童貞「オレが魔法使いになる?」 (60)

童貞「ハァハァ……んんんんっふぅんぬっんぱあっ!
  ああぁっ…………ああっ、あああっイクううううぅぅんんんんんっ!!!」


ドビュッシー!!


童貞「ハァハァ、せっかく六時に起きたのに[田島「チ○コ破裂するっ!」]してたらもう昼になっちゃったよ……」

妹「お兄ちゃん声でかすぎだよ。
  一階のリビングまでお兄ちゃんのアエギー聞こえてきたよ」

童貞「う、うわっ!
  ノックもせずに勝手に部屋に入ってくんなし!
  どうすんだよ、オレのザーメンがお前に当たったら!」

妹「いや、だってなんかお兄ちゃんの部屋だけ揺れてるからさ。
  ていうか大学が夏休みに入ってから私、お兄ちゃんが[田島「チ○コ破裂するっ!」]してる姿しか見たことないんだけど」

童貞「仕方ないだろ!
  性欲が止まらないんだ! 童貞なのに!!」

妹「その性欲っていうのがよくわかんないからなあ。
  ていうかそんな大きな声で童貞って言わなくても知ってるから」

童貞「うるせー! お前にはわからんだろ、ハタチ手前でいまだに童貞のやつの気持ちが!
  ムラムラしすぎてオナニーで夜を明かす無様なやつの気持ちが!」

妹「うん、ちょっと……っていうかだいぶわかんないかな」


童貞「小学二年生からすでに無自覚にお股でアソコを挟んでするマタニーを習得して、それから今日までほとんどオナニーを欠かさなかった。
  オレは言ってみれば性のエキスパートだぞ!
  オナニーのしすぎで十代ですでにM字ハゲになってるわ、低身長だわ、デブだわイイことねーわ! 童貞なのに!」

妹「あ、ある意味すごいね」

童貞「もはや飼い猫にまで欲情しそうだわ!
  この前もさかりに入ってずっとオレにケツ向けてフリフリしてくるから襲いそうになったわ!」

妹「さすがに猫襲うのはやめてよ」

童貞「じゃあナニを襲えばいいんだっ!?
  ナニでオレは童貞を捨てればいい!? ナニに童貞を捧げればいい!?」

妹「じゃあ、私がお兄ちゃんのはじめてになってあげようか?」

童貞「………………はい?」

妹「かわいそうなお兄ちゃんを助けるのはやっぱり妹の務めだと思うの。
  それに私たちって義理の兄妹だからまあそういうアレをしてもいいんじゃないかな?」

童貞「え? あ、いや、たしかにオレたちは実は血が繋がっていないけどでもやっぱり戸籍上は兄妹なわけだし。
  いやいやだいたいこれはダメだろ。
  お前がオレの童貞を捧げる相手になるのと同時に、オレがお前の処女を散らす相手になるんだょ……?」

妹「大丈夫、初体験は二年前の中学三年の時に終わらせてあるから」

童貞「まじかあ」

妹「安心して。優しく気持ちよくしてあげるから」

そう言うと妹は兄にほとんど息がかかる距離まで近寄った。
突然のことにどうすることもできない。
ほんのりと上気した頬とくちびるから漏れでる生暖かい息遣いが今さっき自慰をして果てた童貞の官能を瞬く間に呼び起こした。

黒髪がかかった胸元のゆるいシャツから見える谷間にはうっすらと血管が浮いており、その生々しさに息を飲まずにはいられなかった。
全身の血が股間に集中していく。

妹は乾いたくちびるを自身の赤い舌で一瞬だけぺろりと舐めた、ただそれだけの行為があまりに艶かしい。
妹のくちびるが近づいてくる。




どびゅん


兄のチソコが暴発した。

同時に窓ガラスがけたたましい音と共に割れて、見知らぬ少女が窓から勢いよく侵入してきた。


女「あぶなかったわね」

童貞「ふぅふぅ……ああぁ、イッちゃったよ……童貞捨てる前にスプラッシュしちゃったよ……」

女「ごめんなさい、お取り込み中のところ悪いけど勝手にお邪魔させてもらうわよ」

妹「だ、誰ですか、あなた!?
  ていうかなんで人ん家の窓をぶち破って入ってくるんですか!?」

女「正義の魔法使いの登場シーンだからよ」

妹「……なにを言っているのかよくわかりませんけど。
  人がこれから愛を育もうというのにジャマしないでもらえます?」

女「あらヤダ、いくら義兄妹とは言っても兄妹なんだからさすがにそれはヤバイでしょう?
  子作りにハゲむならお兄さんじゃなくてもいいんじゃないの?」

妹「ていうかなんで私とお兄ちゃんのことを知ってるんですか?」

女「何度も言わせないで、魔法使いだからよ」

妹「はあ……もういいです、あなたとはきちんとした会話ができるとは思えないんで帰ってもらえます?」

女「私が帰ったらあなたはまたそこで悶え苦しんでいるお兄さんとチョメチョメの続きをするの?」


童貞「あぁ、ああうっふぅ……んふううぅっ!」


妹「そうですよ、こんなにムラムラ苦しんでるお兄ちゃんを私は妹として放っておくことはできません!」

女「ふぅーん、話だけ聞いていると健気な義妹さんだけど本当にそれだけ?
  あなたってその年齢で経験人数二桁の経験豊富かつアタマもアソコもゆるっゆるのビッチでしょ?」

