エレン「はやく人間になりたい」 (36)

リヴァイ「エレン、爪をかじるな」

エレン「あ、はい」

リヴァイ「きたねえ」

エレン「すみません」


(アニメ24話ネタ、11巻ネタバレあり)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380184335

エレン「・・・・」ガジガジ

リヴァイ「オイ」

エレン「はい」

リヴァイ「かじるな」

エレン「・・・・あっ」

エレン「…兵長知ってます?」

リヴァイ「なんだ」

エレン「爪って再生しないんですよ」

リヴァイ「・・・しないのか」

エレン「はい」

リヴァイ「ちょっと見せてみろ」

エレン「いいですよ」

リヴァイ「深爪してるじゃねえか・・・それに形もきたねえ・・・」

エレン「はは、いつも噛んでるからですかね」

リヴァイ「その癖直せよ」

エレン「いやー・・・あはは」

エレン「・・・・」ガジガジ

リヴァイ「・・・エレンよ」

エレン「なんでしょうか」

リヴァイ「何故爪をかじるんだ」

エレン「・・・・」

エレン「再生しないからですよ」

リヴァイ「・・・いや、わからねえな」

エレン「例えば、俺が腕を噛み切ったとします」

リヴァイ「するなよ?」

エレン「あはは、例えですよ」

エレン「すぐ治りますよね シューッて蒸気だして」

リヴァイ「ああ」

エレン「例えば、俺がももをナイフで切ったとします」

リヴァイ「・・・」

エレン「すぐ治りますよね 服に染みた血だけ残して」

リヴァイ「・・・」

エレン「例えば、俺が手首の血管を切ったとします」

リヴァイ「おい、」

エレン「まあ聞いてくださいよ」

エレン「たぶんそれも、またすぐに治るんだと思います」

エレン「アニ…女型と戦ったときです」

エレン「俺は瓦礫の下敷きになって、心臓のあたりに瓦礫の骨格が刺さりました」

エレン「すごく痛かったんです」

エレン「…痛かった」

リヴァイ「それで」

エレン「最初にアルミンが来ました」

リヴァイ「あの金髪の奴か」

エレン「はい、俺の親友です」

リヴァイ「…そうか」

エレン「次にジャンが来ました」

リヴァイ「影武者やってた奴」

エレン「はい、俺の喧嘩相手です」

リヴァイ「…そうか」

エレン「あいつらは俺のこと必死に出そうとしてくれました どうしてだか分かります?」

リヴァイ「お前が友人だから」

エレン「あはは、兵長は見かけによらず優しいんですね」

リヴァイ「馬鹿言うな、俺はもともと親切だ」

エレン「まあ、その」

エレン「なんでかっていうと」

エレン「俺が、巨人だから」

エレン「アルミンは「何かを捨てる事が出来る者が勝つ」と言いました」

エレン「ジャンは「お前にいつか、頼むって言ったはずだ」と言いました」

エレン「知ったこっちゃない」

エレン「俺はもう、すっっごい痛くて、意識も朦朧としてて」

エレン「死ぬかと思った」

エレン「ここで死んじまうんじゃねえかって」

エレン「心臓にぼっこぶっ刺さって生きてられるわけねえって」

リヴァイ「普通ならな」

エレン「そうです、普通なら でもその時俺思いました」

エレン「俺ってとっくに「普通の人間」なんかじゃなかったって」

リヴァイ「・・・おう」

エレン「どっかで、104期の仲間なら俺のこと人間扱いしてくれるんじゃねえかって期待してました」

エレン「仲間に頼ったのが原因で先輩方を亡くしたのがわかってたはずなのに」

エレン「俺に捨てられるものってやっぱ、そういう甘えなんですかね」

リヴァイ「だが、なあエレンよ」

エレン「はい」

リヴァイ「お前は何故爪をかじるんだ?」

エレン「・・・それは」

リヴァイ「あててやろうか」

エレン「・・・」ガジ

リヴァイ「ほら、やめろって」

エレン「・・・やです」

リヴァイ「ガキだな」

リヴァイ「お前は何が言いたい、言わせてやるから自分で言え」

エレン「・・・・んげん」

リヴァイ「あ?」

エレン「人間なんです」ポロポロ

リヴァイ「・・・」

エレン「人間になりたかった」

エレン「いや、俺は人間なんです」

エレン「でも自分の認識だけじゃ不安すぎる」

エレン「聞いてください兵長、俺最近ずっと歯が痒くて」

エレン「ずっと疼いてるんです」

リヴァイ「そうか…」

エレン「きっと俺、このまま巨人になっちゃうんだ」

エレン「だって巨人扱いされるんです、そう認識されてるんですから」

リヴァイ「だからお前は」

エレン「そうです」

リヴァイ「深爪して、変形しても元に戻ることはなくて」

リヴァイ「自分の身体で唯一人間らしいところを見て」

リヴァイ「安心した、と」

エレン「誤解しないでほしいんですけど、別に仲間に命の心配をされたいわけじゃないんです」

エレン「それは…まあミカサが過保護なくらいしてくれますからね、あはは」

リヴァイ「ああ…アイツ」

エレン「ただただ不安でした」

エレン「いや、今もまだ不安なんです」

リヴァイ「あのなエレン」

エレン「はい」

リヴァイ「女型には仲間がいるはずだ」

リヴァイ「じきにそいつら…超大型と、鎧も見つかるだろう」

リヴァイ「それはそう遠くない未来だ」

エレン「はい」

リヴァイ「そいつらが捕まって、巨人の生態が分かれば」

リヴァイ「おまえが巨人化する機会も少なくなるだろう ゼロとは言わないが」

エレン「・・・そうでしょうか」

リヴァイ「そう信じろ」

リヴァイ「お前はまだ15歳のガキだから、あんな大きな力を持つのは苦しいだろう」

エレン「・・・」ガジガジ

リヴァイ「手を貸せ」

エレン「あっ・・・すみません」

リヴァイ「この包帯は明日には外せ」

リヴァイ「今夜だけだ、お前が人間になっていいのは」

リヴァイ「甘えは捨てろ、何かを捨てないと勝てないらしいから」

エレン「俺は巨人になるんですか」

リヴァイ「・・・・一時的に」

エレン「やっぱり兵長だ」

リヴァイ「どういう意味だ」

エレン「いえ、何でも」


リヴァイ「進撃の巨人」

エレン「なんですかそれ」

リヴァイ「お前のことだよ」

エレン「ああ…」

エレン「でも兵長、俺はすぐにまた人間になりますからね」

リヴァイ「そうしてくれ」


ーーーーー

ーーー

ユミル「エレン、あの2体をやっつけたら終わりだと思ってんなら」

ユミル「そりゃ…大きな間違いだ」

エレン「・・・!!敵はなんだ!?」

ユミル「敵?そりゃ言っちまえばせー…」

ライナー「ユミル!!」

エレン(あいつらを倒したら終わりじゃねえのかよ…!)

エレン(じゃあ、じゃあ俺はいつまで)

エレン(いつまで巨人でいれば)


エレン「はやく人間になりたい…」






おわり

進撃したくない巨人組の話と、ミーナがおばけの話と、掌が痛いミカサから始まる
短編集とか書いたからだいたい3作目。見つけたら読んでやってください。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年11月23日 (土) 12:00:59   ID: 7U0Lk_BQ

超乙

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