーにが『照れるなよ』よ! 気持ち悪い! クサいのよあんた!」
男「俺はMじゃないからな、言われたところでどうも思わん」
女「いや、思いなさいよ」
男「それじゃあ、行くか」
女「はぁ……本当に行くの?」
男「行く」
女「あ、そう」
男「……」
女「……」
男(……眠い)
男「……なにしてんだ?」
女「あんたと一緒にどこか行くっていうことが私にとっては屈辱なの」
男「なんだそりゃ」
女「だから距離を取らせてもらおうわ」
男「そうか」
女「……」
男「ん?」
女「なんでもないわ、さっさと行きなさいよ」
>>410
訂正。
×女「だから距離を取らせてもらおうわ」
○女「だから距離を取らせてもらうわ」
ちょっと寝ぼけがち。
女「……」
男「……」
女「な、なにを食べるのよ」
男「あ?」
女「なにを食べるのよ!」
男「決まってない」
女「なにも決めてないのに歩いてんの? 生産性がまったくないじゃない」
男「ああ、そうだな」
女「……なんなのよ」
男「……」
女「あんた、そんなんで私を誘ったの?」
男「え?」
女「もう、なんでもないわよ」
男「……おう」
女「……」
男「……」
女「! あそこ」
男「ああ、行くか?」
女「……別に、あんたが決めなさいよ」
男「じゃあ行こう」
女「……」
男「? どうした」
女「ふんっ」
女「……ちょ、ちょっと待ちなさい」
男「ん?」
女「一緒に食べないといけないの?」
男「別に」
女「……いや、私は一人で食べる。食べる時間を気にせず食べたいのよ」
男「ああ、そうなのか」
女「……あんた、なにも考えてないの?」
男「ん、なにか言ったか?」
女「もういいわよ、一緒に食べればいいんでしょ、バカ」
男「……」
女「な、なによ」
男「なんでもない」
女 イライラ
男「なに食べるんだ?」
女「この会話が嫌いなの! なんで食べるものを相手に言わないといけないのよ! 注文は店員にいうものなのよ!」
男「ああ、そうだな」
女「……ああ、もうっ」
男「……じゃあ、俺はこれで」
女「なに一人だけ頼んでんのよ。あ、私はこれでお願いします」
男「そんな可愛い声出せたんだな」
女「普段から出すのは疲れるのよ。というか、ただ聞きとりやすくしてるだけ」
男「ふーん」
女「……」イライラ
男「……」ズルズル
女「……」アムアム
男 ズルズル
女 アムアム
男 ズルズル
女 アムアム
女「吸えなくて悪かったわね!」
男「な、なにが!?」
・ ・ ・
男「ここは俺が払うよ」
女「借り作ってどうするつもりなの?」
男「別にどうもしない」
女「ふんっ、どうせ今度私に奢らせるつもりでしょ。あんたの魂胆は見え見えだわ」
男「わかったよ、じゃあワリカンな」
女「……あれ」
男「どうした?」
女「……財布忘れてきた……わけじゃないから……」
男「あ、別々じゃなくて一人で払います」
・ ・ ・
女「疲れたわ、あそこのベンチに座るけどあんたは先行っててあわよくば帰っていいわよ」
男「そんなに先走らねえよ」
女「ふんっ」
男「……」
女「……なによ」
男「ん?」
女「……この際だから言うわ、あんたねえ!」
ドサッ
女「へ?」
男「……」
女「な、なに肩にもたれてんのよバカ! やめなさいよ!」
男「……すぅすぅ」
女「な、なに寝てんのよ起きなさいよ!」
男「……」
女「……もう、なんなのよぉ」
女「……こいつ、昨日は寝れなかったのかしら……」
女「はぁ、なんでこんなやつと来ちゃったんだろ」
女「私だって休日は午後まで爆睡したかったのに……」
女「こんなやつと関わったのが運のツキだわ」
女「……ああああー」
女「早く起きなさいよこいつ……」
女「……」
?「起きないのですか?」
女「……?」
?「……」
女「……! あんた……!」
?「お久しぶりです、女ちゃん」
女「っ……」
頭痛が凄いのでまたこのへんで……。
とりあえず展開だけさせときました。
保守……してくださると嬉しいです。
支援本当にありがとうございます。力になります。
ほんとうにごめんなさい。