妹「な、なんでそんなことまで知ってるんですか?」

女「魔法使いだからよ」

妹「また説明になってないんですけど。
  ていうか私がビッチだろうとそうじゃなかろうとあなたには関係のないことでしょ?
  だいたい初対面の人に向かってビッチだなんて……」

女「うるさいわよ、ビチビチビッチ」

妹「……」

女「たしかに本来ならあなたともあなたのお兄さんとも私はなんの関係もない、それは事実よ。
  でも今あなたとお兄さんにそういうナニをされるのは困るのよ」

妹「……どういうことですか?
  全然話が見えてこないんですけど」

女「そうね、言い換えればあなたのお兄さんに今童貞を捨てられるのは非常に困るっていうことよ」

妹「はあ!?」

女「それにあなたはムラムラしてるお兄さんがかわいそうで自分の身を犠牲にして、お兄さんの性欲処理をするつもりなんでしょ?
  だったら安心なさい、私があなたの代わりに性欲処理の担当をしてあげる」

妹「は、はい?」

女「だいたいあなたみたいなビッチ娘とあんなことやこんなことしたら病気にかかる可能性があるわ」

妹「そ、それだと私も病気ってことになるじゃないですか!
  本当に初対面でここまで失礼な人間、はじめてです!」


女「うるさいわよ、後ろの穴までガバガバ娘。
  性に対する知識がまるでなかったために初体験で二つの処女を同時に散らした破天荒ビッチが」


妹「だからなんでそんな私の恥ずかしい話を知ってるんですか!?
  ていうか淡々と人の恥ずかしい話をしゃべってなんでそんなに顔真っ赤にしてるんですか!?」

女「クール系女子を目指してたけど、思いのほか難しいわね。
  まあとりあえず、あなたのお兄さんはお借りするわ」


童貞「ウルトラソオッ!」ドピュッ

妹「お、お兄ちゃんにいったいなんの用があるんですか?」

女「あなたには関係のないことだし説明をする気もないわ。
  お兄さんの性欲処理は私が完璧にしてあげるわ」

妹「あ、あなたがお兄ちゃんとその……するんですか?」

女「バカね、なんで私がこんなちょっとハゲててチビで小太りな男と熱い夜を越さなきゃいけないのよ。
  性欲の処理の仕方はイロイロとあるのよ」

妹「あの、あなたって私とそんなに年齢変わらないですよね?
  妙な貫禄がありますけど……」

女「そうかしら? とにかくあなたとこれ以上話すのはムダでしかないからお暇するわ。
  さあ、お兄さん行きましょうか」

童貞「ああああぁぁ……我がいもうとよぉぉ」ズルズル

妹「お兄ちゃん……」

童貞「あああぁ……あと少しで童貞を、童貞を捨てることができたのにぃ……」

女「いきなり二人のジャマをしたことは悪かったわ。
  お詫びとして……」

童貞「エッチさせてくれるの!?」

女「脳みそが股間にある人って実在するのね、あなた死んだほうがいいわよ」

童貞「なんだよ、ちがうのかよ……エッチさせてくれないのかよぉ…………」

女「とりあえずお詫びとして私がここのメニューなんでも奢ってあげるから、許してちょうだい」

童貞「ここロイヤルホストだよぉ……まあまあ高いよぉ……ていうか食欲より今は性欲だよぉ……」

女(……ここまで下半身に支配されている男なんて見たことない。
  さすが百年に一人と呼ばれる逸材ね) 

童貞「…………」

女「なに、急に黙ってどうしたの?
  さっきもさっきでアレだったけど急に真顔になられると怖すぎるわ」

シコシコドピュッ

兄「うううぅっ! ふ、ふううぅっ……………ハァハァ……」

女「…………………………あの、一つ質問いいかしら?」

兄「ハァハァハァハァ……な、ナニ?」

女「今テーブルの下で凄まじい勢いでナニかをしていたみたいだけどなにかしら?
  おおよそファミレスでしていい行為とは思えないことをしていた気がしたんだけど」

兄「はははっ、ヤダなあ。
  キミも本当はわかってるく、せ………………あ、あああぁ……」

女「また今度は浜辺に打ち上げられた魚みたいに口をパクパクさせてどうしたの?
  なんかもう情緒が……」

兄「あ、いや、その……あああ、いや、け、けけけけけ賢者タイムになって改めて本当にキミが美人すぎてですね……はわわわわわ」

女(なんなの、このチビハゲデブ)

童貞「いや、そのですね。
  今僕大学生をやらせていただいてましてですねえ。
  まあ一応何人か友達とかいるんですよ。

  あ、もちろん女友達もいるんですよ?

