傭兵「……どこだここは」(1000)

傭兵「俺は砂漠地帯のテントにいたはずだが……なぜこんな森の中にいる?」

傭兵「……まあいい、とりあえず周辺を探索してみるか」

傭兵「やれやれ、道らしきものは全く見当たらないな……どちらに行けばいいのかさっぱり分からん」

傭兵「携帯通信機もどこにもつながらん、どうなっているんだ」

   ガサガサ……

傭兵「ん……?何だ?」

   バッ!

獣「ギャオオオオ!」

傭兵「何だこいつは……虎だか狼だか分からんやつだな」

獣「ギャオッ!」

   バッ!

傭兵「うおっ!どうやら敵意満々らしい……仕方ない、悪く思うなよ」カチャッ

   ダン!ダン!ダン!

獣「グギャ!」

傭兵「……仕留めたか」

獣「……グゲエエエ!」

   バッ!

傭兵「何!?まだ生きているのか……ならば……」

  ダン!ダン!

獣「ギャ……」バタッ

傭兵「やれやれ、脳天を打ち抜いてやらんと力尽きないとは、なんて生命力だ。こんなのがいる森にずっといたら、命がいくつあっても足りないな……」


傭兵「……む、道に出たな。どうやら運がよかったらしい」

傭兵「道なりに行けばどこか町にでも着くだろう……行くか」

1時間後

傭兵「あれは……随分でかい町だ。いや、あの規模だったら都と言っても差し支えないか」

傭兵「しかし、中心にある城といい、随分中世チックな所だ……いよいよここがどこか分からなくなってきたな」

傭兵「とりあえず入ってみよう。手がかりをどうにか探さねば」



傭兵「住人もなんとも古めかしい服装だ……俺の方が浮いてしまっているじゃないか」

傭兵「というかそもそも、ここの人間に言葉が通じるのだろうか……」

??「ああ!?俺の注文が聞けねえだあ!?」

??「で、ですから……!」

傭兵「……ん?」

酔っ払い「どうもこうもねえや!ちょっと俺と飲むのに付き合えっつってるだけだろうが!」

店員「だからうちにそんなサービスはないって……」

酔っ払い「うるせえ!金出してんのはこっちだぞ!お客様は神様って言葉知らねえのか!」

傭兵「自分から様をつける神ほど信仰したくないものはないな」

酔っ払い「ああ!?なんだあてめえ!?」

傭兵「真昼間から酔っ払って喚いているバカを許せない人間だ」

酔っ払い「あんだと!?」

傭兵「よくもまあ恥ずかしげもなく騒げるものだ、逆に尊敬してしまう」

酔っ払い「てめえ、ざけんじゃねえ!」

傭兵「おっと」サッ グイッ

酔っ払い「い、いでででで!!」

傭兵「どうやら言葉は通じるらしい。少し希望が見えたな」

酔っ払い「は、離しやがれ、いで、いでえ!」

傭兵「ああ、離してやる」パッ

酔っ払い「く、くそ……なめやがってえ!」

傭兵「懲りないやつだ……ふっ!」ドカッ

酔っ払い「うげぇ!」

傭兵「いい加減落ち着いたらどうだ、でないと……」

酔っ払い「う、うえぇぇ……」

傭兵「それ見ろ、言わんこっちゃない。まあ、腹を蹴ったのは悪かったと思うが」

兵士「おい、何の騒ぎだ!」

傭兵「ん?」

兵士「動くな!」ガチャ

傭兵「……なぜ俺なんだ?」

兵士「どう見ても加害者は貴様だろう!」

傭兵「……確かにこの状況はそうだな」

兵士「大人しくしろ!抵抗すれば容赦はしないぞ!」

傭兵「……仕方ないか」スッ

牢屋

傭兵「やれやれ、見知らぬ土地に放り込まれて、妙ちきりんな獣を仕留めて、酔っ払いを懲らしめてやったらぶち込まれて……
  全く展開について行けん」

傭兵「まあ、ここで何をしても無駄そうだし、とりあえず仮眠でも取っておくか……」

   コツッ コツッ コツッ

兵士「おい、起きろ。釈放だ」

傭兵「ん?」

兵士「さっき酒場の娘の証言があって、お前の無実が証明された。お前は無罪放免だ」

傭兵「なんだ、たった今仮眠を取ろうと思ったのに。この際だから出る前にここで寝かせてくれ」

兵士「勝手なことを言うな。ほら、さっさと出ろ」

傭兵「……」

兵士「おい!」

傭兵「……」

兵士「……まさか寝ているのか……なんてやつだ」

傭兵「……ふわ……よし、疲れは取れたな」

   コツッ コツッ コツッ

傭兵「ん、ちょうど迎えが来たか」

鎧の男「……なるほど、君か」

傭兵「……誰だ?」

鎧の男「私はこの国の騎士団長だよ。奇妙な格好をした男が酔っ払いの起こした騒ぎを収めたと聞いてね、どんな男かと見に来たんだ。
   なるほど、確かに奇妙な格好だ。顔つきもこの国では見たことがない形だ」

傭兵「俺からすれば、あんた達の方が妙な格好に見えるがな」

騎士団長「ははは、言ってくれる。来たまえ、ちょっと話がしたい」

傭兵(……運が向いてきたようだな)

傭兵「しかしでかい城だ」

騎士団長「それはそうだ、ここは我らが帝国の帝都だからな」

傭兵「帝国?」

騎士団長「知らないのか?この近辺では隣国と並ぶ大国なのだが」

傭兵「悪いが、俺の知ってる常識じゃ大国と呼ばれるような帝国は随分前に滅んでいるからな」

騎士団長「……どうやら君と我々の間には色々と隔たりがあるらしい。とりあえず、君の事を聞かせてくれないだろうか」

傭兵「ああ、そのくらいならお安い御用だ」

騎士団長「……なるほど、君の世界では合衆国という国が大きな力を持っているのか」

傭兵「そして、それが気に入らない国も多々あるということだ。俺はそんな国のうちの一つに雇われた傭兵だ。いや、今は『だった』と言った方がいいか」

騎士団長「ふむ……つまり一言で言えば、君は異世界人ということになるのか?」

傭兵「そうらしいな。こんなことになった理由はさっぱり分からんが」

騎士団長「では、君はこの世界のことは何一つ分かっていないわけだ」

傭兵「ああ。この世界は何もかも俺の常識から離れている」

騎士団長「分かった。では簡単に説明しよう。この国は通称『機械帝国』、近辺のどの国よりも機械文明の発達した国だ」

傭兵「機械文明か……それでも俺の見た限りでは、俺の世界より技術水準は低いようだがな。産業革命も迎えていない、と言った感じだ」

騎士団長「産業革命?」

傭兵「気にしないでいい。続けてくれ」

騎士団長「この国は機械文明の発展を背景に成長し、とある大国と肩を並べるほどの存在感を持つようになった」

傭兵「そのとある国とは?」

騎士団長「それが通称『魔法王国』、古来より魔法文明によって栄え続ける国だよ」

傭兵「魔法……ねえ。俺からすれば眉唾ものだ」

騎士団長「だが我々にとっては魔法の存在は常識だよ。そして、今その魔法王国と我々機械帝国は戦争状態にある」

傭兵「戦争か……」

騎士団長「もう2年になるか……魔王が倒れた後、失われた国力を取り戻すためにとのことらしい」

傭兵「魔王だと?また随分大仰な名前が出てきたな」

騎士団長「数十年前に復活してからつい数年前まで、我々を圧倒的な魔力で脅かしてきた存在だよ。
    数年前に、魔法王国から送り込まれた勇者一行によって退治されたのさ」

傭兵「勇者、ねえ……」

傭兵「で、その魔王が倒れたおかげであんた達は心置きなく戦争ができるというわけだ」

騎士団長「私は本来ならこの戦争には気乗りしていないんだ。しかし魔王によるこの国の被害はとても大きい。
    未だ魔物という魔王の置き土産も残っているわけだしな」

傭兵「魔物?」

騎士団長「邪悪な魔力によって生まれた獣たちだよ。君がさっき退治したという獣も、魔物の一種だ」

傭兵「なるほど……あんなたちの悪い連中がはびこっているんじゃ、苦労もするか」

騎士団長「……とまあ、大体この世界の基本的なことは教えられたと思う。それで、君に行くあてはあるのか?」

傭兵「あると思うか?こんな右も左もわからないでっかい迷子に」

騎士団長「それもそうだ。だったら今日は我々騎士団の兵舎に泊まるといい。また明日、君の今後について一緒に考えようじゃないか」

傭兵「それはありがたい。それじゃ、お言葉に甘えさせていただくとしよう」

翌日

傭兵「……う……」

傭兵「……夢じゃない、か。やれやれ」

騎士団長「おーい、起きてるか?」

傭兵「ん?ああ、あんたか」

騎士団長「君を皇帝陛下と謁見させる許可が出た。急いで準備したまえ」

傭兵「皇帝陛下?全く、朝から忙しいことだ……」

謁見の間

騎士団長「連れてきました」

皇帝「うむ。で、そちらの男か?」

騎士団長「ええ。異世界からやってきたという男でございます」

傭兵「あー……お初にお目にかかります」

皇帝「ふむ。なるほど、確かに珍妙な格好だ。顔つきや肌の色も我々と随分違うようだ。
  それで、この男をどうしたいと申すのだ?」

騎士団長「聞けば、この男は元の世界で兵士をやっていたとのこと。そこで、その力を見極め、その次第によっては我ら騎士団の一員に加えようかと」

傭兵「なんだと?おいあんた、何を勝手な……」

皇帝「ふむ……面白い。異世界から来たというなら、我々を超えた力を持っているやもしれん。
  敵方の勇者とも並ぶ……な」

傭兵(なんだなんだ、勝手に人をトンデモ人間に認定しないでくれ)

皇帝「では早速その男の力を試してみせい。報告はその男の処遇を決めてからで構わん」

騎士団長「はっ」

廊下

傭兵「おい、話が違うじゃないか」

騎士団長「何がだい?」

傭兵「あんたは昨日俺と今後を話し合おうと言った。だが今日になってみればどうしたことだ、勝手にあんたの仲間にさせられかけている」

騎士団長「では他に何かする当てがあるのかい?」

傭兵「いや、それはないが……」

騎士団長「どっちみち生きていくための食い扶持は稼がなければいけないんだ、だったら君の元の仕事に近い仕事に就いたほうがいいだろう?」

傭兵「……まあ、確かにな」

騎士団長「それに帰る方法もわからないんだろう?だったら帰る手段が見つかるまでの間くらいここにいたって損はあるまい」

傭兵「なんだか口車に乗せられている気もするが、否定材料もないな。分かった、だったらしばらくあんたのお世話になろう」

騎士団長「そう来なくてはな。では早速行こうか」

傭兵「行く?どこにだ?」

騎士団長「訓練所さ。言ったろう、君の力を見極めなければね」

訓練所

騎士団長「……集合!」

  ザッザッザッ……

傭兵「ほう……」

騎士団長「皆我ら第一騎士団の精鋭たちだ。この中から好きな相手を選びたまえ」

傭兵「?なんだ、あんたが相手するんじゃないのか?」

騎士団長「何?私が?」

   ザワザワ……
何言ってるんだあの男…… 団長に挑むって?……

傭兵「俺の力を図るんだったら、あんた自ら相手したほうがいいんじゃないか?」

騎士団長「……そうだな。分かった、私が相手になろう」

傭兵(さて、異世界の騎士様の実力はどんなものか……)

騎士団長「鎧はいらないのか?」

傭兵「必要ないな。この防弾服で十分だ」

騎士団長「分かった。ほら、使え」ヒョイッ

傭兵「?なんだ、この剣は。こんなもの使うわけがないだろう」ヒョイッ

騎士団長「何?では素手で戦うとでもいうつもりか?」

傭兵「それこそありえないな。模擬戦用のナイフはないのか?ないなら短剣でも構わんが」

騎士団長「ああ、それならこれがあるが……そんなものでまともに戦えるのか?」

傭兵「むしろこれでないと格闘戦は俺には無理だな。これでなかったらそれこそ素手の方がましだ」

騎士団長「ふむ、やはり変わっているな。では……」スッ

傭兵(随分でかい剣だ……模擬戦用とはいえ、かなりの重さだろうに……)

騎士団長「ハッ!」ブンッ

傭兵(でかいから軌道が読みやすいな。これなら懐に潜り込んで……)ヒョイ

騎士団長「セイッ!」ブンッ

傭兵「何!?」

   バキッ

傭兵「ぐっ」
  (裏拳か……なるほど、威力がでかいが読まれやすい大剣の弱点を格闘で補っているわけか……そしてひるんだところを……)

騎士団長「ハアアッ!!」ブンッ

傭兵(返す太刀で仕留めにかかる、か……!だがその程度なら……!)
  「ふっ!」ヒョイ

騎士団長「何!?」

傭兵「ふっ!」ドカッ

騎士団長「うっ!」ズザザ……

傭兵「恐ろしい怪力だな、片手でその大剣を振り回せるのか」

騎士団長「君こそ恐ろしいやつだ、今のを初見でかわせたやつはそういないぞ」

傭兵「……少し舐めていたな。でかい得物を振り回すだけと侮っていた」

騎士団長「それだけの人間がそうそうこんな地位にはつけまいよ。さあ、続けようじゃないか」

傭兵「ああ、そうだな」
  (あの怪力だ、剣を振りつつ蹴りをかますくらいはやってきそうだ……だったら……)

騎士団長「……ヌアッ!」ブンッ

傭兵(これをかわせば……)ヒョイ

騎士団長「フッ!」グオッ

傭兵(やはり蹴りが来たか!これを……)

   サッ ゴロッ

騎士団長「な……」

   チャキッ

傭兵「……実際のナイフだったら、これで刃を引いて終いだな」

  お、おおおお……!

