ペリーヌ「私が囮になりますわ!!」(225)
ミーナ「全員集まったわね、では坂本少佐、説明をお願いします」
坂本「あぁ。本日の訓練だが少々趣向を変えてみようと思う」
芳佳「どういうことですかぁ?」
坂本「皆、通常の訓練には飽きが来ているだろうと思ってな」
坂本「今日は訓練を兼ねた扶桑のゲームをやろうと思う」
ルッキーニ「ゲームー!」
芳佳「わぁ~、遊びですかぁ?扶桑のですかぁ?何をするんですかぁ?」
坂本「ケイドロだ」
エーリカ「ケイドロってなんだー?」
シャーリー「聞いたことないゲームだね」
リーネ「芳佳ちゃんも知って遊びなの?」
芳佳「えっと・・・」
エーリカ「なんだミヤフジ、もしかして知らないのカー?」
芳佳「坂本さん」
坂本「ん?」
芳佳「ドロケイの間違いじゃないんですかぁ?」
坂本「ケイドロだ」
芳佳「えっと・・泥棒と警察のグループに別れて遊ぶ・・」
坂本「その通り。ケイドロだ」
芳佳「ドロケイですよぉ?」
坂本「いや、ケイドロだ」
芳佳「ケイドロだと語呂が悪くないですかぁ?」
坂本「ケイドロだ」
ミーナ「落ち着いて二人とも。えっと、呼び方は違うけど二人の言ってるゲームは同じなのね?」
坂本「あぁ、地域ごとに呼び名に違いがあってな」
芳佳「そうみたいですね」
坂本「扶桑あるあるというやつだ」
ミーナ「ごめんなさい、わからないわ」
坂本「とにかく、ルールを説明するぞ」
(坂本さんルール説明中)
ゲルト「面白い・・楽しみだ」
シャーリー「おやぁ?堅物が珍しい」
シャーリー「いつもみたいに『訓練に遊びなど・・』とは言わないんだな」
ゲルト「ふふん、私にだって遊び心くらい理解できるのだリベリアン」
シャーリー「なんで自慢気なんだ」
ゲルト「まぁ初めはくだらん遊びと思ったがな」
シャーリー「思ったのかよ」
ゲルト「ルールを聞いてみるとこれが中々奥が深い」
シャーリー「というと?」
ゲルト「このケイドロとは運動、索敵、連携、防衛、撹乱、果ては情報戦と、様々な作戦的要素を盛り込んだ、扶桑らしい合理的な遊びのようだ。つまり少佐は」
シャーリー「遊ぼうよ。普通に」
坂本「───以上が、大まかなルールだ」
ルッキーニ「うじゅあー!楽しそー!!」
ペリーヌ「坂本少佐とゲームに興じられるなんて・・夢のようですわ!」
芳佳「そんな優しいゲームじゃありませんけどね・・」
エイラ「なんか疲れそうダナー、サボッて部屋で休んでようかサーニャ?」
サーニャ「そう、おやすみなさいエイラ」
エイラ「ウェ!?」
サーニャ「私、こうやって大人数で遊んだことないから、楽しみ」
エイラ「じ、実は私も楽しみなんだー」
坂本「次に、今回の訓練用のルールだが、泥棒の逃走範囲は基地の敷地内とする」
ミーナ「万が一ルールを破った人は・・分かってるわね?」ニコッ
ルッキーニ「ヒェェ!」
坂本「牢屋は、今我々がいるこのハンガーの中心に、半径2メートルの円を白線で書いたものを用意しておいた」
芳佳「程よく見通しがよく、程よくまわりに障害物がある、程よい牢屋ですね」
シャーリー「よく分からんが、程よいんだな」
ペリーヌ「さすが坂本少佐・・素晴らしい牢屋ですわ!」
坂本「次に、泥棒に対する警察のタッチだが、いちに、さんと背中を三回タッチ制を採用したいと思う」
シャーリー「通常のタッチで触った触ってないでモメるのを防ぐためだね」
芳佳「いいと思います!そういえば私の地域では服か体を掴んで10数える、なんてのもありました」
坂本「はっはっは、あるある」
ミーナ「もう扶桑あるあるはいいから」
坂本「ではさっそく警察と泥棒に別れてもらうわけだが」
ミーナ「私達は11人だから、5対6に別れるのね?」
坂本「うむ。今回は警察が5、泥棒を6とするか」
ルッキーニ「私泥棒がいいー!」
シャーリー「待て待て。少佐、グループ分けの方法は?」
坂本「公正に、グーパージャンケンでいこう」
坂本「グッパジャンケンポン!」
エーリカ「何今の!?」
坂本「この合図でグーかパーのいずれかを出し5対6で分かれたら5が泥棒、6が警察だ」
芳佳「私の地域ではインチャンホイ!でした」
ミーナ「これも扶桑あるあるなの?」
坂本「それは私は知らないな」
芳佳「えっ」
ルッキーニ「ドロボーになりますようにドロボーになりますように~!」
芳佳「ルッキーニちゃんは泥棒になりたいんだぁ。リーネちゃんは?」
リーネ「私は走るの苦手だから・・警察で牢屋の見張り番くらいしか・・」
芳佳「大丈夫だよ、足が遅くても、ずる賢い人が活躍したりもするんだよ!一緒に頑張ろ!」
リーネ「う、うん・・」
芳佳「エイラさんとサーニャちゃんは警察と泥棒、どっちがいいんですかぁ?」
エイラ「私はあんまり走らなくてすみそうな警察がいいナー。なぁサーニャ?」
サーニャ「泥棒、少しやってみたいかも」
エイラ「実は私もずっと泥棒やりたいと思ってたんダ」
芳佳「エイラさんってプライドないんですかぁ?」
坂本「では皆、覚悟はいいな?」
エーリカ「おーう」
ルッキーニ「おー!」
ペリーヌ(坂本少佐と同じグループになって是非お役に!)
(サーニャ!サーニャ、サーニャ、サーニャ!サーニャ!サーニャ!)
リーネ(芳佳ちゃん・・!)
ゲルト(宮藤を追い掛けるも追い掛けられるも、一緒に追うも逃げるもどれでも構わん・・・)
ゲルト(このゲーム、まさにゲル得!)
