アニ「……」

ミカサ「……」

アニ「何か用？」

ミカサ「別に」

アニ「それにしてはさっきからこっちのこと睨みすぎ」

ミカサ「にらんだつもりはない」

アニ「……怖いよ。あんた」

ミカサ「怖い？」

アニ「その目。何を考えてるかすぐにわかる」

アニ「エレンに近づくな、だろ？」

ミカサ「……」

アニ「ああ怖い。いつかあんたに殺されるんじゃないかとびくびくしているこっちの身にもなってよ」

ミカサ「……ちがう」

アニ「え？」

ミカサ「私が考えていたのは、『アニに蹴り飛ばされた痛みで涙目になっているエレンかわいい』ということ」

アニ「」

ミカサ「…でも、あなたのことが気に入らないのは本当」

アニ「随分はっきり言うね」

ミカサ「私にはあんな風にエレンを痛めつけることはできない。エレンがいじめられているのなら、しかるべき報いを受けさせるのは当然のこと。家族の務め」

アニ「別に、いじめてるわけじゃない」

ミカサ「でも……たまにはああいうエレンを見たくなる。エレンはかわいい。アニがいじめたくなるのもしょうがない」

アニ「だから、いじめてないっつの」

ミカサ「……ので、アニには感謝している」

アニ「…あんた、想像以上にくるってんね」

ミカサ「それほどでも」ﾃﾚ

アニ「褒めてないよ」

ミカサ「あなたとはいい友達になれそう」

アニ「気に入らないんじゃなかったの？」

ミカサ「しょうがない。エレンとアルミンに、女子の友達を作るように言われた」

アニ「…私じゃなくてもいいでしょ」

ミカサ「ほとんどの女子は、私を怖がって近づかない」

アニ「…ああ」

アニ（私もだけどね）

ミカサ「普通に話せるのはほんの一握りだけ」

アニ「……」

アニ（私と同じだ）

ミカサ「でも、クリスタにはユミルがいる。サシャには芋がいる。アニはあまっている」

アニ「ちょっと」

アニ「あまってるなんてひどいじゃないか」

ミカサ「本当のことを言ったまで。それに、東洋には『残り物には福がある』と言う言葉があるらしい」

アニ「…ったく、傷つくよ」

アニ「……」

アニ「サシャは芋でいいの？」

ミカサ「きっと喜ぶ」

アニ「……そうだね」

ミカサ「大丈夫。私もあまりもの」

アニ「…あんたにはエレンとアルミンがいるでしょーが」

ミカサ「うん」

アニ「私はあまってるんじゃなくて、望んでひとりでいるんだ」

ミカサ「なぜ？」

アニ「面倒だから。しがらみとか」

ミカサ「よくわからない」

アニ「…あんたにはわからないだろうさ」

ミカサ「じゃあ、友達にはなれない？」

アニ「……」

ミカサ「…確かに、アニは、エレンをいじめている」

アニ「いじめてない」

ミカサ「さらに、体が密着しやすい対人格闘の時だけエレンと組む変態」

アニ「待って。その言い方は語弊がある」

ミカサ「私の中ではそういう認識」

アニ「じゃあ認識を改めて。お願いだから」

ミカサ「大丈夫。私もあまりもの」

アニ「…あんたにはエレンとアルミンがいるでしょーが」

ミカサ「うん」

アニ「私はあまってるんじゃなくて、望んでひとりでいるんだ」

ミカサ「なぜ？」

アニ「面倒だから。しがらみとか」

ミカサ「よくわからない」

アニ「…あんたにはわからないだろうさ」

ミカサ「じゃあ、友達にはなれない？」

アニ「……」

ミカサ「…たしかに、アニは、エレンをいじめている」

アニ「いじめてない」

ミカサ「さらに、体が密着しやすい対人格闘の時だけエレンと組む変態」

アニ「待って。その言い方は語弊がある」

ミカサ「私の中ではそういう認識」

アニ「じゃあ認識を改めて。お願いだから」

ミカサ「でも、私はあなたと友達になりたい。アニとなら、対人格闘も一緒に組めるし、立体起動でもいい勝負ができると思う」