騎士団長「……なんということだ。ここまで手早くやられるとは」

傭兵「いや、結構危なかったな。何気にあの裏拳がでかかったからな、もしもう一発食らったらふらふらになってたよ」

騎士団長「うむ、君の実力はよく分かった。我らの仲間となるのに申し分ない……いや、それどころか私の立場がなくなりそうな実力だった」

傭兵「いや、こっちも正直あんたを見くびっていた。あんたほどの人なら、確かに一集団を引っ張っているのも納得だ」

騎士団長「ははは、ありがたい言葉だ。それでは今日から、君は我らの仲間だ。よろしく頼む」

傭兵「ああ、よろしく」

騎士団長「……さて、それでは君の装備を揃えねばな。これから武器庫に……」

傭兵「いや、必要ない。俺が元々持っていたやつで十分だ」

騎士団長「む、そうか?」

傭兵「ああ。……いや、やはりちょっと武器庫を見せてくれ」

騎士団長「ああ、分かった」

武器庫

騎士団長「ここだ」

傭兵「ふむ……銃はあるか?」

騎士団長「ああ、そこの棚だ」

傭兵「ああ、ありがとう。これか……うっ」

騎士団長「どうした?」

傭兵「思った通りだ……こんな革命期に使われたような銃しかないんじゃ、俺の持ってる銃に合う弾なんかなさそうだ?」

騎士団長「何の話だ?」

傭兵「なあ、ちょっとこの銃を一丁分解させてもらっても構わないか?」

騎士団長「あ、ああ、構わないが……」

傭兵「すまない。……」カチャカチャ

傭兵「……ひどい出来だ。予想通りライフリングすらない」

騎士団長「らいふ……なんだって?」

傭兵「とりあえずここを出よう。ちょっと相談がある」

中庭

騎士団長「で、相談というのは?」

傭兵「とりあえずこれを見てくれ」ガチャ

騎士団長「……?なんだこれは?」

傭兵「俺の銃だ」

騎士団長「なんだって?こんな小さいものが?」

傭兵「やはりか。どうしたものか……」

騎士団長「どういうことだ?」

傭兵「あんた達の国の機械技術はどんなものなんだ?」

騎士団長「そうだな……兵器の技術で言えば、剣の内部に魔石を組み込んで、威力を飛躍的に高めたり、
    携行できる高い威力の爆弾や、自動走行する戦車で敵陣に一気に切り込んだり……」

傭兵「つまり、銃に関する技術は全くの未熟ということだな?」

騎士団長「ああ、そうだな。なにぶん銃という武器は前例がないもので、試作段階もいいところらしい」

傭兵「なるほど……だが手本があれば、複製を行うだけの技術はあるのか?」

騎士団長「さあ、私にはわからないが……」

傭兵「ふむ……」

傭兵「だったら、とりあえずこれを作れるかどうかだけでも確かめてくれ」ジャラ……

騎士団長「これは?」

傭兵「この銃に使える弾丸だ。今の俺の手持ちの弾は全部で70発、予備用のリボルバー用のを含めると82発だ」

騎士団長「は、はあ……」

傭兵「とりあえず、それぞれの規格の弾丸を一発ずつ預けておく。あんたの方で、兵器開発を行っているところに複製ができるか聞いておいてくれ」

騎士団長「ああ、分かった」

傭兵「さて……それじゃあ、あとは……そうだ。なああんた、さっき携行爆弾があるって言ったな?」

騎士団長「ああ」

傭兵「それを、そうだな。とりあえず3発くれ。今はそれだけでいい」

騎士団長「そうか。それじゃあ、弾丸のことはこちらに任せておいてくれ」

傭兵「で、俺の仕事はやはり戦争なのか?」

騎士団長「いや、君は我々と帝都防衛の任に就いてもらいたい」

傭兵「防衛か。なるほど、了解した」

騎士団長「防衛と言っても、敵国からの防衛だけではない。この近辺にてる魔物の退治も、今は我々が請け負っている」

傭兵「魔物……あれか」

騎士団長「ああ。魔物討伐隊を募ってはいるが、魔法王国と違って一般の冒険者に十分な戦力は期待できないからな」

傭兵「そういえば、この国に魔法はないのか?」

騎士団長「あるにはあるが、せいぜい日常の手助けになるものや、医療用のものばかりだ。先ほども言ったような、
    魔石を使った擬似的な魔力利用はあるが」

傭兵「ふうん……」

騎士団長「その他にも様々な任務も課せられることもあるし、まあ忙しくないことはないだろう」

傭兵「なるほど、了解。体はなまらずに済むということか」

騎士団長「では、今日はもう自由にしていていい。明日から、魔物討伐などの任に就いてもらうとしよう」

廊下

傭兵「ふむ……しかし、広い城だ」

??「そこの男」

傭兵「ん?」

??「お前か、異世界から来たと言う兵士は」

傭兵「ああ、そうだが。あんたは?」

??「余はこの帝国の第二皇子だ。お前のうわさを聞いて、どんな男かと気になってな」

傭兵「ふうん、なるほど。これは失礼しました」
  (いかにも皇子サマという風体だな)

皇子「お前もやはり戦争に行くのか?」

傭兵「いや、俺は帝都の防衛をやることになるらしいです。明日から魔物討伐を任せられるそうで」

皇子「そうか……」

傭兵(……なぜ残念そうなんだ?)

皇子「……なあ、お前はこの戦争をどう思う?」

傭兵「どう思うも何も……この世界に来たばかりなので、それを判断する材料ほとんど持ってないからなんとも」

皇子「そうか、そうであったな……」

傭兵「まあ、俺にとって戦争ってやつは飯の種なわけだし、あって困るものではないですがね」

皇子「……お前も戦争が好きなのか?」

傭兵「いや、別に好きではないですが。『も』ってことは、誰か戦争が好きな人でも知っていらっしゃるので?」

皇子「……兄上だ。我が帝国の第一皇子のな」

傭兵「お兄様ですか……」

皇子「今も王国との戦争において、最前線で戦っておられる。だからお前が戦争に行くなら、何か言伝を頼もうかと思ったのだが……」

傭兵(……なるほど)

皇子「なあ、なぜ兄上は戦争に勇んで出かけるのだと思う?」

傭兵「さあ。俺も何度か戦うのが好きで傭兵をやっているやつを見かけましたが、どいつもちょっと気が狂い気味のやつだったり、
  それ以外の楽しみにできようなことを知らないようなやつだったり……まあ、色々ですよ」

皇子「……兄上は気が狂っていると?」

傭兵「そうは言ってませんよ。でもそういう人間は大抵ロクな死に方をしない」

皇子「っ……」

傭兵(おっと……失言だったか)

皇子「……すまない、変な話になってしまったな。余はこれで失礼する」

傭兵「ええ。お兄様の無事を祈ってますよ」

皇子「……ありがとう」スタスタ

傭兵(機嫌を損ねたかもな……まあ、別に構わないか)

翌日

騎士団長「おはよう。ちゃんと準備は出来ているか?」

傭兵「ああ、ばっちりだ」

騎士団長「そうか、なら心配はいらないな。これより君には、数人の騎士を連れて帝都より西の山に巣食う
    魔物の群れを討伐してもらいたい」

傭兵「魔物の群れ……あれの集団か。気が遠くなる」

騎士団長「大丈夫だ。君につける騎士は私が実力を保障するし、何より君の力ならちょっとやそっとじゃ魔物にやられはしないと信じている」

傭兵「それはどうも。で、道案内はこいつらに任せていいんだな?」

騎士団長「ああ。ついでにこの辺りの地理についても教えてもらうといい」

傭兵「分かった。それじゃ、行ってくる」

街道

騎士A「……という感じで、西は山、南は森に囲まれ、東から北にかけては平地が広がっているといった感じです」

傭兵「なるほど。悪くはない立地というわけだ」

騎士A「そして、今から我々が向かうのが帝都正門から見て左にある山というわけです」

傭兵「俺が森を抜けて入ったのは裏門だったのか」

騎士A[ええ、そうなりますね」

騎士B「そんなことより傭兵さん!」

傭兵「ん?」

騎士B「団長に勝っちゃうなんてすごいっすね!いったいどんな鍛え方してるんすか?」

騎士A「お、おいB!」

傭兵「鍛え方といっても……特にどうと意識してることはないが」

騎士B「無意識に鍛えてあれっすか!すげー!」

騎士A「す、すいません、やかましいやつで……」

傭兵「……いや、いい」
  (こういうにぎやかなやつほど戦場で早めに死んでいくわけだがな……)

騎士A「しかしBに注意しておいてなんですが、騎士団長に勝つというのは本当にすごいと思いますよ」

傭兵「そうか。まあ、褒められて悪い気はしないな」

騎士B「俺なんて新米の頃団長に挑んだら、あの裏拳だけで沈んじゃいましたし……」

傭兵「それは鍛え方が足りていなかったな」

騎士B「う……」

騎士A「反省するべきだな?」

騎士B「う、うるせえ!今はちゃんと鍛えてるから大丈夫だって!」

騎士C「……」

傭兵「……そっちのやつはてんで喋らないな」

騎士A「ああ、そいつはいつもこうなんで気にしなくても大丈夫ですよ。それより、今から獣道に入りますけど大丈夫ですか?」

傭兵「ああ。群れは山のどの辺りにいるんだ?」

騎士A「大体3、4合目辺りだそうです。それでは行きましょう」



騎士A「この辺りだそうです」

傭兵「そうか……気を引き締めて行くか」

騎士B「だ、大丈夫かよC?」

騎士C「……そっくり返す」

傭兵「随分おびえているようだな」

騎士A「まだBは魔物と戦ったことがないですからね。あいつが討伐に行った任務は、大体ガセ情報だったので」

傭兵(それはなんとも不安な話を聞いた……)

   ……ガサガサッ!

傭兵「!」

騎士B「ひ!?」

騎士A「来たか!?」

魔物「キシャアアアアアア!!」

傭兵「なんだこいつは!?俺が遭ったのはまだ獣の姿だったが、こいつは……クワガタのあごを持ったクモ!?」

騎士B「で、出たあ!!」

騎士A「落ち着け!まず剣の動力を入れろ!」ガチャッ ギュイイイ……

騎士C「……」ガチャ ギュイイイ……

騎士B「あ、ああ!」ガチャ ギュイイイ……

傭兵(これが例の『魔石を組み込んだ剣』か……)

騎士A「たあっ!」ブゥン

   ブシャアッ!

魔物「クキイイイイイイ!」

騎士C「ふっ」ブオッ

   ベキィィン!

魔物「シャシャアアアア!」

傭兵(なるほど、一人が素早く切り込んで隙を作り、もう一人があごを折るか。いい流れだ。あとはもう一人がとどめ、といったところか)

騎士A「おいB、早く止めを!」

騎士B「あ、ああ!だああっ!」ブンッ

魔物「キイイイイ!」ギンッ

騎士B「うわっ!」

騎士A「何やってる!」

騎士B「そんなこと言われても……」

傭兵「やれやれ。下がれ、俺が仕留める」

騎士B「えっ」

傭兵(どうやらあごは硬いがそれ以外はそこそこの硬度らしい。ならば)

ダン!ダン!

魔物「クシュッ」

傭兵(腹に数発叩き込み隙を作って、接近したら……)
  「はっ!」ズブッ!

魔物「キエエエエエ……!」ドサリ

騎士A「顔にまっすぐナイフを……」

騎士B「う、うめえ……」

傭兵「ふう……あごが折れていたおかげで上手くいった。よくやってくれたな」

騎士A「は、はい!」

騎士B「た、助かったあ……」

傭兵「気を抜いている場合か。今からこいつみたいなのがもっとうじゃうじゃいる場所に乗り込むんだぞ」

騎士B「ううっ……」

騎士A「それでは、気を抜くことなく行きましょう」

傭兵「ああ。これで倒し方も大体分かったしな。あごを折りさえすれば、後はまっすぐ顔に刃を突き立ててやればいい。
  一匹に対して二人でかかれば、倒せない相手じゃない」

騎士A「ええ。では常に二人がかりでいくよう心がけましょう」

魔物の巣

   ウジャウジャ……

傭兵「悪夢のような光景だな」

騎士A「ええ、大体10匹以上はいるでしょうか」

騎士B「だ、大丈夫なのか……?」

傭兵「大丈夫だ。気づかれる前に一気に攻め込んで、体制を整えられる前に半数も削れば後はどうにかやれるはずだ」

騎士A「では……」ス……

傭兵「待て。ただ切り込んだってあいつらの体制は崩せない」

騎士A「ではどうやって?」

傭兵「こうやるのさ」ピンッ ヒョイッ

   ズドオオオオオン!

騎士A「うわ!」

傭兵「もう一発……!」ピンッ ヒョイ

   ズドオオオオオオン!

傭兵「今だ、行け!」

騎士A「は、はい!」ダッ

騎士B「たあっ!」ズシャ

魔物「クケエエエ!」

騎士C「はっ」ベキィン!

傭兵「よし、これならいけるな」

騎士A「……はっ!」ズブッ

魔物「クイイイイ……」

傭兵「これで全部か?」

騎士A「はい、おそらく……」

   ……グジイイイイイイイ!……

騎士A「!?」

傭兵「これは……!おい!」

騎士B「え……?」

   ジャキン!

騎士C「……!」

騎士A「B!!!」

傭兵「……なんだこれは……」

大型魔物「グジジジジイイイイイ!!

傭兵(でかい!さっきまでのやつもでかかったが、こいつは……大型戦車も敵わんサイズだ!)

騎士A「なんてことだ、Bが……」

傭兵「犠牲者を悼むなら後にしろ。お前も誰かに悼まれたくなかったらな」

騎士A「は、はい」

傭兵(どうする……あのサイズだ、あごもでかくてとても折れる厚さじゃない。
  となると、頭を一気に潰せるような大威力の攻撃を当てなければ……だが、それができるのは俺の携行爆弾しかない……そして残りの弾数は、一発……)
  「……お前ら、やつの脚を折れるか?」

騎士A「え?」

傭兵「手前の2本だけでいい、やつの頭の位置をもっと下げてくれ。そうすれば俺がやつを仕留められる」

騎士A「ほ、本当ですか?」

傭兵「ああ。あいつの敵は俺が取ってやる。だからお前らはやつを止めてくれ」

騎士A「……分かりました。C、やれるか?」

騎士C「ああ」

騎士A「それでは、私達でやつの脚を切り落とします。そうしたら後は頼みます」

傭兵「ああ。任せろ」

騎士A「たああっ!」

大型魔物「ギジャアアア!」ブンッ

傭兵「させん!」

   ダンッ!

大型魔物「グジッ!」

傭兵(あの二人が脚を切り落とすまで、できるだけ注意を引き付けなければ……頭をこちらに向けておいてもらわないと、
  脚が切り落とせても仕留められん……)

騎士C「……っ!」ブンッ

   ズシャッ!

大型魔物「ジイイイイ!」

傭兵(切り落とし切れなかったか!だが今ので傷が入ったはずだ……もう一発入れば!)

騎士C「ふうっ!!」ブンッ!

   ッパアアアン!

大型魔物「zジイiイイe!」

傭兵(よし!あとはもう片方……!)

騎士A「たあああっ!」ブウゥン!

   ミシッ!

騎士A「うおおおおおっ!」

   ……ッパアアアン!

大型魔物「zzzzzzziiiiii!」

   ドスゥゥゥゥン

傭兵(ここだ!)
  「これで……くたばれ!!」ピンッ ヒュッ!

大型魔物「……ジイイイギイイイイイ!!」グオオッ

騎士C「……!」

騎士A「危ない!」

傭兵(あごを……!まだそんな力を残していたか!)

傭兵(まずい……体に届く……!)

   ……ズドォォォォォン!!