そして、ここまで見てくださってありがとうございました。
残っていれば、また書きます。
?「元気……じゃないか」
女「何しにきたのよ」
?「さあ?」
女「とぼけないで、何もするつもりないなんて、ありえないんだから」
?「目的が必要なんですか?」
女「……」
?「あなたにも、目的が必要ですか?」
女「!」
?「ああ、勘違いしないでください。私はいたって平和的ですから」
女「……」
?「彼に、正体はバレてませんか?」
女「……あんたは何回か目撃されてるみたいね」
?「ふふ、わざとです」
女 キッ
?「怖いですよ、目が」
女「……」
?「あなたは、生きていて楽しいですか?」
女「……は?」
?「充実感、充足感、満足感、達成感……ありますか?」
女「喧嘩売ってんの?」
?「売ってませんよ。質問をしているんです」
?「ただ、あなたの生きる理由がないのであれば」
女「……」
?「彼の迷惑になるんじゃないかって」
女「……そうね」
?「でしょう?」
女「私とでかけるせいで、寝不足になっちゃってるし、言葉もボーっとしてるし」
女「私がいないほうが、良かったかも」
?「……」
女「今回だけよ。私はもうこいつとはこれ以上関わる気はないわ」
?「そうですか」
女「ええ」
?「それじゃあ、私と換わりませんか?」
女「……?」
?「ほら、今あなたの肩には彼がいますから」
女「……ああ、そういうこと」
?「はい、そういうことです」
女「……別に、構わないわ」
?「それじゃあ」
女「……」
男「……」スースー
女「バカみたいな顔」ボソッ
?「それじゃあ、さようなら」
女「ええ」
女「……」
女「さよなら」ボソッ
・ ・ ・
男「……あっ」
?「……」
男「……おお、すまん、寝てた」
?「気にしてない……です」
男「へ?」
?「どうしましたか?」
男「……お、女……だよな?」
?「? はい、もちろんです」
男(いや、明らかに喋り方が違う)
?「どうかしましたか?」
男「なんでもない」
?「大分熟睡していましたね。寝顔、可愛かったです」
男「……」
?「?」
男(女の顔でこういうこと言われると、照れるな……)
男「あんた……女じゃないよな?」
?「ええ」
男「やっぱりか……あの、女の家の前にいた?」
?「はい、その通りです」
男「……女はどこに行ったんだ?」
?「帰りましたよ」
男「うお、あいつ……薄情なヤツだなぁ」
?「怒らないんですか?」
男「怒るも何も、なーんか無理やり連れて行っちまった感じだったし」
男「あいつの性格なら別に仕方ないなって」
?「……彼女のことを許容するのですね?」
男「ん? いや、俺にも悪いところがあったからだよ」
?「……」
男「それより、あんたは姉妹かなんかか? それとも、双子か?」
?「……さあ、なんでしょうね?」
男「?」
?「帰ってしまった分、私が埋め合わせをします。なにをしますか?」
男「ああ、えっと……な」
?「?」
男(今日はあいつの服を買いに行こうかと思ってたりしたんだけど)
男(この人は、女と違って良い感じの服を着てるからな)
男「実は、もう帰るところだったんだ」
?「まだお昼過ぎくらいですよ?」
男「ああ……えっと……」
?「これから暇ですか?」
男「あ……まあな」
?「じゃあ、映画でも観に行きません? 観たい映画があるんですけど」
男「ああ、別にいいよ。帰ってもこれといって予定はないし」
?「やった♪ それじゃあ行きましょう」ギュッ
男「!」
?「どうしたんですか?」
男「な、なんでもない」
・ ・ ・
男「……」
?「うふふ、楽しみですね」
男「……はぁ」
?「どうしました?」
男「女も、そうやって笑えばいいのにな」
?「え……」
男「可愛いのに、もったいねーよ。本当に」
?「男……さん!」グイッ
男「うおっ!」
?「今は私とデートしてるんですよ?」
男「で、デート!?」
?「それなのに、あの子ばかり、言わないでください」
男「わ、わかったから、離してくれ!」(顔が近いっ!)