  でもこんなチビハゲデブな僕の友達になってくれるような女ですよ?
  僕が女化したようなデブスと言うか喪女というか、とにかくブッサイクな女しか友達にいないんですよ」

女「……つまり?」

童貞「その、あの、あなたみたいな年下とは言え、カワイイ女の子と話すのはワタクシ大変緊張しちゃいまして。
 それで……キミは誰なんですか? なんの目的があってボクに近づいてきたんですか?」
女「とりあえず単刀直入に言うわ。
  あなたには私と同じ魔法使いになってほしいの」

童貞「魔法使いって……。
  メグちゃんとかサリーちゃんとかアッコちゃんとかマジカルエミとかクリィミーマミとか?
  もしくは赤ずきんチャチャとかどれみちゃんとかさくらたんとかシュガシュガルーン、プリキュアやまどマギみたいな?」

女「そんなに例を出されても前半しかわからないんだけど……そうよ、そういう魔法使いになってほしいのよ」

童貞「……」

女「……なによ。シコシコしたりモクモクとしたり忙しいわね」

童貞「いや、いくらキミがすごい美人とは言えあんまり電波なことを言われるとさすがに興奮も冷めちゃうよ。
  ていうか魔法使いになれとか言われても困っちゃうし」

女「あなたの言うこともごもっともだわ。
  なら、まずは私が魔法使いであるという証拠を見せて私が単なるお電波娘じゃないと証明する必要があるわね」

  
童貞「はあ……ナニする気なんですか?」

女「まあとりあえず見ていなさい、今から店員を呼ぶから。
  そうね、どうせなら女の店員の方がいいんだけど……あらら、男の人が来ちゃったわね」

童貞「うん? いったいナニをなさるんですか?」

女「いいから見ていなさい。
  食事前に見たい光景ではないけど、私が魔法使いであるという証明のためだからね」


店員「はーい、ご注文おきまりですっ……んふぅっ!?」

童貞「……え?」

店員は初老ぐらいだろうか。
髪のない陶磁器のような頭と屈強そうな肉体、赤ん坊なら一目見ただけで泣き叫びそうな強面が特徴のいかつい男だった。

その店員が突然腰をくねらせ始める。

まるで軟体動物のようなその動きはオスを誘惑するメス猫を連想させた。
涙で鋭い瞳を潤ませて男はその見た目からは考えられないような色っぽい喘ぎ声を発する。
頭頂部までも真っ赤にしながら、男は股間を押さえて床に座り込んでしまう。

くちびるの端から一筋の唾液が垂れた。

店内の客の視線を浴びながら男は昇天絶叫した。


店員「んんっほおおおおおおおおおううううっ!!! らめえええええええええええ!!!!!!」


店員が仰向けに倒れる。
なぜか犬のように尻だけ突き出した体勢で。
その巨大な尻は恐ろしいほどの快感にピクピクと震えていた。

店員からはかぐわしい男の香りがした。

童貞「い、いったいこれは……今のはあなたがナニかをしたということですか?」

女「見てのとおりよ。
  魔法使いとして魔法の力を使って無理やりイカせたのよ」
  

店員「あひぃ……」ピクピク


女「私たちは魔法使いは名前の通り魔法を使えるわけ。
  細かい話はまた機会があればするとして、今私が使った魔法は見ての通り人間のカラダを弄る魔法」


店員「あうあぅぅ……」ピクピク


女「あんな感じで無理やり昇天させたり、発汗させたり、実用的なので言えば肉体を強化したり、ね。
  あとはわかりやすく、あまり疲れないのだと……こんなのでいい?」

童貞「おお、スプーンが浮いている! す、すごい!
  なんでこういうわっかりやすーい魔法を披露してくれなかったんですか?」

女「だってこんなのマジシャンとかでもできちゃうじゃない?
 あと、あなたが妹さんと行為におよびかけたとき、イカせたのも私の魔法よ」

童貞「え、ええっ、あなたの魔法のせいだったんですか……」

女「とりあえずこれで私が魔法使いであるということは信じてくれる?
  信用してくれないっていうならあなたのカラダに少しひどいコトをするけど」

童貞「まあボク、ある程度なら痛いのも気持ちよーくイケちゃいますけど……」

女「残念ながら快感には決して繋がらないような魔法をカラダに施してあげるわ。
  たとえば……ムチで打たれるような痛みを味わってもらうとかがいいかしら?」

童貞「あ、いや、そのやっぱり遠慮します」

女「話が早くて助かるわ。
  それってつまり私が魔法使いであることを全面的に信じてくれるってことでいいのよね?」

童貞「そうなんですけど、そのボクに魔法使いであることを明かしていったいどうする気なんですか?」

女「私も正直なところイロイロよくわかってないことかがあるんだけど……」

兄「なんか歯切れが悪いって言うか、あやふやですね。
  それで、ボクは魔法使いになってどうすればいいんですか?」

女「魔法使いになっめあなたにはこれから滅ぶことになっている世界を救ってほしいのよ」

童貞「はい?」

女「言っておくけど私は冗談を言っているわけではないのよ」

兄「どういうことか全然話が見えないんですけど」

女「要領を得ないことについては謝るわ。
  じゃあまずは最初に私たち魔法使いの役目を教えましょうか。
  都合よくこのファミリーレストランには私たちの敵がいることだし」

