シャル・セシリア「ヒッチハイク?」(297)
千冬「シャルロット!セシリア!少し話がある。お前らは残れ」
シャル「?」
セシリア「なんですの?」
~~~
千冬「お前達最近あまり成績がよくないな。勉強にしかり、実戦にしかり」
シャル「…ごめんなさい」
セシリア「い、一時的なスランプですわ!またすぐn」
千冬「そこでだ!私がお前達に特別に稽古をつけてやる。明日朝7時に学園正門前に集合するように」
シャル「は、はい!」
セシリア「なんだか嫌な予感がしますわ…」
千冬「…声に出てるぞ」
セシリア「ひゃい!」
~~次の日~~
シャル「制服でよかったのかな…」
セシリア「休日だというのに…眠いですわ」
千冬「おはよう諸君!よく来てくれた!!」
シャル「うわっ!お、おはようございます」
セシリア(テンション高っ)
千冬「さて、それでは早速このアイマスクを付けてくれ」
シャル「アイマスク?」
セシリア「なぜこんなものを?」
千冬「いいから早くしろ!ほら」
シャル「はいっ」
セシリア「わ、わかりましたわ」
千冬「よし、あとこれも付けろ。ヘッドホンだ」
シャル(聞いたことのある歌だ。○イアンメイデンかな)
セシリア(なんて雑音ですの!クラシックが聴きたいですわ)
千冬「それではシャルロットは私の手を掴め。セシリアはシャルロットの肩を掴め」
シャル「えっと…」ウロウロ
セシリア「?」ウロウロ
千冬「ああ、もうじれったい!行くぞ」
そして2人はそのままの状態で車に乗せられた。
シャル(トイレ以外は外せないなんて…)
セシリア(まるで拷問ですわ…)
…
……
かくして色々歩き、移動する事丸1日。ようやく目的地に着いた一行。
千冬「よし着いたぞ!マスクとヘッドホンを外せ」
シャル「はぁー…」
セシリア「疲れましたわ…ってここは?」
二人の目の前に広がるのは一面の海。近くにはヨーロッパを思わせるオープンカフェがあった。
千冬「思わせる、じゃない。ここはヨーロッパだ」
シャル「え?」
セシリア「は?」
千冬「ここはフランスのトゥーロンだ」
シャル「えええええ」
セシリア「フ、フランス!?」
千冬「そうだ」
セシリア「フランスってあの…おフランスざます、のフランスですの?」
シャル「…」イラッ
千冬「そうだ」
シャル「でも稽古のためにわざわざフランスなんて…」
千冬「確かに疑問に思うのも無理は無い。では山田先生、解説を」
山田「了解しました~。二人には今から、ロンドンまでヒッチハイクをしてもらいます」
シャル「えっ」
セシリア「ヒ、ヒッチハイク?…ってなんですの?」
千冬「流石世間知らずのお嬢様だ」
シャル「通りがかった車に目的地まで乗せてもらう…あれだよ」
セシリア「そ、そのくらい知ってましたわ!」
山田「あはは…では解説の続きです。ロンドンまでの移動はヒッチハイクでつかまった車以外は禁止。自転車もダメです。そして電話等で誰かに頼るのも禁止です」
千冬「お前達二人だけの力でやらないと意味が無いからな」
シャル(というかそもそもヒッチハイク自体に…)
セシリア(何の意味が…)
山田「細かいツッコミはナシですよ~。あとISの起動も禁止なので、ネックレスとイヤーカフスは外してくださいね」
シャル「ええ~」
セシリア「何の稽古ですの、これは…」
山田「では、最後にこれを。所持金1000ユーロ。大事に使ってくださいね」
千冬「それでは幸運を祈る。さらばだ」
ヒュー…
シャル「…」
セシリア「…」
シャル「どうしよう…何かいきなりすぎて…」
セシリア「正直訳がわかりませんわ」
シャル「なんでヒッチハイクなんだろうね」
セシリア「どこぞの芸人じゃあるまいし…こうなったらこっそりチェルシーに電話しt」
千冬「ああそうそう!一つ忠告を忘れていた」