?「本当にわかったんですか?」ムム
男「ああ、わかったから! 本当に!」
?「なら、いいんです」パッ
男(あー、なんだよ、女よりタチが悪いかもしれねえ……!)
?「あ、始まりますよー!」
男「お、おう」
・ ・ ・
?「これ見てください! 似合いますか?」
男「うん、可愛い」
?「うふふ、お世辞が上手ですね」ニコッ
男「……」(不思議な気分だ)
?「これなんて、どうです? ウサ耳ー」
男「!」(可愛いな、おいっ!)
?「あはは、顔真っ赤ですよー」
男(……ほんと、不思議だ)
・ ・ ・
?「今日はとっても楽しかったです」
男「ああ、俺も」
?「……それじゃあ、あの子をよろしくお願いします」
男「あ、あのさ」
?「はい?」
男「名前、聞いてもいいですか?」
?「……まだ秘密です♪」
男「え」
?「また今度っ、さよならー」
男「……じゃ、じゃあなー!」
・ ・ ・
男「……やれやれ。今日は色々ありすぎだぞ……」
男「出かけてる途中で寝るとは……不覚」
男(それに知らぬ間に女じゃなくなって……いや、女? 見た目だけ女だ)
男「変な気分だ。調子悪いわけでもないんだけどな」
男(まあいい、明後日にでも聞くとするか)
・ ・ ・
男「小腹が空いたな」
男「コンビニでも行こうかな」
男「とりあえず、気分もなんか変な感じだし、行こう」
男(気が紛れるかもしれないしな)
・ ・ ・
男「最近、あんまりコンビニとかで飯食わなくなったなぁ……知らない間に色んなものがあるな」
男「おお、デザートとかもあるんだな。美味そう」
男「ん? お、なんか美味そうなもの発見」
男「『大人気商品!』……ラッキー、最後の一個か」
ガシッ
男「あ」
女「……」
男「お、女!?」
女「……はぁ」
女「独り言が大きいわよ」
男「う、うるせえ」
女「神経を疑うわ。気持ち悪い」
男「あって早々罵倒とは……清々しいなお前」
女「……ふん」
男「おい、待て」
女「なによ」
男「今日、なんで……」
女「そんなことだと思った」
男「だって、知らぬ間に」
女「寝てる間に、でしょう?」
男「……まあ、俺も悪いところはあったけど」
女「自分のことを棚に上げるつもり?」
男「いや、怒ってるわけじゃねえんだ」
女「……じゃあ、なによ」
男「謝りたくて、さ」
女「謝る?」
男「俺が勝手に予定組んで、寝ぼけてて正直、あんまり記憶にないんだ」
女「最低」
男「悪かった、本当に!」
女「……もう、いいわよ」
男「許してくれるのか?」
女「許す許さないの問題だわ」
男「どういうことだ?」
女「あんたなんか眼中に無いってだけ」
>>661
訂正。
×女「許す許さないの問題だわ」
○女「許す許さないの問題じゃないわ」
男「……なんだよそれ」
女「だからあんたと出かけたことなんて忘れたわ」
男「都合のいい記憶力だな」
女「そうね、そうだわ」
男「……お前、なんでここに?」
女「コンビニにいるだけのことじゃない。なにか?」
男「いちいちむかつく言い方するなぁ」
女「いちいち話しかけないでよ、気持ち悪い」
男「お前も小腹が空いたのか?」
女「この時間はここにいるの。それだけ」
男「え、毎日か?」
女「きまぐれよ」
男「ふーん、それなのに時間はいつも同じなんだな」
女「そんなこともないわよ」
男「この時間はここにいるんじゃないのか?」
女「きまぐれよ」
男「きまぐれに応えるなよ」
女「答えるの、めんどくさいわ」
男「酷いぜ、そりゃあ」
女「……これはもらうからね」
男「待て待て、それは俺が目をつけたんだぞ」
女「うるさいわね、他にも買ってるんでしょ?」
男「そうだが、それを易々と渡すわけにはいかん」
女「ケチなオトコ」
男「なんとでも言え」
女「あげないわ」
男「それ最後の一つなんだぞ」