童貞「敵……ですか?
  なんか魔法使いの敵になりそうなヤツがいるんですか?」

女「とりあえずこのメガネをかけてちょうだい」

童貞「いたって普通のメガネのようですけど、かければいいんですか?」

女「これは単なるメガネのように見えて実は普通のメガネじゃないの。
  魔法使いが作ったメガネだから魔法メガネっ言うのよ」

童貞「……もうちょいなんとか名前ならなかったんですか?  投げやりとかそういうレベルじゃないですよ」

女「黙りなさい、エロハゲ性欲モンスター。
  名前がどうあろうとモノの本質は変わらないわ」

童貞「はあ……かけましたよ。
  このメガネ、度が入ってなくないですか……んん?」

女「得体の知れないものが見えたんじゃない?」

童貞「え、ええ……なんかよくわからないんですけど。
  あのゼルダの伝説に出てくる妖精のチンクルみたいなのが肩に乗っかってるお客さんがチラホラいます」

女「そう、今あなたがメガネをかけたことで見えるようになった妖精、その妖精は私たち魔法使い……いいえ、人類の敵よ」

童貞「チンクルがですか?
  三十センチ物差しぐらいの大きさしかないのにコレが人類の敵になるんですか?」

女「ソイツらは人間のある欲求を食らうことで生きてるのよ」

童貞「人のある欲求?」

女「そう、私たち人類が繁栄するために最も必要な欲求。
  人間の三代欲求の一つであり、あなたが今一番悩まされてる欲求……性欲よ」

童貞「見たところ肩に乗っかってるだけでナニかをしているようには見えないですよ。
  そもそも性欲を食らうって、ナニか問題あるんすか?」

女「簡単な話よ、今あなたがエッチしたいって思ってるのは性欲が原因でしょう?
  つまりその性欲が無くなればあなたはそんなゲスな欲求から逃れられるわけでしょう?」

童貞「そりゃあ性欲がなくなればねえ。
  実際には無くなるどころか歳を重ねるごとに欲求を強くなってますよ」

女「でもその性欲がなくなったらあなたはヤリたいとか思わないでしょう?
 わざわざ人間が子作りにハゲむことがなくなる。つまり、新たな命が生まれる機会がどんどん失われて行くってことよ」

童貞「な、なんですって!?」

女「性欲が全人類から失われたとき、それは世界の破滅を意味するわ。
  私たち魔法使いはなんとかしてそれを阻止するのよ」
童貞「色々わからなさすぎてどこから聞いていけばいいのかがまずわからないんですけど。
  そもそもチンクルはどうやって生まれるんだい?」

女「なかなかいい質問ね。 こんな話を聞いたことはない?
  ハタチになっても童貞の男は妖精になるって言う話」

兄「ああ、なんかそれに近い話は聞いたことありますね。
  まさかハタチになったら童貞はチンクルを生み出してしまうってこと!?」

女「だいたい合ってるわ。
  ごく稀に肩に乗っかってる妖精を見ることができる人間がいることがあるらしいわ。
  そういう人間からうわさになって都市伝説的な感じで広まったのよ、その話はね」

兄「妖精の話は根も葉もないっ下らない話ってわけじゃないのかあ。
  あれ? でもそれってヤバくないですか?」

女「なにが?」

童貞「だって、今って若者のセックス離れが深刻みたいな感じで三十代でも童貞って人って多いらしいじゃないですか」

女「環境がどうのインターネットがどうのと、それらしい理由をつけて若者のセックス離れ現象について語る輩もいるみたいね。
  でも一番の原因は妖精がどんどん増えていることによって人の性欲がすごい勢いで奪われているからなの」

童貞「あなおそろしや……」

女「この妖精っていうのはまた異様に厄介である程度生みの人間から性欲を奪うとその人間に近しい他の人間にタマゴを植え付けるのよ」

童貞「タマゴ?  妖精ってタマゴから生まれるんですか?」

女「そうよ、けれどそんなことはたいして重要じゃないわ。
  問題は風邪のように人に伝染していくことなのよ、この妖精がね」

童貞「じゃあさっさとチンクルをやっつければよくないですか?
  ……ん? いや、それだとボクが魔法使いにならなきゃいけない理由がわかんないっすね」

女「そう、それについても今から説明するわ。
  さっきと似たような話で、三十になっても童貞の人は魔法使いになれるっていうのは知ってる?」

童貞「そりゃあ有名な話だから知ってますよー。
  人ごとじゃないっすからねー」

女「この話も単なる迷信や都市伝説っていうわけじゃないの。
  妖精を産んだ人間は、妖精を産んでちょうど十年でほとんど妖精に性欲を奪われてしまうわ。
  ただごく稀にその妖精をカラダに取り込んでしまう人間がいるのよ」

童貞「まさか、それが魔法使いってことですか?」

女「そう、妖精をカラダに取り込んでしまった童貞こそが魔法使いとなるのよ」

童貞「じゃあ三十歳の童貞が魔法使いになるっていう話も実話なのかあ」

女「そう、実は実話なのよ」

女「しかしほぼ全ての人間は魔法使いにはならない。
  大半は十年産みの親から性欲を貪り食らって終わるわ」

童貞「まあごく稀ですもんね。
  でもだとしたらいったい魔法使いにならない人間はどうなるんですか?」

女「ただ性欲が枯れ果てるだけよ。問題は十年の歳月を経た妖精の方ね。
   コイツらは幻獣に進化するわ」

童貞「『妖精』が『幻獣』に……?」

女「そう、妖精が進化した幻獣は恐ろしいほどのスピードで妖精を生み出しすの。
  そしてその妖精たちは瞬く間に人間に取り付くわ」

童貞「それってヤバイってことですよね?」

女「ヤバイわね。
  幻獣が街に五体存在すれば一ヶ月もしないうちに東京の人間全員の性欲は消え失せるわ」

童貞「それっていずれは東京の街から新しい命が生まれることがなくなるってことですよね……」

女「だからこそあなたには魔法使いになってもらわなきゃならないのよ」

童貞「……あの、なんでボクなんすか?
  今までの話は理解できたんですけど、ボクが魔法使いになる必要性が……」
女「どうしてあなたなのかと言うとね、それはあなたの性欲がおおよそ常識では考えられないレベルだからよ。
  どういうことかと言うと、私たち魔法使いのパワーの源が性欲だからなのよ」

