ライナー「ベルトルトを捨てた」(31)
壊れたお前をうちへせっかく迎え入れて、直したってのに…使う機会がなかった……ごめんな
そう言って彼、ライナー・ブラウンは外へとルンバ……ベルトルトを放った
また、迷いルンバが一つ……
罪悪感から目を背けるように彼はドアを閉じる
かつん、かつんとあの硬い身体がドアを叩く音はなかなか消えない
大丈夫だ、ベルトルトなら俺の元に居なくてもうまくやっていける…
ドアを叩く音が聞こえなくなるまで、ドアの前では静かに泣き声が響いて居た
…………
彼の眠りは深い方なのだがその日は何故か夜中に目覚めてしまった
朝ベルトルトを捨てたショックでかもしれない
ふと朝までベルトルトが居た空間が目に入り、また彼は涙を流した
仕方ない、この物の多い部屋では小回りのきく掃除機でないと使えなかったし
この狭い部屋ではどうしてもルンバは邪魔になったのだ
邪魔になったから捨てた
それだけだ……
一頻り泣いた後、彼はどうしようもなく窓の外が気になった
何かの予感、外を見なければいけないような…
思い切って窓を開くとそこには
「ベルトルト…?」
あぁ、ただのルンバ違いかもしれない
それでも、こちらへぶつかってくる姿は、僕だよと語りかけてくるようで…
彼は思わずその身体を抱き上げた
間違いない、この傷はベルトルトのものだ
直す時に間違えて付けてしまった傷だ
こんな自分のところにこいつは戻ってきた……
朝より随分と汚れたその身体を見て酷く後悔した
ずっと、誰のものとも知れないゴミを吸い続けて居たんだろう。ずっと、寝ている間も、ずっと
「…もう休んでいいんだ。許されるなんて思わないが、悪かった…」
「でも、帰ってきてくれて本当に、本当に良かった……」
「おやすみ、ベルトルト」
さっき散々泣いた筈なのにまた視界が滲み出す
ベルトルトはもうこれ以上ゴミを吸い取る力も無いようで、ひとつ音を出してから静かに電源を落とした
ちゃんと自分の声は届いたんだろうか
明日になったらもう一度ちゃんと直してやろう
今の寝ぼけた頭じゃまた傷をつけてしまうかもしれない
せめて汚れだけでも、と、彼はタオルで優しくその身体を拭ってやった
…………
……
…
ライナー「と言う夢を見たんだが」
ベルトルト「何それ」
ライナー「お前、体の何処かが掃除機になったりしてないよな?」
ベルトルト「なってたら怖いよ」
ライナー「そうか、ならいいんだ」
ベルトルト「なんか、うん、ライナー気持ち悪いね」
ライナー「何がだ?」
ベルトルト「だってなんで僕の名前をルンバに付けてるの?それとも僕がルンバになってたの?その内容なんなの?そのルンバとライナーの関係なんなの?気持ち悪い」
ライナー「夢の中では当たり前にルンバがベルトルトだったんだから仕方ないだろう。それに夢に脈絡なんて期待するなよ」
ベルトルト「……うん、いや…そうか。ならいいんだけど、わざわざ夢の内容を僕に話す意味は」
ライナー「怖い夢は人に話すもんだろ」
ベルトルト「あ、うん、怖い夢だったんだ」
ライナー「怖いだろ、ベルトルトがルンバで捨てるんだぞ?怖いだろ?ルンバなんだぞ?怖いに決まってる」
ベルトルト「……ライナー、まだ寝ぼけてるね」
ライナー「起きてる、もう目もぱっちりだ。ほら、よく見てみろ」
ベルトルト「半目になってるよ」
ライナー「そうだろう」
ベルトルト「あー、うん。ライナー、取り敢えず物に人の名前付けるのやめようね」
ライナー「ただの物じゃない、俺のルンバでベルトルトなんだ」
ベルトルト「うん、でも俺のとか言われたらあまり気分も良くないし迷惑だよ」
ライナー「そうか」
ベルトルト「うん」
ライナー「でもな」
ベルトルト「もういいから早く起きろ」
ライナー「ぐっふ」予想外の"肘"
ベルトルト「はっきりとした寝言は厄介だ……」
ライナー「痛、ちょ、ま、べる、止め」少し理由のある暴力がライナーを襲う──!
ベルトルト「起きた?」
ライナー「…ん、ん?朝か」
ベルトルト「おはようライナー」
ライナー「ああ、おはよう」
ベルトルト「これからは不法投棄はやめようね」
ライナー「…?何の話だ?」
ベルトルト「何でも無いよ、ちゃんと起きたみたいで良かった。…早く準備しなよ、ご飯に遅れる」
ライナー「そうだな、さっさと……」
がさっ
ベルトルト「…ん?」
ライナー「なんの音だ?」
ベルトルト「何かベッドの下で……ネズミかな?」
ライナー「どれどれ…」
ベルトルト「ん、…何か見えるような……暗いな」
ライナー「…ベルトルト」
ベルトルト「何?」
ライナー「ベルトルトだ」
ベルトルト「は?」
ライナー「ルンバのベルトルトだ!」
ベルトルト(ついに壊れたかな…)
おわる
何なのかよくわからない
転載されるような内容でも無いけど
一応転載禁止って言っておく
ベルトルンバ!
覚悟を決めたアルミンに最近ゾクゾクしてるよ
ライナーはゴミだとわかっていても大事だと思って捨てれそうに無い気がしてる
ので、これから先ベルトルト(ルンバ)を満足に使えることはないと思うよ
だからかわりにベルトルト(ルンバ)に小さく切った餌あげたり散歩したりしてしてると思うよ
もう蛇足過ぎるしここで止めとく
それなりに楽しんでもらえてるようだと分かると嬉しいね
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