ミーナ「心なしかみんな、表情が険しいわね」
「「グッパジャンケンポン!!」」
ペリーヌ「あいこ、ですわね」
坂本「5対6になるまで何度もやるぞ」
「「ポン!」」
「「ポン!」」
芳佳「エイラさん、さっきからあと出し気味ですよぉ?」
エイラ「ちが、だってサーニ」
サーニャ「エイラ、ズルはよくないわ」
エイラ「ウゥ・・」
「「ポン!」」
「「ポン!」」
「「ポン!」」
エーリカ「長い・・」
芳佳「11人もいるから・・」
「「ポン!」」
「うじゃー!やっと揃ったー!」
坂本「警察側は私・ミーナ・宮藤・バルクホルンにエイラか」
シャーリー「泥棒は私とルッキーニ・リーネ・サーニャ・ペリーヌだね」
ルッキーニ「やったー!ドロボー!」
エイラ「あああ・・・サーニャと別々に」
芳佳「よーし、リーネちゃん捕まえちゃうぞー!」
リーネ「芳佳ちゃんに追いかけられるなんて・・」ドキドキ
坂本「制限時間は二時間」
坂本「それ以内に泥棒を全員捕まえれば警察の勝ち。無論逃げ切れば泥棒の勝ちだ」
エーリカ「楽勝楽勝~」
坂本「言い忘れてたがゲームに本気で取り組んでもらうため、負けたグループには罰ゲームがあるからな!」
芳佳「ええー!?」
坂本「では始めるぞ」
シャーリー「少佐、肝心の罰ゲームの内容は?」
坂本「我々警察が100数える間に泥棒は散るんだ」
ルッキーニ「少佐ー?聞いてるのー?」
坂本「さーん、しーい」
リーネ「地味にもう数えてる!」
シャーリー「みんな、ひとまず逃げるぞ!あっちで作戦会議だ」
ルッキーニ「らじゃー!」タッタッタ
ペリーヌ「わかりましたわ」タッタッタ
エーリカ「シャーリー、一つお願いがあるんだけど」
シャーリー「なんだい?」
エーリカ「あのね、ごにょごにょ」
シャーリー「名案だ」ニヤリ
坂本「にーじゅにー、にーじゅさん、にーじゅしー」
ミーナ「あら?」
芳佳「シャーリーさんが引き返して来ます」
坂本「にーじゅきゅー、さーんじゅ、さーんじゅいー」
芳佳「シャーリーさん、一体どうしたんですかぁ?」
シャーリー「あぁ、バルクホルンにちょっとね」
ゲルト「私に何の用だリベリアン」
シャーリー「ハルトマンがさぁ」
シャーリー「『トゥルーデには捕まる気しないし、警察は実質4人だから泥棒が勝ったも同然』だってさ」
シャーリー「それだけ。んじゃ」シュタタタ
ゲルト「・・・・」
芳佳「あはは、わかりやすい挑発ですねぇ」
ゲルト「・・・・」
坂本「よーんじゅに、よーんじゅさん」
基地東部 庭
ペリーヌ「はぁ、はぁ」
エーリカ「ひとまずここの草むらに潜んで作戦会議しよう」
ペリーヌ「シャーリーさんはどちらですの?」
エーリカ「ちょっと野暮用を頼んだのと、遅れてるリーネにペース併せてるのかも」
サーニャ「二人ともに、この集合場所は伝えてあります」
ペリーヌ「皆さん、そろそろ100秒を数え終わる頃ですわ」
ルッキーニ「なんだかドキドキしてきたー!!」
ペリーヌ「ならもう少し静かになさい」
エーリカ「迂回してきたし、すぐには見つからないと思うけど」
エーリカ「警察が来れば散り散りになっちゃうしパパッと大まかな作戦会議しとくよ!」
エーリカ「さーにゃんはレーダーで周辺探査お願いね」
サーニャ「了解しました」ポワワン
エーリカ「それでね、まず、警察が・・」テキパキ
ルッキーニ「なるほどー」
エーリカ「おそらく、向こうは・・」テキパキ
ペリーヌ「ネウロイと戦ってるときより真面目ってどういうことですの」
格納庫(牢屋)
坂本「きゅうじゅうきゅー、ひゃーく!」
ミーナ「そんな大きな声で数える必要あったのかしら・・」
坂本「伝統だからな」
芳佳「様式美というやつです」
ミーナ「そ、そうなの」
坂本「さぁ、第一回、501統合戦闘航空団、ケイドロ大会の始まりだ!」
ゲルト「うおおおお!おのれハルトマーン!!うおおおお!」タッタッタ
ミーナ「トゥルーデ!」
エイラ「さーて、さっさとサーニャ探しに行くかー」タッタッタ
ミーナ「エイラさん!二人とも好き勝手に動いては!」
「はっはっは!このゲームにおいては連携、単独行動、いずれも重要だ」
芳佳「引っかきまわすのは二人にまかせて、私達はその隙をつきましょう」
ミーナ(やだ・・!この二人、空では危なっかしいのに今はとても頼もしい・・!)
坂本「まずどこから探したものか」
ミーナ「そうね・・」
坂本「ミーナ、ひとまず固有魔法での補助を頼めるか」
ミーナ「ええ」ポワワン
ミーナ「でも闇雲に捜すしかないのかしら」
芳佳「あっち」
ミーナ「え?」
芳佳「あっちにリーネちゃんとシャーリーさんがいる気がする」
ミーナ「え?どうして?」
芳佳「わかりません」
ミーナ「ペリーヌさんやルッキーニさんも?」
芳佳「それは全くわかりません」
坂本「はっはっは!まぁいい、宮藤のカンを信じてみるか!」
基地東部 草むら
エーリカ「それで、ああきたらこうして」テキパキ
ペリーヌ「目からウロコですわ」
ルッキーニ「うじゅー、シャーリーまだかなー」
サーニャ「っ!こちらに急速に接近する影が一つあります」
ペリーヌ「誰ですの?」
ルッキーニ「シャーリー!?」
サーニャ「ごめんなさい、私の魔法ではそこまでは・・」
<ウオオオオーハルトマーンウオオオオ
エーリカ「・・・・」
ペリーヌ「・・・・」
ペリーヌ「大尉・・」
サーニャ「バルクホルン大尉、あさっての方向に離れていきます」
ペリーヌ「猪のようですわね」
エーリカ「脳みそまで筋肉でできてるから・・」
ルッキーニ「ゴリラー!」
サーニャ「っ!もう一つ、こちらに一直線に向かう影があります!」
サーニャ「この動き、迷いがない・・?」
エーリカ「この場所がバレてるのか?」
ペリーヌ「坂本少佐の魔眼やミーナ中佐の探査魔法で特定されたのかもしれませんわ」
エーリカ「いくらなんでも早過ぎるような・・」
サーニャ「間もなく、あそこの角から来ます!」
<オーイ、ルッキーニー
ルッキーニ「!!」
ペリーヌ「シャーリーさんの声ですわ!」
ルッキーニ「シャーリー!」
ルッキーニ「シャーリー!ここだよー!ここここー!」ガサガサ タッタッタ
エーリカ「こら、不用心に草むらから出たら」
ルッキーニ「シャーリー!」タッタッタ
坂本「探したぞ、ルッキーニ」ニヤッ