女「だからこそよ」
男「……わかった」
女「諦めるのね。賢明な判断だわ」
男「一口くれ」
女「いやよ、バカじゃないの」
男「食べてみたいんだ、頼む」
女「その分払いなさいよ」
男「一口分をか?」
女「全額よ」
男「それはお前酷過ぎるだろ」
女「……それ以上のものをあんたにやらなきゃいけないなんて屈辱だもの」
男「それ以上のもの?」
女「わかんないならいいわ、わからなくて」
男「おい、教えてくれよ」
女「しつこいのは嫌い」
男「うう、くれよー」
女「気持ち悪いわよ、バカみたい」
男「じゃあ、俺のこれをやるから」
女「それまだたくさんあるじゃない、ふざけないでよ」
男「じゃあ……これは?」
女「甘いのは嫌いなの」
男「それ、甘いだろ?」
女「この甘さはいいの」
男「矛盾し過ぎだな」
女「うるさいわよ」
男「わかったわかった。諦めるよ」
女「ふん、最初からそうしなさいよ」
男(やれやれ、本格的に腹が減ったな)
女「……」
チャリーン
「ありがとうございましたー」
男「……」
女「なんでついてくるのよ」
男「俺もこっちだし」
女「ふん、じゃあ先に歩きなさいよ」
男「いいじゃねえか、別に」
女「……良くないからいってるのよ」
男「なにが良くないんだ?」
女「こっちの話、あんたには関係ない」
男「なんだよそりゃ……」
女「……ふん」
男「あ、おいっ、そっちは家の方じゃ……」
女「どうでもいいでしょ」
男「ま、待てって」
女「いい加減にして。私に関わらないでよ」
男「ここまで来てもお前はそんなこと言うのかよ!」
女「静かに」
男「っ!」
女「あんた、もう夜中なのよ?」
男「……」
女「常識を知らないと、痛い目見るわよ」
男「……お前が言うか」ボソッ
女「なにか言った?」
男「なにも」
・ ・ ・
男「近所の公園か」
女「……なんであんたもいるのよ」
男「興味があったからな」
女「……変態」
男「それは洒落にならないぞ」
女「まあ、いいわ」ジー
男「?」
女「……」
男(ああ、夜空を見てるのか)
女「……」ニコッ
男「そういえば、昨日は曇ってて見えなかったな」
女「……あんたも、夜空とか見るの?」
男「それほどではないけどな」
女「ふうん、意外ね」
男(……あれ、なんか普通の返しだったぞ)
女「さて、と」ゴソゴソ
男「ああ、ここで食べるのか」
女「うるさい」
男「……へいへい」
女「……」
男(じゃあ、俺も食べるかな)
女 パクリ
男 ジー
女 パクリ
男 ジー パク
女「……なに見てんのよ」
男「いや、決して欲しいわけじゃないからな」
女「見てたってあげないわよ」
男「わ、わかってるよ……」
女「じゃあそんないやしい目で見ないで。美味しくなくなるから」
男「ひ、ひでえ……」シュン
女「……まあ、財布の件もあるし、一口くらいならいいわよ」
男「え?」
女「うっさい、さっさと口開けなさい」
男「ん? あー」
パクッ
女「ふんっ」プイッ
男「……美味い」
女「……それでチャラね」
男「一口で!?」
女「二口目はあんたが借りを作ることになるわよ」
男「そんなに高貴なやつじゃないだろ!」
女「いちいち声がでかいのよ、バカ」
男「ま、まあそれは謝るが」
女「いきなりウィスパーにしないで、気持ち悪い」
男「だから俺はMじゃないんだぞ……」
女「Mを罵倒するなんて考えたくもないわ」
男「……なんか、いいな」
女「?」
男「こういうの」
女「……な、何言ってんのよ」
男「いや、別に」
女「……変なこと言わないでよ、バカ」
男「変なこと、言ったか?」
女「……ふんっ」
女「……」
男「明日、空いてるか?」
女「二日もあんたと顔合わせないといけないの?」
男「いいじゃねえか、別に」
女「今日で十分じゃない」
男「あれはお前じゃないだろ」