大型魔物「zzzz……gggg……!」

   ……ドスゥゥゥ……ン

傭兵「……ま、間に合ったか……」

騎士A「や、やった……!」

傭兵「……全く、何が信じているだ。こんなものが出るなんて聞いていなかったぞ……」

騎士A「こ、これで任務完了……ですよね?」

傭兵「ああ。無事とは行かなかったがな」

騎士A「B……」

傭兵「……ちゃんと連れて帰って弔ってやろう。真っ二つにされたままほっとかれたんじゃ哀れだからな」

騎士A「……そうですね」

中庭

騎士団長「……報告は受けているよ。彼もいい騎士だったのだが……」

傭兵「まさかあんな化け物が出るなんて思わなかった。ちゃんとあれくらいのものが出るなら出ると言ってもらわないと、
  対策不十分でやられるなんてことになりかねん」

騎士団長「それは済まなかった。だがそれほどのサイズのものがまだこの近辺にいるとは想像もしていなかったよ」

傭兵「それで済む話だと思っているのか?」

騎士団長「……そうだな。今回は私に責任がある。済まなかった」

傭兵「……まあ、もう過ぎたことだ。犠牲は出たが、俺はまだ生きている、それでいい」

騎士団長「……今日はゆっくり休んでくれ。次の魔物討伐任務までは、城の警護が主な任務になる」

傭兵「ああ、分かった。じゃあな」

――それから数日後
廊下

傭兵「……」

傭兵「……」

??「……あ、あの!」

傭兵(……やっと話しかけてきたか)
  「……ん?」

鎧の女「い、異世界の傭兵殿……でございますね?」

傭兵「ああ、そうだが」

鎧の女「わ、私、女騎士といいます。今年、第一騎士団に入団した新米で……」

傭兵(女の騎士か……)
  「その新米騎士が何の用だ?」

女騎士「あ、あの……私に、稽古をつけてほしいのです」

傭兵「稽古?」

女騎士「私は今年騎士になった身で、どうにか早く他の騎士団の先輩方に追いつきたくて……
   それで、騎士団長に勝ち、先日大型の魔物も退けたというあなたなら、私を思いっきり鍛えてくれるのではと……」

傭兵「……お断りだ」

女騎士「えっ!?な、なぜ?」

傭兵「焦らなくても、環境に求められれば力なんて自然につく。他の騎士の連中と切磋琢磨して鍛えたほうがいいだろう」

女騎士「で、ですが、私はもっと早く強くなりたくて!」

傭兵「なぜだ?」

女騎士「なぜって、私はただでさえ女だから、力も男に敵わないし、だったら他人よりもっと鍛えないと……」

傭兵「男だ女だと性別で差ができていると思い込んでいる時点で、お前は兵士に向いていない。今の自分にできることを考えて、
  その範囲でわきまえた鍛え方をするんだな」

女騎士「……っ!分かりました!でしたらもう貴方には頼みません!」

傭兵(……青いな。苦手なタイプだ)

中庭

騎士団長「なるほど、あの子がそんなことを」

傭兵「やはり女が騎士になるのは珍しいのか?」

騎士団長「そうだな。騎士になれるのはよほどの実力を見せた者か、それなりの血統を持つ者だけだからね。
    彼女は後者だよ。彼女の家は武人の名門なんだが、今あの家には跡取りが彼女しかいなくてね」

傭兵「なるほど、ついこの前社会にでたばかりのお嬢様ってわけだ」

騎士団長「騎士団に入る前から、彼女は武芸の教育を受けていたらしいがね。それでも騎士団には
    彼女以上の実力を持つものはごろごろいるわけだし、恐らく焦りが出たんだろう」

傭兵「そこにちょうど良く俺という都合のいい存在が現れた、と」

騎士団長「彼女も悪気はないんだ。できれば彼女の相手をしてやって欲しいところではあるんだが……」

傭兵「冗談はよしてくれ。俺は生まれてこの方、誰かを鍛えてやったことなんかないんだぞ」

騎士団長「そうか。まあ、気が乗ったら彼女を鍛えてやってくれ」

騎士団長「ああ、そうそう。例の弾丸だが、明日にも試作品ができるらしい」

傭兵「何?本当か?」

騎士団長「ああ。明日出来次第、帝都から東に行ったところにある工業都市から十発送ってくれるそうだ。
    明日の夕方には着くそうだから、楽しみにしていてくれ」

傭兵「いや、だったら今日のうちにその工業都市とやらに行かせてもらいたい」

騎士団長「なんだって?」

傭兵「死活問題だからな、一刻も早く確かめたい」

騎士団長「……やれやれ、思ったよりせっかちな男だな。分かった、準備してくれ。今から車を出そう」

騎士団長「運転手には工業都市に向かうように言ってある。安心して乗るといい」

傭兵「ああ。思ったより乗り心地が良さそうだ」

騎士団長「それはそうだ、時には貴族の送迎にも使われるものだからな」

傭兵「それじゃあ、ゆっくりくつろがせてもらうとしようか。行ってくる」

騎士団長「ああ、いい報告を待っている」

   ブロロロロロ……


運転手「あなた、別の世界からおいでになったそうで?」

傭兵「ああ。どうやら、すっかり知れ渡っているらしい」

運転手「そりゃそうですわ。みな、貴方に興味津々でございますよ」

傭兵「みな、というと?」

運転手「城の使用人どもや料理人、果ては王立研究所の者まで、どいつもこいつも、ってことです」

傭兵「ふうん……じゃあ爺さん、あんたもなのか?」

運転手「そりゃそうですとも。ぜひとも聞かせて欲しいですな、あなたの世界の車のこととか」

傭兵「……まあいいだろう。それじゃあ……」

工業都市

運転手「いやはや、なんともいい話を聞かせていただいた。それでは、また明日お迎えにあがりますので」

傭兵「ああ、頼んだ」

   ブロロロロロ……

傭兵「さて、金は貰ってあるし、どこか適当な宿を取るか……」

傭兵「……しかし、工業都市と銘打つだけのことはある。向こうの方は煙突だらけで随分と無秩序になっているな。
  反対側はどうやら住宅区か……そしてこの辺りは商業区、と言ったところか」

傭兵「……あの宿にするか」

宿

傭兵「……ふむ、どうにも暇だな。せっかくだ、何か見物にでも行ってみるか」


傭兵「なるほど、こっちは色々な工業製品が売っているのか……一目見ただけでもペンライトやら懐中時計やら、
  随分品揃えがいい……どれ、何か買っていくか」


店主「まいどー!」

傭兵「……買いすぎたか。少し反省だな……」

傭兵「……今日はもう休むか」

翌日 国立軍需工場

傭兵「ここか……さて、どんな出来か……」


傭兵「……で、これが試作品か?」

研究者「ええ、そうです。多少の差異はあれど、火薬の種類などできるだけ再現したつもりです」

傭兵「なるほど。それじゃ……」カチャ
  「試し撃ちは向こうでいいんだな?」

研究者「ええ、どうぞ」

傭兵「……」ダンッ!

傭兵「……駄目だな」

研究者「えっ!?」

傭兵「弾丸は問題ないようだが、薬莢が少々もろい。これでは連射に耐え切れない」

研究者「な、なんと……」

傭兵「もう少し硬めに配分を変えてくれ。使用している金属には問題はないはずだ」

研究者「は、はい。今日の昼までには作ってみます」

傭兵「ああ、頼んだ。できるまでここで待っている」

傭兵「……よし、これで問題ない」

研究者「ほ、本当ですか!」

傭兵「ああ、これならオリジナルとほぼ同水準だ。無理を言ってすまなかったな」

研究者「いえいえ、いい研究対象を提供いただけたこちらの方が感謝を示したいくらいです!
   それでは今すぐにこれを50発ほど生産させていただきます。3時間もあればできあがるかと」

傭兵「そうか、ありがたい。それじゃあその間食事にさせてもらいたいんだが」

研究者「お任せください!ちょうどついこの間完成した行軍用携帯食料があります!」

傭兵「……少し気が進まないが、それをいただこうか」

研究者「はい、ぜひぜひ!」

送迎車内

運転手「なるほど、そいつは良かったですねえ」

傭兵「ああ、携帯食料は大抵まずいものばかりだったが、あれは中々美味かった。さすが自信満々に薦めてきただけのことはある」

運転手「あそこの研究者の皆さんは頑張りやですからねえ。我が国の誇る世界一の軍需工場ですよ」

傭兵「軍用の技術ばかりが高まるのは、あまりよろしくはないがな」

運転手「それには同意させていただきます。戦時中の今は軍需工場に技術者が集まってしまって、
   てんで車の開発が進まんのですわ」

傭兵「この車もそこそこいいと思うぞ」

運転手「そりゃあどうもありがとうございます。ほれ、帝都が見えましたよ」

傭兵「ん、ああ。……ん?」

運転手「どうかされました?」

傭兵「……ここまででいい。ちょっと用事ができた」

運転手「おや、そうですか。それじゃ、いったん止めますね」

傭兵「ああ、すまない」



女騎士「……」ガサガサ

傭兵(あいつは……何をやっているんだ?)

女騎士「……」ガサガサ

傭兵(奥に入って行くな……追うか)


女騎士「……」キョロキョロ

傭兵(何かを探しているのか?)

女騎士「……!見つけた……」

傭兵(見つけた?一体何を……!あれは、俺がこの世界に来たときに襲われたのと同じ……)

女騎士「……」ギュッ

傭兵(……なるほど、無茶をする)

   ガサッ!

魔物「グ!?」

女騎士「……っ」ギュ……

傭兵(震えているな……脅えが全身からにじみ出ている。あれではやつにはただの獲物にしか見えんだろう)

魔物「グルルゥ」

女騎士「……か、覚悟!」

傭兵(覚悟の決まってないのはお前だろう)

女騎士「やあっ!」ブンッ!

魔物「グルッ」ヒョイ

傭兵(剣の動力も入れ忘れ、恐怖で踏み込みが足りていない。あれではすぐに隙を突かれて……」

魔物「グルァ!」ガバッ

女騎士「え、きゃああっ!」ドサッ

傭兵(それ見たことか、あっさりと組み伏せられた。……仕方ない、手間をかけさせてくれる)

風呂入ってくる

お風呂に入って頭を洗っている時、「だる
まさんがころんだ」のフレーズを口にしてはいけません。頭の中で考え
ることも絶対にヤバイです。何故なら、前かがみで目を閉じて頭を洗っている姿
が「だるまさんがころんだ」で遊んでいるように見
えるのに併せて、水場は霊を呼び易く、家の中でもキッチンやおふ
ろ場などは霊があつまる格好の場となるからです。さて、洗髪中に
いち度ならず、頭の中で何度か「だるまさんが
ころんだ」を反芻してしまったあなたは気付くでしょう。青じろ
い顔の女が、背後から肩越しにあなたの横顔を血ば
しった目でじっとみつめていることに.....。さて、あな
たは今からお風呂タイムですか? 何度も言いますが、
いけませんよ、「だるまさんがころんだ」だけは。

ただいま 想像しやすいよう一応言っておくと傭兵はトルコ系です

魔物「グルルルウ……」

女騎士「ひ……い、いや……」

魔物「グアルウ!」バッ

女騎士「きゃああああ!」

   ダン!ダン!ダン!ダン!

魔物「ギャグウウウウ!」

女騎士「え……」

傭兵「やれやれ、何をやっているのか……」

魔物「グエウウウウ!」

傭兵「おっと」ヒョイ

魔物「グウィ!?」

傭兵「片目が潰れてるんだ、まともに距離感が計れていまい。じゃあな」

   ダン!ダン!ダン!

魔物「クャウウウウ……」ドサリ

傭兵「……」

女騎士「あ……」

傭兵「なんで慣れてもいない魔物相手に戦いを挑んだ」

女騎士「え、な、なんで……」

傭兵「今の戦い方、明らかに今まで相手にしたことがないと言った感じの動きだった。
  大方、俺に稽古をつけてもらうのを断られて焦りが生まれて、こうなったら一人で魔物を相手にして強くなってみせる……
  とでも考えたか」

女騎士「っ……」

傭兵(図星か)

女騎士「私は……今のままじゃ駄目なんです。もっと、強くならなきゃ……」

傭兵「……ここじゃ落ち着いて話せない。とりあえず森を出るぞ」

都市外壁

傭兵「……で、そこまで早く強くなりたいのは理由があるんだろう?」

女騎士「……私は、とある武門の家の一人娘です」

傭兵「ああ、団長から聞いた」

女騎士「これまで数多くの名将を輩出してきた我が一族の後継者は、私しかいないのです」

傭兵「それで?」

女騎士「だから私は、父様から多大な期待を受けて育てられました。たとえ女でも、立派に家督を継げる
   優秀な騎士となれると……」

傭兵「なるほど」

女騎士「でも実際に騎士団に入ってみれば、私などより才能も実力もはるかに勝る方ばかり……
   私などは大したことのない人間なのだと思い知らされました」

傭兵「ふうん」

女騎士「でも私は、それでも強くならねばならない。家のため、期待してくれる父様のために……」

傭兵「そうか」

女騎士「……真面目に聞いて下さっていますか?」

傭兵「努力はしている」

女騎士「……」

傭兵「正直、俺にはよく分からないからな。親だなんだという話は。親というものの記憶なんて、一つも持ち合わせていないからな」

女騎士「え?」

傭兵「気がついたら自分と同じような子供達と狭苦しい部屋に押し込められていて、部屋を出されたと思ったら銃を持たされ、
  傭兵としての生き方を刻み込まれて……結局、今まで戦ってばかりだ」

女騎士「……」

傭兵「誰かの期待に応えようとか、そんなことを思ったことなんてないからな。正直、お前の気持ちはさっぱり分からない」

女騎士「……そうですか」

女騎士「……その、貴方に戦い方を教えた人は……」

傭兵「もう死んでいる。俺が14の時だった。それから俺はあちこちで雇われ兵士として戦い続けている」

女騎士「なぜです?貴方に戦いを教えた人はもういないのに、なぜ傭兵を……」

傭兵「他に生きる道を知らなかったからだ。それしかやってこなかった俺には、それ以外の方法で生きることができなかった。
  結局、俺は戦いを選ぶ理由もなくただ生きるために戦っているといった感じだ」

女騎士「……」

傭兵「だから、俺からしたらお前は恵まれているように見える。他に道があるのに、わざわざ他人のために戦う道を選んでやっているんだからな」

女騎士「わ、私はそんなつもりじゃ……」

傭兵「お前は戦うのには向いていない。それは自覚しろ」

女騎士「そんな……」

傭兵「それを自覚した上で、たとえ他にどんなにいい生き方があっても、戦うことを選ぶなら……そのときは、戦い方を教えてやる」

女騎士「えっ?」

傭兵「戦う理由も生きる理由もあるなら、最後に必要なのは戦う力だ。お前にそれが足りてないなら、俺が手助けをしてやる」

女騎士「傭兵殿……」

傭兵「……じゃあな。どんな生き方を選んでも、誰もお前を責めないさ」

中庭

騎士団長「で、それが例の弾丸か?」

傭兵「ああ。多少の感覚の違いはあるが、決して悪くはない」

騎士団長「では、これで君の銃の弾の心配はなくなったわけだ」

傭兵「まあな。それと、向こうに多少の置き土産をしてきた」

騎士団長「置き土産?」

傭兵「銃の開発について、色々とアドバイスをな。それと、3日間の期限付きで予備のリボルバーも置いてきた」

騎士団長「おお、それは……」

傭兵「向こうの研究者が大分喜んでたな。恐らくそう遠くないうちに、1次大戦中程度の出来のライフルならできるだろう」

騎士団長「1次大戦?」

傭兵「俺の世界で起きたことのある戦争だよ。まあさすがにリボルバーの複製に至るとは思えんが、
  これでまともな銃の供給があんた達にもなされると思う」

騎士団長「そうなれば、我らの戦力も一気に増強されるだろう……君が来てくれて本当に助かったよ」

傭兵「そういえば、あんた達の戦争はどうなっているんだ?」

騎士団長「……正直、押され気味だよ。向こうの勇者が恐ろしく強いらしく、第一皇子と第二騎士団が総力を挙げて
    進攻を最小限に押しとどめている状態らしい」

傭兵「なるほど……その勇者の力は具体的にどうなんだ?」

騎士団長「そうだな、分かりやすく言えば、三百人の軍隊を一瞬で火の海に沈めることができるといった感じか」

傭兵「……それは予想以上だな」

騎士団長「その勇者でさえ一人では魔王を倒すことができないというのだから、本当に魔王とは恐ろしい存在だった……」

傭兵「で、その恐ろしい力が戦争を止める楔にもなっていたわけだ」

騎士団長「……その通りだな。最大の脅威がなくなれば次の標的に狙いを定めるなど……」

傭兵「結局主義主張が違えば人なんていくらでも対立するさ。俺はそれを飯の種にしているわけだしな」

騎士団長「……まあ、この話はここまでにしよう。今日は疲れたろう、ゆっくり休みたまえ」

傭兵「ああ、そうさせてもらう。今日はぐっすり眠れそうだ」

もう5時か…いい加減寝ないと。
というわけで寝かせていただきます。明日もスレが残ってたら8時から9時くらいに再開するよ。
明日は多分勇者と傭兵をぶつけられる…と思う。
それではお休み