坂本「いちに、さん!」パンパンパン
ルッキーニ「うじゅあ!!」
坂本「はっはっは!さっそく一人目逮捕だ!」
ペリーヌ「坂本少佐!?」
ルッキーニ「そんな!確かにシャーリーの声だったのに!」
坂本「扶桑海軍直伝、声真似の術だ」
ルッキーニ「ニンジャー!」
ペリーヌ「まさか坂本少佐がニンジャだったなんて・・」
坂本「ほう、慌てて逃げて散り散りになるものかと思ったが」
エーリカ「ルッキーニを連れた状態では私達三人は追えないでしょ」
坂本「うむ。ここは大人しく退いてルッキーニを牢屋に連行する」
ルッキーニ「うわあああん」
サーニャ「ルッキーニちゃん・・必ず助けにいくから」
坂本「ときにサーニャ」
サーニャ「?」
坂本「警戒中にレーダーへの集中を怠っていいのか?」
サーニャ「っ!」
エーリカ「さーにゃん!?まさか」
サーニャ「北と南から影が一つずつ接近してきます!」
エーリカ「挟み打ち!?」
坂本「はっはっは!またすぐに牢屋で会えるかもな!さらばだ!」
ペリーヌ「どうするんですの!?どうするんですの!?」
エーリカ「探知魔法が使えるさーにゃんがまず優先的に狙われるハズだよ!さーにゃん先に逃げて!」
サーニャ「は・・はい!」
エーリカ「ペリーヌ!私達は囮になりながら警察をまこう!」
ペリーヌ「りょ、了解ですわ!」
ペリーヌ「一人来ましたわ!!」
芳佳「はああああ!」タッタッタ
エーリカ「一人はミヤフジか・・」
芳佳「ハルトマンサン!覚悟ー!」
エーリカ「残念だけど、ミヤフジじゃ私を捕まえられないんじゃないかなー?」
芳佳「ぐ・・でも、やってみないとわかりません!」
エーリカ「それよりリーネが滑走路の方に逃げたからそっち追いかけたら?」
芳佳「おっぱ・・リーネちゃんが!」
エーリカ「振り切ったと思って今なら油断してるだろうなぁ~」ニヤリ
芳佳「今なら・・!」ゴクリ
芳佳「リーネちゃん!」
芳佳「リーネちゃーん!」タッタッタ
エーリカ「ふぅ・・相手がミヤフジで助かったー」
ペリーヌ「宮藤さん・・嘘と疑いもせず、なんて欲望に忠実な・・」
ペリーヌ「確かもう一人、こっちに向かってるんだったね」
ペリーヌ「ミーナ中佐が来るか、エイラさんが来るか・・!」
エーリカ「どっちも手強いよ」
ペリーヌ「・・・・」
エーリカ「・・・・」
ペリーヌ「・・来ませんわね」
エーリカ「待てよ、もしもう一人の追っ手がミーナだったとして・・」
ペリーヌ「?」
エーリカ「探知魔法で補足されてたら・・」
ペリーヌ「まさか!?サーニャさんの方に向かった!?」
基地北東部
サーニャ「はぁ、はぁ」タッタッタ
ミーナ「逃がさないわよ、サーニャさん!」タッタッタ
サーニャ「はぁっ!はぁっ!速い・・!はぁ、はぁ」タッタッタ
ミーナ「ウフフ、若いのにだらし無いわね」タッタッタ
サーニャ「くっ・・!はぁ、はぁ・・ば、ばぁ」タッタッタ
ミーナ「もう背中に手が届くわよ!」タッタッタ
サーニャ「はぁ、はぁ・・もう、ダメ・・っ!」
タッタッタ
ミーナ「限界ね。サーニャさん、つかまえ」タッタッタ
???「させないよ!」
バビューン
ミーナ「きゃあ!」ドサッ
シャーリー「残念だったね隊長、お姫さまは渡さないよ」ガシッ
サーニャ「はぁ、はぁ、ん・・っ」
ミーナ「シャーリーさん!」
シャーリー「悪いけど、退散するよ」
ミーナ「ッッ!!」
バビューン
ミーナ「そんな・・サーニャさんを抱えたままでもうあんな遠くまで・・!」
エイラ「はぁ、はぁ」タッタッタ
エイラ「はぁ・・サーニャぁ・・どこだにいるんだよう」
エイラ「サーニャぁ」
ビュウウン
エイラ「んー?なんだあのものすごく速い影は?」
エイラ「あれは・・なーんだシャーリーカ」
エイラ「誰か抱いて走ってんのか?」
エイラ「泥棒も足手まといがいると大変なんだなー」
エイラ「ははっ」
エイラ「ん?あれは」テクテク
ミーナ「はぁ・・はぁ・・あら」
エイラ「おいーっすミーナ中佐、おつかれー」
ミーナ「エイラさん」
エイラ「へっへっへ、その様子じゃシャーリーに逃げられたみたいダナ」
ミーナ「ええ、加速魔法で・・まさかサーニャさんを抱えてあの速さだなんて」
エイラ「ん?誰を抱えて?」
ミーナ「サーニャさんを」
エイラ「何・・ダト・・!?」
エイラ「あのヤロー・・よりによってサーニャをお姫様だっこしやがって!」
エイラ「ただじゃおかないからナ!」
ミーナ(エイラさんがやる気になってる!これは・・!)
基地南部 滑走路付近
リーネ(ふぅ、ここに隠れてればしばらくは見つからない・・よね)
リーネ(牢屋の様子もよく見えるし・・)
リーネ(あ!)
リーネ(あれは坂本少佐と・・ルッキーニちゃん!?捕まっちゃったんだ!)
リーネ(どうしよう・・助けてあげたいけど)
<リーネチャーン!
リーネ(っ!この声は!)
芳佳「リーネちゃーん!」タッタッタ
リーネ(芳佳ちゃん!芳佳ちゃんがこっちに近付いてくる!)
芳佳「リーネちゃーん!」タッタッタ
リーネ(私を探してる!?)
リーネ(どうして!?私がこの場所にいるのは誰も知らないのに!)
芳佳「リーネちゃーん!」
芳佳「おかしいなぁ、このへんにおっぱ・・リーネちゃんがいる気がするんだけどなぁ」
リーネ(うう・・嬉しいけど複雑だよう)
芳佳「うーん見つからないなぁ」
芳佳「仕方ない、格納庫に戻って坂本さんと合流しよう!」タッタッタ
リーネ(ほっ・・)
格納庫中央(牢屋)
坂本「さぁ、牢屋に到着だ」
ルッキーニ「うわあああん、うわあああん」
坂本「はっはっは!そう落ち込むなルッキーニ。すぐに泥棒仲間が解放しに来てくれるかもしれんぞ」
芳佳「坂本さーん!」タッタッタ
坂本「宮藤か・・なんだ、誰も捕まえられなかったのか」
芳佳「す、すみません・・」
ルッキーニ「みんな逃げ切れたんだー!」
坂本「気にすることはない。時間ならまだたっぷりあるからな」
芳佳「はい!それで私は次にどうしたらいいかと思って・・」
芳佳「泥棒を捕まえたから、最低一人は見張りも必要になるし」
坂本「そうだな・・」
芳佳「それに、なんだかリーネちゃんが近くにいるような気がして・・」
坂本「リーネが?」
芳佳「いえ、何となくなんですけど」
坂本「ふむ・・」
基地南部 滑走路付近
リーネ(・・!)