童貞「ほ、本気で言ってるんですか!?」

女「私は冗談は言わないわ。 私たち魔法使いは己の性欲をパワーソースとして魔法を使用しているの」

童貞「な、なんということだ……」

女「そしてあなたの性欲は普通の人間の一万倍から二万倍」

童貞「!?」

女「まさにあなたの魔法使いとしての才能は常軌を逸していると言っていいわ。
  あなたが魔法使いになればそれこそ神に匹敵する力を得られるかもしれない」

童貞「お、オレがが魔法使いになれば……か、神」

女「そうよ、魔法を使えばあなたが普段妄想しているであろうあんなことやこんなことをし放題よ。
  最高だと思わない?」

童貞「ぐっ、ぐふふふふふっ……ううぅっ!」シコシコ

女「いきなりアヘ顏でオナニーするのはやめなさい。
  凄まじく不快で凄まじく怖いわ」

童貞「今のはお尻の穴でオナってたんで正確にはアナニーですけどね。
  でも、三十になるまでは魔法使いになることはできないんですよね?
  そうじゃなくても魔法使いになれるのは本当にごく一部だけなんでしょ?」

女「ええ、その通りだけどあなたのある意味神ががった性欲なら話はにがってくるわ。

  妖精はあなたがハタチになると同時に、生まれて瞬く間に魔法使いになれるだけの性欲を貯蔵するはずよ。
  あとは魔法使いの私が魔法で適当に手を加えれば簡単に魔法使いになれるわ」

童貞「お、オレがが魔法使いになれば……か、神」

女「そうよ、魔法を使えばあなたが普段妄想しているであろうあんなことやこんなことをし放題よ。
  最高だと思わない?」

童貞「ぐっ、ぐふふふふふっ……ううぅっ!」シコシコ

女「いきなりアヘ顏でオナニーするのはやめなさい。
  凄まじく不快で凄まじく怖いわ」

童貞「今のはお尻の穴でオナってたんで正確にはアナニーですけどね。
  でも、三十になるまでは魔法使いになることはできないんですよね?
  そうじゃなくても魔法使いになれるのは本当にごく一部だけなんでしょ?」

女「ええ、その通りだけどあなたのある意味神ががった性欲なら話はにがってくるわ。

  妖精はあなたがハタチになると同時に、生まれて瞬く間に魔法使いになれるだけの性欲を貯蔵するはずよ。
  あとは魔法使いの私が魔法で適当に手を加えれば簡単に魔法使いになれるわ」

女「あなたは魔法使いになればいい。
  あなたのハタチの誕生日はもうすぐそこよ。
  そうすれば魔法でいくらでもいやらしいことしたい放題よ」

童貞「お、オレのいつもしているあんなことやこんなことの妄想が現実になるかもしれない……」

女「そうよ、夢じゃなくなるわよアレもコレも」

童貞「くっ……夢は大きくって言うけど股間まで大きくなってきちまったぜ!
  うううああぁつ……あううふぅんっ………んんっふぉ!」シコシコ

女「とりあえずマスターベーションに没頭する前に答えを聞かせて頂戴。
  あなたは魔法使いになってくれるかしら?」

童貞「え? イヤだ」

女「まあ答えは聞かなくても性欲のカタマリみたいなあなたがイエスと返事するのは目に見えて……って、今あなた、なんて言ったの!?」

童貞「イヤだと言った」

女「魔法使いになれば、あなたならエロの帝国を築くこともできるのよ!?
  年がら年中セックスし放題なのよ!?」

童貞「だって魔法使いになるには童貞を捨てちゃダメなんでしょ?  それは困りますわー」

女「……まるで自分は童貞を捨てられるかのような言い草ね。
  チビハゲデブの醜いオナニストの分際で……!」


童貞「ははは、ナニを言ってんすか?  そもそもキミがジャマしたんだろ?
  オレと妹がセクロスしようとするのをさ」

女「ま、まさか本気で妹で童貞を捨てる気なの?
  というか兄妹でセックスっておかしいってわかってるの?
  少し待てばセックスし放題の未来が待ってるのにそれをわざわざ自ら捨てる気なの?」

童貞「だってねえ、本当にそんなことができるか保証はないし。
  なによりオレにとって大事なのは未来のセックスじゃない。目先のセックスだ」

女「あなた、人類がどうなってもいいの?」

童貞「妖精とか幻獣とかの影響ってぶっちゃけ知らなきゃ実感できないじゃないですか。
  そんなの気にかけるなら帰って妹とセクロスしますわ…………あ、あれ? カラダがう、動かないぞっ!?」

女「金縛り魔法、かけさせてもらったわ」

女「悪いけどあなたを逃がすわけにはいかない。
  人類のためだから、ね」

童貞「くっ、人が間違った道を進んでまでも童貞を捨てようとしているのにジャマするとは……!」

女「うるさいわよ、足掻くのはやめなさい」

童貞「ゆ、許さんっ……このオレの童貞を捨てる未来へのロードをジャマするヤツは……っ!」

女「う、嘘っ……金縛りがほどけかけている? 魔法の金縛りをただの人間がやぶるというの?」


ぶちぶたぶちぶちっ!