ただいま
弟にPC取られちゃった おのれニコ廚・・・
今ipodから書いてんだけどどうしよう

いや違うんだって俺マジで>>1なんだって
つーか夜の8時って書くべきだったねごめんね

とりあえずがんばって書いてみる

数日後

傭兵「晩餐会?」

騎士団長「ああ、第二皇子殿下が君を招待したいそうだ」

傭兵「あの皇子がか…」

騎士団長「一度臣下を交えて、君とゆっくり話をしたいそうだ。どうだい、誘いを受けてくれるかい?」

傭兵「まあ、それは別に構わんが。まさか自分がそんなイベントに招待される日が来るなんて思いもしなかった」

騎士団長「そうか、受けてくれるか。それでは晩餐会用に、君の正装を用意しなくてはな」

傭兵「なんだと?そんなもの俺には必要ない」

騎士団長「そうもいかん、それなりの立場の方と食事させるのにそんな色合いの悪い格好で行かせるわけにはいかん。ほら、早速服を見繕いに行くぞ」

傭兵「……やれやれ、早速後悔が出てきたぞ」

うわめんどくせえ早く弟どいてくれねえかな

その晩

騎士団長「ふむ、悪くないな」

傭兵「悪くない?悪いことだらけだ。なんだこのヒラヒラは、くすぐったくて鬱陶しい」

騎士団長「それが得意な人間はそういう服を常日頃から着ている人間くらいだろう。我慢してくれ」

傭兵(……あんたも苦手なのか)

騎士団長「それでは行こう。着いてきたまえ、食堂に案内しよう」

食堂

騎士団長「ここだ。まあ、気楽に食事してくるといい」

傭兵「ああ、そうさせてもらう」ガチャ

皇子「おお、待っていたぞ」

傭兵「……失礼します」

皇子「皆よ、すでに噂を聞いている者も多いと思うが、彼が例の異世界から来た傭兵殿だ」

傭兵「……どうも、お初にお目にかかります」

皇子「傭兵殿、こちらの男が我が国の宰相だ」

宰相「始めまして傭兵殿、噂はかねがね聞いておりますぞ」

傭兵「……はあ、それはどうも」

皇子「それとこちらが……」

傭兵(適当に聞き流すか……どうせこの先関わり合うこともあるまい)

皇子「……それで、ここでの生活はどうだ?」

傭兵「まあ、それなりに慣れてきましたし、悪くはないですよ」

皇子「そうか、それは良かった。だがもし要望があれば言ってくれ。聞けばついこの前の魔物討伐の際、大型の魔物を討伐したそうじゃないか」

傭兵「あれは奇跡的に上手く行っただけです。他の騎士たちの協力がなけりゃ倒せなかったし、犠牲者も出してしまった」

皇子「それでも素晴らしい働きだ。それに我が国の工場への技術提供もしてくれたそうだし、お前が我々にもたらしてくれたものはとても大きい。
お前は我が国の救世主となってくれるかもしれんのだ、出来るだけ良い待遇を与えてやりたい」

傭兵(救世主、ねえ……)

電池やべえ

皇子「今お前は騎士団の宿舎に寝床をおいているのだったか?」

傭兵「ええ、端の方を使わせてもらってます」

皇子「ふむ……それでは、城の空き部屋の一つをお前に与えよう。使用人も一人付けてもいいだろう」

傭兵「いえ、一応騎士団に身を預けている身として、団長以上の待遇を受ける訳にはいかんでしょう。
悪いが、丁重にお断りさせていただきます」

皇子「ふむ、それもそうだな。では、騎士団長と同じ、個人宿舎を与えることにしよう。一週間もあれば新築のものを用意できるだろう」

傭兵(……これは了承するまで迫ってきそうだ)
「分かりました。ではお言葉に甘えて」

皇子「おお、そうか!では早速明日から作業にかからせよう」

傭兵(やれやれ、俺は寝床などどこでもいいんだがな……)

中庭

騎士団長「ははは、そうかそんなことになったか」

傭兵「余所者の俺がいきなりそんな待遇を受けたら、反感を受けそうなものだというのに」

騎士団長「君の実力を知る者でそんな考えを持つ者など居ないさ。殿下はあれで押しが強いからな、早めに折れたのは正解だ」

傭兵「見た目や言動はそうでもなさそうだがな」

騎士団長「殿下は少々優しすぎるのだ。その優しさのせいでお節介をついつい焼いてしまうような方なのだ」

傭兵「俺には余計なお世話だがな」

騎士団長「そう言うな。あの方なりにできることをやりたがっているのだ」

PC空いた 今から移行する

傭兵「しかし、本当に鬱陶しい服だ。とっとと脱がせてもらいたいな」

騎士団長「ああ、それもそうだな。それでは着替えに戻るか」

廊下

騎士団長「しかしあの服を見慣れているから、やはり今の君は新鮮だな」

傭兵「俺の内心はもうとっくに腐ってる。早く元の服に……」

??「……」

傭兵「……ん?」

??「……」ソローリ

傭兵「……おい、なぜ隠れて俺を見ている」

??「!!」ピューッ

傭兵「あ、おい!……なんだあいつは?」

騎士団長「いや、私も知らない顔だ」

傭兵「おいおい……この城は大丈夫なのか?」

騎士団長「まあ、あの服はこの城の使用人のものだし、恐らく最近入った新人だろう。私はその辺の人事については詳しくないのでな」

傭兵(変装したスパイだったりしたらどうするつもりだ……まあ、あんなバレバレの隠密行動を取るスパイもいないだろうが)

一週間後

傭兵「なるほど、これが俺の新しい寝床か……」

騎士団長「私のものと構造に違いはないようだな。もし私よりいい建物だったら、さすがの私も嫉妬していた」

傭兵「なら幸いだったな。あんたの嫉妬を買ったら怖いことになりそうだ」

騎士団長「はははは。まあここのベッドの寝心地は後で確かめてもらうとして、今日はこれから魔物討伐に出てもらう」

傭兵「了解だ。今日はちゃんと魔物の情報を教えてもらえるんだろうな?」

騎士団長「そうは言われても、今回は情報がとても少なくてな。目撃情報が一件あっただけだから、ガセネタかもしれん」

傭兵「なら今回はその真偽を確かめてこい、といった感じか?」

騎士団長「そうだな。もし嘘ならそれに越したことはないし、本当だったとしても今回は危ないと思ったら逃げても構わない」

傭兵「で、今回他の騎士の同行は?」

騎士団長「ああ、彼女に付いてもらおうと思っている」

傭兵「彼女……ということはあいつか」

騎士団長「ああ。まあ要するに、面倒を見てやってくれということだ」

傭兵(……やめなかった、か)

森の中

傭兵「森を越えたところの川で釣りをした帰りに目撃、大きなトカゲかサンショウウオのようだった……か」

女騎士「あ、あの……傭兵殿……」

傭兵「ん?なんだ?」

女騎士「その……すいません」

傭兵「なぜ謝る」

女騎士「こうして騎士を続けて、なんだか傭兵殿の忠告を無下にしたみたいで……」

傭兵「気にするな。お前が決めたのなら、もう俺は止めはしないさ」

女騎士「……ありがとうございます。あの、それとどうしてこの銃を私に持たせたり……」

傭兵「どうせその試作品はもうすぐお払い箱になるんだ、だったらこの際だから有効活用させてもらえ」

女騎士「つまり、私にこの銃を使えと?」

傭兵「ああ。どうやら今のところその銃を使っているやつはいないらしいからな、いずれまともなやつが出来たときに
  まともに扱えるやつがいないんじゃ宝の持ち腐れになる。だからその前に銃に慣れさせておこうというわけだ」

女騎士「はあ……」



傭兵「ここか」

女騎士「この川には食用にできる魚が何種類か生息しているらしいです。恐らく目撃者は食料を取る目的で釣りに来たんでしょう」

傭兵「今はどうでもいい情報だな。それじゃあしばらくこの辺りを探し回るとしよう」

女騎士「はっ!」

      ・
      ・
      ・

傭兵「……いなかったか」

女騎士「結局出鱈目だったということですか」

傭兵「さあ、どうだろうな。どちらにせよもう日も沈みかけてきた、そろそろ戻るぞ」

女騎士「了解」

森の中

傭兵「さて、どう報告すべきか……一概に嘘とも決め付けられんからな……」

女騎士「今回は川の周辺しか探索できませんでしたからね。森の奥に隠れているのかも……」

傭兵「今日は仕方ない。次回は森の奥の探索も……」

女騎士「……どうしました?」

傭兵「……視線を感じる。……そこか!」チャッ

   ダンッ!
   ガサガサッ

傭兵「逃げたか。追うぞ!」

女騎士「は、はい!」

傭兵「どこだ……どこに隠れた?」

   ……ペキッ

傭兵「そこか!」ダンッ!

??「ゲゴゴ!」スウッ

女騎士「傭兵殿!……こ、こいつは!?」

傭兵「なるほどな……トカゲではなく、カメレオンとサンショウウオだったというわけか」

魔物「……ゲゴゴオ゛オ゛オ゛!」

女騎士「よ、傭兵殿、どうすれば!?」

傭兵「ここでは不利だ、やつをどうにか引き付けて川辺まで引きずり出せ!」

女騎士「りょ、了解!」スチャッ

傭兵「そら、こっちだ!」ダン!ダン!

魔物「ゲゲ!」

女騎士「たああっ!」ブンッ

   ズシャ

魔物「ゲゴ!」

   ピョンッ

女騎士「うわっ!」

傭兵「ひるむな、そのまま引き付けろ!川の方へ誘い出すんだ!」

女騎士「は、はい!」



魔物「……ゲゴ!」ズシャァッ

傭兵「よし、ここならそう簡単に隠れられまい」

女騎士「傭兵殿、この後は一体……」

傭兵「少しは自分で考えろ。武装面から言って、近距離での戦いはお前の方が向いている」

女騎士「そ、そうですね……では、私が切り込むので、傭兵殿は援護をお願いします」

傭兵「ああ。絶対に逃がすなよ」

女騎士「了解!はああっ!」ブンッ

魔物「ゲゴゴ!」ヒョイッ

女騎士「くっ!」

魔物「ゲゴ……」シュルッ

   ダンッ!

魔物「ゴゴゴ!?」

傭兵「今だ!」

女騎士「はい!てあっ!」ブンッ ズバッ

魔物「ゴゴオ゛オ゛オ゛!!」

傭兵「よし、この調子で……」

魔物「ゴゲッ!」ピョインッ ザバーン!

女騎士「えっ!?」

傭兵「……!しまった!やつの姿と生息地で気づくべきだった……!」

女騎士「す、姿が見えなく……!」

傭兵「おい、すぐに川から離れろ!」

女騎士「えっ?」

女騎士「痛っっっっ!!!」

魔物「ウケッゴ♪」

傭兵「どうしたんだ?」

女騎士「あぁぁ・・お尻を噛まれました…ウゥウ…」

傭兵「まさか毒?」

女騎士「あぁぁぁぁっっっ!!嫌ぁぁぁぁぁっ」

保守

   シュルッ!

傭兵「危ない!」ドン

女騎士「きゃ!」

   パシィッ!

傭兵「ぐ……!」

女騎士「よ、傭兵殿、腕を……!」

傭兵「ぐうっ、うおおおっ……!」ズルズル

女騎士「ど、どうしたら……」

傭兵「どうしたらもこうしたらもない、お前がどうにかするんだ!」

女騎士「で、でも、どうすれば状況を変えられるのか……やつの姿も見えないのに……」

傭兵「自分の装備を良く見ろ!水中のやつに届く武器を持っているだろう!」

女騎士「え……あ!そうか、この銃で……」

傭兵「やつの舌を切ろうとしても恐らく舌を戻されるだけだ!なら舌の出所からやつの位置を割り出してやつ自身に直接撃ちこめ!
  恐らくその銃じゃ仕留めきれないだろうが、上手くひるませられればそれでいい!」

女騎士「わ、分かりました……!……っ!」スチャ

女騎士(どこにいる……傭兵殿の引っ張られている角度から考えて恐らく……)
   「……そこっ!」ダァン!

   ピシュッ!

魔物「ゴボボボ!?」

傭兵「よし……緩んだ!これで……」ゴソッ 
  「出口が上しかない水中に潜ったのが……」ピンッ

魔物「ゴボオオッ!」ザバアッ

傭兵「……運の尽きだ!」ヒュッ

   ズドオオオォォォン!!

魔物「ゲゲエエエエエッ……!」

   バシャアアアァァァン!!

   ……プカアア……

傭兵「……ふう……」

女騎士「や、やった!やりました、傭兵殿!」

傭兵「ああ、よくやった。正直一発は外すと思っていたが、上手くやってくれたな」

女騎士「い、いえ、なにぶん無我夢中でしたので、ただの偶然かと……」

傭兵「それでもお前は当てることができた。結果を出せたんだ、誇っていい」クシャクシャ

女騎士「あ……」

傭兵「おっと、撫でられるのは嫌だったか?」

女騎士「い、いえ、そういうわけでは。ありがとうございます」

傭兵「……さて、それじゃあ帰るか。やつの舌に掴まれたせいで袖が臭くなっちまった」

女騎士「了解!」

中庭

騎士団長「そうか、よくやってくれたな」

傭兵「それはあいつに言ってやれ。俺一人だったら川に引きずり込まれて終わっていた」

騎士団長「そうだな。しっかり君の役に立ってくれたらしい」

傭兵「ああ。意外と銃の扱いに向いているのかもしれんな。まあ、まぐれ当たりの可能性も否定できんが」

騎士団長「しかしあの銃が役に立つとは、分からんものだ」

傭兵「騎士団で銃を使うやつは一人もいないのか?」

騎士団長「はっきり言って剣の方が威力があるからな。対人でも対魔物でも、弓兵を連れて行った方が援護には役立つからな」

傭兵「まあ、確かにあの威力に見合わないあの反動じゃ使う気にならんか」

騎士団長「試し撃ちしたものが皆軽くよろめいていたからな。私は平気だったが、使う気にはならないな」

傭兵「確かにあんたには銃は似合わなさそうだ」

傭兵「さて、それじゃあそろそろ寝るとするか」

騎士団長「おお、お待ちかねだな。あのベッドは中々寝心地がいいぞ、期待しておくといい」

傭兵「俺は寝床に期待はしない性質だがな。そういうなら、一応期待しておこう」


個人宿舎

傭兵「ふむ……」ポフッ

傭兵(……なるほど、これは今までで一番寝心地のいい布団だ)

傭兵(これに慣れてしまうのが怖いな……)

傭兵「……zzz」

翌朝

傭兵「……」

??「……」ソローリ……

傭兵「……」

??「……」ス……

   ……ガシッ!