リーネ(あれは・・)
ペリーヌ「はぁ、はぁ、疲れましたわ・・」テクテク
リーネ「ペリーヌさん!」
ペリーヌ「リ、リーネさん!?ここにいらしたのね」
リーネ「はい!よかったぁ一人じゃ不安で・・」
ペリーヌ「かくかくしかじかでして」
リーネ「なるほど、それでルッキーニちゃんが捕まっちゃったんですね」
ペリーヌ「ええ・・ですからルッキーニさんを助」
リーネ「ルッキーニちゃんを見捨てるんですか!?見損ないました!」
ペリーヌ「え!」
ペリーヌ「人の話は最後までお聞きなさい」
リーネ「すみませんペリーヌさん」
ペリーヌ「とにかく今なら、牢屋の見張りは坂本少佐とたかが豆狸一匹・・」
リーネ「芳佳ちゃんは豆狸なんかじゃありません!取り消して!」
ペリーヌ「し、失礼しましたわ」
リーネ「とにかくルッキーニちゃん救出しに格納庫の中へ行きましょう!」
ペリーヌ「・・は、はい」
格納庫内部 物陰
ペリーヌ「どうにかここまで気付かれずに近付けましたわね」
リーネ「はい・・これからどうしましょう」
ペリーヌ「そうですわね・・豆・・宮藤さんを見張り番に残して、泥棒捜索に向かってくれればベストなのですけど」
リーネ「その前にミーナ中佐やエイラさんが戻ってきちゃうかも・・」
ペリーヌ「ここに長居するのも危険ですし、二対二の今の状況で何とかするしかありませんわ」
リーネ「真正面からいくのも危険ですし、やはりここは陽動作戦がいいと思います」
ペリーヌ「一人が二人を引き付けてその間に、ってことですの?」
リーネ「はい」
ペリーヌ「リーネさん、冴えてますわね」
リーネ「ありがとうございます!ペリーヌさん、囮役ありがとうございます!」
ペリーヌ「はい。え?あ・・・はい。私が囮役。あれ?」
リーネ「よろしくお願いします!」
ペリーヌ「え、ええ」
ペリーヌ「私が囮になりますわ!!」
格納庫中央(牢屋)
坂本「わ・た・く・し・が・お・と・り・や・く・に・な・り・ま・す・わ」
坂本「ビンゴだ宮藤」ヒソヒソ
芳佳「へ?」
坂本「お前の言った通りリーネ、それとペリーヌがいたぞ。あそこの棚の裏にいる」ヒソヒソ
芳佳「ええー!?本当ですかぁ?魔眼で見つけたんですかぁ?」ヒソヒソ
坂本「あぁ。どうやらあいつら、陽動作戦に出る腹のようだ」ヒソヒソ
芳佳「どうして会話の内容まで分かるんですかぁ?」ヒソヒソ
坂本「扶桑海軍直伝の読唇術だ」ヒソヒソ
ルッキーニ「やっぱニンジャだー!」
坂本「動いた!来るぞ!」
ペリーヌ「じゃじゃーん!ですわ!」シュバッ
ペリーヌ「貴方達にこのぺリーヌ・クロステルマンを捕まえることができて!?」
芳佳「ペリーヌさんこんにちはー」
ペリーヌ「え?あら、こ、こんにちは」
芳佳「ペリーヌさんは囮で、そこにリーネちゃんも隠れてるんですよねぇ?」
ペリーヌ「あら?あらら?」
芳佳「もう全部バレてますよぉ?」
坂本「はっはっは!」
ぺリーヌ・クロステルマン
リネット・ビショップ
逮捕
坂本「はっはっは!」
リーネ「あうう・・捕まっちゃったよぉ」
ペリーヌ「我々の作戦を文字通り見通すとは、坂本少佐を侮りすぎていましたわ・・」
芳佳「ペリーヌさんも頑張ったと思いますよぉ?」
ルッキーニ「うじゃーもうダメだー!負けたー!」
芳佳「残る泥棒はシャーリーさんにサーニャちゃん、ハルトマンさんですね」
坂本「一通りあたりを魔眼で見回したが、いずれも格納庫周辺にはいないようだ」
基地北西部
シャーリー「ふう、ちょっと加速魔法を使いすぎたかな」
シャーリー「ここらで小休止といくか」
<ウオオオオー
シャーリー「おや、あの声は・・」
ゲルト「ハルトマン!どこだー!うおおおお!」タッタッタ
シャーリー「アイツ・・ゲーム開始から30分は経つってのにまーだやってんのか・・」
ゲルト「うおおおお!」ドダダダ
シャーリー「ちょっとからかってやるか」
ゲルト「ハルトマンめ、どこだ!どこにいるー!」
ガサガサ
ゲルト「ムッ!誰かいるのか!」
シャーリー「あー、しまったー、見つかってしまったー(棒)」
ゲルト「シャーリー!」
シャーリー「くそー、年貢のおさめどきだー(棒)」
ゲルト「ハッハッハ!ドジを踏んだな!」
シャーリー「ところでバルクホルン」
ゲルト「ん?」
シャーリー「あそこにいるのハルトマンじゃないか?」
ゲルト「何!?」キョロキョロ
ゲルト「どこだ!?」キョロキョロ
ゲルト「おいリベリアン!ハルトマンなどいないではないか!」クルッ
シーン・・・
ゲルト「リベリアンまでいなくなってるではないか」
ゲルト「おのれ・・私を騙すとは・・!許さん!」
ミーナ「探したわよ、トゥルーデ!」タッタッタ
ゲルト「ミーナ!」
ミーナ「シャーリーさんに逃げられたようね」
ゲルト「あぁ、面目ない」
ミーナ「結構よ。ところでトゥルーデ、これで身に染みて気付いたんじゃないかしら?」
ゲルト「?」
ミーナ「冷静さを欠いては、このゲームには勝てないわ」
ゲルト「・・!」
ミーナ「フラウやシャーリーさん達は、そこを突いてきてる」
ゲルト「・・そのようだ。まんまと奴らの術中にハマっていた」
ミーナ「理解したようね」
ミーナ「では一度対策を練り直すため、美緒達と合流しましょう」
ゲルト「了解した」
格納庫(牢屋)
ペリーヌ「はぁ・・この私があっさり捕まってしまうなんて」
ルッキーニ「想定の範囲内だよー」
ペリーヌ「真っ先に捕まりにいったあなたには言われたくありませんわ!」
ルッキーニ「うじゅー!!!」
リーネ「ケンカはやめてください!」
ペリーヌ「リーネさん・・」
リーネ「こんなときだからこそ、仲間を信じましょうよ!」
坂本「言うようになったじゃないかリーネ」
坂本「しかし現実、残るお前達の仲間は半分になってしまったがな」
リーネ「うぅ・・」
坂本「しかし私達も、再び捜索に行くか、ミーナ達が帰ってくるのを待ち方針を固めるか・・悩みどころだな」
芳佳「バルクホルンさんはともかく、ここで待ってればミーナさんとエイラさんなら誰か捕まえて帰ってくるんじゃないですかぁ?」
坂本「はっはっは!それもそうだな」
芳佳「なんだかもう私達の勝ちっぽいですね」
エーリカ「そうはうまくいかないんだよねー」
芳佳「ですよねぇ」
芳佳「え?」
エーリカ「んー?」
坂本「ハルトマンが牢屋に!?」
芳佳「一体いつの間に!」
エーリカ「はーい、ペリーヌルッキーニリーネ、タッチタッチタ~ッチ!」パパパン
リーネ「ありがとうございます!」タタタッ
ペリーヌ「感謝致しますわ!」タタタッ
ルッキーニ「やったー!うじゅー!」カサカサカサ
芳佳「ああ!せっかく捕まえたのに!」
エーリカ「にしし、これでふりだしだねー」
坂本「馬鹿な・・さっきまでは周辺に誰もいなかったはず・・どこから降って湧いた!?」
エーリカ「うーん、少佐が360度見渡してたから、上から」
坂本「上・・!?しまった、鉄骨を渡ってきたか!」
エーリカ「正解~」
芳佳「そうだった!この格納庫の天井には鉄骨がひしめいてるんだった!二期四話でもルッキーニちゃんが寝床にしてたっけ!」
エーリカ「説明ご苦労様」
坂本「フッ・・しかしいいのか?」
エーリカ「なにがー?」
坂本「三人を解放したはいいが、今は二対一だぞ」
芳佳「逃がしませんよ!」ジリジリ
エーリカ「あははー」
エーリカ「さーにゃん!お願ーい!」
サーニャ「了解しました」
芳佳「上にまだサーニャちゃんが!?」
サーニャ「いきます」
ファッサー
坂本「これは・・粉?」