シャル・セシリア「!?」
千冬「もしズルしたら…どうなるかわかっているな?」
シャル・セシリア「!」コクコク
千冬「よろしい。それじゃ」
シャル「怖かった…」
セシリア「もう本当にやるしかないんですわね…」
シャル「とりあえず…どうしよう?」
セシリア「ホテルに行って、一眠りしたいですわ…」
シャル「確かに僕も体がヘトヘトだよ…どこか安いところあるかな」
セシリア「安くて綺麗で広くて料理がおいしいホテルがいいですわ」
シャル「そんなとこあるのかな…あ、あれは」
シャルの目に、1軒の小さなホテルが目に止まった。
シャル「すみません、1泊したいんですけど」
主人「あいよ。40ユーロね」
セシリア(意外と安いですわね)
シャル「ベッドが一つしかない…」
セシリア「こんなことだろうと思ってましたわ…」
シャル「とりあえず、寝てみようよ」
セシリア「そうですわね」
…
シャル「狭いね」
セシリア「ですわね」
シャル(セシリアのお尻が大きすぎるから…)
セシリア(ベッドが小さすぎますわ…)
セシリア「そうですわ!」
シャル「な、なに?」
セシリア「ジャンケンで勝った方がベッドを独り占めできるようにしましょう!」
シャル「ええっ?」
セシリア「あら?シャルロットさんはジャンケン弱いんですの?」フッフッフ
シャル「そ、そんなことは!」
セシリア「ではいきますわよー!ジャーンケーン…ポン!」
シャル「!」グー
セシリア「!?」チョキ
シャルとセシリアコンビのSSって少ないんだよなァ
風呂ります
セシリア「不服ですわ…」グスッ
シャル「いや、セシリアが言い出したんだし」
セシリア「オルコット家の当主のこのわたくしが床で寝るなんて…」グス
シャル「ほら、この毛布あげるから」
セシリア「こんな毛布でこの私が…」
3分後。
セシリア「…zzz」スピー
シャル「はやっ」
かくして1日目が終わった。
セシリア「う~ん…」ムニャムニャ
シャル「おはよう、セシリア」
セシリア「おはようございます…シャルロットさん」
シャル「セシリアはシャワー浴びないの?」
セシリア「え?シャワールームなんて…」
シャル「離れにあるよ。共同だけど」
セシリア「」
シャル「小さなホテルだと、だいたいこんな感じじゃないかな」
セシリア(まぁ浴びないよりはマシですわね…)
~~~~
セシリア「お湯が気持ちいいですわ~」フンフフン
おっさん「さぁて今日も朝からシャワー浴びて仕事がんばるっぺよー」ガラッ
セシリア「え?」
おっさん「あ?」
セシリア「な、な、な…何をしてるんですのーー!!」
おっさん「ぐほあっ!」
~~~~
主人「あんまり騒ぎ起こさないで欲しいんだけども」
シャル「すみません…」
セシリア(カギがついてたなんて…不覚ですわ)
~~~~
二人は幹線道路へ出た。
シャル「さて、最初の目的地はどこにしよう?」
セシリア「わたくしはフランスの地理がわかりませんから、シャルロットさんに任せますわ」
シャル「一応地図はあるんだけどね、ほら」
セシリア「え、いつの間に」
シャル「ホテルの主人に頼んで、コピーさせてもらったんだ」
セシリア「やりますわね…」
シャル「えへへ」
セシリア「でも、まだ何か足りない気がしますわ」
シャル「あ…ボードだ」
近所の雑貨屋でスケッチブックとペンを買う。
シャル「とりあえず、最初はマルセイユかな」
セシリア「じゃあ書きますわね」
キュキュキュ
シャル「なんで筆記体…しかもスペルが微妙に違う」
セシリア「ブロック体なんて、カッコ悪くて使えませんわ」
シャル「…ボツね」ビリッ
セシリア「えっ」
ボードを掲げ始めて、30分。
セシリア「なかなかつかまりませんわね…」
シャル「そうだね…。でも、焦ることは無いよ」
シャル(あれ?)