童貞「ハァハァっ……どうやら金縛りは解けたみたいだな……」

女「普通の人間が魔法を破るなんて常識ではありえないのに……!」

童貞「性欲は常識を覆す、覚えておけ」

女「なっ……ま、待ちなさい! 逃げるな!」

女「チッ……仕方ないわね」

童貞「……あ、あぁあぁ…………な、なぜか急に股間がっ……!?」

女「今、あなたに逃げられるのは困るからさっきの店員に使ったのと同じ魔法、使わさせてもらったわ」


店員「あひぃ」ビクンビクン


女「とりあえずここまでにしておいてあげるわ」

童貞「あ、あんあぁっ……ああ……そんな絶頂手前で止めるなんてせ殺生な……」
女「まったく、さかりのついた犬みたいね。 むやみやたらに手がかかるったらありゃしない。
  どうやらまずはあなたのその溢れ出る性欲をどうにかしないといけないようね」

童貞「ほう、この僕の性に対する欲求を止められるんですか? 」
  
女「これから私がいいところに連れていってあげるから感謝なさい。
  連れてくのは風俗……池袋のデリバリーヘルスよ」

女「はい、というわけで妹とセックスしようとする変態の大学生とともに池袋へやってまいりました」

童貞「え、あの、ホントにボクはこれからデリヘル行くんですか?」

女「だってあなたが交尾交尾ってうるさいから。
  まあそれに風俗の類は社会勉強になるから一度行ったほうがいいわ」

童貞「そ、そうなのか……で、でもキミはボクに童貞を守ってほしいんでしょ?
  なのになぜ風俗なんかに……」

女「なにか勘違いしているようだから言うけどあくまでデリヘルよ?
  デリヘルでは一応本番行為は禁止だから」

童貞「おいおいそんなことはわかってるけど果たして理性を抑えられるかどうか……ボク、嬢で童貞すてちゃうかもよ?
  あ、でもそれだと素人童貞だから童貞のままで……つまり問題ないってことなのか?」

女「安心しなさい、今回あなたが童貞を捨てることも素人童貞になることもないから」

童貞「なんでですか?」

女「まあなんでもいいでしょ?  とりあえず私が電話してあげるから待っていなさい」

童貞「さっきはクズとか言ったけどキミはなんてステキな人なんだ。
  これからは先輩と呼ばせてもらうよ」

女「……私の方が見た目どう見ても年下なのに先輩とかやめてほしいわね。
  ていうか少し黙りなさい、これから店に電話するから
  ……はい、もしもし……あ、はい、これから……ええ、そうです……あ、指名とかいいんで一番早い時間帯で来れる人で……。
  オプションサービスとかもけっこうなんで、あ、ホテルですか? ホテルはそちらのオススメのとこで……」


童貞「……」シコシコシコシコ

女「はい、それでおねがいします、はい。
  ……よし、と。これでデリの予約は終わったわ」

童貞「うひょおー!!」

女「まあ時間は四十分だしそんなに長くはないけど、せいぜい楽しんできなさい。
  あとこれ、私からの細やかな援助金よ」

童貞「おお、諭吉ぃ!
  なんかもう先輩、至れり尽くせりですねっ! ナニからナニまですみませんっす!」

女「一つ疑問があるんだけど、あなたは風俗とかは行かないの?
  いくら大学生とは言えピンサロぐらいなら普通に学割聞くところもあるし金銭的にも問題ないでしょ?」

童貞「いやあ風俗はちょっと細やかな……こ、怖いかなあって」

女「なぜそういうところでは怖気づくのかしら」

童貞「ていうか値段とかはどうなってるんですか?
  ボク、今そんなに持ち合わせないですよ?」

女「安心なさい、その私が渡したお金でおつりが来るから。
  ていうか早く行きなさい、意外と早く来るわよ。ホテルはあれだから」

童貞「デリヘルってよく知らないけど安いんすね。
  ま、じゃあキミの後押しもあるし行ってきますわー!!」

女「ええ、せいぜいイッてらっしゃい」

一時間後


女(とりあえずマックで待つことにしたけど遅いなあ。
  まさか延長したのかな? でもお金は持ってないって言ってたしな)


童貞「せんぱ~い……」

女「ぬぁっ!? きゅ、急に背後から現れないでよ!  ていうか先輩じゃないし!」

童貞「ううぅぅう……」

女「……あらら? いったいどうしたのかしら?
  初めての女体体験に感動して打ち震えているのとはちがうみたいだけど」

童貞「ふええぇ……ひぐっ、ヒドイっすよぉ……さぞカワイイ娘がきてくれるのかと……ううぅ、思ったら……」

女「まあそりゃあそうでしょうね」

童貞「はい?」

女「なんにもよ、とりあえずその醜い顔が最低限見れるものになるまで落ち着きなさい」

三十分後


童貞「つまりですよ、ボクは美人が出てくるのかともうイチモツをギンギンにして待っていたわけですわ。
  そんで電話がきて、まあ声は可愛かったんすけどいざ扉を開いたら……。
  もうドラム缶みたいな生物がノソノソと現れて……イヤだ、もうこれ以上は話したくない」