芳佳「上からあんなもの撒いてどうするつも・・」
エーリカ「シュトゥルム!」ビュルルン
坂本「しまった!」
もくもく
芳佳「ゲホッゲホッ!粉を風で巻き上げて煙幕を作るなんて!」
もくもく
坂本「ぐっ・・!これでは視界が・・」
芳佳「ゲホッゲホッ!ゲェ・・ウェッ!ゲホッ!」
坂本「おい、宮藤大丈夫か!宮藤!」
芳佳「ゲホッ!・・~~~ッッ!ウェッ!・・ゲェッ!ゲェーッ!」ビチャビチャ
坂本「宮藤ィィーッ!!」
芳佳「はぁ・・はぁ・・ゲホッ・・お昼に食べたカレーが・・」
坂本「くそ・・ハルトマンにもサーニャにも完全に逃げられたな・・」
芳佳「ゲホッ、ず・・ずびばせん」
坂本「いや、こんな方法で来るとはさすがに思わなかった」
坂本「まさに悪魔のような手口だ・・」
基地西部
リーネ「はぁ、はぁ」タッタッタ
リーネ「やった・・!」
リーネ「ハルトマンさんのおかげで助かったんだ!」
リーネ「ペリーヌさんやルッキーニちゃんとははぐれちゃったけど・・」
リーネ「とにかく私は自由になったんだ!」
リーネ「娑婆の空気は最高だよぉ!」
リーネ「・・やだ、私ったらついうかれて変な独り言を・・」
リーネ「こんなところ誰かに見られたら・・」
ゲルト「いちに、さん」ポンポンポン
リーネ「ひゃぅぅ!」
ゲルト「すまないな、リネットビショップ曹長」
リーネ「!!」
ミーナ「その油断が命取りね」
リネット・ビショップ再逮捕
基地東部
サーニャ「あっちよ、ルッキーニちゃん」タッタッタ
ルッキーニ「ほんとだ!シャーリーいたー!」タッタッタ
シャーリー「おールッキーニ、サーニャ、どうやら首尾よく牢屋から逃げられたみたいだね」
サーニャ「はい」
シャーリー「あとの三人は?」
サーニャ「それぞれ別の方向に散りました」
シャーリー「そうか、全員無事だといいけど・・」
格納庫
エイラ「おーい、ミヤフジー、少佐ー」テクテク
芳佳「あ、エイラさん」
エイラ「よー二人とも、泥棒もいないのに牢屋に張り付いてどうしたんだー?」
坂本「それが、さっきまでは牢屋に三人いたんだが」
エイラ「なんだよー逃げられたのかー」
芳佳「ハルトマンさんとサーニャちゃんにしてやられまして・・」
エイラ「へっへー、どうだ、サーニャはすごいだろー」
坂本「どっちの味方だ」
エイラ「ん?なんかここカレーくさくないか?」
芳佳「気のせいじゃないですかぁ?」
坂本「それより二人とも、ミーナとバルクホルンも戻ってきたようだ」
ゲルト「着いたぞリーネ、牢屋だ」
リーネ「あうう・・」
芳佳「リーネちゃんおかえりー」
リーネ「あれ・・?なんかここカレーの匂いが」
芳佳「気のせいだよ」
ミーナ「ただいま美緒、ルッキーニさんには逃げられてしまったのね」
坂本「ああ、かくかくしかじか・・」
ミーナ「そう、やはりフラウには要注意ね・・それにシャーリーさんも」
ゲルト「忌ま忌ましいハルトマンめ・・!うおおおおお!」
ミーナ「ハウス!」
ゲルト「よし!足並みも揃ったことだ。憎き泥棒どもを探しに行こうではないか!」
ミーナ「トゥルーデ」
ゲルト「大丈夫、私は冷静だ。さぁ行こうミーナ」
ミーナ「あなたは牢屋の見張り番よ」
ゲルト「え!?」
エイラ「よろしくなー大尉」
ゲルト「ちょ、ちょっと待ってくれ私も」
坂本「カールスラント軍人の見張りっぷり、期待しているぞ」
芳佳「バルクホルンさんが見張りなら、安心して任せられますねぇ」
ゲルト「フフフン、そ、そうか?宮藤がそこまで言うなら」
リーネ(いいように扱われてるなぁ・・)
エイラ「んで、どっちに行けばいいんだー?」
ミーナ「そうね、さっきリーネさんを捕まえた辺りには他の泥棒はいなかったようだけど・・」
芳佳「あっち」
ミーナ「え?」
芳佳「あっちの方にシャーリーさんがいる気がします」
基地東部 森
シャーリー「そろそろ残り一時間ってとこか・・どう逃げ切るかなぁ」
ルッキーニ「シャーリーのスピードなら誰も捕まえられないよ!」
シャーリー「いや、さすがの私もぶっ通しで魔法使っ」
ルッキーニ「あー!ちょうちょー!」
シャーリー「聞けよ」
サーニャ「あ・・!」
シャーリー「どうしたサーニャ?」
サーニャ「人影を補足しました」
シャーリー「いくつだ?こっちに向かってる?」
ルッキーニ「ちょうちょー!」
シャーリー「ルッキーニ、ちょっと黙ってなさい」
サーニャ「一人です、ここから北側300メートル周辺を・・うろついてるようです」
シャーリー「泥棒ならそんな動きはしないね、十中八九警察の誰かだ・・」
ルッキーニ「探知系のミーナ中佐や坂本少佐でもなさそう、おそらくエイラかヨシカかバルクホルン大尉だよ」
シャーリー「お、おう」
サーニャ「私達も移動しますか?」
シャーリー「そうだね、少し南下しよう」
サーニャ「・・っ!南側にも誰か一人います!」
シャーリー「警察か?」
サーニャ「北側にいた人と同じような動き・・」
ルッキーニ「けいさつー!!」
シャーリー「図らずも挟まれた形になっちゃったね」
ルッキーニ「これ以上東に逃げたら基地の敷地外に出ちゃうよー!」
サーニャ「まだ両方とも闇雲にうろうろしているようです」
ルッキーニ「もしかしたら、私達がさーにゃんのレーダーを頼りにしてるのを逆手にとって、私達の動きを制限する気かもしれない」
シャーリー「なるほど・・このねちっこいやり方、隊長の作戦か?まずいな・・」
サーニャ「っ!!格納庫方面より二人、急速にこちらに向かってきます!距離、450メートル、430、410・・!」
シャーリー「いけない!片方はきっとミーナ中佐だ!」
ルッキーニ「探査魔法の射程圏内まで一気に距離を詰める気だ!」
基地東部(シャーリー達から西へおよそ400メートルの地点)
芳佳「はぁ、はぁ」
ミーナ「ふぅ・・」
芳佳「疲れたぁ・・」
芳佳「どうですかぁ?探知魔法にかかりましたかぁ?シャーリーさん達いましたかぁ?」
ミーナ「ええ、補足したわ」
芳佳「やりましたね!」
ミーナ「しかも三人が固まっているわ・・必ず全員捕らえるわよ!」
芳佳「はい!」
ミーナ「私は一人で大丈夫だから、宮藤さんあなたは北側にいるエイラさんに状況報告と、そのまま彼女の補佐を」
芳佳「了解しました!」
芳佳「あ、そうだ!南側にいる坂本さんには伝えなくていいんですかぁ?」
ミーナ「美緒なら、魔眼で私の唇を読むように言ってあるから大丈夫よ」
芳佳「あ、そうですか」
基地東部 森
シャーリー「ミーナ中佐の魔法の射程内に入られた・・向こうにこちらの場所も人数もバレてしまったね」
サーニャ「はい・・」
ルッキーニ「うじゅじゅ・・どうしようシャーリー!?」
シャーリー「向こうの連絡や体勢が整う前に早々にバラけよう」
シャーリー「私はサーニャを担いでミーナ中佐に突撃し、撹乱してさっきみたいにすぐに離脱するよ」
サーニャ「よ、よろしくお願いします」
シャーリー「その間にルッキーニ、お前は木の上を移動して逃げろ」
シャーリー「この森の中はお前が誰よりも詳しい、きっと逃げ切れる!」
ルッキーニ「りょーかい!」
シャーリー「時間がない、行くよ!」
ミーナ「ッ!・・二手に別れた・・!」
ミーナ「一人はゆっくり南へ、二人は・・私の方に向かってくる!」
ミーナ「この速いのはシャーリーさん、またサーニャさんを担いでいるようね」
ミーナ「さっきは逃げられたけど、今度はそうは行かないわ」
ミーナ「シャーリーさんったら」
ミーナ「私に何度も同じ手が通用すると思ってるのかしら」ニコッ