ミカサ「それに。アニは落ち着いていて、考え方が大人だとエレンから聞いた」

ミカサ「一緒にいろんな話をしてみたかった」

アニ「…ミカサ……」

アニ（意外とかわいいところもあるんじゃん）

ミカサ「お互い腹の中で思うことはあるだろうけど、そこは表面上だけでもいいので。エレンとアルミンにさえ認めてもらえれば」

アニ「ぶち壊しだよ」

アニ「ﾊｧ……しょうがない。いいよ」

アニ（どうでもいいや。なるようになるだろ）

ミカサ「ありがとう。嬉しい」ﾆｺ

アニ「…あんたもそんな風に笑えるんだね」

ミカサ「営業スマイル。覚えると便利だってアルミンに仕込まれた」

アニ「あっそ」

いったんここまで。続きはまた今度にします。

再開します。


アニ（こいつぶん殴りたい。蹴りじゃなくてあえてグーでいきたい）

アニ（涼しい顔しちゃって……腹立つ）

アニ（……まつ毛長いな。髪も綺麗な黒だし、同じ色の目も大きくて…）

アニ（顔だけ見れば相当な上物）

アニ（腹筋はあれはだめだけど。風呂で見たとき怖かったし）

ミカサ「では、晴れて友達になったので、みんなに報告に行く」

アニ「…はいはい」

アニ（みんなって、エレンとアルミンのことか）

ミカサ「手をつなごう」

アニ「えっ？　な、なんで？」

ミカサ「？」

アニ「いいよ手なんか…」

ミカサ「なぜ？　クリスタとユミルはそうしていることが多い」

ミカサ「エレンとアルミンも、小さいころはよく手をつないで歩いていた」

ミカサ「友達は手をつなぐでしょ？」

アニ「…恥ずかしいよ。こんな年になってまで」

ミカサ「恥ずかしがることない。私たちの仲を見せつけるにはいい方法」

アニ「あ、ちょっと」

アニ（ミカサの手、あったかい…意外）

ミカサ「アニの手…」

アニ「……なに」

ミカサ「氷の女と言われている割にはあたたかい。手袋を用意していたのだけど必要がなくてよかった」

アニ「……ミカサ。あんたには比喩って言葉を後で教えてあげる」

ミカサ「ありがとう」

アニ（この女これが素だからびっくりだよほんと）

アニ「ﾊｧ…」

ミカサ「……ついた」

アニ「食堂？　そうか、もう夕食か…。エレンたちはまだ来てないみたいだね」

ミカサ「……」

アニ「ほら、ついたから手離して。みんな見てるよ」

ミカサ「いや」ｷﾞｭｯ

アニ「？」

ミカサ「アニの手、小さくてかわいらしい。それに、やわらかくて気持ちがいいので、離したくない」

アニ「あ…」

アニ（なんなのこいつ…顔がほてってきた）

ミカサ「どうしたの？　顔が赤い」

アニ「……気のせいだよ」ぷい

ライナー「」

ベルトルト「」

ジャン「な、なんだあれ。なんであいつら手なんか繋いで？」

コニー「仲良かったんだなーあいつら」

マルコ「は、はは…これはいろんな意味で面白い組み合わせだね」

ジャン「というより、なんであんなただならぬ雰囲気なんだよ」

ベルトルト「……アニの顔が乙女だね…」

ライナー「…まさか、できてんのか？」

マルコ「ミカサが背が高いから、身長差があってそれっぽく見えるよね。必然的にアニは上目遣いになるだろうし」

ジャン「そ、そんな…」

ベルトルト（ミカサ、凛々しいなぁ…。アニは相変わらずかわいい）

ライナー「なんかどっかで見たことある絵だよな」

マルコ「そうそう。僕も思った」

ジャン「…ああ。金髪黒髪カップルだろ？　あっちに座ってるぜ」

ライナー「そうか。クリスタとユミル……」

マルコ「あっちのいちゃつきっぷりはもう名物みたいなもんだよね」

ライナー「ユミルは男っぽいしな。そもそもクリスタ愛してると公言してるし」

ジャン「…本当に、ミカサとアニも？　れ、レズなのか？」

マルコ「どうだろうね。ミカサはエレンしか眼中にないと思ってたんだけど」

コニー「？？？」