女「私より愛想が良いわ。あんたの好きな愛想の良い子よ」
男「いつ俺が好きだって言ったんだ……」
女「……あっちの方が楽しいわよ」
男「俺はお前がいいんだよ」
女「私はあんたがいやなの」
男「……それはもうダメってことじゃねえか」
女「また寝不足に悩まされたいの?」
男「う……」
女「バカみたいね、あんた」
男「……」
女「性格が悪いのよ、私は」
男「……別に、そうは思わない」
女「明らかに悪いわよ、あんた頭に脳みそ無いんじゃない?」
男「せめてウジわいてるとかにして欲しかった。そもそも無いのかよ」
女「蛆……それはそれで気持ち悪い」
男「なんていうか、あの人は、確かにお前そっくりだけど、違うんだよ」
女「……」
男「確かに、可愛いんだけどさ」
女「……それ、遠まわしに私を可愛いって言ってるのかしら?」
男「まあ、お前も可愛い」
女「……いきなり言わないでよ」
男「それでも、なんつーか……」
女「……なんか、クサいこと言うんじゃないでしょうね」
男「悪い、言うかもしれない」
女「……準備できたわ、言ってみなさい」
男「お前の方が良い」
女「……ごめんなさい、聞こえなかったわ」
男「お前の方が……」
女「聞こえてるわよ、何度も言わないでよ!」
男「え、なんで!?」
女「……はぁ、調子狂うわ」
男「わ、悪かったな」
女「別にあんたって言ってないけど? 自覚してるなら消え失せなさいよ」
男「言いたい放題だな」
女「飲み放題みたいに言わないで」
男「言ってねえ……いや、言ったのか?」
女「……でも、私は……」
男「ん?」
女「……なに耳を傾けてんのよ、やめて」
男「……本当に、言いたい放題だな……」
女「……私は私、なのかな」
男「……お前はお前だろ」
女「……ふんっ」
男「そろそろ時間、やばくないか?」
女「あんたのせいね」
男「俺のせいなのか?」
女「口開けなさい」
男「え? んあっ」
パクッ
女「これで借りができたわ。明日は私につきあいなさい」タタッ
男「ちょ、おい!」
男「……行っちまった」
・ ・ ・
男「すっかり遅くなっちまったな」
男「ふわぁ……眠い」
男「今日も寝れない、なんてことありませんように」
男「……って、あれ? 明日何時とか言われてないけど」
男「……まあ、昨日と同じくらいの時間に行けばいいか」
男「というわけで、おやすみ……」
・ ・ ・
男「……ふわぁぁ」
男「あー良く寝た。今日は一日気分が良いかもしれない」
男「よし、飯食って着替えよう」
男「ん、メール?」
『3uqfd.bsiu. c;fvsk37ja』
男「……また、おかしなメールだ。いい加減にしろよなぁ」
・ ・ ・
男「うし、準備OK」
男「とりあえず、あいつの家に行ってみてからだな」
男「行ってきまーす」
ガチャ
男「うおっ」
女「……ふんっ」
男「なんでいるんだ?」
女「失礼ね」
男「……いや、普通に不法侵入じゃねえか」
女「家の中入ってないだけいいじゃない」
男「まあ、そうだが」
女「それともなに? 空き地で野球をしていた少年がボールを入れたとしても怒るつもり?」
男「怒ってねーよ、別に」
女「ふん、まあいいわ」
男「……それで?」
女「今日一日、私につきあいなさい」
男「ああ、わかった」
女「拒否しないの?」
男「しねえよ」
女「……断ると思ってたのに」
男「断る理由があるか?」
女「考える気にならないからいいわ」
男「じゃあ、どこ行くんだ?」
女「……教えない」
男「行ってからのお楽しみってとこか」
女「本当にポジティブね」
男「まあな」
女「じゃあ、ついてきなさい」
男「面白い場所か?」
女「面白くないわ」
男「……?」
女「全然、面白くない」
男「お、おい、どういう……」
女「……」
男(なんなんだ……?)