サーニャ「ミーナ中佐もこちらに向かってきます!」
シャーリー「見えた!中佐だ!」シュタタタ
ミーナ「会いたかったわよシャーリーさん!」ババーン
シャーリー「こちらはあんまり会いたくなかったかなぁ」
シャーリー「ゆっくり話す気もない!早々に振り切らせてもらうよ!」シュタタタ
ミーナ「そう簡単に逃げ切れるかしら?」タタタッ
シャーリー「へぇ・・私に真っ向からスピード勝負を挑むとは、中佐らしくもないね!」シュタタタ
基地東部 森
坂本「ミーナからの最後の情報では、確かこの辺りにルッキーニがいるんだったな」ガサガサ
坂本「草木が入り組んでて、いかにもルッキーニの主戦場といったとこか」
坂本「ふむ・・」
坂本「このまま普通に探したのでは埒があかんな」
坂本「・・・・」
坂本「あんぱん!」
坂本「ジェラート、ようかん!バウムクーヘン、ぜんざい!」
坂本「シューアラクレム!プリャニキ、きんつば、アマレッティ、エクレール!」
ポタッ
坂本「!」
ポタポタ
坂本「そこの木の上か!」
ルッキーニ「うじゃー!しまった!ついよだれが!」
フランチェスカ・ルッキーニ再逮捕
基地北部
シャーリー「ハァ、ハァ・・」
シャーリー「どうだ?振り切ったか?」
サーニャ「いいえ・・ミーナ中佐、後方180メートル先から尚も接近中です」
ミーナ「は、は、」タッタッタ
シャーリー「チィッ!」シュタタタ
テス
まさかのさるさんでした
格納庫(牢屋)
リーネ「はぁ・・・」
ゲルト「どうした、そう落ち込むなリーネ」
リーネ「でも、やっぱり私足手まといで・・二度も捕まっちゃうし」
ゲルト「リーネ・・」
リーネ「私もバルクホルン大尉みたいに、仲間に頼られる人間になりたいです・・」
ゲルト「そ、そうか?ハハハッ、きっとお前もいずれは・・」
カサコソ
ゲルト「ムッ!?今の音は!?」クルッ
リーネ「・・・・」
ゲルト「・・段ボール?」
段ボール「・・・・」
ゲルト「はて?こんなところに段ボールなんて置いてあったか?」
リーネ「えっと・・あったんじゃないでしょうか」
ゲルト「そうか、まぁ今は大事なゲームの最中だ。段ボールなどどうでもいいか」
段ボール「・・・・」カサコソ
ゲルト「ハッ!?」クルッ
段ボール「!」ピタッ
ゲルト「・・今この段ボール動かなかったか!?」
リーネ「段ボールが動くわけありませんよ?」
ゲルト「そ、それもそうだな」
リーネ「ふふ、おかしなバルクホルン大尉」
ゲルト「ハハッ」
ゲルト「それにしても、今頃ミーナ達はどうしているのだろう・・」
ゲルト「外の状況が気になるな・・」
段ボール「リーネ」ヒソヒソ
リーネ「は、はい」ヒソヒソ
段ボール「トゥルーデの気を外に向けて」ヒソヒソ
リーネ「了解しました」ヒソヒソ
ゲルト「ん?リーネ、今何かぶつぶつ言ってたか?」
リーネ「い、いえそんなことは・・」
リーネ「あ!バルクホルン大尉!今滑走路の方にハルトマン中尉が!」
ゲルト「本当か!?うおおおお!ハルトマーン!」タッタッタ
段ボール「ふう」カパッ
エーリカ「段ボールの中は暑いし疲れるなー」
エーリカ「はいリーネタッチ、と」パン
リーネ「ハルトマン中尉、ありがとうございます!」
ゲルト「おいリーネ!ハルトマンなどどこにもいないではないか!」
リーネ「すみません・・」
エーリカ「私ならここだよー?」
ゲルト「え!」
ゲルト「ハルトマン貴様!一体いつの間に牢屋まで!」
リーネ「すみませんバルクホルン大尉!さようなら!」タッタッタ
エーリカ「じゃーねートゥルーデー」タッタッタ
ゲルト「え?あ・・!おい!」
ゲルト「・・逃げられた」
基地西部
シャーリー「ハァ、ハァ・・ハァ、ハァ」
サーニャ「大丈夫ですか・・?」
シャーリー「肺が口から飛び出そうだよ」
シャーリー「ハァ、ハァ・・サーニャ、中佐は?」
サーニャ「ダメです、今も一定のペースで近付いてきます」
シャーリー「ハァ、ハァ・・クソッ・・そういうことか」
シャーリー「ハァ、ハァ」
シャーリー「固有魔法で常に私を補足しつつ、しつこく追い回すのが中佐の作戦だったんだ」
シャーリー「スピードで勝てないなら持久力で・・ってわけだ」
サーニャ「そんな・・」
シャーリー「ハァ・・ハァ・・最も基本に忠実で確かな戦法だが」
サーニャ「地味・・ですね」
シャーリー「地味・・だな」
シャーリー「追いかけてくる中佐の魔法の範囲外まで出るほかないが」
シャーリー「サーニャを抱えたまま、そこまで引き離すのは・・さすがに不可能だ」
サーニャ「じゃあ・・」
シャーリー「このままじゃいずれ捕まる」
シャーリー「サーニャ、マラソンくらいのペースならしばらくは走れるね?」
サーニャ「はい」
シャーリー「とにかく走りながら対策を考えよう」
サーニャ「はぁ、はぁ、私はやはり、二手に別れるしかないと思います」タッタッタ
シャーリー「でも、そんなことをしたら」タッタッタ
サーニャ「・・狙われるのは私でしょうね」タッタッタ
シャーリー「そんなの・・!」タッタッタ
サーニャ「でもこのままじゃ・・二人とも無駄に体力を」タッタッタ
シャーリー「すまない。誰かを犠牲にして助かるのは、私の性に合わないね」クルッ
サーニャ「ダメ!シャーリーさん!」
シャーリー「ミーナ中佐の相手は私が引き受ける!」
シャーリー「サーニャ、お前は逃げ切って、私達をこのゲームに勝たせてくれ」
サーニャ「シャーリーさん・・ごめんなさい・・ありがとう!」
ミーナ「エッホ、エッホ、」タッタッタ
ミーナ「あらシャーリーさん、観念したようね」タッタッタ
シャーリー「ああ、だが可能な限り時間は稼がせてもらう!」シュッシュッ
ミーナ「これは!!」
シャーリー「リベリオン仕込みの、この反復横飛びで!」シュシュシュシュシュシュ
ミーナ「まるで分身!」
シャーリー「どうだ!私の背中は安くないぜ!中佐ァ!」シュシュシュシュシュシュ
ミーナ「それはどうかしら?」
エイラ「スキありー!つかまえたぞー!」ガシッ
シャーリー「何ィ!?」
エイラ「いちに、さーん!はい逮捕ー!」パンパンパン
シャーリー「バカな・・」
エイラ「サーニャをお姫様抱っこしたり仲良く走ったバチだー!」
シャーリー「何だそりゃ」
ミーナ「フフ、残念だったわねシャーリーさん」
ミーナ「サーニャさんをかばい続けてエイラさんを本気にさせた代償というやつよ」
シャーリー「くそ・・!」
エイラ「ザマーミロー!」
シャーロット・E・イェーガー逮捕
ミーナ「ではエイラさん、シャーリーさんを牢屋までお願いね」
エイラ「まけせとけー」
シャーリー「くっ・・」
ミーナ「私はこのままサーニャさんを追い詰めます」
エイラ「サーニャを追い詰める!?おい!そんなことさせないぞ!」
ミーナ「そういうゲームだから。さようなら」タッタッタ
エイラ「チクショー!頑張れー!サーニャ~!」
シャーリー「私はこんな奴に捕まったのか・・」
格納庫(牢屋)
坂本「今帰ったぞバルクホルン」
ゲルト「あ、あぁ・・」
坂本「そらルッキーニ、懐かしの牢屋だ」
ルッキーニ「うじゅわあああん」
坂本「バルクホルン」
ゲルト「は、はい!」
坂本「私の記憶が確かなら、牢屋にはリーネがいた筈だが」
ゲルト「それはその、ハルトマンが・・段ボ・・」シュン・・
坂本「まぁ気にするな!先程私も取り逃がしたしな!はっはっはっは!」
坂本「はっはっは・・・・」
坂本「はぁ」
ゲルト(ぐああ・・!フォローとため息が胸に突き刺さる!なんて残酷なゲームなんだ!)
