哩「新道寺は寮生活ぞ」美穂子「へぇー」 (62)
新道寺女子の部室
美穂子「いいですね。寮生活、憧れます」
煌「そんなにいい物でもないと思いますよ。門限破ると寮監が滅茶苦茶怒ります。すばらくない」
池田「怒られるのは慣れてるから大丈夫だし!」
哩「久保さんが怒ると?優しそうな印象を受けたが……」
池田「あぁ……アレは外行きの顔ですし。風越では毎日、鬼のような顔して怒ってますし」
美穂子「……まぁ、多少はね」
煌「野依プロの知り合いだったんですね。久保さんって」
池田「野依プロが新道寺出身だとは知らなかったし」
美穂子「おかげで何の繋がりも無かった私達が練習試合出来るわけですよ。感謝しかありません」
哩「野依さんは、今もたまに顔出してくれて新道寺麻雀部の名誉コーチたい」
哩「風越って長野では一番有名な強豪校たい」
煌「実は私も風越を受けようと思ってましたよ」
美穂子「ぜひいらっしゃれば良かったのに」
煌「新道寺のスカウトさんに心打たれまして。新道寺は素晴らしいと!」
池田「花田さん?だったかな。清澄の原村と片岡の先輩って聞いたし」
煌「えぇ、そうです。池田さんは私と同い年の子の間では有名人でした。○○中にすばらな火力を持つ雀士が居ると」
池田「にゃははは///そんなホントの事言われると照れるし///」
哩「しかし今年の長野は化け物揃いたい」
池田「……」ズーン
美穂子「か、華菜。落ち込まないで……」
煌「長野のレベルは下がって居ると評判でしたが、そんな事は無かったですね。まさに激戦区」
美穂子「そうですね。私も、もっとレベルアップしないと」
哩「よか。あんたの噂はよーーーく聞いてるよ。その右目」
美穂子「そうですか。初めから全力で行きますね」カイガン
哩「花田!姫子ば呼んで来い!リザべって福路さんに姫子ぶつけるばい」
煌「了解ですの」
半荘一回目
一位美穂子、二位哩、三位池田、四位煌
半荘二回目
一位姫子、二位美穂子、三位煌、四位池田
コーチ「お疲れさん。今日はこのくらいにして引き上げるぞ」
池田「はいだし!」
美穂子「リザベーション……破れなかった…」
哩「プロでも破れないばい。超高校生級の雀士の福路さんと言えど初見で破れるほど柔な鍛え方しとらん」
姫子「日々の積み重ねがあるからです」ドヤッ
美穂子(日々の積み重ねか……。この二人はとても仲が良さそうね)
池田「二人は付き合ってるのか?」
姫子「えっと……///」
美穂子(あらあら、あの反応はビンゴだわ。恋人が近くに居るなんてステキね。それも同じ学校だなんて)
池田「付き合って何か月くらいだしー?」
姫子「……」ゴニョゴニョ
美穂子(よく聞こえなかったわ。でも中学時代からコンビ組んでたくらいだし、長そうね)
風越一行が泊まってるホテル
池田「へぇー、ふむふむ」ポチポチ
美穂子「華菜、一体何をしてるの?」
池田「鶴田とラインですし」
美穂子「ライン?携帯電話の何かなのね」
池田「これで会話してたんですよ。同い年だから、気が合ってすぐ交換しました」
美穂子(華菜って誰とでも仲良くなるわね。友達少ない私はうらやましいわ)
美穂子(携帯電話使えないから、上埜さんとメールする事も夢のまた夢)
美穂子「もう仲良くなったのね。私の事は気にせず、鶴田さん達と遊びに行って来なさい」
池田「いえ、キャップも行きましょうよ」
美穂子「ご迷惑じゃないかしら?」
池田「大丈夫ですよ。花田がもっと話したいって」スッ→携帯見せる
美穂子「あっ……福路さんって書いてあるわね」
池田「私ら世代は、福路美穂子と言えば長野の憧れの選手ですし。花田も憧れてたんですよ」