??「へええっ!?」

   グイッ ドサッ!

??「い、痛い痛い痛い!」

傭兵「何者だお前は……ん?お前はこの間覗き見をしていた……」

使用人?「ご、ごめんなさいごめんなさい!ただ起こそうとしただけなんです、悪意とかそういうのはないんです!」

傭兵(……なんなんだこいつは?)

風呂入ってくる 

ただいま 女騎士は巨乳の方が浪漫を感じないか?

使用人?「うう、手首痛い……」

傭兵「……で、お前は何者なんだ?」

使用人?「あ、はい!わたし、今日から貴方のお世話をさせていただく世話役です!よろしくお願いします!」

傭兵「……」

世話役「……よ、よろしくお願いします!」

傭兵「……」

世話役「……な、なんか言ってくださいよぉ!!」

傭兵(やかましい女だ……苦手なタイプだ)

じゃあチェンジすればいいじゃん

傭兵「……とりあえず、いくつか質問がある」

世話役「あ、はい!なんでも聞いてください!こういうのは最初に信頼関係を築くのが大事ですからね!多分!」

傭兵「……まず一つ目だ。どうして俺に世話役が付けられるんだ?」

世話役「え、だって個人宿舎を使う人には世話役が一人付けられる決まりなんですよ?
   この宿舎を使う人は大抵忙しい身で、身の回りの世話をする人がいないと大変だからってことらしいです」

傭兵(団長め、そんなこと一言も言っていなかったぞ……)
  「じゃあ次の質問だ。この前、なぜ俺を覗き見していた?」

世話役「ああ、あれはわたしが貴方の世話役になるだろうって言われたんで、どんな人か気になったからちょっと……」

傭兵(なるほど、全て予定通りってわけか)

傭兵「それじゃあ3つ目、お前は大丈夫なのか?」

世話役「え、大丈夫って何がですか?」

傭兵「お前は恐らく新人だろうと団長が言っていた。新人が一人で俺の世話をできるのか?」

世話役「あ、わたしのこと舐めてますね。わたし確かに新人ですけど、こう見えてそれなりの教育はすでに施されているんですよ」

傭兵「ほう?」

世話役「何せお城の使用人なんて、ちょっとやそっとじゃなれない職業ですからね。家事に加えて、一人で回復魔法を扱えることまで要求されるんですから」

傭兵「なるほど、腕には自信があるわけだ」

世話役「ええ、もちろんです」

傭兵「なら早速、軽い朝食でも作ってもらおうか」

世話役「ええ、お安い御用です!ちょっと待っててくださいね!」タタタ

世話役「お待たせしました!ベーコンエッグです、どうぞ!」

傭兵(見た目は悪くないな……)
  「それじゃ、いただこう」パク

世話役「どうですか!?」

傭兵(……少ししょっぱい)
  「そこそこだ」

世話役「ほんとですか!?やったー!」

傭兵「そこそこと言われた程度で喜ぶようでは、一流には程遠いな」

世話役「う……おっしゃるとおりです。で、でも、身の回りをする分には問題ないですよね!?」

傭兵「……まあ、そうだな。一応認めてやる」

世話役「そうですか!それじゃあこれからよろしくお願いしますね、ご主人様!」

傭兵「……ちょっと待て」

世話役「はい?」

傭兵「その、ご主人様っていうのは何だ」

世話役「え、だってこれからお世話をすることになるんですから、ご主人様って呼ばないとですよね?」

傭兵「気持ちが悪い。却下だ」

世話役「ええ~~!?ご主人様って呼ぶの、ちょっと夢だったのに……」

傭兵「悪いが俺は気に入らん。他の呼び方にしろ」

世話役「ええ~。じゃあ一体どう呼ばれるのがいいんですか?」

傭兵「呼ばれ方か……」

世話役「うーん、マスター……悪くないけど、なんか違うなあ……」

傭兵(…………)

世話役「あるじ様……いやいや、ご主人……はたまたヒューラー……」

傭兵「……ボスでいい」

世話役「え?」

傭兵「俺のことはボスと呼べばいい」

世話役「ボス、ですか……分かりました。それじゃあこれからよろしくお願いします、ボス!」

傭兵「ああ」
  (…………)

中庭

傭兵「おい。あんなのが来るなんて聞いてなかったぞ」

騎士団長「なんだ、殿下から聞いていなかったのか。てっきりそこまで了承したものかと思っていた」

傭兵「全くどいつもこいつも説明不足なやつらだ……ところで、あいつから聞いた話だと、お前にも世話役がいるらしいな」

騎士団長「ん?ああ、そうだが」

傭兵「そのあんたの世話役とやらを、俺は見かけたことがないんだが」

騎士団長「ああ、それは仕方ない。彼女には大抵宿舎の執務室で書類の処理をしてもらっているからね」

傭兵「なんだと?世話役に書類処理?」

騎士団長「ああ。本来この国には第一から第三までの騎士団がいるんだが、現在第二、第三騎士団は戦争に駆り出されていてね。
    おかげで町の治安関係の書類やらが全て私に回ってきてしまって、とても騎士団長の仕事をやっていられる状態ではないのだ」

傭兵「で、書類整理をやってもらっていると?」

騎士団長「ああ。その上家事その他諸々もやってもらっていて、迷惑をかけてしまっているとは思うがね」

傭兵(随分と哀れな世話役だ……)

騎士団長「さて今日のことだが、君と女騎士は被害報告が出る前に魔物を討伐するという素晴らしい働きを見せてくれたということで、
    今日は君たちに休暇を与えたい」

傭兵「ほう」

騎士団長「晩餐会やら魔物討伐やらで疲れが溜まっているだろう、羽根を伸ばしてくるといい。城内を散歩するもよし、
    城下に繰り出して遊ぶのもよしだ」

傭兵「……そうだな。ではお言葉に甘えて今日は自由に過ごさせてもらおう」

騎士団長「ああ。ついこの前給料日だったから、金は十分あるだろう?」

傭兵「まあな。それじゃあちょっとその辺りをぶらついてくるか」

市街

傭兵(ふむ……そういえばこうしてゆっくり街を歩くのは初めてか)

傭兵(店の品揃えが工業都市とは大分違うな。街の性質が違うから当然だが)

傭兵(特に買いたいものもないな……適当に店を冷やかして回るか)


酒場

傭兵「ふう。随分歩き回った……もう昼になるか」

傭兵(後は特にすることもないし、食事を済ませて宿舎にでも戻るか……ん?)

傭兵「あれは……女騎士か。鎧をつけてはいないが、銃と剣を持っているな……追ってみるか」

街外れ

女騎士「……よし」

傭兵「せっかくの休暇に鍛錬か?」

女騎士「え?ああ、傭兵殿。ええ、私はまだまだ力不足ですので」

傭兵「休めるときにしっかり休めないと、どれだけ鍛えても大事な場面で倒れて無駄になるぞ」

女騎士「ですが……正直、一日だけ休暇をもらっても他にすることも思いつかないので」

傭兵「……なるほど、それは理解できなくもないな。よし、なら俺も少しだけ付き合ってやる」

女騎士「え、本当ですか?」

傭兵「ああ。俺も他にやることもないから戻ってのんびり過ごすかと考えていたところだからな」

女騎士「そうでしたか。では、どうかご指導の程よろしくお願いします」

傭兵「で、何を訓練するつもりなんだ?」

女騎士「とりあえず、銃の扱いを覚えようかと。あの時は運が良かっただけですし、まともに扱えるようになったら
   私も騎士団の皆様に追いつけるかと……」

傭兵「なるほど。なら、そうだな……」ゴト
  「まずは、そこからこのレンガを撃ってみろ」

女騎士「分かりました。しっかり構えて、狙いを定めて……」スチャ

   ……ダァン!
   チッ!

女騎士「ああ、、惜しい……」

傭兵「いや、十分だ。扱いなれてもないのにその反動のでかい銃でかすらせることができるのは、十分誇っていい」

女騎士「ほ、本当ですか?」

傭兵「ああ。後は十発撃って半分もかすらせられたら、お前には銃を扱う才能があると思っていい」

女騎士「そ、そうですか……よし……!」

女騎士「ど、どうでしょう?」

傭兵「十発中七発、内二発は命中……見事だ」

女騎士「や、やった!」

傭兵「……ちょっとこれを使ってみろ」スチャ

女騎士「え?これって、傭兵殿の……」

傭兵「試しに撃ってみる程度でいい。やってみろ」

女騎士「は、はい。持ち方はこうでいいんですか?」スチャ

傭兵「ああ。後は狙いを定めて引き金を引けばいい」

女騎士「はい……」

   ……ダン!

傭兵「ほう……」

女騎士「あ、当たった……」

傭兵(どうやらいいものを持っているらしい……磨けば光るな)

傭兵「すっかり日も暮れたな」

女騎士「ええ、そうですね……っ!」

傭兵「痛むか。あの反動のでかいやつを撃ち続けたんだ、当然か」

女騎士「はははは……せっかくの休暇なのに、無駄に体を痛めつけてしまいましたね」

傭兵「その分今日は残りの時間をゆっくり休めばいいさ。俺はもう戻るが、お前はどうする?」

女騎士「そうですね、私も戻ることにします。一緒に帰りましょうか」

傭兵「ああ、そうだな」

何が反動だよ
軍でそんなの常用するかカス

城内

傭兵「ふむ……夕食も済ませたし、後はどうするか……」

皇子「傭兵、ちょっといいか?」

傭兵「ん?ああ、皇子」

皇子「少し話に付き合ってほしい。駄目か?」

傭兵「ああ、別に構いませんが」

皇子「そうか。ではちょっと付いてきてくれ」


テラス

傭兵「それで、どんな話をされるつもりで?」

皇子「その前に、その敬語はやめてくれないか?余とお前の間には主従関係は成立していないのだし、
  できればお前とは気楽に話したい」

傭兵「……分かった。普通に話そう」

>>446 傭兵の銃を撃ったのはあれだけで後はまた出来損ないのやつを撃ったってことで

皇子「お前はこの国をどう思う?」

傭兵「……悪くない国だ。それなりに文明も発達しているようだし、戦時中だというのに治安もそれほど悪くない」

皇子「そうか……異世界の人間から見ても、そういう感想を抱ける国でいられているか……」

傭兵「やはり戦争が続いているのが不安なのか?」

皇子「ああ。できることなら止めたいが……皇帝である父上の決めたことだ。それに兄上も戦争に肯定的であられる。
  余が少し意見を述べたところで、この流れは変えられない」

傭兵「……なるほど」

皇子「止められないなら、せめて勝利したい。しかし、敵方の勇者は我が軍が総力を挙げても止めきれない存在だ……。
  もし勝算があるとしたら……お前だ」

傭兵「俺が?」

皇子「お前なら、もしかしたら……勇者とも渡り合えるかもしれない」

傭兵「よしてくれ。俺は一人で戦況を変えられるようなビックリ人間じゃない」

皇子「それはまだ分からないさ。実際にやってみなければ」

傭兵(……)

皇子「お前は元の世界に帰る方法が見つかったら、やはり戻るつもりなのか?」

傭兵「……さあ、分からないな。もし元の世界に戻ったとしても、俺はまた傭兵として戦い続けるだけだからな」

皇子「そうか。まあ、まだお前が帰る方法も分かっていないのだ、焦って考える必要もないか」

傭兵「だが、やはりその方法が分からないに越したことはない」

皇子「……確かにな」

傭兵「やはりこの世界に俺のような人間が来るのは珍しいのか?」

皇子「珍しいどころか、そんな人間はお前が始めてだ。一体どうしてお前がこの世界に来ることになったのか、何も分からない」

傭兵「そうか……」

「分かるに越したことはない」じゃないの?しえん

皇子「お前が傭兵をやっているということは、お前の世界でもまさに今戦争をしているのだな……」

傭兵「ああ。恐らくこの世界よりひどいものだ」

皇子「そうなのか?」

傭兵「片方が世界全てを焼き尽くすことのできる爆弾をちらつかせたかと思えば、もう片方が人の命を捨て駒に
  戦争と無関係の都市へ特攻させる……秩序があるのかないのかもはや分からない有様だ」

皇子「……」

傭兵「だがそれを分かっていても、俺は戦うことでしか自分を生かすことが出来ない。随分病んでいると自分でも思う」

皇子「……嫌なことを聞いてしまったか」

傭兵「気にしなくていい。もう慣れている」

皇子「……ありがとう。満足に話ができた。つき合わせてしまってすまない」

傭兵「構わないさ。それじゃあ、俺は失礼する」

皇子「ああ。またいずれ話をしよう」

>>452 ホントだ 頭ぼけてるのかな

個人宿舎

傭兵「ふう……」ガチャ

世話役「あ、お帰りなさいボス!」

傭兵「ん、ああ」

世話役「あれ、随分お疲れですね。どうかしました?」

傭兵「いや、ただ休暇を満喫し過ぎただけだ」

世話役「ふーん、そうですか……だったらここはわたしの出番ですね!」

傭兵「何をするつもりだ?」

世話役「やだなー、マッサージに決まってるじゃないですか」

傭兵「マッサージか……できるのか?」

世話役「当然!お任せください!」

傭兵「……分かった。それじゃあ頼もう」

世話役「う~ん、随分凝ってますね~」

傭兵「ここ最近は色々あったからな……しかし、上手いな」

世話役「ふっふっふ、こう見えてわたし親に手先が器用と褒められたことがあるんですよ」

傭兵(それは関係ないと思うが)

世話役「……よし、後は仕上げっと」

傭兵「仕上げ?」

世話役「ああ、動かないでください。……大地の癒しよ、生命の土壌よ……~ニャムニャム~……」

傭兵(何なんだ?)

世話役「……ライトキュア!」

   ぽわぁ……

傭兵「これは……」

世話役「回復魔法です。この国じゃ使える人結構貴重なんですよ?どうです、すごいでしょ」

傭兵「……ああ、これは驚いた。疲れがほとんど落ちている」

世話役「わたしのこと見直しました?」

傭兵「ああ、すごいな。ありがとう、これなら今日はぐっすり眠れそうだ」

世話役「えへへへ。それじゃ、これでマッサージ終了です。ではボス、また明日!」

傭兵「ああ、お休み」

世話役「……プリキュア!」

   ぽわぁ……

傭兵「これは……」

世話役「回復魔法です。この国じゃ使える人結構貴重なんですよ?どうです、すごいでしょ」

傭兵「……ああ、これは驚いた。疲れがほとんど落ちている」

世話役「わたしのこと見直しました?」

傭兵「ああ、すごいな。ありがとう、これなら今日はぐっすり眠れそうだ」

世話役「えへへへ。それじゃ、これでマッサージ終了です。ではボス、また明日!」

傭兵「ああ、お休み」

つーわけで今日はもう寝ようか。結局勇者出せなかった…
また明日も残ってたら夜8時から9時に来るよ。明日こそ勇者だす。
あともしかしたら色々おかしいとことか出るかもしれないんで、指摘してくれたらうれしい。
それではお休み

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 30分以内
04:00-09:00 50分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 20分以内
19:00-00:00 10分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 20分以内
02:00-04:00 35分以内
04:00-09:00 60分以内
09:00-16:00 35分以内
16:00-19:00 20分以内
19:00-00:00 10分以内

たぶんこんな感じらしい

【レス抽出】
対象スレ:傭兵「……どこだここは」
キーワード:ボブ リー スワガー
検索方法:マルチワード(OR)

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/18(水) 00:29:51.69 ID:MSSS8vuA0
十二国記とヴァルキリープロファイルを思い出す



抽出レス数:1

ただいま みんなありがとう
腹減ってるからすぐ夕飯食うと思うけどちょっとでも書いてく

数日後

傭兵「工業都市から新しい銃の試作品が届いたそうだな?」

騎士団長「ああ。今訓練所に運んでもらっている」

傭兵「少々楽しみだ。もし十分な性能に仕上がっていたら俺も1丁もらいたいな」

騎士団長「ああ、恐らく君に回す余裕はあるだろう。騎士団で銃を使いたいという人間は少ないからな」


訓練所

傭兵「ほう、これか」

騎士団長「これは……以前のものと大分違うな」

傭兵「俺の時代のものには大分劣るが、悪くない出来だ。歩兵に持たせるのには十分だ」

騎士団長「早速撃ってみるか?」

傭兵「ああ。弾はこれか……よし」

   ダァン!