ゲルト「しかし少佐」
坂本「なんだ?」
ゲルト「残り時間も少なくなってきたというのに、現在逮捕してる泥棒が一人だけ・・というのは少々まずいのではないか」
坂本「ああ、まさか奴らがこれほどデキるとは・・私もさすがに誤算だった」
ルッキーニ「えへへー!」
坂本「・・・・」
坂本「今はミーナとエイラがシャーリーとサーニャを追いかけてる筈だが・・果たしてどうなったか」
ゲルト「ハルトマンとリーネとペリーヌが野放しか・・」
坂本「ああ、ここでミーナとエイラがしくじれば、いよいよ敗北が濃厚になる」
ゲルト「・・少佐、私を探索に行かせてくれ」
坂本「ほう」
ゲルト「このゲルトルート・バルクホルン、必ず戦果をあげて見せる」
ゲルト「あんなふざけた連中に負けてたまるものか!」
ルッキーニ「あー!ちょうちょー!」
基地北部
リーネ「はぁ、はぁ」
リーネ「さっきミーナ中佐がシャーリーさんとサーニャさんを追ってるのが見えた・・」
リーネ「どうにかしたかったけど・・」
リーネ「私なんかじゃどうしようもないし、仕方ないよね」
リーネ「うん、仕方ない」
リーネ「それに、またあの豚箱に戻るのはごめんだよぉ」
リーネ「なんだかカレーくさかったし」
リーネ「これからどうしよう」
リーネ「助けてくれたハルトマン中尉ともはぐれちゃったし・・」
<ウオオオオー!ハルトマーン!
リーネ「この怒号はバルクホルン大尉!」
<ウオオオオー!ウホオオオー!
リーネ「声が近付いてくる・・!」
リーネ「どこかに隠れなきゃ!」
リーネ「あ、公衆トイレ!この中の個室に隠れよう!」
ギィー
バタン
リーネ「くさい!」
リーネ「・・・・」
<どこだー!ハルトマーン!
リーネ(近い!トイレの前にいる!)
リーネ「・・・・」ドキドキ
<ハルトマーン・・オオオー・・
リーネ(声が遠のいていく・・!)
リーネ「よかったぁ・・助かったんだ」
<リーネチャーン!
リーネ「!!」
<リーネチャーン!
リーネ「この声は芳佳ちゃん!しかもこっちに向かって来る!」
リーネ「また私を探してくれてるんだ・・嬉しい・・嬉しいけど!」
<リーネちゃーん!
リーネ(トイレの前に来た!)
芳佳「リーネちゃん・・?」
リーネ(トイレに入って来た・・!)
芳佳「リーネちゃん・・」
芳佳「トイレの中にいるの?」
リーネ(いません!いませんから引き返して!芳佳ちゃん!)
ギィー
芳佳「この個室には・・」
バタン
芳佳「いない」
リーネ(ヒィィィ!調べ始めた!)
芳佳「隣の個室は・・」
ギィー
芳佳「いない」
バタン
芳佳「一番奥の個室は・・」
ガチャガチャ
芳佳「鍵がかかってる」
コンコン
芳佳「誰かいるんですかぁ?使用中ですかぁ?返事してくださいよぉ」
芳佳「リーネちゃんが隠れてるんですかぁ?」
コンコン
芳佳「リーネちゃんですかぁ?」
コンコンコンコン
芳佳「ねぇってば!」
ドンドンドンドン!
リーネ(芳佳ちゃん早く諦めて・・!)