女「一万円しないデリヘルなんて、言ってみれば養豚場で飼育されてる豚掃き溜めみたいなものから、ね」ボソッ

兄「まさか生の女のカラダでこのオレが……」

女「まさかあまりに嬢がブサイクでイケなかったとか?」

兄「ええ、三回しか。
  いやあ乳首舐められるの自体は最高でしたわー」

女「…………」
童貞「まあしかし、やっぱり風俗じゃないっすわ。
  やっぱりボクが今一番求めているのはマイシスターだけですわ」

女「でも一応性欲は一時的に収まったでしょ?」

童貞「まあ、あまりにデブスな女にヌカれたんで」

女「あなたみたいな醜悪な容姿をしている人間にはお似合いの相手だったと思うけど」

童貞「いやあ相変わらず人を罵るのがうまいなあ。
  でもボクカワイイ女の子に罵られるのキライじゃないっすよー。
  今の言葉だけで人生のオカズにできそうですわ」

女「あなたも変わらず変態一直線ね。
  とりあえず店を出ましょ?」

童貞「あ、帰るんですか?」

女「いいえ。これからあるところに行くのよ、あなたと私、二人っきりでね」

童貞「?」

女「デートしてあげるって言ってるの、感謝なさい」

童貞「あ、あのう、どこに行くんですか?
  ていうか今ボクと先輩はデートしてるんすよね……ああ、女の子とデートという響きだけでイキそう……」

女「それは病気よ、あと先輩って言うなって言ってるでしょ。
  とりあえずこの魔法メガネ、もう一度かけなさい」

童貞「はあ……なんなんですかいきなり」

女「かけたらあの黄色の色あせたチェックを着てる男を見て。
  たぶん今のあなたには男に取り付いている幻獣が見えているでしょう?」

童貞「は、はい……言葉ではとても説明できない神々しい四つん這いのなにかがあの男の人の背中に……」

女「それ、今まさに妖精から幻獣に変わって覚醒する手前のやつよ。
  幻獣が覚醒したらもうその産みの親の性欲は完全になくなるわ」

童貞「じゃあどうするんですか? やっぱり倒すんですか?」

女「当たり前でしょ、見なさいあの死神でも背負ってそうな丸まった背中を。
  幻獣が覚醒して暴れたらみんながみんな性欲を奪われてああなるのよ」

童貞「ところで倒すってどうやってあの幻獣とやらを倒すんですか?」

女「まあ色々とやり方はあるわ。
  魔法で私たち魔法使いの聖域を作り出して倒すパターンとか。
  でも今回はその必要はないわ、ここから一撃で仕留める」

童貞「わあ! パアッと先輩の手が輝いたと思ったらボーガンのようなものが現れたあ!?」

女「まるで私たち以外の第三者に説明しているかのような口調ね。
  とりあえずこいつで一撃で仕留めるわ……ホイっ!」

童貞「かけ声ダサッ!
  でも光り輝く矢みたいなのが飛び出してなんかカッコいい!
  そして矢は吸い込まれるように男の背中へ!」

女「あなた、もしかしたら実況中継とか解説者とかに向いているかもね」

童貞「アッー幻獣ごと男の人の背中に矢がささったー!!」

女「どうやら幻獣の討伐に成功したようね」

童貞「たしかに男の人についてた幻獣が破裂してきてますけど。
  あの矢、もろ男の人の背中にぶっささりましたよ……あ、矢が消えた」

女「大丈夫よ、あれは私の性欲の一部を切り取って作った矢。
  あの矢で幻獣に性欲を打ち込んで暴発させたのよ」

童貞「……」

女「どうしたの、急に黙って」

童貞「いや、ふと思ったんですけどあの男の人のフインキ変わりました?」

女「ああ、それね。
  幻獣が消滅したことでその産みの親であるあの男に性欲が還元されたのよ。
  しかも幻獣自身で増幅した性欲もプラスアルファでつくから前よりより一層元気になるんじゃない?」


男「や、やべーっ!! 久々にムラムラしてきたーデリヘル行こっ!」


童貞「なるほど、こういうことか」

女「私たち魔法使いの役目は幻獣や妖精を倒すだけじゃなくそいつらが産みの親から奪った性欲を主に戻してやるっていうのも含まれてるの」

童貞「なるほどねえ、そうすればまたみんなエッチしたくなるわけですもんねえ」

女「まっ、色々とビックリするわよね。 私も初めてこの光景を見せられたときは驚いたから。
  今日は特別にこの魔法をあなたにプレゼントしてあげるわ」

童貞「うふぅうぅぅっ……!?
  あ、あ、あ、これは……すごい気持ちイイぃっ!?」
女「さっき途中でやめた魔法よ、これでイカせてあげる」

童貞「あ、あああっ……あぁぁぁあんっ、らめえぇえイクうううううぅ!?
  イッちゃううううううううぅぅううぅうぅ!!!!」ドピュッ

女「なぜそうもムダに喘ぐのかしらね……イッたって聞くまでもなくイカ臭いわね」

童貞「は、はひぃ……」

女「……ねえ、もしあなたが魔法使いになってくれるっていうならこれから毎回会う度にこうやって快感を与えてあげるわよ?
  並のマスターベーションより気持ちイイでしょうし、悪くない話でしょ?」

童貞「は、はひぃ……おねがいしますぅ」

女(初めからこうしていればもっと楽に話が進んだかも、ね。
  まあ結果としては変わらないからいいか)