・ ・ ・
男「……ここは」
女「見てわからない?」
男「いや、わかるけど」
女「入るわよ」
男「いいのか?」
女「……ええ」
男(女の家だ……)「おじゃまします」
女「先に言っておくわ」
男「ん?」
女「私は今日であんたとの縁を切る」
男「……何言って」
女「決心がついたから」
男「……?」
女「ついてきて」
・ ・ ・
男「……なんだよ、これ」
女「……」
男「……」
女「……私は、つまり」
男「そんな、嘘だろ?」
女「嘘なわけないじゃない」
男「……信じられねえ」
女「真実に目を背けても、なにもならないわ」
男「……」
女「私は――」
・ ・ ・
友「うーっす」
男「おう」
友「今日は、女はいないのか?」
男「ああ」
友「どした?」
男「いや、なにも」
友「なんか、テンションがハイロウズだぜ?」
男「どっちだよ」
友「ふむ、なるほどなぁ」
男「ああ?」
友「フラれたんだな……うんうん」
男「はっ……それ以上かもな」
友「?」
男「……」
友「なんだよ、精神的苦痛でも与えられたのかよ?」
男「いや、そんなことじゃないさ」
友「ん、そうか。それより、そろそろ文化祭だぜー?」
男「そうだな」
友「高校入って初めての文化祭だ! ちょっとテンションが上がるぜー」
男「……」
友「なんだよ?」
男「文化祭……か」
友「?」
・ ・ ・
友「おはよー!」
「おーっす」 「おはよー」 「友きもい」
友「今誰だ! きもいって言ったやつは!」
アハハハハ……
男「……よう」
女「……」
男「おい」
女「……」
男「……やれやれ」(完全スルーだな)
男「昨日は正直驚いた」
女「……」
男「でも、俺は別に気にしない」
女「……」
男「だから、いつも通りに」
女「いつも通り、私とは喋らないように」
男「え?」
女「ちょっと前までの、私と喋らないのがいつも通り」
男「……」
女「今までは、ちょっとおかしかっただけよ」
男「……そうなのかな」
友「男ー! こいつらがいじめるぅ!」
男「お前がいじめられてない日なんてないだろ」
友「それは言いすぎだろ!」
ワハハハハ
男「……じゃあ、いつも通りに」
女「ええ」
男「俺はお前の友達でいればいいんだな」
女「……なんでよ」
男「ん?」
女「なんでそうなるのよ」
男「なんでって、俺は」
女「私は、もう耐えられない」
男「……」
女「どうしてあんたは私に関わろうとするの? なんで私に優しくしようとするの?」
男「……」
女「私には全然、理解できない」
男「それは――」
先生「ヘーイ、みなさーん席にSit down!」
友「英語の教師でもねえのに下手な英語使うなよ!」
先生「頭の悪い生徒の声は聞こえませーん」
友「あんたが言ったらおしまいだろ!」
ワハハ
男「っ……」
先生「今日は転入生を紹介しちゃうぞー」
友「おお、誰だ!」
先生「入ってきてちょーだいっ」
男「!!!!」
?「……」ペコリ
「あれ……?」 「女ちゃんじゃん」 「そっくり」
?「はじめまして」ニコッ
男「……な、なんで……」
女「……」
男「お、おい、女!」
女「話しかけないで」
男「……」
女「話しかけるなら、あっちにして」
男「……」
先生「女とは双子で、この子の方が姉らしい」
?「よろしくお願いします」ペコリ
「可愛い……」 「笑顔が素敵」 「姉女さんマジ天使」
男「……」
?「あ、男さん!」
男「!」
?「先生、あそこの席いいですか?」
先生「いいもなにも、あそこしか空きがないからな」
友「なにぃ!?」
男「……」
?「ふふ、これからよろしくおねがいしますね♪」
男「……」
男「……おい」
?「わかってますよ」
男「……」
?「それじゃあ、昼休みにでもお話します」
男「……そうか」
女「……」
男(女……)
・ ・ ・
?「ひとけの無いところですね」
男「当たり前だ。誰かに聞かれちゃ、そっちもまずいだろ」
?「そうですね……」
男「……それで、あんたは、女の姉じゃないだろ?」
?「建前上ですよ。本当の関係を言えるわけないじゃないですか」
男「……」
?「オリジナルとクローンだなんて」
男「……」
?「彼女のこと、これからどうするつもりですか?」
男「どうするって……」
?「関係ですよ、彼女とあなたの関係」
男「俺は……いつも通りに接するだけだ」
?「そうですか」