ふと後ろを振り返ったシャル。
シャル「セシリア…あのね」
セシリア「なんですの?」
シャル「親指の向き、逆」
セシリア「」
仕切り直して、さらに30分。
セシリア「止まりませんわね~」
シャル「そーだねー…そういえばトゥーロンってさ、かのフランスの英雄が外国の軍隊を追い払った場所として有名なんだって」
セシリア「へぇ、どこの軍隊ですの?」
シャル「イギリス…あっ」
セシリア「…」
さらに1時間。
シャル「うーん」
セシリア「足が疲れてきましたわ…」
と、その時1台の大型トラックが止まった。
シャル「あ、あれって!」
セシリア「もしや、成功ですの!?」
早速駆け寄る。
シャル「僕達、お金ないんですけど…」
運ちゃん「お金?そんなものいらねえよ、さぁ乗ってけ!」
シャル「やったぁ!」
セシリア「ありがとうございます!」
かくして二人はマルセイユへ。途中車内にて。
運ちゃん「それにしても若い女の子二人がヒッチハイクとは珍しいなぁ」
シャル「ちょ、ちょっと事情がありまして…」
セシリア(無理やりやらされてる、とは言えませんわ…)
運ちゃん「その格好も制服か?お嬢ちゃんら歳いくつだ?」
シャル「15です」
セシリア「15ですわ」
運ちゃん「ブッ」
運ちゃん「最近の若い奴は随分エネルギッシュなんだな…」
運ちゃん「さぁ着いたぜ!マルセイユだ」
シャル「ここが…」
セシリア「大きい町ですわね」
運ちゃん「じゃあな!」
シャル・セシリア「ありがとうございました」
シャル「いい人だったね」
セシリア「ご飯もおごって貰えましたし」
シャル「さて、とりあえず…寝床を探そうか」
セシリア「ですわね」
ちっこいホテルに到着。
主人「一晩45ユーロだよ」
セシリア「ベッドはツインで!!ツインでお願いしますわ!1」
主人「」
シャル(余程辛かったんだろうなぁ…)
主人「ツ、ツインなら70ユーロになるけど…いいかい?」
セシリア「70…」
シャル「シングルでいいよ。今日は僕が床で寝るから」
セシリア「え?」
シャル「セシリアだけに辛い思いさせるのも申し訳ないし…ね」
セシリア「シャ、シャルロットさん!」ダキッ
シャル「あはは…」
~~~~
シャル「マルセイユは朝の魚市場が有名…とガイドブック※にあるね」
※ホテルにあったものです
セシリア「では明日は午前中は観光して午後にヒッチハイクをしましょう」
シャル「うん、そうしよう」
いかん時間なくなってきた…
今日はここまでで
2日目終了。次の日!
セシリア「よく眠れましたわ~、あ、シャルロットさんおはようございます」
シャル「お、おはよう(背中がイタイ…)」
朝のマルセイユ海岸。魚市場にて。
シャル「凄い活気だね~」
セシリア「売られているお魚も豊富ですわね。しかも値段もリーズナブルですし」
シャル「あ、そうだ。マルセイユはブイヤベースが名物なんだって!あとで食べに行こうよ」
セシリア「そ、そうですわね(ブイヤベース?どんな料理でしょう)」
海岸沿いのレストラン。
シャル「ブイヤベースを食べたいんですけど…」
店員A「50ユーロです」
シャル・セシリア「」
店員B「80ユーロです」
店員C「一人前70ユーロです」
…
セシリア「なんですの、このボッタクリ価格はー!」ムキー
シャル「観光地だからやっぱりどこも高いのかなぁ」
裏路地の小さな料理店。
店員「お一人20ユーロです」
シャル「20ユーロなら…」
セシリア「歩き回ってお腹がペコペコですわ…ここにしましょう」
店員「お待たせしました」
セシリア「こ、これがブイヤベース…あら?何か貧相な料理ですわね」
シャル「スープにちっこいパンが浮かんでるだけだね…」
セシリア「これで20ユーロとか、ボッタクリですわー!」
シャル「ちょっと、声が大きいって!あ、店員さんが…」
店員「お待たせしました。ブイヤベースです」
そこには皿に山盛りの魚介類があった。
セシリア「どういうことですの?」
シャル「先にスープが来てただけみたいだね…あはは」
セシリア「///」カァ
~~~~
シャル「はぁ…お腹一杯だよ」
セシリア「なかなか美味しかったですわね。満足ですわ~」
セシリア「…それにしても」
シャル「?」
セシリア「何だかこの街はわたくしが持っていたフランスのイメージとは全然違いますわね」
シャル「そうだね。どちらかというとイタリアっぽい感じはするかも」
セシリア「さっきの料理も結構豪快な感じでしたし」
シャル「あはは。フランスは南と北でかなり風土が違うからね」
セシリア「一枚岩ではないということですわね」
シャル(微妙に意味が違うと思う…)
シャル「ところでセシリア。ヒッチハイクの前に…着替えの服買いに行かない?」
セシリア「確かに、ずっと同じ服というのは流石にアレですわね」
シャル「ついでだし、必要そうなもの全部買っちゃおうよ」
セシリア「ですわね」
…
シャル「あのー…セシリアさん」
セシリア「?」
シャル「なんで高級そうなランジェリーショップに僕達来てるの」