傭兵「ふむ……悪くない。反動も大分抑えられている上に、威力も向上している。及第点だな」

騎士団長「そうか、それはよかった。では騎士団の者にも撃たせてみるか」

傭兵「ああ、そうするといい。これならいい戦力の増強につながる」


女騎士「わ、私からですか……よろしいのですか?」

傭兵「ああ。心置きなく撃ってみろ」

女騎士「わ、分かりました。では……」スチャ

   ダァン!

女騎士「え……」

傭兵「どうだ?」

女騎士「あ、あの、これで本当に大丈夫なのですか?以前のものよりずっと反動を感じないのですが……」

傭兵「まあ、正しい感想だ。心配しなくていい、それだけ性能が向上しているということだ」

女騎士「そうなのですか。すごい……」

「お、俺も撃ってみていいですか?」 「あ、じゃあ俺も!」

騎士団長「思ったより人気だな。送られてきたのは10丁だけだから、全員には行き渡らないだろうな」

傭兵「何、量産体制が整えば問題ないさ」

夕飯食ってくる

ただいま

傭兵「で、これが前線に届くのはいつになるんだ?」

騎士団長「そうだな……量産までに微調整を行って、弾もより量産に適したものを模索中とのことだから、早くても2週間はかかると……」

傭兵「2週間か……前線は大丈夫なのか?」

騎士団長「それが、ここのところ戦況の報告が入っていないのだ。よほど切羽詰っているのか……」

兵士「き、騎士団長殿!すぐに会議室へ!」

騎士団長「どうした、何かあったのか?」

兵士「そ、それが、ついさっき前線から連絡が……第一皇子が、戦死なされたと……」

騎士団長「何だと!?」

会議室

宰相「な、なんという事態に……だからわしは、あれほど第一皇子殿下が出征なさるのに反対したというのに……」

騎士団長「同行していた第二騎士団長は何をやっていたのだ!あの戦闘狂め、戦に夢中で殿下を忘れたとでもいうつもりか!」

貴族「しかしまずいですな。前線は殿下が指揮を取ることで士気を保っていたと聞いておりますが、その殿下が戦死なさったとあっては……」

宰相「そういう問題ではない!この国の第一帝位継承者がいなくなってしまったのだぞ!」

騎士団長「しかし貴族殿の言うとおり、これで士気が下がればただでさえ押され気味の戦線がさらに……」


会議室前

傭兵「随分大変な事態になったようだな」

女騎士「そんな言葉で済まされるものではございません。殿下は国民の人気も高く、次期皇帝に即位される日を誰もが楽しみにしていたのに……」

傭兵「だがその第一皇子はもういない。つまり帝位を継ぐのは、その弟である第二皇子というわけだ。
  だがその皇子も今は会議室の中心で青ざめているばかり……どうにも悪い状況だ」

   ガチャ

騎士団長「……」

傭兵「会議は終わりか」

騎士団長「ああ……」

傭兵「で、どうなったんだ?」

騎士団長「殿下が戦死なさったことで、前線の士気を保つのが難しくなっているらしい。それを持ち直させるために、
    我々第一騎士団と第二皇子殿下が前線へ増援として送られることが決定した」

女騎士「我々が、前線に……」

騎士団長「すぐに騎士団の皆に伝えなくてはならない。二人とも、付いてきてくれ」

傭兵「ああ、分かった」

訓練所

騎士団長「……というわけだ。明日までに準備を整え、二日後に前線へ向けて出発する」

「そんな、まさかこんな事態に……」 「いつか前線に出ることになるとは思ってたけど、まさかこんな形で……」

騎士団長「各自準備を怠ることのないよう。以上だ」

傭兵(とうとう、俺も久々に戦場に出ることになるか。この世界の戦争は、一体どんなものか……)

騎士団長「君も抜かりのないように頼む。君の銃の弾は今のところ工業都市でしか生産していないから、前線で補給が間に合うか分からない。
    必要な数を言ってくれたら、出発までに揃えるように発注する」

傭兵「ああ、分かった。それじゃあ後で数ははっきり指定するが……それより、向こうに製造を注文したい」

騎士団長「製造?」

傭兵「ああ。待っていてくれ、すぐに描き起こしてくる」

傭兵「待たせたな。これだ」

騎士団長「これは?」

傭兵「もしかしたら必要になるかもしれないからな。俺の持っている知識の限りに、俺の世界の武器の設計図を描いてみた。
  このくらいのものを渡せば、彼らなら俺の知識の足りていない部分を補って開発してくれるだろう」

騎士団長「すごいな……分かった、すぐに届けさせよう。恐らく彼らなら優先的に作ってくれるはずだ」

傭兵「無理を言って済まない。それと、これが必要な数の弾薬のリストだ」

騎士団長「ああ、これも一緒に届けよう。では君に必要なものはこれで全部だな?」

傭兵「ああ。残りの銃の整備などは自分でやっておく。そちらは頼んだ」

騎士団長「任せておけ。皆が心置きなく戦えるようにするのも私の役目だ」

中庭

皇子「傭兵殿……」

傭兵「ん?ああ……」

皇子「大変なことになってしまったよ……」

傭兵「ああ、知っている」

皇子「兄上……どうして死んでしまわれたのだ……」

傭兵「どうしてなんて言葉が出るということは、人が戦争に行くことの意味をしっかり理解していなかったようだな」

皇子「……そうかもしれない。余は心のどこかで、兄上なら平気だと楽観視していたのかもしれない」

傭兵「だがあんたの兄は死んだ。そしてあんたはその代わりに戦争に出向くことになる」

皇子「何かないのだろうか、この戦争を止める方法は……」

傭兵「あったとしても今のあんたには無理だ。どちらも戦いを続ける意志を明確にしているうえに、こちらが明らかに負けている状況だ。
  こちらが優勢ならまだしも、向こうが勝てる戦をやめる気になるとは思えないな」

皇子「っ……」

傭兵「覚悟を決めろ。あんたはもう戦うしかない」

皇子「しかし……!」

傭兵「戦わずに済むならそれに越したことはないんだろう。だが他人に自分たちの安全が脅かされているなら、
  それを守るためには戦わないといけない」

皇子「……」

傭兵「あんたは自分の国を守りたいんだろう?」

皇子「……そう、だな。余は……この国を守りたい。そのために剣を取らなければいけないなら、余は……」

個人宿舎

傭兵「……というわけで、俺は明後日から戦場に行くことになった」

世話役「そうですか……それじゃあわたしも、しっかり準備しないとですね!」

傭兵「……は?ちょっと待て、どうしてそういう話になる」

世話役「どうしてって、当たり前じゃないですか。ボスが遠出をするなら、お世話のためについていくのが世話役の役目ですから!」

傭兵「そういうものなのか?」

世話役「そういうものなんです。大丈夫ですよ、わたしなら衛生兵としてお役に立つことも出来ますし。
   というか元々、戦時中に衛生兵を兼任するように回復魔法を扱えることが要求されているんです」

傭兵「なるほど……案外考えられているわけだ」

世話役「はい!というわけで、向こうでもよろしくお願いします!」

傭兵(やれやれ、随分にぎやかになりそうだ……)

二日後

騎士団長「全員揃っているな!それではこれより前線へ向けて出発する!全員輸送車に乗り込め!」

騎士団員『はっ!』

騎士団長「君は殿下の計らいで、私と一緒に指揮官用の輸送車に乗り込むことになっている」

傭兵「ああ、了解した」

騎士団長「運転手は例の彼が勤めてくれる。それと、この機会に紹介しよう。私の世話役……というより、ほとんど秘書だが」

秘書「宜しく」

傭兵「ああ、よろしく」
  (やさぐれた目をしている……よほど書類整理が辛かったのだろうか)

騎士団長「それでは行こう。時は一刻を争う」

傭兵「ああ。おい、行くぞ」

世話役「あ、はい!」

      ・
      ・
      ・

   ガタガタガタ……

世話役「ひゃぁ、揺れるぅ」

運転手「おっと、すみませんね」

傭兵「仕方ないさ。どうも道が荒れ始めたようだからな」

騎士団長「前線までは、飛ばしても大体4日はかかる。ここからはずっとこの悪路だろうから、覚悟しておいてくれ」

世話役「そ、そうですか……なんかわたし、気持ち悪くなってきました……」

傭兵「おいおい、大丈夫か?この輸送車にエチケット袋はあるのか?」

騎士団長「エチケット袋?」

傭兵「車酔いしたときに嘔吐を入れるための袋だ」

騎士団長「ああ、それならこれを使うといい。一応渡しておこう」

傭兵「ああ、済まない。ほら、持っておけ」

世話役「あ、ありがとうごじゃいます……うっぷ」

夜 テント

世話役「うひぃ、帰りたい……」

傭兵「やれやれ、一日目からこれじゃ、先が思いやられる」

世話役「だって、こんなに揺れるなんて思ってなかったんですもん……」

傭兵「その一言でお前の未来が見えた。負傷兵の押し込められたテントの中で、『こんなに血なまぐさいなんて思わなかったんですもん……』
  とぶつぶつ言いながら、端っこでうずくまっている」

世話役「そ、そんなことないです!」

傭兵「戦場に付いてくるんだ、それなりの覚悟をしてもらわないとただの足手まといだ」

世話役「うう、ごめんなさい……」

騎士団長「はははは。まあ、戦場についた途端ばてられても困るし、今日はしっかり休みたまえ」

世話役「はい……わたし世話役なのに、なんかお世話焼かれちゃってる気が……」

傭兵「しかし、こっちと違ってあんたの世話役はぴんぴんしてるな」

騎士団長「彼女はタフだからね。ちょっとやそっとじゃへこたれないよ」

秘書「……勝手なことを……」ボソッ

傭兵「……おい、今……」

騎士団長「ん?何かな?私には何も聞こえなかったよ?」

秘書「呪ってやる……お前に活字の雨が降ってくる悪夢を見せてやる……」ブツブツ

傭兵「おい……」

騎士団長「はははははは、大丈夫大丈夫。きっと私は彼女に嫌われたりしていないはずだ、そのはずだ」

傭兵(あまり信頼関係が築けていないようだ……)

騎士団長「さあ、それじゃあもう寝よう。明日も早いからね。さあ、戻ろう秘書」

秘書「……はい」

傭兵(怖い女だ……苦手なタイプだ)

四日後 前線基地

騎士団長「やっと着いたか……」

傭兵「ここが前線か……戦いの雰囲気がぷんぷん漂っている。懐かしい感じだ」

騎士団長「どんな気分だ?久々に戦場に立った気分は」

傭兵「やっと仕事場に来たといった感じか。やはり俺には傭兵根性が染み付いているらしい」

騎士団長「それでは騎士団の点呼を取った後、基地内に到着の報告をしに行こう。君についての話もしなくてはな」

傭兵「ああ、そうだな」

世話役「ひぃ……」

傭兵「お前はどこか端っこで迷惑にならないように休んでろ」

世話役「ふぁい……」

基地内

騎士団長「第一騎士団、ただいま到着いたしました」

将軍「うむ、ご苦労」

騎士団長「それで、戦況は?」

将軍「聞いていると思うが、指揮を執っておられた第一皇子殿下が戦死なさった。その影響で、兵士達の士気が
  著しく低下している」

騎士団長「やはり……」

将軍「この状況を打破するために、我が軍の精鋭である君たち騎士団の力を存分に振るってもらいたい。
  そして第二皇子殿下には、士気高揚のため形式だけでも指揮を執っていただきたい」

皇子「分かった。我が軍の勝利のためなら、余はいくらでも祭り上げられよう」

将軍「ありがたきお言葉。して、そちらの男が例の……」

騎士団長「ええ、異世界から来たと言う傭兵です」

傭兵「よろしく」

将軍「ああ。君の力はまだ分からんが、力を貸してくれることに感謝する」

騎士団長「それで戦況は?」

将軍「やはり敵方の魔法に押されている。今勇者は別の戦場にいるため少しは楽になっているが、
  それでも敵を押し返しきれずにいる」

騎士団長「なるほど……では我々は、敵陣に切り込んで敵の魔道部隊を抑えればよろしいでしょうか」

将軍「ああ、頼む。こちらの魔石砲を撃つ隙さえ生んでくれれば、後はどうにかする」

騎士団長「了解しました。直ちに突撃準備に入ります」

傭兵「俺もあんたたちと一緒に行けばいいのか?」

騎士団長「ああ。君の銃があれば、離れていても魔道部隊を叩くことができるだろう」

傭兵「おいおい、銃があるのは俺だけじゃないだろう。騎士団の何人かは銃を持っているんじゃないのか?」

騎士団長「いや、女騎士を除いて銃を所持しているものはいない。実戦ということになれば、慣れない兵器を信頼することができないんだろう」

傭兵「そうか。なら銃を使えるのは俺と女騎士だけか……」

騎士団長「そういうことになる。君たちに期待しているよ」

基地外

騎士団長「さて、皆に突撃準備をさせなければ……」

??「よう、とうとう出張ってきたか」

傭兵「ん?」

鎧の男「後ろの方でうじうじ守りを固めたって無駄だって、ようやく分かったようだな」

傭兵「……誰だ?」

騎士団長「……第二騎士団長だよ。私の苦手な男だ」

第二団長「で、来たと思ったら早速突撃準備か。頑張るねえ」

騎士団長「……おい。お前がいながらどうして第一皇子殿下を死なせた。納得のいく答えをしてくれるのだろうな?」

第二団長「ああ?まるで身代わりになってでも守りゃよかったとでも言いたげだな?」

騎士団長「それが我らの役目だろう」

第二団長「っち、だからてめえは嫌いなんだよ堅物。まあ、俗物の第三騎士団長よかましだが。
    ありゃ仕方なかったんだよ、俺たちが勇者の相手をしてる隙に連中の上級魔法の一斉砲火がきやがったんだ」