男「……別に、そちらになにか影響があるわけでもないでしょう?」
?「残念ながら、一つだけ困ることがあります」
男「……なんだ?」
?「クローンが自分をクローンと自覚しなくなると、暴走する可能性があるんです」
男「……?」
?「あなたといることで、充実感、充足感、満足感、達成感を得るようなことがあれば、困るんですよ」
男「……」
?「クローンがオリジナルを超えることは、タブーなんです」
男「作ったのは、あんただろ」
?「まあ、そうなりますね」
男「ふざけんな! 勝手に作っておいて生き方まで規制するつもりか!?」
?「オリジナルがクローンに殺されるケースは、幾度となく生じていることなんですよ」
男「……!」
?「不本意ですよね。オリジナルが死に、クローンが生きているということ……」
男「……」
?「自分の姿形のままで、違う人格が入っている。クローンでも全てをちゃんと複製することなんでできませんし」
男「……そりゃそうだ」
?「それに、彼女と私は大分違いますしね」
男「……? どういうことだ?」
?「彼女、劣化クローンですし」
男「!」
?「殴れますか? 彼女と同じ顔を」
男「……女は殴らん」
?「ふふ、腕を振り上げたのは、どうしてです?」
男「……お前」
女「そこまでよ」
男「……!」
女「もう、やめて」
男「女……」
女「……こいつが言った通りよ。私はただの劣化クローン」
?「……うふふ」
男「でも、お前はっ」
女「本当に、あんたはおせっかいね」
男「……」
女「こんなことになるのなら」
女「あんたと出会わなければよかった」
男「っ……!!」
男(他人と関わりを持とうとしないのも、そのせいだったのか……)
?「それに、この子は性格も大分荒んでますからね。オリジナルの私の要素が微塵も感じられません」
女「……」
?「そろそろ、終了しますか」
女「……ええ」
男「?」
男「お、おい? なにが終了なんだ!?」
女「……」
?「彼女が、です」
男「は?」
?「実験は終了したのです。だから――」
?「彼女を殺します」
男「!?」
?「いや、言い方を変えると停止させる、でしょうか」
男「待て、なんでだよ!?」
?「だから実験が――」
男「実験なんてどうでもいい! なんで殺す理由がある!」
?「生きる理由のないクローンを生かす理由がありますか?」
男(馬鹿げてる……)
女「……それに、私の停止についてはあんたに関係ないわ」
男「……」
女「だからもう、これ以上関わらないで」
男「……俺は……」
女「……?」
男「お前がいなくなったら……嫌なんだよ」
女「……何言ってるの?」
男「……」
女「私一人がいなくなったところで、なにも変わらないわ」
男「……」
女「……やめて」
男「……」
女「やめて! どうして……どうして泣くの!?」
男「……」
女「悲しいことなんてなにもない。感動すらないわ。私が死ぬことなんて」
男「俺は……悲しいぞ」
女「! やめて、変なこと言うのは……!!」
男「悲しくならないわけ、ねぇだろ」
女「もう喋らないで、やめてっ……」
男「俺は……俺は……」
女「やめて、やめてええええ!!」
男「こっちを向け!」
女「!」
男「俺は、お前が好きだ」
女「……!」
?「……はぁ、めんどくさ」
?「あの、いいですか? そろそろ……」
女「……」
男「お、おい……! 女っ」
女「……私は」
?「?」
女「し、死にたく、ない」
?「……は?」
?「何言ってるですか? クローン」
女「私は、誰かに必要とされてる……」
男「……ああ、俺はお前が必要だ」
?「つまんないこと言わないでくださいよ……本当に」
男「! 女っ……そいつからはなれろ!」
女「っ!」
?「あらら、逃げられちゃいましたか」
男「大丈夫か、女!」
女「……う、うん」
?「……わかりました。それでは」
男「な、なんだ?」
?「賭けをしましょう」
男「賭け?」
?「ルールはとっても簡単です。私と彼女を、見分けることができれば、あなたの勝ちです」
男「そ、そんなの簡単だ……」
?「クローン、来なさい」
女「……」
?「今から、すこし細工をさせてもらいます。流石にすぐにバレるんでね」
?「後ろを見ていてください」
男「……わかった」
?「はい、オーケーです、どうぞ」
男 クルリッ
男「!」
男(表情も、服装も……髪型もまるっきり同じ……!)