コニー（さっきからさっぱり意味わかんねェんだけど）

コニー（金髪黒髪カップル？……金髪と黒髪のやつのコンビってことか？）

コニー「ってことは…あ、もう一組来たぜ！」

エレン「？　みんな何してんだ？」

アルミン「珍しいね。固まってるなんて」

ジャン「ぶふっｗｗ」

マルコ「くくっ…言われてみると確かに…」

ライナー「身長差とかな！アルミンはかわいい顔してるしなｗ」

アルミン「！　ら、ライナー！怒るよ！」

ライナー「すまんすまん。冗談だ」

エレン「何の話してるんだよ。教えろ！」

ベルトルト（……ライナー）

ベルトルト（笑ってるってことは気づいてないだろうけど、その法則、僕らも当てはまるよね）

ベルトルト（気づかれませんように）

ミカサ「エレン。アルミン」

アニ「……」

エレン「ミカサ。…とアニ？」

アルミン「珍しいね、アニと一緒にいるなんて」

アニ「……」

ミカサ「二人とも。これを見て」

アルミン「！？」

エレン「？」

アルミン「ど、どうしたの？なんで手をつないで…？」

ミカサ「アニと友達になった」

アルミン「！」

アルミン（よりによってアニ！　ミカサ、なんでそうなっちゃったの？）

エレン「へえ、よかったじゃないか。お前たち二人とも女子から浮いてるから心配してたんだぞ」

アルミン「ちょ、エレン！」

ミカサ「心外」

アニ「……ほんと、あんたは空気読めないね。体で覚えないと分からないらしい」

ミカサ「アニ。やめて」

アニ「…わかったよ」

ミカサ「というわけなので。今日は向こうでアニと食事する」

エレン「わかった。ケンカするなよ」

ミカサ「そのような心配は必要ないからしなくていい」

エレン「はいはい」

ミカサ「行こう、アニ」

アニ「……あんたのせいだからね、アルミン」

アルミン「はは…」

エレン「あいつら手つなぎっぱなしだったな。暑いだろうに」ｱﾊﾊ

アルミン「……」

アニ「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ミカサ「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

アニ「……」

ミカサ「……」

アニ（会話がない）

ミカサ「食べ終わった」

アニ「はやっ」

ミカサ「アニは遅い」

アニ「…食事くらいゆっくりさせてほしい」

ミカサ「ごめんなさい。いつもはエレンがちゃんと食べているか確認しないといけないから」

アニ「そこまでする必要はあるの？」

ミカサ「ある。エレンは好き嫌いが多いので。ちゃんと食べないとエレンの体に響く」

アニ「あんた、エレンの恋人ってより母親みたいだ」

ミカサ「……」

ミカサ「それでいい。私はエレンのお母さん」

アニ「いいんだ」

ミカサ「いいと言っているでしょ」

アニ（不服そう…ちょっとからかってみようかな）

アニ「…じゃあ、私は、エレンの恋人を目指そうかな」

ミカサ「！」

アニ（動揺している）

アニ「あのさ、これちょっとした冗談…」

アニ「……！？」

ミカサ「」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

アニ「」

ミカサ「っうう……エレンをどこぞの馬の骨ともわからない女にやるのはとても心苦しい…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

アニ「あんた私をいったいなんだと思ってるの」

ミカサ「…でも、エレンの幸せのため。ので、母は身を引かなければならない」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ミカサ「……努力する。いい嫁姑関係を築いていこう」ｱｸｼｭ