芳佳「やっぱり誰もいないみたい」
芳佳「鍵が壊れてて開かないだけかぁ」
芳佳「それにしてもリーネちゃんどこにいるんだろう」
芳佳「もうとっくにケイドロ終了の時間過ぎたのに」
リーネ「えっ!?」
芳佳「声がした!リーネちゃん!」
リーネ「あ」
芳佳「ケイドロが終わったなんてうそだよリーネちゃん」
リーネ「あ・・ああ、ああぁ・・!そんな・・」
芳佳「やっぱりここにいたんだね」
リーネ「いやああああ・・!!!」
リネット・ビショップ再逮捕
格納庫(牢屋)
ミーナ「美緒、戻ったわ」
坂本「見事だミーナ」
ルッキーニ「さーにゃん!ミーナ中佐に捕まっちゃったの!?」
サーニャ「ごめんなさいシャーリーさん・・結局ミーナ中佐から逃げ切れず・・」
シャーリー「いいっていいって、私もあの後あっさりエイラに捕まっちゃったしさ」
エイラ「そうだぞサーニャ、すごいだろ?501最速のシャーリーを私が捕まえたんダゾ!」
サーニャ「・・・・」プイッ
エイラ「サーニャぁぁ~」
シャーリー「お、制限時間も15分を切ったし、いよいよ大詰めだね」
坂本「そうだな、私はこれより最後の探索に向かう。見張りは・・」
エイラ「はいはいはい!私はここでサーニャの見張りやる!」
坂本「うむ。ほかの泥棒も見張れ」
ミーナ「美緒・・私もついていくわ」
坂本「ミーナは走り通しで体力が限界に近いだろう」
坂本「それにこの先は絶対に泥棒を解放させてはならん。エイラと二人で見張りを頼む」
ミーナ「了解したわ」
坂本「では行ってくる!」
制限時間 残り730秒
基地西部
ゲルト「ハァ、ハァ・・」タッタッタ
ゲルト「フラウめ、これだけ探しても姿を現さないとは」
ゲルト「大声を張りあげながら走り回れば、私をからかいに現れるとも思ったが無駄だったな」
ゲルト「・・それにしても」
ゲルト「フラウにしては、あまりにもなりをひそめ過ぎなような」
ゲルト「・・・・」
ゲルト「フラウにしては、か」
ゲルト「あいつめ、まさか・・」
制限時間 残り500秒
格納庫(牢屋)
芳佳「ただいま戻りましたぁ」
ミーナ「おかえりなさい、リーネさんを捕まえてくれたのね。さすがよ宮藤さん」
芳佳「えへへー」
リーネ「すいません、捕まっちゃいました・・」
シャーリー「まだ全滅したわけじゃないんだから気にすんなって」
サーニャ「残り時間ももう少ないし、きっと大丈夫・・」
エイラ「そうだぞサーニャ!きっと大丈夫ダ!」
ミーナ「あなたどっちの味方なの」
制限時間 残り220秒
芳佳「残り時間、三分を切りました!」
シャーリー「確かタイムオーバーと同時に、基地中にブザーを鳴らすんだったね」
ミーナ「ええ、その時点で一人でも未確保の泥棒がいれば貴方達の勝ちよ」
ルッキーニ「びゃぁぁ!はやく時間たてー!」
リーネ「お願い・・勝たせて・・!」
制限時間 残り160秒
シャーリー「こりゃさすがに私達の勝ちっぽいなー」
芳佳「うう・・このままじゃ負けちゃう!」
芳佳「私、今からでもハルトマンさんを探しにいってきます!」
ルッキーニ「今からハルトマンを探して捕まえるなんて芳佳じゃムリだよーだ!」
芳佳「でも、じっとしてなんていられないもん!」
サーニャ「あ・・!」
ミーナ「・・!」
リーネ「サーニャさん・・?
芳佳「ミーナさんも、どうしたんですかぁ?」
芳佳「あぁ!そうこうしてるうちに時間が!私、行きます!」
ミーナ「待ちなさい宮藤さん、その必要はないわ」
芳佳「え?」
サーニャ「ぐっ・・」
エイラ「サーニャ?どうしたんだ?」
ミーナ「あれをご覧なさい」
坂本「はっはっは!」
バルクホルン「心配をかけさせたようだな、宮藤」
芳佳「坂本さん!バルクホルンさん!」
芳佳「それに、バルクホルンさんが抱えてるのは・・」
エーリカ「zzz・・」
芳佳「ハルトマンさん!!」
リーネ「そんな・・・じゃあ」
芳佳「じゃあ!」
ゲルト「ああ、ギリギリで我々警察の勝利だ」
ブオーンブオーン
坂本「お、タイミングよく終了の合図が鳴ったな」
芳佳「やったー!私達の勝ちだー!」
シャーリー「くっそー!まさかハルトマンがバルクホルンに捕まるとは・・」
ルッキーニ「うわあああん、もう少しだったのにー!うわあああん!」
坂本「はっはっは!正義は勝つ!!」
サーニャ「くやしい・・」
エイラ「サーニャ、そう落ち込むなよ、な?」
サーニャ「同情はやめて」
芳佳「すごいですバルクホルンさん!ハルトマンさんを捕まえるなんて!」
ゲルト「宮藤・・べ、別にたいしたことはしていないさ・・」
ミーナ「トゥルーデ、フラウは寝てるようだけど・・一体どうしたの?」
ゲルト「ああ、ギリギリまでこいつを見つけられなくて途方に暮れていたんだが」
ゲルト「基地のどこも、あまりにもハルトマンの気配を感じないのでな、思い立ってある場所を探してみたんだ」
ミーナ「?」
芳佳「ある場所ですかぁ?それってどこですかぁ?」
ゲルト「ハルトマンの部屋だ」
芳佳「ハルトマンさんの部屋・・」
ミーナ「まさか・・」
ゲルト「そのまさかだ」
ゲルト「ゲームの途中で疲れたか飽きたんだろう、気持ちよさそうに寝ていたよ」
芳佳「えええ・・」
ゲルト「ひっぱたいても起きなかったので、抱えて部屋から運び出し」
ゲルト「ここへ向かう途中で坂本少佐と鉢合わせ、今に至るというわけだ」
芳佳「なるほど・・」
ルッキーニ「ハルトマン中尉のばかー!」
エーリカ「zzz・・むにゃむにゃ」
エーリカ「おいもおいひい・・」
シャーリー「はぁー、それにしても疲れたなー」
ゲルト「通常の訓練より心身を消耗した気がする・・」
坂本「はっはっは!それがケイドロの醍醐味だ!」
芳佳「ドロケイですよぉ?」
ミーナ「もう、どちらでもいいじゃない」
エイラ「サーニャ、結構走ったけど疲れてないか?」
サーニャ「くたくたよ。おかげさまで」
エーリカ「zzz・・」
ルッキーニ「うじゅー、おなかすいたよー」
リーネ「あれ・・・・?」
芳佳「リーネちゃん?」
リーネ「ちょっと待ってください」
シャーリー「急にどうしたんだリーネ?」
リーネ「何か・・何かを忘れてるような気がしませんか?」
ルッキーニ「何かってなぁにー?」
リーネ「それは・・思い出せないんですけど」
ミーナ「言われてみれば、確かに何か・・」
芳佳「思い過ごしじゃないですかぁ?」
坂本「いや待て・・」
坂本「ハッ!!!」
坂本「罰ゲームだ!罰ゲームを忘れてた!」
芳佳「あー!そうでした!それですよぉ!」
エイラ「そういやそんな決まりだったナー」
サーニャ「忘れてた・・」
シャーリー「それかぁ・・余計なことを思い出させちゃったな」
ゲルト「残念だったなリベリアン」
ルッキーニ「リーネのばかー!」
リーネ「うぅ・・すいませーん!」
エーリカ「zzz・・」
ミーナ「それでは坂本少佐、肝心の罰ゲームの内容の発表をお願いします」
坂本「うむ────」
こうして、第501統合戦闘航空団の隊員達を巻き込んだケイドロ大会は幕を閉じた。
泥棒グループには苛酷な罰ゲームが課されたが、その晩、食事の席はケイドロの話題で持ち切りで、隊員達には笑顔が絶えなかったという。
完
エピローグ
滑走路(先端)
ペリーヌ「フフ・・」
ペリーヌ「そろそろ終了の時間ですわね」
ペリーヌ「一見見晴らしのいい滑走路に、身を屈めて隠れるこの作戦」
ペリーヌ「さすがのミーナ中佐や坂本少佐も心理的盲点だったようですわね・・」
ペリーヌ「我ながら大胆かつ適切な作戦ですわ!」
ブオーンブオーン
ペリーヌ「はっ!!」
ペリーヌ「これはゲーム終了の合図!」
ペリーヌ「やりましたわ!私達の勝ちですわ!」
ペリーヌ「フフ・・さぁ、優雅に皆さんのもとへ戻るとしましょう」
ペリーヌ「きっと格納庫には、私に驚嘆してくださる坂本少佐、あの豆狸の悔しがる顔・・」
ペリーヌ「そして」
ペリーヌ「共に死線をくぐった泥棒仲間達の惜しみない賞賛と笑顔が、私を待ってますわ!」
完
ご愛読ありがとうございました
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