セシリア「それは勿論、下着は女性にとって一番重要なアイテムだからですわ!」ドーン
シャル「却下」
セシリア「…」ショボン
色々買い物を済ませる。残り750ユーロ。
シャル「さて、ヒッチハイクだね」
セシリア「次の目的地は…花の都、パリですわ!」
シャル「えっ」
セシリア「?」
シャル「いきなりパリ?」
セシリア「なるべく早くロンドンに行けたら、と思いまして」
シャル「つかまるかなぁ…」
そんなこんなでヒッチハイク開始。
3時間つかまらず。
セシリア「ダメですわね…」
シャル「もうちょっと近いところにしようよ」
セシリア「では、このライオンという街にしましょう」
シャル「あ、リヨンね…」
4時間経過。
セシリア「夕日が綺麗ですわねー」
シャル「そうだねー」
セシリア「全然つかまりませんわ!」ムキー
シャル「立ってる場所が悪いのかなぁ…」
セシリア「もっと近いところにしましょう!えっと…このアヴィグノンで」
シャル「ああ、アヴィニョンね…」
30分経過。
一台の乗用車が止まる。
シャル「やった!…すみませんお金はないんですけど」
老人「そんな無粋な真似はせんよ。乗りなさい」
シャル・セシリア「ありがとうございます!」
老人「ヒッチハイクか…若いうちから見聞を広めておくのはいい事だよ」
シャル「そうですね」
セシリア(若すぎる気もしますけど)
老人「ただ女の子二人だけというのは…いささか不安だな。中には変な人間もいるかもしれない」
シャル「あ、その点は」
セシリア「大丈夫ですわ」
老人「?(妙に自信があるようだが…」
2時間ほど経って、アヴィニョン到着。
セシリア「ここが…アヴィニョン」
シャル「もう夜だね。ホテルを探そう」
~~~~
主人「1泊50ユーロです」
シャル「ツインだと…おいくらですか?」
主人「ツインでも値段は変わりませんよ」
シャル「ほっ」
セシリア「あなたが神か?ですわ!」
主人「」
シャル「じゃ、早速着替えようかな」
セシリア「~♪」
シャル「セシリア…なんというか、派手だね」
セシリア「…シャルロットさんのえっち」
シャル「なっ…///」
セシリア「ところで、洗濯はどうしましょう?」
シャル「あ、そういえば…。ホテルの人に聞いてみるよ」
…
主人「洗濯なら近所にコインランドリーがありますよ」
シャル「ありがとうございます」
~コインランドリー~
シャル「使い方がわからない…」
セシリア「」
おばさん「あら、アンタたち、何やってるの?」
シャル「すいません、使い方がわからなくて…」
おばさん「教えてあげるわよ。あと下着は突っ込まない方がいいわよ、ボロボロになるから」
シャル「あ、ありがとうございます」
セシリア(とっておきのレースの下着がボロボロになるなんて…末恐ろしいですわ)
おばさん「あと乾燥機は使わなくていいわね。干せば乾くし」
おばさんに教えてもらい、洗濯を済ませて部屋に戻る。
シャル「下着は手で洗うしかないみたいだね」
セシリア「仕方ないですわね」
シャル「洗ったものはハンガーに干しておこう」
デローン
セシリア「結構シュールな光景ですわね…」
シャル「たしかに…」
そして3日目が終わる。
朝。
シャル「床がびちゃびちゃ…」
セシリア「水が切れてなかったんですわね…」
シャル・セシリア「すみません、すみません」ペコペコ
主人「はは…(ハァ)」
~~~~
セシリア「綺麗な並木道ですわ」
シャル「人通りも少ないね。また午後から始めようか」
シャル「ガイドブック※によると…アヴィニョンにはかつてローマ教皇庁が置かれていた時期があり、その為有名な建築物がたくさんあるんだって」
※本屋で買いました
セシリア「ローマ教皇を連れてくるって何気に凄い話ですわ」
シャル「えっと…あれが法王庁宮殿だよ」
セシリア「でかいですわね…」
シャル「確かに。でもその割に…」
セシリア「色的に地味ですわね」
シャル「あと有名な橋があるみたい」
セシリア「行ってみましょう」
サン・ベネゼ橋にて。
シャル「見晴らしがいいね!」
セシリア「風が気持ちいいですわ~。でも」
シャル「?」
セシリア「橋が途中でなくなってますわね」
シャル「確かに」
セシリア「なんでですの?」
シャル「さぁ?」
セシリア「元に戻した方がよくありません?」
シャル「そうかな?これはこれで情緒があってよくない?」
セシリア「フランスの人の考え方が解りませんわ…」
シャル「?」
進むのが遅くてスマン
とりあえず今日はここまで。
一夏「セシリアー、金貸してくれよ」
セシリア「構いませんわよ。いくらですの?」
一夏「えっとー、5万。円な」
セシリア「そ、そんなにですの…ちょっと今持ち合わせが…」
一夏「だったら他のやつからパクってこいよ」
セシリア「そ、そんなことできるわけ」
一夏「いいからパクってこいよ!!!!!!!」
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