アニ「あ、うん…」

アニ（かわいい）

アルミン「あの二人、なんの会話してるんだろう」

エレン「さあ？　今日のスープうまいな」

アルミン「あ、ミカサが泣いた」

エレン「へー、めずらしいな。ウィンナーが入ってる」

アルミン「と思ったら握手！アニがちょっと引いてるよ」

エレン「ミカサはウィンナーが好きだからな。アニがわけてくれて嬉しかったんだろ」

アルミン「エレン怒るよ！」ｶﾞﾀｯ

エレン「え？なんだよ急に」

アルミン「……ﾊｧ」

アルミン（怒るだけ無駄だ。座ろう）

エレン「アルミンどうしたんだ？」

アルミン（無視だ無視。胃が痛くなってきたし…）

エレン（そんなにウィンナーわけてほしかったのかな…）

エレン「まあ元気出せよ。今度スープにウィンナー入ってたらアニのとこ行こうぜ！」

アルミン「ちょっと黙って」

アニ（どうしよう、変な空気になっちゃった）

アニ（ミカサ、あからさまに落ち込んでるし……とりあえずエレンには触れないようにしよう）

アニ「ほら、寮に戻ろう」

ミカサ「うん」

アニ「……手、繋ぐ？」

ミカサ「…うん」


クリスタ「あ、ミカサとアニ」

ユミル「へー、めずらしいこともあるもんだな。ちょっとからかってみっか」

クリスタ「ちょっと、ユミルってば！」

ユミル「うわ、どういう風の吹き回しだ？手なんか繋いで気持ち悪い」

アニ「……あんたは自分の右手がどうなってるか確認した方が良いんじゃない」

ユミル「私の右手？当然24時間クリスタで埋まってっけど」ﾄﾞﾔｧ

クリスタ「もう、なにふざけてるのユミルっ」ぷんぷん

ユミル「かわいいなお前は本当に」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ミカサ「……」

ミカサ「あなたもかわいい、アニ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

アニ「」

アニ「あのさ、ミカサ」

ミカサ「なに」

アニ「この二人を参考にするのは間違ってると思うよ」

ミカサ「？」

アニ「あんたの言う『友達』ってのは、もっと違うでしょ」

ミカサ「そう？」

ユミル「なんだ？　お前たちは私たちの真似してんのか」

ミカサ「参考にさせてもらっている」

クリスタ「参考って…照れるなあ。そんなに大したことしてないよ？ね？」

ユミル「何言ってんだクリスタ。毎晩やってるだろ…？誰にも言えないようなこと」

クリスタ「わ、ユミル！おこるよ！」

アニ（毎晩やってる…？）

ミカサ（誰にも言えないようなこと…）

クリスタ「ご、誤解しないでねっ　私が寝付けないからって、ユミルが羊を数えてくれるだけなんだから」

ユミル「何をどう誤解するってんだ？　教えてくれよクリスタ」

クリスタ「ああもう、なんで私のベッドに入るの？狭いよユミル」

ユミル「せまい？　じゃあこうすりゃいいだろーが」だきっ

クリスタ「もー！重いよー」

ミカサ「アニ。私たちもあれを」

アニ「！？」

アニ「む、無理無理！本当に無理だって」

アニ（あの腹筋のミカサにあれやられたら死んじゃう）

ミカサ「そう。残念」ｼｭﾝ

アニ「……ごめん。私も鍛えるからさ」

ミカサ「アニは思ってたより優しい。え、エレンにもきっと優しくなれると思う、ので」

アニ「いや。エレンには優しくできない」ｷﾘｯ

ミカサ「！？」

アニ「あいつ見るとなんだかいじめたくなるんだよ。わかるだろ？」

ミカサ「……アニ、何を言ってるの？」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

アニ（よし、いつもの感じに戻ってきた）