騎士団長「そんなことで納得できるか!」

第二団長「納得できなかろうが納得するしかねえんだよ。俺だってあの方を死なせたくはなかったさ」

騎士団長「……もういい。傭兵殿、行くぞ」

傭兵「ああ」

傭兵「あの男を責めたところで、どうにもならんだろう」

騎士団長「分かっている。誰に責任を押し付けても、第一皇子殿下は戻らない。あれはただ私の私情が出てしまっただけだよ」

傭兵「それより、まだこの軍の装備について詳しく聞いていなかった。さっき魔石砲とかいう単語が出てきたが、なんなんだ?」

騎士団長「ああ、我々の開発した長距離魔力砲だよ。魔石内の魔力を抽出し、破壊力に変換して放出する」

傭兵「つまりエネルギー兵器ということか?そんなSF、俺の世界ではありえないな……」

騎士団長「まあ、発射までに時間がかかるのが難点だがな。だが魔石には失った魔力を空気中から吸収する特性があるため、
    破壊されない限り半永久的に使い続けることが出来る」

傭兵「半永久的なエネルギー供給……なるほど、要するに魔石ってやつは俺たちの世界の原子力みたいなものか」

騎士団長「原子力?」

傭兵「ああ、気にしなくていい」

傭兵「他にはどんな兵器がある?」

騎士団長「後は我々の使う魔力剣や、小型魔石砲を搭載した自走砲、それと突撃用の自動走行車か」

傭兵「自動走行だと?」

騎士団長「ああ。運転しなくとも、魔力の放出が大きい場所に向かって勝手に走ってくれる。
    なんでも魔石とは違う、魔力に反応する石を利用して、進路を自動で決めてくれるよう設計されているらしい」

傭兵「なんだかよく分からなくなってきたな……」

騎士団長「はははは。だが今の我々が突撃作戦を行うには不可欠のものだよ。開発の際は、その石は魔力を吸い取る性質も持つらしく、
    魔石に近づけすぎると魔石の魔力を吸い取って走れなくなってしまうから、それぞれの位置を設定するのに難航したらしい」

傭兵「それらはやはりあの軍需工場が生産したのか?」

騎士団長「ああ。全く優秀な連中だよ……っと。話はこれくらいにして、早く準備を始めなければな」

騎士団長「……よし、全員揃ったな!それではこれより敵陣への突撃を行う!この戦況を打破するには我々の尽力が必要だ!
    各員、肝に銘じるように!」

騎士団員『はっ!』

騎士団長「よし、それでは5人1組で突撃車に乗り込め!」

   ザッザッザッ……

女騎士「っ……」ギュッ

傭兵「緊張しているのか?」

女騎士「な、なにぶんこれが初陣なもので……」

傭兵「肩の力を抜け。そんなんじゃ敵のいい的になるぞ」

女騎士「は、はい」

騎士団長「第一波、突撃!」

   ブロロロロロロ!

騎士団長「第一波が敵前部の防衛部隊を押さえ込んだら、我々は一気に奥の魔道部隊目前まで迫る。
    そうしたら、敵の呪文の詠唱が完了する前にやつらを殲滅する」

女騎士「りょ、了解」

傭兵「呪文とやらの詠唱にかかる時間は?」

騎士団長「上級の広範囲攻撃呪文なら最低でも30秒、通常攻撃呪文なら3秒から5秒だ」

傭兵「なるほど、要するに魔石砲の準備が整うまで相手の誰にも30秒以上の余裕を与えなければいいわけだ」

騎士団長「ああ。準備が整ったら閃光で合図がなされるから、すぐに追撃をかわしつつ退避する」

傭兵「了解。時間稼ぎなら、多少は楽そうだ」

騎士団長「ああ、そうだ。念のためこれをつけておけ」

傭兵「これは?」

騎士団長「対魔法用に加工された楯だ。このサイズなら君の銃の取り回しに影響はないだろう」

傭兵「ふむ……確かにこれなら邪魔にならないな。ありがたく使わせてもらう」

『……第一波、敵防衛部隊を抑えました!』

騎士団長「よし、行くぞ!」

傭兵「了解」

女騎士「敵魔道部隊、視界に捉えました!」

騎士団長「よし、ぎりぎりまで突撃車で接近するぞ。すぐに降りられるよう準備をしておけ」

傭兵「了解」

騎士団長「……ここだ!止めろ!」

女騎士「はい!」ガチャン

騎士団長「よし、各員敵魔道部隊を殲滅しろ!」

騎士団長「……オオオッ!」スラッ

   ガチャッ……ギュイイイイイイ!!

傭兵(あれが団長の剣か……ものすごい起動音だ)

騎士団長「ヌアアッ!」

魔道部隊「うわああああっ!!」

傭兵「さて……!」ダン!ダン!

女騎士「やああっ!」ダァン!

魔道師「な、なんだあれは!」

魔道師「敵の新兵器か!」

魔道師「ええい……燃えよ!ファイアー!」

   ブワアッ!

傭兵「うおっ!?」
  (なるほど、これが通常の攻撃魔法か……瞬間的に高火力の火炎放射を出せるようなものか、厄介だ)

魔道師「揺れよ大地、怒りを形と示せ!アースクエイク!」

   ゴゴゴゴゴゴ!

傭兵「ぐ……!?」

魔道師「燃えよ!ファイアー!」ブワアッ

傭兵「っ!!」サッ

魔道師「ちっ、仕留められなかったか!」

傭兵(この楯がなかったら危なかった……なるほど、団長が持たせてくれた理由が分かる。
  一人が足止め、もう一人が攻撃というコンビネーションをこうも簡単にできるわけだ。魔法とは恐ろしいな……
  だが弱点ははっきりしているな)

魔道師「揺れよ大地、怒りを……」

傭兵「甘い!」ダン!

魔道師「ぐああっ!?」

魔道師「何!?」

傭兵(火炎放射程度なら隙もあまりないが、地面を揺らす規模となると詠唱も長くなる。
  もし近距離用の装備しか持っていなければやられていたかもしれんが、離れたところからの攻撃手段をもっていればどうということはない)


魔道師「お、おのれ……!」

傭兵(他にも魔法を発動したら魔法の発動が終わるまで次の魔法が撃てないのも弱点だ。そして何よりこいつらは格闘戦については素人もいいところだ。
  だから魔法発動前後の隙を突いて一気に接近すれば……)
  「ふっ!」ガスッ

魔道師「ぎゃあっ!」ガクッ

傭兵「全くもって楽に仕留められる」

傭兵「さて、後は……」

   ……パアアッ!

傭兵「む、合図か」

騎士団長「各員退避しろ!」

傭兵「さて、急いで退散するか……」

魔道師「おのれ、逃がすか!」

傭兵「おっと、逃がしてもらわないと困る……な!」ピンッ ヒョイッ

   ズドオオオオオン!

魔道師「ぎゃあーーーー!」

傭兵「悪く思うなよ。さて、一体いつ砲撃がくるか……」

   ……バシュウウウウウウ!

傭兵「うおっ……!?」

   ……チュボオオオオオン!!

傭兵「……こりゃあ、段違いだな……」

      ・
      ・
      ・

騎士団長「……皆、よくやってくれた。欠員も出ていないようだし、今回は完全に我々の勝利だ」

騎士団員『うおおおおおおおっ!』

騎士団長「今日はゆっくり休んでくれ。明日からもまた戦いが始まる。その前に取れるだけの休息はとっておくように」

傭兵(今日は色々とすごいものを見たな……魔法やらなんやら、俺の常識なんか一切通用しやしない)

世話役「ボス、お疲れ様でした!」

傭兵「ん、ああ。もう酔いはさめたようだな」

世話役「はい。いつまでもばててられませんから」

傭兵「魔法というのは、とんでもないものなんだな」

世話役「うーん、私は昔から魔法によく触れてきましたし、あんまりそんな感覚はないですね」

傭兵「なるほど。やはり常識の違いか」

世話役「ボスの世界には魔法はないんですか?」

傭兵「そんなものを真面目に語るやつがいたら、大抵詐欺師か気違いと思われるのがおちだな」

世話役「へえ~」

女騎士「傭兵殿!」

傭兵「ああ、お前か。どうだ、初陣の感想は?」

女騎士「……とても怖かったです。人と殺し合いをしているというのが、また……」

傭兵「戦場で全く脅えのないやつなんかいないさ。お前はこうして生きているんだ、ちゃんと上手く立ち回れたと言うことだろう」

女騎士「そ、そうですか。そう言っていただきありがとうございます」

傭兵「実戦で銃を使った感じはどうだった?」

女騎士「ええ、あれはいいものですね。あれを一度使ったら、以前のものなんて不便でとても使えませんね」

傭兵「その言葉、工場の連中に言ったら飛んで喜ぶな」

女騎士「あははは。これからも、あれはぜひ使っていきたいです」

傭兵「だが、今はまだ使える弾が限られている。弾の量産が始まるまでは、慎重に使えよ」

女騎士「はい」

傭兵「……しかし、これまでこの軍が押され気味だった理由が良く分かった。あれでは普通の人間じゃとても相手にできないな」

女騎士「ええ。これまでも、突撃車での特攻や自走砲でどうにかつないでいたみたいです」

傭兵「特攻なんてのは褒められた戦術じゃないが、あれは確かに脅威だ。勇者というのはあれ以上のものなのか?」

女騎士「ええ、並みの兵士じゃ足元にも及ばない剣技と、強力な攻撃魔法を使いこなすそうです」

傭兵「そりゃ恐ろしい。一切の死角なしか」

女騎士「だからこそのこの戦況です。勇者が一人しかいないので、他の戦場でも引っ張りだこになって一箇所にとどまっていないのが救いですが」

傭兵「なるほど……あれを注文しておいて正解だったか」

女騎士「あれ?」

傭兵「新兵器だよ。まあ、俺からしたら新兵器ではないんだが」

女騎士「へえ……それは楽しみですね」

傭兵(どうも、銃火器に興味が出てきているらしいな……)
  「ああ、楽しみにしていろ。さて、そろそろ明日に備えるか」

女騎士「はい!」

風呂入ってくる

ただいま 先に言っとくと勇者割とチートです

――それから数日、第一騎士団と傭兵たちは順調に戦線を押し進めた。
そしてある日――

将軍「……諸君、悪い知らせだ」

第二団長「悪い知らせ?」

騎士団長「この順調さで悪報ということは……」

将軍「……昨晩、見張りの兵が勇者が敵陣に入っていくのを目撃した」

   ……ザワザワ……
「とうとう戻ってきたか……」 「せっかく順調に勝っていたのに……」

傭兵(たった一報でこのざわめき……よほど恐れられているらしい)

将軍「ただでさえここは岩場な上、勇者が戻ってきた以上、通常の戦法は取れないと考えていい。
  今回は拠点防衛を優先し、出来る限り勇者の侵攻を食い止めてもらいたい」

騎士団長「勇者が別の戦場へ移動するまで、どうにかこらえろと?」

将軍「その通りだ。どうやら敵側で勇者を一つの戦場で戦わせるのは3日までと定めているらしいのでな。
  どの戦場にも求められるほど強力な存在だが、それゆえ付け入る隙ができる」

傭兵(敵方は随分非効率的な人材運用をしているようだな。一箇所に置いて一気に帝都まで攻め込ませればいいものを)

騎士団長「では、一体どうやって防戦を行いましょうか」

将軍「勇者の攻撃が始まるまでは、できるだけ深くまで攻め込む。勇者が現れたら、対魔防御を行いつつ戦線を出来る限り維持する」

騎士団長「了解しました。では前衛は我々が」

将軍「うむ、任せた。それでは各員準備に入ってくれ」

騎士団長「……皆、聞いてくれ。今日敵方には勇者が来ているらしい」

   ……ザワザワ……
「勇者だってよ……」 「噂には聞いてたけど、どのくらい強いんだろうな……」

騎士団長「勇者の脅威は計り知れない。そのため、今日の戦闘は防衛を主とする。
    我々は勇者の攻撃が始まるまで、できるだけ戦線を押し進める役目だ」

   ……ザワザワ……
「つまり勇者と戦うことになるかもしれないのか?」 「大丈夫なのかよ……?」

騎士団長「皆の不安も分かる。しかし勇者が現れたら後は防御に徹すればいい。
    出来る限り生き残ることができれば、勇者は3日でこの戦場を去る。それまでの辛抱だ。
    それでは、各員これより戦闘準備に入ってくれ」

傭兵(いよいよ勇者とのご対面か……できればあれが届いてから相手をしたかったが……)

      ・
      ・
      ・

騎士団長「総員、前進!!」

騎士団員『おおーーっ!!』

傭兵(自走砲を中心とした陣形か……まさに守りを第一に考えているな)

   キュイイイ……バシュウッ
   ドオオォォン……

騎士団長「よし、砲撃で敵がひるんでいる!一気に攻め込め!」

騎士団員『了解!』

傭兵(割と順調に進んでいるな……)


騎士団員「団長、敵が後退を始めています!」

騎士団長「ではそろそろ勇者がくるか……各員、対魔法防御!」

傭兵「……」

騎士団長「……」

傭兵(……何も来ないな)

騎士団員「な、何だよ、勇者ってガセだったのかよ?」

騎士団長「油断をするな。各員防御体制を継続……」

   ヒュウウウウウ……

騎士団長「なんだ?」

傭兵(何かが……落ちてくる?)

   ……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

騎士団員「な、なんだこれは!?」

傭兵(無数の特大の隕石!?いや、あれは炎の塊だ!!)

騎士団長「そ、総員防御を……」

   ……ズドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

傭兵「……ぐ……何がどうなってる?」
  (なんて有様だ……あちこちの岩がどろどろに溶けている……)

「う、ああ……」 「な、なんだよ……これ……」

騎士団長「ぐ……これは……一体……」

   ……ザッ……

傭兵「!?誰かが来る……!」

   ……ザッ……ザ……

??「……」

傭兵(まさかやつが、勇者か……!見た目はせいぜい20台、あいつがこれをやったのか……!?)

勇者「……生きてるやつもいるっぽいな。まあ、あれは精度が低いから、大体を削れれば十分なんだけど」

傭兵「……あんたか、これをやったのは」

勇者「ん?見慣れない格好だな……誰だ、アンタ?」

傭兵「さあて……とりあえず、あんたの敵だろうな」チャッ

勇者「……そうか」スラッ

傭兵「……」ジリ……

勇者「……」ジリ……

傭兵「……!」ダンッ!

勇者「おっと!?」ヒョイッ

傭兵(かわした!?なんて反応速度だ!)ダンッダンッ

勇者「へえ、そんな武器初めてみたよ……だけど!」ダッ

傭兵(早い!)

勇者「それ、あんま近づかれると使えないだ……ろっ!」ブンッ

傭兵「ぐっ!」ヒョイ

勇者「へえ、やるね!」ブンッブンッ

傭兵(なんて速さで剣を振る……いったん距離を!)
  「はっ!」ドカッ

勇者「おっと!?」

傭兵(よし、隙が出来た……ここだ!)チャッ

勇者「フレアー!」

   ボワアアアッ!!

傭兵「何!?ぐっ!!」サッ

   ブワアアアア!!

傭兵(詠唱なしで魔法を使うだと……しかもこの威力、今までの敵が撃ってきたやつとは段違いだ!)

勇者「びっくりしたぜ、人間相手で今みたいに距離をとってきたやつは久しぶりだよ」

傭兵「ああ、そうかい」
  (びっくりはこっちのセリフだ……話には聞いていたが、想像以上だ……)

勇者「人間相手に本気を出すのははばかられたけど……アンタならちょっぴり本気出してもいいか、なっ!」ダッ

傭兵(また接近してくるか!今度はナイフで応戦を……)

   ダァン!