?「わかりますか?」
男「……」(どこから声が……!?)
男(ダメだ……わからない!)
?「時間はありませんよ? さあ……」
男「……女」
男「!」
?「おや?」
男「……へへ、女。お前が劣化で良かったぜ」
?「!?」
男「女は、こいつだ」
女「お、男……」
?「ど、どうして!? 髪型も、表情も、全て同じだったはず……」
男「あんたは言ってたな、女は劣化クローンだって……」
?「……それが?」
男「良~く見たら、女の方がツリ目だ」
?「!」
男「こいつはツリ目なことがすこしコンプレックスだったみたいだからな」
女「……」
?「そんな……バカな……それでも、本当に少しの差でしょう!?」
男「なんか、わかっちまったんだよな、はは」
?「そんな……ありえない」
男「悪いがオリジナル、クローンを、女を、殺さないでくれ」
?「……」
男「この通りだ」
女「! そんなこと、するなっ」
?「……はぁ、なんですかそれ」
?「完全にベタ惚れじゃないですか……」
男「……」
?「頭、あげてくださいよ」
男「……ああ」
?「嫉妬しまくりです、クローンに」
女「……」
?「良い人ね、この人」
女「……うん」
?「あーあ、残念だなぁ」
男「?」
?「当たってても、ちゃんとした明確な違いを言えなかったら殺してましたよ」
男「!」
?「でも」ニコッ
?「ちゃんと、彼女のことを見てくれていたんですね、嬉しいです」
男「はは……」
女「は、恥ずかしいからそれ以上はもうなにも言わなくていいから」
?「ふふ、それじゃあ……」
男「どこに行くんですか?」
?「さあ? わかりません」ニコッ
男「き、消えちまった」
女「……」
男「……え、えーと」
女「ありがとう」
男「え」
女「ありがとう、男」ニコッ
男「……おうっ」
・ ・ ・
女「だから、それは私じゃないって」
男「じゃあ、お前以外にだれがあるんだよ!」
女「知らないわよ。文字化けメールの一つや二つ、どうってことないじゃない」
男「いいや、あるね、お前と話をしたその日に来たんだから」
女「……見せてみなさいよ」
男「ほら、これ……あれ?」
女「なにが文字化けよ。普通じゃない」
男「『天使でも悪魔でもないなら、あんたは神様ね』」
女「へ……!?」
男「どうした、素っ頓狂な声出して……」
女「ちょ、見せなさい」
男「……?」
女「……こ、これは……」
男「どうした?」
女(わ、私が、オリジナルに言った言葉……よね?)
男「どうした?」
女(違う……でも、どこかで……)
女「いたっ……」
男「おいっ!?」
女「……そうだ」
男「?」
女「私が、オリジナルなんだ」
男「え?」
女「詳しく言うと長くなるんだけど……」
男「え、どれくらい?」
女「……多分このスレじゃ終わらなくなっちゃう」
男「それならダメだ。それとメタ発言禁止!」
・ ・ ・
女「あの時のあんた、カッコよかったわ」
男「だろ?」
女「ツリ目(ドヤァ)」
男「そんなドヤ顔してない! それに、もう一つあったんだなぁ」
女「嘘? どこよ」
男「胸が小さい」
女「……聞かなきゃ良かった」
男「あはは……さて、どこから行く?」
女「どこからでもいいわよ、自分で決めなさい」
男「結局そのキャラは変わらないんだな?」
女「いけないかしら」
男「いいや、全然」
女「……ふんっ」
男(文化祭、楽しめそうだな)
END
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