美穂子「そうなの?上埜さんとか他にも強い人は居たわよ」
池田「あーないない。ないですし!あの人は中三でポッと出て来ただけの人、キャップより上とかないですよ」
美穂子「……」ギロッ
池田「にゃあ!?ま、まぁとにかく、新道寺の寮に行きましょう」
新道寺の寮、鶴田&哩部屋
池田「へぇー、わりとキレイだし」キョロキョロ
美穂子「あんまり見ちゃ駄目よ」
哩「普段はもっと汚か。頑張って掃除したと」
姫子「ホントにもー、部長が掃除とか年に一回くらいしかしなくて」
美穂子「駄目ですよー。掃除は毎日しないと」
池田(キャップが毎日やってるなんて他の高校の生徒には知られたくないし)
煌「大学は一人暮らしですよね?。非常に…非情に…不安です」
哩「うーん。何とかなる!……と思うしかなか」
美穂子「一人暮らしですか。実は私もなんですよ」
哩「あんた見た目からして、家事上手そうやね。私はからっきし駄目と」
池田「私も家事何でも出来るし!」
姫子「ちょー意外!?」
煌「すばら!」
美穂子「華菜は四姉妹の一番上なんですよ。華菜の妹がこれまた可愛くてですねー。あぅあぅしちゃいますよ」
池田「しかし恋人同士で同室なんて風紀が乱れまくってるし」
姫子「ぶーーーーーーー!??!?!?!?!?」
哩「ゲホゲホ!ゴホン!!!!!」
煌「あー、一理あります」
美穂子「///」
哩「だだだだだだ、誰がこここここ恋人と!?」
池田「バレバレですよー。長野も同性カップル多いからすぐ気付きますし」
煌「なんと!?優希や和もですか?」
池田「片岡はともかく、原村は……。手遅れだし」
煌「あの真面目だった和が……」ヨヨヨ
姫子「花田もさっさと恋人見つけると!」
哩「女子校なんだし、女子しか居ないから仕方なか!どれ、私が永水女子の子らとコンパ設定しちゃるけん」
姫子「ぶ~ち~ょ~」ジトー
哩「心配なか。私は姫子一筋やけん」ダキッ
姫子「……安心しました」ギュッ
美穂子(何なの!?このカップル!人前でよくまぁイチャイチャと……)
姫子「部長、私、来年から一人部屋とか嫌です」ウルウル
哩「……再来年は、同じ部屋に住むと。先に大学で待ってるけん」ナデナデ
姫子「ぶちょー」ギュゥゥゥゥゥゥ
美穂子「……」
池田「……」
煌「いつもの事なんですよ。10分くらいしたら戻って来ますから」
美穂子(私が上埜さんとこんな風になるのには一体どれくらいの年月が必要なんでしょうか……)
煌「最初の頃は喧嘩して、姫子が私の部屋に避難して来るとか可愛らしい一面もあったんですけどね」
池田「へぇー。私の妹もよく私の部屋に避難しに来るし」
煌「一線を越えてからは、ケンカしてもすぐ仲直りするようになりました」
美穂子「一線?」
煌「リザベーションを使うには一線を越える必要があるとか何とか。まぁ……、姫子が急激に強くなったのは私の一年生の二学期が始まった頃です」
美穂子(夏休みが終わるとクラスの女の子が一人か二人、大人になったって話を聞くけどアレなのかしらね)
池田「寮生活って毎日、一緒に居るわけだし飽きないのかな?」
煌「飽きないんでしょうね。一週間に三回はビビクンしてますから」
池田「ビビクンって……」
煌「寮監に気付かれそうになった時は、流石に私も肝を冷やしました」
美穂子(寮生活なら毎日一緒に居られるのね。あっ帰省の時以外ね)
~美穂子の妄想~
チュンチュン
美穂子「うーん、気持ちのいい朝ね」
久「ぐおおおおおお、ふんごごごごごご」。。ooOzzZZZ…
美穂子「もう♪上埜さんってば、また布団蹴飛ばして……」
カン!カンッ!