?「おっと、ちょっと待ってもらえないかなあ?」

女「あなたは……?」

赤髪少女「どうもどうもはじめまして」

童貞「お、おおぉ……これはまた最高にカワイイ女の子が……」

赤髪「いやあ、今の魔法の矢は見事だったねえ。
   思わず惚れそうになっちゃった」

女「何か用かしら?
  馴れ馴れしく話しかけてくるのはいいのだけど挨拶ぐらいはしてほしいわね」

赤髪「やだなあ、一応同族なのに」

童貞「童貞ってことは、まさかキミも魔法使い?」

赤髪「んー、そうなんだけど性格にはちょっとちがうかなあ。
   私はまだ性格には魔法使いじゃないんだあ」

赤髪「私は明後日ハタチになってその時に魔法使いになるんだ。
   まあつまりはキミと同じってわけだ」

童貞「へー、ってオレのことを知ってるんだ……グフフフっ」

女「ニタニタ笑ってる場合なのかしらね、あなたの情報が筒抜けってことじゃないのそれ?」

童貞「まあたしかにそうなんですけどこんなカワイイ娘だったらまあいっかな、と思いましてね」

赤髪「やだなあ、そんなに褒めてもいいことないよお?
   それに私、今からキミにヒドイことをするかもしれないのに」

童貞「そんな、カワイイ顔していったいどんなヒドイことを……ってイタタタタタタタチンコ破裂しそうなくらいイタイッ!」

女「なっ……!? や、やめなさい、彼はこんな醜悪な姿をしていても人類の希望よ!」

赤髪「えぇー、でももしかしたら人類を滅ぼすかもしれないんでしょ?
   だからどうしようかなあと思ったけど」

童貞「あひぃ……」

赤髪「まあでもなんかとりあえずはいいか、予想外にダサいし。
   こんなハゲチビデブなおっさんまがいの男が人類の敵とか言われてもピンとこないしね」

童貞「あ、あううっ……なんとかイタイのおさまったー」

女「あなた……まだ魔法使いとしては半端者の分際で調子に乗らないほうがいいわよ?」

赤髪「そうだね、おばさんを怒らせたら怖いもんね。
   今日のところはひいてあげるよ、バイバイ」

童貞「き、消えた……。
   あの赤い髪の女の子は誰なんですか、魔法使いなんですか?」

赤髪「そうよ、正確には魔法使い見習いであり、魔法使いのサラブレッドってところね」

童貞「サラブレッド?」

赤髪「彼女の両親は二人とももともと魔法使いだった、そんな魔法使いから生まれたのが彼女よ。
   生まれながらにして魔法を使えるっていうね」

女「あなた以上の魔法使いになるかもしれない女の子よ、そして彼女が魔法使いになるまであと二日。
  あなたと誕生日が同じで年齢も一緒よ」

童貞「それはもはや運命ですね。
   結婚を申し込みたいぐらいだ」

女「あなたさっき局部に魔法でイタズラされてたけど」

童貞「まあなんでもいいんですけど、とりあえず家に帰りたいですわ。
   妹に会いたいよお」

女「まあとりあえず帰るかしら、ただし私はあなたについていくけども」

童貞「なんでですか!?」

女「言ってるでしょ?
  あなたに今童貞を捨てられちゃ困るのよ」

女「まあというわけであなたの家までついてきちゃいました」

妹「お兄ちゃん大丈夫だった……ってまた魔法使いを名乗る人来たんですか?
  なかなかしつこいですね!」

女「あなたこそ私の忠告を無視して兄に抱きついてキスしようとしてんじゃないわよ」

兄「あああぁ、妹、ダメだよぉ……そこはぁ……ハァハァ…………あぁっ!」

妹「お兄ちゃん、今私と一つになって童貞捨てちゃおうねー」

女「ほい」

妹「……って、カラダが動かない、まさかあなたの魔法……!?」

女「悪いわね、目の前でイチャイチャされるのはキライなの……っあぁ!?
  なっ……わ、私のカラダが動かない……!?」

童貞「い、いったいどーなってんだ!?」

妹「ふぅ……まったく厄介な魔法ですねえ。
  解除するのに予想外に手間かかちゃったじゃない」

童貞「え、ど、どどどういうことだ!?」

女「そういうことよ、つまりあなたの義理の妹も実は魔法使いってことよ」

童貞「え、えええー!? オレの妹が魔法使い!?」

妹「ふふふっ、ごめんねお兄ちゃん。
  本当は私が魔法使いであることを教えてあげたったかんだけど言っても信じてもらえないと思って」

童貞「い、妹が魔法使い……」

妹「今、お兄ちゃんと私の中に割って入ろうとするこの女を八つ裂きにしてあげるね」

女「ふん、本性を表したようね」

女「ねえ童貞くん、一つ疑問に思わなかったかしら?
  どうして妹は自分とセックスをしようとするのかって
  そんな漫画やエロアニメじゃあるまいし普通あり得ないわよね」

妹「はあ? そんなのは私がお兄ちゃんを溺愛してるからに決まってるでしょ?」

童貞「まあもしくは妹がかなりのビッチだからでしょうかね」

女「ちがうわよ、義理の妹ちゃんはあなたに魔法使いになられたら困るのよ」

童貞「な、なんでですか!?」

女「あとで話すわよ、この女を負かしたあとでね」

妹「あなたにできますか? この私を倒せますか?」

童貞(……あれ? そういえば魔法使いって三十路越えないとなれないんじゃ。
   オレとかさっきの赤髪の人をのぞいて……)

童貞「ちょ、ちょっとタイム!!」

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