勇者「うわっと!?」ヒョイ

女騎士「傭兵殿、大丈夫ですか!」

傭兵「女騎士か!」

女騎士「傭兵殿、援護します!」

勇者「っと、そうだった……今は戦争だったな。ついつい熱くなっちまってた」

傭兵「っ!!」ダンッダンッ

勇者「おっと!だったら……一人ずつ潰してく!」ダッ

女騎士「えっ!?」

勇者「駄目だろ、離れてるからって安心しちゃ!インパクト!」

   ギュオオッ

傭兵「いかん!」ダッ

   ズドオオン!

傭兵「ぐおおっ!」ズザザ

女騎士「よ、傭兵殿!」

傭兵「だ、大丈夫だ」
  (楯にヒビが……今のはもう食らえないな)

勇者「へえ、アンタタフだな。普通の人間なら楯があっても腕の骨までいってると思うんだけど」

傭兵「悪いがそれほどやわに鍛えてはいないんでな……そう簡単にはやられないさ」

勇者「そうか。だったらアンタから先に倒すか」チャッ

傭兵「……女騎士、下がっていろ。下手にこいつに銃を撃ったところでかわされるだけだ)

女騎士「わ、分かりました」

傭兵(さて、この装備で勝てるか……勝算があるとすれば、隙を作って爆弾を当てるか、格闘戦で打ち勝つか……)

勇者「……よっ!」ダッ!

傭兵(どちらもほぼ不可能……ならば!)

勇者「おらっ!」ブンッ

傭兵「ぐっ!」ヒョイッ!

勇者「まだまだ!」ブンッブンッ

傭兵(まだだ、どうにか隙を……)

勇者「よっ!」ブンッ!

傭兵(ここだ!)
  「とうっ!」ヒュッ!

勇者「おっと!?」ヒョイ

傭兵(今の突きをかわすか……だがそれは想定内だ!)
  「ふっ!」ピッ!

勇者「ぐっ!」

傭兵(腕に当たった……だが浅い!)

勇者「やっぱやるなあんた……はっ!」ブンッ

傭兵「ぐっ!」ヒョイ

勇者「そらそらっ!」ブンッブンッ

傭兵(どうにか、もっと大きい隙を……)

   ガッ

傭兵「!しまった!」

勇者「隙あり!」ブンッ!

傭兵(いかん、かわせない……!)

   ギンッ ペキイイィィ……ン
   ビッ!

傭兵「ぐああっ!」

女騎士「傭兵殿!」

勇者「ナイフで防いだか……でも、そのナイフも折れちまったな」

傭兵「ぐ……」

勇者「そろそろ……終わりだ!」ブンッ

傭兵「っ!」ヒョイ ヒュッ
   ピッ!

勇者「うわ!?」

傭兵「まだ、負けちゃいないさ……」

勇者「そんな折れたナイフでちょっとでも傷を付けようって魂胆じゃ、もうほとんど終わりだろ」

傭兵「さあて、俺はそんなチャチな男じゃないさ」

勇者「そうか、よっ!」ブンッ

傭兵(……ここだ!)ヒュッ

勇者「うお!ナイフ投げ!?」ヒョイ

傭兵「……食らえ!」ヒョイッ

勇者「え?」

   ドオオオオンッ!

勇者「……っちい!」

傭兵(まだだ!)スチャ

   ダン!ダン!ダン!ダン!

勇者「ぐああっ!」

傭兵(……やれやれ、ナイフでできるだけダメージを与えて動きを鈍らせて爆弾で止めをさすつもりが……
  まさかあんな形で不覚を取った上に、ナイフまで折られるとは……おかげで不意打ちでナイフを投げて隙を作るはめになっちまった)

勇者「い……ってえ……っ」

傭兵(しかも俺まで少し爆弾のダメージを受けちまった……これ以上は体がもたないな)
  「……さあ、どうする?続けるか?」

勇者「……いや、やめとくよ。なんかわき腹の出血やばそうだし、今日のところは引かせてもらう」

傭兵「そうか、それは互いにとっていい判断だ」

勇者「はは、なんだアンタもやばいのか。それじゃ、決着は次に会ったときだな」

傭兵「ああ。そのときは俺はよりベストの状態で相手ができるだろう」

勇者「それじゃ、またな。アンタの顔、覚えとくぜ。……いちち、これ賢者呼んだほうがいいかな……」

傭兵(……助かったか)

女騎士「傭兵殿、大丈夫ですか!」

傭兵「ああ、大丈夫だ。これで勇者はしばらく出てこないだろう」

女騎士「それより傭兵殿、あちこちぼろぼろになって……額に大きな傷まで……」

傭兵「この程度大したことない。まあ、もう少し下にけがをしていたら、傭兵家業廃業の危機だったが」

女騎士「早く基地に戻りましょう。ここに残っていたら、敵が攻めて来るかもしれません」

傭兵「ああ。……ああ、ちょっと待ってくれ。ナイフを拾って帰りたい。あれには愛着があってな」

女騎士「分かりました。ちょっと待っててください」タッ

傭兵(……そろそろ意識を保つのも限界か……あいつには悪いが、しばらく寝かせてもらおう……)


女騎士「傭兵殿、これでいいですか?……傭兵殿?」

今日はここまでにするか…なんか質問とかある?寝るまでのちょっとの間なら答えるけど

仕事なにしてんの?

騎士たちの世界の文明レベルがよくわからん

いつ終わる?

前に魔王と似非勇者が一緒に冒険するss書いてた人?

>>814
ノーコメントで

>>815
割と偏ってる あくまで機械技術が高いだけ
基本的に16~18C程度 車なんかは馬車なんかの前身があるからそれを参考に作れたんであって銃なんかの参考になるものがないのはからきし
魔石砲は人工の擬似攻撃魔法をつくるというコンセプトからできた

>>816
終わらない…ゴメン嘘
終わりはちゃんと考えてる 最後傭兵が帰るか帰らないかで分岐するつもり

>>820
知らない

SS速報か…そうね、このスレで終わらないんだったら潔く移ったほうがいいか

そんじゃ寝るか。
明日も夜8時から9時にくるよ。出来れば1000まで使い切って移動したい。
こっから大体の流れはちゃんと考えてるから、ちゃんと終わらせるのは約束する。
それじゃお休み

VIP→SS速報となった作品の完成率はおそらく30%を切ってる。
どの作者もたいてい遅筆になり、二日に一回、三日に一回となっていき放置となる。

ただいま みんなありがとう
>>858そうなんだよね…ぶっちゃけそれが怖いんだよね…
ここまでで大体半分以上は終わってるし、あと1スレ分以内で終わらせる自信はあるけど…
VIPかSS速報どっちがいいかな?

こまぇけこと言ってないでさっさと投下すりゃいい

>>915 まあそうだな それじゃ書きながら決めるか

数日後 魔法王国王都

勇者「ふわ……」

賢者「おはよう、勇者。けがの具合はどう?」

勇者「ああ、おはよう。まだちょっと痛むけど、ちゃんとふさがってるしもうすぐ治るだろ」

賢者「全く、いきなりわき腹に穴空けて家の前まで転移してバッタリ倒れたときはびっくりしたわよ」

勇者「ゴメンゴメン。滅茶苦茶痛いの我慢してたから、あそこで限界来ちまってさ」

賢者「一体何があったの?体の中に金属の塊が食い込んでたから、あれがけがの原因だとは思うけど……」

勇者「ああ、ちょっとこの前行った戦場で妙な格好のやつがいてさ。そいつに食らった」

賢者「妙な格好?」

勇者「ああ、何者かは知らないけど、今まで戦った人間の中じゃトップクラスに強かった」

賢者「そりゃ、あんたがそんな傷負うくらいだから相当なんでしょうね……」

勇者「しかしホント助かったぜ。俺の覚えてる回復魔法じゃ、せいぜい体力回復とちょっとの痛み止めしかできないからな」

賢者「あんた攻撃魔法と転移魔法以外は基礎中の基礎レベルしか使えないからね……」

勇者「しかし、こんな深手負うのは久しぶりだな。魔族相手ならまだしも、人間にここまでの傷を負わされるのは初めてだ」

賢者「……ねえ勇者、あんた本当にまだ戦うつもりなの?」

勇者「え?」

賢者「あんた以外の旅の仲間は、あたしも含めてみんなそれぞれの生活に戻ってるのに、あんたは一人で戦争に参加して……
  とうとうそんな傷まで負って、どうしてそこまでして戦い続けるのよ?あたしと平和に過ごすんじゃ駄目なの?」

勇者「……俺だって、ホントは人間相手にでかすぎる力を振るいたくなんかないさ。でも、この国には俺の守りたいものがたくさんある」

賢者「勇者……」

勇者「俺のこの力が必要とされてるなら、俺は大事なもののために戦うさ。その覚悟は、魔王を倒すと決めたときから変わらない」

賢者「でも……」

勇者「なんだよ、心配してくれてんのか?」

賢者「な、そ、そんなの……当たり前じゃない。あんたは大事な幼馴染なんだから……」

勇者「そっか、ありがとな。でも、俺はやっぱり戦い続けるよ。早いとここの戦争を終わらせないとな」

賢者「……うん」

勇者「そんな心配すんなよ。この国が平和になったら、今度こそのんびり暮らそうぜ」

賢者「……分かった。あんたのこと、信じてるから。絶対この戦争を終わらせて、無事に帰って来るって」

勇者「おう、任せとけ。で、あとどのくらいで復帰できるかな?」

賢者「そうね、あと3日……いえ、2日もあれば完治させられるわ」

勇者「そっか。それじゃ治ったらすぐ戻らないと。一応断り入れたとはいえ、いつまでも休んでられないからな。
  確か一番戦場に近い町ってどこだっけ……俺の転移魔法、町なんかの分かりやすい目印がある場所しか飛べないからな……」

機械帝国側 前線基地医務室

傭兵「……ぐ……」パチッ

女騎士「あ、傭兵殿!」

世話役「ボス!良かった~、やっと目を覚ました~!」

傭兵「ここは……医務室か。あれからどうなったんだ?」

女騎士「はい。あの後、大打撃を受けた我々第一騎士団は撤退、代わりとして第二騎士団が前衛部隊を努め、
   敵部隊を押し返しました。結果的には、我々の勝利です」

傭兵「そうか……やはり勇者を撃退したのが大きかったか」

女騎士「そのようです。勇者の撤退によって、敵は随分混乱したようですから」

傭兵「なるほど……。……起きたばかりですまないが、頼みがある」

女騎士「はい、何でしょう?」

傭兵「第二皇子を呼んでくれ。話したいことがある」

女騎士「殿下を?はい、わかりました」

夕飯できた 食ってくる

ただいま そんじゃ次もVIPでやりますか 流石に想定外の事態で3スレ目突入なんてことになったらSSに移るけど

      ・
      ・
      ・

女騎士「お呼びしました」

傭兵「ああ、済まない」

皇子「お前の呼び出しだから応じたが……一体何の用だ?」

傭兵「女騎士、すまないが世話役を連れて少し外してくれ。二人だけで話がしたい」

女騎士「はい、分かりました。おい、行くぞ」スタスタ

世話役「あ、はい。それじゃボス、また後で」スタスタ

皇子「……で、一体何なのだ?」

傭兵「……あんた、この戦争を止めたいんだったな」

皇子「ああ、そうだ。それがどうしたんだ?」

傭兵「俺がその手伝いをしてやる」

皇子「何?」

傭兵「今回の戦いで可能性が見えた。和平交渉に持ち込む手立てはある」

皇子「どういうことだ?」

傭兵「こちら側の士気が第一皇子を欠いたことで著しく低下したように、向こう側も象徴的存在を倒せば大混乱に陥るはずだ。
  今回そいつが撃退されただけでも大きな乱れが生じたんだ、いなくなった時の衝撃は計り知れまい」

皇子「!まさか……」

傭兵「ああ。俺が勇者を仕留める。勇者の力にほとんど勇者の力に頼りきっているやつらがその支えを失えば、
  心理的に劣勢に追い込めるだろう。そうなれば和平交渉を行う隙も出てくる」

皇子「しかし……可能なのか?あの勇者を倒すなど……」

傭兵「ああ、できる。今回は大分遅れを取ったが、やつの能力は大体分かった。後は装備を十分に整えれば、
  最悪相打ちになってもやつを仕留めることはできる」

皇子「……そうか。分かった、お前がそういうなら余はお前を信じることにする。この戦争を止めるため、どうか力を貸してくれ」

傭兵「ああ。まあ、必要な装備が届かんことには始まらんがな」

皇子「それなら心配ない。ちょうど今朝、新たに物資の補給が来た。その中に、お前宛のものもあるそうだ」

傭兵「何、本当か?とうとう完成したか……」

基地外

女騎士「あ、傭兵殿!お話はもういいので?」

傭兵「ああ。なんだ、随分嬉しそうじゃないか」

女騎士「ええ、届いた物資に正式量産型の銃が届いたので。弾も十分に補給されたので、これで心置きなく使うことができます」

傭兵「そうか。それで、俺の注文したものは?」

女騎士「あ、向こうの箱に入っているそうです。予備含め2丁と、専用の弾丸30発だそうです」

傭兵「あれは弾丸じゃない、弾頭だ」

女騎士「はあ……?」

傭兵「……これか。よし、注文通りだ」

女騎士「なんです、その銃は?随分銃身が太いですが……」

傭兵「そうだな、実際に撃って見せた方がいいだろう。向こうなら人もいないな。よし……」ガコッ ガシャッ

   ドヒュッ!
   ズドオオォン!

女騎士「ひゃっ!」

「な、なんだあ!?」 「敵襲か!?」

傭兵「おっと、驚かせてしまったか」

女騎士「す、すごい……今のは、爆弾を撃ったのですか?」

傭兵「端的に言えばそうなる。グレネードランチャー……爆発する弾頭を撃ち出す武器だ。
  これなら弾を先に込めておけば、ピンを抜く手間もなく、しかも投げるよりはるかに早く爆発を叩き込める」

女騎士「な、なるほど……」

騎士団長「何の騒ぎだ!」

傭兵「おっと……」

騎士団長「君か。新兵器とやらが届いて気持ちが高ぶっているのは分かるが、あまり下手なことはしないでくれ」

傭兵「ああ、悪かった」

傭兵「あんたは無事だったんだな?」

騎士団長「ん?ああ、あの戦闘のことか。そうでもないさ、体のあちこちにやけどを負ってしまった。
    優秀な世話役のおかげで跡を残さず治すことができたが、帰還したときは大分ぼろぼろだったよ」

傭兵「騎士団の損害はどれくらいなんだ?」

騎士団長「……ひどいものだよ。半数以上が大怪我、死者も出してしまった。ほとんどのものが未だ治療中だ」

傭兵「そうか……生き残っただけでも幸運ということか」

騎士団長「ああ。こうして戦いを続けることができるだけでもありがたい。それで、新兵器はどうだったんだ?」

傭兵「ああ、十分すぎる出来だ。できれば勇者とぶつかる前にこれが届いて欲しかったが……過ぎたことだ、今更どうこう言うまい」

騎士団長「そうか。また何か注文があったら、いくらでも聞いてくれるそうだ」

傭兵「注文か……そうだな、ちょっと思いついたものがある。後でメモにでも書いて渡すから、届けておいてくれ」

騎士団長「ああ、分かった」

それじゃ移るか
立ててくる

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