寮監「おらー、朝だぞ。みんな起きろー」
美穂子「上埜さん、朝ですよ。また朝ごはん抜きになりますよー」ユサユサ
久「朝ごはん抜きとかやだー」ガバッ
美穂子「寝癖がひどいですね。私が整えますね」サッサッ
久「……」ウトウト
久(目の前にタラコがある?ような気がする)
久「……」ジーーーー
美穂子「早く仕度しないと」
久「タラコタラコタラコ、はむっ」チューーーー
美穂子「!?」
妄想の中の食堂
美穂子「ぷんぷん」パクパク
久「……ううぅぅ、ごめん。ごめんってばー」
哩「隣いいか?今回は何したと?」ガシャン
久「寝ぼけて、美穂子の唇をタラコだと思って食べた」
美穂子「ふんっ!」パクパク
哩「そりゃ久が悪いな。いつもの事だが」
久「ごめんねぇ、ちゃんと朝起きるようにするからさ」
美穂子「違う人と同室が良かったです」パクパク
哩「こりゃ相当怒ってる。久、美穂子にシュークリームをあげるとよか」
久「ええっ!?今日のデザートのシュークリームを!」
久「寮生活の唯一の楽しみがデザートなのよ~」
哩「だから、それをあげる事によって反省の色を見せると」
美穂子「シュークリーム大好きですよ私は!」パクパク
久「うぅ……わかった……。どうぞ」トン
哩「美穂子も許してやれ。久がデザートあげるなんて相当反省しとる」
美穂子「本当ですかー?」
久「……はい」コクコク
美穂子「じゃあ半分だけ貰いますね。後の半分は……あーん」
久「!?」
~妄想終わり~
美穂子「ふふふ……でゅふふふふ……」クネクネ
煌「おーい、福路さーん。福路さーん」
美穂子「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
煌「あっ…あの…、福路美穂子さん……」
池田「心配すんなし!全国大会終わってからたまに発作が起きるんだし!」
煌「ほっといても大丈夫なんですか?」
池田「へーきへーき」
哩「そう言えば、新道寺のスカウトって福路さんに声をかけたって聞いた気がすると」
美穂子「えっと…あっ、そう言えばそんな事もありました。断った記憶があります」
姫子「福路さん居たら、うちらの優勝もあったかもしれませんね」
池田「キャップは渡さないし!」
煌「仮に福路さんが新道寺に入ったと仮定して、その時に寮の同室になるのは部長では?」
哩「確かに」ポン
姫子「絶対嫌ばい!!!!!!」
姫子「だってこんなキレイな人が同室なら、部長は私ば好きにならん!」
煌「いやー例え話であって……ね」
哩「安心し。福路さんがキレイかどうかなんて関係なか。そもそも、姫子が同室かどうかも問題ではないと」
姫子「えっ……」
哩「同室じゃなくても結果は同じ。私と姫子が結ばれるのが遅いか早いか」
姫子「……部長」ホロリ
美穂子(もし二度目の高校生活が送れるとしたら、上埜さんと寮生活がしてみたいわね)
美穂子(もし……、もし?)
美穂子(まてよ……、叶えられるかもしれない)
美穂子「華菜、風越は貴方に全て託すわね」ガシッ
池田「は?」
美穂子「貴方ならきっとやれる。きっと風越を全国大会まで導いて行ける」
池田「え?え!?」
美穂子「用事を思い出しました。私は他校に少し顔を出して帰るから、コーチによろしくね」
池田「えええぇぇぇぇぇぇ!」
三年前長野
久「あーあー、お父さんの会社が倒産だなんて全くもってついてない」
久「風越に入る自信あったのになぁ……」
久「私立なんて行けるわけない」
スカウト「あの……、上埜久さんですか?」
久「私ですか?は、はい。そうですけど……」
スカウト「私、新道寺のスカウトをやってる者なんですけども」
久「新道寺?」
Roof-top
スカウト「ふぅー、やるねぇ」
理沙「……」プンスコ
久「二位か。流石に一位は取らせてくれませんね」
まこ「もーあかん……、ワシ疲れた」ガシャン
スカウト「野依さんどうですかね?」
理沙「いいと思う」プンプン
スカウト「こんな所にこんな子が埋もれてるなんてねぇ……、いい情報貰ったもんだ」
理沙「上埜久さん!」プンプン
久「は、はい」
理沙「上を目指すべき!今よりもっと強くなれると思う」プンプン
久「わ、私が?」
スカウト「うちの特待生なら、学費の一部もしくは全てが免除されたり、奨学金の支給などの特別な待遇を受ける事が出来るよ」
久「福岡の強豪新道寺女子ですか……」
理沙「全国優勝狙える!」プンスコ
そして時が過ぎ、新道寺女子の入学式
久(白水哩。あの子が入学式の挨拶してたわね)
久(ミドルでも大活躍してた……、他にもミドルで活躍した子がたくさん居るわ)
久(この中からレギュラーに選ばれるのはたった五人)
久(私も頑張らないと)
久「はー、長野出て単身で福岡に乗り込んだものの……」
久「先が思いやられるわね。方言で何喋ってるかわかんないし」
久「寮って相部屋だっけ?優しそうな人ならいいな」
新道寺の寮、竹井&福路部屋
ギィィィィ
久「誰か居る?」
美穂子「はい?」
久「んっ?貴方、会った事あるわよね。って!大会で対局した……」
美穂子「福路美穂子です。これから三年間宜しくお願いします」ニコッ
カンッッ!
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